JPH1135189A - 膜状グリップ用部材及びその製造方法、並びにグリップ用回転部材及びその製造方法 - Google Patents

膜状グリップ用部材及びその製造方法、並びにグリップ用回転部材及びその製造方法

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JPH1135189A
JPH1135189A JP19726397A JP19726397A JPH1135189A JP H1135189 A JPH1135189 A JP H1135189A JP 19726397 A JP19726397 A JP 19726397A JP 19726397 A JP19726397 A JP 19726397A JP H1135189 A JPH1135189 A JP H1135189A
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JP
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film
projection
electroforming
mold
grip
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Application number
JP19726397A
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English (en)
Inventor
Yoko Inoue
葉子 井上
Hiroaki Shinkawa
博昭 新川
Masahiko Adachi
雅彦 足立
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Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に微細な突起が形成されているグリップ
ローラ等のグリップ用回転部材であって、その突起形状
が所定の搬送対象であるシートなどに突き刺さりやす
く、或いは引っ掛かりやすく、シートなどの搬送精度の
良いグリップ用回転部材、及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 銅製円柱状部材1の面112に円錐状の
凹部21が多数形成された電鋳用金型α1を準備する。
電鋳法により、該面112にニッケルを膜状に析出させ
る。面112からニッケル膜を分離して膜状グリップ用
部材41を得る。膜状グリップ用部材41をパイプ7に
巻き回して、スポット溶接し、グリップローラβ1(グ
リップ用回転部材)を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタ、複写
機、ファクシミリ機などのOA機器や、その他の機器に
おいて、シート(例えば紙)の搬送に好ましく用いるこ
とができるグリップローラ等のグリップ用回転部材及び
その製造方法に関する。また、かかるグリップ用回転部
材を作製するのに使用することができる膜状グリップ用
部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、複写機、ファクシミリ機など
のOA機器などにおいては、紙、OHP用シート等のシ
ートを、所定の方向、位置に搬送したり移動させたりす
るために、一般的にローラが用いられている。このよう
なローラには、表層がゴム材料からなるものが一般的に
はよく使われている。
【0003】例えば、シートを所定方向に送るために、
図24に示すような一対のローラが用いられている。ロ
ーラ92は回転可能に定位置に支持されており、図示を
省略したモータ等を含む駆動装置によって図中反時計回
りに回転駆動できる。ローラ91は、回転可能に支持さ
れているとともに、図示を省略した押圧装置によってロ
ーラ92に押圧されている。ローラ91はいわゆるピン
チローラと呼ばれるものである。シートSを例えば図中
左方向に送るときには、これらローラ91と92との間
にシートSを挟持させて、ローラ92を図中反時計回り
に回転駆動する。シートSは、回転するローラ92との
摩擦力によって図中左方向に送られる。
【0004】また、例えば、シートを複数枚積層収納す
るシートトレイ、シートカセットなどから、収納されて
いるシートを1枚取り出し、所定方向に送るためにもロ
ーラが用いられている。図25に示す例では、シートト
レイ97には、シートSが複数枚積層収納されており、
トレイ97に収納されている複数枚のシートSのうち、
最上層のシートSだけを取り出して、図中左方向に送る
ために、トレイ97の上部にはローラ94が配置されて
いる。また、トレイ97の底面971部分には、軸98
1を中心に揺動可能に押し上げ板98が配置されてい
る。押し上げ板98は、シートSをローラ94に接触さ
せるために、バネ96により上方向に付勢されている。
ローラ94を図中時計回りに回転駆動すると、ローラ9
4とシートSとの摩擦力によって、最上層のシートSは
図中左方向に送り出される。
【0005】このようにローラ92やローラ94は、回
転するローラとシートとの摩擦力によって、シートを所
定方向に移動させる。したがって、その摩擦力が小さい
と、ローラはシート上で滑ってしまい、シートを搬送す
ることができない。そのため、ローラとシートとは大き
な力で互いに圧接するようにされる。例えば、図24の
ピンチローラ91は、大きな力でローラ92に向けて押
圧される。図25の押し上げ板98は、バネ96による
大きな力でローラ94がある上方向に、シートSを押し
上げる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
大きな力でローラとシートとを接触させるようにする
と、例えば次のような問題が生じることがある。例え
ば、図25のシートトレイ97に複数収納されているシ
ートSが、片面コピー済みの用紙であり、図中上側の面
が既にコピーされている面である場合、ローラ94によ
って最上層のシートSを送り出すとき、その最上層のシ
ートSの下側の面と、最上層のシートSのすぐ下側のシ
ートSの既にコピーされている上側の面とが擦れ合っ
て、送り出したシートSの下側の面が汚れてしまうこと
がある。この場合、押し上げ板98等による上方向への
押し上げ力を弱めれば、シートSの下側の面が汚れるこ
とを抑制できるが、そうすると、シートSを送り出せな
くなってしまう。
【0007】一方、このような問題とは別に、次のよう
な問題もある。前述のようにローラは表層がゴム材料か
らなるものが多く使われている。そのため、長期の使用
などにより表層のゴムが劣化してくると、ローラとシー
トとの間に十分な摩擦力が発生せず、ローラがシート上
で滑ってしまうようなことが起こる。最悪の場合、シー
トをまったく送れなくなってしまうようなこともある。
【0008】このような問題を解決するため、また、X
−Yプロッターなどにおいて、シートを精度よく、正確
に搬送するなどのために、例えば、特開平6−1277
32号公報においては、次のようなローラが提案されて
いる。すなわち、図26に示すような、金属材料からな
る円筒体の外周面に微小な突起931が多数形成されて
いるグリップローラ93である。このグリップローラ9
3を、例えば図24のローラ92に代えて用いる場合に
は、ローラ外周面上に形成されている突起931がシー
トSに突き刺さるため、グリップローラ93を図中反時
計回りに回転駆動すると、シートSには突起931が次
々に突き刺さってゆき、シートSは突起931と結合し
ながら図中左方向に送られるとされている。
【0009】また、このようにグリップローラ93は、
ゴムローラのようにシートを摩擦搬送するものではな
く、突起931をシートSに結合させて搬送するため、
ローラ93とシートSとの間の相互の圧接力を小さくす
ることができ、突起931がシートSに突き刺さるた
め、ローラ93がシートS上で滑ってしまうようなこと
も抑制することができるとされている。
【0010】ところで、突起931の形状は、シートS
への突き刺さりやすさや引っ掛かりやすさ、したがっ
て、シートの搬送精度などに影響する。突起931がシ
ートSに突き刺さりにくかったり、引っ掛かりにくい
と、突起931とシートSとが結合しにくくなり、それ
だけシートの搬送精度などが悪化する。したがって、突
起931の形状はシートSに結合しやすい形状であるこ
とが好ましい。
【0011】しかしながら、例えば特開平6−1277
32号公報に開示されているように、突起931はエッ
チングを用いた手法によって形成するため、その突起形
状は一定化してしまい、搬送対象物に応じた都合のよい
形状に形成しにくい。そこで本発明は、表面に微小な突
起が多数形成されているグリップローラ等のグリップ用
回転部材であって、その突起形状が所定の搬送対象であ
るシートなどに突き刺さりやすく、或いは引っ掛かりや
