JPH115849A - 樹脂組成物及びその成形物 - Google Patents

樹脂組成物及びその成形物

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JPH115849A
JPH115849A JP16301297A JP16301297A JPH115849A JP H115849 A JPH115849 A JP H115849A JP 16301297 A JP16301297 A JP 16301297A JP 16301297 A JP16301297 A JP 16301297A JP H115849 A JPH115849 A JP H115849A
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aliphatic polyester
transparency
molding
acid
organic compound
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JP16301297A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Kawaguchi
辰也 川口
Seiji Obuchi
省二 大淵
Tomoyuki Nakada
智之 中田
Takayuki Watanabe
孝行 渡辺
Yasuhiro Kitahara
泰広 北原
Hisashi Aihara
久 相原
Christoph Murti Snill
スニル・クリストフ・ムルティ
Kazuhiko Suzuki
和彦 鈴木
Masanobu Ajioka
正伸 味岡
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脂肪族ポリエステルに、透明性と結晶性を同
時に発現せしめること。 【解決手段】 透明核剤を含有する脂肪族ポリエステル
樹脂組成物を成形し、成形時又は成形後に結晶化させる
ことにより、透明性と結晶性を併有する脂肪族ポリエス
テル成形体の製造方法において、前記透明核剤が、80
〜300℃の融点又は軟化点を有し、かつ、10〜10
0cal/K/molの溶融エントロピーを有する有機
化合物からなる群から選択された少なくとも一種の有機
化合物であることを特徴とする、透明性と結晶性を併有
する脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の有機化合物
を含む脂肪族ポリエステル樹脂組成物から、透明性と耐
熱性を併有する成形体の製造方法及びその成形体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチック透明フィルムは、エ
レクトロニクス、メカトロニクス、オプトエレクトロニ
クス、レーザー(光通信、CD、CD−ROM、LD、
DVD、光磁気記録(MO)等も含む。)、液晶、光
学、オフィスオートメーション(OA)、ファクトリー
オートメーション等の分野における技術開発の飛躍的進
展に伴い、その用途も飛躍的に拡大しつつある。その用
途の具体例としては、例えば、オーバーヘッドプロジェ
クター用フィルム、製版用フィルム、トレーシングフィ
ルム、食品ラッピングフィルム、農業用フィルム等の用
途が挙げられる。高機能な用途の具体例としては、例え
ば、透明導電性フィルム(例えば、コンピューター入力
用画面タッチパネル等)、熱線反射フィルム、液晶ディ
スプレー用フィルム、液晶ディスプレー用偏光フィル
ム、PCB(プリント回路基盤)等が挙げられる。ガラ
ス、アクリル(ポリメチルメタクリレート、PMM
A)、ポリカーボネート(PC)等の可撓性(フレキシ
ビリティー)の低い硬質なフィルムが使用されていた従
来の用途においては、可撓性、成形容易性、耐熱性等に
優れた透明フィルムでの代替が必要とされる傾向にあ
る。このような代替需要の一部には、ポリエチレンテレ
フターレート(PET)フィルムで応じることが可能で
ある。
【0003】[環境保全の観点からの脂肪族ポリエステ
ルの技術的背景]最近、汎用プラスチックは使用後廃棄
する際、ゴミの量を増すうえに、自然環境下で殆ど分解
されないために、埋設処理しても、半永久的に地中に残
留し、また投棄されたプラスチック類により、景観が損
なわれ海洋生物の生活環境が破壊されるなどの問題が起
こっている。このような背景から、透明フィルムの技術
分野における、最近における研究開発の動向は、分解性
と耐熱性の向上にも焦点が合わせられている。
【0004】[脂肪族ポリエステルに関する技術的背
景]脂肪族ポリエステルは、水の存在下で容易に加水分
解する特性により、汎用樹脂として使用する場合には、
廃棄後に環境を汚染することなく分解するために環境に
やさしく、医療用材料として生体内に留置する場合に
は、目的達成後に生体に与える影響がないか少なく、生
体内で分解・吸収されるために生体にやさしいという優
れた生分解性ポリマーであることから、医療用材料や汎
用樹脂の代替物として、本出願の以前に既に注目されて
きた。
【0005】これら脂肪族ポリエステルの物性は、硬質
や軟質、耐熱温度が低い物や高い物、透明や不透明、様
々な物があるが、耐熱性と透明性を併有するものは存在
しない。例えば、ポリ乳酸の成形体の場合は、通常の成
形では非晶性で得られ、透明であるが耐熱性はビカット
軟化点が60℃と低い。又熱処理をして結晶性を上げ耐
熱性を上げると、不透明になるという問題がある。
【0006】又、ポリブチレンサクシネートの成形体の
場合は、通常の成形では結晶性で得られ、耐熱性はビカ
ット軟化点が110℃と比較的高いが不透明である。
【0007】[汎用樹脂における透明化技術]汎用樹脂
に関する技術分野においては、球晶の成長を抑制し、透
明性を付与したり、結晶化速度を促進する目的で、結晶
核剤を添加する技術が知られている。その具体例として
は、例えば、ポリプロピレン樹脂に透明性を付与するた
めに、ソルビト−ル誘導体を添加する方法(特公昭55
−12460号)や、ポリエチレンテレフタ−ル酸の結
晶化速度を促進するため、テレフタル酸とレゾルシンを
主な構成単位とする全芳香族ポリエステル微粉末を添加
する方法(特開昭60−86156号)等が挙げられ
る。
【0008】本発明者らは、このような観点から、実際
に脂肪族ポリエステルに核剤として、ポリプロピレン樹
脂用の透明化核剤であるソルビール誘導体や、リン系の
核剤、タルク、超微粒子径(1〜数十nm)シリカ、乳
酸カルシウムあるいは安息香酸ナトリウム等を使用して
射出成形を試みたが、脂肪族ポリエステルに、透明性と
