JPH1135518A - 高級脂肪酸塩の製造方法 - Google Patents

高級脂肪酸塩の製造方法

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JPH1135518A
JPH1135518A JP19167797A JP19167797A JPH1135518A JP H1135518 A JPH1135518 A JP H1135518A JP 19167797 A JP19167797 A JP 19167797A JP 19167797 A JP19167797 A JP 19167797A JP H1135518 A JPH1135518 A JP H1135518A
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久 土田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高級脂肪酸塩を製造するにおいて、溶融脂肪
酸と多価金属の酸化物乃至水酸化物との混合が均一且つ
微細に行われ、両者の反応が短時間の内に一様に行わ
れ、その結果として、大量の排水を生じることなしに、
高純度でしかも着色のない高級脂肪酸塩を、高い生産性
を以て製造しうる方法を提供する。 【解決手段】 原料の溶融高級脂肪酸と多価金属の酸化
物乃至水酸化物の粉末とを、化学量論的量で、混合部、
滞留部を有するピンミル混合機中に供給して、溶融高級
脂肪酸が連続相及び多価金属の酸化物乃至水酸化物が微
細な分散相となった予備混合物を調製し、この予備混合
物を加熱下に反応させることを特徴とする高級脂肪酸塩
の製造方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱安定剤、滑剤、
金属石鹸等として有用な高級脂肪酸塩の製造方法に関す
るもので、より詳細には、大量の排水を生じることなし
に、高純度でしかも着色のない高級脂肪酸塩を、高い生
産性を以て製造しうる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属石鹸に代表される高級脂肪酸塩の製
造法には、溶融法と湿式法とが知られている。溶融法と
は、溶融高級脂肪酸と多価金属の酸化物乃至水酸化物と
を直接反応させる方法である。一方湿式法には、高級脂
肪酸のアルカリ金属塩或いはアンモニウム塩と無機金属
塩との湿式での反応により、高級脂肪酸塩を生成させる
複分解法と、高級脂肪酸と多価金属の酸化物乃至水酸化
物等とを酢酸等の触媒の存在下に湿式で反応させる直接
法とが知られている。
【0003】特開昭64−71836号公報には、脂肪
酸と多価金属の酸化物乃至水酸化物とを、要すれば10
重量%迄の水の存在下に、反応させる脂肪酸石鹸の連続
的製法であって、20乃至150℃の温度に加熱された
溶融脂肪酸を機械的に回転させ、管状反応器の反応域に
輸送し、多価金属の酸化物乃至水酸化物等を脂肪酸と逆
方向に機械的に回転させ、脂肪酸または反応域の回転軸
線付近に導入し、脂肪酸及び多価金属の酸化物乃至水酸
化物の混合物を管状反応器の反応域に通し、0.5乃至
50秒間反応させ、脂肪酸の回転により混合物を機械的
に輸送し、反応域の出口で脂肪酸石鹸を回収する方法が
記載されている。
【0004】また、特開平1−299247号公報に
は、金属石鹸を複分解法で連続的に製造するに際し、高
級脂肪酸のアルカリ金属塩或いはアンモニウム塩の水溶
液と無機金属塩とを、別々に、混合機の回転子に直接供
給して両者を瞬時に混合させた後、反応生成物を直ちに
混合機から排出させることを特徴とする金属石鹸の連続
製造法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述した溶融法では、
タンク内の撹拌された溶融脂肪酸に多価金属の酸化物乃
至水酸化物の粉末を徐々に添加し、撹拌下に反応させる
方法が採用されているが、粉末原料は液中でダマになり
やすく、反応を妨げ、かつ反応終了までに長時間を要す
