JPH1178091A - サーマルヘッドおよびサーマルヘッドの製造方法 - Google Patents

サーマルヘッドおよびサーマルヘッドの製造方法

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JPH1178091A
JPH1178091A JP14788098A JP14788098A JPH1178091A JP H1178091 A JPH1178091 A JP H1178091A JP 14788098 A JP14788098 A JP 14788098A JP 14788098 A JP14788098 A JP 14788098A JP H1178091 A JPH1178091 A JP H1178091A
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JP
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protective film
carbon
thermal head
film
lower protective
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JP14788098A
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English (en)
Inventor
Makoto Kashiwatani
誠 柏谷
Junichi Yoneda
純一 米田
Atsuhira Nonoshita
敦平 埜下
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】保護膜の腐食や摩耗が極めて少なく、しかも熱
や機械的衝撃に対しても保護膜の割れや剥離の発生を防
止して、十分な耐久性を有し、長期に渡って高い信頼性
を発揮できるサーマルヘッドおよびその製造方法を提供
する。 【解決手段】発熱体を保護する保護膜として、セラミッ
クを主成分とする下層保護膜と、下層保護膜を面積比で
5%〜95%の被膜率で不連続的に覆う炭素を主成分と
する上層保護膜とを有するサーマルヘッド,および,発
熱体を覆ってセラミック膜を形成し、レジストを利用し
たエッチングによって、あるいはイオン照射によって、
下層保護膜と、これを不連続的に覆う炭素を主成分とす
る上層保護膜とを形成する製造方法により、前記課題を
解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種のプリンタ、
プロッタ、ファックス、レコーダ等に記録手段として用
いられる、感熱記録材料に感熱記録を行うためのサーマ
ルヘッドの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】超音波診断画像の記録に、フィルム等を
支持体として感熱記録層を形成してなる感熱材料を用い
た感熱記録が利用されている。また、感熱記録は、湿式
の現像処理が不要であり、取り扱いが簡単である等の利
点を有することから、近年では、超音波診断のような小
型の画像記録のみならず、CT診断、MRI診断、X線
診断等の大型かつ高画質な画像が要求される用途におい
て、医療診断のための画像記録への利用も検討されてい
る。
【0003】周知のように、感熱記録は、感熱材料の感
熱記録層を加熱して画像を記録する、発熱抵抗体と電極
とを有する発熱素子が一方向(主走査方向)に配列され
てなる発熱体(グレーズ)が形成されたサーマルヘッド
を用い、グレーズを感熱材料(感熱記録層)に若干押圧
した状態で、両者を前記主走査方向と直交する副走査方
向に相対的に移動しつつ、MRIやCT等の画像データ
供給源から供給された記録画像の画像データに応じて、
グレーズの各画素の発熱素子にエネルギーを印加して発
熱させることにより、感熱材料の感熱記録層を加熱して
発色させて画像記録を行う。
【0004】このサーマルヘッドのグレーズには、感熱
材料を加熱する発熱抵抗体や電極等を保護するため、そ
の表面に保護膜が形成されている。従って、感熱記録時
に感熱材料と接触するのは、この保護膜で、発熱体は、
この保護膜を介して感熱材料を加熱し、これにより感熱
記録が行われる。保護膜の材料には、通常、耐摩耗性を
有するセラミック等が用いられているが、保護膜の表面
は、感熱記録時には加熱された状態で感熱材料と慴接す
るため、記録を重ねるにしたがって摩耗し、劣化する。
【0005】この摩耗が進行すると、感熱画像に濃度ム
ラが生じたり、保護膜としての強度が保てなくなるた
め、発熱体等を保護する機能が損なわれ、最終的には、
画像記録ができなくなる状態に陥る(ヘッド切れ)。特
に、前述の医療用途のように、高品質で、かつ高画質な
多階調画像が要求される用途においては、高品質化およ
び高画質化を計るために、ポリエステルフィルム等の高
剛性の支持体を使用する感熱フィルムを用い、さらに、
記録温度(印加エネルギー)や、感熱材料へのサーマル
ヘッドの押圧力を高く設定する方向にある。そのため、
通常の感熱記録に比して、サーマルヘッドの保護膜にか
かる力や熱が大きく、摩耗や腐食(腐食による摩耗)が
進行し易くなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようなサーマルヘ
ッドの保護膜の摩耗を防止し、耐久性を向上する方法と
して、保護膜の性能を向上する技術が数多く検討されて
おり、中でも特に、耐摩耗性や耐蝕性に優れた保護膜と
して、炭素を主成分とする保護膜(以下、カーボン保護
膜とする)が知られている。例えば、特公昭61−53
955号および特公平4−62866号(前記出願の分
割出願)の各公報には、サーマルヘッドの保護膜とし
て、ビッカーズ硬度が4500kg/mm2以上のカーボン保
護膜を形成することにより、優れた耐摩耗性と共に、保
護膜を十分に薄くして優れた応答性も実現したサーマル
ヘッド、およびその製造方法が開示されている。また、
特開平7−132628号公報には、下層のシリコン系
化合物層と、その上層のダイヤモンドライクカーボン層
との2層構造の保護膜を有することにより、保護膜の摩
耗および破壊を大幅に低減し、高画質記録が長期に渡っ
て可能なサーマルヘッドが開示されている。また、特開
平4−224968号公報には、カーボン保護膜ではな
いが、絶縁性保護膜内にチタン、炭素、タンタル等のイ
オンを注入することにより、サーマルヘッドの製造プロ
セスを簡易にすると共に、層間剥離等の課題を解決して
サーマルヘッドの耐久性を向上する方法が開示されてい
る。さらに、特許公報第2535581号には、カーボ
ン薄膜を形成した後に、このカーボン薄膜上にパターニ
ングされたマスクを形成し、酸素を含有するエッチャン
トを用いてカーボン薄膜を化学気相エッチングすること
により、所望のパターンのカーボン薄膜を形成する技術
が開示されており、これがサーマルヘッドにも利用可能
であることが開示されている。
【0007】このようなカーボン保護膜は、ダイヤモン
ドに極めて近い特性を有するもので、非常に硬度が高
く、また、化学的にも安定である。そのため、感熱材料
との摺接に対する耐摩耗性や耐蝕性という点では優れた
特性を発揮する。しかしながら、カーボン保護膜は、優
れた耐摩耗性を有するものの、硬いが故に脆い、すなわ
ち靭性が低い。そのため、発熱素子の加熱によるヒート
ショックや熱的なストレス、カーボン保護膜とこれに接
する層との熱膨張係数の違いによるストレス、記録中に
感熱材料とサーマルヘッド(グレーズ)との間に混入す
る異物による機械的衝撃等によって、比較的容易に割れ
や剥離が生じてしまうという問題点がある。保護膜に割
れや剥離が生じると、ここから摩耗や腐食、さらには腐
食による摩耗が進行して、サーマルヘッドの耐久性が低
下してしまい、やはり、長期に渡って高い信頼性を発揮
することはできない。
【0008】また、絶縁性保護膜にイオン注入を行う
と、イオン注入の衝撃によって絶縁性保護膜が受けるダ
メージが大きい。しかも、イオン注入では、イオンを数
十keV〜数MeVまで加速する必要があるため、イオ
ン注入装置は非常に高額であり、サーマルヘッドの製造
コストが高くなってしまう。さらに、特許公報第253
5581号には、この技術をサーマルヘッドに応用する
ための適正条件、さらには、この技術によるカーボン薄
膜をサーマルヘッドに応用した際の具体的な構成等は全
く開示されておらず、耐久性に優れ、長期に渡って高い
信頼性を発揮するサーマルヘッドを得ることは困難であ
る。
【0009】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、炭素を主成分とする保護膜を有す
