【発明の詳細な説明】
併用療法を用いたHIVおよび他のウイルス感染の治療
1.発明の技術分野
本発明は、1995年6月7日に提出された整理番号08/481,957の一部継続であ
る。
本発明は、新規な併用療法を用いた、ウイルス感染、特にHIV感染の治療
方法に関する。この新規な併用療法は、ペプチドDP-178、DP-107、またはその断
片、類似体および/または相同体のいずれかと、少なくとも1種の他の治療剤と
を用いる。
DP-178は、HIV−1LAI膜貫通タンパク質(TM)gp41の638番目〜673番目
のアミノ酸に相当するペプチドである。DP-178には、DP-178の部分、類似体およ
び相同体が含まれ、それらの全ては抗ウイルス活性を示す。抗ウイルス活性とし
ては、非感染CD−4+細胞へのHIVの伝播の阻害が挙げられるが、それらに
限定されない。さらに、本発明は、ヒトおよび非ヒトの双方における非感染細胞
へのレトロウイルス、特にHIVの伝播の阻害剤としてのDP-178およびDP-178断
片および/または類似体または相同体の使用に関する。本発明は、さらに、他の
包膜ウイルス中に存在するHIV−1LAIの膜貫通タンパク質(TM)gp41の55
8〜595番目のアミノ酸に対応するペプチドである、抗ウイルス性ペプチドDP
-107に関する。さらに詳細には、本発明は、ウイルス感染、特に
HIV感染を治療するための、他の治療剤と組合せたDP-107、断片および/また
は類似体または相同体の使用に関する。さらに、本発明は、DP-178またはDP-107
と、少なくとも1種の他の治療剤とを含有する新規な医薬組成物を包含する。
2.発明の技術背景
2.1. ヒト免疫不全ウイルス
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、病原性レトロウイルスであり、後天性
免疫不全症候群(AIDS)およびその関連疾患の原因病原体である(Barre-Sin
ossi,F.ら、1983,Science 220:868-870;Gallo,R.ら、1984,Science 224:500
-503)。HIVには少なくとも2種類の異なる型がある。すなわち、HIV−1
(Barre-Sinossi,F.ら、1983,Science 220:868-870;Gaqllo,R.ら、1984,Scie
nce 224:500-503)およびHIV−2(Clavel,F.ら、1986,Science 223:343-346
;Guyader,M.ら、1987,Nature 326:662-669)。さらに、これらの型の各々の集
団には多くの遺伝的異種が存在する。HIVウイルスによるヒトCD−4+Tリ
ンパ球の感染は、この細胞型の枯渇を引き起こし、ついには日和見感染、神経性
機能不全、新生物の増殖および早死を招く。
HIVは、レトロウイルスのレンチウイルス群の1つである(Teich,N.ら、198
4; RNA Tumor Viruses,Weiss,R.ら編、CSH-press,pp.949-956)。レトロウイス
ルは、二倍体、一本鎖RNAゲノムを含有する小さな包膜ウイルスであり、
ウイルスによってコードされる逆転写酵素(すなわち、RNA依存性DNAポリ
メラーゼ)により生産されるDNA中間体により複製される(Varmus,H,1988,S
cience 240:1427-1439)。他のレトロウイルスとしては、例えば、ヒトT細胞白血
病ウイルス(HTLV-1、-II、-III)およびネコ白血病ウイルス等の癌ウイルスが
挙げられる。HIVウイルス粒子は、p24およびp18と命名されたタンパク
質から作られるウイルス・コアから構成される。ウイスル・コアは、ウイルスR
NAゲノムおよび複製事象に必要な酵素を含有する。ミリスチル化gagタンパク
質は、ウイルス・コアの周りにあるウイルス外殻を形成し、それは、さらに、感
染した細胞膜に由来する脂質膜エンベロープで包囲されている。HIVエンベロ
ープ表面の糖タンパク質は、単一の160kbの前駆体タンパク質として合成さ
れ、この前駆体タンパク質は、ウイルスが2種の糖タンパク質であるgp41お
よびgp120中に出芽する際に、細胞性プロテアーゼによって切断される。g
p41は、膜貫通タンパク質であり、gp120は、おそらくは三量体または多
量体の形態でgp41と非共有的に結合したままの細胞外タンパク質である(Ham
merwskjold,M.およびRekosh,D.,1989,Biochem.Biophys.Acta 989:269-280)。
HIVは、CD−4+Tリンパ球を標的とする。その理由は、CD−4の表
面のタンパク質が、HIV−1ウイルスの細胞側受容体として作用するからであ
る(Dalgleish,A.ら、1984,Nature 312:767-768,Maddonら、1986,Cell
47:333-348)。ウイルスの細胞へ進入は、細胞側のCD−41受容体分子に結合
しているgp120に依存し、一方、gp41は、ウイルス膜にあるエンベロー
プ糖タンパク質に固定されており(McDougal,J.S.ら、1986,Science 231:382-3
85;Maddon,P.J.ら、1886,Cell 47:333-348)、このようにして、HIVのCD
4+細胞に対する親和性が説明される。
2.2. HIV治療
HIV感染は汎流行性であり、HIV関連疾患は重大な世界的な健康問題を
となっている。有効な治療学の好結果の設計にかなりの努力がなされているが、
現在のところ、AIDSに対して治療可能な抗レトロウイルス剤は全く存在して
いない。そのような薬剤を開発する試みにおいて、ウイルスの生活環の幾つかの
段階が、治療の介在(intervention)の標的として考えられてきた(Mitsuya,H.ら
、1991,FASEB J.5:2369-2381)。介在は、細胞膜へのHIVの結合、HIVの
RNAゲノムのDNAへの逆転写または宿主細胞からのウイルスの排出、および
新規な細胞標的の感染を潜在的に阻害することができた。
HIV感染の最も初期の段階で、細胞へのウイルスの進入を阻害する薬剤の
開発が試みられてきた。ここにおいて、HIVに対する細胞表面受容体であるC
D−4+が注目されている。例えば、組換えた可溶性のCD−4は、ウイルス粒
子が細胞膜に埋没しているCD−4分子と出会う前にそのウイルス粒子に結合す
ることによってHIV感染性を遮断することがわかっている(Smith,D.H.ら、198
7,Science 238:1704-1707)。特定の主なHIV−1の単離物は、組換えCD−4
による阻害に対して比較的感受性が低い(Daar,E.ら、1990,Ann.Int.Med.112
:247-253)。さらに、組換え可溶性CD−4の臨床試験からは、決定的な結果は
得られていない(Schoolvey,R.ら、1990,Ann.Int.Med.112:247-253;Kahn,J.O.
ら、1990,Ann.Int.Med.112:254-261;Yarchoan,R.ら、1989,Proc.Vth In
t.Conf.on AIDS,p564,MCP 137)。
AZT、ddI、ddCおよびd4T等の2‘,3’−ジデオキシヌクレオ
シド類似体を含むウイルスのコード化された逆転写酵素を標的とする薬剤が開発
されており、それらもHIVに対して活性であることがわかっている(Mitsuya,H.
ら、1991,Science 249:1553-1544)。これらのヌクレオシド類似体は有益である
とはいえ、治療効果はなく、これは、おそらくは、薬剤耐性HIV突然変異体が
すぐに出現することによる(Lander,B.ら、1989,Science 243:1731-1734)。さら
に、これらの薬剤は、骨髄抑制、嘔吐および肝機能不全等の毒性のある副作用を
示す。
HIV複製の後期には、特定のウイルスタンパク質の非常に重要なウイルス
特異性二次プロセシングが含まれ、これもまた抗HIV薬剤の標的として示唆さ
れている。後期プロセシングは、ウイルスプロテアーゼの活性に依存しており、
このプロテアーゼを阻害する薬剤が開発されつつある(Erikson,J.1990,Scienc
e
249:527-533)。これらの候補薬剤の臨床結果は、依然として問題のままである。
HIV感染治療用ワクチンの開発も注目されている。HIV−1エンベロー
プ・タンパク質(gp160、gp120、gp41)は、AIDS患者に存在する抗HIV抗体
に対する主な抗原であることがわかっている(Barinら、1985,Science 228:1094
-1096)。これまでは、これらのタンパク質は、抗HIV発生に対する抗原として
作用する最も有力な候補であると考えられている。そのため、幾つかのグループ
が、gp160、gp120および/またはgp41の様々な部分を、宿主免疫系に対する免疫
原性の標的として使い始めている。例えば、Ivanoff,L.ら、米国特許第5,141,8
67号;Saith,G.ら、国際特許 92/22,654号;Schafferman,A.国際特許 91/09,87
2号;Formoso,C.ら、国際特許 90/07,119号を参照されたい。しかし、これらの
候補ワクチンに関する臨床的結果は、依然として見通しが暗い。
近年、ウイルス感染の治療のために、一般的な免疫応答を誘導する二本鎖R
NAが、インターフェロン、AZTおよびホスホノホルメート等の抗ウイルス剤
と組合せて用いられている。Carter,W.ら、米国特許第4,950,652号を参照された
い。さらに、HIVの治療のために、ピリミジンヌクレオチド類似体とウリジン
ホスホリパーゼ阻害剤とを組合せた治療が開発されている(Sommadossi,J.P.ら、
米国特許第5,077,280号を参照)。これらの特別な治療は有益であることがわかっ
ているかもしれないが、アジドチミジン(AZT)とリバビリンを用いてin vit ro
で実証されているように、一般に併用治療は、拮抗作用に対して潜在
的可能性を有している。米国特許第4,950,652号を参照されたい。さらに、併用
治療は、大部分の抗HIV治療に対して高い毒性を示し、かつそれら自体の効果
は低レベルであるという潜在的な問題を含む。したがって、効果的であるが非毒
性である併用治療が必要とされている。
本発明は、ウイルス融合阻害剤(DP-178およびDP-107等)を他の抗ウイルス
剤と組合せて使用することに基づく新規な併用治療を提供する。DP-178およびDP
-107は、ウイルスが細胞と融合しないようにする、という点において、共に新規
な治療剤(therapeutics)であり、このことによって、細胞がウイルスの細胞伝播
するのを非常に効果的に防止する。さらに、DP-178およびDP-107は、in vitroお
よび動物での研究から非毒性であることが明らかになっている。本発明は、初め
て報告される、他の抗ウイルス剤または他の治療剤と組合せたそのようなペプチ
ドの使用を提供する。
3.発明の開示
本発明は、有効量のDP-178またはその製剤上許容可能な誘導体を、少なくと
も1種の他の治療剤と組合せて投与することによる、ヒトを含む哺乳動物におけ
るウイルス感染、特にHIV感染の治療または予防方法に関する。
本発明は、さらに、有効量のDP-107またはその製剤上許容可能な誘導体を、
少なくとも1種の他の治療剤と組合せて投与することによる、ヒトを含む哺乳動
物におけるウイルス感染、特にHIV感染の治療または予防方法に関する。
さらに詳細には、本発明は、有効量のDP-107、DP-178、またはその製剤上許
容可能な誘導体を、少なくとも1種の他の抗ウイルス剤と組合せて投与すること
による、ヒトを含む哺乳類におけるウイルス感染の治療または予防方法に関する
。本発明は、例えばDP-107、DP-178、または他の抗ウイルス剤等の活性化剤の、
サイクル治療(cycling therapy)を含む同時または連続的な投与を包含する。サ
イクル治療には、或る一定期間にわたって第1の抗ウイルス性化合物を投与し、
続いて或る一定期間にわたって第2の抗ウイルス性化合物を投与し、この連続し
た投与を繰り返すこと、すなわち、治療剤のうちの1つに対する耐性の発生を低
減するためのサイクルが含まれる。本発明は、DP-107、DP-178またはその製剤上
許容可能な誘導体と、少なくとも1種の他の治療剤との組合せを包含し、該他の
治療剤とは、特には、共働的に作用する(すなわち、薬剤または治療剤単独の場
合よりも良好な)他の抗ウイルス剤である。
本発明は、さらに、DP-178、DP-107またはその製剤上許容可能な誘導体と、
ウイルス融合阻害剤とは異なる作用部位を有する少なくとも1種の他の抗ウイル
ス剤との組合せも包含する。そのような組合せは、これらの治療剤の二重の作用
に基づく改善された治療(剤)を提供し、その組み合わせは共働的であってもよく
、あるいは付加的であってもよい。
本発明は、さらに、有効量のDP-107、DP-178またはその製剤上許容可能な誘
導体を、少なくとも1種の他の治療剤、特に少なくとも1種の他の抗ウイルス剤
と組合せて投与することを含んでなる、ヒトを含む哺乳動物におけるHIV感染
の治療または予防方法にも関する。
本発明の新規な抗ウイルス性組合せは、抗ウイルス活性に必要な薬剤の有効
投与量を低減し、そのことによって毒性を低減するだけでなく、複合的な機構に
よってウイルスを攻撃することによってもたらされる絶対的な抗ウイルス効果を
改善する可能性のある治療手段を提供する。同様に、この新規な抗ウイルス性組
合せは、単一の治療剤に対するウイルスの耐性の発生を回避するための手段を提
