JPH11508460A - 熱治療を用いて良性前立腺肥大を治療する方法 - Google Patents
熱治療を用いて良性前立腺肥大を治療する方法Info
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Abstract
(57)【要約】
良性前立腺肥大のような病気を患った前立腺組織をもつ個体を治療する方法は、カテーテル(28)を尿道(10)内へと挿入して、マイクロ波アンテナ(74)をカテーテル(28)内で尿道(10)の前立腺領域に隣接するように位置づける工程を包含する。マイクロ波アンテナ(74)は、その後、前立腺組織(96)へと実質的に連続的にマイクロ波エネルギーを印加するためのある電力範囲内で駆動され、それにより、前立腺組織(96)を壊死させるのに十分な温度および期間で、マイクロ波アンテナ(74)を取り囲む前立腺組織(96)を加熱する。
Description
【発明の詳細な説明】
熱治療を用いて良性前立腺肥大を治療する方法
発明の背景
本発明は、広くは、組織のマイクロ波熱治療の分野に関する。具体的には、本
発明は、経尿道熱切除治療を用いて、良性前立腺肥大(BPH)およびその他の前
立腺組織疾患を治療する方法に関する。
前立腺は、膀胱のすぐ下にある尿道を囲む、複雑なクリの実の形をした器官で
ある。すべての体内器官のなかでも最も罹病性の高いこの比較的小さい器官は、
年輩の男性がよくかかる病気、すなわち、良性前立腺肥大(BPH)と共に、より
重い病気である癌が生じる部位である。BPHは、前立腺の遷移領域に主に発生す
る、前立腺組織の悪性でない、両側性小結節状腫瘍状膨張である。治療をせずに
おくと、BPHは尿道閉塞を生じさせ、その結果、通常、排尿回数が増加したり、
尿意急迫、失禁、夜間多尿症などが生じたり、尿の流れが遅くなったり、停止し
たりする。またBPHは、尿路感染、急性尿道閉塞、水腎症および尿毒症のような
さらに危険な合併症を生じさせることもある。
ごく最近のBPH治療法は、マイクロ波熱治療を包含する。この治療法では、マ
イクロ波エネルギーが、前立腺尿道をとり囲む組織の温度を約45℃を超える温度
に上げるために用いられ、それによって腫瘍状BPH組織に熱的なダメージを与え
る。腫瘍状前立腺組織へのマイクロ波エネルギーの送達は、一般に、前立腺に隣
接する身体腔内に位置づけられたマイクロ波アンテナ内蔵アプリケータによって
達成される。エネルギーが与えられると、マイクロ波アンテナは、隣接する組織
を分子励起によって加熱し、腫瘍状前立腺組織を包囲し、壊死させる円筒形の対
称な放射パターンを生成する。次いで、壊死した前立腺内組織が身体に再吸収さ
れることによって、個体をBPHの症状から解放する。
あるタイプのBPH熱治療処理には、経尿道マイクロ波熱治療がある。この治療
方法は、マイクロ波アンテナを内蔵するフォーリー型(Foley-type)のカテーテ
ルを、前立腺に隣接する尿道内へと位置づけることによって、マイクロ波アンテ
ナを前立腺の遷移領域に直接、隣接するように配置する。記載されたこのタイプ
の尿道内アプリケータは、Turnerらの米国特許第4,967,765号およびHascoetらの
欧州特許出願第89403199.6号に見出され得る。
しかし、Hascoetらの欧州特許出願第89403199.6号に開示されている方法およ
び装置に基づくマイクロ波熱治療方法は、尿道から十分な距離を隔て、かつBPH
患者の前立腺に典型的に存在する腫瘍状組織の全体積を壊死させるのに十分なほ
ど均一に前立腺組織の壊死を生じさせない。尿道を取り巻く前立腺組織の壊死を
結果として浅くする、このような貧弱な性能の原因としては、前立腺へと熱を与
える方法が挙げられる。具体的には、マイクロ波エネルギーは、直腸の温度が42
.5℃に達するまで、あるいは印加される電力が60ワットになるまで、増加を続け
る電力レベルで前立腺へと印加される。もし直腸の温度が42.5℃に達すれば、マ
イクロ波エネルギーの放射は、完全に停止される。いったん直腸の温度が42℃よ
りも低くなると、マイクロ波エネルギーの印加は、マイクロ波エネルギーの印加
を停止する以前に印加された電力レベルよりも5ワット低い電力レベルで再開さ
れる。前立腺へのマイクロ波エネルギーのこのような印加方法は、Devonecらの Clinical Response to Transurethral Microwave Thermotherapy Is Thermal Do se Dependent
、23 Journal of European Urology 267-274、1993および同じ著者
らによる関連論文に報告されている。
直前に説明した方法は、前立腺組織のある限定された壊死をもたらすが、BPH
を満足のいく程度に治療するのに十分な深さで、または十分に均一に、望みどお
りに前立腺組織全体積が壊死することはない。この方法に伴う問題点としては、
例えば、直腸の温度が42.5℃を超えるたびに1分〜4分間のあいだマイクロ波電
力印加が停止され、直腸の温度が42℃未満になるのを待つことが挙げられる。こ
の電力中断が起こる度に、経尿道カテーテルにより発生される前立腺内温度は、
わずか2、3分もたたないうちに、壊死発生温度レベル(80℃もの高温)から、
非壊死発生レベル(約40℃)にまで急激に低下する。この現象は、LarsonらのTh e Precipitous Fall of Intraprostatic Temperatures When Microwave Power i s Stopped in Transurethral Thermal Therapy
、23rd Congress of Societe Int
ernationale D'Urologie、シドニー、オーストラリア、1994年9月18〜22
日に記載されている。この現象は、カテーテル(Rudieらの米国特許第5,413,588
号のカテーテル28に実質的に対応する)を用いて、前立腺内組織内に低レベルお
よび高レベル(例えば、80℃)壊死発生温度の両方を生成させ、前立腺内組織へ
のマイクロ波エネルギーの印加を中断(すなわち、完全に停止)してから組織の
温度が非壊死発生温度(例えば、約40℃)にまで低下するのに要する時間量を観
察することによって、証明された。
この現象は、加熱された前立腺内組織の血管過多応答に由来すると信じられて
いる。具体的には、組織がマイクロ波エネルギーの印加により加熱される時、組
織内の血管が膨張し、血液の流れおよび血液の体積が共に増大することにより、
より多くの熱を奪い去る。この動的な血管応答は、マイクロ波エネルギーにより
組織内に発生されている熱を発散させようとする組織による企てである。しかし
、ある距離内では、組織の血管系がマイクロ波エネルギーに圧倒され、組織内に
発生された熱に打ち勝つのに十分なほど速く熱を発散させることができない。マ
