JPH115952A - 光学用接着剤組成物 - Google Patents

光学用接着剤組成物

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JPH115952A
JPH115952A JP16300397A JP16300397A JPH115952A JP H115952 A JPH115952 A JP H115952A JP 16300397 A JP16300397 A JP 16300397A JP 16300397 A JP16300397 A JP 16300397A JP H115952 A JPH115952 A JP H115952A
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健之 澤本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高屈折率を有すると共に、透明性に優れ、短
時間硬化においても光学歪みが極めて小さい新規光学用
接着剤組成物を提供する。 【解決手段】 下記構造式(1)式で示される少なくと
も1種の硫黄含有エポキシ(メタ)アクリレートとラジ
カル重合開始剤を成分とする光学用接着剤組成物。 【化1】 但し、Rは水素またはメチル基、Phはフェニル基を示
し、添え字xは0または1の整数を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズ、プリズ
ム、光導波路などの光学素子の接着に用いる光学用接着
剤組成物に関わり、さらに詳しくは高い屈折率を有する
とともに、硬化後の光学歪みも小さい高性能な光学用接
着剤組成物に関わる。
【0002】
【従来の技術】従来、カメラや顕微鏡などの光学機器の
組立てにおいては、レンズやプリズムなどを接合するた
め、バルサムやエポキシ樹脂などの透明樹脂が接着剤と
して用いられていた。また近年、オプトエレクトロニク
ス産業の発展にともない、光ファイバ−やマイクロレン
ズ等の高度な光学機能を持った光学素子類を接合する用
途が増大しており、ビスフェノール−A−エポキシ(メ
タ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレート等の
ラジカル重合性モノマーを配合した接着剤も広く使用さ
れるようになっている。
【0003】特に、光変調器や光スイッチなどを光導波
路素子とマイクロレンズや光ファイバなどを接合して光
回路を作製する等の、高度な機能を有する光学装置を組
み折率を有する接着剤が必要とされている。このような
接着剤としては、例えば特開平3−157471には、
N−ビニルカルバゾールを用いた接着剤が公知である。
また例えば特開平2−113027には、4,4’−ジ
メルカプトジフェニルサルファイドジメタクリレートと
ポリチオールよりなる硬化性組成物が開示されており、
接着剤として有用であるとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし前記の高屈折率
接着剤の主成分である、N−ビニルカルバゾールや、
4,4’−ジメルカプトジフェニルサルファイドジメタ
クリレートは、高い屈折率を有してはいるものの、常温
で粉末状あるいはフレーク状の固体であるため、単独で
接着剤として使用することができない。
【0005】このためこれらの化合物は常温で液状の他
の成分と混合して、はじめて接着剤として使用される
が、こうして得られた樹脂組成物は、温度が低下した
り、振動などの機械的ショックを受けたり、あるいは長
時間保存した場合等に結晶性の成分が組成物中に析出し
やすく、屈折率が変動したり、塗布できなくなるといっ
た欠点があった。
【0006】また、4,4’−ジメチカプトジフェニル
サルファイドジメタクリレートを用いて調整した接着剤
は、硬化後の光学的な歪みが大きく、特に光重合開始剤
を添加して迅速に硬化するとその傾向が増大するという
欠点も有していた。
【0007】
【問題を解決する技術的な手段】本発明者等は、 1)下記構造式(1)式で示される少なくとも1種の硫
黄含有エポキシ(メタ)アクリレートとラジカル重合開
始剤を成分として接着剤組成物を構成することにより、
前記の問題を解決した。
【0008】
【化3】
【0009】但し、Rは水素またはメチル基、Phはフェ
ニル基を示し、添え字xは0または1の整数を示す。
【0010】すなわち、硬化後の屈折率が高く、液状の
接着剤としての安定性に優れ、かつまた硬化後の光学歪
みの小さい光学用接着剤を得た。
【0011】また、 2)下記構造式(1)式で示される少なくとも1種の硫
黄含有エポキシ(メタ)アクリレートと下記A群から選