結晶性を同時に付与せしめることはできなかった。
【0009】[脂肪族ポリエステルの添加剤]脂肪族ポ
リエステルに関する技術分野おいては、例えば、以下に
示すような、添加剤を添加する技術が知られているが、
球晶の成長を抑制し、透明性を付与したり、結晶化速度
を促進する目的で、結晶核剤を添加する技術は、ほとん
ど知られていないのが実情である。
【0010】[特開平5−70696号]特開平5−7
0696号には、プラスチック製容器の材料として、ポ
リ−3−ヒドロキシブチレート/ポリ−3−ヒドロキシ
バリレート共重合体、ポリカプロラクトンあるいはポリ
乳酸のような生分解性プラスチックに、平均粒径20μ
m以下の炭酸カルシウム、含水珪酸マグネシウム(タル
ク)を重量比で10〜40%混合することが開示されて
いる。しかしながら、この技術においては、無機充填剤
を大量に添加することにより、分解性を促進することは
できるが、当然のことながら、ポリマーの透明性や耐熱
性(結晶性)を改善することは困難である。
【0011】[特表平4−504731号(WO 90
/01521号)]特表平4−504731号公報(W
O 90/01521号公報)には、ラクチド熱可塑性
プラスチックに、シリカ、カオリナイトのような無機化
合物の充填剤を添加することにより、硬度、強度、温度
抵抗性の性質を変える技術が開示されている。その実施
例には、L,DL−ラクチド共重合体に、核剤として、
乳酸カルシウム5重量%を加え、170℃の加熱ロール
で5分間ブレンドすることにより、剛性と強度に優れ、
結晶化度が高いシートを製造する技術が開示されてい
る。しかしながら、このような技術においても、、やは
り、透明性が著しく低下することが開示されている。
【0012】[特表平6−504799号(WO 92
/04413号)]特表平6−504799号公報(W
O 92/04413号公報)には、ラクチド熱可塑性
プラスチックに、核剤として、乳酸塩、安息香酸塩を添
加する技術が開示されている。その実施例には、ポリラ
クチドコポリマーに、1%の乳酸カルシウムを配合し、
2分間の滞留時間で、約85℃に保持した型で射出成形
し、さらに、型中で約110〜135℃でアニーリング
する技術が開示されている。この場合も、やはり、透明
性が著しく低下することが開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
[問題の所在]本発明者らは、従来の技術では、透明性
と結晶性を同時に発現せしめることが困難な脂肪族ポリ
エステルに、新規な技術により、透明性と結晶性を同時
に発現せしめることは、極めて有意義な解決課題である
と想到した。本発明者らによる、このような問題の所在
の把握は、従来、当業者によっては、まったく認識され
てこなかった。 [発明が解決しようとする課題]本発明は、透明性と耐
熱性(高結晶化性)とを同時に有する脂肪族ポリエステ
ル樹脂組成物の成形体を得ることを課題とした。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、ある特定の化合物を
添加することにより、透明性を維持したまま結晶化させ
得ることを見い出し、本発明を完成させるに至った。本
発明は、以下の[1]〜[7]に記載した事項により特
定される。なお、溶融エントロピー(ディメンション
[cal/K/mol])の評価方法は、原子団寄与法
による。
【0015】[1] 透明核剤を含有する脂肪族ポリエ
ステル樹脂組成物を成形し、成形時又は成形後に結晶化
させることにより、透明性と結晶性を併有する脂肪族ポ
リエステル成形体の製造方法において、前記透明核剤
が、80〜300℃の融点又は軟化点を有し、かつ、1
0〜100cal/K/molの溶融エントロピーを有
する有機化合物からなる群から選択された少なくとも一
種の有機化合物であることを特徴とする、透明性と結晶
性を併有する脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。
【0016】[2] 「80〜300℃の融点又は軟化
点を有し、かつ、10〜100cal/K/molの溶
融エントロピーを有する有機化合物」が、少なくとも一
つのアミド結合を有する有機化合物である、[1]に記
載した、透明性と結晶性を併有する脂肪族ポリエステル
成形体の製造方法。
【0017】[3] 「80〜300℃の融点又は軟化
点を有し、かつ、10〜100cal/K/molの溶
融エントロピーを有する有機化合物」が、エステル結
合、カルボキシル酸塩、カルボキシル基、及び、水酸基
からなる群から選択された少なくとも一種を、少なくと
も一つ有する有機化合物である、[1]に記載した、透
明性と結晶性を併有する脂肪族ポリエステル成形体の製
造方法。
【0018】[4] 「脂肪族ポリエステル」が、乳酸
系ポリマーである、[1]乃至[4]の何れかに記載し
た、透明性と結晶性を併有する脂肪族ポリエステル成形
体の製造方法。
【0019】[5] [1]乃至[4]の何れかに記載
した製造方法により得られた、透明性と結晶性を併有す
る脂肪族ポリエステル成形加工品。
【0020】[6] 80〜300℃の融点又は軟化点
を有し、かつ、10〜100cal/K/molの溶融
エントロピーを有する有機化合物からなる群から選択さ
れた少なくとも一種の有機化合物を、脂肪族ポリエステ
ル樹脂組成物の透明核剤として使用する方法。
【0021】[7] 「80〜300℃の融点又は軟化
点を有し、かつ、10〜100cal/K/molの溶
融エントロピーを有する有機化合物」が、少なくとも一
つのアミド結合を有する有機化合物である、[6]に記
載した方法。
【0022】[8] 「80〜300℃の融点又は軟化
点を有し、かつ、10〜100cal/K/molの溶
融エントロピーを有する有機化合物」が、エステル結
合、カルボキシル酸塩、カルボキシル基、及び、水酸基
からなる群から選択された少なくとも一種を、少なくと
も一つ有する有機化合物である、[6]に記載した方
法。
【0023】[9] 「脂肪族ポリエステル」が、乳酸
系ポリマーである、[6]乃至[8]の何れかに記載し
た方法。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 [脂肪族ポリエステル]本発明において、脂肪族ポリエ
ステルは、脂肪族ヒドロキシカルボン酸のホモポリマー
(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロン
酸等)及びコポリマー(例えば、乳酸とグリコール酸の
コポリマー、乳酸とカプロン酸のコポリマー等)、脂肪
