【発明の詳細な説明】
ペプチド系のフィブロネクチン阻害薬
細胞−細胞および細胞−細胞外マトリックス相互作用の多くは、タンパク質リ
ガンド(たとえばフィブロネクチン、ビトロネクチンおよびVCAM−1)と、
それらのインテグリン系受容体(integrin receptor)[たとえばVLA−4(α
4β1)]により仲介される。最近の研究で、これらの相互作用は多くの生理学
的状態(たとえば胚の発育および創傷の治癒)および病理学的状態(たとえば腫
瘍細胞の侵入および転移、炎症、アテローム性動脈硬化症ならびに自己免疫疾患
)において重要な役割を果たすことが示された。これらの相互作用のうちのある
ものを選択的に阻害しうる薬剤は、多数の疾患の処置に有用であると推定される
。
インテグリンは、非共有結合したαおよびβサブユニットから構成されるヘテ
ロ二量体型の細胞表面受容体である。分子生物学およびタンパク質化学を利用し
て、多数のαおよびβサブユニットが確認された。これらのインテグリンファミ
リーはβサブユニットに基づいて分類することができる。βサブユニットは1ま
たはそれ以上のαサブユニットと結合することができる。最も広く分布している
インテグリンはβ1類に属し、これは超低速抗原(very late antigen(VLA)
)としても知られている。第2類のインテグリンは白血球特異性受容体であり、
3種類のαサブユニットのうちの1つがβ2タンパク質と複合体を形成したもの
からなる。細胞接着性物質(cytoadhesin)αIIbβ3およびαvβ3は第3
類のインテグリンを構成する。
多様なタンパク質がインテグリン系受容体に対するリガンドとして作用する。
一般に、インテグリンが認識するタンパク質は3つの類、すなわち細胞外マトリ
ックスタンパク質、血漿タンパク質、および細胞表面分子のうちの1つに属する
。細胞外マトリックスタンパク質、たとえばコラーゲン、フィブロネクチン、フ
ィブリノーゲン、ラミニン、トロンボスポンジンおよびビトロネクチンは、多数
のインテグリンに結合する。これらの接着性タンパク質の多くは血漿中をも循環
し、活性化した血球に結合する。インテグリンに対するリガンドである他の血漿
成分には、フィブリノーゲンおよびX因子が含まれる。細胞結合した補体C3b
iお
よび幾つかのトランスメンブランタンパク質、たとえばIg様細胞接着分子(I
CAM−1,2,3)および血管細胞接着分子(VCAM−1)(これらはIg
スーパーファミリーの構成員子である)も、あるインテグリンに対しては細胞表
面リガンドとして作用する。
多くのインテグリンにつき標的アミノ酸配列が確認された。たとえばα5β1
、αIIβ3およびαVβ3における標的配列は、フィブロネクチン、フィブリ
ノーゲン、トロンボスポンジン、1型コラーゲン、ビトロネクチンおよびvWF
のようなタンパク質中に見られるArg−Gly−Aspトリペプチドである。
しかしArg−Gly−Asp配列は、接着性リガンドが利用する唯一のインテ
グリン認識モチーフではない。他のインテグリンα4β1は配列Leu−Asp
−Valを介してフィブロネクチンの可変領域(CSI)を結合させ、血小板イ
ンテグリンαIIbβ3はフィブリノーゲンのガンマ鎖のカルボキシ末端にある
配列His−His−Leu−Gly−Gly−Ala−Lys−Gln−Al
a−Gly−Asp−Valをも認識する。
本発明は主として、リガンドVCAM−1とそれのインテグリン系受容体VL
A−4(α4β1)の相互作用を遮断する薬剤に関する[VLA−4に関する総
説についての参考文献:インテグリンVLA−4の構造とそれの細胞−細胞およ
び細胞マトリックス接着機能,M.E.Hemler,M.J.Elices,C.Parker and Y.Takada,
Immunological Reviews,114(1990)45-65]。インテグリンα4β1は、造血系前
駆細胞、末梢および細胞毒性Tリンパ球、Bリンパ球、単球、胸腺細胞ならびに
好酸球を含めた、多数の造血細胞および樹立細胞系において発現する。細胞−細
胞外マトリックス相互作用にのみ関与する他のβ1インテグリンと異なり、α4
β1は細胞−細胞相互作用および細胞−細胞外マトリックス相互作用の両方を仲
介する。活性化したα4β1を発現している細胞は、フィブロネクチンのカルボ
キシ末端細胞結合性ドメイン(Arg−Gly−Asp仲介でないもの)、内皮
細胞上に発現しているVCAM−1に結合し、また相互に結合してホモタイプ凝
集を促進する。内皮細胞によるVCAM−1の発現は、INF−γ、TNF−α
およびIL−1βのような炎症前サイトカインによりアップレギュレーションさ
れる。
α4β1仲介による細胞接着の調節は、T細胞増殖、胚中心へのB細胞局在化
、ならびに内皮細胞への活性化T細胞および好酸球の接着を含めた多数の生理学
的プロセスにおいて重要である。さらに、インテグリンα4β1仲介によるプロ
セスは、転移における黒色腫細胞侵入、慢性関節リウマチにおける滑膜のT細胞
浸潤、自己免疫性糖尿病、大腸炎、実験自己免疫性脳脊髄炎における血液−脳関
門の白血球透過、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、心臓血管疾患および
多発性硬化症のような幾つかの疾患において、関連が指摘されている。上記疾患
のプロセスでVLA−4/VCAM−1相互作用が関連しているという証拠は、
インビトロおよびインビボでの種々の炎症実験モデル(たとえばマウスにおける
接触性皮膚過敏反応)、実験自己免疫性脳脊髄炎、肺の抗原攻撃、糖尿病、潰瘍
性大腸炎、腎炎および同種移植片拒絶反応において、ペプチドCS−1、および
VLA−4またはVCAM−1に特異的な抗体がもつ役割を調べることにより蓄
積された。他の関連疾患には、喘息、乾せん、再狭窄、心筋炎および炎症性腸疾
患が含まれる。
たとえば関節炎の実験モデル(近交系の雌ルーイス(Lewis)ラットに、グル
ープAストレプトコッカス細胞壁由来のペプチドグリカン−多糖類フラグメント
の単回腹腔内注射により誘導した関節炎)において、関節炎の発症時に(0〜4
日日目;300μg/日)、または定着した関節炎を伴う動物に11〜16日目
にCS−1を静脈内注射すると、急性および慢性両方の炎症を抑制することが示
された[参考文献:合成フィブロネクチンペプチドがラットにおいて白血球の接
着および補強を阻害することにより関節炎を抑制する,S.M.Wahl,J.B.Allen,K.L
.Hines,T.Imamichi,A.M.Wahl,L.T.Furcht and J.B.McCarthy,J.Clin.Invest.,94
(1994)655-662]。
他の炎症モデル(オキサゾロンまたは2,4−ジニトロフルオロベンゼン感作
マウスにおける接触過敏症)において、抗−α−4特異性モノクローナル抗体R
1−2またはPS/2の静脈内投与(攻撃の4〜6時間前)が遠心性(efferent)
反応を有意に阻害した(耳腫脹反応の50〜60%低下)。[参考文献:インテ
グリンα−4サブユニットに対するモノクローナル抗体がネズミの接触過敏反応
を抑制する,P.L.Chisholm,C.A.Williams and R.R.Lobb,Eur.J.Immunol.,23(199
3)682-688]。腸炎症モデル(コットントップタマリン(Cotton-top tamarin)
における急性大腸炎)において、VLA−4を結合させる抗−α4インテグリン
モノクローナル抗体HP1/2が急性大腸炎を有意に減退させた。これに対し2
種類の抗−E−セレクチン−モノクローナル抗体(BB11およびEH8)は、
コットントップタマリンにおいて10日間の治療期間後に大腸炎をわずかに減退
させただけであった[参考文献:抗−α4インテグリン−モノクローナル抗体に
よるコットントップタマリンの大腸炎減退,D.K.Podolsky,R.Lobb,N.King,C.D.B
enlamin,B.Pepinsky,P.Sehgal and M.deBeaumont,J.Clin.Invest.,92(1993)372-
380]。
これらの抗体は、多発性硬化症に類似する中枢神経系の炎症状態である自己免
疫性脳脊髄炎(EAE)のモデルにも有効であることが示された。両疾患とも、
循環白血球が血液−脳関門を透過し、ミエリンに損傷を与え、神経伝達障害およ
び麻痺を引き起こす。EAEは、動物にミエリン塩基性タンパク質のようなCN
Sタンパク質に対する初回抗原刺激を与えることによって能動的に誘導するか、
またはこれらのCNS抗原に対して特異的な活性化したリンパ球を注射すること
によって養子的に(adoptively)誘導できる。種々のモノクローナル抗体[MK
/1(抗−VCAM−1)、ならびにSP/2およびLPAM−1(抗α4イン
テグリン)]は、照射した雌(PL/J×SJL)F1マウスに注射すると疾病
の発症を遅らせた。α4インテグリンに対する抗体(LPAM−1およびPS/
2)の注射を疾病発症まで3日毎に継続すると、疾病の発症が遅れただけでなく
、この場合には疾病の程度も著しく軽減した[参考文献:CD4 T細胞が脳実
質に進入するためには、それがα4インテグリンを表面発現することが必要であ
る,J.L.Baron,J.A.Madri,N.H.Ruddle,J.Hashim and C.A.Janeway,Jr.,J.Exp.Me
d.,177(1993)57-68]。
α4−インテグリン(LPAM−1)とそれのリガンドVCAM−1の両方に
特異的な抗体は、非肥満−糖尿病マウスのインスリン依存性真性糖尿病の治療に
も有効であることが示された。インスリン依存性真性糖尿病は、活性化されたT
リンパ球が膵島のインスリン産生β細胞を破壊する自己免疫疾患であると考えら
れる。抗体R1−2は、非肥満−糖尿病マウスのインスリン炎発症を用量依存性
様式で阻害した。疾病の遮断に伴ってランゲルハンス島のリンパ球浸潤が著しく
減少した[参考文献:ネズミの養子自己免疫性糖尿病の発生機序は、4−インテ
グリンと血管細胞接着分子−1の相互作用を必要とする,J.L.Baron,E-P.Reich,
I.Visintin and C.A.Janeway,Jr.,J.Clin.Invest.,93(1994)1700-1708]。
インテグリンα4β1を発現する細胞は、フィブロネクチンのヘパリンII結合
性ドメイン中、およびカルボキシ末端細胞結合性ドメイン内にある交互スプライ
シングしたタイプIII結合性セグメント(IIICS)中の配列に結合することが示
された。α4β1は、IIICS領域内のCS−1と呼ばれるペプチド配列(25
アミノ酸のペプチド)に高い親和性で結合する。これは、この配列がフィブロネ
クチン中の主なα4β1相互作用部位であることを示唆している。トリペプチド
Leu−Asp−Valは、フィブロネクチンへの造血細胞接着を支持すること
ができる、またはα4β1仲介による細胞結合を阻害することができる、CS−
1内の最小配列である[CS1に関する参考文献:フィブロネクチンのオルタナ
ティブスプライシングしたタイプIII結合性セグメントドメイン内の主な細胞タ
イプ特異性接着部位(CS1)の最小必須配列はロイシン−アスパラギン酸−バ
リンである,A.Komoriya,L.J.Green,M.Mervic,S.S.Yamada,K.M.Yamada and M.J.