イクロ波エネルギーの印加が組織内で十分なレベルに維持されている限り、この
状況は変わらない。しかし、マイクロ波エネルギーの印加が実質的に中断される
(例えば、停止されて、直腸の温度を低下可能とする)時には、マイクロ波エネ
ルギーは、組織内の熱を発散させようとする血管系の能力にもはや打ち勝つこと
ができない。その代わり、マイクロ波エネルギーが存在しない時には、加熱され
た組織は、血管過多の状態で、組織内に残存する熱を迅速に発散させるヒートシ
ンクとしてうまく作用する。これにより、マイクロ波エネルギーの印加が停止さ
れる時に、前立腺内組織の温度の急速な低下がもたらされる。
したがって、マイクロ波エネルギー印加時に電力を実質的に中断することによ
り、1時間の治療セッションの間に、前立腺が壊死発生温度で連続的に加熱され
ることを防止する。また、このような中断をおこなう度に、前立腺組織を壊死発
生温度へと再度加熱するためには、より大きな電力とより長い期間とが必要にな
る。これは、マイクロ波アンテナに隣接する組織による血管過多応答による可能
性が最も高い。したがって、この従来技術による方法では、マイクロ波エネルギ
ー印加が頻繁に中断されるので、1時間の治療セッション中に前立腺へと与えら
れる壊死発生熱の総量は、はるかに少なくなる結果となり、これにより治療セッ
ションで壊死発生が占める部分を1時間未満にできるという効果が得られる。最
終的には、望ましい体積よりもはるかに少ない体積の前立腺組織、および望まし
い深さよりも浅い深さの前立腺組織が壊死することになる。このため、このよう
な従来技術の方法により治療されたBPH患者で満足のいく成果が得られた者の数
は、少なくなる結果になる。
発明の要旨
本発明は、(例えば、良性前立腺肥大のような)前立腺組織疾患を患った個体
を、経尿道熱切除治療の使用を通して治療する方法である。本発明では、BPHを
有効に治療するためには、少なくとも45℃を超える温度で、前立腺組織を壊死さ
せるのに十分な時間のあいだ前立腺組織を実質的に連続的に加熱することが必要
であることを認識する。本発明の方法によれば、尿道の壁から少なくとも2セン
チメートルの距離を隔てて、前立腺組織に実質的に均一な壊死を生じさせ得る。
本発明の方法は、尿道内へとカテーテルを挿入する工程と、尿道を冷却しつつ
前立腺組織を加熱する工程と、からなる2つの主要工程を含む。具体的には、こ
の方法は、カテーテルを尿道内へと挿入し、マイクロ波アンテナを、カテーテル
内で尿道を取り囲む前立腺に隣接するように位置づける工程を含む。前立腺内の
組織は、尿道を冷却しつつ、その組織内の尿道の壁から少なくとも2センチメー
トルの距離を隔てて、マイクロ波アンテナからのマイクロ波エネルギーで少なく
とも45℃の温度へと実質的に連続的に加熱される。
本発明による、前立腺組織疾患を患った個体を治療する方法は、さらに以下の
工程を含み得る。第1に、尿道は、前立腺内の組織を加熱する前に、予め冷却さ
れ得る。尿道を予め冷却した後、所定の基準が満たされるまで、増加を続けるレ
ベルで電力がマイクロ波アンテナへと印加される。これらの所定の基準は、以下
の条件、すなわち(1)カテーテルの温度が最低温度(例えば、35℃)に達する
こと、(2)直腸の温度が最低温度(例えば、40℃)に達すること、および(3
)マイクロ波アンテナに印加される電力が最小電力レベル(例えば、35ワット)
に達すること、の少なくとも1つが存在する時に満たされる。
次に、尿道を冷却し続けながら、尿道から少なくとも2センチメートルの距離
を隔てて、少なくとも45℃の温度に達するように、前立腺内の組織へと実質的に
連続的な加熱をもたらす範囲内に、マイクロ波アンテナへと印加される電力が維
持される。この電力レベルは、直腸の温度を42℃未満に維持し、カテーテルの温
度を40℃から1℃以内(40℃±1℃)に維持する、所望の範囲内に維持される。
もし直腸の温度が42℃に達したのなら、電力レベルは、低くはされるが、中断さ
れることはない(すなわち、完全には停止されない)。具体的には、電力レベル
は、直腸の温度が42℃未満に低下するまで、1分当たり1ワットのインクリメン
トで低下される。その後、電力レベルは、依然として直腸の温度を42℃未満に維
持しつつ、カテーテルの温度が40℃から1℃以内(40℃±1℃)に入るまで、1
分当たり1ワットのインクリメントで増加される。
本発明の方法は、前立腺に隣接する尿道や直腸のような健康な組織を保存しつ
つ、腫瘍状前立腺組織を均一に壊死させるのに十分な電力レベルで、十分な時間
のあいだマイクロ波エネルギーを印加することを可能にする。この技術では、前
立腺内の温度を、少なくとも45℃を超える温度で、ある治療温度範囲内に実質的
に連続的に維持するために、前立腺へと電力を印加する。この方法によれば、従
来技術の方法により壊死させることが可能な総体積を超える総体積の腫瘍状前立
腺組織を壊死させることが可能になる。なぜなら、温度は、本発明による方法の
治療部分全体を通して実質的に連続的に、壊死発生レベルに維持されるからであ
る。本発明の方法によれば、前立腺組織を、少なくとも2センチメートルの深さ
で壊死させることができる。この深さは、一般に、前立腺内のBPH腫瘍状組織の
全体積を十分に包含する。本発明の方法により、2センチメートルの深さで前立
腺組織を壊死させることによって、前立腺組織が約2センチメートルの深さで切
除される、BPH外科処置と実質的に同様の処置後結果が得られる。しかし、本発
明の方法によれば、尿道は保存され得る。
また、本発明の方法によれば、マイクロ波エネルギーは、前立腺の後方部より
も、(BPH腫瘍状組織の大半が位置する)前立腺の前方および側方部により多く
のエネルギーを放射するように、優先的な加熱パターンで印加され得る。このこ
とは、直腸のような隣接組織と共に、前立腺の健康な組織を保存する一助にもな
る。
図面の簡単な説明
図1は、良性前立腺肥大を患っている泌尿器官を示す、男性の骨盤領域の縦断
面図である。
図2は、Rudieらの米国特許第5,413,588号の尿道マイクロ波熱治療カテーテル
の近位端断面図である。
図3は、図2のカテーテルを線3−3で切り取った断面図である。
図4は、前立腺領域内に位置づけられたRudieらの米国特許第5,413,588号の尿
道カテーテルを示す、図1の男性の骨盤領域の拡大図である。
図5Aは、本発明の方法に従っておこなわれるマイクロ波熱治療の手順を説明す
る、測定された温度と、供給されたマイクロ波電力とを時間の関数として示すグ
ラフである。
図5Bは、図5Aに示すマイクロ波熱治療手順の間に患者の前立腺内に配置された
温度センサの位置を図示するマップである。
図5C〜5Dは、本発明の方法における尿道カテーテルにより発生された温度分布
を時間の関数として示すグラフである。
図6Aは、本発明の方法に従っておこなわれるマイクロ波熱治療の手順を説明す
る、測定された温度と、供給されたマイクロ波電力とを時間の関数として示すグ
