JPH1179796A - 複層ガラス構造 - Google Patents

複層ガラス構造

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JPH1179796A
JPH1179796A JP9231447A JP23144797A JPH1179796A JP H1179796 A JPH1179796 A JP H1179796A JP 9231447 A JP9231447 A JP 9231447A JP 23144797 A JP23144797 A JP 23144797A JP H1179796 A JPH1179796 A JP H1179796A
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Takashi Shibuya
崇 澁谷
Shogo Kodera
省吾 小寺
Yoshitaka Matsuyama
祥孝 松山
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生産性の高い複層ガラスを安価にかつ簡便に提
供する。 【解決手段】スペーサ2が、(A)分子中に少なくとも
1個のアルケニル基を有する分子量500〜30000
0の炭化水素系重合体、(B)分子中に少なくとも2個
のヒドロシリル基を有する硬化剤、(C)ヒドロシリル
化触媒、および(D)接着性付与剤を必須成分とするゲ
ル化分率が50〜100%である架橋型の飽和炭化水素
系樹脂組成物からなる複層ガラス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂製スペーサを
用いた複層ガラス構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、複層ガラスは省エネルギーの観点
から注目され、その需要が増加しつづけている商品であ
る。その製造には多くの工程が必要であるため、通常の
ガラス板に比べコストが高く、さらなる低コスト化が望
まれている。
【0003】現在の複層ガラスの多くは、図2に示すよ
うに、最低2枚のガラス板1a,1bをスペーサ12を
介して対向させ、ガラス板1a,1bとの間に中空層を
形成してなる。そして、ガラス板1a,1bとアルミニ
ウムスペーサ12との間に一次シール材3を介在させる
ことによって、中空層を外気から遮断し、対向している
それらのガラス板の周縁部の内面とスペーサ外周面とで
構成された空隙(凹部)をポリスルフィド系またはシリ
コーン系で代表される常温硬化型の二次シール材で封着
してなっている。
【0004】これまで、複層ガラスの製造工程におい
て、種々の簡略化あるいは自動化による生産性改良、ひ
いてはコストダウンなどが検討され、提案されてきた。
例えば、アルミニウムスペーサを折り曲げ方式にした
り、二次シール材の塗布方法を自動化させることが挙げ
られる。また、図3に示すようにアルミニウムスペーサ
の代わりに乾燥剤を練り込んだ樹脂をスペーサ4として
用いる方法も提案されてきている。
【0005】しかし、こうした常温硬化型シール材を用
いた複層ガラスでは、用いられるスペーサの種類を問わ
ず、複層ガラス製造後、シール材の硬化のために長時間
の養生を必要とする。そのため養生終了までは製品を出
荷できない。
【0006】したがって、工場内に養生スペースを設
け、ある一定時間製品を保管した後に出荷しなければな
らず、納期が長期化し、客先の要望に必ずしも応えられ
なかった。また、将来的に増加する需要に対応するに
は、これまで以上の養生スペースが必要となるため、こ
れを回避し、十分な複層ガラスの供給量を確保するため
には、養生期間の短縮が必要と考えられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】複層ガラスの低コスト
化の点からは、乾燥剤を練り込んだ樹脂からなる成形物
をスペーサとして用い、二次シール材を用いずに複層ガ
ラスを製造する方法が提案されている(特公昭61−2
0501)。しかし、このスペーサ用樹脂はスペーサと
しては硬度が不足し、実際には上記樹脂からなるスペー
サ単独では複層ガラスとしての形状の維持が困難であっ
た。
【0008】また、押出成形可能な硬質樹脂、例えば、
塩化ビニル樹脂やホットメルトブチルなどの熱可塑性樹
脂に乾燥剤を練り込んだJIS A硬度(HsA)95
の硬さを有する材料をスペーサとして用いる複層ガラス
が知られている(特開平7−17748)。しかし、こ
のHsA95の硬さを有する材料を、複層ガラスのスペ
ーサまたはシール材として用いた場合には、複層ガラス
のシール部またはガラス板にかかる応力が大きく、シー
ル部の剥離や複層ガラス自体のガラス割れが生じるなど
の難点がある。したがって現状では、二次シール材を用
いずに、複層ガラスとして要求されるスペーサのみで寿
命、形状維持性、成形性などの特性を全て満足する複層
ガラスは知られていない。
【0009】本発明の目的は、上記の二次シール材を実
質的に必要としない、縮合型硬化性を有するスペーサ用
樹脂組成物を用いた複層ガラス構造を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決すべくなされたものであり、2枚以上のガラス板
が、その間に中空層を形成するように樹脂製スペーサを
介して隔置されて対向配置された複層ガラス構造におい
て、前記スペーサは、架橋型の飽和炭化水素系樹脂組成
物が架橋した樹脂材料であって、架橋後のゲル化分率が
50〜100%である樹脂材料からなることを特徴とす
る複層ガラス構造を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明をさ
らに詳細に説明する。図1は、本発明の複層ガラスの構
成の一例を示す断面図であり、複層ガラス10は、2枚
のガラス板1aおよび1bを、以下の配合割合の熱可塑
性樹脂組成物が架橋した樹脂材料からなるスペーサ2の
みによって所定の間隔に保持されている。なお、上記の
「スペーサ2のみによる」の意味は、他に二次シール材
や金属製のスペーサなどを不要とすることを指すもので
あり、必要に応じて適用されるプライマー処理を含むも
のとする。
【0012】本発明におけるスペーサ用樹脂組成物は、
架橋後のゲル化分率が50〜100%である架橋型の飽
和炭化水素系樹脂組成物である。
【0013】本発明においては、飽和炭化水素系樹脂組
成物が下記の成分(A)、(B)、(C)および(D)
を必須成分とすることが好ましい。(A)分子中に少な
くとも1個のアルケニル基を有する分子量500〜30
0000の炭化水素系重合体、(B)分子中に少なくと
も2個のヒドロシリル基を有する硬化剤、(C)ヒドロ
シリル化触媒、(D)接着性付与剤。
【0014】また、本発明の複層ガラスにおいては、成
分(A)の重合体中にイソブチレン単量体の繰り返し単
位を50重量%以上含み、成分(B)の硬化剤が分子中
に少なくとも1個のヒドロシリル基を含有するポリオル
ガノハイドロジェンシロキサンに由来する1価の基を少
なくとも2個有する有機系硬化剤であるか、分子中にポ
リオルガノハイドロジェンシロキサンに由来する1価の
基以外の少なくとも2個のヒドロシリル基を含有する有
機系硬化剤であり、成分(D)の接着性付与剤が後記の
一般式(I)〜(V)で示されるジグリシジルアミン類
(I)、アクリル酸エポキシ基含有エステル類(I
I)、2,4,6−トリオキソトリアジン類(II
I)、アルコキシシリルイソシアネート類(IV)およ
びジイソシアネート類(V)から選ばれる接着性化合物
のうちの少なくとも1種を含有することが、それぞれ好
ましい。
【0015】また、本発明においては、飽和炭化水素系
樹脂組成物に一液性を付与することを目的とする場合に