すく、シートなどの搬送精度の良いグリップ用回転部
材、及び突起形状を容易にシートなどに突き刺さりやす
い、或いは引っ掛かりやすい形状とすることができるグ
リップ用回転部材の製造方法を提供することを課題とす
る。
【0012】また、本発明は、前記グリップ用回転部材
の製造に用いることができる膜状グリップ用部材、及び
その製造方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、片方の面に微小な所定形態の突起が多数形
成されている電鋳膜からなる膜状グリップ用部材、及び
回転部材芯体と、前記回転部材芯体の外周表面に設けら
れており、外側の面に微小な所定形態の突起が多数形成
されている電鋳膜からなる膜状のグリップ用部材とを有
するグリップ用回転部材を提供する。
【0014】本発明に係る膜状グリップ用部材及びグリ
ップ用回転部材は、それぞれ後述する電鋳法を利用した
本発明に係るこれらの製造方法によって作製することが
できる。電鋳膜とは、電鋳法により形成される膜をい
う。かかる電鋳膜の材料としては、電鋳法による析出可
能な金属材料を挙げることができる。このような金属材
料として、ニッケル、銅、クロム、鉄、亜鉛、Ni−C
o系合金、Ni−Fe系合金、Cu−Ni系合金、Fe
−Ni−Cr系合金、Ni−SiC系合金などを例示で
きる。かかる金属材料は、それには限定されないが、許
容応力が23kg/mm2 以下であることが好ましい。
突起をシート等に突き刺して、該シートを搬送などする
ときにおいて、該突起にかかる負荷に対して柔軟性(弾
性)をもたすためである。
【0015】かかる電鋳膜には、突起等の硬度を向上さ
せるために光沢剤を分散させてもよい。この場合には、
電鋳膜は上記例示したような金属材料とともに、光沢剤
が分散するように電鋳法によって析出したものである。
かかる光沢剤の例については後述する。また、かかる電
鋳膜には、突起表面の摩擦抵抗を小さくして、シート等
に突き刺さりやすくするなどのために、潤滑剤を分散さ
せてもよい。かかる潤滑剤の形態として、粒子状のもの
を例示できる。この場合には、電鋳膜は上記例示したよ
うな金属材料とともに、潤滑剤が分散するように電鋳法
によって析出したものである。かかる潤滑剤の例につい
ては後述する。
【0016】前記突起の外表面には、耐摩耗性を向上さ
せたり、硬度を上げるために、硬質膜を形成してもよ
い。かかる硬質膜の材料としては、例えばNi−P系合
金、Ni−B系合金等のニッケル合金や、クロム等を挙
げることができる。かかる硬質膜は、例えばメッキによ
り形成することができる。また、突起の最も外側の表面
には、突起表面の摩擦抵抗を小さくして、シート等に突
き刺さりやすくするなどのために、摩擦抵抗の小さい低
摩擦抵抗層を形成してもよい。かかる低摩擦抵抗層は、
例えばフッ素分散メッキ、フッ素コーティング、シリコ
ンコーティング等によって形成することができる。
【0017】前記膜状グリップ用部材は、前記グリップ
用回転部材を製造するときの一つの部品として利用する
ことができる。或いは、無端ベルト形状にすれば、単独
で紙等のシート搬送に利用することもできる。いずれに
しても、膜状グリップ用部材は、初めから(換言すれ
ば、製造段階から)、継ぎ目のない無端ベルト形状とし
て、前記突起をその外側の面に形成されるようにすれ
ば、それだけ無端ベルト形状にする工程が省ける。
【0018】本発明に係る膜状グリップ用部材及びグリ
ップ用回転部材のいずれも、表面に形成された突起を、
例えば紙、OHPシート等のシート状のものに突き刺し
て、該表面を移動させることによって、シート状のもの
を該表面移動方向に移動することができる。前記突起の
形状としては、例えば、円錐状、角錐状、円錐台状、角
錐台状、コニーデ状(いわゆる富士山状)を挙げること
ができる。円錐台とは、円錐体から頂点を含む部分を取
り除いた形状をいう。角錐台についても同様である。な
お、突起形状は、上記のものに限定されるものではな
く、後述する本発明の電鋳法を利用した製造方法によ
り、従来のエッチングを利用した製造方法に比べ自由度
の高い形状とすることができる。かかる突起は、それに
は限定されないが、例えば底面部の径が80〜200μ
m程度、高さが70〜100μm程度とすることができ
る。膜状グリップ用部材の膜厚は、それには限定されな
いが、例えば60〜150μm程度とすることができ
る。
【0019】前記突起は、例えば碁盤目状、千鳥目状等
の所定パターンにて配列すればよい。かかる突起は、そ
れには限定されないが、移動させるシートの移動方向に
対して0.15〜0.7mmピッチ程度で配列すればよ
い。前記突起の形状は、例えば、次の〜に示す形状
としてもよい。 前記突起を円錐台状又はコニーデ状として、その頂
面の直径Duと底面の直径Dbとが、Db/43≦Du
≦Db/3の関係を満たすようにし、該突起の高さH
を、0.04mm≦H≦0.2mmとして、該突起の先
端角θを、0°≦θ≦45°とする。かかる突起先端角
は、突起を断面にしてみたときに、突起斜面の突起の頂
面に接する2か所の位置での、2本の接線がなす角度を
いう。かかる突起先端角が0°となるのは、かかる2本
の接線が平行なときである。頂面径Duと底面径Dbと
は、Du=Db/3であれば、より好ましい。このよう
にすると、後述する実験結果等に示されるように、実用
上十分な強度が得られるとともに、該突起がシート等に
突き刺さりやすくなる。 前記突起を、該突起の底面より大きい頂面を有する
台座に支持させて、該突起の高さH2 と、該台座の高さ
H1 とを、該突起を突き刺して搬送すべきシートの厚さ
tに対して、H1 ≦H2 ≦t/2の関係を満たすように
する。このようにすると、該突起が搬送すべきシートを
突き破らない。 前記突起をコニーデ状として、そのすそ野部分のな
す稜線は滑らかな凹曲線を描いている形状とする。この
場合、前記底面部分の直径Daと前記突起の高さHと
が、1.5H≦Daの関係を満たすようにして、前記稜
線が描く凹曲線の半径Rと該突起の高さHとが、H/3
≦Rの関係を満たすようにすることが好ましい。このよ
うにすると、該突起の強度が向上するとともに、後述す
る電鋳法を利用した製造方法によって該突起を形成する
場合には、かかる形状に該突起を形成しやすくなる。
【0020】上記〜の突起形状は、外側の面に微小
な所定形態の金属材料からなる突起が多数形成されてい
るグリップ用回転部材であれば、公知のエッチングを利
用した手法などにより作製されるグリップ用回転部材に
おいても同様のことがいえる。以上説明した本発明に係
る膜状グリップ用部材及びグリップ用回転部材それぞれ
の製造方法として、本発明は次に示す製造方法を提供す
る。
【0021】すなわち、片方の面に微小な所定形態の突
起が多数形成されている金属材料からなる膜状グリップ
用部材の製造方法であって、電鋳用面に微小な所定形態
の凹部を多数形成した電鋳用金型を準備する工程と、該
金型の電鋳用面に電鋳法により前記金属材料を膜状に析
出させる工程と、該金型の電鋳用面に析出した電鋳膜を
該金型から分離して、前記突起を有する膜状のグリップ
用部材を得る工程とを含む膜状グリップ用部材の製造方
法、及び外側の面に微小な所定形態の突起が多数形成さ
れているグリップ用回転部材の製造方法であって、電鋳
用面に微小な所定形態の凹部を多数形成した電鋳用金型
を準備する工程と、該金型の電鋳用面に電鋳法により金
属材料を膜状に析出させる工程と、該金型の電鋳用面に
析出した電鋳膜を該金型から分離して、前記突起を有す
る膜状のグリップ用部材を得る工程と、該膜状グリップ
用部材を、その片方の面に形成されている突起を外側に
して、回転部材芯体に被せ着ける工程とを含むグリップ
用回転部材の製造方法である。
【0022】上記本発明の膜状グリップ用部材の製造方
法においては、次のようにして膜状グリップ用部材が作
製される。初めの工程においては、電鋳用面に、微小な
所定形態の凹部を多数形成した電鋳用金型を準備する。
電鋳用面上の所定形態の凹部に嵌合する凸部の形態が最
終的に形成する突起の形態となる。したがって、該凹部
の形態は、形成したい突起の形態に合わせればよい。該
凹部のなす所定パターンが最終的に形成する突起のなす
所定パターンとなる。該凹部は電鋳用金型の電鋳用面
に、例えば、レーザー加工、ポンチを用いた打刻などの
塑性加工、ブラスト加工、ローレット加工、その他公知
の手法により形成することができる。電鋳用金型の材料
としては導電性材料を用い、例えば銅、銅合金、ステン
レス鋼等を挙げることができる。該金型の形状として
は、例えば、円柱状を挙げることができ、この場合に
は、電鋳用面としては、その外周面を挙げることができ
る。また、該金型を、2以上に分割可能な中空筒状の金
型であって、該金型の中空部分の断面形状は円状とし
て、電鋳用面を、該金型の中空部分の内周面としてもよ
い。このようにすると、後述するように得られる膜状グ
リップ用部材は、継ぎ目のない無端ベルト状になる。い