ラフである。
図6Bは、図6Aに示すマイクロ波熱治療手順の間に患者の前立腺内に配置された
温度センサの位置を図示するマップである。
図6C〜6Dは、本発明の方法における尿道カテーテルにより発生された温度分布
を時間の関数として示すグラフである。
図7A〜7Jは、本発明の方法により治療される第1患者の前立腺の一連の断面の
絵図である。
図8A〜8Oは、本発明の方法により治療される第2患者の前立腺の一連の断面の
絵図である。
好ましい実施の形態の詳細な説明
図1は、良性前立腺肥大(BPH)が泌尿器官に及ぼす影響を示す、男性の骨盤
領域の縦断面図である。尿道10は、膀胱12から前立腺14を通り陰茎端部18の開口
部16に通じる管である。尿道10の周りの前立腺14内に良性腫瘍状組織が成長する
と、尿道10の狭窄20が生じ、その狭窄が、膀胱12から開口部16への尿の流れを妨
げる。尿道10を冒し、狭窄20を生じさせる前立腺14の腫瘍状組織は、腫瘍状組織
を加熱し、壊死させることによって効果的に除去され得る。理想的には、本発明
によれば、不必要で望ましくないダメージを、尿道10、ならびに射精管24および
直腸26のような隣接する健康な組織に与えるのを防止するために、尿道10の前方
および側方の前立腺14の尿道周囲腫瘍状組織のみが加熱され、壊死する。
A.本発明の方法において用いられるカテーテル
本発明の方法による前立腺14の良性腫瘍状BPH組織の選択的加熱は、"DEVICE F
OR ASYMMETRICAL THERMAL THERAPY WITH HELICAL DIPOLE MICR0WAVE ANTENNA"と
題され、本明細書中で参考として援用される、1995年5月9日に発行されたRudi
eらの来国特許第5,413,588号に開示されているカテーテルのようなマイクロ波ア
ンテナ内蔵カテーテル28を用いることにより可能になる。その他の尿道カテーテ
ルを用いることもできるが、Rudieらの米国特許第5,413,588号のカテーテル28は
、本発明の方法において用いるのが好ましいカテーテルである。図2および図3
は、Rudieらの米国特許第5,413,588号のカテーテル28の主な特徴を際だたせるた
めに提供されている。
図2は、大まかに言うと多管腔シャフト32と、シャフト位置保持バルーン34と
を有するカテーテル28の近位端の拡大断面図である。その遠位端では、多管腔シ
ャフト32は、多管腔シャフト32を冷却系、マイクロ波発生源および熱感知装置に
接続するマニホールドと連係して作用する。多管腔シャフト32は、尿道10を通し
て膀胱12へとシャフト近位端54を挿入することを可能にするほど十分に長いフォ
ーリー型の尿道カテーテルシャフトである。
図3に示されているように、カテーテル28の多管腔シャフト32は、温度感知管
腔56と、マイクロ波アンテナ管腔58と、尿排出管腔60と、バルーン膨張管腔62と
、冷却流体注入管腔64Aおよび64Bと、冷却流体排出管腔66Aおよび
66Bとを備えている。
温度感知管腔56は、シャフト32の第1側面68の近くに位置づけられ、シャフト
32内に温度測定センサ69(図2)を挿入することを可能にすることによって、シ
ャフト32が尿道10内に挿入される時に、周辺組織の温度をモニタする。
マイクロ波アンテナ管腔58は、シャフト32の第2側面72よりもシャフト32の第
1側面68のより近くに位置づけられる。マイクロ波アンテナ74は、シャフト32が
尿道10内に正しく位置づけられた時に、前立腺14の良性腫瘍状組織にほぼ隣接し
て位置するように、バルーン34の近くのマイクロ波アンテナ管腔58内に永久的に
位置づけられる。アンテナ74には、マイクロ波発生源によりエネルギーを与える
ことができ、それにより、前立腺14内の組織を加熱する電磁エネルギーをアンテ
ナ74に放射させる。
尿排出管腔60は、アンテナ管腔58とシャフト32の第2側面72との間でアンテナ
管腔58に隣接して位置づけられており、シャフト32の近位端54が膀胱12内に挿入
される時の尿の排出経路を規定する。
バルーン膨張管腔62は、カテーテル28の遠位端に隣接する膨張ポートと連通し
、バルーン34の内部86とも連通する。バルーン34は、膨張・収縮可能であり、図
4に示されているように、バルーン34が膀胱12内の膀胱頸部22の近くで膨張する
時に、シャフト32を固定された位置に保持するはたらきをする。
冷却流体注入管腔64A、64Bは、シャフト32の第1側面68に円周方向で隣接し、
シャフト32の第1側面68とアンテナ管腔58との間に位置づけられている。管腔64
Aおよび64B内に収容された水は、アンテナ74により放射されたマイクロ波エネル
ギーの一部を吸収する。また、管腔64Aおよび64B内の水は、マイクロ波エネルギ
ーにより発生された熱エネルギーを隣接組織から吸収することによって、アンテ
ナ74にエネルギーが与えられる時に、第1側面68に隣接する尿道10が過熱された
り、ダメージを受けたりするのを防止する。
冷却流体排出管腔66Aおよび66Bは、シャフト32の第2側面72に円周方向で隣接
している。排出管腔66A、66B内の水もまた、アンテナ74にエネルギーが与えられ
た時に、熱エネルギーを隣接組織(すなわち、尿道10)から吸収することによっ
て、アンテナ74にエネルギーが与えられた時に、第2側面72に隣接す
る尿道10および直腸26が過熱されたり、ダメージを受けたりするのを防止する。
図4は、カテーテル28が尿道10内に正しく位置づけられている、図1の男性骨
盤領域の拡大図である。シャフト32は、尿道10内に位置づけられており、シャフ
ト32の第2側面72は、直腸26に向けられている。水排出管腔66Aおよび66Bは、直
腸26に向かって後方に向けられており、水注入管腔64Aおよび64Bは、前立腺14の
線維性筋性組織94に向かって前方に向けられている。典型的には、尿道10の前方
および側方にある遷移領域96は、BPHをもたらす腫瘍状組織の増殖が最も頻繁に
起こる場所である。水排出管腔66Aおよび66Bは、水注入管腔64Aおよび64Bよりも
多くのマイクロ波エネルギーを吸収することができるので、アンテナ74から放射
されたマイクロ波エネルギーにより生成される放射パターンは、非対称となる。
よって、シャフト32の第1側面68に隣接する遷移領域96の前方領域を包み込む比
較的大きな体積の組織が、約45℃を超える温度に加熱される。これにより、尿道
10を侵す前立腺14の腫瘍状組織を効果的に壊死させる。
B.前立腺組織疾患を治療する方法
本発明の経尿道熱切除治療方法は、いま説明したばかりの図2〜図4に図示さ
れているRudieらの特許のカテーテル28のようなマイクロ波アンテナ内蔵カテー
テルの使用を含む。この方法の第1工程は、尿道カテーテルを尿道10内へと挿入
し、マイクロ波アンテナ74のようなエネルギー生成源を、図4に図示されている
ように、カテーテル内で尿道10を取り囲む前立腺14に隣接するように位置づける
