【発明の詳細な説明】
発明の名称
有機シランの製造方法
発明の背景
本発明はアゾ化合物すなわち遊離基開始剤の存在でオレフィンをシランと接触
することによる有機シランの製造に関する。
シランにオレフィン化合物を付加するには三つの方法がある。これらはグリニ
ヤール法、貴金属触媒によるルートおよび過酸化物またはアゾ化合物を用いる遊
離基開始剤によるルートである。先行する技術はそれぞれ様々な欠陥を有する。
例えばこれらは費用がかかりまた反応は極めて緩慢に進行する。また選択率およ
び収率も著しく低い。好ましくない副生物も生成するであろう。最後に、未使用
のシランの回収および(または)循環が追加的に必要であろう。米国特許第2,570,
462号はほとんど大気圧または僅かな加圧の不活性ガスの下での有機ハロシラン
の製造を開示している。この場合、反応時間は長く、収率は低くまた過度に不釣
り合いな量の反応体が使用される。一層効率的かつ経済的なプロセスのために一
層の改良が特に望まれる。
本発明はこれらの必要に応える。
発明の概要
本発明によると、(i)二つの炭素原子の間に脂肪族性のオレフィン二重結合を
有しそしてこの二重結合の炭素の少なくとも一つに水素を有する少なくとも一つ
のオレフィンを、
(ii) 式:HaSiRbXc
(式中、Hは水素であり、
Rはアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、オキシシリ
ル、シクロアルキル、ペルハロアルキルなどから独立に選択され、
Xは弗素、塩素、臭素または沃素から選択されるハロゲンであり、
aは独立に1から3であり、
bおよびcは独立に0から3であり、また
a+b+c=4
である)の少なくとも一つのシランと、
(iii) 式:R1−N=N−R2
(式中、R1およびR2は同じであるか、または異なっており、そしてシアノアルキ
ル、シアノシクロアルキル、アルコキシシアノアルキル、ヘテロシクロアルキル
、アルキルアルコキシエステル、アリールアルコキシエステル、アルキルアロイ
ルエステル、アリールアロイルエステル、置換されたおよび置換されていないア
ルキルアミド、シアノカルボン酸、カルバモイルなどからなる群から選択される
)を有する少なくとも一つのアゾ化合物の存在で約30〜約400psigの範囲の圧力
下で約50℃〜120℃の温度で約10時間またはそれより短時間接触させることから
なり、
(iii)が反応体の化学量論的な量に基づき約5%またはそれより少ない量であ
り、
(i)と反応するのに化学量論的に必要な量の約0〜約100%の過剰量で(ii)が
供給される、有機シランを製造する方法が提供される。別法としては、オレフィ
ンおよびアゾ化合物が、反応に際してシランにゆっくりと添加される。
本発明のプロセスで用いられる方法には、アゾ化合物の使用が関与し、またこ
の方法は、それをすでに用いられている方法より累加的に一層好ましくする以下
の利点を特徴とする:
1. 反応が安全に、迅速にそして実質的に定量的な収率で進行する;
2. 開始剤は所望の生成物に関して極めて選択的でありまたより少ない量を必
要とする;
3. 副生物の生成が最少であり、また開始剤に由来する生成物が系に有害でな
く、そして一層特定的に、後続するアルキルアルコキシシランを生成する反応お
よびこれの回収を妨げないので、開始剤の分離が必要でない;
4. 開始剤または副生物によって、最終生成物に好ましくない色が導入されな
い;そして
5. 費用がかからず、一層効率的であり、また望むなら追加的な回収工程およ
び(または)再使用工程が省略できる。精選されたアゾ化合物と組合わせて増大
した自生圧を用いると、あるいは反応体のある添加方式を用いると、収率および
選択率は高く保たれつつ反応速度が劇的に増大することがさらに判っている。
詳細な説明
本発明で使用するのに好適なオレフィンには、二つの炭素原子の間に脂肪族性
のオレフィン二重結合を有しまた二重結合した炭素の少なくとも一つに水素を有
する有機化合物が含まれる。C2〜C20の脂肪族および環式脂肪族炭化水素を使用
することができる。特にオレフィンは
(式中、R1〜R4は水素、ハロゲン(弗素)、アルキル、アルケニル、シクロアル
キル、アリール、アルコキシ、アロイル、ハイドロカルビル、ペルハロアルキル
などからなる群から独立に選択される)
の形をしている。好ましいものは1−ヘキセン、1−オクテン、1−オ
クタデセンおよびシクロヘキセンである。技術上熟達する者によって認められる
ように、置換基が反応体、反応機構または反応生成物に干渉しないかぎり、R部
分は置換されていてよい。弗素を含むC2〜C20脂肪族オレフィンもまた好ましい
