JPH1187176A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法

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JPH1187176A
JPH1187176A JP9244199A JP24419997A JPH1187176A JP H1187176 A JPH1187176 A JP H1187176A JP 9244199 A JP9244199 A JP 9244199A JP 24419997 A JP24419997 A JP 24419997A JP H1187176 A JPH1187176 A JP H1187176A
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solid electrolytic
electrolytic capacitor
polymer layer
conductive polymer
polyaniline
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JP9244199A
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English (en)
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Kazutoshi Kaji
和利 鍛示
Minoru Nakamura
稔 中村
Takashi Aoyama
青山  隆
Michio Ogami
三千男 大上
Shinji Sano
真二 佐野
Yoshiki Hama
良樹 濱
Eiji Endo
英治 遠藤
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Hitachi Ltd
Lincstech Circuit Co Ltd
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Hitachi AIC Inc
Hitachi Ltd
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体電解質にポリアニリンまたはポリアニリ
ン誘導体を用い、等価直列抵抗やリーク電流を大幅に低
減可能にした固体電解コンデンサ及びその製造方法を提
供する。 【解決手段】 弁作用金属からなる陽極1と、陽極1表
面に陽極酸化で形成した誘電体酸化膜3と、酸化膜3上
に形成した導電性高分子層4とを備えた固体電解コンデ
ンサで、導電性高分子層4は、化学酸化重合法により形
成したポリアニリンまたはポリアニリン誘導体であり、
高分子層4内に化学酸化重合法に用いる酸化剤の反応副
生成物がポリアニリンまたはポリアニリン誘導体に対す
る重量分率で6%以下になっている。固体電解コンデン
サの製造時に、高分子層4を、化学酸化重合法に用いる
酸化剤の反応副生成物を溶解可能な溶液で処理し、さら
に空気、不活性ガス、酸素等の雰囲気中、大気圧または
それ以下の圧力で、反応副生成物の蒸発可能温度で熱処
理し、反応副生成物を蒸発させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質として
ポリアニリンまたはポリアニリン誘導体からなる導電性
高分子層を用い、導電性高分子層内に化学酸化重合法に
用いる酸化剤の反応副生成物がポリアニリンまたはポリ
アニリン誘導体に対する重量分率で6%以下である固体
電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、陽極を弁作用金属、例えば、タン
タルやアルミニウムで形成し、この陽極の表面を陽極酸
化して誘電体酸化膜を形成し、この誘電体酸化膜の表面
に固体電解質を形成した固体電解コンデンサにおいて
は、固体電解質として、二酸化マンガン(MnO2 )や
7、7’、8、8’−テトラシアノキノジメタン(TC
NQ)錯塩を用いていた このような固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、
固体電解質として二酸化マンガン(MnO2 )を用いた
場合、二酸化マンガン(MnO2 )の電気導電度が十分
に大きなものでないため、高周波数における固体電解コ
ンデンサのインピーダンスを十分低下させることができ
ないという不具合を有し、また、固体電解質としてTC
NQ錯塩を用いた場合、TCNQ錯塩が熱分解し易い性
質を有するため、固体電解質コンデンサの耐熱性を向上
させることができないという不具合を有している。
【0003】このような不具合を解消するため、最近に
なって、固体電解コンデンサの固体電解質として、二酸
化マンガン(MnO2 )よりも高い電気導電度を示し、
TCNQ錯塩よりも耐熱性の高い導電性高分子、例え
ば、ポリピロールまたはポリアニリンを用いた固体電解
コンデンサが開発されるようになった。
【0004】ところで、ポリアニリンは、例えば特開昭
61−258831号に開示のものが知られており、化
学酸化重合法によって製造されるものである。化学酸化
重合法によって製造されたポリアニリンの電導度は2.