ばれた少なくとも1種のフェニル基含有(メタ)アクリ
レートとラジカル重合開始剤を成分として接着剤組成物
を構成することによっても、前記の問題を解決できるこ
とを見いだした。
【0012】
【化4】
【0013】但し、Rは水素またはメチル基、Phはフェ
ニル基を示し、添え字xは0または1の整数を示す。
【0014】A群 フェニル(メタ)アクリレート、
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプ
ロピル(メタ)アクリレート すなわち、硬化後の屈折率が高く、液状の接着剤として
の安定性に優れ、光学的な歪みが小さいとともに、屈折
率や粘度などを目的に応じて微妙に調整することができ
る光学用接着剤組成物を得た。
【0015】さらにまた、 3)ラジカル重合開始剤としてアシルフォスフィンオキ
シド、ジアシルフォスフィンオキシド、カンファーキノ
ンから選ばれた少なくとも1種の光重合開始剤を使用し
て前記1)または2)の接着剤組成物を構成することに
より、前記1)及び2)でそれぞれ達成される特長に加
えて、優れた光硬化性を有するとともに、着色がなく耐
光性にも優れる光硬化型の光学用接着剤が得られること
を見いだした。
【0016】本発明で用いる下記構造式(1)で示され
る硫黄含有(メタ)アクリレートは、硬化後に1.63
以上の高い屈折率を有する、常温で液状の化合物であ
り、硬化反応性に富み、また分子中にヒドロキシル基を
有しているため、光学ガラスなどに対する良好な接着性
を兼ね備えている。
【0017】
【化5】
【0018】但し、Rは水素またはメチル基、Phはフェ
ニル基を示し、添え字xは0または1の整数を示す。
【0019】このため、前記(1)式の化合物にラジカ
ル重合開始剤を添加することにより単独で接着剤として
使用することができ、温度変化や機械的ショック等の各
種の外的な変化に対しても常に安定な状態を維持し、し
たがって光学特性も安定している。
【0020】また理由は不明であるが、前記(1)式の
化合物は硬化後の光学的な歪みが極めて小さいという特
長があり、このため光重合開始剤などを用いて短時間で
硬化する光硬化型接着剤とした使用した場合において
も、光学歪みの問題のない優れた光学特性を発揮する。
【0021】本発明の(1)式で示される化合物の具体
例としては、例えば(1)式中のRがメチル基で添え字
Xが0である、ビス(メタクリロキシ−2−ヒドロキシ
プロピル−チオフェニル)スルフィド、(1)式中のR
がメチル基で添え字Xが1である、メタクリロキシ−2
−ヒドロキシプロピル−チォフェニル,4−チオフェニ
ルスルフィド、(1)式中のRが水素で添え字Xが0で
ある、ビス(アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル−
チォフェニル)スルフィド、(1)式中のRが水素で添
え字Xが1である、アクリロキシ−2−ヒドロキシプロ
ピル−チォフェニル,4−チオフェニルスルフィドを挙
げることができる。
【0022】これら(1)式の化合物は例えば、公知の
有機硫黄化合物である4,4’−チオベンゼンチオール
(住友精化(株)製 商品名 MPS)とグリシジル
(メタ)アクリレートを反応させることにより得られ
る。
【0023】次に本発明で用いる下記A群の化合物であ
るが、A群 フェニル(メタ)アクリレート、ベンジ
ル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル
(メタ)アクリレートこれらはいずれも分子内にフェニ
ル基を含有する低粘度の化合物であり、前記(1)式の
化合物と任意の比率で混合でき、また硬化後の光学歪み
が小さいという特長を有している。このためA群の化合
物を(1)式の化合物に配合して使用することによっ
て、高い屈折率領域で接着剤の屈折率を微調整したり、
接着剤の粘度を広い範囲で調整することができ、本発明
の接着剤の応用範囲をさらに拡大することができる。
【0024】本発明においてA群のフェニル基含有(メ
タ)アクリレートは、好ましくは70重量%以下の範囲
で用いる。なぜなら、A群の化合物が70重量%を超え
ると接着剤の屈折率が低下して、本発明の(1)式の化
合物による卓越した高屈折率性が活かされにくくなるか
らである。
【0025】しかし、本発明の(1)式の化合物の持つ
良好な硬化反応性や、低光学歪みの特長を活用する場合
には、必ずしもA群の化合物を70重量%以下にして使
用する必要はない。
【0026】またA群の化合物は溶解性に富むため、常
温で結晶固体の重合開始剤を(1)式の化合物に速やか
に混合することができ、またヒドロキシメタクリレート
やシランカップリング剤などの添加や、ウレタンアクリ