。C2〜C20オレフィンの混合物もまた使用できる。
シランは式
HaSiRbXc
(式中、Hは水素であり、また
Rはアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、オキシシリルなどか
ら選択される。例えばメチル、メトキシ、エチル、エトキシ、フェニル、フェノ
キシなどを使用することができる。技術上熟達する者によって認められるように
、置換基が反応体、反応機構または反応生成物に干渉しないかぎり、R部分は置
換されていてよい。例えばRはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキ
シ、アリールオキシ、ハロ、ペルハロアルキルなどで置換されてよい。
Xは弗素、塩素、臭素または沃素から選択されるハロゲンであり、
aは独立に1〜3であり、
bおよびcは独立に0から3であり、また
a+b+c=4である)
によって規定することができる。
例えば、本発明を実施するのに有用なシランには、塩素化シラン、特にトリク
ロロシラン、ジクロロシラン、ジクロロメチルシラン、ジクロロエチルシラン、
ジクロロメトキシシラン、クロロジメトキシシランなどのようなハロゲン化シラ
ンがある。シランの混合物は同等なものとみなされる。出発のシランが、珪素に
結合する水素基を有するトリエトキ
シシラン、トリメトキシシランなどのようなアルコキシシランであるならば、出
発シランとオレフィンとの反応によってアルキルアルコキシシランが直接に与え
られる。
有用なアゾ化合物は式
R1−N=N−R2
(式中、R1およびR2は同じであるか異なっており、またシアノアルキル、シアノ
シクロアルキル、アルコキシシアノアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキル
アルコキシエステル、アリールアルコキシエステル、アルキルアロイルエステル
、アリールアロイルエステル、置換されたおよび置換されていないアルキルアミ
ド、シアノカルボン酸、カルバモイルなどからなる群から選択される)
を有する。アゾ化合物の混合物は同等なものとみなされる。遊離基を生成する基
本的な段階は、本発明の方法で想定される種類のアゾ化合物について以下のよう
に示される。
R1−N=N−R2→R1・+R2・+N2
アゾ開始剤は例えばE.I.du Pont de Nemours and CompanyおよびWako Pure C
hemical Industries,Ltd.から商業的に入手できる。アゾ開始剤の代表例には以
下が含まれるが、これらに限定されることはない。
2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、
2,2′−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、
2,2′−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、
1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、
2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルラミジン)ジハイドロクロラ
イド、
2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、
2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルラミジン)、
4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、
2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ハイドロキシメチル)−2
−ハイドロキシエチル)プロピオンアミド)、
2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ハイドロキシメチル)エチル
)プロピオンアミド)、
2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンア
ミド)、
2,2′−アゾビス(イソブチルラミド)ジハイドレート、
2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、
ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、
2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、
