JPH11333773A - 真空吸着機器の吸着用部材及びその製造方法 - Google Patents

真空吸着機器の吸着用部材及びその製造方法

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JPH11333773A
JPH11333773A JP10143791A JP14379198A JPH11333773A JP H11333773 A JPH11333773 A JP H11333773A JP 10143791 A JP10143791 A JP 10143791A JP 14379198 A JP14379198 A JP 14379198A JP H11333773 A JPH11333773 A JP H11333773A
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suction
gas
carbon film
film
vacuum
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JP10143791A
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Inventor
Yasuo Murakami
泰夫 村上
Takahiro Nakahigashi
孝浩 中東
Jo Takeuchi
上 竹内
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Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期にわたり被吸着物の吸着保持及び離脱を
繰り返し円滑に行うことができ、それでいて格別のコス
ト高を招かず、また環境に対して安全である真空吸着機
器の吸着用部材及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 被吸着物に当てがわれ、該被吸着物を真
空吸引作用にて吸着保持するための真空吸着機器の吸着
パッド(吸着用部材)であって、吸着保持のために該被
吸着物に当接される部分表面が潤滑性のある炭素膜Fで
形成されている吸着パッドP、及び、真空吸着機器の吸
着パッド(吸着用部材)の製造方法であって、該吸着パ
ッドの基体Sを形成する工程と、該吸着パッド基体Sの
少なくとも被吸着物体に当てがわれる部分の表面S1に
潤滑性のある炭素膜Fを形成する工程とを含む吸着パッ
ドPの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物品の移動用保持
手段として用いられる真空吸着機器、すなわち、被搬送
物の吸着保持のために、それに当接される吸着用部材を
含む真空吸着機器のための吸着用部材及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】物品の移動用保持手段として用いられる
真空吸着機器は被搬送物の吸着保持のための吸着用部材
を備えている。該吸着用部材は被搬送物の大きさ、形状
等に応じて様々の形態に形成される。例えば、ガラス板
等の板体の移動用保持のための真空吸着装置では、板体
面に当接されるカップ形状の吸着用パッドが用いられ、
電子部品等の移動用保持には、真空ピンセットとして知
られている真空吸着装置において、該ピンセットの先端
部に電子部品等に当てがわれる吸着チップ(吸引孔を形
成したもの)が用いられる。
【0003】いずれにしても真空吸着機器における吸着
用部材は排気手段に連通され、その排気手段による吸着
用部材での気体吸引作用を利用して被吸着物を吸着保持
する。また、気体吸引を停止することで、吸着した物体
を離脱させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、真空吸
着機器のかかる吸着用部材には、該吸着用部材の材質、
被吸着物の材質等によって、或いは使用環境によって、
次第に塵埃等が固着することがあり、そのため吸引力を
作用させても気体漏れが生じて、被吸着物をうまく吸着
保持できなくなることがある。
【0005】また、吸着用部材の被吸着物との摩擦係数
が大きいと、吸引力を解除しても被吸着物の離れ性が悪
く、そのために吸着、解除を繰り返すうちに吸着用部材
が損傷して次第に十分な吸着機能を発揮できなくなるこ
とがある。この問題を解決するために潤滑性オイルを塗
布することが考えられるが、それでは被吸着物がオイル