ことを含む。
カテーテルを尿道内に位置づけると、本発明の方法による経尿道熱切除治療手
順が開始可能となる。図5Aは、実質的に本発明の方法に対応する経尿道熱切除治
療手順を概略的に実証するグラフである。しかし、本発明の方法は、図5A(ある
いは図6A)に示される手順そのものに限定されるわけではない。むしろ、図5Aに
示されている手順は、本発明の方法の一応用例にすぎず、本発明の方法を説明す
る目的で用いられているにすぎない。
図5Aに示されているように、x軸は、経尿道熱切除治療手順がおこなわれる
相対期間を表す。y軸は、摂氏で表現された温度(ここで、水平な線Hは、(そ
れ以上になると細胞が壊死する温度である)45℃を表す)と、ワットで表現され
た電力とを表す。線POは、(同軸ケーブル76を介して)マイクロ波アンテナ74に
印加された電力を表し、線CAは、センサ69により測定されたカテーテルの温度を
表し、線COは、カテーテル28内の冷却剤の温度を表し、線REは、直腸熱感知ユニ
ットにより測定された直腸の温度を表す。(同軸ケーブル76の最近位端において
)マイクロ波アンテナ74に印加された電力POは、取り付け具73に隣接するマイク
ロ波アンテナ74の同軸ケーブル76の最遠位端において測定される(Rudieらの米
国特許第5,326,343号の図2Aを参照のこと)。
図5Aに概略的に図示されているように、本発明による経尿道熱切除治療手順は
、4つの操作段階Φ1〜Φ4を含む。これらの段階は、第1冷却段階Φ1と、第
2電力勾配段階Φ2と、第3電力維持段階Φ3と、第4電力遮断/冷却段階Φ4
とを含む。
第1段階Φ1の間、尿道は、冷却剤流体をカテーテル内でマイクロ波アンテナ
と尿道との間に循環させることによって、人間の体温よりも低い温度に冷却され
る。この冷却工程は、カテーテル28と連通する冷却システムを用いて、管腔64A
、64Bおよび66A、66B内の冷却剤の温度が10℃以下になるまで、冷却管腔64A、64
Bおよび66A、66Bを通して冷やされた水をポンプで出し入れすることを含む。グ
ラフの線COは、段階Φ1での冷却剤の温度低下を示しており、線CAは、段階Φ1
でのカテーテル(カテーテル28のセンサ 69)の対応する温度低下を示している
。第1段階Φ1の結果、シャフト32に直接、隣接する組織を予め冷却することに
より、この方法の第2段階Φ2でマイクロ波アンテナ74へと比較的急速に電力が
印加されても、尿道10が熱によりダメージを受けることを防止する。カテーテル
を用いた尿道の冷却は、本発明による方法の残りの工程すべてを通して維持され
る。しかし、もし望みとあれば、この方法において後の各工程に適用する以前に
、第1段階Φ1における尿道10の予備冷却は省略してもよい。
本発明による方法の第2段階Φ2は、所定の基準が満たされるまで、マイクロ
波アンテナ74へと増加を続ける電力が印加される、電力勾配段階である。図5Aの
グラフにおける線POは、マイクロ波アンテナ74へと増加し続ける電力レベル
を印加することを示している。マイクロ波アンテナ74へと電力を印加することに
より、前立腺14の組織へとマイクロ波放射の印加がもたらされ、それにより、組
織の分子励起を引き起こす。マイクロ波アンテナへと印加される電力レベルが、
組織を少なくとも45℃に加熱するのに十分なほど高くなり、十分な時間の間印加
される時、このマイクロ波放射は、このマイクロ波放射が影響を及ぼす距離内の
組織に壊死をもたらす。加えて、カテーテル28のようなカテーテルが本発明によ
る方法で用いられる時、マイクロ波放射により円筒形状の非対称マイクロ波放射
パターンが前立腺に印加されることにより、前立腺の後方部よりも、前立腺の前
方部および側方部でより多くの量の組織を優先的に加熱する。
電力勾配段階Φ2の第1部分では、10ワットの電力が、902〜928MHzの周波数
で、約2分間マイクロ波アンテナ74へと印加される。次に、第2段階Φ2の第2
部分では、マイクロ波アンテナ74へと印加される電力は、第1の所定基準が満た
されるまで、2分間隔で5ワットずつのインクリメントで増加される。最後に、
電力勾配段階Φ2の第3部分では、マイクロ波アンテナ74へと印加される電力は
、第2の所定基準が満たされるまで、1分間隔で1ワットずつのインクリメント
でさらに増加される。
第1の所定基準は、以下の3つの条件の少なくとも1つ、またはそれ以上が存
在することを含み得る。すなわち、(1)カテーテル(すなわち、温度感知管腔
56内の熱カテーテルセンサ69)の温度が最低温度(例えば、35℃)に達すること
、(2)マイクロ波アンテナ74に印加される電力が最小レベル(例えば、35ワッ
ト)に達すること、あるいは(3)直腸温度感知ユニット(RTU)により測定さ
れる直腸の温度が最低温度(例えば、40℃)に達すること、の3つである。第2
の所定基準は、カテーテルの温度が、40℃から1℃以内(40℃±1℃)であるこ
とである。いったん第2の所定基準が満たされると、本発明による方法の第2段
階は完了する。もちろん、もし第2の所定基準が、第2段階Φ2の第2部分にお
いて(5ワットのインクリメントで)電力を印加した後に満たされれば、第2段
階の第3部分で1ワットのインクリメントにより電力をさらに増加させることは
、必要なくなる。
第2段階Φ2中に一旦カテーテルの温度が37℃に達すると、この点が、本発
明による方法の治療的に有効な部分の開始の目印となる。典型的には、この手順
の治療部分は、第1の所定基準が満たされた直後の第2段階の後段で始まる。
図5Aに図示されている具体的な手順では、この方法の第2段階は、手順開始10
分後に始まり、27分後に終わった。電力をこの手順の12分と24分との間に数回5
ワットずつのインクリメントで増加させた。このようにマイクロ波アンテナに印
加する電力を増加させた結果、線CAで図示されているカテーテルの温度もこれに
応じて上昇した。この手順の治療部分は、カテーテルの温度が約37℃に達した時
、すなわち手順開始後およそ27分に始まった。手順のこの時点において、電力を
1回だけ1ワットのインクリメントで増加させた。なぜなら、カテーテルの温度
は、既に急速に上昇しており、電力をそれ以上増加させなくても、速やかに40℃
に達したからである。よって、図5Aに図示されている第2段階Φ2は、第1の所
定基準が満たされた後、1ワットのインクリメントで電力を数回増加させる、第
2段階Φ2の延長された第3部分を含んでいなかった。
本発明による方法の第3段階は、電力レベルを所望の電力範囲内に維持するこ
とによって、カテーテルの温度を40℃から1℃以内(40℃±1℃)に維持し、そ
れにより、前立腺組織を少なくとも45℃の温度に加熱させることを含む。アンテ
ナ74に印加される電力のレベルは、必要とあれば1分毎に1ワットのインクリメ
ントで調整(上げ下げ)され、それにより、尿道の壁から少なくとも2センチメ
