JPH11329110A - 多芯テープ状酸化物超伝導撚線の製造方法 - Google Patents
多芯テープ状酸化物超伝導撚線の製造方法Info
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- JPH11329110A JPH11329110A JP10138950A JP13895098A JPH11329110A JP H11329110 A JPH11329110 A JP H11329110A JP 10138950 A JP10138950 A JP 10138950A JP 13895098 A JP13895098 A JP 13895098A JP H11329110 A JPH11329110 A JP H11329110A
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- Y02E40/60—Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment
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- Metal Extraction Processes (AREA)
- Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 線材の膨れや金属被覆材の欠陥の発生を防止
し、超電導特性の劣化を抑制する。 【解決手段】 酸化物超電導粉末又はその原料粉末を第
1の金属パイプ2に充填した後、それを伸線加工して単
芯線材1を製造し、単芯線材1を複数本束ねて第2の金
属パイプ3に充填した後、それを伸線加工して多芯線材
4を製造する。多芯線材に含包された単芯線材が線材の
長さ方向に一回転する撚りピッチをL、多芯線材の直径
を2Rとしたとき、2R≦L≦100Rの範囲で多芯撚
線とし、多芯撚線をテープ状に圧延加工する。その後、
酸化物超電導粉末又はその原料粉末の分解温度以上の温
度で熱処理し、さらに酸化物超電導粉末又はその原料粉
末の分解温度以下の温度で熱処理する。
し、超電導特性の劣化を抑制する。 【解決手段】 酸化物超電導粉末又はその原料粉末を第
1の金属パイプ2に充填した後、それを伸線加工して単
芯線材1を製造し、単芯線材1を複数本束ねて第2の金
属パイプ3に充填した後、それを伸線加工して多芯線材
4を製造する。多芯線材に含包された単芯線材が線材の
長さ方向に一回転する撚りピッチをL、多芯線材の直径
を2Rとしたとき、2R≦L≦100Rの範囲で多芯撚
線とし、多芯撚線をテープ状に圧延加工する。その後、
酸化物超電導粉末又はその原料粉末の分解温度以上の温
度で熱処理し、さらに酸化物超電導粉末又はその原料粉
末の分解温度以下の温度で熱処理する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物超電導線材
の製造方法に係わり、特に、磁場中で高い電流密度が必
要なマグネットやコイル等の電力応用導体に適用する酸
化物超電導線材の製造方法に関する。
の製造方法に係わり、特に、磁場中で高い電流密度が必
要なマグネットやコイル等の電力応用導体に適用する酸
化物超電導線材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、超電導材料としてはNbTi,N
b3Sn等の金属系のものが知られている。しかし、こ
れらの金属系超電導材料は超電導臨界温度Tcが最も高
いNb3Geでも23K(ケルビン)であり、その冷却
に高価な液体ヘリウムを用いる必要があった。ところ
が、1986年になって酸化物系超電導体が発見され、
続いて、超電導臨界温度Tcが液体窒素の沸点温度77
Kを超えるイットリウム(Y)系、ビスマス(Bi)
系、タリウム(Tl)系といった酸化物超電導体が相次
いで発見された。これらの酸化物超電導体は、超電導臨
界温度Tcが高く安価で入手が容易な液体窒素を冷媒に
用いることができるため、超電導線材を使用する各種の
技術分野に大きな影響を与えることになった。
b3Sn等の金属系のものが知られている。しかし、こ
れらの金属系超電導材料は超電導臨界温度Tcが最も高
いNb3Geでも23K(ケルビン)であり、その冷却
に高価な液体ヘリウムを用いる必要があった。ところ
が、1986年になって酸化物系超電導体が発見され、
続いて、超電導臨界温度Tcが液体窒素の沸点温度77
Kを超えるイットリウム(Y)系、ビスマス(Bi)
系、タリウム(Tl)系といった酸化物超電導体が相次
いで発見された。これらの酸化物超電導体は、超電導臨
界温度Tcが高く安価で入手が容易な液体窒素を冷媒に
用いることができるため、超電導線材を使用する各種の
技術分野に大きな影響を与えることになった。
【0003】また、これらの酸化物超電導体は、超電導
臨界温度Tcが高いだけでなく、超電導上部臨界磁場H
c2が高いという性質を兼ね備えている。特に、ビスマ
ス系超電導体は、4.2K以下の極低温における上部臨
界磁界Hc2が50T(テスラー)乃至100Tを超え
るものであるため、従来の金属系超電導材料では達成が
困難であった、21Tを超えるような強い磁場を発生す
る超電導マグネットの実現が可能となってきた。
臨界温度Tcが高いだけでなく、超電導上部臨界磁場H
c2が高いという性質を兼ね備えている。特に、ビスマ
ス系超電導体は、4.2K以下の極低温における上部臨
界磁界Hc2が50T(テスラー)乃至100Tを超え
るものであるため、従来の金属系超電導材料では達成が
困難であった、21Tを超えるような強い磁場を発生す
る超電導マグネットの実現が可能となってきた。
【0004】最近になって、酸化物超電導原料粉末を銀
(Ag)等の金属被覆材内に充填した後、その金属被覆
材に伸線加工及び圧延加工を施すパウダー・イン・チュ
ーブ法によって作製した高性能の超電導線材が、「第5
3回1995年春季低温工学・超電導学会講演概要集」
154頁に紹介された。この超電導線材は、4.2Kの
温度下では23Tという強磁場下でも、1,710A/
mm2の実用的な臨界電流密度Jcが得られている。ま
た、特開平7−105753号公報には、酸化物超電導
体からなるフィラメントがマトリクス中に複数本埋め込
まれたテープ状の酸化物超電導線材であって、フィラメ
ントはテープ線材の長手方向に沿って螺旋状に撚れてい
る酸化物超電導線材が記載されている。
(Ag)等の金属被覆材内に充填した後、その金属被覆
材に伸線加工及び圧延加工を施すパウダー・イン・チュ
ーブ法によって作製した高性能の超電導線材が、「第5
3回1995年春季低温工学・超電導学会講演概要集」
154頁に紹介された。この超電導線材は、4.2Kの
温度下では23Tという強磁場下でも、1,710A/
mm2の実用的な臨界電流密度Jcが得られている。ま
た、特開平7−105753号公報には、酸化物超電導
体からなるフィラメントがマトリクス中に複数本埋め込
まれたテープ状の酸化物超電導線材であって、フィラメ
ントはテープ線材の長手方向に沿って螺旋状に撚れてい
る酸化物超電導線材が記載されている。
【0005】さらに、超電導線材を用いる強磁場超電導
マグネットの分野においては、例えば、酸化物系超電導
体と従来の金属系超電導体とで構成した複合マグネット
による核磁気共鳴(NMR)装置等の開発が行われてい
る。現在、プロトンの共鳴周波数800MHz級のNM
R装置が実用化されているが、これは金属系超電導マグ
ネットのみの構成となっており、18.8Tの定常磁場
で実現されているものである。しかし、金属系超電導体
のみでは超電導上部臨界磁場Hc2に限界があり、性能
の大幅な向上は期待できない。
マグネットの分野においては、例えば、酸化物系超電導
体と従来の金属系超電導体とで構成した複合マグネット
による核磁気共鳴(NMR)装置等の開発が行われてい
る。現在、プロトンの共鳴周波数800MHz級のNM
R装置が実用化されているが、これは金属系超電導マグ
ネットのみの構成となっており、18.8Tの定常磁場
で実現されているものである。しかし、金属系超電導体
のみでは超電導上部臨界磁場Hc2に限界があり、性能
の大幅な向上は期待できない。
【0006】このような金属系超電導マグネットに酸化
物系コイルを組み合わせることにより、一層高い磁場を
発生するマグネットが達成できれば、数GHz級のNM
R装置が現実的なものとなる。この場合、現有のNMR
装置に比べて、大幅に画像の解像度を向上させることが
できるため、市場も拡大することが予想される。現在で
は「第55回1996年秋季低温工学・超電導学会講演
概要集」5頁に紹介されているように、金属系超電導マ
グネットと酸化物超電導コイルとの組み合わせで22.
8T(金属系21.0T+酸化物1.8T)の磁場発生
が可能となっている。しかしながら、数GHz級のNM
R装置を実現するためには、酸化物超電導線材の更なる
高性能化が必要である。
物系コイルを組み合わせることにより、一層高い磁場を
発生するマグネットが達成できれば、数GHz級のNM
R装置が現実的なものとなる。この場合、現有のNMR
装置に比べて、大幅に画像の解像度を向上させることが
できるため、市場も拡大することが予想される。現在で
は「第55回1996年秋季低温工学・超電導学会講演
概要集」5頁に紹介されているように、金属系超電導マ
グネットと酸化物超電導コイルとの組み合わせで22.