のために汚れたり、吸着用部材に塵埃等が付着し易くな
る。
【0006】また、以上説明したような問題を解決する
ために吸着用部材の材質を選択することや、吸着用部材
の材質をゴムとする場合において、該部材の被吸着物へ
の接触面を塩酸処理してゴム表面の硬化をはかることも
考えられる。しかし、前者の場合には材料選択の幅が狭
くなり、材料の選出自体が困難となったり、材料の選択
は可能であっても吸着用部材コストが高くついたりす
る。後者の塩酸処理は環境に悪影響を与えるので採用し
難い。
【0007】そこで本発明は、長期にわたり被吸着物の
吸着保持及び離脱を繰り返し円滑に行うことができ、そ
れでいて格別のコスト高を招かず、また環境に対して安
全である真空吸着機器の吸着用部材及びその製造方法を
提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、被吸着物に当てがわれ、該被吸着物を真空
吸引作用にて吸着保持するための真空吸着機器の吸着用
部材であって、吸着保持のために該被吸着物に当接され
る部分表面が潤滑性のある炭素膜で形成されていること
を特徴とする真空吸着機器の吸着用部材を提供する。
【0009】また本発明は、被吸着物に当てがわれ、該
被吸着物を真空吸引作用にて吸着保持するための真空吸
着機器の吸着用部材の製造方法であって、該吸着用部材
の基体を形成する工程と、該吸着用部材基体の少なくと
も被吸着物に当てがわれる部分の表面に潤滑性のある炭
素膜を形成する工程とを含むことを特徴とする真空吸着
機器の吸着用部材の製造方法を提供する。
【0010】本発明に係る真空吸着機器の吸着用部材
は、吸着保持のために被吸着物に当接される部分表面が
潤滑性のある炭素膜で形成されているため、その部分へ
塵埃等が固着し難く、吸引力を作用させたときの塵埃等
による気体漏れを抑制できる。また、該被吸着物との滑
りが良く、その部分の摩擦係数は小さいので、吸引力を
解除したときの該被吸着物の離れ性が良くなり、吸着、
解除の繰り返しによる吸着用部材の損傷を抑制できる。
また、潤滑性オイル等を塗布しなくてもよいので被吸着
物がオイルのために汚れることがなく、オイルによる吸
着用部材への塵埃等の付着もない。これらのことから、
長期にわたり被吸着物の吸着保持及び離脱を繰り返し円
滑に行うことができる。
【0011】また、吸着用部材基体の材質は、その炭素
膜形成対象面に炭素膜を形成できるものであればよいの
で、吸着用部材の材料選択の幅が格別制限されることは
なく、材料面で格別のコスト高を招くことはない。さら
に、前記吸着用部材の被吸着物への接触面を塩酸処理す
ることがないので、環境に対して安全である。
【0012】本発明における真空吸着機器の吸着用部材
の基体は、少なくとも炭素膜形成面或いは炭素膜形成対
象面が、ゴム及び樹脂から選ばれた少なくとも1種の材
料からなっているものとすることができる。なお、ゴム
及び樹脂の他、真空吸着機器の吸着用部材として吸着機
能を発揮できる材料であれば、特に限定されない。前記
ゴムとしては天然ゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレ
ンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、
エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ニトリルゴ
ム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を例
示できる。
【0013】また、樹脂としては熱硬化性樹脂、熱可塑
性樹脂のいずれでも採用でき、熱硬化性樹脂としては、
フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミ
ン・ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹
脂、キシレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコー
ン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等を例示できる。熱可
塑性樹脂では、ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリビ
ニルブチレート、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリビニルホルマール、ポリ2塩化ビニル等)、ポ
