JPH1174199A - 半導体の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

半導体の製造方法及びその製造装置

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JPH1174199A
JPH1174199A JP16205798A JP16205798A JPH1174199A JP H1174199 A JPH1174199 A JP H1174199A JP 16205798 A JP16205798 A JP 16205798A JP 16205798 A JP16205798 A JP 16205798A JP H1174199 A JPH1174199 A JP H1174199A
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semiconductor
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Koji Nishikawa
孝司 西川
Makoto Kitahata
真 北畠
Yoichi Sasai
洋一 佐々井
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 欠陥が少ないGaN系半導体結晶を確実に得
られるようにする。 【解決手段】 まず、基板の前処理として、面方位が
(111)面のSiよりなる基板11をフッ酸に浸漬し
て、基板11の主面のダングリングボンドを終端させる
ためのH原子層12を形成する。次に、この基板11を
MBE装置における高真空の反応容器内に搬入し、搬入
された基板11のH原子層12の上に、Gaの分子線及
びSeの分子線をそれぞれ供給することにより、ファン
デルワールス結晶体であるGaSeよりなるバッファ層
13を成長させる。次に、Seの供給を止め、代わり
に、基板11のバッファ層13の上に、高周波又は電子
サイクロトロン共鳴を用いて活性化されたN2 ガスを窒
素源として供給することにより、GaNよりなる半導体
層14を成長させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガリウム(Ga)
と窒素(N)とを含む、GaN系の半導体結晶の製造方
法及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、サファイヤ(Al23 )よりな
る基板上にGaN系半導体結晶を成長させる有機金属気
相成長(MOVPE)法を用いて、高品質なGaN系結
晶薄膜を得られるようになり、これにより、短波長の発
光素子が実現されつつある。そうしたなかで、青色発光
ダイオード素子(LED)は青色から緑色までの波長帯
域の発光が可能となり、赤色LEDと併せてフルカラー
のLED表示装置や交通信号機として実用化が始まって
いる。さらに、GaN系結晶を用いて青色レーザ素子と
して実現させることにより、将来高品位の映像情報をコ
ンパクトなディスク記録媒体に記録できる可能性が大き
くなっている。
【0003】また、GaN系結晶成長技術の発達によ
り、高耐圧と耐環境特性とを兼ね備えた高周波電子素子
が実現されつつある。すなわち、GaAs系又はInP
系半導体を用いた高周波電子素子においては、耐圧が不
十分となるような大電力量領域において用いられる高周
波電力素子や、従来、放熱又は冷却等の付加的な機構を
必要とする用途に対して、これらの付加的な機構を省く
ことにより、デバイスセットの簡略化及びコンパクト化
を図れるようになるとの注目を集めている。
【0004】例えば、短波長発光素子を目的とする、サ
ファイアよりなる基板上にGaN系半導体結晶を成長さ
せる例が、第1の文献「Jpn.J.Appl.Phy
s.30,L1705(1991)」に開示されてい
る。また、高耐圧電子素子を目的とする、炭化ケイ素
(SiC)よりなる基板上にGaN系半導体結晶を成長
させる例が、第2の文献「Appl.Phys.Let
t.62,702(1993)」に開示されている。
【0005】これらの文献に示されるように、MOVP
E法や分子線エピタキシ(MBE)法において、基板と
該基板に成長する結晶層とに異なる材料を用いる場合
に、基板と結晶層との界面の不連続性を緩和するため
に、基板上にバッファ層を成長させ、該バッファ層上に
所望の結晶層を成長させることが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の
文献におけるサファイアよりなる基板上へのGaN系結
晶の成長方法は、以下に示すようないくつかの問題があ
る。
【0007】すなわち、サファイヤとGaNとの結晶構
造はともに六方晶であり、バッファ層として、500℃
程度の比較的低温で成長させたGaN系結晶を用いてい
るものの、そもそもサファイアとGaNとの格子定数は
大きく異なり、サファイヤの格子定数が2.74Åであ
るのに対して、GaNの格子定数は3.189Åであ
り、約14%の格子不整合がある。このような格子定数
の大きな差異は、サファイアとGaN系結晶との界面付
近に大きな歪みを導入すると共に浮遊結合手(ダングリ
ングボンド)を発生させるため、GaN系結晶に多量の
転位を導入するという問題がある。これにより、現在実
用化されているLEDでもその欠陥密度が1×1010
-3以上となるため、この欠陥により、素子の内部に非
発光領域が多数存在することになる。また、欠陥による
光の散乱等も発生するため、素子の発光効率が大幅に悪
くなる。また、素子の動作中に欠陥部分が増殖及び拡大
して素子としての性能が低下し、やがては素子の破壊に
至る。すなわち、素子の寿命及び信頼性等を低下させる
原因となっている。
【0008】さらに、サファイアよりなる基板は、安価
であり且つ安定した品質で入手できるという長所がある
反面、へき開ができないため、基板の分割による素子分
離が困難であり、製造上の不都合が大きい。また、サフ
ァイアよりなる基板は該基板自体が絶縁性であり、基板
の素子形成面と反対側の面に電極を設ける素子構造を実
現できないため、素子の製造プロセスが複雑となるとい
う問題もある。
【0009】一方、第2の文献におけるSiCよりなる
基板上へのGaN系結晶の成長方法は以下に示すような
いくつかの問題を有している。
【0010】SiC結晶は六方晶であり、GaNとの格
子不整合率も3%と小さいためサファイヤよりも格子不
整合による結晶性劣化の影響を受けにくい。また、Si
C自体が導電性を持つため、SiCを基板とすると素子
形成面と反対側の面に電極を形成できるので、サファイ
アを基板に用いるよりも優れていると考えられる。
【0011】しかしながら、通常入手できるSiCより
なる基板にはエッチピットが1×105 cm-2以上存在
しており、このエッチピットによって基板上に成長する
エピタキシャル結晶層に多量の欠陥が導入されるという
問題がある。そのため、エピタキシャル結晶層の歩留ま
りを高めるのが困難となり、効率的な生産を行なうこと
が非常に難しい。
【0012】また、SiCにはエッチピットの他にマイ
クロパイプと呼ばれる欠陥が存在する。このマイクロパ
イプは通常1×102 cm-2程度の密度であるが、1つ
のマイクロパイプの断面積が0.1mm2 程もあり、エ
ピタキシャル結晶層の歩留まりを悪くする。さらに、S
iCはその製造が難しいため、非常に高価であり、この
SiCを基板に用いた素子のコストを下げにくいという
問題がある。
【0013】本発明は、前記従来の問題を一挙に解決
し、欠陥が少ないGaN系半導体結晶を確実に得られる
ようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明は、立方晶の基板上に、互いに隣接する層同
士が弱い分子間力(ファンデルワールス力:van d
er Waals force)で結合しているファン
デルワールス結晶層を成長させ、該ファンデルワールス
結晶層上にGaN系半導体層を成長させる構成とする。