は、成分(A)〜(D)にさらに成分(E)の保存安定
性改良剤を含有させることができる。
【0016】成分(A)は、分子中に少なくとも1個の
アルケニル基を有する分子量500〜300000の炭
化水素系重合体であり、1分子中にアルケニル基を1〜
10個有していることが好ましく、1〜5個有している
ことがさらに好ましい。
【0017】ここで、炭化水素系重合体とは、主骨格に
芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しな
い重合体を意味する概念であり、アルケニル基を除く主
鎖を構成する繰り返し単位が飽和炭化水素から構成され
ることを意味する。
【0018】成分(A)である炭化水素系重合体の骨格
をなす重合体は、1)エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、イソブチレン等の炭素数2〜6のオレフィン系化合
物を主モノマーとして重合させる、2)ブタジエン、イ
ソプレン等のジエン系化合物を単独重合させたり、ある
いはオレフィン系化合物とジエン系化合物とを共重合さ
せたりした後、水素添加するなどの方法により得ること
ができる。
【0019】これらの方法により得られる重合体のう
ち、末端に官能基を導入しやすい、分子量を制御しやす
い、末端官能基の数を多く導入することができる等の点
から、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重
合体または水添ポリイソプレン系重合体が望ましい。
【0020】イソブチレン系重合体は、単量体単位の全
てがイソブチレンから構成されるホモポリマーであって
もよく、非透湿性の向上のためにはイソブチレンと共重
合性を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中に好
ましくは50%(重量%、以下同様)以下、さらに好ま
しくは30%以下、特に好ましくは10%以下の範囲で
含有するコポリマーであってもよい。
【0021】このような共重合成分としては、例えば炭
素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビ
ニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類等が挙げ
られる。このような共重合性単量体の具体例としては、
例えば1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテ
ン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−
1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、メチ
ルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチル
ビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメ
チルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−ヘキセ
ニルオキシスチレン、p−アリロキシスチレン、p−ヒ
ドロキシスチレン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビ
ニルトリメチルシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジ
ビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチル
シラン、テトラビニルシラン、アリルジメチルメトキシ
シラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジメトキシ
シラン、ジアリルジメチルシラン等の他に、β−ピネ
ン、インデン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメ
チルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0022】水添ポリブタジエン系重合体や他の炭化水
素系重合体においても、イソブチレン系重合体の場合と
同様に、主成分となる単量体単位の他にその共重合性単
量体単位を含有させてもよい。また、成分(A)として
用いる炭化水素系重合体には、本発明の目的が達成され
る範囲で、ブタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサジ
エン、1,9−デカジエン、1,13−テトラデカジエ
ン等のポリエン化合物のように、重合後二重結合の残る
ような単量体単位を少量、好ましくは10%以下の範囲
で含有させてもよい。
【0023】成分(A)の炭化水素系重合体は、前述し
たとおり、分子量500〜300000のものが用いら
れるが、数平均分子量が500〜100000程度のも
のが好ましく、特に1000〜40000程度の流動性
を有する粘稠な液体であるものが取り扱いやすさ等の点
から好ましい。
【0024】アルケニル基を炭化水素系重合体に導入す
る方法については、種々提案されているものを採用する
ことができるが、重合後にアルケニル基を導入する方法
と重合中にアルケニル基を導入する方法に大別すること
ができる。重合後にアルケニル基を導入する方法として
は、例えば末端、主鎖または側鎖に水酸基を有する場合
は、その水酸基を−ONaや−OK等のメタルオキシ基
に変換した後、下記一般式(VI)で示される不飽和ハ
ロゲン化合物を反応させることにより、アルケニル基を
有する炭化水素系重合体が製造される。
【0025】 CH2 =CH−R13−X (VI) [式中、Xは塩素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を
表す。R13は、−R14−、−R14’−OC(=O)−ま
たは−R14”−C(=O)−(ここで、R14、R14’、
R14”は、それぞれ炭素数1〜20の2価の炭化水素基
であり、好ましい例としてはアルキレン基、シクロアル
キレン基、アリレーン基、アラルキレン基が挙げられ
る)で示される2価の有機基を表し、メチレン基または
下記構造式(ここで、R15は炭素数1〜10の2価の炭
化水素基である)で示される2価の炭化水素基が特に好
ましい。]
【0026】
【化3】
【0027】ヒドロキシ炭化水素系重合体の例えば末端
水酸基をメタルオキシ基に変換する方法としては、N
a、K等のアルカリ金属、NaH等の金属水素化物、N
aOCH3 等の金属アルコキシド、苛性ソーダ、苛性カ
リ等の苛性アルカリなどと反応させる方法が挙げられ
る。
【0028】一般式(VI)で示される不飽和ハロゲン
化合物の具体例としては、例えばアリルクロライド、ア
リルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、ア
リル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチ
ル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリ
ル(クロロメトキシ)ベンゼン、1−ヘキセニル(クロ
ロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)
ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。これらの不飽和ハロゲン化合物(VI)のなか
では、安価でかつ容易に反応することからアリルクロラ
イドが好ましい。
【0029】エーテル化反応では、出発原料として使用
した末端ヒドロキシ基置換炭化水素系重合体とほぼ同じ