リ塩化ビニリデン、塩素化ポリエーテル、ポリエステル
系樹脂(ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共
重合体等)、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリアセタール、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリ
レート、変性アクリル等)、ポリアミド系樹脂(ナイロ
ン6、66、610、11等)、セルロース系樹脂(エ
チルセルロース、酢酸セルロース、プロピルセルロー
ス、酢酸・酪酸セルロース、硝酸セルロース等)、ポリ
カーボネート、フェノキシ系樹脂、フッ素系樹脂(3フ
ッ化塩化エチレン、4フッ化エチレン、4フッ化エチレ
ン・6フッ化プロピレン、フッ化ビニリデン等の樹
脂)、ポリウレタン等を例示できる。
【0014】本発明における炭素膜は、前記吸着用部材
が吸着機能を発揮するために柔軟な特性を要求されるこ
とがあり、その場合には、該吸着用部材の変形に追随で
きる硬度を有することが望ましい。このような炭素膜と
しては、代表例としてDLC(Diamond Like Carbon、ダ
イヤモンド状炭素)膜を挙げることができる。DLC膜
は、潤滑性良好であり、また、他物品との摩擦により摩
耗し難く、且つ、その厚さを調整することにより、基体
本来の柔軟性を損なわない程度にすることができる適度
な硬度を有する炭素膜である。また、比較的低温で形成
できる等、成膜を容易に行うことができる。
【0015】いずれにしても前記炭素膜の膜厚は、基体
上に密着性良好に形成でき、さらに基体が柔軟性を有す
るものであるときは、その柔軟性を損なわない程度であ
ればよい。また、本発明における炭素膜形成方法として
は、プラズマCVD法、スパッタリング法、イオンプレ
ーティング法等を挙げることができるが、特にプラズマ
CVD法を用いる場合は、後述するプラズマによる前処
理と炭素膜形成とを同一の装置を用いて行うことができ
る。プラズマCVD、スパッタリング、イオンプレーテ
ィング等の膜形成方法は、吸着用部材基体の膜形成対象
面の材料としてゴム、樹脂等の比較的耐熱性に劣る材料
を用いた基体に熱的損傷を与えない温度範囲で膜形成で
きる利点がある。
【0016】プラズマCVD法により炭素膜を形成する
場合のプラズマ原料ガスとしては、炭素膜形成に一般に
用いられるメタン(CH4 )、エタン(C2 6 )、プ
ロパン(C3 8 )、ブタン(C4 10)、アセチレン
(C2 2 )、ベンゼン(C 6 6 )等の炭化水素化合
物ガス及び必要に応じて、これらの炭化水素化合物ガス
にキャリアガスとして水素ガス、不活性ガス等を混合し
たものを用いることができる。
【0017】なお、いずれにしても炭素膜は吸着用部材
の被吸着物に当接される部分以外にも形成されてもよ
い。また、本発明に係る真空吸着機器の吸着用部材の製
造方法において、前記炭素膜形成に先立ち、前処理とし
て前記吸着用部材基体の膜形成対象面を前処理用ガス、
例えばフッ素(F)含有ガス、水素(H2 )ガス及び酸
素(O2 )ガスから選ばれた少なくとも1種の前処理用
ガスのプラズマに曝すことができる。
【0018】前記フッ素含有ガスとしては、フッ素(F
2 )ガス、3フッ化窒素(NF3 )ガス、6フッ化硫黄
(SF6 )ガス、4フッ化炭素(CF4 )ガス、4フッ
化ケイ素(SiF4 )ガス、6フッ化2ケイ素(Si2
6 )ガス、3フッ化塩素(ClF3 )ガス、フッ化水
素(HF)ガス等を挙げることができる。吸着用部材の
基体を前記前処理用ガスのプラズマに曝すことにより、
基体の表面が清浄化され、又はさらに基体の表面粗度が
向上する。これらは、炭素膜の密着性向上に寄与し、高
密着性炭素膜を得ることができる。
【0019】また、吸着用部材基体の膜形成対象面がゴ
ム、樹脂等の有機材料からなる場合、フッ素含有ガスプ
ラズマを採用するときは、これによって基体表面がフッ
素終端され、水素ガスプラズマを採用するときはこれに
よって基体表面が水素終端される。フッ素−炭素結合及
び水素−炭素結合は安定であるため、このような終端処
理を施した面上に炭素膜を形成する場合は、膜中の炭素
原子が基体表面部分のフッ素原子又は水素原子と安定に
結合を形成する。そしてこれらのことから、その後形成
する炭素膜と前記基体との密着性を向上させることがで
きる。
【0020】また、酸素ガスプラズマを採用するとき
は、基体表面に付着した有機物等の汚れを特に効率良く