2,2′−アゾビス(2,4,4−ジメチルペンタン)、
2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、および
2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)。
特に有用なアゾ開始剤には、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル
)、2,2′−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)および1,1′−アゾビス(シ
クロヘキサンカルボニトリル)があり、これらはE.I.du
離基を生成し、それがシラン反応体から水素基を引き抜き、反応を所望の経路に
沿って導く。
本発明のこの態様ではすべての反応体が加熱に先立って加圧反応槽内
で混合されることができる。より短い反応時間でより高い収率を望むならば、オ
レフィンの化学量論的な量に対して、典型的に約0〜100%、望ましくは約50〜1
00%そして一層望ましくは約75〜100%の過剰のシランが望ましい。シランの回
収および循環による費用の低下が必要要因であるならば、約0〜100%、望まし
くは約10〜50%そして一層望ましくは約10〜20%過剰のシランが添加されること
は技術上熟達する者によって認められるであろう。添加されるアゾ化合物の量は
化学量論的な量の反応体(オレフィンおよびシラン)に基づき典型的に約5wt%
またはそれより少なく、望ましくは約0.5〜3wt%、そして一層望ましくは約1
〜2wt%である。
反応槽の内容物は典型的に約50°〜120℃、望ましくは80°〜120℃で、約10時
間またはそれより短く、望ましくは約8時間またはそれより短くそして一層望ま
しくは約3〜5時間にわたって混合されそして加熱される。反応温度は使用され
るアゾ化合物に依存する。アゾ化合物のための特定の温度範囲は、反応を進める
のに決定的であることが見出されている。つまり反応温度が低すぎるならば、反
応が起きない。同時に温度が高すぎると、アゾ化合物の分解があまりにも急速に
起きるので反応の開
に関する温度範囲は約95°〜110℃そして望ましくは約100°〜105℃である。典
型的には30〜400psig、望ましくは50〜200psig、そして一層望ましくは60〜100p
sigの圧力が生み出される。本明細書で「自生圧」とはそれ自体が発生する圧力
そして外部的な影響なしにあるいは不活性ガスの添加などによらないで、生み出
される圧力と定義される。発生する圧力は自生圧であり、またこの態様では加熱
、すなわち反応温度によりそし
て反応が進行するにつれアゾ化合物から放出されるN2により得られる。反応の終
結後、反応槽が周囲温度まで冷却され、そして過剰の出発シランはすべて、任意
の好適な手段により、例えば窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスにより
槽をパージすることによりそして(あるいは)槽を真空下におくことにより、反応
槽から除去される。シランはもし過剰であるならば回収されそして例えば蒸留に
より、後で使用するために精製することができる。
オレフィンとハロゲン化シランとの反応からの生成物はアルキルハロシランで
あり、また対応するアルキルアルコキシシランを生成するための中間体として有
用である。アルキルハロシランはエタノール、メタノール、n−プロピルアルコ
ール、イソ−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソ−ブチルアルコ
ール、第3−ブチルアルコール、2−エチルヘキサノール、フェノール、置換フ
ェノールなどのようなアルコールと慣用の方法を用いて反応させ、使用される上
記アルコールに応じて、アルキル化合物がトリメトキシシラン、トリエトキシシ
ランなどで置換されている対応するアルキルアルコキシシランを得ることができ
る。未反応の出発物質およびアゾ分解生成物を含む可能性のある、存在する不純
物はアルキルアルコキシシランの生成を妨げないので、上述のようにつくったア
ルキルハロシランをアルコールと反応させる前に未反応のシランを除去すること
以外に、アルキルハロシランを精製する必要はない。このような方法には、化学
量論的な量から過剰量までのアルコールを還流温度に加熱することが含まれてよ
い。アルキルハロシランは反応槽の上方の位置から、反応帯として働く充填塔に
供給されてよい。アルキルハロシランとアルコール蒸気とは充填塔内で反応され
て対応するアルキルアルコキシシランとハロゲン化水素とが生成される。反応体