るサーマルヘッドであって、保護膜の腐食や摩耗が極め
て少なく、しかも熱や機械的衝撃に対しても保護膜の割
れや剥離の発生を防止して、十分な耐久性を有し、長期
に渡って高い信頼性を発揮し、これにより、長期に渡っ
て高画質の感熱記録を安定して行うことができるサーマ
ルヘッド、およびこのサーマルヘッドの製造方法を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のサーマルヘッドは、発熱体を保護する保護
膜として、セラミックを主成分とする下層保護膜と、前
記下層保護膜を面積比で5%〜95%の被覆率で不連続
的に覆う、炭素を主成分とする上層保護膜とを有するこ
とを特徴とするサーマルヘッドを提供する。
【0011】また、前記本発明のサーマルヘッドにおい
て、前記上層保護膜が、前記下層保護膜上に点在する、
もしくはパターニングされて形成されたものであるのが
好ましい。
【0012】また、本発明のサーマルヘッドの製造方法
の第1の態様は、サーマルヘッドの発熱体を覆ってセラ
ミックを主成分とするセラミック膜を形成した後、前記
セラミック膜を全面的に覆って炭素を主成分とする炭素
膜を形成し、前記炭素膜の少なくとも一部をレジストで
覆って、この炭素膜をエッチングした後に、前記レジス
トを除去することにより、セラミックを主成分とする下
層保護膜と、この下層保護膜を不連続的に覆う炭素を主
成分とする上層保護膜とを形成することを特徴とするサ
ーマルヘッドの製造方法を提供する。
【0013】さらに、本発明のサーマルヘッドの製造方
法の第2の態様は、サーマルヘッドの発熱体を覆ってセ
ラミックを主成分とするセラミック膜を形成した後、炭
素を主成分とするガスもしくは炭素を主成分とする固体
の蒸発物を加速して前記セラミック膜に照射することに
より、セラミックを主成分とする下層保護膜と、前記下
層保護膜を不連続的に覆う炭素を主成分とする上層保護
膜とを形成することを特徴とするサーマルヘッドの製造
方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明のサーマルヘッドお
よびサーマルヘッドの製造方法について、添付の図面に
示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0015】図1に、本発明のサーマルヘッドを利用す
る感熱記録装置の一例の概略図が示される。図1に示さ
れる感熱記録装置(以下、記録装置とする)10は、例
えばB4サイズ等の所定サイズのカットシートである感
熱記録材料(以下、感熱材料Aとする)に感熱記録を行
うもので、感熱材料Aを収容するマガジン24が装填さ
れる装填部14、供給搬送部16、本発明のサーマルヘ
ッド66によって感熱材料Aに感熱記録を行う記録部2
0、および排出部22を有して構成される。
【0016】このような記録装置10においては、マガ
ジン24から感熱材料Aを1枚引き出して記録部20ま
で感熱材料Aを搬送し、サーマルヘッド66を感熱材料
Aに押圧しつつ、発熱体(グレーズ)の延在方向すなわ
ち主走査方向(図1および図2において紙面と垂直方
向)と直交する副走査方向に感熱材料Aを搬送して、記
録画像(画像データ)に応じて各発熱素子を発熱するこ
とにより、感熱材料Aに感熱記録を行う。
【0017】感熱材料Aは、透明なポリエチレンテレフ
タレート(PET)フィルムなどの樹脂フィルムや紙等
を支持体として、その一面に感熱記録層を形成してなる
ものである。このような感熱材料Aは、100枚等の所
定単位の積層体(束)とされて袋体や帯等で包装されて
おり、図示例においては、所定単位の束のまま感熱記録
層を下面として記録装置10のマガジン24に収納さ
れ、一枚ずつマガジン24から取り出されて感熱記録に
供される。また、感熱材料Aを収納するマガジン24
は、開閉自在な蓋体26を有する筐体であり、記録装置
10の装填部14に装填される。
【0018】装填部14は、記録装置10のハウジング
28に形成された挿入口30、案内板32および案内ロ
ール34,34、停止部材36を有している。マガジン
24は、蓋体26側を先にして挿入口30から記録装置
10内に挿入され、案内板32および案内ロール34に
案内されつつ、停止部材36に当接する位置まで押し込
まれることにより、記録装置10の所定の位置に装填さ
れる。また、装填部14には、マガジン24の蓋体26
を開閉するための、図示しない開閉機構が設けられてい
る。
【0019】供給搬送手段16は、装填部14に装填さ
れたマガジン24から感熱材料Aを1枚取り出して、記
録部20に搬送するものであり、吸引によって感熱材料
Aを吸着する吸盤40を用いる枚葉機構、搬送手段4
2、搬送ガイド44、および搬送ガイド44の出口に位
置する規制ローラ対52を有する。搬送手段42は、搬
送ローラ46と、この搬送ローラ46と同軸のプーリ4
7a、回転駆動源に接続されるプーリ47bならびにテ
ンションプーリ47cと、この3つのプーリに張架され
るエンドレスベルト48と、搬送ローラ46とローラ対
を成すニップローラ50とを有して構成され、吸盤40
によって枚葉された感熱材料Aの先端を搬送ローラ46
とニップローラ50とによって挟持して、感熱材料Aを
搬送する。
【0020】記録装置10において記録開始の指示が出
されると、前記開閉機構によって蓋体26が開放され、
吸盤40を用いた枚葉機構がマガジン24から感熱材料
Aを一枚取り出し、感熱材料Aの先端を搬送手段42
(搬送ローラ46とニップローラ50とから成るローラ
対)に供給する。このローラ対に感熱材料Aが挟持され
ると、吸盤40による吸引は開放され、感熱材料Aは、
搬送ガイド44によって案内されつつ搬送手段42によ
って規制ローラ対52に搬送される。なお、記録に供さ
れる感熱材料Aがマガジン24から完全に排出された時
点で、前記開閉手段によって蓋体26が閉塞される。
【0021】搬送ガイド44で規定される搬送手段42
から規制ローラ対52までの距離は、感熱材料Aの搬送
方向の長さより若干短く設定されている。搬送手段42
による搬送で感熱材料Aの先端が規制ローラ対52に至
るが、規制ローラ対52は最初は停止しており、感熱材
料Aの先端はここで一旦停止して位置決めされる。この
感熱材料Aの先端が規制ローラ対52に至った時点で、
サーマルヘッド66(グレーズ)の温度が確認され、サ
ーマルヘッド66の温度が所定温度であれば、規制ロー
ラ対52による感熱材料Aの搬送が開始され、感熱材料
Aは、記録部20に搬送される。
【0022】記録部20は、サーマルヘッド66、プラ
テンローラ60、クリーニングローラ対56、ガイド5
8、サーマルヘッド66を冷却するヒートシンク67、
冷却ファン76およびガイド62を有する。サーマルヘ
ッド66は、例えば、最大半切サイズまでの画像記録が
可能な、約300dpiの記録(画素)密度の感熱記録
を行うもので、感熱材料Aへの感熱記録を行う発熱素子
が一方向(主走査方向)に配列されるグレーズ(発熱
体)が形成されてなるものであり、図示例においては、
支点68aを中心に回動自在な支持部材68に支持され
ている。また、このサーマルヘッド66には、冷却のた
めのヒートシンク67が固定される。サーマルヘッド6
6のグレーズについては、後に詳述する。なお、本発明
のサーマルヘッド66の幅(主走査方向)、解像度(記
録密度)、記録階調等には特に限定は無いが、幅は5cm
〜50cm、解像度は6dot/mm(約150dpi)以上、
記録階調は256階調以上であるのが好ましい。
【0023】プラテンローラ60は、感熱材料Aを所定
位置に保持しつつ所定の画像記録速度で図中の矢印方向
に回転し、主走査方向と直交する副走査方向(図2中の
矢印X方向)に感熱材料Aを搬送する。クリーニングロ
ーラ対56は、弾性体である粘着ゴムローラ(図中上
側)と、通常のローラとからなるローラ対であり、粘着
ゴムローラが感熱材料Aの感熱記録層に付着したゴミ等
を除去して、グレーズへのゴミの付着や、ゴミが画像記
録に悪影響を与えることを防止する。
【0024】図示例の記録装置10において、感熱材料
Aが搬送される前は、支持部材68は上方に回動して、
サーマルヘッド66のグレーズとプラテンローラ60と
が接触する直前の待機位置となっている。前述の規制ロ
ーラ対52による搬送が開始されると、感熱材料Aは、
次いでクリーニングローラ対56に挟持され、さらに、
ガイド58によって案内されつつ搬送される。感熱材料
Aの先端が記録開始位置(グレーズに対応する位置)に
搬送されると、支持部材68が下方に回動して、グレー
ズとプラテンローラ60とで感熱材料Aが挟持されて記