るため、反応溶融物の熱による着色が避けられないとい
う不都合がある。
【0006】一方、直接法として、脂肪酸として粉末脂
肪酸を用い、この粉末脂肪酸と多価金属の酸化物乃至水
酸化物とを高速混合機で撹拌し、粉末状態で反応を行う
方法があるが、粉末脂肪酸はコスト的に高く、しかも反
応性を高めるためには、脂肪酸を微粒子の形にすること
が必要であるが、このような微粉末の脂肪酸を得ること
は工業的に困難であり、決して実用性の高い製造方法と
はいえない。
【0007】一方、湿式法では、比較的高品質の金属石
鹸が得られるとしても、反応に多量の水を必要とし、反
応装置が大型化するとともに、多量の排水を排出すると
いう点で不満足なものである。特に、複分解法では、金
属石鹸と共に無機塩類が副生し、この塩類の挟雑を防止
するためには洗浄が不可欠であり、このため、排水の量
が一層多くなるという問題がある。この問題は、熱可塑
性樹脂用熱安定剤として有用なステアリン酸鉛のような
鉛塩の製造の場合には、致命的な欠点ともなるものであ
る。
【0008】また、従来の製法は、反応にかなり長時間
を必要とし、また反応の完結性の尺度となる最終反応物
の酸価あるいは遊離脂肪酸の値も概して高く、その純度
や品質においても未だ十分満足しうるものではなかっ
た。
【0009】従って、本発明の目的は、溶融脂肪酸と多
価金属の酸化物乃至水酸化物との混合が均一且つ微細に
行われる結果として、両者の反応が短時間の内に一様に
行われ、その結果として、大量の排水を生じることなし
に、高純度でしかも着色のない高級脂肪酸塩を、高い生
産性を以て製造しうる方法を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、溶融高
級脂肪酸と多価金属の酸化物乃至水酸化物の粉末とを、
化学量論的量で、混合機中に供給して、溶融高級脂肪酸
が連続相及び多価金属の酸化物乃至水酸化物が微細な分
散相となった予備混合物を調製し、この予備混合物を加
熱下に反応させることを特徴とする高級脂肪酸塩の製造
方法が提供される。本発明において、 1.予備混合物の調製を、前記高級脂肪酸の融点以上、
特に該融点乃至(該融点+40℃)の比較的低い温度で
行うこと、 2.予備混合物の調製を3乃至30秒間、特に5乃至1
0秒間の比較的短い時間で行うこと、 3.前記混合機が分散部と滞留部とを備えたピンミルで
あること、 4.予備混合物の調製を、ピンミルの回転数が500乃
至2000rpm、特に800乃至1200rpmの高
速回転数で行うこと、 5.前記ピンミルとしてピンが植え付けられたローター
を有するものを使用し、ローターの上側の中心に溶融高
級脂肪酸を供給すると共に、その周囲に多価金属の酸化
物乃至水酸化物の粉末を供給して、ローターの上面で両
者を分散させ、ローターの側面乃至下面にこの分散体を
滞留させて両者の混合を行うこと、が好ましい。予備混
合物の高級脂肪酸塩への生成反応は、溶融条件下に行う
こともできるし、少量の水及び触媒の存在下に乾式で反
応させることもできる。前者の場合、溶融状態にある予
備混合物をニーダー等に供給し、120乃至180℃の
温度で0.5乃至5分間反応させ、高級脂肪酸塩を連続
的に製造することができる。また、後者の場合、予備混
合物当たり3乃至15重量%の水を存在させるのがよ
く、また、反応を40乃至70℃の温度で20乃至90
分間行うのがよい。
【0011】
【発明の実施形態】
[作用]本発明では、高級脂肪酸と多価金属の酸化物乃
至水酸化物とを反応させるに先立って、溶融高級脂肪酸
と多価金属の酸化物乃至水酸化物の粉末とを、化学量論
的量で、混合機中に供給して、溶融高級脂肪酸の連続相
中に多価金属の酸化物乃至水酸化物の粉末が微細な分散
相となった予備混合物を調製することが顕著な特徴であ
る。
【0012】溶融高級脂肪酸と多価金属の酸化物乃至水
酸化物の粉末との反応においては、反応の均一性及び反
応の迅速性の上で、両者の混合状態が極めて重要である
ことが分かった。即ち、本発明においては、図1に示す