が系から逃散するのを防ぐために一つまたはそれより多くの凝縮器が存在してよ
い。アルキルアルコキシシラン生成物は凝縮しそして反応槽に返戻され、そこで
はそれ以上の化学反応は起きない。ハロゲン化水素は窒素のような不活性ガスで
のパージによりそして(または)真空を用いることにより反応系から掃気されて
よい。すべてのシラン反応体が添加された後、反応槽の内容物を約0〜5時間還
流し続けることができる。アルキルアルコキシシラン生成物は蒸留のような既知
の任意の方法によって精製されることができる。
本発明のアルキルハロシランおよびアルキルアルコキシシランは、織物、プラ
スチック、建材、工業装置、家電品、皮革および木製品のためのコーティングに
関する応用に使用されることができる。これらのシランは半導体、接着剤、密封
剤、潤滑剤および液圧流体を製造するのにも使用できる。
反応時間をより短くするための本発明の別な態様には反応体のある添加様式が
伴う。オレフィンおよびアゾ化合物が、化学量論的な量の、あるいは約50%また
は未満、望ましくは20%または未満、そして一層望ましくは約10%または未満の
僅少な過剰量のシランに断続的または連続的に添加されるなら、反応時間が減少
することが見出されている。オレフィンおよびアゾ化合物は混合物としてあるい
は別々に添加されてよい。この別態様を実施する際にはシランを反応槽内に密封
する。上述したような、化学量論的なオレフィンとある量のアゾ化合物とが一緒
に混合され、そしてこの混合物が供給物タンクに装入されるか、あるいはオレフ
ィンとアゾ化合物とが別個に添加されてよい。反応槽内のシランは撹拌されそし
て上述のように加熱される。発生する圧力は上記したとおりであるが、オレフィ
ンとアゾ化合物とを反応器にポンプ送入することによ
りさらに確保される。オレフィン/アゾ化合物は反応槽にゆっくり添加される。
つまりその結果、オレフィンの過剰な蓄積はない。オレフィン/アゾ混合物の添
加が完結した後、反応槽を上記の温度でさらに1〜5時間撹拌することができる
。反応槽は次に周囲温度まで冷却されそして上記したようにプロセスが継続され
る。しかしながらこの態様では過剰のシランの回収および循環に対する必要は最
小にされあるいは不用になる。
アゾ化合物はしばしばオレフィン中に完全には溶解しないであろう。従ってオ
レフィンとアゾ化合物とのスラリーが反応槽に供給されてよい。撹拌によってア
ゾ化合物はオレフィン中に懸濁したままになる。
本発明のさらに別な態様では、化学量論的な量のまたは50%または未満、望ま
しくは10%または未満の僅少な過剰のシランと、アゾ化合物とをオレフィンに大
気圧または高い圧力で還流下で添加することにより、短い反応時間で高い収率を
得ることができるのが判明している。オレフィンとシランとから得られる反応生
成物例えばオクチルトリクロロシランを、反応の開始時に反応器内にあるものを
基準として約25〜75%の量で添加すると、短い反応時間でやはり高い収率が得ら
れるが、こうすると上記したようにより高い温度に到達するために生成物が溶媒
として用いられるからである。
本発明を一層明瞭に理解するには、以下の実施例は例示的でありまた本発明の
基礎をなす原理をいかようにも限定しないと解すべきである。
実施例
実施例 1
二重櫂型撹拌器、熱電対、圧力計、加熱マントル、注入口(浸漬管)および、
イソプロパノールトラップとそれに続くドライアイストラップ
状の600mlの圧力反応器を使用した。
この反応器に1−オクテン(1モル、112g、160ml)、トリクロロシラン(2
モル、270g、200ml、100%過剰)および1,1′−アゾビス(シク
的反応体の1%)を入れそして反応器を密封した。反応器内の混合物を撹拌しつ
つ100℃に加熱しそして100℃〜105℃に4時間保持した。操作中、反応器圧力は6
5〜70psigであった。残留するトリクロロシラン(TCS)を除去するためのトラップ
を経てこの圧力を大気に開放した。この後、窒素パージと真空の適用を行った。
ガスクロマトグラフィー(GC)分析により、生成する混合物が99.5%より多いオク
チルトリクロロシラン(OTCS)と異性体と、そして0.03%より少ない1−オクテ
ンを含むことが示された。
実施例 2
実施例1で使用した2.5gの代わりに5g(化学量論的な量の2%)使用した。
撹拌しつつ混合物を100℃まで再度加熱したが、ただし100℃〜105℃に保ったの
はただ3時間であった。操作中、圧力は60〜80psigであった。排気し、窒素パー
ジしそして真空を適用することにより、残存するTCSを再び除去した。GC分析に
より、混合物が99.5%より多いOTCSと異性体と、および0.01%より少ない1−オ