0S/cm程度に達する。しかし、導電性があるポリア
ニリンは不溶不融性であるため、導電性を維持したまま
ポリアニリン溶液を作成することができない。その結
果、導電性を有するポリアニリンを合成した後、それを
タンタルコンデンサの固体電解質に適用することは難し
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、固体電解質
のポリアニリンを化学酸化重合法によって製造する固体
電解コンデンサにおいては、アニリンを酸化する酸化剤
溶液(第1溶液)、及び、ドーパントとなるプロトン酸
を含むアニリン溶液(第2溶液)に、誘電体酸化膜を形
成した陽極を交互に含浸し、陽極の誘電体酸化膜の表面
に化学酸化重合反応を生じさせ、誘電体酸化膜の表面に
固体電解質のポリアニリンを形成する方法が用いられて
いる。この場合、このポリアニリンの形成方法は、固体
電解コンデンサの静電容量を所望の大きさのものにした
い場合に、表面に誘電体酸化膜を形成した陽極を第1溶
液及び第2溶液に交互に何回となく繰り返し含浸する必
要がある。
【0006】特に、陽極に弁作用金属として金属タンタ
ルを用いた場合、加圧成形したタンタル粉末を焼結して
焼結体を形成し、その焼結体を陽極として用いているこ
とから、陽極を第1溶液及び第2溶液に交互に含浸させ
る場合に、アニリンやドーパント及び酸化剤を陽極の内
部まで十分に含浸させることが難しく、その結果、固体
電解コンデンサの容量出現率が小さいものとなり、所要
の静電容量を持った固体電解コンデンサを得ることが難
しい。
【0007】一般に、固体電解コンデンサだけでなく、
全てのコンデンサにおいては、等価直列抵抗(ESR)
が小さく、かつ、リーク電流が小さいものを要求され
る。この場合、既知の固体電解コンデンサは、いずれ
も、等価直列抵抗やリーク電流の低減程度に自ずと限界
があり、その結果、等価直列抵抗やリーク電流が無視で
きない状態で固体電解コンデンサを使用せざるを得ない
という問題がある。
【0008】本発明は、かかる問題点を解決するもの
で、その目的は、固体電解質にポリアニリンまたはポリ
アニリン誘導体を用い、等価直列抵抗やリーク電流を大
幅に低減することを可能にした固体電解コンデンサ及び
その製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、固体電解
コンデンサとして、比較的容量出現率が大きく、等価直
列抵抗やリーク電流が小さくなるものを開発するため
に、精力的に研究を行った結果、固体電解コンデンサの
固体電解質内に残留している酸化剤の還元物質が等価直
列抵抗やリーク電流の特性の劣化の原因であることを明
らかにし、本発明を得るに至ったもので、固体電解質内
に残留する酸化剤の還元物質を固体電解質から全面的に
排除した固体電解コンデンサを形成するようにしたもの
である。
【0010】即ち、前記目的を達成するために、本発明
による固体電解コンデンサは、弁作用金属製の陽極と、
陽極の表面を陽極酸化して形成した誘電体酸化膜と、誘
電体酸化膜上に形成した導電性高分子層とを備え、導電
性高分子層が化学酸化重合法によって形成したポリアニ
リンまたはポリアニリン誘導体であり、導電性高分子層
内に化学酸化重合法に用いる酸化剤の反応副生成物の含
有量を低減させ、反応副生成物がポリアニリンまたはポ
リアニリン誘導体に対する重量分率で6%以下である第
1の手段を具備している。
【0011】また、前記目的を達成するために、本発明
による固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属製
の陽極の表面を陽極酸化して誘電体酸化膜を形成する第
1工程、誘電体酸化膜上に化学酸化重合法によりポリア
ニリンまたはポリアニリン誘導体からなる導電性高分子
層を形成する第2工程、導電性高分子層を、化学酸化重
合法に用いる酸化剤の反応副生成物を溶解可能な溶液で
処理を行い、さらに、空気、不活性ガス、酸素のいずれ