除去でき、これらのことからその後形成する炭素膜の密
着性を向上させることができる。本発明方法において、
プラズマによる前処理は同種類のプラズマを用いて或い
は異なる種類のプラズマを用いて複数回行っても構わな
い。例えば、吸着用部材の基体を酸素ガスプラズマに曝
した後、フッ素含有ガスプラズマ又は水素ガスプラズマ
に曝し、その上に炭素膜を形成するときには、基体表面
がクリーニングされた後、該面がフッ素終端又は水素終
端されて、その後形成する炭素膜と該基体表面との密着
性は非常に良好なものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は本発明に係る真空吸着機器
の吸着用部材の製造に用いることができる成膜装置の1
例の概略構成を示す図である。また、図2は本発明に係
る真空吸着機器の吸着用部材の1例(吸着用パッド)の
断面図である。
【0022】図1の装置は、排気装置11が付設された
真空チャンバ1を有し、チャンバ1内には電極2及びこ
れに対向する位置に電極3が設置されている。電極3は
接地され、電極2にはマッチングボックス22を介して
高周波電源23が接続されている。また、電極2にはそ
の上に支持される被成膜基体を成膜温度に加熱するため
のヒータ21が付設されている。また、チャンバ1には
ガス供給部4が付設されて、内部にプラズマ原料ガスを
導入できるようになっている。ガス供給部4には、マス
フローコントローラ411、412・・・及び弁42
1、422・・・を介して接続された1又は2以上のプ
ラズマ原料ガスのガス源431、432・・・が含まれ
る。
【0023】この装置を用いて本発明に係る真空吸着装
置の吸着用部材(ここでは吸着用パッド)を製造する方
法の1例について説明する。先ず、ここでは別途に予め
形成しておいたシリコーンゴムからなっている吸着用パ
ッド基体Sを、被吸着物に当接される面を電極3の方に
向けて、チャンバ1内の接地電極2上に設置し、排気装
置11の運転にてチャンバ1内部を所定の圧力まで減圧
する。また、ガス供給部4からチャンバ1内にフッ素含
有ガス、水素ガス及び酸素ガスのうち1種以上のガスを
前処理用ガスとして導入するとともに高周波電源23か
らマッチングボックス22を介して電極2に高周波電力
を供給し、これにより前記導入した前処理用ガスをプラ
ズマ化し、該プラズマの下で基体Sの被吸着物に当接さ
れる部分表面S1の前処理を行う。なお、この表面処理
(前処理)は行うことが望ましいが、必ずしも要しな
い。
【0024】次いで、必要に応じてチャンバ1内を再び
排気し、さらに圧力を再調整してガス供給部4からチャ
ンバ1内に成膜用原料ガスとして炭化水素化合物ガスを
導入するとともに高周波電源23からマッチングボック
ス22を介して電極2に高周波電力を供給し、これによ
り前記導入した炭化水素化合物ガスをプラズマ化し、該
プラズマの下で基体Sの表面S1に炭素膜を形成する。
【0025】このようにして、図2に示すように、吸着
用パッド基体Sの被吸着物に当てがわれる部分表面S1
が炭素膜Fで形成された炭素膜被覆吸着用パッドPが得
られる。このパッドPは吸着装置を構成する支持管5の
先端に接着等にて取り付け使用される。支持管5は図示
を省略した排気手段に連設される。この吸着用パッドP
は、基体Sの被吸着物に当接される部分表面が潤滑性を
有する炭素膜Fで形成されているため、その部分へ塵埃
等が固着し難く、吸引力を作用させたときの塵埃等の固
着による気体漏れを抑制できる。また、該被吸着物との
滑りが良く、その部分の摩擦係数は小さいので、吸引力
を解除したときの該被吸着物の離れ性が良くなり、被吸
着物の吸着、解除を繰り返しても吸着用パッドPの損傷
は抑制される。また、潤滑性オイル等を塗布しなくても
よいので被吸着物がオイルのために汚れることがなく、
吸着用パッドPにオイルによる塵埃等の付着もない。こ
れらのことから、長期にわたり被吸着物の吸着保持及び
離脱を繰り返し円滑に行うことができる。
【0026】また、吸着用パッドPの炭素膜Fは容易に
形成できるので、格別のコスト高を招くことはない。さ
らに、吸着用パッドPの被吸着物への接触面を塩酸処理
することがないので、環境に対して安全である。次に、
図1の装置を用いて、シリコーンゴムからなっている吸
着用パッドPの基体Sの被吸着物に当接される部分表面
S1にDLC膜を形成した実験例1及びプラズマによる
前処理を施した後DLC膜を形成した実験例2〜5につ
いて説明する。 実験例1 前述の図1の装置を用いた成膜方法において、前処理用