録層にグレーズが押圧され、感熱材料Aはプラテンロー
ラ60によって所定位置に保持されつつ副走査搬送され
る。この搬送に伴い、グレーズの各発熱素子を記録画像
に応じて加熱することにより、感熱材料Aに感熱記録が
行われる。
【0025】感熱記録を終了した感熱材料Aは、ガイド
62に案内されつつ、プラテンローラ60および搬送ロ
ーラ対63に搬送されて排出部22のトレイ72に排出
される。トレイ72は、ハウジング28に形成された排
出口74を経て記録装置10の外部に突出しており、画
像が記録された感熱材料Aは、この排出口74を経て外
部に排出され、取り出される。
【0026】図2に、サーマルヘッド66のグレーズ
(発熱体)の概略断面図を示す。図示例において、グレ
ーズは、基板80の上(図示例のサーマルヘッド66
は、上から感熱材料Aに押圧されるので、図2中では下
となる)に形成されるグレーズ層(畜熱層)82、その
上に形成される発熱抵抗体84、その上に形成される電
極86、およびその上に形成される保護膜等を有して構
成される。本発明のサーマルヘッド66は、2層構成の
保護膜を有する。具体的には、発熱抵抗体84および電
極86(発熱素子)等を覆って形成される、セラミック
を主成分とする下層保護膜88と、下層保護膜88の上
に上層保護膜として形成される、炭素を主成分とする保
護膜、例えばカーボン保護膜90(好ましくは、DLC
保護膜=Diamond Like Carbon 保護膜)とから保護膜が
構成される。ここで、カーボン保護膜90は下層保護膜
88を全面的に覆うものではなく、5%〜95%の被覆
率(面積比)で、点在、あるいはメッシュ状等にパター
ニングされた、不連続的(非全面的)に下層保護膜88
を覆うものである。
【0027】本発明のサーマルヘッド66は、このよう
な保護膜を有すること以外は、基本的に公知のサーマル
ヘッドと同様の構成を有する。従って、それ以外の層構
成や各層の材料には特に限定はなく、公知のものが各種
利用可能である。具体的には、基板80としては耐熱ガ
ラスやアルミナ、シリカ、マグネシアなどのセラミック
ス等の電気絶縁性材料が、グレーズ層82としては耐熱
ガラスやポリイミド樹脂等の耐熱性樹脂等が、各種利用
可能である。さらに、発熱抵抗体84および電極86も
材料等に限定はなく、公知のサーマルヘッドに用いられ
るものが各種利用可能であり、発熱抵抗体84として
は、例えば、ニクロム(Ni-Cr)、タンタル、窒化タンタ
ル等の発熱抵抗体が例示され、電極86としてはアルミ
ニウム、金、銀、銅等の導電性材料が、各種利用可能で
ある。
【0028】また、サーマルヘッド66のグレーズ82
には、一般的に、真空蒸着、CVD(Chemical Vapor De
position) 、スパッタリング等のいわゆる薄膜形成技術
およびフォトエッチング法を用いて形成される薄膜型発
熱素子と、スクリーン印刷などの印刷ならびに焼成によ
るいわゆる厚膜形成技術およびエッチングを用いて形成
される厚膜型発熱素子とが知られているが、本発明のサ
ーマルヘッド66は、いずれの方法で形成されたもので
あってもよい。
【0029】前述のように、本発明のサーマルヘッド6
6は、カーボン保護膜90と下層保護膜88の2層構成
の保護膜を有するものであり、この下層保護膜88は、
セラミックスを主成分とするものである。
【0030】このような下層保護膜88としては、サー
マルヘッド66の保護膜として十分な耐熱性、耐蝕性お
よび耐摩耗性を有するものであれば、公知のセラミック
材料が各種利用可能である。具体的には、窒化珪素(Si3
N4) 、炭化珪素(SiC) 、窒化酸化珪素(SiON)、酸化珪素
(Si02)、サイアロン(SiAlON)、ラシオン(LaSiON) など
の珪素の窒化物、炭化物、酸化物; 窒化チタン(TiN)
、炭化チタン(TiC) 、窒化炭化チタン(TiCN)などのチ
タンの窒化物や炭化物; 窒化タンタル(TaN) 、炭化タ
ンタル(TaC) 、酸化タンタル(Ta2O5) などのタンタルの
窒化物、炭化物、酸化物; 酸化アルミニウム(Al2O3)
、窒化アルミニウム(AlN) などのアルミニウムの酸化
物や窒化物、さらには、窒化ホウ素(BN)、酸化セレン(S
eO) 、窒化クロム(CrN) 等が好適に例示される。中でも
特に、成膜の容易性や製造コストなどの製造適正、機械
的摩耗と化学的摩耗による摩耗のバランス等の点で、窒
化珪素、炭化珪素、炭化チタン、窒化チタン、窒化クロ
ム等は好適に利用される。また、下層保護膜88には、
物性調整のため、後述する半金属や金属等の微量の添加
物が含まれてもよい。下層保護膜88の形成方法には特
に限定はなく、前述の厚膜形成技術や薄膜形成技術等を
用いて、公知のセラミックス膜(層)の形成方法で形成
される。
【0031】下層保護膜88の厚さには特に限定はない
が、好ましくは0.2μm〜50μm程度、より好まし
くは2μm〜15μm程度である。下層保護膜88の厚
さを上記範囲とすることにより、耐摩耗性と熱伝導性
(すなわち記録感度)とのバランスを好適に取ることが
できる等の点で好ましい結果を得る。また、下層保護膜
88は多層構成でもよい。下層保護膜88を多層構成と
する際には、異なる材料を用いて多層構成としてもよ
く、あるいは、同じ材料で密度や硬度等の異なる層を有
する多層構成であってもよく、あるいは、その両者を有
するものであってもよい。
【0032】本発明のサーマルヘッド66は、このよう
なセラミックスを主成分とする下層保護膜88の上に、
上層保護膜として、炭素を主成分とするカーボン保護膜
90を有する。なお、図示例のサーマルヘッド66にお
いては、炭素を主成分とする保護膜として、カーボン保
護膜90、例えばDLC保護膜を用いている。本発明に
おいて、炭素を主成分とする保護膜とは、50atm%
超の炭素を含有するカーボン保護膜を言うが、このよう
なカーボン保護膜としては、炭素および不可避的不純物
からなるカーボン保護膜が好ましく、さらに好ましくは
不可避的不純物の含有量が極めて少ないまたは全く含ま
ない高純度のカーボン保護膜、例えばDLC保護膜が良
い。ここで、不可避的不純物としては、アルゴン(A
r)などのようにプロセスに使用するガスや酸素のよう
に真空チャンバー内の残ガスなどが挙げられるが、これ
らのガス成分の混入はできるだけ少ない方が好ましく、
2atm%以下とするのがよく、より好ましくは0.5
atm%以下とするのが良い。
【0033】本発明において、炭素を主成分とするカー
ボン保護膜を形成する炭素以外の添加成分としては、水
素、窒素、フッ素などの物質や、Si、Ti、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wなどの半金属や金
属が好適に例示される。添加成分が水素、窒素およびフ
ッ素などの物質である場合には、炭素を主成分とするカ
ーボン保護膜中のこれらの含有量が50atm%未満で
あるのが好ましく、添加成分が上述したSiおよびTi
等の半金属や金属である場合には、炭素を主成分とする
カーボン保護膜中のこれらの含有量が20atm%以下
であるのが好ましい。以下の説明では、炭素を主成分と
する保護膜として、カーボン保護膜90を代表例として
説明するが、その説明はその他の炭素を主成分とする保
護膜にも適用可能であることはいうまでもないことであ
る。
【0034】ここで、本発明においては、カーボン保護
膜90は下層保護膜88を全面的に覆って形成されるの
ではなく、5%〜95%の被覆率(面積比)で不連続的
に下層保護膜88を覆うものである。
【0035】前述のように、高い硬度や化学的安定性を
利用して、サーマルヘッドの保護膜としてカーボン保護
膜を用いることが検討されているが、カーボン保護膜は
靭性が低く、機械的衝撃や熱的衝撃で割れを生じ安いと
いう問題点を有している。このような問題点を解決する
ために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、保護膜
を、セラミックスを主成分とする下層保護膜88と、こ
の下層保護膜88の上に形成されるカーボン保護膜90
との二層構成とし、かつ、カーボン保護膜90によって
下層保護膜88を全面的に覆うのではなく、カーボン保
護膜90を点在やメッシュ状等として下層保護膜88を
不連続的に覆う構成とすることにより、カーボン保護膜
90の有する高硬度や化学的安定性を十分に発揮した上
で、機械的衝撃や熱的衝撃にも十分な耐久性を有する保
護膜が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0036】本発明のサーマルヘッド66において、不
連続的なカーボン保護膜90による下層保護膜88の被