供し、そのことによって、臨床研究者にさらに効果の高い治療を提供する。
本発明のもう1つの態様は、ウイルス感染、特にHIV感染の治療または予
防のための医薬組成物および製剤であって、該組成物が、有効量のDP-178、DP-1
07またはその製剤上許容可能な誘導体と、少なくとも1種のさらなる治療剤と、
製剤上許容可能なキャリアとを含有することを特徴とする医薬組成物および製剤
を包含する。
DP-178、DP-107またはその製剤上許容可能な誘導体と組合せて使用べき治療
剤には、広範囲にわたる種々の公知の治療剤が含まれる。好ましくは、この組み
合わせは、DP-107またはDP-178を、異なる攻撃モードを有する薬剤と組合せて用
いる。そのような薬剤としては、サイトカイン(例えば、rIFNα、rIFNβ、rIFN
γ)等の抗ウイルス剤;逆転写酵素の阻害剤(例えば、AZT、3TC、
D4T、ddI)、および他のジデオキシヌクレオシドまたはジデオキシフルオ
ロヌクレオシド;リバビリン(ribavirin)等のウイルスmRNAキャップ形成の
阻害剤;ABT-538およびMK-639等のHIVプロテアーゼの阻害剤;抗HIV活性
を有する脂質結合性分子としてのアムホテリシンB、および糖タンパク質プロセ
シングの阻害剤としてのカスタノスペルミン(castanospermine)が挙げられるが
、それらに限定されない。
このように、本発明は、HIVを含む広域スペクトルのウイルスを治療する
ための改善された抗ウイルス治療法を提供する。
本発明は、さらに、単一薬剤治療剤として用いられる如何なる薬剤と比較し
ても改善された効力を生ずる併用治療も提供する。
さらに、本発明は、DP-178およびDP-107の毒性の低減を可能にする併用治療
、および/またはペプチドと共に用いられる治療剤を提供し、このことによって
、高い治療インデックスを付与する。
本発明は、単一治療に対するウイルスの耐性の発生を回避するための手段を
提供する併用治療を提供する。
0.1.定義
本明細書において、「ウイルス感染」という用語は、ウイルスが健全な細胞に侵
入し、該細胞の生殖機構を用いて増殖又は複製し、最終的には該細胞を溶解して
細胞死に至らしめるとともに、ウイルス粒子の放出、及び新しく産生された子孫
ウイルスによる他の細胞への感染を起こすという病状に用いられる。また、ある
ウイルスによる潜伏感染も、ウイルス感染の結果起こり得る。
本明細書において、「ウイルス感染を治療又は予防する」という用語は、特定の
ウイルスの複製を阻害し、ウイルスの伝播を阻害し、またウイルスが宿主に定着
(establish)するのを予防し、さらにウイルス感染によって引き起こされる疾
患の症状を改善又は軽減するという意味である。ウイルスによる負荷(viral lo
ad)を減少させ、死亡率及び/又は罹患率を減少させる場合、上記処置は、治療
法となると考えられる。
本明細書において、「共働的」という用語は、任意の2以上の個々の薬剤の相加
的な効果以上の効果を奏する組み合わせを意味する。本明細書で用いられる共働
的効果とは、個々の治療でより少ない量(投与量)を用いてウイルス感染を治療
又は予防することができることを意味する。より少ない投与量は、効能を軽減す
ることなく、より低い毒性をもたらす。さらに、共働的効果は、向上した効能、
すなわち向上した抗ウイルス活性をもたらす。最終的には、相乗作用は、任意の
個々の治療に対するウイルス耐性の改善された回避又は減少をもたらすであろう
。DP−178又はDP−107とその他の治療剤との共働的相互作用の測定は、5.5節に
記載された抗ウイルスアッセイから得られた結果に基づくであろう。これらのア
ッセイの結果を、Chou及びTalalayのコンビネーション法(Chou及びTalalay,19
84,Adv.Enzyme Regul.22:27−55)並びに「Dose−Effect Analysis with Mi
crocomputers」ソフトウェアー(Chou及びChou,1987,software及びmanual.p1
9−64.Elsevier Biosoft,Cambridge,UK)を用いて、分析し、コンビネーショ
ンインデックスを得ることができる。コンビネーションインデックス値<1は相
乗作用を示し、コンビネーションインデックス値>1は拮抗作用を示し、コンビ
ネーションインデックス値=1は相加的作用を示す。
また、これらのアッセイの結果を、Pritchard及びShipmanの方法(Pritchard及
びShipman,1990,Antiviral Research 14:181−206)を用いて分析することも
できる。このコンピュータープログラムによる結果の3次元グラフィック分析に
よって、抗ウイルス剤の間の共働的又は拮抗作用的相互作用を測定することがで
きる。
「製剤上許容可能なキャリア」という用語は、活性成分の生物活性作用を妨げず
、化学的に不活性であり、かつ投与される患者に毒性のないキャリア媒質を意味
する。
本明細書において、「製剤上許容可能な誘導体」という用語は、以下の5.1.2節
に記載されたDP−178又はDP−107ペプチドに対応する、抗ウイルス活性を示すと
ともに被験者に比較的毒性のない、いかなる相同体、類似体又はフラグメントを
も意味する。
「治療剤」という用語は、ウイルス感染又はそれによって引き起こされる疾患の
治療を補助する、いかなる分子、化合物又は処置、好ましくは抗ウイルス剤を意
味する。
本明細書において、ペプチドとは、ペプチド結合により共有結合した2以上のア
ミノ酸を含んでなる有機化合物と定義される。ペプチドは、構成アミノ酸の数に
関して用いられる場合もある。すなわち、例えばジペプチドは2個のアミノ酸残
基を含有し、トリペプチドは3個のアミノ酸残基を含有する。10個以下のアミノ
酸を含有するペプチドは、オリゴペプチドと呼ばれ、10個を超えるアミノ酸残基
を含有するペプチドは、ポリペプチドと呼ばれる。
本明細書において定義されるペプチド配列は、以下のようにアミノ酸残基の1文
字記号によって表される。
A(アラニン)
R(アルギニン)
N(アスパラギン)
D(アスパラギン酸)
C(システイン)
Q(グルタミン)
E(グルタミン酸)
G(グリシン)
H(ヒスチジン)
I(イソロイシン)
L(ロイシン)
K(リシン)
M(メチオニン)
F(フェニルアラニン)
P(プロリン)
S(セリン)
T(トレオニン)
W(トリプトファン)
Y(チロシン)
V(バリン)
4.図面の簡単な説明
図1. HIVLAI由来のDP−178(配列番号:1)のアミノ酸配列; HIV−1SF2(
DP−185;配列番号:3)、HIV−1RF(配列番号:4)、及びHIV−1MN(配列
番号:5)由来のDP−178相同体;2種類の原型HIV−2単離体、すなわちHIV−
2rod(配列番号:6)及びHIV−2NIHz(配列番号:7)のアミノ酸配列由来の
DP−178相同体;対照ペプチド:DP−180(配列番号:2)、DP−178のアミノ酸
残基をスクランブル配列(scrambled sequence)に導入するペプチド;HIV−1
無細胞ウイルス感染を阻害する、DP−178と無関係のDP−118(配列番号:10);
DP−178と無関係のDP−125(配列番号:8)はHIV−1無細胞ウイルス感染を阻
害することが既に示された(Wildら.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:
10,537−10,541)。;DP−178と無関係のDP−116(配列番号:9)がHIV−1
感染を阻害しないことは、既に無細胞ウイルス感染アッセイによって示されてい
る(Wildら.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci USA 89:10,537−10,541)。こ
の
図全体を通じて、1文字アミノ酸コードが用いられている。
図2. 合成ペプチドによるHIV−1無細胞ウイルス感染の阻害。IC50は、感染
細胞からのRT産生を未処理対照と比較して50%阻害するペプチドの濃度を意味す
る。対照:処理を施した培養物と同レベルのウイルスを感染させた未処理細胞培
養物により産生されたRTレベル。
図3. 合成ペプチドDP−178(配列番号:1)によるHIV−1及びHIV−2無細
胞ウイルス感染の阻害。IC50:RT産生を未処理対照と比較して50%阻害するのに
必要なペプチドの濃度。対照:処理を施した培養物と同レベルのウイルスを感染
させた未処理培養物によって産生されたRTレベル。
図4. CEM細胞におけるDP−178(配列番号:1)及びDP−116(配列番号:9
)の細胞毒性試験。細胞増殖データを示す。
図5A−C. DP178由来ペプチド抗ウイルスデータ。ここに挙げられているペプ
チドは、HIV−1BRU単離DP178領域を囲む領域に由来する(例えば、gp41アミノ
酸残基615−717)。例えば、DP178点突然変異体を含有するペプチド、突然変異
アミノ酸残基を、影をつけた背景で示す。例えば、試験したペプチドは、(その
ようなペプチド上に見出される標準的なアミド又はアセチル遮断基(blocking g
roup)とは別に)付加又は除去されたアミノ及び/又はカルボキシ末端基を有し
、このような変形が示されている。
図5A. 試験したペプチドの名前のすぐ右隣の縦列には、試験したペプチドの
サイズを示すとともに、該ペプチドがDP178領域を横切る1アミノ酸ペプチド「w
alk」由来であるか否かを示す。右隣の縦列は、試験したペプチドが点突然変異
体を含有するか否かを示す。その右隣の縦列は、あるアミノ酸残基がDP178由来
のアミノ酸配列に付加されるか、又はDP178由来のアミノ酸配列から除去される
か否かを示す。
図5B. 試験したペプチドの名前のすぐ右隣の縦列は、該ペプチドがDP178切形
(truncation)を示すか否かを示す。その右隣の縦列は、該ペプチドが点突然変
異体を含有するか否かを示す。その右隣の縦列は、該ペプチドが、DP178配列自
体に付加されるか、又はDP178配列自体から除去されたアミノ酸を含有するか否
かを示す。
図5C. 試験したペプチドの名前のすぐ右隣の縦列は、試験したペプチドが点
突然変異体を含有するか否かを示す。その右隣の縦列は、アミノ酸残基がDP178
配列自体に付加されるか、又はDP178配列自体から除去されるか否かを示す。
図6. DP107及びDP107 gp41領域切形ペプチド抗ウイルスデータ。図Cで定義さ
れたIC50、及びIC50値は、アステリスク(★)を付けたもの除き、精製したペプ
チドを用いて得られた。アステリスク(★)を付けたものの場合には、IC50は、
粗ペプチド調製物を用いて得られた。
図7. シミアン免疫不全症ウイルス(SIV)TM(融合)タンパク質DP178様領域
抗ウイルスデータ。「NT」は試験しなかったことを表す。
5.発明の詳細な説明
本発明は、有効量のDP-107、DP-178またはその製剤上許容される誘導体および
有効量の少なくとも1つの他の治療剤を投与することを含む、ヒトを含む哺乳動
物のHIV感染を治療する方法に関する。好ましくは、該治療剤は別の抗ウイル
ス剤である。
本発明はウイルス感染、特にHIV感染に対して改良された治療を提供する。
具体的には、本発明は有効量のDP-178、DP-107またはその製剤上許容される誘導
体およびウイルス性疾患の治療に使用できる広範な抗ウイルス化合物の少なくと
も1メンバーからなる、HIV感染の治療のための共働的組合わせを提供する。
DP-178、DP-107またはその製剤上許容される誘導体は、好ましくはレトロウイル
ス阻害剤、ウイルスプロテアーゼ阻害剤、サイトカインまたはサイトカイン阻害
剤、またはウイルス融合阻害剤と組み合わせて使用される。本発明の組合わせは
、ウイルス活性を阻止し、ウイルス発現を阻止し、またはウイルス伝播を阻止す
るのに十分な量で投与される。
本発明の方法は、DP-178、DP-107および少なくとも他の1つの治療剤を共在的
に(例えば混合物として)、別々に、しかし同時に、または併用して;または連
続的に投与する、繰り返し療法(cycling therapy)を含む組合せ療法を包含す
る。繰り返し療法は、療法の1つに対する耐性の発生を減少させるため、第1の
抗ウイルス化合物を一定期間投与し、その後第2の抗ウイルス化合物を一定期間
投与し、この連続投与(すなわちサイクル)を繰り返すことからなる。本発明は
また、両ウイルス融合阻害剤DP-107およびDP-178またはその誘導体が他の抗ウイ
ルス剤と組み合わせて使用されるように、本発明の第1のペプチドを投与し、そ
の後別の抗ウイルス剤を投与し、次に本発明の別のペプチドを投与する、等から
なる繰り返し療法をも包含する。本発明はまた、上記ペプチドの組合せ、例えば
、DP-178と組み合わせたDP-107の使用をも包含する。
DP-178、DP-107またはその製剤上許容される誘導体および1以上の治療剤を「
組み合わせた」投与は、両方の作用物質が治療用混合物として共に投与される提
示、およびまた2つの作用物質が別々に、しかし同時に(例えば、同一の患者へ
の別個の静脈ラインを経て)投与される手順をも含む。「組み合わせた」投与
はさらに、最初に投与される薬剤、およびその後の第2の薬剤に分けた投与をも
包含する。
本出願人の新規な療法は、ウイルス融合およびウイルスの細胞から細胞への伝
播を阻止するペプチドの別の治療剤と組み合わせた使用を含む。学説によって制
限されることなく、本発明は、HIVは感染の初日から1日24時間複製を行なっ
ていると思われる、という考えに部分的に基づいている。したがって、ウイルス
