JPH1151131A - 金属vベルト式無段変速機 - Google Patents
金属vベルト式無段変速機Info
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- JPH1151131A JPH1151131A JP9209303A JP20930397A JPH1151131A JP H1151131 A JPH1151131 A JP H1151131A JP 9209303 A JP9209303 A JP 9209303A JP 20930397 A JP20930397 A JP 20930397A JP H1151131 A JPH1151131 A JP H1151131A
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Abstract
面に接触するエレメント側長を短くしてレシオ幅を拡大
する。 【解決手段】 金属エレメントのエレメント側長をLと
し、プーリのV面角度をαとし、プーリ及び金属エレメ
ント間のヘルツ面圧をσH とすると、 L∝ sinα/σH 2 の関係が成立する。ヘルツ面圧σH を、金属エレメント
の摩耗耐久性で決定される上限値と、無端ベルトの限界
張力で設定される下限値との間に設定したとき、プーリ
のV面角度αを小さくすることによりエレメント側長L
を小さくすることができる。これにより、金属エレメン
トがプーリの半径方向に移動できる距離が増加してレシ
オ幅が拡大される。
Description
の金属エレメントを装着した無端ベルトを一対のプーリ
に巻き掛けて成る金属Vベルト式無段変速機に関する。
ーリと金属エレメントとの間の静摩擦係数及び動摩擦係
数をそれぞれμs,μaとしたとき、プーリのV溝傾斜
角αをtan-1μa<α< tan-1μsの範囲に設定するこ
とにより、V溝傾斜角αを小さくして無端ベルトの張力
を減少させ、該無端ベルトのスリップを回避しながら伝
達可能トルクを増加させるものが、本出願人が特願平8
−71995号において既に提案している。
Vベルト式無段変速機が変速を行うとき、固定側プーリ
半体に対して可動側プーリ半体が離間すると金属エレメ
ントが半径方向内側に移動してプーリの有効半径が減少
し、固定側プーリ半体に対して可動側プーリ半体が接近
すると金属エレメントが半径方向外側に移動してプーリ
の有効半径が増加する。このとき、金属エレメントの半
径方向移動距離が大きいほどレシオ幅を大きく設定する
ことができるため、プーリV面に接触するエレメント側
長を小さくして金属エレメントの前記移動可能距離を大
きく確保することが望ましい。しかしながら、エレメン
ト側長を無闇に小さくすると、プーリ及び金属エレメン
ト間に作用するヘルツ面圧が増加して耐久性に影響が出
る可能性がある。
で、金属エレメントのエレメント側長を適切な値に設定
してレシオ幅を最大限に拡大することを目的とする。
に、請求項1に記載された発明は、金属リングに多数の
金属エレメントを装着した無端ベルトを一対のプーリに
巻き掛けて成り、プーリと金属エレメントとの間の静摩
擦係数をμsとし、動摩擦係数をμaとしたとき、プー
リのV溝傾斜角αを、 tan-1μa<α< tan-1μs の範囲に設定した金属Vベルト式無段変速機であって、
エレメント側長Lを、プーリのV溝傾斜角αと金属エレ
メント及びプーリ間のヘルツ面圧σH とに応じて決定す
ることを特徴とする。
ントの耐久性の観点から決定されるヘルツ面圧σH と、
変速を可能にしながら無端ベルトのスリップを防止して
伝達可能トルクを増加させる観点から決定されるV溝傾
斜角αとに基づいて、エレメント側長Lを最小に決定し
てレシオ幅を拡大することができる。
1の構成に加えて、前記ヘルツ面圧σH を前記金属リン
グの張力が所定値以下になる値に設定し、エレメント側
長LをV溝傾斜角αに応じて決定することを特徴とす
る。
力が作用するのを防止しながらエレメント側長Lを最小
に決定することができる。
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
ので、図1はベルト式無段変速機の縦断面図のマップ、