分子量を有する末端アルケニル基含有炭化水素系重合体
が得られる。一方、より高分子量の重合体を得たい場合
には、不飽和ハロゲン化合物(VI)を反応させる前
に、塩化メチレン、ビス(クロロメチル)ベンゼン、ビ
ス(クロロメチル)エーテル等の1分子中にハロゲン原
子を2個以上含む多価有機ハロゲン化合物と反応させれ
ばよい。そして、その後不飽和ハロゲン化合物(VI)
と反応させると、より高分子量でかつ末端にアルケニル
基を有する炭化水素系重合体を得ることができる。
【0030】また、例えば共有結合した塩素原子を有す
るイソブチレン系重合体にアルケニル基を導入する方法
としては、特に制限はないが、i)種々のアルケニルフ
ェニルエーテル類と上記重合体とのフリーデルクラフツ
反応を行う方法、ii)アリルトリメチルシラン等と上
記重合体とをルイス酸の存在下に置換反応を行う方法、
およびiii)種々のフェノール類と上記重合体とのフ
リーデルクラフツ反応を行って水酸基を導入した上で、
さらにアルケニル基導入方法を併用する方法等が挙げら
れる。
【0031】重合中にアルケニル基を導入する他の方法
としては、例えば次の方法が挙げられる。すなわち、開
始剤兼連鎖移動剤としてハロゲン原子を有し、該ハロゲ
ン原子が結合する炭素原子が芳香環炭素に結合している
化合物および/または該炭素原子が第3級炭素原子であ
る化合物を使用し、かつ触媒としてルイス酸を使用して
イソブチレンを含有するカチオン重合性モノマーをカチ
オン重合させるに当たり、アリルトリメチルシランを重
合系に添加することによるアリル基を末端に有するイソ
ブチレン系重合体の製造法がある。他の方法としては、
1,9−デカジエンのような非共役ジエン類やp−ヘキ
セニルオキシスチレンのようなアルケニルオキシスチレ
ン類を重合系に添加することによるアルケニル基を主鎖
または側鎖の末端に有するイソブチレン系重合体の製造
法が挙げられる。
【0032】なお、カチオン重合触媒成分として用いら
れるルイス酸は、一般式MX’b (式中、Mは金属原
子、X’はハロゲン原子であり、bは金属原子の原子価
である)で表されるもの、例えばBCl3 、Et2 Al
Cl、EtAlCl2 、AlCl3 、SnCl4 、Ti
Cl4 、VCl5 、FeCl3 、BF3 等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。これらのルイス
酸のうち、BCl3 、SnCl4 、BF3 等が好まし
く、更に好ましいものとしてTiCl4 が挙げられる。
ルイス酸の使用量は開始剤兼連鎖移動剤のモル数に対し
て0.1〜10倍が好ましく、更に好ましくは2〜5倍
である。
【0033】本発明において、成分(B)である硬化剤
としては分子内に少なくとも2個のヒドロシリル基を含
有するものであれば、制限はない。ここで、ヒドロシリ
ル基1個とはSiH基1個をさす。したがって、同一S
iに水素原子が2個結合している場合はヒドロシリル基
2個と計算する。(B)成分としては、ポリオルガノハ
イドロジェンシロキサンが好ましいものの一つに挙げら
れ、その構造については具体的に示すと、化4などで示
される鎖状、環状のものが挙げられる。
【0034】
【化4】
【0035】また、成分(B)としては、分子中に少な
くとも1個のヒドロシリル基を含有するポリオルガノハ
イドロジェンシロキサンに由来する1価の基を少なくと
も2個有する有機系硬化剤も好ましい。このような有機
系硬化剤の好ましい例としては、下記一般式(VII)
で示される有機系硬化剤が挙げられる。
【0036】 R16Yc (VII) [式中、Yは少なくとも1個のヒドロシリル基を含むポ
リオルガノハイドロジェンシロキサンに由来する1価の
基、R16は炭素数2〜2000の1〜4価の炭化水素
基。cは、2〜4から選ばれる整数。]
【0037】式(VII)中のYを具体的に例示するな
らば、化5等で示される鎖状、環状のものが挙げられ
る。
【0038】
【化5】
【0039】上記の各種のポリオルガノハイドロジェン
シロキサンに由来する1価の基のうち、本発明の(B)
成分であるヒドロシリル基含有硬化剤の(A)成分等の
各種有機重合体に対する相溶性を損なう可能性が少ない
という点を考慮すれば、特に下記のものが好ましい。
【0040】
【化6】
【0041】また、式(VII)中、R16は炭素数2〜
2000の1〜4価の炭化水素基であり制限はないが、
各種有機重合体に対する相溶性、さらにヒドロシリル基
の反応性も考慮すれば、特に飽和炭化水素基などが好ま
しい。また、成分(B)としては、分子中にポリオルガ
ノハイドロジェンシロキサンに由来する1価の基以外の
少なくとも2個のヒドロシリル基を含有する有機系硬化
剤も好ましい。この有機系硬化剤の好ましい例として
は、下式(VIII)で表される有機系硬化剤が挙げら
れる。
【0042】 R17Yd (VIII) [式中、Yは少なくとも2個のヒドロシリル基を含む、
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンに由来する1価
の基以外の基、R17は炭素数2〜2000の1〜4価の
炭化水素基。dは、1〜4から選ばれる整数。]
【0043】一般式(VIII)中のYを具体的に例示
するならば、−Si(H)d (CH3 )3-d 、−Si
(H)d (C2 H5 )3-d 、−Si(H)d (C6 H
5 )3-d、−SiH2 (C6 H13)(上記式中、dはそ
れぞれ1〜3の整数である)などのケイ素原子を1個だ
け含有する基や、例えば下記構造式で示されるケイ素原
子を2個以上含む基等が挙げられる。
【0044】
【化7】
【0045】また、式(VIII)中、R17は炭素数2
〜2000の1〜4価の炭化水素基であり制限はない
が、各種有機重合体に対する相溶性を損なう可能性が少
ないという点、さらにヒドロシリル基の反応性も考慮す
れば、特に飽和炭化水素基などが好ましい。
【0046】式(VII)、(VIII)中に含まれる
ヒドロシリル基の個数については、少なくとも1分子中
に2個あればよいが、2〜15個が好ましく、3〜12
個が特に好ましい。本発明における飽和炭化水素系樹脂
組成物をヒドロシリル化反応により硬化させる場合に
は、該ヒドロシリル基の個数が2より少ないと、硬化が
遅くしかも硬化不良を起こす場合が多い。また、該ヒド
ロシリル基の個数が15より多くなると、(B)成分で
ある硬化剤の安定性が悪くなり、その上硬化後も多量の
ヒドロシリル基が硬化物中に残存し、ボイドやクラック
の原因となる。
【0047】成分(B)の硬化剤を製造する方法につい
ては、特に制限はなく任意の方法を用いればよい。例え
ば、i)分子内にSi−Cl基を有する炭化水素系化合
物をLiAlH4 、NaBH4 等の還元剤で処理して該
化合物中のSi−Cl基をSi−H基に還元する方法、
ii)分子内にある官能基Wを有する炭化水素系化合物
と分子内に該官能基Wと反応する官能基Zおよびヒドロ
シリル基を同時に有する化合物とを反応させる方法、i
ii)不飽和炭化水素系化合物に対して少なくとも2個
のヒドロシリル基を有するポリヒドロシラン化合物を付
加させることにより、反応後もヒドロシリル基を該炭化
水素系化合物の分子中に残存させる方法等が例示され
る。
【0048】上記の方法のうち、iii)の方法が製造
工程が一般に簡便なため好適に採用することができる。
この場合、一部のポリヒドロシラン化合物のヒドロシリ
ル基の2個以上が不飽和炭化水素系化合物のアルケニル
基と反応して、分子量が増大する場合があるが、反応生
成物を成分(B)として用いても何らさしつかえない。
【0049】上記のようにして製造される成分(B)中
のヒドロシリル基と成分(A)中のアルケニル基との比
率は、モル比で0.2〜5.0が好ましく、さらに0.
