JPS6364528B2 - - Google Patents

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JPS6364528B2
JPS6364528B2 JP56024858A JP2485881A JPS6364528B2 JP S6364528 B2 JPS6364528 B2 JP S6364528B2 JP 56024858 A JP56024858 A JP 56024858A JP 2485881 A JP2485881 A JP 2485881A JP S6364528 B2 JPS6364528 B2 JP S6364528B2
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fiber
tanδ
fibers
acrylonitrile
cellulose derivative
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は熱形態安定性に優れた新規な複合繊維
に関するものである。更に詳しくは、セルロース
誘導体及びアクリロニトリル系重合体とからな
り、セルロース誘導体が微細な繊維状に相分離し
て分散してなる高度に熱形態安定性に優れた新規
な複合繊維に関するものであり、その目的とする
ところは、繊維の力学的性質もさることながら、
良好な熱形態安定性を有し、染色時又はアイロニ
ング時の寸法安定性に優れたアクリル系複合繊維
を提供するにある。 一般にアクリル系繊維は洋毛に類似した風合を
有し、良好な耐摩耗性、高度な光安定性、優れた
染色性をもつため、衣料用途あるいは産業資材又
は準産業資材用途に極めて有用な繊維であるが、
産業資材用途は言うに及ばず、準産業資材あるい
は衣料用途分野においても、引張強伸度はさるこ
とながら、熱形態安定性が悪いという大きな欠点
を有していた。即ち、従来のアクリル系繊維また
はアクリル系繊維と他繊維との混交により作られ
た紡績糸、織物あるいは衣服は、熱洗浄、染色操
作等にさらされた時、熱変形を起こして伸びてし
まつたり、織目が歪んだり、アイロニング時の加
熱張力によつて編織物が波打つたり、織物組織が
つぶれテカリや変色をきたし、著しく商品価値を
低下させるものであつた。 熱形態安定性の改良の試みとしては、架橋性単
量体を共重合したアクリロニトリル系共重合体を
架橋処理した繊維や、メタクリロニトリルとアク
リロニトリル共重合体とポリアクリロニトリル重
合体を用いた鞘芯型複合繊維が知られている。 しかしながらこれらの繊維は、衣料用またはイ
ンテリア用等の実用繊維に最も重要視される染色
性が低下するという大きな欠点があつた。この欠
点を改善しようとしてこの重合体に他の非電離性
単量体を共重合させる試みもされたが、その場合
は熱形態安定性の劣るアクリル系繊維しか得られ
ず、採用し得べくもなかつた。 本発明者らは、これらアクリル系繊維の欠点に
鑑み、アクリロニトリル系重合体と種々の重合体
との組み合せからなる複合繊維系について鋭意検
討を行なつたところ、複合繊維を構成するアクリ
ロニトリル系重合体以外の成分としてセルロース
誘導体を用い、かつ特定の分散構造及び特定の繊
維微細構造とすることによつて従来のアクリル系
繊維の有する優れた特徴を保持しつつ、その欠点
を大幅に改良した本発明繊維を見い出し完成する
に至つた。 即ち、本発明は、セルロース誘導体、アクリロ
ニトリル系重合体及び実質的にこれらを同時に溶
解する溶媒とからなるドープ組成物を紡糸、延伸
して得られた繊維を0.01〜0.1g/dの緊張下、100
℃以上の温度で、且つ下式(4)を満足する条件によ
つて熱処理された繊維であつて、実質的にセルロ
ース誘導体3〜15重量%、及びアクリロニトリル
系重合体85〜97重量%とからなり、セルロース誘
導体が微細な繊維状に相分離して分散してなる繊
維であつて、広角X線回折によつて測定されるア
クリロニトリル系重合体部の結晶配向角が18〜
63゜であり、セルロース誘導体部とアクリロニト
リル系重合体部との結晶配向角の比が、下式(1)を
満足し、粘弾性損失正接(以下tanδと略記する)
の温度曲線において、下式(2)を満足し、かつ下式
