JPH1149599A - 多結晶薄膜とその製造方法および酸化物超電導導体とその製造方法 - Google Patents
多結晶薄膜とその製造方法および酸化物超電導導体とその製造方法Info
- Publication number
- JPH1149599A JPH1149599A JP9208103A JP20810397A JPH1149599A JP H1149599 A JPH1149599 A JP H1149599A JP 9208103 A JP9208103 A JP 9208103A JP 20810397 A JP20810397 A JP 20810397A JP H1149599 A JPH1149599 A JP H1149599A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polycrystalline
- thin film
- film
- base material
- polycrystalline thin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E40/00—Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
- Y02E40/60—Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment
Landscapes
- Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
- Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)
Abstract
にCeO2の結晶粒の結晶軸のc軸を配向させることが
できると同時に、被成膜面と平行な面に沿ってCeO2
の結晶粒の結晶軸のa軸およびb軸をも揃えることがで
き、結晶配向性に優れた多結晶薄膜を提供すること、お
よび、結晶配向性に優れた酸化物超電導層を備えた酸化
物超電導導体の提供を目的とする。 【解決手段】 本発明は、多結晶基材Aの被成膜面上に
形成されたCeO2を主体とするホタル石型構造の結晶
粒20が、多数、結晶粒界を介し結合されてなる多結晶
薄膜Bであって、多結晶基材Aの被成膜面と平行な面に
沿うCeO2の各結晶粒の同一結晶軸が構成する粒界傾
角Kが、20〜30度の範囲にされてなることを特徴と
する。
Description
結晶薄膜およびその製造方法と、結晶方位の整った酸化
物超電導層を有し、超電導特性に優れた酸化物超電導導
体およびその製造方法に関する。
は、液体窒素温度を超える臨界温度を示す優れた超電導
体であるが、現在、この種の酸化物超電導体を実用的な
超電導体として使用するためには、種々の解決するべき
問題点が存在している。その問題点の1つが、酸化物超
電導体の臨界電流密度が低いという問題である。前記酸
化物超電導体の臨界電流密度が低いという問題は、酸化
物超電導体の結晶自体に電気的な異方性が存在すること
が大きな原因となっており、特に酸化物超電導体はその
結晶軸のa軸方向とb軸方向には電気を流し易いが、c
軸方向には電気を流しにくいことが知られている。この
ような観点から酸化物超電導体を基材上に形成してこれ
を超電導導体として使用するためには、基材上に結晶配
向性の良好な状態の酸化物超電導体を形成し、しかも、
電気を流そうとする方向に酸化物超電導体の結晶のa軸
あるいはb軸を配向させ、その他の方向に酸化物超電導
体のc軸を配向させる必要がある。
スパッタ装置を用いてMgOやSrTiO3などの結晶
配向性の良好な中間層を被覆し、この中間層上に酸化物
超電導層を形成することが行なわれている。ところがこ
の種の中間層上にスパッタ装置により形成した酸化物超
電導層は、これら材料からなる単結晶基材上に形成され
た酸化物超電導層(例えば、臨界電流密度数10万A/
cm2)よりもかなり低い臨界電流密度(例えば、数千
〜一万A/cm2程度)しか示さないという問題があっ
た。これは、以下に説明する理由によるものと考えられ
る。
ッタ装置により中間層2を形成し、この中間層2上にス
パッタ装置により酸化物超電導層3を形成した酸化物超
電導導体の断面構造を示すものである。図9に示す構造
において、酸化物超電導層3は多結晶状態であり、多数
の結晶粒4が無秩序に結合した状態となっている。これ
らの結晶粒4の1つ1つを個々に見ると各結晶粒4の結
晶のc軸は基材表面に対して垂直に配向しているもの
の、a軸とb軸は無秩序な方向を向いているものと考え
られる。
軸とb軸の向きが無秩序になると、結晶配向性の乱れた
結晶粒界において超電導状態の量子的結合性が失なわれ
る結果、超電導特性、特に臨界電流密度の低下を引き起
こすものと思われる。また、前記酸化物超電導体がa軸
およびb軸配向していない多結晶状態となるのは、その
下に形成された中間層2がa軸およびb軸配向していな
い多結晶状態であるために、酸化物超電導層3を成膜す
る場合に、中間層2の結晶に整合するように酸化物超電
導層3が成長するためであると思われる。
に、特殊な方法を用いて多結晶基材上にa軸とb軸の配
向性を良好にしたYSZ(イットリウム安定化ジルコニ
ア)の中間層を形成し、この中間層上に酸化物超電導層
を成膜するならば、良好な臨界電流密度を発揮する酸化
物超電導導体を製造可能なことを見出し、この技術に関
し、特願平4−293464号明細書、特願平8−21
4806号明細書、特願平8−272606号明細書、
特願平8−272607号明細書などにおいて特許出願
を行っている。
ターゲットを用いて多結晶基材上に成膜する際に、多結
晶基材の被成膜面に対して斜め方向からAr+などのイ
オンビームを同時照射することで結晶配向性の悪いYS
Zの結晶を選択的に除去し、結晶配向性の良好なYSZ
の結晶を選択的に堆積させることができ、これにより結
果的に配向性の優れたYSZの中間層を成膜することが
できる技術であった。
れば、a軸およびb軸が良好に配向したYSZの多結晶
薄膜を得ることができ、この多結晶薄膜上に形成した酸
化物超電導体は良好な臨界電流密度を発揮することを確
認することができたので、本願発明者らは更に別の材料
から、より好ましい多結晶薄膜層を製造する技術の研究
に着手し、本願発明に到達した。
以外において、多結晶体の基材上に各種の配向膜を形成
する技術が利用されている。例えば光学薄膜の分野、光
磁気ディスクの分野、配線基板の分野、高周波導波路や
高周波フィルタ、空洞共振器などの分野であるが、いず