4〜2.5が特に好ましい。モル比が0.2より小さく
なると、本発明における組成物を硬化させた場合に硬化
が不十分で強度の小さいベトツキのある硬化物しか得ら
れない。また、モル比が5.0より大きくなると、硬化
後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が多量に残存する
ので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度の大きい
硬化物が得られない傾向がある。
【0050】本発明の成分(C)であるヒドロシリル化
触媒については、特に制限はなく任意のものが使用でき
る。触媒を具体的に例示すれば、白金の単体、塩化白金
酸、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固
体白金を担持させたものの他に、下記の白金錯体等が挙
げられる。
【0051】・白金−ビニルシロキサン錯体:例えば、
(Pt)e (ViMe2 SiOSiMe2 Vi)e 、P
t[(MeViSiO)4 ]f ; ・白金−ホスフィン錯体:例えば、Pt(PPh3 )
4 、Pt(PBu3 )4 ; ・白金−ホスファイト錯体:例えば、Pt[P(OP
h)3 ]4 、Pt[P(OBu)3 ]4 ; ・白金−活性水素含有化合物錯体:例えば、ビスアセチ
ルアセトナト白金[Pt(AcCH2 Ac)2 ]、ビス
エチルアセトアセタト白金[Pt(AcCH2 COOE
t)2 ](式中、Viはビニル基、Meはメチル基、P
hはフェニル基、Buはブチル基、Acはアセチル基、
Etはエチル基を表す。また、e、fは整数である。)
【0052】また、米国特許第3159601号明細書
および米国特許第3159662号明細書中に記載され
た白金−炭化水素複合体、米国特許第3220972号
明細書中に記載された白金アルコラート触媒も挙げられ
る。
【0053】白金化合物以外のヒドロシリル化触媒の例
としては、RhCl(PPh3 )3、RhCl3 、Rh
/Al2 O3 、RuCl3 、IrCl3 、FeCl3 、
AlCl3 、PdCl2 ・2H2 O、NiCl2 、Ti
Cl4 等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用して
もよくあるいは2種以上併用してもよい。触媒活性の点
から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニ
ルシロキサン錯体、ビスアセチルアセトナト白金等が好
ましい。触媒量としては特に制限はないが、成分(A)
中のアルケニル基1モルに対して10-1〜10-8モルの
範囲で用いるのがよい。好ましくは10-2〜10-6モル
の範囲で用いるのがよい。また、ヒドロシリル化触媒
は、一般に高価で腐食性があり、また水素ガスを大量に
発生して硬化物が発泡してしまうことがあるので、10
-1モル以上使用しいないことが望ましい。
【0054】本発明においては、成分(C)のヒドロシ
リル化触媒の存在下に、アルケニル基に対するSi−H
基の付加反応によって飽和炭化水素系樹脂組成物が硬化
するので、硬化速度が非常に速く、ライン生産を行うう
えで好都合である。
【0055】本発明の成分(D)である接着性付与剤と
しては、下記一般式(I)〜(V)で示される化合物で
あることが好ましく、付加型硬化させる際の硬化障害の
問題もなく使用することができる。
【0056】
【化8】
【0057】[式中、R1 、R3 、R8 、R11は、炭素
数1〜20の2価の有機基を表し、それぞれ同一でも異
なっていてもよい。R2 はアルコキシシリル基または下
記構造式で示される基から選ばれる1種を表し、R4 は
水素原子または炭素数1〜10の1価の有機基を表す。
R5 、R6 、R7 は、水素原子または炭素数1〜20の
1価の有機基を表し、それぞれ同一でも異なっていても
よい。R9 は水素または炭素数1〜10の1価の有機基
を表し、R10はアルコキシ基を表す。また、aは1また
は2の整数を意味する。]
【0058】
【化9】
【0059】[ここで、R12は炭素数1〜6のアルキル
基である。]
【0060】一般式(I)〜(V)におけるR1 、R
8 、R11として好ましい有機基は、アルキレン基、シク
ロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アラ
ルキレン基等である。R3 として好ましい有機基は、ア
ルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、ア
リーレン基、アラルキレン基等であり、これらの炭化水
素残基の末端に酸素原子が置換したり、鎖状炭素原子間
に1〜3個の酸素原子が介在してもよい。
【0061】R4 として好ましい有機基は、アルキル
基、アリール基、アラルキル基等である。R5 、R6 、
R7 、R9 として好ましい有機基は、アルキル基、アル
コキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルケニ
ルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキ
ル基、アラルキルオキシ基、グリシジル基、グリシジル
オキシ基、ヒドロキシアルキル等である。
【0062】成分(D)として使用することができる接
着性付与剤を具体的に例示すれば、下記の化合物を挙げ
ることができる。
【0063】
【化10】
【0064】
【化11】
【0065】
【化12】
【0066】
【化13】
【0067】(E)成分である保存安定性改良剤は、飽
和炭化水素系樹脂組成物の保存安定性を改良するために
添加するものであり、(B)成分の保存安定剤として知
られている通常の安定剤で、所期の目的を達成するもの
であればよく、特に限定されるものではない。具体的に
は、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合
物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、
有機過酸化物等を好適に用いることができる。さらに具
体的には、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾ
チアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカル
ボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレー
ト、BHT、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミン
E、2−(4−モルフォジニルジチオ)ベンゾチアゾー
ル、3−メチル−1−ブテン−3−オール、アセチレン
性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコ
ール、3−メチル−1−ブチル−3−オール、ジアリル
フマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレー
ト、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2−ペ
ンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げら
れ、特にポットライフ/速硬化性の両立という点でチア
ゾール、ベンゾチアゾールが好ましいが、これらに限定
されるわけではない。保存安定性改良剤の使用量は、
(A)成分および(B)成分1モルに対して、10-6〜
10-1モルの範囲で用いることが好ましい。この量が1
0-6未満では(B)成分の保存安定性が十分に改良され
ず、また10-1モルを超えると硬化を阻害することがあ
るからである。保存安定性改良剤は単独で用いても、ま
た2種以上を混合して用いてもよい。
【0068】本発明に使用される飽和炭化水素系樹脂組
成物には乾燥剤の他、必要に応じて各種の添加物が添加
される。このような添加物の例としては、可塑剤、充填
剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、金属
不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、リン系過酸
化物分解剤、滑剤、顔料等が挙げられる。
【0069】乾燥剤としては、特に限定されるものでは
なく、一般に用いられている乾燥剤が使用できるが、ゼ
オライト、シリカゲル、アルミナなどが好ましい。
【0070】また、可塑剤は本発明における組成物と相
溶性の良いものが好ましい。このような可塑剤の具体例
としては、例えばポリブテン、水添ポリブテン、エチレ
ン−α−オレフィンオリゴマー、α−メチルスチレンオ
リゴマー、ビフェニル、トリフェニル、トリアリールジ
メタン、アルキレントリフェニル、水添液状ポリブタジ
エン、アルキルジフェニル、部分水素添加ターフェニ
ル、パラフィン油、ナフテン油、アタクチックポリプロ
ピレン等、好ましくは不飽和結合を含まない水添ポリブ
テン、水添液状ポリブタジエン、パラフィン油、ナフテ
ン油、アタクチックポリプロピレン等の炭化水素系化合
物類;塩化パラフィン類;ジブチルフタレート、ジヘプ
チルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレー
ト、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチル
グリコレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジ
ペート、ジオクチルセバケート等の脂肪族2塩基酸エス
テル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエ
チレングリコールジベンゾエート等のポリアルキレング
リコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、ト
リブチルホスフェート等のリン酸エステル類などが挙げ
られる。これらは単独で用いてもよくあるいは2種以上
併用してもよい。
【0071】これらのうちでは、炭素−炭素不飽和結合
を持たない炭化水素系化合物類が、炭化水素系重合体
(A)との相溶性および耐候性が良好で、樹脂組成物の
硬化速度への影響が小さく、かつ安価なため好ましい。
可塑剤を用いる場合の使用量は、炭化水素系重合体
(A)100部に対して10〜500部が好ましく、2
0〜300部がさらに好ましい。
【0072】充填剤の具体例としては、例えばガラス繊
維、炭素繊維、マイカ、グラファイト、ケイソウ土、白
土、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、カー
ボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化
チタン、炭酸マグネシウム、石英、アルミニウム微粉
末、フリント粉末、亜鉛末等が挙げられる。これら充填
剤のうちでは、沈降性シリカ、ヒュームシリカ、カーボ
ンブラック等の構造粘性(チキソトロピー性)を有する
充填剤や、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク等が好
ましい。
【0073】充填剤を用いる場合の使用量は、炭化水素
系重合体(A)100部に対して10〜500部が好ま
しく、20〜300部がさらに好ましい。
【0074】老化防止剤としては、一般に用いられてい
る老化防止剤、例えばクエン酸系、リン酸系、硫黄系老
化防止剤等が用いられる。硫黄系老化防止剤としては、
メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカル
ボン酸エステル類やヒンダードフェノール系スルフィド
類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカル
バミン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、ス
ルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、
メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、
ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げ
られる。
【0075】このような硫黄系老化防止剤の具体例とし
ては、2−メルカプトベンゾチアゾール等のメルカプタ
ン類;2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩等のメ
ルカプタンの塩類;4,4’−チオ−ビス(3−メチル
−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス
(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’
−チオ−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブ
チルベンジル)スルフィド、テレフタロイル−ジ(2,
6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジ
ル)スルフィド、フェノチアジン、2,2’−チオ−ビ