ずれにしても、後の工程において該電鋳用面に析出する
電鋳膜を、該電鋳用面から容易に分離、剥離するため
に、かかる電鋳用面には、クロムメッキ、無電解ニッケ
ルメッキ、WCスパッタリングを施しておいてもよい。
【0023】次の工程においては、準備した電鋳用金型
の電鋳用面に電鋳法により、前記金属材料を膜状に析出
させる。析出する電鋳膜の硬度を向上させるなどのため
に、この工程において使用する電鋳用電解液には、光沢
剤を含ませてもよい。かかる光沢剤としては、サッカリ
ンナトリウムや、ナフタリントリスルフォン酸ナトリウ
ム等のスルフォン酸系光沢剤、ブチンジオール、ブチン
チオール等のアルコール系光沢剤を例示できる。電鋳用
電解液に光沢剤を含ませると、析出する電鋳膜は金属材
料に光沢剤が分散したものとなる。また、この工程にお
いて使用する電鋳用電解液には、形成される突起表面の
摩擦抵抗を小さくするための潤滑剤を含ませてもよい。
かかる潤滑剤は粒子状のものが好ましい。かかる潤滑剤
としては、例えばPTFE、MoS2 、BNなどを挙げ
ることができる。このように電鋳用電解液に潤滑剤を含
ませると、析出する電鋳膜は金属材料に潤滑剤が分散し
たものとなる。電鋳法により金属材料を膜状に析出させ
るときには、公知の各種手法を適用してもよい。
【0024】そして、次の工程においては、電鋳用金型
の電鋳用面に析出した電鋳膜を該金型から分離する。こ
れにより、電鋳用面に接していた片方の面に、微小な電
鋳用面上の凹部の形態に対応した所定形態の突起が多数
形成されている電鋳膜からなる膜状のグリップ用部材が
得られる。なお、前述のように、電鋳用金型が、2以上
に分割可能な中空筒状の金型であって、該金型の中空部
分の断面形状は円状として、電鋳用面が、該金型の中空
部分の内周面であった場合には、得られる膜状グリップ
用部材は、継ぎ目のない無端ベルト状になる。金型を2
以上に分割可能にしておいたため、電鋳用面から容易に
分離できる。
【0025】このようにして得られた膜状グリップ用部
材の表面に、耐摩耗性を向上させるなどのために硬質膜
を形成してもよい。かかる硬質膜は、硬質クロムメッキ
や無電解ニッケルメッキ等により形成することができ
る。また、このようにして得られた膜状グリップ用部材
の最も外側の表面には、摩擦抵抗の小さい低摩擦抵抗層
を形成してもよい。かかる低摩擦抵抗層は、例えばフッ
素分散メッキ、フッ素コーティング、シリコンコーティ
ング等によって形成することができる。このような低摩
擦抵抗層を形成すると、突起がシート等に突き刺さりや
すくなる。
【0026】上記のように、膜状グリップ用部材の片方
の面に形成されている突起の形態は、電鋳用金型の電鋳
用面に形成されている凹部の形態に対応したものとなる
ため、突起の形態を前記からに示した形態とするに
は、電鋳用面上の凹部の形態を、それぞれ前記〜に
対応する形態とすればよい。なお、突起の形態を前記
の形態にするには、凹部をコニーデ状として、そのすそ
野部分のなす稜線は滑らかな凹曲線を描いている形状と
する。この場合、突起の底面部分に対応する凹部の開口
面の直径Daと該突起の高さに対応する凹部の深さHと
は、1.5H≦Daの関係を満たし、前記稜線が描く凹
曲線の半径Rと該凹部の深さHとは、H/3≦Rの関係
を満たしていることが好ましい。このようにすると、形
成される突起の強度が向上するとともに、電鋳用面に金
属材料等を析出させる工程において、該凹部のエッジ部
分等の一部の部分だけに析出するような不具合を抑制で
き、該凹部の形態に対応した形態の突起を形成しやすく
なる。
【0027】本発明に係るグリップ用回転部材の製造方
法においては、このようにして得られた膜状グリップ用
部材を用いて、次のようにしてグリップ用回転部材を作
製する。すなわち、得られた膜状グリップ用部材を、そ
の片方の面に形成されている突起を外側にして、回転部
材芯体に被せ着けることによって、外側の面に微小な所
定形態の突起が多数形成されているグリップ用回転部材
が得られる。膜状グリップ用部材は、回転部材芯体の全
体に被せ着ける必要はなく、その一部だけに被せ着ける
ようにしてもよい。
【0028】かかる回転部材芯体を、例えばローラ形状
にして、その周面に膜状グリップ部材を被せ着けると、
プリンタ、複写機、ファクシミリ機等のOA機器などに
おいて、紙、OHP用シート等のシートの搬送に好まし
く利用できるローラ形状のグリップ用回転部材が得られ
る。このように、回転部材芯体をローラ形状とする場合
において、膜状グリップ用部材が短冊状であるときに
は、膜状グリップ用部材は該芯体の周面に、例えばスパ
イラル状に巻き付けて、スポット溶接によって該芯体に
固着したり、或いは、接着剤によって固着すればよい。
また、膜状グリップ用部材を、前記のように継ぎ目のな
い無端ベルト状に形成しておけば、それ自体でもグリッ
プ用回転部材として用いることができ、また、この膜状
グリップ用部材の内側に、ローラ形状の回転部材芯体を
通して、スポット溶接や接着剤によって固着するだけで
ローラ形状のグリップ用回転部材が得られる。したがっ
て、スパイラル状に巻き付ける工程が省ける。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。まず、本発明に係る膜状グリップ
用部材及びグリップ用回転部材の製造方法における基本
的な各工程について、次の実施例1において順に説明す
る。 (実施例1)(基本的製造方法) (A)電鋳用金型準備工程 この工程においては、後の電鋳工程において用いる、電
鋳用面に、微小な所定形態の凹部を多数形成した電鋳用
金型を準備する。
【0030】本例では、まず、図1(A)に示す形態の
円柱状部材1を用意した。円柱状部材1は、本例では銅
からなり、直径80mm、高さ160mmである。円柱
状部材1の周面11には、該周面を軸線方向に3つに分
割するように全周にわたり溝115、116が形成され
ており、さらに、軸線方向を斜めに横切るように、溝1
14が形成されている。これらの溝の深さは、本例では
1mmである。これらの溝によって、周面11は、帯状
の面111、112、113の三つに分割されている。
溝114、115及び116には、本例ではシリコンが
埋め込まれている。
【0031】これらにより、円柱状部材1の周面11に
おいては、電気導体(本例では、銅)として露出してい
るのは面111、112及び113であり、その他の溝
114、115及び116部分は、不導体(本例では、
シリコン)が露出している。なお、不導体部分には、後
の電鋳工程において金属材料が析出しない。このような
円柱状部材1に、本例では、図2(A)に示す形状のポ
ンチ31を用いた打刻によって面112に多数の凹部2
1を形成した。ポンチ31は、先端部311が円錐形状
であり、これにより凹部21も円錐形状となる。ポンチ
31は、数万回の打刻に耐えうるように、またかかる打
刻による摩耗を抑制するために、超硬合金材料(本例で
は、住友電気工業(株)製、商品名:超々微粉合金AF
1)からなり、研削加工によって作製したものである。
ポンチ31の先端は鋭利になっており、その径は0.0
1〜0.02mm程度である。凹部21は、本例では、
0.5mmピッチで千鳥状に、開口径が約70μm、深
さが約70μmとなるように形成した。
【0032】そして、後の電鋳膜分離工程において、電
鋳膜の電鋳用面からの分離を容易にするために、面11
1、112及び113には、本例ではクロムメッキを施
した。このようにして、微小な円錐状の凹部21が面1
12に多数形成された円柱状の電鋳用金型α1を得た。
本例では、面112が電鋳用面である。 (B)電鋳工程 次の工程においては、準備した電鋳用金型の電鋳用面に
電鋳法により、金属材料を膜状に析出させる。
【0033】本例では、電鋳用金型α1の面112に、
次のようにして電鋳法によりニッケルを析出させた。す
なわち、図3に示すように、電鋳用金型α1を図示を省
略した支持部材によって支持して電鋳用電解液51の中
に浸漬し、金型α1が陰極、板状部材61(本例では、
ニッケル製)が陽極となるように、図示を省略した直流
電源に接続して、電鋳処理を行った。このとき、金型α
1の表面に付着する気泡(本例では、水素からなる気
泡)によって、面112に析出するニッケル膜にピット
(微少穴)が形成されないように、電解液51にはポン
プ(図示省略)により適当な流速の流れを作った。ま
た、面112に析出するニッケル膜が、均一な厚さにな
るように、2rpm以上で陰極の金型α1を回転させ
た。なお、陽極の板状部材6を、陰極である金型α1の
まわりで回転させてもよく、このように陰極及び陽極の
両極とも回転させてもよい。
【0034】本例で用いた電鋳用電解液51は、 スルファミン酸ニッケル 200〜800g/リットル ホウ酸 30〜60g/リットル 及びピット防止剤として本例では、ラウリル硫酸ナトリ
ウムを含有した安定した組成よりなるpH3.0〜5.