感染の異なった複数の段階において抗ウイルス治療を用いることは有益であり得
る。
本明細書に開示する組合せは、異なる作用標的を有する抗ウイルス剤と組み合
わせた、ウイルス感染の第1段階で作用するウイルス融合阻害剤の第1の公知使
用を提供する。
DP-178およびDP-107の作用部位はウイルスの表面で、これらは遊離ウイルスの
宿主細胞への感染およびウイルスの細胞−細胞伝播を妨げる。したがって、学説
によって制限されることなく、出願人は、異なる作用標的または作用機構を有す
る1以上の薬剤を組み合わせて用いたDP-178またはDP-107は、付加的または共働
的効果をもたらすと信じる。本発明の組合せは、採用される薬剤がより低い、よ
り毒性の少ない濃度で使用される点で有利である。組合せ療法は抗ウイルス活性
に必要な有効用量を減らし、それによってその毒性を減少させることができるば
かりでなく、複数の作用機構によりウイルスを攻撃した成果としての絶対抗ウイ
ルス効果を向上させることもできる。最後に、本発明の組合せはまた、ウイルス
の耐性が発生するチャンスを妨げる、または減少させる手段を提供する。
DP-178および/またはDP-107と組み合わせて使用すべき好ましい治療は、ウイ
ルスに対する5つの異なる攻撃様式、すなわち逆転写酵素の阻害、ウイルスmR
NAキャッピングの阻害、HIVプロテアーゼの阻害、タンパク質グリコシル化
の阻害およびウイルス融合の阻害を含むが、これらだけに限定されない。これら
の攻撃様式を採用する作用物質は、サイトカイン等の抗ウイルス剤、例えばrIFN
α、rIFNβ、rIFNγ;AZT、3TC、D4T、ddI およびジデオキシフルオロヌクレオ
シド等の逆転写酵素阻害剤;リバビリン等のウイルスmRNAキャッピング阻害
剤;ABT-538 およびMK-639等のHIVプロテアーゼ阻害剤;抗HIV活性を有す
る脂質結合分子としてのアンホテリシンB;および糖タンパク質プロセシング阻
害剤としてのカスタノスペルミン(castanospermine)を含むが、これらだけに
限定されない。
5.1. DP-178 またはDP-107を用いたHIVの治療
5.1.1. DP-178 およびDP-107ペプチド
DP-178およびDP-107は、ウイルス融合を阻止することにより強力な抗ウイルス
活性を示すペプチドである。これらのペプチドは、DP-178、gp41由来の36アミノ
酸ペプチド、DP-178の断片および/または類似体、およびDP-178のペプチド相同
体を含む。さらに、これらのペプチドには、HIV−1LAI膜貫通 gp41 タンパ
ク質の残基558 〜595 に対応する38アミノ酸ペプチドであるDP-107に類似してい
て、かつ他の包膜ウイルスタンパク質に存在する、抗ウイルス活性を示すペプチ
ドが含まれる。本発明のペプチドの非ヒトおよびヒトのレトロウイルス(特にH
IV)伝播阻害剤としての使用は、本明細書中および1993年6 月7 日出願の米国
特許出願第08/073,028号、1994年6 月23日出願の米国特許出願第08/264,531号、
1994年6 月 7日出願の米国特許出願第08/255,208号、1994年12月20日出願の米国
特許出願第08/360,107号、1995年1 月27日出願の米国特許出願第08/374,666号、
1995年6 月 6日出願の米国特許出願第08/470,896号および1995年6 月 7日出願の
米国特許出願第08/485,264号に詳述されており、これらは参考としてその全体を
ここに組み入れてある。
いずれの機能学説にも制限されないが、DP-178の強力な抗ウイルス活性を説明
するため以下のモデルを提案する。すなわち、ウイルスタンパク質 gp41 におい
て、DP-178は gp41 エクトドメイン(ectodomain)のC末端に位置する推定上のα
らせん領域に相当し、そして相互作用構造がロイシンジッパー(zipper)モチーフ
(DP-107と呼ばれる超らせん構造)によって影響される gp41 の遠位部位と会合
すると思われる。これら2つのドメインの会合は、融合プロセスに密接に関与す
る分子結合または「分子クラスプ(clasp)」を表している可能性がある。ロイシ
ンジッパーモチーフは膜融合に関与し、他方C末端αらせんモチーフはウイルス
に誘導される膜融合の間、該ロイシンジッパーの利用可能性を調節する分子安全
機構として働くのかもしれない。
ペプチドとして合成すると、DP-107およびDP-178は両方とも、恐らくウイルス
gp41 と複合体を形成し、その融合誘導プロセスを妨げる能力により、HIV感
染および融合の強力な阻害剤である。例えば、ウイルスタンパク質が天然構造か
ら融合誘導状態へ移行する間、DP-107およびDP-178ペプチドはウイルス gp41 上
にあるそれぞれの結合部位に接近することができ、そして破壊的影響を及ぼすの
かもしれない。
gp41のエクトドメインに相当し、DP-107およびDP-178両領域を含む、端を切っ
た組換え gp41 タンパク質(gp41の融合ペプチド、膜貫通領域および細胞質領域
を除く)は、HIV−1に誘導される融合を阻害しなかった。しかし、DP-107ド
メインの超らせん構造を破壊する1つの突然変異(DP-107ペプチドの生物活性の
完全な喪失をもたらす突然変異)を導入した時、該非活性な組換えタンパク質は
HIV−1に誘導される融合の活性な阻害剤に形質転換された。この形質転換は
、ロイシンジッパーDP-107との分子クラスプからの強力なDP-178ドメインの開放
によるものかもしれない。
本発明のペプチドDP-178は、HIV−1LAI分離株由来の膜貫通タンパク質 gp
41 の残基638 〜673 に対応し、下記の36アミノ酸配列(アミノ末端からカルボ
キシ末端へ読む)を有する:
DP-178は、本出願人の同時係属中の1995年6 月 6日出願の米国特許出願第08/4
70,896号、1995年1 月27日出願の第08/374,666号、1994年6 月24日出願の第08/2
64,531号、および1994年 6月 7日出願の第08/255,208号にも記述されている。こ
れらは、参考としてその全体をここに組み入れている。
全長DP-178(配列番号1)36量体に加えて、本発明のペプチドは抗ウイルス活
性を示す、DP-178(配列番号1)の端を切ったペプチドも包含する。このような
端を切ったDP-178(配列番号1)ペプチドは、3〜36アミノ酸からなるペプチド
(すなわち、トリペプチドから36量体ポリペプチドまでの大きさのペプチド)を
含むことができ、そして下記の表IおよびIIに記載のペプチドを含みうるがそれ
らだけに限定されない。これらの表のペプチド配列は、アミノ末端(左)からカ
ルボキシ末端(右)へ記載されている。"X" はアミノ基(-NH2)を、"Z" はカルボ
キシル基(-COOH)を表しうる。または、以下の記述するように、"X" および/ま
たは"Z" は、疎水基、アセチル基、FMOC基、アミノ基、または共有結合した巨大
分子を表しうる。
DP-107は、HIV−1LAI膜貫通(TM)gp41タンパク質の残基558 〜595 に対
応する38アミノ酸ペプチドで、強力な抗ウイルス活性を示す。DP-107はHIV−
1由来の抗ウイルス性ペプチドで、他の非HIV−1包膜ウイルス中にも見いだ
される。DP-107は、本出願人の同時係属中の1995年6 月 6日出願の米国特許出願
第08/470,896号、1995年1 月27日出願の第08/374,666号、1994年6 月23日出願の
第08/264,531号、および1994年6 月 7日出願の第08/255,208号により詳しく記述
されている。これらは、参考としてその全体をここに組み入れている。
DP-107またはDP-178末端切断ペプチドのアミノ酸の欠失もまた本発明の範囲内
にある。このような欠失は、得られるペプチド配列の長さの下限を4〜6アミノ
酸として、DP-107またはDP-107に類似したペプチド配列から1個以上のアミノ酸
を除去することからなる。このような欠失は、ペプチド配列の1個の連続した部
分、または2個以上の別個の部分を含みうる。1つ以上のこのような欠失は、そ
の欠失が本明細書に記載の107x178x4 、ALLMOTI5またはPLZIP サーチモチーフに
よって依然として認識され得るペプチド、または抗融合誘導または抗ウイルス活
性を示すペプチド、または超らせんペプチド構造に関与する細胞内プロセスを変
調する能力を示すペプチドをもたらす限り、DP-107またはDP-107の末端切断ペプ
チドに導入することができる。
DP-107およびDP-107の末端切断ペプチドは、参考としてその全体をここに組み
入れる、本出願人の同時係属中の1995年1 月27日出願の米国特許出願第08/374,6
66号により詳しく記述されている。
一文字表記のアミノ酸コードを使用する。
さらに、
“X”はアミノ基、カルボベンゾキシル、ダンシル、またはT−ブチロキシカ
ルボニルを含む疎水基;アセチル基;9−フルオレニルメトキシカルボニル(F
MOC)基;脂質−脂肪酸複合体、ポリエチレングリコール、または炭水化物を
含む巨大分子担体基を表しうるが、これらだけに限定はされない。
“Z”はカルボキシル基;アミド基;T−ブチロキシカルボニル基;脂質−脂
肪酸複合体、ポリエチレングリコール、または炭水化物を含む巨大分子担体基を
表しうるが、これらだけに限定はされない。
一文字表記のアミノ酸コードを使用する。
さらに、
“X”はアミノ基、カルボベンゾキシル、ダンシル、またはT−ブチロキシカ
ルボニルを含む疎水基;アセチル基;9−フルオレニルメトキシカルボニル(F
MOC)基;脂質−脂肪酸複合体、ポリエチレングリコール、または炭水化物を
含む巨大分子担体基を表しうるが、これらだけに限定はされない。
“Z”はカルボキシル基;アミド基;T−ブチロキシカルボニル基;脂質−脂
肪酸複合体、ポリエチレングリコール、または炭水化物を含む巨大分子担体基を
表しうるが、これらだけに限定はされない。
5.1.2. DP-178 およびDP-107類似体および相同体
本発明の抗ウイルスペプチドは、DP-178(配列番号:1)配列、または1個以
上のアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失したDP-178末端切断配列からな
るペプチドを含む、DP-178および/またはDP-178末端切断物の類似体をもまた包
含するがこれらだけに限定はされない。以下に述べるように、DP-178相同体の類
似体もまた本発明の範囲にある。本発明のDP-178類似体は抗ウイルス活性を示し
、さらには例えば生物活性および/または安定性の向上、または宿主免疫認識の
減少というような追加的な有益な特徴を有する。
HIV-1およびHIV-2包膜蛋白は構造的に異なっているが、HIV-1およびHIV-2
のDP-178−対応領域内に際立ったアミノ酸保存が存在する。アミノ酸保存は構造
および/または機能の何らかの保存を示唆する、しばしば起こる自然作用である
。従って、アミノ酸置換の可能性のある一クラスは、本発明のDP-178ペプチドの
構造を安定化することが予想されるアミノ酸変化を含むだろう。
アミノ酸置換には同類性(conserved)または非同類性(non-conserved)があり
うる。同類アミノ酸置換は、DP-178(配列番号:1)ペプチド配列の1個以上の
アミノ酸の類似の電荷、大きさ、および/または疎水性のアミノ酸への置換、例
えばグルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換からなる。唯一の同類
置換がなされたとき、生じたペプチドはDP-178(配列番号:1)またはそれに由
来するDP-178ペプチドと機能的に等価である。非同類置換は、DP-178(配列番号
:1)ペプチド配列の1個以上のアミノ酸の非類似の電荷、大きさ、および/ま
たは疎水性のアミノ酸への置換、例えばグルタミン酸(E)のバリン(V)への
置換からなる。
アミノ酸挿入は、単一アミノ酸残基の複数の挿入、または長さ2から15アミノ
酸残基である一続きの残基の複数の挿入からなる。1か所以上の挿入がDP-178(
配列番号:1)、DP-178断片、類似体および/またはDP-178相同体に導入されう
る。
DP-178(配列番号:1)、DP-178断片、類似体および/またはDP-178相同体の
欠失もまた本発明の範囲である。そのような欠失は、得られるアミノ酸の長さの
下限が4〜6アミノ酸として、DP-178またはDP-178に類似したペプチド配列から
の1個以上のアミノ酸を除去することからなる。このような欠失は、ペプチド配
列の1個の連続した部分、または2個以上の別個の部分を含みうる。
本発明のペプチドはさらに抗ウイルス活性を示すDP-178(配列番号:1)およ
び/またはDP-178末端切断物の相同体をもさらに含みうる。そのようなDP-178相
同体は、そのアミノ酸配列がDP-178(配列番号:1)が由来するgp41ペプチド領
域に対応する他の(すなわち、HIV-LAI以外の)ウイルスのペプチド領域のアミ
ノ酸からなるペプチドである。そのようなウイルスは、他のHIV-1分離株、HIV-
2分離株を含みうるが、これらだけに限定はされない。他の(すなわち、非HIV-L AI
)HIV-1分離株の対応するgp41ペプチドに由来するDP-178相同体は、例えば以
下に示すペプチド配列を含みうる。
配列番号:3(DP−185)、配列番号:4、および配列番号:5は HIV-1SF2
、HIV-1RF、およびHIV-1MN分離株にそれぞれ由来する。下線を付したアミノ酸