族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸のホモポリマ
ー(例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレン
アジペート等)及びコポリマー(例えば、ブタンジオー
ルとコハク酸及びアジピン酸のコポリマー、エチレング
リコール及びブタンジオールとコハク酸のコポリマー
等)、脂肪族ヒドロキシカルボン酸と脂肪族多価アルコ
ール及び脂肪族多価カルポン酸からなるコポリマー(例
えば、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートのブロック
コポリマー)、及びそれらの混合物を包含する。又、混
合物の場合、相溶化剤を含有してもよい。脂肪族ポリエ
ステルがコポリマーの場合、コポリマーの配列の様式
は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合
体、グラフト共重合体等のいずれの様式でもよい。さら
に、これらは少なくとも一部が、キシリレンジイソシア
ネート、2,4−トリレンジイソシアネート等のような
多価イソシアネートやセルロース、アセチルセルロース
やエチルセルロース等のような多糖類等の架橋剤で架橋
されたものでもよく、少なくとも一部が、線状、環状、
分岐状、星形、三次元網目構造、等のいずれの構造をと
ってもよく、何ら制限はない。
【0025】本発明の脂肪族ポリエステルにおいて、ポ
リ乳酸、特にポリ−L一乳酸、ポリカプロン酸、特にポ
リ−ε一カプロン酸、ポリ乳酸とポリ−6−ヒドロキシ
カプロン酸のブロックコポリマー、特にポリ−L一乳酸
とポリ−6−ヒドロキシカプ口ン酸のブロックコポリマ
ー、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸とポリブチレ
ンサクシネートのブロックコポリマー、特にポリ−L一
乳酸とポリブチレンサクシネートのブロックコポリマー
が好ましい。
【0026】[脂肪族ヒドロキシカルボン酸]本発明に
おいて脂肪族ポリエステルを構成する脂肪族ヒドロキシ
カルボン酸の具体例としては、例えば、グリコール酸、
乳酸、3−ヒドロキシ酩酸、4−ヒドロキシ酩酸、4−
ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酪、6−ヒドロ
キシカプロン酸等が挙げられる。これらは一種類又は二
種類以上の混合物であってもよい。また脂肪族ヒドロキ
シカルボン酸が不斉炭素を有する場合、L体、D体、及
びその混合物、すなわち、ラセミ体であってもよい。
【0027】[脂肪族多価カルボン酸及びその無水物]
本発明において脂肪族ポリエステルを構成する脂肪族多
価カルボン酸の具体例としては、例えば、シュウ酸、コ
ハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカ
ンニ酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸等及びそ
の無水物等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以
上の混合物であってもよい。
【0028】[脂肪族多価アルコール]本発明において
脂肪族ポリエステルを構成する脂肪族多価アルコールの
具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタン
ジオール、l,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、l,
9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラ
メチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
一ル等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の
混合物であってもよい。
【0029】[多糖類]多糖類の具体例としては、例え
ば、セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、メ
チルセルロース、エチルセルロース、セルロイド、ビス
コースレーヨン、再生セルロース、セロハン、キュプ
ラ、銅アンモニアレーヨン、キュプロファン、ベンベル
グ、ヘミセルロース、デンプン、アミロペクチン、デキ
ストリン、デキストラン、グリコーゲン、ペクチン、キ
チン、キトサン、アラビアガム、グァーガム、ローカス
トビーンガム、アカシアガム、等、及びこれらの誘導体
が挙げられるが、特にアセチルセルロース、エチルセル
ロースが好的に用いられる。これらは、一種類又は二種
類以上の混合物であってもよい。
【0030】[脂肪族ポリエステルの分子量]本発明に
おいて使用する脂肪族ポリエステルの分子量は、目的と
する用途、例えば、包装材及び容器などの成形体にした
場合に、実質的に充分な機械物性を示すものであれば、
その分子量は、特に制限されない。脂肪族ポリエステル
の分子量としては、一般的には、重量平均分子量とし
て、1〜500万が好ましく、3〜300万がより好ま
しく、5〜200万がより好ましく、7〜100万がさ
らに好ましく、9〜50万が最も好ましい。一般的に
は、重量平均分子量がl万より小さい場合、機械物性が
充分でなかったり、逆に分子量が500万より大きい場
合、取扱いが困難となったり不経済となったりする場合
がある。本発明において使用する脂肪族ポリエステルの
重量平均分子量及び分子量分布は、その製造方法におい
て、溶媒の種類、触媒の種類及び量、反応温度、反応時
間、共沸により留出した溶媒の処埋方法、反応系の溶媒
の脱水の程度等の反応条件を適宜選択することにより所
望のものに制御することができる。
【0031】[脂肪族ポリエステルの製造方法]本発明
のポリエステルの製造方法は、特に制限されない。例え
ば、ポリ乳酸及び構造単位に乳酸を有する脂肪族ポリエ
ステルの製造方法の具体例としては、特開平6−653
60号に開示されている方法を参考した、後述の製造例
2に示すような方法が挙げられる。すなわち、乳酸及び
/又は乳酸以外のヒドロキシカルボン酸を、あるいは脂
肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を、有機溶媒及び触
媒の存在下、そのまま脱水縮合する直接脱水縮合法であ
る。
【0032】構造単位に乳酸を有する脂肪族ポリエステ
ルの製造方法の他の参考例としては、例えば、特開平7