レートやエポキシアクリレートなどの公知の高粘度のオ
リゴマーなどを所望により容易に配合することができる
等の利点も有している。
【0027】本発明で用いるラジカル重合開始剤として
は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバ
レロニトリル、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロパーオ
キシドなどの熱重合開始剤や1−ヒドロキシ−シクロヘ
キシルフェニルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノ
ン、ベンゾインエーテル、クロロチオキサンソン、アン
トラキノン、アシルフォスフィンオキシド、ジアシルフ
ォスフィンオキシド、カンファーキノン等の光重合開始
剤を使用することができる。
【0028】ラジカル重合開始剤として熱重合開始剤を
用いた場合、接着剤は加熱硬化型となる。その使用方法
としては、接着剤を塗布した光学部品を60℃から150℃
の温度範囲で、30分から数時間程度加熱することによ
り接着硬化する。
【0029】また光重合開始剤を添加した場合には、光
硬化型の接着剤となる。その使用方法としては、接着剤
を塗布した光学部品に紫外線や短波長の可視光を数秒か
ら10数分間照射して接着硬化する。接着剤の硬化に使
用できる光源としては、紫外線蛍光灯、高圧水銀灯、メ
タルハライドランプ等の紫外線光源や、波長380nmから5
00nmの短波長の可視光領域に有効出力を有する可視光蛍
光灯、照明用のメタルハライドランプ、ハロゲンランプ
等の可視光光源が挙げられる。
【0030】通常、接着剤を短時間で硬化させると、硬
化した接着剤の光学歪みが増大する傾向があり、特に屈
折率が高くなるとこの傾向が顕著に表れる。
【0031】しかし本発明の接着剤は、高屈折率である
にも関わらず、光重合のように短時間で硬化しても光学
歪みが極めて小さいという優れた特長を有している。
【0032】本発明においてラジカル重合開始剤として
光重合開始剤を使用し、光重合型接着剤として使用する
場合には、アシルフォスフィンオキシド、ジアシルフォ
スフィンオキシド、カンファーキノンを用いることが好
適である。これらの光重合開始剤を用いると優れた光硬
化性が得られるとともに、硬化した接着剤に着色がな
く、しかも耐光性に優れるという効果が得られる。
【0033】これらの光重合開始剤は黄色に着色してい
るので、接着剤に配合した段階では、接着剤にも淡黄色
ないし黄色の着色が生じる。通常こうした着色した光重
合開始剤を用いると、接着剤の硬化後に褐色や暗赤色の
着色が生じ、また硬化後の耐光性が低下して変色しやす
くなるという傾向がある。
【0034】しかし驚くべきことに、本発明の接着剤に
本発明で特定した光重合開始剤を用いた場合は、光照射
して硬化した接着剤は無色透明になり、さらに光硬化後
に長時間にわたって強力な光を照射しても、変色や着色
が殆ど生じないという極めて優れた性能を発揮する。ま
た、これらの光重合開始剤を使用すると本発明の接着剤
の接着特性も向上するという好結果が生じることも見い
出された。
【0035】本発明で用いるアシルフォスフィンオキシ
ドとしては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェ
ニルフォスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルフォ
スフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェ
ニルフォスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベ
ンゾイル メトキシ,フェニルフォスフィンオキシド等
を挙げることができる。
【0036】本発明で用いるジアシルフォスフィンオキ
シドとしては、下記構造式(2)で示されるビス(2,
6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4トリメチルペ
ンチルフォスフィンオキシドを挙げることができる。
【0037】
【化6】
【0038】さらに、本発明においては、本発明の特長
を損なわない範囲において、任意成分を添加することが
できる。
【0039】これらの任意成分としては、ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリル酸などの接着性モノマー、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチ
