JPH1142279A - 鼓膜穿孔修復材 - Google Patents

鼓膜穿孔修復材

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JPH1142279A
JPH1142279A JP9198153A JP19815397A JPH1142279A JP H1142279 A JPH1142279 A JP H1142279A JP 9198153 A JP9198153 A JP 9198153A JP 19815397 A JP19815397 A JP 19815397A JP H1142279 A JPH1142279 A JP H1142279A
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perforation
chitin
eardrum
drum membrane
restorative material
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JP9198153A
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Toru Sakamoto
徹 坂本
Akihiko Hasegawa
明彦 長谷川
Keiji Okada
圭史 岡田
Masaya Yoshimura
昌也 吉村
Nobuyuki Tanimoto
信行 谷本
Ryoichi Tsuruya
良一 鶴谷
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた鼓膜再生機能を有し、簡便な操作で使
用することができる鼓膜穿孔修復材を提供する。 【解決手段】 キチン繊維と固体のバインダーからなる
キチン不織布に、液体の糊剤を塗布したことを特徴とす
る鼓膜穿孔修復材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鼓膜穿孔修復材に関
するものであり、さらに詳しくは、外傷による鼓膜穿孔
や耳科手術における切開創等の鼓膜欠損部に対して用い
る鼓膜穿孔修復材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鼓膜は聴覚器官の一部分であり、外耳道
と鼓室との間にはさまれた中胚葉成分から形成されてい
るが、これは経時的に徐々に薄くなり、鼓室の外側壁の
大部分を形成するようになる。また、鼓膜は鼓室と外耳
道を分けている薄い緊張性の膜であり、外耳と中耳の境
界を構成している。鼓膜の組織は、外側が外胚葉(外鰓
弓の陥凹)に被われ、内側が内胚葉(耳管上皮)に被わ
れており、3層より成る。外側は重層扁平上皮で外耳道
の皮膚の続きであり、中層は線維束、内側は単層扁平上
皮で中耳粘膜の一部である。
【0003】鼓膜穿孔とは、鼓膜に裂傷や穿孔等の欠損
を生ずる症状である。その原因としては、耳かき・マッ
チの軸・鉛筆や外耳道異物等による直接的(direct)な
ものと、平手打ち・爆発による外耳道内気圧の瞬間的激
変や耳管通気損傷・破裂による間接的(indirect)なも
のに分けられる。また、中耳手術等の耳内手術の際には
鼓膜を切開して手術操作を行うため、必然的に鼓膜が欠
損する。さらに、慢性中耳炎治癒後の後遺症として鼓膜
に穿孔が生じることもある。上記のごとく鼓膜の損傷を
一括して、本発明では鼓膜穿孔と呼称する。
【0004】欠損した鼓膜は一般的には自然に再生する
こともあるが、鼓膜は空間に浮いた組織であり、皮膚欠
損と異なり皮下組織等の下床がないため一般の創傷治癒
家庭とは本質的に異なる。したがって、再生を促進する
ために辺縁を三塩化酢酸やプロタルゴール液等で腐食さ
せるが、既に縮小しなくなっていると判定される場合
は、鼓膜形成術で閉鎖するか、または閉鎖材を用いて欠
損部の閉鎖を行う。鼓膜形成術は鼓室内病変がない場合
に行うものである。これは、鼓膜欠損部を移植組織片
(皮膚、静脈片、側頭筋膜等)で塞ぐか、鼓膜全体を移
植組織片で置き換える方法である。しかし、手術に対し
て消極的な患者も少なからず存在し、安易に行えるもの
ではない。被覆材により閉鎖する方法では、被覆材が異
物の侵入を防止し、また、鼓膜がその表面に沿って再生
する足場を提供することができる。このような鼓膜穿孔
の閉鎖には、従来より種々の材料が使用されてきた。19
世紀より綿、ガーゼ片、ゴム膜やゴム球、紙片、コロジ
オン膜、卵膜等が使用されており、今世紀に入ってはセ
ロファン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン
膜、コラーゲン、フィブリン膜等の天然由来物の加工品
や人工材料が使用され始めた。生体由来材料としては、
自家移植片として耳後部・外耳道の皮膚や口唇粘膜、骨
膜、側頭筋膜、静脈弁、脂肪組織、鼻中隔軟骨膜と軟
骨、鼓膜、脳硬膜等の自家組織等があり、異種移植片と
しては豚の膀胱、魚の浮き袋、子ウシの腹膜や筋膜、凍
結乾燥豚皮等がある。
【0005】このように、鼓膜穿孔修復材として各種の
材料が使用されてきた。特に今世紀後半に使用され始め
た生体由来物は、その生体親和性及び創傷治癒促進効果
を利用して、元々外傷に対する被覆材として使用されて
きたものであり、その創傷治癒促進効果を応用して鼓膜
の再生に使用されたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の鼓膜穿
孔修復材では、鼓膜の再生閉鎖作用が小さく、鼓膜への
長期間の接着性も良好ではなかった。例えば、ポリテト
ラフルオロエチレンでは重ね合わせて使用することは容
易ではなかった。そのため、頻回に貼り替えを要する等
の問題点を有しており、患者および医師の負担が大き
く、良好な使用感を得るためには依然として改良の余地
があった。コラーゲンフィルムにフィブリン糊を付けた
ものも使用されているが、価格的に高く、操作性も良好
なものではなかった。自家組織は移植片としての生体親
和性等の性能は優れているが、採取と使用までの保存に
慎重を期する必要があり、安全で保存性のよいものが求
められていおり、また、品質の一定したものを供給する
ことが困難である。その上、鼓膜穿孔の閉鎖には数十日
間かかるため、生体組織では貼付後にも感染や腐敗の不
具合が生じることが多かった。本発明は、優れた鼓膜再
生機能を有し、簡便な操作で使用することができる鼓膜
穿孔修復材の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、このよう
な課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、キチン
繊維と固体のバインダーからなるキチン不織布に液体の
糊剤を塗布した鼓膜穿孔修復材を鼓膜穿孔の閉鎖に使用
した場合、周辺鼓膜へよく密着し、優れた鼓膜穿孔閉鎖
促進効果、鼓膜再生機能を有し、かつ簡便な操作で使用
できることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、キチン繊維と固体のバインダーか
らなるキチン不織布に、液体の糊剤を塗布したことを特
徴とする鼓膜穿孔修復材を要旨とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるキチンとは、甲殻類・甲虫類の外骨格、
イカの軟甲等を塩酸処理ならびにカ性ソーダ処理するこ
とにより脱石灰、脱蛋白されて得られるポリ−N−アセ
チル−D−グルコサミンおよびその誘導体をいう。誘導
体としては、例えば、キチンのアセチルアミノ基の一部
または全部が脱アセチル化した脱アセチル化キチンおよ
びキトサン、キチンまたはキトサンのエーテル化物、エ
ステル化物、カルボキシメチル化物、ヒドロキシエチル
化物、O−エチル化物等が挙げられ、具体例としては、
[ポリ(N−アセチル−6−O(2’−ヒドロキシエチ
ル)−D−グルコサミン)]、[ポリ(N−アセチル−
6−O(エチル)−D−グルコサミン)]等が挙げられ
る。
【0009】キチンの脱アセチル化はキチンをアルカリ
処理するという周知の方法により行うことができる。こ
の際、使用するアルカリ溶液の濃度、処理温度、処理時
間等を適宜変えることにより脱アセチル化度は容易に調
整することが可能である。
【0010】なお、脱アセチル化度とは以下に示す方法
で測定した値をいう。試料約2gを2N−塩酸水溶液 2
00ml中に投入し、室温で30分間撹拌する。次に、ガラス
フィルターで濾過し、塩酸水溶液を除去した後、200ml
のメタノール中に投入して30分間撹拌し、ガラスフィル
ターで濾過後、フレッシュなメタノール 200ml中に投入
し、30分間撹拌する。このメタノールによる洗浄操作を
4回繰り返した後、風乾及び真空乾燥する。乾燥後、約
0.2gを精秤し、容量 100mlの三角フラスコに取り、イ
オン交換水40mlを加えて30分間撹拌する。次いで、この
溶液をフェノールフタレインを指示薬として 0.1N−カ
性ソーダ水溶液で中和滴定する。脱アセチル化度(A)
は次式によって求められる。
【0011】A(%)=〔(2.03×f×b×10-2)/
(a+0.055 ×f×b×10-2)〕×100