【0015】本発明に係る第1の半導体の製造方法は、
結晶構造を有する基板上にファンデルワールス結晶体よ
りなるバッファ層を形成するバッファ層形成工程と、バ
ッファ層の上にガリウムと窒素とを含む半導体層を形成
する半導体層形成工程とを備えている。
【0016】第1の半導体の製造方法によると、ファン
デルワールス結晶体をバッファ層に用いているため、該
バッファ層上にGaN系結晶を成長させると、基板とG
aN系結晶との間の格子定数の差異を緩和することがで
きる。
【0017】ファンデルワール結晶体は、温度変動によ
る格子定数の変動も吸収又は緩和することができるた
め、GaNのみならず、InGaN又はAlGaNを含
む多層構造を形成したり、製造時に基板温度を変動させ
たりしても、格子定数の変化による歪みの導入を緩和す
ることができる。
【0018】第1の半導体の製造方法において、基板の
結晶構造が立方晶であることが好ましい。このようにす
ると、広く利用されているシリコン(Si)やヒ化ガリ
ウム(GaAs)等が立方晶であり、入手できるSiや
GaAsよりなる基板は高品質なため、これらを基板に
用いると半導体層の結晶性は確実に向上する。さらに、
SiやGaAsの場合は導電性を有するため、素子形成
面と反対側の面に電極を形成できる。
【0019】第1の半導体の製造方法において、基板の
主面の面方位が(111)面であることが好ましい。こ
のようにすると、バッファ層をなすファンデルワールス
結晶体はその結晶系が六方晶系に属することが多く、G
aAsやSi等の立方晶系に属する結晶体の(111)
面上に現われる六方晶系構造との原子配列の整合性が高
くなる。また、バッファ層上に成長させるGaN系結晶
も六方晶系であるため、バッファ層は、基板と半導体層
(エピタキシャル層)との双方に対して高い原子配列の
整合性を持つことができる。その上、六方晶系に属する
ファンデルワールスバッファ結晶体とGaN系結晶は、
そのC軸に対して存在可能な結晶構造が一種類しか存在
しないため、アンチフェーズバウンダリーの発生による
欠陥の導入のおそれがない。
【0020】第1の半導体の製造方法において、バッフ
ァ層が、セレン化ガリウム(GaSe),硫化ガリウム
(GaS),セレン化インジウム(InSe),硫化イ
ンジウム(InS),セレン化モリブデン(MoSe
2 )又は硫化モリブデン(MoS2 )よりなることが好
ましい。
【0021】第1の半導体の製造方法が、バッファ層形
成工程と半導体層形成工程との間に、バッファ層の表面
に露出する原子をV族の原子、例えば、窒素原子で置換
する工程をさらに備えていることが好ましい。このよう
にすると、バッファ層の最終層と半導体層が共有結合に
よって連続的に成長する。
【0022】第1の半導体の製造方法において、バッフ
ァ層形成工程が、原子層制御エピタキシ法又はマイグレ
ーション・エンハンスド・エピタキシ法を用いることが
好ましい。
【0023】第1の半導体の製造方法において、バッフ
ァ層形成工程においてバッファ層を形成するためのバッ
ファ層成長用反応容器と半導体層形成工程において半導
体層を形成するための半導体層成長用反応容器とが、互
いに異なる容器であることが好ましい。このようにする
と、バッファ層を構成するファンデルワールス結晶体に
VI族元素を含む場合には、バッファ層形成後に行なう半
導体層形成工程において、該VI族元素がn型ドーパント
となって半導体層中に混入することにより所望の伝導型
の制御を困難にするが、それぞれ個別のバッファ層成長
用反応容器と半導体層成長用反応容器とを用いるため、
バッファ層を構成する元素が半導体層に混入するおそれ
がない。
【0024】第1の半導体の製造方法において、半導体
層形成工程が、基板上に結晶層を成長させるための反応
容器にガリウム源を供給する工程と窒素源を供給する工
程とを含み、窒素源を供給する工程は、反応容器にアン
モニアガスを、半導体層の成長に必要な量で且つ反応容
器の真空度を下げないように供給することが好ましい。
このようにすると、窒素源にアンモニアガスを用いてい
るため、通常用いられる窒素ガスに比べてGaN系結晶
の品質が向上する。また、反応容器に窒素源のアンモニ
アガスを、半導体層の成長に必要な量で且つ真空度を下
げないように供給するため、該反応容器に高真空が求め
られるMBE法を用いることができ、さらに、反応容器
内で反応に寄与しない余分なアンモニアガスによる反応
容器の腐食を防止できる。
【0025】第1の半導体の製造方法において、半導体
層形成工程が バッファ層が形成された基板を反応容器
に収納する基板収納工程と、バッファ層の上にガリウム
を分子線として供給するガリウム供給工程と、バッファ
層の上にアンモニアガスを反応容器に設けられた電磁弁
を介して供給するアンモニアガス供給工程とを含むこと
が好ましい。このようにすると、窒素源であるアンモニ
アガスを反応容器に電磁弁を介して供給するため、電磁
弁を用いると、手動弁と異なり弁の開閉操作を極めて短
時間で行なえる。
【0026】第1の半導体の製造方法において、ガリウ
ム供給工程とアンモニアガス供給工程との間に、時間的
な間隔を設けることが好ましい。このようにすると、各
原料ごとに基板上に拡散する時間的な余裕を与えるた
め、各原料が基板上に均一に拡散する。
【0027】第1の半導体の製造方法において、半導体
層形成工程が、反応容器に窒素源としてプラズマ化され
た窒素ガスを供給する窒素ガス供給工程を含むことが好
ましい。このようにすると、半導体層の結晶成長レート
を高められると共に、アルミニウム(Al),インジウ
ム(In)又はホウ素(B)等を同時に成長させる、い
わゆる3元混晶や4元混晶の製造が容易となり、プロセ
スの自由度が向上する。
【0028】本発明に係る第2の半導体の製造方法は、
反応容器に収納された基板上に、少なくともガリウム源
と窒素源とを供給し、供給されたガリウム源と窒素源と
を基板上で反応させながら、ガリウムと窒素とを含む半
導体層を形成する半導体の製造方法であって、反応容器
に窒素源となるアンモニアガスを、半導体層の成長に必
要な量で且つ反応容器の真空度を下げないように供給す
る半導体層形成工程を備えている。
【0029】第2の半導体の製造方法によると、窒素源
にアンモニアガスを用いているため、通常用いられる窒
素ガスに比べてGaN系結晶の品質が向上する。また、
反応容器に窒素源のアンモニアガスを、半導体層の成長
に必要な量で且つ真空度を下げないように供給するた
め、該反応容器に高真空が求められるMBE法を用いる
ことができ、さらに、余分なアンモニアガスによる反応
容器の腐食を防止できる。
【0030】ここに示す第2の半導体の製造方法は、第
1の半導体の製造方法と異なり、バッファ層を限定しな
い構成である。
【0031】第2の半導体の製造方法において、半導体
層形成工程が、基板を反応容器に収納する基板収納工程
と、基板の主面上にガリウム源となるガリウムを分子線
として供給するガリウム供給工程と、基板の主面上にア
ンモニアガスを反応容器に設けられた電磁弁を介して供
給するアンモニアガス供給工程とを含むことが好まし
い。
【0032】第2の半導体の製造方法において、ガリウ
ム供給工程とアンモニアガス供給工程との間に、時間的
な間隔を設けることが好ましい。
【0033】第2の半導体の製造方法において、半導体
層形成工程が、反応容器に窒素源としてプラズマ化され
た窒素ガスを供給する窒素ガス供給工程を含むことが好
ましい。
【0034】本発明に係る半導体の製造装置は、反応容
器に収納された基板上に、少なくともガリウム源と窒素
源とを供給し、供給されたガリウム源と窒素源とを基板
上で反応させながら、ガリウムと窒素とを含む半導体層
を形成する半導体の製造装置であって、反応容器はガリ
ウム源を供給するガリウム源供給手段とアンモニアガス
を導入するアンモニアガス導入手段とを備え、アンモニ
アガス導入手段は、導入するアンモニアガスの流通を断
続的に制御する電磁弁を有している。
【0035】本発明の半導体の製造装置によると、窒素
源であるアンモニアガスが、アンモニアガス導入手段が