Humphries,J.Biol.Chem.,23(1991)15075-15079;造血細胞によるフィブロネクチ
ンのV領域内LDV配列の活性化依存性認識,E.A.Wayner and N.L.Kovach,J.Cel
l Biol.,116(1992)489-497]。
前記のLeu−Asp−Val含有配列のほか、環状オクタペプチド1−アダ
マンタンアセチル−Cys−Gly−Arg−Gly−Asp−Ser−Pro
−Cys(2システイン残基間にジスルフィド橋を含む)が、LDV含有ペプチ
ドCys−Leu−His−Gly−Pro−Glu−Ile−Leu−Asp
−Val−Pro−Ser−Thrと同程度に、CS−1コーティングしたプレ
ートへのジャーカット細胞接着を阻害するのに有効であると報告された(IC50
30μM)。この環状ペプチドは、フィブロネクチンコーティングしたプレー
トへのジャーカット細胞の結合も阻害した。このオクタペプチドは、α4β1誘
導による接着を阻害するほか、αVβ3およびαIIbβIIIa依存性アッセイ
においても機能を阻害した。したがってこのペプチトはα4β1仲介による接着
について選択的ではない[参考文献:環状RGDペプチドはα4β1と結合性フ
ラグメント1および血管細胞接着分子との相互作用を阻害する,P.M.Cardarelli
,R.R.Cobb,D.M.Nowlin,W.Scholz,F.Gorcsan,M.Moscinski,M.Yasuhara,S-L.Chian
g andT.J.Lobl,J.Biol.Chem.,269(1994)18668-18673]。
幾つかの小さなペプチド[参考文献:Leu−Asp−Val配列の非ペプチ
ド系代理物質(surrogate)、ならびに炎症、自己免疫疾患および腫瘍の進行の
治療におけるそれらの使用、YEDAリサーチ・アンド・ディベロップメント社
、国際特許出願公開第WO 94/02445号、公開日1994年2月3日]も、α4β
1誘導による接着を阻害すると報告された。ジスルフィド環状ペンタペプチドで
あるArg−Cys−Asp−チオプロリン−Cys(チオプロリン=チアゾリ
ジン−4−カルボン酸)もフィブロネクチンへの白血球接着の阻害物質であると
報告された。さらにこの環状ペプチドは、Arg−Gly−Asp細胞結合中心
ドメインを含む、フィブロネクチンの120kDaキモトリプシン分解フラグメ
ントへの結合も阻害した。この場合もこのペプチドは選択的でなかった。それは
α4β1およびα5β1の両方に結合する[参考文献:新規な環状ペンタペプチ
ドがα4β1およびα5β1インテグリン仲介による細胞接着を阻害する,D.M.
Nowlin,F.Gorcsan,M.Moscinski,S-L.Chiang,T.J.Lobl and P.M.Cardarelli,J.Bi
ol.Chem.,268(1993)20352-20359]。
本発明は、比較的小さな二環式ペプチドがVCAM−1とVLA4の相互作用
を効果的に阻害しうるという知見に基づく。
本発明の1態様によれば、式1(図1)の環状二量体ペプチド
(式中:
ペプチド1およびペプチド2は独立して、平行または逆平行の配向で並置され
た式−AA1−AA2−AA3−AA4−のテトラペプチドを表し;
AA1は、Ile、Leu、ならびにPro、Gly、Tic、Glnおよび
Pheから選択されるそのアミノ酸類似体から選択されるLまたはDアミノ酸で
あり;
AA2は、Leu、ならびにIle、Phe、ProおよびValから選択さ
れるそのアミノ酸類似体から選択されるLアミノ酸であり;
AA3は、Asp、Glu、およびそのアミノ酸類似体から選択されるLアミ
ノ酸であり;
AA4は、Val、ならびにLeu、Ile、Phe、Ser、Proおよび
Cha(シクロヘキシルアラニン)から選択されるそのアミノ酸類似体から選択
されるLアミノ酸であり;
L1およびL2は独立して、ペプチド1と2を連結して環状ペプチドを形成す
るための連結部分を表す);またはその塩が提供される。
本発明は、式1(図1)の環状二量体ペプチド
(式中:
ペプチド1およびペプチド2は独立して、平行または逆平行の配向で並置され
た式−AA1−AA2−AA3−AA4−のテトラペプチドを表し;
AA1は、Ile、Leu、Pro、Gly、Tic、Phe、およびそのア
ミノ酸類似体から選択されるLまたはDアミノ酸であり;
AA2は、Leu、Ile、Phe、Val、およびそのアミノ酸類似体から
選択されるLアミノ酸であり;
AA3は、Asp、Glu、およびそのアミノ酸類似体から選択されるLアミ
ノ酸であり;
AA4は、Val、Leu、Ile、Phe、Cha(シクロヘキシルアラニ
ン)、およびそのアミノ酸類似体から選択されるLアミノ酸であり;
L1およびL2は独立して、ペプチド1と2を連結して環状ペプチドを形成す
るための連結部分を表す);
またはその塩を提供する。
本明細書において、テトラペプチド−AA1−AA2−AA3−AA4−は、
別途記載しない限りAA1にそのN−末端をもち、AA4にそのC−末端をもち
、アミノ酸は別途記載しない限りL立体配置をもつ。
この環状ペプチドは好ましくは、本明細書に記載するMOLT−4細胞/フィ
ブロネクチンアッセイにおいて<20μM、より好ましくは<15μMのIC50
をもち、またはこのペプチドは、本明細書に記載するMOLT−4細胞/組換え
可溶性VCAM−1アッセイにおいて<100μM、好ましくは<50μMのI
C50をもつ。
好ましくはAA4は一般式4(図4)をもち、式中、R1はアミノ酸側鎖であ
り、R2およびR3は独立してHまたはC1 〜4アルキル(好ましくはHまたはMe
、特にH)を表す。
ペプチド1と2が逆平行に並置されている場合、L1およびL2は好ましくは
一般式5(図4)をもち、式中、R4はHまたはC1 〜4アルキル(特にH)を表
し、XはCH2において所望によりC1 〜4アルキルで置換された−(CH2)n(n
=1〜4)、および−CH2において所望によりNH2で置換された−(CH2)n(
n=1〜4)から選択されるか;またはXとNR4は一緒に式8、式8aもしく
は式9の基(図4)(n=0〜4)を表す。
ペプチド1と2が平行に並置されている場合、L1およびL2は好ましくはそ
れぞれ一般式7および6(図4)をもち、式中、R5およびR6は独立してHまた
はC1 〜4アルキル(特にH)を表し、XはCH2において所望によりC1 〜4アル
キルで置換された−(CH2)n(n=1〜4)を表すか、または;
XとNR5は一緒に式8、式8aもしくは式9の基(図4)(n=0〜4)を
表すか、または;
XとNR6は一緒に式8、式8aもしくは式9の基(図4)(n=0〜4)を
表し;
ただし、XとNR5およびXとNR6の両方が式8、式8aもしくは式9のいずれ
かの組合わせを表す場合、−(CH2)nモチーフは重複しない。
好ましい意味は:
AA1がIleであり、
AA2がLeuであり、
AA3がAspであり、
AA4がValである。
好ましいIle類似体を図8に示す。
好ましくはペプチド1と2は逆平行に並置されている。
好ましくはL1とL2は等しい。
AA1に適する意味には、t−Leuおよびt−ブチル−Alaが含まれる。
AA1に適する他の意味には、D−Leu、MeIleおよびMePheが含ま
れる。AA2に適する他の意味はNleであり、AA4に適する他の意味はLe
u、NvaまたはNleである。
ペプチド1と2が逆平行に並置されている場合につき、L1およびL2に好ま
しい意味を図7に示す。ペプチド1と2が平行に並置されている場合につき、L
1およびL2に好ましい意味を図12に示す。L1およびL2に好ましい他の意
味を図17に示す。
本発明の環状ジペプチドは下記の利点のうち少なくとも1つをもつ。すなわち
それらは本発明者らの試験において、既知の化合物、たとえばCS1およびYE
DA特許で請求されている化合物より有効であり;それらはCS−1より小さい
25アミノ酸であるため、より容易に合成され;環状ペプチドは酵素分解に対し
てより安定である。
化合物番号1(表2)は特に好ましい化合物であり、化合物番号11〜14も
同様である。特に好ましい化合物はインビボスクリーニングで活性を示した[マ
ウスインビボCHS(接触過敏症)モデルにおいて]−後記の実施例2参照。1
0mg/kg/日および1mg/kg/日のCS1は、阻害率0%を示した。本
発明の被験化合物については、有効濃度で毒性が見られなかった。
本発明の他の態様によれば、本発明の環状ジペプチドを薬剤学的に許容しうる
希釈剤またはキャリヤーと共に含む薬剤組成物が提供される。
本組成物は下記に適する剤形であってよい:経口用、たとえば錠剤、カプセル
剤、水性もしくは油性の液剤、懸濁剤もしくは乳剤;鼻用、たとえば吹入剤、鼻
用スプレーもしくは点鼻剤;膣もしくは直腸用、たとえば坐剤;吸入投与用、た
とえば微細な粉末状もしくは液状エアゾル剤として;舌下もしくは口腔用、たと
えば錠剤もしくはカプセル剤;または非経口用(静脈内、皮下、筋肉内、血管内
または注入)、たとえば無菌の水性もしくは油性の液剤もしくは懸濁剤。本組成
物は局所投与に適する剤形、たとえばクリーム剤、軟膏剤およびゲル剤であって
もよい。皮膚パッチも考慮される。配合物全般については、Comprehensive Medi
cal Chemistry,Vol.5,編集者Hanschら,パーガモン・プレス1990の25.2章に記
載されている。
一般に上記の組成物は慣用される賦形剤を用いて従来法で調製することができ
る。しかし経口投与用組成物の場合、環状ジペプチド有効成分を胃内での酵素の
作用から保護するためのコーティングを含むことが好都合であるかもしれない。
本発明の好ましい組成物は、1回量剤形での経口投与に適するもの、たとえば
各1回量中に2.5〜500mg、好ましくは10〜100mgの環状ジペプチ
ドを含有する錠剤もしくはカプセル剤、または溶液1ml当たり0.5〜100
mg、好ましくは1ml当たり1〜10mgの環状ジペプチドを含有する、非経
口投与に適するものである。
非経口組成物は、好ましくは必要ならばpH5〜9に緩衝化した等張食塩水ま
たは等張デキストロース中の溶液である。あるいは非経口組成物は少なくとも5
日間にわたって徐々に放出するように設計されたものであってもよく、この場合
1回量当たりのポリペプチドの量は通常の注射用配合物を用いる場合に必要な量
より一般に多い。好ましい徐放性配合物は連続放出配合物、たとえば欧州特許第
58481号に記載されている種類の配合物である。好ましい徐放性非経口配合物は
、1回量当たり10〜100mgの環状ジペプチドを含有する。
本発明の組成物は、普通は経口1日量が0.1〜50mg/kg、非経口1日
量が20μg/kg〜10mg/kgとなるように投与されるであろう。
したがって本発明は、医薬として使用するための本明細書に記載する環状ジペ
プチドを提供する。
本発明の他の態様によれば、VCAM−1および/またはフィブロネクチンと
