JPH1192489A - モエノマイシン群の抗生物質のビスマス塩、その調製方法、その使用およびその塩を含有する医薬 - Google Patents

モエノマイシン群の抗生物質のビスマス塩、その調製方法、その使用およびその塩を含有する医薬

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JPH1192489A
JPH1192489A JP10057633A JP5763398A JPH1192489A JP H1192489 A JPH1192489 A JP H1192489A JP 10057633 A JP10057633 A JP 10057633A JP 5763398 A JP5763398 A JP 5763398A JP H1192489 A JPH1192489 A JP H1192489A
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salt
moenomycin
salts
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ラースロウ・フエルテシ
Kurutsu Mihiyaeru
ミヒヤエル・クルツ
Marukusu Asutorido
アストリド・マルクス
Zaiberuto Geeruharuto
ゲールハルト・ザイベルト
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モエノマイシン群の抗生物質のビスマス塩、
その調製方法、その使用およびその塩を含有する医薬を
提供すること。 【解決手段】 本発明の塩は、いわゆるホスホグリコリ
ピド抗生物質と称され、個別または混合物として存在す
るモエノマイシン群の抗生物質またはその誘導体および
ビスマスを所定の化学量論的な比で含有する。これらは
極めて安定であり、特にヘリコバクター・ピロリ菌を抑
制するために適しており、このため、例えば胃の疾患の
治療および予防のために適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明はモエノマイシン群の抗生物質のビ
スマス塩、その調製方法、その使用およびその塩を含有
する医薬に関する。本発明の塩は、いわゆるホスホグリ
コリピド抗生物質と称され、個別または混合物として存
在するモエノマイシン群の抗生物質またはその誘導体お
よびビスマスを所定の化学量論的な比で含有する。これ
らは極めて安定であり、特にヘリコバクター・ピロリ
(以下H. pyloriとも記載する)を抑制するために適し
ており、このため、例えば胃の疾患の治療および予防の
ために適している。
【0002】胃潰瘍または胃炎の治療および予防のた
め、そして胃癌の予防のためには、特にいわゆる制酸
剤、および特に有効な結果をもたらすものとしてH2
容体ブロッカーかこれまで用いられている。一方、微生
物ヘリコバクター・ピロリによる感染は例えば胃潰瘍の
ような胃の疾患の原因となる場合が多いと考えられてい
る(例えばA.T.R.Axon, “Helicobacter pylori Infect
ion", J.Antimicrob. Chemother. 32, Suppl. A, 61, 1
993参照)。病原性グラム陰性細菌ヘリコバクター・ピ
ロリによるヒトの胃の感染は一時的な消化不良症状を起
こすが、微生物は高度な存続性を示す。H.pyloriは更に
長期活動のb型胃炎における伏在病原体であり、胃癌発
症の無視できない危険因子である。H.pyloriが胃に疾患
をもたらす病理生理学的な機序は比較的不明瞭なままと
なっている。微生物は多数の潜在的に毒性を有する酵素
および化学物質(ウレアーゼ、アンモニア、空胞化細胞
毒)を生産することが知られている。有害細菌の存続と
持続性の抗原性刺激が恐らくは長期的に起こる胃粘膜の
破壊の原因である。
【0003】治療の目標は胃内のH.pyloriの根絶であ
る。現時点での最も良い治療方法はいわゆる酸抑制剤、
例えばオメプラゾールのようなプロトンポンプ抑制剤お
よび例えばクラリスロマイシンおよびアモキシリンのよ
うな2種の抗生物質よりなる3種複合療法である。しか
しながらこの3種療法には不都合な点が有る。拡散特性
が異なるため、同時に作用すべき3種の物質がH.pylori
により誘発された炎症患部に均一に到達しない。即ち、
良好な治癒結果を達成するためには、重篤な副作用を伴
う極めて高用量が必要となる。他の方法による3種療法
も一般的には2剤または1剤のみの投与と比較しても大
きな難点を含んでいる。
【0004】EP−A−655 249号にはモエノマ
イシン抗生物質がH.pylori感染を抑制するための有効な
抗生物質であり、このため例えば胃潰瘍のような胃の疾
患の治療に適していることが記載されている。モエノマ
イシン抗生物質はまた他の抗生物質または他の慣用的な
潰瘍治療薬または胃炎治療薬例えば、制酸剤、H2受容
体ブロッカー、プロトンポンプ抑制剤、ムスカリン受容
体ブロッカー、または例えば、ビスマス塩、例えば、硝
酸ビスマス、炭酸ビスマス、サリチル酸ビスマスまたは
クエン酸ビスマスと組み合わせて投与した場合に特に好
都合にH.pyloriに対する作用を示す。
【0005】胃潰瘍に対するビスマス塩の使用は文献に
おいて広範に報告されている(例えばJ.H.WalshとW.L.P
etersonのN.Eng. J.Med. 333 (No.15), 984-991, 1995
参照)。この目的のために使用されるビスマス化合物は
特に塩基性ビスマス化合物、例えばビスマスサブサリシ