ル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソ
ボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ト
リシクロ(5,2,1,02,6)デカン等のアルキル(メタ)ア
クリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレ
ート、ノニルフェノールアルキレングリコール(メタ)
アクリレート等の単官能性(メタ)アクリレートが挙げ
られる。
【0040】また、任意成分としてエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリエチレンジ(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ートネオペンチルジ(メタ)や、脂肪族ウレタンアクリ
レート、脂肪族エポキシジ(メタ)アクリレートなどの
多官能(メタ)アクリレート類を用いることもできる。
【0041】これらの任意成分は屈折率は1.48〜
1.55程度と低いため、接着剤の屈折率を低下させる
短所はあるが、硬化後の光学歪みが小さいため、本発明
の接着剤の接着性を改善したり、硬さを調整したり、対
薬品性などの化学的性質を調整する場合に必要に応じて
使用する。
【0042】また本発明の(1)式の化合物は常温で液
状であり、各種の化合物との相溶性に優れているので、
光学歪みの許容範囲が広い比較的低精度な用途において
は、30重量%以下の使用量の範囲でビスフェノール−
A−エポキシジ(メタ)アクリレートや4,4’−ジメ
ルカプトジフェニルサルファイドジ(メタ)アクリレー
ト等の従来公知の化合物を併用することもできる。
【0043】この場合においても、従来公知の化合物だ
けを使用した場合と比較して、接着剤の液状態の安定性
を向上するとともに、屈折率を高めたり、硬化後の光学
歪みを低減するなど、本発明の(1)式の硫黄含有ジ
(メタ)アクリレートによる効果が付与される。
【0044】また本発明の接着剤には、接着強度を高め
たり、接着耐久性を向上させるためにリメトキシビニル
シラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキ
シシランなどの公知のシランカップリング剤を添加する
こともできる。
【0045】次に本発明を実施例を用いて更に詳細に説
明する。
【0046】実施例1 本発明の(1)式で示される化合物として、Rがメチル
基、Xが1の硫黄含有モノメタクリレートであるメタク
リロキシ−2−ヒドロキシプロピル−チォフェニル,4
−チォフェニルスルフィド85重量部、Rがメチル基、X
が0の硫黄含有ジメタクリレートであるビス(メタクリ
ロキシ−2−ヒドロキシプロピル−チォフェニル)スル
フィド15重量部、ラジカル重合開始剤としてアゾビス
イソブチロニトリル0.1重量部を混合して、常温で液状
の接着剤組成物を調整した。
【0047】この接着剤組成物をガラス容器に入れ、恒
温槽を用いて60℃で5時間加温した後80℃で2時間加熱
することにより硬化した。硬化物からダイアモンドカッ
ターで幅5mm、厚み5mm、長さ10mmの直方体状
の試験片を切り出し、直交する2面を研磨して屈折率測
定用のテストピースとした。
【0048】このテストピースの屈折率をアッベ屈折計
を用いて測定したところ、1.63の高い屈折率を有し
ていた。
【0049】次に、両端を研磨した直径6mm高さ10
mmと直径20mm高さ25mmの円柱状のパイレック
スガラス製の試験片に、本実施例の接着剤を少量塗布
し、続いて前述の屈折率測定用の試験片を作製する場合
と同様の方法で加熱処理して、試験片を接着した。万能
試験機を用いてこの接着試験片の接着試験を行ったとこ
ろ、6.8Mpa(70Kgf/cm2)の圧縮縮剪断接着強度を
有していた。
【0050】次に、厚み1mmのスペーサーを介在させ
て50mm角の2枚の低アルカリガラスを対向させて、ガラ
スセルを構成した。
【0051】このガラスセル内に本実施例の接着剤を注
入し、引き続き前記の屈折率測定の場合と同様の加熱条
件で加熱して接着剤を硬化した。
【0052】こうして得られた試験片を互いに直行させ
た偏光板の間に配置し、一方の偏光板の裏から白色蛍光
灯で照明して、試験片の光学歪みを観察した。
【0053】本実施例の接着剤で作製した試験片は接着
面全体が暗く観察され、光学的な歪みが極めて小さいこ
とが確認された。
【0054】また本実施例の接着剤を4℃の冷蔵庫に1
ヶ月間保存したが、液の分離や結晶の析出などは発生せ
ず、安定な液状態を維持していた。
【0055】実施例2 本発明の(1)式の化合物においてRがメチル基、Xが