0の電解液である。電鋳条件は、液温度を50°Cと
し、電流密度を5〜12A/dm2 として行った。
【0035】このようにして、電鋳用金型α1の面11
2上にニッケルを膜状に約70μm程度析出させた。な
お、金型α1の周面11における溝114、115及び
116部分には、不導体であるシリコンが埋め込まれ、
シリコンが露出しているため、ニッケルは析出しない。 (C)分離工程 この工程においては、電鋳用金型の電鋳用面上に析出し
た電鋳膜を該金型から分離する。
【0036】本例では、面111、112及び113に
ニッケルが膜状に析出している金型α1を、電鋳用電解
液51から取り出して、水洗、乾燥した後、手作業にて
電鋳用面である面112上のニッケル膜を剥離した。面
112を横切る溝114に埋め込まれた不導体のシリコ
ンによって、析出しているニッケル膜には切れ目が入っ
ているため、容易に剥離することができる。面112上
には前述のようにクロムメッキが施されているので、こ
れによってもニッケル膜は容易に剥離することができ
る。面111及び113上に、析出したニッケルは以降
使用しないので再利用等すればよい。面111及び11
3は、電鋳用面である面112にニッケルが均一な膜厚
にて析出するように設けたダミー面である。
【0037】このようにして、図4に示すような、電鋳
用金型α1の電鋳用面112に接していた片方の面に、
微小な突起411が、所定パターンにて多数形成されて
いるニッケルからなる本発明に係る膜状グリップ用部材
41を得た。なお、図4においては、理解容易のため、
突起411は大きく図示してある。後述する図5、図
6、図9、図10及び図15においても同様である。膜
状グリップ用部材41は、本例ではほぼ長方形状にな
る。突起411の形状は、面112上の凹部21の形状
に対応して、換言すれば、該凹部21を形成するのに用
いたポンチ31の先端形状に対応して、図2(B)に示
すような円錐状となる。突起411は、凹部21の形状
に合わせて、底面部の径が約70μm、高さが約70μ
mとなる。
【0038】膜状のグリップ用部材41は、図5に示す
ように、突起411が外側に向くように端部両面を溶接
により接合すれば、シート搬送などに用いるグリップベ
ルトとして利用することができる。耐摩耗性を向上させ
るなどのために、膜状グリップ用部材41の表面に、無
電解ニッケルメッキやクロムメッキなどにより硬質膜を
形成してもよい。なお、このような硬質膜を形成しない
場合のニッケルからなる膜状グリップ用部材41の表面
硬度は、ビッカース硬度において200〜300程度で
ある。また、このような硬質膜を形成したときの膜状部
リップ用部材41の表面硬度は、800〜1000程度
となる。
【0039】ここまでが、本発明に係る膜状グリップ用
部材の製造方法であるが、さらに次に示す被せ着け工程
を付加することによって、本発明に係るグリップ用回転
部材の製造方法となる。 (D)被せ着け工程 本発明に係るグリップ用回転部材の製造方法において
は、このようにして得られた膜状グリップ用部材を用い
て、その片方の面に形成されている突起を外側にして、
回転部材芯体に被せ着けることによって、グリップ用回
転部材を作製する。
【0040】本例では、回転部材芯体として、図6
(A)に示す中空円筒状の鉄製パイプ7を用いた。パイ
プ7の外径は30mm、内径は24mm、長さは40m
mである。膜状グリップ用部材41は、適当なサイズに
裁断し、パイプ7にスパイラル状に巻き付け、レーザー
によるスポット溶接にて固着した。これにより、図6
(B)に示す本発明に係るグリップ用回転部材、ここで
はグリップローラβ1を得た。グリップローラβ1は、
回転部材芯体であるパイプ7の外周面に、外側の面に微
小な円錐状の突起411が所定パターンにて多数形成さ
れた膜状グリップ用部材41が一体的に設けられたもの
である。
【0041】グリップローラβ1は、プリンタ、複写
機、ファクシミリ機等のOA機器などにおいて、紙、O
HP用シート等のシートの搬送に好適に用いることがで
きる。例えば、図24に示すローラ92や、図25に示
すローラ94に代えて用いることができる。例えば、図
24のローラ92の代わりにグリップローラβ1を用い
る場合、ローラβ1を図24中反時計回りに回転駆動す
ると、ローラβ1の外周面上の突起411は、次々にシ
ートSに突き刺さってゆき、シートSは突起411と結
合、嵌合した状態で図中左方向に搬送される。
【0042】グリップローラβ1の外周表面に形成され
ている突起411は、本発明に係る製造方法により形成
したため、その最先端部の直径を0.01mm程度にま
で小さくすることができた(図7(A)参照)。また、
突起411の最先端部の直径のバラツキは、±0.00
3mm程度であることが確認された。従来、エッチング
を利用した手法によって、ローラ外周面に突起を形成し
た場合には、該突起の最先端部の直径は0.02〜0.
04mm程度(図7(B)参照)にしか小さくならず、
また、該直径がばらついていたのに比べると、本発明に
係る製造方法により形成した突起411の方が、シート
等に突き刺さりやすい、食い込みやすいことがわかる。
それだけ、本発明に係るグリップローラβ1の方が、精
度よくシートの搬送を行うことができる。 (実験例1)ここで、本発明のグリップローラβ1のシ
ート搬送性能を調べる実験を行ったので、その実験内容
及び結果を示す。
【0043】この実験では、図25に示すローラ94に
代えて、本発明のローラβ1を用いて、ローラがシート
S上で滑ることなくシートSを移動させるのに必要な、
シートSとローラβ1との接触圧力を調べた。シートS
として、一方の面に既にコピーがなされているコピー済
の紙を用いて、シートの裏が汚れるかどうかも調べた。
【0044】比較例として、ローラ94として、従来よ
り用いられている表面層がゴムのゴムローラを用いて、
上記と同様の実験を行った。なお、ゴムローラの寸法は
ローラβ1と同じにした。実験結果を次表1に示す。 表1 ローラβ1 ゴムローラ 必要な接触圧力 小 大 シート裏汚れ 無し 有り この結果から、ローラβ1とシートとのシート搬送に必
要な接触圧力は、従来のゴムローラより小さくてすむこ
とがわかる。したがって、シートの裏汚れも発生してい
ない。 (実施例2)(継ぎ目のない無端ベルト形状の膜状グリ
ップ用部材) 次に本発明に係る継ぎ目のない無端ベルト形状の膜状グ
リップ用部材の製造方法について説明する。かかる形状
の膜状グリップ部材を製造するときには、実施例1の電
鋳用金型準備工程において準備した図1(B)に示す金
型α1に代えて、中空部分の断面形状が円状である中空
筒状であって、2以上に分割可能な金型を用意する。電
鋳用面は、該中空部分の内周面とする。
【0045】本例では、図8(A)に示す銅製の電鋳用
金型α2を用意した。金型α2は、断面円形の中空部分
121を有する筒状であり、4つの金型ピース122を
ボルトb及びナットnで接合したものである。したがっ
て、金型α2は4つに分割できる。各金型ピース122
は、中心角度90°の断面円弧状であり、4つの金型ピ
ース122をボルトb等によって接合するために、組み
上げたときの半径方向外側に突出する突出部1221を
有している。突出部1221には、ボルトbを通すため
の孔1222が設けられている。各金型ピース122の
内周面1223には、微少な円錐状の凹部21が多数形
成されている。凹部21は、各金型ピース122を組み
上げる前に、図2(A)に示すポンチ31を用いた打刻
による塑性加工によって形成した。後の電鋳膜分離工程
において、電鋳膜の電鋳用面1223からの分離を容易
にするために、凹部21が形成された面1223にクロ
ムメッキを施した。このような面1223が金型α2の
電鋳用面である。
【0046】次に、準備した電鋳用金型α2の電鋳用面
1223に、電鋳法によりニッケルを析出させた。電鋳
条件や電鋳用電解液の組成は、実施例1で示したものと
同様にした。なお、陽極としては、本例ではニッケル製
のスクリュー状部材を用い、電解液に浸漬するときには
該陽極は金型α2の中空部分121の中心に位置するよ
うにした。
【0047】このように析出させた電鋳ニッケル膜を、
金型α2を分割して該金型から分離して、図9に示す膜
状グリップ用部材42を得た。膜状グリップ用部材42
は、上記のようにして作製したため、継ぎ目のない(シ
ームレス)無端ベルト形状となり、外周面には、微小な
円錐状の突起421が多数、所定パターンにて形成され
ている。耐摩耗性を向上させるために、膜状グリップ用
部材42の突起421のある外周面に、硬質膜を形成し
てもよい。
【0048】膜状グリップ用部材42は、そのままシー
ト搬送用のグリップベルトとして用いることができる。
図5に示したグリップベルトに比べて、接合工程が不要
な分コストを下げることができる。また、図10に示す
ように、膜状グリップ用部材42の内周面にローラ形状
の回転部材芯体72を通して、焼きばめ、或いは接着等
にて固定すれば、グリップローラとして用いることがで
きる。この場合も、図6(B)に示すグリップローラよ
りも、膜状グリップ用部材を芯体71にスパイラル状に
巻き付けたり、継ぎ目(合わせ目)部分を接合したりす
る工程が必要ない分コストを下げることができる。いず
れにしても、突起が形成されていない継ぎ目部分がない
ため、かかる継ぎ目部分でのグリップ力の低下という問
題も生じない。 (実施例3)(硬度の改善) 次に、上記説明したようにして、電鋳法により電鋳用金
型に析出させる電鋳膜自身の硬度を向上させる方法につ
いて説明する。
【0049】前述のように、電鋳法により金型電鋳用面
に析出させた電鋳膜の表面には、硬質クロムメッキなど
を施して硬質膜を形成することによって、その表面の硬
度を上げることができ、これにより耐摩耗性などを向上
させることができる。ところが、電鋳法により電鋳用金
型に析出させる金属を軟らかい金属とすると、次のよう
な問題が生じることがある。例えば上記実施例記載のよ
うに、ビッカース硬度200程度と軟らかいニッケルを
析出させて作製した電鋳ニッケル膜に、硬質膜を形成し
て、膜状グリップ用部材や、グリップローラ等のグリッ
プ用回転部材として利用する場合、突起の表面は硬質膜
により覆われて硬いものの、その内側は軟らかいニッケ
ルであるため、シート搬送などによって突起部分に力が
かかると突起が弾性変形などし、それが繰り返される
と、突起表面の硬質膜がひび割れたり、突起自身が折れ
てしまうようなことがある。
【0050】電鋳法により析出させる電鋳膜(膜状グリ
ップ用部材)自身の硬度は、次のようにして向上させる
ことができる。かかる電鋳膜(膜状グリップ用部材)
は、実施例1において示した(A)〜(C)と同様の工