レートまたは三カリウムジシトラトビスマセートであ
る。ビスマスの薬効は一方ではその収れん特性に起因す
るものであるが、他方ではヘリコバクター・ピロリに対
するビスマスの直接作用、例えばH.pyloriのF1-ATPase
の阻害等も報告されている(W.BeilとC.Birkholz, Arc
h, Pharmacol, 350,補遺., R1, 1994)。従って、特に
ヘリコバクター・ピロリ菌誘発性胃潰瘍の治療における
ビスマス塩の使用は望ましい。
【0006】残念なことに、ビスマス塩の化学的挙動に
基づく幾つかの不都合な点が現在の形態でビスマスを使
用することの障害となっている。ビスマス塩は水性の媒
体中では極めて溶解度が低い場合が多い。BiO1+イオ
ンを含みビスマスサブ塩とも称される、いわゆる塩基性
のビスマス塩はBi3+イオンから水性媒体中で形成され
る。この種の塩基性ビスマス塩は水溶液から析出し、即
ち、溶解度の低い沈殿を形成し、このため、生物学的作
用は得られないか限定的に得られるのみである。溶解し
た部分はコロイドを形成する。このような物理化学的性
質の結果、ビスマス塩は概算値でしか表すことのできな
い組成を取る場合が多く(Roempps Chemie Lexikon〔Roe
mpp's Chemical Encyclopedia〕, 第9版, Georg Thieme
Verlag,Stuttgart, New York, 1989, p.439; DAB (Deu
tsches Arzneibuch 〔German Pharmacopeia〕) 8, 526-
530参照)、投与が容易ではなく、このことがその作用
の推測を更に困難にしている。
【0007】即ち、潰瘍およびH.pylori感染症のような
胃疾患の治療のための、例えば酸抑制剤および抗生物質
と組み合わせたビスマス塩の望ましい投与は、酸抑制剤
や抗生物質とは異なるビスマス塩の溶解度および薬力学
的特性のため極めて問題の多いものとなっている。従っ
て、相当する3種療法から2種または1種療法への簡素
化が当然ながら行われてきた。プロトンポンプ抑制剤、
抗生物質およびビスマス塩の多数の組み合わせが検討さ
れてきたが、最終的に3種療法に優るものはなかった。
即ち、胃潰瘍のような胃疾患の治療のため、または胃癌
の予防のための、有効で容易に使用でき高度な許容性を
有する医薬がなお求められている。
【0008】意外にも、リン酸基(またはリン酸エステ
ル基)および/またはカルボン酸基のような酸性の基に
おいて塩を形成することのできるモエノマイシン群の抗
生物質およびその誘導体から、個々の化合物または混合
物の形態で存在する抗生物質成分およびビスマスを化学
量論的な比で含有する安定で構造の明確なビスマス塩が
得られることが解った。このような塩の作用は、ヘリコ
バクター・ピロリの抑制において、または胃疾患の治療
および予防において、モエノマイシン群の純粋な抗生物
質の作用よりも明らかに優れており、2種療法または1
種療法の形態でも使用できる。この種のモエノマイシン
群の抗生物質のビスマス塩の明らかな構造を有するもの
を発見できたことは、水溶液からの析出、透析またはイ
オン交換の利用のような上記塩を得るための従来の方法
が、既に記載した原料ビスマス塩の低溶解性のため、並
びに、水酸化ビスマスのような塩基性ビスマスによるモ
エノマイシン群の抗生物質の遊離酸の中和ができないた
めに良好な結果が得られなかったことを考慮すると、意
外なことである。
【0009】即ち本発明は、抗生物質が単独または混合
物として存在するモエノマイシン群の抗生物質およびそ
の誘導体のビスマス塩および生理学的に許容しうるその
塩に関する。本発明のビスマス塩は化学量論的な化合
物、即ち、特定の化学量論的な比でアニオン形態の新し
い塩として存在する酸性抗生物質またはその誘導体およ
びビスマスを含有する塩様の特性を有する構造の明らか
な化学物質である。これらはビスマス(III)塩である
が、塩基性ビスマス塩ではなく上記した不都合な点を有
さない。
【0010】ビスマスおよび抗生物質またはその誘導体
が本発明の塩として存在する際の化学量論的比は、例え
ば、抗生物質の分子中の酸性の基の数により変化し、例
えば、調製に用いる原料化合物のモル比など、調製条件
により調節できる。モエノマイシン群の抗生物質中の特
徴的な構造単位は、そのなかの遊離酸官能基において塩
形成が行われ、ビスマス結合部位となるようなホスホグ
リセリン酸基であるか、またはその一部として、二重エ
ステル化リン酸基である。本発明の塩の化学量論的比は
例えば、抗生物質モル当たり存在するビスマスのモル数
または原子数を示すことにより標示でき、或いは同様に
して、例えば、容易に求められるリン/ビスマスモル比
または原子比を示すことにより標示できる。この比は、
例えば、1:1または1:2(後者の場合は、本発明の
塩中リン原子またはリン酸基2個当たりビスマス原子1
個が存在することを意味する)であることができる。し
かしながら、この比は、例えば本発明の塩が2種または
それ以上の異なる抗生物質の混合物から誘導されたもの
である場合は、別の値、更には非整数値となる得る。本
発明の塩を特定するために例えば1:1という比が設定
された場合は、当然ながら、例えば本発明の塩の工業的
製造において得られるような巨視的な試料においては、
抗生物質の比の変動または含有される副成分の結果とし
て、実験的に得られる値は変動することがあり、所望の
理想的な値(例えば1:1)とは僅かに異なる場合があ
り、そして本発明の物質に関するそのような化学量論的
