JPH114533A - ディジタル形保護継電器 - Google Patents

ディジタル形保護継電器

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JPH114533A
JPH114533A JP9173270A JP17327097A JPH114533A JP H114533 A JPH114533 A JP H114533A JP 9173270 A JP9173270 A JP 9173270A JP 17327097 A JP17327097 A JP 17327097A JP H114533 A JPH114533 A JP H114533A
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Kuniaki Yabe
邦明 矢部
Jun Koda
潤 香田
Hiroshi Yamakawa
寛 山川
Mitsuru Yamaura
充 山浦
Satoshi Nakano
聡 中野
Chikao Sato
力生 佐藤
Masao Hori
政夫 堀
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Tokyo Electric Power Co Holdings Inc
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 変圧器励磁突入電流では確実に不動作にな
り、変圧器内部事故に対しては確実に動作するようにす
る。 【解決手段】 被保護対象からの交流電流を入力し、こ
れをサンプリングしてデイジタル量に変換して差動電流
を求め、この差動電流に基づく電気量が所定値以上であ
るとき内部事故であると判定する第1の判定手段を備え
たディジタル形保護継電器であって、前記求められた差
動電流の内、電気角T度間隔のK個の瞬時値のディジタ
ル量(im ,im-1 ,im-2 ,im-3 ,…,
m-(K-1) )を導入し、下記の振幅値演算式(イ)に
て、差動電流の一定区間における振幅値を求め、ここで
求められた振幅値が一定値以下か否かを判定して一定値
以下の時に出力する第2の判定手段、および前記第2の
判定手段の出力を所定時間復帰遅延する第1の復帰遅延
手段を有する励磁突入電流対策要素を備えた。 【数71】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力系統の例えば
変圧器保護に用いられるディジタル形保護継電器に係
り、特に変圧器励磁突入電流では確実に不動作となり、
変圧器内部事故に対しては確実に動作するようにしたデ
ィジタル形保護継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】図30は、この種の変圧器保護用のディ
ジタル形差動継電器(以下、差動リレーと称する)を電
力用変圧器に適用した場合の構成例を示す回路図であ
る。図30において、電力系統電源Gには、遮断器CB
を介して、被保護対象である電力用変圧器(以下、単に
変圧器と称する)Trが接続されている。
【0003】また、変圧器Trを挟んで、各相毎の交流
電流を抽出する主変流器CT1,CT2が設けられてお
り、これら主変流器CT1,CT2により抽出された交
流電流I1 ,I2 は差動リレー1に導入され、変圧器T
rの内部事故時に動作して遮断器CBを遮断して変圧器
Trが保護されるようになっている。
【0004】図31は、従来の差動リレー1の内部構成
例を示す機能ブロック図である。なお、ここでは、ディ
ジタルリレーの中央演算処理部(CPU)において実行
される演算処理を機能ブロック図として示している。図
31において、差動リレー1は、入力変成器2と、アナ
ログ/ディジタル変換器(以下、A/D変換器と称す
る)3と、中央演算処理部(以下、CPUと称する)4
とからなっている。
【0005】入力変成器2は、主変流器CT1,CT2
により抽出された交流電流I1 ,I2 を、適当な大きさ
に変換するものである。また、A/D変換器3は、入力
変成器2により変換された交流電流I1 ,I2 を一定時
間間隔でサンプリング(一般に、定格周波数50kHz
で4.8kHzの高速サンプリング)し、ディジタル量
に変換するものである。
【0006】さらに、CPU4は、A/D変換器3によ
り変換されたディジタル量を用いてディジタル演算処理
を行ない、変圧器Trの保護指令を遮断器CBに出力す
るものである。すなわち、CPU4では、ディジタル量
に変換された電気量I1 ,I2 を用いて、以下のような
ディジタル演算処理を行なう。
【0007】5はCPU4でディジタル演算処理される
差動保護要素(以下、単に差動要素と称する)、6はC
PU4でディジタル演算処理される第2調波検出要素
(以下、単に2f要素と称する)である。まず、差動要
素5において、振幅値演算部11,12は、電気量
1 ,I2 の各々から基本波分1fを抽出して、振幅値
|I1 |,|I2 |を求める。
【0008】また、スカラー和(以下、抑制電流と称す
る)演算部13は、振幅値|I1 |,|I2 |のスカラ
ー和(抑制電流=抑制量)Σ|I|を求める。一方、ベ
クトル和(以下、差動電流と称する)演算部14は、電
気量I1 とI2 のベクトル和(差動電流=動作量)Id
を求める。
【0009】また、振幅値演算部15は、差動電流Id
から基本波電流1fを抽出して、振幅値|Id1f|を求
める。さらに、差動判定演算部16は、抑制電流Σ|I
|と差動電流|Id1f|との関係が所定値以上になった
時に、内部事故と判定して出力を生じる。
【0010】一方、2f要素6において、振幅値演算部
17は、差動電流Idから第2調波電流2fを抽出し
て、振幅値|Id2f|を求める。また、2f判定演算部
18は、差動電流Idに含有される基本波電流1fと第
2調波電流2fとの関係が所定値以上になった時に、励
磁突入電流と判定して出力を生じる。
【0011】一方、2f要素6の2f判定演算部18の
出力をNOT演算回路19により反転させた出力と、差
動要素5の差動判定演算部16の出力との論理積(AN
D)演算を論理積演算回路20で行ない、この論理積演
算回路20の出力を差動リレー1の出力として送出す
る。
【0012】かかる構成の差動リレー1において、交流
電流I1 ,I2 は、入力変成器2を通して、A/D変換
器3によりディジタル量に変換された後、差動要素5に
導入される。差動要素5に導入された電気量I1 ,I2
は、振幅値演算部11,12を通して、抑制電流演算部
13により抑制電流Σ|I|を導出すると共に、差動電
流演算部14により差動電流Id=I1 +I2 を導出す
る。
【0013】この差動電流Idは、1fが振幅値演算部
15および2f要素6に各々導入される。この場合、負
荷電流および外部事故時の通過電流による差動電流Id
は零となり、電力用変圧器Trの内部事故時には事故電
流に応じた差動電流Idが発生する。
【0014】振幅値演算部15から出力された差動電流
Idの1fの振幅値|Id1f|と、抑制電流Σ|I|
は、各々差動判定演算部16に導入され、|Id1f|−
AΣ|I|≧B(A、Bは定数)の関係となった時に、
変圧器内部事故と判定して差動要素5が出力を生じる。
一方、2f要素6に導入された差動電流Idは、振幅値
演算部17に導入され、差動電流Idから第2調波電流
2fを抽出して2f振幅値|Id2f|を出力し、2f判
定演算部18に導入される。
【0015】また、この2f判定演算部18には、差動
要素5にて演算された1f振幅値|Id1f|も導入さ
れ、差動電流Idに含有される基本波電流1fに対する
第2調波電流2fの度合(|Id2f|/|Id1f|)が
所定値以上になった時に、励磁突入電流と判定して2f
要素6が出力を生じる。
【0016】そして、この2f要素6が動作すると、そ
の出力はNOT演算回路19を通して差動要素5の出力
を阻止(ロック)するため、差動リレー1としての動作
を防止することができる。次に、変圧器励磁突入電流対
策の必要性について簡単に説明する。
【0017】いま、図30における遮断器CBを閉路す
ることにより、変圧器Trに電圧が印加されて、変圧器
鉄心の磁化特性に基づく励磁突入電流が流れる。この励
磁突入電流は、見掛け上、変圧器Trの内部事故のよう
に、電力系統電源G側より流入し、差動リレー1の動作
量(差動電流Id)となるため、差動リレー1の誤動作
(事故でないのに動作する)の原因となる。
【0018】従って、励磁突入電流と実際の事故による
電流とを区別する必要があり、その方法として、励磁突
入電流に第2調波電流2fが多く含まれる特徴から、差
動電流Idに含まれる基本波電流Ifに対する第2調波
電流2fの割合が所定値(一般には15%程度が良く用
いられる)以上の時には、励磁突入電流と判定して出力
する2f要素6により、差動要素5の出力をロックし
て、差動リレー1の誤動作を防止するようにしている。
【0019】前述したように、従来の変圧器保護におい
ては、差動電流により変圧器の事故を検出する差動リレ
ーが用いられており、変圧器励磁突入電流によって差動
リレー1が誤動作しないように、励磁突入電流に含まれ
る第2調波電流を検出し、その含有率が所定値以上とな
った時に、リレー動作を阻止する2f要素6を備えたも
のが採用されている。
【0020】しかしながら、近年では、1000kV送
電や500kV長距離地中ケーブルの導入計画が進んで
おり、このため、電力系統の静電容量が大きくなって共
振周波数が低下し、事故電流に含まれる第2調波近傍の
高調波電流が増加することが予想されている。
【0021】その結果、従来の第2調波電流検出方式を
採用した差動リレー1では、変圧器内部事故時において
も、2f要素6が動作して、差動リレー1が誤不動作
(過剰ロックにより事故があるのに動作できない)とな
る可能性がある。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
差動リレーにおいては、内部事故電流に第2調波近傍の
高調波電流を含むような電力系統の変圧器に対して、そ
の内部事故時に確実に動作することができない可能性が
あるという問題があった。本発明は上記課題を解決する
ためになされたものであり、変圧器励磁突入電流では確
実に不動作となり、変圧器内部事故に対して確実に動作
することが可能なディジタル形保護継電器を提供するこ
とを目的にしている。
【0023】
【課題を解決するための手段】複数の端子を有する被保
護対象を挟んで各相毎の交流電流を導入し、当該導入さ
れた交流電流を各々一定時間間隔でサンプリングして交
流電流の瞬時値のディジタル量に変換し、前記変換され
たディジタル量を用いて各相毎の差動電流を求め、ここ
で求められた差動電流に基づく電気量が所定の値以上で
ある時に内部事故と判定して出力を生じる第1の判定手
段を有する差動保護要素を備えたディジタル形保護継電
器において、
【0024】本発明の請求項1に係るディジタル保護継
電器は、前記求められた差動電流の内、電気角T度間隔
のK個の瞬間値のディジタル量(im ,im-1
m-2 ,im-3 ,…,im-(K-1) )を導入し、下記振幅
値演算式(イ)にて、差動電流の一定区間における振幅
値を求め、ここで求められた振幅値が一定値以下か否か
を判定して一定値以下の時に出力する第2の判定手段、
および前記第2の判定手段の出力を所定時間復帰遅延す
る第1の復帰遅延手段を有する励磁突入電流対策要素を
備え、前記励磁突入電流対策要素の出力により、前記差
動保護要素の出力を阻止するようにした。
【0025】
【数8】
【0026】次に作用について説明する。励磁突入電流
には、1サイクル中に変圧器鉄心の磁束飽和によって電
流が流れる区間と被保護対象である変圧器鉄心の飽和が
解けて電流が流れない区間(無電流期間)が必ず存在す
るのに対し、事故電流には、基本波電流もしくは不特定
高調波電流の重畳のため無電流期間が生じることはな
い。
【0027】なお、励磁突入電流の1サイクル中に存在
する無電流期間は本来電流零であるが、変流器による直
流分喪失等により、必ずしも保護継電器の見る励磁突入
電流(=差動電流)の無電流期間は単純に電流零の期間
とはならず、前記の変流器の直流分喪失等の分だけ電流
瞬時値を有するが電流瞬時値の変化は少ない平坦な電流
期間であるといえる。
【0028】このため、電流の1サイクル中の一定区間
における電流瞬時値の変化が小さいことを、電流の1サ
イクル中の一定区間における基本波成分の振幅値が小さ
いことで検出し、これによる振幅値が所定値以下の時に
電流瞬時値の変化が少ないすなわち励磁突入電流と判定
して、励磁突入電流による保護継電器の誤動作を防止す
ることができる。
【0029】上記を実現するためには、交流器の直流分
喪失等の影響を受けずに、かつ差動電流の一定区間にお
ける基本波成分の振幅値を算出することが可能である振
幅値演算式が必要となるが、この振幅値演算式は、「K
個の電流瞬間値(im ,im-1 ,…,im-K-1 )を、直
流成分+基本波成分にカーブフィットさせた式に最小二
乗法を適用して得られる解の内の基本波成分の振幅値の
条件式」で得ることができる。かかる点について以下に
詳しく説明する。
【0030】まず、得られたK個の電流瞬時値(im
m-1 ,…,im-K-1 )を、直流分+基本波カーブフィ
ットさせる。 im-k =D+Isin(t+Φ−kT) …(0) ただし、D:DC分の振幅値、 I:基本波成分の振幅
値 T:サンプリング間隔(任意の電気角。例えば15°な
ど) K:サンプリング数 (自然数。例えば5など) k=0〜K−1 Φ=(K−1)・T/2
【0031】ここで、X=Isin(t)、Y=Ico
s(t)とすると、式(0)は式(0′)に置き換えら
れる。さらに、カーブフィット誤差の二乗和をfとおく
と、fは式(1)で表される。
【0032】
【数9】
【0033】ここで、最小二乗法を適用する。すなわ
ち、式(1)のfが最小となる解(D,X,Y)を求め
る。fが最小となる解は、以下の式(2),(3),
(4)を満たすので、これら3つの連立方程式の解を求
めれば良い。以下に、解の導出過程を示す。
【0034】
【数10】
【0035】まず、式(1)をDで偏微分すると、
(5)式が得られる。ここで(5)式のアンダーライン
部は0となる。その根拠を以下に証明する。
【0036】
【数11】
【0037】
【数12】
【0038】
【数13】 等の比数例の和の公式より、
【0039】
【数14】
【0040】
【数15】 よって、式(5)は以下のようになる。
【0041】
【数16】
【0042】次に、式(1)をXで偏微分して、
【数17】
【0043】また、式(1)をYで偏微分して、
【数18】
【0044】にて、差動電流の一定区間における振幅値
を求め、当該求められた振幅値が一定値以下か否かを判
定して一定値以下の時に出力する第7の判定手段と、当
該第7の判定手段の出力と前記第2の判定手段乃至第6
の判定手段の出力との論理和を演算する第1の論理和演
算手段とを励磁突入電流対策要素に新たに付加するよう
にしている。
【0045】一方、請求項7に対応する発明では、請求
項1乃至請求項5に記載のディジタル形保護継電器にお
いて、第2の判定手段乃至第6の判定手段の出力を所定
時間動作遅延する第1の動作遅延手段を励磁突入電流対
策要素に新たに付加し、当該第1の動作遅延手段の出力
を前記第1の復帰遅延手段乃至第5の復帰遅延手段の入
力とするようにしている。また、請求項8に対応する発
明では、請求項1乃至請求項5に記載のディジタル形保
護継電器において、ここでfが最小となる条件(式
(4))より式(8)を得る。
【0046】
【数19】
【0047】式(9)の左辺は、式(10)の左辺に等
しいから、
【数20】
【0048】Xについて解くと、式(11)となり、ま
た式(8)をYについて解くと式(12)となる。
【数21】
【0049】ここで、X=Isin(t)、Y=Ico
s(t)の関係より、基本波成分の振幅値Iを以下のよ
うに得る。すなわち、変流器の直流分喪失等の影響を受
けずにかつ差動電流の一定区間における基本波成分の振
幅値を算出することが可能である振幅値演算式は式
(イ)で得ることができる。
【0050】
【数22】
【0051】従って、まず、請求項1に対応する発明の
ディジタル形保護継電器においては、差動電流の内、電
気角T度間隔のK個の瞬間値のディジタル量(im ,i
m-1,im-2 ,im-3 ,…,im-(K-1) )を導入し、下
記振幅値演算式(イ)にて、差動電流の一定区間におけ
る振幅値を求め、当該求められた振幅値が一定値以下か
否かを判定して一定値以下の時に出力する第2の判定手
段、および当該第2の判定手段の出力を所定時間復帰遅
延する復帰遅延手段を有する励磁突入電流対策要素を備
え、前記励磁突入電流対策要素の出力により、前記差動
保護要素の出力を阻止することにより、差動電流の平坦
性を検出して、励磁突入電流と事故電流を確実に区別す
ることが可能となる。
【0052】これにより、従来では適用が困難であった
内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような
電力系統の変圧器に対しても、励磁突入電流では確実に
不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作するこ
とができる。
【0053】
【数23】
【0054】本発明の請求項2に係るディジタル形保護
継電器は、前記求められた差動電流の内、電気角T度間
隔の3個の瞬間値のディジタル量(im ,im-1 ,i
m-2 )を導入し、下記振幅値演算式(ロ)にて、差動電
流の一定区間における振幅値を求め、ここで求められた
振幅値が一定値以下か否かを判定して一定値以下の時に
出力する第3の判定手段、および前記第3の判定手段の
出力を所定時間復帰遅延する第2の復帰遅延手段を有す
る励磁突入電流対策要素を備え、前記励磁突入電流対策
要素の出力により、前記差動保護要素の出力を阻止する
よう構成した。
【0055】
【数24】
【0056】請求項2に対応する発明のディジタル形保
護継電器においては、差動電流の内、電器角T度(例え
ば1200Hzサンプリングでは電気角15度)間隔の
3個の瞬時値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2
を導入し、「3個の電流瞬時値(im ,im-1
m-2 )を、直流成分+基本波成分にカーブフィットさ
せた式に最小二乗法を適用して得られる解の内の基本波
成分の振幅値の条件式」すなわち、式(イ)にK=3を
代入して下記のように得られる振幅値演算式(ロ)に
て、差動電流の一定区間における振幅値を求め、ここで
求められた振幅値が一定値以下か否かを判定して一定値
以下の時に出力する第3の判定手段、および当該第3の
判定手段の出力を所定時間復帰遅延する復帰遅延手段を
有する励磁突入電流対策要素を備え、前記励磁突入電流
対策要素の出力により、前記差動保護要素の出力を阻止
することにより、差動電流の平坦性を検出して、励磁突
入電流と事故電流を確実に区別することが可能となる。
【0057】次に振幅値演算式(ロ)の導出について説
明する。式(イ)にK=3を代入して、
【数25】
【0058】
【数26】
【0059】本発明の請求項3に係るディジタル保継電
器は、前記求められた差動電流の内、電気角T度間隔の
4個の瞬間値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2
m-3 )を導入し、下記振幅値演算式(ハ)にて、差動
電流の一定区間における振幅値を求め、ここで求められ
た振幅値が一定値以下か否かを判定して一定値以下の時
に出力する第4の判定手段、および前記第4の判定手段
の出力を所定時間復帰遅延する第3の復帰遅延手段を有
する励磁突入電流対策要素を備え、前記励磁突入電流対
策要素の出力により、前記差動保護要素の出力を阻止す
るように構成した。
【0060】
【数27】
【0061】請求項3に対応する発明のディジタル形保
護継電器においては、差動電流の内、電気角T度(例え
ば1200Hzサンプリングでは電気角15度)間隔の
4個の瞬間値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2
m-3 )を導入し、「4個の電流瞬時値(im
m-1 ,im-2 ,im-3 )を、直流成分+基本波成分に
カーブフィットさせた式に最小二乗法を適用して得られ
る解の内の基本波成分の振幅値の条件式」すなわち、式
(ロ)にK=4を代入して下記のように得られる振幅値
演算式(ハ)にて、差動電流の一定区間における振幅値
を求め、当該求められた振幅値が一定値以下か否かを判
定して一定値以下の時に出力する第4の判定手段、およ
び当該第4の判定手段の出力を所定時間復帰遅延する復
帰遅延手段を有する励磁突入電流対策要素を備え、前記
励磁突入電流対策要素の出力により、前記差動保護要素
の出力を阻止することにより、差動電流の平坦性を検出
して、励磁突入電流と事故電流を確実に区別することが
可能となる。
【0062】これにより、従来では適用が困難であった
内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような
電力系統の変圧器に対しても、励磁突入電流では確実に
不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作するこ