かの雰囲気中、大気圧またはそれ以下の圧力下で、化学
酸化重合法に用いる酸化剤の反応副生成物の蒸発可能温
度で熱処理を行い、反応副生成物を蒸発させる第3工程
からなる第2の手段を具備している。
【0012】前記第1及び第2の手段によれば、固体電
解コンデンサの製造過程において、ポリアニリンまたは
ポリアニリン誘導体からなる導電性高分子層を化学酸化
重合反応によって形成する際に、化学酸化重合反応時に
用いられる酸化剤の反応副生成物を、溶液酸処理および
加熱蒸発を行って全面的に除去するようにしたので、既
知のこの種の固体電解コンデンサに比べて、大幅に等価
直列抵抗やリーク電流を低減することが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の1つの実施の形態におい
て、固体電解コンデンサは、弁作用金属からなる陽極
と、陽極の表面に陽極酸化により形成した誘電体酸化膜
と、誘電体酸化膜上に形成した導電性高分子層とを備え
たものであって、導電性高分子層は、化学酸化重合法に
よって形成したポリアニリンまたはポリアニリン誘導体
であり、導電性高分子層内に化学酸化重合法に用いる酸
化剤の反応副生成物がポリアニリンまたはポリアニリン
誘導体に対する重量分率で6%以下のものである。
【0014】本発明の他の実施の形態において、固体電
解コンデンサの製造方法は、弁作用金属からなる陽極
と、陽極の表面に形成した誘電体酸化膜と、誘電体酸化
膜上に形成した導電性高分子層とを備えた製造方法であ
って、陽極の表面を陽極酸化して誘電体酸化膜を形成す
る第1工程、誘電体酸化膜上に化学酸化重合法によって
ポリアニリンまたはポリアニリン誘導体からなる導電性
高分子層を形成する第2工程、導電性高分子層を、化学
酸化重合法に用いる酸化剤の反応副生成物を溶解可能な
溶液で処理を行い、さらに、空気、不活性ガス、酸素の
いずれかの雰囲気中、大気圧またはそれ以下の圧力で、
化学酸化重合法に用いる酸化剤の反応副生成物の蒸発可
能温度による熱処理を行い、反応副生成物を蒸発させる
第3工程をそれぞれ経て製造されるものである。第3工
程に用いる溶液は、反応副生成物を溶解可能な溶媒であ
ればよく、例えば、純水や硝酸、リン酸、硫酸、スルホ
ン酸等の酸性溶液である。特に、酸性溶液中で電圧印加
するとより効果的に反応副生成物を除去できる。
【0015】本発明の1つの実施の形態によれば、固体
電解コンデンサの固体電解質、即ち、ポリアニリンまた
はポリアニリン誘導体からなる導電性高分子層を化学酸
化重合反応によって形成するとき、導電性高分子層を溶
液処理や熱処理し、化学酸化重合反応時に用いられた酸
化剤の反応副生成物を全面的に除去するようにしたの
で、既知のこの種の固体電解コンデンサに比べ、大幅に
等価直列抵抗やリーク電流を低減することが可能にな
る。
【0016】また、本発明の他の実施の形態によれば、
固体電解コンデンサの製造工程において、陽極の表面に
形成された誘電体酸化膜上に化学酸化重合法によってポ
リアニリンまたはポリアニリン誘導体からなる導電性高
分子層を形成する際に、得られた導電性高分子層を、化
学酸化重合法に用いる酸化剤の反応副生成物を溶解可能
な溶液で処理を行い、反応副生成物を除去し、さらにコ
ンデンサ内部に残存する反応副生成物を除去するため
に、導電性高分子層を、空気、不活性ガス、酸素のいず
れかの雰囲気中、大気圧またはそれ以下の圧力で、化学
酸化重合法に用いる酸化剤の反応副生成物の蒸発可能温
度で熱処理を行い、反応副生成物を全面的に蒸発させる
ようにしているので、既知のこの種の固体電解コンデン
サに比べ、大幅に等価直列抵抗やリーク電流を低減した
固体電解コンデンサを得ることが可能になる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0018】図1は、本発明による固体電解コンデンサ
の一実施例の構成を示す断面図であって、陽極を金属タ