有する電磁弁を介して供給されるため、該電磁弁は弁の
開閉操作を0.1秒以内で行なえるので、開動作中に反
応容器内の真空度が低下せず、また、閉動作中にも、リ
ークレートを確実に1×10-5cc/sec以下に抑え
られる。
【0036】本発明の半導体の製造装置において、反応
容器がプラズマ化された窒素ガスを導入する窒素ガス導
入手段をさらに備えていることが好ましい。
【0037】
【発明の実施の形態】まず、本発明に係る半導体の製造
方法の概要を説明する。
【0038】本発明は、窒化ガリウム(GaN)系の高
品質な結晶を得ることが極めて困難な半導体を製造する
際に、基板と該基板上に成長させるGaN系結晶層との
間にファンデルワールス結晶体をバッファ層として形成
し、該バッファ層により欠陥が少ない高品質なGaN系
結晶を実現する。
【0039】バッファ層に用いるファンデルワールス結
晶体とは、例えば、セレン化ガリウム(GaSe)のよ
うに、多層構造を持つ結晶であって、一の層は共有結合
であり、該一の層と他の層とは共有結合ではなく弱い分
子間力の一種であるファンデルワールス力で結合されて
いる結晶体の総称をいう。
【0040】ファンデルワールス結晶体は、基板と該基
板上に成長させる所望のエピタキシャル成長層との格子
不整合を緩和する働きがあり、その結果、該エピタキシ
ャル成長層に欠陥が導入されにくくなる。
【0041】なお、ファンデルワールス結晶層を用いた
結晶成長方法として、安価で且つ高品質な結晶が容易に
得られるSiを基板に用いて結晶成長させる例として、
第3の文献「J.Crystal Growth,15
0(1995)685」がある。
【0042】第3の文献においては、MBE法を用いて
Siよりなる基板上にGaAs結晶層を成長させる際の
バッファ層に、ファンデルワールス結晶体であるGaS
eを用いている。
【0043】具体的には、まず、主面の面方位が(11
1)面のSiよりなる基板を過硫化アンモニウム((N
4)2x )のアルコール溶液に浸漬することによっ
て、基板主面のダングリングボンドをイオウ(S)によ
り終端する。続いて、この基板をMBE装置内に搬入
し、Seの分子線とGaの分子線とを基板にそれぞれ供
給することにより、約20原子層から30原子層程度ま
でのGaSeよりなるバッファ層を形成し、その後、S
eの供給を止めて、Asを供給することによって連続的
にGaAsよりなる半導体層を形成している。
【0044】しかしながら、この方法では、所望のGa
As結晶層を成長することはできない。本願発明者ら
は、安定したGaAs結晶層を得られない原因を検討し
た結果、その原因が、ファンデルワールス結晶体よりな
るバッファ層上にGaAs結晶を成長させること自体に
起因していることを突き止めた。
【0045】それは、第3の文献に示されたGaAs結
晶の成長方法によると、たしかに、Siよりなる基板上
にファンデルワールス結晶体を介在させてGaAs結晶
を成長させることはできるものの、面方位が(111)
面のSi上に面方位が(111)面のGaAsを成長さ
せるときに生ずるアンチフェイズバウンダリー(ant
i phase boundary:APB)を回避す
ることができないからである。このため、GaAs結晶
中に欠陥が多数発生してしまい、結晶の品質を上げると
いう本来のバッファ層の効果を得られない。
【0046】ここで、アンチフェイズバウンダリーと
は、GaとAsとの異なる原子よりなるGaAsを単一
の原子よりなるSiの(111)面上に成長させる場合
に、一様に連続する結晶構造にいわゆるA面とB面との
2種類が存在することに起因し、この2種類の結晶構造
が混在して成長する際にランダムに発生する境界面のこ
とをいう。従って、この境界面は結晶の不連続面であ
り、欠陥となる。
【0047】一方、本願発明者らは、ファンデルワール
ス結晶体上にGaN系結晶を成長させると、このGaN
系結晶は六方晶であるため、ファンデルワールス結晶体
上に成長する半導体結晶の結晶構造には互いに異なる複
数の構造が存在しないので、アンチフェイズバウンダリ
ーが生じないという知見を得ている。従って、欠陥が少
ない高品質なGaN系結晶を得るには、ファンデルワー
ルス結晶体をバッファ層に用い、該バッファ層上にGa
N系結晶を成長させればよい。
【0048】以下、本発明の実施形態に係るGaN系半
導体の製造方法、その製造装置及び該半導体の製造方法
を用いた半導体レーザ素子を具体的に説明する。
【0049】(第1の実施形態)本発明の第1の実施形
態について図面を参照しながら説明する。
【0050】図1は本発明の第1の実施形態に係る半導
体の製造方法におけるバッファ層に用いるファンデルワ
ールス結晶体であるGaSe結晶の結晶構造であって、
(a)は単位層を模式的に表わし、(b)はC面を表わ
し、(c)〜(e)は互いに異なる結晶系を表わしてい
る。ここで、白丸がSeを黒丸がGaをそれぞれ表わし
ている。
【0051】図1(a)に示すように、GaSeは層状
の構造を有しており、また、図1(b)に破線で示す結
晶格子1は、単位層の法線方向に3回回転軸を表わす点
群記号D3 の対称性を持つ六方晶系に属する結晶構造を
有している。図1(a)に示すように、三価のGaと六
価のSeとが結晶全体において、互いに1対1でSe−
Ga−Ga−Seの順で結合して単位層を形成してお
り、単位層の層同士の界面側に位置するSeには共有結
合によるダングリングボンドは存在しない。本来の結晶
体は複数の単位層よりなり、一の単位層と他の単位層と
は、共有結合ではなく、ファンデルワールス(VDW)
力という分子間力によって緩やかに結合されている。こ
のため、単位同士の重なり方が一に限定されずに自由度
を持つため、図1(c)〜(e)に示すように、互いに
異なる複数の結晶系(ポリタイプ、モルフォロジー)が
存在する。すなわち、Se−Ga−Ga−Seよりなる
単位層同士の結合において、互いに隣接する単位層のS
e同士が必ずしも結合しなくてもよい。実際の結晶で
は、図1(c)に示すγ−GaSe、図1(d)に示す
β−GaSe及び図1(e)に示すε−GaSeと呼ば
れる3つの結晶系が比較的多く観察され、それぞれR3
m、P63 /mmc及びP ̄6m2という空間群に分類
される「A.Koebel et al.,:J.Cr
ystal Growth,154(1995)269
−274」。
【0052】従って、各単位層で格子定数が異なる場合
があっても、互いの格子定数が異なったまま各単位層が
存在できるため、単位格子内の結合距離や結合角が受け
るストレスは小さくなる。このため、結晶の内部に発生
する歪みも小さくなり、結晶体に大きな結晶構造の変化
が生じない。その結果、互いに異なる結晶同士の間にフ
ァンデルワールス結晶体をバッファ層として介在させる
ことにより、該バッファ層を挟んで互いに対向する結晶
同士の、格子定数の差異による結晶構造の変化を極めて
小さくすることができ、転位等の欠陥が導入される要因
を著しく減少できる。
【0053】図2は本発明の第1の実施形態に係る半導
体の製造方法を用いて得られる半導体の結晶構造を模式
的に表わしている。図2において、11は面方位が(1
11)面の、例えばSiよりなる基板、12は基板11
の(111)面を終端する水素(H)原子層、13はフ
ァンデルワールス結晶体の、例えばGaSeよりなるバ
ッファ層、14はGaNよりなる半導体層をそれぞれ表
わしている。
【0054】図2に示すように、基板11に用いられ
る、ダイヤモンド型結晶のSiや閃亜鉛鉱型結晶のGa
As等の立方晶系の結晶体は、前述したように面方位の
(111)面に点群記号でD3 の対称性を持ち、C面に
六方晶系が現われる。また、半導体層14のGaNは元
来ウルツ鉱型の六方晶系の結晶構造を有している。この
ため、基板11の面方位(111)面に属する原子と半
導体層14の原子とが互いに対応し、基板11の結晶層
と半導体層14とを原子レベルで規則的に結合できる可
能性が高い。
【0055】しかしながら、基板11にSiを用いる場
合には、Siの(111)面上における格子定数(3.