れの技術においても基材上に膜質の安定した配向性の良
好な多結晶薄膜を形成することが課題となっている。即
ち、多結晶薄膜の結晶配向性が良好であるならば、その
上に形成される光学薄膜、磁性薄膜、配線用薄膜などの
質が向上するわけであり、更に基材上に結晶配向性の良
好な光学薄膜、磁性薄膜、配線用薄膜などを直接形成で
きるならば、なお好ましい。
ドのコア材として、高透磁率を有し、熱的にも安定なパ
ーマロイ、あるいは、センダストなどの磁性薄膜が実用
化されている。これらの磁性薄膜は、従来、蒸着やスパ
ッタにより所定の基板上に形成されるが、これらの磁性
薄膜の結晶方位の配向性が低いものであると、磁性薄膜
の磁気異方性の制御が困難になり、膜面内では結晶粒の
方位が無秩序になり、透磁率の高周波特性が損なわれる
問題があった。また、膜面内での結晶軸の軸方向が無秩
序であると、面内磁化にスキューやリップルと呼ばれる
局所的なゆらぎが発生し、前述のように透磁率の高周波
特性が損なわれることになる。
たもので、基材の被成膜面に対して直角向きにCeO2
の結晶粒の結晶軸のc軸を配向させることができると同
時に、被成膜面と平行な面に沿ってCeO2の結晶粒の
結晶軸のa軸およびb軸をも揃えることができ、結晶配
向性に優れた多結晶薄膜を提供すること、および結晶配
向性に優れた酸化物超電導層を備えた酸化物超電導導体
の提供を目的とする。
記課題を解決するために、多結晶基材の被成膜面上に形
成されたCeO2を主体とするホタル石型構造の結晶粒
が、多数、結晶粒界を介し結合されてなる多結晶薄膜で
あって、多結晶基材の被成膜面と平行な面に沿うCeO
2の各結晶粒の同一結晶軸が構成する粒界傾角が、20
〜30度の範囲にされてなることを特徴とする。
ために、CeO2のターゲットの構成粒子を多結晶基材
上に堆積させ、多結晶基材上にCeO2を主体とする多
結晶薄膜を形成する方法であって、前記構成粒子を多結
晶基材上に堆積させる際に、イオンソースが発生させる
イオンビームとして、Kr+のイオンビームあるいはK
r+とXe+の混合イオンビームを用い、前記ビームを基
材の被成膜面に対して斜め方向から照射しながら前記構
成粒子を基材上に堆積させることを特徴とする。請求項
3記載の発明は前記課題を解決するために、請求項2記
載のイオンビームを照射しながら多結晶基材上に成膜す
る際の成膜雰囲気中に酸素を供給しないで成膜すること
を特徴とする。
ために、多結晶基材の被成膜面上に形成されたCeO2
を主体とするホタル石型構造の結晶粒が多数結晶粒界を
介し結合されてなる多結晶薄膜と、該多結晶薄膜上に形
成された酸化物超電導層とを具備する酸化物超電導導体
であって、前記多結晶基材の被成膜面と平行な面に沿う
CeO2の各結晶粒の同一結晶軸が構成する粒界傾角
が、20〜30度の範囲にされてなることを特徴とす
る。
ために、CeO2のターゲットの構成粒子を多結晶基材
上に堆積させ、多結晶基材上にCeO2を主体とする多
結晶薄膜を形成し、次いで、この多結晶薄膜上に酸化物
超電導層を形成する酸化物超電導導体の製造方法であっ
て、前記構成粒子を多結晶基材上に堆積させる際に、イ
オンソースが発生させたイオンビームを基材の被成膜面
に対して斜め方向から照射しつつ前記構成粒子を堆積さ
せて多結晶薄膜を形成するとともに、イオンビームを照
射しながら多結晶基材上に成膜する際の成膜雰囲気中に
酸素を供給しないで成膜し、次いで該多結晶薄膜上に酸
化物超電導層を形成することを特徴とする。請求項6記
載の発明は前記課題を解決するために、前記イオンソー
スが発生させるイオンビームとして、Kr+のイオンビ
ームあるいはXe+のイオンビームまたはこれらの混合
イオンビームを用いることを特徴とする。
晶着膜は、その上に酸化物系の超電導層を設けた場合
に、従来のYSZの多結晶薄膜よりも種々の点で有利で
あると考えられる。第1に、YSZの結晶の格子定数は
5.2Åであり、CeO2の結晶の格子定数が5.4であ
り、Y1Ba2Cu3O7-xなる組成の酸化物超電導体の格
子定数が3.9Åであることを考慮し、3.9Åの21/2
倍(ルート2倍)が5.4〜5.5Åであることを考慮す
ると、YSZの多結晶薄膜よりもCeO2の多結晶着膜
の方が結晶の整合性の面では有利であると考えられる。
多結晶薄膜とY1Ba2Cu3O7-x酸化物超電導体層との
界面は、製造時の加熱処理あるいは熱処理等の熱拡散に
よってBaZrO3を生じやすいが、CeO2の多結晶薄
膜とY1Ba2Cu3O7-x酸化物超電導体層との界面は7
00〜800℃程度の加熱条件では安定なので、この面
においてもCeO2の多結晶薄膜が有望である。更に、
YSZは温度によって立方晶〜斜方晶の相移転が起こる
が、CeO2の場合は相移転を起こさないので有望であ
り、また、酸素原子との結合強度を考えても、CeO2
はYSZよりも酸素原子と結合し易いので、成膜時に酸
素分圧を少なくしても十分に成膜可能であり、装置に対
する負担も少ない特徴があるので有望である。
実施形態について説明する。図1は本発明の多結晶薄膜
を基材上に形成した一実施形態を示すものであり、図1
においてAはテープ状の多結晶基材、Bは多結晶基材A
の上面に形成された多結晶薄膜を示している。前記多結
晶基材Aは、例えば板材、線材、テープ材などの種々の
形状のものを用いることができ、多結晶基材Aは、銀、
白金、ステンレス鋼、銅、ハステロイ等のNi合金など
の金属材料や合金、あるいは、各種ガラスあるいは各種
セラミックスなどの材料からなるものである。
タル石型の結晶構造を有するCeO 2からなる微細な結
晶粒20が、多数、相互に結晶粒界を介して接合一体化
されてなり、各結晶粒20の結晶軸のc軸は基材Aの上
面(被成膜面)に対して直角に向けられ、各結晶粒20
の結晶軸のa軸どうしおよびb軸どうしは、互いに同一
方向に向けられて面内配向されている。また、各結晶粒
20のc軸が多結晶基材Aの(上面)被成膜面に対して
直角に配向されている。そして、各結晶粒20のa軸
(あるいはb軸)どうしは、それらのなす角度(図2に
示す粒界傾角K)を30度以内、好ましくは20〜30
度の範囲内にして接合一体化されている。
いて説明する。図3は前記多結晶薄膜Bを製造する装置
の一例を示すものであり、この例の装置は、スパッタ装
置にイオンビームアシスト用のイオンソースを設けた構
成となっている。
を支持するとともに所望の温度に加熱することができる
基材ホルダ23と、基材ホルダ23上にテープ状の多結
晶基材Aを送り出すための基材送出ボビン24と、多結
晶薄膜が形成されたテープ状の多結晶基材Aを巻き取る
