JP7749183B2 - ニオブアルミ前駆体線、ニオブアルミ前駆体撚線、ニオブアルミ超伝導線、及びニオブアルミ超伝導撚線 - Google Patents

ニオブアルミ前駆体線、ニオブアルミ前駆体撚線、ニオブアルミ超伝導線、及びニオブアルミ超伝導撚線

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Description

特許法第30条第2項適用 2021年9月16日に、2021年11月15~19日福岡国際会議場において開催された27th International Conference on Magnet Technology(MT27)の講演要旨集(Abstract)閲覧用リンク先が発信され、ID960「Jelly-Roll Processed Nb3Al Super-Fine Monofilament Wires with Cu/non-Cu Ratio of 1.0」で公開
本発明は、安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる、棒状の巻芯と、前記巻芯の周囲に巻き付ける、アルミ箔とニオブ箔を重ねた積層体と、前記積層体の周囲を覆う被覆体であって、安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる前記被覆体と、を含む、ニオブアルミ前駆体線に関する。特に、前記前駆体線中に含有される、非安定化銅に対する安定化銅の体積比が、0.5以上2.0以下であり、前記巻芯に含まれる安定化銅の体積と前記被覆体に含まれる安定化銅の体積の総体積に対して、(1)前記巻芯に含まれる安定化銅の体積比率は30%から70%の範囲であり、(2)前記被覆体に含まれる安定化銅の体積比率は70%から30%の範囲である(但し、前記巻芯に含まれる安定化銅の体積比率と前記被覆体に含まれる安定化銅の体積比率の合計は100%である)、ニオブアルミ前駆体線に関する。
本発明はまた、上述のニオブアルミ前駆体線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の撚線(いわゆる、1次撚線)とした、ニオブアルミ前駆体撚線に関する。
本発明はまた、ニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせる操作を1回実施することにより1本の撚線(いわゆる、2次撚線)としたニオブアルミ前駆体撚線、前記の撚り合わせる操作を2回実施することにより1本の撚線(いわゆる、3次撚線)としたニオブアルミ前駆体撚線、そして、前記の撚り合わせる操作をn回実施することにより1本の撚線(いわゆる、(n+1)次撚線)としたニオブアルミ前駆体撚線(ここで、nは3以上の整数)に関する。
本発明はまた、上述のニオブアルミ前駆体線を熱処理して付与された超伝導相を有するニオブアルミ超伝導線に関するものであって、特に該超伝導相がNbAlで表される相を含有するニオブアルミ超伝導線に関する。
本発明はまた、上述のニオブアルミ前駆体撚線を熱処理して付与された超伝導相を有するニオブアルミ超伝導撚線に関するものであって、特に該超伝導相がNbAlで表される相を含有するニオブアルミ超伝導撚線に関する。
医療用MRI、NMRスペクトロメータ、リニアモーターカー、高エネルギー粒子加速器、核融合炉、超伝導モーター及び超伝導発電機等の各種の超伝導応用機器では、超伝導電磁石の発生磁場の増加により機器性能が向上する。現在、多くの超伝導電磁石はニオブチタン(NbTi)合金線で製造され、液体ヘリウム温度(4.2K)以下で運転されている。その理由は、ニオブチタン合金線は特性を劣化させることなく自在に曲げることができる(いわゆる、フレキシブルである)ため、複雑なコイル巻きや絶縁処理が容易であり、低コストで電磁石を製造することができるためである。また、ニオブチタン合金線の場合には、反応熱の処理が不要であるため、室温でカプトンテープ等の安価な絶縁材が使用でき、コイル巻きも室温で精密に行うことができる。そのため、熱膨張によるコイルの緩みの問題がないので磁場精度は低下しない。
しかしながら、ニオブチタン合金の4.2Kにおける上部臨界磁場(Bc2)の大きさは約10Tであり、これがニオブチタン合金線で製造された電磁石の4.2Kにおける発生磁場の限界(すなわち、装置に応用した場合の性能限界)となってしまう。
一方、ニオブアルミ(NbAl)の4.2Kにおける上部臨界磁場(Bc2)の大きさは約26Tであり、ニオブチタン合金の2倍以上の大きさである。
そこで、超伝導電磁石において、ニオブチタン合金線の代わりにニオブアルミ(NbAl)線を使用することが期待されている。
ニオブとアルミは1,000℃以下の温度での拡散速度が極めて遅いため、A15型のニオブアルミ(NbAl)超伝導相を合成することが難しい。そのため、1,000℃以下の温度でニオブアルミ超伝導相を合成させるためには、ニオブとアルミの拡散距離を複合加工により強制的に短くすることが必要となる。
そこで、特許文献1や非特許文献1では、ニオブアルミ(NbAl)線の製法として、ニオブ箔とアルミ箔を原料にして重ね巻きするジェリーロール法と呼ばれる製法が考案され、報告されている。
非特許文献2では、ジェリーロール法により、ニオブ箔とアルミ箔を重ねて純銅棒を巻芯にしてロール状に巻いた積層体(非特許文献2では、該積層体を単芯セグメント又はフィラメントと称する)を多数(具体的には240本)用意し、用意した全積層体を1本の純銅管に挿入することにより多芯線を組み立て、これを押出加工、スウェージング加工、ダイス引抜加工等を行うことによりニオブアルミ(NbAl)線の線材を作製する方法が開示されている。非特許文献2に開示されている積層体には、純銅棒を巻芯にして巻き重ねたニオブ箔及びアルミ箔の積層体の表面にNbバリア層が設けられている。
非特許文献3に開示されているニオブアルミ(NbAl)線も、非特許文献2と同様、ジェリーロール法により、ニオブ箔とアルミ箔を重ねて純銅棒を巻芯にしてロール状に巻いた積層体を複数用意し、用意した積層体を全て1本の純銅管に挿入することにより得られる多芯線である。
他方、非特許文献4や5では、ジェリーロール法により、外径が2mmの純タンタル棒を巻芯としてニオブ箔とアルミ箔を重ねてロール状に巻き、外径が12.3mmで、内径が10.1mmの銅管に挿入した構造を有するニオブアルミ(NbAl)線が開示されている。非特許文献4や5には、最終線材に加工した時の線径(具体的には、外径)が0.05mm(50μm)以下という極細のニオブアルミ線が得られることが開示されており、該非特許文献に開示されている最も細い極細のニオブアルミ(NbAl)線の外径は、0.03mm(30μm)である。また、非特許文献4には、0.05mm(50μm)以下という極細のニオブアルミ線が100mを超える長さで得られることが開示されている。
米国特許第4003762号明細書
S. Ceresara et. al., "Nb3Al formation at temperature lower than 1000℃", IEEE Trans. Mag, MAG-11 (1975) p.263-265 林和彦, "ジェリーロール法によるNb3Al 線材開発の現状", 低温工学, 33 (1998) p.629-637 菊池章弘, "Nb3Al線材の研究開発を振り返る", 低温工学, 53 (2018) p.27-34 A. Kikuchi et al., "Trial Manufactures of Jelly-Rolled Nb/Al Single Wire with Very Small Diameter below 50 microns", IOP Conference Series: Materials Science and Engineering, 756 (2020) 012016. A. Kikuchi, et. al., "Ultra-Fine Nb3Al Mono-Core Wires and Cables", IEEE Trans. Appl. Supercond., Vol. 31 (2021) 6000105)
ニオブアルミ(NbAl)はニオブチタン合金とは異なり、合金ではなくA15型の金属間化合物に分類され、硬く脆い機械的性質を有する。これは、ニオブアルミ(NbAl)超伝導線が、ニオブチタン合金線と違って折れやすく、コイル巻きが極めて難しいことを意味する。そこで、ニオブアルミ超伝導線を用いて電磁石を製造する場合、一般的に、線材に加工(具体的には、伸線加工)した直後のニオブとアルミを未反応の状態のまま絶縁材で被覆し(いわゆる、絶縁処理)、該被覆された線材をコイル巻きし、その後に最終熱処理が行われている。この方法は、ワインド&リアクト法と一般的に称されている。しかしながら、この方法には、熱処理を行うことにより発生する熱膨張などにより、密巻きしたコイルに緩みが発生して線材が動きやすくなったり、磁場精度が低下したりするという問題点がある。
他方、ニオブチタン合金線の場合には、上述のとおり、反応熱の処理が不要であるため、室温でカプトンテープ等の安価な絶縁材が使用でき、コイル巻きも室温で精密に行うことができる。そのため、熱膨張によるコイルの緩みの問題がないので磁場精度は低下しない。このことが、現在、多くの超伝導電磁石がニオブチタン(NbTi)合金線で製造される要因となっている。
しかしながら、ニオブアルミの4.2Kにおける上部臨界磁場(Bc2)の値が、上述のとおり、ニオブチタン合金の2倍以上も高いことから、もし、反応熱の処理を行った後のニオブアルミ線が可撓性(いわゆる、フレキシブル性)を発現できればニオブチタン合金線と類似のハンドリングで上述の絶縁処理やコイル巻きが可能になるため、ニオブアルミ線の実用化が一気に加速されることになる。その際、加工途中における断線を防ぎ、単一条長(繋ぎ目のない1本の長さ)はできる限り長く確保することも重要である。単一条長は長ければ長いほど、生産効率や歩留まりを向上させるので、製造コストを大きく低下させることができるからである。また、ニオブアルミ線を超伝導線として用いる場合、該ニオブアルミ超伝導線における安定化銅の割合が小さいと、万一、超伝導状態が破れてクエンチが起こってしまった場合、線材が焼き切れてしまう。そのため、ニオブアルミ線としては、線材における安定化銅が占める割合(具体的には、線材中の、非安定化銅に対する安定化銅の体積比(本願では、該体積比を「銅比」とも称する)が、一般的な実用化線材(すなわち、実用化されている線材)として利用するためには、少なくとも1.0程度(好ましくは2.0)となるような割合にまで安定化銅の割合を自由に増加させられるものであることも重要になる。