インテグリン系受容体VLA−4の相互作用を阻害する処置を必要とする温血動
物、すなわちヒトのような哺乳動物において、それを阻害する方法であって、該
哺乳動物に有効量の式1の環状ジペプチドまたはその薬剤学的に許容しうる塩を
投与することを含む方法が提供される。好ましい態様においては、そのような処
置を必要とする哺乳動物は多発性硬化症、喘息または慢性関節リウマチに罹患し
ている。本発明は、VCAM−1とインテグリン系受容体VLA−4の相互作用
により仲介される疾患または医学的状態の治療に用いる新規な医薬の製造におけ
るそのような式1の環状ジペプチドまたはその薬剤学的に許容しうる塩の使用を
も提供する。
合成の詳細
本発明の式1の環状二量体ペプチドは、ペプチド化学の技術分野で周知の、類
似化合物の合成に適用できる任意の方法で製造することができる。たとえば本発
明の環状ジペプチドは下記に開示されるものと類似の方法で得ることができる:
“Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical approach”AthertonおよびShe
ppard(オックスフォード・ユニバーシティー・プレスのIRL出版社発行、1989
)、“固相ペプチド合成”、StewartおよびYoung(イリノイ州パース・ケミカル
・カンパニー発行、1984)、“ペプチド合成の原理”(ベルリン、スプリンガー
出版社,1984)、“ペプチド合成の実際”(ベルリン、スプリンガー出版社,19
84)、ならびに一連の書籍“アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質”(vol.1-25;
vol.25を1994年に発行)(英国ケンブリッジ、ロイヤル・ソサエティー・オブ・
ケミストリー発行)。合成は自動的手段または手動による手段で行うことができ
る。
本発明の環状ジペプチドを製造するための好ましい方法には下記のものが含ま
れる:−
(a) 式10(図10)(式中、Pr1はAA3の側鎖中の酸基の保護基を表
す)の保護された環状ジペプチドから1またはそれ以上の慣用されるペプチド保
護基を除去して、式1の本発明の環状ジペプチドを得る。所望により、同時にま
たはその後、慣用される他のペプチド保護基をも除去する;
(b) 2つのペプチド単位、すなわち一方はカルボン酸基を含むもの、または
その反応性誘導体、他方はアミノ基を含むものを、式1に示す配列をもつ保護さ
れた、または保護されていない環状二量体ペプチドが製造されるように結合させ
ることによりアミド結合を形成させ、必要ならば上記(a)の方法を用いて保護
基を除去する。
本発明を限定ではない以下の実施例により説明する。
図1は式1を示す。
図2は逆平行に並置されたペプチド1と2を示す。
図3は平行に並置されたペプチド1と2を示す。
図4は式4〜9を示す。
図5は化合物5(表2)の合成を示す。
図6は化合物8(表2)の合成を示す。
図7はペプチド1と2の逆平行並置のために好ましいリンカーを示す。
図8はIleの類似体を示す。
図9はTic(1)およびニペコチン酸(2)を示す。
図10は式10を示す。
図11は化合物1(表2)の詳細な構造を示す。
図12はペプチド1と2の平行並置のために好ましいリンカーを示す。
図13は化合物1(表2)の合成を示す。
図14は化合物1(表2)の合成の第2経路を示す。
図15は化合物3(表2)の合成を示す。
図16は化合物4(表2)の合成を示す。
図17は好ましいリンカーを示す。
図中の矢印結合は、結合点のみを示す(すなわち−CH2−基ではない)。結
合点の指示は、別途明記または示唆しない限り、窒素原子が−C(O)−に結合す
る、およびその逆などであろう。
表1は環状ジペプチドの合成と精製を示す。
表2は環状ジペプチドの特性を示す。
略号:
Boc t−ブトキシカルボニル
Cha シクロヘキシルアラニン
Dab 2,4−ジアミノ−酪酸
Fmoc 9−フルオレニルメトキシカルボニル
Nle ノルロイシン
Orn オルニチン
Pbf 2,2,4,7-ペンタメチルジヒドロベンゼンフラン-5-スルホニル
Tic 1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸
Z ベンジルオキシカルボニル
温度は、別途明記しない限りすべて摂氏である。
実施例1−化合物1〜16(表2)の合成
この環状ジペプチドを2つの異なる経路で製造した。これらの各方法において
、必要な線状ペプチドは2−クロロトリチルクロリド樹脂を用いる固相ペプチド
合成法により製造された。合成経路を図13と14に示し、詳細を以下において
、この節と2節目に記載する。保護されたペプチドをこの樹脂上で組み立てたの
ち、線状ペプチドを樹脂から開裂させ、何ら精製せずに後続工程に用いた。しか
し最終生成物は特性解明の前に逆相高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)で
十分に精製された。
ジクロロメタン(50ml)中のブロモ酢酸t−ブチル(4.88g,25m
mol)を、1−ピペラジンカルボン酸t−ブチル(4.65g,25mmol
)およびトリエチルアミン(3.5g,25mmol)の、ジクロロメタン(3
0ml)中における溶液に添加した。反応混合物を一夜撹拌し、一夜で分離した
固体を濾去し、濾液を蒸発乾固した。残渣を酢酸エチルと水の間で分配し、次い
で有機層を水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。残渣をエーテル
−イソヘキサンから結晶化して、生成物(5.66g,75%,融点99〜10
0℃)を得た[元素分析:実測値C59.8%,H9.6%,N9.1%;C15H2 8
N2O4理論値C60.0%,H9.4%,N9.33%]。[シリカゲルプレ
ート上での薄層クロマトグラフィーは単一スポットを示した;Rf:酢酸エチル
−イソヘキサン(1:1)中で0.38,メタノール−クロロホルム(1:9)
中で0.68]。
1.1節に記載した化合物(5g,16.6mmol)をトリフルオロ酢酸−
水混合物(95:5;50ml)で1時間処理した。酸を真空中での蒸発により
除去し、残留する油をエーテルで摩砕処理すると固体が得られ、これを採集し、
エーテルで洗浄し、真空下にP2O5/KOHで乾燥させた(6.25g,融点1
77〜182℃)。次いで炭酸カリウム(6.92g,3当量)を含有する水と
アセトンの混合物(1:1;150ml)にこの固体を溶解した。アセトン(3
0ml)中の9−フルオレニルメチル−N−ヒドロキシスクシンイミド(5.6
6g,16.7mmol)を20分かけて撹拌下に添加した。M K2CO3溶液
の添加により溶液のpHを約9に維持した。室温で一夜撹拌したのち、アセトン
を減圧下での蒸発により除去し、この水溶液をKHSO4溶液で酸性化した。生
成物を酢酸エチル中へ抽出し、この溶液を水(6回)および飽和NaCl溶液で
洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、蒸発させると油が得られ、これをイ
ソヘキサンおよびエーテルで摩砕処理すると凝固した(収量3.72g,60%)
。試料をエタノール−エーテルから再結晶した。融点179〜182℃、MH+
367。
ジクロロメタン(15ml)およびジイソプルピルエチルアミン(525μl
,3当量)中のFmoc−ピペラジン誘導体(366mg,1mmol)を、2
−クロロトリチルクロリド樹脂(ノバ・バイオケム(Nova Biochem.),1g)に添
加し、反応混合物を75分間、緩和に振盪した。メタノール中の10%ジイソプ
ルピルエチルアミン溶液(10ml)を添加し、10分間振盪を続けた。樹脂を
濾別し、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、エーテルで順に
洗浄し、真空オーブン内で50℃において乾燥させた(重量1.13g)。
上記の樹脂を焼結ガラスディスク付きの反応器に装入した。次いで下記の一連
の反応を手動で実施して、目的とするペプチド樹脂を得た。
(a)ジメチルホルムアミド中の20%ピペリジンで2回処理(5分を1回、
および15分を1回)してFmoc基を除去した。
(b)ジメチルホルムアミド洗浄(5回)。
(c)O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチ
ルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(760mg,2mmo
l)およびジイソプルピルエチルアミン(700μl,4mmol)により活性
化したFmoc−Val(678mg,2mmol)で、ジメチルホルムアミド
(4ml)中において1時間アシル化した。
(d)ジメチルホルムアミド洗浄(5回)。
Fmoc−Asp(OBut)(822mg,2mmol)、Fmoc−Leu
(700mg,2mmol)、およびFmoc−Ile(700mg,2mmo
l)を用いて以上の脱保護および結合サイクルを繰り返し、クロロトリチル樹脂
に結合した保護されたテトラペプチド誘導体を得た。N−末端Fmoc−基をジ
メチルホルムアミド中の20%ピペリジンで開裂させ(5分を1回、および15
分を1回)、ペプチド樹脂をジメチルホルムアミド、塩化メチレン、およびエー
テルで順に洗浄し、真空オーブン内で50℃において乾燥させた。
このペプチド樹脂を酢酸−トリフルオロエタノール−塩化メチレン(2:2:
6)混合物(25ml)に2時間懸濁させた。樹脂を濾過により分離し、上記の
溶剤混合物で洗浄した。濾液を合わせて蒸発させ、残渣をエーテルで摩砕処理し
て、線状テトラペプチド誘導体を酢酸塩として得た。次いでこの酢酸塩を水−ア
セトニトリル(2:1,60ml)混合物に溶解し、0℃に冷却し、1.05当
量の1N HClを添加し、内容物を凍結乾燥することにより、塩酸塩に変換し
た。
前記の線状ペプチド塩酸塩(388mg,0.57mmol)をジメチルホル
ムアミド(600ml)に溶解し、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1
,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU
)(218mg,0.57mmol)を添加し、次いでジイソプルピルエチルア
ミン(300μl,1.72mmol)を添加した。反応混合物を室温で24時
間撹拌し、次いで真空下で蒸発乾固した。
前記の粗製環状ジペプチドを、トリフルオロ酢酸−水混合物(95:5;25
ml)およびトリイソプルピルシラン(200μl)で1時間処理して、アスパ
ラギン酸の側鎖保護基を除去した。蒸発させて小容量にし、次いでエーテルで摩
砕処理して粗製環状ペプチドを得た。これを、Vydac 218TP1022
カラム上で0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水濃度勾配(