覆率は、面積比で5%〜95%である。被覆率が5%未
満では、カーボン保護膜90を形成する効果を十分に発
揮することができず、前述のような高画質な画像を目的
とした高記録温度かつ高押圧力での感熱記録にも好適に
耐え、カーボン保護膜90自身のみならずセラミックを
主成分とする下層保護膜88等の摩耗も好適に防止でき
る、良好な耐久性を有するサーマルヘッド66を実現で
きない。逆に、被覆率が95%を超えると、カーボンの
靭性によって、機械的衝撃や熱的衝撃等の点で十分な強
度を有するカーボン保護膜90を形成できない場合があ
り、また、下層保護膜88とも剥離し易くなってしま
う。カーボン保護膜90自身の機械的強度等や下層保護
膜88に対する耐剥離性という点では、被覆率は90%
以下、特に80%以下が好ましく、カーボン保護膜90
自身も含めて下層保護膜88等の摩耗をも防止した、前
記高画質記録にも十分に絶え得るサーマルヘッド66の
耐久性という点では、被覆率は10%以上、特に20%
以上であるのが好ましい。すなわち、本発明のサーマル
ヘッド66において、カーボン保護膜90による下層保
護膜88の被覆率は、好ましくは、10%〜90%、よ
り好ましくは、20%〜80%である。
【0037】またカーボン保護膜90の厚さ(ドット等
の高さ)にも特に限定はなく、サーマルヘッド66の耐
久性や熱伝導率(応答性)等を考慮して、用途等に応じ
て適宜決定すればよいが、強度という点では、好ましく
は10nm以上、より好ましくは20nm以上、特に5
0nm以上であるのが好ましく、熱伝導率という点で
は、30μm以下、特に10μm以下であるのが好まし
い。すなわち、本発明のサーマルヘッド99において、
カーボン保護膜の厚さは、好ましくは10nm〜30μ
m、より好ましくは50nm〜10μmである。
【0038】さらに、カーボン保護膜90の硬度は高い
ほど良好であり、サーマルヘッドの保護膜として十分な
硬度を有すればよいが、好ましくはビッカーズ硬度で2
000kg/mm2以上、より好ましくは2500kg/mm2以
上、特に好ましくは3000kg/mm2以上である。カーボ
ン保護膜90の硬度を上記範囲とすることにより、耐摩
耗性等の点で好ましい結果を得ることができる。
【0039】カーボン保護膜90の形成状態(パター
ン)には特に限定はなく、前記被覆率の範囲内であれ
ば、各種の形成状態が利用可能である。例えば、カーボ
ンが粒子状に分散されたようなカーボン保護膜90、円
形、楕円形、三角形などの多角形、無定形等のカーボン
のドットが規則的あるいは不規則に多数配列されたよう
なカーボン保護膜90、メッシュ状、格子状、梯子状等
にカーボンがパターニングされたカーボン保護膜90等
が例示される。なお、このようなカーボン保護膜90
は、下層保護膜88に対して面積方向に均一に形成(点
在もしくはパターニング)されるのが好ましいのはもち
ろんである。すなわち、単位面積当たりの被覆率が面積
比で5%〜95%となるように、カーボン保護膜90を
形成するのが好ましい。
【0040】このような不連続的なカーボン保護膜90
の形成方法には特に限定はなく、各種のカーボン膜
(層)の形成方法が利用可能であるが、一例として、
0.5keV〜3keV程度の加速電圧によってイオン
を加速するイオン照射によって、前記下層保護膜88の
上にカーボン保護膜90を形成する方法が例示される。
この方法は、前記カーボンを粒子状に分散してなるカー
ボン保護膜90の形成に特に好適である。具体的には、
メタン(CH4) ガス、エチレン(C2H4)ガス、アセチレン(C
2H2)ガス等の炭化水素ガスとイオンガンとを用いて、炭
化水素ガスをイオン化して下層保護膜88の表面に照射
する方法;下層保護膜88の表面に高周波電力を印加し
つつ炭化水素ガスを供給することにより、高周波電力に
よって炭化水素ガスの高周波プラズマを発生させ、これ
によって下層保護膜88の表面に発生する負の自己バイ
アス電位を利用して、高周波プラズマによって生成した
炭化水素ガスのイオンを下層保護膜88の表面に照射す
る方法;固体のカーボン材をスパッタリング等の方法で
粒子状に蒸発させ、その粒子にアルゴン(Ar)等のイ
オンビームを照射することによりカーボン粒子をイオン
化して、対向して配置した下層保護膜88の表面に照射
する方法; 等が例示される。
【0041】また、不連続的なカーボン保護膜90を形
成する別の方法として、下層保護膜88を全面的に覆う
カーボン層(膜)を形成した後に、このカーボン層の表
面を目的とする不連続的なカーボン保護膜90に応じた
パターンのレジストで覆い、酸素ガスエッチング等によ
ってレジストで覆われていない部分のカーボン層をエッ
チングで除去して、レジスト層を溶剤等で除去する方法
が例示される。カーボン層の形成方法としては、公知の
薄膜形成技術が各種利用可能であり、例えば、炭化水素
ガスを反応ガスとして用いるプラズマCVDを用いる方
法、焼結カーボン材やグラッシーカーボン材をターゲッ
トとして用いるスパッタリングを用いる方法等が例示さ
れる。また、レジストの形成も公知の方法が各種利用可
能であり、例えば、半導体製造の分野で利用されるフォ
トリソグラフィ技術、すなわちフォトレジストを全面的
に塗布して硬化した後に目的とするレジストパターンに
応じて露光して、露光部もしくは非露光部を除去する方
法や、印刷技術によってレジストパターンを形成する方
法等が例示される。
【0042】さらに、プラズマCVDやスパッタリング
等の気相成膜方法では、膜は最初から全面的に均一に形
成される訳ではなく、最初は、成膜材が基材表面に点在
して表れた後に、徐々に成長して成膜が進行するので、
この点在状態で成膜を終了することにより、不連続的な
カーボン保護膜90を形成することもできる。
【0043】図3に、このようなカーボン保護膜90を
形成するプラズマCVD装置の概念図を示す。プラズマ
CVD装置100(以下、CVD装置100とする)
は、基本的に、真空チャンバ102と、ガス導入部10
4と、プラズマ発生手段106と、基板ホルダ108
と、基板バイアス電源110とを有して構成される。
【0044】真空チャンバ102は、プラズマ発生用の
磁場が影響を受けないようにSUS304等の非磁性材
料で形成されるのが好ましい。また、カーボン保護膜9
0の形成に用いられる真空チャンバ102は、排気手段
112を有し、かつ、初期排気の到達圧力で2×10-5
Torr以下、好ましくは5×10-6Torr以下、さらに、成
膜中は1×10-4Torr〜1×10-2Torrを達成するシー
ル性を有するのが好ましい。真空チャンバ102に取り
付けられる排気手段112としては、ロータリーポン
プ、メカニカルブースタポンプ、ターボポンプを組み合
わせた排気手段が好適に例示され、また、ターボポンプ
の代わりにディフュージョンポンプやクライオポンプを
用いた排気手段も好適に利用される。排気手段112の
排気能力や台数は、真空チャンバ102の容積や成膜に
使用するガスの種類や流量等に応じて適宜選択すればよ
い。また、排気速度を調整するために、バイパス配管を
用いた配管の排気抵抗の調整や、オリフィスバルブを設
けてその開口度調整等の方法で、排気速度を調整可能な
ように構成してもよい。
【0045】真空チャンバ102において、プラズマや
プラズマ発生用の電磁波によってアークが発生する箇所
は、絶縁性部材で覆ってもよい。絶縁性部材としては、
MCナイロン、テフロン(PTFE)、PPS(ポリフ
ェニレンスルフィド)、PEN(ポリエチレンナフタレ
ート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹
脂材料や樹脂フィルムが利用可能である。なお、PEN
やPET等を用いる場合には、絶縁性部材からの脱ガス
で真空度が低下する場合があるので、このような材料を
用いる場合には、注意が必要である。
【0046】CVD装置100は、2つのガス導入部を
有する。ガス導入部104aは、プラズマ発生用のガス
を導入する部位で、他方、ガス導入部104bは、反応
ガスを導入する部位で、共に、導入部がOリング等で真
空シールされたステンレス製のパイプ等を用いて、真空
チャンバ102内にガスを導入する。また、ガスの導入
量は、マスフローコントローラ等の公知の方法で制御さ
れる。両ガス導入部は、基本的にガスを真空チャンバ1
02内のプラズマ発生領域の近傍に吹き出すように構成
される。また、吹き出し位置、特に反応ガスのガス導入
部104bの吹き出し位置は、膜厚分布にも影響するの
で、基板(下層保護膜88)の形状等に合わせて最適化
するのが好ましい。
【0047】カーボン保護膜90を形成するためのプラ
ズマ発生用のガスとしては、例えば、ヘリウム、ネオ