とおり、溶融高級脂肪酸の連続相1中に多価金属の酸化
物乃至水酸化物の粒子2が均一且つ微細に分散させた予
備混合物3を形成させることにより、以後の反応が極め
て均一に且つ迅速に進行するのである。
【0013】この予備混合物において、多価金属の酸化
物乃至水酸化物粒子2の分散粒径は、一般的にいって、
多価金属の酸化物乃至水酸化物の粉末の1次粒径乃至2
次粒径の範囲内であり、多価金属の酸化物乃至水酸化物
粉末のだまは存在しないことが了解されるべきである。
尚、本明細書において、1次粒径とは電子顕微鏡で測定
される粒径を意味し、2次粒径とは、レーザ回折法で測
定される粒径を意味する。溶融高級脂肪酸と多価金属の
酸化物乃至水酸化物の粉末とがだまを形成しやすい理由
は、多価金属の酸化物乃至水酸化物粒子の溶融高級脂肪
酸の濡れ性が悪いことが原因と考えられるが、本発明に
おいては、例えば分散部と滞留部とを備えたピンミルを
使用することにより、溶融高級脂肪酸中に多価金属の酸
化物乃至水酸化物の粉末がその粒子の状態で分散し、前
述した分散構造の形成が可能となるのである。
【0014】本発明の予備混合物においては、高級脂肪
酸と多価金属の酸化物乃至水酸化物との反応が実質的に
生じていないようにすることが均一且つ微細な分散を可
能にするために重要である。反応が実質的に生じていな
いとは、多価金属の酸化物乃至水酸化物粒子と溶融高級
脂肪酸との界面では、反応が生じていても、内部にまで
は反応が及んでいないことを意味する。両者の反応が進
んでいる状態では、系の粘度が上昇し、均一な分散は期
待できないし、作業性も悪化する。
【0015】この意味で、予備混合物の調製を、前記高
級脂肪酸の融点以上、特に前記高級脂肪酸の融点乃至
(該融点+40℃)の比較的低い温度で行い、また、予
備混合物の調製を3乃至30秒間、特に5乃至10秒間
の比較的短い時間で行うことが重要となる。作業性の観
点及びコゲ付き(着色)防止の観点から、上記融点乃至
(該融点+40℃)の温度範囲内で調製を行うことが好
ましい。さらに使用する高級脂肪酸やコスト面から、一
般に40〜90℃の範囲で調製を行う場合が多い。
【0016】[原料]本発明において、高級脂肪酸とし
ては、炭素数6〜22の脂肪酸、たとえばカプロン酸、
カプリル酸、ラウリン酸(融点:44.2℃)、ミリス
チン酸、パルミチン酸、ステアリン酸(融点:69.6
℃)、アラキジン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、
オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、
12−ヒドロキシステアリン酸、あるいはこれらの混合物
等が使用される。これらの脂肪酸は、勿論牛脂脂肪酸、
パーム油脂肪酸のように混合脂肪酸であってもよい。特
に、ステアリン酸及びラウリン酸が好適なものである。
【0017】多価金属の酸化物乃至水酸化物としては、
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウ
ム、亜鉛、カドミウム、鉛、リチウム、アルミニウム、
銅、鉄、コバルトなどの酸化物乃至水酸化物を挙げるこ
とができる。これらの多価金属の酸化物乃至水酸化物の
粉末は、前述した2次粒径測定法で測定して、0.1乃
至30μm、特に1乃至10μmの粒径を有することが
望ましい。
【0018】[予備混合物の調製]本発明の予備混合物
を調製するための混合機は、前述した分散構造の分散体
を高速で製造できるものであれば、特に制限を受けるこ
となく使用できる。しかしながら、比較的低温でしかも
著しく短時間で予備混合物を調製するには、分散部と滞
留部とを備えたピンミルを使用して、ピンミルの回転数
が500乃至2000rpm、特に800乃至1200
rpmの高速回転数で行うことが好ましい。
【0019】前記ピンミルとしてピンが植え付けられた
ローターを有するものを使用し、ローターの上側の中心
に溶融高級脂肪酸を供給すると共に、その周囲に多価金