1の硫黄含有メタクリレートであるメタクリロキシ−2
−ヒドロキシプロピル−チォフェニル,4−チオフェニ
ルスルフィド38重量部、Rがメチル基、Xが0の硫黄
含有ジメタクリレートであるビス(メタクリロキシ−2
−ヒドロキシプロピル−チォフェニル)スルフィド12
重量部、フェニルメタクリレート50重量部、ラジカル
重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェ
ニルケトンを0.5重量部を混合して光重合型の本発明
の接着剤を調製した。
【0056】この接着剤を実施例1で用いたのと同一サ
イズのパイレックスガラスに塗布し、東芝ライテック
(株)製の20Wの紫外線蛍光灯(商品名:ケミカルラ
ンプ)を用いて10分間の光照射を行って光硬化した。
【0057】こうして得られた接着試験片の圧縮剪断接
着強度を実施例1と同様に測定したところ5.7MPa
(58Kgf/cm2)であった。
【0058】本実施例の接着剤の硬化後の屈折率を求め
るため、実施例1で用いた熱重合開始剤であるアゾビス
イソブチロニトリルを0.1重量%添加して、実施例1
と同様の方法で加熱重合して硬化し、屈折率測定用のテ
ストピースを作製した。
【0059】アッベ屈折計でこのテストピースの屈折率
を測定したところ1.60であった。
【0060】次にこの接着剤を実施例1と同様に1mm
のスペーサーを介在した低アルカリガラス製のセルに注
入し、20Wの紫外線蛍光灯により10分間の光照射を
行って接着硬化した。
【0061】この試験片を実施例1と同様に直交させた
偏光板の間にセットし、白色蛍光灯で照明したところ、
接着面全体は暗く、光学歪みが非常に小さいことが分か
った。
【0062】さらに、この試験片を、試料室を挟んで両
側に偏光板を直交させて配置した、分光光度計内にセッ
トし、波長550nmの光線透過率を測定したところ、
0.02%の測定結果が得られた。
【0063】次に試料をセットしない状態で同様に測定
したところ、光線透過率は変わらず0.02%であっ
た。
【0064】光線透過率の測定結果から、本接着剤は光
学歪み(複屈折)が極めて小さく、空の状態による測定
と同様に、測定光の偏光軸をほとんど回転させないこと
が確認された。
【0065】比較例1 実施例2において、本発明の(1)式の硫黄含有(メ
タ)アクリレートの代わりに、従来の4,4’−ジメル
カプトジフェニルサルファイドジメタクリレートを用い
たものと、ビスフェノール−A−エポキシジメタクリレ
ートを用いた2種類の接着剤組成物を調製した。
【0066】この接着剤組成物を実施例2と同様の方法
で光重合して、低アルカリガラス間に1mmの厚みに接
着硬化した光学歪み測定用の試験片を作製した。
【0067】この試験片を直交させた偏光板間に挟ん
で、偏光板の裏から白色蛍光灯で照明したところ、どち
らの試験片にも多数の不規則な明暗の模様が観察され、
明らかに光学歪みが発生していることが分かった。
【0068】続いてこの試験片を、実施例2と同様に直
交した偏光板を配置した分光光度計内にセットして波長
550nmの光線透過率を測定した。
【0069】4,4’−ビスメルカプトジフェニルサル
ファイドジメタクリレートを用いた接着剤組成物の光線
透過率は0.76%であり、ビスフェノール−A−エポ
キシジメタクリレートを用いた接着剤では0.36%の
光線透過率であった。
【0070】この結果から比較例1の接着剤には、偏光
軸を回転させる光学歪みが発生していることが定量的に
示された。
【0071】次に、比較例1で調製した接着剤組成物に
アゾビスイソブチロニトリルを0.1重量%添加し、実
施例1、2と同様の方法により加熱硬化して屈折率測定
用のテストピースを作製した。
【0072】このテストピースの屈折率を測定したとこ
ろ、4,4’−ジメルカプトジフェニルサルファイドジ
メタクリレートを用いた接着剤では1.61、ビスフェ
ノール−A−エポキシジメタクリレートを用いた接着剤
では1.57の屈折率を示した。
【0073】このことから比較例1の接着剤の屈折率
は、本発明による実施例1または実施例2による接着剤
と同程度か、低いにもかかわらず、光学歪みについては
明らかに性能が劣ることが判明した。
【0074】実施例3 本発明の実施例2において光重合開始剤として1−シク
ロヘキシル−フェニルケトンの代わりにトリメチルベン
ゾイルジフェニルフォスフィンオキシドを0.4重量
部、カンファーキノンを0.05重量部添加して本発明
の高屈折率接着剤を調製した。
【0075】この接着剤を実施例2と同様にパイレック
スガラス製の試験片に塗布して、20Wの紫外線蛍光灯
により10分間の光照射を行った。
【0076】この試験片の接着強度を測定したところ、