図2は図1のA部拡大図、図3は図1のB部拡大図、図
4は図1のC部拡大図、図5は図1のD部拡大図、図6
は図3の6−6線断面図、図7はベルト式無段変速機の
スケルトン図、図8は無端ベルトに作用する力の釣合い
を説明する図、図9は無端ベルトの押付力と張力との関
係を説明する図、図10は伝達可能トルクと軸間力との
関係を示すグラフ、図11は入力回転数と伝達可能トル
クとの関係を示すグラフ、図12及び図13はレシオと
伝達効率との関係を示すグラフ、図14はV溝傾斜角と
伝達可能トルクとの関係を示すグラフ、図15はレシオ
とミスアライメントとの関係を示すグラフ、図16はV
溝傾斜角とエレメント側長とヘルツ面圧との関係を導く
説明図、図17は各V溝傾斜角に対するヘルツ面圧とエ
レメント側長との関係を示すグラフ、図18は見かけの
エレメント側長とエレメント重量との関係を示すグラ
フ、図19は伝達可能トルクと平均張力との関係を示す
グラフ、図20は見かけのエレメント側長と平均張力と
の関係を示すグラフ、図21は見かけのエレメント側長
の設定可能範囲を示すグラフである。
変速機の全体構造を説明する。
置きに配置したエンジンの右側に接続されるもので、車
体前後方向に延在する割面を介して結合された左ケーシ
ング1及び右ケーシング2を備える。右ケーシング2の
右側面には、幅狭の中間ケーシング3及び右カバー4が
重ね合わせて結合される。ベルト式無段変速機は、エン
ジンのクランクシャフト5と同軸に配設されたドライブ
シャフト6と、このドライブシャフト6の上部後方に配
設されたドリブンシャフト7と、このドリブンシャフト
7の下部後方に配設されたセカンダリシャフト8とを備
えており、このセカンダリシャフト8の略下方に差動装
置9が配設される。
グ10及び右ケーシング2に設けたボールベアリング1
1により支持されたドライブシャフト6は、その左端が
フライホイール12を介してクランクシャフト5の右端
に接続される。ドライブシャフト6の中間部にはドライ
ブプーリ13が設けられ、また右端には遊星歯車式減速
機構14、フォワードクラッチ15及びリバースブレー
キ16よりなる前後進切換機構が設けられる。
グ17及び右ケーシング2に設けたローラベアリング1
8により支持されたドリブンシャフト7は、その左端に
冷却性能の高い湿式多板型クラッチよりなる発進用クラ
ッチ19を備えるとともに、その中間部にドリブンプー
リ20を備える。ドライブシャフト6のドライブプーリ
13とドリブンシャフト7のドリブンプーリ20とは、
2条の金属リング21 1 ,211 に多数の金属エレメン
ト212 を装備した無端ベルト21により接続される。
フト5の右端に固着された円盤状の第1マス25と、ド
ライブシャフト6の左端に固着されて前記第1マス25
に対向する円盤状の第2マス26と、第1マス25及び
第2マス26間に配設されて両マス25,26の相対回
転により圧縮される複数のスプリング27…と、両マス
25,26の相対回転により摩擦力を発生する摩擦力発
生手段28とを備える。第1マス25及び第2マス26
間には両マス25,26を相対回転可能に支持するボー
ルベアリング29が設けられる。また第1マス25の外
周には図示せぬスタータモータのピニオンに噛合するス
タータギヤ30が設けられる。
オイルポンプ駆動ギヤ31が、外接ギヤポンプよりなる
オイルポンプ32の入力軸に固着した第2オイルポンプ
駆動ギヤ33に噛合しており、従ってドライブシャフト
6の回転によりオイルポンプ32が駆動される。
プーリ13は、ドライブシャフト6の外周に一対のニー
ドルベアリング34,35を介して相対回転自在に支持
したスリーブ軸36と一体の固定側プーリ半体37と、
スリーブ軸36の外周にボールスプラインを介して摺動
自在に支持されて前記固定側プーリ半体37に対して接
近・離間可能な可動側プーリ半体38とを備える。スリ
ーブ軸36に固着した隔壁部材39と、可動側プーリ半
体38に固着した隔壁部材40と、可動側プーリ半体3
8とにより、可動側プーリ半体38を固定側プーリ半体
37に向けて押圧する油室41が画成される。油室41
には、無端ベルト21に所定の初期荷重を与えるための
スプリング42が縮設される。
ーリ半体38の隔壁部材40との間に、前記隔壁部材3