ための基材巻取ボビン25と、前記基材ホルダ23の斜
め上方に所定間隔をもって対向配置された板状のターゲ
ット36と、このターゲット36の斜め上方においてタ
ーゲット36の下面に向けて配置されたスパッタビーム
照射装置38と、前記基材ホルダ23の側方に所定間隔
をもって対向され、かつ、前記ターゲット36と離間し
て配置されたイオンソース39とが真空排気可能な成膜
処理容器40内に収容された概略構成となっている。
を備え、基材ホルダ23の上に送り出されたテープ状の
多結晶基材Aを必要に応じて所望の温度に加熱できるよ
うになっている。この基材ホルダ23はピン等により支
持体23aに回動自在に取り付けられており、傾斜角度
を調整できるようになっている。このような基材ホルダ
23は、成膜処理容器40内のイオンソース39から照
射されるイオンビームの最適照射領域に配設されてい
る。
は、前記基材送出ボビン24から基材ホルダ23上にテ
ープ状の多結晶基材Aを連続的に送り出し、前記最適照
射領域で多結晶薄膜が成膜された多結晶基材Aを基材巻
取ボビン25で巻き取ることで多結晶基材A上に連続成
膜することができるようになっている。この基材巻取ボ
ビン25は、前記最適照射領域の外に配設されている。
薄膜を形成するためのものであり、目的の組成の多結晶
薄膜と同一組成あるいは近似組成のものなどを用いる。
ターゲット36として具体的には、CeO2を用いる。
このようなターゲット36は、ピン等により回動自在に
保持されたターゲット支持体36aに取り付けられてお
り、傾斜角度を調整できるようになっている。
段)38は、容器の内部に、蒸発源を収納し、蒸発源の
近傍に引き出し電圧をかけるためのグリッドを備えて構
成されているものであり、ターゲット36に対してイオ
ンビームを照射してターゲット36の構成粒子を多結晶
基材Aに向けて叩き出すことができるものである。
照射装置38と略同様の構成のものであり、容器の内部
に蒸発源を収納し、蒸発源の近傍に引き出し電圧をかけ
るためのグリッドを備えて構成されている。そして、前
記蒸発源から発生した原子または分子の一部をイオン化
し、そのイオン化した粒子をグリッドで発生させた電界
で制御してイオンビームとして照射する装置である。粒
子をイオン化するには直流放電方式、高周波励起方式、
フィラメント式、クラスタイオンビーム方式などの種々
のものがある。フィラメント式はタングステン製のフィ
ラメントに通電加熱して熱電子を発生させ、高真空中で
蒸発粒子と衝突させてイオン化する方法である。また、
クラスタイオンビーム方式は、原料を入れたるつぼの開
口部に設けられたノズルから真空中に出てくる集合分子
のクラスタを熱電子で衝撃してイオン化して放射するも
のである。この形態の多結晶薄膜の製造装置において
は、図4(A)に示す構成の内部構造のイオンソース3
9を用いる。このイオンソース39は、筒状のイオン室
45の内部にグリッド46とフィラメント47とKrガ
ス、Xeガスなどの導入管48とを備えて構成され、イ
オン室45の先端のビーム口49からイオンをビーム状
に略平行に放射できるものである。
にその中心軸線Sを多結晶基材Aの上面(被成膜面)に
対して入射角度θ(多結晶基材Aの上面の垂線(法線)
Hと中心線Sとのなす角度)でもって傾斜させて対向さ
れている。この入射角度θは50〜60度の範囲が好ま
しいが、より好ましくは55〜60度の範囲、最も好ま
しくは55度前後の角度である。従ってイオンソース3
9は多結晶基材Aの被成膜面の法線Hに対してある入射
角度θでもってイオンビームを照射できるように配置さ
れている。なお、前記のイオンソース39によって多結
晶基材Aに照射するイオンビームは、Krガスのイオン
ビーム、あるいは、KrガスとXeガスの混合イオンビ
ームを用いる。
器40内を真空などの低圧状態にするためのロータリー
ポンプ51およびクライオポンプ52と、ガスボンベな
どの雰囲気ガス供給源がそれぞれ接続されていて、成膜
処理容器40の内部を真空などの低圧状態で、かつ、ア
ルゴンガスあるいはその他の不活性ガス雰囲気にするこ
とができるようになっている。さらに、前記成膜処理容
器40には、この容器40内のイオンビームの電流密度
を測定するための電流密度計測装置55と、前記容器4
0内の圧力を測定するための圧力計55が取り付けられ
ている。なお、この例の多結晶薄膜の製造装置において
は、基材ホルダ23をピン等により支持体23aに回動
自在に取り付けることにより傾斜角度を調整できるよう
したが、イオンソース39の支持部分に角度調整機構を
取り付けてイオンソース39の傾斜角度を調整し、イオ
ンビームの入射角度を調整できるようにしても良く、ま
た、角度調整機構はこの例に限るものではなく、種々の
構成のものを採用することができるのは勿論である。
上にCeO2の多結晶薄膜Bを形成する場合について説
明する。テープ状の多結晶基材A上に多結晶薄膜を形成
するには、CeO2からなるターゲット36を用い、多
結晶基材Aを収納している成膜処理容器40の内部を真
空引きして減圧雰囲気とするとともに、基材送出ボビン
24から基材ホルダ23に多結晶基材Aを所定の速度で
送り出し、さらにイオンソース39とスパッタビーム照
射装置38を作動させる。
ト36にイオンビームを照射すると、ターゲット36の
構成粒子が叩き出されて多結晶基材A上に飛来する。そ
して、基材ホルダ23上に送り出された多結晶基材A上
にターゲット36から叩き出した構成粒子を堆積させる
と同時にイオンソース39から、例えば、Kr+イオンの
イオンビーム、あるいは、Kr+とXe+イオンの混合イ
オンビームを照射して所望の厚みの多結晶薄膜を成膜
し、成膜後のテープ状の多結晶基材Aを基材巻取ボビン
25に巻き取る。
度θは、50〜60度の範囲が好ましく、より好ましく
は55〜60度の範囲、最も好ましくは55度前後であ
る。ここでθを90度とすると、CeO2の多結晶薄膜
のc軸は多結晶基材A上の被成膜面に対して直角に配向
するものの、多結晶基材Aの被成膜面上に(111)面
が立つので好ましくない。また、θを30度とすると、
CeO2の多結晶薄膜はc軸配向すらしなくなる。前記
のような好ましい範囲の入射角度でイオンビーム照射す
るならばCeO2の多結晶薄膜の結晶の(100)面が
立つようになる。このような入射角度でイオンビーム照
射を行ないながらスパッタリングを行なうことで、多結
晶基材A上に形成されるCeO2の多結晶薄膜の結晶軸
のa軸どうしおよびb軸どうしは互いに同一方向に向け
られて多結晶基材Aの上面(被成膜面)と平行な面に沿