7.7MPa(79Kgf/cm2)であり光重合開始剤を本発
明で特定した種類に代えたことによって接着強度が有意
に増大した。
【0077】また実施例3で調製した接着剤をパイレッ
クスガラスに塗布して、20Wの紫外線蛍光灯の代わり
に、波長420nmにピーク出力を有する20Wの可視
光蛍光灯で10分間光照射を行って接着試験片を作製し
た。
【0078】この試験片の接着試験を実施したところ
9.6MPa(98Kgf/cm2)の圧縮剪断接着強度が得
られ、実施例2の結果の約2倍で、紫外線蛍光灯を用い
て接着した場合と比較しても約25%大きな接着強度が
得られた。
【0079】このことから、本発明による接着剤を光重
合型接着剤として使用する場合は、本発明で特定した光
重合開始剤を使用することが有利であるとともに、光照
射に用いる光源も短波長の可視光領域まで有効出力を有
する長波長の光源を用いることにより更に良好な接着特
性が得られることが確認された。
【0080】次に、本実施例の接着剤を用いて実施例
1,2の方法に準じて低アルカリガラス製のセルに注入
し、前記の可視光蛍光灯で10分間の光照射を行い光学
歪み測定用の試験片を作製した。
【0081】直交する偏光板間に試験片をセットして、
白色蛍光灯で照明したところ、接着面は暗く、10分間
という短い時間で硬化させた場合においても、接着剤の
光学歪みは実施例1や2と同様に非常に小さいことが確
認された。
【0082】さらに本接着剤を、厚み0.3mmのスペ
ーサーを介して対向させた低アルカリガラス製のセルの
間に注入し、20Wの可視光蛍光灯で10分間光照射し
て接着した。この試験片には無色透明であり、分光高度
計により光線透過率を測定したところ、波長550nm
において91.4%であった。
【0083】次にこの試料に50万ルックス以上の照度
を有する照明用のメタルハライドランプで連続して光照
射する耐光性テストを行った。500時間経過後の試料
は無色透明性であり、550nmの光線透過率も90.
7%を維持していた。
【0084】この結果から本発明による接着剤が優れた
耐光性を有していることが確認された。
【0085】実施例4 本発明の(1)式の化合物においてRがメチル基、Xが
1の硫黄含有モノメタクリレートであるメタクリロキシ
−2−ヒドロキシプロピル−チォフェニル,4−チォフ
ェニルスルフィド52重量部、Rがメチル基、Xが0の
硫黄含有ジメタクリレートであるビス(メタクリロキシ
−2−ヒドロキシプロピル−チォフェニル)スルフィド
10重量部、本発明のA群化合物であるフェニルメタクリ
レート25重量部、本発明のラジカル重合開始剤として
トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
0.5重量部に、任意成分としてグリシジルメタクリレ
ート7重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート5重量
部、トリエトキシビニルシラン1.5重量部を配合して
接着剤を調製した。
【0086】接着剤を用いて高圧水銀灯で10分の光照
射によりパイレックスガラス同士を接着し、接着強度を
測定したところ10.8MPa(110Kgf/cm2)の圧
縮剪断強度が得られた。
【0087】次に本接着剤を実施例1と同様に低アルカ
リガラス製のセルに注入して高圧水銀灯で10分間の光
照射を行い、厚み1mmに硬化した光学歪み測定用の試
験片を作製した。
【0088】この試験片を直交した偏光板の間にセット
して、白色蛍光灯で照明したところ、接着面には明暗の
縞模様は見られず、光学歪みが非常に小さいことが確認
された。
【0089】またこの接着剤の屈折率を測定するため、
前記組成にさらにアゾビスイソブチロニトリルを0.1
重量部添加した後、加熱重合して屈折率測定用のテスト
ピースを作製した。アッベ屈折計による屈折率の測定結
果は1.60であり高い屈折率を有していた。
【0090】実施例5 本発明の(1)式の化合物においてRが水素、Xが1の
硫黄含有モノアクリレートであるアクリロキシ−2−ヒ
ドロキシプロピル−チォフェニル,4−チォフェニルス
ルフィド25重量部、Rが水素、Xが0の硫黄含有ジア
クリレートであるビス(アクリロキシ−2−ヒドロキシ
プロピル−チオフェニル)スルフィド5重量部、本発明
のA群で示されるフェニル含有(メタ)アクリレートと
して、フェニルメタクリレート50重量部、ベンジルア
クリレート15重量部、本発明のラジカル重合開始剤と
して下記構造式(2)で示されるジアシルフォスフィン
オキシドであるビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)