ン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の不活性ガスが
用いられるが、中でも特に、価格および入手の容易性の
点で、アルゴンガスが好適に用いられる。他方、カーボ
ン保護膜90を形成するための反応ガスとしては、メタ
ン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレン、ベンゼ
ン等の炭化水素化合物のガスが例示される。なお、ガス
導入部104aおよびガス導入部104bは、共に、用
いるガスに応じてマスフローコントローラのセンサを調
整(校正)する必要がある。
【0048】カーボン保護膜90を形成するプラズマC
VDにおいて、プラズマ発生手段としては、直流グロー
放電、高周波放電、直流アーク放電、マイクロ波ECR
放電等が利用可能であり、特に、直流アーク放電および
マイクロ波ECR放電はプラズマ密度が高く、高速成膜
に有利である。図示例のCVD装置100は、マイクロ
波ECR放電を利用するものであり、プラズマ発生手段
106は、マイクロ波電源114、磁石116、マイク
ロ波導入管118、同軸変換器120、誘電体板12
2、放射状アンテナ124等を有して構成される。
【0049】直流グロー放電は、基板−電極間に負の直
流電圧を印加することによりプラズマを発生させる。直
流グロー放電に用いる直流電源は、1kW〜10kW程
度のもので、カーボン保護膜90の形成に必要にして十
分な出力を有するものを適宜選択すればよい。また、ア
ーク防止等の点で、2kHz〜20kHzにパルス変調
した直流電源も好適に利用可能である。高周波放電は、
マッチングボックスを介して電極に高周波電圧を印加す
ることにより、プラズマを発生させる。その際には、マ
ッチングボックスによってインピーダンス整合を行い、
高周波電圧の反射波が入射波に対して25%以下となる
ように調整する。高周波放電を行う高周波電源として
は、工業用の13.56MHzで、1kW〜10kW程
度の範囲で、カーボン保護膜90の形成に必要にして十
分な出力を有するものを適宜選択すればよい。また、パ
ルス変調した高周波電源も使用可能である。
【0050】直流アーク放電は、熱陰極を使用してプラ
ズマを発生させる。熱陰極としては、タングステン
(W)、ホウ化ランタン(LaB6)等が利用可能である。
また、ホローカソードを用いた直流アーク放電も利用可
能である。直流アーク放電に用いる直流電源としては、
1kW〜10kW程度、10A〜150A程度の範囲
で、カーボン保護膜90の形成に必要にして十分な出力
を有するものを適宜選択すればよい。
【0051】マイクロ波ECR放電は、マイクロ波とE
CR磁場とによってプラズマを発生させるものであり、
前述のように、図示例のCVD装置100は、このマイ
クロ波放電によってプラズマを発生させる。マイクロ波
電源114としては、工業用の2.45GHzで、1k
W〜3kW程度の範囲で、カーボン保護膜90の形成に
必要にして十分な出力を有するものを適宜選択すればよ
い。また、ECR磁場発生には、所望の磁場を形成でき
る永久磁石や電磁石を適宜用いればよく、図示例におい
ては、Sm-Co 磁石を磁石116として用いている。例え
ば、2.45GHzのマイクロ波を用いる場合には、E
CR磁場は875G(Gauss) になるので、プラズマ発生
領域の磁場が500G〜2000Gとなる磁石を用いれ
ばよい。真空チャンバ102内へのマイクロ波の導入
は、マイクロ波導入管118、同軸変換器120、誘電
体板122等を用いて行われる。なお、磁場の形成状態
やマイクロ波の導入路は、カーボン保護膜90の膜厚分
布に影響を与えるので、カーボン保護膜90の膜厚が均
一になるように最適化するのが好ましい。
【0052】基板ホルダ108は、クランプや治具等の
公知の固定手段によって、ヒートシンク67を有するサ
ーマルヘッド、ヒートシンク67を有さないサーマルヘ
ッド、サーマルヘッドから取り外されたグレーズを含む
部位等を保持して、成膜の基板となる下層保護膜88を
放射状アンテナ124に静止対向して固定するものであ
る。また、必要に応じて、プラズマ発生手段106に対
して、下層保護膜88を回転や移動可能に構成してもよ
く、グレーズのサイズや目的とする膜厚分布等に応じて
考慮すればよい。下層保護膜88の表面と放射状アンテ
ナ124(プラズマ発生部)との距離には特に限定はな
く、20mm〜200mm程度の範囲で、膜厚分布が均一に
なる距離を選択設定すればよい。なお、カーボン層を形
成する際には、必要に応じて成膜領域を規制するための
マスクを用いてもよい。この際には、例えば、SUS3
04やアルミニウム等の金属やテフロン等の樹脂からな
る板状のマスク部材を作製し、これを用いて非成膜部を
マスキングすればよい。
【0053】プラズマCVDでカーボン膜を得るために
は、基板(下層保護膜88)に負のバイアス電圧を印加
しながら成膜を行う必要がある。基板バイアス電源11
0は、このバイアス電圧を印加するためのものである。
カーボン保護膜90は電気抵抗値が高いため、特に限定
はないが、高周波電圧の自己バイアス電圧を使用するの
が好ましい。自己バイアス電圧は、プラズマ中で高周波
電圧を印加した時に生じる負の直流成分で、カーボン膜
の生成の際には、通常、−100V〜−500V程度で
ある。高周波電源は工業用の13.56MHzで、1k
W〜5kW程度のものから適宜選択すればよく、このパ
ワーによって自己バイアス電圧を制御することができ
る。また、高周波電圧を基板に印加する際には、基板と
高周波電源との間にインピーダンスを整合するマッチン
グボックスを使用するのが好ましい。マッチングボック
スは、手動制御でも自動制御でもよく、既製品が各種利
用可能である。さらに、高周波電圧の自己バイアス電圧
以外にも、2kHz〜20kHzにパルス変調した直流
電源も利用可能である。この場合も、印加電圧は−10
0V〜−500V程度である。
【0054】カーボン保護膜90の密着性を良好にする
ために、カーボン保護膜90の形成に先立ち、基板の表
面すなわち下層保護膜88の表面をプラズマでエッチン
グするのが好ましい。エッチングの方法としては、エッ
チングガスをガス導入手段から導入して、プラズマを発
生しつつ、好ましくはマッチングボックスを介して高周
波電圧を印加する方法や、同様にエッチングガスを用
い、高周波電圧によって直接プラズマを発生させて、そ
のプラズマを利用してエッチングを行う方法が例示され
る。プラズマの発生は、前述のプラズマ発生手段106
等によって行えばよい。また、高周波電源としては、工
業用の13.56MHzで、1kW〜5kW程度のもの
から適宜選択すればよく、前記基板バイアス電源110
が利用可能である。さらに、エッチングの強さは、基板
に印加される自己バイアス電圧を目安にすればよく、−
100V〜−500Vの範囲で、適宜最適化を計ればよ
い。
【0055】また、このプラズマ発生手段106と基板
バイアス電源110とからなるエッチング手段等は、非
連続的なカーボン保護膜90の形成におけるカーボン層
のエッチングにも利用される。すなわち、前述の下層保
護膜88表面のプラズマエッチングにおいて、基板表面
エッチング用のガスをカーボンエッチング用のガスに変
更して、同様にエッチングを行えばよい。カーボンエッ
チング用のガスとしては、酸素(O2 )ガスやアルゴン
ガス等が利用可能であるが、エッチング速度等の点で酸
素ガスが好ましく利用される。
【0056】このようなCVD装置100を用いた非連
続的なカーボン保護膜90の形成は、基本的に下記のよ
うに行われる。まず、基板ホルダ108にヒートシンク
を有するあるいは有さないサーマルヘッド(もしくは前
記グレーズを含む部位)を固定して、前述のように、下
層保護膜88の表面をエッチングし、次いで、前述のよ
うにして、下層保護膜88の表面に全面的にカーボン層
を形成する。カーボン層を形成したサーマルヘッドをC
VD装置100から取り出し、形成するカーボン保護膜
90に応じたパターンのレジストでカーボン層を覆った
後、再度CVD装置100の基板ホルダ108にサーマ
ルヘッドを装着して、前述のようにして、レジストで覆
われていない部分のカーボン層をCVD装置100によ
ってエッチングして除去する。CVD装置100からサ
ーマルヘッドを取り出してレジストを溶剤等で除去すれ
ば、下層保護膜88上に非連続的なカーボン保護膜90
を形成したサーマルヘッド66を製造することができ
る。
【0057】図4に、カーボン保護膜90を形成するた
めのスパッタリング装置の概念図を示す。なお、スパッ
タリング装置130は、前述のCVD装置100と同じ
構成要素を多数有するので、同じ部位には同じ符号を付