ートルの距離を隔てて、前立腺組織へと壊死発生温度(すなわち、45℃)で連続
的な熱の供給を維持する。
本発明による方法の第3段階は、また、前立腺14に隣接する直腸26の温度を42
℃未満に維持することも含む。もし第3段階Φ3の間に、直腸温度が42℃に達し
たのなら、マイクロ波アンテナ74に印加される電力は、完全に停止されることは
ないが、直腸温度が42℃未満に下がるまで、1分間隔で1ワットのインクリメン
トにより減少される。いったん直腸温度が42℃未満になると、マイクロ波アンテ
ナ74に印加される電力は、必要とあれば1ワットのインクリメントで増加される
ことにより、依然として直腸温度を42℃未満に維持しつつ、カテーテル(センサ
69)の温度を40℃から1℃以内(40℃±1℃)に維持する。
図5Aに図示されている具体的な手順では、段階Φ3は、約50分間(すなわち、
x軸に沿って27分から78分まで)続いた。第1に、電力は、第2段階Φ2の最後
に約46〜47ワットのピークに達した。次に、電力は、本発明の方法に従い、急速
に上昇するカテーテル温度に対処するために、約1分間隔(x軸上の30分〜35分
を参照のこと)、1ワットのインクリメントで5回、電力を減少させることによ
って調整された。その後、マイクロ波アンテナ74に印加される電力が周期的に調
整されることによって、カテーテル温度を40℃から1℃以内(40℃±1℃)に維
持した。このようにアンテナ74に連続的に電力を印加した結果、尿道の壁から少
なくとも2センチメートルの距離を隔てて、前立腺内の温度を少なくとも45℃に
維持した(図5B〜5Dに示す)。図5Aに示されているように、マイクロ波アンテナ
74へとこのように壊死発生レベルで連続的に電力を印加したにもかかわらず、直
腸温度(線REにより示されている)は、本発明による方法のこの印加中に40℃よ
りも高くなった期間はごく短かった。
図5Aに図示されている手順の第3段階Φ3は約50分間続いたが、本発明による
方法は、45〜50分間のマイクロ波エネルギー印加に限定されるわけではない。む
しろ、本発明は、前立腺組織の壊死は時間と温度との関係に依存しているという
認識に基づいている。よって、もし比較的高い温度(例えば、80℃)が前立腺内
組織に生成され得るのなら、マイクロ波エネルギーが印加される期間は、疾患前
立腺組織の均一で、深い壊死を依然として上首尾に達成し、尿道を保存しつつ、
45〜50分間よりも短い期間に減らすことができる可能性が高い。
本発明による方法の第4段階Φ4は、電力遮断/冷却段階である。この段階で
は、マイクロ波アンテナ74に印加される電力は遮断され、電力遮断後も、尿道の
冷却は維持される。具体的には、マイクロ波アンテナ74に印加される電力がゼロ
ワットに減らされ、冷却管腔64A、64Bおよび66A、66B を通る冷却剤の流れが(
電力レベルがゼロワットに達した後)約10分間の間、8℃に維持されることによ
って、尿道10を冷却し、前立腺14の尿道周囲組織へと熱を与えることにより生じ
る水腫を減らす。
図5Aに図示されている具体的手順では、第4段階は、第3段階Φ3の約50分間
にわたる治療部分の後に開始した。第4段階Φ4の間、カテーテルの温度(線CA
)が、約40℃から15℃未満の温度へと急速に低下したことによって、カテー
テルシャフト32周囲の尿道10を冷却した。同様に、第4段階Φ4の間、直腸温度
(線RE)も、約38℃から約18℃に低下したことにより、第3段階Φ3後に直腸26
を冷却した。この冷却工程が、第4段階および本発明による方法を完了させる。
C.BPH 患者に適用される際の本発明の方法
カテーテル28を用いる本発明による方法は、本願の譲受人であるミネソタ州、
プリマスのUrologix,Inc.により確立されたプロトコルに従って、1993年12月、
アルゼンチン、メンドザでの研究で10人の患者に対して用いられた。この研究に
関するさらなる詳細は、Urologix,Inc.から入手可能である。この研究により2
人の患者から得られた温度分布プロファイルおよび組織学的報告を以下に与える
。この情報は、本発明による方法がBPHの治療に有効であることを実証しており
、具体的には、尿道(例えば、カテーテルシャフト32と接触している尿道の壁)
から少なくとも2センチメートルの距離を隔てて、少なくとも45℃の前立腺内壊
死発生温度を生成させる方法の有効性を実証している。また、この情報は、尿道
の壁から少なくとも1.8 センチメートルの距離を隔てて、前立腺内に均一な壊死
を生じさせる方法の有効性をも実証している。
1.本発明の方法により治療された前立腺組織の温度プロファイル
図5A〜5Dおよび6A〜6Dは、本発明の方法による経尿道熱切除治療手順と、前立
腺10内にRudieらの米国特許第5,413,588号のカテーテル28により発生された温度
分布とを概略的に実証する一連のグラフである。図5A〜5Dは、第1の患者(この
研究での患者30)の処置に対応しており、図6A〜6Dは、第2の患者(この研究で
の患者35)の処置に対応している。
a.図5A〜5D−患者30
図5C〜5Dは、患者30の前立腺における温度分布を時間の関数として示している
。この温度分布は、図5Aに図示されている本発明による方法の前述した経尿道熱
切除治療手順においてカテーテル28を用いることにより発生された。
図5Bは、本発明の方法による治療の間に患者30の前立腺内に配置された温度
センサの位置を識別するマップである。これらのセンサは、Larson のAccurate Prostatic Thermal Mapping in 11 Patients Treated With The Urologix T3 Sy stem: Understanding the Decay of Temperatures
、11th World Congress on En
dourology、フロレンス、イタリア、1993年10月20〜23日で参照されている方法
に実質的に対応する間隙マッピング方法に従って配置された。
11個のセンサが、尿道10に隣接し、一定の間隔を隔てて位置合わせされた。セ
ンサP1Aは、シャフト32に対して側方で、やや前方に、シャフト32から約20mm離
して位置づけられた。センサP1Bは、センサP1Aとは反対側の前立腺側面上にシャ
フト32の側方で、シャフト32から約9mm離して位置づけられた。センサP1Cは、
尿道10の後方に、尿道10から約7mm離して位置づけられた。センサP1Dは用いら
れなかった(図5C)。センサP2A〜P2Dは、尿道10に対して側方に、シャフト32か
ら約13mm して位置づけられ、長手方向に沿って互いに1cmの間隔を設けること
によって、マイクロ波アンテナの長手方向に沿って前立腺内に実質的に垂直に延
びるようにした。センサP3A〜P3Dは、尿道10に対して側方に、シャフト32から約
8mm離して位置づけられ、長手方向に沿って互いに0.5cmの間隔を設けることに