ス(4−オクチルフェノール)ニッケル、チオジプロピ
オン酸ラウリル、チオジプロピオン酸ステアリル、チオ
ジプロピオン酸ミリスチル、チオジプロピオン酸トリデ
シル、β,β’−チオジ酪酸ステアリル、チオジプロピ
オン酸のラウリル−ステアリルエステル、2,2’−チ
オ−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオン酸エチル〕等のスルフィド
類;2−ベンゾチアゾールジスルフィド等のポリスルフ
ィド類;ジンクジ−i−ブチルジチオカルバメイト、ジ
ンクジエチルジチオカルバメイト、ニッケルジブチルジ
チオカルバメイト、ジンクジ−n−ブチルジチオカルバ
メイト、ジブチルアンモニウムジブチルジチオカルバメ
イト、ジンクエチル−フェニル−ジチオカルバメイト、
ジンクジメチルカルバメイト等のジチオカルバミン酸塩
類;1−ブチル−3−オキシ−ジエチレン−2−チオウ
レア、ジ−o−トリル−チオウレア、エチレンチオウレ
ア等のチオウレア類;トリラウリルトリチオホスフェイ
ト等のチオホスフィン類などを挙げることができる。
【0076】老化防止剤を本発明の飽和炭化水素系樹脂
組成物に添加した場合、他の老化防止剤に比べて、主鎖
の熱による分解劣化を大幅に防止することができ、表面
タック(ベトツキ)の発生等を防止することができる。
老化防止剤の使用量は、炭化水素系重合体(A)100
部に対して0.01〜50部が好ましく、0.1〜5部
がさらに好ましい。
【0077】ラジカル禁止剤としては、例えば2,2’
−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、テトラキス[メチレン−ビス−3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、β−
ナフリルアニリン、α−ナフチルアミン、N,N’−第
二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、
N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のア
ミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
【0078】紫外線吸収剤としては、例えば2−(2−
ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。上述のよ
うに、飽和炭化水素系樹脂組成物に用いる重合体は室温
で容易に硬化させることができ、優れた機械的性質を有
し、ガラスに長期間にわたって安定して接着させること
が可能なゴム状物にすることができる。また、本発明に
使用される飽和炭化水素系樹脂組成物は保存安定性が良
好であり、湿気を遮断した状態では長時間安定であるの
で、作業性のよい一液型シーリング剤としても用いるこ
とが可能である。さらに、飽和炭化水素系樹脂組成物
は、常温で適度な粘性、チキソトロピー性を有する流動
状物にすることができ、複層ガラス製造時の作業性等が
良好である。そして、本発明に使用される飽和炭化水素
系樹脂組成物が架橋した樹脂材料は、湿気透過性が低
く、耐候性、耐候接着性が良好である。
【0079】本発明に使用される飽和炭化水素系樹脂組
成物は、以上のような特性を有しており、従来のスペー
サ部材のように1次、2次シール材を必要とせず、架橋
させて得られる樹脂材料のみで複層ガラスのスペーサと
して用いることができる。
【0080】ゲル化分率は、架橋後の樹脂材料を秤量
し、これを100mlのトルエン中に24時間浸漬し、
その後溶媒を100℃にて24時間乾燥し、完全に溶媒
を揮発させた後の架橋後の樹脂材料の重量を測定し、次
式によって算出される。ゲル化分率=[{(溶媒に浸漬
する前の重量)−(溶媒に浸漬した後の乾燥重量)}/
(溶媒に浸漬する前の重量)]×100。
【0081】また、上記した樹脂組成物からなるスペー
サの硬化架橋の割合は、ゲル化分率であらわして50〜
100%の間である事が好ましく70〜100%の間が
特に好ましい。ゲル化分率が、50%未満の場合には、
スペーサが熱により溶融することに起因して、ガラスの
ずれが生じる場合があるため好ましくない。
【0082】成形法としては押出し成形法や射出成形法
などの溶融成形法を使用できる。また成形操作と連続し
て成形物を、2枚以上のガラス板が対向配置された複層
ガラス材料の端部に配置して複層ガラスを製造できる。
この場合成形機から出た高温の組成物を用いることによ
り、ガラス板との高い接着性が得られる。また、アプリ
ケータなどの装置を用いて組成物の温度低下を抑制しな
がら、複層ガラス材料に適用することもできる。この装
置としては加熱可能なものが好ましい。
【0083】以上のように、本発明におけるスペーサ用
樹脂組成物は、上記成分を混練して調製される。その調
製に際しては、樹脂組成物の架橋後に得られる樹脂材料
のJIS A硬度が25℃において90以下になるよう
に必要成分を配合することが好ましい。90以下とする
理由は次のようである。
【0084】JIS A硬度が90を超える樹脂を複層
ガラスのスペーサとして用いようとした場合、クリープ
がほとんど起きないために、JIS R3209に示さ
れた耐久試験を実施した際、高温下で空気の膨張による
応力がガラス板とスペーサとの接着界面にかかる。この
ため、接着力が不十分であれば剥離が発生し、仮に接着
力が確保されている場合でもガラスが割れるということ
が起きることがある。現在知られている接着剤でも、高
温あるいは高圧をかけることによって、中空層が膨張す
る応力に耐えるだけの接着力を得ることは可能である
が、高温高圧をかけることによってガラスの破損が発生
し、著しく生産性が低下するため、製造コスト低減を目
標とする本発明の目的には沿わない。
【0085】一方、硬度が低すぎると複層ガラスの形状
維持性に問題が生じるので、樹脂材料のJIS A硬度
は25℃において10以上になるように必要成分を配合
することが好ましい。さらにJIS A硬度が10以上
であっても硬度が比較的小さい場合、中空層の厚みが厚
いと板ずれを引き起こすことがある。
【0086】一般的に用いられる複層ガラスは、その中
空層の厚みが4〜18mm程度におよぶ(6mmまたは
12mmのものが多い)。したがって、硬度が比較的小
さい場合には中空層の厚みが6mmのものでは板ずれが
生じなくとも、12mmのものでは板ずれが生じてしま
うことがある。硬度を40以上にすることによって、中
空層の厚みが12mmのものであっても板ずれを生じな
いようにできる。このことから、本発明における複層ガ
ラスにおいて架橋型の飽和炭化水素系樹脂スペーサのJ
IS A硬度は40以上が好ましい。
【0087】また、スペーサ全体としての水蒸気透過係