残基はDP-178(配列番号:1)ペプチドの対応する位置と異なっている残基をい
う。そのような一つのDP-178相同体、DP-185(配列番号:3)は、後記第6節に
提示する実施例に記載される。そこではDP-185(配列番号:3)が抗ウイルス活
性を示すことが実証されている。本発明のDP-178相同体は、上述ような末端切断
物、アミノ酸置換、挿入、および/または欠失をもまた含みうる。
さらに、図1に示すように、際立った類似性がDP-178配列に対応するHIV-1お
よびHIV-2分離株の領域内に存在する。HIV-2NIHZ分離株に由来するDP-178相同
体は36アミノ酸を有する(アミノ基末端からカルボキシ末端へ読む):
表III および表VIは、3から36アミノ酸残基のペプチド(すなわち、サイズが
トリペプチドから36量体ポリペプチドの範囲にあるペプチド)を含みうる。HIV-
2NIHZDP-178 相同体の幾つかの可能性の末端切断物を示す。これらの表中のペ
プチド配列はアミノ末端(左)からカルボキシ末端(右)方向に記載されている
。“X”はアミノ基(−NH2)を表し、Z”はカルボキシル基(−COO
H)基を表す。また、表の下に記載するように、“X”および/または“Z”は
、疎水基、アセチル基、FMOC基、アミド基、または共有結合した巨大分子を
表しうる。
一文字表記のアミノ酸コードを使用する。
さらに、
“X”はアミノ基、カルボベンゾキシル、ダンシル、またはT−ブチロキシカ
ルボニルを含む疎水基;アセチル基;9−フルオレニルメトキシカルボニル(F
MOC)基;脂質−脂肪酸複合体、ポリエチレングリコール、または炭水化物を
含む巨大分子担体基を表しうるが、これらだけに限定はされない。
“Z”はカルボキシル基;アミド基;T−ブチロキシカルボニル基;脂質−脂
肪酸複合体、ポリエチレングリコール、または炭水化物を含む巨大分子担体基を
表しうるが、これらだけに限定はされない。
一文字表記のアミノ酸コードを使用する。
さらに、
“X”はアミノ基、カルボベンゾキシル、ダンシル、またはT−ブチロキシカ
ルボニルを含む疎水基;アセチル基;9−フルオレニルメトキシカルボニル(F
MOC)基;脂質−脂肪酸複合体、ポリエチレングリコール、または炭水化物を
含む巨大分子担体基を表しうるが、これらだけに限定はされない。
“Z”はカルボキシル基;アミド基;T−ブチロキシカルボニル基;脂質−脂
肪酸複合体、ポリエチレングリコール、または炭水化物を含む巨大分子担体基を
表しうるが、これらだけに限定はされない。
5.1 3. DP-178 およびDP-107の調製
本発明のペプチドは当分野で良く知られた技術によって合成または調製しうる
。例えば、参考としてその全体をここに組み入れる、Creighton,1983,Protein
s: Structures and Molecular Principles,W.H.Freeman and Co.,NYを参照。
例えば、短いペプチドは固相でも、溶液中でも合成することができる。より長い
ペプチドは組み換えDNA手法を用いて作製されうる。ここで、本発明のペプチ
ドをコードするヌクレオチド配列は合成され得、および/または当業者によく知
られた技術によってクローン化し、発現されうる。例えば、Sambrook et al.,1
989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Vols.1-3,Cold Spring Harb
or Press,NYを参照。
本発明のペプチドは、代わりとして、ペプチドのアミノ酸残基を連結する1以
上の結合が、非ペプチド結合であるように合成されうる。これらの代わりとなる
非ペプチド結合は、当業者によく知られた反応を用いて形成され得、2、3名前
を挙げればイミノ、エステル、ヒドラジド、セミカルバジド、およびアゾ結合を
含みうるが、これらだけに限定はされない。本発明の別の態様では、上記の配列
を含むペプチドはそのアミノ末端および/またはカルボキシ末端に、例えば、ペ
プチドの安定性、生物活性、および/または阻害活性を高めるように、付加的な
化学基を付けて合成されうる。例えば、カルボベンゾキシル、ダンシル、または
t−ブチロキシカルボニル基のような疎水基をペプチドのアミノ末端が付加され
うる。同様に、アセチル基または9−フルオレニルメトキシ−カルボニル基をペ
プチドのアミノ末端を置いてもよい(上記の表I〜IV中の“X”を参照)。さ
らに、疎水基、t−ブチロキシカルボニル、またはアミド基がペプチドのカルボ
キシ末端に付されうる(上記の表I〜IV中の“Z”を参照)。さらに、本発明
のペプチドはその立体配置が変化するように合成されうる。例えば、通常のL−
アイソマーよりはむしろ、該ペプチドの1個以上のアミノ酸残基のD−アイソマ
ーが用いられうる。さらには、本発明のペプチドの少なくとも1個以上のアミノ
酸残基は、良く知られた非天然に起こるアミノ酸残基の1個で置換されうる。こ
のような代替物は本発明のペプチドの安定性、生物活性、および/または阻害活
性を高めるのに役立つ。
上記のいずれのペプチドも、付加的に、そのアミノ末端および/またはカルボ
キシ末端に共有結合させた非ペプチドの巨大分子担体基を有しうる。そのような
巨大分子担体基には、例えば、脂質−細胞酸結合体、ポリエチレングリコール、
または炭水化物を含まれる。DP-178およびDP-107の類似体および相同体は、参考
としてその全体をここに組み入れる、本出願人の同時係続中の1993年6 月7 日出
願の米国特許出願第08/073,028号、1994年12月20日出願の第08/360,107号に十分
に記述されている。
5.1 4. 本発明のペプチドの治療的用途
本発明のDP-178(配列番号:1)ペプチド、およびのDP-178断片、類似体、お
よび相同体は、強力な抗ウイルス活性を示す。本発明のDP-107- 類似およびDP-1
78- 類似ペプチドは、好ましくは抗ウイルス活性を示す。よって、当該ペプチド
は特に非感染細胞に伝搬するヒトおよび非ヒトウイルスおよびレトロウイルス、
特にHIVの阻害剤として使用されうる。
本発明のペプチドによってその伝搬が阻害されうるヒトレトロウイルスは、H
IV−1およびHIV−2の全株、およびヒトT−リンパ球ウイルス(HTLV
−I およびII)を含みうるが、これらだけに限定はされない。本発明のペプチド
によってその伝搬が阻害されうる非ヒトレトロウイルスは、ウシ白血症ウイルス
、ネコ肉腫および白血病ウイルス、サル免疫不全症、肉腫および白血病ウイルス
、およびヒツジ進行性肺炎ウイルスが含みうるが、これらだけに限定はされない
。
本発明のペプチドによってその伝搬が阻害されうる非レトロウイルスは、呼吸
性多核性ウイルス、イヌジステンパーウイルス、ニューキャッスル病ウイルス、
ヒトパラインフルエンザウイルス、およびインフルエンザを含みうるが、これら
だけに限定はされない。
本発明はさらに、組合わせ療法で該ペプチドを用いる上記レトロウイルスおよ
び非レトロウイルスの治療を包含する。
5.2. DP-178 またはDP-107との組み合わせで使用すべき抗ウイルス剤
本発明によれば、DP-178またはDP-107、ウイルス融合阻害剤は、達成される抗
ウイルス効果を高めるために、他の治療剤と組み合わせて使用されうる。好まし
くは、DP-178またはDP-107は他の抗ウイルス剤と組み合わせて使用されうる。DP
-178またはDP-107と共に使用されうるそのような追加的な抗ウイルス剤は、例え
ば逆転写酵素阻害剤、ウイルスプロテアーゼ阻害剤、グリコシル化阻害剤のよう
なウイルス複製に関与する異なる標的分子に機能しうるもの;ウイルス伝搬に関
与する異なる標的分子に作用するもの;同一分子の異なる遺伝子座に作用するも
の;およびウイルス耐性の発生を阻害し、減少させるものが含まれるが、これら
だけに限定はされない。当業者は上記の活性モードを示す広範囲の抗ウイルス療
法を知っているだろう。
DP-178またはDP-107または製剤上許容されるその誘導体は、ヌクレオシド誘導
体のようなレトロウイルス阻害剤と組み合わせて使用されうる。ヌクレオシド誘
導体は、RNAおよびDNAの構築障害であるプリンおよびピリミジンヌクレオ
シドの改良された形態である。強力な抗−HIV薬剤として研究中のヌクレオシ
ド誘導体の多くは、全ゲノムが転写される前にウイルスDNA複製物がプレマチ
ュアな終止反応となる。これらの誘導体は続くヌクレオシドに結合できる3’置
換を欠いており、鎖伸長が停止する。3’アジド−3’−チミジン(AZT)お
よびジデオキシイノシン(ddI)のようなヌクレオシド誘導体がHIV−1複
製物のインビトロまたはインビボ両方における阻害剤として利用された。ヌクレ
オシド類似体は、現在唯一HIV感染およびAIDSの治療に対する認可された
治療剤である(Fischl et al.,1987 N.Engl.J.Med.317,185-191;Mitsuya
and Broder,1987 Nature 325,773-778)。このクラスの化合物は逆転写酵素を
阻害することによってcDNA合成をブロックし(Mitsuya とBrodder,1987)、
これらの阻害剤はHIV-1の感染サイクルに初期に働き、T−セルゲノムへの進入
を阻害する。しかしながら、AZT療法は、耐性HIV株の発生へと導き(Lard
er 1989,1991,Ibid.)、長期間の治療下にあるAIDS患者に毒性を示す(Fischl
et al.,1987,N.Engl.J.Med.317:185-191; Creagh-Kirk,et al.,1988,J
.
A.M.A.260 : 3045-3048)。
さらに、DP-178またはDP-107またはその製剤上許容される誘導体は、ヌクレオ
シド誘導体、たとえば2',3'-ジデオキシアデノニン(ddA);2',3'-ジデオキシグア
ノニシン(ddG);2',3'-ジデオキシイノシン(ddI);2',3'-ジデオキシシチジン(ddC
); 2',3'- ジデオキシチミジン(ddT);2',3'-ジデオキシ−ジデオキシチミジン(d
4T)および3'−アジド−2',3'-ジデオキシチミジン(AZT)と組み合わせて使用され
うるが、これらだけに限定はされない。
代わりとして、ハロゲン化ヌクレオシド誘導体、好ましくは、2',3'-ジデオキ
シ-2'-フルオロアデノシン; 2',3'-ジデオキシ-2'-フルオロイノシン; 2',3'-ジ
デオキシ-2'-フルオロチミジン; 2',3'- ジデオキシ-2'-フルオロシトシンを含
む2',3'-ジデオキシ-2'-フルオロヌクレオシド、2',3'-ジデオキシ-2',3'- ジデ
ヒドロ-2'-フルオロチミジン(Fd4T)を含む2',3'-ジデオキシ-2',3'- ジデヒドロ
-2'-フルオロヌクレオシドが使用されうるが、これらだけに限定はされない。本
発明の2',3'-ジデオキシ-2'-フルオロヌクレオシドは、2',3'-ジデオキシ-2'-ベ
ータ- フルオロアデノシン(F-ddA)、そして2',3'-ジデオキシ-2'-ベータ- フル
オロシトシン(F-ddC)を含む、フルオリン結合がβ立体配置にあるものであるが
、これらだけに限定はされない。そのような組み合わせは、より低用量のヌクレ
オシド誘導体の使用を可能とし、抗ウイルスペプチドと共に使用しているが故に
、該薬剤に関連する毒性を抗ウイルス活性を失活することなく減少させることが
できる。さらに、そのような組み合わせはウイルス耐性を減少させ、または避け
ることができる。
本発明の範囲にある抗ウイルスペプチドおよびヌクレオシド誘導体の好ましい
組み合わせは、有効量のDP-107,DP-178またはその製剤上許容される誘導体およ
びHIV感染を治療するための有効量のAZT;および有効量のDP-107,DP-178
またはその製剤上許容される誘導体および有効量のDDIを含む。
本発明によれば、DP-107または DP-178 またはその製剤上許容される誘導体は
、ベンジルアシクロウリジン(BAU);
ベンジロキシベンジルアシクロウリジン(BBAU);
アミノメチルベンジルアシクロウリジン(AMBAU);
アミノメチルベンジロキシベンジルアシクロウリジン(AMB−BAU);
ヒドロキシメチルベンジルアシクロウリジン(HMBAU);および
ヒドロキシメチルベンジルアシクロウリジン(HMBBAU)
を含むアシクロウリジン化合物を含む、ウリジンホスホリラーゼ阻害剤と組み合
わせて使用されうるが、これらだけに限定はされない。
本発明によれば、DP-107または DP-178 またはその製剤上許容される誘導体は
、rIFNα、rIFNβ、rIFNγ、TNFαの阻害剤、およびMNX−1
60を含むサイトカインまたはサイトカイン阻害剤と組み合わせて使用されうる
が、これらだけに限定はされない。ヒトrIFN−αA(>108IU/mg)およびr
IFNγ(1.4×108IU/mg)はHoffman LaRoche より購入することができる。ヒト
γIFNβ Ser17(1.0×108IU/mg)はTriton Biosciencesより購入することがで
きる。参照標準はWorld Health Organization 購入することができる(ヒトIF
Nα WHO 標準B,69,19、およびヒトIFNβ WHO no.G-0230-902-527,
またはNational Institute of Allergy and Infectious Disease(ヒトγ,Nati
onal Institute of Health no.G-023-9010530)。