よって、マイクロ波アンテナの長手方向に沿って前立腺内に実質的に垂直に延び
るようにした。
図5Cは、センサP1A〜P1CおよびP2A〜P2Dにより患者30の前立腺内で測定された
温度を示している。この手順の治療部分開始時(x軸上の約27分)に、センサP1
A〜P1CおよびP2A〜P2Dは、45℃を超える前立腺内温度を測定した。これらの温度
は、第3段階Φ3の最後まで維持された。具体的には、尿道から20mm離して位置
づけられたセンサP1Aは、この治療セッションの全体にわたって、少なくとも約4
5分間のあいだ、実質的に連続して45℃を超える温度を測定した。
図5Dは、センサP3A〜P3Dにより患者30の前立腺内で測定された温度を示してい
る。この手順の治療部分開始時(x軸上の約27分)に、センサP3A〜P3Dは、約45
℃の前立腺内温度を測定した。この温度は、第3段階Φ3の最後まで維持された
。センサP3AおよびP3Cは、80℃に近い温度を測定した。この温度は、この方法の
第3段階Φ3における治療部分において30分間以下の間、維持された。センサP3
Bは、手順開始後、約43分で80℃を超える温度に到達した。その結果、
データ表示ソフトウェアには限界があったため、0℃の表示デフォールト値が得
られた。
b.図6A〜6D−患者35
図6C〜6Dは、患者35の前立腺における温度分布を時間の関数として示している
。この温度分布は、図6A 図示されている本発明による方法の経尿道熱切除治療
手順においてカテーテル28を用いることにより発生された。
図6Aは、図5Aについて既に説明したものと同様の、本発明によるマイクロ波熱
治療手順を示している。第1段階Φ1は、1分に始まり、約8分にまで及ぶ。第
2段階Φ2は、手順開始後8分から約28分にまで及ぶ。この時刻において、カテ
ーテルの温度(線CA)は約40℃に達する。第3段階Φ3は、x軸に沿って約28分
から約78分にまで及ぶ。この方法の治療部分は、手順開始後約20分に始まる。こ
の時刻におけるカテーテル温度は、約37℃である。手順開始後約28分から、カテ
ーテル温度(線CA)は、第3段階Φ3の終わりまで約40℃またはそれをわずかに
上回る温度に維持される。
図6Bは、本発明の方法による治療の間に患者35の前立腺内に配置された温度セ
ンサの位置を識別するマップである。多数のセンサが、尿道10に隣接し、一定の
距離を隔てて位置合わせされた。センサP1A〜P1Dは、尿道10に対し側方および前
方に、シャフト32から約6mm離して位置づけられ、長手方向に沿って互いに1.0c
mの間隔を設けることによって、マイクロ波アンテナの長手方向に沿って前立腺
内に延びるようにした。センサP2A〜P2Dは、センサP1A〜P1Dとは反対側の前立腺
側面上に、尿道10に対して側方および前方に、シャフト32から約12mm離して位置
づけられ、長手方向に沿って互いに1.0cmの間隔を設けることによって、マイク
ロ波アンテナの長手方向に沿って前立腺内に延びるようにした。センサP3Aは、
患者の右側の、尿道10に対して側方で、やや前方に、シャフト32から約18mm離し
て位置づけられた。センサP3Bは、センサP3Aに対してはより前方の、尿道10の前
部に対して側方に、シャフト32から約15mm離して位置づけられた。センサP3Cは
、尿道10に対して直接、前方の、シャフト32から約20mm離して位置づけられた。
センサP3Dは、センサP3AおよびP3Bとは反対側の前立腺側面上に、尿道10の側方
で、やや前方の、シャフト32から約
18mm離して位置づけられた。
図6Cは、センサP1A〜P2Dにより患者35の前立腺内で測定された温度を示してい
る。図6C は、センサP1A〜P2Dのうち、センサP2AおよびP2Dを除くほとんどすべ
てのセンサが、第3段階Φ3の終わりまで維持された 45℃を超える前立腺内温
度を測定したことを示している。この手順の治療部分開始時(x軸上の約20分)
に、センサP1A〜P1DおよびP2B、P2Cは、45℃を超える前立腺内温度を測定した。
この温度は、この手順の治療部分の持続時間全体を通して(78分まで)維持され
た。
図6Dは、センサ P3A〜P3Dにより患者35の前立腺内で測定された温度を示して
いる。この手順の治療部分開始時(x軸上の約20分)に、センサP3Cは、45℃を
超える前立腺内温度(少なくとも50℃)を測定した。この温度は、この手順の治
療部分の全持続時間を通して(78分まで)第3段階Φ3の最後まで維持された。
約65℃のピーク温度が、センサP3Cにより測定された。しかし、センサP3A、P3B
およびP3Dにより測定された温度は、第3段階Φ3を通して45℃を超えることが
一度もなかった。
d.要約
図5A〜5Dおよび6A〜6Dは、カテーテルの温度を40℃から1℃以内(40℃±1℃
)に維持し、直腸の温度を42℃未満に維持するために、マイクロ波アンテナへと
所望の範囲内の電力を連続的に印加することを含む、本発明による方法により、
尿道から2センチメートルまでの距離を隔てて、45分間のあいだ連続して少なく
とも45℃の前立腺内温度が結果として得られることを示している。
また、図5A、5C〜5Dは、本発明の方法による経尿道熱切除治療の独特の特徴を
際だたせている。経尿道熱切除治療では、前立腺組織は、尿道を保存しつつ、尿
道の壁に対して比較的近い距離(例えば、約0.8センチメートル)で高い壊死発
生温度(80℃まで)に加熱され得る(センサ P3A〜P3Dでの温度を示す図5Dを参
照のこと)と共に、尿道の壁から少なくとも2センチメートルの距離を隔てて、
少なくとも45℃のより低い壊死発生温度にも加熱され得る(センサP1Aでの温度
を示す図5Cを参照のこと)。尿道の比較的近くで前立腺内に80℃もの高温を(尿
道を保存しつつ)生成することは、尿道に対し、前立腺全体を通して外向き
に生じる、(マイクロ波エネルギーにより発生された)高められた前立腺内温度
の指数関数的崩壊という既に確立されている考え方を考慮すれば、尿道から2セ
ンチメートルまで、および/または少なくとも2センチメートルの距離を隔てて
壊死発生温度を実現する際の重要な要素である。
従来のマイクロ波熱治療を実現する代わりに、経尿道熱切除治療を実現する際
の重要な要素は、所望の距離で壊死発生温度を連続的に維持するのに十分な時間
の間、所定の電力範囲内でマイクロ波エネルギーの連続的な(すなわち実質的な
中断なしに)印加を維持することである。(マイクロ波アンテナへと電力を連続
的に印加することによって)マイクロ波エネルギーの実質的に連続した印加を維
持しなければ、前立腺内組織での経尿道熱切除治療温度プロファイルは、(尿道
内に配置されたマイクロ波アンテナにより印加されるマイクロ波エネルギーを用
いても)達成され得ない。
2.病理学報告
図7A〜8Iは、本発明の方法による治療後の前立腺の相対的壊死発生度を示すた
めに、この研究の患者30および35から採取された前立腺の一連の断面を表してい