程にて作製することができる。ただし、電鋳工程におい
て使用する電鋳用電解液には、光沢剤を含ませる。な
お、金型は、図8に示すものも採用してもよい。
【0051】本例では、かかる電鋳用電解液として、 スルファミン酸ニッケル 200〜800g/リットル ホウ酸 30〜60g/リットル 光沢剤としてサッカリンナトリウム 300ppm以上 からなる安定した組成のpH4.0〜4.7の電解液を
使用した。電鋳条件は、液温度を50〜60°Cとし、
電流密度を4〜10A/dm2 として行った。
【0052】得られた電鋳ニッケル膜は、ビッカース硬
度500程度となった。電鋳用電解液に光沢剤を添加す
るといった簡単な手法によって、光沢剤を入れなかった
場合のビッカース硬度200程度から大幅に硬度を向上
させることができた。ここで、得られる電鋳ニッケル膜
のビッカース硬度と、光沢剤であるサッカリンナトリウ
ムの濃度との関係を図11に示す。図11より光沢剤の
電解液中の濃度を調整することにより、硬度を調整でき
ることがわかる。このようにして得られる電鋳膜はビッ
カース硬度500程度以上であることが好ましい。得ら
れた電鋳ニッケル膜表面には、さらに硬質膜(ビッカー
ス硬度1000程度以上)を形成してもよい。得られた
電鋳ニッケル膜は、そのまま膜状グリップ用部材とし
て、例えば図5に示すようなグリップベルトとして利用
することができる。また、図6(B)に示すように回転
部材芯体と接合するとグリップローラとして利用するこ
とができる。
【0053】電鋳用電解液中に、光沢剤を含ませること
によって、析出する電鋳膜の硬度が上がるのは、次の理
由によるものであると考えられる。金属は固体状態で結
晶を構成しており、原子は3次元的に規則正しく配列し
ている。電鋳法や、メッキ法によって電解液から析出す
る金属のほとんどは、面心立方、体心立方、稠密六方の
いずれかの結晶格子構造となるといわれている。
【0054】上記実施例において説明したニッケルを析
出させた場合には、面心立方格子構造となり、図12に
示すように電析金属特有の優先方位配列(配向性)を有
している。光沢剤を電鋳用電解液に添加すると、電析金
属内部には巨視的応力と微視的応力とからなる内部応力
が発生する。巨視的応力とは、図13に示すような電鋳
やメッキ特有の現象である圧縮応力や引張応力をいう。
微視的応力とは、結晶粒内、結晶粒界部分等における不
均一な応力をいう。微視的応力は、場所によって圧縮応
力であったり、引っ張り応力であったりし、方向も均一
ではない。その成因は転位、共析物質(光沢剤中に含有
するS)がもたらす結晶格子の歪み、結晶粒界の応力場
である。これらの応力が結果的に硬度の上昇に寄与す
る。したがって、電鋳用電解液に光沢剤を添加するの
は、かかる微視的応力を利用するためである。 (実施例4)(突起表面摩擦抵抗の改善) 前述のように、本発明に係る膜状グリップ用部材やグリ
ップ用回転部材は、その表面に形成されている突起をシ
ートなどに突き刺し、突起とシートなどとを結合させて
シートなどを移動させる。したがって、突起がシートな
どに突き刺さり易ければ、それだけシートなどの搬送性
能が良くなる。突起のシートなどへの突き刺さりやすさ
に関係する一つの要素として、突起表面の摩擦抵抗を挙
げることができる。突起表面の摩擦抵抗が小さければ、
それだけ突起はシートなどに突き刺さりやすくなる。
【0055】そこで、次に突起表面の摩擦抵抗を小さく
する方法について説明する。突起表面の摩擦抵抗が小さ
い膜状グリップ用部材や、グリップ用回転部材を作製す
るときも、基本的には実施例1において示した(A)〜
(C)(グリップ用回転部材を作製する場合には、さら
に(D)工程)と同様の工程にて作製することができ
る。また、図8に示す金型を用いることができる。ただ
し、電鋳工程において使用する電鋳用電解液には、潤滑
剤を含ませる。
【0056】本例では、かかる電鋳用電解液として、 スルファミン酸ニッケル 300g/リットル ホウ酸 30g/リットル 粒子状PTFE(平均粒子径0.1〜1μm) 80g/リットル からなる安定した組成のpH3.8〜4.5の電解液を
使用した。電鋳条件は、液温度を50°Cとし、電流密
度を2A/dm2 として行った。
【0057】このように電鋳用電解液に自己潤滑性のあ
るPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を含ませた
ことによって、金型表面に析出する表面に突起を有した
電鋳膜は、ニッケル材料中に粒子状PTFEが分散した
ものとなる。以下、このような電鋳膜を、電鋳Ni/P
TFE膜という。PTFE材料の潤滑性のため、電鋳ニ
ッケル膜の摩擦係数約0.2に対して、電鋳Ni/PT
FE膜の摩擦係数は0.1程度以下になる。したがっ
て、電鋳用電解液に粒子状PTFEを含ませるだけとい
った簡単な手法によって、電鋳膜、ひいては、該電鋳膜
表面に形成されている突起表面の摩擦抵抗を小さくでき
る。
【0058】このように電鋳用電解液に粒子状潤滑剤を
含ませる代わりに、電鋳ニッケル膜の突起のある面に対
して、フッ素分散材料をメッキしたり、フッ素やシリコ
ンをコーティングして、突起表面の摩擦抵抗を下げるよ
うにしてもよい。 (実験例2)ここで、上記のようにして作製した電鋳N
i/PTFE膜を用いてグリップローラを作製し、かか
るグリップローラのシート搬送性能を調べる実験を行っ
たので、その実験内容及び結果を示す。
【0059】この実験は、図24に示すローラ92に代
えて、電鋳Ni/PTFE膜を用いたグリップローラを
使用して、シート搬送後のシートのずれ量によって、ロ
ーラのシート搬送精度を調べたものである。このとき、
ピンチローラ91の該グリップローラへの押圧力を、3
段階に変えて行った。比較例として、ローラ92に代え
て、電鋳Ni膜(ニッケルだけを析出させた膜)を用い
たグリップローラを使用して、同様の実験を行った。突
起形状は、電鋳Ni/PTFE膜を用いたグリップロー
ラと同じにした。
【0060】実験結果を次表2に示す。なお、表2中、
「◎」は搬送後のシートずれ量が10μm以内であった
ことを示し、「○」は搬送後のシートずれ量が10μm
より大きく30μm以内であったことを示し、「△」は
搬送後のシートのずれ量が30μmより大きく50μm
以内であったことを示す。 表2 ピンチローラ圧(単位:kg) 電鋳膜材料 搬送精度 14 Ni ◎ 14 Ni/PTFE ◎ 12 Ni ○ 12 Ni/PTFE ◎ 10 Ni △ 10 Ni/PTFE ◎ 表2より、電鋳Ni/PTFE膜を用いたグリップロー
ラの方が、電鋳Ni膜を用いたグリップローラよりも搬
送精度が良いことがわかる。したがって、突起表面の摩
擦抵抗が小さく、突起がシートに突き刺さりやすいほ
ど、搬送精度が良くなることがわかる。また、同じ搬送
精度を得るのに必要なピンチローラ圧は、電鋳Ni/P
TFE膜を用いたグリップローラの方が、電鋳Ni膜を
用いたグリップローラよりも、小さくてもよいことがわ
かる。 (実施例5)(好ましい突起形状例1) 上記の説明においては、膜状グリップ用部材や、グリッ
プ用回転部材の表面に形成されている突起の形状は、図
2(B)に示す円錐状(厳密には、径0.01mm〜
0.02mm程度の頂面を有するため円錐台状)とした
が、突起形状はこれに限定されるものではなく、本発明
に係る製造方法によって種々の形状とすることができ
る。従来のエッチングを利用した手法によると、突起形
状は、ほぼコニーデ状(いわゆる富士山状)にしか作製
できなかったが、本発明に係る製造方法によると、電鋳
用金型の電鋳用面上に形成する凹部の形状を選択するこ
とによって、突起形状は、例えば、図14(A)に示す
コニーデ状の他、図14(B)に示す角錐状(図示の例
では四角錐状)、図14(C)に示す円錐台状、図14
(D)に示す角錐台状(図示の例では四角錐台状)に形
成することができる。このような形状の突起を作製する
ときには、金型電鋳用面に形成する凹部の形状をその突
起形状に合わせればよく、例えば凹部をポンチを用いた
打刻による塑性加工によって形成するときには、ポンチ
の先端形状をその突起形状に合わせればよい。
【0061】ところで、突起の形状は、シートなどへの
突き刺さり易さ、ひいてはシートなどの搬送性能に影響
する。また、突起には突出方向に対して横方向(突出す
る向きを横切る方向)に力がかかるときがあり、その突
起の形状によっては突起が根元から折れてしまうような
こともある。例えば、図15に示す昇華型熱転写プリン
タにおいて、外周面に多数の微小な突起が形成されたグ
リップローラを、次のように使用するときには、かかる
突起には負荷がかかる。図15はかかるプリンタの概略
構成図である。このプリンタは、コンピュータ等のホス
ト機器から送られてくる原稿画像データに基づいて、シ
ート上に画像形成するために、サーマルヘッドTH及び
インクリボンRを備えている。インクリボンRを間に挟
んで、サーマルヘッドTHに対向する位置には、定位置
に回転可能に支持されたローラ952が配置されてい
る。サーマルヘッドTHは、所定の力Fで、ローラ95
2に押圧している。また、サーマルヘッドTHとローラ
952との間を通すシートSを、図中右方向に搬送する
ために、外周面に多数の微小な突起9531が形成され
たグリップローラ953と、ローラ953に押圧するピ
ンチローラ951が設けられている。グリップローラ9
53を図中時計回りに回転駆動すると、シートSを図中
右方向に搬送することができ、このとき、グリップロー
ラ953の突起9531には図中水平方向にf=μF程
度の力がかかる。ただし、μはシートSとインクリボン
Rとの摩擦係数である。このような場合に、突起の強度
が十分でないと、突起が根元から折れてしまうようなこ
とがある。そのため、突起の形状は、突起にかかる負荷
に耐えうる形状であることが望ましい。
【0062】突起に力が加わった場合において、突起の
一部の部分に応力が集中すると、その部分において突起
折れが発生しやすくなるため、加わる力によって突起部
分に発生する応力が均等であるときに、最も耐強度特性
に優れていると考えることができる。そして、次のよう
なことがわかった。すなわち、突起形状が図16(A)
及び(B)に示す円錐台状や、図16(C)及び(D)
に示すコニーデ状であって、頂面部分の直径がDu、底
面部分の直径がDbの場合には、「平等強さのはり」の
近似モデル及び「平等強さのはり」の公式を利用して、
また、すそ広がりである方が、より強度的に優れている
ことも考慮して、Du≦Db/3であることが好ましい
ことがわかった。
【0063】図15に示すような昇華型プリンタを用い
て、突起の紙(シート)への突き刺さり量を測定した結
果、0.04mmであったため、突起の高さHは、0.