8T(金属系21.0T+酸化物1.8T)の磁場発生
が可能となっている。しかしながら、数GHz級のNM
R装置を実現するためには、酸化物超電導線材の更なる
高性能化が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】超電導線材を用いて、
より高い磁場を発生させる超電導コイルを実現するに
は、超電導線材の磁場発生機能を向上させる必要があ
る。しかし、現実のところ、数10m級の線材を製造す
る際において、その熱処理工程で生じる線材の膨れ、並
びに金属被覆材の欠陥部から酸化物コアが融出すること
等が原因となり、3〜10cm程度の線材長さで得られ
ている高い素線性能を確保することができないという問
題がある。言い換えれば、長尺線材において、高い線材
性能を得るためには、線材の膨れ及び金属被覆材の欠陥
の発生を抑制する必要がある。
より高い磁場を発生させる超電導コイルを実現するに
は、超電導線材の磁場発生機能を向上させる必要があ
る。しかし、現実のところ、数10m級の線材を製造す
る際において、その熱処理工程で生じる線材の膨れ、並
びに金属被覆材の欠陥部から酸化物コアが融出すること
等が原因となり、3〜10cm程度の線材長さで得られ
ている高い素線性能を確保することができないという問
題がある。言い換えれば、長尺線材において、高い線材
性能を得るためには、線材の膨れ及び金属被覆材の欠陥
の発生を抑制する必要がある。
【0008】前者は、800℃以上の温度で熱処理する
工程で生じる現象であり、膨れによってボイドが発生す
ることで超電導体の電流パスが確保できないという問題
が確認されている。これについては、以下のような現象
で発生すると考えられている。酸化物超電導線材は、高
温での熱処理が必要であるが、この工程においてシース
材内部に充填された酸化物が一部溶融反応を起こすこと
により、酸素ガスが急激かつ多量に発生し、熱膨張を起
こす。金属被覆材に用いられる銀(Ag)等は、本来機
械的強度の小さい材質である上、熱により軟化している
ため、酸素ガスにより容易に拡伸され、これが膨れとな
って現れる。これを防止する手段としては、酸化物超電
導線材自身の強度を高めることを目的として、含包する
金属被覆材を高強度化すること、膨れの原因である酸素
ガスの発生を抑えること、多芯化して内部のフィラメン
トに撚線加工を施すこと等が挙げられる。
工程で生じる現象であり、膨れによってボイドが発生す
ることで超電導体の電流パスが確保できないという問題
が確認されている。これについては、以下のような現象
で発生すると考えられている。酸化物超電導線材は、高
温での熱処理が必要であるが、この工程においてシース
材内部に充填された酸化物が一部溶融反応を起こすこと
により、酸素ガスが急激かつ多量に発生し、熱膨張を起
こす。金属被覆材に用いられる銀(Ag)等は、本来機
械的強度の小さい材質である上、熱により軟化している
ため、酸素ガスにより容易に拡伸され、これが膨れとな
って現れる。これを防止する手段としては、酸化物超電
導線材自身の強度を高めることを目的として、含包する
金属被覆材を高強度化すること、膨れの原因である酸素
ガスの発生を抑えること、多芯化して内部のフィラメン
トに撚線加工を施すこと等が挙げられる。
【0009】また、後者については、テープ線材内部の
酸化物コアの高密度化を達成することを目的にして行う
圧延工程で生じる欠陥である。一般に、圧延工程では圧
下率を高めて、酸化物コアをより緻密化した方が線材性
能が向上することが知られている。ところが、金属被覆
材の欠陥は、強加工を加えた場合に生じやすくなってし
まう。このような加工欠陥は主に、線材の幅方向でのエ
ッジ部において、いわゆる耳割れとなって発生する。こ
れを防止する手段としては、線材の膨れ対策の場合と同
様に、金属被覆材を高強度化すること、多芯化して内部
のフィラメントに撚線加工を施すこと、及び金属被覆材
の肉厚を増加させること等が挙げられる。
酸化物コアの高密度化を達成することを目的にして行う
圧延工程で生じる欠陥である。一般に、圧延工程では圧
下率を高めて、酸化物コアをより緻密化した方が線材性
能が向上することが知られている。ところが、金属被覆
材の欠陥は、強加工を加えた場合に生じやすくなってし
まう。このような加工欠陥は主に、線材の幅方向でのエ
ッジ部において、いわゆる耳割れとなって発生する。こ
れを防止する手段としては、線材の膨れ対策の場合と同
様に、金属被覆材を高強度化すること、多芯化して内部
のフィラメントに撚線加工を施すこと、及び金属被覆材
の肉厚を増加させること等が挙げられる。
【0010】線材自身の機械的強度を向上させるため、
例えば金属被覆材に合金材を用いた場合、用いる材料に
よっては酸化物コアの一部と熱的に反応してしまい、こ
れによって非超電導相が析出し、超電導特性が劣化する
という問題が発生する。また、上記のような反応による
超電導特性の劣化以外にも、線材の強度が大きく増す
と、加工の際に線材が断線しやすくなり、数100m級
の長尺線材を得ることが非常に困難になることを発明者
らは実験により確認している。金属被覆材の肉厚を増加
させる方法では、超電導線材本来の特性である臨界電流
密度Jcの低下を招き、実用製品の小型化の妨げになっ
てしまう問題がある。さらに、酸化物超電導体を熱処理
する際のガスの発生は必然的であり、これを抑制するこ
とは非常に困難であると思われる。
例えば金属被覆材に合金材を用いた場合、用いる材料に
よっては酸化物コアの一部と熱的に反応してしまい、こ
れによって非超電導相が析出し、超電導特性が劣化する
という問題が発生する。また、上記のような反応による
超電導特性の劣化以外にも、線材の強度が大きく増す
と、加工の際に線材が断線しやすくなり、数100m級
の長尺線材を得ることが非常に困難になることを発明者
らは実験により確認している。金属被覆材の肉厚を増加
させる方法では、超電導線材本来の特性である臨界電流
密度Jcの低下を招き、実用製品の小型化の妨げになっ
てしまう問題がある。さらに、酸化物超電導体を熱処理
する際のガスの発生は必然的であり、これを抑制するこ
とは非常に困難であると思われる。
【0011】以上のことから、発明者らは、線材を多芯
化して内部のフィラメントに撚線加工を施すことが好ま
しいと考えた。この技術では、撚りピッチを短くするほ
ど電力損失の減少に結びつくために、ピッチは可能な限
り短くすることが望ましい。ところが、撚りピッチを短
くしすぎると、撚線加工中のフィラメントが断線し、線
材性能が劣化する問題がある。反対に、撚りピッチを長
くしすぎると、電力損失の減少が小さくなり、撚りを施
す効果が低下する。このため、内部のフィラメントは、
適切なピッチで撚りを施すことが重要である。本発明
は、以上述べたような事情に鑑みてなされたものであ
り、これまでに用いていた酸化物超電導線材の製造方法
の欠点を解消することにより、線材の膨れや金属被覆材
の欠陥の発生を防止し、超電導特性の劣化を抑制するこ
とを可能にした酸化物電導線材の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
化して内部のフィラメントに撚線加工を施すことが好ま
しいと考えた。この技術では、撚りピッチを短くするほ
ど電力損失の減少に結びつくために、ピッチは可能な限
り短くすることが望ましい。ところが、撚りピッチを短
くしすぎると、撚線加工中のフィラメントが断線し、線
材性能が劣化する問題がある。反対に、撚りピッチを長
くしすぎると、電力損失の減少が小さくなり、撚りを施
す効果が低下する。このため、内部のフィラメントは、
適切なピッチで撚りを施すことが重要である。本発明
は、以上述べたような事情に鑑みてなされたものであ
り、これまでに用いていた酸化物超電導線材の製造方法
の欠点を解消することにより、線材の膨れや金属被覆材
の欠陥の発生を防止し、超電導特性の劣化を抑制するこ
とを可能にした酸化物電導線材の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らはこれまで、酸
化物超電導体の電力機器への応用を目指して、主として
線材の通電性能の向上に注力してきた。その結果、例え
ば、ビスマス(Bi)−2212系の単芯及び18〜5
5芯線材によって、20Tを超えるような強磁場下にお
いても1,000A/mm2以上の実用的な臨界電流密
度Jcを有する線材を提供できる技術を開発してきた。
しかし、上述のように線材の長さ方向における均質性が
現状ではまだ不十分であるため、数10m級の長さの線
材では、局所的に膨れが生じたり、線材内部の酸化物コ
アが被覆材の欠陥部から融出し、臨界電流密度Jcが大
きく低下していた。そこで発明者らは、鋭意研究を重
ね、高性能の多芯テープ状酸化物超電導撚線の本来の通
電特性を損なうことのない長尺線材の製造方法を見出
し、本発明を完成するに至った。
化物超電導体の電力機器への応用を目指して、主として
線材の通電性能の向上に注力してきた。その結果、例え
ば、ビスマス(Bi)−2212系の単芯及び18〜5
5芯線材によって、20Tを超えるような強磁場下にお
いても1,000A/mm2以上の実用的な臨界電流密
度Jcを有する線材を提供できる技術を開発してきた。
しかし、上述のように線材の長さ方向における均質性が
現状ではまだ不十分であるため、数10m級の長さの線
材では、局所的に膨れが生じたり、線材内部の酸化物コ
アが被覆材の欠陥部から融出し、臨界電流密度Jcが大
きく低下していた。そこで発明者らは、鋭意研究を重
ね、高性能の多芯テープ状酸化物超電導撚線の本来の通
電特性を損なうことのない長尺線材の製造方法を見出
し、本発明を完成するに至った。
【0013】発明者らは、線材中のフィラメントの断面
構成についても検討を行い、多芯テープ状酸化物超電導
撚線の中心に配置されるフィラメントに銀あるいは銀を
主成分とする銀合金からなる組成の第3の金属パイプを
挿入することを考えた。これは、中心に配置されるフィ
ラメントは、被覆材の表面部に位置するフィラメントに
比べて圧延加工後の緻密性は低いため、それの有無によ
って臨界電流Icが大きく変化することはないからであ
る。実際に、多芯テープ状酸化物超電導撚線の中心に配
置されるフィラメントが酸化物であれ、金属パイプある
いは金属線であれ、臨界電流密度Jcの向上はほとんど
観察されなかった。さらに、第3の金属パイプを挿入す
ることにより、機械強度の向上を可能にし、かつ断面形
状の均質化も達成できることも実験的に確認した。ま
た、撚線導体を製造する際には、中心部に配置されるフ
ィラメントは撚りを施しても実質的には撚られておら
ず、交流損失の低減には実質的に関与していないことか
らも酸化物超電導体である必要性はない。
構成についても検討を行い、多芯テープ状酸化物超電導
撚線の中心に配置されるフィラメントに銀あるいは銀を
主成分とする銀合金からなる組成の第3の金属パイプを
挿入することを考えた。これは、中心に配置されるフィ
ラメントは、被覆材の表面部に位置するフィラメントに
比べて圧延加工後の緻密性は低いため、それの有無によ
って臨界電流Icが大きく変化することはないからであ
る。実際に、多芯テープ状酸化物超電導撚線の中心に配
置されるフィラメントが酸化物であれ、金属パイプある
いは金属線であれ、臨界電流密度Jcの向上はほとんど
観察されなかった。さらに、第3の金属パイプを挿入す
ることにより、機械強度の向上を可能にし、かつ断面形
状の均質化も達成できることも実験的に確認した。ま
た、撚線導体を製造する際には、中心部に配置されるフ
ィラメントは撚りを施しても実質的には撚られておら
ず、交流損失の低減には実質的に関与していないことか
らも酸化物超電導体である必要性はない。
【0014】本発明による多芯テープ状酸化物超電導撚
線の製造方法は、酸化物超電導粉末又はその原料粉末を
第1の金属パイプに充填した後、第1の金属パイプを伸
線加工して単芯線材を製造する単芯線材製造工程と、単