る。
a.患者30
図7A〜7Jは、本発明の方法(図5Aの手順により示される)により治療をおこな
ってからしばらくたった後に、前立腺精上皮腫切除(prostatoseminovesiculect
omy)により患者30から採取された前立腺の断面を示す一連のスケッチを示して
いる。この前立腺についての病理報告は、ミネソタ州、ロチェスタ、Mayo Clini
c のDavid Bostwick,M.D.により作成された。この病理報告は、図7A〜7Jのスケ
ッチと、図7A〜7Jのスケッチにより表される実際の前立腺断面についてなされた
観察の書面による説明とを含んでいた。
図7A〜7Jは、患者30の前立腺内で壊死した組織の相対領域を示すスケッチであ
る。これらのスケッチには、尿道10、前立腺14、壊死した組織100および壊死し
なかった組織102を識別するために参照番号が付加されている。この報告によれ
ば、図7A〜7Jに図示されているように、実質的に前立腺の全体に関与する
拡張型非炎症性出血性壊死が見られた。尿道粘膜は、機械的に断裂した領域はあ
ったものの、大半は保存された。内層の10〜20%に見られた残りの尿路上皮は、
角質形成を伴わない顕著な扁平化生を示した。尿路上皮の下、約1mmと測定され
た、関与しなかった組織の粘膜下縁があった。ある領域で前立腺の端近周辺にま
で延びる、小結節過形成および良性前立腺の予め存在する小結節の「ゴースト状
の」影を伴う出血性壊死があった。前立腺の顕著な収縮はなかったが、腺の多く
は、歪んだり、破壊されたりした。ある領域では、赤血球のシートのみが観察さ
れた。端部における腺は、それぞれ異なる程度の扁平化生を示し、通常は管腔内
に赤血球を伴う基底細胞過形成を示した。壊死領域は、遷移領域の全体を包含し
ており、周辺領域の大部分と共に、小結節過形成の小結節すべてをも包含してい
た。純粋支質の小結節は、上皮・支質混合型の小結節ほど明らかな熱破壊の痕跡
を示さなかったが、支質小結節において常に観察される増大した細胞性が与えら
れた場合は、この観察が有効ではない可能性もある。残留性あるいは再発性腺癌
は見られなかったし、標本には、血栓塞栓症は見られなかった。射精管は、管腔
の赤血球を伴う出血性壊死に集中的に関与した。この所見は、管腔の拡張および
赤血球の充満を示した精嚢のいくつかの部分にも反映した。
Bostwick博士が報告しているように、出血性壊死の領域は、尿道からの最大寸
法で1.8cmにまで拡張した。前立腺周囲の軟組織は関与しなかった。このことは
、熱による傷害が前立腺に限られていることを示す。
b.患者35
図8A〜8Oは、本発明の方法(図6Aの手順により示される)により治療をおこな
ってからしばらくたった後に、前立腺切除により患者35から採取された前立腺の
断面を示す一連のスケッチを示している。この前立腺についての病理学報告は、
ミネソタ州、ロチェスタ、Mayo Clinic のDavid Bostwick,M.D.により作成され
た。この病理学報告は、図8A〜8Oのスケッチと、図8A〜8Oのスケッチにより表さ
れる実際の前立腺断面についてなされた観察の書面による説明とを含んでいた。
図8A〜8Oは、患者35の前立腺内で壊死した組織の相対領域を示すスケッチであ
る。これらのスケッチには、尿道10、前立腺14、壊死した組織100および壊
死しなかった組織102を識別するために参照番号が付加されている。この報告に
よれば、図8A〜8Oに図示されているように、急性および慢性炎症の小成分を有す
る出血性壊死が見られた。周辺では、腺は、反応性化生変化を示し、基底細胞過
形成を伴う再上皮形成を示した。支質の大部分は、完全な失活を示す腺のゴース
トを伴う小結節を示した。興味あることに、上皮の一部が露出されたにもかかわ
らず、尿道内層の大部分は、成育可能な組織からなる1mmの縁を伴って保存され
た。
d.要約
これらの病理学報告は、本発明による経尿道熱切除治療方法が、尿道の壊死を
防止しつつ(例えば、患者30および35)、尿道から少なくとも1.8センチメート
ルの距離を隔てて、前立腺内組織に均一に壊死を生じさせること(例えば、患者
30)を実証している。特に図7A〜7Jのスケッチは、前立腺の断面の大部分で壊死
した組織の対称的な形状と、ほぼ一定の半径とを実証している。
結論
本発明による経尿道熱切除治療方法は、尿道から少なくとも1.8〜2.0センチメ
ートルの距離を隔てて、前立腺組織内に均一な壊死を生じさせる。このような壊
死は、尿道の壁から少なくとも2センチメートルの距離を隔てて、少なくとも45
℃の前立腺内温度を発生させるのに十分な電力範囲で、十分な時間のあいだマイ
クロ波エネルギーの連続的印加を維持することによって達成される。前立腺組織
のこのように比較的深く、均一な壊死は、尿道および直腸を保存しつつ、BPH(
またはその他の前立腺疾患)を患った患者の前立腺内の腫瘍状組織を包含してお
り、それを完全に壊死させる。加えて、この結果は、前立腺の後方部よりも(腫
瘍状BPH組織の大半が位置する)前立腺の前方部および側方部のほうにより多く
のマイクロ波エネルギーとより多くの熱とを集中させることにより達成され得る
。この優先的加熱パターンは、健康な前立腺組織および周辺組織を保存しつつ、
腫瘍状組織上へと壊死を集中させる。最終的には、本発明の方法によれば、1時
間の治療セッションで処置に成功した BPH患者の数を増やす結果になるであろう
。
本発明によるマイクロ波アンテナ内蔵カテーテルを尿道に対して効果的に利用
することを説明したが、その他の身体腔内への応用も包含される。加えて、本発
明の方法は、良性前立腺肥大以外の前立腺組織疾患(例えば、癌)の治療にも適
用され得る。
以上、好ましい実施の形態を参考にしながら本発明を説明したが、本発明の精
神および範囲から外れることなく、その形態および細部にさまざまな変更を施し
得ることは、当業者には理解できるであろう。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK
,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,
MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R
U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR
,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 レイド,ジョン エム.
アメリカ合衆国 ミネソタ 55364,ミネ
トリスタ,アップルガーデン ロード
775
(72)発明者 ニールソン,ブルース エイチ.
アメリカ合衆国 ミネソタ 55444,ブル
ックリンパーク,ニュートン アベニユー
ノース 8257
(72)発明者 カウプースマン,ジェイムズ ブイ.