ンタルの焼結体で構成したタンタルコンデンサの例を示
すものである。
【0019】図1において、1は陽極、2は陽極リー
ド、3は誘電体酸化膜、4は導電性高分子層、5は銀
層、6は陽極端子、7は陰極端子、8は外装である。
【0020】そして、陽極1は、弁作用金属の一種であ
る金属タンタルの微粉末を加圧成形した後で焼結した焼
結体からなる。陽極リード2は、金属タンタル製のリー
ド線からなり、一端部が陽極1の加圧成形時にその内部
に挿通し、焼結時に陽極1に固定される。誘電体酸化膜
3は、陽極1を陽極酸化することにより形成したもの
で、陽極1の全表面に形成される。導電性高分子層4
は、ポリアニリン系のもので、誘電体酸化膜3上に形成
され、陽極1の陽極リード2が導出される側の誘電体酸
化膜3の表面を除いた全誘電体酸化膜3の表面に形成さ
れる。銀層5は、陰極を形成するもので、導電性高分子
層4の一部の表面領域に形成される。陽極端子6は、固
体電解コンデンサの陽極側出力端子を構成するもので、
陽極リード2の他端部に溶接によって導電接続される。
陰極端子7は、固体電解コンデンサの陰極側出力端子を
構成するもので、銀層5に接続される。外装8は、樹脂
製のもので、固体電解コンデンサの外装を構成し、陽極
端子6及び陰極端子7の各導出端部を除いた部分を全面
被覆している。
【0021】ここで、本実施例の固体電解コンデンサ
(タンタルコンデンサ)の製造工程における経緯を述べ
ると、次のとおりである。
【0022】まず、金属タンタルの微粉末の中に陽極リ
ード線2の一端部を挿通した状態にして加圧成形し、得
られた成形体を真空雰囲気中で高温度状態にして焼結
し、焼結体からる陽極1を形成する(第1工程)。
【0023】次に、第1工程で得られた陽極1を希硝酸
溶液中に浸漬し、その後に化成処理を行って、陽極1の
表面に定格7V100μFの誘電体酸化膜3を形成する
(第2工程)。
【0024】次いで、水とエタノールを1:1の割合で
混合した水溶液を用いて、0.5Mペルオキソ二硫酸ア
ンモニウム水溶液を調整する。そして、第2工程により
誘電体酸化膜3を形成した陽極(以下、これを表面酸化
陽極という)1を0.5Mペルオキソ二硫酸アンモニウ
ム水溶液に10秒間浸漬する(第3工程)。
【0025】続いて、水とエタノールを1:1の割合で
混合した水溶液に、等量のアニリンとp−トルエンスル
ホン酸とを加え、濃度が0.5Mのアニリン水溶液を調
製する。そして、第3工程におけるペルオキソ二硫酸ア
ンモニウム水溶液の浸漬を行ってから30分が経過した
後に、表面酸化陽極1をアニリン水溶液に10秒間浸漬
する(第4工程)。
【0026】次に、第4工程におけるアニリン水溶液の
浸漬を行った後で、表面酸化陽極1を30分間にわたっ
て50℃に保持し、表面酸化陽極1上で化学酸化重合反
応を生じさせる(第5工程)。
【0027】さらに、第5工程を経緯した表面酸化陽極
1に対し、前記ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液へ
の浸漬及び前記アニリン水溶液への浸漬を交互に20回
づつ行い、表面酸化陽極1の表面に化学酸化重合反応に
よって得られた導電性高分子層4を形成する(第6工
程)。
【0028】そして、第5工程及び第6工程における導
電性高分子層4の形成時に、表面酸化陽極1を、純水に
浸漬し、アニリンの酸化剤であるペルオキソ二硫酸アン
モニウム水溶液の還元により生成された硫酸水素アンモ
ニウム(反応副生成物)を、導電性高分子層4内から除
去する。さらに、溶液処理した表面酸化陽極1を、空気
中で、大気圧より減圧した圧力状態において、150℃
の温度の熱処理を行う。この熱処理によってアニリンの
酸化剤であるペルオキソ二硫酸アンモニウムの還元によ
り生成された硫酸水素アンモニウム(反応副生成物)を
蒸発させ、導電性高分子層4内から硫酸水素アンモニウ
ムを全面的に除去する(第7工程)。
【0029】次に、第7工程を経緯して導電性高分子層