比の標示には、当然ながら、それより僅かに異なる比も
含まれる。
【0011】モエノマイシン群の多くの抗生物質または
その誘導体は、上記したリン酸基の他に、1つ、または
例えば誘導体の場合は場合により数個のカルボン酸基を
含んでおり、そこでビスマスとの塩形成も起こる。頻繁
にある例として、リン酸単位の酸性HO基を有し、CO
OH基を有する代表的な物質のように、抗生物質が例え
ば総数で2個の酸官能基を分子内に含んでいる場合は、
それらはビスマスの2価と結合するか、またはビスマス
との(塩)結合部2箇所に係ることができる。そして3
価のビスマス3番目の原子価は、例えば別のアニオン
(またはアニオン同等物)への(塩)結合により飽和し、
つぎにこれが、抗生物質およびビスマスに加えて本発明
の塩に含まれ、そしてこれは例えば本発明の塩の調製に
おいて用いた原料ビスマス塩から得ることができる。し
かしながら、ビスマスの3番目の原子価は、抗生物質の
第2の分子中のリン酸基またはカルボン酸基への(塩)
結合により飽和することもでき、これにより、最終的
に、所定の抗生物質3分子当たり、またはリン原子3個
当たりビスマス原子2個を有する本発明の塩が形成され
る。従って、別の抗生物質においても、そして、極めて
一般的には本発明の化合物において、ビスマスの原子価
は別のアニオンで飽和されることができる。この種の適
当な別のアニオンは、特に、生理学的に許容性の有るア
ニオンであり、例えば、クロリド、ブロミド、ニトレー
ト、スルフェート、ホスフェートおよび、アセテート、
ベンゾエート、シトレート、タータレート、メタンスル
ホネート等のような医薬で用いることのできる他の無機
および有機のアニオンである。本発明の塩においては混
合物の形態でこのような別のアニオンが1つ以上存在す
ることもできる。
【0012】本発明の好ましいビスマス塩は、ビスマ
ス:抗生物質の化学量論的比に基づき、ビスマスを中和
するための別の生理学的に許容されうるアニオン、特に
上記したアニオンの何れかを含有するものである。これ
らの塩はビスマスと抗生物質のカチオン性複合体と見な
すことができ、これに対し生理学的に許容されうるアニ
オンが負の対イオンとなる。本発明のビスマス塩は、ビ
スマスおよび個別にまたは混合物として存在する抗生物
質(またはビスマスおよび部分エステル価リン酸基中の
リン)がモル比または原子比1:1(または約1:1)で
存在し、別の生理学的に許容しうるアニオンを有するも
のが特に好ましく、このアニオンは電荷が1価のアニオ
ンであるか、または電荷が2価以上のアニオンであるこ
とができる。このような特に好ましい塩は、式〔A B
i〕+-で表すことができ、ここでAは個別または混合
物として存在するモエノマイシン群の抗生物質またはそ
の誘導体であり、アニオン形態で存在する2つの酸性の
基を含んでおり、そしてX-は生理学的に許容しうる電
荷が1価のアニオンまたは生理学的に許容しうる電荷が
2価以上のアニオンの等価体である。
【0013】モエノマイシン群の抗生物質はホスホグリ
コリピド抗生物質である。ここで用いるモエノマイシン
群の抗生物質という表現に代えて、場合により、ホスホ
グリコリピド抗生物質という用語を上記化合物に対して
用いる場合も有る。本発明はこの群の全抗生物質のビス
マス塩を包含する。特に、モエノマイシン群の抗生物質
は、実際のモエノマイシン、即ち、モエノマイシンその
もの、および、例えば、プラシノマイシン、ジウマイシ
ン(ナカルボマイシン)、11837 R.P.、8036
R.P.、(クエベマイシン)、19402 R.P.、エ
ンサコマイシン、プレノマイシン、テイコマイシン、ホ
リポマイシンなど、全ての関連する含リン酸性糖脂質を
指すものとする。モエノマイシンそのもののビスマス塩
が好ましい。モエノマイシン群の個々の抗生物質は、幾
つかの構造的に異なる個々の成分の複合体である場合が
多い。例示できるモエノマイシンそのものの個々の成分
は、例えば、モエノマイシンA、A1.1、A1.2、B1
2、C1、C2、C3、C4等であり、場合により異なる
記載方法、例えばA1/2が一般的に用いられる。本発明
の観点から好ましいモエノマイシンそのものの個々の成
分はモエノマイシンA(式I)およびモエノマイシンC
3(式II)(式中Acはアセチル)である。特に好まし
い個々の成分はモエノマイシンAである。モエノマイシ
ン群の抗生物質および特にモエノマイシンそのものおよ
びその個々の成分および他の構造式に関する更に詳細な
説明は、例えばG.Huberの“Antibiotics", F.Hahn, Spr
inger-Verlag, Berlin 1979, V/1巻, 135ffページまた
はEP−A−655 249および相当する特許出願に
記載されており、その内容は本発明の開示の部分を構成
し、参考のために組み込まれる。
【0014】
【化1】
【0015】モエノマイシン群の抗生物質の誘導体は、
例えば本発明に従って行うべき塩形成に適し、例えば加
水分解、アシル化またはアルキル化による化学的、生化
学的または微生物学的な官能基変換により得られる、構
造的に修飾された抗生物質を指すものとするが、同様
に、例えば抗生物質の適当な分解生成物も指すものとす
る。モエノマイシン群の本来の抗生物質のビスマス塩、
即ち、それ以上の誘導体化がなされていない化合物が好
ましい。
【0016】モエノマイシン群の抗生物質および同様に
本来のモエノマイシンは一般的に微生物醗酵およびその
後の精製により得られる。使用する微生物は、例えば、
ストレプトマイセス・バンベルゲンシス、S.ghanaensi