属の酸化物乃至水酸化物の粉末を供給して、ローターの
上面で両者を分散させ、ローターの側面乃至下面にこの
分散体を滞留させて両者の混合を行うことが最も好まし
い。
【0020】本発明に使用する好適なピンミルの断面を
示す図2において、このピンミル10は、大まかにいっ
て、駆動軸11と、駆動軸に軸承されたローター12
と、ローターを収容するケーシング13とから成ってい
る。ケーシング13の上面には、中心に溶融高級脂肪酸
の供給口14とその周囲の多価金属の酸化物乃至水酸化
物粉末の供給口15とが設けられており、ケーシング1
3の下方には、予備混合物の排出口16が設けられてい
る。更に、ケーシング13には、補助成分の供給口1
7、18も設けられている。
【0021】ローター12は上面19、側面20及び下
面(下向きテーパ面)21からなる逆円錐台の形状をし
ており、上面19には1次分散ピン22が植え付けられ
ており、下面21には2次分散ピン23が設けられてい
る。また、側面20には、ケーシング13に設けられた
固定ピン24と噛み合う剪断ピン25が植え付けられて
いる。
【0022】ローター12と一体に回転する下向きに末
広がりのシュート26及びスクレーパー27が設けられ
ており、シュート26の上部は、溶融高級脂肪酸の供給
口14の下端28と回転可能に嵌合している。スクレー
パー27はケーシング13と粉末供給口15との接続コ
ーナ部29とスライド可能となっている。シュート26
の下方中央部には溶融高級脂肪酸の受け部30があり、
この受け部の側壁31には溶融高級脂肪酸の吐出スリッ
ト32が形成されており、その下面には突起33が形成
されている。
【0023】この装置においては、ローター12の上面
19上に分散部34が形成され、ローター12の下面2
1に滞留部35が形成される。
【0024】前述した分散構造の予備混合物は、次のよ
うに形成される。即ち、溶融高級脂肪酸は、供給口14
を経て、受け部30に流入し、突起33に衝突して、吐
出口スリット32を経て分散部34に薄膜状に流出す
る。一方、多価金属の酸化物乃至水酸化物の粉末は、供
給口15及びシュート26を経て薄膜状の溶融高級脂肪
酸上に散布される。散布された粉末を載せた溶融高級脂
肪酸は、分散部34の高速回転する1次分散ピン22に
より剪断され、一次分散が行われる。
【0025】この1次分散体は、固定ピン24と回転す
る剪断ピン25とにより剪断撹拌され、滞留部35に流
出する。滞留部35においては、高速回転する2次分散
ピン23による剪断撹拌を受けて、最終予備混合物とな
り、排出口16を経て装置外に排出される。
【0026】この予備混合操作は、前述した温度でしか
も前述した著しく短時間で行われることが特徴である。
【0027】本発明において、溶融高級脂肪酸と多価金
属の酸化物乃至水酸化物の粉末との供給割合は、目的と
する高級脂肪酸塩の化学量論的割合であるべきであり、
勿論目的とする高級脂肪酸塩は、正塩である場合もある
し、例えば2塩基性ステアリン酸鉛のような塩基性塩で
あってもよい。
【0028】[後反応]予備混合物の高級脂肪酸塩への
生成反応は、溶融条件下に行うこともできるし、少量の
水及び触媒の存在下に乾式で反応させることもできる。
【0029】前者の場合、溶融状態にある予備混合物を
ニーダー等の加熱された連続式の溶融混合機に供給し、
120乃至180℃の温度で0.5乃至5分間反応さ
せ、高級脂肪酸塩を連続的に製造することができる。反
応が完結させた後、生成物を溶融状態で取り出し、冷却
スチールベルトやスプレーで冷却固化させつつ成形し、
製品とする。この方法は比較的融点が低く、かつ溶融粘
度の低い金属石鹸の製造に適する。
【0030】また、後者の場合、予備混合物当たり3乃
至15重量%の水を存在させるのがよく、また、反応を
40乃至70℃の温度で20乃至90分間行うのがよ
い。
【0031】具体的には、液状混合物を一旦冷却、固化
させた後粉砕し、スーパーミキサー等の適当な高速混合
機を用い少量の水と酢酸等の触媒存在下で、高速混合に