(3)で表わされる熱形態安定性が10%以下である熱
形態安定性に優れた複合繊維 0.8≦αCell Der/αPAN≦1.2 (1) tanδmax/(tanδ)T=60+(tanδ)T=200−0.5≦1.45
(2) (但し式(1)において、αcell Derはセルロース誘
導体部の結晶配向角(゜)であり、αPANはアク
リロニトリル系重合体部の結晶配向角(゜)を表
わし、式(2)中、tanδmaxは40℃〜220℃の範囲で
測定されたtanδ対温度曲線から求められるtanδの
最大値を、(tanδ)T=60及び(tanδ)T=200はそれぞ
れ60℃及び200℃におけるtanδ値を表わす。) 熱形態安定性(%)=l−lO/lO×100 (3) (但し式(3)中、lOは5000デニールのトウとなし、
室温下0.1g/dの荷重付与下に測定された初期長
(cm)であり、は沸水浴中、0.1g/dの荷重付与
下に10分間浸漬後のトウの長さ(cm)である) (但し式(4)中、R;熱処理時間(sec)、D;処理
に供される繊維の総デニール、t;処理張力
(g/d)、T;処理温度(〓)) を要旨とするものである。 本発明は実質的にセルロース誘導体及びアクリ
ロニトリル系重合体とからなり、セルロース誘導
体が微細な繊維状に相分離して分散してなる繊維
であつて、広角X線回折によつて測定されるアク
リロニトリル系重合体部の結晶配向角が18〜63゜
でありセルロース誘導体部とアクリロニトリル系
重合体部との結晶配向角の比が、下式(1)を満足
し、かつ110Hz、40℃〜220℃の温度範囲で測定さ
れた動的粘弾性損失正接(以下tanδと略記する)
が、下式(2)を満足し、かつ式(3)で表わされる熱形
態安定性が10%以下である新規な複合繊維であつ
て、その目的とするところは、織物あるいは編物
等の繊維製品とした場合、熱洗浄、染色加工、ア
イロニング等の特に、湿熱処理をうける諸工程に
おいて、収縮率及び弾性の低下が少なく、いわゆ
るへたり現象のない特に熱形態安定性に優れた、
しかも引張伸度などの力学的な繊維性能に優れた
複合繊維を提供するにある。 従来、セルロース誘導体とアクリロニトリル系
重合体とを溶媒に溶解したドープ及びかかるドー
プが相分離することは公知であり、又かようなド
ープから、セルロース誘導体がアクリロニトリル
系重合体中に相分離して分散する繊維もすでに知
られている。例えばケイツ氏によるジヤーナル・
オブ・ポリマー・サイエンス、第20巻、155頁
(1966年)(J.Polymer.Sci.、20、155(1966)、特
公昭31−968号公報には、いずれもN,N―ジメ
チル―ホルムアミドに、特公昭37−2986号公報に
は無機塩類の濃厚水溶液に、あるいは特公昭39−
14029号公報にはジメチルスルフオキシドに、い
ずれも酢酸セルロースとアクリロニトリル系重合
体とを溶解したドープより繊維を製造しうること
が記載されている。更に特公昭33−4023号公報に
はセルロース誘導体としてシアノエチルセルロー
スを用いアクリロニトリル系重合体とからなる繊
維が開示されている。しかしながら、かかる公知
技術によつて得られる繊維は、繊維素用染料によ
る可染化、あるいは吸湿性の向上にはその効果は
認められるものの、本発明者らの主目的とする熱
形態安定性を有する繊維が、セルロース誘導体及
びアクリロニトリル系重合体との特定な分散複合
繊維構造及び特定な微細構造とすることによつて
はじめて達成せられる事実、及び思想は何等開示
されておらず、本発明の繊維が、従来公知のセル
ロース誘導体及びアクリロニトリル系重合体とか
らなる繊維とは、基本的、本質的、に全く異なる
ものであることは理解されねばならない。事実か
ような公知技術による繊維は、本発明の繊維の微
細構造要件を何等満たすものでないことは勿論、
熱形態安定性については、従来のアクリル系繊維
のそれを何等改良するものではなく、場合によつ
ては逆に熱形態安定性の低下を引き起こすもので
あつた。 即ち、本発明の繊維の特徴は、複合繊維を形成
するセルロース誘導体を繊維中に均一にかつ相分
離した微細な繊維状で分散配置せしめ、高度に配
向したアクリロニトリル系重合体によつてアクリ