このような課題を解決するため、上述のとおり、ニオブアルミ線の開発が多数研究され、報告されている。
しかしながら、特許文献1や非特許文献1で報告されている上記ニオブアルミ(NbAl)線はいずれも、最終線材に加工した時の線径が0.2mmとなるまでのものにしか加工できていない。つまり、特許文献1や非特許文献1で報告されている上記ニオブアルミ(NbAl)線では、最終線材に加工した時の線径が0.2mmよりも小さな線材を得ることができない。そのため、可撓性(いわゆる、フレキシブル性)の発現が困難であるという課題を有する。
特許文献1や非特許文献1で報告されているジェリーロール法では、出発原料として薄い箔を用いることを特徴とするが、特許文献1で報告されているとおり、この製法を用いて優れた特性を得るためには、線材加工(具体的には、伸線加工)後のアルミ箔の厚みを少なくとも0.0015mm(1.5μm)以下に薄くし、線材全体を細く加工する必要がある。線材加工後のアルミ箔の厚みは薄くするほど特性は向上するが、アルミ箔の厚みが薄くなるほど、線材加工はより一層困難になる。つまり、線径が非常に小さい極細の線材は非常に得られにくい。実際、特許文献1や非特許文献1で報告されている上記ニオブアルミ(NbAl)線はいずれも、最終線材に加工した時の最小線径は0.2mmまでであり、0.2mmよりも小さく加工することはできていない。
非特許文献2に開示されている上記ニオブアルミ(NbAl)線は、上述のとおり、ニオブ、アルミ、銅などの、硬さや伸び並びに加工硬化率や塑性加工限界などの機械的性質が異なる金属の複合体であるため、線材全体の加工性のバランスを取ることが容易ではない。
非特許文献2に開示されている上記ニオブアルミ線は、純銅棒からなる巻芯を有する単芯セグメントと、240本の該単芯セグメントを挿入する1本の純銅管から構成される多芯線である。超伝導線として実用化するためにはその材料として、万一、超伝導状態が破れた場合のバイパスルートとなる極低温において電気伝導度の優れた安定化材と呼ばれる純金属が必ず複合されている複合構造を有していなければならない。該安定化材としては、一般的に無酸素銅等の純銅が用いられ、これを安定化銅と称する。非特許文献2に開示されている上記ニオブアルミ線では、巻芯となる純銅棒と、240本の該単芯セグメントを挿入する1本の純銅管が、安定化銅としての機能を担うことになるため、これらの銅は実用上不可欠な構成である。
また、非特許文献2に開示されている積層体には、純銅棒を巻芯にして巻き重ねたニオブ箔及びアルミ箔の積層体の表面にNbバリア層が設けられている。これは、アルミ箔が巻芯となる純銅棒や純銅管と直接接触してしまうと、該接触部分が最終熱処理の際に著しく反応してニオブアルミの特性が劣化することがあるため、このような反応を防止するための反応障壁である。
したがって、非特許文献2に開示されている上記ニオブアルミ線は、必然的に、ニオブ、アルミ、銅などの、硬さや伸び並びに加工硬化率や塑性加工限界などの機械的性質が異なる金属の複合体となってしまうため、線材全体の加工性のバランスを取ることが容易ではない。
そのうえ、非特許文献2に開示されている上記ニオブアルミ線は、240本にもおよぶ単芯セグメントを1本の純銅管に挿入することにより組み立てられる多芯線であるため、単芯セグメント同士が固着して全体が一体化されている。そのため、非特許文献2に記載の多芯線では、その特性を劣化させることなく自在に曲げることができないため可撓性(いわゆる、フレキシブル性)に欠け、また、曲げの中立軸は多芯線全体の中央になるため該中央部にかかる歪み量が非常に大きくなってしまうという課題を有する。例えば、非特許文献2に開示されている上記ニオブアルミ線を数十mmの小さな曲率半径で曲げると、折れて破断したり特性が劣化したりしてしまう。
このように、非特許文献2に開示されている多芯線の上記ニオブアルミ線も、可撓性(いわゆる、フレキシブル性)の発現が困難であるという課題を有する。
非特許文献3に開示されているニオブアルミ(NbAl)線も、非特許文献2と同様の構造を有するので、非特許文献2と同様の課題を有する。
ジェリーロール法を用いてニオブアルミ(NbAl)線を作製する場合、上述のとおり、線材加工(具体的には、伸線加工)後のアルミ箔の厚みを少なくとも0.0015mm(1.5μm)以下に薄くし、線材全体を細く加工する必要がある。1本の純銅管に挿入する、ニオブ箔とアルミ箔を重ねて純銅棒を巻芯にしてロール巻きした積層体(非特許文献2を例に挙げると、該非特許文献に開示されている「単芯セグメント」又は「フィラメント」に相当する)の数が1本の場合は、単芯線と称し、該積層体の数が数十から数百本の場合は、多芯線と称するが、多芯線の方が、単芯線と比べ、伸線加工後のアルミ箔の最終厚みを0.0015mm(1.5μm)以下にすることが比較的容易である。多芯線のニオブアルミ(NbAl)線の製法では、ニオブ箔とアルミ箔の積層体の加工性が線材全体の加工性に影響を与えるため、線材外径に関しては0.8から1.5mm程度とする報告例が多い。実際、非特許文献2でも、線材外径は0.81mmである。換言すると、多芯線のニオブアルミ線では、その線材外径を0.1mm(100μm)以下の線材に加工しなくても伸線加工後のアルミ箔の最終厚みを0.0015mm(1.5μm)以下にすることが容易なため、該多芯線の線材外径を0.1mm(100μm)以下とする報告例は、本発明者が知る限り、未だ無い。
また、特許文献1や非特許文献に開示されているような単芯線に関しても、非特許文献4や5が公表されるまで、線材外径を0.1mm(100μm)以下の単芯線に加工した報告例は、本発明者が知る限り、無かった。
最近公表された非特許文献4や5に開示されているニオブアルミ(NbAl)線は、上述のとおり、外径が2mmの純タンタル棒を巻き芯としてニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きして外径が12.3mm且つ内径が10.1mmの銅管に挿入した構造を有する、いわゆる単芯線であり、0.05mm(50μm)以下という髪の毛よりも細い極細のニオブアルミ(NbAl)線である。そのため、硬く脆い機械的性質を有するニオブアルミ(NbAl)線でも、外径を細くすることにより外部から受ける曲げ歪み量を小さくすることができ、数十mmの小さな曲率半径で曲げても、折れて破断したり特性が劣化したりしない。このような50μm以下の外径はまた、曲げ歪み量を小さくするだけでなく、ニオブアルミ超伝導線とした場合にニオブアルミ超伝導線部分の磁場中における本質的な安定性を確保できる点でも好ましい。0.05mm(50μm)以下という髪の毛よりも細い極細のニオブアルミ(NbAl)線は、可撓性(いわゆる、フレキシブル性)の発現や、ニオブアルミ(NbAl)超伝導線を用いて電磁石を製造する場合でも、ニオブチタン合金線と類似のハンドリングで絶縁処理やコイル巻きを可能にするという点で好ましい。
しかしながら、非特許文献4や5に開示されている極細のニオブアルミ(NbAl)線では、該ニオブアルミ線における安定化銅の割合、具体的には、該ニオブアルミ線中の、非安定化銅に対する安定化銅の割合(すなわち、銅比)は0.5程度であるため、安定化銅の割合が少ない。一般的な実用化されている線材として用いるためには、ニオブアルミ線中の銅比(具体的には、非安定化銅に対する安定化銅の体積比)を少なくとも1.0程度となるような割合にまでは安定化銅の割合を増加させることが必要である。つまり、前記体積比を少なくとも1.0程度となるような割合にまでは安定化銅の割合を増加させることが可能な極細のニオブアルミ(NbAl)線であることが必要になる。ところが、現状では、非特許文献4や5に開示されている極細のニオブアルミ(NbAl)線において前記体積比を1.0以上にすると、伸線加工の途中で断線が頻繁に発生してしまい、外径を50μmにまで縮径することは実現できていない。
なお、安定化銅の割合としては、極細のニオブアルミ線を超伝導線に加工した場合の極細ニオブアルミ超伝導線に占める安定化銅の割合が小さくなると、万一、超伝導状態が破れてクエンチした際に線材が焼き切れてしまうため、線材の全断面積あたりにおける安定化銅が占める割合は多い方が好ましい。具体的には、前記体積比を0.5以上とするのが好ましい。一般的な実用線材としての使用を考えると、上述のとおり、前記体積比を1.0程度(具体的には、0.9以上)とするのがより好ましい。逆に、線材における安定化銅の占める割合が多すぎると、相対的に超伝導の割合が小さくなって超伝導の効果が薄れてしまうため、前記体積比は、多くても2.0程度(具体的には、2.0以下)とするのが現実的である。つまり、極細のニオブアルミ線は、該ニオブアルミ線を超伝導線に加工する場合に、ニオブアルミ前駆体線に含有される、非安定化銅に対する安定化銅の体積比が、0.5以上2.0以下の範囲内で自由に維持されるものであることが望ましい。
また、加工途中における断線を防ぎ、単一条長はできる限り長く確保する必要がある。単一条長は長ければ長いほど好ましく、生産効率や歩留まりが向上し、一方コストは大きく低下する。そのため、少なくとも1,000m規模の単一条長を確保できることが好ましい。
しかしながら、外径が50μmの場合、非特許文献4では128m、非特許文献5では400mとなっており、いずれも1,000mより短い単一条長で断線が生じている。
このように、ニオブアルミ線に関しては、線材として以下の特性:
・反応熱処理を行った後のニオブアルミ線が可撓性(いわゆる、フレキシブル性)を発現でき、ニオブアルミ(NbAl)超伝導線を用いて電磁石を製造する場合でも、ニオブチタン合金線と類似のハンドリングで絶縁処理やコイル巻きが可能であること;
・1,000m以上という長い単一条長を確保できること;
・線材における安定化銅が占める割合(具体的には、線材中の、非安定化銅に対する安定化銅の体積比(銅比))が少なくとも1.0程度となるような割合にまで安定化銅の割合を増加させることが可能なこと(好ましくは、線材に含有される、非安定化銅に対する安定化銅の体積比が0.5以上2.0以下の範囲内で自由に維持できること);