04mm≦Hであることが好ましいことがわかった。ま
た、図15に示すような昇華型プリンタにおいて用いら
れる紙(受像紙)の厚さが約0.2mmであるため、突
起が紙を貫通しないようにするためには、突起の高さH
は、H≦0.2mmであることが好ましいことがわかっ
た。
【0064】図17に突起の先端径(突起頂面の径)と
紙搬送性能との関係を示すグラフを示す。このグラフ
は、図24に示すローラ92に代えて本発明に係る突起
を有するグリップローラを用いて紙を搬送した場合にお
いて、搬送後の紙のズレ量が0となるピンチローラ91
の最低圧力を示すものである。かかる最低圧力が小さい
ほど搬送性能はよい。かかる圧力は、12kg程度以下
であることが好ましい。図17から、突起先端径が30
μmを超えると、紙への突き刺さり性が悪くなり、搬送
性能が悪くなるのがわかる。したがって、突起先端径は
30μm程度以下であることが好ましいことがわかっ
た。
【0065】図18に示すようなコニーデ状の突起の場
合、高さH=0.2mm、θ=0°のとき、頂面の径を
紙への突き刺さり易さの観点から上記0.03mmとす
ると、底面部の直径Dbは、Db=0.2+0.03+
0.2=0.43mm程度になる。一方、先端径Du
は、Du<0.01mmだと先端部において折れが非常
に発生しやすいため、Du≧0.01mmであることが
好ましい。これらにより、Db/43≦Duであること
が好ましいことがわかった。 (実験例3)突起の先端角θは、シートなどへの突き刺
さりやすさ、ひいてはシートなどの搬送性能に影響す
る。
【0066】そこで、突起先端角θと、シート搬送性能
との関係を調べる実験を行ったので、その実験内容及び
結果を示す。この実験は、図24に示すローラ92に代
えて、実施例1と同様にして作製したグリップローラを
使用して、シートの搬送精度を調べたものである。な
お、搬送精度は、前記実験例2と同様なことを調べたも
のである。グリップローラの突起材料(膜状グリップ用
部材材料)としては、ニッケルを用いた。グリップロー
ラの外周面に多数形成した突起の形状は、図16(A)
及び(B)に示すような円錐台状にした。かかる突起の
高さHは0.1mm、頂面部分の直径Duは0.025
mmとした。ローラ表面上に突起を形成するときのピッ
チは、0.5mmとした。先端角θは25°、40°、
45°と3つの異なるものを用意した。また、ピンチロ
ーラ91の該グリップローラへの押圧力を、3段階に変
えて行った。
【0067】実験結果を次表3に示す。なお、表3中、
「◎」は搬送後のシートずれ量が10μm以内であった
ことを示し、「○」は搬送後のシートずれ量が10μm
より大きく30μm以内であったことを示し、「△」は
搬送後のシートずれ量が30μmより大きく50μm以
内であったことを示し、「×」は搬送後のシートずれ量
が80μmより大きかったことを示す。 表3 ピンチローラ圧(単位:kg) 先端角θ 搬送精度 14 45° ◎ 14 40° ◎ 14 25° ◎ 12 45° △ 12 40° ○ 12 25° ◎ 10 45° × 10 40° ○ 10 25° ◎ 表3より、突起先端角θは、小さいほどシートなどに突
き刺さりやすくなることがわかる。シートへの突き刺さ
りやすさからすると、先端角θはθ≦45°、より好ま
しくはθ≦40°である。
【0068】したがって、突起形状を図16に示すよう
な円錐台状やコニーデ状とする場合、耐強度とシートな
どへの突き刺さりやすさの両方を備えるためには、Db
/43≦Du≦Db/3、且つ0.04mm≦H≦0.
2mm、且つ0°≦θ≦45°の関係を満たすようにす
ればよいことがわかる。
【0069】なお、従来より知られている例えばエッチ
ングを用いた手法によって、グリップローラ等の外周面
に突起を形成する場合にも、上記の関係を満たしていれ
ば、該突起は強度とシートなどへの突き刺さりやすさと
を備えたものとなる。 (実施例6)(好ましい突起形状例2) 図25に示すような複数のシートが収納されているシー
トカセット97からシートを搬出する用途に、本発明に
かかるグリップローラを用いる場合、突起形状によって
は、該ローラが接するシートを突起が突き破って、該シ
ートの下のシートにも突き刺さり、2枚のシートを搬送
してしまうようなことがある。したがって、突起形状は
そのローラが接するシートを突き破らない形状であるこ
とが望ましい。
【0070】このような突起形状の例を図19に示す。
かかる突起43は、高さH2 の突起部432と、該突起
の底面より大きい頂面を有する円錐台状の高さH1 の台
座431とからなる。突起部432の高さH2 と、台座
431の高さH1 とには、該突起部432を突き刺して
搬送すべきシートの厚さtに対して、H1 ≦H2 ≦t/
2の関係にある。これにより、図25に示すような複数
枚のシートSを積層収納しているシートカセットからシ
ートSを搬出する場合、図20に示すように、突起部4
32は搬送すべきシートSだけに突き刺さり、該搬送す
べきシートSに隣合うシートSへまで突き刺さらない。
また、台座431を設けたことによって、突起部432
及び台座431の全体の強度は向上している。さらに、
突起部432が破損した場合にでも、破損箇所が台座4
31面に集中するため、破損面が平面状となりシート裏
面の傷つきを抑制することができる。
【0071】なお、突起部431の形状は、図19に示
す円錐状に限定されるものではなく、円錐台状、角錐
状、角錐台状、コニーデ状であってもよい。図19に示
すような台座を有する突起は、本例では次のようにして
形成した。すなわち、まず、図21に示すような形状の
半割りカッターを10000回転以上で回転可能なフラ
イスに取付け、ピッチ0.02〜0.1mmの等間隔に
て、円錐台状の凹部を電鋳用面に形成した。次いで、形
成した凹部の中心位置に、図2(A)に示すような先端
形状のポンチを用いた打刻によって、突起43に対応す
る形状の凹部形成した。この他の工程は実施例1と同様
にした。 (実施例7)(好ましい突起形状例3) 前述のように、本発明の膜状グリップ用部材の製造方法
や、グリップ用回転部材の製造方法においては、その表
面の突起は、電鋳用金型の電鋳用面に設けた凹部に、電
鋳法によって金属材料等が析出することによって形成さ
れる。
【0072】ところが、電鋳法によって、金型電鋳用面
に金属材料等が析出するとき、電気力線が集中するエッ
ジ部分に集中的に金属材料等は析出してしまう。例え
ば、図22に示すように、電鋳用面13に形成した凹部
22が、エッジのある四角柱状である場合、電鋳処理の
ため電鋳用電解液に浸漬して、電解電圧を上げても、図
のように開口部にあるエッジ131の表面部分に集中的
に析出して、凹部の底132の表面にはほとんど析出し
ないようなことがある。
【0073】したがって、電鋳法により突起を形成する
ために、金型電鋳用面に形成する凹部の形状は、なるべ
くエッジ部分がないことが好ましい。特に、その凹部の
開口部にはエッジ部分がないことが好ましい。このよう
な凹部形状としては、例えば、図23に示すような凹部
形状を挙げることができる。図23の凹部23は、金型
電鋳用面14に形成されたコニーデ状(富士山状)のも
のであり、そのすそ野部分233のなす稜線は滑らかな
凹曲線を描いている。すなわち、凹部23の開口面23
1部分には、エッジがない。 (実験例5)ここで、図23に示すようなコニーデ状の
凹部のを持つ金型電鋳用面に、電鋳処理を行った場合に
おいて、該凹部の深さH、開口面の直径Da及びそのす
そ野部分のなす稜線の描く曲線の半径Rと、該凹部への
析出物の入り込み性との関係について調べる実験を行っ
たので、その実験結果を次表4に示す。
【0074】なお、表4中、「◎」は電鋳後、金型凹部
の形状が95%以上転写されたことを示し、「○」は8
5%以上95%未満転写されたことを示し、「△」は7
5%以上85%未満転写されたことを示し、「×」は7
5%未満しか転写されなかったことを示す。 表4 深さH 曲線半径R 開口径Da 入り込み性 (mm) (mm) (mm) 0.1 0.01 0.15 × 0.1 0.03 0.15 △ 0.1 0.05 0.15 ○ 0.1 0.07 0.15 ◎ 0.1 0.1 0.15 ◎ 0.1 0.01 0.1 × 0.1 0.03 0.1 × 0.1 0.05 0.1 × 0.1 0.07 0.1 × 0.1 0.1 0.1 × 表4より、凹部への電鋳析出物の入り込み性の観点から
は、1.5H≦Da、且つ、H/3≦Rの関係を満たし
ていることが好ましいことがわかる。さらに好ましく
は、1.5H≦Da、且つ、H/2≦Rである。
【0075】金型電鋳用面に形成する凹部形状をこのよ
うな関係を満たすようにすると、凹部形状と、電鋳処理
によって該凹部内に析出してできる突起の形状とを、ほ
ぼ一致させることができる。なお、凹部のすそ野部分以