ガスプラズマによる吸着用パッド基体の前処理を行わ
ず、チャンバ1内で該吸着用パッド基体の被吸着物に当
接される部分表面S1に直接DLC膜を形成した。 被成膜基体 材質 シリコーンゴム サイズ パッド径(外径D) 50mm (内径d) 46mm 高周波電極サイズ 40cm×40cmの正方形 DLC膜形成の成膜条件 成膜用原料ガス メタン(CH4 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 成膜圧力 0.1Torr 成膜速度 200Å/min 成膜時間 60min 実験例2 前記実験例1において、DLC膜形成に先立ち、吸着用
パッド基体に次の条件で水素ガスプラズマによる前処理
を施した。成膜条件は前記実験例1と同様とした。 前処理条件 前処理用ガス 水素(H2 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 処理圧力 0.1Torr 処理時間 5min 実験例3 前記実験例1において、DLC膜形成に先立ち、吸着用
パッド基体に次の条件でフッ素化合物ガスプラズマによ
る前処理を施した。成膜条件は前記実験例1と同様とし
た。 前処理条件 前処理用ガス 6フッ化硫黄(SF6 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 処理圧力 0.1Torr 処理時間 5min 実験例4 前記実験例1において、DLC膜形成に先立ち、吸着用
パッド基体に次の条件で酸素ガスプラズマによる第1の
前処理を施し、さらに水素ガスプラズマによる第2の前
処理を施した。成膜条件は前記実験例1と同様とした。 第1前処理条件 前処理用ガス 酸素(O2 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 処理圧力 0.1Torr 処理時間 5min 第2前処理条件 前処理用ガス 水素(H2 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 処理圧力 0.1Torr 処理時間 5min 実験例5 前記実験例1において、DLC膜形成に先立ち、吸着用
パッド基体に次の条件で酸素ガスプラズマによる第1の
前処理を施し、さらにフッ素化合物ガスプラズマによる
第2の前処理を施した。成膜条件は前記実験例1と同様
とした。 第1前処理条件 前処理用ガス 酸素(O2 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 処理圧力 0.1Torr 処理時間 5min 第2前処理条件 前処理用ガス 6フッ化硫黄(SF6 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 処理圧力 0.1Torr 処理時間 5min 次に、前記実験例1〜5により得られた各DLC膜被覆
吸着用パッドについて膜の密着性を測定した。膜密着性
は、吸着用パッドの膜表面に円柱状の部材(直径5m
m)を接着剤を用いて接合させ垂直方向に引っ張り、膜
の剥離に要した引っ張り力を測定した。結果を次表に示
す。
【0027】 このように、DLC膜形成に先立ちシリコーンゴムから
なっている吸着用パッド基体の被吸着物に当接される部
分表面にプラズマによる前処理を施すことで膜密着性が
向上したことが分かる。
【0028】また、前記実験例1〜5により得られた各
DLC膜被覆吸着用パッド及び未処理の吸着用パッド基
体(比較例)について、潤滑性を評価した。潤滑性は、
3/8インチのSUJ−2(JIS G4805 高炭
素クロム軸受鋼鋼材)からなるボールを用い、荷重50
gf、速度0.1m/secの条件で走行開始直後及び
1km走行終了直前の膜被覆基体又は基体との摩擦係数
を測定するボールオンディスク法で評価した。結果を次
表に示す。
【0029】 このように、シリコーンゴムからなっている吸着用パッ
ド基体にDLC膜を被覆することで測定用のボールとの
摩擦係数が大きく低減したことが分かる。未処理の吸着
用パッド基体(比較例)では、ボールが固着し、測定不
能になった。
【0030】また、前記実験例1〜5により得られた各
DLC膜被覆吸着用パッド及び未処理の吸着用パッド基
体(比較例)について、吸着用パッドの耐久性を確認す
るために、50cm×50cm×厚さ1cm(質量57
5g)のガラス板を繰り返して吸着保持及び離脱できる
回数を測定した。なお、吸着真空度を−200mmH