の全てを有するものは、未だ開発されていない。そのため、このような観点から、新規のニオブアルミ線の開発が依然として希求されており、その開発が課題となっている。
本発明者らは、極めて多くのニオブアルミ線の試作し、該ニオブアルミ線の性能等について鋭意検討した結果、偶然にも、安定化銅を含む銅の巻芯をアルミ箔とニオブ箔を重ねた積層体でロール状に巻き、この積層体を、安定化銅を含む銅管に挿入することにより該銅管で被覆した構造を有するニオブアルミ線を使用し、中心部に位置する前記巻芯と外周部に位置する銅管の2か所に配置される安定化銅(具体的には、純銅)の分量を所定の範囲に設定すれば、硬さや伸び並びに加工硬化率や塑性加工限界などの機械的性質が異なる金属の複合体であるニオブアルミ線でも線材全体の機械特性のバランスを取ることができ、そのため、これまで知られていた外径が50μm以下のニオブアルミ線では断線していたような銅比(具体的には、線材中の、非安定化銅に対する安定化銅の体積比が、1.0程度の場合)でも断線を防止しつつ、外径が50μm以下の極細で、1,000m以上の長い単一条長を確保できるニオブアルミ線が提供できることを初めて見出し、本発明を完成させた。
本発明は、具体的には以下の[1]から[13]の諸態様を有する。
[1] 安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる、棒状の巻芯と、
前記巻芯の周囲に巻き付ける、アルミ箔とニオブ箔を重ねた積層体と、
前記積層体の周囲を覆う被覆体であって、安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる前記被覆体と、
を含む、ニオブアルミ前駆体線であって、
前記前駆体線中に含有される、非安定化銅に対する安定化銅の体積比が、0.5以上2.0以下であり、
前記巻芯に含まれる安定化銅の体積と前記被覆体に含まれる安定化銅の体積の総体積に対して、
(1)前記巻芯に含まれる安定化銅の体積比率は30%から70%の範囲であり、
(2)前記被覆体に含まれる安定化銅の体積比率は70%から30%の範囲である(但し、前記巻芯に含まれる安定化銅の体積比率と前記被覆体に含まれる安定化銅の体積比率の合計は100%である)、
前記ニオブアルミ前駆体線。
[2] 前記前駆体線中に含有される、非安定化銅に対する安定化銅の体積比が、0.9以上2.0以下である、[1]に記載のニオブアルミ前駆体線。
[3] 前記巻芯と前記積層体の間に銅とアルミに対して反応性の低い物質からなる層を含む、[1]又は[2]に記載のニオブアルミ前駆体線。
[4] 前記積層体と前記被覆体の間に銅とアルミに対して反応性の低い物質からなる層を含む、[1]から[3]のいずれかに記載のニオブアルミ前駆体線。
[5] 外径が0.05mm以下である、[1]から[4]のいずれかに記載のニオブアルミ前駆体線。
[6] [1]から[5]のいずれかに記載のニオブアルミ前駆体線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の1次撚線とした、ニオブアルミ前駆体撚線。
[7] ニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせを1回実施することにより1本の2次撚線とした、ニオブアルミ前駆体撚線であって、
1回目に実施される前記撚り合わせで使用されるニオブアルミ前駆体撚線が、[6]に記載のニオブアルミ前駆体撚線である、
ニオブアルミ前駆体撚線。
[8] ニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせを2回実施することにより1本の3次撚線とした、ニオブアルミ前駆体撚線であって、
2回目の前記撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線は、1回目の前記撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の撚線とする撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線であり、
1回目に実施される前記撚り合わせで使用されるニオブアルミ前駆体撚線が、[6]に記載のニオブアルミ前駆体撚線である、
ニオブアルミ前駆体撚線。
[9] ニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の撚線とする撚り合わせをn回実施することにより(n+1)次撚線とした、ニオブアルミ前駆体撚線であって(ここで、nは3以上の整数)、
2回目以降の各前記撚り合わせを実施して製造されるニオブアルミ前駆体撚線は、1つ前の前記撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の撚線とする撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線であり、
1回目に実施される前記撚り合わせで使用されるニオブアルミ前駆体撚線が、[6]に記載のニオブアルミ前駆体撚線である、
ニオブアルミ前駆体撚線。
[10] [1]から[5]のいずれかに記載のニオブアルミ前駆体線を熱処理して付与された超伝導相を有する、ニオブアルミ超伝導線。
[11] 前記超伝導相は、NbAlで表される相を含有する、[10]に記載のニオブアルミ超伝導線。
[12] [6]から[9]のいずれかに記載のニオブアルミ前駆体撚線を熱処理して付与された超伝導相を有する、ニオブアルミ超伝導撚線。
[13] 前記超伝導相は、NbAlで表される相を含有する、[12]に記載のニオブアルミ超伝導撚線。
本発明の一態様によれば、ニオブ前駆体線として既存のニオブ前駆体線とは異なる新規のニオブアルミ前駆体線を提供することができる。
本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体線によれば、例えば、外径が髪の毛よりも細い50μm以下の外径を有する極細のニオブアルミ前駆体線を提供することができる。その結果、例えば、本発明のニオブアルミ前駆体線によれば、可撓性(いわゆる、フレキシブル性)を発現できる。具体的には、例えば、数十ミリメートルの小さな曲率半径で曲げても折れて破断したり、特性が劣化したりしないという効果を得ることができる。本発明によれば、このような可撓性(いわゆる、フレキシブル性)を発現できるので、例えば、ニオブアルミ(NbAl)超伝導線を用いて電磁石を製造する場合でも、ニオブチタン合金線と類似のハンドリングでの絶縁処理やコイル巻きが可能になり、実用化されているニオブチタン合金線と類似のハンドリング性で、ニオブチタン合金線の2倍以上も高い性能を発揮することができる。
本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体線によれば、例えば、安定化銅が、線材における非安定化銅に対する安定化銅の体積比(銅比)で0.5以上2.0以下の範囲で付与できるため、一般的な実用線材としても十分に使用でき、磁気的不安定性(例えば、フラックスジャンプ)を抑制することができる。
本発明の一態様によれば、前記ニオブアルミ前駆体線を2本以上束ねて撚り合わせて1本の撚線(いわゆる、1次撚線)とすることにより、新規のニオブアルミ前駆体撚線を提供することができる。そのため、本発明によれば、例えば、前記ニオブアルミ前駆体撚線(1次撚線)を2本以上束ねて撚り合わせる操作を1回実施することにより1本の撚線(いわゆる、2次撚線)とした新規のニオブアルミ前駆体撚線、前記の撚り合わせる操作を2回実施することにより1本の撚線(いわゆる、3次撚線)とした新規のニオブアルミ前駆体撚線、或いは、前記の撚り合わせる操作をn回実施することにより1本の撚線(いわゆる、(n+1)次撚線)とした新規のニオブアルミ前駆体撚線(ここで、nは3以上の整数)を提供することができる。
本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線によれば、該撚線を構成する基本単位のニオブアルミ前駆体撚線(いわゆる、素線)は、互いに接してはいるものの固着していないため、該素線を2本以上束ねて撚り合わせて集合体とした状態でも、該集合体の中では容易に滑ることができる。そのため、曲げの中立軸は、素線のほぼ中央に位置することになりほとんど変化しないため、本発明のニオブアルミ前駆体撚線によれば、良好な可撓性(いわゆる、フレキシブル性)を維持することができる。
本発明の一態様によれば、前記ニオブアルミ前駆体線又は前記ニオブアルミ前駆体撚線を熱処理することにより、超伝導相を有する新規のニオブアルミ超伝導線又はニオブアルミ超伝導撚線を提供することができる。
本発明の一態様であるニオブアルミ超伝導線又はニオブアルミ超伝導撚線によれば、その前駆体である前記ニオブアルミ前駆体線又は前記ニオブアルミ前駆体撚線の性能を引き継ぐことができる。そのため、本発明の新規のニオブアルミ超伝導線又はニオブアルミ超伝導撚線によれば、例えば、良好な可撓性(いわゆる、フレキシブル性)を発現できるので、該ニオブアルミ超伝導線又はニオブアルミ超伝導撚線を用いて電磁石を製造する場合でも、ニオブチタン合金線と類似のハンドリングで絶縁処理やコイル巻きが可能である。その結果として、本発明の新規のニオブアルミ超伝導線又はニオブアルミ超伝導撚線によれば、例えば、医療用MRI、NMRスペクトロメータ、リニアモーターカー、高エネルギー粒子加速器、核融合炉、超伝導モーター及び超伝導発電機等の各種の超伝導応用機器の実現に有望であり、該超伝導応用機器の性能向上が期待できる。或いは、例えば、従来のニオブアルミ超伝導線や撚線ケーブルを低コストで提供でき、絶大な技術的及び経済的効果をもたらすことが期待できる。或いは、極細のニオブアルミ超伝導線又はニオブアルミ超伝導撚線を2本以上から数万本で束ねて撚ることが容易なため、例えば、通電容量の大型化が簡易になると期待できる。