って面内配向している。図1と図2に、前記の方法でC
eO2の多結晶薄膜Bが堆積された多結晶基材Aを示
す。なお、図1では結晶粒20が1層のみ形成された状
態を示しているが、結晶粒20は多層構造でも差し支え
ないのは勿論である。
う要因として本発明らは、以下のことを想定している。
CeO2の多結晶薄膜Bの結晶の単位格子は、図4
(b)に示すように等軸晶系のホタル石型構造であり、
この結晶格子においては、基板法線方向が<100>軸
であり、他の<010>軸と<001>軸はいずれも図
4(b)に示す方向となる。これらの方向に対し、基板
法線に対して斜め方向から入射するイオンビームを考慮
すると、図4(b)の原点Oに対して単位格子の対角線
方向、即ち、<111>軸に沿って入射する場合は5
4.7度の入射角度となる。ここで前記のように入射角
度50〜60度の範囲で良好な結晶配向性を示すこと
は、イオンビームの入射角度が前記54.7度と一致す
るかその前後になった場合、イオンチャンネリングが最
も効果的に起こり、多結晶基材A上に堆積している結晶
において、多結晶基材Aの上面で前記角度に一致する配
置関係になって安定した原子のみが選択的に残り易くな
り、その他の乱れた原子配列で不安定なものはイオンビ
ームのスパッタ効果によりスパッタされて除去される結
果、配向性の良好な原子の集合した結晶のみが選択的に
残って堆積してゆくものと推定している。ただし、この
イオンビームチャネリングに伴うイオンビームスパッタ
効果は、形成しようとするCeO2の多結晶薄膜に対し
てKr+イオンのイオンビーム、あるいは、Kr+とXe+
の混合イオンビームのみが効果的であり、Ar+、N
e+、Xe+などのイオンビームでは効果が得られない。
電導導体の一実施形態を示すものであり、本実施例の酸
化物超電導導体22は、板状の多結晶基材Aと、この多
結晶基材Aの上面に形成された多結晶薄膜Bと、多結晶
薄膜Bの上面に形成された酸化物超電導層Cとからなっ
ている。前記多結晶基材Aと多結晶薄膜Bは先の例にお
いて説明した材料と同等の材料から構成され、多結晶薄
膜Bの結晶粒20は、図1と図2に示すように粒界傾角
30度以内、好ましくは20〜30度になるように結晶
配向されている。
の上面に被覆されたものであり、その結晶粒21のc軸
は多結晶薄膜Bの上面に対して直角に配向され、その結
晶粒21…のa軸とb軸は先に説明した多結晶薄膜Bと
同様に基材上面と平行な面に沿って面内配向し、結晶粒
21どうしが形成する粒界傾角K’は30度以内にされ
ている。この酸化物超電導層を構成する酸化物超電導体
は、Y1Ba2Cu3O7-x、Y2Ba4Cu8Ox、Y3Ba3C
u6Oxなる組成、あるいは(Bi,Pb)2Ca2Sr2C
u3Ox、(Bi,Pb)2Ca2Sr3Cu4Oxなる組成、
あるいは、Tl2Ba2Ca2Cu3Ox、Tl1Ba2Ca2
Cu3Ox、Tl1Ba2Ca3Cu4Oxなる組成などに代
表される臨界温度の高い酸化物超電導体であるが、こら
れの例の他の酸化物系の超電導体を用いても良いのは勿
論である。
薄膜B上にスパッタリングやレーザ蒸着法などの成膜法
により形成され、この多結晶薄膜B上に積層される酸化
物超電導層もCeO2の多結晶薄膜の配向性に整合する
ように堆積するので、多結晶薄膜B上に形成された酸化
物超電導層は、結晶粒界における量子的結合性に優れ、
結晶粒界における超電導特性の劣化が殆どないので、多
結晶基材Aの長さ方向に電気を流し易くなり、MgOや
SrTO3の単結晶基材上に形成して得られる酸化物超
電導層と同じ程度の十分に高い臨界電流密度が得られ
る。
て、YSZよりもCeO2の方が好ましく、そのためY
SZの多結晶薄膜上に酸化物超電導層を設けたものより
も、CeO2の多結晶薄膜上に後述の如く酸化物超電導
層を設けたもののほうが臨界電流密度の面で有利な特性
を示す。特に、膜厚が大きくなった場合に熱処理等の加
熱処理を経ても臨界電流密度の低下割合が少なく、臨界
電流の高い超電導導体を得ることができる。その理由は
以下に説明することが起因していると考えられる。第1
に、YSZの結晶の格子定数は5.2Åであり、CeO2
の結晶の格子定数が5.4であり、Y1Ba2Cu3O7-xな
る組成の酸化物超電導体の格子定数が3.9Åであるこ
とを考慮し、3.9Åの21/2倍(ルート2倍)が5.4
〜5.5Åであることを考慮すると、YSZの多結晶薄
膜よりもCeO2の多結晶着膜の方が結晶の整合性の面
では有利である。次に本発明者らの研究により、YSZ
の多結晶薄膜とY1Ba2Cu3O7-x酸化物超電導体層の
界面は製造時の加熱処理や熱処理時等の熱拡散によりB
aZrO 3を生じやすいことがわかっており、CeO2の
多結晶薄膜とY1Ba2Cu3O7-x酸化物超電導体層との
界面は700〜800℃程度の加熱条件では安定なの
で、元素の相互拡散はほとんど生じることがなく、この
面においてもCeO2の多結晶薄膜が有望である。
晶の相移転が起こるが、CeO2の場合は相移転を起こ
さないので有望であり、また、酸素原子との結合強度を
考えても、CeO2はYSZよりも酸素原子と結合し易
いので、成膜時に酸素分圧を少なくしても十分に成膜可
能であり、装置に対する負担も少ない特徴があるので有
望である。なお、前記多結晶層Bを製造する場合にイオ
ンソース39のフィラメント47は、成膜雰囲気中に微
量の酸素を有すると寿命が短くなる問題がある。これは
成膜雰囲気中の酸素分圧が、わずか1×10-5〜1×1
0-4トールであってもフィラメント47の寿命に大きな
影響があり、YSZの多結晶薄膜を製造する場合には成
膜雰囲気中に微量の酸素を導入しなくては製造できなか
ったが、CeO2の多結晶中間層Bを製造するには、成
膜雰囲気中に酸素を特に導入する必要はない。従って、
酸素の少ない雰囲気中で成膜できるので、イオンソース
39のフィラメント47の寿命をYSZの多結晶薄膜を
製造する場合に比べて数倍〜10倍程度高めることがで
きる。
いて説明する。図7は酸化物超電導層を成膜法により形
成する装置の一例を示すもので、図7はレーザ蒸着装置
を示している。この例のレーザ蒸着装置60は処理容器
61を有し、この処理容器61の内部の蒸着処理室62
にテープ状の多結晶基材Aとターゲット63を設置でき
るようになっている。即ち、蒸着処理室62の底部には
基台64が設けられ、この基台64の上面に多結晶基材
Aを水平状態で設置できるようになっているとともに、
基台64の斜め上方に支持ホルダ66によって支持され
たターゲット63が傾斜状態で設けられ、多結晶基材A
をドラム状のテープ送出装置65aから基台64上に送