外のなす稜線は、曲線でもよく、直線でもよい。
【0076】
【発明の効果】本発明によると、表面に微小な突起が多
数形成されているグリップローラ等のグリップ用回転部
材であって、その突起形状が所定の搬送対象であるシー
トなどに突き刺さりやすく、或いは引っ掛かりやすく、
シートなどの搬送精度の良いグリップ用回転部材、及び
突起形状を容易にシートなどに突き刺さりやすい、或い
は引っ掛かりやすい形状とすることができるグリップ用
回転部材の製造方法を提供することができる。
【0077】また、本発明は、前記グリップ用回転部材
の製造に用いることができる膜状グリップ用部材、及び
その製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(A)は円柱状部材の概略斜視図、図(B)
は電鋳用金型の一例の概略斜視図である。
【図2】図(A)は電鋳用金型を作製するときに用いる
ことができるポンチの一例の概略斜視図、図(B)は突
起の一例の概略斜視図である。
【図3】電鋳処理を行っている様子を示す模式図であ
る。
【図4】本発明に係る膜状グリップ部材の一例の概略斜
視図である。
【図5】膜状グリップ部材をスパイラル状に巻き回して
無端ベルト状にしたものの概略斜視図である。
【図6】図(A)は回転部材芯体の一例の概略斜視図、
図(B)は本発明に係るグリップ用回転部材の一例であ
るグリップローラの概略斜視図である。
【図7】図(A)は本発明の製造方法により作製される
突起頂面部の径の様子を示す概略断面図であり、図
(B)は従来の製造方法により作製される突起頂面部の
径の様子を示す概略断面図である。
【図8】電鋳用金型の他の例の概略斜視図である。
【図9】図8に示す電鋳用金型を用いて作製される膜状
グリップ部材の概略斜視図である。
【図10】本発明に係るグリップ用回転部材の他の例の
概略斜視図である。
【図11】電鋳用電解液中のサッカリンナトリウム濃度
と、析出するニッケル膜のビッカース硬度との関係を示
す図である。
【図12】電鋳法により析出するニッケルの結晶格子構
造を示す模式図である。
【図13】図(A)は圧縮応力を説明するための図であ
り、図(B)は引張り応力を説明するための図である。
【図14】図(A)は突起形状の他の例を示す概略斜視
図、図(B)は突起形状のさらに他の例を示す概略斜視
図、図(C)は突起形状のさらに他の例を示す概略斜視
図、図(D)は突起形状のさらに他の例を示す概略斜視
図である。
【図15】昇華型熱転写プリンタの一例の概略構成図で
ある。
【図16】図(A)は円錐台状突起の形状を説明するた
めの概略斜視図、図(B)は図(A)の突起の概略断面
図、図(C)はコニーデ状突起の形状を説明するための
概略斜視図、図(D)は図(C)の突起の概略断面図で
ある。
【図17】突起先端径と紙搬送性能との関係を示す図で
ある。
【図18】コニーデ状突起の概略断面図である。
【図19】突起形状のさらに他の例を示す概略斜視図で
ある。
【図20】図19に示す形状の突起がシートに突き刺さ
っている様子を示す図である。
【図21】図19に示す形状の突起を形成するときに用
いることができる半割りカッターの一例の概略斜視図で
ある。
【図22】電鋳法により電鋳用金型の凹部に析出する析
出物の析出状態を示す概略断面図である。
【図23】電鋳用金型の凹部の形状を説明するための概
略断面図である。
【図24】一対のローラによってシートを搬送する様子
を示す概略断面図である。
【図25】シートトレイからシートを搬出する様子を示
す概略断面図である。
【図26】外周面に突起が設けられたローラの概略断面
図である。
【符号の説明】
α1、α2 電鋳用金型 β1 グリップローラ(グリップ用回転部材) 1 円柱状部材 112、1223、13、14 電鋳用面 21 凹部 31 ポンチ 411、421、9531、931 突起 51 電鋳用電解液 7 パイプ(回転部材芯体) 72 回転部材芯体
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C25D 3/12 102 C25D 3/12 102 15/02 15/02 H

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】片方の面に微小な所定形態の突起が多数形
    成されている電鋳膜からなる膜状グリップ用部材。
  2. 【請求項2】前記電鋳膜には、光沢剤が分散している請
    求項1記載の膜状グリップ用部材。
  3. 【請求項3】前記電鋳膜には、潤滑剤が分散している請
    求項1又は2記載の膜状グリップ用部材。
  4. 【請求項4】前記突起の最も外側の表面には、摩擦抵抗
    の小さい低摩擦抵抗層が形成されている請求項1又は2
    記載の膜状グリップ用部材。
  5. 【請求項5】継ぎ目のない無端ベルト形状であり、前記
    突起が外側の面に形成されている請求項1から4のいず
    れかに記載の膜状グリップ用部材。
  6. 【請求項6】前記突起は円錐台状又はコニーデ状であ
    り、その頂面の直径Duと底面の直径Dbは、 Db/43≦Du≦Db/3の関係を満たしており、 該突起の高さHは、 0.04mm≦H≦0.2mmであり、 該突起の先端角θは、 0°≦θ≦45°である請求項1から5のいずれかに記
    載の膜状グリップ用部材。
  7. 【請求項7】前記突起は、該突起の底面より大きい頂面
    を有する台座に支持されており、該突起の高さH2 と、
    該台座の高さH1 とは、該突起を突き刺して搬送すべき
    シートの厚さtに対して、H1 ≦H2 ≦t/2の関係を
    満たしている請求項1から5のいずれかに記載の膜状グ
    リップ用部材。
  8. 【請求項8】前記突起はコニーデ状であり、そのすそ野
    部分のなす稜線は滑らかな凹曲線を描いている請求項1
    から5のいずれかに記載の膜状グリップ用部材。
  9. 【請求項9】前記突起の底面部分の直径Daと該突起の
    高さHとは、 1.5H≦Daの関係を満たしており、 前記稜線が描く凹曲線の半径Rと該突起の高さHとは、 H/3≦Rの関係を満たしている請求項8記載の膜状グ
    リップ用部材。
  10. 【請求項10】回転部材芯体と、 前記回転部材芯体の外周表面に設けられており、外側の
    面に微小な所定形態の突起が多数形成されている電鋳膜
    からなる膜状のグリップ用部材とを有するグリップ用回
    転部材。
  11. 【請求項11】前記電鋳膜には、光沢剤が分散している
    請求項10記載のグリップ用回転部材。
  12. 【請求項12】前記電鋳膜には、潤滑剤が分散している
    請求項10又は11記載のグリップ用回転部材。
  13. 【請求項13】前記突起の最も外側の表面には、摩擦抵
    抗の小さい低摩擦抵抗層が形成されている請求項10又
    は11記載のグリップ用回転部材。
  14. 【請求項14】前記膜状グリップ用部材は、継ぎ目のな
    い無端ベルト形状であり、前記突起が外側の面に形成さ
    れている請求項10から13のいずれかに記載のグリッ
    プ用回転部材。
  15. 【請求項15】前記突起は円錐台状又はコニーデ状であ
    り、その頂面の直径Duと底面の直径Dbは、 Db/43≦Du≦Db/3の関係を満たしており、 該突起の高さHは、 0.04mm≦H≦0.2mmであり、 該突起の先端角θは、 0°≦θ≦45°である請求項10から14のいずれか
    に記載のグリップ用回転部材。
  16. 【請求項16】前記突起は、該突起の底面より大きい頂
    面を有する台座に支持されており、該突起の高さH
    2 と、該台座の高さH1 とは、該突起を突き刺して搬送
    すべきシートの厚さtに対して、H1 ≦H2 ≦t/2の
    関係を満たしている請求項10から14のいずれかに記
    載のグリップ用回転部材。
  17. 【請求項17】前記突起はコニーデ状であり、そのすそ
    野部分のなす稜線は滑らかな凹曲線を描いている請求項
    10から14のいずれかに記載のグリップ用回転部材。
  18. 【請求項18】前記突起の底面部分の直径Daと該突起
    の高さHとは、 1.5H≦Daの関係を満たしており、 前記稜線が描く凹曲線の半径Rと該突起の高さHとは、 H/3≦Rの関係を満たしている請求項17記載のグリ
    ップ用回転部材。
  19. 【請求項19】外側の面に微小な所定形態の金属材料か
    らなる突起が多数形成されているグリップ用回転部材で
    あって、 前記突起は円錐台状又はコニーデ状であり、その頂面の
    直径Duと底面の直径Dbは、 Db/43≦Du≦Db/3の関係を満たしており、 該突起の高さHは、 0.04mm≦H≦0.2mmであり、 該突起の先端角θは、 0°≦θ≦45°であることを特徴とするグリップ用回