s、S.ederensis、 S.geysirensis、 S.prasinus、S.livid
oclavatus等(上記参考文献参照)である。この場合、
抗生物質はしばしば、種々の組成の個々の成分の混合物
または複合体として得られ、そのような混合物の形態で
使用される場合も有る。所望により、混合物は定法によ
り純粋な、または、おおむね純粋な個々の抗生物質また
は個々の成分に分離することができ、これらは所定の活
性を有し、好ましく投与される。これに応じて、本発明
のビスマス塩はまた、モエノマイシン群の抗生物質の混
合物から、または個々の抗生物質から、または複合体の
個々の成分から誘導できる。モエノマイシン群の全ての
個々の抗生物質およびモエノマイシン群の抗生物質1つ
以上の全ての可能な組み合わせのビスマス塩が本発明の
範囲に包含される。混合物は個々の抗生物質の2つある
いはそれ以上から誘導でき、これらは特定の抗生物質の
個々の成分、例えばモエノマイシンそのものであること
も可能であり、そして/または、これらがモエノマイシ
ン群の種々の抗生物質に属することも可能である。本発
明の塩に含まれる抗生物質の混合物は、その合成または
精製の段階で形成される組成を有するか、例えば特定の
作用様式を得るための2つあるいはそれ以上の個々の抗
生物質または原料混合物の特定の混合により調製するこ
ともできる。
【0017】本発明はまたモエノマイシン群の抗生物質
のビスマス塩の生理学的に許容しうる塩に関する。塩と
してはクロリド、ブロミド、ニトレートなどのような別
のアニオンを含む上記本発明の化合物を既に示した。本
発明のビスマス塩が別のアニオンとして多塩基性の酸の
アニオン、例えば硫酸またはクエン酸のアニオンを含む
場合は、これらの酸官能基の1つのみをビスマスで中和
し、2番目のものまたはその他のものは完全に、または
部分的に、例えば金属塩またはアンモニウム塩として存
在することも可能である。抗生物質の分子内に存在す
る、または誘導体化により生成する、ビスマスとの塩形
成により中和されない酸性の基はまた、抗生物質中に存
在する金属塩またはアンモニウム塩として存在すること
もでき、或いは、抗生物質中に存在する、または誘導体
化、例えば、アミド基からアミノ基への加水分解により
生じる塩基性の基は、酸付加塩として存在することがで
きる。適する金属塩は、特にアルカリ金属塩およびアル
カリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、カル
シウムまたはマグネシウム塩である。アンモニウム塩は
アンモニアから、そして有機アミン類から誘導できる。
酸付加塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、
リン酸または製薬上用いられる他の無機および有機の
酸、例えば酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、メタン
スルホン酸等から誘導できる。塩は当該分野で知られた
慣用的な方法で調製できる。内部塩(ベタイン)もまた
本発明に包含される。本発明は更にまたモエノマイシン
群の抗生物質のビスマス塩の溶媒和物、例えば、水和物
またはアルコール和物、および他の誘導体、他のエステ
ル、および、本発明の化合物の活性な代謝産物に関す
る。
【0018】本発明のモエノマイシン群の抗生物質のビ
スマス塩は例えば、モエノマイシン群の抗生物質または
特に慣用的に使用されているその塩をビスマス塩と溶媒
または分散剤中で反応させることにより得る。この調製
方法もまた本発明の要件である。この場合の抗生物質
は、有機溶媒に十分溶解するアルカリ金属塩またはアン
モニウム塩の形態で、好ましくはナトリウム、カリウム
またはアンモニウム塩の形態で慣用的に用いられる。反
応に用いる溶媒は、好ましくは有機溶媒であるが、水を
含有する有機溶媒も使用できる。好ましくは、抗生物質
(またはその原料塩)および原料ビスマス塩は、溶液の形
態で用い、特に好ましくは、原料ビスマス塩は有機溶媒
中の溶液の形態で用いる。反応においては、モエノマイ
シン群の抗生物質の化学量論的組成物の所定のビスマス
塩を形成し、これは有機溶媒中での溶解性低く、おおむ
ね純粋な形態で反応混合物から容易に析出するが、これ
は簡単な方法で分離でき、或いは、慣用的な方法で単離
でき、そして、所望により更に精製する。
【0019】このようにして得られる本発明の生成物の
組成、およびそれがビスマス化合物と抗生物質の物理的
混合物ではなくビスマス、抗生物質および場合により例
えば他のアニオンを含有する化学量論的組成の均質な化
学的化合物であるという証明は、当該分野で知られた慣
用的な分析方法により求めることができる。ビスマスお
よび他の元素の含有量は知られた方法、例えば元素分析
により測定できる。本発明の塩の抗生物質の含有量は例
えばNMRスペクトル分析により測定できる。
【0020】NMRスペクトル分析はまた抗生物質の特
定の酸性の基上で起こる所定のビスマス塩の形成を特定
することができる。例えば、本発明のビスマス塩の1
−および13C−NMRシグナルを合成のために原料とし
て用いる抗生物質の相当するナトリウム塩のものと比較
することにより、特定のシグナル、特にビスマス塩形成
が起こる酸性の中心部に隣接する原子のシグナルが特徴
的なシフトを示す(実施例1のNMRデータ参照)。こ
のことは本発明の物質が新規なものであり、明確に定義
された化合物であり、その構造が確認されることを証明
するものである。
【0021】X線蛍光分析およびエネルギー分散X線ミ
クロ分散と組み合わせることのできる走査透過電子顕微