り出し、これをドラム状のテープ巻取装置65aに巻き
取ることができるように構成されている。処理容器61
は、排気孔67aを介して真空排気装置67に接続され
て内部を所定の圧力に減圧できるようになっている。
酸化物超電導層Cと同等または近似した組成、あるい
は、成膜中に逃避しやすい成分を多く含有させた複合酸
化物の焼結体あるいは酸化物超電導体などの板体からな
っている。前記基台64は加熱ヒータを内蔵したもの
で、多結晶基材Aを所望の温度に加熱できるようになっ
ている。
光装置68と第1反射鏡69と集光レンズ70と第2反
射鏡71とが設けられ、レーザ発光装置68が発生させ
たレーザビームを処理容器61の側壁に取り付けられた
透明窓72を介してターゲット63に集光照射できるよ
うになっている。レーザ発光装置68はターゲット63
から構成粒子を叩き出すことができるものであれば、Y
AGレーザ、CO2レーザ、エキシマレーザなどのいず
れのものを用いても良い。
化物超電導層Cを形成する場合について説明する。前記
のように多結晶基材A上にCeO2の多結晶薄膜Bを形
成したならば、この多結晶薄膜B上に酸化物超電導層を
形成する。酸化物超電導層を多結晶薄膜B上に形成する
場合、この例では図7に示すレーザ蒸着装置60を使用
する。
図7に示すレーザ蒸着装置60の基台64上に設置し、
蒸着処理室62を真空ポンプで減圧する。ここで必要に
応じて蒸着処理室62に酸素ガスを導入して蒸着処理室
62を酸素雰囲気としても良い。また、基台64の加熱
ヒータを作動させて多結晶基材Aを所望の温度に加熱す
る。
ーザビームを蒸着処理室62のターゲット63に集光照
射する。これによってターゲット63の構成粒子がえぐ
り出されるか蒸発されてその粒子が多結晶薄膜B上に堆
積する。ここで構成粒子の堆積の際に多結晶薄膜Bが予
めc軸配向し、a軸とb軸でも配向しているので、多結
晶薄膜B上に形成される酸化物超電導層Cの結晶のc軸
とa軸とb軸も多結晶薄膜Bに整合するようにエピタキ
シャル成長して結晶化する。これによって結晶配向性の
良好な酸化物超電導層Cが得られる。
電導層Cは、多結晶状態となるが、この酸化物超電導層
Cの結晶粒の1つ1つにおいては、図5に示すように多
結晶基材Aの厚さ方向に電気を流しにくいc軸が配向
し、多結晶基材Aの長手方向にa軸どうしあるいはb軸
どうしが配向している。従って得られた酸化物超電導層
は結晶粒界における量子的結合性に優れ、結晶粒界にお
ける超電導特性の劣化が少ないので、多結晶基材Aの面
方向に電気を流し易く、臨界電流密度の優れたものが得
られる。なお、更に超電導層Cの結晶配向性や膜質を安
定化するために、700〜800℃に必要時間加熱して
から冷却する熱処理を施しておくことが好ましい。
の装置の他の例を示すものである。この例の装置におい
ては、ターゲット36を3個設け、スパッタビーム照射
装置38を3個設け、多結晶基材Aとターゲット36に
高周波電源29を接続した点である。
6、36、36から、それぞれ別種の粒子を叩き出して
多結晶基材A上に堆積させて複合膜を形成することがで
きるので、より複雑な組成の多結晶膜でも製造できる特
徴がある。また、高周波電源29を作動させてターゲッ
ト36からスパッタすることもできる。この例の装置を
用いて前記方法を実施する場合も図3に示す装置の場合
と同様に配向性に優れた多結晶薄膜を得ることができ
る。
用し、この製造装置の成膜処理容器内部をロータリーポ
ンプおよびクライオポンプで真空引きして3.0×10
-4トールに減圧した。テープ状の基材としては、幅10
mm、厚さ0.5mm、長さ100cmのハステロイC
276テープを使用した。また、ターゲットはCeO2
製のものを用い、スパッタ電圧1000V、スパッタ電
流100mA、イオンソースから発生させるKr+のイオ
ンビームの入射角度を基材の被成膜面の法線に対して5
5度に設定し、イオンビームの搬送距離40cmに設定
し、イオンソースのアシスト電圧を300Vに、イオン
ソースの電流を60mAに設定して、基材上にターゲッ
トの構成粒子を堆積させると同時にイオンビームを照射
して室温において厚さ0.5μmの膜状のCeO2の多結
晶薄膜を形成した。なお、成膜中に成膜処理室内に酸素
ガスを一切供給していない雰囲気で成膜した。
CuKα線を用いたθ−2θ法によるX線回折試験を行
った結果、CeO2の(200)面あるいは(400)
面のピークが認められ、CeO2の多結晶薄膜の(10
0)面が基材表面と平行な面に沿って配向しているもの
と推定することができ、CeO2の多結晶薄膜がそのc
軸を基材の被成膜面に垂直に配向させて形成されている
ことが判明した。
なく成膜処理したので、イオンソース中に設けられてい
るフィラメントを切らすことなく120時間の連続成膜
することが可能であった。なお、これに対して酸素ガス
を1x10-5トール程度の分圧で供給した雰囲気中にお
いて成膜したところ、30時間でイオンソースのフィラ
メントが切れてしまい、30時間の連続成膜しかできな
かった。従って、長尺の酸化物超電導導体を製造するた
めに連続成膜する場合は、成膜雰囲気中に酸素を導入す
ることなく成膜する方が有利であることが判明した。な
お、酸素分圧を1×10-5〜1×10-4の範囲で種々の
値に変更してみたが、いずれの酸素分圧であってもフィ
ラメントの寿命は20〜40時間程度で終了し、焼き切
れてしまうので、成膜雰囲気中に微量でも酸素ガスを導
入することは長時間成膜の上では好ましくないことが判
明した。
に示す構成のレーザ蒸着装置を用いて酸化物超電導層を
形成した。ターゲットとして、Y1Ba2Cu3O7-xなる
組成の酸化物超電導体からなるターゲットを用いた。ま
た、蒸着処理室の内部を1×10-6トールに減圧し、室
温にてレーザ蒸着を行なった。ターゲット蒸発用のレー
ザとして波長193nmのArFレーザを用いた。その
後、400゜Cで60分間、酸素雰囲気中において熱処
理した。得られた酸化物超電導体は幅0.5mm、長さ
100cmのものである。また、レーザ蒸着を行う際
に、成膜時間を3分、6分、9分、12分にそれぞれ変
更した場合のそれぞれのY1Ba2Cu3O7 -xの組成の酸
化物超電導層の膜厚と臨界電流密度および臨界電流の関
係を測定した。その結果を以下の表1に示す。また、こ
れらの試料とは別に、多結晶基材上にYSZのターゲッ
トを用い、1×10-5トールの酸素分圧とした他は先の
例と同等の条件で成膜を行い、ハステロイC276テー
プの多結晶基材上にYSZの多結晶薄膜を形成し、その