本発明によれば、DP-178または DP-107 またはその製剤上許容される誘導体は
、MK-639(Merck)、Invirase(saquinavir,Roche)、ABT-538(Abbott,CAS Reg.N
o.155213-67-5)、AG1343、VX0478(Burroughs Wellcome/Glaxo,CAS Reg.No.1
61814-49-9)、DMP450、SC-52151(Telinavir)を含むプロテアーゼ阻害剤と組み
合わせて使用されうるが、これらだけに限定はされない。プロテアーゼ阻害剤は
、一般に、ウイルス粒子が成熟感染段階へ成熟するのを阻害するために、構築(
すなわち、ウイルス出芽)中または後にまず作用すると考えられている。例えば
、ABT-538はインビトロで強力な抗ウイルス活性およびインビボで好ましい薬物
動態および安定なプロフィールを有することが示された。ABT-538 のAIDS患者へ
の投与は、血漿HIV-1レベルを指数的に減少させ、そしてCD4 リンパ球数を実質
的に上昇させる。ABT-538 治療に続く血漿viraemiaの指数的な衰退は、薬剤が感
染の新しいラウンドを妨害するとき、遊離ウイルス粒子の排除とHIV-1生産細胞
の喪失つ両方に反映する。ABT-538 治療は、CD4 リンパ球のウイルス媒介破壊を
減少させる。HIV感染の初期段階で阻害する、本治療とDP-178および/また
はDP-107の組み合わせは、共働的効果を有し、劇的な臨床効果を有するだろう。
DP-178またはDP-107またはその製剤上許容される誘導体は、5’−mRNAプ
ロセッシングを干渉する1クラスの抗−HIV薬剤、例えばリバビリン(Viratel
Inc.製のRivavirin(Virazole))と組み合わせて使用されうる。リバビリンの作
用機序は明確ではないが、本剤はmRNAキャップ構造の形成においてグアノシ
ンと競合し、および/またはこれらの分子の機能的メチル化を干渉すると考えら
れている。DP-178および/またはDP-107によるウイルス融合の阻害を回避するこ
れらのウイルスはリバビリンによって遮断され、それによってDP-178および/ま
たはDP-107およびリバビリンの抗-HIV機序の共働的効果を示す。
さらに、DP-178,DP-107またはその製剤上許容される誘導体は、ステロールと
相互作用し、それらに付可逆的に結合するポリエン微小抗菌性抗生物質、アンホ
テリシンB(Amphotericin B)(Fungizone,Gibco社より購入)のような治療剤
と組み合わせて使用することができる。アンホテリシンBは、HIVを含め、種
々の脂質−エンベロープウイルスに対して活性なユニークなクラスの薬剤である
。アンホテリシンは、激しいインビボ毒性を示すけれども、本剤のメチルエステ
ル形態は抗HIV−活性を示し、インビトロで低細胞毒性プロフィールを有する
。よって、アンホテリシンまたはそのメチルエステルは、DP-178,DP-107または
その製剤上許容される誘導体との併用療法に使用されうる。この組み合わせは、
抗ウイルスペプチドDP-178または DP-107 と組み合わせて使用するので、より低
い、すなわち、低毒性用量のエーテルアンホテリシンBまたはそのメチルエステ
ルを抗ウイルス活性の失活を懸念することなく、臨床患者に用いることが可能と
なる。
本発明によれば、DP-178またはDP-107またはその製剤上許容される誘導体は、
カストノスペルミン(castonospermine)(Boehringer Mannheim)のような糖蛋白プ
ロセッシングの阻害剤と組み合わせてもまた使用されうる。カストノスペルミン
は糖蛋白プロセッシングを阻害する植物アルカロイドであり、HIVは2つの重
グリコシル化蛋白、gp120 とgp41を含むので抗−HIVとして作用する。蛋白グ
リコシル化はgp120 のCD41との相互作用において重要な役割を果たす。カスト
ノスペルミンの存在下で合成された新形成ウイルス粒子による感染下では、HI
Vの感染性が弱まる。よって、カストノスペルミンの組み合わせにおけるDP-178
またはDP-107またはその製剤上許容される誘導体は、ウイルス進入を阻害するよ
うに共働的に作用し、それによって感染を弱める。
HIVを治療する方法の範囲で使用されるべき好ましい組み合わせは、有効量
のDP-107,DP-178またはその製剤上許容される誘導体および有効量のddIの使
用;有効量のDP-107,DP-178またはその製剤上許容される誘導体および有効量の
3TCの使用;有効量のDP-107,DP-178またはその製剤上許容される誘導体、お
よび有効量のリバビリンの使用を含む。
HIVを治療する方法の範囲で使用されるべきさらなる好ましい組み合わせは
、有効量のDP-107,DP-178またはその製剤上許容される誘導体および有効量のベ
ータ−インターフェロンの使用を含む。
HIVを治療する方法の範囲で使用されるべきさらなる組み合わせは、有効量
のDP-107,DP-178またはその製剤上許容される誘導体および有効量のプロテアー
ゼ阻害剤の使用を含む。
上記の抗ウイルス治療剤と組み合わせたDP-178,DP-107またはその製剤上許容
される誘導体の強力な治療的効果を評価するために、これらの組み合わせについ
て当分野でよく知られた方法によってその抗ウイルス活性を試験することができ
る。例えば、DP-178およびAZTの組み合わせのHIV細胞障害、融合細胞形成
、逆転写活性、またはウイルスRNAまたは蛋白質の生成を阻害する能力につい
ては、実施例6に記載するようにインビトロで試験されうる。
5.2.1.HIV阻害性併用剤の治療における使用
被曝した患者の体内で in vivoでシンシチウムの形成を予防してHIVビリオ
ンの産生を阻害し、それによってHIVの進行を阻害するために、上記のような
改善されたまたは相乗的な DP-178 または DP-107 併用治療を本発明にしたがっ
て使用することができる。本発明の併用治療はHIV感染免疫抑制患者に関係す
る疾患を緩和および治療するのにも有用である。例えば、HBV,EBV,CM
Vおよびその他のTBを含む日和見感染症に対する抗ウイルス効果を有する抗真
菌薬と併用して、抗ウイルスペプチド DP-178 、DP-107または薬学的に許容され
るそれらの誘導体を使用することができる。
本発明の抗ウイルスペプチド DP-178 、DP-107または薬学的に許容されるそれ
らの誘導体は好ましくはHIV感染に対して使用される。以下に記載する併用治
療の有効用量を好適な薬理学的担体中に製剤化し、限定するわけではないが注射
(例えば静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下その他)、上皮または皮膚粘膜塗布によ
る吸収(例えば口腔粘膜、直腸および腟上皮塗布、鼻咽頭粘膜、腸粘膜その他)
、経口、経皮、または製薬業界で許容される任意のその他の方法を含む、任意の
好適な方法によって投与することができる。
5.3.医薬製剤、投与量および投与の様式
5.3.1.医薬組成物
ヒトにおけるウイルス感染の治療または予防に有用な本発明の医薬組成物は活
性薬剤として DP-178,DP-107 または薬学的に許容されるそれらの誘導体、およ
び別の抗ウイルス剤などのその他の治療剤の少なくとも1つを含有する。本発明
の医薬組成物は付加的および/または相乗的効果を有する併用治療を提供する。
好ましくは、 DP-178,DP-107 または薬学的に許容されるそれらの誘導体を含
有する医薬組成物は、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、mRNAプロセ
シングの阻害剤、タンパク質のグリコシル化の阻害剤およびウイルス融合の阻害
剤などのその他の抗ウイルス薬をも1以上含有する。これらの薬剤には限定する
わけではないがヌクレオシド類似体または連鎖終結因子(例えばジデオキシヌク
レオシド)が含まれる。
本発明の範囲内の DP-178,DP-107 または薬学的に許容されるそれらの誘導体
の併用治療において使用することができるその他の好適な治療薬には、限定する
わけではないが2-デオキシ-D- グルコース(2-dGlc)、デオキシノジリマイシン
、アシクログアノシン、リバビリン(virazole)、リファンピシン(rifadin)
、アダマンチジン、リファブチン、ガンシクロバー(DHPG)、フルオロヨードア
ラシトシン、イドクシュリン、トリフルオロチミジン、アデニンアラビノシド(
ara-A )、ara-AMP 、ブロモビニルデオキシウリジン、ブロモビニルアラウラシ
ル(Bristol-Meyers Squibb の BV-araU(1- ベータ-D- アラビノフラノシド-E-5
-[2-ブロモビニル]ウラシル))、リマンタジン、アリルドン、ジアリルアミジン
、(S)-(p- ニトロベンジル-)6-チオイノシンおよびホスホノホルメートが含まれ
る。
本発明の範囲に入る新規医薬組成物として、限定するわけではないが、 DP-17
8,DP-107 または薬学的に許容されるそれらの誘導体およびリファンピシン(rif
adin);DP-178または DP-107 および AZT;DP-178または DP-107 および ddI;D
P-178または DP-107 および ddC;DP-178または DP-107 およびアダマンチジン
;DP-178または DP-107 およびアシクログアノシン;DP-178または DP-107 およ
び2-デオキシ-D- グルコース;DP-178または DP-107 およびデオキシノジリマイ
シン;DP-178または DP-107 およびインターフェロンα;ならびにDP-178または
DP-107 およびガンシクロバーが含まれる。本発明は DP-178,DP-107 または薬
学的に許容されるそれらの誘導体および場合によって2以上のその他の治療用配
合剤を含む医薬組成物をも包含する。
本発明のペプチドは当業界で周知の手法を使用して投与することができる。好
ましくは薬剤を製剤化して全身的に投与する。製剤化および投与の手法は“Remi
ngton's Pharmaceutical Sciences”,18th ed.,1990,Mack Publishing Co.,East
on,PA 中から知ることができる。好適な経路としていくつかあげると、口、直腸
、経粘膜、または腸内投与;筋肉内、皮下、脊髄内注射、および髄膜内、直接心
室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内または眼球内注射を含む腸管外投与が含まれる。
最も好ましくは投与は静脈内である。注射のために、本発明の薬剤を水性溶液、
好ましくはハンクス溶液、リンゲル液、または生理学的塩類緩衝液などの生理学
的に適合する緩衝液中に製剤化することができる。経粘膜投与などのためには、
透過すべき障壁に好適な浸透剤を製剤中に使用する。こうした浸透剤は当業界で
一般的に知られている。
その外、このペプチドをそれまで未感染の個体がHIVウイルスに急性接触し
た後の予防尺度として使用することができる。こうしたペプチドの予防的使用の
例として、限定するわけではないが、母親から乳児へのウイルスの伝播の防止お
よびHIVの伝播の可能性が存在するその他の情況、例えば作業者がHIV含有
血液生成物に接触するという保健医療情況における事故など、が含まれる。この
ような場合、本発明のペプチドは予防的ワクチンの作用をすることができ、ここ
で宿主は本発明のペプチドに対する抗体を出現させて、これが次に例えばそれ以
上のHIVの感染を阻害することによって、HIVウイルスを中和する働きをす
る。したがって、予防用ワクチンとしての本発明のペプチドの投与は、例えばH
IVが細胞に感染する能力を阻害することによってHIVを中和するのに十分な
免疫応答を出現させるのに有効なペプチド濃度を宿主に投与することが含まれる
。その正確な濃度は投与する特定のペプチドによって決まるが、当業者が周知の
、免疫応答の進行のアッセイについての標準的手法を使用することによって決定
することができる。ワクチンとして使用するペプチドは通常筋肉内投与される。
免疫学的応答を強化するため、ペプチドを好適なアジュバントとともに製剤化
することもできる。こうしたアジュバントとして、限定するわけではないが、水
酸化アルミニウムなどのミネラルゲル;リゾレクチン、プルロン酸ポリオール、
ポリアニオンなどの表面活性物質;その他のペプチド;乳化油;および BCGおよ
び Corynebacterium parvum などの潜在的に有用なヒトアジュバントが含まれる
。ここに記載するワクチン製剤を導入するために、多くの方法を使用することが
できる。これらの方法として、限定するわけではないが、経口、皮内、筋肉内、
腹腔内、静脈内、皮下、および鼻腔内経路が含まれる。
投与する本発明のペプチドの有効な用量は、生物学的半減期、生体内利用性、
および毒性などのパラメーターを目標とする当業者に周知の手順によって決定す
ることができる。下記第6節に示すデータが得られて、例えば DP-178 は、循環
血中ペプチドが 10 ng/ml に達するのに必要な用量において、in vivo で有効な
ことが証明される。
5.3.2.投与量
ウイルス感染したヒトを含む哺乳類を治療する際、 DP-178,DP-107 または薬
学的に許容されるそれらの誘導体の治療上有効な量、すなわちウイルスの複製を
阻害するのに十分な用量を投与する。例えば、 DP-178 または DP-107 を1日に
ついて約 0.1 mg/kgから 1.0 mg/kgを約12週間、注入によって投与する。好まし