数が5000×10-13 cm3 ・cm/cm2 ・sec
・Pa以下、さらに露点性能を維持するために水蒸気透
過係数が500×10-13 cm3 ・cm/cm2 ・se
c・Pa以下にすることが好ましい。
【0088】本発明の複層ガラスの構成に使用するガラ
ス板は、通常、建材、車両などに広く使用されている
窓、ドアなどのガラス板、強化ガラス、合わせガラス、
金属網入りガラス、熱線吸収ガラス、さらには、熱線反
射ガラス、低反射率ガラスなどのように、内面に金属や
他の無機物を薄くコートしたガラス板、有機ガラスと呼
ばれるアクリル樹脂板、ポリカーボネート板などであ
り、特に限定されない。
【0089】また、複層ガラスは2枚のガラス板から構
成されるものでもよく、3枚以上のガラス板から構成さ
れるものでもよい。
【0090】本発明の複層ガラスは、2枚のガラス板を
所定間隔(例えば6mm、12mm)に保持し、次に汎
用のアプリケーターを用い、本発明の樹脂組成物を、例
えば40〜80℃の温度で溶融させ、適当な先端形状を
もつダイから押出ながら、2枚のガラス板間に介在させ
て冷却することによって形成される。
【0091】この複層化の方法は一例であって、本発明
の複層ガラスの製造方法自体は上記方法に限定されず、
例えば、前記樹脂組成物から予め所望形状のスペーサを
成形しておき、これを例えば2枚のガラス板で熱圧着さ
せて形成してもよい。
【0092】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されない。
【0093】≪スペーサ用樹脂組成物の例≫ [組成例1]ポリイソブチレン(数平均分子量1000
0)の末端にアリル基を有する飽和炭化水素系重合体
(A)、(n−C8 H17)2 C(SiH2 CH3 )2 を
硬化剤(B)としてアリル基に対してモル比で1. 5使
用し、ヒドロキシリル化触媒(C)として塩化白金酸を
アリル基に対して10-3モル用い、接着性付与剤(D)
として式(IV−1)に示すアルコキシシリルイソシア
ネートを飽和炭化水素系樹脂100部に対して10部、
保存安定改良剤(E)ベンゾチアゾールを(A)成分お
よび(B)成分1モルに対して10-3モル用いる。さら
に、飽和炭化水素系樹脂100部に対して、可塑剤水添
ポリブテン50部、充填剤タルク50部、カーボンブラ
ック50部、接着性改良剤トリメトキシアミノシラン5
部、老化防止剤2−メルカプトベンゾチアゾール0.5
部、乾燥剤ゼオライト4Aパウダー50部からなるスペ
ーサ用組成物。上記組成物の架橋後の樹脂材料のゲル化
分率は70%であった。
【0094】[組成例2]ポリイソブチレン95重量%
とトリメトキシビニルシラン5重量%との共重合体(数
平均分子量5000)の末端にアリル基を有する飽和炭
化水素系重合体(A)、(n−C8 H17)2 C(SiH
2 CH3 )2 を硬化剤(B)としてアリル基に対してモ
ル比で1. 5使用し、ヒドロキシリル化触媒(C)とし
て塩化白金酸をアリル基に対して10-3モル用い、接着
性付与剤(D)として式(IV−1)に示すアルコキシ
シリルイソシアネートを飽和炭化水素系樹脂100部に
対して10部、保存安定改良剤(E)ベンゾチアゾール
を(A)成分および(B)成分1モルに対して10-3モ
ル用いる。さらに、飽和炭化水素系樹脂100部に対し
て、可塑剤水添ポリブテン50部、充填剤タルク50
部、カーボンブラック50部、接着性改良剤トリメトキ
シアミノシラン5部、老化防止剤2−メルカプトベンゾ
チアゾール0.5部、乾燥剤ゼオライト4Aパウダー5
0部からなるスペーサ用組成物。上記組成物の架橋後の
樹脂材料のゲル化分率は80%であった。
【0095】[組成例3]ポリイソブチレン95重量
%、イソプレン3重量%およびトリメトキシビニルシラ
ン2重量%の共重合体(数平均分子量5000)の末端
にアリル基を有する飽和炭化水素系重合体(A)、(n
−C8 H17)2 C(SiH2 CH3 )2 を硬化剤(B)
としてアリル基に対してモル比で1.5使用し、ヒドロ
キシリル化触媒(C)として塩化白金酸をアリル基に対
して10-3モル用い、接着性付与剤(D)として式(I
V−1)に示すアルコキシシリルイソシアネートを飽和
炭化水素系樹脂100部に対して10部、保存安定改良
剤(E)ベンゾチアゾールを(A)成分および(B)成
分1モルに対して10-3モル用いる。さらに、飽和炭化
水素系樹脂100部に対して、可塑剤水添ポリブテン5
0部、充填剤タルク50部、カーボンブラック50部、
接着性改良剤トリメトキシアミノシラン5部、老化防止
剤2−メルカプトベンゾチアゾール0.5部、乾燥剤ゼ
オライト4Aパウダー50部からなるスペーサ用組成
物。上記組成物の架橋後の樹脂材料のゲル化分率は78
%であった。
【0096】[組成例4]水添ポリブタジェン(数平均
分子量10000)の末端にアリル基を有する飽和炭化
水素系重合体(A)、(n−C8 H17)2 C(SiH2
CH3 )2 を硬化剤(B)としてアリル基に対してモル
比で1. 5使用し、ヒドロキシリル化触媒(C)として
塩化白金酸をアリル基に対して10-3モル用い、接着性
付与剤(D)として式(IV−1)に示すアルコキシシ
リルイソシアネートを飽和炭化水素系樹脂100部に対
して10部、保存安定改良剤(E)ベンゾチアゾールを
(A)成分および(B)成分1モルに対して10-3モル
用いる。さらに、飽和炭化水素系樹脂100部に対し
て、可塑剤水添ポリブテン50部、充填剤タルク50
部、カーボンブラック50部、接着性改良剤トリメトキ
シアミノシラン5部、老化防止剤2−メルカプトベンゾ
チアゾール0.5部、乾燥剤ゼオライト4Aパウダー5
0部からなるスペーサ用組成物。上記組成物の架橋後の
樹脂材料のゲル化分率は75%であった。
【0097】[組成例5]水添イソプレン(数平均分子
量10000)の末端にアリル基を有する飽和炭化水素
系重合体(A)、(n−C8 H17)2 C(SiH2 CH
3 )2 を硬化剤(B)としてアリル基に対してモル比で
1. 5使用し、ヒドロキシリル化触媒(C)として塩化
白金酸をアリル基に対して10-3モル用い、接着性付与
剤(D)として式(IV−1)に示すアルコキシシリル
イソシアネートを飽和炭化水素系樹脂100部に対して
10部、保存安定改良剤(E)ベンゾチアゾールを
(A)成分および(B)成分1モルに対して10-3モル
用いる。さらに、飽和炭化水素系樹脂100部に対し
て、可塑剤水添ポリブテン50部、充填剤タルク50
部、カーボンブラック50部、接着性改良剤トリメトキ
シアミノシラン5部、老化防止剤2−メルカプトベンゾ
チアゾール0.5部、乾燥剤ゼオライト4Aパウダー5
0部からなるスペーサ用組成物。上記組成物の架橋後の