クテンを含有することが示された。
実施例 3
実施例1に記載の反応器に、1−オクテン(1.05モル、118g、165ml)、TCS(
2.05モル、276g、206ml、〜100%過剰)および2,2′−アゾビス(2
な量の2%の反応体)を添加しそして反応器を密封した。反応器内の混合物を80
℃に加熱しそして80℃〜85℃に3時間保持した。操作中、圧力は60〜100psigで
あった。排気し、窒素パージしそして真空を適用することにより、残留するTCS
をやはり除去した。GC分析により、混合物が97%より多いOTCSと異性体、および
0.7%より少ない1−オクテンを含有することが示された。
実施例 4
実施例1に記載の反応器に、1−オクテン(1モル、112g、160ml)、TCS(
2モル、270g、200ml、95%過剰)および2,2′−アゾビス(2−メ
量の2%の反応体)を添加しそして反応器を密封した。反応器内の混合物を80℃
に加熱しそして80℃〜85℃に3時間保持した。操作中、圧力は60〜65psigであっ
た。排気し、窒素パージしそして真空を適用することにより、残留するTCSをや
はり除去した。GC分析により、混合物が97%より多いOTCSと異性体、および0.7
%より少ない1−オクテンを含有することが示された。
実施例 5
標準的なテーパ付きのすりガラスのジョイントが4つある蓋のある1リットル
のガラス繊維強化樹脂製ケトルに磁気撹拌棒、加熱マントル、固体添加漏斗、熱
電対、試料採取器具および凝縮器を装着した。凝縮器を、Dewar凝縮器が上方に
ある、500mlの液添加漏斗に連結した。Dewar凝縮器からの出口をドライアイスの
トラップに連結した。反応に先立って組立物全体を窒素でパージしそして不活性
雰囲気を保持するようにほんの僅かな正圧の窒素を用いて反応を常圧下で実施し
た。
樹脂製の1lのケトルに1−オクテン(2モル、229g、320ml)を装入
した。液体添加漏斗にトリクロロシラン(2.2モル、301g、224ml、10%過剰)
を装入した。樹脂製ケトル上の凝縮器を−10℃まで冷却した。ケトル内の1−オ
クテンを加熱しつつ撹拌した。ケトルの温度が95℃を越えた時、1−オクテンに
十分なTCSを添加してケトルの温度を90℃〜
間隔で添加した。TCSの添加により温度を90℃〜95℃に保った。
125℃まで上昇させられ、それからこの温度に1時間維持された。反応時間は全
体で10時間であった。次に反応混合物を周囲温度まで冷却しそして試料を採取し
た。GC分析により、反応混合物が98%より多いOTCSと異性体をそして〜1.6%の
1−オクテンを含有することが示された。このことはトリクロロシランとアゾ化
合物を還流下で1−オクテンに供給することを含む、常圧下での操作に関する改
善を例示する。この方式の利点は僅かに過剰なシランを使用しても極めて高い収
率が達成できることである。
実施例 6
実施例5の樹脂製ケトル内に残留する生成物に1−オクテン(2モル、229g
、320ml)を添加した。実施例5に記載の装置および手順を用いた。樹脂製のケ
トルの混合物にTCS(2.2モル、301g、224ml、10%過剰)と
気研究室技術によって、窒素の僅かな正圧で被蓋しつつ反応を常圧で実施した。
反応時間は全体で5時間であった。GC分析により、反応混合物が96%を越えるOT
CSと異性体を含みまた〜2.3%の1−オクテンを含む
ことが示された。このことは、反応の開始時に反応生成物、オクチルトリクロロ
シランをいくらか添加することを含む、常圧下での操作に関する別な改善を例示
する。この操作では生成物が実質的に溶媒として使用される。この方法の利点は
より高い反応温度に到達可能なことである。温度がより高くなると、アゾ化合物
が一層有効でありまたより多くのシランが溶液中で利用できるので、反応が一層
急速に進行する。
実施例 7
実施例6で得た生成物をエトキシル化するために実施例5に記載した装置を組
み立てた。ケトルと凝縮器との間に充填式蒸留塔を設置した。ケトルに無水エタ
ノール(11.6モル、539g、690ml、10%過剰)を装入した。液体添加漏斗にOTCS
(3.5モル、865g、810ml)を装入した。ケトル上の凝縮器を−10℃まで冷却した
。撹拌を開始しそしてケトルの内容物を還流下においた。OTCSを5時間にわたっ
て滴状に添加し、そして蒸発したエタノールと接触することにより充填塔でエト
キシル化した。充填塔内で生成された生成物は樹脂製ケトル内に落下するだろう
。追加的な3時間の還流の後、容器内の混合物から試料を採取した。GC分析によ
ると、反応混合物が92.5%のオクチルトリエトキシシラン(OTES)と異性体、2.