い用量は20 mg から 35 mgである;表面積を基準とした DP-178 もしくは DP-10
7 または薬学的に許容されるそれらの誘導体の等価な1日の用量は約 7 mg から
70 mgである。最も好ましい用量は約 20 mgから 35 mgを約 12 週間である。DP
-178,DP-107または薬学的に許容されるそれらの誘導体の用量を1日に約1回か
ら1日に4回の間隔で、好ましくは約2日毎に1回から1日に1回投与すべきで
ある。DP-178,DP-107または薬学的に許容されるそれらの誘導体の血漿中のピー
ク濃度が約 1 mg/mlから 10 mg/ml に達するのに好適な用量を投与する。これは
緩衝塩類溶液中投与成分 2.0%溶液の滅菌注射によって達成される(化学分野の
当業者に知られた任意の好適な塩類溶液を使用することができる)。 HPLC によ
って測定する血漿レベルによって確認しながら、DP-178または DP-107 の連続注
入によって、必要な血中レベルを維持することができる。
DP-178,DP-107または薬学的に許容されるそれらの誘導体と併用して使用する
、治療薬、例えば抗ウイルス剤の有効量は、各種の抗ウイルス剤について当業者
に知られた適用量を基準とする。例えば、AZT,ddIおよびインターフェロンベー
タの用量は標準的な医師用参考書から知ることができる。その外、抗ウイルス剤
を含むその他の治療薬の用量は文献に報告されている。例えば、ABT-538 は1日
目およびその後毎日 600−1,200 mg/dayを経口投与する(Hoら、1995,Nature 37
3:123-126 )。下記の第5.4節に記載するアッセイを使用して、DP-178,DP-1
07または薬学的に許容されるそれらの誘導体と併用したこれらの投与量の有効性
を試験した後、これらの適量とされた、または既知のレベルが好ましくは引用し
た投与量の10%から50%低下させて行く。主治医は毒性、骨髄、肝臓もしくは腎
臓機能障害、または薬剤−薬剤相互作用の逆効果を理由として、投与量を低下さ
せるために、治療をどのようにして、またいつ終了、中断または調節するかを知
るべきことに注意しなければならない。逆に、主治医は、臨床応答が適当でない
場合に(毒性は別として)、治療をより高レベルに調節することもまた知るべき
である。
治療上有効な用量とは、患者の症状の改善または生存の延長が得られるのに十
分な化合物の量のことである。こうした化合物の毒性および治療有効性は、細胞
培養物または実験動物において、例えば、LD 50(集団の50%の致死量)および
ED 50(集団の50%に治療上有効な用量)決定に関して、標準的な薬学手法によ
って判定することができる。毒性および治療有効性間の用量比率は治療指数であ
り、これを比率 LD50/ED50で表現することができる。大きな治療指数を示す化合
物が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータを
ヒトへの使用のためのある範囲の投与量を製剤するのに使用する。こうした化合
物の投与量は好ましくは毒性をほとんどまたは全くともなわずに ED50 を含む循
環濃度の範囲内である。この投与量は使用する剤型および利用する投与経路によ
ってこの範囲内で変更することができる。本発明において使用するいずれの化合
物についても、治療上有効な用量は最初に細胞培養アッセイから評価することが
できる。動物モデルにおいて、IC50(すなわち、細胞培養物中で決定した、非治
療対照に比較して、感染細胞からのRT産生の最大阻害の半分が達成される試験化
合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するための用量を製剤化する。これ
らの情報をヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することが
できる。血漿中のレベルは例えば高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によっ
て測定することができる。
5.4.医薬製剤および投与の経路
DP-178,DP-107または薬学的に許容されるそれらの誘導体を含有する医薬組成
物をヒト患者に対してそのまま、または好適な担体または賦形剤(類)と混合し
た医薬組成物として、ウイルス感染、特にHIV感染を治療するための用量を投
与することができる。即時適用する化合物の製剤化および投与のための手法は、
“Remington's Pharmaceutical Sciences”,Mack Publishing Co.,Easton,PA,
最新版、から得ることができる。
下記第6節に示す実施例で証明されるように、本発明のペプチドの抗ウイルス
活性は明確な類型別および亜類型別特異性を示すようである。すなわち、特定の
ペプチドは特定のウイルスの活性のみを阻害するのに有効であるらしい。本発明
のこの特徴は多くの利点を与える。例えば、こうした利点の1つは、診断分野に
おいて、本発明のペプチドの抗ウイルス特異性をウイルス単離物の同一性を確認
するのに使用することができる点である。HIVについては、ウイルス単離物が
HIV−1またはHIV−2株のどちらで構成されているかを容易に判定するこ
とができる。例えば、未感染 CD-4+細胞にHIVを含有することが同定されたあ
る単離物とともに DP-178 (配列番号:1)ペプチドを共感染させ、その後例え
ば上記第5.2節の手法を使用して、細胞上清のレトロウイルス活性をアッセイ
することができる。レトロウイルス活性が完全にまたはほとんど完全に阻害され
る単離物はHIV−1を含有する。ウイルス活性が変化しないかまたは少しだけ
減少する単離物はHIV−1を含有しないと考えてよい。こうした単離物をその
後1以上のその他の本発明の DP-178 ペプチドで処理し、続いてこのウイルス単
離物を同定するために、そのウイルス活性を試験する。
本発明の実施上、ここに開示した化合物を全身適用に好適な投与剤に製剤する
ために、薬学的に許容される担体を使用することは、本発明の範囲に入る。担体
の正しい選択と好適な製剤化の実施によって、本発明の組成物、特に溶液として
製剤されたものを、静脈内注射などによって、腸管外投与することができる。化
合物を、当業界で周知の製薬上許容される担体を使用して、経口投与に好適な用
剤に容易に製剤することができる。こうした担体によって、本発明の化合物を、
治療を受ける患者が経口摂取するように、錠剤、ピル、カプセル、液剤、ゲル、
シロップ、スラリー、懸濁液などに製剤することが可能である。
好適な投与の経路として、例えば、経口、直腸、経粘膜、または腸管投与;筋
肉内、皮下、脊髄内および髄膜内注射、直接心室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内ま
たは眼球内注射を含む腸管外適用;経皮、局所、腟などが含まれる。剤型として
は、限定するわけではないが、錠剤、トローチ、散剤、懸濁剤、坐剤、溶液、カ
プセル、クリーム、パッチ、ミニポンプなどが含まれる。
本発明に従う使用のための医薬組成物は、このように、活性化合物を薬剤とし
て使用することができる製品に加工することを可能にする賦形剤および補助剤を
含む、1以上の生理学的に許容される担体を使用して、通常の方法で製剤化する
ことができる。適当な製剤は選択する投与経路如何によって定まる。
注射のためには、本発明の薬剤を水性溶液、好ましくはハンクス液、リンゲル
液、または生理学的塩類緩衝液などの生理学的に適合する緩衝液中に製剤するの
がよい。経粘膜投与のためには、透過させる障壁に適した浸透剤を製剤に使用す
る。こうした浸透剤は当業界で一般的に知られている。
経口投与のためには、活性化合物に当業界で周知の薬学的に許容される担体を
組み合わせることによって、化合物を容易に製剤することができる。こうした担
体によって、本発明の化合物は、治療を受ける患者の経口摂取用に、錠剤、ピル
、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などに製剤する
ことができる。経口使用用の薬剤製品は固体の賦形剤を使用し、場合によっては
生成した混合物を磨砕し、必要ならば好適な補助剤を添加した後、顆粒混合物を
加工して、錠剤または糖衣錠の核を形成させる。好適な賦形剤としては、特に、
ラクトース、ショ糖、マンニトール、またはソルビトールを含む糖類などの充填
剤;例えばトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、ゼラチン、トラ
ガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製品、および/またはポ
リビニルピロリドン(PVP)がある。必要ならば、交叉結合したポリビニルピロ
リドン、寒天、もしくはアルギン酸またはアルギン酸ナトリウムなどのそれらの
塩、などの崩壊剤を添加することもできる。
糖衣錠の核には好適な被覆を施す。この目的のため、濃縮糖溶液を使用するこ
とができる。場合によっては、これにアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリ
ドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタ
ン、ラッカー溶液、ならびに好適な溶媒または溶媒混合物を含ませてもよい。活
性化合物の用量の識別または配合の差異を特徴付けるために、錠剤または糖衣錠
の被覆剤に染料または着色剤を添加してもよい。
経口使用できる医薬製品として、ゼラチン製のプッシュフィット(push-fit)
カプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールもしくはソルビトールなどの可
塑剤で製造したソフト封入カプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルには
、ラクトースなどの充填剤、澱粉などの結合剤、および/またはタルクもしくは
ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤、ならびに場合によっては安定剤との混合
物として活性成分を含有させることができる。ソフトカプセルにおいては、活性
化合物を脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの好
適な液体に溶解または懸濁することができる。その外、安定剤を添加することも
できる。経口投与用製剤はすべてその投与に適した投与量にすべきである。
バッカル投与用には、組成物を通常の方法で製剤して、錠剤またはトローチの
形態にすることができる。
吸入による投与用には、本発明に従う使用のための化合物を、例えばジクロロ
ジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン
、二酸化炭素またはその他の好適なガスなどの好適な噴射剤を使用した、加圧パ
ックまたはネブライザーからエアゾールスプレーを供給する形態で、都合よく適
用する。加圧エアゾールの場合、一定量を適用するバルブを装備することによっ
て用剤単位を決定する。吸入器または吹入器に使用する例えばゼラチンのカプセ
ルおよびカートリッジを、化合物およびラクトースまたは澱粉などの好適な粉末
基剤の粉末混合物を含有させて製剤することができる。
化合物を、注射、例えばボーラス注射または連続注入による腸管外投与用に製
剤することができる。注射用製剤は単位用剤型、例えばアンプルで、または保存
剤を添加した多数回用剤容器で存在させることができる。組成物は油性または水
性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンの形態をとることができ、そし
て懸濁剤、安定剤および/または分散剤などの製剤補助剤を含有させてもよい。
腸管外投与用薬剤製剤として、水溶性形態の活性化合物の水性溶液が含まれる
。その外、活性化合物の懸濁液を好適な油状注射懸濁液として調製することがで
きる。好適な親油性溶媒またはビヒクルとして、胡麻油などの脂肪油、またはオ
レイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、あるいはリ
ポソームが含まれる。水性注射懸濁液にはカルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘性を増加させる物質を
含ませることができる。場合によっては、この懸濁液に、好適な安定剤または化
合物の溶解度を増加させて高濃度の溶液を生成させる添加剤もまた含ませること
ができる。
あるいはまた、使用前に好適なビヒクル、例えば滅菌発熱物質除去水で構成す
るように、活性成分を粉末形態とすることもできる。
化合物に例えばカカオバターまたはその他のグリセリドなどの通常の坐薬基剤
を含ませて、坐薬または保留浣腸剤などの直腸組成物に製剤することもできる。
これまでに記載した製剤の他に、化合物をデポー剤として製剤することもでき
る。こうした長期活性製剤を(例えば皮下もしくは筋肉内への)埋め込みまたは
筋肉内注射によって投与することができる。この場合、例えば化合物を好適なポ
リマーまたは疎水性物質(例えば許容可能な油中のエマルジョンとして)または
イオン交換樹脂とともに製剤するか、または溶解性が低い誘導体、例えば溶解度
が小さい塩として製剤することができる。
本発明の疎水性化合物のための医薬用担体は、ベンジルアルコール、非極性界