図1は、本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体線の断面図である。 図2は、従来の多芯線であるニオブアルミ前駆体線の代表例と本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線(1次撚線)の一例の断面図と両者の曲げ機構を示す概念図である(ここで、図中の(a)が、従来の多芯線であるニオブアルミ前駆体線の代表例に関する図であり、図中の(b)が、本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線(1次撚線)の一例に関する図である。)。 図3は、本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線(2次撚線)の構造の一例を示す図である。 図4は、本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線(3次撚線)の断面構造の一例を示す図である。 図5は、本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線(5次撚線)の断面構造の一例と、該5次撚線を用いた超伝導ケーブルの一例を示す図である。 図6は、実施例の例1で作製したニオブアルミ前駆体線材の断面を示すSEM像である。 図7は、実施例の例2で作製したニオブアルミ前駆体線材の断面を示すSEM像である。 図8は、実施例の例3で作製したニオブアルミ前駆体線材の断面を示すSEM像である。 図9は、実施例の例4で作製したニオブアルミ前駆体線材の断面を示すSEM像である。 図10は、実施例の例5で作製したニオブアルミ前駆体線材の断面を示すSEM像である。 図11は、実施例の例6で作製したニオブアルミ前駆体線材の断面を示すSEM像である。 図12は、実施例の例7で作製したニオブアルミ前駆体線材の断面を示すSEM像である。 図13は、実施例の例1から14における中心部の安定化銅の割合と最終線径で得られた単一条長との関係を示す図である。 図14は、実施例の例5で得られた外径(最終線径)が0.05mmのニオブアルミ前駆体線(素線)を熱処理(条件:10-3Pa以下の高真空中において、800℃で10時間保持)して製造したニオブアルミ超伝導線に関する、外部磁場(単位:T(テスラ))と超伝導輸送電流値(単位:A(アンペア))との関係を示す図である。 図15は、実施例の例5で得られた外径(最終線径)が0.05mmのニオブアルミ前駆体線(素線)を19本束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の1次撚線としたニオブアルミ前駆体撚線の断面構造を示す図である。 図16は、実施例の例5で得られた外径(最終線径)が0.05mmのニオブアルミ前駆体線(素線)を19本束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本としたニオブアルミ前駆体撚線(1次撚線)を熱処理(条件:10-3Pa以下の高真空中において、800℃で10時間保持)して製造したニオブアルミ超伝導撚線に関する、外部磁場(単位:T(テスラ))と超伝導輸送電流値(単位:A(アンペア))との関係を示す図である。該図には、図14の結果も併せて示す。 図17は、実施例の例5で得られた外径(最終線径)が0.05mmのニオブアルミ前駆体線(素線)を7本束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本としたニオブアルミ前駆体撚線(1次撚線)を7本束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の撚線(2次撚線)としたニオブアルミ前駆体撚線の断面構造を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができることに留意すべきである。
本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体線は、上述のとおり、安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる、棒状の巻芯と、前記巻芯の周囲に巻き付ける、アルミ箔とニオブ箔を重ねた積層体と、前記積層体の周囲を覆う被覆体であって、安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる前記被覆体と、を含む。加えて、前記ニオブアルミ前駆体線は、該前駆体線中に含有される、非安定化銅に対する安定化銅の体積比が、0.5以上2.0以下であり、前記巻芯に含まれる安定化銅の体積と前記被覆体に含まれる安定化銅の体積の総体積に対して、(1)前記巻芯に含まれる安定化銅の体積比率は30%から70%の範囲であり、(2)前記被覆体に含まれる安定化銅の体積比率は70%から30%の範囲である(但し、前記巻芯に含まれる安定化銅の体積比率と前記被覆体に含まれる安定化銅の体積比率の合計は100%である)。
本願において「ニオブアルミ前駆体線」とは、線材(具体的には伸線)加工しただけで熱処理を行っていないニオブアルミ(NbAl)線を意味する。他方、該ニオブアルミ線を熱処理することにより製造される超伝導線のことを、本願では「ニオブアルミ超伝導線」と称する。
本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体線は、安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる、棒状の巻芯と、前記巻芯の周囲に巻き付ける、アルミ箔とニオブ箔を重ねた積層体と、前記積層体の周囲を覆う被覆体であって、安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる前記被覆体と、を含む構造を有することからも理解されるとおり、いわゆる単芯線である。
前記ニオブアルミ前駆体線を構成する「棒状の巻芯」と前記巻芯の周囲に巻き付ける「アルミ箔とニオブ箔を重ねた積層体」の周囲を覆う「被覆体」はいずれも、安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる。前記「棒状の巻芯」と「被覆体」はいずれも、安定化銅であることが好ましい。
「安定化銅」は、無酸素銅等の純銅で、安定化材である。これは、ニオブアルミ前駆体線を超伝導線として実用化する場合、その材料として、万一、超伝導状態が破れた場合に備え、バイパスルートとなる極低温において電気伝導度の優れた材料(該材料のことを「安定化材」と称する。)である純金属が必ず複合されている複合構造を有している必要があり、該純金属としては純銅が好ましいためである。
「非安定化銅」は、前記安定化銅以外の材料を意味する。
「棒状の巻芯」は、文字とおり棒状の形状を有するが、本発明の目的を達成することができれば、その形状に特に制限はない。
「アルミ箔とニオブ箔を重ねた積層体」は、アルミ箔とニオブ箔を1枚ずつ重ねたものを意味する。通常、アルミ箔の厚みは、0.1mm(100μm)、ニオブ箔の厚みは0.03mm(30μm)とするのが好ましい。但し、本発明の目的を達成することができれば、特にこの値に制限されるものではなく、厚みは薄ければ薄いほどより好ましい。
また、通常、巻芯と接する側がアルミ箔になるようにして該アルミ箔とニオブ箔を重ねるのが好ましいが、本発明の目的を達成することができれば、特にこの順番に制限されるものではない。
アルミ箔とニオブ箔を重ねた積層体を棒状の巻芯の周囲へ巻き付けるには、棒状の巻芯に対してアルミ箔とニオブ箔を重ねた積層体をロール状に巻いていけばよい。
アルミ箔とニオブ箔を重ねた積層体の周囲を覆う「被覆体」は、上述のとおり、安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなるものであれば、その形態に特に制限はない。前記被覆体の形態は、通常、1本の銅管である。
前記ニオブアルミ前駆体線は、該前駆体線中に含有される、非安定化銅に対する安定化銅の体積比が、0.5以上2.0以下である。下限値を0.5以上とすると、極細(具体的には、50μm以下)のニオブアルミ線を超伝導線に加工した場合のニオブアルミ超伝導線に占める安定化銅の割合が高くなるため、万一、超伝導状態が破れてクエンチした場合でも線材が焼き切れてしまうという事態が好ましく回避される。このような観点から、非安定化銅に対する安定化銅の前記体積比の下限値は、0.9以上とするのが好ましく、1.0以上とするのがより好ましい。また、上限値を2.0以下とすると、極細ニオブアルミ超伝導線に占める安定化銅の割合が多すぎるために相対的に超伝導の割合が小さくなって超伝導の効果が薄れてしまうという事態が好ましく回避される。
前記ニオブアルミ前駆体線では、前記巻芯に含まれる安定化銅の体積と前記被覆体に含まれる安定化銅の体積の総体積に対して、(1)前記巻芯に含まれる安定化銅の体積比率は30%から70%の範囲であり、(2)前記被覆体に含まれる安定化銅の体積比率は70%から30%の範囲である。但し、前記巻芯に含まれる安定化銅の体積比率と前記被覆体に含まれる安定化銅の体積比率の合計は100%である。
前記ニオブアルミ前駆体線の中心部に位置する巻芯に含まれる安定化銅の体積比率、及び、前記ニオブアルミ前駆体線の外周部に位置する被覆体に含まれる安定化銅の体積比率の両方が、上記範囲内に設定されると、ニオブ、アルミ、銅などの、硬さや伸び並びに加工硬化率や塑性加工限界などの機械的性質が異なる金属の複合体であるニオブアルミ前駆体線全体の機械特性のバランスが取れる。そのため、前記ニオブアルミ前駆体線によれば、伸線加工後の最終線径(外径)を50μm以下にし、そのうえ、1,000m以上の単一条長の確保も可能になる。
また、中心部に位置する巻芯に含まれる安定化銅の体積比率を30%以上にすると、ニオブアルミ前駆体線全体の機械特性のバランスが取れるので望ましい。中心部の安定化銅は、ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きする際の巻き芯に由来するものであるが、中心部の安定化銅の体積比率を30%以上にすることは、安定化銅が少ないために巻き芯の径が細くなり作業性が著しく低下するという問題が好ましく回避できるという点でも望ましい。