−173266号に開示されている方法を参考した、後
述の製造例3〜6に示すような方法が挙げられる。すな
わち、少なくとも2種類の脂肪族ポリエステルのホモポ
リマーを重合触媒の存在下、共重合並びにエステル交換
反応させる方法である。ポリ乳酸の製造方法の他の具体
例としては、例えば、米国特許第2,703,316号
に開示されている方法を参考にした、後述の製造例1に
示すような方法が挙げられる。すなわち、乳酸及び/又
は乳酸以外のヒドロキシカルボン酸を、一旦、脱水し環
状二量体とした後に、開環重合する間接重合法である。
【0033】[透明核剤]樹脂の技術分野においては、
「核剤」又は「結晶核剤」なる語は、球晶の成長を抑制
し、透明性を付与したり、結晶化速度を促進する機能を
有する添加剤を包含する。本出願の明細書においては、
「核剤」又は「結晶核剤」なる語は、例えば、結晶化速
度を高めることにより、球晶等の結晶サイズの成長を抑
制し、球晶等の結晶サイズを可視光の波長よりも実質的
に小さなものに維持することにより、高い結晶化度にお
いても、高い透明性を発現せしめる機能を有する添加剤
を包含する。
【0034】本出願の明細書においては、「核剤」又は
「結晶核剤」なる語は、例えば、添加しない場合には、
数が相対的に少なく、サイズが相対的に大きい結晶が存
在する系に、添加した場合には、数が相対的に多く、サ
イズが相対的に小さい結晶が存在する系へと、変換する
ことができる添加剤を包含する。
【0035】[溶融エントロピー]溶融エントロピーの
値は「PROPERTIES OF POLYMERS
(Third,completely reised
edition)、D.W.VAN KREVELEN
編、ISBN−0−444−88160−3、Else
vier Science Publishers、1
990年」122頁に記載されている原子団寄与法を利
用して求めたものを用いることを基本とする。その記載
は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことにより本
出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照
することにより、本出願明細書に記載した事項又は開示
からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項
又は開示とする。溶融エントロピーが原子団寄与法で求
めた場合に10cal/K/mol〜100cal/K
/molの範囲に入るものとする。メタ置換フェニレン
グループの寄与はパラ置換と同じとする。ウレタングル
ープの寄与はアミドグループの1.5倍とする。その
他、原子団の寄与が与えられておらず、溶融エントロピ
ーが原子団寄与法で求めることができない場合に限り、
測定値からの推算あるいはコンピューターによる理論計
算からの推算でこれを代用することができる。
【0036】[80〜300℃の融点又は軟化点を有
し、かつ、10〜100cal/K/molの溶融エン
トロピーを有する有機化合物]本発明で使用する透明核
剤は、80〜300℃の融点又は軟化点を有し、かつ、
10〜100cal/K/molの溶融エントロピーを
有する有機化合物であれば特に制限されない。本発明で
使用する透明核剤の融点又は軟化点は、80〜300
℃、好ましくは80〜250℃、より好ましくは80〜
200℃、さらに好ましくは80〜175℃である。本
発明で使用する透明核剤の溶融エントロピーは、10〜
100[cal/K/mol]、好ましくは20〜90
[cal/K/mol]、より好ましくは25〜85
[cal/K/mol]である。
【0037】本発明で使用する透明核剤は、80〜30
0℃の融点又は軟化点を有し、かつ、10〜100ca
l/K/molの溶融エントロピーを有する有機化合物
の具体例としては、例えば、カルボン酸アミド、カルボ
ン酸エステル、カルボン酸、カルボン酸塩、アルコール
等が挙げられるが、特に、カルボン酸アミドが好まし
い。
【0038】本発明で使用する透明核剤は、80〜30
0℃の融点又は軟化点を有し、かつ、10〜100ca
l/K/molの溶融エントロピーを有する有機化合物
の具体例としては、例えば、脂肪族カルボン酸アミド、
脂肪族カルボン酸エステル、脂肪族カルボン酸、脂肪族
カルボン酸塩、脂肪族アルコール等が挙げられるが、特
に、脂肪族カルボン酸アミドが好ましい。
【0039】本発明で使用する透明核剤は、80〜30
0℃の融点又は軟化点を有し、かつ、10〜100ca
l/K/molの溶融エントロピーを有する有機化合物
の具体例としては、例えば、芳香族カルボン酸アミド、
芳香族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸、芳香族
カルボン酸塩、芳香族アルコール等が挙げられるが、特
に、芳香族カルボン酸アミドが好ましい。
【0040】本発明で使用する透明核剤は、80〜30
0℃の融点又は軟化点を有し、かつ、10〜100ca
l/K/molの溶融エントロピーを有する有機化合物
の具体例としては、例えば、脂環族カルボン酸アミド、
脂環族カルボン酸エステル、脂環族カルボン酸、脂環族
カルボン酸塩、脂環族アルコール等が挙げられるが、特
に、脂環族カルボン酸アミドが好ましい。
【0041】[脂肪族カルボン酸アミド]上記脂肪族カ
ルボン酸アミドとしては、融点あるいは軟化点が80〜
300℃の範囲にあり、溶融エントロピーが10〜10
0cal/K/molの範囲にある脂肪族カルボン酸ア
ミドであれば、特に制限されない。脂肪族カルボン酸ア
ミドには、「10889の化学商品(1989年、化学
工業日報社、東京都中央区日本橋浜町)」の389頁右
欄〜391頁左欄に記載の「脂肪酸アミド」を包含す
る。その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示した
ことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引
用範囲を参照することにより、本出願明細書に記載した
事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導
き出せる事項又は開示とする。本発明における脂肪族カ
ルボン酸アミドとは、カルボニル炭素に窒素が結合した
構造を少なくとも1つ含む化合物である。具体的には通
常アミド結合と呼ばれる結合を包含し、通常尿素結合と
呼ばれる結合をも包含する。カルボニル炭素およびカル
ボニル炭素に結合した窒素原子には水素原子あるいは脂
肪族基がそれぞれ結合する。結合する脂肪族基は具体的