アメリカ合衆国 ミネソタ 55316,チャ
ンプリン,ノルウェイ コート 11681
(72)発明者 バーゲット,ジェイムズ イー.
アメリカ合衆国 ミネソタ 55369,メー
プルグローブ,100ティーエイチ アベニ
ュー ノース 11664
(72)発明者 クルージュ,スタンレー イー.
アメリカ合衆国 ミネソタ 55301,アル
バートビル,ランバート アベニュー ノ
ースイースト 5425
(72)発明者 ノーステッド,スティーブン ダブリュ
ー.
アメリカ合衆国 ミネソタ 55344,エデ
ン プレイリー,クロウン オーク ロー
ド 7089
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.前立腺組織疾患を患った個体を治療する方法であって、 カテーテルを尿道内へと挿入し、マイクロ波アンテナを、該カテーテル内で該 尿道を取り囲む前立腺に隣接するように位置づける工程と、 該尿道を冷却しつつ、該前立腺内の組織を該マイクロ波アンテナからのマイク ロ波エネルギーで、該組織内の該尿道の壁から少なくとも2センチメートルの距 離を隔てて少なくとも45℃の温度まで加熱する工程と、 を包含する方法。 2.前記生成する工程が、 前記前立腺の前方部と前記マイクロ波アンテナとの間よりも、該前立腺の後方 部と該マイクロ波アンテナとの間のほうにより大きな量の冷却をもたらすことに よって、該マイクロ波エネルギーを用いて非対称な放射パターンを生成し、それ により、該前立腺の該後方部よりも該前立腺の該前方部および側方部のほうによ り多くのマイクロ波エネルギーを印加すること をさらに含む、請求項1に記載の方法。 3.前記生成する工程が、 前記カテーテル内で、該カテーテルの第2側面よりも該カテーテルの第1側面 のより近くに前記マイクロ波アンテナを配置することをさらに含んでおり、該カ テーテルの該第1側面が、前記前立腺の前記前方部および前記側方部に隣接して 位置づけられ、該カテーテルの該第2側面は、該前立腺の前記後方部に隣接して 位置づけられる、請求項2に記載の方法。 4.前立腺組織疾患を患った個体を治療する方法であって、 カテーテルを尿道内へと挿入し、マイクロ波アンテナを、該カテーテル内で該 尿道を取り囲む前立腺に隣接するように位置づける工程と、 該カテーテル内に流体を循環させることによって、該尿道を冷却する工程と、 電力印加中に該尿道を冷却することによって該尿道の壊死を防止しつつ、該尿 道から少なくとも2.0センチメートルの距離を隔て、該前立腺内の組織を壊死さ せるのに十分な電力範囲および期間内で、該マイクロ波アンテナへと連続的に電 力を印加する工程と、 を包含する方法。 5.前立腺組織疾患を患った個体を治療する方法であって、 カテーテルを尿道内へと挿入し、マイクロ波アンテナを、該カテーテル内で該 尿道を取り囲む前立腺に隣接するように位置づける工程と、 該カテーテルを用いて該尿道を冷却する工程と、 該尿道の冷却を継続しつつ、所定の基準が満たされるまで、該マイクロ波アン テナへと増加し続けるレベルの電力を印加する工程と、 該尿道の冷却を継続することにより該尿道の壊死を防止しつつ、前立腺組織を 壊死させるのに十分な時間の間、該尿道から2センチメートルまでの距離を隔て て、該前立腺内に少なくとも45℃の温度に至る加熱をもたらす、所望の範囲内の 電力の該マイクロ波アンテナへの印加を維持する工程と、 電力を遮断した後、該尿道を冷却する工程と、 を包含する方法。 6.前記所定の基準が、以下の条件、すなわち(1)前記カテーテルの温度が 第1の最低温度に達すること、(2)前記直腸の温度が第2の最低温度に達する こと、および(3)前記マイクロ波アンテナに印加される電力が最小電力レベル に達すること、の少なくとも1つが存在する時に満たされる、請求項5に記載の 方法。 7.前記第1の最低温度が35℃であり、前記第2の最低温度が40℃であり、前 記最低電力レベルが35ワットである、請求項6に記載の方法。 8.前記所定の基準が、40℃から1℃以内(40℃±1℃)の温度に達する前記 カテーテル温度をさらに含んでおり、前記電力を維持する工程が、前記電力レベ ルを前記所望の範囲内に維持することによって、前記直腸の温度を42℃未満に維 持することをさらに含んでいる、請求項6に記載の方法。 9.前記電力レベルを維持することが、 もし前記直腸の温度が42℃に達したのなら、前記電力レベルを1分当たり1ワ ットのインクリメントで、該直腸温度が42℃未満になるまで減少させることと、 該直腸温度が42℃未満の温度に戻った後、該電力レベルを1分当たり1ワット のインクリメントで、前記カテーテル温度が40℃から1℃以内(40℃±1℃)に 入るまで増加させることと、 をさらに含む、請求項8に記載の方法。 10.前記電力を維持する工程において、前記カテーテル温度が、40℃から1℃ 以内(40℃±1℃)で決定されたある温度レベルに維持されるように、前記所望 の電力範囲が選択される、請求項5に記載の方法。 11.前記電力レベルを1分当たり1ワットのインクリメントに調整することに よって、前記電力が前記所望の範囲内に維持される、請求項10に記載の方法。 12.前記増加し続ける電力レベルを印加する工程が、 10ワットの電力レベルを2分間印加した後、前記所定の基準が満たされるまで 、2分ごとに5ワットのインクリメントで該電力レベルを増加させることと、 該所定の基準が満たされた後、前記カテーテル温度が40℃から1℃以内(40℃ ±1℃)に入るまで、1分当たり1ワットのインクリメントで該電力レベルを増 加させることと、 をさらに含む、請求項5に記載の方法。 13.前記尿道を冷却する前記最初の工程が、 前記電力を印加する工程よりも前に10分以内の間、10℃以下の温度で、前記マ イクロ波アンテナと該尿道との間に流体を循環させること をさらに含む、請求項5に記載の方法。 14.前記電力を印加する工程および前記電力を維持する工程が、 前記マイクロ波アンテナへと約902MHzから約928MHzの範囲内の駆動信号を供給 することによって、前記カテーテルを取り囲む前記前立腺の部分へとマイクロ波 放射を印加すること をさらに含む、請求項5に記載の方法。 15.尿道内へと挿入可能なカテーテルを備えている、前立腺組織疾患を治療す るための器具であって、 該カテーテルが、 該カテーテルにより支持されており、該尿道を取り囲む前立腺に隣接して位置 するように適合された、電磁エネルギー源と、 該カテーテルにより支持されており、該尿道を冷却する、冷却系と、 を有し、 該冷却系が該尿道を冷却している間に、該エネルギー源が、該尿道の壁から少 なくとも2センチメートルの距離を隔てて、少なくとも45℃の温度を生成し得る ように、該エネルギー源および該冷却系が構成され、配置されている、器具。
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