【0012】ただし、aは試料の重量(g)、fは 0.1
N−カ性ソーダ水溶液の力価、bは0.1N−カ性ソーダ
水溶液の滴定量(ml)である。
【0013】本発明に用いるキチン繊維としては、キチ
ンの長繊維、長繊維を切断した短繊維、およびフィブリ
ルが含まれる。フィブリルとは小繊維を意味するが、本
発明では長さおよび幅の不定な糸状構造物またはその集
合体をいう。
【0014】上記のキチン繊維は、まず、キチン粉末か
らキチン溶液を調製し、次いでキチン溶液を紡糸または
フィブリル化することにより作製できる。キチン溶液を
調製する際の溶剤としては、キチンまたは脱アセチル化
度の低いキチンでは、例えば、トリクロロ酢酸とハロゲ
ン化炭化水素との混合溶液やジメチルアセトアミド及び
/またはN−メチルピロリドンと塩化リチウムとの混合
溶液が用いられ、脱アセチル化度の高いキチンでは、酢
酸等の希酸の水溶液が用いられる。
【0015】また、凝固液としては、キチンまたは脱ア
セチル化度の低いキチンでは、水、メタノール、エタノ
ール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチル
エチルケトン等のケトン類等が好適に用いられるが、廃
液処理の点から水が好ましい。また、脱アセチル化度の
高いキチンまたはキトサンでは、水酸化ナトリウム水溶
液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液が用いられ
る。
【0016】キチンの長繊維を製造するには、キチンの
溶液をステンレスネット等で濾過して未溶解分や異物を
除去した後、ギヤーポンプ等で輸送、計量し、ノズルか
ら凝固液中に吐出して凝固させればよい。凝固した糸条
は、例えば、回転ローラー等で2〜50m/min 程度の速
度で引き取り、ワインダー等によって捲き取り、さらに
洗浄を行い、糸条中に含まれる溶剤を十分除去した後、
乾燥させればよい。また、長繊維を所要の長さに切断す
ることにより短繊維が得られる。
【0017】キチンのフィブリルを作製するには、キチ
ン溶液と水を高速で撹拌混合し、凝固、洗浄させればよ
い。この際、凝固液として用いる水の温度が高いほど大
きなフィブリルが作製でき、低いほど凝固時間が長くな
り、細片で均一な大きさのフィブリルが作製できる。ま
た混合速度としては、例えば、日本精機株式会社製のマ
ルチニーダーを用いた場合、300rpm以上が好ましい。キ
チン溶液と水の混合比は、キチン溶液1に対して水が
0.5〜2、好ましくは1〜1.5 である。洗浄操作には、
濾過又は遠心分離、温水又は煮沸の1つ以上を組み合わ
せて行えばよい。
【0018】本発明でキチン繊維を結合させる固体のバ
インダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、カ
ルボキシメチルセルロース、ゼラチン、デンプン、アク
リル酸エステル、酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共
重合物、塩化ビニル、天然ゴム、合成ゴム、ペクチン、
フィブリン等が挙げられるが、特にポリビニルアルコー
ルが好ましい。これらのバインダーは単独で用いてもよ
いし、複数を組み合わせて用いてもよい。固体のバイン
ダーの形態は、粉末、顆粒、繊維状に成形したもの等が
挙げられるが、繊維状に成形したものが抄紙液中の分散
性が良好であり、キチン繊維との交絡性が良好であり、
作製されたシートの強度が十分なものとなるので、好ま
しい。
【0019】キチン不織布は、一般の抄紙法と同様の方
法で作製することができる。例えば、キチンの短繊維ま
たはフィブリルを用い、汎用の連続式抄紙機やバッチ式
抄紙機によりシート化することにより不織布を作製する
ことができる。その際、キチン繊維と固体のバインダー
との重量比が50:50〜90:10の範囲で使用する
のが好ましい。バッチ式で不織布を製造する場合、上記
の比率のキチン繊維および固体のバインダーを過剰量の
水中に均一に常温で分散させ、下部から20〜 200メッシ
ュのフィルターを通じて水を抜き取り、フィルター上に
分散していた繊維を積層させ、その薄片を加圧圧縮して
水を絞った後、ローラー型加熱圧縮式乾燥機で、好まし
くは 100〜 180℃で回転加熱ローラーと厚手の布の間で
圧着させながら、好ましくは3〜20分間乾燥させれば
よい。
【0020】本発明の鼓膜穿孔修復材は、上記方法によ
り得られた不織布に、鼓膜への接着性を目的として、液
体の糊剤を付与することにより得られる。液体の糊剤と
しては、重合度とけん化度が比較的低いポリビニルアル