20〜50%)を10.0ml/分の流量で65分間にわたって用いる調製用逆
相HPLCにより精製した。生成物を含有する画分を合わせて凍結乾燥させ、精
製環状ペプチド(46mg)を得た。このペプチドをアミノ酸分析および質量分
析により特性解明した。
2. 化合物1の合成(第2経路、図14)
図14に示した第2経路では、第1経路で用いたテトラペプチド誘導体の代わ
りに線状オクタペプチド誘導体(構造を後記に示す)の合成を行った。第1およ
び第2経路の両方とも最初の3工程は同じである。
2.1. 化合物1の合成(図14、工程4および5)
工程3(図14)で得たFmoc保護テトラペプチド樹脂を2分した。樹脂の
半分を標準法によりピペリジンで処理してN−末端Fmoc基を開裂させ、なお
樹脂に結合している部分保護したテトラペプチド誘導体を得た(工程4)。他方
の半分を酢酸−トリフルオロエタノール−塩化メチレン混合物(2:2:6)で
標準法により処理して、Fmoc保護テトラペプチド誘導体を樹脂から開裂させ
た(工程5)。
このFmoc保護したフラグメント(800mg,0.93mmol)を、次
いでなお樹脂に結合しているテトラペプチドフラグメントに、連鎖延長法に際し
て各種アミノ酸誘導体を結合させるのに用いる標準法(HBTU,352mg,
0.93mmol,ジイソプルピルエチルアミン325μl,1.85mmol
)により結合させた。
2.2. 化合物1の合成(図14、工程6、7および8)
樹脂上で組み立てた線状オクタペプチド誘導体を、第1経路で用いた標準法に
よりN−末端で脱ブロッキングし(Fmocの開裂)、樹脂から開裂させ、環化
し脱保護した[Asp(OBut)の開裂]。次いで表1に記載した溶剤系を用
いてこの二量体ペプチドを精製した(収量374mg)。
3. 化合物2の合成
このペプチドを、対応するIle含有化合物1につき先に記載した第1経路に
より製造した。HPLC分析はこの生成物が目的の二量体(38%)と環状モノ
マー(62%)の混合物であることを示した。表1に記載した溶剤系を用いる逆
相HPLC精製により目的の二量体ペプチドが得られ、これをアミノ酸分析およ
び質量分析により特性解明した(表2)。
4. 化合物3の合成(図15)
この環状ジペプチド(表1)の合成に必要な線状ペプチドを、2−クロロトリ
チルクロリド樹脂上で組み立てた。実施例1.3(化合物1)にFmoc−ピペ
ラジン誘導体につき記載したと同様な方法で、3−ブロモプロピオン酸をこの樹
脂と反応させた。次いで5倍過剰のピペラジンをこの3−ブロモプロピオニル−
O−(2−クロロトリチル)−樹脂に添加して、樹脂に結合したピペラジニル−
N−プロピオニル誘導体(構造を後記の図15、工程1に示す)を得た。
次いでFmoc−Asp(OBut)、Fmoc−Leu、およびFmoc−
Ileを1.3節に記載した方法で樹脂に結合させて、Fmoc−テトラペプチ
ドピペラジニル誘導体を得た。N−末端Fmoc基を開裂させるための標準法に
よりピペリジン処理して、工程2(図15)に示した部分保護テトラペプチド誘
導体を得た。3−ブロモプロピオン酸、ピペラジン、Fmoc−Val、Fmo
c−Asp(OBut)、Fmoc−Leu、およびFmoc−Ileを用いた
標準法による結合および脱保護反応により、2つのピペラジン基を含むオクタペ
プチド誘導体(図15、工程4)を得た。次いでこのペプチドを、化合物1につ
き先に記載した方法で樹脂から開裂させ、環化し、脱保護し、精製した。
5. 化合物4および5の合成
これら両化合物を、化合物1の合成につき先に記載した第2経路(図14)で
合成した。図16および5に示すように、N−末端に遊離アミノ基をもつフラグ
メントのうち1つは樹脂に結合したまま残し、N−末端にFmoc基を含む第2
フラグメントを樹脂から開裂させた。C−末端カルボキシル基を含む第2フラグ
メントをHBTU法で活性化し、なお樹脂に結合しているフラグメントに結合さ
せた。
樹脂上で組み立てた線状ペプチド誘導体を、化合物1の合成に用いた標準法で
N−末端を脱ブロッキングし(Fmocの開裂)、樹脂から開裂させ、環化し、
脱保護した[Asp(OBut)の開裂]。次いで表1に記載した溶剤系を用い
て、この二量体ペプチドを精製した。
6. 化合物6の合成
β−アラニンから出発して、線状デカペプチド、D−Leu−Leu−Asp
(OBut)−Val−β−Ala−D−Leu−Leu−Asp(OBut)
−Val−β−Alaをクロロトリチル樹脂上で組み立てた。合成の残りの部分
(開裂、環化および脱保護)は化合物1のものと同様であった。
7. 化合物7の合成
7.1. このペプチドを、2−クロロトリチルクロリド上で下記の方法により組
み立てた線状ペプチド(下記の構造)の二量体化により製造した。
Fmoc−Leu(700mg,2mmol)およびジイソプルピルエチルア
ミン(1.05ml,6mmol)の、乾燥ジクロロメタン(20ml)中にお
ける溶液を、ジクロロメタン(10ml)中における2−クロロトリチルクロリ
ド樹脂(2g)の懸濁液に添加し、反応混合物を緩和に75分間振盪した。メタ
ノール中の10%ジイソプルピルエチルアミン溶液(10ml)を添加し、さら
に10分間振盪を続けた。樹脂を濾別し、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミ
ド、ジクロロメタンおよびエーテルで順に洗浄し、50℃で真空オーブン内にお
いて乾燥させた(重量2.4g)。
上記の樹脂を焼結ガラスディスク付きの反応器に装入した。次いで下記の一連
の反応を手動で実施して、目的とするペプチド樹脂を得た。
(a)ジメチルホルムアミド中の20%ピペリジンで2回処理(5分を1回、
および15分を1回)してFmoc保護基を除去し、次いでジメチルホルムアミ
ドで5回洗浄した。
(b)このLeu樹脂を、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,
3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(1.5
2g,4mmol)およびジイソプルピルエチルアミン(1.4ml,8mmo
l)により活性化したFmoc−Val(1.42g,4mmol)で、ジメチ
ルホルムアミド(8ml)中において30分間アシル化した。反応後に樹脂をジ
メチルホルムアミドで5回洗浄して(前記と同様)過剰の試薬を除去し、乾燥さ
せた。こうして得たFmoc−Ile−Leu樹脂の半分のみを次の工程に用い
た。
(c)Fmoc−ニペコチン酸(702mg,2mmol)、Fmoc−Val(
678mg,2mmol)、およびFmoc−Asp(OBut)(822mg,
2mmol)を用いて以上の脱保護および結合サイクルを繰り返し、樹脂に結合
した目的とする部分保護テトラペプチド誘導体を得た。酢酸−トリフルオロエタ
ノール−ジクロロメタン(2:2:6;15ml)で2回、1時間処理すること
により、ペプチドを樹脂から開裂させた。この樹脂を濾別し、上記の脱ブロッキ
ング溶剤混合物で洗浄した。濾液を合わせて蒸発させ、残渣をエーテルで摩砕処
理して、線状の部分保護テトラペプチドを酢酸塩として得た。次いでこのペプチ
ドを水−アセトニトリル(2:1,60ml)に溶解し、0℃に冷却し、1.0
5当量の1N HClを添加し、凍結乾燥することにより、塩酸塩に変換した。
前記の線状ペプチド塩酸塩(350mg,0.51mmol)をジメチルホル
ムアミド(500ml)に溶解し、HBTU(194mg,0.51mmol)
を添加し、次いでジイソプルピルエチルアミン(268μl,1.53mmol
)を添加した。反応を逆相HPLCにより監視した。3時間後に、出発物質を検
出できなくなった時点で反応混合物を蒸発乾固し、残渣をトリフルオロ酢酸−水
混合物(95:5,25ml)およびトリイソプロピルシラン(500μl)で
1時間処理した。蒸発させて小容量にしたのち、エーテルを添加し、粗生成物を
濾過により採集した。HPLC分析は生成物が目的の二量体(72%)と環状モ
ノマー(28%)の混合物であることを示した。表1に記載した溶剤系を用いる
逆相HPLCにより目的の二量体ペプチドが得られ、これをアミノ酸分析および
質量分析により特性解明した(表2)。
8. 化合物8、 c(D−Arg−MeIle−Leu−Asp−Val−D
−Arg−MeIle−Leu−Asp−Val)の合成(図6)
2−クロロトリチルクロリド樹脂を用いる固相法によりこの環状ペプチドを製
造した。合成の詳細を下記に示す。部分保護した線状ペプチドを樹脂上で組み立
てたのち、ペプチドを樹脂から開裂させ、何ら精製せずに後続工程に用いた。た
だし最終生成物は、逆相高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって十分
に精製したのち特性解明された。
8.1. Fmoc−Val−クロロトリチル樹脂の製造(図6、工程1)
2−クロロトリチルクロリド樹脂(アレキシックス・コーポレーション(Alex
ix Corporation);Cl 1.35mmol/g;5g)をジクロロメタン(
30ml)(モレキュラーシーブ上で乾燥)中で5分間膨潤させた。Fmoc−
Val(1.7g,5mmol)およびジイソプルピルエチルアミン(2.63
ml,15mmol)の、ジクロロメタン(25ml)中における溶液を添加し
、この懸濁液を45分間、機械的に振盪した。メタノール(9ml)およびジイ
ソプルピルエチルアミン(1ml)を添加し、さらに5分間振盪を続けた。樹脂
を濾過により採集し、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン
、イソプロパノールおよびエーテルで順に洗浄し、最後に50℃で真空オーブン
内において乾燥させた(重量5.25g)。
8.2. D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−Asp(OBut)−Val
−D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−Asp(OBut)−Val−クロ
ロトリチル樹脂の製造(図6、工程2および3)
前記のFmoc−Val樹脂(2g)を焼結ガラスディスク付きの反応器に装
入した。次いで下記の一連の反応を手動で実施して、目的とするペプチド樹脂を
得た。
(a)ジメチルホルムアミド中の20%ピペリジンで2回処理(5分を1回、
および15分を1回)してFmoc基を除去し、次いでジメチルホルムアミドで
5回洗浄して過剰の試薬および開裂生成物を除去した。
(b)O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチ
ルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(1.90g,5mmo
l)およびジイソプルピルエチルアミン(1.75ml,10mmol)により