鏡検査のようなX線スペクトル分析方法も極めて適して
いる。例えばビスマスまたはリンのような元素の検出の
他に、これらの分析方法は種々の極めて小さい試料の部
位に存在する元素の比、例えばビスマス:リン、または
塩素、ナトリウムおよび他の元素等の比の測定を可能に
する。本発明の生成物はエネルギー分散X線ミクロ分析
によれば均質であり、ビスマスとリンの濃度比は常時一
定であり、化学量論的組成の化合物として存在する。
【0022】既に記載したとおり、本発明のビスマス塩
の調製において好ましい溶媒は有機溶媒である。しかし
ながら、水性−有機性の溶媒も、原料として用いるビス
マス塩の加水分解が反応条件下で実質的に起こらない程
度の低い水分含有量であれば用いることができる。許容
される水分含有量は個々の場合により異なる。適当な有
機溶媒は、例えば、低級アルコール、特にメタノールお
よびエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、グリコール、例えばエチレングリコールまたは1,
2−プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(D
MSO)、ジメチルホルムアミド、エーテル例えばジオ
キサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールエー
テル、およびこれらの溶媒と他の溶媒の混合物である。
特に、メタノールまたはエタノールのような、モエノマ
イシン群の抗生物質またはその塩が十分溶解する低級ア
ルコールが好ましい。
【0023】本発明の化合物の調製のためには、モエノ
マイシン群の抗生物質は、好ましくはまず例えば、慣用
的には0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の
濃度を有するメタノール中の溶液として導入する。既に
記載したとおり、抗生物質は数種の抗生物質の混合物の
形態で、または1種の抗生物質例えばモエノマイシンの
複合体の形態、または個々の成分として、例えばモエノ
マイシンAまたはC3として、ビスマス塩形成に用いる
ことができ、このような場合、既に記載したとおり、例
えばナトリウム塩またはアンモニウム塩のような塩が慣
用的に使用される。適当なビスマス(III)塩は、特
に、有機溶媒に容易に溶解するBi3+イオンの塩、例え
ば塩化ビスマス(BiCl3)、硝酸ビスマス(Bi(N
3)3)、臭化ビスマス(BiBr3)等である。慣用的
に用いられる有機溶媒中のビスマス(III)塩の溶液は
濃度0.01〜1モル/L、好ましくは0.1〜0.5モ
ル/Lである。ビスマス溶液は好ましくは抗生物質の溶
液に計量投入するが、その際、個々の場合によるが、本
発明の塩が容易に析出する。反応体のモル比は広範に変
化する。抗生物質(またはリン)およびビスマスをモル
比または原子比1:1で含有するような好ましいビスマ
ス塩を調製すべき場合は、好ましくは等モル比を用い
る。既に記載したとおり、使用する調製条件に応じて種
々のビスマス塩を得ることができる。
【0024】一般的に、ビスマス塩と抗生物質との反応
は、−20℃〜80℃、好ましくは、10℃〜30℃の
温度範囲で行う。反応は一般的に20分〜2時間の過程
でゆっくり添加することにより好都合におこなわれる。
より急速な方法においては、生成物が析出する場合は、
いわゆる包接により生成物の純度が悪影響を受ける場合
が有る。使用する溶媒に対する生成物の溶解度が低い場
合は、生成物を単離するためには、析出物として形成さ
れた沈殿を遠心分離または濾過により分離し、所望によ
り、例えば適当な有機溶媒中に懸濁して再度遠心分離ま
たは濾過することにより、精製することができる。生成
物が、完全に、または比較的広範囲に溶液のままで存在
するような可溶性の場合は、定法に従って、例えば真空
蒸留および/または凍結乾燥により、溶媒をまず部分的
または完全に除去し、そして/あるいは、生成物の溶解
度が低いような溶媒を添加し、析出した生成物を分取す
ることができる。しかしながら、単離のためには、クロ
マトグラフィー法も使用できる。乾燥後、生成物は白色
または淡色の粉末として得られるが、これは一般的に水
に対する溶解度が高く、DMSOにも可溶であるが、多
くの他の有機溶媒に対する溶解度は低い。所望に応じ
て、定法により、例えば再沈殿またはクロマトグラフィ
ーにより、生成物を更に精製できる。
【0025】更に、別のアニオンを含んでいる本発明の
ビスマス塩は特に、例えばイオン交換法により得ること
ができる。即ち、例えば、特定のアニオンを含んでいる
本発明のビスマス塩は、定法に従ってアニオン交換によ
り、例えば溶媒中塩または酸と反応させるか、またはク
ロマトグラフィーにより、別のアニオンとして別の生理
学的に許容しうるアニオンを含んでいる本発明の別のビ
スマス塩に変換できる。
【0026】モエノマイシン群の抗生物質、特にモエノ
マイシンそのものの生物学的活性および治療活性、およ
び胃疾患の治療および予防におけるこれらの抗生物質の
使用の利点はEP−A−655249に記載されてい
る。本発明のビスマス塩は実際はモエノマイシンの好都
合な抗生物質特性および治癒促進特性よりもかなり優れ
ている。このことはin vitroの実験およびin vivoの実
験の両方で示される。以下に詳述する通り、例えばモエ
ノマイシンAのビスマス塩の活性はin vitroの実験では
モエノマイシンA(ナトリウム塩)の活性よりも明らか
に高い。モエノマイシンのビスマスが相乗作用で機能す
る。本発明の塩の形態では、両成分とも拡散により共に