9を挟んで油室41に対向するキャンセラ43が画成さ
れる。キャンセラ43の内周部に、前記オイルポンプ3
2からオイルを供給するフィードパイプ44の出口端が
直接開口する。このように、オイルポンプ32からフィ
ードパイプ44を介してキャンセラ43に直接オイルを
供給することにより、従来必要であったオイルを案内す
るガイド部材を廃止して部品点数の削減を図ることがで
きる。而して、キャンセラ43内に供給されたオイルに
作用する遠心力を油室41内のオイルに作用する遠心力
に対抗させることにより、可動側プーリ半体38に不要
なスラスト力が作用することが防止される。
後進切換機構の遊星歯車式減速機構14は、ドライブシ
ャフト6にスプライン結合したサンギヤ45と、内周を
ドライブシャフト6に相対回転自在に支持したプラネタ
リキャリヤ46と、内周をドライブシャフト6に相対回
転自在に支持したリングギヤ側板47の外周に形成した
リングギヤ48と、前記プラネタリキャリヤ46に支持
したインナプラネタリギヤ49…及びアウタプラネタリ
ギヤ50…とを備える。インナプラネタリギヤ49…及
びアウタプラネタリギヤ50…は相互に噛合し、且つイ
ンナプラネタリギヤ49…はサンギヤ45に噛合すると
ともにアウタプラネタリギヤ50…はリングギヤ48に
噛合する。
記リングギヤ側板47の内周は、ドライブシャフト6に
スプライン結合したサンギヤ45の右側面及びドライブ
シャフト6の右端に固着したスラストワッシャ51間
に、3個のスラストベアリング52,53,54を介し
て支持される。即ち、サンギヤ45の右側面にスラスト
ベアリング52を介してプラネタリキャリヤ46の内周
左側面が重ね合わされ、このプラネタリキャリヤ46の
内周右側面にスラストベアリング53を介してリングギ
ヤ側板47の内周左側面が重ね合わされ、このリングギ
ヤ側板47の内周右側面にスラストベアリング54を介
してスラストワッシャ51の左側面が重ね合わされる。
は、スリーブ軸36の右端に固着され、且つ前記プラネ
タリキャリヤ46の外周に結合されたクラッチアウタ5
5と、サンギヤ45に結合されたクラッチインナ56
と、クラッチアウタ55及びクラッチインナ56間に配
設された複数の摩擦板57…と、クラッチアウタ55の
内部に収納されて前記摩擦板57…を押圧可能なクラッ
チピストン58と、クラッチピストン58を押し戻すス
プリング59とを備える。クラッチアウタ55及びクラ
ッチピストン58間に画成される油室60にオイルを供
給してクラッチピストン58を駆動すると、摩擦板57
…が相互に密着してクラッチアウタ55及びクラッチイ
ンナ56が一体化され、スリーブ軸36がドライブシャ
フト6に結合されてドライブプーリ13がドライブシャ
フト6と一体で回転する。
は、リングギヤ48の外周と中間ケーシング3の内周と
の間に配設された複数の摩擦板61…と、中間ケーシン
グ3に摺動自在に支持されて前記摩擦板61…押圧可能
なブレーキピストン62と、ブレーキピストン62を押
し戻すスプリング63…とを備える。ブレーキピストン
62と中間ケーシング3との間に画成される油室64に
オイルを供給してブレーキピストン62を駆動すると、
摩擦板61…が相互に密着してリングギヤ48が中間ケ
ーシング3に結合される。これにより、ドライブシャフ
ト6の回転はサンギヤ45、インナプラネタリギヤ49
…、アウタプラネタリギヤ50…、プラネタリキャリヤ
46を介してクラッチアウタ55に伝達される。これに
より、ドライブシャフト6の回転は逆回転となってドラ
イブプーリ13に伝達される。
支持する前記ボールベアリング10は、中間ケーシング
3と該中間ケーシング3を貫通するボルト65で固定さ
れたベアリングホルダ66との間に挟持される。前記ボ
ルト65の頭部はリバースブレーキ16の油室64内に
配設されており、これにより前記ボルト65の半径方向
外側に油室64を形成する場合に比べて、ブレーキピス
トン62の外径を小型化してリバースブレーキ16をコ
ンパクト化することができる。
嵌合する2本の給油管により、ドライブプーリ13の油
室41に給油する油路67と、フォワードクラッチ15
の油室60に給油する油路68と、フォワードクラッチ
15を潤滑する油路69とが形成される。前記油路67