上に前記の方法と同等のレーザ蒸着法でY1Ba2Cu3
O7-xの組成の酸化物超電導層を成膜して比較試料を得
た。そして、これらの比較試料の酸化物超電導層の膜厚
と臨界電流密度および臨界電流の関係を測定し、その結
果を以下の表1に示す。測定は、酸化物超電導導体を液
体窒素で77Kに冷却し、外部磁場0T(テスラ)の条
件で4端子法で臨界電流密度の測定を行なった。更に、
これらの結果をまとめて図10と図11にも示す。
明らかなように、本願発明に係るCeO2の多結晶薄膜
を用いた酸化物超電導導体であるならば、成膜時、ある
いは、熱処理時に加熱された場合であっても、界面反応
が少ないので、Y1Ba2Cu 3O7-xなる組成の酸化物超
電導層をCeO2多結晶薄膜上に長い時間成膜しても臨
界電流密度が低下することがなくなり、Ic値を高くす
ることができることが明らかである。なお、この実験の
結果、YSZの多結晶中間層の方がCeO2の多結晶薄
膜よりも後述する如く数度程度配向性が良好であったの
で、表1と図11に示す膜厚1μm(成膜時間3分)の
試料にあってはYSZの多結晶薄膜を用いた試料の方が
臨界電流密度が高くなっている。ここで、YSZの多結
晶薄膜を用いた試料は膜厚が大きくなるにつれて急激に
臨界電流密度、臨界電流ともに減少するが、CeO2の
多結晶薄膜を用いた試料は膜厚が大きくなっても臨界電
流密度、臨界電流ともに低下割合が少なく、膜厚2μm
〜4μmの範囲ではCeO2の多結晶薄膜を用いた試料
の方が臨界電流特性が良好になっている。ここで、酸化
物超電導体を電力応用面で利用する上では、膜厚をでき
るだけ大きくして流し得る電流を大きくしたいので、C
eO2の多結晶薄膜を用いた試料においては膜厚を大き
くしても臨界電流特性が低下しないという顕著な効果を
得ることができた。
結晶薄膜を成膜する場合、Kr+イオンビームに換えて
Ar++Xe+イオンビームを用いて成膜したところ、先
の例と同様に配向性の良好なCeO2の多結晶薄膜を得
ることができた。しかし、Xe+イオンビーム、Ne+イ
オンビーム、Ar+イオンビームを用いて成膜した場
合、いずれのイオンビームであっても良好な配向性のC
eO2の多結晶薄膜を得ることはできなかった。従って
配向性の良好なCeO2の多結晶薄膜を多結晶基材上に
成膜するには、Kr+イオンビームあるいはAr++Xe
+の混合イオンビームを用いる必要があることが明らか
になった。
V、イオンビームの電流密度を40μA/cm2、イオ
ンビームエネルギーを300eVに設定し、イオンビー
ムの入射角度を40度、45度、55度、60度、65
度にそれぞれ変更して多結晶薄膜を製造した場合、得ら
れた多結晶薄膜の結晶の(111)方向の分布における
入射角度と半値全幅の関係を示す。図12に示す結果か
ら、イオンビームの入射角度が50〜60度の範囲で結
晶配向性が良好になることが明らかになった。また、特
に、イオンビームの入射角度を55あるいは60度にす
ることで、粒界傾角を26度の極小値にできることも明
らかになった。なお、この粒界傾角で26度の値は、本
発明者らが先に特許出願している特願平4−29346
4号明細書の第31図に示すYSZ多結晶薄膜の半値全
幅の25度に比べると1度程度低い値であるが、ほぼ同
じ粒界傾角を示し、特願平4−293464号明細書で
開示したYSZの多結晶薄膜と同じように優れた結晶配
向性のCeO2の多結晶薄膜を得られることが判明し
た。
界傾角が20〜30度の結晶配向性に優れたCeO2の
結晶粒からなる多結晶薄膜が多結晶基材上に形成された
ものであり、このような結晶配向性に優れたCeO2の
多結晶薄膜であるならば、その上に形成される種々の薄
膜の下地層として好適であり、形成する薄膜が超電導層
であるならば、超電導特性に優れたものが得られ、形成
する薄膜が光学薄膜であるならば光学特性に優れ、形成
する薄膜が磁性薄膜であるならば磁気特性に優れ、形成
する薄膜が配線用薄膜であるならば配線抵抗や欠陥の少
ない薄膜を得ることができる。
にCeO2のターゲットの粒子を堆積させる際に同時に
照射するイオンビームとして、Kr+のイオンビームあ
るいはKr+とXe+の混合イオンビームを用いるので、
CeO2の粒子を堆積させる際のイオンチャネリング効
果を充分に発揮させることができ、結晶の配置の良好な
原子を残し、結晶配置の悪い元素を効率よく除去できる
結果、配向性の良好な粒界傾角の30度以下のCeO2
の多結晶薄膜を多結晶基材上に形成することができる。
ただし、このようなイオンビームチャネリングに伴う
イオンビームスパッタ効果は、形成しようとするCeO
2の多結晶薄膜に対してAr+、Ne+、Xe+などのイオ
ンビームでは効果が得られず、Kr+イオンのイオンビー
ム、あるいはKr+とXe+の混合イオンビームのみが効
果的であるので、これらを選択して用いることが重要で
あり、これにより配向性の良好な粒界傾角の30度以下
のCeO2の多結晶薄膜を多結晶基材上に確実に形成す
ることができる。
トの粒子を堆積させる成膜雰囲気中に酸素を導入するこ
となく成膜することにより、イオンビームを発生させる
イオンソースのフィラメントの損傷を防止することがで
き、これによりイオンソースを長寿命化できるので、長
尺の多結晶基材上にCeO2の多結晶薄膜を連続成膜す
る場合であっても対応することができる。また、CeO
2はYSZに比べて酸素と結び付きやすいので、成膜雰
囲気中に酸素を導入しなくともターゲットに含まれてい
る酸素成分のみで充分に組成の整ったCeO2の多結晶
薄膜を成膜することができる。
eO2の多結晶薄膜上に酸化物超電導層を成膜するなら
ば、結晶配向性に優れた酸化物超電導層を形成できるの
で、高い臨界電流密度を示し、臨界電流値の高い酸化物
超電導層を得ることができる。 また、CeO2の多結
晶薄膜であるならば、YSZの多結晶薄膜に比べて、酸
化物超電導層との結晶の整合性も良好でYSZの多結晶
薄膜を用いる場合よりも更に良好な臨界電流特性を得る
ことができる。
多結晶薄膜とY1Ba2Cu3O7-x酸化物超電導体層との
界面は製造時の熱処理時等の熱拡散によってBaZrO
3を生じやすいが、CeO2の多結晶薄膜とY1Ba2Cu3
O7-x酸化物超電導体層との界面は700〜800℃程
度の加熱条件では安定なので、この面においてもCeO
2の多結晶薄膜が有利である。更に、YSZは温度によ
って立方晶〜斜方晶の相移転が起こるが、CeO2の場
合は相移転を起こさないので、CeO2の多結晶薄膜で
あるならば、YSZの多結晶薄膜に比べて有利であり、
YSZの多結晶薄膜を用いる場合よりも更に良好な臨界