とができる。
【0063】次に振幅値演算式(ハ)の導出について説
明する。式(イ)にK=4を代入して、
【数28】
【0064】
【数29】
【0065】本発明の請求項4に係るディジタル保継電
器は、前記求められた差動電流の内、電気角T度間隔の
5個の瞬間値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2
m-3 ,im-4 )を導入し、下記振幅値演算式(ニ)に
て、差動電流の一定区間における振幅値を求め、ここで
求められた振幅値が一定値以下か否かを判定して一定値
以下の時に出力する第5の判定手段、および前記第5の
判定手段の出力を所定時間復帰遅延する第4の復帰遅延
手段を有する励磁突入電流対策要素を備え、前記励磁突
入電流対策要素の出力により、前記差動保護要素の出力
を阻止するよう構成した。
【0066】
【数30】
【0067】請求項4に対応する発明のディジタル形保
護継電器においては、差動電流の内、電気角T度(例え
ば1200Hzサンプリングでは電気角15度)間隔の
5個の瞬間値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2
m-3 ,im-4 )を導入し、「5個の電流瞬時値
(im ,im-1 ,im-2 ,im-3 ,im-4 )を、直流成
分+基本波成分にカーブフィットさせた式に最小二乗法
を適用して得られる解の内の基本波成分の振幅値の条件
式」すなわち、式(イ)にK=5を代入して下記のよう
に得られる振幅値演算式(ニ)にて、差動電流の一定区
間における振幅値を求め、当該求められた振幅値が一定
値以下か否かを判定して一定値以下の時に出力する第5
の判定手段、および当該第5の判定手段の出力を所定時
間復帰遅延する復帰遅延手段を有する励磁突入電流対策
要素を備え、前記励磁突入電流対策要素の出力により、
前記差動保護要素の出力を阻止することにより、差動電
流の平坦性を検出して、励磁突入電流と事故電流を確実
に区別することが可能となる。
【0068】これにより、従来では適用が困難であった
内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような
電力系統の変圧器に対しても、励磁突入電流では確実に
不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作するこ
とができる。
【0069】次に振幅値演算式(ニ)の導出について説
明する。式(イ)にK=5を代入して、
【数31】
【0070】
【数32】
【0071】本発明の請求項5に係るディジタル保継電
器は、前記求められた差動電流の内、電気角T度間隔の
6個の瞬間値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2
m-3 ,im-4 ,im-5 )を導入し、下記振幅値演算式
(ホ)にて、差動電流の一定区間における振幅値を求
め、ここで求められた振幅値が一定値以下か否かを判定
して一定値以下の時に出力する第6の判定手段、および
前記第6の判定手段の出力を所定時間復帰遅延する第5
の復帰遅延手段を有する励磁突入電流対策要素を備え、
前記励磁突入電流対策要素の出力により、前記差動保護
要素の出力を阻止するよう構成した。
【0072】
【数33】
【0073】請求項5に対応する発明のディジタル形保
護継電器においては、差動電流の内、電気角T度(例え
ば1200Hzサンプリングでは電気角15度)間隔の
6個の瞬間値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2
m-3 ,im-4 ,im-5 )を導入し、「6個の電流瞬時
値(im ,im-1 ,im-2 ,im-3 ,im-4 ,im-5
を、直流成分+基本波成分にカーブフィットさせた式に
最小二乗法を適用して得られる解の内の基本波成分の振
幅値の条件式」すなわち、式(イ)にK=6を代入して
下記のように得られる振幅値演算式(ホ)にて、差動電
流の一定区間における振幅値を求め、当該求められた振
幅値が一定値以下か否かを判定して一定値以下の時に出
力する第6の判定手段、および当該第6の判定手段の出
力を所定時間復帰遅延する復帰遅延手段を有する励磁突
入電流対策要素を備え、前記励磁突入電流対策要素の出
力により、前記差動保護要素の出力を阻止することによ
り、差動電流の平坦性を検出して、励磁突入電流と事故
電流を確実に区別することが可能となる。
【0074】これにより、従来では適用が困難であった
内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような
電力系統の変圧器に対しても、励磁突入電流では確実に
不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作するこ
とができる。
【0075】次に振幅値演算式(ホ)の導出について説
明する。式(イ)にK=6を代入して、
【数34】
【0076】
【数35】
【0077】本発明の請求項6に係るディジタル保継電
器は、前記求められた差動電流の内、前記の電気角Tと
同じまたは異なる電気角T′度間隔の、前記の個数Kと
同じまたは異なるK′個の瞬時値のディジタル量
(im ′,im-1 ′,im-2 ′,im-3 ′,…,i
m-(K′-1) ′)を導入し、下記振幅値演算式(ヘ)に
て、差動電流の一定区間における振幅値を求め、ここで
求められた振幅値が一定値以下か否かを判定して一定値
以下の時に出力する第7の判定手段と、前記第7の判定
手段の出力と前記第2の判定手段乃至第6の判定手段の
出力との論理和を演算する第1の論理和演算手段とを励
磁突入電流対策要素に新たに付加した。
【0078】
【数36】
【0079】通常、励磁突入電流は変圧器に電圧を印加
したときに発生するが、保護範囲外部での事故が除去さ
れた時(=事故回復時)の電圧上昇によっても、励磁突
入電流が発生することがある。この時は、通常の変圧器
電圧印加時とは異なり、励磁突入電流に加えて変圧器を
通過する電流も発生する。このような場合、保護継電器
の見る励磁突入電流(=差動電流)の無電流期間は、変
圧器のタップ位置の影響を受ける構成などにより、変圧
器を通過する電流の影響を受けた電流期間となる。
【0080】一般的に、事故回復時に発生する励磁突入
電流の大きさは、通常の変圧器電圧印加時に発生する励
磁突入電流よりも小さく、その無電流期間は、通常の変
圧器電圧印加時に発生する励磁突入電流の無電流期間よ
りも長い。一方、請求項1乃至請求項5に記載の振幅値
演算式には、その演算区間が広いほど高調波の影響を低
減する特徴があり、演算区間が広い振幅値演算式を併用
することで、変圧器を通過する電流の影響を小さくし、
事故回復時の励磁突入電流の無電流期間をより一層確実
に検出することが可能であり、励磁突入電流による保護
継電器の誤動作を防止することができる。
【0081】従って、まず、請求項6に対応する発明の
ディジタル形保護継電器においては、請求項1に記載の
ディジタル形保護継電器において、前記求められた差動
電流の内、電気角T′度間隔のK′個の瞬時値のディジ
タル量(im ′,im-1 ′,im-2 ′,im-3 ′,…,
m-(K′-1) ′)を導入し、振幅値演算式(ヘ)へ、
【0082】
【数37】
【0083】にて、差動電流の一定区間における振幅値
を、広い演算区間にて求め、当該求められた振幅値が一
定値以下か否かを判定して一定値以下の時に出力する第
7の判定手段を付加し、第7の判定手段で事故回復時の
励磁突入電流の平坦性をより確実に検出し、さらに当該
第7の判定手段の出力と前記第2の判定手段の出力との
論理和を演算する第1の論理和演算手段とを励磁突入電
流対策要素に付加することで、励磁突入電流と事故電流
をより確実に格別することが可能となる。
【0084】これにより、従来では適用が困難であった
内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような
電力系統の変圧器に対しても、励磁突入電流では確実に
不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作するこ
とができる。
【0085】本発明の請求項7に係るディジタル保継電
器は、請求項1乃至請求項5記載のディジタル形保護継
電器において、第2の判定手段乃至第6の判定手段の出
力を所定時間動作遅延する第1の動作遅延手段を励磁突
入電流対策要素に新たに付加し、前記第1の動作遅延手
段の出力を前記第1の復帰遅延手段乃至第5の復帰遅延
手段の入力とするようにした。
【0086】請求項7に対応する発明のディジタル形保
継電器においては、請求項1乃至請求項5に記載のディ
ジタル形保護継電器において、第2の判定手段乃至第6
の判定手段の出力を所定時間動作遅延する第1の動作遅
延手段を励磁突入電流対策要素に付加するようにして、
偶発的に事故電流に短期間の平坦部分が生じても、励磁
突入電流対策要素の不要出力がなく、保護継電器は正常
動作することができ、励磁突入電流と事故電流をより確
実に区別することが可能となる。
【0087】これにより、従来では適用が困難であった
内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような
電力系統の変圧器に対しても、励磁突入電流では確実に
不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作するこ
とができる。
【0088】本発明の請求項8に係るディジタル保継電
器は、請求項1乃至請求項5記載のディジタル形保護継
電器において、第2の判定手段乃至第6の判定手段の現
時点の出力と第2の判定手段乃至第6の判定手段の1サ
イクルまたは複数サイクル前の出力との論理積を演算す
る第1の論理積演算手段を新たに付加し、前記第1の論
理積演算手段の出力を前記第1の復帰遅延手段乃至第5
の復帰遅延手段の入力とするようにした。
【0089】請求項8に対応する発明のディジタル形保
継電器においては、請求項1乃至請求項5に記載のディ
ジタル形保護継電器において、第2の判定手段乃至第6
の判定手段の出力と第2の判定手段乃至第6の判定手段
の1サイクルまたは複数サイクル前の出力との論理積を
演算する第1の論理積演算手段を新たに付加し、前記論
理積演算手段の出力を前記第1の復帰遅延手段乃至第5
の復帰遅延手段の入力とするようにして、過渡的に事故
電流に短期間の平坦部分が生じても、励磁突入電流対策
要素の不要出力がなく、保護継電器は正常動作すること
ができ、励磁突入電流と事故電流をより確実に区別する
ことが可能となる。
【0090】これにより、従来では適用が困難であった
内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような
電力系統の変圧器に対しても、励磁突入電流では確実に
不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作するこ
とができる。
【0091】本発明の請求項9に係るディジタル保継電
器は、請求項1乃至請求項5記載のディジタル形保護継
電器において、前記求められた振幅値の現時点の値と1
サイクルまたは複数サイクル前の値または1サンプリン
グ以前の値とを比較していずれか大きい方の値を求め、
かつ当該大きい方の値が一定値以下か否かを判定して一
定値以下の時に出力を生じる第8の判定手段を新たに付
加し、前記第8の判定手段の出力を前記第1の復帰遅延
手段乃至第5の復帰遅延手段の入力とするようにした。
【0092】請求項9に対応する発明のディジタル形保
継電器においては、請求項1乃至請求項5に記載のディ
ジタル形保護継電器において、前記求められた振幅値の
現時点の値と1サイクルまたは複数サイクル前の値とを
比較していずれかの大きい方の値を求め、かつ当該大き
い方の値が一定値以下か否かを判定して一定値以下の時
に出力を生じる第8の判定手段を新たに付加し、当該第
8の判定手段の出力を前記第1の復帰遅延手段乃至第5
の復帰遅延手段の入力とするようにして、過渡的に事故
電流に短期間の平坦部分が生じても、励磁突入電流対策
要素の不要出力がなく、保護継電器は正常動作すること
ができ、励磁突入電流と事故電流をより確実に区別する
ことが可能となる。
【0093】これにより、従来では適用が困難であった
内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような
電力系統の変圧器に対しても、励磁突入電流では確実に
不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作するこ
とができる。
【0094】本発明の請求項10に係るディジタル保継
電器は、請求項1乃至請求項9記載のディジタル形保護
継電器において、複数の端子を有する被保護対象のいず
れか1つの端子又は複数端子の各相毎の交流電圧を導入
し、当該導入された交流電圧を各々一定時間間隔でサン
プリングして交流電圧の瞬時値のディジタル量に変換
し、ここで変換されたディジタル量を用いて各相毎の電
圧の振幅値を求め、当該求められた電圧の振幅値が所定
の値以上である時に出力を生じる第9の判定手段と、前
記第9の判定手段の出力と前記第2の復帰遅延手段乃至
第5の復帰遅延手段の出力との論理積を演算する第2の
論理積演算手段とを励磁突入電流対策要素に新たに付加
した。
【0095】また、変圧器の端子電圧に着目した場合、
励磁突入電流が発生するような電圧印加時の変圧器端子
電圧は大きく、変圧器内部事故時の端子電圧は小さい、
という違いがある。そこで、電圧の振幅値の大きさを判
定する手段を併用することで、励磁突入電流と内部事故
電流との識別をより一層確実に行うことが可能であり、
励磁突入電流による保護継電器の誤動作を防止すること
ができる。
【0096】従って、まず、請求項10に対応する発明
のディジタル形保護継電器においては、請求項1乃至請
求項9に記載のディジタル形保護継電器において、複数
の端子を有する被保護対象のいずれか1つの端子の各相
毎の交流電圧を導入し、当該導入された交流電圧を各々
一定時間間隔でサンプリングして交流電圧の瞬時値のデ
ィジタル量に変換し、当該変換されたディジタル量を用
いて各相毎の電圧の振幅値を求め、当該求められた電圧
の振幅値が所定の値以上である時に出力を生じる第9の
判定手段と、当該第9の判定手段の出力と前記第2の復
帰遅延手段乃至第5の復帰遅延手段の出力との論理積を
演算する第2の論理積演算手段とを励磁突入電流対策要
素に新たに付加するようにして、電圧の大きさを検出し
て、励磁突入電流と事故電流をより確実に区別すること
が可能となる。
【0097】これにより、従来では適用が困難であった
内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような
電力系統の変圧器に対しても、励磁突入電流では確実に
不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作するこ
とができる。
【0098】本発明の請求項11に係るディジタル保継
電器は、請求項1乃至請求項9記載のディジタル形保護
継電器において、複数の端子を有する被保護対象のいず
れか1つの端子又は複数端子の各相毎の交流電圧を導入
し、当該導入された交流電圧を各々一定時間間隔でサン
プリングして交流電圧の瞬時値のディジタル量に変換
し、前記求められた交流電圧の内、電気角T度間隔のK
個の瞬間値のディジタル量(Vm ,Vm-1 ,Vm-2 ,V
m-3 ,…,Vm-(K-1) )を導入し、下記の振幅値演算式
(ト)にて、交流電圧の一定区間における振幅値を求
め、ここで求められた振幅値が一定値以上か否かを判定
して一定値以上の時に出力する第10の判定手段と、お
よび前記第10の判定手段の出力と前記第2の判定手段
乃至第8の判定手段の出力との論理積を演算する第3の
論理積演算手段とを励磁突入電流対策要素に新たに付加
した。
【0099】
【数38】
【0100】さらに、短い期間の変圧器の端子電圧に着
目した場合、励磁突入電流が発生するような電圧印加時
の変圧器端子電圧は大きく、変圧器内部事故時の端子電
圧は小さい、という違いに加えて、励磁突入電流の無電
流期間においては、電流が流れないため、電圧降下が全
く生じず、最も大きな電圧の振幅値が得られるので、さ
らに変圧器内部事故時の端子電圧との違いが顕著に現れ
るという特徴がある。
【0101】そこで、電圧の振幅値の大きさを、差動電
流の振幅値演算と同じ演算期間で求め、当該得られた振
幅値が一定値以上であるか否かを判定する手段を併用す
ることで、励磁突入電流と内部事故電流との識別をより
一層確実に行うことが可能であり、励磁突入電流による
保護継電器の誤動作を防止することができる。
【0102】請求項11に対応する発明のディジタル形
保護継電器においては、請求項1乃至請求項9記載のデ
ィジタル形保護継電器において、複数の端子を有する被
保護対象のいずれか1つの端子又は複数端子の各相毎の
交流電圧を導入し、当該導入された交流電圧を各々一定
時間間隔でサンプリングして交流電圧の瞬時値のディジ
タル量に変換し、前記求められた交流電圧の内、電気角
T度間隔のK個の瞬間値のディジタル量(Vm
m-1 ,Vm-2 ,Vm-3 ,…,Vm-(K-1) )を導入し、
下記の振幅値演算式(ト)、
【0103】
【数39】
【0104】にて、交流電圧の一定区間における振幅値
を求め、ここで求められた振幅値が一定値以上か否かを
判定して一定値以上の時に出力する第10の判定手段
と、および前記第10の判定手段の出力と前記第2の判
定手段乃至第8の判定手段の出力との論理積を演算する
第3の論理積演算手段とを励磁突入電流対策要素に新た
に付加するようにして、差動電流と同じの短い演算期間
の電圧の振幅値を検出して、励磁突入電流と事故電流を
より区別することが可能となる。
【0105】これにより、従来では適用が困難であった
内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような
電力系統の変圧器に対しても、励磁突入電流では確実に
不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作するこ
とができる。
【0106】さらに、変圧器の端子電圧の変化に着目し
た場合、励磁突入電流が発生するような電圧印加時の変
圧器端子電圧は電圧印加以前に比べて大きく上昇し、変
圧器内部事故時の端子電圧は低下もしくはほとんど上昇
しない、という違いがある。
【0107】そこで、電圧の振幅値の上昇幅を判定する
手段を併用することで、励磁突入電流と内部事故電流と
の識別をより一層確実に行うことが可能であり、励磁突
入電流による保護継電器の誤動作を防止することができ
る。
【0108】本発明の請求項12に係るディジタル保護
継電器は、請求項1乃至請求項11記載のディジタル形
保護継電器において、複数の端子を有する被保護対象の
いずれか1つの端子又は複数端子の各相毎の交流電圧を
導入し、当該導入された交流電圧を各々一定時間間隔で
サンプリングして交流電圧の瞬間値のディジタル量に変
換し、当該変換されたディジタル量を用いて各相毎の電
圧の振幅値を求め、当該求められた電圧の振幅値が所定
の値以上増加した時に出力を生じる第11の判定手段
と、前記第11の判定手段の出力を所定時間復帰遅延す
る第6の復帰遅延手段と、前記第6の復帰遅延手段の出
力と前記励磁突入電流対策要素との論理積を演算する第
4の論理積演算手段とを新たに付加し、前記第4の論理
積演算手段の出力により、前記差動保護要素の出力を阻
止するようにした。
【0109】これにより、従来では適用が困難であった
内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような
電力系統の変圧器に対しても、励磁突入電流では確実に
不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作するこ
とができる。
【0110】本発明の請求項13に係るディジタル保護
継電器は、請求項1乃至請求項12記載のディジタル形
保護継電器において、前記差動保護要素の出力を所定時
間動作遅延する第2の動作遅延手段と、前記差動保護要
素の出力と励磁突入電流対策要素の出力との論理積を演
算する第5の論理積演算手段とを新たに付加し、前記第
5の論理積演算手段の出力により、前記第2の動作遅延
手段の出力を阻止するようにした。
【0111】これにより、従来では適用が困難であった
内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような
電力系統の変圧器に対しても、励磁突入電流では確実に
不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作するこ
とができる。
【0112】図1は請求項1に係るディジタル形保護継
電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例を示す機
能ブロック図であり、図1において図31と同一部分に
は同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる
部分についてのみ説明する。
【0113】すなわち、本実施形態の差動リレー1は、