には、狭義の脂肪族基のみならず、芳香族基、これらを
組み合わせた基、又はこれらが酸素、窒素、硫黄、けい
素、りんなどで結合されるような構造を有する残基から
なる群をも包含し、さらに具体的には、上記のものに、
例えば、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリ
ル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリル
オキシル基、ハロゲン(F、Cl、Br等)基等が置換
した構造を有する残基からなる群をも包含する。これら
の置換基を適宜選択することにより、核剤としての効果
を制御することができ、これにより本発明に係る乳酸系
ポリマーをはじめとする脂肪族ポリエステルからなる樹
脂組成物の諸特性(耐熱性、強度特性等)をも制御する
ことができる。
【0042】脂肪族カルボン酸アミドの具体例として
は、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、
ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミ
ド、N−ステアリルステアリン酸アミド、メチロ−ルス
テアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミド、ジメ
チト−ル油アミド、ジメチルラウリン酸アミド、ジメチ
ルステアリン酸アミド等が挙げられる。その他エチレン
ビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミ
ド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビ
スオレイン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミ
ド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシ
リレンビス−12ヒドロキシステアリン酸アミド、N,
N´−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N´−ジステ
アリルアジピン酸アミド、N,N´−ジステアリルイソ
フタル酸アミド、N,N´−ジステアリルテレフタル酸
アミド等、N−ブチル−N´ステアリル尿素、N−プロ
ピル−N´ステアリル尿素、N−アリル−N´ステアリ
ル尿素、N−ステアリル−N´ステアリル尿素等が挙げ
られる。特に、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミ
ド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビス
オレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、N
−ステアリルステアリン酸アミド、m−キシリレンビス
ステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12ヒドロ
キシステアリン酸アミドが好適に用いられる。これらは
一種又は二種以上の混合物であってもよい。
【0043】[脂肪族カルボン酸アミドの添加量]脂肪
族カルボン酸アミドの添加量は、乳酸系ポリマーをはじ
めとする脂肪族ポリエステルに対して、0.001〜1
0重量%でよく、好ましくは、0.01〜7.0重量
%,更に好ましくは0.03〜5.00、最も好ましく
は0.05〜3.00重量%である。0.001重量%
より小さいと、結晶核剤としての効果が不十分となる場
合があり、逆に10重量%より大きくなると、更なる結
晶核剤としての効果は得られなくなるばかりか、外観や
物性の変化を来す場合がある。
【0044】[無機添加剤]本発明の製造方法により製
造する成形体には、成形体の透明性を損なわない限り、
結晶化速度の向上、耐熱性の向上、機械物性の向上、耐
ブロッキング性の向上等の諸物性を改善するために無機
添加剤を添加することもできる。無機添加剤の具体例と
しては、例えば、タルク、カオリナイト、SiO2 、ク
レー等が挙げられるが、成形体の透明性を損なわないよ
うに適宜、条件(添加量、粒子サイズ)を選択する必要
がある。成形体の透明性を保持する為には、一般的に可
視光の波長よりも実質的に小さな粒子サイズを選択する
ことが推奨される。より具体的には、耐ブロッキング性
の物性改良を目的とした場合、例えば、粒径が1〜50
nm(7) SiO2 等が透明性を損なうことなく好適に用
いられる。本発明の製造方法において、成形時の金型内
での結晶化や生成した成形体の熱処理による結晶化など
の成形加工時の結晶化速度をさらに向上させることを目
的とした場合、SiO2 成分を10重量%以上含む結晶
性の無機物が好ましく、具体的には、タルクTM−30
(富士タルク社製)、カオリンJP−100(土屋カオ
リン社製)、NNカオリンクレー(土屋カオリン社
製)、カオリナイトASP−170(富士タルク社
製)、カオリンUW(エンゲルハード社製)、タルクR
F(富士タルク社製)等が挙げられる。この場合、粒径
が小さく、樹脂と溶融混練した場合に凝集することなく
良好に分散するものが好適に用いられる。
【0045】無機添加剤の添加量は、成形体の透明性を
極端に損なわな程度の量が好ましく、脂肪族ポリエステ
ル100重量部に対して、30重量%以下、好ましくは
20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さら
に好ましくは5重量%以下、最も好ましくは1重量%以
下が好適である。
【0046】[可塑剤]本発明の製造方法により製造す
る成形体には、結晶化速度を上げる為に、可塑剤を併用
することもできる。このような目的に使用される可塑剤
は、結晶化速度を上げる機能を有するものであれば特に
制限はなく、例えば、フタル酸系化合物等の芳香族化合
物であっても、エポキシ系化合物、エステル系化合物等
の脂肪族化合物であってもよい。可塑剤の好ましい具体
例としては、例えば、アセチルクエン酸トリブチル、ジ
イソデシルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセ
チン等の脂肪族化合物が挙げられる。可塑剤の添加量
は、添加剤の種類によって異なるが、脂肪族ポリエステ
ルの透明性を極端に阻害しない程度の量が好ましく、3
0重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好まし