84Å)と半導体層14のGaNの格子定数(3.18
9Å)との間には約20%の差異が存在するため、この
格子定数の大きな差によって半導体層14に多量の欠陥
が導入されるおそれがある。
【0056】一方、ファンデルワールス結晶体であるG
aSeよりなるバッファ層13は六方晶系であり、その
原子配列が、基板11を構成するSiの(111)面と
半導体層14を構成するGaNのC面との双方に良く対
応し、さらに、前述したように、複数層よりなるバッフ
ァ層13は、基板11と、バッファ層13の単位層の法
線方向に成長する半導体層14との格子定数の差異を吸
収する。
【0057】このように、立方晶系のSiよりなる基板
11の(111)面上にファンデルワールス結晶体より
なるバッファ層14を設けることにより欠陥が極めて少
ないGaN結晶よりなる半導体層14を形成することが
できる。
【0058】以下、具体的に、本実施形態に係る半導体
の製造方法を図面に基づいて説明する。
【0059】図3(a)〜(c)は本実施形態に係る半
導体の製造方法の工程順の各結晶層を模式的に表わして
いる。まず、図3(a)に示すように、基板の前処理と
して、面方位が(111)面のSiよりなる基板11を
フッ酸に浸漬することにより、基板11の主面のダング
リングボンドを終端させる水素原子層12を形成する。
【0060】次に、図3(b)に示すように、前処理が
済んだ基板11を、例えば、MBE装置における高真空
の反応容器内に搬入し、搬入された基板11の水素原子
層12の上に、ガリウム源に金属Gaを用いたGaの分
子線、及びセレン源に金属Seを用いたSeの分子線を
それぞれ供給することにより、GaSeよりなるバッフ
ァ層13を成長させる。
【0061】次に、図3(c)に示すように、Seの供
給を止め、代わりに、基板11のバッファ層13の上
に、高周波(RF)又は電子サイクロトロン共鳴(EC
R)等を用いて窒素源である活性化されたN2 ガスを供
給することにより、GaNよりなる半導体層14を成長
させる。
【0062】以上説明したように、本実施形態による
と、GaNよりなる半導体層14をファンデルワールス
結晶体よりなるバッファ層13上に成長させるため、こ
のファンデルワールス結晶体が、基板11と半導体層1
4との格子定数の相違による欠陥の発生を防止すると共
に、成長する半導体層14が六方晶系のGaNであるた
め、アンチフェイズバウンダリーの発生をも防止でき、
その結果、欠陥が極めて少ないGaN半導体結晶を得る
ことができる。
【0063】なお、半導体層14の結晶成長にMBE法
を用いたが、有機金属気相成長(MOVPE又はMOC
VD)法を用いてもよい。
【0064】(第2の実施形態)以下、本発明の第2の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0065】図4は本発明の第2の実施形態に係る半導
体の製造方法を用いて得られる半導体の結晶構造を模式
的に表わしている。図4において、11は面方位が(1
11)面のSiよりなる基板、12は基板11の(11
1)面を終端する水素原子層、13はファンデルワール
ス結晶体のGaSeよりなるバッファ層、23はバッフ
ァ層13における表面(終端層)のSe原子がN原子と
置換されてなる窒素置換バッファ層、14はGaNより
なる半導体層をそれぞれ表わしている。
【0066】このように、本実施形態に係る半導体の製
造方法は、ファンデルワールス結晶体よりなるバッファ
層13の半導体層形成側の結晶層のVI族元素(Se)を
V族元素(N)で置換しているため、バッファ層13の
最上層である窒素置換バッファ層23を構成する結晶と
半導体層14を構成する結晶とが共有結合で結合される
ので、バッファ層13と半導体層14とが結晶構造的に
連続となる。
【0067】すなわち、第1の実施形態で説明したよう
に、ファンデルワールス力により結合した複数層よりな
るバッファ層13及び窒素置換バッファ層23が半導体
層14と基板11との間の格子定数の差を吸収しまた緩
和することにより、バッファ層13の半導体層14側の
結晶層は、ほぼGaN結晶の格子定数に等しくなる。
【0068】さらに、バッファ層13の最終層の末端原
子をNに置き換えた窒素置換バッファ層23を形成する
ことにより、バッファ層13と半導体層14との間の原
子同士の結合を連続させている。従って、図2に示す半
導体層14におけるバッファ層13側のGa原子は、バ
ッファ層13のSe原子と分子間力で結合しているが、
図4に示す半導体層14におけるバッファ層13側のG
a原子は、窒素置換バッファ層23の置換されたN原子
と共有結合できるようになり、本実施形態に係る半導体
層14に対する転位等の欠陥の導入をさらに抑制するこ
とができる。
【0069】以下、具体的に、本実施形態に係る半導体
の製造方法を図面に基づいて説明する。
【0070】図5(a)〜(c)は本実施形態に係る半
導体の製造方法の工程順の結晶構造を模式的に表わして
いる。まず、図5(a)に示すように、基板の前処理と
して、面方位が(111)面のSiよりなる基板11を
フッ酸に浸漬し、基板11の主面のダングリングボンド
を終端させる水素原子層12を形成する。
【0071】次に、図5(b)に示すように、前処理が
済んだ基板11を、例えば、MBE装置における高真空
の反応容器内に搬入し、搬入された基板11の水素原子
層12の上に、Gaの分子線及びSeの分子線をそれぞ
れ供給することにより、GaSeよりなるバッファ層1
3を成長させる。ここで、Gaの分子線及びSeの分子
線を同時に供給してもよく、また、いずれか一方を供給
し且つ他方の供給を停止する供給パターンを交互に行な
ってもよい。このうち、一原子層ずつ成長させるように
各原料を供給する方法に、原子層制御エピタキシ(At
omic Layer Epitaxy:ALE)法又
はマイグレーション・エンハンスド・エピタキシ(Mi
gration Enhanced Epitaxy:
MEE)法がある。この方法を用いて、バッファ層13
の一単位層となるように、Se−Ga−Ga−Seの順
に1原子層ずつ供給し、多層構造となるように複数回こ
の供給パターンを繰り返す。その後、最終回のみSe−
Ga−Ga−N−の順となるように、最後にSeの代わ
りにN原子を供給して窒素置換バッファ層23を形成す
る。従って、最上層のN原子はダングリングボンドを持
つ状態となる。
【0072】次に、図5(c)に示すように、基板11
の窒素置換バッファ層23の上に、Gaの分子線及び活
性化されたN2 ガスを供給することにより、窒素置換バ
ッファ層23のN原子のダングリングボンドが、半導体
層14のGa原子と共有結合して終端し、その後、Ga
Nよりなる半導体層14が成長する。
【0073】なお、第1及び第2の実施形態において、
半導体層14としてGaNを成長させたが、半導体層1
4は、ガリウム源にIII 族元素のIn,Al,Bを含め
て3元混晶や4元混晶としてもよい。
【0074】また、ファンデルワールス結晶体にGaS
eを用いたが、GaS,InSe,InS,MoSe2
及びMoS2 を用いてもよい。但し、ファンデルワール
ス結晶体としては、GaSがGaSeと比べてGaNと
の格子不整合率が小さいのでSeよりはSを用いるのが
好ましく、また、GaNよりなる半導体層14を成長さ
せる場合には、Gaを含むファンデルワールス結晶体を
用いるのが好ましい。なお、物性的にGaSが優れてい
ても、現状では、Sの分子線はSeの分子線ほど容易に
生成できない。
【0075】また、基板11には、高品質で且つ安価で
且つ安定して供給される基板、又は導電性を持つ基板を
用いるのが好ましい。例えば、Si,GaAs,InP
又はGaPを用いてもよく、また、II−VI族化合物のZ
nSであってもよい。
【0076】また、基板11は、ZnOやAl23
ように導電性を有さなくてもよい。
【0077】ここで、基板11にSi,GaAs,In
P及びGaP等の立方晶系の材料を用いる場合には、前
述のように、面方位(111)面を基板の主面とし、Z
nO,ZnS及びAl23 等の六方晶系の場合にはそ
のC面を主面とすればよい。
【0078】また、基板11の主面のダングリングボン
ドの終端処理に水素を用いたが、イオウ(S)を用いて
もよい。この場合には、例えば、過硫化アンモニウム
((NH4)2x )のアルコール溶液に基板11を浸漬す
ればよい。
【0079】(第3の実施形態)以下、本発明の第3の
実施形態について説明する。
【0080】本願発明者らは、バッファ層上にIII −V
族半導体層を成長させる場合に、該バッファ層に用いる
ファンデルワールス結晶体に含まれるSe等のVI族元素
が、III −V族半導体のn型ドーパントとして作用する
ため、III −V族半導体層の所望の伝導型制御を阻害す
るという第1の問題点を見出している。
【0081】また、一般に、窒素源にRFプラズマ化さ
れたN2 ガスを使用するMBE法を用いて得られるIII
族窒化物(III −N)半導体の電子移動度は、MOVP
E法を用いて得られるIII −N半導体の電子移動度より
も小さいという第2の問題点をも見出している。これ
は、MBE法を用いて製造された半導体の結晶性が低い
ためであると考えられる。
【0082】本願発明者らは結晶性が低い原因を種々検
討した結果、MBE法はMOVPE法と比べて、III −
N半導体の結晶成長がより三次元的であるためという知
見を得ており、その成長機構について図面を参照しなが
ら説明する。
【0083】図6は窒素源にRFプラズマ化されたN2
ガスを用いるMBE法におけるGaNの結晶成長機構を
模式的に表わしている。図6に示すように、基板31上