5%のエタノールおよび2%の1−オクテンを含有することが示された。OTCSのO
TESへの転化率は実質的に定量的であり、このことにより1−オクテンのOTESへ
の転化率は〜95%に近づいた。
実施例 8
実施例1に記載の600mlの圧力反応器に1−オクタデセン(190g、0.75モル)
、トリクロロシラン(152g、1.12モル、〜50%過剰)および
しつつ混合物を100℃に加熱しそして3時間にわたって100℃〜105℃に
保った。この操作に際して圧力は90〜140psigであった。過剰のTCSは、実施例1
に記載したように除去した。GC分析により、反応混合物が約90%のオクタデシル
トリクロロシランとその異性体を含み、また約3%の1−オクタデセンを含むこ
とが示された。
実施例 9
同一の反応器および手順を用い、ただし1−オクタデセン(169g、0.67モル
)、トリクロロシラン(200g、1.47モル、〜120%過剰)およ
8に記載の反応を実施した。撹拌しつつ混合物を100℃に加熱しそして5時間に
わたって100℃〜102℃に保った。この操作に際して圧力は60〜80psigであった。
過剰のTCSは、実施例1に記載したように除去した。GC分析により、反応混合物
が約〜98%のオクタデシルトリクロロシランとその異性体を含み、また約1%の
1−オクタデセンを含むことが示された。
実施例 10
50mlの一つ口丸底フラスコに磁気撹拌棒、加熱マントルおよび凝縮器を装着し
た。凝縮器の上方にClaisenアダプターを設けそしてフラスコ内の液体層に届く
ようにClaisenアダプターおよび凝縮器を通過して熱電対を挿入した。Claisenア
ダプターの別の腕状部の上方にDewar凝縮器を取付けた。全体の組立物を反応に
先んじて窒素パージし、そして不活性雰囲気を維持するようにほんの僅かに正圧
である窒素を用いて反応を常圧で実施した。丸底フラスコに1−オクテン(11.5
g、0.1モル)とト
の1%)を装入した。撹拌を開始しそしてフラスコの内容物を還流温度まで加熱
した。反応混合物は最初45℃で還流を開始し、また還流温度は
10時間かかって120℃に上昇し、反応の進行が可能となった。GC分析により、生
成物は約75%のOTCSとその異性体を含みまた約10%の1−オクテンを含むことが
示された。
E.I.du Pont de Nemours and Cpmpany から入手できる別な開始剤で
いて上記の方法を反復した。この実験では1−オクテン(22.5g、0.20
%)を100mlの一つ口丸底フラスコに入れた。撹拌を開始しそしてフラスコの内
容物を還流温度まで加熱した。反応混合物は最初45℃で還流を開始し、また還流
温度は15時間かかって120℃に上昇し、反応の進行が可能となった。GC分析によ
り、生成物は約65%のOTCSとその異性体を含みまた約25%の1−オクテンを含む
ことが示された。
実施例 11
100mlの一つ口丸底フラスコと、1−オクテン(11.5g、0.1モル)、
52(1.5g、最初の反応混合物の3%)とを用いて比較例10の方法を反復した。
常圧で3時間還流の後、GC分析により反応混合物が約84%のOTCSとその異性体を
含みまた約15%の1−オクテンを含むことが示された。
し、そして反応混合物をさらに2時間還流した。この時GC分析すると、混合物は
今度は約95%のOTCSとその異性体を含みまた約3%の1−オクテンを含むことが
示された。
別な100mlの丸底フラスコと、同量の物質(1−オクテン、TCSおよび
み合わせることにより上記の方法を反復した。反応混合物を5時間還流の後、GC
分析すると、混合物は約94%のOTCSとその異性体を、また約4%の1−オクテン
を含むことが示された。
以上のことは常圧での操作における別な改良を例示する。この改良には最初の
反応混合物の沸点を上昇するための反応用溶媒として反応生成物たるOTCSの一部
を使用することが関与する。還流温度が高くなるため反応はそのまさに最初から
迅速に進行する。
実施例 12
250mlの二つ口丸底フラスコに磁気撹拌棒、加熱マントル、固体添加漏斗およ
び凝縮器を装備した。凝縮器の上部にはClaisenアダプターを装着しそしてフラ
スコ内の液体に到達するようにClaisenアダプターの真直ぐな首状部と凝縮器と
を通過してポリテトラフルオロエチレンで被覆された熱電対を挿入した。Claise
nアダプターの他の首状部には液体滴加漏斗を装着しその上方にDewar凝縮器を装
着した。反応に先んじて組立物全体を窒素でパージしそして不活性雰囲気を維持
するためにほんの僅かに正圧である窒素を用いて反応を常圧で実施した。固体添
加漏斗
体添加漏斗にトリクロロシラン(75.3g、56ml、0.55モル、〜10%過剰)を装入
した。反応フラスコに1−オクテン(57.3g、0.5モル)を装入した。
得られる混合物を撹拌しかつ加熱することにより反応を開始した。反応混合物を
約105℃で還流した。約1時間後、次の4.5時間にわたってTCS
このTCSの添加中、還流温度を〜85℃と95℃との間に保った。すべての
TCSを添加の後、反応混合物をさらに4時間加熱した。この加熱の終了時に加熱
温度は約130℃に達した。GC分析により、生成物は96%より多いOTCSとその異性