また、中心部に位置する巻芯に含まれる安定化銅の体積比率を70%以下にすると、ニオブアルミ前駆体線全体の機械特性のバランスが取れるので望ましい。具体的には、伸線加工中に銅皮が破れて剥がれやすくなり、断線を誘発する原因となることを回避できるので望ましい。中心部の安定化銅の体積比率を70%以下にするということは、外周部の安定化銅の体積比率が30%よりも大きくなるということであり、これは、ニオブアルミ前駆体線の外周部に位置する、安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる被覆体の厚み(すなわち、銅皮の厚み)が十分に確保でき、銅皮の厚みが薄くなって破れやすくなるという問題が望ましく回避できることを意味するからである。
本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体線は、前記巻芯及び/又は前記被覆体と、前記積層体との間にアルミに対して反応性の低い物質からなる層(該層を、本願では「拡散バリア層」とも称する。)を含むものであってもよい。
拡散バリア層は、前記ニオブアルミ前駆体線を熱処理してニオブアルミ超伝導線を製造する際に、前記積層体を構成するアルミ箔のアルミと該アルミ箔に接触している前記巻芯及び/又は前記被覆体の銅が反応し、その反応量によってはニオブアルミ超伝導線全体の特性に影響を与えることがあり得るので、このような事態を防止できるという点で好ましい。
したがって、拡散バリア層としては、熱処理してニオブアルミ超伝導線を製造する際に、該ニオブアルミ超伝導線全体の特性に影響を与えない程度にアルミや銅との反応性が低い物質であれば、本発明の目的を達成できる限り、特に制限はない。具体的には、例えば、ニオブやタンタルが挙げられる。
また、前記巻芯と前記積層体との間の拡散バリア層と、前記積層体と前記被覆体との間の拡散バリア層は、アルミや銅との反応性が低い物質である限り、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体線の断面図を例示的に図1に示す。図1に示す本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体線では、中心部に、安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる、棒状の巻芯5が位置し、ニオブやタンタルなどのアルミや銅に対して反応性の低い拡散バリア層4を挟んで巻芯1の周囲にはアルミ箔とニオブ箔を重ねた積層体3が位置し、積層体3の周囲(すなわち、ニオブアルミ前駆体線の外周部)には、ニオブやタンタルなどのアルミや銅に対して反応性の低い拡散バリア層2を挟んで被覆体としての銅管1が位置する構造を有する。拡散バリア層2、4は、任意に設けてよい。
本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線は、本発明の一態様として上述した前記ニオブアルミ前駆体線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の1次撚線としたものである。該1次撚線の断面図を、従来の多芯線であるニオブアルミ前駆体線の代表例の断面図と比較して図2に示す。従来の多芯線であるニオブアルミ前駆体線としてその代表例が図2(a)に、本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線(1次撚線)としてその一例が図2(b)に示されている。
従来の多芯線であるニオブアルミ前駆体線の断面図は、図2(a)に示すとおり、純銅棒を巻芯にして巻き重ねたニオブ箔及びアルミ箔の積層体(任意に純銅棒とニオブ箔及びアルミ箔の積層体の間に拡散バリア層を含む)を数十本束ねて1本の純銅管に挿入した構造となっている。便宜上、純銅棒を巻芯にして巻き重ねたニオブ箔及びアルミ箔の積層体(任意に純銅棒とニオブ箔及びアルミ箔の積層体の間に拡散バリア層を含む)を、ここでは「フィラメント」とも称する。
他方、本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線の断面図は、図2(b)に示すとおり、純銅棒を巻芯にして巻き重ねたニオブ箔及びアルミ箔の積層体を1本の純銅管に挿入したニオブアルミ前駆体線(すなわち、単芯線)を2本以上(図2(b)では、数十本)束ねて撚り合わせるだけで1本の1次撚線とした構造となっている。
従来の多芯線であるニオブアルミ前駆体線を曲げると、該多芯線を構成する個々のフィラメントの線材外径が例えば50μmであるとしても、図2(a)の曲げ機構を示す概念図に見られるとおり、個々のフィラメントが互いに固着して全体が一体化されているため、曲げの中立軸は多芯線全体の中央になるため該中央部にかかる歪み量が非常に大きくなってしまう。具体的には、従来の多芯線であるニオブアルミ前駆体線の線材外径は、上述のとおり、0.8から1.5mm程度であるため、数mm程度の極小さな曲率半径で曲げた場合でも、線材外径が0.05mm(50μm)のフィラメントが1本の場合に受ける曲げ歪み量と比較すると、100倍以上も大きな歪みを受けることになる。そのため、従来の多芯線であるニオブアルミ前駆体線を数十mmの曲率半径で曲げれば、折れて破断したり特性が劣化したりしてしまう。
他方、本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線を曲げると、数十本の単芯線であるニオブアルミ前駆体線を束ねて撚り合わせることによって太径のニオブアルミ前駆体撚線(換言すると、ニオブアルミ前駆体線の集合体)とした場合でも、図2(b)の曲げ機構を示す概念図に見られるとおり、ニオブアルミ前駆体撚線を構成している個々のニオブアルミ前駆体線の単芯線(すなわち、素線)自体は個々に接しているものの固着していないため、各単芯線(素線)は、ニオブアルミ前駆体撚線全体(換言すると、ニオブアルミ前駆体線の集合体)の中で容易に滑ることができる。そのため、ニオブアルミ前駆体撚線(換言すると、ニオブアルミ前駆体線の集合体)とした場合でも、曲げの中立軸は、各単芯線(素線)のほぼ中央にあって変化しない。その結果、本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線によれば、従来の多芯線であるニオブアルミ前駆体線とは異なり、可撓性(いわゆる、フレキシブル性)が維持されることになる。特に、ニオブアルミ前駆体線の単芯線(素線)の線材外径が、髪の毛よりも細い極細の50μm以下の場合には、可撓性(いわゆる、フレキシブル性)が大きく維持されることになる。
本発明の一態様である「ニオブアルミ前駆体撚線」はまた、ニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせを1回実施することにより1本の2次撚線とした、ニオブアルミ前駆体撚線である。ここで、1回目に実施される前記撚り合わせで使用されるニオブアルミ前駆体撚線は、本発明の一態様として上述した前記ニオブアルミ前駆体撚線(1次撚線)である。
本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線(2次撚線)の構造の一例を図3に示す。図3には、本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線(2次撚線)として、素線(具体的には、本発明の一態様として上述した前記ニオブアルミ前駆体線)を2本以上束ねて撚り合わせて1本の1次撚線とし、該1次撚線を2本以上束ねて撚り合わせて1本の2次撚線とする構造が例示されている。
本発明の一態様である「ニオブアルミ前駆体撚線」はまた、ニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせを2回実施することにより1本の3次撚線とした、ニオブアルミ前駆体撚線であって、2回目の前記撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線は、1回目の前記撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線(2次撚線)を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の撚線とする撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線である。ここで、1回目に実施される前記撚り合わせで使用されるニオブアルミ前駆体撚線は、本発明の一態様として上述した前記ニオブアルミ前駆体撚線(1次撚線)である。
本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体線(3次撚線)の断面構造の一例を図4に示す。図4には、本発明の一態様であるニオブアルミ前駆体撚線(3次撚線)として、素線(具体的には、本発明の一態様として上述した前記ニオブアルミ前駆体線)を37本束ねて撚り合わせることにより1本の1次撚線とし、該1次撚線を7本束ねて撚り合わせることにより1本の2次撚線とし、該2次撚線を12本束ねて撚り合わせることにより1本の3次撚線とし、該3次撚線が帯状ケーブルである構造が例示されている。
本発明の一態様である「ニオブアルミ前駆体撚線」はまた、ニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の撚線とする撚り合わせをn回実施することにより(n+1)次撚線とした、ニオブアルミ前駆体撚線であって(ここで、nは3以上の整数)、2回目以降の各前記撚り合わせを実施して製造されるニオブアルミ前駆体撚線は、1つ前の前記撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の撚線とする撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線である。ここで、1回目に実施される前記撚り合わせで使用されるニオブアルミ前駆体撚線は、本発明の一態様として上述した前記ニオブアルミ前駆体撚線(1次撚線)である。このように、ニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の撚線とする撚り合わせを繰り返して実施することにより、必要に応じて、4次以上の高次の撚線を作製することができる。