4を形成した表面酸化陽極1の所定箇所に銀ペーストを
塗布し、銀層5を形成する(第8工程)。
【0030】次いで、第8工程の後で、陽極リード2の
他端部に陽極端子6を溶接によって導電接続し、銀層5
に陰極端子7を接続する(第9工程)。
【0031】続いて、第9工程が行われた後、陽極端子
6及び陰極端子7の導出端部を除いて、モールド法によ
り樹脂を全体に塗布し、外装8で被覆された固体電解コ
ンデンサ(タンタルコンデンサ)が形成される(第10
工程)。
【0032】ここで、図2は、本実施例の固体電解コン
デンサ(タンタルコンデンサ)の導電性高分子層4と、
本実施例と比較するために別途形成した比較例1乃至3
の固体電解コンデンサ(タンタルコンデンサ)の導電性
高分子層とについて、示差走査型熱量計(DSC)を用
いて測定した温度上昇時(昇温温度:20℃/分)にお
ける吸熱及び発熱状態を示す特性図である。
【0033】図2において、縦軸は吸熱及び発熱状態で
あり、横軸は温度であって、特性曲線Aは本実施例の固
体電解コンデンサのもの、特性曲線Bは比較例1の固体
電解コンデンサのもの、特性曲線Cは比較例2の固体電
解コンデンサのもの、特性曲線Dは比較例3の固体電解
コンデンサのものである。
【0034】ところで、本実施例との比較のための比較
例1乃至3の固体電解コンデンサは、次のように製造し
たものである。
【0035】まず、比較例1の固体電解コンデンサは、
本実施例の固体電解コンデンサの製造工程の中の導電性
高分子層4を溶液処理および熱処理する工程、即ち、第
7工程を除外したものであって、第1工程乃至第6工程
及び第8工程乃至第10工程をそれぞれ経て製造された
ものである。
【0036】次に、比較例2の固体電解コンデンサは、
本実施例のアニリン水溶液への浸漬及びペルオキソ二硫
酸アンモニウム水溶液への浸漬を交互に20回行う工
程、即ち、第6工程のように交互の浸漬の回数を20回
行うのではなく、それより多い25回づつ行う(この工
程を第6’工程という)もので、同時に、比較例1と同
様に本実施例の第7工程を除外したものであって、第1
工程乃至第5工程、第6’工程、第8工程乃至第10工
程をそれぞれ経て製造されたものである。
【0037】次いで、比較例3の固体電解コンデンサ
は、本実施例のアニリン水溶液への浸漬及びペルオキソ
二硫酸アンモニウム水溶液への浸漬を交互に20回行う
工程、即ち、第6工程のように交互の浸漬の回数を20
回行うのではなく、それより多い30回づつ行う(この
工程を第6”工程という)もので、同時に、比較例1と
同様に本実施例の第7工程を除外したものであって、第
1工程乃至第5工程、第6”工程、第8工程乃至第10
工程をそれぞれ経て製造されたものである。
【0038】本実施例の固体電解コンデンサは、図2の
特性曲線Aに示されるように、温度の上昇に伴って吸熱
ピークまたは発熱ピークを生じていない。
【0039】一方、比較例1の固体電解コンデンサは、
図2の特性曲線Bに示されるように、温度の上昇に伴っ
て同様に140℃付近に吸熱ピークが生じており、この
吸熱ピークの発生原因が導電性高分子層内に残留するペ
ルオキソ二硫酸アンモニウムの還元により生成された硫
酸水素アンモニウム(反応副生成物)に基づくものであ
る。
【0040】次いで、比較例2の固体電解コンデンサ
は、図2の特性曲線Cに示されるように、温度の上昇に
伴って140℃付近に比較例1と同様の吸熱ピークが生
じており、この吸熱ピークの発生温度範囲は比較例1よ
りも広くなっている。そして、比較例1と同様に、この
吸熱ピークの発生原因が導電性高分子層内に残留するペ
ルオキソ二硫酸アンモニウムの還元により生成された硫
酸水素アンモニウム(反応副生成物)に基づくものであ
る。
【0041】続いて、比較例3の固体電解コンデンサ
は、図2の特性曲線Dに示されるように、温度の上昇に
伴って140℃付近に比較例1と同様の吸熱ピークが生
じており、この吸熱ピークの大きさは比較例1よりも高