に供給されるGa源及び窒素源のうち、RFプラズマ化
されたN2 ガスには、N2 分子32A,N原子32B及
びNイオン32Cが存在する。一方、基板31の主面に
到達したGa原子33は主面上を拡散している間に、反
応種であるラジカルなN原子32B及びNイオン32C
と遭遇してGaN34となって結晶化する。ここで、G
a原子33の拡散長が大きく且つNイオン32Cの反応
性が相対的に低いため、新たな結晶核が生成されにく
い。その結果、新たな結晶核が生成されるよりも、生成
されたGaN34が、既に生成された結晶核に到達して
付着しながら成長するほうが支配的となる。従って、基
板31の主面上には生成される結晶核の数が少ないた
め、アイランド35を形成するような3次元成長とな
り、カラム状のドメインが形成されるので、結晶性が向
上しないと考えられる。
【0084】ただし、基板31が平面性が高いGaNよ
りなるなら、生成されたGaN34が既存の結晶核に付
着して成長が進むような場合であっても、既に基板自体
が結晶核と同一材料よりなるため、新たなアイランドの
形成に伴う3次的な成長が生じにくいと思われる。
【0085】しかしながら、本願のように、基板と所望
の半導体とが異種の材料よりなる場合には、基板の主面
で生じる3次元成長がその後の結晶成長にも影響し、結
晶性の劣化を招くと考えられる。これは、基板に面方位
が(111)面のSiを用いた場合でも、ファンデルワ
ールス結晶体を用いた場合でも同様である。
【0086】一方、窒素源にアンモニア(NH3 )ガス
を使用するMBE法を用いてIII −N半導体を成長させ
ることもできる。この場合は、RFプラズマ化されたN
2 ガスを用いる場合よりもIII −N半導体の結晶性が向
上する。これは、NH3 ガスを窒素源とするMBE法を
用いると、MOVPE法を用いた結晶成長に近い2次元
的な結晶成長が進行するためと考えられる。すなわち、
供給されたNH3 ガスはGa原子の触媒作用により分解
され、分解されたNイオンは直ちにそのGa原子と反応
するため、既に生成された結晶核に付着して成長するよ
りも、新たな結晶核を形成する方が支配的となる。この
ため、基板の主面の全面にわたって均一な2次元的成長
が進行することとなり、その結果、高い結晶性を示すと
思われる。
【0087】ただし、窒素源にNH3 ガスを用いる場合
には、以下のように第3の問題点となる複数の障害があ
る。第1に、NH3 ガスの分解にGaの触媒作用を必要
とするため、AlNやInGaNよりなる3元混晶又は
AlInGaN等の4元混晶を製造しにくい。第2に、
NH3 ガスが分解して生じるHイオンが反応容器内に滞
留し、このHイオンが結晶中に不純物として取り込まれ
てしまい、p型キャリアの活性化率を落とす。第3に、
NH3 ガスを大量に使用すると、反応容器を腐食するお
それがあり、該反応容器の寿命を縮めることにもなる。
【0088】以下、前述の第1〜第3の問題点に鑑みて
なされた第3の実施形態に係る半導体の製造装置につい
て図面を参照しながら説明する。
【0089】図7は本発明の第3の実施形態に係る半導
体の製造装置の断面構成を示す正面図である。図7に示
すように、本製造装置は、第1の反応容器41と第2の
反応容器42とが気密な接続管43により互いに接続さ
れることにより構成されている。
【0090】第1の反応容器41には、保持面が容器の
中央部に向けられた第1の基板ホルダ44Aと、各照射
口が第1の基板ホルダ44Aの保持面と対向する、例え
ば、第1のクヌードセンセル(Knudsen cel
l)45A及び第2のクヌードセンセル45Bがそれぞ
れ設けられている。
【0091】第2の反応容器42には、保持面が容器の
中央部に向けられた第2の基板ホルダ44Bと、各照射
口が第2の基板ホルダ44Bの保持面と対向する、例え
ば、III 族元素源供給手段又はドーパント源供給手段と
しての第3のクヌードセンセル45C,第4のクヌード
センセル45D及び第5のクヌードセンセル45Eと、
セルの外周面にRFコイルが設けられた窒素ガス導入手
段としてのRFプラズマセル46と、アンモニアガス導
入手段としての電磁弁47とがそれぞれ設けられてい
る。RFプラズマセル46には、一の窒素源であるN2
ガスが第1の手動弁48Aを介して供給され、該第1の
手動弁48Aは外部の窒素ボンベ又は窒素ガス供給ライ
ンと気密性が高い供給管を通して接続されている。ま
た、他の窒素源であるNH3 ガスを第2の反応容器42
に供給する電磁弁47と第2の手動弁48Bとは供給管
で互いに接続され、該第2の手動弁48Bは外部のアン
モニアガスボンベ又はアンモニアガス供給ラインと気密
性が高い供給管を通して接続されている。
【0092】電磁弁47は、極めて精密な弁を有してお
り、弁の開放時間を0.1秒以下とすることができる。
また、弁が閉じているときのリークレートは1×10-5
cc/sec以下である。さらに、弁の耐圧は85気圧
以上あり、その結果、極めて低い背圧を達成できると共
に、極めて短時間に第2の反応容器42の空間部に高密
度なガスをパルス状に供給することができる。
【0093】第1の反応容器41と接続管43との接合
部には該第1の反応容器41と該接続管43とを仕切る
第1のゲート49Aが設けられ、同様に、第2の反応容
器42と接続管43との接合部には該第2の反応容器4
2と該接続管43とを仕切る第2のゲート49Bが設け
られている。
【0094】通常、ファンデルワールス結晶体の成長温
度は500℃前後であるため、一たん、バッファ層の表
面が大気に暴露して該表面に酸素又は炭素等の汚染物質
が吸着された場合に、バッファ層が形成された基板自体
を高温に加熱して該バッファ層表面を清浄化するという
熱処理を行なえない。
【0095】しかしながら、第1の反応容器41でファ
ンデルワールス結晶体よりなるバッファ層を形成し、続
いて、第2の反応容器42でバッファ層が形成された基
板上に所望のIII −N半導体結晶を形成すれば、該III
−N半導体結晶がバッファ層を構成するVI族元素に汚染
されない上に、基板を第1の反応容器から第2の反応容
器に搬送する際に、搬送される基板が大気に暴露されな
いため、高品質な結晶体が得られにくいIII −N半導体
結晶の品質を確実に向上させることができる。
【0096】以下、前記のように構成された半導体の製
造装置を用いたIII −N半導体結晶の製造方法について
図面を参照しながら説明する。
【0097】本実施形態に係る製造方法は、図7に示
す、第1の反応容器41においてファンデルワールス結
晶体よりなるバッファ層を成長させるバッファ層成長工
程と、第2の反応容器42において該バッファ層上に所
望の半導体層を成長させる半導体層成長工程とを有して
いる。
【0098】まず、第1のクヌードセンセル45Aに
は、例えば、Ga又はInよりなるIII 族元素源を収納
しておく。また、Moのような高融点金属を電子線加熱
装置により加熱し蒸発させてもよい。第2のクヌードセ
ンセル45Bには、Se,S,GaS,GaSe又はM
oS2 のVI族元素源を収納しておく。ここで、Se及び
Sを用いる場合には、クヌードセンセルの他にクラッキ
ング機構を有するセルを使用してもよい。また、クヌー
ドセンセルを新たに増設して、III 族元素源又はVI族元
素源を複数個組み合わせてもよい。ここでは、第1のク
ヌードセンセル45AにGa源を収納し、第2のクヌー
ドセンセル45BにSeを収納する。
【0099】一方、第2の反応容器42における第1〜
第3のクヌードセンセル45C,45D,45Eにそれ
ぞれ所望のIII 族元素源又はドーパント源を収納してお
く。III 族元素源に、例えば、Ga,Al又はInを用
い、Bのような高融点金属の場合には電子線加熱装置に
より加熱し蒸発させて用いる。ドーパント源にはn型ド
ーパントとなるSiやp型ドーパントであるMgを用い
る。さらに、これらのIII 族元素及びドーパントを組み
合わせてもよい。
【0100】次に、第1の反応容器41に、所定の前処
理を終えた半導体成長用の基板を搬入し、搬入された基
板を第1の基板ホルダ44Aに保持する。基板は、前述
したように、SiやGaAsのような立方晶系の結晶体
を用いる場合にはその主面の面方位を(111)面と
し、ZnOやAl23 ような六方晶系の結晶体を用い
る場合にはその主面をC面とする。ここでは、Siを用
いることとする。
【0101】次に、第1の反応容器41内を10-8To
rr以下の超高真空として、図3(b)に示すようにバ
ッファ層を成長させる。
【0102】次に、バッファ層が形成された基板を第1
の反応容器41から第2の反応容器42に搬入する。製
造中においてはこのときに限り、第1のゲート49A及
び第2のゲート49Bを開放するようにすれば、第2の
反応容器42における第1の反応容器41内のVI族元素
の汚染を確実に防止できる。
【0103】図8は本実施形態に係る半導体の製造装置
に窒素源としてNH3 を用いる場合のGaN結晶層の結
晶成長機構を模式的に表わしている。図8に示すよう
に、基板51上に第2の反応容器42の電磁弁47の先
端部からパルス状に供給されたNH3 分子52が基板の
主面上に到達し、既に拡散され結晶層53を形成してい
るGa原子54との相互作用によってラジカルなN原子
55とH原子56とに分解される。H原子56は第2の
反応容器42内に拡散し、N原子55は分解された位置
でそのままGa原子54と結合し結晶化する。
【0104】このように、NH3 分子52の分解とGa
Nの結晶化が、Gaによる触媒反応とそれに続く一連の
反応過程で進行するため、基板51と所望の結晶層53
との材料が異なる場合でも、図6に示したようなアイラ