ル系繊維の特徴は保持せしめつつ、マトリツクス
としてのアクリロニトリル系重合体の配向性に対
して好適な配向性を有するセルロース誘導体をフ
イラーとする特異な微細構造とすることにより、
熱形態安定性を付与した点にあり、これは単にセ
ルロース誘導体とアクリロニトリル系重合体を混
合しただけでは達成され得るものではない。 本発明の繊維においては、実質的にセルロース
誘導体が3〜15重量%とすることが望ましい。セ
ルロース誘導体が、3重量%以下となると、本発
明の目的である熱形態安定性を充分に発揮するこ
とは出来ず、また場合によつては相分離した複合
繊維を与えないこともありうる。一方15重量%以
上の場合には、式(1)及び(2)で示される繊維の微細
構造上の要件を満足し、熱形態安定性にも優れた
繊維となり得るが、相分離構造に起因してのフイ
ブリル化の傾向が大巾に増大し消費性能上の大き
な欠点をまねく為好ましくない。 本発明においては複合繊維を形成するフイラー
としてのセルロース誘導体が微細な繊維状に分散
し、後述詳細に説明される広角X線回折法によつ
て測定される結晶配向角が18゜〜63゜であることが
必要であるばかりでなく、セルロース誘導体部と
アクリロニトリル系重合体部との結晶配向角の比
が式(1)を満足することが必要である。 本発明者らは、前述の公知資料にもとずいて、
追試を行なつたが充分な繊維を得るに至らず、更
に本発明に近ずけて検討を進めたものであるが、
得られた繊維の広角X線回折による結晶配向角の
測定を行なつたところ、アクリロニトリル系重合
体部における結晶配向角は充分に小さく、高い配
向性を示したが、セルロース誘導体部の結晶配向
角は極めて大きく、低い配向性を示し、本発明の
式(1)を満足する繊維を得ることは出来なかつた。 一方本発明の繊維においては、アクリロニトリ
ル系重合体部の結晶配向角が充分小さく、高配向
性である上に、セルロース誘導体部の結晶配向角
も、同様に小さく、高配向性を示すものであつ
て、従来公知の繊維とはセルロース誘導体部とア
クリロニトリル系重合体部との結晶配向角の比に
おいて全く異なるものであり、その結果、力学的
性質の向上をもたらすものである。 このように顕著な効果を示す繊維微細構造上の
補強効果発現機構については推定の域を脱しきれ
ないが、少くとも繊維軸方向あるいは繊維軸と直
角方向に加えられた応力が、フイラーとして、マ
トリツクスであるアクリロニトリル系重合体より
高配向で、強伸度特性あるいは寸法安定性に優れ
ていると予想されるセルロース誘導体の微細な繊
維状フイラーに集中―緩和されることによるもの
と考えられる。一方フイラーとしてのセルロース
誘導体の微細な繊維が、低い配向性しか示さず、
強伸度特性あるいは寸法安定性等にも劣ると考え
られる場合には、応力の集中によつて容易にフイ
ラーの切断あるいは伸長が起こり、ひいては繊維
の力学的性質を低下せしめるものと考えられる。 更に本発明の繊維においては、温度範囲40℃〜
220℃において測定される動的粘弾性損失正接が
式(2)を満足することが熱形態安定性を付与する上
で肝要である。 本発明者らによれば、有機溶媒系、無機酸溶媒
系あるいは無機塩水溶媒系から得られる従来のい
ずれのアクリル系繊維も、40℃〜220℃範囲で測
定されるtanδにおいては、110℃〜130℃付近に1
つのtanδ極大を有するものであつた。また前述の
如くセルロース誘導体アクリロニトリル系重合体
とからなる従来公知の複合繊維について同様に
tanδを測定したところ、110℃付近に1つの極大
を与えたのみで、何等通常のアクリル系繊維の
tanδと変らないものであつた。 一方本発明の繊維のtanδは例えば第1図に示し
た通り、40℃〜220℃の範囲において2つのtanδ
極大を示し、あるいは又、2つの極大を有さない
場合でも、式(2)を満たすtanδの温度曲線を与え、
従来のアクリル系繊維、又従来のセルロース誘導
体及びアクリロニトリル系重合体とからなる複合
繊維とは全く異なるものである。 本発明者らは、これらの繊維のtanδの温度特性
と熱形態安定性について詳細に検討を繰返し行な
つたところ、極めて密接な相関を見い出した。即
ち繊維を形成している重合体分子の動き易さの1