芯線材を複数本束ねて第2の金属パイプに充填した後、
第2の金属パイプを伸線加工して多芯線材を製造する多
芯線材製造工程と、多芯線材に含包された単芯線材が線
材の長さ方向に一回転する撚りピッチをL、多芯線材の
直径を2Rとしたとき、2R≦L≦100Rの範囲で多
芯撚線とする撚線製造工程と、多芯撚線をテープ状に圧
延加工する工程と、酸化物超電導粉末又はその原料粉末
の分解温度以上の温度で熱処理する第1熱処理工程と、
第1熱処理工程を行った多芯撚線を酸化物超電導粉末又
はその原料粉末の分解温度以下の温度で熱処理する第2
熱処理工程とを含むことを特徴とする。
線の製造方法は、酸化物超電導粉末又はその原料粉末を
第1の金属パイプに充填した後、第1の金属パイプを伸
線加工して単芯線材を製造する単芯線材製造工程と、単
芯線材を複数本束ねて第2の金属パイプに充填した後、
第2の金属パイプを伸線加工して多芯線材を製造する多
芯線材製造工程と、多芯線材に含包された単芯線材が線
材の長さ方向に一回転する撚りピッチをL、多芯線材の
直径を2Rとしたとき、2R≦L≦100Rの範囲で多
芯撚線とする撚線製造工程と、多芯撚線をテープ状に圧
延加工する工程と、酸化物超電導粉末又はその原料粉末
の分解温度以上の温度で熱処理する第1熱処理工程と、
第1熱処理工程を行った多芯撚線を酸化物超電導粉末又
はその原料粉末の分解温度以下の温度で熱処理する第2
熱処理工程とを含むことを特徴とする。
【0015】本発明の方法によると、第1及び第2熱処
理工程前後のテープ厚みの変化が線材全長にわたって1
0%以下であり、かつ第1及び第2熱処理工程前後の酸
化物超電導撚線の重量変化が5%以下にすることができ
る。これによって、線材長さが数100m級になっても
線材が本来持ち合わせる臨界電流密度Jcを得ることが
可能となった。なお、本発明は、撚線導体にする際の撚
りの方向について、限定するものではない。即ち、本発
明は、S撚りあるいはZ撚りのどちらに対しても同様の
効果を得ることができる。
理工程前後のテープ厚みの変化が線材全長にわたって1
0%以下であり、かつ第1及び第2熱処理工程前後の酸
化物超電導撚線の重量変化が5%以下にすることができ
る。これによって、線材長さが数100m級になっても
線材が本来持ち合わせる臨界電流密度Jcを得ることが
可能となった。なお、本発明は、撚線導体にする際の撚
りの方向について、限定するものではない。即ち、本発
明は、S撚りあるいはZ撚りのどちらに対しても同様の
効果を得ることができる。
【0016】第1熱処理工程は0.4atm以上の酸素
分圧下で行い、第2熱処理工程は0.4atm以下の酸
素分圧下で行う。特に、第1熱処理を酸化物超電導体の
分解温度の直上の温度において0.6atm以上の酸素
分圧下で行い、それに続いて、第2熱処理を酸化物超電
導体の分解温度の直下の温度において0.2atm以下
の酸素分圧下で行うことが好ましい。この2段階の熱処
理工程により、酸化物超電導線材の性能を、従来のこの
種の酸化物超電導線材の性能に比べて大幅に向上させる
ことが可能になる。
分圧下で行い、第2熱処理工程は0.4atm以下の酸
素分圧下で行う。特に、第1熱処理を酸化物超電導体の
分解温度の直上の温度において0.6atm以上の酸素
分圧下で行い、それに続いて、第2熱処理を酸化物超電
導体の分解温度の直下の温度において0.2atm以下
の酸素分圧下で行うことが好ましい。この2段階の熱処
理工程により、酸化物超電導線材の性能を、従来のこの
種の酸化物超電導線材の性能に比べて大幅に向上させる
ことが可能になる。
【0017】多芯線材製造工程では、第2の金属パイプ
の中心部に粉末を含んでいない第3の金属パイプ又は金
属線を充填することができる。第2の金属パイプの機械
強度は、第1の金属パイプの機械強度より大きいことが
望ましく、第1の金属パイプの中心部に第3の金属パイ
プを充填する場合には、第1、第2、第3の金属パイプ
の機械強度が、第1≦第3<第2の順であることが好ま
しい。第1及び第3の金属パイプは、銀あるいは銀を主
成分とする銀合金からなる組成のものにすることができ
る。
の中心部に粉末を含んでいない第3の金属パイプ又は金
属線を充填することができる。第2の金属パイプの機械
強度は、第1の金属パイプの機械強度より大きいことが
望ましく、第1の金属パイプの中心部に第3の金属パイ
プを充填する場合には、第1、第2、第3の金属パイプ
の機械強度が、第1≦第3<第2の順であることが好ま
しい。第1及び第3の金属パイプは、銀あるいは銀を主
成分とする銀合金からなる組成のものにすることができ
る。
【0018】酸化物超電導体はビスマス系酸化物超電導
体とすることができ、特にBi2Sr2Ca1Cu2Ox組
成の超電導相を主成分とした超電導体とするのが望まし
く、第1熱処理工程は第2熱処理工程より高い酸素分圧
下で行うのが好ましい。このとき、第2熱処理工程後の
多芯テープ状酸化物超電導撚線の臨界電流を、第1熱処
理工程後の多芯テープ状酸化物超電導撚線の臨界電流に
比べて少なくとも1.5倍以上とすることができる。な
お、本発明は、ビスマス系酸化物超電導体以外の酸化物
超電導体に広く適用可能であり、例えばタリウム(T
l)系超電導体、水銀(Hg)系超電導体などにも適用
できる。
体とすることができ、特にBi2Sr2Ca1Cu2Ox組
成の超電導相を主成分とした超電導体とするのが望まし
く、第1熱処理工程は第2熱処理工程より高い酸素分圧
下で行うのが好ましい。このとき、第2熱処理工程後の
多芯テープ状酸化物超電導撚線の臨界電流を、第1熱処
理工程後の多芯テープ状酸化物超電導撚線の臨界電流に
比べて少なくとも1.5倍以上とすることができる。な
お、本発明は、ビスマス系酸化物超電導体以外の酸化物
超電導体に広く適用可能であり、例えばタリウム(T
l)系超電導体、水銀(Hg)系超電導体などにも適用
できる。
【0019】第1の金属パイプに充填される酸化物超電
導粉末又はその原料粉末は平均粒径が3μm以下になる
まで粉砕したものであるのが好ましい。多芯テープ状酸
化物超電導撚線は、断面積が1.0mm2乃至2.5m
m2であることが好ましい。酸化物超電導撚線を使用す
ることにより、先にも述べたような超電導体に交流を流
した場合に生ずる電力損失、いわゆる交流損失の低減も
達成できるという効果もある。また、「第57回199
7年秋季低温工学・超電導学会講演概要集」80頁に紹
介されているように、撚線導体にすることにより、撚り
を加えない線材に比して耐歪特性が向上するという効果
もある。これは、内部のフィラメントが曲げられても個
々のコアの歪が長さ方向に沿って圧縮側と引張り側で周
期的に変化するので、最大引張力が長さ方向で分散、平
均化され、これが幾何学的配置の安定化に寄与するため
と考えられている。
導粉末又はその原料粉末は平均粒径が3μm以下になる
まで粉砕したものであるのが好ましい。多芯テープ状酸
化物超電導撚線は、断面積が1.0mm2乃至2.5m
m2であることが好ましい。酸化物超電導撚線を使用す
ることにより、先にも述べたような超電導体に交流を流
した場合に生ずる電力損失、いわゆる交流損失の低減も
達成できるという効果もある。また、「第57回199
7年秋季低温工学・超電導学会講演概要集」80頁に紹
介されているように、撚線導体にすることにより、撚り
を加えない線材に比して耐歪特性が向上するという効果
もある。これは、内部のフィラメントが曲げられても個
々のコアの歪が長さ方向に沿って圧縮側と引張り側で周
期的に変化するので、最大引張力が長さ方向で分散、平
均化され、これが幾何学的配置の安定化に寄与するため
と考えられている。
【0020】上記のような製造プロセスを経た場合、数
100m級の線材においても、従来発生していた線材の
膨れや酸化物コア部の融出の問題が解消され、従来のこ
の種の酸化物超電導線材に比べて、零磁場及び磁場中で
の臨界電流密度Jcの劣化率が小さくなり、特に高い磁
場中において、高い臨界電流密度Jcを達成できるもの
になる。
100m級の線材においても、従来発生していた線材の
膨れや酸化物コア部の融出の問題が解消され、従来のこ
の種の酸化物超電導線材に比べて、零磁場及び磁場中で
の臨界電流密度Jcの劣化率が小さくなり、特に高い磁
場中において、高い臨界電流密度Jcを達成できるもの
になる。
【0021】本発明によって製造された多芯テープ状酸
化物超電導撚線は広く超電導機器に適用することが可能
であって、例えば、超電導送電ケーブル、ブスバー、長
尺導体、永久電流スイッチ素子、大型マグネット、核磁
気共鳴分析装置、医療用磁気共鳴診断装置、超電導電力
貯蔵装置、磁気分離装置、磁場中単結晶引き上げ装置、
冷凍機冷却超電導マグネット装置、超電導エネルギー貯
蔵、超電導発電機、核融合炉用マグネット、加速器、電
流リード、限流器等の機器に利用することにより、高効
率化を達成できる。
化物超電導撚線は広く超電導機器に適用することが可能
であって、例えば、超電導送電ケーブル、ブスバー、長
尺導体、永久電流スイッチ素子、大型マグネット、核磁
気共鳴分析装置、医療用磁気共鳴診断装置、超電導電力
貯蔵装置、磁気分離装置、磁場中単結晶引き上げ装置、
冷凍機冷却超電導マグネット装置、超電導エネルギー貯
蔵、超電導発電機、核融合炉用マグネット、加速器、電
流リード、限流器等の機器に利用することにより、高効
率化を達成できる。
【0022】また、本発明の超電導体の冷却には、液体
ヘリウム以外にも液体窒素や冷凍機を用いることが可能
となるため、装置の運転コストの低減、クエンチ(超電
導状態から常電導状態への転移が急激に起こり破壊する
減少)防止のための措置の簡略化等が達成でき、コスト
を大幅に低減することが可能となる。また、同時に、超
電導特性の信頼性を高めることができる。
ヘリウム以外にも液体窒素や冷凍機を用いることが可能
となるため、装置の運転コストの低減、クエンチ(超電
導状態から常電導状態への転移が急激に起こり破壊する
減少)防止のための措置の簡略化等が達成でき、コスト
を大幅に低減することが可能となる。また、同時に、超
電導特性の信頼性を高めることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して具体的に説明する。図1は、本発明に係わる
酸化物超電導線材の一実施例の構成を示す斜視図であ
る。図1において、1は金属被覆単芯線材、2は第1の
金属被覆材、3は第2の金属被覆材、4は金属被覆多芯
線材、5は金属被覆多芯線材の中心フィラメントであ
る。金属被覆多芯線材4は、円形断面を有しており、内
部の金属被覆単芯線材1には、線材全長にわたって均等
に長さLのピッチで撚線加工が施されている。撚線加工
を行う際のピッチLは、撚線加工を行う直前の線材の直
径を2Rとしたときに、2R乃至100Rの範囲内にし
ている。なお、このときのピッチLは、線材が長さ方向
に一回転する距離である。
を参照して具体的に説明する。図1は、本発明に係わる
酸化物超電導線材の一実施例の構成を示す斜視図であ
る。図1において、1は金属被覆単芯線材、2は第1の
金属被覆材、3は第2の金属被覆材、4は金属被覆多芯
線材、5は金属被覆多芯線材の中心フィラメントであ
る。金属被覆多芯線材4は、円形断面を有しており、内
部の金属被覆単芯線材1には、線材全長にわたって均等
に長さLのピッチで撚線加工が施されている。撚線加工
を行う際のピッチLは、撚線加工を行う直前の線材の直
径を2Rとしたときに、2R乃至100Rの範囲内にし
ている。なお、このときのピッチLは、線材が長さ方向
に一回転する距離である。
【0024】しかし、実際には、金属被覆多芯線材の中
心フィラメント5は撚りを加えても、その位置を保った
まま回転するだけで実際には撚りがかかっていない。こ
のため、酸化物超電導単芯線材の中心フィラメント5は
酸化物超電導体を含むものである場合に限定されず、場
合によっては、銀や熱処理に際して腐食等を生じない銀
合金にしてもよい。例えば、金(Au)、アンチモン
(Sb)、白金(Pt)、マグネシウム(Mg)、チタ