からドライブシャフト6及びスリーブ軸36間に流入し
たオイルは、ドライブシャフト6の外周に沿って左右に
分流して一対のニードルベアリング34,35を潤滑す
る。
一対のシールリング70,71が設けられており、両シ
ールリング70,71の中間位置がドライブシャフト6
の左端側内部に形成された油路72に連通する。従っ
て、左側のニードルベアリング35を潤滑したオイルの
一部は右側のシールリング70を通過して左側のシール
リング71に阻止され、そこから油路72に流入して第
1オイルポンプ駆動ギヤ31のスプライン結合部を潤滑
する。
5はドリブンシャフト7に一体に形成されており、可動
側プーリ半体76はドリブンシャフト7の外周にボール
スプラインを介して摺動自在に支持される。ドリブンシ
ャフト7に固着した隔壁部材77と、可動側プーリ半体
76に固着した隔壁部材78と、可動側プーリ半体76
とにより、可動側プーリ半体76を固定側プーリ半体7
5に向けて押圧する油室79が画成される。油室79に
は、無端ベルト21に所定の初期荷重を与えるためのス
プリング80が縮設される。また、ドリブンシャフト7
の隔壁部材77と可動側プーリ半体76の隔壁部材78
との間に、前記隔壁部材77を挟んで油室79に対向す
るキャンセラ81が画成される。
進用クラッチ19は、ドリブンシャフト7に固着したク
ラッチアウタ82と、ドリブンシャフト7の外周に一対
のニードルベアリング83,83を介して相対回転自在
に支持したクラッチインナ84と、クラッチアウタ82
及びクラッチインナ84間に配設した複数の摩擦板85
…と、クラッチアウタ82の内部に収納されて前記摩擦
板85…を押圧可能なクラッチピストン86と、このク
ラッチピストン86を押し戻すスプリング87とを備え
る。クラッチアウタ82及びクラッチピストン86間に
画成される油室88にオイルを供給してクラッチピスト
ン86を駆動すると、摩擦板85…が相互に密着してク
ラッチアウタ82及びクラッチインナ84が結合され、
クラッチインナ84はドリブンシャフト7と一体に回転
する。
9及び出力ギヤ90が一体に形成される。セカンダリシ
ャフト8には第1中間ギヤ91及び第2中間ギヤ92が
一体に形成されており、第1中間ギヤ91は前記出力ギ
ヤ90に噛合するとともに、第2中間ギヤ92は差動装
置9のファイナルギヤ93に噛合する。
前後進切換機構のフォワードクラッチ15を係合させて
ドライブプーリ13を支持するスリーブ軸36をドライ
ブシャフト6に直結し、且つ発進用クラッチ19を係合
させて出力ギヤ90をドリブンシャフト7に結合するこ
とにより、エンジンのクランクシャフト5の回転をフラ
イホイール12→フォワードクラッチ15→スリーブ軸
36→ドライブプーリ13→無端ベルト21→ドリブン
プーリ20→ドリブンシャフト7→発進用クラッチ19
→出力ギヤ90→第1中間ギヤ91→第2中間ギヤ92
→ファイナルギヤ93→差動装置9の経路を介して伝達
し、左右の車軸を正転駆動して車両を前進させることが
できる。
てリバースブレーキ16を係合させれば、前述したよう
にドライブシャフト6の回転が減速され、且つ逆回転と
なってドライブプーリ13に伝達され、これにより左右
の車軸を逆転駆動して車両を後進させることができる。
ドライブプーリ13の油室41及びドリブンプーリ20
の油室79に作用する油圧に差を持たせることにより、
ドライブプーリ13及びドリブンプーリ20の一方の溝
幅を増加させるとともに他方の溝幅を減少させて、ドラ
イブシャフト6からドリブンシャフト7に伝達される駆
動力の変速比を無段階に変化させることができる。
いて、ドライブプーリ13及びドリブンプーリ20のV
溝の傾斜角(プーリ回転面とプーリ・ベルト接触面との
成す角度、以下V溝傾斜角αと言う)は、8°に設定さ
れている。以下、その理由を説明する。
いを説明する図である。
れる押付力 Q;油圧により発生するプーリの軸方向推力 但し、N,F,Qはプーリの単位中心角あたりの値であ
る。
及び摩擦係数μに応じた摩擦力μNが作用する。この摩
擦力は無端ベルトがプーリの半径方向外側に移動しよう
とするときには、図示したように半径方向内側に向かっ
ており、無端ベルトがプーリの半径方向内側に移動しよ