くは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、
最も好ましくはl重量%以下が好適である。本発明の製
造方法により製造する成形体には、さらに、成形体の透
明性を損なわない限り、各種エラストマー(SBR,N
BR,SBS型3元ブロック共重合体,熱可塑性エラス
トマー等)や添加剤(可塑剤、顔料、安定剤、帯電防止
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、滑
剤、染料、抗菌剤)、フィラー(耐衝撃性コア/シェル
型粒子、インパクトモディフアイアー等)、顔料(メタ
リック顔料、パール顔料)を目的や用途に応じて適宜使
用することができる。
【0047】[成形加工法] 〈混合・混練・捏和〉本発明において、脂肪族ポリエス
テルと融点あるいは軟化点が80〜300℃、且つ溶融
エントロピーが10〜100cal/K/molである
有機化合物から選択された少なくとも一種の透明核剤
を、混合・混練・捏和して脂肪族ポリエステル組成物を
製造する方法は、公知公用の混練技術、例えば、ヘンシ
ェルミキサー、リボンブレンダー等で各原料を固体状で
混合させたり、又、さらに押出機等を用いてポリマーを
溶融させながら混練させる方法を採用することができ
る。
【0048】〈成形〉以下に、本発明の目的とする透明
性と結晶性を併有する成形体を製造する方法について説
明する。本発明は、前述した脂肪族ポリエステル樹脂組
成物を成形時、又は成形後に結晶化させる事で、透明性
と結晶性を併有する成形体を製造する方法である。成形
方法としては、一般に射出成形、押出成形、ブロー成
形、インフレーション成形、異形押出成形、射出ブロー
成形、真空圧空成形、紡糸等の通常の方法が挙げられる
が、本発明で示す樹脂組成物においては、いずれの成形
方法にも適応でき、何ら制限はない。例えば、乳酸系ポ
リマーの場合、通常の成形方法では非晶性の成形体が得
られ、この場合は、何等かの方法(例えば、熱処理)で
結晶化させる必要がある。脂肪族ポリエステル樹脂組成
物を成形時、又は成形後に結晶化させる具体例として
は、例えば、成形時に該組成物の溶融物を金型内に充填
し、金型内でそのまま結晶化させる方法、及び該組成物
の非晶性の成形体を熱処理する方法を挙げることができ
る。
【0049】〈透明性と結晶性を併有する成形体を製造
する方法の態様〉以下に、本発明に係る、成形体に透明
性と結晶性を同時に付与することができる成形体の成形
方法の態様を説明する。本発明において、脂肪族ポリエ
ステル成形体が透明性を有するということは、厚みがl
mmの該成形体と新聞を重ねた場合に、該成形体を介し
て新聞の文字を認識できる程度の透明性を有することを
意味し、厚みがlmmの該成形体のへイズが30%以下
であることを意味する。本発明において、脂肪族ポリエ
ステル成形体が結晶性であるということは、X線回折法
により測定された結晶化度が10%以上であることを意
味する。本発明の製造方法により、結晶化度が10%以
上であり、厚みがlmmにおいてヘイズが30%以下の
結晶性(耐熱性)と透明性を併有する脂肪族ポリエステ
ル成形体が得られる。本発明の製造方法により、結晶化
度が30%以上であっても、厚みがlmmにおいてヘイ
ズが30%以下、さらには、15%以下の結晶性(耐熱
性)と透明性を併有する脂肪族ポリエステル成形体が得
られる。
【0050】本発明の透明性、結晶性(耐熱性)及び分
解性を有する脂肪族ポリエステル成形体は、公知、公用
の成形法で得られる射出成形品、フィルム、袋、チュー
ブ、シート、カップ、ポトル、トレー、糸等を包含し、
その形状、大きさ、厚み、意匠等に関して何ら制限はな
い。具体的には、本発明の成形体は、食品包装用袋、食
器やフォーク及びスプーン等の食品用の容器やトレイ、
乳製品や清涼飲料水及び酒類等用のボトル、ラップフィ
ルム、化粧品容器、ゴミ袋、かさ、テント、防水シー
ト、(粘着)テープ、エアーマット、漂白剤用の容器、
液体洗剤類用のボトル、医療器具や医療材料用の容器や
包装材、医薬品用容器や包装材、つり糸、魚網、農業用
品の容器や包装材及びカプセル、肥料用の容器や包装材
及びカプセル、種苗用の容器や包装材及びカプセル、農
園芸用フィルム、製品包装用フィルム、オーバーヘッド
プロジェクター用フィルム、熱線反射フィルム、液晶デ
ィスプレー用フィルム等に用いることができる。
【0051】この他、本発明の方法で得られるフィルム
やシートは、紙や他のポリマー等の他の材質のシート
と、接着剤や熱融着によるラミネートや貼り合わせ等に
より、多層構造の積層体とすることもできる。特に、従
来、ポリ乳酸やポリ乳酸ブロックとポリブチレンサクシ
ネートブロックを有する共重合体のような透明性に優れ
ている脂肪族ポリエステルの非晶性のフィルムを、例え
ば、紙等に熱ラミネーションした場合、ラミネーション
時の熱により、結晶化し、不透明になるという問題があ
った。したがって、透明性が要求される用途の場合、熱
ラミネーション時の熱処理条件を限定したり、接着剤を
用いるラミネーション方法が好ましく用いられ、さらに
は、透明性と耐熱性を要求される用途の場合は、該樹脂
組成物を用いることはできなかった。しかしながら、本
発明の透明核剤を含むそれらの樹脂組成物を用いた場
合、例えば、透明な非晶性フィルムをそのまま紙等に熱
ラミネーシヨンし、紙等への貼り合わせと該組成物の結
晶化を同時に行ってもよい。また、一旦熱ラミネーショ
ンした積層体をさらに熱処理して結晶化させてもよい。
いずれの条件下でも、その透明性を維持し、さらには、
耐熱性を付与した積層体を得る事ができる。
【0052】
【実施例】以下に製造例、実施例及び比較例等を示し、
本発明を詳述する。なお、本出願の明細書における合成
例、実施例、比較例、態様等の記載は、本発明の内容の
理解を支援するための説明であって、その記載は本発明
の技術的範囲を狭く解釈する根拠となる性格のものでは
ない。
【0053】A.製造例 実施例及び比較例において使用する脂肪族ポリエステル
の製造方法を以下に示す。なお、文中に部とあるのはい
ずれも重量基準である。また、重合体の平均分子量(重
量平均分子量Mw)はポリスチレンを標準としてゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィーにより以下の条件で
測定した。 装置 :島津LC−IOAD 検出器:島津RID−6A カラム:日立化成GL−S350DT−5,GL−
S370DT−5 溶 媒:クロロホルム 濃 度:l%
【0054】[製造例1] ポリマーA(ポリL−ラク
タイド)の製造 L−ラクタイド100部およびオクタン酸第一スズ0.