図1に示すように、図31における励磁突入電流対策要
素6を省略し、これに代えて、新たな励磁突入電流対策
要素61を備えた構成としている。
【0114】この励磁突入電流対策要素61は、振幅値
演算部21と、平坦判定演算部22と、復帰遅延タイマ
ー23とからなっている。ここで、振幅値演算部21
は、前記差動要素5の差動電流演算部14により求めら
れた差動電流Idの波形の一定区間における振幅値を求
めるものである。
【0115】すなわち、本例では、差動電流の内、電気
角T度間隔のK個の瞬時値のディジタル量(im ,i
m-1 ,im-2 ,im-3 ,…,im-(K-1) )を導入し、振
幅値演算式(イ)にて差動電流の一定区間における振幅
値を求めるものである。
【0116】
【数40】
【0117】また、平坦判定演算部22は、振幅値演算
部21により求められた振幅値が一定値以下であるか否
かを判定し、一定値以下の時に励磁突入電流と判定して
出力を生じるものである。さらに、復帰遅延タイマー2
3は、1サイクル程度以上の遅延時間を持ち、平坦判定
演算部22の出力を連続化するためのものである。これ
により、復帰遅延タイマー23の出力によって、差動要
素5の出力を阻止するようにしている。
【0118】次に、以上のように構成した本実施の形態
の差動リレー1の作用について説明する。なお、差動要
素5の作用については、31の場合と同様であるため、
ここではその説明を省略する。図1において、差動要素
5の差動電流演算部14で導出された差動電流Idは、
励磁突入電流対策要素61に導入され、振幅演算部21
にて振幅値を検出するための演算を行って、振幅値Jが
求められる。そして、ここで求められた振幅値Jが所定
値k以下の時に、平坦判定演算部22は出力を生じる。
【0119】一方、復帰遅延タイマー23の出力をNO
T演算回路19にて反転させ、さらに論理積演算回路2
0で差動要素5の出力との論理積演算を行うことによ
り、励磁突入電流にて動作する差動要素5の出力を阻止
し、差動リレー1としての誤動作を防止することができ
る。
【0120】以下に、かかる点についてより具体的に説
明する。まず、変圧器内部事故による事故電流と、励磁
突入電流の電流波形の特徴の違いを説明する。図2は、
事故電流(a)と励磁突入電流(b)の電流波形の特徴
の違いを示す波形図であり、励磁突入電流には、1サイ
クル中に変圧器鉄心の飽和が解けて電流が流れない区間
(無電流期間)が必ず存在するのに対し、事故電流に
は、基本波電流もしくは不特定高調波電流の重畳のため
無電流期間が生じることはない。
【0121】なお、励磁突入電流の1サイクル中に存在
する無電流期間は本来電流零であるが、変流器CTによ
る直流分喪失等により、必ずしも保護継電器の見る励磁
突入電流(=差動電流Id)の無電流期間は単純に電流
零ではなく、瞬時値の変化が少ない平坦な電流期間であ
ると言える。
【0122】このため、電流の1サイクル中の一定区間
における振幅値が小さいこと、すなわち平坦性を見るこ
とで、励磁突入電流と判定することができ、差動リレー
1の誤動作を防止する。すなわち、励磁突入電流対策要
素61の振幅値演算部21では、振幅値を求めるための
以下のような演算が行われる。
【0123】図3(a)は、励磁突入電流を、その瞬時
値のディジタル量に変換したときの値を示すものであ
る。図3(a)において、現時点の瞬時値をim 、1サ
ンプリング(以下、spと表す)前の瞬時値をim-1
2sp前の瞬時値をim-2 、3sp前の瞬時値を
m-3 ,…,(K−1)sp前の瞬時値をim -(k-1)
置く。
【0124】図3(a)の瞬時値にて振幅値演算を説明
すると、1サイクル中の一定区間のK個の瞬時値(例え
ば区間aのim 〜im -(k-1))から、下記の(イ)式で
求める。なお、一定区間とは最大励磁突入電流での無電
流期間より小さい区間であればよく、特に限定した期間
ではない。
【0125】このJの値を振幅値と称し、差動電流の1
サイクル中の一定区間における振幅値を表すものであ
り、差動電流の1サイクル中の前記一定区間の電流波形
が平坦である場合のみ、振幅値Jは零となる。
【0126】
【数41】
【0127】区間aの振幅値Jと同様に、sp毎に過去
K個のsp数を用いて演算(図3(a)では区間b,c
…)することにより、常に一定区間の振幅値を見ること
ができ、図3(b)の振幅値演算部21での演算結果に
示すような個々の振幅値Ja,Jb,Jc…の値とな
る。
【0128】図3(b)のような平坦区間を持った励磁
突入電流による差動電流Idでの振幅値Jの値は、演算
区間がすべて差動電流Idの平坦部分に含まれた時(図
3(a)の区間a)に、その値は最小となる。また、振
幅値Jが一定値kよりも小さい値をとった時に、平坦判
定演算部22は、図3(c)の平坦判定演算部22での
演算結果のように出力を生じる。
【0129】なお、上記一定値kは、事故電流と励磁突
入電流の平坦部分との区別を行うための値であり、変流
器CTによる直流分喪失やリレーの演算誤差等による誤
判定とならない値である。
【0130】次に、事故電流と励磁突入電流との平坦性
検出の一例について、図4を用いて説明する。まず、励
磁突入電流(b)について述べる。前述したように、差
動リレーの振幅値演算部21では、一定区間(ここでは
t1の演算区間を持つ)の振幅値Jをsp毎に常に演算
しており、平坦区間を持った励磁突入電流による差動電
流Idでの振幅値Jの値は、演算区間(t1)がすべて
平坦部分に含まれた時に最小となり、その値が一定値k
以下の時に平坦判定演算部22は出力を生じる。
【0131】図4のt1は、すべて平坦部分に含まれた
ときの演算区間を示すものであり、その後、電流の立ち
上がりと共に演算区間での平坦性がなくなり、振幅値J
が一定値k以上となるまでの時間t2の間、平坦判定演
算部22は出力を生じる。また、次のサイクルでも同様
の検出を行うため、1サイクルに1回は必ず平坦判定演
算部22が出力を生じる。
【0132】このため、平坦判定演算部22の出力は、
1サイクル毎の断続出力となるため、1サイクル程度以
上の時間を持った復帰遅延タイマー23によって連続化
を行い、この復帰遅延タイマーの出力を励磁突入電流対
策要素61の出力とする。そして、この復帰遅延タイマ
ー23の出力をNOT演算回路19にて反転させて、差
動要素5の出力との論理積演算を論理積演算回路20に
て行うことにより、励磁突入電流にて動作する差動要素
5の出力を阻止し、差動リレー1としての誤動作を防止
することができる。
【0133】一方、事故電流(a)には、基本波電流の
他に高調波電流も多く含まれる場合があり、特に従来の
差動リレーが誤不動作となるような第2調波近傍の高調
波に対しても、t1時間だけの平坦区間が生じないた
め、平坦判定演算部22の出力はなく、差動判定演算部
16の出力は、論理積演算回路20を通してそのまま差
動リレー1の出力となり、正常動作を行うことができ
る。
【0134】なお、以上の説明では、平坦性を表す値と
して、振幅値Jを基に説明してきたが、下記の一般式
((イ−1)式)で表される値としてもよい。すなわ
ち、前記演算された差動電流の内、電気角T度間隔のK
個の瞬時値のディジタル量(im,im-1 ,im-2
…,im-(K-1) )を導入し、一定区間での振幅値をN乗
した値を求める。
【0135】つまり、(イ−1)式で表れる振幅値のN
乗JN を振幅値演算として求める。そして、この求めら
れた振幅値のN乗JN が一定値k以下の時に出力を生じ
る平坦判定演算部22を備えた励磁突入電流対策要素6
1を備えて、その出力によって前記差動要素5の出力を
阻止することにより、前述した場合と同様の作用を奏す
ることができる。
【0136】
【数42】
【0137】一例を挙げると、N=2の時は(イ−1)
式の代わりに(イ−2)式を用いてもよいことになる。
【数43】
【0138】上述したように、本実施の形態において
は、変圧器励磁突入電流と変圧器内部事故電流との波形
の違い、すなわち励磁突入電流は1サイクル中に変圧器
鉄心の磁束飽和によって電流が流れる区間と変圧器鉄心
の飽和が解けて電流が流れない一定の平坦部分が必ず存
在するのに対し、事故電流は基本波電流もしくは不特定
多数の高調波電流重畳のため一定区間の平坦部分が生じ
ないことに着目したものである。
【0139】そして差動電流Idの内、電気角T度間隔
のK個の瞬時値のディジタル量(im ,im-1
m-2 ,…,im-(K-1) )を導入し、一定区間での振幅
値をN乗した値を求め、この振幅値のN乗が一定値以下
であるときに励磁突入電流と判定して出力を生じる励磁
突入電流対策要素61を備えて差動電流Idの平坦性を
検出し、この励磁突入電流対策要素61の出力によって
前記差動要素5の出力を阻止するようにした。
【0140】したがって励磁突入電流と事故電流を確実
に区別することができ、前述した従来では適用が困難で
あった。内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含
むような電力系統の変圧器Trに対しても、変圧器励磁
突入電流では確実に不動作となり、変圧器内部事故時に
は確実に動作することが可能なディジタル形保護継電器
を得ることができる。
【0141】図5は請求項2に係るディジタル形保護継
電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例を示す機
能ブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を付
してその説明を省略し、ここでは異なる部分についての
み説明する。なお、差動要素5の構成については、図1
と全く同じであるため、図5ではその構成の一部を割愛
している。
【0142】即ち、本実施の形態の差動リレー1は、図
5に示すように、図1における励磁突入電流対策要素6
1を省略し、これに代えて、新たな励磁突入電流対策要
素62を備えた構成としている。この励磁突入電流対策
要素62は、振幅値演算部24と、平坦判定演算部22
と、復帰遅延タイマー23とからなっている。
【0143】ここで、振幅値演算部24は、前記差動要
素5の差動電流演算部14により求められた差動電流I
dの波形の一定区間における振幅値を求めるものであ
る。即ち、本例では、差動電流の内、電気角T度間隔の
3個の瞬時値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2
を導入し、下記の振幅値演算式(ロ)にて差動電流の一
定区間における振幅値を求める。
【0144】
【数44】
【0145】また、平坦判定演算部22は、振幅値演算
部24により求められた振幅値が一定値以下であるか否
かを判定し、一定値以下の時に励磁突入電流と判定して
出力を生じるものである。即ち、本例では、振幅値演算
部24により求められた振幅値が一定値以下であるか否
かを判定し、一定値以下の時に励磁突入電流と判定して
出力を生じる。
【0146】さらに、復帰遅延タイマー23は、1サイ
クル程度以上の遅延時間を持ち、平坦判定演算部22の
出力を連続化するためのものである。これにより、復帰
遅延タイマー23の出力によって、差動要素5の出力を
阻止できる。
【0147】次に、本実施の形態の差動リレー1の作用
について説明する。なお、差動要素5の作用について
は、前記図31の場合と同様であるので、ここではその
説明を省略する。図5において、差動要素5の差動電流
演算部14で導出された差動電流Idは、励磁突入電流
対策要素62に導入され、振幅値演算部24にて平坦性
を検出するための演算を行って振幅値Jが求められる。
そして、ここで求められた振幅値Jが所定値k以下の時
に、平坦判定演算部22は出力を生じる。
【0148】一方、復帰遅延タイマー23の出力をNO
T演算回路19にて反転させ、さらに論理積演算回路2
0で差動要素5の出力との論理積演算を行うことによ
り、励磁突入電流にて動作する差動要素5の出力を阻止
し、差動リレー1としての誤動作を防止することができ
る。
【0149】以下に、かかる点についてより具体的に説
明する。変圧器内部事故による事故電流と、励磁突入電
流の電流波形の特徴の違いについては、前記第1の実施
の形態の場合と全く同じであるため、その説明を割愛す
る。本実施の形態においても、前記第1の実施の形態の
場合と同様に、電流の1サイクル中の一定区間における
振幅値が小さいこと、即ち平坦性を見ることで、励磁突
入電流と判定することができ、差動リレー1の誤動作を
防止する。即ち、励磁突入電流対策要素62の振幅値演
算部24では、振幅値を求めるための以下のような演算
が行われる。
【0150】図6(a)は、励磁突入電流を、その瞬時
値のディジタル量に変換したときの値を示すものであ
る。図6(a)において、現時点の瞬時値をim 、1サ
ンプリング(以下、spと表す)前の瞬時値をim-1
2sp前の瞬時値をim-2 と置く。
【0151】図6(a)の瞬時値にて振幅値演算を説明
すると、1サイクル中の一定区間の3個の瞬時値(例え
ば区間aのim 〜im-2 )から、下記の振幅値演算式
(ロ)で求める。
【0152】
【数45】
【0153】なお、一定区間とは最大励磁突入電流での
無電流期間より小さい区間であればよく、特に限定した
期間ではない。このJの値を振幅値と称し、差動電流の
1サイクル中の一定区間における振幅値を表すものであ
り、差動電流の1サイクル中の前記一定区間の電流波形
が平坦である場合のみ、振幅値Jは零となる。
【0154】区間aの振幅値Jと同様に、sp毎に過去
3個のsp数を用いて演算(図6(a)では区間b,c
…)することにより、常に一定区間の振幅値を見ること
ができ、図6(b)の振幅値演算部24での演算結果に
示すような個々の振幅値Ja,Jb,Jc…の値とな
る。
【0155】図6(b)のような平坦区間を持った励磁
突入電流による差動電流Idでの振幅値Jの値は、演算
区間がすべて差動電流Idの平坦部分に含まれた時(図
6(a)の区間a)に、その値は最小となる。また、振
幅値Jが一定値kよりも小さい値をとった時に、平坦判
定演算部22は、図6(c)の平坦判定演算部22での
演算結果のように出力を生じる。
【0156】なお、上記一定値kは、事故電流と励磁突
入電流の平坦部分との区別を行うための値であり、変流
器CTによる直流分喪失やリレーの演算誤差等による誤
判定とならない値である。なお、以上の説明では、平坦
性を表す値として、振幅値Jを基に説明したが、下記の
一般式((ロ−1)式)で表される値としてもよい。
【0157】すなわち、前記演算された差動電流の内、
電気角T度間隔の3個の瞬時値のディジタル量(im
m-1 ,im-2 )を導入し、一定区間での振幅値をN乗
した値を求める。つまり、(ロ−1)式で表される振幅
値のN乗JN を振幅値演算として求める。
【0158】
【数46】
【0159】一例を挙げると、N=2の時は(ロ−1)
式の代わりに(ロ−2)式を用いてもよいことになる。
【数47】
【0160】そして、この求められた振幅値のN乗JN
が一定値k以下の時に出力を生じる平坦判定演算部22
を備えた励磁突入電流対策要素62を備えて、その出力
によって前記差動要素5の出力を阻止することにより、
前述した場合と同様の作用を奏する。
【0161】なお、本実施の形態においては、3個のs
p数を用いて演算しているので、sp間隔がTの保護継
電器の場合、その演算区間は3Tとなる。この場合、演
算区間3Tがすべて差動電流Idの平坦部分に含まれる
時に振幅値Jの値は最小となる。本実施の形態によれ
ば、最大励磁突入電流の平坦部分が3T以上となるよう
な変圧器に適用すると、事故電流と励磁突入電流の平坦
部分との区別が容易にできる。
【0162】本実施形態においては、差動電流Idの
内、電気角T度間隔の3個の瞬時値のディジタル量(i
m ,im-1 ,im-2 )を導入して一定区間での振幅値を
N乗した値を求め、この振幅値のN乗が一定値以下であ
るときに励磁突入電流と判定して出力を生じる励磁突入
電流対策要素62を備えて差動電流Idの平坦性を検出
し、この励磁突入電流対策要素62の出力によって前記
差動要素5の出力を阻止するようにしたので、励磁突入
電流と事故電流を確実に区別することができ、前述した
従来では適用が困難であった。
【0163】内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流
を含むような電力系統の変圧器Trに対しも、変圧器励
磁突入電流では確実に不動作となり、変圧器内部事故時
には確実に動作することが可能なディジタル形保護継電
器を得ることができる。
【0164】図7は請求項3に係るディジタル形保護継
電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例を示す機
能ブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を付
してその説明を省略し、ここでは異なる部分についての
み説明する。なお、差動要素5の構成については、図1
と全く同じであるため、図7ではその構成の一部を割愛
している。
【0165】即ち、本実施の形態の差動リレー1は、図
7に示すように、図1における励磁突入電流対策要素6
1を省略し、これに代えて、新たな励磁突入電流対策要
素63を備えた構成としている。この励磁突入電流対策
要素63は、振幅値演算部25と、平坦判定演算部22
と、復帰遅延タイマー23とからなっている。
【0166】ここで、振幅値演算部25は、前記差動要
素5の差動電流演算部14により求められた差動電流I
dの波形の一定区間における振幅値を求めるものであ
る。即ち、本例では、差動電流の内、電気角T度間隔の
4個の瞬時値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2
m-3 )を導入し、下記の振幅値演算式(ハ)にて差動
電流の一定区間における振幅値を求める。
【0167】
【数48】
【0168】また、平坦判定演算部22は、振幅値演算
部25により求められた振幅値が一定値以下であるか否
かを判定し、一定値以下の時に励磁突入電流と判定して
出力を生じるものである。即ち、本例では、振幅値演算
部25により求められた振幅値が一定値以下であるか否
かを判定し、一定値以下の時に励磁突入電流と判定して
出力を生じるものである。
【0169】さらに、復帰遅延タイマー23は、1サイ
クル程度以上の遅延時間を持ち、平坦判定演算部22の
出力を連続化するためのものである。これにより、復帰
遅延タイマー23の出力によって、差動要素5の出力を
阻止できる。
【0170】次に、本実施の形態の差動リレー1の作用
について説明する。なお、差動要素5の作用について
は、前記図31の場合と同様であるので、ここではその
説明を省略する。図7において、差動要素5の差動電流
演算部14で導出された差動電流Idは、励磁突入電流
対策要素63に導入され、振幅値演算部25にて平坦性
を検出するための演算を行って振幅値Jが求められる。
そして、ここで求められた振幅値Jが所定値k以下の時
に、平坦判定演算部22は出力を生じる。
【0171】一方、復帰遅延タイマー23の出力をNO
T演算回路19にて反転させ、さらに論理積演算回路2
0で差動要素5の出力との論理積演算を行うことによ
り、励磁突入電流にて動作する差動要素5の出力を阻止
し、差動リレー1としての誤動作を防止することができ
る。
【0172】以下に、かかる点についてより具体的に説
明する。変圧器内部事故による事故電流と、励磁突入電
流の電流波形の特徴の違いについては、前記第1の実施
の形態の場合と全く同じであるため、その説明を割愛す
る。本実施の形態においても、前記第1の実施の形態の
場合と同様に、電流の1サイクル中の一定区間における
振幅値が小さいこと、即ち平坦性を見ることで、励磁突
入電流と判定することができ、差動リレー1の誤動作を
防止する。すなわち、励磁突入電流対策要素63の振幅
値演算部25では、振幅値を求めるための以下のような
演算が行われる。
【0173】図8(a)は、励磁突入電流を、その瞬時
値のディジタル量に変換したときの値を示すものであ
る。図8(a)において、現時点の瞬時値をim 、1サ
ンプリング(以下、spと表す)前の瞬時値をim-1
2sp前の瞬時値をim-2 、3sp前の瞬時値をim-3
と置く。
【0174】図8(a)の瞬時値にて振幅値演算を説明
すると、1サイクル中の一定区間の4個の瞬時値(例え
ば区間aのim 〜im-3 )から、下記の振幅値演算式
(ハ)で求める。なお、一定区間とは最大励磁突入電流
での無電流期間より小さい区間であればよく、特に限定
した期間ではない。
【0175】
【数49】
【0176】このJの値を振幅値と称し、差動電流の1
サイクル中の一定区間における振幅値を表すものであ
り、差動電流の1サイクル中の前記一定区間の電流波形
が平坦である場合のみ、振幅値Jは零となる。
【0177】区間aの振幅値Jと同様に、sp毎に過去
4個のsp数を用いて演算(図8(a)では区間b,c
…)することにより、常に一定区間の振幅値を見ること
ができ、図8(b)の振幅値演算部25での演算結果に
示すような個々の振幅値Ja,Jb,Jc…の値とな
る。
【0178】図8(b)のような平坦区間を持った励磁
突入電流による差動電流Idでの振幅値Jの値は、演算
区間がすべて差動電流Idの平坦部分に含まれた時(図
8(a)の区間a)に、その値は最小となる。また、振