炎症患部に到達し、そこで作用し、これは抗生物質およ
び別個のビスマス塩を従来通り投与した場合には不可能
であるか、または僅かにのみ可能であったことである。
【0027】本発明の化合物の重要な利点は、本発明の
化合物の活性が高いために治療目的、例えばH.pyloriの
根絶を達成するためにより少ない用量を投与できる点で
あり、そしてそれに伴う副作用がより少ない点である。
本発明のビスマス塩の薬効は広範で高いため、従来の治
療において抗生物質2種を用いていた代わりに、抗微生
物剤として単独で使用できる。従って3種療法は2種療
法に簡素化でき、その場合、本発明のビスマス塩の他
に、例えば制酸剤(例えばオメプラゾール、ランソプラ
ゾール、パントプラゾール等)のみが投与される。その
結果、患者はより穏やかな治療を受け、費用も低減でき
る。H.pyloriの根絶は別の薬剤を追加せずに本発明のビ
スマス塩のみを用いても可能である。この1種療法は簡
便性、許容性および費用有効性の観点から、他の潰瘍治
療よりもはるかに優れている。
【0028】本発明のモエノマイシン群の抗生物質のビ
スマス塩およびその生理学的に許容されうる塩は、動
物、好ましくは哺乳類、特にヒトにおいて、医薬自体と
して、多種との混合物として、または医薬組成物の形態
で使用できる。本発明はまた、医薬として使用するため
の本発明のビスマス塩および生理学的に許容しうるその
塩、一般的に潰瘍、例えば、十二指腸潰瘍または消化性
潰瘍、胃疾患、特に、胃潰瘍または胃炎の治療および予
防、胃癌の予防、および一般的にはH.pyloriの抑制にお
けるその使用、および、上記用途のための医薬の製造の
ためのその使用に関する。本発明は更に、活性成分とし
て本発明のビスマス塩および/または生理学的に許容し
うるその塩の少なくとも1種の有効量を慣用的な製薬上
無害の賦形剤および/または補助剤とともに含有する医
薬組成物に関する。医薬組成物は通常は本発明のビスマ
ス塩および/または生理学的に許容しうるその塩0.5
〜95重量%を含有する。医薬組成物はそれ自体知られ
た方法で調製できる。この目的のためには本発明のビス
マス塩および/または生理学的に許容しうるその塩、個
体または液体の製薬用賦形剤および/または補助剤1種
またはそれ以上とともに、そして所望により他の医薬活
性化合物と組み合わせて、適当な投与形態または剤形と
し、次にこれを医療用または獣医分野の医薬として使用
する。これらの医薬は主に経口投与を意図している。
【0029】本発明のビスマス塩および生理学的に許容
しうるその塩はまた好都合な治療作用を達成するために
別の活性化合物と組み合わせることができ、特に、胃疾
患または潰瘍を治療するための別の活性化合物1種たま
はそれ以上と組み合わせることができる。上記した治療
および予防の用途のためには、適当な別の活性化合物
は、例えば制酸剤群、例えば炭酸水素ナトリウム、水酸
化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネ
シウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、二水酸化炭
酸ナトリウムアルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カ
ルシウムまたはヒドロタルサイトから選択できる。その
他の適当な別の活性化合物は、H2受容体ブロッカー
群、例えば、ファモチジン、ニザチジン、酢酸ロキサチ
ジン、ラニチジンまたはシメチジンから選択できる。そ
の他の適当な別の活性化合物は、ムスカリン受容体ブロ
ッカー、例えば臭化プロパンセリン、ピレンジピンまた
は他の抗潰瘍剤、例えばオメプラゾール、ランソプラゾ
ール、パントプラゾール、ミソプロストール、または他
のビスマス塩、例えば硝酸ビスマス、炭酸ビスマス、サ
リチル酸ビスマス、クエン酸ビスマスなどである。本発
明の治療のために適する他の活性化合物は例えば、テト
ラサイクリン、メトロニダゾール、アミオキシシリン、
ニシン、クラリスロマイシン、イミペネムまたはアミカ
シンのような抗生物質群に属する。好ましい組み合わせ
には、本発明のビスマス塩とともにプロトンポンプ抑制
剤、例えば、オメプラゾール、ランソプラゾール、パン
トプラゾール等が含有される。本発明のビスマス塩を上
記した別の活性化合物数種と、または別の適応症に関わ
る更に別の活性化合物と組み合わせることも好都合であ
る。上記した組み合わせの成分の投与は、共に、または
別々の形態で行うことができ、そして、単回投与により
行うか、または交互に順次行うことができる。
【0030】本発明のビスマス塩の投与に適する剤形
は、例えば、カプセル、例えばハードまたはソフトカプ
セル、錠剤、パステル剤、ロゼンジ、ロール投与(即
ち、服用薬剤を患者の胃内に供給するが、その際、患者
は数分仰向けに、数分横向けに、そして数分腹這いに横
たわる、等)分散性粉末および顆粒、ミクロビーズ、溶
液または懸濁液、特に水性の溶液および懸濁液、乳液、
シロップおよびエリキシル、および当該分野の類似の剤
形である。個体剤形、特に胃内で活性成分を放出できる
ものが好ましい。
【0031】医薬組成物は、製薬上許容される無毒の補
助剤および賦形剤を用いて製薬分野で知られた適切な方
法により調製できる。賦形剤としては、経口投与用錠剤
は、例えば、不活性の膨張剤(例えば塩化ナトリウム、
乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム)、顆
粒化剤または錠剤崩壊剤(例えばバレイショデンプン、