樹脂材料のゲル化分率は65%であった。
【0098】≪複層ガラスの例≫次に、組成例1〜5の
スペーサ用樹脂組成物を用いて複層ガラスを作製した例
を示す。
【0099】[例1]組成例1のスペーサ用樹脂組成物
をアプリケーターを用いて、サイズ350×500m
m、厚さ5mmの2枚のフロートガラス板の間に6mm
の間隔を保ち、ガラス板の外周部にスペーサを押出成形
して本発明の複層ガラスを得た。
【0100】[例2〜5]例1と同様の手順で、組成例
2〜5のスペーサ用樹脂組成物を用い、他は例1と同様
にして複層ガラスを得た。
【0101】[評価方法] 耐板ずれ試験:得られた各複層ガラスの片側のガラス板
を固定し、他方のガラス板に13kgの荷重をかけ、2
5℃の温度条件で被荷重側のガラス板の低下量を測定し
た。その移動量が20分間で0.5mm以下であるもの
を合格とした。
【0102】加速耐久試験:JIS R3209にした
がい、厚さ6mmのスペーサを有する複層ガラスについ
て行った。
【0103】露点測定:JIS R3209に記載の装
置と方法にしたがって測定した。
【0104】これらの測定結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】表中、評価項目A〜Fおよび評価結果aは
それぞれ次のことを表す。 A:初期露点(6体中最も露点が高いもの)、 B:JIS R3209加速耐久試験1類終了後露点
(℃)、 C:JIS R3209加速耐久試験2類終了後露点
(℃)、 D:JIS R3209加速耐久試験3類終了後露点
(℃)、 E:JIS3類判定、 F:板ずれ、 評価結果a:露点−60℃以下。
【0107】表1の結果より(A)分子中に少なくとも
1個のアルケニル基を有する分子量500〜30000
0の炭化水素系重合体、(B)分子中に少なくとも2個
のヒドロシリル基を有する硬化剤、(C)ヒドロシリル
化触媒、(D)接着性付与剤からなるゲル化分率が50
〜100%である架橋型の飽和炭化水素系樹脂組成物に
乾燥剤が練り込まれた樹脂組成物がスペーサ用として最
適であることがあきらかである。
【0108】
【発明の効果】本発明によれば、アルミニウムなどの金
属スペーサの張り付けおよび二次シール材を充填する作
業を削減して、複層ガラス製造時の工程数を大幅に削減
でき、かつ複層ガラスが高い生産性および低コストで提
供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複層ガラスの構成の一例を示す断面図
【図2】従来の複層ガラスの構成の一例を示す断面図
【図3】従来の複層ガラスの構成の一例を示す断面図
【符号の説明】
10:複層ガラス 1a、1b:ガラス板 2:スペーサ 3:1次シール材 4:スペーサ 5:2次シール材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2枚以上のガラス板が、その間に中空層を
    形成するように樹脂製スペーサを介して隔置されて対向
    配置された複層ガラス構造において、前記スペーサは、
    架橋型の飽和炭化水素系樹脂組成物が架橋した樹脂材料
    であって、架橋後のゲル化分率が50〜100%である
    樹脂材料からなることを特徴とする複層ガラス構造。
  2. 【請求項2】前記飽和炭化水素系樹脂組成物は、(A)
    分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有する分子量
    500〜300000の炭化水素系重合体、(B)分子
    中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤、
    (C)ヒドロシリル化触媒、および(D)接着性付与剤
    を必須成分とすることを特徴とする請求項1記載の複層
    ガラス構造。
  3. 【請求項3】成分(A)の重合体中に、イソブチレン単
    量体の繰り返し単位を50重量%以上含むことを特徴と
    する請求項2記載の複層ガラス構造。
  4. 【請求項4】成分(B)の硬化剤が、分子中に少なくと
    も1個のヒドロシリル基を含有するポリオルガノハイド
    ロジェンシロキサンに由来する1価の基を少なくとも2
    個有する有機系硬化剤であることを特徴とする請求項2
    または3記載の複層ガラス構造。
  5. 【請求項5】成分(B)の硬化剤が、分子中にポリオル
    ガノハイドロジェンシロキサンに由来する1価の基以外
    の少なくとも2個のヒドロシリル基を含有する有機系硬
    化剤であることを特徴とする請求項2または3記載の複
    層ガラス構造。
  6. 【請求項6】成分(D)の接着性付与剤が、下記一般式
    (I)〜(V)で示される接着性化合物のうちの少なく
    とも1種を含有する請求項2〜5のいずれかに記載の複
    層ガラス。 【化1】 [式中、R1 、R3 、R8 、R11は、炭素数1〜20の
    2価の有機基を表し、それぞれ同一でも異なっていても
    よい。R2 はアルコキシシリル基または下記構造式(こ
    こで、R12は炭素数1〜6のアルキル基である)で示さ
    れる基から選ばれる1種を表し、R4 は水素原子または
    炭素数1〜10の1価の有機基を表す。R5 、R6 、R
    7 は、水素原子または炭素数1〜20の1価の有機基を
    表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R9 は水
    素または炭素数1〜10の1価の有機基を表し、R10は
    アルコキシ基を表す。また、aは1または2の整数を意
    味する。] 【化2】
  7. 【請求項7】前記スペーサの水蒸気透過係数が、500
    0×10-13 cm3 ・cm/cm2・sec・Pa以下
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
    の複層ガラス構造。
  8. 【請求項8】前記飽和炭化水素系樹脂組成物には乾燥剤
    が練り込まれていることを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれかに記載の複層ガラス構造。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002544117A (ja) * 1999-05-15 2002-12-24 ベトロテック サン−ゴバン(アンテルナショナル)アクチェンゲゼルシャフト 防火ガラス、その製造方法、その製造において用いる材料
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