幅値Jが一定値kよりも小さい値をとった時に、平坦判
定演算部22は、図8(c)の平坦判定演算部22での
演算結果のように出力を生じる。
【0179】なお、上記一定値kは、事故電流と励磁突
入電流の平坦部分との区別を行うための値であり、変流
器CTによる直流分喪失やリレーの演算誤差等による誤
判定とならない値である。なお、以上の説明では、平坦
性を表す値として、振幅値Jを基に説明したが、下記の
一般式((ハ−1)式)で表される値としてもよい。
【0180】すなわち、前記演算された差動電流の内、
電気角T度間隔の4個の瞬時値のディジタル量(im
m-1 ,im-2 ,im-3 )を導入し、一定区間での振幅
値をN乗した値を求める。つまり、(ハ−1)式で表さ
れる振幅値のN乗JN を振幅値演算として求める。
【0181】
【数50】
【0182】一例を挙げると、N=2の時は(ハ−1)
式の代わりに(ハ−2)式を用いてもよいことになる。
【数51】
【0183】そして、この求められた振幅値のN乗JN
が一定値k以下の時に出力を生じる平坦判定演算部22
を備えた励磁突入電流対策要素63を備えて、その出力
によって前記差動要素5の出力を阻止することにより、
前述した場合と同様の作用を奏する。
【0184】なお、本実施の形態においては、4個のs
p数を用いて演算しているので、sp間隔がTの保護継
電器の場合、その演算区間は4Tとなる。この場合、演
算区間4Tがすべて差動電流1dの平坦部分に含まれた
時に振幅値Jの値は最小となる。
【0185】よって、本実施の形態は、最大励磁突入電
流の平坦部分が4T以上となるような変圧器に適用する
と、事故電流と励磁突入電流の平坦部分との区別が容易
に行うことができる。
【0186】一方、sp間隔が同じTの保護継電器の場
合、本実施の形態(演算区間4T)の方が、前述の第2
の実施の形態(演算区間3T)に比べて、前述の平坦部
分における変流器CTによる直流分喪失やリレーの演算
誤差を受けにくい特徴がある。よって、最大励磁突入電
流の平坦部分が4T以上となるような変圧器に本実施の
形態(演算区間4T)を適用すると、前述の第2の実施
の形態(演算区間3T)を適用する場合よりも、事故電
流と励磁突入電流の平坦部分との区別がさらに容易に行
える。
【0187】本実施の形態においては、差動電流Idの
内、電気角T度間隔の4個の瞬時値のディジタル量(i
m ,im-1 ,im-2 ,im-3 )を導入して一定区間での
振幅値をN乗した値を求め、この振幅値のN乗が一定値
以下であるときに励磁突入電流と判定して出力を生じる
励磁突入電流対策要素63を備えて差動電流Idの平坦
性を検出し、この励磁突入電流対策要素63の出力によ
って前記差動要素5の出力を阻止するようにしたので、
励磁突入電流と事故電流を確実に区別することができ、
前述した従来では適用が困難であった。内部事故電流に
第2調波近傍の高調波電流を含むような電力系統の変圧
器Trに対しも、変圧器励磁突入電流では確実に不動作
となり、変圧器内部事故時には確実に動作することが可
能なディジタル形保護継電器を得ることができる。
【0188】図9は請求項4に係るディジタル形保護継
電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例を示す機
能ブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を付
してその説明を省略し、ここでは異なる部分についての
み説明する。なお、差動要素5の構成については、図1
と全く同じであるため、図9ではその構成の一部を割愛
している。
【0189】すなわち、本実施の形態の差動リレー1
は、図9に示すように、図1における励磁突入電流対策
要素61を省略し、これに代えて、新たな励磁突入電流
対策要素64を備えた構成としている。この励磁突入電
流対策要素64は、振幅値演算部26と、平坦判定演算
部22と、復帰遅延タイマー23とからなっている。
【0190】ここで、振幅値演算部26は、前記差動要
素5の差動電流演算部14により求められた差動電流I
dの波形の一定区間における振幅値を求めるものであ
る。即ち、本例では、差動電流の内、電気角T度間隔の
5個の瞬時値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2
m-3 ,im-4 )を導入し、下記の振幅値演算式(ニ)
にて差動電流の一定区間における振幅値を求める。
【0191】
【数52】
【0192】また、平坦判定演算部22は、振幅値演算
部26により求められた振幅値が一定値以下であるか否
かを判定し、一定値以下の時に励磁突入電流と判定して
出力を生じるものである。即ち、本例では、振幅値演算
部26により求められた振幅値が一定値以下であるか否
かを判定し、一定値以下の時に励磁突入電流と判定して
出力を生じるものである。
【0193】さらに、復帰遅延タイマー23は、1サイ
クル程度以上の遅延時間を持ち、平坦判定演算部22の
出力を連続化するためのものである。これにより、復帰
遅延タイマー23の出力によって、差動要素5の出力を
阻止する。
【0194】次に、本実施の形態の差動リレー1の作用
について説明する。なお、差動要素5の作用について
は、前記図31の場合と同様であるので、ここではその
説明を省略する。図9において、差動要素5の差動電流
演算部14で導出された差動電流Idは、励磁突入電流
対策要素64に導入され、振幅値演算部26にて平坦性
を検出するための演算を行って、振幅値Jが求められ
る。そして、ここで求められた振幅値Jが所定値k以下
の時に、平坦判定演算部22は出力を生じる。
【0195】一方、復帰遅延タイマー23の出力をNO
T演算回路19にて反転させ、さらに論理積演算回路2
0で差動要素5の出力との論理積演算を行うことによ
り、励磁突入電流にて動作する差動要素5の出力を阻止
し、差動リレー1としての誤動作を防止することができ
る。
【0196】以下に、かかる点についてより具体的に説
明する。変圧器内部事故による事故電流と、励磁突入電
流の電流波形の特徴の違いについては、前記第1の実施
形態の場合と全く同じであるため、その説明を割愛す
る。本実施の形態においても、前記第1の実施形態の場
合と同様に、電流の1サイクル中の一定区間における振
幅値が小さいこと、即ち平坦性を見ることで、励磁突入
電流と判定することができ、差動リレー1の誤動作を防
止する。
【0197】即ち、励磁突入電流対策要素64の振幅値
演算部26では、振幅値を求めるための以下のような演
算が行われる。図10(a)は、励磁突入電流を、その
瞬時値のディジタル量に変換したときの値を示すもので
ある。図10(a)において、現時点の瞬時値をim
1サンプリング(以下、spと表す)前の瞬時値をi
m-1 、2sp前の瞬時値をim-2 、3sp前の瞬時値を
m-3 、4sp前の瞬時値をim-4 と置く。
【0198】図10(a)の瞬時値にて振幅値演算を説
明すると、1サイクル中の一定区間の5個の瞬時値(例
えば区間aのim 〜im-4 )から、下記の(ニ)式で求
める。なお、一定区間とは最大励磁突入電流での無電流
期間より小さい区間であればよく、特に限定した期間で
はない。
【0199】
【数53】
【0200】このJの値を振幅値と称し、差動電流の1
サイクル中の一定区間における振幅値を表すものであ
り、差動電流の1サイクル中の前記一定区間の電流波形
が平坦である場合のみ、振幅値Jは零となる。
【0201】区間aの振幅値Jと同様に、sp毎に過去
5個のsp数を用いて演算(図10(a)では区間b、
c…)することにより、常に一定区間の振幅値を見るこ
とができ、図10(b)の振幅値演算部26での演算結
果に示すような個々の振幅値Ja、Jb、Jc…の値と
なる。
【0202】図10(b)のような平坦区間を持った励
磁突入電流による差動電流Idでの振幅値Jの値は、演
算区間がすべて差動電流Idの平坦部分に含まれた時
(図10(a)の区間a)に、その値は最小となる。ま
た、振幅値Jが一定値kよりも小さい値をとった時に、
平坦判定演算部22は、図10(c)の平坦判定演算部
22での演算結果のように出力を生じる。
【0203】なお、上記一定値kは、事故電流と励磁突
入電流の平坦部分との区別を行うための値であり、変流
器CTによる直流分喪失やリレーの演算誤差等による誤
判定とならない値である。なお、以上の説明では、平坦
性を表す値として、振幅値Jを基に説明したが、下記の
一般式((ニ−1)式)で表される値としてもよい。
【0204】即ち、前記演算された差動電流の内、電気
角T度間隔の5個の瞬時値のディジタル量(im ,i
m-1 ,im-2 ,im-3 ,im-4 )を導入し、一定区間で
の振幅値をN乗した値を求める。つまり、(ニ−1)式
で表される振幅値のN乗JN を振幅値演算として求め
る。
【0205】
【数54】
【0206】一例を挙げると、N=2の時は(ニ−1)
式の代わりに(ニ−2)式を用いてもよいことになる。
【数55】
【0207】そして、この求められた振幅値のN乗JN
が一定値k以下の時に出力を生じる平坦判定演算部22
を備えた励磁突入電流対策要素64を備えて、その出力
によって前記差動要素5の出力を阻止することにより、
前述した場合と同様の作用を奏する。
【0208】なお、本実施の形態においては、5個のs
p数を用いて演算しているので、sp間隔がTの保護継
電器の場合、その演算区間は5Tとなる。この場合、演
算区間5Tがすべて差動電流Idの平坦部分に含まれた
時に振幅値Jの値は最小となる。よって、本実施の形態
は、最大励磁突入電流の平坦部分が5T以上となるよう
な変圧器に適用すると、事故電流と励磁突入電流の平坦
部分との区別が容易である。
【0209】一方、sp間隔が同じTの保護継電器の場
合、本実施の形態(演算区間5T)の方が、前述の第3
の実施の形態(演算区間4T)に比べて、前述の平坦部
分における変流器CTによる直流分喪失やリレーの演算
誤差を受けにくい特徴がある。よって、最大励磁突入電
流の平坦部分が5T以上となるような変圧器に本実施の
形態(演算区間5T)を適用すると、前述の3の実施の
形態(演算区間4T)を適用する場合よりも、事故電流
と励磁突入電流の平坦部分との区別がさらに容易とな
る。
【0210】本実施の形態においては、差動電流Idの
内、電気角T度間隔の5個の瞬時値のディジタル量(i
m ,im-1 ,im-2 ,im-3 ,im-4 )を導入し、一定
区間での振幅値をN乗した値を求め、この振幅値のN乗
が一定値以下であるときに励磁突入電流と判定して出力
を生じる励磁突入電流対策要素64を備えて差動電流I
dの平坦性を検出するものである。
【0211】そしてこの励磁突入電流対策要素64の出
力によって前記差動要素5の出力を阻止するようにした
ので、励磁突入電流と事故電流を確実に区別することが
でき、前述した従来では適用が困難であった、内部事故
電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような電力系統
の変圧器Trに対しても、変圧器励磁突入電流では確実
に不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作する
ことが可能なディジタル形保護継電器を得ることができ
る。
【0212】図11は請求項5に係るディジタル形保護
継電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例を示す
機能ブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を
付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について
のみ説明する。なお、差動要素5の構成については、図
1と全く同じであるため、図11ではその構成の一部を
割愛している。
【0213】即ち、本実施の形態の差動リレー1は、図
11に示すように、図1における励磁突入電流対策要素
61を省略し、これに代えて、新たな励磁突入電流対策
要素65を備えた構成としている。この励磁突入電流対
策要素65は、振幅値演算部27と、平坦判定演算部2
2と、復帰遅延タイマー23とからなっている。
【0214】ここで、振幅値演算部27は、前記差動要
素5の差動電流演算部14により求められた差動電流I
dの波形の一定区間における振幅値を求めるものであ
る。即ち、本例では、差動電流の内、電気角T度間隔の
6個の瞬時値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2
m-3 ,im-4 ,im-5 )を導入し、下記の振幅値演算
式(ホ)にて差動電流の一定区間における振幅値を求め
る。
【0215】
【数56】
【0216】また、平坦判定演算部22は、振幅値演算
部27により求められた振幅値が一定値以下であるか否
かを判定し、一定値以下の時に励磁突入電流と判定して
出力を生じるものである。すなわち、本例では、振幅値
演算部27により求められた振幅値が一定値以下である
か否かを判定し、一定値以下の時に励磁突入電流と判定
して出力を生じる。
【0217】さらに、復帰遅延タイマー23は、1サイ
クル程度以上の遅延時間を持ち、平坦判定演算部22の
出力を連続化するためのものである。これにより、復帰
遅延タイマー23の出力によって、差動要素5の出力を
阻止する。
【0218】次に、本実施の形態の差動リレー1の作用
について説明する。なお、差動要素5の作用について
は、前記図31の場合と同様であるので、ここではその
説明を省略する。
【0219】図11において、差動要素5の差動電流演
算部14で導出された差動電流Idは、励磁突入電流対
策要素65に導入され、振幅値演算部27にて平坦性を
検出するための演算を行って、振幅値Jが求められる。
そして、ここで求められた振幅値Jが所定値k以下の時
に、平坦判定演算部22は出力を生じる。
【0220】一方、復帰遅延タイマー23の出力をNO
T演算回路19にて反転させ、さらに論理積演算回路2
0で差動要素5の出力との論理積演算を行うことによ
り、励磁突入電流にて動作する差動要素5の出力を阻止
し、差動リレー1としての誤動作を防止する。
【0221】以下に、かかる点についてより具体的に説
明する。変圧器内部事故による事故電流と、励磁突入電
流の電流波形の特徴の違いについては、前記第1の実施
の形態の場合と全く同じであるため、その説明を割愛す
る。
【0222】本実施の形態においても、前記第1の実施
の形態の場合と同様に、電流の1サイクル中の一定区間
における振幅値が小さいこと、即ち平坦性を見ること
で、励磁突入電流と判定することができ、差動リレー1
の誤動作を防止する。即ち、励磁突入電流対策要素65
の振幅値演算部27では、振幅値を求めるための以下の
ような演算が行われる。
【0223】図12(a)は、励磁突入電流を、その瞬
時値のディジタル量に変換したときの値を示すものであ
る。図12(a)において、現時点の瞬時値をim 、1
サンプリング(以下、spと表す)前の瞬時値を
m-1 、2sp前の瞬時値をim-2、3sp前の瞬時値
をim-3 、4sp前の瞬時値をim-4 、5sp前の瞬時
値をim-5 と置く。
【0224】図12(a)の瞬時値にて振幅値演算を説
明すると、1サイクル中の一定区間の6個の瞬時値(例
えば区間aのim 〜im-5 )から、下記の振幅値演算式
(ホ)で求める。なお、一定区間とは最大励磁突入電流
での無電流期間より小さい区間であればよく、特に限定
した期間ではない。
【0225】
【数57】
【0226】このJの値を振幅値と称し、差動電流の1
サイクル中の一定区間における振幅値を表すものであ
り、差動電流の1サイクル中の前記一定区間の電流波形
が平坦である場合のみ、振幅値Jは零となる。区間aの
振幅値Jと同様に、sp毎に過去6個のsp数を用いて
演算(図12(a)では区間b、c…)することによ
り、常に一定区間の振幅値を見ることができ、図12
(b)の振幅値演算部27での演算結果に示すような個
々の振幅値Ja、Jb、Jc…の値となる。
【0227】図12(b)のような平坦区間を持った励
磁突入電流による差動電流Idでの振幅値Jの値は、演
算区間がすべて差動電流Idの平坦部分に含まれた時
(図12(a)の区間a)に、その値は最小となる。ま
た、振幅値Jが一定値kよりも小さい値をとった時に、
平坦判定演算部22は、図12(c)の平坦判定演算部
22での演算結果のように出力を生じる。
【0228】なお、上記一定値kは、事故電流と励磁突
入電流の平坦部分との区別を行うための値であり、変流
器CTによる直流分喪失やリレーの演算誤差等による誤
判定とならない値である。 なお、以上の説明では、平
坦性を表す値として、振幅値Jを基に説明したが、下記
の一般式((ホ−1)式)で表される値としてもよい。
【0229】即ち、前記演算された差動電流の内、電気
角T度間隔の5個の瞬時値のディジタル量(im ,i
m-1 ,im-2 ,im-3 ,im-4 ,im-5 )を導入し、一
定区間での振幅値をN乗した値を求める。つまり、(ホ
−1)式で表される振幅値のN乗JN を振幅値演算とし
て求める。
【0230】
【数58】
【0231】一例を挙げると、N=2の時は(ホ−1)
式の代わりに(ホ−2)式を用いてもよいことになる。
【数59】
【0232】そして、この求められた振幅値のN乗JN
が一定値k以下の時に出力を生じる平坦判定演算部22
を備えた励磁突入電流対策要素65を備えて、その出力
によって前記差動要素5の出力を阻止することにより、
前述した場合と同様の作用を奏する。
【0233】なお、本実施の形態においては、6個のs
p数を用いて演算しているので、sp間隔がTの保護継
電器の場合、その演算区間は6Tとなる。この場合、演
算区間6Tがすべて差動電流Idの平坦部分に含まれた
時に振幅値Jの値は最小となる。よって、本実施の形態
は、最大励磁突入電流の平坦部分が6T以上となるよう
な変圧器に適用すると、事故電流と励磁突入電流の平坦
部分との区別が容易にできる。
【0234】一方、sp間隔が同じTの保護継電器の場
合、本実施の形態(演算区間6T)の方が、前述の第4
の実施の形態(演算区間5T)に比べて、前述の平坦部
分における変流器CTによる直流分喪失やリレーの演算
誤差を受けにくい特徴がある。よって、最大励磁突入電
流の平坦部分が6T以上となるような変圧器に本実施の
形態(演算区間6T)を適用すると、前述の4の実施の
形態(演算区間5T)を適用する場合よりも、事故電流
と励磁突入電流の平坦部分との区別がさらに容易に行う
ことができる。
【0235】本実施の形態においては、差動電流Idの
内、電気角T度間隔の6個の瞬時値のディジタル量(i
m ,im-1 ,im-2 ,im-3 ,im-4 ,im-5 )を導入
し、一定区間での振幅値をN乗した値を求め、この振幅
値のN乗が一定値以下であるときに励磁突入電流と判定
して出力を生じる励磁突入電流対策要素65を備えて差
動電流Idの平坦性を検出するものである。
【0236】そしてこの励磁突入電流対策要素65の出
力によって前記差動要素5の出力を阻止するようにした
ので、励磁突入電流と事故電流を確実に区別することが
でき、前述した従来では適用が困難であった、内部事故
電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような電力系統
の変圧器Trに対しても、変圧器励磁突入電流では確実
に不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作する
ことが可能なディジタル形保護継電器を得ることができ
る。
【0237】図13は請求項6に係るディジタル形保護
継電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例を示す
機能ブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を
付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について
のみ説明する。なお、差動要素5の構成については、図
1と全く同じであるため、図13ではその構成の一部を
割愛している。
【0238】即ち、本実施の形態の差動リレー1は、図
13に示すように、図1における励磁突入電流対策要素
61を省略し、これに代えて、新たな励磁突入電流対策
要素66を備えた構成としている。この励磁突入電流対
策要素66は、振幅値演算部21,28と、平坦判定演
算部22,29と、論理和演算回路30と、復帰遅延タ
イマー23とからなっている。
【0239】ここで、振幅値演算部28は、前記差動要
素5の差動電流演算部14により求められた差動電流I
dの波形の一定区間における振幅値を求めるものであ
る。即ち、本例では、差動電流の内、電気角T′度間隔
のK′個の瞬時値のディジタル量(im ′,im-1 ′,
m-2 ′,im-3 ′,…,im-(k`-1)′)を導入し、下
記の振幅値演算式(ヘ)にて、差動電流の一定区間にお
ける振幅値を求める。
【0240】
【数60】
【0241】また、平坦判定演算部29は、振幅値演算
部28により求められた振幅値が一定値以下であるか否
かを判定し、一定値以下の時に励磁突入電流と判定して
出力を生じるものである。一方、振幅値演算部21と、
平坦判定演算部22と、復帰遅延タイマー23の構成は