体を含み、また約1.6%の1−オクテンを含むことが示された。
以上のことは、トリクロロシランとアゾ化合物とを還流下で1−オクテンに供
給することが関与する常圧操作における改善を例示する。還流時の混合物の温度
は、反応を開始するのに使用する特定のアゾ化合物に関する最適温度範囲内にあ
るように維持される。この方式の利点は、ほんの僅かに過剰なシランを使用する
ことによって高い収率が得られることである。
以上、本発明につきある程度特定的に述べまた例示したが、以下の請求の範囲
が制約されることはなく、またそれに対して、請求の範囲の各要素およびそれと
同等のものの文言に見合った範囲が付与されることが認められねばならない。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年2月20日
【補正内容】
請求の範囲
1.(i) 二つの炭素原子の間に脂肪族性のオレフィン二重結合を有しそしてこ
の二重結合の炭素の少なくとも一つに水素を有する少なくとも一つのオレフィン
を、
(ii) 式:HaSiRbXc
(式中、Hは水素であり、
Rはアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、オキシシリル、シ
クロアルキルおよびペルハロアルキルからなる群から独立に選択され、
Xは弗素、塩素、臭素または沃素からなる群から選択されるハロゲンであり
、
aは独立に1から3であり、
bおよびcは独立に0から3であり、そして
a+b+c=4
である)の少なくとも一つのシランと、
(iii) 式:R1−N=N−R2
(式中、R1およびR2は同じであるか、または異なっており、そしてシアノアル
キル、シアノシクロアルキル、アルコキシシアノアルキル、ヘテロシクロアルキ
ル、アルキルアルコキシエステル、アリールアルコキシエステル、アルキルアロ
イルエステル、アリールアロイルエステル、置換されたおよび置換されていない
アルキルアミド、シアノカルボン酸、およびカルバモイルからなる群から選択さ
れる)を有する少なくとも一つのアゾ化合物の存在で30〜400psigの範囲の圧力
下で50℃〜120℃の温度で10時間またはそれより短時間接触させることからなり
、
(iii)が反応体の化学量論的な量に基づき5%またはそれより少ない量であ
り、
(i)と反応して(iv)の有機シランを生成するのに化学量論的に必要な量の0
〜100%の過剰量で(ii)が供給される、有機シランを製造する方法。
2.(i)が2〜20個の炭素原子を有し、(ii)がハロゲン化シランであり、そして
(iii)が
2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、
2,2′−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、
2,2′−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、
1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、
2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルラミジン)ジハイドロクロ
ライド、
2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、
2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルラミジン)、
4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、
2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ハイドロキシメチル)−
2−ハイドロキシエチル)プロピオンアミド)、
2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ハイドロキシメチル)エ
チル)プロピオンアミド)、
2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオン
アミド)、
2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)ジハイドレート、
2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、
ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、
2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、
2,2′−アゾビス(2,4,4−ジメチルペンタン)、
2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、および
2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)
からなる群から選択され、圧力が50〜200psigの範囲、温度が80〜110℃の範囲
にあり、反応時間が8時間またはそれより短い請求項1記載の方法。