くなっている。そして、比較例1と同様に、この吸熱ピ
ークの発生原因が導電性高分子層内に残留するペルオキ
ソ二硫酸アンモニウムの還元により生成された硫酸水素
アンモニウム(反応副生成物)に基づくものである。
【0042】また、図3は、本実施例の固体電解コンデ
ンサ(タンタルコンデンサ)及び比較例1乃至3の固体
電解コンデンサ(タンタルコンデンサ)におけるリーク
電流、周波数100kHzにおける等価直列抵抗(ES
R)、導電性高分子層内に残留する残留硫酸水素アンモ
ニウム量の比較を示す特性図である。この場合、導電性
高分子層内に残留する硫酸水素アンモニウム量は、図2
の特性曲線A、B、C、Dに示されるように、示差走査
型熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークに基づいて算
出したものである。
【0043】図3に示されるように、本実施例の固体電
解コンデンサと、比較例1乃至3の固体電解コンデンサ
と比べた場合、リーク電流及び等価直列抵抗(ESR)
は、本実施例の固体電解コンデンサが比較例1乃至3の
固体電解コンデンサよりも大幅に小さくなっており、ま
た、残留硫酸水素アンモニウム量は、本実施例の固体電
解コンデンサにおいて残留量がDSCの検出限界以下、
即ち0であるのに対し、比較例1乃至3の固体電解コン
デンサにおいてそれぞれある値の残留量を有している。
【0044】図3に示された結果から、導電性高分子層
中の残留硫酸水素アンモニウム量が少なければ少ない
程、リーク電流や等価直列抵抗(ESR)が小さくなっ
ていることが判り、残留硫酸水素アンモニウムの重量分
率がポリアニリンに対して6%以下であれば、リーク電
流は10μA以下、等価直列抵抗は0.25Ω以下にま
で低減する。特に、残留硫酸水素アンモニウムの重量分
率が0であれば、特性の著しく良好な固体電解コンデン
サが得られることが判る。
【0045】さらに、図4は、本実施例の固体電解コン
デンサ(タンタルコンデンサ)及び比較例1の固体電解
コンデンサ(タンタルコンデンサ)における分光分析の
結果を示す特性図であって、赤外分光計(IR)を用い
て分光分析を行ったものである。
【0046】図4において、縦軸は透過率であり、横軸
は(cm~1)で表した波数であって、特性曲線Aは本実
施例の固体電解コンデンサのもの、特性曲線Bは第1比
較例の固体電解コンデンサのものである。
【0047】一般に、硫酸水素アンモニウムに特有のア
ンモニウムイオン(NH4 +)及び硫酸イオン(SO2 -
の振動スペクトルは、1390cm~1乃至1430cm
~1の波長範囲及び680cm~1乃至610cm~1の波数
範囲で観測される。
【0048】ところで、図4の特性曲線Bに示されるよ
うに、比較例1の固体電解コンデンサは、波数1400
cm~1及び620cm~1にそれぞれピークが観測される
が、図4の特性曲線Aに示されるように、本実施例の固
体電解コンデンサは、波数1400cm~1及び620c
m~1にピークが観測されない。これらの結果から、本実
施例で製造した導電性高分子層中の残留硫酸水素アンモ
ニウムがIRの検出限界以下、即ち0であるが、比較例
1で製造した導電性高分子層中には残留硫酸水素アンモ
ニウムが残存することは明らかである。また、赤外分光
計を用いた分光分析を行えば、導電性高分子層中の残留
硫酸水素アンモニウム(反応副生成物)の有無の評価及
び残留硫酸水素アンモニウム量の検出が可能になる。
【0049】このように、本実施例による固体電解コン
デンサ及び固体電解コンデンサの製造方法によれば、化
学酸化重合法によってアニリン系の導電性高分子層4を
形成する場合に、アニリンを酸化するのに使用された酸
化剤の還元物質、即ち、硫酸水素アンモニウム(反応副
生成物)を溶液処理および熱処理によって除去するよう
にしたもので、導電性高分子層4内の硫酸水素アンモニ
ウムを全面的に除去することにより、リーク電流及び等
価直列抵抗(ESR)を大幅に低減した固体電解コンデ