ン(Ti)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅
(Cu)、アルミニウム(Al)等の合金パイプあるい
は線を用いることができる。図2は、図1に示す断面構
造を有する金属被覆多芯線材4を圧延加工して偏平状の
構造にした後、熱処理を施して超電導特性を付与したテ
ープ状線材の斜視図であり、6は酸化物超電導単芯テー
プ線材、7は多芯テープ状酸化物超電導撚線である。
心フィラメント5は撚りを加えても、その位置を保った
まま回転するだけで実際には撚りがかかっていない。こ
のため、酸化物超電導単芯線材の中心フィラメント5は
酸化物超電導体を含むものである場合に限定されず、場
合によっては、銀や熱処理に際して腐食等を生じない銀
合金にしてもよい。例えば、金(Au)、アンチモン
(Sb)、白金(Pt)、マグネシウム(Mg)、チタ
ン(Ti)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅
(Cu)、アルミニウム(Al)等の合金パイプあるい
は線を用いることができる。図2は、図1に示す断面構
造を有する金属被覆多芯線材4を圧延加工して偏平状の
構造にした後、熱処理を施して超電導特性を付与したテ
ープ状線材の斜視図であり、6は酸化物超電導単芯テー
プ線材、7は多芯テープ状酸化物超電導撚線である。
【0025】図2において、多芯テープ状酸化物超電導
撚線7は、横長の偏平な断面形状を有する線状態を構成
しているもので、その内部に同じく横長の偏平な断面形
状を有する19本の酸化物超電導単芯テープ線材6が偏
平方向を一致させた状態で配置されている。また、内部
の19本の酸化物超電導単芯テープ線材6は、撚りがか
かったものである。この場合、19本の酸化物超電導単
芯テープ線材6は、酸化物超電導多芯テープ線7の断面
の横長方向の中央部分に縦方向に並んで5本が、その両
端部分に同じく縦方向に並んで3本が、中央部分と両端
部分との間の中間部分に同じく縦方向に並んでそれぞれ
4本配置されている。図2の酸化物超電導多芯テープ状
線材7の製造方法を、図9のフローチャートを用いて説
明する。
撚線7は、横長の偏平な断面形状を有する線状態を構成
しているもので、その内部に同じく横長の偏平な断面形
状を有する19本の酸化物超電導単芯テープ線材6が偏
平方向を一致させた状態で配置されている。また、内部
の19本の酸化物超電導単芯テープ線材6は、撚りがか
かったものである。この場合、19本の酸化物超電導単
芯テープ線材6は、酸化物超電導多芯テープ線7の断面
の横長方向の中央部分に縦方向に並んで5本が、その両
端部分に同じく縦方向に並んで3本が、中央部分と両端
部分との間の中間部分に同じく縦方向に並んでそれぞれ
4本配置されている。図2の酸化物超電導多芯テープ状
線材7の製造方法を、図9のフローチャートを用いて説
明する。
【0026】(1)まず、金属被覆単芯線材1を作る。
金属被覆単芯線材1の製造に当たっては、例えばBi2
Sr2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸化物超電導粉末
を、断面が円形状の管である金属被覆材2に充填する。
金属被覆材2には銀などを用いる。 (2)酸化物超電導粉末が充填された金属被覆線材2を
ドローベンチなどを用いて伸線加工する。これにより、
酸化物超電導粉末が充填された金属被覆線材2は縮径さ
れて、金属被覆単芯線材1ができる。
金属被覆単芯線材1の製造に当たっては、例えばBi2
Sr2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸化物超電導粉末
を、断面が円形状の管である金属被覆材2に充填する。
金属被覆材2には銀などを用いる。 (2)酸化物超電導粉末が充填された金属被覆線材2を
ドローベンチなどを用いて伸線加工する。これにより、
酸化物超電導粉末が充填された金属被覆線材2は縮径さ
れて、金属被覆単芯線材1ができる。
【0027】(3)次に、金属被覆多芯線材4を作る。
金属被覆多芯線材4の製造に当たっては、例えば19本
の縮径された金属被覆単芯線材1を、断面が円形状の管
である金属被覆材3に充填する。19本の金属被覆単芯
線材1は、図1に示すように、中心が1本、その回りに
6本、6本の回りに更に11本となるような分布に充填
するのがよい。金属被覆材3には銀などを用いる。 (4)19本の金属被覆単芯線材1が充填された金属被
覆材3を伸線加工する。これにより、金属被覆材3は縮
径されて、金属被覆多芯線材4ができる。 (5)金属被覆多芯線材4を撚線加工する。この時、金
属被覆多芯線材4の外形2Rに対して、撚り線ピッチが
2R以上100R以下となるように撚線加工する。
金属被覆多芯線材4の製造に当たっては、例えば19本
の縮径された金属被覆単芯線材1を、断面が円形状の管
である金属被覆材3に充填する。19本の金属被覆単芯
線材1は、図1に示すように、中心が1本、その回りに
6本、6本の回りに更に11本となるような分布に充填
するのがよい。金属被覆材3には銀などを用いる。 (4)19本の金属被覆単芯線材1が充填された金属被
覆材3を伸線加工する。これにより、金属被覆材3は縮
径されて、金属被覆多芯線材4ができる。 (5)金属被覆多芯線材4を撚線加工する。この時、金
属被覆多芯線材4の外形2Rに対して、撚り線ピッチが
2R以上100R以下となるように撚線加工する。
【0028】(6)撚り線された金属被覆多芯線材4
を、断面の形状が扁平になるように圧延加工する。これ
で、テープ状の金属被覆多芯線材4ができる。 (7)テープ状の金属被覆多芯線材4に第1熱処理を行
う。第1熱処理は、酸化物超電導体の分解温度以上で、
その分解温度に近い温度下において行う。これにより、
酸化物超電導体が部分溶融する。 (8)次に、第2滅処理を行う。第2熱処理は、酸化物
超電導体の分解温度以下で、その分解温度に近い温度下
において行う。これにより、テープ状の金属被覆多芯線
材4は超電導特性を持つようになり、多芯テープ状酸化
物超電導撚線ができる。
を、断面の形状が扁平になるように圧延加工する。これ
で、テープ状の金属被覆多芯線材4ができる。 (7)テープ状の金属被覆多芯線材4に第1熱処理を行
う。第1熱処理は、酸化物超電導体の分解温度以上で、
その分解温度に近い温度下において行う。これにより、
酸化物超電導体が部分溶融する。 (8)次に、第2滅処理を行う。第2熱処理は、酸化物
超電導体の分解温度以下で、その分解温度に近い温度下
において行う。これにより、テープ状の金属被覆多芯線
材4は超電導特性を持つようになり、多芯テープ状酸化
物超電導撚線ができる。
【0029】上述した工程によって、2回の熱処理の際
にも金属被覆多芯線材4が膨れたり、酸化物超電導体が
金属被覆材3から融出したりせずに、酸化物超電導多芯
テープ状線材7を製造することができた。次に、上述し
た製造方法の具体例について説明する。超電導粉末は、
以下のようにして作ったものを用いる。まず、純度が9
9%以上の酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシ
ウム(CaO)及び酸化銅(CuO)の各酸化物を出発
原料とし、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(C
a)、銅(Cu)の原子モル比がそれぞれ2.0:1.
0:2.0の組成となるように秤量し、それらの混合体
を作製した。次に、この混合体を遠心ボールミルに入
れ、20分間にわたって混合した後、大気中において、
900℃で、20時間にわたる熱処理を行う。次いで、
熱処理した混合体を室温まで冷却した後、再度、遠心ボ
ールミルに入れ、20分間にわたって粉砕、混合し、粉
末状態にする。
にも金属被覆多芯線材4が膨れたり、酸化物超電導体が
金属被覆材3から融出したりせずに、酸化物超電導多芯
テープ状線材7を製造することができた。次に、上述し
た製造方法の具体例について説明する。超電導粉末は、
以下のようにして作ったものを用いる。まず、純度が9
9%以上の酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシ
ウム(CaO)及び酸化銅(CuO)の各酸化物を出発
原料とし、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(C
a)、銅(Cu)の原子モル比がそれぞれ2.0:1.
0:2.0の組成となるように秤量し、それらの混合体
を作製した。次に、この混合体を遠心ボールミルに入
れ、20分間にわたって混合した後、大気中において、
900℃で、20時間にわたる熱処理を行う。次いで、
熱処理した混合体を室温まで冷却した後、再度、遠心ボ
ールミルに入れ、20分間にわたって粉砕、混合し、粉
末状態にする。
【0030】得られた粉末にビスマス(Bi)、ストロ
ンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、銅(Cu)の
原子モル比がそれぞれ2.0:2.0:1.0:2.0
の組成となるように酸化ビスマス(Bi2O3)を秤量し
て加え、混合体を遠心ボールミルに入れ、20分間にわ
たって混合する。そして、得られた粉末を、大気中にお
いて、800乃至850℃の温度で、10時間にわたっ
て熱処理を行い、超電導粉末を作製する。この超電導粉
末は、粉末X線回折の結果及び走査電子顕微鏡(SE
M)の観察結果によれば、超電導相以外に酸化ストロン
チウム(SrO)、酸化銅(CuO)のほか、同定でき
ない未反応の非超電導相も若干認められるものである。
ンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、銅(Cu)の
原子モル比がそれぞれ2.0:2.0:1.0:2.0
の組成となるように酸化ビスマス(Bi2O3)を秤量し
て加え、混合体を遠心ボールミルに入れ、20分間にわ
たって混合する。そして、得られた粉末を、大気中にお
いて、800乃至850℃の温度で、10時間にわたっ
て熱処理を行い、超電導粉末を作製する。この超電導粉
末は、粉末X線回折の結果及び走査電子顕微鏡(SE
M)の観察結果によれば、超電導相以外に酸化ストロン
チウム(SrO)、酸化銅(CuO)のほか、同定でき
ない未反応の非超電導相も若干認められるものである。
【0031】次に、この超電導粉末を遠心ボールミルに
入れ、平均粒径が3μm以下になるように粉砕及び混合
し、超電導微粉末を作製する。次いで、得られた超電導
微粉末を外径21.0mm、内径17.5mmの円形の
断面形状を有する純銀パイプに充填する。続いて、この
純銀パイプを、ドローベンチを用いて、断面減少率11
乃至13%の伸線加工を施し、外径3.40mmになる
まで縮径する。次に、縮径した純銀パイプを長さ方向に
19等分になるように切断する。次いで、切断した19
本の純銀パイプを、外径21.0mm、内径18.2m
mの円形断面を有する別の純銀パイプに組み込む。この
ときの組み込み本数は、用途に応じて増減する必要があ
る。続いて、この別の純銀パイプを、ドローベンチを用
いて、断面減少率11乃至13%の伸線加工を施し、外
径1.52mmになるまで縮径する。ここで、線材の外
径を2Rとしたときに撚りピッチが2R乃至100Rと
なるように、即ち3.04mm乃至152.0mmの範
囲内のピッチで撚線加工を施した。
入れ、平均粒径が3μm以下になるように粉砕及び混合
し、超電導微粉末を作製する。次いで、得られた超電導
微粉末を外径21.0mm、内径17.5mmの円形の
断面形状を有する純銀パイプに充填する。続いて、この
純銀パイプを、ドローベンチを用いて、断面減少率11
乃至13%の伸線加工を施し、外径3.40mmになる
まで縮径する。次に、縮径した純銀パイプを長さ方向に
19等分になるように切断する。次いで、切断した19
本の純銀パイプを、外径21.0mm、内径18.2m