3.(i)が1−オクテンであり、(ii)がトリクロロシランであり、そして(iii)
が2,2′−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)であり、そして圧力が60〜1
00psigであり、温度が90〜95℃の範囲であり、反応時間が3〜5時間である請求
項2記載の方法。
4.(i)が1−オクテンであり、(ii)がトリクロロシランであり、そして(iii)
が1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)であり、そして圧力が60
〜100psigであり、温度が100〜105℃の範囲であり、反応時間が3〜5時間であ
る請求項2記載の方法。
5.(i)が1−オクテンであり、(ii)がトリクロロシランであり、そして(iii)
が2,2′−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)であり、そして圧力が60〜100
psigであり、温度が90〜95℃の範囲であり、反応時間が3〜5時間である請求項
2記載の方法。
6.(i)が1−オクタデセンであり、(ii)がトリクロロシランであり、そして(i
ii)が2,2′−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)であり、そして圧力が60
〜100psigであり、温度が90〜95℃の範囲であり、反応時間が3〜5時間である
請求項2記載の方法。
7.(i)が1−オクタデセンであり、(ii)がトリクロロシランであり、
そして(iii)が1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)であり、そし
て圧力が60〜100psigであり、温度が100〜105℃の範囲であり、反応時間が3〜
5時間である請求項2記載の方法。
8.(i)が1−オクタデセンであり、(ii)がトリクロロシランであり、そして(i
ii)が2,2′−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)であり、そして圧力が60〜
100psigであり、温度が90〜95℃の範囲であり、反応時間が3〜5時間である請
求項2記載の方法。
9.加熱に先立って反応槽内で反応体が一緒に混合される請求項1から8のいず
れか1項に記載の方法。
10.反応に際してオレフィンとアゾ化合物とがシランに添加される請求項1から
8のいずれか1項に記載の方法。
11.有機シランが(iv)アルキルハロシランであり、また(iv)を(v)アルコールと
反応させて(vi)対応するアルキルアルコキシシランとする工程をさらに包含する
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
12.(iv)がオクチルトリクロロシランであり、(v)がエタノールであり、また(v
i)がオクチルトリエトキシシランである請求項11記載の方法。
13.50%または未満の過剰の式
HaSiRbXc
(式中、Hは水素であり、
Rはアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、オキシシリル、シ
クロアルキルおよびペルハロアルキルからなる群から独立に選択され、
Xは弗素、塩素、臭素または沃素からなる群から選択されるハロゲンであり
、
aは独立に1から3であり、
bおよびcは独立に0から3であり、また
a+b+cは4である)
のシランと、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2′−アゾ
ビス(2−メチルブタンニトリル)および1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカ
ルボニトリル)とからなる群から選択されるアゾ化合物とを50〜200psigの圧力
下でオレフィンに順次添加することからなる有機シランの製造方法。
14.(i)オレフィンを、これと反応させるのに必要な化学量論的な量に対して50
%または未満の過剰で供給される(ii)式
HaSiRbXc
(式中、Hは水素であり、
Rはアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、オキシシリル、シ
クロアルキルおよびペルハロアルキルからなる群から独立に選択され、
Xは弗素、塩素、臭素または沃素からなる群から選択されるハロゲンであり
、
aは独立に1から3であり、
bおよびcは独立に0から3であり、また
a+b+c=4である)
のシランと、(iii)2,2′−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2′
−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)および1,1′−アゾビス(シクロヘキ
サンカルボニトリル)からなる群から選択される少なくとも一つのアゾ化合物と
、(iv)有機シランとの存在で、200psigおよびそれより低い圧力で接触すること
からなる有機シランの製造方法。
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