よる衝撃、せん断作用にて反応を行う。触媒の添加時期
は基本的に高速混合開始時であるが、混合固化物の粉砕
性をよくする目的で、液/粉混合時に添加し、部分的に
反応せしめ、より融点の高い混合物とする場合もある。
この方法で得られた反応物は粉末状を呈し、場合によっ
ては残留水分を反応容器内の減圧等の操作によって除去
し製品とする。この方法は融点及び溶融粘度が高い金属
石鹸の製造に適する。
【0032】
【実施例】本発明を次の例で説明する。更にその生産性
等を表1に記載する。
【0033】各実施例で用いられる試験は下記の方法に
より行った。 (1)金属石鹸の金属含有量測定 試料金属石鹸を下記の量はかり取り、ジエチルエーテル
で浸し、6N硝酸5mlと水100mlを加え、40〜60分加
熱、溶解し冷却する。更に、下記の試薬を入れ撹拌後、
エリオクロム・フ゛ラックTを3〜5滴加え、M/20EDTA標準溶
液が紫色から青色になるまで滴定し、金属含有量を算出
する。 (2)遊離脂肪酸量測定 試料1gを三角フラスコにはかり取り、エチルエーテル
とエチルアルコールの混合液(1:1)約30mlを加
えてよく振り混ぜた後、約30分間放置し乾燥濾紙でこ
し、前記混合液でよ洗浄する。濾液と洗液をあわせ、こ
れにフェノールフタレイン溶液(1%)を指示薬として
N/20エチルアルコール性水酸化カリウム標準溶液を用い
て滴定し、薄ピンク色が30秒以上続いた時を終点とす
る。 遊離脂肪酸(%)=[(要した標準溶液×0.01405×標準
溶液の同力価)/試料量(g)]×100 (3)融点測定 微量融点測定装置(PM−S3型:柳本製作所製)にて
測定した。
【0034】(実施例1)平均分子量280、温度80
〜90℃の溶融ステアリン酸を毎時286kg、粉末一酸
化鉛を同118kgにて、蒸気ジャケットにより約120
℃に加温されたローター回転数約1000rpm(外周
速度約12m/s )の図2に示す連続混合型ピンミルに定
量的に供給し、5〜10秒の滞留時間を経て連続的に排
出された予備混合物を、直に、蒸気ジャケットにより約
170℃にに加温された、ローター回転数約150rp
m、外周速度約3m/s の連続溶融混練機に導入し、約3
0秒の滞留時間を経て排出させたところ、極めて着色の
少ない淡黄色透明の溶融ステアリン酸鉛が得られた。こ
れを固化、粉砕し分析した結果、Pb含有量27.7
%、遊離脂肪酸分0.2%、融点は108℃であった。
【0035】(実施例2)実施例1と同様の溶融ステア
リン酸を毎時325kg、酸化亜鉛を同49kg、及び混合
物全体量に対して0.4%の酢酸を実施例1と同様の条
件下で混合処理し、排出された予備混合物を直ちに実施
例1と同条件に設定した連続溶融混合機に導入し、約1
分の滞留時間を経て排出させたところ、乳白色の溶融ス
テアリン酸亜鉛が得られた。これを固化粉砕し、分析し
た結果、Zn含有量10.7%、遊離脂肪酸分%、 融
点は121℃であった。
【0036】(実施例3)溶融ステアリン酸を毎時28
6kg、粉末一酸化鉛を同318kgを、実施例1と同様の
条件下で処理し、得られた溶融混合物を一旦冷却、固化
した後、アトマイザー粉砕機にて粉砕し、粉末状の予備
混合物を得た。次に、得られた混合物から100gを取
り、水5g、酢酸0.3gと一緒に容量1Lのジューサ
ーミキサーに入れ攪拌を行った。開始10分後に5g、
更にその10分後に5gの水を追添加して攪拌を続けた
ところ、攪拌開始60分後に僅かに黄味を帯びたPb含
有量49.1%、遊離脂肪酸分0.5%、水分3.0
%、融点220℃以上の粉末状二塩基性ステアリン酸鉛
が得られた。反応中の仕込物の温度は50〜60℃であ
った。更にこれを60℃、−500mmHgの減圧下にて2
0分乾燥したところ、残留水分は0.1%となった。
【0037】(実施例4)溶融ステアリン酸を毎時32
5kg、水酸化カルシウムを同44kg、及び混合物全体量
に対して0.2%の酢酸を実施例1と同様の条件下で処
理し、得られた予備混合物を一旦冷却、固化した後、ア