活性化したFmoc−Asp(OBut)(2.06g,5mmol)で、ジメチ
ルホルムアミド(8ml)中において1時間アシル化した。樹脂を再びジメチル
ホルムアミドで5回洗浄して過剰の試薬を除去した。
Fmoc−Leu(1.78g,5mmol)、Fmoc−MeIle(1.8
4g,5mmol)、Fmoc−D−Arg(Pbf)(3.76g,5mmol)
を用いて以上の脱保護および結合サイクルを繰り返し、Fmoc−D−Arg(
Pbf)−MeIle−Leu−Asp(OBut)−Val−クロロトリチル樹
脂を得た。この樹脂の半分を用いて、このペンタペプチド樹脂をさらに延長させ
て保護されたデカペプチド樹脂を得る反応を実施した。このペンタペプチド樹脂
につき、Fmoc−Val(850mg,2.5mmol)、Fmoc−Asp
(OBut)(1.03g,2.5mmol)、Fmoc−Leu(855mg,
2.5mmol)、Fmoc−MeIle(920mg,2.5mmol)、F
moc−D−Arg(Pbf)(1.87g,2.5mmol)を用いて、脱ブロ
ッキングおよび結合反応を続けた。化合物1の場合と同様に、Fmoc−D−A
rg誘導体の結合はO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,
3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)およ
びジイソプルピルエチルアミンを用いて活性化された。ジメチルホルムアミド中
の20%ピペリジン(5分を1回、および15分を1回)でN−末端Fmoc−
基を開裂させ(工程3)、ペプチド樹脂、D−Arg(Pbf)−MeIle−L
eu−Asp(OBut)−Val−D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−
Asp(OBut)−Val−クロロトリチル樹脂をジメチルホルムアミド、ジク
ロロメタン、およびエーテルで順に洗浄し、50℃で真空オーブン内において乾
燥させた。
8.3. D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−Asp(OBut)−Val
−D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−Asp(OBut)−Val,HCl
の製造(図6、工程4)
ペプチド樹脂、D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−Asp(OBut)
−Val−D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−Asp(OBut)−Val
−クロロトリチル樹脂を、酢酸−トリフルオロエタノール−ジクロロメタン(2
:2:6)混合物(25ml)に1時間懸濁した。樹脂を濾別し、同混合物でさ
らに1時間、再処理した。濾液を合わせて蒸発させ、残渣をエーテルで摩砕処理
して、D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−Asp(OBut)−Val−
D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−Asp(OBut)−Valを酢酸塩
(1.34g)として得た。次いでこの酢酸塩を水−アセトニトリル混合物(2:
1,60ml)に溶解し、0℃に冷却し、1.05当量の1N HClを添加し
、内容物を凍結乾燥させることにより、塩酸塩に変換した。
8.4. c(D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−Asp(OBut)−V
al−D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−Asp(OBut)−Val)
の製造(図6、工程5)
前記の線状ペプチド塩酸塩、D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−A
sp(OBut)−Val−D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−Asp(
OBut)−Val(HCl)(1.34g,0.7mmol)をジメチルホルム
アミド(700ml)に溶解し、この溶液にO−(7−アザベンゾトリアゾール
−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフ
ェート(HATU)(264mg,0.7mmol)およびジイソプルピルエチ
ルアミン(370μl,2.1mmol)を添加した。環化反応を分析用HPL
Cにより監視した。反応が終了した時点で(室温で2時間)、反応混合物を真空
中で蒸発乾固し、エーテルを添加し、固体を濾過により採集した。生成物[Vy
dac 218TP54カラム上で0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセト
ニトリル−水濃度勾配(60〜95%)を1.0ml/分の流量で30分間にわ
たって用いた際の保持時間22.06分]を何ら精製せずに次の工程に用いた。
8.5. c(D−Arg−MeIle−Leu−Asp−Val−D−Arg−
MeIle−Leu−Asp−Val)[化合物8]の製造(図6、工程6)
前記の保護された環状ペプチド、c(D−Arg(Pbf)−MeIle−Le
u−Asp(OBut)−Val−D−Arg(Pbf)−MeIle−Leu−
Asp(OBut)−Val)を、トリフルオロ酢酸−水混合物(95:5;30
ml)およびトリイソプルピルシラン(1ml)で150分間処理して、アルギ
ニンおよびアスパラギン酸の側鎖保護基を除去した。蒸発させて小容量にし、次
いでエーテルで摩砕処理して粗製環状ペプチド(1.06g)を得た。この粗生
成物を、デルタパック(Deltapak)C18カラム(30×30mm)上で0.1%
トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水濃度勾配(20〜36%)を3
0.0ml/分の流量で80分間にわたって用いる調製用逆相HPLCにより精
製した。生成物を含有する画分を合わせて凍結乾燥させ、精製環ペプチド(28
0mg)を得た。このペプチド[HPLCで単一ビーク、Vydac 218T
P54カラム上で0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水濃度
勾配(20〜45%)を1.0ml/分の流量で30分間にわたって用いた際の
保持時間29.60分]をアミノ酸分析および質量分析により特性解明した(表
2)。
9. 化合物9および10の合成
これら両化合物とも、化合物8につき先に記載したものと同じ方法で合成され
た。
10. 化合物11〜14の合成
化合物1に用いた第2経路(図14,2節)によりこれらのペプチドを合成し
た。化合物11、12および14については線状オクタペプチド誘導体、ならび
に化合物13についてはデカペプチド誘導体(表1に示す配列)を、前記方法に
よりまず樹脂上で組み立て、次いで開裂、環化および脱保護して、目的生成物を
得た。
11. 化合物15の合成
化合物8につき先に記載したものと同じ方法で化合物15を合成した。ただし
Fmoc−NH(CH2)2−S−CH2−COOHを用いて、普通にはない連結基
−NH(CH2)2−S−CH2−CO−を取り込ませた。この誘導体の合成を以下
に記載する。
Fmoc−NH(CH2)2−S−CH2−COOH(上記で使用)は2−アミノ
エタンチオールおよび2−ブロモ酢酸から得られた。塩酸2−アミノエタンチオ
ール(5.68g,50mmol)を水(200ml)に溶解し、これに炭酸水
素ナトリウム(25.2g,300mmol)を添加した。アセトニトリル(1
00ml)に溶解した2−ブロモ酢酸(6.95g,50mmol)を少量ずつ
30分かけて、上記で調製した溶液に撹拌下に添加した。室温で1時間後にアセ
トニトリル(150ml)中における9−フルオレニルメチル−N−ヒドロキシ
スクシンイミド(Fmoc−OSu)(16.85g,50mmol)の溶液を
添加し、16時間撹拌を続けた。わずかに混濁した溶液を蒸発させて大部分のア
セトニトリルを除去し、残りの水溶液を酢酸エチルで抽出し(50mlで3回)
、塩酸の添加により酸性化した(pH2)。白色固体を採集し、水で洗浄し、真
空中で45℃において乾燥させた。収量17g(95%)、(M+H)+358
.0。
12. 化合物16の合成
化合物8につき先に記載したものと同じ方法で化合物16を合成した。実施例2
−インビトロおよびインビボアッセイ
以下の実施例では以下の略号および供給源を用いた。
MOLT−4細胞−リンパT細胞系(ATCC由来)
フィブロネクチン−試薬用ヒトフィブロネクチン。ヒト血漿からゼラチン−セ
ファロースアフィニティークロマトグラフィーにより精製。販売元:バイオ・プ
ロダクツ社、英国エルストリー、製品No.9136。フィブロネクチンに関す
る総説:フィブロネクチン−細胞表面および血液の接着性糖タンパク質,K.M.Ya
mada and K.Olden,Nature,275(1978)179-184。
rsVCAM−1−(参考文献:Biochem Biophys Res Comm 1991 178 N3:149
8-1504)。VCAM−1は、血管内皮により、またマクロファージ様およびダン
ドゥリティック(dandritic)細胞タイプ上に、特定の炎症性刺激に応答して産
生される細胞表面糖タンパク質である。VCAM−1は、単核白血球上に存在す
るインテグリンVLA−4と相互作用する。VCAM−1に対するcDNAは、
IL−1β−活性化したヒト内皮細胞由来のcDNAライブラリーをスクリーニ
ングすることにより単離された。昆虫細胞においてバキュロウイルス発現系を用
いて、大量のタンパク質を発現させた。VCAM−1発現細胞は多様なVLA−
4発現細胞系(ジャーカット、THP−1、U937)に特異的に結合すること
が示された。VCAM−1に関する他の参考文献:バキュロウイルス感染昆虫細
胞により合成された組換えヒト血管細胞接着分子(VCAM−1)の発現と機能
解明,J.K.Stoltenborg,R.A.Straney,R.J.Tritch,W.M.Mackin and H.J.George,P
rotein Expression and Purification,4(1993)585-593。
PRMI 1640−細胞培地。販売元:ギブコBRL社(ライフ・テクノロ
ジーズ;カタログNo 31870−025)。
FCS−ウシ胎児血清。販売元:アドバンスト・プロテイン・プロダクツ社(
英国ウエスト・ミッドランド)、カタログNo.AS−302−50。
BCECF−AM−2′,7′−(2−カルボキシエチル)−5−(ε6)−カ
ルボキシエチルフルオレセインアセトキシメチルエステル。販売元:モレキュラ