面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水性相を含む共溶媒系である。この共
溶媒系は VPD共溶媒系でもよい。VPD は無水エタノール中で 3% w/vベンジルア
ルコール、8% w/v 非極性界面活性剤のポリソルベート80、および 65% w/v ポ
リエチレングリコール 300とした溶液である。VPD 共溶媒系(VPD:5W )は 5%
デキストロース水溶液で1:1に希釈した VPDからなっている。この共溶媒系は
疎水性化合物をよく溶解し、全身投与に際してこれ自身は低毒性である。当然、
共溶媒系の割合はその溶解性および毒性特性を害なうことなく、相当程度変更す
ることができる。その上、共溶媒成分自体を変更することもできる;例えば、ポ
リソルベート80に替えて別の低毒性非極性界面活性剤を使用してもよい;ポリエ
チレングリコールの成分割合を変更してもよい;ポリエチレングリコールの代わ
りに別の生体適合ポリマー、例えばポリビニルピロリドンとしてもよい;そして
、デキストロースを他の糖または多糖類に置換してもよい。
医薬組成物は好適な固体またはゲル相担体または賦形剤を含むことができる。
こうした担体または賦形剤の例として、限定するわけではないが、炭酸カルシウ
ム、リン酸カルシウム、各種糖類、澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、および
ポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれる。本発明の使用に好適な医薬
組成物として、目的を達成するのに有効な量の活性成分を含有する組成物が含ま
れる。有効な量の決定は、特にここに提供する詳細な開示を参照することによっ
て、当業者に十分可能な範囲内である。
5.5.抗ウイルス活性のアッセイ
本発明の併用治療によって示される抗ウイルス活性を、例えば下記のような、
ペプチドのシンシチウム形成を阻害する能力、または無細胞ウイルスによる感染
を阻害する能力を試験することができる、実施が容易な in vitro アッセイによ
って、測定することができる。これらのアッセイを使用して、与えられたウイル
ス株についてペプチドの抗ウイルス比活性などのパラメーターが示され、そして
/またはこのペプチドの株特異的阻害活性を判定することができる。ペプチド類
の in vitro でHIVから誘導されたシンシチウム形成を阻害する能力を試験す
るために、細胞融合アッセイを利用することができる。こうしたアッセイは、慢
性的にHIV感染した細胞およびアッセイする治療薬の存在下で未感染 CD-4+細
胞(例えば、Moltまたは CEM細胞など)を培養することからなる。各併用治療に
ついて、ある濃度範囲について試験する。この範囲には、ペプチドを添加しなか
った対照培養を含まなければならない。当業者に周知の標準的培養条件を使用す
る。適当な期間(例えば37℃で24時間)のインキュベート後、細胞融合およびシ
ンシチウム形成を示す多核巨細胞の存在について顕微鏡で検査する。
別の抗ウイルス剤と併用して無細胞HIVによる CD4+の感染を阻害するペプ
チドの能力を試験するために、逆転写酵素(RT)アッセイを利用することができ
る。こうしたアッセイとして、試験する組合せのペプチドおよび抗ウイルス剤の
存在下で、適当な濃度(すなわち TCID50)のウイルスおよび CD4+細胞を培養す
ることが含まれる。当業界で周知の培養条件を使用する。上のように、ペプチド
を添加しなかった対照培養の他、ある範囲のペプチド濃度を使用する。培養に適
当な期間(例えば7日間)インキュベートした後、標準操作法を使用して無細胞
懸濁液を調製し、感染成果の尺度としてのRT活性の存在について試験する。RT活
性は、例えば Goff ら(Goff,S.ら、1981,J.Virol.38:239-248)および/ま
たはWilleyら(Willey,R.ら、1988,J.Virol.62:139-147 )によって記載された
ような標準的な手法によって、試験することができる。これらの参考文献の全部
をここに参照として引用する。
非レトロウイルスのアッセイのために、当業者に周知の標準的方法を利用する
ことができる。例えば、呼吸器合胞体ウイルスおよびパラインフルエンザウイル
ス活性のアッセイ手法の考察に関する Pringleら(Pringle,C.R.ら、1985,J.Med
ical Virology 17:377-386)を参照されたい。さらに、例えばこうした手法の全
般的報告に関する“Zinsser Microbiology”,1988,Joklik,W.K.ら、eds.,Apple
ton & Lange,Norwalk,CT,19th ed.を参照されたい。これらの参考文献の全部を
ここに参照として引用する。
5.5.1.HIV−1感染の異なる段階で活性な抗ウイルス化合物の試験
HIV感染の異なる段階(急性、共生培養、および慢性)で活性な抗ウイルス
性化合物の研究のため、3つの別々 のin vitro アッセイが当業者に周知である
(Lambert ら、1993,Antiviral Res.21:327-342)。記載された抗ウイルス剤の
1つと併用した DP-178,DP-107 または薬学的に許容されるこれらの誘導体を評
価するために、これらのアッセイを使用することができる。すべてのアッセイを
24ウェルプレート(Nunc.)で3組実施する。100% DMSO中に阻害剤の5倍連続
希釈物を製造して、最終濃度 200×とする。培養ウェルに 1/200容積の希釈物を
添加して最終濃度 0.5% DMSO および阻害剤の所望の濃度を得た。2つの阻害剤
の比率を固定した希釈物(すなわち、1:10または 1:40 、AZT:DP-178)または濃
度を変化させて、実験を実施する。
最初の急性感染アッセイは、 in vivoでの CD4+細胞の減少の原因となる急速
複製および細胞変性効果をモデルとする。抗ウイルス化合物がT細胞中でHIV
−1感染が広がるのを阻害する効果を示すため、急性感染した Molt4細胞の処理
をアッセイする。これらのアッセイのため、1ウエルあたり 3×104の未感染 Mo
lt4細胞にHIV−1(LA 1株)の 50 TCIDを感染させる。阻害剤原液を 100%
DMSO 中に調製し、0日目、1.5 時間のウイルス吸収期間直後に添加する。1日
目および4日目に培養物に同一濃度の阻害剤を含有する培地を再添加する。7日
目にサンプルを収穫する。
第2の、集積したプロウイルスを含有し、中から低レベルの継続したウイルス
発現を示す慢性感染細胞は in vivoでの感染性ビリオンの病原巣を表すものとみ
られ、これは結局病気の進行の原因となる。慢性感染細胞を生育培地で3回洗浄
し、1ウェルあたり 5×104細胞の密度でプレートにまく。0日目に阻害剤を添
加する。1日目および3日目に培養物に同一濃度の阻害剤を含有する生育培地を
再添加する。5日目にアッセイ物を収穫する。
第3の、これらの研究で使用する共生培養アッセイは、in vivo 感染の適切な
モデルである。なぜならば、これには培養物内でのHIV−1の無細胞拡散とと
もに細胞から細胞への融合および拡散が含まれるからである。このアッセイのた
めに、1ウェルあたり 3×104の未感染 Molt4細胞を 3×103の H9/LA1 またはCE
M/LA1 慢性感染細胞とともに、24ウェルプレート中で共生培養する。阻害剤を0
日目に添加し、1日目および3日目にアッセイプレートに阻害剤を含有する生育
培地を再添加する。5日目にアッセイ物を収穫する。いくつかのパラメーター;
処理培養物からのペレット化細胞のウエスタンブロット分析、 RT レベル、およ
び上清の p24抗原レベル、によって抗ウイルス活性を測定する。
薬剤併用効果は、Chouおよび Talalayの多重薬剤分析法(Chou and Talalay,1
984,Adv.Enzym eRegul.22:27-55)および’Dose-Effect Analysis with Microco
mputers’ソフトウェア(Chou and Chou,1987,software and manual.p19-64.El
sevier Biosoft,Cambridge,UK)によって、以下の式を使用して計算する:
式中、CIは併用指数、(Dx)1は単独で x%の効果を発生させるのに必要な薬剤
1の用量、(D)1は(D)2と併用したときに同一の x%の効果を発生させるのに必要
な薬剤1の用量である。(Dx)2および(D)2の数値は薬剤2から同様に導く。数値
αは以下の半有効値の等式を使用して用量効果曲線のプロットから決定する:
fa/fu=(D/Dm)m
式中、faは用量 Dによって感染した画分、fuは感染しなかった画分であり、Dm
は50%の効果に必要な用量、そして mは用量−効果曲線の勾配である。相互排除
性薬剤(すなわち、同様の作用モード)について、両薬剤を単独で、および両方
での半有効値プロット曲線を対比する。相互非排除性薬剤(すなわち、独立した
作用モード)は半有効値プロットが平行線となるが、混合物では凹型の上向き曲
線になるはずである。薬剤が相互排除性であれば、αは0であり、相互非排除性
であれば、αは1である。相互非排除性と仮定して得られた数値は相互排除性薬
剤よりも常にわずかに大きくなる。CI値が<1は相乗性を示し、>1は競合性を
示し、数値が1に等しい場合は相加効果を意味する。
薬剤併用効果は MacSynergy コンピュータプログラムによっても計算すること
ができる(Pritchard and Shipman,1990,Antiviral Research 14:181-206)。こ
のコンピュータプログラムは薬剤−薬剤相互作用の三次元グラフィックアナリシ
スが可能である。抗ウイルス性化合物の併用について観察される相乗性の量を M
acSynergy プログラムによって計算し、薬剤相互作用のパーセンテージを薬剤濃
度に対してプロットした三次元棒グラフによって表示する。相乗性の量はグラフ
の棒の高さで示され、競合性はグラフの基面の下のマイナスの数値としてプロッ
トされる。
6.実施例:DP-178(配列番号:1)はHIV−1感染の有効な阻害剤である
この実施例において、DP-178(配列番号:1)はHIV−1仲介 CD-4+細胞−
細胞融合および無細胞ウイルスによる感染の有効な阻害剤であることが示される
。融合アッセイにおいて、このペプチドは濃度 1-10 ng/ml でウイルス誘因シン
シチウム形成を完全にブロックする。感染力アッセイにおいては、阻害を示す濃
度はいくらか高く、90 ng/mlで感染をブロックする。さらに、DP-178(配列番号
:1)ではDP-178(配列番号:1)の抗ウイルス活性がHIV−1に対して高度
に特異的であることが示される。その外、HIV−1誘導 DP-178 に相同性を示
す、合成ペプチドである DP-180(配列番号:3)もまたHIV−1仲介シンシ
チウム形成をブロックすることが観察される。
6.1.材料および方法
6.1.1.ペプチド合成
Applied Biosystems Model 431A ペプチド合成機での Fast Moc 化学 を使
用して、ペプチドを合成した。アミド化ペプチドは Rink 樹脂(Advanced Chemt
ech)を使用して調製し、一方遊離カルボキシ末端を含有するペプチドは Wang(
p-アルコキシ−ベンジル−アルコール)樹脂(Bachem)上で合成した。最初の残
基を適当な樹脂に二重に連結し、次の残基を一重連結した。各連結ステップに続
いて無水酢酸でキャッピングした。トリフルオロ酢酸(TFA )(10 ml )、H2
O(0.5 ml)、チオアニソール(0.5 ml)、エタンジチオール(0.25 ml )、お
よび結晶フェノール(0.75 mg )での処理によって、樹脂からペプチドを切断し
た。逆相 HPLC によって精製を実施した。粗ペプチド約 50 mgのサンプルを Wat
ers Delta Pak C18 カラム(19 mm×30 cm,15μ球形)上でH2O/ アセトニト
リル 0.1% TFAの直線勾配でクロマトグラフィーにかけた。凍結乾燥したペプチ
ドを乾燥貯蔵し、水中約 1 mg/mlのペプチド溶液を製造した。エレクトロスプレ
ーマススペクトロメトリーによって、以下の結果が得られた:DP-178(配列番号
:1):4491.87(計算値 4491.94);DP-180(配列番号:2):4491.45(計算
値 4491.94);DP-185(配列番号:3):実施せず(計算値 4546.97)。
6.1.2.ウイルス
HIV−1LAIウイルスを R.Gallo(Popovic,M.ら、1984,Science 224:497-50
8)から得て、10%ウシ胎児血清を含有する RPMI 1640中で培養した CEM細胞中
で増殖させた。感染した CEM細胞からの上清を 0.2μm フィルターを通過させて
、ウイルスの複製を支持するために AA5細胞系を使用したミクロインフェクティ
ビティー(microinfectivity)アッセイにおいて、感染力価を評価した。この目
的のため、96ウェルのマイクロタイタープレート中 2×105/mlの濃度の AA5細胞
75μlに連続希釈ウイルス 25μlを添加した。各ウイルス希釈物を3組ずつ試験
した。1日おきに新しい培地を添加して、細胞を8日間培養した。感染後8日目
に、上清に放出された逆転写酵素活性によって証明されるウイルスの複製につい
て上清サンプルを試験した。Reedおよび Muench の式(Reed,L.J.ら、1938,Am.