うとするときには半径方向外側に向かっている。
重はN cosα+μN sinαであって、この荷重は油圧に
より発生するプーリの軸方向推力Qと釣り合っている。
sinα−μN cosαであって、この荷重は無端ベルトの
張力による押付力Fの半分のF/2と釣り合っている
(無端ベルトの左右両端面がプーリから受ける半径方向
の荷重の合計が押付力Fに釣り合う)。
半径方向外側に移動させるための必要条件は、Qが正値
であるときにFが正値であることである。即ち、摩擦係
数μとV溝傾斜角αとが以下の関係を満たすことが必要
である。
入すると、 F/2=Q( sinα−μ cosα)/( cosα+μ sinα) …(3) が得られ、ここでQは正値であり、また0°<α<90
°であるから cosα+μsinαも正値であるため、結局
Fが正値であるためには、 sinα−μ cosα>0 …(4) であれば良い。
動側プーリ半体を油圧で固定側プーリ半体に対して付勢
することにより無端ベルトを半径方向外側に移動させる
ためには、 tanα>μの条件を満たす必要があるという
ことである。つまり、V溝傾斜角αが大きければ、油圧
による軸方向推力で無端ベルトを楔状にプーリの半径方
向外側に押し出す力が該無端ベルトとプーリとの間の摩
擦力に打ち勝つため、無端ベルトを半径方向外側に移動
させることができる。しかしながら、V溝傾斜角αが小
さい場合には、油圧による軸方向推力が無端ベルトを楔
状にプーリの半径方向外側に押し出す力も小さくなるた
め、無端ベルトをプーリとの間の摩擦力に打ち勝って半
径方向外側に移動させることができない。
は静摩擦係数μsと動摩擦係数μaとがあり、静摩擦係
数μsは動摩擦係数μaよりも大きい値を持つ(μs>
μa)。従って、プーリの停止時に油圧で無端ベルトを
半径方向外側に移動させるためには、 tanα>μs …(6) を満たす必要があり、そのためにV溝傾斜角αを大きく
する必要がある。またプーリの回転時に油圧で無端ベル
トを半径方向外側に移動させるためには、 tanα>μa …(7) を満たす必要があり、そのためのV溝傾斜角αは小さく
ても良い。
シオがLOWでない状態で駆動輪の回転が停止したと
き、次の発進に備えてレシオをLOWに戻す必要があ
る。この場合、ベルト式無段変速機がドリブンシャフト
7側に発進用クラッチ19を備えておらず、ドライブシ
ャフト6側に発進用クラッチ19を備えていると仮定す
ると、発進用クラッチ19が係合解除されている車両の
停止時にはベルト式無段変速機のドライブプーリ13及
びドリブンプーリ20が回転していないため、V溝傾斜
角αを tanα>μsを満たすように大きく設定しない
と、無端ベルト21をドリブンプーリ20の半径方向外
側に移動させてレシオをLOWに戻すために極めて大き
な油圧を必要とする。
チ19がドリブンシャフト7側に設けられているので、
発進用クラッチ19が係合解除されている車両の停止時
にもベルト式無段変速機のドライブプーリ13及びドリ
ブンプーリ20が回転しているため、V溝傾斜角αを t
anα>μaを満たすように小さく設定しても、無端ベル
ト21をドリブンプーリ20の半径方向外側に移動させ
てレシオをLOWに戻すことが僅かな油圧で行える。
プーリ20が停止した状態でレシオをLOWに戻すに
は、ドライブプーリ13の油室41に作用する油圧に対
して、その4倍程度の油圧をドリブンプーリ20の油室
79に作用させる必要があるが、ドライブプーリ13及
びドリブンプーリ20が回転した状態でレシオをLOW
に戻すには、前記油圧の比は2倍程度で充分である。
用クラッチ19を設けたことにより、ドライブプーリ1
3及びドリブンプーリ20が回転した状態で容易に変速
を行うことが可能となるため、従来の如くV溝傾斜角α
は tanα>μsを満たす必要はなく、従来使用できなか
ったV溝傾斜角α、つまり、 μa< tanα<μs …(8) を満たすV溝傾斜角αを使用することが可能となる。換
言すれば、ドリブンシャフト7側に発進用クラッチ19
を設ければ、V溝傾斜角αを従来よりも小さく設定して
も変速が可能となり、且つその変速に要する油圧も小さ
くて済むことになる。
をμs=0.17に、また動摩擦係数μaをμa=0.