コール、例えば、重合度が 200〜300 、けん化度65%付
近のものを使用すれば上記粘着効果を有する鼓膜穿孔修
復材の作製が可能になる。液体の糊剤は成形加工におけ
る種々の工程で付与することが可能であるが、例えば、
不織布を作製する際、繊維の結合には常温で固体のポリ
ビニルアルコールを使用し、不織布作製後、常温で液体
のポリビニルアルコールを再び塗布すればよい。本発明
の鼓膜穿孔修復材は、上記処理を行うことにより、貼付
時の固定が容易となり、また、貼付後は長期間の接着が
可能となるため、医師や患者の負担が低減されると共
に、キチンの創傷治癒促進効果を長期間維持することが
できる。
【0021】本発明の鼓膜穿孔修復材の厚みとしては、
例えば、0.01〜0.5 mmの範囲のものが好ましいが、薄い
ものは均一な厚みのものを作製しにくく、厚いものでは
柔軟性が損なわれるため、0.05〜 0.2mm前後のものが操
作上及び使用効果においても特に好適である。厚みの調
節は、抄紙液中のキチン繊維およびポリビニルアルコー
ルの濃度を調整することにより可能である。例えば、 1
00Lの抄紙液を用いて、10000cm2の抄紙網にキチン繊維
90gおよび繊維状のポリビニルアルコール10gを分散し
た場合には、厚さ約 0.1mmの不織布が作製でき、また、
キチン繊維とポリビニルアルコールの量をそれぞれ倍に
するか、または抄紙網の面積が半分のものを使用する
と、厚さ約 0.2mmの不織布が作製できる。
【0022】本発明の鼓膜穿孔修復材は、鼓膜穿孔を閉
鎖するのに適当な寸法及び形状、例えば、直径6mm、9
mm等の円形等に切り抜き、滅菌袋に1枚ないし複数枚を
包装して滅菌しておけば、必要な際に開封して直ちに使
用することができる。使用時に生理食塩水または点耳液
にて湿潤させ、耳用鉗子等を用いて穿孔部に貼付すれば
よい。また、滅菌器および滅菌袋、その他の器具は医療
用として一般的に使用されているものを用いることがで
きる。
【0023】本発明の鼓膜穿孔修復材は、その糊剤が、
湿潤状態から乾燥に至る過程において接着するものであ
る。従って、本発明の鼓膜穿孔修復材は湿潤させ、穿孔
部位に密着させた後に位置を修正することが可能であ
り、その操作性は非常に優れたものである。また、処置
後に耳漏が出現し除去が必要になった場合でも、耳漏に
より湿潤することによって糊剤が溶解し接着力が低下す
るため、痛みがなく簡単に除去することができる。
【0024】本発明の鼓膜穿孔修復材は、修復材同士を
接着させることができる。耳鏡の孔径より大きな大穿孔
に対しては、2〜3枚重ね合わせて接着させることが可
能であるので、従来の修復材のように小さく畳んだ材料
を鼓膜表面で広げるという煩雑な操作は必要なく、これ
らの操作は全て経耳鏡的に、無痛性に、簡単かつ短時間
に施行することができる。
【0025】キチンは多糖であるため生体となじみがよ
く、皮膚損傷部の治癒を促進する効果が種々の研究によ
り明らかとなっている。キチン溶液から製膜した透明な
キチンフィルムを細胞培養の基材としてマウス由来線維
芽細胞を培養したところ良好な増殖がみられ、コラーゲ
ンフィルムよりも増殖能が優れるという結果も得られて
いる。このように、キチンは生物細胞の増殖に好ましい
効果を有していることが確認されているので、鼓膜細胞
の増殖にも好ましい影響を与えていると推測される。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。
【0027】実施例1 キチン粉末(三栄工業株式会社製)をジメチルアセトア
ミドと塩化リチウムからなる溶媒に溶解し、キチン濃度
8重量%の溶液を得た。得られた溶液は1400メッシュの
ステンレスネットで濾過し、放置脱泡のうえタンクに入
れ加圧下でギヤーポンプにて輸送し、1000ホールのノズ
ル(直径0.04mm)から70℃の水中に12g/minの割合で吐
出して、11 m/minの速度で回転ローラーに引き取り、湿
式紡糸を行なった。得られた糸条を水で洗浄後、乾燥し
て 0.8単糸デニールの長繊維を作製した。この長繊維を
長さ5mmに切断し、キチンの短繊維を得た。上記キチン
短繊維 0.5gと1d、長さ1mm、重合度1700、けん化度
99.7%のポリビニルアルコール繊維0.05gとを1Lの水
に加えて分散させた。次に、その分散液に水を加え、全
量6Lとし、均一に繊維を分散させ、シートマシンに入
れた後、80メッシュのステンレスネットを介して下方か
ら水を除去した。ネット上の積層繊維物を定性濾紙では
さんだ後、プレス器により3kg/mm2の圧力で圧縮し、水
を除去した。さらに、これを 150℃の加熱回転ロール上