mの円形断面を有する別の純銀パイプに組み込む。この
ときの組み込み本数は、用途に応じて増減する必要があ
る。続いて、この別の純銀パイプを、ドローベンチを用
いて、断面減少率11乃至13%の伸線加工を施し、外
径1.52mmになるまで縮径する。ここで、線材の外
径を2Rとしたときに撚りピッチが2R乃至100Rと
なるように、即ち3.04mm乃至152.0mmの範
囲内のピッチで撚線加工を施した。
【0032】次に、縮径した別の純銀パイプに圧延加工
を施すことによって、厚さが0.25乃至0.40mm
の範囲内、幅が4.7〜5.0mmの範囲内、長さが4
00乃至600mの範囲内の偏平な断面形状を持つ銀被
覆ビスマス(Bi)−2212/多芯テープ線材を構成
する。
を施すことによって、厚さが0.25乃至0.40mm
の範囲内、幅が4.7〜5.0mmの範囲内、長さが4
00乃至600mの範囲内の偏平な断面形状を持つ銀被
覆ビスマス(Bi)−2212/多芯テープ線材を構成
する。
【0033】この偏平断面を有する線材は、始めに、第
1熱処理工程として、純酸素(酸素分圧が1atm)中
において、金属被覆単芯線材1のコア部、即ち、Bi2
Sr2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸化物超電導体の分解
温度より僅かに高い温度である875乃至885℃の範
囲内の温度で、10乃至30分の範囲内にわたる熱処理
を行い、酸化物超電導体を部分溶融させ、その後、室温
まで冷却する。次に、第2熱処理工程として、1乃至2
0%(酸素分圧が0.01乃至0.2atm)の酸素濃
度雰囲気中において、酸化物超電導体の分解温度より僅
かに低い温度である800乃至840℃の範囲内の温度
で、10乃至20時間の範囲内におけるアニール処理を
行い、このアニール処理を行った後で、室温まで冷却す
ることにより、超電導体としている。
1熱処理工程として、純酸素(酸素分圧が1atm)中
において、金属被覆単芯線材1のコア部、即ち、Bi2
Sr2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸化物超電導体の分解
温度より僅かに高い温度である875乃至885℃の範
囲内の温度で、10乃至30分の範囲内にわたる熱処理
を行い、酸化物超電導体を部分溶融させ、その後、室温
まで冷却する。次に、第2熱処理工程として、1乃至2
0%(酸素分圧が0.01乃至0.2atm)の酸素濃
度雰囲気中において、酸化物超電導体の分解温度より僅
かに低い温度である800乃至840℃の範囲内の温度
で、10乃至20時間の範囲内におけるアニール処理を
行い、このアニール処理を行った後で、室温まで冷却す
ることにより、超電導体としている。
【0034】前記製造方法の実施例において、Bi2S
r2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸化物超電導体の原料
粉末には、ビスマス化合物、ストロンチウム化合物、カ
ルシウム化合物及び銅化合物が用いられる。また、必要
に応じて、鉛化合物やバリウム化合物が用いられる。各
原料粉末は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ほう
酸塩、酢酸塩等の形のものが用いられる。
r2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸化物超電導体の原料
粉末には、ビスマス化合物、ストロンチウム化合物、カ
ルシウム化合物及び銅化合物が用いられる。また、必要
に応じて、鉛化合物やバリウム化合物が用いられる。各
原料粉末は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ほう
酸塩、酢酸塩等の形のものが用いられる。
【0035】また、前記製造方法の実施例において、酸
化物超電導粉末を合成したり、中間焼成を行ったりする
際の熱処理温度は、700乃至900℃の範囲内の温度
が利用される。また、必要に応じて、Bi2Sr2Ca1
Cu2Oxからなる組成に第3元素を添加、あるいは置換
し、得られた酸化物超電導体を部分溶融温度以上に加熱
した後、これを冷却する過程において、超電導相の結晶
粒内に非超電導相を分散させ、ピンニング力を高める方
法を用いてもよい。
化物超電導粉末を合成したり、中間焼成を行ったりする
際の熱処理温度は、700乃至900℃の範囲内の温度
が利用される。また、必要に応じて、Bi2Sr2Ca1
Cu2Oxからなる組成に第3元素を添加、あるいは置換
し、得られた酸化物超電導体を部分溶融温度以上に加熱
した後、これを冷却する過程において、超電導相の結晶
粒内に非超電導相を分散させ、ピンニング力を高める方
法を用いてもよい。
【0036】さらに、前記製造方法の実施例において
は、多芯テープ状酸化物超電導撚線7を形成するため
に、パウダー・イン・チューブ法を利用しているが、本
発明の酸化物超電導線材の製造方法における多芯テープ
状酸化物超電導撚線7の形成方法は、パウダー・イン・
チューブ法に限定されるものではなく、他の方法、例え
ば、ロッド・イン・チューブ法、ドクターブレード法、
ディップコート法、スプレーパイロリシス法あるいはジ
ェリーロール法等を用いてもよい。
は、多芯テープ状酸化物超電導撚線7を形成するため
に、パウダー・イン・チューブ法を利用しているが、本
発明の酸化物超電導線材の製造方法における多芯テープ
状酸化物超電導撚線7の形成方法は、パウダー・イン・
チューブ法に限定されるものではなく、他の方法、例え
ば、ロッド・イン・チューブ法、ドクターブレード法、
ディップコート法、スプレーパイロリシス法あるいはジ
ェリーロール法等を用いてもよい。
【0037】また、前記製造方法の実施例における金属
被覆単芯線材1及び金属被覆多芯線材4における伸線加
工を施す工程においては、金属被覆単芯線材1及び金属
被覆多芯線材4の断面形状を所望のものにすると同時
に、金属被覆単芯線材1のコア部に充填されたBi2S
r2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸化物超電導体を高密
度化する働きも兼ね備える。
被覆単芯線材1及び金属被覆多芯線材4における伸線加
工を施す工程においては、金属被覆単芯線材1及び金属
被覆多芯線材4の断面形状を所望のものにすると同時
に、金属被覆単芯線材1のコア部に充填されたBi2S
r2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸化物超電導体を高密
度化する働きも兼ね備える。
【0038】さらに、前記製造方法の実施例における金
属被覆単芯線材1及び金属被覆多芯線材4における圧延
加工においては、金属被覆単芯線材1及び金属被覆多芯
線材4の断面形状を所望のものにすると同時に、金属被
覆単芯線材1のコア部に充填された酸化物超電導体を一
層高密度化する働きがある。なお、この圧延加工時に、
線材の長手方向への伸びを最小限に抑え、幅方向への伸
びを促進させることにより、金属被覆単芯線材1のコア
部に充填された酸化物超電導体の高密度化をより一層促
進することができる。
属被覆単芯線材1及び金属被覆多芯線材4における圧延
加工においては、金属被覆単芯線材1及び金属被覆多芯
線材4の断面形状を所望のものにすると同時に、金属被
覆単芯線材1のコア部に充填された酸化物超電導体を一
層高密度化する働きがある。なお、この圧延加工時に、
線材の長手方向への伸びを最小限に抑え、幅方向への伸
びを促進させることにより、金属被覆単芯線材1のコア
部に充填された酸化物超電導体の高密度化をより一層促
進することができる。
【0039】図3は、本実施例の製造方法によって製造
された多芯テープ状酸化物超電導撚線における熱処理前
後のテープ厚みの変化を示す特性図であって、比較のた
めに、Bi2Sr2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸化物
超電導体を用い、撚線工程を経ない以外は、本実施例の
製造方法と同一の製造プロセスを用いて製造した酸化物
超電導線材の熱処理前後のテープ厚みの変化をあわせて
示したものである。図3において、縦軸は%で表すテー
プ厚みの変化率であり、横字はmで表す各線材の先端部
からの距離である。テープ厚みの変化率は、次の式から
算出した。 厚み変化率(単位:%)=(熱処理後の線材のテープ厚
み−熱処理前の線材のテープ厚み)×100/熱処理前
の線材のテープ厚み
された多芯テープ状酸化物超電導撚線における熱処理前
後のテープ厚みの変化を示す特性図であって、比較のた
めに、Bi2Sr2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸化物
超電導体を用い、撚線工程を経ない以外は、本実施例の
製造方法と同一の製造プロセスを用いて製造した酸化物
超電導線材の熱処理前後のテープ厚みの変化をあわせて
示したものである。図3において、縦軸は%で表すテー
プ厚みの変化率であり、横字はmで表す各線材の先端部
からの距離である。テープ厚みの変化率は、次の式から
算出した。 厚み変化率(単位:%)=(熱処理後の線材のテープ厚
み−熱処理前の線材のテープ厚み)×100/熱処理前
の線材のテープ厚み
【0040】実線は、本実施例の製造方法によって製造
された多芯テープ状酸化物超電導撚線(以下、これを本
実施例線材という)の特性であり、点線は撚線工程を経
ない以外は本実施例の製造方法と同一の製造プロセスを
用いて製造した酸化物超電導線材(以下、これを比較例
線材という)の特性である。図3に示されるように、本
実施例線材は長さ500mにわたってテープ厚みの変化
が8%以下であったのに対し、比較例線材は熱処理中に
膨れが生じ、テープ厚みの変化が最大で35%となっ
た。この結果から、熱処理前後のテープ厚みの変化は、
比較例線材に比べて本実施例線材の方が明らかに小さい
ことが確認できた。
された多芯テープ状酸化物超電導撚線(以下、これを本
実施例線材という)の特性であり、点線は撚線工程を経
ない以外は本実施例の製造方法と同一の製造プロセスを
用いて製造した酸化物超電導線材(以下、これを比較例
線材という)の特性である。図3に示されるように、本
実施例線材は長さ500mにわたってテープ厚みの変化
が8%以下であったのに対し、比較例線材は熱処理中に
膨れが生じ、テープ厚みの変化が最大で35%となっ
た。この結果から、熱処理前後のテープ厚みの変化は、
比較例線材に比べて本実施例線材の方が明らかに小さい
ことが確認できた。
【0041】表1は、本実施例線材と比較例線材の熱処
理前後の重量の変化率を示すものである。ここでは、両
者とも、10m長さのテープ線材をそれぞれ5本ずつ用
意し、第1熱処理を行う前と第2熱処理を行った後に重
量を測定した。右側の数値は%で表す線材の重量の変化
率であり、次の式から算出した。 重量変化(単位:%)=(熱処理前の線材の重量−熱処
理後の線材の重量)×100/熱処理前の線材の重量
理前後の重量の変化率を示すものである。ここでは、両
者とも、10m長さのテープ線材をそれぞれ5本ずつ用
意し、第1熱処理を行う前と第2熱処理を行った後に重
量を測定した。右側の数値は%で表す線材の重量の変化
率であり、次の式から算出した。 重量変化(単位:%)=(熱処理前の線材の重量−熱処
理後の線材の重量)×100/熱処理前の線材の重量
【0042】
【表1】
【0043】表1に示されているように、本実施例線材
は、その重量変化が全て5%以下であったのに対し、比
較例線材は最大で15%の重量変化が確認された。これ
は、比較例線材においては、撚線加工による高強度化を
行っておらず、伸線及び圧延加工中にシース材の加工欠
陥が生じ、その欠陥箇所からコア部に充填されたBi2
Sr2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸化物超電導体が融
出したためである。このように、本実施例線材は、熱処