図1と全く同じであるため、ここではその説明を割愛す
る。
【0242】さらに、論理和演算回路30は、平坦判定
演算部22の出力と平坦判定演算部29の出力との論理
和を出力する。即ち、本例では、振幅値演算部21によ
り求められた振幅値が一定値以下であるか否か、および
振幅値演算部28により求められた振幅値が一定値以下
であるか否か、を各々判定し、少なくともいずれかの一
方が一定値以下の時に励磁突入電流と判定して出力を生
じるものである。
【0243】さらに、復帰遅延タイマー23は、1サイ
クル程度以上の遅延時間を持ち、論理和演算回路30の
出力を連続化するためのものである。これにより、復帰
遅延タイマー23の出力によって、差動要素5の出力を
阻止するようにしている。
【0244】次に、本実施の形態の差動リレー1の作用
について説明する。なお、差動要素5の作用について
は、前記図31の場合と同様であるので、ここではその
説明を省略する。
【0245】図13において、差動要素5の差動電流演
算部14で導出された差動電流Idは、励磁突入電流対
策要素66に導入され、振幅値演算部21にて平坦性を
検出するための演算を行い振幅値Jが求められ、同じく
振幅値演算部28にて平坦性を検出するための演算を行
い振幅値J′が、各々求められる。
【0246】そして、前記振幅値演算部21にて求めら
れた振幅値Jが所定値k以下の時に、平坦判定演算部2
2は出力を生じ、同じく振幅値演算部28にて求められ
た振幅値J′が所定値k′以下の時に、平坦判定演算部
29は出力を生じる。さらに、平坦判定演算部22の出
力と、平坦判定演算部29の出力は、論理和演算回路3
0にて論理和される。
【0247】一方、復帰遅延タイマー23の出力をNO
T演算回路19にて反転させ、さらに論理積演算回路2
0で差動要素5の出力との論理積演算を行うことによ
り、励磁突入電流にて動作する差動要素5の出力を阻止
し、差動リレー1としての誤動作を防止する。
【0248】以下に、かかる点についてより具体的に説
明する。変圧器内部事故による事故電流と、励磁突入電
流の電流波形の特徴の違いについては、前記第1の実施
の形態の場合と全く同じであるため、その説明を割愛す
る。本実施の形態においても、前記第1の実施の形態の
場合と同様に、電流の1サイクル中の一定区間における
振幅値が小さいこと、即ち平坦性を見ることで、励磁突
入電流と判定することができ、差動リレー1の誤動作を
防止する。
【0249】次に、変圧器電圧印加時の励磁突入電流の
電流波形と、外部事故回復時の励磁突入電流の電流波形
との特徴の違いを説明する。図14は、変圧器電圧印加
時の励磁突入電流(a)と外部事故回復時の励磁突入電
流(b)の電流波形の特徴の違いを示す波形図である。
【0250】通常、励磁突入電流には、1サイクル中に
変圧器鉄心の飽和が解けて電流が流れない区間(無電流
期間)が存在するが、外部事故回復時に保護継電器の見
る励磁突入電流(b)の無電流期間は、変圧器のタップ
位置の影響を受ける保護継電器の構成としている場合、
変圧器を通過する電流の影響を受けた無電流に近い期間
となる。
【0251】よって、外部事故回復時に高調波が通過し
た場合、保護継電器の見る励磁突入電流の本来無電流で
あるべき部分がこの通過高調波の影響を受け、その結
果、振幅値演算値も零とはならず、ある程度の値をと
る。図15は、振幅値演算の周波数対利得特性を表した
ものであり、本方式の振幅値演算は演算区間が広いほ
ど、高調波の影響を受けにくいことを示している。
【0252】図14の波形の特徴として、変圧器電圧印
加時の励磁突入電流(a)の場合は、無電流期間が短
く、この無電流期間を検出するためには、演算区間の広
い振幅値演算ではなく、演算区間の短い振幅値演算を用
いる必要がある。一方、外部事故回復時の励磁突入電流
(b)は、変圧器電圧印加時の励磁突入電流(a)の場
合よりも無電流期間が広いという特徴があり、この波形
に通過高調波の影響を受ける場合は、演算区間の短い振
幅値演算ではなく、演算区間がより広い(高調波の影響
を受けにくい)振幅値演算を用いることができる。
【0253】故に、演算区間の短い振幅値演算と、演算
区間の長い振幅値演算の両方を併用することで、変圧器
電圧印加時の励磁突入電流(a)の場合、および外部事
故回復時の励磁突入電流(b)で、かつ通過高調波の影
響を受ける場合、の両方とも考慮する必要がある場合に
おいても、より確実に、全ての励磁突入電流を検出する
ことが可能となる。
【0254】このため、電流の1サイクル中の広い一定
区間における振幅値が小さいこと、即ち平坦性を見るこ
とを併用して、事故回復時のような変圧器を通過する電
流の影響を受ける場合においても励磁突入電流と判定す
ることができ、差動リレー1の誤動作を防止する。即
ち、励磁突入電流対策要素66の振幅値演算部28で
は、振幅値を求めるための以下のような演算が行われ
る。
【0255】図16(a)は、励磁突入電流を、その瞬
時値のディジタル量に変換したときの値を示すものであ
る。図16(a)において、現時点の瞬時値をim ′、
1サンプリング(以下、spと表す)前の瞬時値をi
m-1 ′、2sp前の瞬時値をim-2 ′、3sp前の瞬時
値をim-3 ′…、(K′−1)sp前の瞬時値をi
m-(K-1) ′と置く。図16(a)の瞬時値にて振幅値演
算を説明すると、1サイクル中の一定区間のK′個の瞬
時値(例えば区間aのim ′〜im-(K-1) ′)から、下
記の(ヘ)式で振幅値を求める。
【0256】
【数61】
【0257】なお、一定区間とは事故回復時の最大励磁
突入電流での無電流期間より小さく、かつ通過高調波の
影響を十分低減できる区間であればよく、特に限定した
期間ではない。このJ′の値を振幅値と称し、差動電流
の1サイクル中の一定区間における振幅値を表すもので
あり、差動電流の1サイクル中の前記一定区間の電流波
形が平坦に近いほど、振幅値Jは小さくなる。
【0258】区間aの振幅値J′と同様に、sp毎に過
去K個のsp数を用いて演算(図16(a)では区間
b、c…)することにより、常に一定区間の振幅値を見
ることができ、図16(b)の振幅値演算部28での演
算結果に示すような個々の振幅値Ja′、Jb′、J
c′…の値となる。
【0259】図16(b)のような平坦区間を持った励
磁突入電流による差動電流Idでの振幅値J′の値は、
演算区間がすべて差動電流Idの無電流に近い期間に含
まれた時(図16(a)の区間a)に、その値は最小と
なる。また、振幅値J′が一定値k′よりも小さい値を
とった時に、平坦判定演算部29は、図16(c)の平
坦判定演算部29での演算結果のように出力を生じる。
【0260】なお、上記一定値kは、事故電流と励磁突
入電流の平坦部分との区別を行うための値であり、変流
器CTによる直流分喪失やリレーの演算誤差や変圧器を
通過する高調波の影響等による誤判定とならない値であ
る。なお、以上の説明では、平坦性を表す値として、振
幅値J′を基に説明してきたが、下記の一般式((ヘ−
1)式)で表される値としてもよい。
【0261】即ち、前記演算された差動電流の内、電気
角T′度間隔のK′個の瞬時値のディジタル量
(im ′,im-1 ′,im-2 ′,…,im-(K-1) ′)を
導入し、一定区間での振幅値をN乗した値を求める。つ
まり、下記の(ヘ−1)式で表される振幅値のN乗J′
N を振幅値演算として求める。
【0262】
【数62】
【0263】
【数63】 一例を挙げると、N=2の時は(ヘ−1)式の代わりに
(ヘ−2)式を用いてもよいことになる。
【0264】そして、この求められた振幅値のN乗J′
N が一定値k′以下の時に出力を生じる平坦判定演算部
29を備えた励磁突入電流対策要素66を備えて、その
出力によって前記差動要素5の出力を阻止することによ
り、前述した場合と同様の作用を奏する。
【0265】そして本例では電気角T度間隔のK個の瞬
時値のディジタル量の振幅値処理内容に対して、電気角
T′度間隔のK′個の瞬時値のディジタル量の振幅値処
理内容を付加するだけであるため、前記請求項1〜請求
項5のすべてに適用可能である。
【0266】本実施の形態においては、差動電流Idの
内、電気角T度間隔のK個の瞬時値のディジタル量(i
m ,im-1 ,im-2 ,…,im-(k-1) )と電気角T′度
間隔のK′個の瞬時値のディジタル量(im ′,
m-1 ′,im-2 ′,…,im-(k-1) ′)を導入し、一
定区間の振幅値をN乗した値JおよびJ′をそれぞれ求
め、この2つの振幅値JおよびJ′の少なくとも片方の
N乗が一定値以下であるときに励磁突入電流と判定して
出力を生じる励磁突入電流対策要素66を備えて差動電
流Idの平坦性を検出するものである。
【0267】そしてこの励磁突入電流対策要素66の出
力によって前記差動要素5の出力を阻止するようにした
ので、励磁突入電流と事故電流を確実に区別することが
でき、前述した従来では適用が困難であった、内部事故
電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような電力系統
の変圧器Trに対しても、変圧器励磁突入電流では確実
に不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作する
ことが可能なディジタル形保護継電器を得ることができ
る。
【0268】図17は請求項7に係るディジタル形保護
継電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例を示す
機能ブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を
付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について
のみ説明する。なお、差動要素5の構成については、図
1と全く同じであるため、図17ではその構成の一部を
割愛している。
【0269】即ち、本実施の形態の差動リレー1は、図
17に示すように、図1における励磁突入電流対策要素
61を省略し、これに代えて、新たな励磁突入電流対策
要素67を備えた構成としている。この励磁突入電流対
策要素67は、振幅値演算部21と、平坦判定演算部2
2と、動作遅延タイマー31と、復帰遅延タイマー23
とからなっている。
【0270】ここで、振幅値演算部21は、前記差動要
素5の差動電流演算部14により求められた差動電流I
dの波形の一定区間における振幅値を求めるものであ
る。即ち、本例では、差動電流の内、電気角T度間隔の
K個の瞬時値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2
m-3 ,…,im-(k-1) )を導入し、振幅値演算式
(イ)にて差動電流の一区間における振幅値を求める。
【0271】
【数64】
【0272】また、平坦判定演算部22は、振幅値演算
部21により求められた振幅値が一定値以下であるか否
かを判定し、一定値以下の時に励磁突入電流と判定して
出力を生じるものである。即ち、本例では、振幅値演算
部21により求められた振幅値が一定値以下であるか否
かを判定し、一定値以下の時に励磁突入電流と判定して
出力を生じるものである。
【0273】さらに、動作遅延タイマー31は、1sp
以上の遅延時間を持ち、平坦判定演算部22の単発的な
出力(例えば1sp出力)を消すためのものである。一
方、復帰遅延タイマー23は、1サイクル程度以上の遅
延時間を持ち、動作遅延タイマー31の出力を連続化す
るためのものである。これにより、復帰遅延タイマー2
3の出力によって、差動要素5の出力を阻止する。
【0274】次に、本実施の形態の差動リレー1の作用
について説明する。なお、差動要素5の作用について
は、前記図31の場合と同様であるので、ここではその
説明を省略する。図17において、差動要素5の差動電
流演算部14で導出された差動電流Idは、励磁突入電
流対策要素67に導入され、振幅値演算部21にて平坦
性を検出するための演算を行って振幅値Jが求められ
る。そして、ここで求められた振幅値Jが所定値k以下
の時に、平坦判定演算部22は出力を生じる。
【0275】一方、平坦判定演算部22の出力は、動作
遅延タイマー31と、復帰遅延タイマー23とを通じた
後に、NOT演算回路19にて反転させられ、さらに論
理積演算回路20で差動要素5の出力との論理積演算を
行うことにより、励磁突入電流にて動作する差動要素5
の出力を阻止し、差動リレー1としての誤動作を防止す
る。
【0276】以下に、かかる点についてより具体的に説
明する。変圧器内部事故による事故電流と、励磁突入電
流の電流波形の特徴の違いについては、前記第1の実施
の形態の場合と全く同じであるため、その説明を割愛す
る。本実施の形態においても、前記第1の実施の形態の
場合と同様に、電流の1サイクル中の一定区間における
振幅値が小さいこと、即ち平坦性を見ることで、励磁突
入電流と判定することができ、差動リレー1の誤動作を
防止する。
【0277】即ち、励磁突入電流対策要素67の振幅値
演算部21では、振幅値を求めるための以下のような演
算が行われる。図18(a)は、変圧器内部事故電流
を、その瞬時値のディジタル量に変換したときの値を示
すものである。図18(a)において、現時点の瞬時値
をim 、1サンプリング(以下、spと表す)前の瞬時
値をim-1 、2sp前の瞬時値をim-2 、3sp前の瞬
時値をim-3 、…、(K−1)sp前の瞬時値をi
m-(K-1) と置く。
【0278】図18(a)の瞬時値にて振幅値演算を説
明すると、1サイクル中の一定区間のK個の瞬時値(例
えば区間aのim 〜im-(K-1) )から、下記の(イ)式
で求める。なお、一定区間とは最大励磁突入電流での無
電流期間より小さい区間であればよく、特に限定した期
間ではない。
【0279】
【数65】
【0280】このJの値を振幅値と称し、差動電流の1
サイクル中の一定区間における振幅値を表すものであ
り、差動電流の1サイクル中の前記一定区間の電流波形
が平坦である場合のみ、振幅値Jは零となる。
【0281】区間aの振幅値Jと同様に、sp毎に過去
K個のsp数を用いて演算(図18(a)では区間b、
c…)することにより、常に一定区間の振幅値を見るこ
とができ、図18(b)の振幅値演算部21での演算結
果に示すような個々の振幅値Ja、Jb、Jc…の値と
なる。
【0282】図18(b)のような変圧器内部事故電流
による差動電流Idでは、演算区間がすべて平坦部分と
なることはなく、振幅値Jの値は、常に大きい。また、
振幅値Jが一定値kよりも小さい値をとった時に、平坦
判定演算部22は、図18(c)の平坦判定演算部22
での演算結果のように出力を生じる。
【0283】なお、上記一定値kは、事故電流と励磁突
入電流の平坦部分との区別を行うための値であり、変流
器CTによる直流分喪失やリレーの演算誤差等による誤
判定とならない値である。ほとんどの事故電流では、前
述のように振幅値Jの値は、常に大きく、振幅値Jが一
定値kよりも小さい値をとることもなく、平坦判定演算
部22が出力を生じることはない。
【0284】しかし、事故時の高調波とspタイミング
の関係で、演算区間の瞬時値がほぼ等しくなり、振幅値
演算部21の演算結果がJaのように、事故電流にもか
かわらず偶発的に小さくなり、平坦判定演算部22が瞬
時的に出力を生じることも考えられる。しかし、平坦判
定演算部22の演算結果は単発的なものであり、継続す
ることがないため、このような瞬時的な出力を生じた場
合でも、この出力は動作遅延タイマー31に入力され、
所定時間だけ動作遅延されるので、動作遅延タイマー3
1は出力を生じない。
【0285】よってこのような場合でも、動作遅延タイ
マー31は出力を生じず、この復帰遅延タイマー31の
出力をNOT演算回路19にて反転させて常にNOT演
算回路19は出力を生じ、差動要素5の出力との論理積
演算を論理積演算回路20にて行うことにより、事故電
流にて動作する差動要素5の出力を阻止することはな
く、差動リレー1としての正動作することができる。な
お、動作遅延タイマー31の時間は1spに限定するも
のではなく、励磁突入電流の平坦検出に支障のない時間
であれば1sp以上でも良い。
【0286】本実施の形態においては、差動電流Idの
内、電気角T度間隔のK個の瞬時値のディジタル量(i
m ,im-1 ,im-2 ,…,im-(k-1) )を導入し、一定
区間での振幅値をN乗した値を求め、この振幅値のN乗
が所定時間以上、一定値以下であるときに励磁突入電流
と判定して出力を生じる励磁突入電流対策要素67を備
えて差動電流Idの平坦性を検出するものである。
【0287】そしてこの励磁突入電流対策要素67の出
力によって前記差動要素5の出力を阻止するようにした
ので、励磁突入電流と事故電流を確実に区別することが
でき、前述した従来では適用が困難であった、内部事故
電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような電力系統
の変圧器Trに対しても、変圧器励磁突入電流では確実
に不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作する
ことが可能なディジタル形保護継電器を得ることができ
る。
【0288】図19は請求項8に係るディジタル形保護
継電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例を示す
機能ブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を
付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について
のみ説明する。なお、差動要素5の構成については、図
1と全く同じであるため、図19ではその構成の一部を
割愛している。
【0289】即ち、本実施の形態の差動リレー1は、図
19に示すように、図1における励磁突入電流対策要素
61を省略し、これに代えて、新たな励磁突入電流対策
要素68を備えた構成としている。この励磁突入電流対
策要素68は、振幅値演算部21と、平坦判定演算部2
2と、シフト演算部32と、論理積演算回路33と、復
帰遅延タイマー23とからなっている。
【0290】ここで、振幅値演算部21、および平坦判
定演算部22は、前述した第1の実施の形態の場合と同
様の機能をそれぞれ有する。また、シフト演算部32
は、平坦判定演算部22の出力を1サイクル遅らせるも
のである。
【0291】さらに、論理積演算回路33は、平坦判定
演算部22の出力(現時点の出力)と、シフト演算部3
2の出力(1サイクル前の出力)との論理積演算を行う
ものであり、復帰遅延タイマー23は、1サイクル程度
以上の遅延時間を持ち、論理積演算回路33の出力を連
続化するためのものである。
【0292】次に、本実施の形態の差動リレー1の作用
について説明する。なお、差動要素5の作用について
は、前記図31の場合と同様であるので、ここではその
説明を省略する。図19において、差動要素5の差動電
流演算部14で導出された差動電流Idは、励磁突入電
流対策要素68に導入され、振幅値演算部21にて前記
した(イ)式に基づく演算を行い、差動電流Idの各s
pにおける一定区間の振幅値Jが算出される。また、平
坦判定演算部22では、振幅値Jが所定値k以下となっ
た時に、励磁突入電流と判定して出力が送出される。
【0293】励磁突入電流は、変圧器鉄心飽和の関係に
より、電流が流れる期間と流れない期間との周期性が1
サイクル毎に生じる。このため、励磁突入電流による平
坦判定演算部22の出力は、1サイクル毎に一回は必ず
送出され、その出力は1サイクル毎の周期性を持つ断続
出力である。
【0294】一方、事故電流は、基本波電流もしくは不
特定高調波電流の重畳したものであり、無電流期間を生
じることはないが、希に、高調波の重畳の関係で過渡的
な平坦部分を持つことが考えられる。図20は、事故電
流で過渡的な平坦部分を持つ場合の一例を示す図であ
り、差動電流IdのA部で振幅値Jは所定値k以下とな
り、平坦判定演算部22は単発的な出力を送出するが、
この時の平坦判定演算部22の出力は周期性を生じな
い。
【0295】そして、これらの平坦判定演算部22の出
力をシフト演算部32により1サイクル遅らせ、現時点
の判定結果である平坦判定演算部22出力と1サイクル
前の判定結果であるシフト演算部32の出力との論理積
演算を論理積演算回路33で行うことにより、差動電流
Idにおける平坦部分の周期性を見ることができる。
【0296】図21は、励磁突入電流と事故電流におけ
る周期性の検出の一例を示す図であり、励磁突入電流
(a)では、平坦判定演算部22の周期的な出力のため
に論理積演算回路33の出力が生じるが、事故電流
(b)では、平坦判定演算部22の単発的な出力のため
に論理積演算回路33の出力は生じない。
【0297】なお、励磁突入電流による論理積演算回路
33での論理積演算結果は断続出力であるため、復帰遅
延タイマー23により連続化して励磁突入電流対策要素
68の出力としている。
【0298】これにより、励磁突入電流に対しては、確
実に励磁突入電流対策要素68が動作して差動リレー1
の誤動作を防止し、また過渡的な平坦部分が生じるよう
な事故電流に対しても、励磁突入電流対策要素68の不
要出力が生じず、差動リレー1は正常動作を行うことが
できる。
【0299】なお、シフト演算部32にて遅らせる時間