g、離脱時のパッドとガラス板の距離を2mm、吸着時
間を1秒、吸着していない待機時間を1秒とした。
【0031】なお、パッドの理論吸着力W(kg)=
{パッド吸着面積(cm2 )×吸着真空度(−mmH
g)}/760 であり、パッド径50mmでは、理論吸着力Wは約5k
g(ただし静的条件で水平つりで約2.5kg)とな
る。 このように、シリコーンゴムからなっている吸着用パッ
ド基体にDLC膜を被覆することで、未処理の吸着用パ
ッド基体(比較例)に比べて6倍から10倍の回数、吸
着保持及び離脱を繰り返せることが分かる。
【0032】以上のことから、吸着保持のために被吸着
物に当接される部分表面を炭素膜(特にDLC膜)で形
成した本発明の真空吸着機器の吸着用部材は、潤滑性に
優れることが分かる。さらに、被吸着物の吸着保持及び
離脱を長期にわたり繰り返し円滑に行うことができるこ
とが分かる。なお、以上の説明は吸着用パッドについて
のものであるが、本発明は種々の真空吸着機器用の吸着
用部材について適用できる。例えば、特開平9−139
420号公報に開示されている電子部品等の吸着保持の
ための真空ピンセットにおける吸引孔を有する吸着チッ
プ等にも適用できる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、長
期にわたり被吸着物の吸着保持及び離脱を繰り返し円滑
に行うことができ、それでいて格別のコスト高を招か
ず、また環境に対して安全である真空吸着機器の吸着用
部材及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空吸着機器の吸着用部材の製造
に用いることができる成膜装置の1例の概略構成を示す
図である。
【図2】本発明に係る真空吸着機器の吸着用部材の1例
の断面図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバ 11 排気装置 2 高周波電極 21 ヒータ 22 マッチングボックス 23 高周波電源 3 接地電極 4 プラズマ原料ガス供給部 P 吸着用パッド S 真空吸着機器の吸着用部材基体 S1 吸着保持のために被吸着物に当てがわれる基体S
の部分の表面 F 炭素膜 5 支持管

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被吸着物に当てがわれ、該被吸着物を真空
    吸引作用にて吸着保持するための真空吸着機器の吸着用
    部材であって、吸着保持のために該被吸着物に当接され
    る部分表面が潤滑性のある炭素膜で形成されていること
    を特徴とする真空吸着機器の吸着用部材。
  2. 【請求項2】前記炭素膜がDLC膜である請求項1記載
    の真空吸着機器の吸着用部材。
  3. 【請求項3】前記吸着用部材の基体の炭素膜形成面がゴ
    ム又は樹脂からなっている請求項1又は2記載の真空吸
    着機器の吸着用部材。
  4. 【請求項4】被吸着物に当てがわれ、該被吸着物を真空
    吸引作用にて吸着保持するための真空吸着機器の吸着用
    部材の製造方法であって、該吸着用部材の基体を形成す
    る工程と、該吸着用部材基体の少なくとも被吸着物に当
    てがわれる部分の表面に潤滑性のある炭素膜を形成する
    工程とを含むことを特徴とする真空吸着機器の吸着用部
    材の製造方法。
  5. 【請求項5】前記炭素膜をDLC膜とする請求項4記載
    の真空吸着機器の吸着用部材の製造方法。
  6. 【請求項6】前記炭素膜をプラズマCVD法により形成
    する請求項4又は5記載の真空吸着機器の吸着用部材の
    製造方法。
  7. 【請求項7】前記吸着用部材の基体の炭素膜形成対象面
    をゴム又は樹脂で形成する請求項4、5又は6記載の真
    空吸着機器の吸着用部材の製造方法。
  8. 【請求項8】前記炭素膜形成に先立ち、前処理として前
    記吸着用部材基体の膜形成対象面をフッ素(F)含有ガ
    ス、水素(H2 )ガス及び酸素(O2 )ガスから選ばれ
    た少なくとも1種のガスのプラズマに曝す請求項4から
    7のいずれかに記載の真空吸着機器の吸着用部材の製造
    方法。
JP10143791A 1998-05-26 1998-05-26 真空吸着機器の吸着用部材及びその製造方法 Pending JPH11333773A (ja)

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