し、以下の説明は、異なる部分を主に行う。スパッタリ
ング装置130は、基本的に、真空チャンバ102と、
ガス導入部104と、プラズマ発生手段106と、基板
バイアス電源110と、基板ホルダ108と、スパッタ
リング手段132とを有して構成される。
【0058】ここで、スパッタリング装置130におい
て、真空チャンバ102、ガス導入部104、プラズマ
発生手段106、および基板バイアス電源110は、基
本的に前記CVD装置10と同様のものを用いることが
できる。また、基板ホルダ108も基本的に同様のもの
を用いることができる。ただし、スパッタリング装置1
30では、基板(下層保護膜88)をスパッタリング手
段132と逆側に配置されるプラズマ発生手段106の
両者に向ける必要があるので、基板ホルダ108は、こ
れを180°回転して基板を前記両者に向けるための回
転手段134に固定されている。なお、回転手段134
による基板ホルダ108の回転方法は、公知の方法によ
ればよい。
【0059】スパッタリングでは、カソード136にス
パッタリングするターゲット材138を配置し、カソー
ド136を負電位にすると共に、ターゲット材138の
表面にプラズマを発生させることにより、ターゲット材
138(その原子)を弾き出して、対向して配置した基
板の表面(下層保護膜88の表面)に付着させ、堆積す
ることにより成膜する。スパッタリング手段132は、
このカソード136、ターゲット材138の配置部、シ
ャッタ140、直流電源142等を有するものである。
【0060】ターゲット材138の表面にプラズマを発
生する際には、直流電源142のマイナス側を直接カソ
ード136に接続し、−300V〜−1000V程度の
直流電圧を印加する。直流電源142の出力としては、
1kW〜10kW程度の範囲であり、カーボン保護膜9
0の形成に十分な出力を有するものを適宜選択すればよ
い。また、アーク防止等の点で、2kHz〜20kHz
にパルス変調した負の直流電源も好適に利用可能であ
る。さらに、プラズマの発生には、高周波電源も利用可
能である。高周波電源を用いる場合には、マッチングボ
ックスを介してカソード136に高周波電圧を印加する
ことにより、プラズマを発生させる。その際には、マッ
チングボックスによってインピーダンス整合を行い、高
周波電圧の反射波が入射波に対して25%以下となるよ
うに調整する。高周波電源としては、工業用の13.5
6MHzで、1kW〜10kW程度の範囲で、カーボン
保護膜90の生成に必要にして十分な出力を有するもの
を適宜選択すればよい。また、パルス変調した高周波電
源も使用できる。このカソード136の形状は、カーボ
ン保護膜90が形成される基板の形状等に応じて最適化
するのが好ましい。
【0061】ターゲット材138は、In系ハンダや機
械的な固定手段を用いて直接カソード136に固定して
もよいが、通常は、無酸素銅やステンレス等からなるバ
ッキングプレート144をカソード136に固定し、そ
の上にターゲット材138を前述のようにして固定す
る。また、カソード136およびバッキングプレート1
44は水冷可能に構成され、これにより、間接的にター
ゲット材138も水冷される。なお、カーボン保護膜9
0を形成するために用いられるターゲット材138とし
ては、焼結カーボン材、グラッシーカーボン材等が好適
に例示される。また、その形状は、基板の形状に応じて
適宜決定すればよい。
【0062】カーボン保護膜90の形成には、カソード
136の内部に永久磁石や電磁石等の磁石146を配置
し、ターゲット材138表面に磁場を形成してプラズマ
を閉じ込めてスパッタリングを行うマグネトロンスパッ
タリングも好適に利用可能である。このマグネトロンス
パッタリングは、成膜速度が早い点で好ましい。永久磁
石や電磁石の形状や位置、数、生成する磁場の強さ等は
形成するカーボン保護膜90の厚さや膜厚分布、ターゲ
ット材138の形状等に応じて適宜決定される。また永
久磁石として Sm-Co磁石や Nd-Fe-B磁石等の高磁場が発
生可能な磁石を用いれば、プラズマを十分閉じ込めるこ
とができる等の点で好ましい。
【0063】このようなスパッタリング装置130にお
いても、カーボン保護膜90と下層保護膜88との密着
性を向上するために、カーボン保護膜90の形成に先立
ち、下層保護膜88の表面をプラズマでエッチングする
のが好ましい。なお、プラズマエッチングは、回転手段
134によって下層保護膜88の表面をプラズマ発生手
段106に向け、前記CVD装置100と同様に行えば
よい。
【0064】このようなスパッタリング装置130を用
いた不連続的なカーボン保護膜90の形成も、基本的
に、前記CVD装置100による例と同様のプロセスで
行うことができる。すなわち、スパッタリング装置13
0の基板ホルダ108にサーマルヘッドを装着して、回
転手段134によって下層保護膜88の表面をプラズマ
発生手段106に向けて、その表面をプラズマエッチン
グした後に、回転手段134によって下層保護膜88の
表面をスパッタリング手段132に向け、前述のように
して、スパッタリングによって下層保護膜88の表面に
カーボン層を形成する。次いで、サーマルヘッドをスパ
ッタリング装置130から取り出して、形成するカーボ
ン保護膜90に応じたパターンのレジストでカーボン層
を覆い、再度基板ホルダ108にサーマルヘッドを装着
して、回転手段134によって下層保護膜88の表面を
プラズマ発生手段106に向けて、前述のようにしてカ
ーボン層のレジストで覆われていない部分をエッチング
して除去した後、スパッタリング装置130からサーマ
ルヘッドを取り出してレジストを溶剤等で除去すること
によって、不連続的なカーボン保護膜90が形成された
サーマルヘッド66が得られる。
【0065】以上、本発明のサーマルヘッドおよびその
製造方法について詳細に説明したが、本発明は上述の例
に限定されず、各種の改良や変更を行ってもよいのはも
ちろんである。
【0066】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をより詳細に説明する。 [実施例1]図3に示される(プラズマ)CVD装置1
00を用意した。詳細は以下のとおりである。
【0067】a.真空チャンバ102 排気手段112として、排気速度が1500L(リット
ル)/分のロータリーポンプ、同12000L/分のメ
カニカルブースタポンプ、および同3000L/秒のタ
ーボポンプを、それぞれ1台ずつ有する、SUS304
製で容積が0.5m3の真空チャンバ102を使用した。
なお、ターボポンプの吸引部にオリフィスバルブを配置
して、開口度を10〜100%まで調整できるように構
成してある。
【0068】b.ガス導入部104 最大流量100〜500[sccm]のマスフローコントロー
ラと、直径6mmのステンレス製パイプを用いて構成し
た。ステンレス製パイプと真空チャンバ102との接合
部は、Oリングによって真空シールした。プラズマ発生
用ガスとしては、アルゴンガスを用いた。
【0069】c.プラズマ発生手段106 発振周波数2.45GHz、最大出力3.0kWのマイ
クロ波電源114を用いるマイクロ波ECRプラズマ発
生装置を、プラズマ発生手段106として用いた。マイ
クロ波は、マイクロ波導入管118で真空チャンバ10
2近傍まで導き、同軸変換器120で変換後、真空チャ
ンバ102内の放射状アンテナ124に導入した。誘電
体板122は、幅800mm×高さ200mmの矩形のもの
を用いた。なお、マイクロ波は、マイクロ波導入管11
8の途中で4分割し、誘電体板122の4か所から真空
チャンバ102内に導入した。さらに、磁石116とし
て、Sm-Co 磁石を複数個、誘電体板122の形状に合わ
せて配置することでECR用磁場を形成した。
【0070】d.基板ホルダ108 基板(すなわち、サーマルヘッド66のグレーズ)をプ
ラズマ発生部に対向して保持し、下層保護膜88表面と
放射状アンテナ124との距離が50mm〜150mmの間
で調整可能な構成を有する。また、エッチング用の高周
波電圧が印加できるように、基板によるサーマルヘッド
の保持部分を浮遊電位にした。
【0071】e.基板バイアス電源110 基板ホルダ108に、マッチングボックスを介して基板
バイアス電源110として高周波電源を接続した。高周
波電源は、周波数13.56MHzで、最大出力は3k
Wである。また、この高周波電源は、自己バイアス電圧
をモニタすることにより、−100V〜−500Vの範
囲で高周波出力が調整可能に構成されている。また、こ
のCVD装置100(および後述するスパッタリング装
置130)では、この基板バイアス手段110および前