は1サイクルに限定するものではなく、1サイクル以上
で、励磁突入電流の特徴である連続性を判別できる正数
倍サイクルでも良い。そして、本実施の形態では、事故
電流で単発的な平坦判定演算部出力が生ずる場合と、励
磁突入電流での平坦判定演算部出力が生ずる場合との弁
別に際して、その周期性を検出する手段としてシフト演
算部32を設け、現時点の判定結果である平坦判定部2
2の出力と、1サイクル前の判定結果であるシフト演算
部32の出力との論理演算で行なうものである。したが
って、この種の判定手法は前記請求項1〜請求項5のす
べてに適用可能である。
【0300】本実施の形態においては、差動電流Idの
内、電気角T度間隔のK個の瞬時値のディジタル量(i
m ,im-1 ,im-2 ,…,im-(K-1) )を導入し、一定
区間での振幅値をN乗した値を求め、この振幅値のN乗
が一定値以下であるときに生じる出力と、1サイクル前
の平坦判定演算22出力とを比較して、両者の論理積条
件の成立により、励磁突入電流と判定して出力を生じる
励磁突入電流対策要素68を備えて差動電流Idの平坦
性を検出するようにしている。
【0301】そして、この励磁突入電流対策要素68の
出力によって前記差動要素5の出力を阻止するようにし
たので、励磁突入電流と事故電流を確実に区別すること
ができ、前述した従来では適用が困難であった、内部事
故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような電力系
統の変圧器Trに対しても、変圧器励磁突入電流では確
実に不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作す
ることが可能なディジタル形保護継電器を得ることがで
きる。
【0302】図22は請求項9に係るディジタル形保護
継電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例を示す
機能ブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を
付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について
のみ説明する。なお、差動要素5の構成については、図
1と全く同じであるため、図22ではその構成の一部を
割愛している。
【0303】即ち、本実施の形態の差動リレー1は、図
22に示すように、図1における励磁突入電流対策要素
61を省略し、これに代えて、新たな励磁突入電流対策
要素69を備えた構成としている。この励磁突入電流対
策要素69は、振幅値演算部21と、シフト演算部34
と、最大値検出演算部35と、平坦判定演算部36と、
復帰遅延タイマー23とからなっている。
【0304】ここで、振幅値演算部21は、既に説明し
た第1の実施の形態の場合と同様の機能を有する。ま
た、シフト演算部34は、振幅値演算部21の出力であ
る振幅値Jの値を1サイクル遅らせるためのものであ
る。一方、最大値検出演算部35は、振幅値演算部21
の出力である振幅値Jと、シフト演算部34の出力であ
る振幅値Jとの比較を行い、いずれか大きい方の振幅値
MAX を出力するものである。
【0305】また、平坦判定演算部36は、最大値検出
演算部35の出力である振幅値JMAX が所定値kよりも
小さいか否かを判定し、所定値kよりも小さいときに出
力を生じる。さらにまた、復帰遅延タイマー23は、1
サイクル程度以上の遅延時間を持ち、平坦判定演算部3
6の出力を連続化するためのものである。
【0306】次に、本実施の形態の差動リレー1の作用
について説明する。なお、差動要素5の作用について
は、前記図31の場合と同様であるので、ここではその
説明を省略する。図22において、差動要素5の差動電
流演算部14で導出された差動電流Idは、励磁突入電
流対策要素69に導入され、振幅値演算部21にて前述
した(イ)式に基づく演算を行い、差動電流Idの各s
pにおける一定区間の振幅値Jが算出される。
【0307】そして、この振幅値演算部21の出力であ
る現時点の振幅値をJ(現在)とし、この振幅値J(現
在)をシフト演算部34によって1サイクル遅らせ、こ
の遅らせた振幅値をJ(1サイクル前)とする。一方、
最大値検出演算部35では、これらの振幅値J(現在)
と振幅値J(1サイクル前)とを比較し、いずれか大き
い方の振幅値がJMAX として出力される。また、平坦判
定演算部36では、最大値検出部35の出力である振幅
値JMAX が所定値k以下となったときに、励磁突入電流
と判定して出力が送出される。
【0308】励磁突入電流は、変圧器鉄心飽和の関係に
より、電流が流れる期間と流れない期間の周期性が1サ
イクル毎に生じる。このため、振幅値演算部21で演算
される振幅値Jも、1サイクル毎に極小になる周期性を
持った出力となり、現時点の振幅値J(現在)と1サイ
クル前の振幅値J(1サイクル前)とは、等しい値とな
る。
【0309】この結果、最大値検出演算部35では、そ
のまま振幅値J(現在)(=J(1サイクル前))を出
力するため、平坦判定演算部36の出力は、1サイクル
毎に出力する周期性を持つ断続出力である。そして、平
坦判定演算部36の出力は、復帰遅延タイマー23によ
り連続化して励磁突入電流対策要素69の出力としてい
るため、差動リレー1の誤動作を防止することができ
る。
【0310】一方、事故電流は、基本波電流もしくは不
特定高調波電流の重畳したものであり、無電流期間を生
じることはないが、希に、高調波の重畳の関係で、過渡
的な平坦部分を持つことが考えられる。図23は、事故
電流で過渡的な平坦部分を持つ場合の一例を示す図であ
り、振幅値演算部21の出力である振幅値Jの変化を表
したものである。
【0311】図23(a)は、振幅値演算部21の出力
と前記した第1の実施の形態における平坦判定演算部2
2の出力であり、振幅値がBの時点で所定値k以下とな
り、図23(b)に示すように、平坦判定演算部22が
過渡的に単発出力している。これに対し、図23(c)
は、図23(a)の振幅値演算部21の出力の振幅値J
(現在)と、その出力をシフト演算部34を通して得ら
れた振幅値J(1サイクル前)とを比較した最大値検出
演算部35の出力(振幅値JMAX )である。
【0312】例えば、図23(a)の現時点での振幅値
Bの値と、その1サイクル前の振幅値Cの値との比較を
行い、いずれかの大きい方(ここではC)を、図23
(c)の最大値検出演算部35の振幅値JMAX の値とし
て出力するため、平坦判定演算部36は動作せず、励磁
突入電流対策要素69が出力を生じることはなく、差動
リレー1は正常動作を行うことができる。
【0313】なお、シフト演算部34にて遅らせる時間
は1サイクルに限定するものではなく、励磁突入電流の
平坦部の周期性に合わせた正数倍サイクルでも良い。
又、周期性だけでなく平坦検出に支障のない時間であれ
ば1sp以前との比較を行ない、大きい方の振幅値を使
用する構成としても良い。本実施の形態では、前記請求
項8の場合と同様に事故電流時と励磁突入電流時との弁
別に際し、現在時点の振幅値と1サイクル遅らせた振幅
値とを比較してその内の最大値を出力し、当該最大値が
所定値k以下であるとき単発出力であるとするものであ
る。したがってこの種の判定手法は請求項1〜請求項5
のすべてに適用可能である。
【0314】本実施の形態においては、差動電流Idの
内、電気角T度間隔のK個の瞬時値のディジタル量(i
m ,im-1 ,im-2 ,…,im-(K-1) )を導入し、一定
区間での振幅値をN乗した値を求め、この振幅値のN乗
と1サイクル前の振幅値のN乗とを比較して、いずれか
大きい方の振幅値が所定値k以下となった時に、励磁突
入電流と判定して出力を生じる励磁突入電流対策要素6
9を備えて差動電流Idの平坦性を検出するようにして
いる。
【0315】そして、この励磁突入電流対策要素69の
出力によって前記差動要素5の出力を阻止するようにし
たので、励磁突入電流と事故電流を確実に区別すること
ができ、前述した従来では適用が困難であった、内部事
故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような電力系
統の変圧器Trに対しても、変圧器励磁突入電流では確
実に不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作す
ることが可能なディジタル形保護継電器を得ることがで
きる。
【0316】図25は請求項10に係るディジタル形保
護継電器を電力用変圧器に適用した場合の構成例を示す
回路図である。図25において、電力系統電源Gには、
遮断器CBを介して、被保護対象である変圧器Trが接
続されている。また、変圧器Trを挟んで、各相毎の交
流電流を抽出する主変流器CT1,CT2が設けられて
いる。
【0317】一方、変圧器Trのいずれか1つの端子に
各相毎の交流電圧を抽出する計器用変成器PTが設けら
れている。さらに、主変流器CT1,CT2と、計器用
変成器PTとにより抽出された交流電流I1,I2と、
交流電圧V1を差動リレー80に導入し、変圧器Trの
内部事故時に動作して、遮断器CBを遮断することによ
り変圧器Trが保護されるようになっている。
【0318】図24は、本実施の形態によるディジタル
形保護継電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例
を示す機能ブロック図であり、図1と同一部分には同一
符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分に
ついてのみ説明する。即ち、本実施の形態の差動リレー
80は、図24に示すように、図1の差動リレー1に対
し、入力変成器37と、A/D変換器3とを追加し、さ
らに図1における励磁突入電流対策要素61を省略し、
これに代えて、新たな励磁突入電流対策要素70を備え
た構成としている。
【0319】入力変成器37は、計器用変成器PTによ
り抽出された交流電圧V1を適当な大きさに変換するも
のである。また、A/D変換器3は入力変成器2により
抽出された交流電流I1,I2,および入力変成器37
にて抽出された交流電圧V1を、一定時間間隔でサンプ
リングし、ディジタル量に変換するものである。
【0320】さらに、励磁突入電流対策要素70は、振
幅値演算部21と、平坦判定演算部22と、電圧値演算
部38と、電圧値判定演算部39と、論理積演算回路4
0と、復帰遅延タイマー23とからなっている。ここ
で、振幅値演算部21、平坦判定演算部22、および復
帰遅延タイマー23は、前記した第1の実施の形態の場
合と同様の機能を有するものである。
【0321】一方、電圧値演算部38は、電気量v1か
ら基本波成分1fを抽出して、振幅値|V|を算出す
る。また、電圧値判定演算部39は、電圧値演算部38
の出力である振幅値|V|が所定値kvよりも大きいか
否かを判定し、所定値kvよりも大きいときに出力を生
じるものである。さらに、復帰遅延タイマー23の出力
と、電圧値判定演算部39の出力は、論理積演算回路4
0にて論理積される。
【0322】一方、論理積演算回路40の出力をNOT
演算回路19にて反転させ、さらに論理積演算回路20
で差動要素5の出力との論理積演算を行うことにより、
励磁突入電流にて動作する差動要素5の出力を阻止し、
差動リレー80としての誤動作を防止する。
【0323】次に、本実施の形態の差動リレー80の作
用について説明する。なお、差動要素5の作用について
は、前記図31の場合と同様であるので、ここではその
説明を省略する。図24において、差動要素5の差動電
流演算部14で導出された差動電流Idは、励磁突入電
流対策要素70に導入され、振幅値演算部21にて平坦
性を検出するための演算を行い、振幅値Jが求められ
る。
【0324】そして、当該求められた振幅値Jが所定値
k以下の時に、平坦判定演算部22は出力を生じ、当該
平坦判定演算部22の出力は、復帰遅延タイマー23に
て連続化される。
【0325】一方、図25に示すように、変圧器のいず
れか1つの端子の電圧V1は、計器用変成器PTを介し
て、適当な大きさに変換される。また、図24に示すよ
うに、計器用変成器PTにより抽出された交流電圧V1
は、入力変成器37により、さらに適当な大きさに変換
された後、A/D変換器3に導入される。
【0326】さらにまた、A/D変換器3では、交流電
圧V1を一定時間間隔でサンプリングし、ディジタル量
v1に変換する。当該ディジタル量に変換されたv1は
電圧振幅値演算部38に導入され、その基本波成分1f
の振幅値|V|を算出した後、電圧値判定演算部39に
て当該振幅値|V|が所定値kvよりも大きいか否かを
判定し、所定値kvよりも大きいときに、電圧値判定演
算部39は出力を生じる。
【0327】また、電圧値判定演算部39の出力は、論
理積演算回路40にて復帰遅延タイマー23の出力と論
理積された後、NOT演算回路19にて反転させられ、
さらに論理積演算回路20で差動要素5の出力との論理
積演算を行うことにより、励磁突入電流にて動作する差
動要素5の出力を阻止し、差動リレー1としての誤動作
を防止することができる。
【0328】以下に、かかる点についてより具体的に説
明する。励磁突入電流は、変圧器鉄心飽和の関係によ
り、電流が流れる期間と流れない期間との周期性が1サ
イクル毎に生じる。このため、励磁突入電流による平坦
判定演算部22の出力は、1サイクル毎に一回は必ず送
出され、その出力は1サイクル毎の周期性を持つ断続出
力である。
【0329】したがって1サイクル程度以上の遅延時間
を有する復帰遅延タイマー23の出力は、必ず常に送出
され続ける。また、励磁突入電流が発生するような、変
圧器電圧印加時には、その電圧の振幅値は十分大きいた
め、電圧振幅値演算38の出力である電圧振幅値|V|
は常に所定値kvより大きな値をとり、その結果、電圧
値判定演算39では常に|V|≧kvが成立して電圧値
判定演算39の出力も常に送出され続ける。
【0330】電圧振幅値は既知の振幅値演算アルゴリズ
ムであればどのようなものでもよく、例えば、現時点の
瞬時値をvm 、1サンプリング(以下、spと表す)前
の瞬時値をvm-1 、2sp前の瞬時値をvm-2 、…、5
sp前の瞬時値をvm-5 と置いたときの、下記の(チ)
式などで求める。
【0331】
【数66】
【0332】そして、前記復帰遅延タイマー23の出力
と前記電圧値判定演算39の出力は、論理積演算回路4
0にて論理積されるので、励磁突入電流対策要素70は
常に出力を生じる。当該励磁突入電流対策要素70の出
力は、NOT演算回路19にて反転させられるので、N
OT演算回路19は常に出力を生じず、論理積演算回路
20の出力を常に阻止することができ、このため、励磁
突入電流に対する差動リレー80の誤動作を防止でき
る。
【0333】一方、内部事故の場合は、基本波電流もし
くは不特定高調波電流の重畳したものであり、特に事故
電流に高調波が多く含まれるような事故の場合は、必
ず、その変圧器の端子電圧は大きく低下するため、電圧
振幅値演算部の出力である振幅値|V|は所定値kvよ
りも小さくなり、その結果電圧値判定演算39は常に出
力を生じない。
【0334】よって、前記復帰遅延タイマー23の出力
と前記電圧値判定演算39の出力は、論理積演算回路4
0にて論理積され、励磁突入電流対策要素70は常に出
力を生じない。当該励磁突入電流対策要素70の出力
は、NOT演算回路19にて反転させられるので、NO
T演算回路19は常に出力を生じ、論理積演算回路20
の出力を阻止することなく、差動リレー80は正常動作
を行うことができる。本実施の形態では、内部事故時と
励磁突入電流時との弁別手段として、内部事故時は変圧
器の端子電圧が大きく低下するのに対して、励磁突入電
流時は電圧の振幅値は所定値以上であることを利用した
ものである。したがって、この種の判定手法は請求項1
〜請求項9のすべてに適用可能である。
【0335】上述したように、本実施の形態において
は、変圧器励磁突入電流と変圧器内部事故電流との波形
の違い、すなわち励磁突入電流は1サイクル中に変圧器
鉄心の磁束飽和によって電流が流れる区間と変圧器鉄心
の飽和が解けて電流が流れない一定の平坦部分が必ず存
在するのに対し、事故電流は基本波電流もしくは不特定
多数の高調波電流重畳のため一定区間の平坦部分が生じ
ないこと、および変圧器励磁突入電流発生時と変圧器内
部事故電流発生時との電圧の違い、すなわち励磁突入電
流発生時には電圧振幅値が大きいのに対し、事故電流発
生時には電圧振幅値が小さいことの両方に着目したもの
である。
【0336】そこで差動電流Idの内、電気角T度間隔
のK個の瞬時値のディジタル量(im ,im-1
m-2 ,…,im-(k-1) )を導入し、一定区間での振幅
値をN乗した値を求め、この振幅値が所定値k以下とな
ること、および電圧振幅値が所定値kv以上であること
の2つの条件を満たしたときに励磁突入電流と判定して
出力を生じる励磁突入電流対策要素70を備え、この励
磁突入電流対策要素70の出力によって前記差動要素5
の出力を阻止するようにしたものである。
【0337】したがって励磁突入電流と事故電流を確実
に区別することができ、前述した従来では適用が困難で
あった、内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含
むような電力系統の変圧器Trに対しても、変圧器励磁
突入電流では確実に不動作となり、変圧器内部事故時に
は確実に動作することが可能なディジタル形保護継電器
を得ることができる。
【0338】図26は請求項11に係るディジタル形保
護継電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例を示
す機能ブロック図であり、図24と同一部分には同一符
号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分につ
いてのみ述べる。即ち、本実施の形態の差動リレー80
は、図26に示すように、図24の差動リレー80にお
ける励磁突入電流対策要素70を省略し、これに代え
て、新たな励磁突入電流対策要素71を備えた構成とし
ている。
【0339】さらに、励磁突入電流対策要素70は、振
幅値演算部21,41と、平坦判定演算部22と、電圧
値判定演算部42と、復帰遅延タイマー23と、論理積
演算回路43とからなっている。ここで、振幅値演算部
21、平坦判定演算部22、および復帰遅延タイマー2
3は、前記した図24の実施の形態の場合と同様の機能
を有するものである。
【0340】ここで、振幅値演算部41は、交流電圧v
1の波形の一定区間における振幅値を求めるものであ
る。本例では、交流電圧の内、振幅値演算部21のTと
同じ電気角T度間隔の、振幅値演算部21のKと同じK
個の瞬時値のディジタル量(vm ,vm-1 ,vm-2 ,v
m-3 ,…,vm-(k-1) )を導入し、振幅値演算式(ト)
にて交流電圧の一定区間における振幅値を求める。
【0341】
【数67】
【0342】また、電圧値判定演算部42は、振幅値演
算部41により求められた振幅値が一定値以上であるか
否かを判定し、一定値以上の時に励磁突入電流と判定し
て出力を生じるものである。さらに、復帰遅延タイマー
23の出力と、電圧値判定演算部42の出力は、論理積
演算回路43にて論理積される。
【0343】一方、論理積演算回路43の出力をNOT
演算回路19にて反転させ、さらに論理積演算回路20
で差動要素5の出力との論理積演算を行うことにより、
励磁突入電流にて動作する差動要素5の出力を阻止し、
差動リレー80としての誤動作を防止することができ
る。
【0344】次に、本実施の形態の差動リレー80の作
用について説明する。なお、差動要素5の作用について
は、前記図31の場合と同様であるので、ここではその
説明を省略する。図26において、差動要素5の差動電
流演算部14で導出された差動電流Idは、励磁突入電
流対策要素71に導入され、振幅値演算部21にて平坦
性を検出するための演算を行って、振幅値Jが求められ
る。そして、当該求められた振幅値Jが所定値k以下の
時に、平坦判定演算部22は出力される。
【0345】一方、図24の実施の形態の場合と同様
に、変圧器のいずれか1つの端子の電圧V1は、計器用
変成器PTを介して適当な大きさに変換され、計器用変
成器PTにより抽出された交流電圧V1は、入力変成器
37により、さらに適当な大きさに変換された後、A/
D変換器3に導入され、また、A/D変換器3では、交
流電圧V1を一定時間間隔でサンプリングし、ディジタ
ル量v1に変換する。
【0346】当該ディジタル量に変換されたv1は、電
圧振幅値演算部41に導入され、振幅値演算部21と同
じ演算区間にて振幅値を求めるための演算を行い、振幅
値Jvが求められる。そして、ここで求められた振幅値
Jvが所定値kv以上の時に、電圧値判定演算部42は
出力を生じる。
【0347】また、電圧値判定演算部42の出力は、論
理積演算回路43にて復帰遅延タイマー23の出力と論
理積された後、NOT演算回路19にて反転させられ、
さらに論理積演算回路20で差動要素5の出力との論理
積演算を行うことにより、励磁突入電流にて動作する差
動要素5の出力を阻止し、差動リレー1としての誤動作
を防止する。
【0348】以下に、かかる点についてより具体的に説
明する。まず、励磁突入電流発生時の電圧波形の特徴を