電流特性を得ることができ、具体的には膜厚を大きくし
ても臨界電流の低下が少ない酸化物超電導導体を得るこ
とができる。
膜の一例の一部を断面とした斜視図である。
結晶軸方向および粒界傾角を示す拡大平面図である。
置の一例を示す構成図である。
の一例を示す構成図、図4(b)はイオンビーム入射角
度についての説明図である。
た酸化物超電導層を示す構成図である。
その結晶軸方向および粒界傾角を示す拡大平面図であ
る。
導層を形成するための装置の一例を示す構成図である。
めの装置の他の例を示す構成図である。
示す構成図である。
超電導層を形成した超電導導体における臨界電流値およ
び臨界電流密度の値と成膜時間との関係を示す図であ
る。
電導層を形成した超電導導体における臨界電流値および
臨界電流密度の値と成膜時間との関係を示す図である。
た多結晶薄膜の半値全幅との関係を示すグラフである。
導層、K、K’・・・粒界傾角、θ…入射角度、20・・・結
晶粒、21・・・結晶粒、22・・・酸化物超電導導体、36
・・・ターゲット、 39・・・イオンソース、47・・・フィ
ラメント。
Claims (6)
- 【請求項1】 多結晶基材の被成膜面上に形成されたC
eO2を主体とするホタル石型構造の結晶粒が、多数、
結晶粒界を介し結合されてなる多結晶薄膜であって、多
結晶基材の被成膜面と平行な面に沿うCeO2の各結晶
粒の同一結晶軸が構成する粒界傾角が、20〜30度の
範囲にされてなることを特徴とする多結晶薄膜。 - 【請求項2】 CeO2のターゲットの構成粒子を多結
晶基材上に堆積させ、多結晶基材上にCeO2を主体と
する多結晶薄膜を形成する方法であって、前記構成粒子
を多結晶基材上に堆積させる際に、イオンソースが発生
させるイオンビームとして、Kr+のイオンビームある
いはKr+とXe+の混合イオンビームを用い、前記ビー
ムを基材の被成膜面に対して斜め方向から照射しながら
前記構成粒子を基材上に堆積させることを特徴とする多
結晶薄膜の製造方法。 - 【請求項3】 前記イオンビームを照射しながら多結晶
基材上に成膜する際の成膜雰囲気中に酸素を供給しない
で成膜することを特徴とする請求項2記載の多結晶薄膜
の製造方法。 - 【請求項4】 多結晶基材の被成膜面上に形成されたC
eO2を主体とするホタル石型構造の結晶粒が多数結晶
粒界を介し結合されてなる多結晶薄膜と、該多結晶薄膜
上に形成された酸化物超電導層とを具備する酸化物超電
導導体であって、前記多結晶基材の被成膜面と平行な面
に沿うCeO2の各結晶粒の同一結晶軸が構成する粒界
傾角が、20〜30度の範囲にされてなることを特徴と
する酸化物超電導導体。 - 【請求項5】 CeO2のターゲットの構成粒子を多結
晶基材上に堆積させ、多結晶基材上にCeO2を主体と
する多結晶薄膜を形成し、次いでこの多結晶薄膜上に酸
化物超電導層を形成する酸化物超電導導体の製造方法で
あって、 前記構成粒子を多結晶基材上に堆積させる際に、イオン
ソースが発生させたイオンビームを基材の被成膜面に対
して斜め方向から照射しつつ前記構成粒子を堆積させて
多結晶薄膜を形成するとともに、イオンビームを照射し
ながら多結晶基材上に成膜する際の成膜雰囲気中に酸素
を供給しないで成膜し、次いで該多結晶薄膜上に酸化物
超電導層を形成することを特徴とする酸化物超電導導体
の製造方法。 - 【請求項6】 前記イオンソースが発生させるイオンビ
ームとして、Kr+のイオンビームあるいはXe+のイオ
ンビームまたはこれらの混合イオンビームを用いること
を特徴とする請求項5記載の酸化物超電導導体の製造方
法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9208103A JPH1149599A (ja) | 1997-08-01 | 1997-08-01 | 多結晶薄膜とその製造方法および酸化物超電導導体とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9208103A JPH1149599A (ja) | 1997-08-01 | 1997-08-01 | 多結晶薄膜とその製造方法および酸化物超電導導体とその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1149599A true JPH1149599A (ja) | 1999-02-23 |
Family
ID=16550693
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9208103A Pending JPH1149599A (ja) | 1997-08-01 | 1997-08-01 | 多結晶薄膜とその製造方法および酸化物超電導導体とその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH1149599A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2001040536A1 (en) * | 1999-11-29 | 2001-06-07 | Fujikura Ltd. | Polycrystalline thin film and method for preparation thereof, and superconducting oxide and method for preparation thereof |
| JP2002151448A (ja) * | 2000-11-13 | 2002-05-24 | Hitachi Chem Co Ltd | 酸化セリウム研磨剤用cmpパッド及び基板の研磨方法 |
| JP2004501493A (ja) * | 2000-06-21 | 2004-01-15 | ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア | 高臨界電流超伝導テープ用構造物 |
| US6984843B2 (en) | 2002-03-25 | 2006-01-10 | Seiko Epson Corporation | Board for electronic device, electronic device, ferroelectric memory, electronic apparatus, ink-jet recording head, and ink-jet printer |
| JP2007109717A (ja) * | 2005-09-14 | 2007-04-26 | Sharp Corp | 超電導素子および超電導素子の製造方法 |