理工程における酸化物超電導体の融出による超電導特性
の低下を防止することができる。
は、その重量変化が全て5%以下であったのに対し、比
較例線材は最大で15%の重量変化が確認された。これ
は、比較例線材においては、撚線加工による高強度化を
行っておらず、伸線及び圧延加工中にシース材の加工欠
陥が生じ、その欠陥箇所からコア部に充填されたBi2
Sr2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸化物超電導体が融
出したためである。このように、本実施例線材は、熱処
理工程における酸化物超電導体の融出による超電導特性
の低下を防止することができる。
【0044】図4は、本実施例線材と比較例線材の長さ
方向における臨界電流密度Jcの分布を示す特性図であ
る。縦軸はA/mm2で表す臨界電流密度であり、横軸
はmで表す各線材の先端部からの距離である。実線は本
実施例線材の特性であり、点線は比較例線材の特性であ
る。本実施例線材は、全長にわたってほぼ均質な臨界電
流密度Jcを得た。これに対し、比較例線材の臨界電流
密度Jcは、極めて大きな分布を持つことが分かる。図
3、表1及び図4に示す結果より、本実施例線材は、比
較例線材に比べて、線材の膨れや酸化物コアの融出の発
生を防止しているものである。即ち、本実施例線材は、
線材の長さ方向における臨界電流密度Jcの均質性やそ
の絶対値を、共に向上させることができるものである。
方向における臨界電流密度Jcの分布を示す特性図であ
る。縦軸はA/mm2で表す臨界電流密度であり、横軸
はmで表す各線材の先端部からの距離である。実線は本
実施例線材の特性であり、点線は比較例線材の特性であ
る。本実施例線材は、全長にわたってほぼ均質な臨界電
流密度Jcを得た。これに対し、比較例線材の臨界電流
密度Jcは、極めて大きな分布を持つことが分かる。図
3、表1及び図4に示す結果より、本実施例線材は、比
較例線材に比べて、線材の膨れや酸化物コアの融出の発
生を防止しているものである。即ち、本実施例線材は、
線材の長さ方向における臨界電流密度Jcの均質性やそ
の絶対値を、共に向上させることができるものである。
【0045】また、本実施例線材ならびに比較例線材を
用いて、20Kの温度、外部磁場ゼロの状態で交流損失
を測定した結果、臨界電流Ic以下の領域において、本
実施例線材の交流損失の方が比較例線材の交流損失より
も小さいことを確認した。さらに、上記本実施例におい
ては、金属比較多芯線材4の外径を2Rとしたときに撚
りピッチが2R乃至100Rとなるように、即ち3.0
4mm乃至152.0mmの範囲内のピッチで撚りを加
えたが、この範囲外の撚りピッチの線材も本実施例の製
造方法と同様に製造し、4.2Kの温度、外部磁場ゼロ
の状態で臨界電流密度(Jc)及び交流損失を測定し
た。その結果を、図5に示す。図5の横軸は撚りピッチ
を表し、縦軸は撚りが無いときの臨界電流密度Jc(L
=∞)を1としたときの臨界電流密度Jcを表す。図5
に示されているように、撚りピッチが2R未満の場合に
は、撚りピッチを短縮しすぎて、金属被覆多芯線材4の
内部の金属被覆単芯線材1が断線し、臨界電流密度Jc
が本実施例線材に比べて1/2〜1/3に低下した。こ
れに対し、撚りピッチが100Rより大きい場合の臨界
電流密度Jcは、本実施例線材に比べて約1/3に低下
した。また、撚りピッチが大きくなるに従い、交流損失
が増大し、特に100Rを超えるとその損失も大きくな
ることを確認した。
用いて、20Kの温度、外部磁場ゼロの状態で交流損失
を測定した結果、臨界電流Ic以下の領域において、本
実施例線材の交流損失の方が比較例線材の交流損失より
も小さいことを確認した。さらに、上記本実施例におい
ては、金属比較多芯線材4の外径を2Rとしたときに撚
りピッチが2R乃至100Rとなるように、即ち3.0
4mm乃至152.0mmの範囲内のピッチで撚りを加
えたが、この範囲外の撚りピッチの線材も本実施例の製
造方法と同様に製造し、4.2Kの温度、外部磁場ゼロ
の状態で臨界電流密度(Jc)及び交流損失を測定し
た。その結果を、図5に示す。図5の横軸は撚りピッチ
を表し、縦軸は撚りが無いときの臨界電流密度Jc(L
=∞)を1としたときの臨界電流密度Jcを表す。図5
に示されているように、撚りピッチが2R未満の場合に
は、撚りピッチを短縮しすぎて、金属被覆多芯線材4の
内部の金属被覆単芯線材1が断線し、臨界電流密度Jc
が本実施例線材に比べて1/2〜1/3に低下した。こ
れに対し、撚りピッチが100Rより大きい場合の臨界
電流密度Jcは、本実施例線材に比べて約1/3に低下
した。また、撚りピッチが大きくなるに従い、交流損失
が増大し、特に100Rを超えるとその損失も大きくな
ることを確認した。
【0046】これらのことから、本発明の酸化物超電導
線材の製造方法における金属被覆単芯線材1の撚りピッ
チは、金属被覆多芯線材4の外径を2Rとしたときに2
R乃至100Rの範囲内となるように選ぶことが効果的
であることを確認した。これにより、臨界電流密度Jc
が高く、かつ交流損失の低減を可能にした酸化物超電導
線材が得られるようになる。次いで、図6は、本発明の
酸化物超電導線材の製造方法における第1熱処理工程の
酸素分圧と酸化物超電導線材の臨界電流密度との関係を
示す特性図である。図6において、縦軸はA/mm2で
表す臨界電流密度であり、横軸はatmで表す酸素分圧
である。
線材の製造方法における金属被覆単芯線材1の撚りピッ
チは、金属被覆多芯線材4の外径を2Rとしたときに2
R乃至100Rの範囲内となるように選ぶことが効果的
であることを確認した。これにより、臨界電流密度Jc
が高く、かつ交流損失の低減を可能にした酸化物超電導
線材が得られるようになる。次いで、図6は、本発明の
酸化物超電導線材の製造方法における第1熱処理工程の
酸素分圧と酸化物超電導線材の臨界電流密度との関係を
示す特性図である。図6において、縦軸はA/mm2で
表す臨界電流密度であり、横軸はatmで表す酸素分圧
である。
【0047】ここでは、前記実施例の製造方法と同様の
製造プロセスを経て多芯テープ状酸化物超電導撚線7を
製造する際の第1熱処理工程において、酸素分圧を0乃
至3atmの範囲内の種々の値に選び、選んだそれぞれ
の酸素分圧で第1熱処理を行い、各々超電導線材を製造
した。熱処理温度は、Bi2Sr2Ca1Cu2Oxからな
る組成の酸化物超電導体が、それぞれの酸素分圧下にお
いて分解する温度の直上とした。そして、このとき得ら
れたそれぞれの酸化物超電導線材を長さ40mmに切断
し、温度4.2Kで印加磁場をゼロにして、臨界電流密
度Jcを測定したのが図6に示される特性図である。
製造プロセスを経て多芯テープ状酸化物超電導撚線7を
製造する際の第1熱処理工程において、酸素分圧を0乃
至3atmの範囲内の種々の値に選び、選んだそれぞれ
の酸素分圧で第1熱処理を行い、各々超電導線材を製造
した。熱処理温度は、Bi2Sr2Ca1Cu2Oxからな
る組成の酸化物超電導体が、それぞれの酸素分圧下にお
いて分解する温度の直上とした。そして、このとき得ら
れたそれぞれの酸化物超電導線材を長さ40mmに切断
し、温度4.2Kで印加磁場をゼロにして、臨界電流密
度Jcを測定したのが図6に示される特性図である。
【0048】図6の特性図から明らかなように、第1熱
処理工程時の酸素分圧が0乃至1.0atmの範囲内に
おいては、酸素分圧が高い程、得られた酸化物超電導線
材の印加磁場ゼロ時の臨界電流密度Jcは高くなる傾向
を示すが、酸素分圧0.6atmを超えると、得られた
酸化物超電導線材の印加磁場ゼロ時の臨界電流密度Jc
はそれほど大きくならず、実際の臨界電流密度Jcの最
大値は、酸素分圧が1atmの場合に限られた2400
A/mm2である。これらのことから、本発明の酸化物
超電導線材の製造方法において、第1熱処理時における
酸素分圧を0.4atm以上、好ましくは0.6atm
以上に選ぶことが効果的であって、臨界電流密度Jcの
高い酸化物超電導線材が得られるようになる。
処理工程時の酸素分圧が0乃至1.0atmの範囲内に
おいては、酸素分圧が高い程、得られた酸化物超電導線
材の印加磁場ゼロ時の臨界電流密度Jcは高くなる傾向
を示すが、酸素分圧0.6atmを超えると、得られた
酸化物超電導線材の印加磁場ゼロ時の臨界電流密度Jc
はそれほど大きくならず、実際の臨界電流密度Jcの最
大値は、酸素分圧が1atmの場合に限られた2400
A/mm2である。これらのことから、本発明の酸化物
超電導線材の製造方法において、第1熱処理時における
酸素分圧を0.4atm以上、好ましくは0.6atm
以上に選ぶことが効果的であって、臨界電流密度Jcの
高い酸化物超電導線材が得られるようになる。
【0049】続く、図7は、本発明の酸化物超電導線材
の製造方法における第2熱処理工程の酸素分圧と酸化物
超電導線材の臨界電流密度との関係を示す特性図であ
る。図7において、縦軸はA/mm2で表す臨界電流密
度であり、横軸はatmで表す酸素分圧である。
の製造方法における第2熱処理工程の酸素分圧と酸化物
超電導線材の臨界電流密度との関係を示す特性図であ
る。図7において、縦軸はA/mm2で表す臨界電流密
度であり、横軸はatmで表す酸素分圧である。
【0050】ここでは、前記実施例の製造方法における
第1熱処理工程までを経て製造された臨界電流密度Jc
が2400A/mm2級の線材の第2熱処理として、酸
素分圧を0乃至3atmの範囲内の種々の値に選び、選
んだそれぞれの酸素分圧圧で第2熱処理を行った。熱処
理温度は、Bi2Sr2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸
化物超電導体が、それぞれの酸素分圧下において分解す
る温度の直下とし、時間は20時間とした。そして、こ
のとき得られたそれぞれの酸化物超電導線材を長さ40
mmに切断し、温度4.2Kで印加磁場をゼロにして、
臨界電流密度Jcを測定したのが図7に示される特性図
である。
第1熱処理工程までを経て製造された臨界電流密度Jc
が2400A/mm2級の線材の第2熱処理として、酸
素分圧を0乃至3atmの範囲内の種々の値に選び、選
んだそれぞれの酸素分圧圧で第2熱処理を行った。熱処
理温度は、Bi2Sr2Ca1Cu2Oxからなる組成の酸
化物超電導体が、それぞれの酸素分圧下において分解す
る温度の直下とし、時間は20時間とした。そして、こ
のとき得られたそれぞれの酸化物超電導線材を長さ40
mmに切断し、温度4.2Kで印加磁場をゼロにして、
臨界電流密度Jcを測定したのが図7に示される特性図
である。
【0051】図7の特性図から明らかなように、第2熱
処理工程時の酸素分圧が0乃至0.2atmの範囲内に
おいては、得られた酸化物超電導線材の印加磁場ゼロ時
の臨界電流密度Jcはほぼ飽和した状態を示すが、酸素
分圧が0.2atmを超えると、得られた酸化物超電導
線材の印加磁場ゼロ時の臨界電流密度Jcは酸素分圧の
大きさに従って順次減少し、実際の臨界電流密度Jcの
最大値は、酸素分圧が0.1atmの場合に得られた4
000A/mm2である。これらのことから、本発明の
酸化物超電導線材の製造方法において、第2熱処理時に
おける酸素分圧を0.4atm以下、好ましくは0.2
atm以下に選ぶことが効果的であって、臨界電流密度
Jcの高い酸化物超電導線材が得られるようになる。
処理工程時の酸素分圧が0乃至0.2atmの範囲内に
おいては、得られた酸化物超電導線材の印加磁場ゼロ時
の臨界電流密度Jcはほぼ飽和した状態を示すが、酸素
分圧が0.2atmを超えると、得られた酸化物超電導
線材の印加磁場ゼロ時の臨界電流密度Jcは酸素分圧の
大きさに従って順次減少し、実際の臨界電流密度Jcの
最大値は、酸素分圧が0.1atmの場合に得られた4
000A/mm2である。これらのことから、本発明の
酸化物超電導線材の製造方法において、第2熱処理時に
おける酸素分圧を0.4atm以下、好ましくは0.2