アルギン酸)、バインダー(例えばデンプン、ゼラチン
またはアラビアゴム)および潤滑剤(例えばステアリン
酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)を含有で
きる。錠剤は未コーティングであるか、または知られた
方法でコーティングすることにより、遅延溶解および胃
内での吸収可能にし、これにより比較的長時間に渡り持
続する作用を得ることができる。即ち、例えば、放出遅
延物質、例えばグリセリルモノステアレートまたはグリ
セリルジステアレートを使用できる。経口投与用のハー
ドゼラチンカプセルにおいては、活性化合物は、例えば
不活性の個体膨張剤、例えばリン酸カルシウムまたはカ
オリンと混合でき、ソフトゼラチンカプセルにおいて
は、活性化合物は、例えば、水性の媒体、例えば、水ま
たは、油性の媒体、例えばピーナツ油、流動パラフィン
またはオリーブ油と混合できる。所望の製剤に適する賦
形剤および/または補助剤は、当該分野の技術者の知る
とおりである。補助剤としては、例えば、抗酸化剤、分
散剤、乳化剤、可溶化剤、安定剤、フレーバー、甘味
料、着色料、保存料、デポ作用を得るための薬剤、緩衝
物質等である。
【0032】本発明のビスマス塩または生理学的に許容
しうるその塩の用量は、個々の症例により異なり、通常
通り最適な作用を得るために個々の症例の症状に適合さ
せる。即ち、当然ながら、治療または予防のための各症
例における投与頻度および使用化合物の力価および作用
持続時間により、そして、治療すべき疾患の性質と重症
度により、そして、治療対象となるヒトまたは動物の性
別、年齢、体重、健康状態、栄養、個々の応答性によ
り、他の薬剤との相互作用により、そして、治療が急性
であるか予防的であるかにより異なる。慣用的には、体
重約75kgのヒトに医薬組成物を経口投与する場合の一
日当たり用量は、5mg〜5g/ヒト/日、好ましくは5
0mg〜2g/ヒト/日である。用量は1回の用量として
投与でき、または数回、例えば、2、3または4回の個
々の用量に分割できる。医薬活性化合物として用いる他
に、本発明のビスマス塩は、上記したとおり、他の医薬
活性化合物の製造のための中間体として使用できる。こ
れらは更に、生化学的または微生物学的な研究におい
て、または診断方法、例えばin vitroの診断において補
助剤として使用できる。
【0033】
【実施例】
実施例1 塩化物形態のモエノマイシンAのビスマス塩(式:〔C
69106BiN534P〕+、対イオン:Cl-;MW 1
825) モエノマイシンAナトリウム塩50gをメタノール2L
に溶解し、室温で2時間メタノール100ml中BiCl
3 9.6gで撹拌しながら処理した。更に15分間穏や
かに撹拌した後、得られた白色沈殿を、各々ガラス棒で
沈殿を撹拌しながら、そして遠心分離により未溶解のモ
エノマイシンAビスマス塩を回収しながら数回メタノー
ル2Lで洗浄した。真空下に乾燥した後に得られた生成
物28gを磨砕しシーブ処理した後に、生物学的検討に
供した。得られた生成物は、特に以下の分析により同定
した。 a) 1H−および13C−NMR 実施例1に従って得られた塩化物形態のモエノマイシン
Aビスマス塩、および、比較として使用したモエノマイ
シンAナトリウム塩の化学シフト(ppm)(D6−DMS
O中)
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【化2】
【0038】b) 電子分散X線ミクロ分析(EDX) 10検体の粉末凝集物をEDXで検査した。試料の検査
部位の直径は各約50nmとした。各部位でビスマスを検
出した。原子比のビスマス:リンは常時1:1であり、
即ち、ビスマスは均質に、そして、化学量論的に有機粉
末粒子に取り込まれていた。ビスマスとリン(および塩
素、炭素および酸素)の外に、少量のナトリウムが局所
的に異なる濃度で検出された。
【0039】モエノマイシンA/塩化ビスマス沈殿の上
澄みをDMSO 100mlで処理し、真空下に濃縮して
200mlとし、Fractogel TSK HW-40を20L充填した
カラムに適用した。これをDMSO/メタノール(1:
1)を用いて分画溶離した。モエノマイシンAビスマス
塩を含有する溶出画分を合わせ、真空蒸留および凍結乾
燥により溶媒を除去した。これにより更に21gのモエ
ノマイシンAビスマス塩が塩化物の形態で得られ、これ
は最初に得られた生成物と同一であった。
【0040】実施例2 硝酸塩形態のモエノマイシンAのビスマス塩(式:〔C
69106BiN534P〕+、対イオン:NO3 -;MW 1
851.5) モエノマイシンAナトリウム塩163mgをメタノール4
mlに溶解し、撹拌しながらDMSO 200μl中の硝酸
ビスマス(III)五水和物48.5mgの溶液で処理した。
形成した沈殿をメタノール中に3回懸濁し、遠心分離
し、上澄みを分離することにより精製した。沈殿を真空
下に乾燥した後、モエノマイシンAビスマス塩112mg
を硝酸塩形態で得た。電子分散X線ミクロ分析を実施例
1と同様にして行い、塩素を含有しない以外は同様の結
果を得た。
【0041】上記実施例に従って、以下のモエノマイシ
ン抗生物質ビスマス塩を得た。 塩化物形態のモエノマイシンA1.2ビスマス塩 (式:〔C69104BiN534P〕+、対イオン:C
-;MW 1811) 塩化物形態のモエノマイシンC1ビスマス塩 (式:〔C6294BiN528P〕+、対イオン:C
-;MW 1632.8) 塩化物形態のモエノマイシンC3ビスマス塩 (式:〔C6396BiN528P〕+、対イオン:C