| JP2007532775A (ja) * | 2004-04-08 | 2007-11-15 | スーパーパワー インコーポレイテッド | 超伝導体被覆テープのための二軸配向フィルム堆積 |
-
1997
- 1997-08-01 JP JP9208103A patent/JPH1149599A/ja active Pending
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2001040536A1 (en) * | 1999-11-29 | 2001-06-07 | Fujikura Ltd. | Polycrystalline thin film and method for preparation thereof, and superconducting oxide and method for preparation thereof |
| US6632539B1 (en) | 1999-11-29 | 2003-10-14 | Fujikura Ltd. | Polycrystalline thin film and method for preparing thereof, and superconducting oxide and method for preparation thereof |
| JP2004501493A (ja) * | 2000-06-21 | 2004-01-15 | ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア | 高臨界電流超伝導テープ用構造物 |
| JP2002151448A (ja) * | 2000-11-13 | 2002-05-24 | Hitachi Chem Co Ltd | 酸化セリウム研磨剤用cmpパッド及び基板の研磨方法 |
| US6984843B2 (en) | 2002-03-25 | 2006-01-10 | Seiko Epson Corporation | Board for electronic device, electronic device, ferroelectric memory, electronic apparatus, ink-jet recording head, and ink-jet printer |
| JP2007532775A (ja) * | 2004-04-08 | 2007-11-15 | スーパーパワー インコーポレイテッド | 超伝導体被覆テープのための二軸配向フィルム堆積 |
| JP2007109717A (ja) * | 2005-09-14 | 2007-04-26 | Sharp Corp | 超電導素子および超電導素子の製造方法 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| US6632539B1 (en) | Polycrystalline thin film and method for preparing thereof, and superconducting oxide and method for preparation thereof | |
| KR100545547B1 (ko) | 다결정 박막의 제조방법 및 산화물 초전도체의 제조방법 | |
| JP4359649B2 (ja) | 多結晶薄膜とその製造方法及び酸化物超電導導体 | |
| JP2996568B2 (ja) | 多結晶薄膜の製造方法および酸化物超電導導体の製造方法 | |
| JP3771012B2 (ja) | 酸化物超電導導体 | |
| JP3447077B2 (ja) | 薄膜積層体と酸化物超電導導体およびそれらの製造方法 | |
| JP4131771B2 (ja) | 多結晶薄膜とその製造方法および酸化物超電導導体 | |
| JP3634078B2 (ja) | 酸化物超電導導体 | |
| JP2721595B2 (ja) | 多結晶薄膜の製造方法 | |
| JP4033945B2 (ja) | 酸化物超電導導体およびその製造方法 | |
| JP2670391B2 (ja) | 多結晶薄膜の製造装置 | |
| JPH0765642A (ja) | 多結晶薄膜の製造装置と製造方法および酸化物超電導導体の製造方法 | |
| JP3251034B2 (ja) | 酸化物超電導導体およびその製造方法 | |
| JP2614948B2 (ja) | 多結晶薄膜 | |
| JP3459092B2 (ja) | 多結晶薄膜の製造方法および酸化物超電導導体の製造方法 | |
| JP3532253B2 (ja) | 酸化物超電導導体およびその製造方法 | |
| JP4128557B2 (ja) | 酸化物超電導導体 | |
| JP3732780B2 (ja) | 多結晶薄膜とその製造方法および酸化物超電導導体とその製造方法 | |
| JP2000203836A (ja) | 酸化物超電導導体の製造方法 | |
| JP5122045B2 (ja) | 酸化物超電導体及びその製造方法 | |
| JP3415874B2 (ja) | 酸化物超電導導体の製造方法 | |
| JP2004124255A (ja) | 多結晶薄膜の製造方法および酸化物超電導導体の製造方法 | |
| JPH07105751A (ja) | 安定化材複合型超電導導体およびその製造方法 | |
| JPH06272022A (ja) | レーザ蒸着装置及びそれを用いた多結晶薄膜の形成方法 | |
| JP2003096563A (ja) | 多結晶薄膜の形成方法並びに酸化物超電導導体 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040603 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060904 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070130 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070402 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20070402 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070710 |