−2,4,4−ドリメチルペンチルフォスフィンオキシ
ド0.25重量部、従来公知の光重合開始剤である2−
ヒドロキシ−2メチル−1−フェニルプロパン−1−オ
ン0.75重量部、任意成分としてヒドロキシメタクリ
レート5重量部、トリエトキシビニルシラン1.5重量
部を混合して接着剤組成物を得た。
【0091】
【化7】
【0092】この接着剤を用いて高圧水銀灯により10
分間の光照射を行い、実施例2と同様にパイレックスガ
ラスを接着し、接着強度を測定したところ6.2MPa
(63Kg/cm2)の圧縮剪断接着強度が得られた。
【0093】次に本実施例の接着剤を、実施例2と同様
に厚み1mmのスペーサーを介した低アルカリガラス製
のセルに注入し、高圧水銀灯で10分間光照射して接着
硬化した試験片を作製した。得られた試験片は無色透明
であった。
【0094】この試験片を直交させた偏光板の間にセッ
トしてて、白色蛍光灯で照明したところ他の実施例と同
様に接着面は暗く、光学歪みが小さいことが確認され
た。
【0095】さらにこの接着剤の屈折率を調べるため、
接着剤にアゾビスイヒブチロニトリルを0.1重量部添
加した組成物を調合して加熱重合し、機械加工を行って
テストピースを作製した。
【0096】このテストピースの屈折率は1.58であ
り、高い屈折率を有していた。
【0097】
【発明の効果】以上、述べたように本発明による接着剤
は高い屈折率を有するとともに、透明性に優れ、短時間
で硬化した場合においても光学歪みが極めて小さいとい
う特長を有している。
【0098】また、本発明の(1)式の化合物は常温で
液体であるため、温度の低下や機械的ショック等の外乱
によって結晶化することもなく、光学的な品質が安定し
ているとともに、保存安定性や接着剤の塗布の作業性に
も優れている。
【0099】さらに本発明の接着剤はA群の化合物を適
宜配合することにより、高い屈折率の範囲で屈折率を微
妙に調整したり、粘度を変化することができる。
【0100】さらに本発明の接着剤において、特定の光
重合開始剤を使用すると、接着剤の光硬化特性が向上し
てより良好な接着強度が得られる。
【0101】しかも380nm以上の長波長領域に光吸
収を有する光重合開始剤開始剤を使用したにも関わら
ず、光硬化後の接着剤は無色透明であり、500時間の
強力な光線に暴露しても着色や変色が殆ど生じないとい
う優れた耐光性を兼備している。
【0102】このような優れた性能は本発明で特定した
(1)式の化合物、A群の化合物、そして特定の光重合
開始剤を適宜配合したことによって得られるものであ
り、本発明に特有の効果である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記構造式(1)式で示される少なくと
    も1種の硫黄含有エポキシ(メタ)アクリレートとラジ
    カル重合開始剤を成分とする光学用接着剤組成物。 【化1】 但し、Rは水素またはメチル基、Phはフェニル基を示
    し、添え字xは0または1の整数を示す。
  2. 【請求項2】 下記構造式(1)式で示される少なくと
    も1種の硫黄含有エポキシ(メタ)アクリレートと下記
    A群から選ばれた少なくとも1種のフェニル基含有(メ
    タ)アクリレートとラジカル重合開始剤を成分とする光
    学用接着剤組成物。 【化2】 但し、Rは水素またはメチル基、Phはフェニル基を示
    し、添え字xは0または1の整数を示す。 A群 フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
    タ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレ
    ート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メ
    タ)アクリレート
  3. 【請求項3】 ラジカル重合開始剤がアシルフォスフィ
    ンオキシド、ビスアシルフォスフィンオキシド、カンフ
    ァーキノンから選ばれた少なくとも1種の光重合開始剤
    であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の光
    学用接着剤組成物。
  4. 【請求項4】 ラジカル重合開始剤がアシルフォスフィ
    ンオキシド、ビスアシルフォスフィンオキシド、カンフ
    ァーキノンから選ばれた少なくとも1種の光重合開始剤
    であることを特徴とする特許請求の範囲第2項記載の光
    学用接着剤組成物。
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