atm以下に選ぶことが効果的であって、臨界電流密度
Jcの高い酸化物超電導線材が得られるようになる。
【0052】続く、表2は、図1に示す金属被覆多芯線
材の中心フィラメント5のコア部を酸化物超電導体とし
た場合、あるいは純銀線、銀−0.5重量%マグネシウ
ム(以下、Ag−0.5wt%Mgのように表記する)
合金線、Ag−0.5wt%Mn線、Ag−0.5wt
%Pd合金線とした場合の、それぞれの多芯テープ状酸
化物超電導撚線7の温度4.2K、印加磁場ゼロの状態
における臨界電流Icと、そのとき(歪を加えない)の
臨界電流Icが80%に低下する曲げ歪率を示すもので
ある。表2において、左欄には図1に示す金属被覆多芯
線材の中心フィラメント5に配置された金属名を示し
た。また、中央の欄の数値Icは温度4.2Kで、印加
磁場ゼロのときの臨界電流、右欄の数値は温度4.2K
で、印加磁場ゼロのときの臨界電流が80%に低下する
曲げ歪率を示している。曲げ歪率は、次式から算出し
た。 曲げ歪率(単位:%)=テープ線材の厚み×100/曲
げ直径
材の中心フィラメント5のコア部を酸化物超電導体とし
た場合、あるいは純銀線、銀−0.5重量%マグネシウ
ム(以下、Ag−0.5wt%Mgのように表記する)
合金線、Ag−0.5wt%Mn線、Ag−0.5wt
%Pd合金線とした場合の、それぞれの多芯テープ状酸
化物超電導撚線7の温度4.2K、印加磁場ゼロの状態
における臨界電流Icと、そのとき(歪を加えない)の
臨界電流Icが80%に低下する曲げ歪率を示すもので
ある。表2において、左欄には図1に示す金属被覆多芯
線材の中心フィラメント5に配置された金属名を示し
た。また、中央の欄の数値Icは温度4.2Kで、印加
磁場ゼロのときの臨界電流、右欄の数値は温度4.2K
で、印加磁場ゼロのときの臨界電流が80%に低下する
曲げ歪率を示している。曲げ歪率は、次式から算出し
た。 曲げ歪率(単位:%)=テープ線材の厚み×100/曲
げ直径
【0053】ここでは、図1に示す金属被覆多芯線材の
中心フィラメント5が、酸化物超電導体、純銀線、Ag
−0.5wt%Mg合金線、Ag−0.5wt%Mn
線、Ag−0.5wt%Pd合金線となるように配置し
た以外は、前記実施例の製造方法と同様の製造プロセス
を経て、多芯テープ状酸化物超電導撚線7としている。
製造した線材は、まず、長さ40mmに切断し、温度
4.2Kで印加磁場をゼロの状態で臨界電流Icを測定
した。その後、曲率を種々変化させて歪を加えないとき
の臨界電流Icに対して、80%に低下する曲げ歪率を
検討した。各中心フィラメントに対して各々2個の試料
線材を用意して測定を行った。表2の中央の欄の左側の
数値は右欄の左側の数値に対応し、中央の欄の右側の数
値は右欄の右側の数値にそれぞれ対応する。
中心フィラメント5が、酸化物超電導体、純銀線、Ag
−0.5wt%Mg合金線、Ag−0.5wt%Mn
線、Ag−0.5wt%Pd合金線となるように配置し
た以外は、前記実施例の製造方法と同様の製造プロセス
を経て、多芯テープ状酸化物超電導撚線7としている。
製造した線材は、まず、長さ40mmに切断し、温度
4.2Kで印加磁場をゼロの状態で臨界電流Icを測定
した。その後、曲率を種々変化させて歪を加えないとき
の臨界電流Icに対して、80%に低下する曲げ歪率を
検討した。各中心フィラメントに対して各々2個の試料
線材を用意して測定を行った。表2の中央の欄の左側の
数値は右欄の左側の数値に対応し、中央の欄の右側の数
値は右欄の右側の数値にそれぞれ対応する。
【0054】
【表2】
【0055】表2から明らかなように、金属被覆多芯線
材の中心フィラメント5を銀合金にすると、臨界電流I
cは低下するものの、曲げ歪に対する臨界電流Icの劣
化率は小さいことが確認された。ところが、金属被覆多
芯線材の中心フィラメント5をAg−0.5wt%Pd
合金線にした場合は、第1熱処理工程の際に、パラジウ
ムと内部の酸化物コアとが反応してしまい、低い臨界電
流Icに留まることが確認された。表2の結果は、酸化
物超電導線材を使用する際に、図1に示す金属被覆多芯
線材の中心フィラメント5の導体を、曲げ歪量や使用用
途に応じて適切に使い分けることが望ましいことを示唆
するものである。
材の中心フィラメント5を銀合金にすると、臨界電流I
cは低下するものの、曲げ歪に対する臨界電流Icの劣
化率は小さいことが確認された。ところが、金属被覆多
芯線材の中心フィラメント5をAg−0.5wt%Pd
合金線にした場合は、第1熱処理工程の際に、パラジウ
ムと内部の酸化物コアとが反応してしまい、低い臨界電
流Icに留まることが確認された。表2の結果は、酸化
物超電導線材を使用する際に、図1に示す金属被覆多芯
線材の中心フィラメント5の導体を、曲げ歪量や使用用
途に応じて適切に使い分けることが望ましいことを示唆
するものである。
【0056】次いで、前記実施例の製造方法を同様の製
造プロセスを経て酸化物超電導線材を製造する前に、純
銀パイプに充填する超電導粉末の平均粒径を3μmから
7μmあるいは10μmの2種に変更した以外、前記実
施例の製造方法と全く同様にして酸化物超電導線材を製
造した。そして、第1熱処理及び第2熱処理を施した長
さ300mmの酸化物超電導線材について、4.2Kの
温度、印加磁場ゼロの状態で臨界電流密度Jcを測定し
た。また、ここでは、電圧端子間距離を30mmとし、
酸化物超電導線材の長さ方向における各部の臨界電流密
度Jcの分布状態を調べた。同時に、純銀パイプに充填
する超電導粉末の平均粒径が3μmのものも製造し、同
様の臨界電流密度Jc測定並びに各部の臨界電流密度J
cの分布状態の調査を行った。
造プロセスを経て酸化物超電導線材を製造する前に、純
銀パイプに充填する超電導粉末の平均粒径を3μmから
7μmあるいは10μmの2種に変更した以外、前記実
施例の製造方法と全く同様にして酸化物超電導線材を製
造した。そして、第1熱処理及び第2熱処理を施した長
さ300mmの酸化物超電導線材について、4.2Kの
温度、印加磁場ゼロの状態で臨界電流密度Jcを測定し
た。また、ここでは、電圧端子間距離を30mmとし、
酸化物超電導線材の長さ方向における各部の臨界電流密
度Jcの分布状態を調べた。同時に、純銀パイプに充填
する超電導粉末の平均粒径が3μmのものも製造し、同
様の臨界電流密度Jc測定並びに各部の臨界電流密度J
cの分布状態の調査を行った。
【0057】その結果、超電導粉末の粒径が大きくなる
に従い、各部の臨界電流密度Jcの分布も大きくなり、
不均質となることが確認された。具体的には、超電導粉
末の平均粒径を10μmにした酸化物超電導線材は、最
も臨界電流密度Jcが高い部分が3800A/mm2で
あったが、最も臨界電流密度Jcが低い部分では120
0A/mm2まで低下していた。また、超電導粉末の平
均粒径を7μmにした酸化物超電導線材は、最も臨界電
流密度Jcが高い部分が4400A/mm2であった
が、最も臨界電流密度Jcが低い部分では2200A/
mm2であった。一方、超電導粉末の平均粒径を3μm
にした酸化物超電導線材は、各部の臨界電流密度Jc
は、3600乃至4500A/mm2の範囲内に収ま
り、均質性が向上し、かつ高い値の臨界電流密度Jcが
得られることが確認された。
に従い、各部の臨界電流密度Jcの分布も大きくなり、
不均質となることが確認された。具体的には、超電導粉
末の平均粒径を10μmにした酸化物超電導線材は、最
も臨界電流密度Jcが高い部分が3800A/mm2で
あったが、最も臨界電流密度Jcが低い部分では120
0A/mm2まで低下していた。また、超電導粉末の平
均粒径を7μmにした酸化物超電導線材は、最も臨界電
流密度Jcが高い部分が4400A/mm2であった
が、最も臨界電流密度Jcが低い部分では2200A/
mm2であった。一方、超電導粉末の平均粒径を3μm
にした酸化物超電導線材は、各部の臨界電流密度Jc
は、3600乃至4500A/mm2の範囲内に収ま
り、均質性が向上し、かつ高い値の臨界電流密度Jcが
得られることが確認された。
【0058】この臨界電流密度Jcのばらつきの原因を
調査するため、走査型電子顕微鏡で酸化物超電導線材の
横断面の組織を観察した。その結果、超電導粉末の平均
粒径を大きくするに従い、非超電導相も粗大化している
ことが分かった。酸化物超電導線材における臨界電流密
度Jcが低い部分は、この粗大化した非超電導相が析出
しており、その非超電導相が電流パスを遮断しているも
のと推察される。これらのことから、本実施例の製造方
法において、純銀パイプ等の金属被覆材2に充填する際
には、超電導粉末を平均粒径は3μm以下まで粉砕した
ものを用いることが望ましい。
調査するため、走査型電子顕微鏡で酸化物超電導線材の
横断面の組織を観察した。その結果、超電導粉末の平均
粒径を大きくするに従い、非超電導相も粗大化している
ことが分かった。酸化物超電導線材における臨界電流密
度Jcが低い部分は、この粗大化した非超電導相が析出
しており、その非超電導相が電流パスを遮断しているも
のと推察される。これらのことから、本実施例の製造方
法において、純銀パイプ等の金属被覆材2に充填する際
には、超電導粉末を平均粒径は3μm以下まで粉砕した
ものを用いることが望ましい。
【0059】引き続いて、本実施例の酸化物超電導線材
の製造方法において、多芯テープ状酸化物超電導撚線7
の断面積(幅×厚み)が、それぞれ0.75mm2、
1.0mm2、1.75mm2、2.5mm2、2.75
mm2になる5種類の酸化物超電導線材を本実施例の製
造方法とほぼ同様に製造した。この場合、5種類の酸化
物超電導多芯テープ心材7は、伸線加工と圧延加工をそ
れぞれ調整しながら、異なる断面積のテープ線材とし
た。そして、第1熱処理及び第2熱処理を施した長さ1
50mの各酸化物超電導線材を用意し、4.2Kの温
度、印加磁場ゼロの状態で、酸化物超電導線材の長さ方
向における臨界電流密度Jcの分布状態を調べた。
の製造方法において、多芯テープ状酸化物超電導撚線7
の断面積(幅×厚み)が、それぞれ0.75mm2、
1.0mm2、1.75mm2、2.5mm2、2.75
mm2になる5種類の酸化物超電導線材を本実施例の製
造方法とほぼ同様に製造した。この場合、5種類の酸化
物超電導多芯テープ心材7は、伸線加工と圧延加工をそ
れぞれ調整しながら、異なる断面積のテープ線材とし
た。そして、第1熱処理及び第2熱処理を施した長さ1
50mの各酸化物超電導線材を用意し、4.2Kの温
度、印加磁場ゼロの状態で、酸化物超電導線材の長さ方
向における臨界電流密度Jcの分布状態を調べた。
【0060】その結果、断面積が1.0乃至2.5mm
2の多芯テープ状酸化物超電導撚線7に比べて、断面積
が0.75mm2の多芯テープ状酸化物超電導撚線7は
臨界電流密度Jcのばらつきが大きいことが分かった。
この原因は、多芯テープ状酸化物超電導撚線7の内部の
酸化物超電導単芯テープ線材6の厚さが加工によって薄
くなりすぎたことによって線材の長手方向で断線した部
分が出て、その部分で電流のパスが遮断したと推察され
る。
2の多芯テープ状酸化物超電導撚線7に比べて、断面積
が0.75mm2の多芯テープ状酸化物超電導撚線7は
臨界電流密度Jcのばらつきが大きいことが分かった。
この原因は、多芯テープ状酸化物超電導撚線7の内部の
酸化物超電導単芯テープ線材6の厚さが加工によって薄
くなりすぎたことによって線材の長手方向で断線した部
分が出て、その部分で電流のパスが遮断したと推察され
る。
【0061】また、断面積が2.75mm2の多芯テー
プ状酸化物超電導撚線7では、臨界電流密度Jcのばら
つきは小さいものの、低い臨界電流密度Jcに留まって
いる。この原因は、圧延の際の圧下率が低いために、多
芯テープ状酸化物超電導撚線7の内部の酸化物超電導単
芯テープ線材6の緻密化が他に比べて進んでいないもの
と推察される。これらのことから、本実施例の製造方法
において、酸化物超電導線材の断面積は1.0乃至2.