08に設定した場合、前記(8)式を満たすV溝傾斜角
αは、 4.57°<α<9.64° …(9) となる。ドライブシャフト6側に発進用クラッチ19を
備えている従来のベルト式無段変速機では、前述した理
由からV溝傾斜角αが「11°」に設定されているのに
対し、本実施例のベルト式無段変速機ではV溝傾斜角α
は、前記(9)式の範囲内にある「8°」に設定されて
いる。
すると、プーリと無端ベルトとのスリップを防止しなが
らベルト式無段変速機の伝達可能トルクを増加させるこ
とができる。なぜならば、V溝傾斜角αを小さくした場
合、同一軸推力に対して無端ベルトの押付力F(無端ベ
ルトの張力T)は大幅に減少する一方、プーリから受け
る垂直抗力Nは殆ど変化しないため、無端ベルトがスリ
ップしない範囲に無端ベルトの押付力F(張力T)を維
持しながら、プーリから受ける垂直抗力Nを増加させ
て、伝達可能トルクの増加を図ることができるからであ
る。以下、その理由を更に詳細に説明する。
摩擦係数μaのプーリ半径方向成分)を0.07に設定
し、V溝傾斜角αがα=11°の場合及びα=8°の場
合についてF/Qを試算すると、α=11°の場合には
F/Q=0.25になり、またα=8°の場合にはF/
Q=0.14になる。ここで、遠心力の影響は無視して
いる。
向推力QをQ=1000kgfとすると、無端ベルトが
その張力によってプーリに押し付けられる押付力F(以
下、ベルト押付力Fという)は、α=11°の場合には
F=250kgfになり、またα=8°の場合にはF=
140kgfになる。
掛けられた無端ベルトの微小部分(中心角dβを有する
部分)に作用する半径方向の力の釣合いを考えると、 T(β) sin(dβ/2)+{T(β)+dT} sin(dβ/2) =F(β)dβ …(10) が成立し、dβは微小角度であるから sin(dβ/2)
=dβ/2とすると、前記(10)式は、 T(β)=F(β) …(11) となる。つまり上式はベルト押付力Fが無端ベルトの張
力Tに等しいことを示しており、これは無端ベルトの張
力T(即ち、ベルト押付力F)が等しい場合には、V溝
傾斜角αが小さい程プーリの軸方向推力Q(即ち、伝達
可能トルクTin)が大きくなることを示している。
伝達可能トルクTinを取り、縦軸に無端ベルトの張力
Tと正の相関関係があるベルト押付力Fを取った図10
のグラフからも明らかである。レシオi(ドライブシャ
フト回転数/ドリブンシャフト回転数)が0.61の場
合、1.00の場合及び1.64の何れの場合にも、V
溝傾斜角が小さい程、同一の軸間力F(張力T)に対し
て伝達可能トルクTinが増加していることが分かる。
シャフト回転数)Ninに対する伝達可能トルクTin
の変化を、異なるV溝傾斜角αについて示すもので、全
ての回転数領域でV溝傾斜角αが小さくなるほど伝達可
能トルクTinが増加することが分かる。
達効率ηの変化を、異なるV溝傾斜角αについて示すも
ので、図12は入力回転数Ninが2000rpm、伝
達可能トルクTinが5kgfmの場合を、また図13
は入力回転数Ninが4000rpm、伝達可能トルク
Tinが10kgfmの場合に相当する。これらのグラ
フから明らかなように、V溝傾斜角αが小さくなるほど
伝達効率ηが低下しているが、(9)式で示した4.5
7°<α<9.64°の範囲内では伝達効率ηの低下は
僅かであるため実用上支障はない。
限に抑えながら伝達可能トルクTinを効果的に増加さ
せ得るV溝傾斜角αとして、製造上の誤差等を見越して
5°<α<9°の範囲内に設定することが望ましく、本
実施例ではα=8°に設定されている。
発進用クラッチ19を設けたことにより、V溝傾斜角α
をμa< tanα<μsの範囲内の小さな値に設定するこ
とが可能となる。これにより、無端ベルト21の金属リ
ング211 ,211 の材料強度や断面積を増加させた
り、ドライブシャフト6とドリブンシャフト7との軸間
距離の増加を受容してドライブプーリ13及びドリブン
プーリ20を大径化し、金属リング211 ,211 の曲
げ応力を低下させたりすることなく、無端ベルト21の
張力Tの増加を回避しながらドライブプーリ13及びド
リブンプーリ20の軸方向推力Qを増加させて、無端ベ
ルト21をスリップさせることなく伝達可能トルクTi
nを増加させることができる。
同一のレシオ変化に対するプーリのストロークが小さく
なるため、プーリ自体の軸方向厚さが小さくなることと
相俟ってベルト式無段変速機の軸方向寸法を小型化する
ことができる。しかも同一のレシオ変化を得るために必
要な可動側プーリ半体38,76の移動量が少なくて済
むため、ドライブプーリ13及びドリブンプーリ20の
ミスアライメント(ドライブプーリ13の中心線とドリ
ブンプーリ20の中心線との偏差)を減少させることが
できる。更に、伝達可能トルクTinを一定とすると、
同一変速量に対する吸入/排出オイル量を減少させるこ
とができるので、レシオ変化の応答性を高めることがで
き、しかもオイルポンプ32の容量を小さくしてベルト
式無段変速機を小型化するとともに、オイルポンプの負
荷の低減による効率の向上を図ることができる。
の伝達可能トルクTinの変化を示すもので、α=11
°の場合にはTin=14.3であるのに対し、α=9
°の場合にはTin=15.8に増加し、α=5°の場
合には更にTin=19.6に増加していることが分か
る。図15は、V溝傾斜角αを11°→8°→6°と変
化させた場合のレシオとミスアライメントとの関係を示