J.Hyg.27:493-497)にしたがって、TCID50を算出した。AAS 細胞系上で測定した
、これらの研究のために使用したHIV−1LAIおよびHIV−1MN保存株の力
価はそれぞれおよそ 1.4×106および 3.8×104 TCID50/mlであった。
6.1.3.細胞融合アッセイ
96ウェルのプレート(1/2面積クラスタープレート;Costar,Cambridge,MA
)で、培養液の最終容積 100μl で、HIV−1LAIウイルスで慢性感染させた
1×104 CEM 細胞とともに、約 7×104 Molt細胞を既報(Matthews,T.J.ら、198
7,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:5424-5428)のように、インキュベートした。ペ
プチド阻害剤を 10μl添加し、細胞混合物を37℃で24時間インキュベートした。
その時点で、ウェル全体が単一視域で可視化することができる倍率 40× での顕
微鏡試験によって、多核巨細胞を評価した。
6.1.4.無細胞ウイルス感染アッセイ
合成ペプチドを、ペプチド濃度 0,0.04,0.4,4.0,および40μg/mlで、HI
V−1LAIウイルスの 247 TCID50(実験については図 2に示す)、もしくは 62
TCID50(実験については図 3に示す)単位、またはHIV−2NIH2の 25 TCID50
単位および CEM CD4+細胞とともに、37℃で 7日間インキュベートした。下記第
6.1.5節のアッセイを使用して、生成した逆転写酵素(RT)活性を1分あた
りのカウントで測定した。TCID50の算出の説明については、Reed,L.J.ら、1938
,Am.J.Hyg.27:493-497を参照されたい。
6.1.5 逆転写酵素アッセイ
本ミクロ逆転写酵素(RT)アッセイはGoffら.(Goff,S.ら.,1981,J.Virol.38:23
9−248)およびWilleyら.(Willey,R.ら.,1988,J.Virol.62:139-147)に従って行っ
た。ウイルス/細胞培養物上清を調整して1%Triton−X100とした。10μlの上清
サンプルを96ウェルU底ミクロタイター(microtitre)プレート内でRTカクテル(c
ocktail)50μlに加え、このサンプルを37℃で90分間インキュベートする。該RT
カクテルは 75mMのKCl、2mMのジチオトレイトール、5mMのMgCl2、5μg/mlのポリ
A(Pharmacia,cat.No.27-4110-01)、0.25units/mlのオリゴdT(Pharmacia,cat.N
o.27-7858-01)、0.05%のNP40、50mMのTris-HCl、pH7.8、0.5μMの非放射性dTT
P、および10μCi/mlの32P-dTTP(Amersham,cat.No.PB.10167)を含む。
インキュベーション期間の後、一枚のGB003(S+S)ろ紙上のS+Sミニフォールド(
Minifold)に保持された2xSSCバッファー(0.3MのNaClおよび0.003Mのクエン酸ナ
トリウム)で飽和させたSchleicherとSchuell(S+S)NA45膜(またはDE81ペーパー
)に、一部真空中で反応混合物40μlを適用した。ミニフォールドの各ウェルを
完全な真空下で200μlの2xSSCで4回洗う。該膜をミニフォールドから取り出し
、過剰の2xSSCを用いて耐熱ガラス皿で2回以上洗う。最後に、吸湿紙上で該膜
の水気を切り、ワットマン#3ペーパー上に置き、サランラップで覆って−70℃で
一晩フィルムにさらす。
6.2.結果
6.2.1.感染細胞誘導多核体形成におけるペプチド阻害
抗ウイルス活性についての最初のスクリーニングで、非感染Molt4細胞と慢性
的HIV-1感染CEM細胞を一晩共培養して誘導される多核体形成におけるペプチドの
阻害能力を評価した。幾つかのこうした実験の結果を本明細書中に示す。これら
の実験で最初に10μg/mlと12.5ng/mlの間の連続したDP-178(配列番号1)ペプチド
濃度での細胞融合過程の阻害について試験を行った。これらの実験のために、HI
V-1LAI、HIV-1MN、HIV-1RFウイルスかまたはHIV-1SF2ウイルスのいずれかで慢性
的に感染させたCEM細胞を非感染Molt4細胞と一晩共培養した。結果(図
4)では、DP-178(配列番号1)は使用したDP-178(配列番号1)の最低濃度まで落とし
ても各々のHIV-1菌株に対して完璧に防御できることを示している。HIV-1LAIを
阻害するには、試験での最低濃度は12.5ng/mlであり、全ての他のHIV-1ウイルス
では、本研究で使用したDP-178(配列番号1)の最低濃度は100ng/mlであった。2
番目のペプチドであるDP-180(配列番号2)はDP-178(配列番号1)と同じアミノ酸残
基を含むが、この残基はでたらめな順序で配列されており、40μg/mlという高濃
度であっても抗融合可能活性(anti-fusogenic activity)の証拠を示さなかった(
図4)。これらの測定結果により、DP-178(配列番号1)の阻害効果は一次配列特異
的であり、非特異的ペプチド/タンパク質相互作用とは相関しない事がわかる。
DP-178阻害作用の事実上の終点(すなわち阻害に有効な最低濃度)は1-10ng/mlの
範囲内である。
次の一連の実験はDP-178(配列番号1)相同体の調整、およびそのHIV-1-誘導多
核体形成阻害能力についての試験を含んでいる。図1に示すように、DP-185(配
列番号3)の配列はその一次配列をHIV-1SF2菌株から得たものであり、N末端近く
でDP-178(配列番号1)と比較して幾つかのアミノ酸の相違が見られるという点で
わずかにDP-178(配列番号1)の配列と異なっている。図4に示すように、DP-185(
配列番号3)は312.5ng/mlでも阻害活性を示し、これは試験中最も低濃度である。
次の一連の実験はDP-178(配列番号1)のHIV-1およびHIV-2に対する阻害活性の
比較に関する。図5に示すように、DP-178(配列番号1)はペプチド濃度1ng/ml以
下でHIV-1-媒介多核体形成を阻害するが、10μg/mlという高濃度でHIV-2媒介多
核体形成を阻害しなかった。DP-178(配列番号1)のHIV-1媒介細胞融合阻害剤とし
てのこの顕著な4ログ(log)選択性は、DP-178(配列番号1)の作用に予想外のHIV-
1特異性があることを示している。DP-178(配列番号1)はHIV-1媒介細胞融合を阻
害するが、試験した同濃度、同じ細胞型において該ペプチドはHIV-2媒介細胞融
合を阻害できない。この事はDP-178(配列番号1)の抗ウイルス活性には高度の選
択性があるということのさらなる証拠となる。
6.2.2.細胞遊離ウイルスによる感染に対するペプチド阻害
次にDP-178(配列番号1)を細胞遊離HIV-1ウイルスによるCD-4+CEM細胞感染を阻
害するその能力について試験した。図2に示す結果は、DP-178(配列番号1)をHIV
-1LAI菌株によるCEM細胞感染を阻害するその能力についてアッセイを行った実験
から得られた。この実験には3つの対照ペプチドDP-116(配列番号9)、DP-125(配
列番号8)、DP-118(配列番号10)を使用した。DP-116(配列番号9)は以前にこのア
ッセイで用いて不活性である事が示されたペプチドの典型であり、DP-125(配列
番号8;Wild,C.ら.,1992,Proc.Natl.Acad,Sci.USA 89:10,537)およびDP-118(配
列番号10)は以前にこのアッセイで活性である事が示されたペプチドである。各
濃度(0、0.04、0.4、4、および40μg/ml)のペプチドを247 TCID50ユニットのHIV
-1LAIウイルスおよびCEM細胞と共にインキュベートする。7日間の培養の後、細
胞遊離上清を感染が成功した目安としてのRT活性の存在について試験した。図2
に示す結果により、DP-178(配列番号1)が90ng/ml(IC50=90ng/ml)という低濃度で
HIV-1ウイルス菌株により媒介される新規な感染経路を阻害する事がわかる。対
照的に、2つの陽性対照ペプチドDP-125(配列番号8)およびDP-118(配列番号10)
は、IC50の60倍以上濃い濃度、およそ5μg/mlを要した。
別の実験では、DP-178(配列番号1)のHIV-1およびHIV-2に対する阻害作用をCEM
細胞およびHIV-1LAIまたはHIV-2NIHZのいずれかを用いて試験した。62 TCID50HI
V-1LAIまたは25 GCID50HIV-2NIHZをこれらの実験に使用し、7日間インキュベー
トした。図3に見られるように、DP-178(配列番号1)はIC50約 31ng/mlでHIV-1感
染を阻害した。対照的に、DP-178(配列番号1)はHIV-2NIHZに対してはずっと高い
IC50を示した。従って、DP-178(配列番号1)はHIV-2阻害剤としてよりもHIV-1阻
害剤として2ログ以上の効力を有する。この発見は上記第6.2.1節で記載した融
合阻害アッセイの結果と一致し、重大なレベルで(すなわちHIV-2以上にHIV-1に
対して)の選択性をさらに支持している。
7.実施例:HIV-1 阻害剤DP-178(配列番号1)は細胞毒性をもたない。
この実施例では、36アミノ酸合成ペプチド阻害剤DP-178(配列番号1)が試験中
の最高ペプチド濃度(40μg/ml)でも培地中の細胞に対し毒性をもたない事が示さ
れている。
7.1.原料と方法
細胞増殖および細胞毒性アッセイ:各ペプチド濃度に対しおよそ3.8×105個の
CEM細胞をT25フラスコ内で37℃で3日間インキュベートする。試験したペプチド
は図1に記載したDP-178(配列番号1)およびDP-116(配列番号9)である。使用した
各ペプチドの濃度は0、2.5、10、および40μg/mlである。細胞数計測はインキュ
ベーション開始から0、24、48、72時間後に行った。
7.2.結果
有効HIV-1阻害剤DP-178(配列番号1)が何らかの細胞毒性効果を示すかどうかを
、該ペプチドが培地中の細胞の増殖および生存能力に及ぼす影響についてアッセ
イを行うことで評価した。CEM細胞を様々な濃度のDP-178(配列番号1)、DP-116(
配列番号9)、以前にHIV阻害剤としては無効であると示されたペプチド(Wild,C.
ら.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:10,537-10,541)存在下でインキュベートし
た。また、CEM細胞をいずれのペプチドも存在しない条件下でもインキュベート
した。
本細胞毒性実験の結果から、DP-178(配列番号1)は培地中の細胞に毒性効果を
示さない事がわかる。下記表5に見られるように、試験中最高濃度(40μg/ml)の
DP-178(配列番号1)存在下で3日間培養した細胞の増殖および生存能力標数でさ
え、DP-116(配列番号9)または非ペプチド対照のものと重大な相違は見られない
。細胞増殖データも図6にグラフで示した。上記第6節で挙げた実施例で示され
たように、DP-178(配列番号1)は1-10ng/mlのペプチド濃度でHIV-1媒介多核体形
成を完全に阻害し、少なくとも濃度90ng/mlで細胞遊離ウイルス感染を完全に阻
害する。従って、ペプチド濃度がHIV阻害有効量の3ログよりずっと高くてもDP-
178(配列番号1)は細胞毒性効果を示さない事が本研究によりわかる。
8.実施例:DP-107 およびDP-178ペプチドの欠節体(TRUNCATIONS)および突
然変異体の抗ウイルス活性
本節で行った実施例はDP107およびDP178の欠節体および突然変異体における抗
ウイルス活性の研究に相当する。これらDP107およびDP178修飾ペプチドのうち幾
つかは実質的な抗ウイルス活性を示す。
8.1. 原料および方法
抗HIVアッセイ:上記第6.1.節に記載した方法で抗ウイルスアッセイを行った
。アッセイにはHIV-1/IIIbおよび/またはHIV-2 NIHZ菌株を使用した。図5A-C中
に特に記していない場合は精製ペプチドを使用した。
ペプチド:ここで行った実験により特徴付けられたペプチドは:
1) 図5A-CではHIV-IBRU菌株のDP-178領域周辺部の領域由来で、該DP-178領
域を含むペプチドを挙げている。特にこの領域はgp41アミノ酸残基615からアミ
ノ酸残基717にわたる。リストに挙げたペプチドはDP178配列のアミノ酸配列を変
化させたこの領域の欠節体および/または突然変異体を含んでいる。さらに、図
で示すように、幾つかのペプチドはそのアミノ−及び/またはカルボキシ−末端
残基に付加あるいは末端残基を削除されている。;
2) また図6はDP107および/またはHIV-IBRU菌株のDP107アミノ酸配列を取り
巻くgp41領域の欠節体に相当するペプチドを挙げている。図に示すように、幾つ
かのペプチドはブロックされていない(unblocked)かビオチニル化されている
。
ブロックされたペプチドはアシルN-末端とアミドC-末端を有する。
8.2. 結果
抗HIV抗ウイルスデータは図5A−Cに記載したグループ1DP-178由来ペプチドを
用いて得た。示した結果は全長、非変異型DP178ペプチド(図5A-C T20参照)4ng/m
lについてのものである。
図5において、多くのDP178欠節体が低IC50値で確認されるように高度な抗ウ
イルス活性を示した。これらには、例えば、試験ペプチドT-50,T-624,T-636から
T-641,T-645からT-650,T-652からT-654、およびT-656を含む。T-50は(図中)背景
を隈取りした残基で示すような点突然変異を含む試験ペプチドである。HI
V-1由来試験ペプチドは明らかな株特異的抗ウイルス活性を示し、従ってHIV-2NI
HZ菌株で試験したいずれのペプチドもはっきりとした抗HIV-2抗ウイルス活性を
示さなかった。
図5Bに挙げたペプチドのうち、DP178のアミノ(T-4)末端側、およびカルボキ
シ(T-3)末端側半分に相当するペプチドを試験した。アミノ末端側のペプチドは
活性ではなかったが(IC50>400μg/ml)、カルボキシ末端側のペプチドは有効な
抗ウイルス活性を示した(IC50=3μg/ml)。多くの付加的な試験ペプチドも高度に
抗ウイルス活性を示した。これらには例えば、T-61/ T-102,T-217からT-221,T-2
35,T-381,T-677,T-377,T-590,T-378,T-591,T-271からT-272,T-611,T-222からT-2
23、およびT-60/T-224が含まれる。幾つかの抗ウイルス性ペプチドはDP178アミ
ノ酸配列を変化させた点突然変異および/またはアミノ酸残基付加を含んでいる
。
図5Cにおいて点突然変異および/または、アミノ末端および/またはカルボ
キシ末端修飾をDP178アミノ酸配列自身に導入する。図で示すように、リストに
挙げたテストペプチドの大部分は有効な抗ウイルス活性を示した。
DP107ペプチドの欠節体(図5T21参照)も作製し、図6に示すように試験した。
図6ではまた DP107配列を有する gp41領域からの付加アミノ酸残基を含む、ブ
ロックされたペプチドおよびブロックされていないペプチドに関するデータを記
載している。これらのペプチドの大部分はそれらの低IC50値で確認されるように
抗ウイルス活性を示した。
従って、本節に記載した結果は全長DP-107およびDP-178ペプチドだけが有効な
抗ウイルス活性を示すのではなく、これらのペプチドの欠節体もまた実質的な抗
ウイルス特性を有する事を示している。
9.実施例:有効なSIV DP178/DP107類似体:抗ウイルス特性付与
本明細書中に記載した実施例において、上記のコンピューターによる検索モチ
ーフ(computer-assisted search motif)を利用して同定したサル免疫不全ウイ
ルス(SIV)DP-178様ペプチドをその抗SIV活性について試験した。この同定された
ペプチドの幾つかは有効な抗ウイルス能力を示した。
9.1. 原料および方法 抗SIV抗ウイルス性アッセイ
:ここで用いるアッセイはLangolisらによって報
告された(Langolis,A.J.ら.,1991,AIDS Research and Human Retroviruses 7:71
3-720)。
ペプチド:本明細書中で行った実験で特徴付けられたペプチドは図7に示すペ
プチドT-391からT-400である。これらのペプチドはSIV TMタンパク質のDP178様
領域を通過する歩行(walk)に相当する。各ペプチドを100μg/mlからおよそ100ng
/mlまでの範囲の2倍連続希釈した濃度で試験した。各アッセイに対し、ペプチ
ドを含まないウエルも使用した。
9.2. 結果
図7にまとめたデータはSIV TMタンパク質のDP178様領域を通過する「ペプチ
ド歩行(peptide walks)」により得られた抗ウイルス性情報に相当する。
図7に示すように、ペプチドT-391からT-400を試験すると原料(crude)ペプチ
ドのように有効な抗ウイルス活性を示した。
従って、本明細書中で上記したコンピューターによる検索で、例えば第8節で
行った実施例のように、例えば非常に有望な抗SIV抗ウイルス性化合物であるウ
イルス性ペプチドをうまく同定した。
本発明は本発明の個々の観点に対する個々の実施例として意図され記載された
特定の実施態様によって範囲を限定されるものではなく、機能的に等価な技術お
よび構成要素は本発明の範囲内のものである。さらに本明細書中に記載されたも
のに加え、本発明の種々の改変は前記述および添付の図から当業者には明らかと
なるだろう。そうした改変は添付の請求項の範囲内である事を意図する。
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