5mm2の範囲内に選ぶことが望ましい。
プ状酸化物超電導撚線7では、臨界電流密度Jcのばら
つきは小さいものの、低い臨界電流密度Jcに留まって
いる。この原因は、圧延の際の圧下率が低いために、多
芯テープ状酸化物超電導撚線7の内部の酸化物超電導単
芯テープ線材6の緻密化が他に比べて進んでいないもの
と推察される。これらのことから、本実施例の製造方法
において、酸化物超電導線材の断面積は1.0乃至2.
5mm2の範囲内に選ぶことが望ましい。
【0062】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の多芯テープ状酸化物超電導撚線の製造方法によれば、
従来のこの種の酸化物超電導線材で認められていたよう
な、熱処理の際に発生する線材の膨れ及び酸化物コアの
融出による超電導特性の劣化を大幅に抑制することがで
き、従来のこの種の酸化物超電導線材に比べて、高い臨
界電流密度Jcが得られる酸化物超電導線材を製造する
ことができる。本発明の方法によると、第1及び第2熱
処理工程前後のテープ厚みの変化が線材全長にわたって
10%以下であり、かつ第1及び第2熱処理工程前後の
酸化物超電導撚線の重量変化が5%以下にすることがで
きる。これによって、線材長さが数100m級になって
も線材が本来持ち合わせる臨界電流密度Jcを得ること
が可能となった。第1熱処理工程は0.4atm以上の
酸素分圧で行い、第2熱処理工程は0.4atm以下の
酸素分圧下で行う。この2段階の熱処理工程により、酸
化物超電導線材の性能を、従来のこの種の酸化物超電導
線材の性能に比べて大幅に向上させることが可能にな
る。酸化物超電導体はビスマス系酸化物超電導体とする
ことができ、特にBi2Sr2Ca1Cu2Ox組成の超電
導相を主成分とした超電導体とするのが望ましく、第1
熱処理工程は第2熱処理工程より高い酸素分圧下で行う
のが好ましい。このとき、第2熱処理工程後の多芯テー
プ状酸化物超電導撚線の臨界電流を、第1熱処理工程後
の多芯テープ状酸化物超電導撚線の臨界電流に比べて少
なくとも1.5倍以上とすることができる。
の多芯テープ状酸化物超電導撚線の製造方法によれば、
従来のこの種の酸化物超電導線材で認められていたよう
な、熱処理の際に発生する線材の膨れ及び酸化物コアの
融出による超電導特性の劣化を大幅に抑制することがで
き、従来のこの種の酸化物超電導線材に比べて、高い臨
界電流密度Jcが得られる酸化物超電導線材を製造する
ことができる。本発明の方法によると、第1及び第2熱
処理工程前後のテープ厚みの変化が線材全長にわたって
10%以下であり、かつ第1及び第2熱処理工程前後の
酸化物超電導撚線の重量変化が5%以下にすることがで
きる。これによって、線材長さが数100m級になって
も線材が本来持ち合わせる臨界電流密度Jcを得ること
が可能となった。第1熱処理工程は0.4atm以上の
酸素分圧で行い、第2熱処理工程は0.4atm以下の
酸素分圧下で行う。この2段階の熱処理工程により、酸
化物超電導線材の性能を、従来のこの種の酸化物超電導
線材の性能に比べて大幅に向上させることが可能にな
る。酸化物超電導体はビスマス系酸化物超電導体とする
ことができ、特にBi2Sr2Ca1Cu2Ox組成の超電
導相を主成分とした超電導体とするのが望ましく、第1
熱処理工程は第2熱処理工程より高い酸素分圧下で行う
のが好ましい。このとき、第2熱処理工程後の多芯テー
プ状酸化物超電導撚線の臨界電流を、第1熱処理工程後
の多芯テープ状酸化物超電導撚線の臨界電流に比べて少
なくとも1.5倍以上とすることができる。
【図1】本発明に係わる酸化物超電導線材の一例の構成
を示す斜視図。
を示す斜視図。
【図2】本発明に係わる酸化物超電導線材の一例の構成
を示す斜視図。
を示す斜視図。
【図3】多芯テープ状酸化物超電導撚線の線材先端部か
らの距離と熱処理前後のテープ厚みの変化率との関係を
示す特性図。
らの距離と熱処理前後のテープ厚みの変化率との関係を
示す特性図。
【図4】多芯テープ状酸化物超電導撚線の線材先端部か
らの距離と臨界電流密度との関係を示す特性図。
らの距離と臨界電流密度との関係を示す特性図。
【図5】撚りピッチと臨界電流密度との関係を示す特性
図。
図。
【図6】第1熱処理の酸素分圧と臨界電流密度との関係
を示す特性図。
を示す特性図。
【図7】第2熱処理の酸素分圧と臨界電流密度との関係
を示す特性図。
を示す特性図。
【図8】多芯テープ状酸化物超電導撚線の製造方法を示
すフローチャート。
すフローチャート。
1…金属被覆単芯線材 2…第1の金属被覆材 3…第2の金属被覆材 4…金属被覆多芯線材 5…金属被覆多芯線材の中心フィラメント 6…酸化物超電導単芯テープ線材 7…多芯テープ状酸化物超電導撚線
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01B 13/00 565 H01B 13/00 565D H01F 6/06 ZAA H01F 5/08 ZAAB (72)発明者 和久田 毅 茨城県日立市大みか町7丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】 酸化物超電導粉末又はその原料粉末を第
1の金属パイプに充填した後、前記第1の金属パイプを
伸線加工して単芯線材を製造する単芯線材製造工程と、
前記単芯線材を複数本束ねて第2の金属パイプに充填し
た後、前記第2の金属パイプを伸線加工して多芯線材を
製造する多芯線材製造工程と、前記多芯線材に含包され
た単芯線材が線材の長さ方向に一回転する撚りピッチを
L、多芯線材の直径を2Rとしたとき、 2R≦L≦100R の範囲で多芯撚線とする撚線製造工程と、前記多芯撚線
をテープ状に圧延加工する工程と、前記酸化物超電導粉
末又はその原料粉末の分解温度以上の温度で熱処理する
第1熱処理工程と、前記第1熱処理工程を行った多芯撚
線を前記酸化物超電導粉末又はその原料粉末の分解温度
以下の温度で熱処理する第2熱処理工程とを含むことを
特徴とする多芯テープ状酸化物超電導撚線の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の多芯テープ状酸化物超電
導撚線の製造方法において、前記第1熱処理工程は0.
4atm以上の酸素分圧下で行われ、前記第2熱処理工
程は0.4atm以下の酸素分圧下で行われることを特
徴とする多芯テープ状酸化物超電導撚線の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1記載の多芯テープ状酸化物超電
導撚線の製造方法において、酸化物超電導体はビスマス
系酸化物超電導体であり、前記第1熱処理工程は前記第
2熱処理工程より高い酸素分圧下で行われることを特徴
とする多芯テープ状酸化物超電導撚線の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1記載の多芯テープ状酸化物超電
導撚線の製造方法において、酸化物超電導体はBi2S
r2Ca1Cu2Ox組成の超電導相を主成分とした超電導
体であり、前記第1熱処理工程は前記第2熱処理工程よ
り高い酸素分圧下で行われることを特徴とする多芯テー
プ状酸化物超電導撚線の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10138950A JPH11329110A (ja) | 1998-05-20 | 1998-05-20 | 多芯テープ状酸化物超伝導撚線の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10138950A JPH11329110A (ja) | 1998-05-20 | 1998-05-20 | 多芯テープ状酸化物超伝導撚線の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11329110A true JPH11329110A (ja) | 1999-11-30 |
Family
ID=15233955
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10138950A Pending JPH11329110A (ja) | 1998-05-20 | 1998-05-20 | 多芯テープ状酸化物超伝導撚線の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11329110A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2001326396A (ja) * | 2000-05-12 | 2001-11-22 | Nippon Steel Corp | 限流素子および限流器 |
| CN117831852A (zh) * | 2024-02-18 | 2024-04-05 | 中国科学院电工研究所 | 一种提高超导带材超导性能的方法 |
| CN119500812A (zh) * | 2024-09-27 | 2025-02-25 | 北京科技大学 | 一种微细TiAl合金丝的制备方法 |
-
1998
- 1998-05-20 JP JP10138950A patent/JPH11329110A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2001326396A (ja) * | 2000-05-12 | 2001-11-22 | Nippon Steel Corp | 限流素子および限流器 |
| CN117831852A (zh) * | 2024-02-18 | 2024-04-05 | 中国科学院电工研究所 | 一种提高超导带材超导性能的方法 |
| CN119500812A (zh) * | 2024-09-27 | 2025-02-25 | 北京科技大学 | 一种微细TiAl合金丝的制备方法 |
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