記プラズマ発生手段106は、下層保護膜88ならびに
カーボン層のエッチング手段を兼ねている。
【0072】<サーマルヘッドの作製>このようなCV
D装置100を用いて、以下に示すようにしてサーマル
ヘッドを作製した。基となるサーマルヘッドとして、京
セラ社製 KGT-260-12MPH8を用いた。このサーマルヘッ
ドには、グレーズの表面に保護膜として厚さ11μmの
窒化珪素膜(Si3N4)が形成されている。従って、本実施
例では、この窒化珪素膜が下層保護膜88となり、その
上にカーボン保護膜90が形成された、2層構成の保護
膜を有するサーマルヘッド66となる。
【0073】まず、基となるサーマルヘッドの下層保護
膜88が放射状アンテナ124に対向するように、真空
チャンバ102内の基板ホルダ108にサーマルヘッド
を固定した。下層保護膜88の表面と放射状アンテナ1
24との距離は100mmとした。また、サーマルヘッド
のカーボン層の形成部以外(すなわち、グレーズ以外)
には、あらかじめマスキングを施しておいた。サーマル
ヘッドを固定した後、真空チャンバ102内の圧力が5
×10-6Torrになるまで真空排気した。真空排気を継続
しながら、ガス導入部104aによってアルゴンガスを
導入し、ターボポンプに設置したオリフィスバルブによ
って、真空チャンバ102内の圧力が1.0×10-3To
rrになるように調整した。次いで、マイクロ波電源11
4を駆動してマイクロ波を4か所からそれぞれ400W
ずつ真空チャンバ102内に導入し、マイクロ波ECR
プラズマを発生させ、さらに、基板バイアス電源110
を駆動して、基板に高周波バイアス電圧を印加し、自己
バイアス電圧−200Vで2分間、下層保護膜88(窒
化珪素膜)のエッチングを行った。エッチング終了後、
自己バイアス電圧による高周波バイアス電圧の印加を継
続しながら、真空チャンバ102内の圧力が3.0×1
0-3Torrとなるようにメタンガスを導入してプラズマC
VDを行い、下層保護膜88の上に、厚さ1μmのカー
ボン層を全面的に形成した。なお、カーボン層の膜厚
は、予め成膜時間と膜厚との関係を調べておき、成膜時
間で制御した。
【0074】カーボン層を形成したサーマルヘッドを真
空チャンバ102から取り出して、カーボン層の上に、
カーボン層の被覆率が面積比で80%の格子状にパター
ニングされたレジストを印刷によって張り付けた。
【0075】次いで、このサーマルヘッドを、再度、前
記カーボン層の成膜時と同様の状態で基板ホルダ108
に装着し、真空チャンバ102内の圧力が5×10-6To
rrになるまで真空排気した。真空排気を継続しながら、
ガス導入部104aによって酸素ガスを導入し、ターボ
ポンプに設置したオリフィスバルブによって、真空チャ
ンバ102内の圧力が1.0×10-3Torrになるように
調整した。次いで、マイクロ波電源114を駆動してマ
イクロ波を4か所からそれぞれ400Wずつ真空チャン
バ102内に導入し、マイクロ波ECRプラズマを発生
させ、さらに、基板バイアス電源110を駆動して、基
板に高周波バイアス電圧を印加し、自己バイアス電圧−
200Vで30分間、カーボン層のエッチングを行っ
た。エッチング終了後、真空チャンバ102からサーマ
ルヘッドを取り出し、レジストを溶剤で除去して、下層
保護膜88の上に、格子状で、下層保護膜88の被覆率
が面積比で約80%のカーボン保護膜90が形成され
た、本発明のサーマルヘッド66を得た。
【0076】<性能評価>このような本発明のサーマル
ヘッドと、感熱材料(富士写真フイルム社製 ドライ画
像記録用フィルムCR−AT)とを用いて、B4サイズ
で5000枚の感熱記録テスト行った。その結果、50
00枚の記録を終了しても、カーボン保護膜90の割れ
や剥離が生じることはなく、また、カーボン保護膜90
の摩耗もほとんど認められなかった。
【0077】[実施例2]カーボン層の成膜時間を変更
した以外は前記実施例1と同様にして、カーボン保護膜
90の膜厚が0.5μmおよび2.0μmの本発明のサ
ーマルヘッド66を作製した。さらに、レジストによる
下層保護膜88の被覆率を変更した以外は前記実施例1
と同様にして、下層保護膜88の被覆率が面積比で約5
0%、70%および90%である、格子状のカーボン保
護膜90が形成された、本発明のサーマルヘッド66を
作製した。 <性能評価>このような5種類の本発明のサーマルヘッ
ド66について、前記実施例1と同様の性能評価を行っ
た。その結果、5000枚の記録を終了しても、いずれ
のサーマルヘッド66も、カーボン保護膜90の割れや
剥離が生じることはなく、また、カーボン保護膜90の
摩耗もほとんど認められなかった。
【0078】また、同様の性能評価試験を、反応ガスを
アセチレンガスに変更して; 下層保護膜88のエッチ
ングを行わないで; あるいは下層保護膜88のエッチ
ング時のチャンバ102内の圧力を0.8×10-3Torr
および5.0×10-3Torrに変更して; あるいは自己
バイアス電圧を−100Vおよび−300Vに変更し
て; あるいはカーボン層の成膜時の真空チャンバ10
2内の圧力を2.0×10-3Torrおよび5.0×10-3
Torrに変更して; それ以外は同様にして、前記実施例
1と同様にして、カーボン保護膜90を形成して作製し
た、各種のサーマルヘッドについても行ったが、いずれ
の場合も、前記実施例1および2と同様の良好な結果が
得られた。
【0079】[実施例3]図4に示されるスパッタリン
グ装置130を用意した。スパッタリング装置130
は、真空チャンバ102と、ガス導入部104と、プラ
ズマ発生手段106と、基板バイアス電源110と、基
板ホルダ108と、スパッタリング手段132とを有し
て構成される。ここで、このスパッタリング装置130
においては、真空チャンバ102、ガス導入部104、
プラズマ発生手段106および基板バイアス電源110
は、前記実施例1のCVD装置100に配置されるもの
と同様である。また、基板ホルダ108も基本的に同様
のものであるが、基板ホルダ108に固定されたサーマ
ルヘッドの下層保護膜88の表面を、プラズマ発生手段
106およびスパッタリング手段132に向けるための
回転手段134に保持されている。それ以外の詳細は以
下のとおりである。
【0080】a.スパッタリング手段132 磁石146としてSm-Co 磁石を内部に配置した、サイズ
が幅800mm×高さ200mmの矩形のカソード136を
用いた。また、カソード136には、バッキングプレー
ト144を固定した。バッキングプレート144として
は、矩形状に加工した無酸素銅を用い、In系ハンダに
よってカソード136に張り付けた。また、カソード1
36内部を水冷することにより、磁石146、カソード
136およびバッキングプレート144裏面を冷却し
た。直流電源142として、最大出力8kWの負電位の
直流電源を用い、負側をカソード136に接続した。な
お、この直流電源142は、2kHz〜10kHzの範
囲でパルス状に変調できるように構成してある。
【0081】<サーマルヘッドの作製>このようなスパ
ッタリング装置130を用いて、前記実施例1と同様の
サーマルヘッド(京セラ社製 KGT-260-12MPH8)を基と
して、そのグレーズの表面にカーボン保護膜90を形成
し、本発明のサーマルヘッド66を作製した。すなわ
ち、このサーマルヘッド66も、窒化珪素膜からなる下
層保護膜88とカーボン保護膜90とからなる、2層構
成の保護膜を有する。
【0082】まず、基板ホルダ108にサーマルヘッド
を固定し、回転手段134によって下層保護膜88の表
面をプラズマ発生部106に対向させた。なお、下層保
護膜88の表面と放射状アンテナ124ならびにプラズ
マ発生部との距離は100mmとした。また、サーマルヘ
ッドのカーボン層の形成部以外には、あらかじめマスキ
ングを施しておいた。サーマルヘッドを固定した後、真
空チャンバ102内の圧力が5×10-6Torrになるまで
真空排気した。真空排気を継続しながら、ガス導入部1
04aによってアルゴンガスを導入し、ターボポンプに
設置したオリフィスバルブによって、真空チャンバ10
2内の圧力が5.0×10-3Torrになるように調整し
た。次いで、基板バイアス電源110を駆動して下層保
護膜88(基板)に高周波電圧を印加し、自己バイアス
電圧−200Vで10分間、下層保護膜88のエッチン
グを行った。
【0083】エッチング終了後、回転手段134によっ
て下層保護膜88の表面をスパッタリング手段132に
向け、また、ターゲット材138として焼結グラファイ
ト材をバッキングプレート144に固定(In系ハンダ
で張り付け)して、真空チャンバ102内の圧力が5.