ンド35を形成することなく平坦な結晶層53を得るこ
とができる。
【0105】図9は本実施形態に係る半導体の製造装置
における各クヌードセンセル及び弁の開閉シーケンスで
あって、(a)は窒素源のセル又は弁の開閉状態を表わ
し、(b)はIII 族元素のセルの開閉状態を表わしてい
る。ここで、III −N半導体結晶は、ファンデルワール
ス結晶体よりなるバッファ層の上に成長させることを前
提としているが、前述したように、窒素源にNH3 を用
いるため、成長する結晶層が平坦性に優れるので、図8
に示すように基板51上に直接成長させてもよい。
【0106】まず、図9(b)に示すように、第1の工
程t1 において、第3のクヌードセンセル45Cからの
Gaを基板上に供給する。次に、図9(a)に示すよう
に、所定時間t0 経過後の第2の工程t2 において、N
3 ガス供給用の電磁弁47を0.1秒間程度開放する
ことにより、高密度のNH3 ガスを基板上に供給する。
ここで、電磁弁47の開放時間は、基板温度又はポンプ
の排気速度に応じて調節すればよく、0.5秒間であっ
てもよく、逆に0.01秒以下であってもよい。また、
第2の工程t2 におけるGaとNH3 ガスとの供給回数
は、結晶の平坦性と成長速度とに応じて適当な回数を選
べばよい。例えば、結晶性をあまり重視しない場合には
数回の繰り返しでよく、高品質な結晶性を要する場合に
は数千回以上繰り返せばよい。また、所定時間t0 は1
-1秒から10秒程度が望ましく、ここでは1秒程度と
する。
【0107】次に、第3の工程t3 において、窒素源を
第2の反応容器42のRFプラズマセル46からのN2
ガスに切り換える。これによって、成長レートを上げる
と共に、Al,In又はBを含む3元混晶や4元混晶の
成長を容易にする。すなわち、III 族元素として、Ga
のみならず、例えば、第4のクヌードセンセル45Dか
らのAlや、第5のクヌードセンセル45EからのIn
等を単独で又は複数同時に基板上に供給する。ここで、
RFプラズマ化された窒素供給の合間に適当な間隔でパ
ルス状のNH3 ガスを供給すれば、結晶性の向上と混晶
の成長とが容易になる。さらに、RFプラズマ化された
窒素とNH3 ガスとを同時に供給してもよい。
【0108】また、成長する半導体層の結晶性を確保し
た後に、成長レートの上昇及び混晶組成の増大を必要と
する場合には、第4の工程t4 に示すように、窒素源及
びIII 族元素源の必要なセルのシャッターを連続的に開
放してもよい。
【0109】本実施形態に係る半導体の製造方法による
と、第2の工程t2 に示すように、基板上に極めて短時
間のパルス状にNH3 ガスを供給するため、第2の反応
容器42の真空度を低下させることなく、反応に必要な
量のNH3 を確実に基板上に供給できる。また、Gaを
供給した後、所定期間t0 の間隔を設けているため、基
板の主面にGa原子が十分に拡散し均一に分散する。そ
の結果、均一に分散したGa原子がNH3 分子と一斉に
反応して結晶化するので、GaN結晶の平坦性及び面内
の均一性が格段に向上する。
【0110】さらに、反応に寄与するNH3 の反応に寄
与しないNH3 に対する比率が大きくなるため、余分な
量のNH3 ガスを供給する必要がなくなる。このため、
余分なアンモニアや分解生成物の水素が第2の反応容器
42内に滞留して生じる、いわゆるメモリー効果が起き
にくくなるので、この余分なアンモニア又は水素がドー
ピングを阻害する原因となったり、NH3 ガスの供給後
に窒素源としてRFプラズマ化窒素ガスを続けて供給す
るような場合に、結晶成長に悪影響を与えたりすること
がない。
【0111】(第4の実施形態)以下、本発明の第4の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0112】図10は本発明の第4の実施形態に係る短
波長半導体レーザ素子の断面構成を示している。図10
に示すように、主面の面方位が(111)面のn型Si
よりなる基板61の上には、基板61側から順に、ファ
ンデルワールス結晶体であって単位層が数十層程度のG
aSeよりなるバッファ層62、n型GaNよりなる第
1のn型クラッド層63、n型AlGaNよりなる第2
のn型クラッド層64、n型GaNよりなる光閉じ込め
層65、InGaNよりなる多重量子井戸活性層66、
p型AlGaNよりなるp型クラッド層67及びp型G
aNよりなるコンタクト層68を有するエピタキシャル
層が形成されている。
【0113】コンタクト層68における両端部には、例
えば、酸化又はプロトン等が注入されてなる高抵抗な埋
め込み電流狭窄層69が形成されている。コンタクト層
69の上面にはp型電極70が形成され、基板61の主
面と反対側の面にはn型電極71が形成されている。
【0114】本実施形態に係るエピタキシャル層は、本
発明に係るGaN系半導体の製造方法及び製造装置を用
いて実現されている。従って、前述したように、安価で
且つ高品質なSiよりなる基板61を用いて、該基板6
1上に結合の自由度が大きいファンデルワールス結晶体
よりなるバッファ層62を設けているため、GaN系エ
ピタキシャル層の各層の結晶の品質が優れており、所望
の動作特性を有する短波長(青色)半導体レーザ素子を
低コストで且つ確実に実現できる。また、素子の欠陥や
歪みによる劣化が抑えられ、素子の寿命を大幅に伸ばす
ことができる。その上、欠陥の減少により、素子の発光
効率が上がると共に動作電圧値や動作電流値が下がり、
従って高効率且つ低消費電力の素子を得ることができ
る。
【0115】また、基板61が導電性を有するため、基
板61の素子形成面と反対側の面にn型電極71を設け
られるので、絶縁性基板を用いる場合に比べて製造プロ
セスを簡略化できる。
【0116】なお、基板61にn型Siを用いたが、こ
れに限らず、n型GaAs、n型InP基板又はn型G
aPを用いてもよい。また、基板61に六方晶系のn型
ZnO又はn型ZnSを用いてもよく、この場合には基
板61の主面をC面とする。
【0117】また、バッファ層62にGaSeを用いた
が、GaS、InSe又はMoS2等の層状のファンデ
ルワールス結晶体であってもよい。また、バッファ層6
2は、数層から数十層の単位層よりなる多層構造を有し
ているため、結晶体としてはその膜厚が十分に小さい。
従って、バッファ層62に対して垂直方向に電流を流し
ても、該バッファ層62の抵抗値が素子の電気的特性に
重大な影響を与えないので、該バッファ層62はn型又
はp型にドーピングされていてもよく、また、ドーピン
グされていなくてもよい。
【0118】(第5の実施形態)以下、本発明の第5の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0119】図11は本発明の第5の実施形態に係る高
耐圧電子素子のMESFETの断面構成を示している。
図11に示すように、主面の面方位が(111)面のS
iよりなる基板81の上には、基板81側から順に、フ
ァンデルワールス結晶体のGaSeよりなるバッファ層
82、GaNよりなる半導体層83、AlNよりなる第
1のバリア層84、n型GaNよりなるチャネル層8
5、AlGaNよりなる第2のバリア層86を有するエ
ピタキシャル層が形成されている。ここで、第1のバリ
ア層84及び第2のバリア層86はチャネル層にキャリ
アである電子を閉じ込める機能を有している。
【0120】第2のバリア層86の上面には該第2のバ
リア層86とショットキー接触する金属よりなるゲート
電極87が選択的に形成されており、チャネル層85の
上面におけるゲート電極87のゲート長方向の領域に
は、該ゲート電極87のゲート長方向の両側部と互いに
間隔をおいたソース電極88及びドレイン電極89がそ
れぞれチャネル層85の上面とオーミック接触するよう
に形成されている。ここで、基板81にn型又はp型に
ドーピングされた基板を用いて、四端子のトランジスタ
としてもよい。また、基板81には、Siに限らず、I
nPやGaPを用いてもよく、ZnS,ZnO又はSi
C等を用いてもよい。
【0121】本実施形態に係るエピタキシャル層は、本
発明に係るGaN系半導体の製造方法及び製造装置を用
いて実現されている。すなわち、安価で且つ高品質なS
iよりなる基板81を用いて、該基板81上に結合の自
由度が大きいファンデルワールス結晶体よりなるバッフ
ァ層82を設けているため、GaN系エピタキシャル層
の結晶の品質が優れており、所望の動作特性を有するM
ESFETを低コストで且つ確実に実現できる。
【0122】また、欠陥によって抑制されていた所定の
耐圧や電子移動度が実現され、高耐圧性と高周波特性と
を備えると共に放熱のための付加機構を必要とせず、従
来にない使用環境に耐えられるトランジスタを実現でき
る。
【0123】(第6の実施形態)以下、本発明の第6の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0124】図12(a)〜(d)は本発明の第6の実
施形態に係る光電子集積回路(OEIC)装置の製造方
法の工程順の平面構成を模式的に表わしている。
【0125】まず、図12(a)に示すように、主面の
面方位が(111)面のSiよりなる基板91Aの上
に、GaN系半導体よりなる、第1のエピタキシャル層
92A及び第2のエピタキシャル層93Aをそれぞれ成
長させる。第1のエピタキシャル層92A及び第2のエ
ピタキシャル層93Aは、製造する素子が互いに異なる
ため、それぞれ所定のエピタキシャル層となるように形
成されている。例えば、第1のエピタキシャル層92A
はその断面が図10に示すような構成であり、第2のエ