01部と、ラウリルアルコール0. 03部を、撹拌機を
備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封入し、真
空で2時間脱気した後窒素ガスで置換した。この混合物
を窒素雰囲気下で撹拌しつつ200℃で3時間加熱し
た。温度をそのまま保ちながら、排気管およびガラス製
受器を介して真空ポンブにより徐々に脱気し反応容器内
を3mmHgまで減圧にした。脱気開始から1時間後、
モノマーや低分子量揮発分の留出がなくなったので、容
器内を窒素置換し、容器下部からモノマーを紐状に抜き
出してペレット化し、L−ラクタイドのポリマーAを得
た。このポリマーの重量平均分子量Mwは、13.6万
であった。
【0055】[製造例2] ポリマーB(ポリL−乳
酸)の製造 Dien−Starkトラップを設置した100リット
ル反応器に、90%L−乳酸10kgを150℃/50
mmHgで3時間撹拌しながら水を留出させた後、錫末
6.2gを加え、150℃/30mmHgでさらに2時
間撹拌してオリゴマー化した。このオリゴマーに錫末2
8.8gとジフェニルエーテル21.1kgを加え、1
50℃/35mmHgで共沸脱水反応を行い、留出した
水と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみを反応器に戻し
た。2時間後、反応器に戻す有機溶媒を46kgのモレ
キュラシーブ3Aを充填したカラムに通してから反応器
に戻るようにして、150℃/35mmHgで40時間
反応を行い平均分子量14.6万のポリ乳酸溶液を得
た。この溶液に脱水したジフェニルエーテル44kgを
加え、希釈した後40℃まで冷却して、析出した結晶を
瀘過し、10kgのn−へキサンで3回洗浄して60℃
/50mmHgで乾燥した。この粉末を0.5N−HC
112kgとエタノール12kgを加え、35℃で1時
間撹拌した後瀘過し、60℃/50mmHgで乾燥し
て、ポリ乳酸粉末6.1kg(収率85%)を得た。こ
の粉末を押出機で溶融しペレット化し、L−乳酸のポリ
マーBを得た。このポリマーBの重量平均分子量Mw
は、14.5万であった。
【0056】[製造例3] ポリマーC(ポリブチレン
サクシネート)の製造 1,4−ブタンジオール50.5gとコハク酸66.5
gにジフェニルエーテル293.Og、金属錫2.02
gを加え、130℃/140mmHgで7時間系外に水
を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー化した。これに、
Dean−Stark trapを取り付け、140℃
/30mmHgで8時間共沸脱水を行いその後、モレキ
ュラーシーブ3Aを40g充填した管を取り付け、留出
した溶媒がモレキュラーシーブ管中を通って反応器に戻
るようにし、130℃/17mmHgで49時間撹拌し
た。その反応マスを600mlのクロロホルムに溶か
し、4リットルのアセトンに加え再沈した後、HClの
イソプロピルアルコール(以下IPAと略す)溶液(H
Cl濃度 0.7wt%)で0.5時間スラッジングし
(3回) 、IPAで洗浄してから減圧下60℃で6時
間乾燥し、ポリブチレンサクシネート(以下PSBと略
す)を得た。このポリマーの重量平均分子量Mwは、1
1.8万であった。
【0057】[製造例4] コポリマーD(ブチレンサ
クシネート/乳酸共重合体)の製造 製造例3で得られたポリブチレンサクシネート80.0
gに、製造例2と同様な方法で得られたポリ乳酸12
0.0g(重量平均分子量Mwは2.0万)、ジフェニ
ルエーテル800g、金属錫0.7gを混合し、再び1
30℃/17mmHgで20時間脱水縮合反応を行っ
た。反応終了後、製造例2と同様に後処理を行い、ポリ
ブチレンサクシネートとポリ乳酸とのコポリマーC(重
量平均分子量Mwは14.0万)を得た。
【0058】[製造例5] コポリマーE(ブチレンサ
クシネート/乳酸共重合体)の製造 ポリブチレンサクシネート40.0g(重量平均分子量
Mwは11.8万)、ポリ乳酸160.0g(重量平均
分子量Mwは5.0万)を用いた他は、製造例4と同様
な方法で行った結果、ポリブチレンサクシネートとポリ
乳酸とのコポリマーE(重量平均分子量Mwは13.6
万)を得た。
【0059】[製造例6] コポリマーF(ブチレンサ
クシネート/乳酸共重合体)の製造 ポリブチレンサクシネート20.0g(重量平均分子量
Mwは11.8万)、ポリ乳酸180.0g(重量平均
分子量Mwは10.0万)を用いた他は、製造例4と同
様な方法で行った結果、ポリブチレンサクシネートとポ
リ乳酸とのコポリマーF(重量平均分子量14.2万)
を得た。
【0060】[製造例7] コポリマーG(カプロン酸
/乳酸共重合体)の製造 ポリ乳酸のかわりに、6−ヒドロキシカプロン酸を用い
た他は製造例2と同様な方法で反応を行った結果、ポリ
カプロン酸(重量平均分子量Mwは15.0万)を得
た。次に得られたポリカプロン酸20.0gとポリ乳酸
180.0g(重量平均分子量Mwは10.0万)を用
い製造例4と同様な方法で行い、ポリカプロン酸とポリ
乳酸とのコポリマーG重量平均分子量Mwは15.3
万)を得た。
【0061】B.実施例 製造例1〜7で得た乳酸系ポリマーおよびポリブチレン
サクシネートを用いて、本発明に係わるポリ乳酸系樹脂
組成物の製造方法及び実施例について記述する。
【0062】[物性の評価]物性の評価条件は、以下の
とおりである。 結晶化度 X線回折装置(理学電機(株)製、Rint1500
型)にて成形後の試験片を測定し、得られたチャートの
結晶ピーク面積の総面積に対する比率を求めた。 透明性(ヘイズ) JIS K−6714に従い、東京電色製Haze M
eterを使用して測定した。 耐熱性[ビカット軟化温度(ASTM−D152
5)] 荷重1kgfの条件で成形後の試験片を測定。
【0063】[実施例1]製造例1で得られたポリ乳酸
100重量部、透明核剤としてエチレンビスラウリン酸
アミド1重量%をヘンシェルミキサーで充分に混合した
後、押出機シリンダー設定温度170〜210℃の条件
にてペレット化した。該ペレットを日本製鋼所製JSW
−75射出成形機、シリンダー設定温度180〜200
℃の条件にて溶融し、設定温度30℃の金型に充填し、
冷却時間は30秒として1.0mm厚の透明な平滑な平板
成形体を得た。この平板の透明性(ヘイズ)は2%、結
晶化度は0%、ビカット軟化点は59℃であった。この
平板を乾燥機中で100℃/30minで熱処理した。
得られた平板の透明性(ヘイズ)は6%、結晶化度42
%、ビカット軟化点は150℃であった。結果を表−1
[表1]に示す。
【0064】[実施例2〜11]ポリマー、透明核剤の
種類と添加量を表−1[表1]に示すように変更した以
外は、実施例1と同様にして行い、それぞれ得られた平