ー・プローブズ社、米国;カタログNo.B−1150。
CHO DG44−チャイニーズハムスター卵巣細胞系(ATCC由来;参考文
献:Som Cell Mol Gen 1986;12;555-666)。
DMEM−ダルベッコ改変イーグル培地。販売元:ギブコBRL社(ライフ・
テクノロジーズ;カタログNo 41966−029)。
抗生物質−ペニシリン−ストレプトマイシン。販売元:ギブコBRL社(ライ
フ・テクノロジーズ;カタログNo 15070−022)。
フルオルスカン(Fluorskan)−蛍光光度計
HUVEC−ヒト臍帯内皮細胞。初代培養物は組織試料から調製された(参考
文献:J Clin Invest.1973 52;2745-2747)。
組換え体ヒトTNFα−腫瘍壊死因子
アルゼット(Alzet)浸透圧ミニポンプ−皮下埋込み式ミクロ浸透圧ポンプ。
アルザ・コーポレーション(Alza Corporation)、カリフオルニア州パロ・アル
ト。
2.1 MOLT−4細胞/フィブロネクチン−VCAM−1接着アッセイ
MOLT−4細胞/フィブロネクチン−VCAM−1接着アッセイを用いて、
MOLT−4細胞膜上に発現したインテグリンVLA4(超低速抗原、α4/β
1)とフィブロネクチンまたは組換え可溶性VCAM−1(rsVCAM−1)
との相互作用を調べる。
フィブロネクチンまたはrsVCAM−1をポリスチレン製96ウェルミクロ
タイタープレートに4℃で一夜、それぞれ20μg/mlおよび1μg/mlの
濃度でコーティングする。これに続いて濃縮BSA溶液(10mg/ml)を添
加して、非特異的結合部位をブロックする。これらの溶液を吸引したのち、等容
量の化合物およびMOLT−4細胞懸濁液(1×106細胞/ml)を添加する
。37℃で2時間のインキュベーション中に接着が起こる。緩和に撹拌し、続い
て真空吸引することにより、接着していないか、またはゆるく接着した細胞を除
去する。残留する接着細胞の定量を酸性ホスファターゼ活性の比色アッセイ法に
より行い、分光光度計により読み取る。接着を阻害する化合物は、吸収の読みを
低下させる。標準、対照および被験条件を三重にアッセイし、各プレートにつき
全体(阻害薬なし)および非特異的(フィブロネクチンなし)標準に対する阻害
率%を計算する。
2.2 細胞−細胞アッセイ
2.2.1 VCAM−1細胞
MOLT−4細胞(5%のFCSおよび2mMのL−グルタミンを補充したR
PMI 1640)を蛍光色素BCECF−AM(3×106細胞当たり30μ
g/ml)で標識する。全長VCAM−1 cDNAでトランスフェクションし
たCHO DG44を、FACS分析によりVCAM−1発現につき選択し、9
6ウェル組織培養プレート中で集密状態まで増殖させる。接着アッセイに用いる
前に、CHO DG44細胞を3回洗浄する(5%のFCS、2mMのL−グル
タミン、および2%の抗生物質を補充したDMEM)。MOLT−4(105細
胞/ウェル)細胞でVCAM−1発現CHO細胞を覆い、37℃、5%CO2で
30分間インキュベートする。プレートを3回洗浄する(5%のFCSおよび2
mMのL−グルタミンを補充したRPMI 1640)ことにより、接着してい
ない細胞を除去し、次いでプレートをティッシュペーパーで吸収乾燥させる。各
ウェルに100μlの2%トリトン(Triton)X−100を添加し、フルオルス
カンを用いてプレートを読み取る(励起=485nM、発光=538nM)。化
合物を適切な溶剤に溶解し、HUVEC培養物に添加する前のMOLT−4細胞
に添加し、対照ビヒクル処理細胞と化合物処理細胞の接着(蛍光)量を比較して
接着阻害率を計算する。
2.2.2 ヒト臍帯内皮細胞
MOLT−4細胞(5%のFCSおよび2mMのL−グルタミンを補充したR
PMI 1640)を蛍光色素BCECF−AM(3×106細胞当たり30μ
g/ml)で標識する。初代HUVECを96ウェル組織培養プレート中で集密
状態まで増殖させ、2U/mlの組換えヒトTNFαと共に18時間インキュベ
ートする。接着アッセイに用いる前に、初代HUVEC単層を洗浄する(5%の
FCS、2mMのL−グルタミン、および2%の抗生物質を補充したM199)
。MOLT−4(105細胞/ウェル)細胞で初代HUVECを覆い、37℃、
5%CO2で30分間インキュベートする。プレートを3回洗浄する(5%のF
CSおよび2mMのL−グルタミンを補充したRPMI 1640)ことにより
、接着していない細胞を除去し、次いでプレートをティッシュペーパーで吸収乾
燥させる。各ウェルに100μlの2%トリトン(Triton)X−100を添加し
、フルオルスカンを用いてプレートを読み取る(励起=485nM、発光=53
8nM)。化合物を適切な溶剤に溶解し、HUVEC培養物に添加する前のMO
LT−4細胞に添加し、対照ビヒクル処理細胞と化合物処理細胞の接着(蛍光)
量を比較して接着阻害率を計算する。
2.3 インビボ接触過敏反応
Balb/C雄マウス(20〜25g)をオキサゾロン(アセトン/オリーブ
油中0.24%のもの50μl)で、背面の毛を剃った皮膚領域に局所適用する
ことにより感作する。7日後にオキサゾロン(アセトン/オリーブ油中0.25
%のもの25μl)を耳の表面に局所適用することによりマウスを攻撃する。2
4時間にわたって耳の腫脹を発症させたのち、耳の厚さを測定し、攻撃前の厚さ
と比較して耳の厚さの増加率%を計算する。オキサゾロン攻撃の24時間前に埋
め込んだアルゼット浸透圧ミニポンプで毎日投与(1日1回)することにより化
合物を送入し、ビヒクル処理動物と化合物処理群(1群当たりの動物数n=6)
を比較することにより炎症反応の阻害を計算する。
2.4 オボアルブミン遅延型インビボ過敏症モデル
Balb/C雌マウス(20〜25g)を、側腹部においてオボアルブミンエ
マルション(シグマ社;完全フロイントアジュバント(ディフコ社)との混合(
1:1)2mg/ml溶液0.1mlの皮下注射)で免疫化する。7日後にオボ
アルブミン(食塩水中の1%熱凝集オボアルブミン30μl)を足底下注射(左
後足底)することによりマウスを攻撃する。足の腫脹を24時間にわたって発症
させたのち、足底の厚さを測定し、攻撃前の厚さと比較し、足底の厚さの増加率
%を計算する。オボアルブミン攻撃の24時間前に埋め込んだアルゼット浸透圧
ミニポンプで毎日投与(1日1回)することにより化合物を送入し、ビヒクル処
理動物と化合物処理群(1群当たりの動物数n=5)を比較することにより炎症
反応の阻害を計算する。
2.5 インビボ抗原誘発性関節炎モデル
完全フロイントアジュバント中における100μgのメチル化BSAの組合わ
せでマウスを免疫化し、7日後に追加免疫化し(皮下)、次いで百日咳菌(Bord
etella pertussis)を腹腔内注射する。追加免疫化の2週間後に、動物を100
μgのメチル化したウシ血清アルブミン(BSA)で関節内攻撃し、ひざ関節の
腫脹、組織学的状態、および急性期タンパク質の変化を調べることにより、炎症
/関節炎の程度を判定する。攻撃の前日から7〜14日間、化合物を投与し、炎
症/関節炎の程度を対照動物および反対側のひざと比較する。
2.6 実験自己免疫性脳脊髄炎モデル
脊髄ホモジネート、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)または起脳炎ペプチ
ドと完全フロイントアジュバント(CFA)との混合物を皮下注射し、これと共
に百日咳毒素を腹腔内注射することにより、疾患を誘発する。急性疾患を誘発す
るためには、免疫化の2日後に百日咳菌の注射を繰り返す。慢性疾患を誘発する
ためには百日咳菌を用いず、7日の間隔でCFA中の抗原をマウスに2回投与す
る。組織学的に支持されている臨床採点法により疾患を評価する。攻撃の前日か
ら7〜14日間、化合物を投与し、症状を対照動物と比較する。
以下のデータは本出願人のソフトウェアを用いて作成された配列表を示す。こ
れらのソフトウェアはいずれかの特許事務所に用意される予定である。
以下の配列表中の化合物はすべて表1および2に式で表されている。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年7月26日
【補正内容】
米国特許5229366は、ペプチド含有ポリエチレングリコール誘導体およ
び該誘導体を含む組成物を開示している。この誘導体は2つのペプチド残基を含
有することができる。双方の残基はLeu−Asp−Valを含有するオクタペ
プチドであってもよい。この組成物は、血小板の凝固/凝集を阻止すると報告さ
れている。この文献は、その2つのペプチド残基が環化している誘導体は開示し
ていない。
前記のLeu−Asp−Val含有配列のほか、環状オクタペプチド1−アダ
マンタンアセチル−Cys−Gly−Arg−Gly−Asp−Ser−Pro
−Cys(2システイン残基間にジスルフィド橋を含む)が、LDV含有ペプチ
ドCys−Leu−His−Gly−Pro−Glu−Ile−Leu−Asp
−Val−Pro−Ser−Thrと同程度に、CS−1コーティングしたプレ
ートへのジャーカット細胞接着を阻害するのに有効であると報告された(IC50
30μM)。この環状ペプチドは、フィブロネクチンコーティングしたプレー
トへのジャーカット細胞の結合も阻害した。このオクタペプチドは、α4β1誘
導による接着を阻害するほか、αvβ3およびαIIbβIIIa依存性アッセイ
においても機能を阻害した。したがってこのペプチドはα4β1仲介による接着
について選択的ではない[参考文献:環状RGDペプチドはα4β1と結合性フ
ラグメント1および血管細胞接着分子との相互作用を阻害する,P.M.Cardarelli
,R.R.Cobb,D.M.Nowlin,W.Scholz,F.Gorcsan,M.Moscinski,M.Yasuhara,S-L.Chian
g and T.J.Lobl,J.Biol.Chem.,269(1994)18668-18673]。
幾つかの小さなペプチド[参考文献:Leu−Asp−Val配列の非ペプチ
ド系代理物質(surrogate)、ならびに炎症、自己免疫疾患および腫瘍の進行の
治療におけるそれらの使用、YEDAリサーチ・アンド・ディベロップメント社
、国際特許出願公開第WO 94/02445号、公開日1994年2月3日]も、α4β
1誘導による接着を阻害すると報告された。ジスルフィド環状ペンタペプチドで
あるArg−Cys−Asp−チオプロリン−Cys(チオプロリン=チアゾリ
ジン−4−カルボン酸)もフィブロネクチンへの白血球接着の阻害物質であると
報告された。さらにこの環状ペプチドは、Arg−Gly−Asp細胞結合中心
ドメインを含む、フィブロネクチンの120kDaキモトリプシン分解フラグメ
ントへの結合も阻害した。この場合もこのペプチドは選択的でなかった。それは
α4β1およびα5β1の両方に結合する[参考文献:新規な環状ペンタペプチ
ドがα4β1およびα5β1インテグリン仲介による細胞接着を阻害する,D.M.