本発明の一態様である高次のニオブアルミ前駆体撚線の一例として5次撚線を取り上げ、その断面構造の一例と該5次撚線を用いた超伝導ケーブルの一例を図5に示す。図5には、素線(具体的には、本発明の一態様として上述した前記ニオブアルミ前駆体線)を3本束ねて撚り合わせることにより1本の1次撚線とし、該1次撚線を3本束ねて撚り合わせることにより1本の2次撚線とし、該2次撚線を5本束ねて撚り合わせることにより1本の3次撚線とし、該3次撚線を5本束ねて撚り合わせることにより1本の4次撚線とし、中心部に冷却チャンネルを配置して該4次撚線を6本束ねて撚り合わせることにより1本の5次撚線とすることが、各断面図を用いて例示されており、また、該5次撚線を圧縮成型することにより、線材外径(撚線径)を約40mmとする超伝導ケーブルが得られることが例示されている。
本発明の一態様であるニオブアルミ超伝導線は、本発明の一態様として上述した前記ニオブアルミ前駆体線を熱処理することにより生じる超伝導相を有する。前記超伝導相には、NbAlで表される相が含有されていることが好ましい。前記熱処理には、ニオブアルミ前駆体線を超伝導線へ行う際に適用される公知の熱処理法を適用すればよい。具体的には、例えば、真空中(10-2Pa以下)或いは酸化しない不活性ガス(アルゴンガスや窒素ガス等)雰囲気中において、純銅の融点(1,085℃)未満の任意の温度で、数分から数百時間保持して炉冷すればよい。
本発明の一態様であるニオブアルミ超伝導撚線は、本発明の一態様として上述した前記ニオブアルミ前駆体撚線を熱処理することにより生じる超伝導相を有する。前記超伝導相には、NbAlで表される相が含有されていることが好ましい。前記熱処理には、ニオブアルミ前駆体線を超伝導線へ行う際に適用される公知の熱処理法を適用すればよい。具体的には、例えば、真空中(10-2Pa以下)或いは酸化しない不活性ガス(アルゴンガスや窒素ガス等)雰囲気中において、純銅の融点(1,085℃)未満の任意の温度で、数分から数百時間保持して炉冷すればよい。
本願において定めのない条件については、本発明の目的を達成できる限り、特に制限はない。
次に、実施例と比較例を挙げながら本発明の実施の形態をより具体的に説明するが、本発明の実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<ニオブアルミ前駆体線の製造とその特性評価>
ニオブアルミ前駆体線の製造例を例1から例14に示す。例5から7、例11から14が本発明の一態様を示す製造例、いわゆる実施例に対応し、その他は本発明の態様には属さない製造例、いわゆる比較例に対応する。
(例1)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径2.0mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径12.3mm、内径10.1mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出、超硬ダイス、及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終伸線加工後の外径(該外径のことを本願では「最終線径」と称する)が0.05mmで、単一条長が126mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、0.5であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、7.5%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管の純銅(すなわち、安定化銅)の割合は、92.5%であった。図6には、本実施例で作製した最終線径が0.05mmのニオブアルミ前駆体線の断面図を示す。該断面図は、日立製作所製の卓上電子顕微鏡装置(型式:TM3030Plus)を使用し、反射電子像観察の条件で測定した結果である。
(例2)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径2.0mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径14.0mm、内径10.1mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.183mmで、単一条長が566mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、1.0であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、4.1%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管の純銅(すなわち、安定化銅)の割合は、95.9%であった。図7には、本実施例で作製した最終線径が0.183mmのニオブアルミ前駆体線の断面図を示す。該断面図は、日立製作所製の卓上電子顕微鏡装置(型式:TM3030Plus)を使用し、反射電子像観察の条件で測定した結果である。
(例3)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径3.0mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径12.3mm、内径10.1mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.05mmで、単一条長が455mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、0.6であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、15.4%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管の純銅(すなわち、安定化銅)の割合は、84.6%であった。図8には、本実施例で作製した最終線径が0.05mmのニオブアルミ前駆体線の断面図を示す。該断面図は、日立製作所製の卓上電子顕微鏡装置(型式:TM3030Plus)を使用し、反射電子像観察の条件で測定した結果である。
(例4)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径3.0mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径14.0mm、内径10.1mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.067mmで、単一条長が233mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、1.1であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、8.7%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管の純銅(すなわち、安定化銅)の割合は、91.3%であった。図9には、本実施例で作製した最終線径が0.067mmのニオブアルミ前駆体線の断面図を示す。該断面図は、日立製作所製の卓上電子顕微鏡装置(型式:TM3030Plus)を使用し、反射電子像観察の条件で測定した結果である。
(例5)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径5.0mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径12.3mm、内径10.1mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.05mmで、単一条長が2063mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、1.0であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、33.7%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管の純銅(すなわち、安定化銅)の割合は、66.3%であった。図10には、本実施例で作製した最終線径が0.05mmのニオブアルミ前駆体線の断面図を示す。該断面図は、日立製作所製の卓上電子顕微鏡装置(型式:TM3030Plus)を使用し、反射電子像観察の条件で測定した結果である。
本発明の一実施態様である本実施例によれば、最終線径が0.05mmで、単一条長が1,000m以上のニオブアルミ前駆体線が得られることを確認した。
(例6)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径6.0mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径12.3mm、内径10.6mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.05mmで、単一条長が1313mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、1.0であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、48.0%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管の純銅(すなわち、安定化銅)の割合は、52.0%であった。図11には、本実施例で作製した最終線径が0.05mmのニオブアルミ前駆体線の断面図を示す。該断面図は、日立製作所製の卓上電子顕微鏡装置(型式:TM3030Plus)を使用し、反射電子像観察の条件で測定した結果である。
本発明の一実施態様である本実施例によれば、最終線径が0.05mmで、単一条長が1,000m以上のニオブアルミ前駆体線が得られることを確認した。