0×10-3Torrとなるようにアルゴンガス流量およびオ
リフィスバルブを調整し、シャッタ140を閉じた状態
でターゲット材138に直流電力0.5kWを5分間印
加した。次いで、シャッタ140を開き、下層保護膜8
8の上に厚さ1μmのカーボン層を形成した。なお、カ
ーボン層の膜厚は、予め成膜時間と膜厚との関係を予め
調べておき、成膜時間で制御した。
【0084】カーボン層を形成したサーマルヘッドを真
空チャンバ102から取り出して、カーボン層の上に、
カーボン層の被覆率が面積比で80%の格子状にパター
ニングされたレジストを印刷によって張り付けた。
【0085】次いで、このサーマルヘッドを、再度、基
板ホルダ108に固定し、回転手段134によってカー
ボン層をプラズマ発生部106に対向させた。さらに、
真空チャンバ102内の圧力が5×10-6Torrになるま
で真空排気した。真空排気を継続しながら、ガス導入部
104aによって酸素ガスを導入し、ターボポンプに設
置したオリフィスバルブによって、真空チャンバ102
内の圧力が1.0×10-3Torrになるように調整した。
次いで、マイクロ波電源114を駆動してマイクロ波を
4か所からそれぞれ400Wずつ真空チャンバ102内
に導入し、マイクロ波ECRプラズマを発生させ、さら
に、基板バイアス電源110を駆動して、基板に高周波
バイアス電圧を印加し、自己バイアス電圧−200Vで
30分間、カーボン層のエッチングを行った。エッチン
グ終了後、真空チャンバ102からサーマルヘッドを取
り出し、レジストを溶剤で除去して、下層保護膜88の
上に、格子状で、下層保護膜88の被覆率が面積比で約
80%のカーボン保護膜90が形成された、本発明のサ
ーマルヘッド66を得た。
【0086】<性能評価>このような本発明のサーマル
ヘッド66について、前記実施例1と同様の性能評価を
行った。その結果、5000枚の感熱記録を終了して
も、カーボン保護膜90の割れや剥離が生じることはな
く、また、カーボン保護膜90の摩耗もほとんど認めら
れなかった。
【0087】[実施例4]カーボン層の成膜時間を変更
した以外は前記実施例3と同様にして、カーボン保護膜
90の膜厚が0.5μmおよび2.0μmの本発明のサ
ーマルヘッド66を作製した。さらに、レジストによる
下層保護膜88の被覆率を変更した以外は前記実施例3
と同様にして、下層保護膜88の被覆率が面積比で約5
0%、70%および90%である、格子状のカーボン保
護膜90が形成された、本発明のサーマルヘッド66を
作製した。 <性能評価>このような5種類の本発明のサーマルヘッ
ド66について、前記実施例1と同様の性能評価を行っ
た。その結果、5000枚の感熱記録を終了した後で
も、いずれのサーマルヘッド66も、カーボン保護膜9
0の割れや剥離が生じることはなく、また、カーボン保
護膜90の摩耗もほとんど認められなかった。
【0088】また、同様の性能評価試験を、ターゲット
材をグラッシーカーボン材に変更して; エッチングを
行わないで; あるいはエッチング時の真空チャンバ1
02内の圧力のみを0.8×10-3Torrおよび5.0×
10-3Torrに変更して; それ以外は同様にして、前記
実施例3と同様にして作製した、各種のサーマルヘッド
を用いて行ったが、いずれの場合も前記実施例3および
4と同様の良好な結果が得られた。
【0089】[比較例]下記の各種のサーマルヘッドを
用意した。 a.前記各実施例で、基となったサーマルヘッド(京セ
ラ社製 KGT-260-12MPH8)。 b.カーボン層の形成までを前記実施例3と同様に行っ
た、厚さ1μmのカーボン保護膜で下層保護膜(窒化珪
素膜)を全面的に覆ってなる、2層構成の保護膜を有す
るサーマルヘッド。
【0090】<性能評価>このような2種類の本発明の
サーマルヘッドを用いて、実施例1と同様の性能評価を
行った。その結果、aのサーマルヘッドは、窒化珪素保
護膜に2μmの摩耗が発生してしまった。また、bのサ
ーマルヘッドは、カーボン保護膜の割れや剥離が生じて
いた。以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
【0091】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、保護膜の腐食や摩耗が極めて少なく、しかも熱
や機械的衝撃に対しても保護膜の割れや剥離の発生も好
適に防止して、十分な耐久性を有し、長期に渡って高い
信頼性を発揮し、これにより、長期に渡って高画質の感
熱記録を安定して行うことができるサーマルヘッドを実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のサーマルヘッドを利用する感熱記録
装置の一例の概念図である。
【図2】 本発明のサーマルヘッドの発熱素子の構成を
示す概略図である。
【図3】 本発明のサーマルヘッドのカーボン保護膜を
形成する(プラズマ)CVD装置の一例の概念図であ
る。
【図4】 本発明のサーマルヘッドのカーボン保護膜を
形成するスパッタリング装置の一例の概念図である。
【符号の説明】
10 (感熱)記録装置 14 装填部 16 供給搬送手段 20 記録部 22 排出部 24 マガジン 66 サーマルヘッド 80 基板 82 グレーズ層 84 発熱抵抗体 86 電極 88 下層保護膜 90 カーボン保護膜 100 (プラズマ)CVD装置 102 真空チャンバ 104 ガス導入部 106 プラズマ発生手段 108 基板ホルダ 110 基板バイアス電源 112 排気手段 114 マイクロ波電源 116,146 磁石 118 マイクロ波導入管 120 同軸変換器 122 誘電体板 124 放射状アンテナ 130 スパッタリング装置 132 スパッタリング手段 134 回転手段 136 カソード 138 ターゲット材 140 シャッタ 142 直流電源 144 バッキングプレート

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発熱体を保護する保護膜として、セラミッ
    クを主成分とする下層保護膜と、前記下層保護膜を面積
    比で5%〜95%の被覆率で不連続的に覆う、炭素を主
    成分とする上層保護膜とを有することを特徴とするサー
    マルヘッド。
  2. 【請求項2】前記上層保護膜が、前記下層保護膜上に点
    在する、もしくはパターニングされて形成されたもので
    ある請求項1に記載のサーマルヘッド。
  3. 【請求項3】サーマルヘッドの発熱体を覆ってセラミッ
    クを主成分とするセラミック膜を形成した後、前記セラ
    ミック膜を全面的に覆って炭素を主成分とする炭素膜を
    形成し、前記炭素膜の少なくとも一部をレジストで覆っ
    て、この炭素膜をエッチングした後に、前記レジストを
    除去することにより、セラミックを主成分とする下層保
    護膜と、この下層保護膜を不連続的に覆う炭素を主成分
    とする上層保護膜とを形成することを特徴とするサーマ
    ルヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】サーマルヘッドの発熱体を覆ってセラミッ
    クを主成分とするセラミック膜を形成した後、炭素を主
    成分とするガスもしくは炭素を主成分とする固体の蒸発
    物を加速して前記セラミック膜に照射することにより、
    セラミックを主成分とする下層保護膜と、前記下層保護
    膜を不連続的に覆う炭素を主成分とする上層保護膜とを
    形成することを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。
JP14788098A 1997-07-11 1998-05-28 サーマルヘッドおよびサーマルヘッドの製造方法 Withdrawn JPH1178091A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020076996A (ja) * 2018-11-06 2020-05-21 学校法人東京理科大学 モスアイ転写型及びモスアイ転写型の製造方法
JP2020163654A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 ローム株式会社 サーマルプリントヘッド

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JP2020076996A (ja) * 2018-11-06 2020-05-21 学校法人東京理科大学 モスアイ転写型及びモスアイ転写型の製造方法
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