つの尺度と考えられるtanδが、上記温度範囲で式
(2)を満足しない範囲、即ち1.45以上の範囲では、
熱時荷重付与下での変形が極めて大きく、本発明
の目的とするに充分な10%以下の熱形態安定性を
得ることは出来ない。 本発明においては、複合繊維を形成するフイラ
ーとしてのセルロース誘導体が微細な繊維状に分
散しているのが望ましく、極度に粗大な粒子状あ
るいは不均一な分布で存在する場合には、複合効
果としての力学的性質及び熱形態安定性向上の充
分な効果は認められず、少なくとも繊維断面の光
学顕微鏡写真を添付したごとく、断面全域にほゞ
均一に分散しているのが好ましいが、本発明の効
果を損わない限りにおいては、例えば同心あるい
は偏心鞘芯タイプ、あるいは、繊維側周辺内部へ
の集中配置等の分布も許される。 複合繊維中に分布するセルロース誘導体からな
る微細な繊維状物を直接とり出し、その形状を測
定することは現在の技術では不可能なため、光学
顕微鏡あるいは電子顕微鏡による間接的な測定に
よらねばならず、明確に形状を規定することは出
来ないが、概ね微細繊維状物の径は複合繊維径全
体の1/10以下、好ましくは1μ以下であるのが良
い。又微細繊維状物の長さと径の比(長さ/径)
は少なくとも20以上がよい。 このようにセルロース誘導体とアクリロニトリ
ル系重合体とからなり、特定の分散構造及び特定
の繊維微細構造とすることによつて、本発明の繊
維は、従来のアクリル系繊維の羊毛に似た風合、
高度な光安定性、染色性等の特徴を備えつつ、力
学的に充分な繊維性能を有することは言うに及ば
ず、熱形態安定性、特に湿熱時の寸法安定性に優
れた繊維となるので、従来アクリル系繊維では困
難とされていた例えば婦人服、紳士服などの高級
織物用あるいは産業資材用に供し得るものであ
る。 本発明の繊維に有用なセルロース誘導体は、下
式で表わされる構造を有するものが望ましく、 式中、Rは、アセチル、プロピオイル、ブチリ
ル、ステアロイル、酸フタロイル、炭素数1乃至
5のアルキル、シアノメチル、シアノエチル、ヒ
ドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシ
プロピル、カルボキシメチル及びそのナトリウム
塩、カルボキシエチル及びそのナトリウム塩、ナ
トリウムスルフエート、及びニトロの群から選択
される基を表わし、及び式(1)で表わされる2個の
グルコース単位中RのO乃至4個は水素であつて
も良い。 具体的には、酢酸セルロース、メチルセルロー
ス、エチルセルロース、シアノエチルセルロー
ス、メチルシアノエチルセルロース、ヒドロキシ
メチルセルロース、シアノエチルヒドロキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カ
ルボンキシメチルセルロースナトリウム、カルボ
キシエチルセルロースナトリウム、メチルカルボ
キシメチルセルロースナトリウム、シアノエチル
カルボキシメチルセルロースナトリウム等々であ
つて、特に好適なものは、酢酸セルロース、シア
ノエチルセルロース、メチルセルロースであり、
市販のものをそのまま用いてもよく、また適当な
手段によつて製造、精製したものを用いてもよ
い。本発明の繊維に用いられるセルロース誘導体
の無水グルコース単位の平均置換度(DS)は1.0
以上であればよく、1.5乃至3.0が好ましい。無水
グルコース単位の平均重合度(DS)は、セルロ
ース誘導体の種類によつても多少異なるが、通常
50乃至700であるのがよい。本発明の繊維にはこ
れらのセルロース誘導体を一種用いることは勿
論、2種以上の混合体として用いてもよい。 本発明の繊維に用いられるアクリロニトリル系
重合体は、40モル%以上のアクリロニトリルと他
の共重可能なビニル系単量体を通常の重合方法に
よつて得られるアクリロニトリル重合体又はアク
リロニトリル系共重合体であればいずれでもよい
が、得られる繊維の染色性の点から共重合体であ
ることがよく、特に85モル%以上のアクリロニト
リルを含むものが好ましい。具体的に用いられる
共重合単量体の例としては、アクリルアミド、メ
タクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、N