すもので、V溝傾斜角αの減少に伴ってミスアライメン
トが減少していることが分かる。
触部の状態を示すものである。プーリの回転軸から前記
接触部までの距離をR(プーリ有効半径)とし、V溝傾
斜角をαとすると、プーリV面の曲率半径R1 は、 R1 =R/ sinα …(12) で与えられる。エレメント側面とプーリV面とは、該プ
ーリV面に母線に沿うように線接触するが、実際にはエ
レメント側面及びプーリV面の接触部は垂直抗力Nによ
り圧縮されて幅2aの帯状になる。エレメント側面の長
さ(以下、エレメント側長と言う)をLとし、エレメン
ト側面の曲率半径をR2 とすると、前記aは(13)式
で与えられ、接触面に作用するヘルツ面圧σH は(1
4)式で与えられる。
においてR2 =∞(即ち、1/R2 =0)とし、更にν
1 =ν2 =ν、E1 =E2 =Eとすると、前記(13)
式及び(14)式は、それぞれ次のようになる。
くと、 L=NE sinα/2πσH 2 R(1−ν2 ) …(18) が得られる。(17)式から明らかなように、縦弾性係
数E及びポアソン比νを一定値としたとき、同じトルク
を同じレシオで伝達するとき(即ち、垂直抗力N及びプ
ーリ有効半径Rを一定値としたとき)、ヘルツ面圧σH
はエレメント側長Lが減少すると増加し、V溝傾斜角α
が増加すると増加する。ヘルツ面圧σH が増加するとプ
ーリや金属エレメントの耐久性が低下するため、ヘルツ
面圧σH の上限値を設定する必要があり、逆にヘルツ面
圧σH が減少すると無端ベルト21の張力Tが増加する
ため、ヘルツ面圧σH の下限値を設定する必要もある。
うに、ヘルツ面圧σH を或る値に設定したとき、V溝傾
斜角αを小さくするほどエレメント側長Lを小さくする
ことができる。そしてエレメント側長Lが小さくなるほ
ど、金属エレメントがプーリV面に沿って半径方向に移
動できる距離が大きくなるため、レシオ幅を大きく確保
することができるだけでなく、プーリV面に対するエレ
メント側面の接触頻度を減少させてプーリの耐久性を高
めることができる。
の設定について説明する。
き、そのエレメント側面の全体がプーリV面に接触する
わけではなく、見かけのエレメント側長をLB としたと
き、見かけのエレメント側長LB にエレメント接触率η
を乗算した値であるエレメント側長L(既出)が実際に
プーリV面に接触する長さになる。
(19) (12)式及び(19)式を用いて前記(17)式及び
(18)式を書き換えると、 σH ={NE/2πηLB R1 (1−ν2 )}1/2 …(20) LB =NE/2πησH 2 R1 (1−ν2 ) …(21) が得られる。
プーリの耐久性の限界をテストした。
率E=21000kgf/mm2 、V面曲率半径R1 =
212mm(α=11°)、ポアソン比ν=0.3とし
て(20)式から基準となるヘルツ面圧σH * を算出す
ると、 σH * =η-1/2 ×7.32(kgf/mm2 ) …(22) が得られる。
に設定すると(22)式から前記基準となるヘルツ面圧
σH * はη-1/2 ×7.32kgf/mm2 になるが、
上記テスト結果によれば、そのヘルツ面圧σH * は摩耗
に対する上限値に対して未だ余裕を残す値であり、見か
けのエレメント側長LB を更に小さくすることが可能で
あった。
エレメント側長LB を6.2mmから次第に減少させて
テストを行った結果、見かけのエレメント側長LB =
3.8mmが摩耗に対する限界値であり、LB をそれ以
上小さくするとエレメントやプーリの摩耗量が限界を越
えることが分かった。
3.8mmのときのヘルツ面圧σH は、見かけのエレメ
ント側長LB =6.2mmのときのヘルツ面圧σH * を
基準として、前記(20)式から、 σH =(6.2÷3.8)1/2 σH * =1.3σH * …(23) で与えられる。(23)式は、見かけのエレメント側長
LB =3.8mmが摩耗に対する下限値であり、そのと
きのヘルツ面圧σH は、エレメント側長LB =6.2m
mのときの基準となるヘルツ面圧σH * の1.3倍であ
ることを示している。
値の設定について説明する。図18に示すように、見か
けのエレメント側長LB を増加させると、エレメントが
必然的に大型化してエレメント重量が増加する。基準テ
スト条件での見かけのエレメント側長LB =6.2mm
に対応するエレメント重量(無端ベルトの1m当たりの
重量)は1.3kg/mであるが、見かけのエレメント
側長をLB =7.6mmに増加させるとエレメント重量
は1.57kg/mまで増加する。
テスト条件、すなわちレシオi=0.61、入力回転数
Nin=6000rpm、余裕トルクTm=2kgf
m、見かけのエレメント側長LB =6.2mmで運転し
たときの、伝達可能トルクTinと無端ベルト(具体的
には、その金属リング)の平均張力Tavとの関係を示
すものである。平均張力Tavは、伝達可能トルクTi
nの増加に応じて増加し、伝達可能トルクTin=1
4.3kgfmのときに、平均張力Tavは727.7
kgfになる。
テスト条件、すなわちレシオi=0.61、入力回転数
Nin=6000rpm、伝達可能トルクTin=1
4.3kgfmで運転したときの、エレメント重量(す
なわち、見かけのエレメント側長LB )と平均張力Ta
vとの関係を、異なる余裕トルクTmについて示すもの
である。見かけのエレメント側長LB を基準テスト条件
での値である6.2mmに設定すると、2kgfmの余
裕トルクTmを確保しながら平均張力Tavを727.