(例7)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径7.0mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径12.3mm、内径11.2mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.05mmで、単一条長が1466mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、1.0であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、65.5%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管の純銅(すなわち、安定化銅)の割合は、34.5%であった。図12には、本実施例で作製した最終線径が0.05mmのニオブアルミ前駆体線の断面図を示す。該断面図は、日立製作所製の卓上電子顕微鏡装置(型式:TM3030Plus)を使用し、反射電子像観察の条件で測定した結果である。
本発明の一実施態様である本実施例によれば、最終線径が0.05mmで、単一条長が1,000m以上のニオブアルミ前駆体線が得られることを確認した。
(例8)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径6.0mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径14.0mm、内径10.1mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.07mmで、単一条長が134mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、2.0であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、72.3%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管の純銅(すなわち、安定化銅)の割合は、27.7%であった。
(例9)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径9.0mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径14.0mm、内径13.0mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.12mmで単一条長が30mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、1.2であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、75.0%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管(すなわち、外皮)に含まれている純銅製の割合は25.0%と低かった。このように純銅の外皮が薄いため、加工途中で銅が頻繁に破けて剥離した。
(例10)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径10.0mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径14.0mm、内径13.6mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.2mmで、単一条長が10mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、1.3であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、90.1%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管(すなわち、外皮)に含まれている純銅製の割合は9.9%とかなり低かった。そのため、実施例の例9よりもさらに純銅の外皮が薄く、加工途中で銅が剥離し断線が多発した。
(例11)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径4.0mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径12.3mm、内径10.8mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.05mmで、単一条長が2,015mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、0.5であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、31.6%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管の純銅(すなわち、安定化銅)の割合は、68.4%であった。
本発明の一実施態様である本実施例によれば、最終線径が0.05mmで、単一条長が1,000m以上のニオブアルミ前駆体線が得られることを確認した。
(例12)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径5.0mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径12.3mm、内径10.8mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.05mmで単一条長が1,957mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、0.7であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、41.9%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管の純銅(すなわち、安定化銅)の割合は、58.1%であった。
本発明の一実施態様である本実施例によれば、最終線径が0.05mmで、単一条長が1,000m以上のニオブアルミ前駆体線が得られることを確認した。
(例13)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径5.2mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径12.3mm、内径9.4mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.05mmで単一条長が1,650mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、1.5であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、30.1%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管の純銅(すなわち、安定化銅)の割合は、69.9%であった。
本発明の一実施態様である本実施例によれば、最終線径が0.05mmで、単一条長が1,000m以上のニオブアルミ前駆体線が得られることを確認した。
(例14)
厚さ0.1mmの純ニオブ箔と厚さ0.03mmの純アルミ箔を直径5.5mmの純銅製の巻芯に対して、巻き始めはニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが内側の拡散バリア層となり、その後ニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きしてこれが反応するとNbAl相を含んだ超伝導層となり、巻き終わりは再びニオブ箔だけを必要ターン数だけ巻いてこれが外側の拡散バリア層となるように重ね巻きした積層体を、外径12.3mm、内径9.0mmの純銅製の管に挿入し、冷間押出及び超硬ダイス及びダイヤモンドダイスにより引抜加工を行うことにより、最終線径が0.05mmで単一条長が1,750mのニオブアルミ前駆体線を得た。この得られたニオブアルミ前駆体線中の、非純銅(すなわち、非安定化銅)に対する純銅(すなわち、安定化銅)の体積比は、2.0であり、また、中心部に位置する前記巻芯の純銅(すなわち、安定化銅)の体積比率は、純銅製の前記巻芯の純銅と純銅製の前記管の純銅(すなわち、安定化銅)の総体積に対し、30.1%であった。つまり、外周部に位置する純銅製の管の純銅(すなわち、安定化銅)の割合は、69.9%であった。
本発明の一実施態様である本実施例によれば、最終線径が0.05mmで、単一条長が1,000m以上のニオブアルミ前駆体線が得られることを確認した。
表1は、例1から例14における、純銅製の巻芯(すなわち、銅巻芯)の直径、純銅製の管(すなわち、銅管)、中心部と外周部における銅の体積比率(すなわち、銅の分割率)、非純銅に対する純銅の体積比(すなわち、(銅/非銅)比)、最終線径、及び単一条長の各数値を纏めたものである。
また、図13において、実施例の例1から14における中心部の安定化銅の割合と最終線径で得られた単一条長との関係を纏めた。
図13に示すとおり、本発明の一態様である例5から7及び例11から14に記載のいずれのニオブアルミ前駆体線においても、0.05mmという極細の最終線径と、1,000m以上という長い単一条長が得られることを確認した。このことから、本発明によれば、ニオブアルミ前駆体線に含有される、非安定化銅に対する安定化銅の体積比が、超伝導線に加工した場合に要求される0.5以上2.0以下の範囲であっても、0.05mm(50μm)という極細の最終線径と、1,000m以上という長い単一条長が確保できることを確認した。
他方、本発明の態様には属さない例1から4及び例8から10に記載のニオブアルミ前駆体線においては、0.05mmという極細の最終線径と、1,000m以上という長い単一条長の確保の両方を満足するものがないことも確認した。
したがって、本発明のニオブアルミ前駆体線によれば、1,000m以上という長い単一条長の確保に加え、髪の毛よりも細い0.05mm(50μm)という極細の最終線径も確保できるため、本発明のニオブアルミ前駆体線は、可撓性(いわゆる、フレキシブル性)を発現でき、ニオブアルミ(NbAl)超伝導線を用いて電磁石を製造する場合でも、ニオブチタン合金線と類似のハンドリングで絶縁処理やコイル巻きを可能にすることがわかった。
<ニオブアルミ超伝導線の製造とその特性評価>