で、厚手の布との間で圧着させながら6分間乾燥を行な
って不織布を得た。厚みは80μm 、坪量は 2.0mg/cm2
あった。けん化度65%のポリビニルアルコールを45%濃
度で水に溶解し、上記不織布の片面に塗布して乾燥さ
せ、鼓膜穿孔修復材を得た。鼓膜穿孔修復材全重量に対
するポリビニルアルコールの重量比は30%であった。
【0028】上記の鼓膜穿孔修復材を直径6mmの円形に
カットし、無菌下で包装して紫外線滅菌をした後、使用
時まで滅菌袋に保存し、鼓膜穿孔の閉鎖に使用した。対
象は事前に同意を得た患者の25例28耳(男性6例6耳、
女性19例22耳)で、年齢は20〜74才(平均56.1才)、観
察期間は最短7日〜最長1026日で平均 231.7日であっ
た。対象疾患は慢性穿孔性中耳炎が大部分で、全体の約
4割は良聴耳であった。使用時には鉗子にて保持後、点
耳液を1滴滴下し経耳鏡的に穿孔部位にのせ、位置を修
正した後、余分な水分を吸引し鼓膜と密着させた。大穿
孔ではさらにもう1枚を追加し接着させた。この際、外
耳道の消毒や鼓膜の麻酔は一切必要なかった。また、1
回の操作に要する時間は2〜3分であった。外来通院に
ついては最初の処置後3〜4日目に耳漏の有無を確認
後、多量の耳漏の出現を認める際には除去して試験を中
止した。乾燥している場合は1〜2週毎に再診し接着状
態を確認した。
【0029】症例の経過を1例について詳述する。患者
は72才の女性で、幼少時より右側の中耳炎による難聴で
鼓膜はほぼ全欠損に近い大穿孔であった。左耳が生活耳
であったが、聴神経腫瘍となり高度難聴を呈し、日常会
話が困難となり来院した。鼓膜穿孔閉鎖術に消極的であ
り、本発明の鼓膜穿孔修復材による処置を施行した。1
枚を鼓膜に密着後、さらにもう1枚を重ね合わせ、余分
な水分を吸引し接着させた。この方法により聴力利得は
平均18dBとなり、日常会話が容易となった。
【0030】不具合は総施行回数 101回に対して発現数
は17回(16.8%)であったが、処置中の副作用はなく、
処置後では耳漏が最も高かった。耳漏多量にて中止した
症例は2例であったが、他の症例は一時的で少量であ
り、一時中断し、その後再開した。穿孔の拡大や骨胴聴
力の低下は1例もみられなかった。
【0031】本発明の鼓膜穿孔修復材は、小さく畳んだ
材料を鼓膜表面で広げるという煩雑な操作は必要なく、
これらの操作は全て経耳鏡的に簡単に施行することが可
能であり、混雑した外来診療の中で簡単にかつ短時間に
施行できた。以上のように、本発明の鼓膜穿孔修復材
は、鼓膜穿孔症例を診察した際に、鼓膜の非常に薄い症
例や大穿孔例、手術に消極的な症例、チュービング後穿
孔や鼓膜形成術後の再穿孔例等の治療法の選択肢の一つ
として今後期待される。
【0032】
【発明の効果】本発明の鼓膜穿孔修復材は、優れた鼓膜
再生機能を持ち、簡便な操作で使用することができる。
また、長期間の接着性を有しており、治癒まで交換また
は再貼付の必要がなく、非手術的に鼓膜穿孔を閉鎖状態
にすることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉村 昌也 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 谷本 信行 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 鶴谷 良一 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キチン繊維と固体のバインダーからなる
    キチン不織布に、液体の糊剤を塗布したことを特徴とす
    る鼓膜穿孔修復材。
  2. 【請求項2】 固体のバインダーおよび液体の糊剤がポ
    リビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記
    載の鼓膜穿孔修復材。
JP9198153A 1997-07-24 1997-07-24 鼓膜穿孔修復材 Pending JPH1142279A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011099087A1 (ja) * 2010-02-15 2011-08-18 甲陽ケミカル株式会社 キチン由来のスポンジ止血材及びその製造方法
JPWO2019097885A1 (ja) * 2017-11-16 2019-11-14 三菱電機株式会社 全熱交換素子および全熱交換器

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