No
wlin,F.Gorcsan,M.Moscinski,S-L.Chiang,T.J.Lobl and P.M.Cardarelli,J.Biol
.Chem.,268(1993)20352-20359]。
本発明は、比較的小さな環状ペプチドがVCAM−1とVLA4の相互作用を
効果的に阻害しうるという知見に基づく。
ペプチド1と2が逆平行に並置されている場合につき、L1およびL2に好ま
しい意味を図7に示す。ペプチド1と2が平行に並置されている場合につき、L
1およびL2に好ましい意味を図12に示す。L1およびL2に好ましい他の意
味を図17に示す。
本発明の環状二量体ペプチドは下記の利点のうち少なくとも1つをもつ。すな
わちそれらは本発明者らの試験において、既知の化合物、たとえばCS1および
YEDA特許で請求されている化合物より有効であり;それらはCS−1より小
さい25アミノ酸であるため、より容易に合成され;環状ペプチドは酵素分解に
対してより安定である。
化合物番号1(表2)は特に好ましい化合物であり、化合物番号11〜14も
同様である。特に好ましい化合物はインビボスクリーニングで活性を示した[マ
ウスインビボCHS(接触過敏症)モデルにおいて]−後記の実施例2参照。1
0mg/kg/日および1mg/kg/日のCS1は、阻害率0%を示した。本
発明の被験化合物については、有効濃度で毒性が見られなかった。
本発明の他の態様によれば、本発明の環状二量体ペプチドを薬剤学的に許容し
うる希釈剤またはキャリヤーと共に含む薬剤組成物が提供される。
本組成物は下記に適する剤形であってよい:経口用、たとえば錠剤、カプセル
剤、水性もしくは油性の液剤、懸濁剤もしくは乳剤;鼻用、たとえば吹入剤、鼻
用スプレーもしくは点鼻剤;膣もしくは直腸用、たとえば坐剤;吸入投与用、た
とえば微細な粉末状もしくは液状エアゾル剤として;舌下もしくは口腔用、たと
えば錠剤もしくはカプセル剤;または非経口用(静脈内、皮下、筋肉内、血管内
または注入)、たとえば無菌の水性もしくは油性の液剤もしくは懸濁剤。本組成
物は局所投与に適する剤形、たとえばクリーム剤、軟膏剤およびゲル剤であって
もよい。皮膚パッチも考慮される。配合物全般については、Comprehensive Medi
cal Chemistry,Vol.5,編集者Hanschら,パーガモン・プレス1990の25.2章に記
載されている。
一般に上記の組成物は慣用される賦形剤を用いて従来法で調製することができ
る。しかし経口投与用組成物の場合、環状二量体ペプチド有効成分を胃内での酵
素の作用から保護するためのコーティングを含むことが好都合であるかもしれな
い。
本発明の好ましい組成物は、1回量剤形での経口投与に適するもの、たとえば
各1回量中に2.5〜500mg、好ましくは10〜100mgの環状二量体ペ
プチドを含有する錠剤もしくはカプセル剤、または溶液1ml当たり0.5〜1
00mg、好ましくは1ml当たり1〜10mgの環状二量体ペプチドを含有す
る、非経口投与に適するものである。
非経口組成物は、好ましくは必要ならばpH5〜9に緩衝化した等張食塩水ま
たは等張デキストロース中の溶液である。あるいは非経口組成物は少なくとも5
日間にわたって徐々に放出するように設計されたものであってもよく、この場合
1回量当たりのポリペプチドの量は通常の注射用配合物を用いる場合に必要な量
より一般に多い。好ましい徐放性配合物は連続放出配合物、たとえば欧州特許第
58481号に記載されている種類の配合物である。好ましい徐放性非経口配合物は
、1回量当たり10〜100mgの環状二量体ペプチドを含有する。
本発明の組成物は、普通は経口1日量が0.1〜50mg/kg、非経口1日
量が20μg/kg〜10mg/kgとなるように投与されるであろう。
したがって本発明は、医薬として使用するための本明細書に記載する環状二量
体ペプチドを提供する。
本発明の他の態様によれば、VCAM−1および/またはフィブロネクチンと
インテグリン系受容体VLA−4の相互作用を阻害する処置を必要とする温血動
物、すなわちヒトのような哺乳動物において、それを阻害する方法であって、該
哺乳動物に有効量の式1の環状二量体ペプチドまたはその薬剤学的に許容しうる
塩を投与することを含む方法が提供される。好ましい態様においては、そのよう
な処置を必要とする哺乳動物は多発性硬化症、喘息または慢性関節リウマチに罹
患している。本発明は、VCAM−1とインテグリン系受容体VLA−4の相互
作用により仲介される疾患または医学的状態の治療に用いる新規な医薬の製造に
おけるそのような式1の環状二量体ペプチドまたはその薬剤学的に許容しうる塩
の使用をも提供する。
合成の詳細
本発明の式1の環状二量体ペプチドは、ペプチド化学の技術分野で周知の、類
似化合物の合成に適用できる任意の方法で製造することができる。たとえば本発
明の環状二量体ペプチドは下記に開示されるものと類似の方法で得ることができ
る:“Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical approach”Athertonおよ
びSheppard(オックスフォード・ユニバーシティー・プレスのIRL出版社発行、
1989)、“固相ペプチド合成”、StewartおよびYoung(イリノイ州パース・ケミ
カル・カンパニー発行、1984)、“ペプチド合成の原理”(ベルリン、スプリン
ガー出版社,1984)、“ペプチド合成の実際”(ベルリン、スプリンガー出版社
,1984)、ならびに一連の書籍“アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質”(vol.1
-25;vol.25を1994年に発行)(英国ケンブリッジ、ロイヤル・ソサエティー・オ
ブ・ケミストリー発行)。合成は自動的手段または手動による手段で行うことが
できる。
本発明の環状二量体ペプチドを製造するための好ましい方法には下記のものが
含まれる:−
(a) 式10(図10)(式中、Pr1はAA3の側鎖中の酸基の保護基を表
す)の保護された環状二量体ペプチドから1またはそれ以上の慣用されるペプチ
ド保護基を除去して、式1の本発明の環状二量体ペプチドを得る。所望により、
同時にまたはその後、慣用される他のペプチド保護基をも除去する;
(b) 2つのペプチド単位、すなわち一方はカルボン酸基を含むもの、または
その反応性誘導体、他方はアミノ基を含むものを、式1に示す配列をもつ保護さ
れた、または保護されていない環状二量体ペプチドが製造されるように結合させ
ることによりアミド結合を形成させ、必要ならば上記(a)の方法を用いて保護
基を除去する。
本発明を限定ではない以下の実施例により説明する。
図1は式1を示す。
図2は逆平行に並置されたペプチド1と2を示す。
図3は平行に並置されたペプチド1と2を示す。
図4は式4〜9を示す。
図5は化合物5(表2)の合成を示す。
図6は化合物8(表2)の合成を示す。
図7はペプチド1と2の逆平行並置のために好ましいリンカーを示す。
図8はIleの類似体を示す。
図9はTic(1)およびニペコチン酸(2)を示す。
図10は式10を示す。
図11は化合物1(表2)の詳細な構造を示す。
図12はペプチド1と2の平行並置のために好ましいリンカーを示す。
図13は化合物1(表2)の合成を示す。
図14は化合物1(表2)の合成の第2経路を示す。
図15は化合物3(表2)の合成を示す。
図16は化合物4(表2)の合成を示す。
図17は好ましいリンカーを示す。
図中の矢印結合は、結合点のみを示す(すなわち−CH2−基ではない)。結
合点の指示は、別途明記または示唆しない限り、窒素原子が−C(O)−に結合す
る、およびその逆などであろう。
表1は環状二量体ペプチドの合成と精製を示す。
表2は環状二量体ペプチドの特性を示す。
略号:
Boc t−ブトキシカルボニル
Cha シクロヘキシルアラニン
Dab 2,4−ジアミノ−酪酸
Fmoc 9−フルオレニルメトキシカルボニル
Nle ノルロイシン
Orn オルニチン
Pbf 2,2,4,7-ペンタメチルジヒドロベンゼンフラン-5-スルホニル
Tic 1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸
Z ベンジルオキシカルボニル
温度は、別途明記しない限りすべて摂氏である。
実施例1−化合物1〜16(表2)の合成
この環状二量体ペプチドを2つの異なる経路で製造した。これらの各方法にお
いて、必要な線状ペプチドは2−クロロトリチルクロリド樹脂を用いる固相ペプ
チド合成法により製造された。合成経路を図13と14に示し、詳細を以下にお
いて、この節と2節目に記載する。保護されたペプチドをこの樹脂上で組み立て
たのち、線状ペプチドを樹脂から開裂させ、何ら精製せずに後続工程に用いた。
しかし最終生成物は特性解明の前に逆相高圧液体クロマトグラフィー(HPLC
)で十分に精製された。
ジクロロメタン(50ml)中のブロモ酢酸t−ブチル(4.88g,25m
mol)を、1−ピペラジンカルボン酸t−ブチル(4.65g,25mmol