(例15)
実施例の例5で得られた最終線径が0.05mmで、単一条長が2063mの極細の単芯線(素線)であるニオブアルミ前駆体線の一部を切り出し、10-3Pa以下の高真空中において、800℃で10時間保持して拡散反応させてニオブ/アルミ積層体の部分に超伝導相であるNbAl相を生成させ、ニオブアルミ超伝導線を作製(製造)した。このニオブアルミ超伝導線を液体ヘリウム中で最大18T(テスラ)の外部磁場を印加して、ゼロ抵抗で通電できる超伝導輸送電流値を測定した。図14は、該単芯線(素線)の液体ヘリウム温度の4.2K(ケルビン)における超伝導輸送電流値と外部磁場の関係を示す図である。18Tの高磁場を印加してもゼロ抵抗で電流を通電でき、さらに2Tまで磁場を下げると、髪の毛より細い0.05mm(50μm)の超伝導線に3.5A(アンペア)まで通電できることがわかった。
<ニオブアルミ前駆体撚線及び該超伝導撚線の製造並びにその特性評価>
(例16)
実施例の例5で得られた最終線径が0.05mmで、単一条長が2063mの極細の単芯線(素線)であるニオブアルミ前駆体線の一部を使用して、該単芯線を19本束ねて撚り合わせることにより1本のニオブアルミ前駆体撚線(1次撚線)を作製(製造)した。図15に、作製した該撚線の断面図を示す。該断面図は、日立製作所製の卓上電子顕微鏡装置(型式:TM3030Plus)を使用し、反射電子像観察の条件で測定した結果である。図15に示すとおり、前記撚線加工による外観上でのダメージはないことを確認した。さらに、該撚線の一部を切り出し、10-3Pa以下の高真空中において、800℃で10時間保持して拡散反応させてニオブ/アルミ積層体の部分に超伝導相であるNbAl相を生成させ、ニオブアルミ超伝導撚線を作製(製造)した。このニオブアルミ超伝導撚線を液体ヘリウム中で最大18Tの外部磁場を印加して、ゼロ抵抗で通電できる超伝導輸送電流値を測定した。図16は、該超伝導撚線の液体ヘリウム温度の4.2Kにおける超伝導輸送電流値と外部磁場の関係を示す図である。図16には、参考のため、図14の結果も併せて示す。2Tの磁場中では65Aを超える大電流をゼロ抵抗通電でき、15Tの高磁場中でも2Aをゼロ抵抗通電できることがわかった。それらの値は、例15における外径が0.05mmの前記単芯線のちょうど19倍の超伝導輸送電流に相当することがわかり、超伝導特性上においても撚線加工によるダメージはないことがわかった。この場合、各単芯線は互いにどこかで接しているため、そこで電流が移り変わって撚線全体に均一に電流が流れることがわかった。
(例17)
実施例の例5で得られた最終線径が0.05mmで、単一条長が2063mの極細の単芯線(素線)であるニオブアルミ前駆体線の一部を使用して、該単芯線を7本束ねて撚り合わせることにより1本のニオブアルミ前駆体撚線(1次撚線)を作製した。この1次撚線を7本束ね、撚り合わせて1本の撚線とすることにより2次撚線を作製できることを確認した。図17に、作製した該撚線の断面図を示す。該断面図は、日立製作所製の卓上電子顕微鏡装置(型式:TM3030Plus)を使用し、反射電子像観察の条件で測定した結果である。図17に示すとおり、前記撚線加工による外観上でのダメージがないことを確認した。さらにこの2次撚線を複数本(2本以上)束ねて撚り合わせて1本の撚線とすることにより3次撚線を作製でき、外観上のダメージがないことを確認した(図示せず)。このような操作を繰り返すことにより、4次撚線以上の高次の撚線を作製することができ、外観上のダメージがないことを確認した(図示せず)。
また、2次以上の撚線加工したニオブアルミ前駆体撚線でも、1次ニオブアルミ前駆体撚線と同様、該前駆体撚線を800℃で10時間保持して拡散反応させてニオブ/アルミ積層体の部分に超伝導相であるNbAl相を生成させることにより、撚線加工によるダメージのない超伝導特性を有する2次以上のニオブアルミ撚線(すなわち、ニオブアルミ超伝導撚線)が作製(製造)できることを確認した(図示せず)。
このように必要な本数の撚線を束ねて撚り合わせることにより、極めて容易に所望の電流容量に自在に増加させることが可能なニオブアルミ撚線(すなわち、ニオブアルミ超伝導撚線)を作製(製造)できることがわかった。
また、ニオブアルミ前駆体撚線或いは該ニオブアルミ前駆体撚線を熱処理して超伝導相であるNbAl相を生成させたニオブアルミ超伝導撚線のいずれの場合でも、最終線径が0.05mm以下の極細の単芯線であるニオブアルミ前駆体線或いはニオブアルミ超伝導線同士は固着していないため、曲げても単芯線(ニオブアルミ前駆体線或いはニオブアルミ超伝導線)がスムーズに撚線(ニオブアルミ前駆体撚線或いはニオブアルミ超伝導撚線)の内部で局所的に滑って歪みが緩和されることがわかった。
本発明は、医療用MRI、NMRスペクトロメータ、リニアモーターカー、高エネルギー粒子加速器、核融合炉、超伝導モーター及び超伝導発電機等の各種の超伝導応用機器への利用や応用が大いに期待できる。そのため、多種多様な産業(例えば、医療機器産業、電気・通信機器産業、輸送産業、エネルギー産業等)への利用可能性がある。
1 銅管(安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅)
2,4 拡散バリア層(ニオブやタンタルなど)
3 積層体(ニオブ/アルミ)
5 巻芯(安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅)

Claims (13)

  1. 安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる、棒状の巻芯と、
    前記巻芯の周囲に巻き付ける、アルミ箔とニオブ箔を重ねた積層体と、
    前記積層体の周囲を覆う被覆体であって、安定化銅、又は、安定化銅及び非安定化銅からなる前記被覆体と、
    を含む、ニオブアルミ前駆体線であって、
    前記前駆体線中に含有される、非安定化銅に対する安定化銅の体積比が、0.5以上2.0以下であり、
    前記巻芯に含まれる安定化銅の体積と前記被覆体に含まれる安定化銅の体積の総体積に対して、
    (1)前記巻芯に含まれる安定化銅の体積比率は30%から70%の範囲であり、
    (2)前記被覆体に含まれる安定化銅の体積比率は70%から30%の範囲である(但し、前記巻芯に含まれる安定化銅の体積比率と前記被覆体に含まれる安定化銅の体積比率の合計は100%である)、
    前記ニオブアルミ前駆体線。
  2. 前記前駆体線中に含有される、非安定化銅に対する安定化銅の体積比が、0.9以上2.0以下である、請求項1に記載のニオブアルミ前駆体線。
  3. 前記巻芯と前記積層体の間にアルミに対して反応性の低い物質からなる層を含む、請求項1又は2に記載のニオブアルミ前駆体線。
  4. 前記積層体と前記被覆体の間にアルミに対して反応性の低い物質からなる層を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のニオブアルミ前駆体線。
  5. 外径が0.05mm以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載のニオブアルミ前駆体線。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載のニオブアルミ前駆体線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の1次撚線とした、ニオブアルミ前駆体撚線。
  7. ニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせを1回実施することにより1本の2次撚線とした、ニオブアルミ前駆体撚線であって、
    1回目に実施される前記撚り合わせで使用されるニオブアルミ前駆体撚線が、請求項6に記載のニオブアルミ前駆体撚線である、
    ニオブアルミ前駆体撚線。
  8. ニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせを2回実施することにより1本の3次撚線とした、ニオブアルミ前駆体撚線であって、
    2回目の前記撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線は、1回目の前記撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の撚線とする撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線であり、
    1回目に実施される前記撚り合わせで使用されるニオブアルミ前駆体撚線が、請求項6に記載のニオブアルミ前駆体撚線である、
    ニオブアルミ前駆体撚線。
  9. ニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の撚線とする撚り合わせをn回実施することにより(n+1)次撚線とした、ニオブアルミ前駆体撚線であって(ここで、nは3以上の整数)、
    2回目以降の各前記撚り合わせを実施して製造されるニオブアルミ前駆体撚線は、1つ前の前記撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線を2本以上束ねて撚り合わせ、該撚り合わせにより1本の撚線とする撚り合わせの実施により製造されるニオブアルミ前駆体撚線であり、
    1回目に実施される前記撚り合わせで使用されるニオブアルミ前駆体撚線が、請求項6に記載のニオブアルミ前駆体撚線である、
    ニオブアルミ前駆体撚線。
  10. 請求項1から5のいずれか一項に記載のニオブアルミ前駆体線を熱処理して付与された超伝導相を有する、ニオブアルミ超伝導線。
  11. 前記超伝導相は、NbAlで表される相を含有する、請求項10に記載のニオブアルミ超伝導線。
  12. 請求項6から9のいずれか一項に記載のニオブアルミ前駆体撚線を熱処理して付与された超伝導相を有する、ニオブアルミ超伝導撚線。
  13. 前記超伝導相は、NbAlで表される相を含有する、請求項12に記載のニオブアルミ超伝導撚線。
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