7kgfに抑えることができる。
2mmから増加させると、平均張力Tavを727.7
kgfに抑えるために余裕トルクTmを2kgfmから
減少させる必要があり、エレメント側長LB を7.6m
mまで増加させると、平均張力Tavを727.7kg
fに抑えようとすると余裕トルクTmは0kgfmにな
ってしまう。従って、見かけのエレメント側長LB =
7.6mmが、無端ベルトの平均張力Tavにより規制
される上限値となる。
7.6mmのときのヘルツ面圧σH は、見かけのエレメ
ント側長LB =6.2mmのときのヘルツ面圧σH * を
基準として、前記(20)式から、 σH =(6.2÷7.6)1/2 σH * =0.9σH * …(24) で与えられる。(24)式は、見かけのエレメント側長
LB =7.6mmが平均張力Tavに対する上限値であ
り、そのときのヘルツ面圧σH は、エレメント側長LB
=6.2mmのときの基準となるヘルツ面圧σH * の
0.9倍であることを示している。
囲は、前記基準となるヘルツ面圧σ H * を用いて、 0.9σH * <σH <1.3σH * …(25) で与えられる。
用いて、(25)式を見かけのエレメント側長LB につ
いて書き換えると、 19.5 sinα<LB <40.0 sinα …(26) となり、19.5 sinαが摩耗に対する見かけのエレメ
ント側長LB の下限値となり、40.0 sinαが平均張
力Tavによる見かけのエレメント側長LB の上限値と
なる。
溝傾斜角αが変速可能限界α=4.57°と、スリップ
限界α=9.64°との間に収まる領域において、LB
=40.0 sinαで規定されるラインの下側であり、か
つLB = 19.5 sinαで規定されるラインの上側の
斜線領域が、V溝傾斜角αに応じた見かけのエレメント
側長LB の設定可能領域となる。
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
変速機を例示したが、本発明は工作機械等の他の用途の
ベルト式無段変速機に対しても適用することができる。
また実施例ではドリブンシャフト7に発進用クラッチ1
9を設けているが、ドリブンシャフト7に変速用クラッ
チを設け、ドライブシャフト6に発進用クラッチ19を
設けることも可能である。
明によれば、エレメント側長LをプーリのV溝傾斜角α
と金属エレメント及びプーリ間のヘルツ面圧σH とに応
じて設定するので、ヘルツ面圧σH の増加を回避しなが
らエレメント側長Lを最小に決定してレシオ幅を拡大す
ることができる。
金属リングに過大な張力が作用するのを防止しながらエ
レメント側長Lを最小に決定することができる。
図
フ
グラフ
グラフ
ラフ
の関係を導く説明図
ト側長との関係を示すグラフ
の関係を示すグラフ
ラフ
を示すグラフ
すグラフ
Claims (2)
- 【請求項1】 金属リング(211 )に多数の金属エレ
メント(212 )を装着した無端ベルト(21)を一対
のプーリ(13,20)に巻き掛けて成り、プーリ(1
3,20)と金属エレメント(212 )との間の静摩擦
係数をμsとし、動摩擦係数をμaとしたとき、プーリ
(13,20)のV溝傾斜角αを、 tan-1μa<α< tan-1μs の範囲に設定した金属Vベルト式無段変速機であって、 エレメント側長Lを、プーリ(13,20)のV溝傾斜
角αと金属エレメント(212 )及びプーリ(13,2
0)間のヘルツ面圧σH とに応じて決定することを特徴
とする金属Vベルト式無段変速機。 - 【請求項2】 前記ヘルツ面圧σH を前記金属リング
(211 )の張力が所定値以下になる値に設定し、エレ
メント側長LをV溝傾斜角αに応じて決定することを特
徴とする金属Vベルト式無段変速機。
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