ンサを得ることができる。
【0050】なお、前記実施例においては、導電性高分
子層4を形成する際の熱処理時、即ち、第7工程におい
て、空気中で、大気圧より減圧した圧力状態において、
150℃の温度の熱処理を行う例を挙げて説明したが、
本発明による第7工程の熱処理時の条件はかかる場合に
限られるものでなく、他の条件、例えば、空気中でな
く、不活性ガス中または酸素中であってもよく、大気圧
より減圧した圧力状態でなく、大気圧状態であってもよ
い。ただし、圧力状態を大気圧状態に選択した場合、熱
処理温度は、酸化剤の還元物質、即ち、硫酸水素アンモ
ニウム(反応副生成物)の融点、好ましくは、その熱分
解温度あるいは沸点以上に選ぶ必要がある。これに対し
て、大気圧より減圧した圧力状態に選べば、熱処理温度
を硫酸水素アンモニウムの融点まで上昇させる必要がな
くなり、しかも、減圧が大きい程、熱処理温度を低温度
に選ぶことができる。そして、この熱処理を行う際の適
切な熱処理温度は、熱重量分析計(TG)による重量減
少開始温度を測定することにより設定することができ
る。
【0051】また、前記実施例においては、外装8の被
覆処理時、即ち、第10工程において、モールド法によ
り樹脂を全体に塗布する例を挙げて説明したが、外装8
の被覆処理はモールド法に限られず、他の被覆処理方
法、例えば、ディップ法で行ってもよい。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明による固体電解コ
ンデンサによれば、その固体電解質、即ち、ポリアニリ
ンまたはポリアニリン誘導体からなる導電性高分子層を
化学酸化重合反応によって形成する際に、導電性高分子
層の溶液処理および熱処理を行って化学酸化重合反応時
に用いられた酸化剤の反応副生成物を全面的に除去する
ようにしたので、既知のこの種の固体電解コンデンサに
比べ、リーク電流や等価直列抵抗を大幅に低減すること
ができるという効果がある。
【0053】また、本発明による固体電解コンデンサの
製造方法によれば、陽極の表面に形成された誘電体酸化
膜上に化学酸化重合法によってポリアニリンまたはポリ
アニリン誘導体からなる導電性高分子層を形成する際
に、この導電性高分子層を、化学酸化重合法に用いる酸
化剤の反応副生成物を溶解可能な溶液で処理し、さらに
導電性高分子層を空気、不活性ガス、酸素のいずれかの
雰囲気中、大気圧またはそれ以下の圧力で、反応副生成
物の蒸発可能温度による熱処理を行い、反応副生成物を
全面的に蒸発させるようにしたので、既知のこの種の固
体電解コンデンサに比べ、リーク電流や等価直列抵抗を
大幅に低減した固体電解コンデンサが得られるという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による固体電解コンデンサの一実施例の
構成を示す断面図である。
【図2】本実施例の固体電解コンデンサの導電性高分子
層と第比較例1乃至3の固体電解コンデンサの導電性高
分子層とについて、示差走査型熱量計(DSC)を用い
て測定した温度上昇時における吸熱及び発熱状態を示す
特性図である。
【図3】本実施例の固体電解コンデンサ及び比較例1乃
至3の固体電解コンデンサにおけるリーク電流、等価直
列抵抗、導電性高分子層内に残留する残留硫酸水素アン
モニウム量の比較を示す特性図である。
【図4】本実施例の固体電解コンデンサ及び比較例1の
固体電解コンデンサにおける分光分析の結果を示す特性
図である。
【符号の説明】
1 陽極(焼結体) 2 陽極リード線 3 誘電体酸化膜 4 導電性高分子層 5 銀層 6 陽極端子 7 陰極端子 8 外装