―エチルメタクリルアミド、マレイミド、アリル
アルコール、メタリルアルコール、β―ヒドロキ
シエチルメタクリレート、メタリルアミン、β―
アミノエチルメタクリレート、アクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸、メチルアクリレート、メ
チルメタクリレート、エチルメタクリレート、α
―メチルアクリロニトリル、α―シアノアクリロ
ニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、スチレン等があげられるが、これらに限定
されるものではない。 本発明の繊維は、いわゆる当業者にとつて容易
に追試可能な後記実施例によつて具体的にしかも
再現性よく製造することができる。もちろん、こ
のような実施例では本発明の製造例のいくつかを
具体的に例示したにすぎないものであつて、一般
的には後記実施例を参照しつつ次の事項に留意し
て製造することができる。 本発明の繊維においては、前述の如くセルロー
ス誘導体の組成比率が3〜15重量%であるのが好
適であつて、繊維を製造するには上述したセルロ
ース誘導体とアクリロニトリル系重合体とのそれ
ぞれ所定量を、両者を溶解しうる溶媒に溶解しド
ープを作成し、通常に行なわれる湿式紡糸、半乾
半湿式紡糸あるいは乾式紡糸法により繊維とすれ
ばよい。 ドープ作成に供される両者を溶解しうる溶媒と
は例えば、N,N―ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルフオキシド、N―メチル―2―ピロリド
ン、N,N―ジメチルアセトアミド等と有機溶
媒、塩化亜鉛、ロダン塩等の濃厚水溶液、あるい
はまた硝酸水溶液等々のいずれでもよく、更には
2種以上の混合溶媒であつてもよい。ドープ濃度
は5〜50重量%であればよく、この範囲内で紡糸
法として好適な粘度、例えば500〜2000ポイズと
なる様にするのがよい。 本発明の繊維の製造に供されるドープは上述の
条件を満たすものであれば、光学的等方性のドー
プであつても何等支障をきたすものではないが、
特に流動複屈折を示すドープを用いることが好ま
しい。ここで流動複屈折とはドープの少量をスラ
イドグラス及びカバーグラス間におき、静置状態
において直交偏光暗視野下に顕微鏡観察すること
によつては、光を透過せず、カバーグラスに指圧
等により力を加えてずらしながら、即ち剪断力を
加えた流動状態において同様の観察をすることに
より光を透過する光学的性質を言い、以上の様な
方法で観察判定され、当業者によつて容易に、光
学的等方性を示すドープとは識別することが出来
る。 ドープから紡糸口金を通して形成された糸状体
は、通常の繊維製造工程における常套手段である
水洗、延伸、乾燥等の工程により繊維とすること
が出来るが、本発明の熱形態安定性に優れた繊維
とするには、最終的に100℃以上の乾熱あるいは
湿熱条件下、0.01〜0.1g/dの張力下でかつ下式
(4)を満足する条件によつて熱処理することが肝要
であつて熱形態安定性が10%以下であり、引張強
伸度などの力学的性質にも優れた本発明の繊維と
することが出来る。 (但し式(4)中、R;熱処理時間(sec)、D;処理
に供される繊維の総デニール、t;処理張力
(g/d)、T;処理温度(〓)) このようにして得られる本発明の繊維は、通常
の場合スフ、トウ、モノ又はマルチフイラメント
等のいずれの形態であつても良く、いずれの場合
においても、従来のアクリル系繊維の特徴である
羊毛に似た風合、良好な耐摩耗性、高度な光安定
性、あるいは優れた染色性等を合せ有する為に、
従来アクリル系繊維が供されて来た衣料分野は勿
論、例えばテント、カーカバー、ドライヤーカン
バス等々の準産業資材又は産業資材用途分野での
使用にも好ましく供されるが、特に例えば婦人服
あるいは紳士服等の高級織物分野での使用におい
てその威力を発揮する。 以下に本発明の繊維の特定や物性の測定に用い
られる主なパラメーターの測定法について詳述す
る。 <繊維物性測定法> デニール; 英光産業(株)製トーシヨンバランスMODELTTI
を用い、90mmの単糸10本より、単糸デニールを求