トマイザー粉砕機にて粉砕し、粉末状の精密混合物を得
た。次に、得られた混合物から100gを取り、水5g
と一緒に容量1Lのジューサーミキサーに入れ、攪拌を
行った。開始10分後に水2gを追添加し、更に攪拌を
続けたところ、攪拌開始30分後にCa含有量6.8
%、水分2.6%、遊離脂肪酸分0.7%、 融点15
5℃の白色粉末状のステアリン酸カルシウムが得られ
た。反応中の混合物の温度は50〜60℃であった。
【0038】(実施例5)平均分子量214、温度80
〜90℃の工業用溶融ラウリン酸を毎時325Kg、酸
化亜鉛を同62Kg、及び混合物全体量に対して0.4
%の酢酸を実施例1と同様の条件下で混合処理し、排出
された予備混合物を直ちに実施例1と同条件に設定した
連続溶融混合機に導入し、約1分の滞留時間を経て排出
させたところ、乳白色のラウリン酸亜鉛が得られた。こ
れを固化粉砕し分析した結果、Zn含有量13.6%、
遊離脂肪酸0.4%、融点は113℃であった。
【0039】(比較例1)実施例1と同様のステアリン
酸715Kgを加熱、撹拌可能な反応槽に投入し150
℃に昇温した後、溶融物温度を150〜160℃に保温
しながら一酸化鉛(PbO)295Kgを30分かけて
徐々に添加、終了後、更に30分間熟成を行い溶融法に
よるステアリン酸鉛を得た。反応物は熱履歴により茶色
に変色し、また反応槽底部には未反応の一酸化鉛(Pb
O)が相当量観察された。
【0040】(比較例2)反応槽に水600Kg、一酸
化鉛(PbO)150Kg、酢酸を適量懸濁させ50℃
に昇温する。これとは別の反応槽に水400Kgを貼り
込み、撹拌80℃に昇温させた後、ステアリン酸135
Kgを投入し、さらに酢酸と等量程度のアンモニア(N
H40H)を添加し脂肪酸アンモニウム塩とする。一酸
化鉛懸濁反応槽に脂肪酸アンモニウム塩を約30分かけ
て注加し、終了後、更に30〜60分の熟成を行い反応
を終了する。反応終了スラリーは濾過、乾燥、更に粉砕
行程を経て湿式法によるステアリン酸鉛を得る。反応終
了後反応槽には多量の排水が発生し処理に苦慮した。
【0041】(比較例3)平均分子量280の粉末ステ
アリン酸(平均粒径200μm)47.4gと一酸化鉛
(PbO)52.6gを連続混合型ピンミルの代わりに
ジューサーミキサーで10分間予備混合を行った後、水
5g、酢酸0.3gを添加、撹拌し90分間反応し、黄
色の反応物を得た。得られた反応物は濃黄色を呈し、未
反応脂肪酸量を表す遊離脂肪酸量が2.9%であった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、予備混合物を用いるこ
とにより、高級脂肪酸塩を製造する際に反応性が向上
し、溶融脂肪酸の溶解潜熱を無駄にすることなく、時間
とエネルギーの節約となる。また、未反応物が減少し、
より完全反応に近づく。融点と溶融粘度の低い金属石鹸
においては、溶融混合物を直にニーダー等、適当な溶融
混練機に導入することにより、極めて着色の少ない金属
石鹸を連続的、且つ容易に得ることができ、従来よりも
より高塩基度のものが得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】予備混合物を説明する概念図である。
【図2】本発明に用いられるピンミルを示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 溶融高級脂肪酸 2 多価金属の酸化物乃至水酸化物粒子 3 予備混合物 10 ピンミル 11 駆動軸 12 ローター 13 ケーシング 14 溶融高級脂肪酸の供給口 15 多価金属の酸化物乃至水酸化物粉末の供給口 16 予備混合物の排出口 17、18 補助成分の供給口 19 ローター上面 20 ローター側面 21 ローター下面 22 1次分散ピン 23 2次分散ピン 24 固定ピン 25 剪断ピン 26 シュート 27 スクレーパー 28 供給口下端 29 粉末供給口接続コーナ部 30 受け部 31 受け部の側壁 32 吐出スリット 33 突起 34 分散部 35 滞留部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石田 仁 東京都中央区日本橋室町4丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融高級脂肪酸と多価金属の酸化物乃至