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青山 隆 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 大上 三千男 福島県田村郡三春町大字熊耳字大平16 日 立エーアイシー 株式会社三春工場内 (72)発明者 佐野 真二 福島県田村郡三春町大字熊耳字大平16 日 立エーアイシー 株式会社三春工場内 (72)発明者 濱 良樹 福島県田村郡三春町大字熊耳字大平16 日 立エーアイシー 株式会社三春工場内 (72)発明者 遠藤 英治 福島県田村郡三春町大字熊耳字大平16 日 立エーアイシー 株式会社三春工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁作用金属からなる陽極と、前記陽極の
    表面に陽極酸化により形成した誘電体酸化膜と、前記誘
    電体酸化膜上に形成した導電性高分子層とを備えた固体
    電解コンデンサにおいて、前記導電性高分子層は、化学
    酸化重合法によって形成したポリアニリンまたはポリア
    ニリン誘導体であり、前記導電性高分子層内に前記化学
    酸化重合法に用いる酸化剤の反応副生成物が、前記ポリ
    アニリンまたはポリアニリン誘導体に対する重量分率で
    6%以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 酸化物としてペルオキソ二硫酸アンモニ
    ウムを用いることを特徴とする請求項1に記載の固体電
    解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 弁作用金属からなる陽極と、前記陽極の
    表面に形成した誘電体酸化膜と、前記誘電体酸化膜上に
    形成した導電性高分子層とを備えた固体電解コンデンサ
    の製造方法であって、リ 前記陽極の表面を陽極酸化して前記誘電体酸化膜を形成
    する第1工程、 前記誘電体酸化膜上に化学酸化重合法によってポリアニ
    リンまたはポリアニリン誘導体からなる前記導電性高分
    子層を形成する第2工程、 前記導電性高分子層を、前記化学酸化重合法に用いる酸
    化剤の反応副生成物を溶解可能な溶液で処理を行い、さ
    らに、空気、不活性ガス、酸素のいずれかの雰囲気中、
    大気圧またはそれ以下の圧力で、前記化学酸化重合法に
    用いる酸化剤の反応副生成物の蒸発可能温度で熱処理を
    行い、前記反応副生成物を蒸発させる第3工程、をそれ
    ぞれ経て固体電解コンデンサを製造することを特徴とす
    る固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】 酸化物としてペルオキソ二硫酸アンモニ
    ウムを用いることを特徴とする請求項3に記載の固体電
    解コンデンサの製造方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002064035A (ja) * 2000-08-22 2002-02-28 Nippon Chemicon Corp 陰極箔、陽極箔および支持板にそれぞれ貫通孔を有する、積層固体電解コンデンサ、およびその製造方法
JP2002075792A (ja) * 2000-08-22 2002-03-15 Nippon Chemicon Corp 固体電解コンデンサおよびその製造方法
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JP2003109852A (ja) * 2001-09-28 2003-04-11 Nippon Chemicon Corp 固体電解コンデンサ及びその製造方法
KR100796827B1 (ko) 2003-10-17 2008-01-22 하.체. 스타르크 게엠베하 중합체 외층을 갖는 전해질 축전기
JP4683318B2 (ja) * 2000-03-31 2011-05-18 株式会社村田製作所 固体電解コンデンサ及びその製造方法

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