ピタキシャル層93Aはその断面が図11に示すような
構成であるとする。
【0126】次に、図12(b)に示すように、第1の
エピタキシャル層92Aに半導体レーザ素子92Bを形
成すると共に、第2のエピタキシャル層93Aにトラン
ジスタ回路部93Bを形成する。ここで、第1のエピタ
キシャル層92Aにおける半導体レーザ素子92Bを除
く領域、及び第2のエピタキシャル層93Aにおけるト
ランジスタ回路部93B領域を除く領域を除去し、基板
91Aの主面を露出させる。
【0127】次に、図12(c)に示すように、Siよ
りなる基板91Aの主面上にフォトダイオード91Bを
選択的に形成し、その後、図12(d)に示すように、
基板91Aの主面上における、フォトダイオード91B
を含む領域に第1のMOSトランジスタ回路部91Cを
形成すると共に半導体レーザ素子92Bを含む領域に第
2のMOSトランジスタ回路部91Dを形成する。
【0128】本実施形態に係る第1及び第2のエピタキ
シャル層92A,93Aは、本発明に係るGaN系半導
体の製造方法及び製造装置を用いて実現されている。す
なわち、安価で且つ高品質なSiよりなる基板81を用
いても、GaN系エピタキシャル層の結晶の品質が優れ
るので、それぞれが所望の動作特性を有する短波長半導
体レーザ及び高耐圧MESFETを一の基板91Aに集
積化した、モノリシック光電子集積回路装置を実現でき
る。
【0129】このように、Si,GaAs又はInPよ
りなる基板上に電子素子又は発光素子を形成すると共
に、該基板上に成長させたGaN系エピタキシャル層に
も高耐圧電子素子又は短波長発光素子を集積化できる。
【0130】なお、本発明においては、III −N系半導
体結晶を成長する場合を説明したが、III −N系半導体
結晶に限らず、欠陥がない高品質の半導体結晶が成長し
にくい六方晶系の結晶を成長させる場合であっても有効
である。
【0131】また、ファンデルワールス結晶体は、該結
晶体内部の層間同士、又は該結晶体と連続して成長した
異種の結晶体から容易に剥離するため、例えば、ファン
デルワールス結晶体上にGaN結晶層を十分の厚さに成
長させた後、該ファンデルワールス結晶体とGaN結晶
層とをその界面又はその界面付近で剥離すれば、GaN
よりなる基板を製造することも可能である。
【0132】
【発明の効果】本発明の第1の半導体の製造方法による
と、ファンデルワールス結晶体よりなるバッファ層が結
晶構造を有する基板とGa及びNを含む半導体層との間
の結晶の格子定数の差異を緩和するため、格子歪みや格
子不整合による欠陥の導入が防止され、半導体層の結晶
性が向上する。
【0133】第1の半導体の製造方法において、基板の
結晶構造が立方晶であると、SiやGaAs等を基板に
用いて、該基板上に成長する半導体層の結晶性を確実に
向上できる。また、SiやGaAsよりなる基板は比較
的安価なため、素子のコストを低減しやすい。さらに、
SiやGaAsの場合は導電性を有するため、素子形成
面と反対側の面に電極を形成できる。例えば、発光素子
の場合には、素子形成面側にp型電極を形成でき、且
つ、素子形成面と反対側の面にn型電極を形成でき、絶
縁性基板の場合よりも製造プロセスを簡略化できる。
【0134】第1の半導体の製造方法において、基板の
主面の面方位が(111)面であると、GaAsやSi
等の立方晶系に属する結晶体の(111)面を基板の主
面に用いれば、該(111)面に現われる六方晶系構造
との原子配列の整合性が一層高くなる。
【0135】第1の半導体の製造方法において、バッフ
ァ層が、GaSe,GaS,InSe,InS,MoS
2 又はMoS2 よりなると、これらはファンデルワー
ルス結晶体を構成するため、バッファ層を確実に形成で
きる。
【0136】第1の半導体の製造方法が、バッファ層形
成工程と半導体層形成工程との間に、バッファ層の表面
に露出する原子をV族の原子、例えば、窒素原子で置換
する工程をさらに備えていると、バッファ層の最終層と
半導体層が共有結合によって連続的に成長するため、バ
ッファ層と半導体層との界面に転位等の結晶欠陥がさら
に導入されにくくなる。
【0137】第1の半導体の製造方法において、バッフ
ァ層形成工程は、原子層制御エピタキシ法又はマイグレ
ーション・エンハンスド・エピタキシ法を用いると、基
板上に一原子層ごとに原料となる原子を供給できるた
め、ファンデルワールス結晶体よりなるバッファ層及び
GaN系半導体層を確実に形成できると共に、バッファ
層の表面に露出する原子をV族の原子と確実に置換でき
る。
【0138】第1の半導体の製造方法において、バッフ
ァ層形成工程においてバッファ層を形成するためのバッ
ファ層成長用反応容器と半導体層形成工程において半導
体層を形成するための半導体層成長用反応容器とが、互
いに異なる容器であると、半導体層がファンデルワール
ス結晶体を構成する元素に汚染されるおそれがなくなる
ため、GaN系半導体層の伝導型を確実に制御できる。
【0139】第1の半導体の製造方法において、半導体
層形成工程が、基板上に結晶層を成長させるための反応
容器にガリウム源を供給する工程と窒素源を供給する工
程とを含み、窒素源を供給する工程が、反応容器にアン
モニアガスを、半導体層の成長に必要な量で且つ反応容
器の真空度を下げないように供給すると、窒素源にアン
モニアガスを用いているため、通常用いられる窒素ガス
に比べてGaN系結晶の品質が向上する。また、窒素源
のアンモニアガスを真空度を下げないように反応容器に
供給するため、該反応容器に高真空が求められるMBE
法を確実に用いることができ、さらに、余分なアンモニ
アガスが発生しないため、反応容器の腐食を防止でき
る。
【0140】第1の半導体の製造方法において、半導体
層形成工程が バッファ層が形成された基板を反応容器
に収納する基板収納工程と、バッファ層の上にガリウム
を分子線として供給するガリウム供給工程と、バッファ
層の上にアンモニアガスを反応容器に設けられた電磁弁
を介して供給するアンモニアガス供給工程とを含むと、
電磁弁は、手動弁と異なり弁の開閉操作を極めて短時間
で行なえるため、開動作中に反応容器内の真空度が低下
せず、また、閉動作中にも、分子線供給用のセルに用い
られる通常のシャッタと異なり、リークレートを十分に
低く抑えられる。これにより、ガリウムと窒素とを含む
半導体層の結晶の品質を確実に高めることができる。
【0141】第1の半導体の製造方法において、ガリウ
ム供給工程とアンモニアガス供給工程との間に、時間的
な間隔を設けると、各原料が基板上に均一に拡散するた
め、成長する半導体層の結晶性がさらに向上する。
【0142】第1の半導体の製造方法において、半導体
層形成工程が、反応容器に窒素源としてプラズマ化され
た窒素ガスを供給する窒素ガス供給工程を含むと、半導
体層の結晶成長レートをより高められると共に、Al,
In又はB等を同時に成長させる3元混晶や4元混晶の
製造が容易となるため、プロセスの自由度が向上するの
で、所望の短波長発光素子や高耐圧電子素子用の半導体
層(エピタキシャル層)を確実に形成できる。
【0143】本発明の第2の半導体の製造方法による
と、窒素源にアンモニアガスを用いているため、通常用
いられる窒素ガスに比べてGaN系結晶の品質が向上す
る。また、窒素源のアンモニアガスを真空度を下げない
ように反応容器に供給するため、該反応容器に高真空が
求められるMBE法を確実に用いることができる。
【0144】本発明の半導体の製造装置によると、アン
モニアガス導入手段が有する電磁弁は弁の開閉操作を
0.1秒以内で行なえるので、開動作中に反応容器内の
真空度が低下せず、また、閉動作中にも、リークレート
を確実に1×10-5cc/sec以下に抑えられる。こ
れにより、窒素源として、窒素ガスよりも結晶性が高く
なる反面、扱いにくいアンモニアガスを用いる場合であ
っても、ガリウムと窒素とを含む半導体層の結晶品質を
確実に向上できる。
【0145】本発明の半導体の製造装置において、反応
容器がプラズマ化された窒素ガスを導入する窒素ガス導
入手段をさらに備えていると、半導体層の結晶成長レー
トをより高められると共に、Al,In又はB等を同時
に成長させる3元混晶や4元混晶の製造が容易となるた
め、プロセスの自由度が向上するので、所望の短波長発
光素子や高耐圧電子素子用の半導体層を確実に形成でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体の製造方
法におけるバッファ層に用いるファンデルワールス結晶
体であるGaSe結晶の結晶構造を示し、(a)は単位
層の模式図であり、(b)はC面を表わす図であり、
(c)〜(e)は互いに異なる結晶系を表わす模式図で
ある。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体の製造方
法を用いて得られる半導体の結晶構造を表わす模式図で
ある。
【図3】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係
る半導体の製造方法の工程順の各結晶層を表わす模式図
である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る半導体の製造方
法を用いて得られる半導体の結晶構造を表わす模式図で
ある。
【図5】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係
る半導体の製造方法の工程順の各結晶層を表わす模式図
である。
【図6】窒素源にRFプラズマ化された窒素ガスを用い
るMBE法におけるGaNの結晶成長機構を表わす模式