    水酸化物の粉末とを、化学量論的量で、混合機中に供給
    して、溶融高級脂肪酸が連続相及び多価金属の酸化物乃
    至水酸化物の粉末が微細な分散相となった予備混合物を
    調製し、この予備混合物を加熱下に反応させることを特
    徴とする高級脂肪酸塩の製造方法。
  2. 【請求項2】 予備混合物の調製を、前記高級脂肪酸の
    融点以上の温度で行う請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 予備混合物の調製を3乃至30秒間の時
    間で行う請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 混合機として、分散部と滞留部とを備え
    たピンミルを用いる請求項1乃至3の何れかに記載の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 予備混合物の調製を、ピンミルの回転数
    が500乃至2000rpmの回転数で行う請求項4に
    記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ピンミルとしてピンが植え付けられ
    たローターを有するものを使用し、ローターの上側の中
    心に溶融高級脂肪酸を供給すると共に、その周囲に多価
    金属の酸化物乃至水酸化物の粉末を供給して、ローター
    の上面で両者を分散させ、ローターの側面乃至下面にこ
    の分散体を滞留させて両者の混合を行うことを特徴とす
    る請求項4乃至5の何れかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 予備混合物を溶融条件下に反応させる請
    求項1乃至6の何れかに記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 溶融状態にある予備混合物をニーダーに
    供給し、120乃至180℃の温度で0.5乃至5分間
    反応させ、高級脂肪酸塩を連続的に製造する請求項7に
    記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 予備混合物を少量の水及び触媒の存在下
    に乾式で反応させる請求項1乃至6の何れかに記載の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 予備混合物当たり3乃至15重量%の
    水を存在させる請求項9記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 反応を40乃至70℃の温度で20乃
    至90分間行う請求項8乃至10の何れかに記載の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101486636B (zh) 2008-11-20 2012-06-13 靖江旭光塑胶有限公司 一种非水合成硬脂酸铅盐的制备方法
CN104003864A (zh) * 2014-06-09 2014-08-27 广东信诚达科技有限公司 一种脂肪酸碱土金属盐及其制备方法
CN113717040A (zh) * 2020-05-26 2021-11-30 东莞市汉维科技股份有限公司 一种熔融法合成月桂酸锌的清洁生产工艺
CN117843470A (zh) * 2024-01-02 2024-04-09 江苏极易新材料有限公司 一种硬脂酸盐合成方法

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