-;MW 1646.9) 塩化物形態のモエノマイシンC4ビスマス塩 (式:〔C6396BiN529P〕+、対イオン:C
-;MW 1662.9)
【0042】生物学的検討 ヘリコバクター・ピロリ菌に対するモエノマイシン群の
抗生物質のビスマス塩の抗細菌活性 ヘリコバクター・ピロリ菌を5日間CO2雰囲気下(8
−10%CO2)ミクロ好気的条件下(Anaerocult, Mer
ck)トリプトン大豆寒天(+5%脱フィブリン化ヒツジ
血液+アクチジオン500μg/ml)上で35℃で前イ
ンキュベートした。実際の実験のために生育下培養物を
綿花スワブを用いて前インキュベートプレートから完全
に除去し、0.9%NaCl溶液に懸濁し、McFarland標
準液を用いて菌体密度を3×108cfu/mlに調節した。
被験物質のin vitro活性は試験培地としてColumbia寒天
(+5%脱フィブリン化ヒツジ血液+アクチジオン、5
00μg/ml)を用いて寒天希釈法で測定した。種々の
濃度の被験物質(0.002〜128μg/ml)を含有す
る寒天プレートに調節済み微生物懸濁液を点状接種(多
点接種器、Denley)した。ミクロ好気的条件下で
インキュベーションを行った(上記参照)。35℃5日
間の後、コロニー形成が目視検知不可能な最低濃度を求
め、最小抑制濃度(MIC)とした。ビスマス塩と同
様、相当するナトリウム塩も測定して比較した。 結果:最小抑制濃度(μg/ml) 微生物 モエノマイシンA モエノマイシンAビスマス塩 ナトリウム塩(比較) 塩化物型(実施例1) H.pylori P 42 2 0.5
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アストリド・マルクス ドイツ連邦共和国65835リーダーバハ.ズ ルツバハーシユトラーセ6 (72)発明者 ゲールハルト・ザイベルト ドイツ連邦共和国64291ダルムシユタト. グレーザーヴエーク21

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗生物質が単独または混合物として存在
    するモエノマイシン群の抗生物質またはその誘導体のビ
    スマス塩および生理学的に許容しうるその塩。
  2. 【請求項2】 抗生物質モエノマイシン、プラシノマイ
    シン、ジウマイシン、11837 R.P.、8036
    R.P.、19402 R.P.、エンサコマイシン、プレ
    ノマイシン、テイコマイシンおよびホリポマイシンの1
    つまたはそれ以上から誘導される請求項1記載のビスマ
    ス塩および生理学的に許容しうるその塩。
  3. 【請求項3】 個別成分の形態で、または個別成分の混
    合物の形態で存在するモエノマイシンそのものから誘導
    される請求項1および/または2記載のビスマス塩およ
    び生理学的に許容しうるその塩。
  4. 【請求項4】 モエノマイシンAおよび/またはモエノ
    マイシンC3から誘導される請求項1〜3の1つまたは
    それ以上に記載のビスマス塩および生理学的に許容しう
    るその塩。
  5. 【請求項5】 別の生理学的に許容しうるアニオンを含
    有する請求項1〜4の1つまたはそれ以上に記載のビス
    マス塩および生理学的に許容しうるその塩。
  6. 【請求項6】 約1:1のモル比でビスマスおよび抗生
    物質(単数または複数)を含有する請求項1〜5の1つ
    またはそれ以上に記載のビスマス塩および生理学的に許
    容しうるその塩。
  7. 【請求項7】 溶媒または分散剤中のビスマスにモエノ
    マイシン群の抗生物質(単数または複数)またはその塩
    を反応させることを包含する請求項1〜6の1つまたは
    それ以上に記載のビスマス塩の調製方法。
  8. 【請求項8】 医薬として使用するための請求項1〜6
    の1つまたはそれ以上に記載のビスマス塩。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6の1つまたはそれ以上に記
    載のビスマス塩および/または生理学的に許容しうるそ
    の塩の少なくとも1種の有効量を製薬上無害の賦形剤お
    よび/または補助剤と共に含有する医薬製剤。
  10. 【請求項10】 胃の疾患または潰瘍の治療のための別
    の薬学的に活性の有る化合物1つまたはそれ以上を含有
    する請求項9記載の医薬製剤。
  11. 【請求項11】 潰瘍、胃疾患、胃潰瘍、胃炎の治療ま
    たは予防、または胃癌の予防のための医薬の製造のため
    の請求項1〜6の1つまたはそれ以上に記載のビスマス
    塩および/または生理学的に許容しうるその塩の使用。
  12. 【請求項12】 ヘリコバクター・ピロリ菌の抑制のた
    めの医薬の製造のための請求項1〜6の1つまたはそれ
    以上に記載のビスマス塩および/または生理学的に許容
    しうるその塩の使用。
  13. 【請求項13】 潰瘍、胃疾患、胃潰瘍、胃炎の治療ま
    たは予防、または胃癌の予防のための請求項1〜6の1
    つまたはそれ以上に記載のビスマス塩および/または生
    理学的に許容しうるその塩の使用。
  14. 【請求項14】 ヘリコバクター・ピロリ菌の抑制のた
    めの請求項1〜6の1つまたはそれ以上に記載のビスマ
    ス塩および/または生理学的に許容しうるその塩の使
    用。
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