述べる。図27は、励磁突入電流発生時の励磁突入電流
(a)と電圧波形(b)の電流波形の特徴を示す波形図
である。
【0349】図27において、励磁突入電流(a)が流
れている区間における電圧波形(b)は、励磁突入電流
と変圧器のリアクタンス等の関係により電圧降下を起こ
し、やや小さな振幅となるが、励磁突入電流(a)に
は、1サイクル中に変圧器鉄心の飽和が解けて電流が流
れない区間(無電流期間)が必ず存在し、この時の電圧
波形(b)は励磁突入電流が流れないため、電圧降下の
影響がなく、大きな振幅となる。
【0350】このため、振幅値演算部21と同じ一定区
間(演算区間)にて、電圧の1サイクル中の一定区間に
おける振幅値を算出することで、無電流期間での大きな
電圧を用いて、励磁突入電流発生時の電圧が十分大きい
ことを、さらに確実に検出して、励磁突入電流と判定す
ることができ、差動リレー80の誤動作を防止する。
【0351】即ち、励磁突入電流対策要素71の振幅値
演算部41では、振幅値を求めるための以下のような演
算が行われる。図27(b)は、励磁突入電流発生時の
交流電圧を、その瞬時値のディジタル量に変換したとき
の値を示すものである。
【0352】図27(b)において、現時点の瞬時値を
m 、1サンプリング(以下、spと表す)前の瞬時値
をvm-1 、2sp前の瞬時値をvm-2 、3sp前の瞬時
値をvm-3 、…、(K−1)sp前の瞬時値をv
m-(K-1) と置く。
【0353】図27(a)の瞬時値にて振幅値演算を説
明すると、1サイクル中の一定区間のK個の瞬時値(例
えば区間aのvm 〜vm-(K-1) )から、下記の(ト)式
で求める。なお、一定区間とは振幅値演算部21と同じ
一定区間であればよく、特に限定した期間ではない。
【0354】
【数68】
【0355】このJvの値を振幅値と称し、交流電圧の
1サイクル中の一定区間における振幅値を表すものであ
り、差動電流の1サイクル中の前記一定区間の電流波形
が平坦である場合に、振幅値Jvは最も大きな値とな
る。
【0356】区間aの振幅値Jと同様に、sp毎に過去
k個のsp数を用いて演算(図27(b)では区間b、
c…)することにより、常に一定区間の振幅値を見るこ
とができ、図27(c)の振幅値演算部21での演算結
果に示すような個々の振幅値Jva、Jvb、Jvc…
の値となる。
【0357】図27(a)のような平坦区間を持った励
磁突入電流による差動電流Idが発生した場合での、交
流電圧の振幅値Jvの値は、演算区間がすべて差動電流
Idの平坦部分に含まれた時(図27(b)の区間a)
に、その値は最大となる。また、振幅値Jvが一定値k
vよりも大きい値をとった時に、電圧値判定演算部42
は、図27(d)の平坦判定演算部42での演算結果の
ように出力を生じる。
【0358】なお、上記一定値kvは、事故電流発生時
の電圧値と励磁突入電流発生時の電圧値との区別を行う
ための値であればよく、特に限定した値ではない。この
結果、電圧値判定演算42は、平坦判定演算22の出力
と同じタイミングで出力を生じるので、論理積演算回路
43も同じタイミングで出力を生じる。そして、論理積
演算回路43の出力は、1cy程度以上遅延時間を有す
る復帰遅延タイマー23により連続化され、励磁突入電
流発生時には励磁突入電流対策要素71の出力が常に送
出され続ける。
【0359】当該励磁突入電流対策要素71の出力は、
NOT演算回路19にて反転させられるので、NOT演
算回路19は常に出力を生じず、論理積演算回路20の
出力を常に阻止することができ、このため、励磁突入電
流に対する差動リレー80の誤動作を防止できる。
【0360】一方、事故電流に過渡的な平坦部分を生じ
させるような高調波が発生する内部事故の場合には、必
ず、その変圧器の端子電圧は大きく低下するため、電圧
振幅値演算部41の出力である振幅値Jvは所定値kv
よりも小さくなり、その結果電圧値判定演算42は常に
出力を生じない。よって、前記平坦判定演算部22の出
力と前記電圧値判定演算42の出力は、論理積演算回路
43にて論理積され、励磁突入電流対策要素71は常に
出力を生じない。
【0361】当該励磁突入電流対策要素71の出力は、
NOT演算回路19にて反転させられるので、NOT演
算回路19は常に出力を生じ、論理積演算回路20の出
力を阻止することなく、差動リレー80は正常動作を行
うことができる。
【0362】なお、以上の説明では、平坦性を表す値と
して、振幅値Jvを基に説明してきたが、下記の一般式
((ト−1)式)で表される値としてもよい。即ち、前
記演算された差動電流の内、電気角T度間隔のK個の瞬
時値のディジタル量(vm ,vm-1 ,vm-2 ,…,v
m-(K-1) )を導入し、一定区間での振幅値をN乗した値
を求める。つまり、(ト−1)式で表される振幅値のN
乗JvN を振幅値演算として求める。
【0363】
【数69】
【0364】一例を挙げると、N=2の時は(ト−1)
式の代わりに(ト−2)式を用いてもよいことになる。
【数70】
【0365】そして、この求められた振幅値のN乗Jv
N が一定値kv以上の時に出力を生じる電圧値判定演算
部42を備えた励磁突入電流対策要素71を備えて、そ
の出力によって前記差動要素5の出力を阻止することに
より、前述した場合と同様の作用を奏することができ
る。本実施の形態では、前記した請求項10の場合と同
様に内部事故時と励磁突入電流時との弁別に電圧要素を
用いたものである。したがって、本判別手法は請求項1
〜請求項9のすべてに適用可能である。
【0366】上述したように、本実施の形態において
は、変圧器励磁突入電流と変圧器内部事故電流との波形
の違い、すなわち励磁突入電流は1サイクル中に変圧器
鉄心の磁束飽和によって電流が流れる区間と変圧器鉄心
の飽和が解けて電流が流れない一定の平坦部分が必ず存
在するのに対し、事故電流は基本波電流もしくは不特定
多数の高調波電流重畳のため一定区間の平坦部分が生じ
ないこと、および変圧器励磁突入電流発生時と変圧器内
部事故電流発生時との電圧の違い、すなわち励磁突入電
流発生時の特に励磁突入電流の流れない区間では電圧振
幅値が大きいのに対し、事故電流発生時には電圧振幅値
が小さいことの両方に着目したものである。
【0367】そして差動電流Idの内、電気角T度間隔
のK個の瞬時値のディジタル量(im ,im-1
m-2 ,…,im-(k-1) ,およびvm ,vm-1
m-2 ,…,vm-(k-1) )を導入し、一定区間での電流
および電圧の振幅値をN乗した値を求め、この電流振幅
値が所定値k以下となること、および電圧振幅値が所定
値kv以上であることの2つの条件を満たしたときに励
磁突入電流と判定して出力を生じる励磁突入電流対策要
素71を備えて差動電流Idの平坦性、および電圧値の
大きさを検出する。
【0368】そして、この励磁突入電流対策要素71の
出力によって前記差動要素5の出力を阻止するようにし
たので、励磁突入電流と事故電流を確実に区別すること
ができ、前述した従来では適用が困難であった、内部事
故電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような電力系
統の変圧器Trに対しても、変圧器励磁突入電流では確
実に不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作す
ることが可能なディジタル形保護継電器を得ることがで
きる。
【0369】図28は請求項12に係るディジタル形保
護継電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例を示
す機能ブロック図であり、図24と同一部分には同一符
号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分につ
いてのみ説明する。即ち、本実施の形態の差動リレー8
0は、図28に示すように、図24の差動リレー80に
おける励磁突入電流対策要素70を省略し、これに代え
て、新たな励磁突入電流対策要素72を備えた構成とし
ている。
【0370】さらに、励磁突入電流対策要素72は、振
幅値演算部21と、平坦判定演算部22と、復帰遅延タ
イマー23と、電圧上昇判定演算部44と、復帰遅延タ
イマー45と、論理積演算回路46とからなっている。
ここで、振幅値演算部21、平坦判定演算部22、およ
び復帰遅延タイマー23は、前記した図26の実施の形
態の場合と同様の機能を有するものである。
【0371】ここで、電圧上昇判定演算部44は、交流
電圧v1の大きさが、一定値以上上昇したかを検出し、
一定値以上上昇した場合に出力を生じるものである。ま
た、復帰遅延タイマー45は、励磁突入電流が差動要素
の動作レベル以下に十分減衰するのに必要な時間以上の
遅延時間を有する復帰遅延タイマーである。さらに、復
帰遅延タイマー23の出力と、復帰遅延タイマー45の
出力は、論理積演算回路46にて論理積される。
【0372】一方、論理積演算回路46の出力をNOT
演算回路19にて反転させ、さらに論理積演算回路20
で差動要素5の出力との論理積演算を行うことにより、
励磁突入電流にて動作する差動要素5の出力を阻止し、
差動リレー80としての誤動作を防止する。
【0373】次に、本実施の形態の差動リレー80の作
用について説明する。なお、差動要素5の作用について
は、前記図31の場合と同様であるので、ここではその
説明を省略する。図28において、差動要素5の差動電
流演算部14で導出された差動電流Idは、励磁突入電
流対策要素72に導入され、振幅値演算部21にて平坦
性を検出するための演算を行って、振幅値Jが求められ
る。
【0374】そして、ここで求められた振幅値Jが所定
値k以下の時に、平坦判定演算部22は出力を生じ、当
該平坦判定演算部22の出力は、復帰遅延タイマー23
にて連続化される。
【0375】一方、図26の実施の形態の場合と同様
に、変圧器のいずれか1つの端子の電圧V1は、計器用
変成器PTを介して適当な大きさに変換され、計器用変
成器PTにより抽出された交流電圧V1は、入力変成器
37により、さらに適当な大きさに変換された後、A/
D変換器3に導入される。また、A/D変換器3では、
交流電圧V1を一定時間間隔でサンプリングし、ディジ
タル量v1に変換する。
【0376】当該ディジタル量に変換されたv1は、電
圧上昇判定演算部44に導入される。電圧上昇判定演算
部には、既知の演算アルゴリズムを用いればよい。例え
ば、現時点の瞬時値v(現在)と、1サイクル前の瞬時
値v(1サイクル前)、との差分値ΔV(ΔV=v(現
在)−v(1サイクル前))を取り、この差分値ΔVが
一定値kv′以上の時に電圧上昇判定演算部44は出力
を生じる。
【0377】また、電圧上昇判定演算部44の出力は、
復帰遅延タイマー45に導入されて復帰遅延され、復帰
遅延タイマー45は励磁突入電流が減衰して差動要素が
復帰する時間以上継続して出力を生じるものであれば良
い。
【0378】また、復帰遅延タイマー45は、励磁突入
電流が差動要素の動作レベル以下に十分減衰するのに必
要な時間以上の遅延時間を有する復帰遅延タイマーであ
る。さらに、復帰遅延タイマー23の出力と、復帰遅延
タイマー45の出力は、論理積演算回路46にて論理積
される。
【0379】また、電圧上昇判定演算部44の出力は、
論理積演算回路46にて復帰遅延タイマー23の出力と
論理積された後、NOT演算回路19にて反転させら
れ、さらに論理積演算回路20で差動要素5の出力との
論理積演算を行うことにより、励磁突入電流にて動作す
る差動要素5の出力を阻止し、差動リレー1としての誤
動作を防止することができる。
【0380】以下に、かかる点についてより具体的に説
明する。励磁突入電流は、変圧器鉄心飽和の関係によ
り、電流が流れる期間と流れない期間との周期性が1サ
イクル毎に生じる。このため、励磁突入電流による平坦
判定演算部22の出力は、1サイクル毎に一回は必ず送
出され、その出力は1サイクル毎の周期性を持つ断続出
力であり、1サイクル程度以上の遅延時間を有する復帰
遅延タイマー23の出力は、必ず送出され続ける。
【0381】また、励磁突入電流が発生するような、変
圧器電圧印加時には、変圧器電圧印加以前に比べて、電
圧が大きく増加するため、電圧上昇判定演算部44は出
力を生じる。また、電圧上昇判定演算部44の出力は、
復帰遅延タイマー45に導入されて復帰遅延され、復帰
遅延タイマー45は励磁突入電流が減衰して差動要素が
復帰する時間以上継続して出力を生じる。
【0382】そして、前記復帰遅延タイマー23の出力
と前記復帰遅延タイマー45の出力は、論理積演算回路
46にて論理積されるので、励磁突入電流対策要素72
は、変圧器電圧印加の時点から差動要素が復帰するまで
の間は、少なくとも出力を生じる。
【0383】当該励磁突入電流対策要素72の出力は、
NOT演算回路19にて反転させられるので、NOT演
算回路19は常に出力を生じず、論理積演算回路20の
出力を常に阻止することができ、このため、励磁突入電
流に対する差動リレー80の誤動作を防止できる。
【0384】一方、内部事故の場合には、必ず、その変
圧器の端子電圧は大きく低下するため、電圧上昇判定演
算部44は(ΔV≧kv′の条件を満たさないので)常
に出力を生じず、さらに、復帰遅延タイマー45も出力
を生じない。よって、前記復帰遅延タイマー23の出力
と前記復帰遅延タイマー45の出力は、論理積演算回路
46にて論理積され、励磁突入電流対策要素72は常に
出力を生じない。
【0385】当該励磁突入電流対策要素72の出力は、
NOT演算回路19にて反転させられるので、NOT演
算回路19は常に出力を生じ、論理積演算回路20の出
力を阻止することなく、差動リレー80は正常動作を行
うことができる。
【0386】本実施の形態では、内部事故時と励磁突入
電流時とを弁別するために電圧上昇程度を用いたもので
ある。つまり変圧器電圧印加時にはそれ以前に比して電
圧が大きく上昇し、これとは反対に内部事故時は低下す
るからである。したがって、この判定手法は請求項1〜
請求項11の全てに適用される。
【0387】上述したように、本実施の形態において
は、変圧器励磁突入電流と変圧器内部事故電流との波形
の違い、すなわち励磁突入電流は1サイクル中に変圧器
鉄心の磁束飽和によって電流が流れる区間と変圧器鉄心
の飽和が解けて電流が流れない一定の平坦部分が必ず存
在するのに対し、事故電流は基本波電流もしくは不特定
多数の高調波電流重畳のため一定区間の平坦部分が生じ
ないこと、および変圧器励磁突入電流発生時と変圧器内
部事故電流発生時との電圧の違い、すなわち励磁突入電
流発生時には電圧が大きく上昇し、事故電流発生時には
電圧が低下することの両方に着目したものである。
【0388】そして差動電流Idの内、電気角T度間隔
のK個の瞬時値のディジタル量(im ,im-1
m-2 ,…,im-(k-1) )を導入し、一定区間での電流
および電圧の振幅値をN乗した値を求め、この電流振幅
値が所定値k以下となること、および電圧が所定値k
v′以上上昇することの2つの条件を満たしたときに励
磁突入電流と判定して出力を生じる励磁突入電流対策要
素72を備えて差動電流Idの平坦性、および電圧値の
大きさを検出し、この励磁突入電流対策要素72の出力
によって前記差動要素5の出力を阻止するようにした。
【0389】その結果、励磁突入電流と事故電流を確実
に区別することができ、前述した従来では適用が困難で
あった、内部事故電流に第2調波近傍の高調波電流を含
むような電力系統の変圧器Trに対しても、変圧器励磁
突入電流では確実に不動作となり、変圧器内部事故時に
は確実に動作することが可能なディジタル形保護継電器
を得ることができる。
【0390】図29は請求項13に係るディジタル形保
護継電器である変圧器保護用の差動リレーの構成例を示
す機能ブロック図であり、図1と同一部分には同一符号
を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分につい
てのみ説明する。なお、差動要素5の構成については、
図1と全く同じであるため、図29ではその構成の一部
を割愛している。
【0391】即ち、本実施の形態の差動リレー1は、図
29に示すように、図1における差動要素5と論理積演
算回路20との間に、差動要素5の出力を1サイクル程
度以上の時間遅延する動作遅延タイマー47を新たに備
えると共に、差動要素5の差動判定演算部16の出力と
励磁突入電流対策要素61の復帰遅延タイマー23の論
理積を演算する論理積演算回路48を備え、この論理積
演算回路48の出力により、動作遅延タイマー47の出
力を阻止する構成としている。
【0392】差動要素5の作用については、前記図31
の場合と同様であるので、ここではその説明を省略す
る。図29においては、励磁突入電流対策要素61に導
入され、振幅値演算部21にて前記第1の実施の形態で
説明した(イ)式に基づく演算を行い、差動電流Idの
各sp毎における一定区間の振幅値Jが算出される。ま
た、平坦判定演算部22では、一定区間の振幅値Jがs
p毎に常に判定演算されている。
【0393】しかしながら、常時判定することは、負荷
電流が流れている状態や外部事故で通過電流が流れてい
る状態では通常、差動電流Idが零であるため、平坦判
定演算部22は常に動作状態にあり、差動要素5の出力
を常時阻止していることになる。
【0394】そして、この時に内部事故が発生した場合
には、平坦判定演算部22の出力は復帰するが、差動リ
レー1としての動作時間は、励磁突入電流対策要素61
の復帰遅延タイマー23の出力復帰に要する時間分の遅
れを生じることになる。
【0395】この点、本実施の形態では、差動判定演算
部16の出力と励磁突入電流対策要素61との論理積演
算を論理積演算回路48で行い、差動要素5が動作しな
い場合には励磁突入電流対策要素61の出力を阻止し、
差動要素5が動作した場合には励磁突入電流対策要素6
1の出力を許容するようにしている。
【0396】その結果、差動電流Idがない定常状態に
おいての励磁突入電流対策要素61による不要な出力阻
止を行うことはなく、この状態から内部事故が発生した
場合でも、差動リレー1の動作時間遅れを小さくするこ
とができる。
【0397】なお、差動判定演算部16の出力を遅延す
る動作遅延タイマー47は、差動判定演算部16の出力
によって起動される励磁突入電流対策要素61との時間
協調をとるものであり、励磁突入電流発生時に、差動判
定演算部16の出力が励磁突入電流対策要素61の出力
よりも先に送出されるのを遅らせるためのものである。
【0398】これにより、差動要素5の出力と励磁突入
電流対策要素61の出力との論理積演算回路48の動作
出力によって、差動要素5の出力を遅延する動作遅延タ
イマー47出力を阻止することにより、差動リレー1と
しての誤動作を防止することができる。
【0399】また、平坦区間を持たない事故電流では、
平坦判定演算部22の出力は生じず、差動判定演算部1
6の出力は、動作遅延タイマー47および論理積演算回
路20を通してそのまま差動リレー1の出力となり、正
常動作を行うことができる。以上の説明から明らかなよ
うに、本実施の形態による判別手法は請求項1〜請求項
12のすべてに適用可能である。
【0400】上述したように、本実施の形態において
は、変圧器励磁突入電流と変圧器内部事故電流との波形
の違い、すなわち励磁突入電流は1サイクル中に変圧器
鉄心の磁束飽和によって電流が流れる区間と変圧器鉄心
の飽和が解けて電流が流れない一定の平坦部分が必ず存
在するのに対し、事故電流は基本波電流もしくは不特定
多数の高調波電流重畳のため一定区間の平坦部分が生じ
ないことに着目したものである。
【0401】そして差動電流Idの内、電気角T度間隔
のK個の瞬時値のディジタル量(im ,im-1
m-2 ,…,im-(k-1) )を導入し、一定区間での電流
および電圧の振幅値をN乗した値を求め、この電流振幅
値が所定値k以下となるときに励磁突入電流と判定して
出力を生じる励磁突入電流対策要素72を備えて差動電
流Idの平坦性を検出すると共に、差動要素5と論理積
演算回路20との間に、差動要素5の出力を1サイクル
程度以上の時間遅延する動作遅延タイマー47を備え、
さらに差動要素5の差動判定演算部16の出力と励磁突
入電流対策要素61の復帰遅延タイマー23の出力との
論理積を演算する論理積演算回路48を備え、この論理
積演算回路48の出力により、動作遅延タイマー47の
出力を阻止するようにした。
【0402】したがって、励磁突入電流の大きさに関係
なく、励磁突入電流と事故電流を確実に区別することが
でき、前述した従来では適用が困難であった、内部事故
電流に第2調波近傍の高調波電流を含むような電力系統
の変圧器Trに対しても、変圧器励磁突入電流では確実
に不動作となり、変圧器内部事故時には確実に動作する
ことが可能なディジタル形保護継電器を得ることができ
る。
【0403】なお、本発明は前述の各実施の形態に限定
されるものではなく、以下に列挙する(a)〜(e)の
ようにしても同様に実施することができる。 (a)前記した各実施形態では、変圧器Trが2巻線変
圧器である場合を例として説明したが、これに限らず、
3巻線以上の複数端子を有する変圧器保護用の差動リレ
ーについても本発明を同様に適用することが可能であ
る。 (b)前記した第10の実施形態乃至第12の実施形態
において、使用する交流電圧は、変圧器のいずれの端子
の交流電圧でもよく、特に限定されたものではない。例