図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る半導体の製造装
置の断面構成を示す正面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る半導体の製造方
法におけるGaNの結晶成長機構を表わす模式図であ
る。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る半導体の製造装
置における各クヌードセンセル及び弁の開閉シーケンス
を示し、(a)は窒素源のセル又は弁の開閉状態を表わ
す図であり、(b)はIII 族元素のセルの開閉状態を表
わす図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る短波長半導体
レーザ素子を表わす構成断面図である。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る高耐圧電子素
子を表わす構成断面図である。
【図12】(a)〜(d)は本発明の第6の実施形態に
係る光電子集積回路装置の製造方法を示す工程順の平面
図である。
【符号の説明】
1 結晶格子(C面) 11 基板 12 水素原子層 13 バッファ層(ファンデルワールス結晶体) 14 半導体層 23 窒素置換バッファ層 31 基板 32A N2 分子 32B N原子 32C Nイオン 33 Ga原子 34 GaN 35 アイランド 41 第1の反応容器 42 第2の反応容器 43 接続管 44A 第1の基板ホルダ 44B 第2の基板ホルダ 45A 第1のクヌードセンセル 45B 第2のクヌードセンセル 45C 第3のクヌードセンセル(ガリウム源供給手
段) 45D 第4のクヌードセンセル 45E 第5のクヌードセンセル 46 RFプラズマセル(窒素ガス導入手段) 47 電磁弁(アンモニアガス導入手段) 48A 第1の手動弁 48B 第2の手動弁 49A 第1のゲート 49B 第2のゲート 51 基板 52 NH3 分子 53 結晶層 54 Ga原子 55 N原子 56 H原子 61 基板 62 バッファ層(ファンデルワールス結晶体) 63 第1のn型クラッド層 64 第2のn型クラッド層 65 光閉じ込め層 66 多重量子井戸活性層 67 p型クラッド層 68 コンタクト層 69 電流狭窄層 70 p型電極 71 n型電極 81 基板 82 バッファ層(ファンデルワールス結晶体) 83 半導体層 84 第1のバリア層 85 チャネル層 86 第2のバリア層 87 ゲート電極 88 ソース電極 89 ドレイン電極 91A 基板 91B フォトダイオード 91C 第1のMOSトランジスタ回路部 91D 第2のMOSトランジスタ回路部 92A 第1のエピタキシャル層 92B 半導体レーザ素子 93A 第2のエピタキシャル層 93B トランジスタ回路部

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶構造を有する基板上にファンデルワ
    ールス結晶体よりなるバッファ層を形成するバッファ層
    形成工程と、 前記バッファ層の上にガリウムと窒素とを含む半導体層
    を形成する半導体層形成工程とを備えていることを特徴
    とする半導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記基板の結晶構造は立方晶であること
    を特徴とする請求項1に記載の半導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記基板の主面の面方位は(111)面
    であることを特徴とする請求項2に記載の半導体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記バッファ層は、セレン化ガリウム,
    硫化ガリウム,セレン化インジウム,硫化インジウム,
    セレン化モリブデン又は硫化モリブデンよりなることを
    特徴とする請求項1に記載の半導体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記バッファ層形成工程と前記半導体層
    形成工程との間に、 前記バッファ層の表面に露出する原子をV族の原子で置
    換する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項
    1に記載の半導体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記V族の原子は窒素原子であることを
    特徴とする請求項5に記載の半導体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記バッファ層形成工程は、原子層制御
    エピタキシ法又はマイグレーション・エンハンスド・エ
    ピタキシ法を用いることを特徴とする請求項1に記載の
    半導体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記バッファ層形成工程において前記バ
    ッファ層を形成するためのバッファ層成長用反応容器
    と、前記半導体層形成工程において前記半導体層を形成
    するための半導体層成長用反応容器とは、互いに異なる
    容器であることを特徴とする請求項1に記載の半導体の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記半導体層形成工程は、前記基板上に
    結晶層を成長させるための反応容器に、ガリウム源を供
    給する工程と窒素源を供給する工程とを含み、 前記窒素源を供給する工程は、前記反応容器にアンモニ
    アガスを、前記半導体層の成長に必要な量で且つ前記反
    応容器の真空度を下げないように供給することを特徴と
    する請求項1に記載の半導体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記半導体層形成工程は、 前記バッファ層が形成された前記基板を反応容器に収納
    する基板収納工程と、 前記バッファ層の上にガリウムを分子線として供給する
    ガリウム供給工程と、 前記バッファ層の上にアンモニアガスを前記反応容器に
    設けられた電磁弁を介して供給するアンモニアガス供給
    工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記ガリウム供給工程と前記アンモニ
    アガス供給工程との間に、時間的な間隔を設けることを
    特徴とする請求項10に記載の半導体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記半導体層形成工程は、前記反応容
    器に窒素源としてプラズマ化された窒素ガスを供給する
    窒素ガス供給工程を含むことを特徴とする請求項9又は
    10に記載の半導体の製造方法。
  13. 【請求項13】 反応容器に収納された基板上に、少な
    くともガリウム源と窒素源とを供給し、供給されたガリ
    ウム源と窒素源とを前記基板上で反応させながら、ガリ
    ウムと窒素とを含む半導体層を形成する半導体の製造方
    法であって、 前記反応容器に前記窒素源となるアンモニアガスを、前
    記半導体層の成長に必要な量で且つ前記反応容器の真空
    度を下げないように供給する半導体層形成工程を備えて
    いることを特徴とする半導体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記半導体層形成工程は、 前記基板を反応容器に収納する基板収納工程と、 前記基板の主面上に、前記ガリウム源となるガリウムを
    分子線として供給するガリウム供給工程と、 前記基板の主面上に、前記アンモニアガスを前記反応容
    器に設けられた電磁弁を介して供給するアンモニアガス
    供給工程とを含むことを特徴とする請求項13に記載の
    半導体の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記ガリウム供給工程と前記アンモニ
    アガス供給工程との間に、時間的な間隔を設けることを
    特徴とする請求項14に記載の半導体の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記半導体層形成工程は、前記反応容
    器に窒素源としてプラズマ化された窒素ガスを供給する
    窒素ガス供給工程を含むことを特徴とする請求項14に
    記載の半導体の製造方法。
  17. 【請求項17】 反応容器に収納された基板上に、少な
    くともガリウム源と窒素源とを供給し、供給されたガリ
    ウム源と窒素源とを前記基板上で反応させながら、ガリ
    ウムと窒素とを含む半導体層を形成する半導体の製造装
    置であって、 前記反応容器は、ガリウム源を供給するガリウム源供給
    手段とアンモニアガスを導入するアンモニアガス導入手
    段とを備え、 前記アンモニアガス導入手段は、導入するアンモニアガ
    スの流通を断続的に制御する電磁弁を有していることを
    特徴とする半導体の製造装置。
  18. 【請求項18】 前記反応容器は、プラズマ化された窒
    素ガスを導入する窒素ガス導入手段をさらに備えている
    ことを特徴とする請求項17に記載の半導体の製造装
    置。
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