板の透明性(ヘイズ)、結晶化度、ビカット軟化点を測
定した。結果を表−1[表1]に示す。
【0065】[比較例1]透明核剤のエチレンビスラウ
リン酸アミドを除いた他は実施例1と同様な方法で行っ
た。得られた平板のヘイズ値は2%,結晶化度は0%、
ビカット軟化点は59℃であった。この平板を乾燥機中
で100℃/20minで熱処理した時の透明性(ヘイ
ズ)は83%、結晶化度は45%、ビカット軟化点は1
50℃であった。結果を表−2[表2]に示す。
【0066】[比較例2〜7]ポリマー、透明核剤の種
類と添加量、乾燥機中での熱処理条件を表−2[表2]
に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして行
い、それぞれ得られた平板の透明性(ヘイズ)、結晶化
度、ビカット軟化点を測定した。結果を表−2[表2]
に示す。
【0067】[表1の見方]表1の見方は、以下のとお
りである。 (1) 重合体 製造例1〜6で製造したポリマー又はコポリマーであ
る。 ホモポリマー :A、B、C コポリマー :D、E、F、G (2) 添加剤の種類 A:エチレンビスラウリン酸アミド 融点 157℃ 溶融エントロピー 57.3cal/
K/mol(スリパックスL(商品名)、(C11H23C
ONH)2 (CH2 )2 、日本化成 )B:エルカ酸アミド 融点 82℃ 溶融エントロピー 45.2cal/K
/mol(NEUTRON−S(商品名)、C21H41C
ONH2 、日本精化) C:パルミチン酸アミド 融点 100℃ 溶融エントロピー 35.8cal/
K/mol(ダイヤミッドKP(商品名)、C15H31C
ONH2 、日本化成) D:m−キシリレンビスステアリン酸アミド 融点 123℃ 溶融エントロピー 82.0cal/
K/mol(スリパックスPXS(商品名)、[ C17H
35CONHCH2]2 (C6 H4 )、日本化成) (3) 添加剤の添加量 重合体重量を基準とした添加剤重量の重量%である。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】本発明により、高い透明性と高い結晶性
(高い耐熱性)を併せ有する乳酸系ポリマーをはじめと
する脂肪族ポリエステルからなる樹脂組成物を提供する
ことができる。本発明により、乳酸系ポリマーをはじめ
とする脂肪族ボリエステルからなる樹脂組成物に、高い
透明性(例えば、ヘイズ値が10%以下)と高い結晶性
(例えば、結晶化度が30%以上)を同時に付与するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 孝行 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 北原 泰広 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 相原 久 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 スニル・クリストフ・ムルティ 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 鈴木 和彦 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 味岡 正伸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明核剤を含有する脂肪族ポリエステル
    樹脂組成物を成形し、成形時又は成形後に結晶化させる
    ことにより、透明性と結晶性を併有する脂肪族ポリエス
    テル成形体の製造方法において、前記透明核剤が、80
    〜300℃の融点又は軟化点を有し、かつ、10〜10
    0cal/K/molの溶融エントロピーを有する有機
    化合物からなる群から選択された少なくとも一種の有機
    化合物であることを特徴とする、透明性と結晶性を併有
    する脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 「80〜300℃の融点又は軟化点を有
    し、かつ、10〜100cal/K/molの溶融エン
    トロピーを有する有機化合物」が、少なくとも一つのア
    ミド結合を有する有機化合物である、請求項1に記載し
    た、透明性と結晶性を併有する脂肪族ポリエステル成形
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 「80〜300℃の融点又は軟化点を有
    し、かつ、10〜100cal/K/molの溶融エン
    トロピーを有する有機化合物」が、エステル結合、カル
    ボキシル酸塩、及び、水酸基からなる群から選択された
    少なくとも一種を、少なくとも一つ有する有機化合物で
    ある、請求項1に記載した、透明性と結晶性を併有する
    脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 「脂肪族ポリエステル」が、乳酸系ポリ
    マーである、請求項1乃至4の何れかに記載した、透明
    性と結晶性を併有する脂肪族ポリエステル成形体の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れかに記載した製造
    方法により得られた、透明性と結晶性を併有する脂肪族
    ポリエステル成形加工品。
  6. 【請求項6】 80〜300℃の融点又は軟化点を有
    し、かつ、10〜100cal/K/molの溶融エン
    トロピーを有する有機化合物からなる群から選択された
    少なくとも一種の有機化合物を、脂肪族ポリエステル樹
    脂組成物の透明核剤として使用する方法。
  7. 【請求項7】 「80〜300℃の融点又は軟化点を有
    し、かつ、10〜100cal/K/molの溶融エン
    トロピーを有する有機化合物」が、少なくとも一つのア
    ミド結合を有する有機化合物である、請求項6に記載し
    た方法。
  8. 【請求項8】 「80〜300℃の融点又は軟化点を有
    し、かつ、10〜100cal/K/molの溶融エン
    トロピーを有する有機化合物」が、エステル結合、カル
    ボキシル酸塩、及び、水酸基からなる群から選択された
    少なくとも一種を、少なくとも一つ有する有機化合物で
    ある、請求項6に記載した方法。
  9. 【請求項9】 「脂肪族ポリエステル」が、乳酸系ポリ
    マーである、請求項6乃至8の何れかに記載した方法。
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