)およびトリエチルアミン(3.5g,25mmol)の、ジクロロメタン(3
0ml)中における溶液に添加した。反応混合物を一夜撹拌し、一夜で分離した
固体を濾去し、濾液を蒸発乾固した。残渣を酢酸エチルと水の間で分配し、次い
で有機層を水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。残渣をエーテル
−イソヘキサンから結晶化して、生成物(5.66g,75%,融点99〜10
0℃)を得た[元素分析:実測値C59.8%,H9.6%,N9.1%;C15H2 8
N2O4理論値C60.0%,H9.4%,N9.33%]。[シリカゲルプレ
ート上での薄層クロマトグラフィーは単一スポットを示した;Rf:酢酸エチル
−
イソヘキサン(1:1)中で0.38,メタノール−クロロホルム(1:9)中
で0.68]。
このペプチド樹脂を酢酸−トリフルオロエタノール−塩化メチレン(2:2:
6)混合物(25ml)に2時間懸濁させた。樹脂を濾過により分離し、上記の
溶剤混合物で洗浄した。濾液を合わせて蒸発させ、残渣をエーテルで摩砕処理し
て、線状テトラペプチド誘導体を酢酸塩として得た。次いでこの酢酸塩を水−ア
セトニトリル(2:1,60ml)混合物に溶解し、0℃に冷却し、1.05当
量の1N HClを添加し、内容物を凍結乾燥することにより、塩酸塩に変換し
た。
前記の線状ペプチド塩酸塩(388mg,0.57mmol)をジメチルホル
ムアミド(600ml)に溶解し、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1
,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU
)(218mg,0.57mmol)を添加し、次いでジイソプルピルエチルア
ミン(300μl,1.72mmol)を添加した。反応混合物を室温で24時
間撹拌し、次いで真空下で蒸発乾固した。
前記の粗製環状二量体ペプチドを、トリフルオロ酢酸−水混合物(95:5;
25ml)およびトリイソプルピルシラン(200μl)で1時間処理して、ア
スパラギン酸の側鎖保護基を除去した。蒸発させて小容量にし、次いでエーテル
で摩砕処理して粗製環状ペプチドを得た。これを、Vydac 218TP10
22カラム上で0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水濃度勾
配(20〜50%)を10.0ml/分の流量で65分間にわたって用いる調製
用逆相HPLCにより精製した。生成物を含有する画分を合わせて凍結乾燥させ
、精製環状ペプチド(46mg)を得た。このペプチドをアミノ酸分析および質
量分析により特性解明した。
3. 化合物2の合成
このペプチドを、対応するIle含有化合物1につき先に記載した第1経路に
より製造した。HPLC分析はこの生成物が目的の二量体(38%)と環状モノ
マー(62%)の混合物であることを示した。表1に記載した溶剤系を用いる逆
相HPLC精製により目的の二量体ペプチドが得られ、これをアミノ酸分析およ
び質量分析により特性解明した(表2)。
4. 化合物3の合成(図15)
この環状二量体ペプチド(表1)の合成に必要な線状ペプチドを、2−クロロ
トリチルクロリド樹脂上で組み立てた。実施例1.3(化合物1)にFmoc−
ピペラジン誘導体につき記載したと同様な方法で、3−ブロモプロピオン酸をこ
の樹脂と反応させた。次いで5倍過剰のピペラジンをこの3−ブロモプロピオニ
ル−O−(2−クロロトリチル)−樹脂に添加して、樹脂に結合したピペラジニ
ル−N−プロピオニル誘導体(構造を後記の図15、工程1に示す)を得た。
次いでFmoc−Asp(OBut)、Fmoc−Leu、およびFmoc−
Ileを1.3節に記載した方法で樹脂に結合させて、Fmoc−テトラペプチ
ドピペラジニル誘導体を得た。N−末端Fmoc基を開裂させるための標準法に
よりピペリジン処理して、工程2(図15)に示した部分保護テトラペプチド誘
導体を得た。3−ブロモプロピオン酸、ピペラジン、Fmoc−Val、Fmo
c−Asp(OBut)、Fmoc−Leu、およびFmoc−Ileを用いた
標準法による結合および脱保護反応により、2つのピペラジン基を含むオクタペ
プチド誘導体(図15、工程4)を得た。次いでこのペプチドを、化合物1につ
き先に記載した方法で樹脂から開裂させ、環化し、脱保護し、精製した。
請求の範囲
1.式1の環状二量体ペプチド
(式中:
ペプチド1およびペプチド2は独立して、平行または逆平行の配向で並置され
た式−AA1−AA2−AA3−AA4−のテトラペプチドを表し;
AA1は、Ile、Leu、ならびにPro、Gly、Tic、Glnおよび
Pheから選択されるそのアミノ酸類似体から選択されるLまたはDアミノ酸で
あり;
AA2は、Leu、ならびにIle、Phe、ProおよびValから選択さ
れるそのアミノ酸類似体から選択されるLアミノ酸であり;
AA3は、Asp、Glu、およびそのアミノ酸類似体から選択されるLアミ
ノ酸であり;
AA4は、Val、ならびにLeu、Ile、Phe、Ser、Proおよび
Cha(シクロヘキシルアラニン)から選択されるそのアミノ酸類似体から選択
されるLアミノ酸であり;
L1およびL2は独立して、ペプチド1と2を連結して環状ペプチドを形成す
るための連結部分を表す);またはその塩。
2.AA1〜AA4がそれぞれ一般式2
(式中、R1はアミノ酸側鎖であり、R2およびR3は独立してHおよびC1 〜4ア
ルキルから選択される)を有する、請求項1記載の環状二量体ペプチドまたはそ
の塩。
3.AA1がIle、D−Leu、MeIleおよびMePheから選択され
;AA2がLeuであり;AA3がAspであり;かつAA4がValである、
請求項記載の環状二量体ペプチドまたはその塩。
4.ペプチド1と2が逆平行に並置されている、請求項1〜3のいずれか1項
記載の環状二量体ペプチドまたはその塩。
5.L1およびL2が独立して、次式の基
−N(R4)−X−C(O)−
[式中、
R4はHおよびC1 〜4アルキルから選択され、XはCH2において所望によりC1 〜4
アルキルもしくはNH2で置換されていてもよい−(CH2)n−(n=1〜4)
を表し;または
XとNR4は一緒に基
(n=0〜4)を表す]から選択される、請求項4記載の環状二量体ペプチドま
たはその塩。
6.L1およびL2が独立して、図7に示した式のうちのいずれか1つから選
択される、請求項4記載の環状二量体ペプチドまたはその塩。
7.L1およびL2が独立して、図17に示した式1〜12のうちのいずれか
1つから選択される、請求項4記載の環状二量体ペプチドまたはその塩。
8.L1およびL2が独立して、図17に示した式1、9および10〜12の
うちのいずれか1つから選択される、請求項7記載の環状二量体ペプチドまたは
その塩。
9.L1とL2が等しい、請求項1〜8のいずれか1項記載の環状二量体ペプ
チド。
10.
から選択される環状二量体ペプチドまたはその塩。
11.式1の環状二量体ペプチドの製造方法であって:−
(a)図10に示した式10(式中、Pr1はAA3の側鎖中の酸基の保護基を
表す)の保護されたポリペプチドから1またはそれ以上の慣用されるペプチド保
護基を除去して式1の本発明の環状ペプチドポリペプチドとなし、所望により、
同時にまたはその後、慣用される他のペプチド保護基をも除去し、こうして得ら
れた生成物を所望によりその塩に変換する方法;および
(b)2つのペプチド単位、すなわち一方はカルボン酸基を含むもの、またはそ
の反応性誘導体、他方はアミノ基を含むものを、式1に示す配列を有する保護さ
れた、または保護されていない環状ペプチドが製造されるように結合させること
によりアミド結合を形成し、そして必要であれば前記(a)の方法を用いて任意
の保護基を除去し、こうして得られた生成物を所望によりその塩に変換する方法
から選択される方法。
12.請求項1〜9のいずれか1項記載の環状二量体ペプチドまたはその塩、
ならびに薬剤学的に許容しうる希釈剤またはキャリヤーを含む薬剤組成物。
13.少なくとも5日間にわたって徐々に放出するように設計された、非経口
投与のための請求項12記載の薬剤組成物。
14.医薬として用いられる、請求項1〜10のいずれか1項記載の環状ペプ
チド。
15.VCAM−1および/またはフィブロネクチンとインテグリン系受容体
VLA−4との相互作用を阻害する処置を必要とする哺乳動物において、それを
阻害する方法であって、該哺乳動物に有効量の、請求項1〜9のいずれか1項記
載の環状二量体ペプチドまたはその薬剤学的に許容しうる塩を投与することを含
む方法。
16.そのような処置を必要とする哺乳動物が多発性硬化症、喘息または慢性
関節リウマチに罹患している、請求項15記載の方法。
17.VCAM−1とインテグリン系受容体VLA−4の相互作用により仲介
される疾患または医学的状態の治療に用いる医薬の製造における式1の環状二量
体ペプチドまたはその薬剤学的に許容しうる塩の使用。
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