えば、3巻線変圧器においては、1次側端子電圧、2次
側端子電圧、3次側端子電圧のいずれを使用しても良
い。 (c)前記した第10の実施形態乃至第12の実施形態
において、端子電圧はいずれか1つの端子電圧を用いる
例を記載したが、複数箇所の電圧に着目するとしても同
様である。特に図示しないが、複数の端子電圧に着目す
る場合は、例えば図24のような電圧値判定演算部の出
力をANDで使用する。このような拡張は周知の技術で
あり、当然、本発明の範囲であることはもちろんであ
る。 (d)A/D変換のサンプリング周波数は、差動電流の
瞬時値の振幅値を見ることで、事故電流と励磁突入電流
とを区別できる値であれば、特に前述した値に限定され
るものではない。 (e)前記した各実施形態における(イ)式、(ロ)
式、(ハ)式、(ニ)式、(ホ)式は振幅値を算出する
ため、インラッシュ電流だけではなく、通常の電流、電
圧などの振幅値演算としても適用できる。又、第11の
実施形態の(ト)式は、(イ)式を電圧の振幅値演算と
して適用している一例である。
【0404】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば変
圧器励磁突入電流と変圧器内部事故電流との波形の違
い、すなわち励磁突入電流には、1サイクル中に変圧器
鉄心の飽和が解けて電流が流れない区間(無電流期間)
が必ず存在するのに対し、事故電流には、基本波電流も
しくは不特定高調波電流の重畳のため無電流期間が生じ
ないことに着目し、差動電流の平坦性を、振幅値を演算
してその値が所定の値以下であるときに励磁突入電流と
判定する励磁突入電流対策要素を備えて、励磁突入電流
と事故電流とを確実に区別することにより、従来では適
用が困難であった内部事故電流に第2調波近傍の高調波
電流を含むような電力系統の変圧器に対しても、励磁突
入電流では確実に不動作となり、変圧器内部事故時には
確実に動作することが可能なディジタル形保護継電器が
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるディジタル形保護継電器(差動リ
レー)の第1の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図2】事故電流波形と励磁突入電流波形の特徴を示す
波形図。
【図3】同第1の実施の形態における作用を説明するた
めの図。
【図4】同第1の実施の形態における作用を説明するた
めの図。
【図5】本発明によるディジタル形保護継電器(差動リ
レー)の第2の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図6】同第2の実施の形態における作用を説明するた
めの図。
【図7】本発明によるディジタル形保護継電器(差動リ
レー)の第3の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図8】同第3の実施の形態における作用を説明するた
めの図。
【図9】本発明によるディジタル形保護継電器(差動リ
レー)の第4の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図10】同第4の実施の形態における作用を説明する
ための図。
【図11】本発明によるディジタル形保護継電器(差動
リレー)の第5の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図12】同第5の実施の形態における作用を説明する
ための図。
【図13】本発明によるディジタル形保護継電器(差動
リレー)の第6の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図14】ディジタル形保護継電器(差動リレー)の見
る、変圧器電圧印加時の励磁突入電流波形と、外部事故
回復時の励磁突入電流波形の特徴を示す波形図。
【図15】同第6の実施の形態における作用を説明する
ための図。
【図16】同第6の実施の形態における作用を説明する
ための図。
【図17】本発明によるディジタル形保護継電器(差動
リレー)の第7の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図18】同第7の実施の形態における作用を説明する
ための図。
【図19】本発明によるディジタル形保護継電器(差動
リレー)の第8の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図20】同第8の実施の形態における作用を説明する
ための図。
【図21】同第8の実施の形態における作用を説明する
ための図。
【図22】本発明によるディジタル形保護継電器(差動
リレー)の第9の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図23】同第9の実施の形態における作用を説明する
ための図。
【図24】本発明によるディジタル形保護継電器(差動
リレー)の第10の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図25】変圧器に差動リレーを適用した場合の一例を
示す回路図。
【図26】本発明によるディジタル形保護継電器(差動
リレー)の第11の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図27】同第11の実施の形態における作用を説明す
るための図。
【図28】本発明によるディジタル形保護継電器(差動
リレー)の第12の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図29】本発明によるディジタル形保護継電器(差動
リレー)の第13の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図30】変圧器に差動リレーを適用した場合の一例を
示す回路図。
【図31】従来の差動リレーの構成例を示す機能ブロッ
ク図。
【符号の説明】
G 電力系統電源 CB 遮断器 CT1,CT2 変流器(CT) Tr 変圧器 PT 計器用変成器PT 1,80 差動リレー 2 変成器(CT) 3 A/D変換器 4 CPU 5 差動要素 6 励磁突入電流対策要素(2f検出) 11,12 振幅値演算部 13 抑制電流(スカラー和)演算部 14 差動電流(ベクトル和)演算部 15 振幅値演算部(1f) 16 差動判定演算部 17 振幅値演算部(2f) 18 2f判定演算部 19 NOT(反転)演算回路 20,33,40,43,46,48 論理積(AN
D)演算回路 21,24,25,26,27,28,41 振幅値
演算部 22,29,36 平坦判定演算部 23,45 復帰遅延タイマー 30 論理和(OR)演算回路 31,47 動作遅延タイマー 32,34 シフト演算部 35 最大値検出演算部 37 変成器(PT) 38 電圧振幅値演算部 39,42 電圧値判定演算部 44 電圧上昇判定演算部 61〜72 励磁突入電流対策要素
【数71】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山川 寛 東京都千代田区内幸町一丁目1番3号 東 京電力株式会社内 (72)発明者 山浦 充 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 中野 聡 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 佐藤 力生 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 堀 政夫 東京都港区芝浦1丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の端子を有する被保護対象を挟んで
    各相毎の交流電流を導入し、当該導入された交流電流を
    各々一定時間間隔でサンプリングして交流電流の瞬時値
    のディジタル量に変換し、前記変換されたディジタル量
    を用いて各相毎の差動電流を求め、ここで求められた差
    動電流に基づく電気量が所定の値以上である時に内部事
    故と判定して出力を生じる第1の判定手段を有する差動
    保護要素を備えたディジタル形保護継電器において、前
    記求められた差動電流の内、電気角T度間隔のK個の瞬
    間値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2 ,im-3
    …,im-(K-1) )を導入し、下記振幅値演算式(イ)に
    て、差動電流の一定区間における振幅値を求め、ここで
    求められた振幅値が一定値以下か否かを判定して一定値
    以下の時に出力する第2の判定手段、および前記第2の
    判定手段の出力を所定時間復帰遅延する第1の復帰遅延
    手段を有する励磁突入電流対策要素を備え、 前記励磁
    突入電流対策要素の出力により、前記差動保護要素の出
    力を阻止することを特徴とするディジタル形保護継電
    器。 【数1】
  2. 【請求項2】 複数の端子を有する被保護対象を挟んで
    各相毎の交流電流を導入し、当該導入された交流電流を
    各々一定時間間隔でサンプリングして交流電流の瞬時値
    のディジタル量に変換し、前記変換されたディジタル量
    を用いて各相毎の差動電流を求め、ここで求められた差
    動電流に基づく電気量が所定の値以上である時に内部事
    故と判定して出力を生じる第1の判定手段を有する差動
    保護要素を備えたディジタル形保護継電器において、前
    記求められた差動電流の内、電気角T度間隔の3個の瞬
    間値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2 )を導入
    し、下記振幅値演算式(ロ)にて、差動電流の一定区間
    における振幅値を求め、ここで求められた振幅値が一定
    値以下か否かを判定して一定値以下の時に出力する第3
    の判定手段、および前記第3の判定手段の出力を所定時
    間復帰遅延する第2の復帰遅延手段を有する励磁突入電
    流対策要素を備え、前記励磁突入電流対策要素の出力に
    より、前記差動保護要素の出力を阻止することを特徴と
    するディジタル形保護継電器。 【数2】
  3. 【請求項3】 複数の端子を有する被保護対象を挟んで
    各相毎の交流電流を導入し、当該導入された交流電流を
    各々一定時間間隔でサンプリングして交流電流の瞬時値
    のディジタル量に変換し、当該変換されたディジタル量
    を用いて各相毎の差動電流を求め、当該求められた差動
    電流に基づく電気量が所定の値以上である時に内部事故
    と判定して出力を生じる第1の判定手段を有する差動保
    護要素を備えたディジタル形保護継電器において、前記
    求められた差動電流の内、電気角T度間隔の4個の瞬間
    値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2 ,im-3 )を
    導入し、下記振幅値演算式(ハ)にて、差動電流の一定
    区間における振幅値を求め、ここで求められた振幅値が
    一定値以下か否かを判定して一定値以下の時に出力する
    第4の判定手段、および前記第4の判定手段の出力を所
    定時間復帰遅延する第3の復帰遅延手段を有する励磁突
    入電流対策要素を備え、前記励磁突入電流対策要素の出
    力により、前記差動保護要素の出力を阻止することを特
    徴とするディジタル形保護継電器。 【数3】
  4. 【請求項4】 複数の端子を有する被保護対象を挟んで
    各相毎の交流電流を導入し、当該導入された交流電流を
    各々一定時間間隔でサンプリングして交流電流の瞬時値
    のディジタル量に変換し、当該変換されたディジタル量
    を用いて各相毎の差動電流を求め、当該求められた差動
    電流に基づく電気量が所定の値以上である時に内部事故
    と判定して出力を生じる第1の判定手段を有する差動保
    護要素を備えたディジタル形保護継電器において、前記
    求められた差動電流の内、電気角T度間隔の5個の瞬間
    値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2 ,im-3 ,i
    m-4 )を導入し、下記振幅値演算式(ニ)にて、差動電
    流の一定区間における振幅値を求め、ここで求められた
    振幅値が一定値以下か否かを判定して一定値以下の時に
    出力する第5の判定手段、および前記第5の判定手段の
    出力を所定時間復帰遅延する第4の復帰遅延手段を有す
    る励磁突入電流対策要素を備え、前記励磁突入電流対策
    要素の出力により、前記差動保護要素の出力を阻止する
    ことを特徴とするディジタル形保護継電器。 【数4】
  5. 【請求項5】 複数の端子を有する被保護対象を挟んで
    各相毎の交流電流を導入し、当該導入された交流電流を
    各々一定時間間隔でサンプリングして交流電流の瞬時値
    のディジタル量に変換し、当該変換されたディジタル量
    を用いて各相毎の差動電流を求め、当該求められた差動
    電流に基づく電気量が所定の値以上である時に内部事故
    と判定して出力を生じる第1の判定手段を有する差動保
    護要素を備えたディジタル形保護継電器において、前記
    求められた差動電流の内、電気角T度間隔の6個の瞬間
    値のディジタル量(im ,im-1 ,im-2 ,im-3 ,i
    m-4 ,im-5 )を導入し、下記振幅値演算式(ホ)に
    て、差動電流の一定区間における振幅値を求め、ここで
    求められた振幅値が一定値以下か否かを判定して一定値
    以下の時に出力する第6の判定手段、および前記第6の
    判定手段の出力を所定時間復帰遅延する第5の復帰遅延
    手段を有する励磁突入電流対策要素を備え、前記励磁突
    入電流対策要素の出力により、前記差動保護要素の出力
    を阻止することを特徴とするディジタル形保護継電器。 【数5】
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5記載のディジタル
    形保護継電器において、前記求められた差動電流の内、
    前記の電気角Tと同じまたは異なる電気角T′度間隔
    の、前記の個数Kと同じまたは異なるK’個の瞬時値の
    ディジタル量(im ′,im-1 ′,im-2 ′,
    m-3 ′,…,im-(K′-1) ′)を導入し、下記振幅値
    演算式(ヘ)にて、差動電流の一定区間における振幅値
    を求め、ここで求められた振幅値が一定値以下か否かを
    判定して一定値以下の時に出力する第7の判定手段と、
    前記第7の判定手段の出力と前記第2の判定手段乃至第
    6の判定手段の出力との論理和を演算する第1の論理和
    演算手段とを励磁突入電流対策要素に新たに付加したこ
    とを特徴とするディジタル形保護継電器。 【数6】
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項5記載のディジタル
    形保護継電器において、第2の判定手段乃至第6の判定
    手段の出力を所定時間動作遅延する第1の動作遅延手段
    を励磁突入電流対策要素に新たに付加し、前記第1の動
    作遅延手段の出力を前記第1の復帰遅延手段乃至第5の
    復帰遅延手段の入力とするようにしたことを特徴とする
    ディジタル形保護継電器。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項5記載のディジタル
    形保護継電器において、第2の判定手段乃至第6の判定
    手段の現時点の出力と第2の判定手段乃至第6の判定手
    段の1サイクルまたは複数サイクル前の出力との論理積
    を演算する第1の論理積演算手段を新たに付加し、前記
    第1の論理積演算手段の出力を前記第1の復帰遅延手段
    乃至第5の復帰遅延手段の入力とするようにしたことを
    特徴とするディジタル形保護継電器。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項5記載のディジタル
    形保護継電器において、前記求められた振幅値の現時点
    の値と1サイクルまたは複数サイクル前の値または1サ
    ンプリング以前の値とを比較していずれか大きい方の値
    を求め、かつ当該大きい方の値が一定値以下か否かを判
    定して一定値以下の時に出力を生じる第8の判定手段を
    新たに付加し、前記第8の判定手段の出力を前記第1の
    復帰遅延手段乃至第5の復帰遅延手段の入力とするよう
    にしたことを特徴とするディジタル形保護継電器。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至請求項9記載のディジタ
    ル形保護継電器において、複数の端子を有する被保護対
    象のいずれか1つの端子又は複数端子の各相毎の交流電
    圧を導入し、当該導入された交流電圧を各々一定時間間
    隔でサンプリングして交流電圧の瞬時値のディジタル量
    に変換し、ここで変換されたディジタル量を用いて各相
    毎の電圧の振幅値を求め、当該求められた電圧の振幅値
    が所定の値以上である時に出力を生じる第9の判定手段
    と、前記第9の判定手段の出力と前記第2の復帰遅延手
    段乃至第5の復帰遅延手段の出力との論理積を演算する
    第2の論理積演算手段とを励磁突入電流対策要素に新た
    に付加したことを特徴とするディジタル形保護継電器。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至請求項9記載のディジタ
    ル形保護継電器において、複数の端子を有する被保護対
    象のいずれか1つの端子又は複数端子の各相毎の交流電
    圧を導入し、当該導入された交流電圧を各々一定時間間
    隔でサンプリングして交流電圧の瞬時値のディジタル量
    に変換し、前記求められた交流電圧の内、電気角T度間
    隔のK個の瞬間値のディジタル量(Vm ,Vm-1 ,V
    m-2 ,Vm-3 ,…,Vm-(K-1) )を導入し、下記の振幅
    値演算式(ト)にて、交流電圧の一定区間における振幅
    値を求め、ここで求められた振幅値が一定値以上か否か
    を判定して一定値以上の時に出力する第10の判定手段
    と、および前記第10の判定手段の出力と前記第2の判
    定手段乃至第8の判定手段の出力との論理積を演算する
    第3の論理積演算手段とを励磁突入電流対策要素に新た
    に付加したことを特徴とするディジタル形保護継電器。 【数7】
  12. 【請求項12】 請求項1乃至請求項11記載のディジ
    タル形保護継電器において、複数の端子を有する被保護
    対象のいずれか1つの端子又は複数端子の各相毎の交流
    電圧を導入し、当該導入された交流電圧を各々一定時間
    間隔でサンプリングして交流電圧の瞬間値のディジタル
    量に変換し、当該変換されたディジタル量を用いて各相
    毎の電圧の振幅値を求め、当該求められた電圧の振幅値
    が所定の値以上増加した時に出力を生じる第11の判定
    手段と、前記第11の判定手段の出力を所定時間復帰遅
    延する第6の復帰遅延手段と、 前記第6の復帰遅延手
    段の出力と前記励磁突入電流対策要素との論理積を演算
    する第4の論理積演算手段とを新たに付加し、前記第4
    の論理積演算手段の出力により、前記差動保護要素の出
    力を阻止するようにしたことを特徴とするディジタル形
    保護継電器。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至請求項12記載のディジ
    タル形保護継電器において、前記差動保護要素の出力を
    所定時間動作遅延する第2の動作遅延手段と、前記差動
    保護要素の出力と励磁突入電流対策要素の出力との論理
    積を演算する第5の論理積演算手段とを新たに付加し、
    前記第5の論理積演算手段の出力により、前記第2の動
    作遅延手段の出力を阻止するようにしたことを特徴とす
    るディジタル形保護継電器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103812085A (zh) * 2014-02-28 2014-05-21 国家电网公司 有源式电流压板有流防误闭锁装置
CN104993456A (zh) * 2015-07-20 2015-10-21 贵州电网有限责任公司电力调度控制中心 防止直流偏磁引起电流互感器饱和造成变压器差动保护误动的方法
EP2590287A4 (en) * 2010-06-30 2016-10-05 Toshiba Kk CURRENT DIFFERENTIAL RELAY DEVICE

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