    転部材。
  20. 【請求項20】外側の面に微小な所定形態の金属材料か
    らなる突起が多数形成されているグリップ用回転部材で
    あって、 前記突起は、該突起の底面より大きい頂面を有する台座
    に支持されており、該突起の高さH2 と、該台座の高さ
    H1 とは、該突起を突き刺して搬送すべきシートの厚さ
    tに対して、H1 ≦H2 ≦t/2の関係を満たしている
    ことを特徴とするグリップ用回転部材。
  21. 【請求項21】外側の面に微小な所定形態の金属材料か
    らなる突起が多数形成されているグリップ用回転部材で
    あって、 前記突起はコニーデ状であり、そのすそ野部分のなす稜
    線は滑らかな凹曲線を描いていることを特徴とするグリ
    ップ用回転部材。
  22. 【請求項22】前記突起の底面部分の直径Daと前記突
    起の高さHとは、 1.5H≦Daの関係を満たしており、 前記稜線が描く凹曲線の半径Rと該突起の高さHとは、 H/3≦Rの関係を満たしている請求項21記載のグリ
    ップ用回転部材。
  23. 【請求項23】片方の面に微小な所定形態の突起が多数
    形成されている金属材料からなる膜状グリップ用部材の
    製造方法であって、 電鋳用面に微小な所定形態の凹部を多数形成した電鋳用
    金型を準備する工程と、 該金型の電鋳用面に電鋳法により前記金属材料を膜状に
    析出させる工程と、 該金型の電鋳用面に析出した電鋳膜を該金型から分離し
    て、前記突起を有する膜状のグリップ用部材を得る工程
    とを含む膜状グリップ用部材の製造方法。
  24. 【請求項24】前記金型は円柱状金型であり、前記電鋳
    用面は該金型の外周面である請求項23記載の膜状グリ
    ップ用部材の製造方法。
  25. 【請求項25】前記金型は、2以上に分割可能な中空筒
    状の金型であって、該金型の中空部分の断面形状は円状
    であり、前記電鋳用面は、該金型の中空部分の内周面で
    ある請求項23記載の膜状グリップ用部材の製造方法。
  26. 【請求項26】前記金型の前記電鋳用面に電鋳法により
    前記金属材料を膜状に析出させる工程において使用され
    る電鋳用電解液は、前記電鋳膜の硬度向上のための光沢
    剤を含んでいる請求項23から25のいずれかに記載の
    膜状グリップ用部材の製造方法。
  27. 【請求項27】前記金型の前記電鋳用面に電鋳法により
    前記金属材料を膜状に析出させる工程において使用され
    る電鋳用電解液は、形成される突起表面の摩擦抵抗を小
    さくするための潤滑剤を含んでいる請求項23から26
    のいずれかに記載の膜状グリップ用部材の製造方法。
  28. 【請求項28】前記得られた膜状グリップ用部材の最も
    外側の表面に、表面の摩擦抵抗を小さくするための膜を
    形成する工程を含む請求項23から26のいずれかに記
    載の膜状グリップ用部材の製造方法。
  29. 【請求項29】前記電鋳用金型の電鋳用面の微小凹部の
    形態は、これにより得られる前記突起が以下の条件を満
    たす形態である請求項23から28のいずれかに記載の
    膜状グリップ用部材の製造方法。前記突起は円錐台状又
    はコニーデ状であり、その頂面の直径Duと底面の直径
    Dbとは、Db/43≦Du≦Db/3の関係を満た
    し、 該突起の高さHは、0.04mm≦H≦0.2mmであ
    り、 該突起の先端角θは、0°≦θ≦45°である。
  30. 【請求項30】前記電鋳用金型の電鋳用面の微小凹部の
    形態は、これにより得られる前記突起が以下の条件を満
    たす形態である請求項23から28のいずれかに記載の
    膜状グリップ用部材の製造方法。前記突起は、該突起の
    底面より大きい頂面を有する台座に支持され、該突起の
    高さH2 と、該台座の高さH1 とは、該突起を突き刺し
    て搬送すべきシートの厚さtに対して、H1 ≦H2 ≦t
    /2の関係を満す。
  31. 【請求項31】前記電鋳用金型の電鋳用面の微小凹部の
    形態は、これにより得られる前記突起が以下の条件を満
    たす形態である請求項23から28のいずれかに記載の
    膜状グリップ用部材の製造方法。前記突起はコニーデ状
    であり、そのすそ野部分のなす稜線は滑らかな凹曲線を
    描く。
  32. 【請求項32】前記突起の底面部分の直径Daと該突起
    の高さHとは、 1.5H≦Daの関係を満たし、 前記稜線が描く凹曲線の半径Rと該突起の高さHとは、 H/3≦Rの関係を満す請求項31記載の膜状グリップ
    用部材の製造方法。
  33. 【請求項33】外側の面に微小な所定形態の突起が多数
    形成されているグリップ用回転部材の製造方法であっ
    て、 電鋳用面に微小な所定形態の凹部を多数形成した電鋳用
    金型を準備する工程と、 該金型の電鋳用面に電鋳法により金属材料を膜状に析出
    させる工程と、 該金型の電鋳用面に析出した電鋳膜を該金型から分離し
    て、前記突起を有する膜状のグリップ用部材を得る工程
    と、 該膜状グリップ用部材を、その片方の面に形成されてい
    る突起を外側にして、回転部材芯体に被せ着ける工程と
    を含むグリップ用回転部材の製造方法。
  34. 【請求項34】前記金型は円柱状金型であり、前記電鋳
    用面は該金型の外周面である請求項33記載のグリップ
    用回転部材の製造方法。
  35. 【請求項35】前記金型は、2以上に分割可能な中空筒
    状の金型であって、該金型の中空部分の断面形状は円状
    であり、前記電鋳用面は、該金型の中空部分の内周面で
    ある請求項33記載のグリップ用回転部材の製造方法。
  36. 【請求項36】前記金型の前記電鋳用面に電鋳法により
    前記金属材料を膜状に析出させる工程において使用され
    る電鋳用電解液は、前記電鋳膜の硬度向上のための光沢
    剤を含んでいる請求項33から35のいずれかに記載の
    グリップ用回転部材の製造方法。
  37. 【請求項37】前記金型の前記電鋳用面に電鋳法により
    前記金属材料を膜状に析出させる工程において使用され
    る電鋳用電解液は、形成される突起表面の摩擦抵抗を小
    さくするための潤滑剤を含んでいる請求項33から36
    のいずれかに記載のグリップ用回転部材の製造方法。
  38. 【請求項38】前記膜状グリップ用部材の最も外側の表
    面に、表面の摩擦抵抗を小さくするための膜を形成する
    工程を含む請求項33から36のいずれかに記載のグリ
    ップ用回転部材の製造方法。
  39. 【請求項39】前記電鋳用金型の電鋳用面の微小凹部の
    形態は、これにより得られる前記突起が以下の条件を満
    たす形態である請求項33から38のいずれかに記載の
    グリップ用回転部材の製造方法。前記突起は円錐台状又
    はコニーデ状であり、その頂面の直径Duと底面の直径
    Dbとは、Db/43≦Du≦Db/3の関係を満た
    し、 該突起の高さHは、0.04mm≦H≦0.2mmであ
    り、 該突起の先端角θは、0°≦θ≦45°である。
  40. 【請求項40】前記電鋳用金型の電鋳用面の微小凹部の
    形態は、これにより得られる前記突起が以下の条件を満
    たす形態である請求項33から38のいずれかに記載の
    グリップ用回転部材の製造方法。前記突起は、該突起の
    底面より大きい頂面を有する台座に支持され、該突起の
    高さH2 と、該台座の高さH1 とは、該突起を突き刺し
    て搬送すべきシートの厚さtに対して、H1 ≦H2 ≦t
    /2の関係を満たす。
  41. 【請求項41】前記電鋳用金型の電鋳用面の微小凹部の
    形態は、これにより得られる前記突起が以下の条件を満
    たす形態である請求項33から38のいずれかに記載の
    グリップ用回転部材の製造方法。前記突起はコニーデ状
    であり、そのすそ野部分のなす稜線は滑らかな凹曲線を
    描く。
  42. 【請求項42】前記突起の底面部分の直径Daと該突起
    の高さHとは、 1.5H≦Daの関係を満たし、 前記稜線が描く凹曲線の半径Rと該突起の高さHとは、 H/3≦Rの関係を満たす請求項41記載のグリップ用
    回転部材の製造方法。
JP19726397A 1997-07-23 1997-07-23 膜状グリップ用部材及びその製造方法、並びにグリップ用回転部材及びその製造方法 Withdrawn JPH1135189A (ja)

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