めた。 引張強伸度及びモジユラス 東洋ボールドウイン(株)製UTM――20型引張
試験機を用い、糸長20mm単糸として、ヘツドスピ
ード20mm/min・チヤートスピード200mm/min
の条件でSSカーブを測定し常法により求めた。 <熱形態安定性> 糸長180mm、5000デニールのトウに荷重が0.1
g/dとなる様に500gの重りをかけ、沸騰水浴中
での10分後の伸び率を測定した。 <広角X線回折による結晶配向角の測定法> 繊維の結晶配向角の測定は、通常の方法で、写
真またはカウンターを用いて行うことが出来る。 例えばカウンター法によれば、理学電機社製X
線発生装置(RU―ZOOPL)、繊維測定装置(FS
―3)、ゴニオメーター(SG―9R)及びシンチ
レーシヨンカウンターを用いて実施する。測定に
はニツケルフイルターで単色化したCuKα(=1.54
Å)を使用する。 本発明の繊維は、赤道線上にセルロース誘導体
及びアクリロニトリル系繊維に起因する強い反射
を有することが特徴である。例えば2θ=10゜付近
の反射はセルロース誘導体に起因するものであ
り、2θ=17゜付近の反射はアクリロニトリル系重
合体に起因するものである。配向角測定には上記
の2つの反射を用いるが、結晶配向測定に使用さ
れる反射の2θの正確な値は、各試料の赤道線方向
の回折強度曲線から決定される。セルロース誘導
体及びアクリロニトリル系重合体部の結晶配向角
の測定は、これらそれぞれに特有の2θを有する反
射を使用して常法によつて行なわれる。 X線発生装置は32KV100mAで運転する。繊維
測定装置に繊維試料を単糸どうしが互いに平行と
なるように引きそろえて取り付ける。試料の厚さ
は2mm位になるようにするのが適当である。予備
実験により決定された2θ値にゴニオメーターをセ
ツトする。この平行に配列した繊維軸に垂直にX
線を入射させる(ビーム垂直透過法)、ビームに
垂直な面内で試料を回転させ方位角=−90゜〜
+90゜の範囲を走査し、回折強度を記録紙に記録
する。この時の走査速度は=4゜/min、チヤー
トスピード1cm/min、タイムコンスタント
5sec、コリメーター2mmφ、レシービングピンホ
ールは一辺2mmの正方形である。 さらには、回折強度を連続的な走査によらず、
ステツプ走査によつて測定してもよい。得られた
回折強度曲線から結晶配向角(セルロース誘導体
部の結晶配向角;αCell Der、アクリロニトリル
系重合体部の結晶配向角;αPAN)を求めるに
は、=±90゜で得られた回折強度の平均値をと
り、水平線を引きバツクグラウンドとする。ピー
クの頂点から基線に垂線をおろし、その高さの中
点を求める。中点を通る水平線を引く。この水平
線と回折強度曲線の交点間の距離を測定し、この
値を角度(゜)に換算した値を配向角とする。 このようにして求められたセルロース誘導体部
の結晶配向角(αCell Der)、及びアクリロニト
リル系重合体部の結晶配向角(αPAN)より、結
晶配向角の比(αCell Der/αPAN)を求めた。 <動的粘弾性損失正接(tanδ)の温度曲線の測定
法> tanδの測定は、例えば東洋ボールドウイン社
製、レオーバイブロンDDV―C型を使用して
常法により求めることができる。測定に使用され
るサンプルは、例えば600〜800デニール(糸断面
積として5〜8×10-2mm2)となるように繊維を
引きそろえ、長さ約30mmとした。測定周波数は
110Hz測定温度範囲は40℃〜220℃とし、1.0〜1.5
℃/minの速度で昇温し、3〜5℃間隔の各点で
測定し、常法計算によりtanδを求めた。このよう
にして求められた各温度におけるtanδ値を、温度
を横軸、tanδを縦軸としてプロツトし、各点をな
めらかな曲線で結び、tanδ―温度曲線とした。 tanδ max、(tanδ)T=60、(tanδ)T=200はそれぞ
れ、このtanδ―温度曲線から最大値及び、60℃、
200℃におけるtanδ値を読みとることによつて求
めた。 以下に本発明を実施例によつて更に詳細に説明
するが、実施例中特にことわりのない限り%は重
量%を示すものである。 実施例 1 平均重合度(DP)が316、平均置換度(DS)
が2.60のシアノエチルセルロース33.2g及びアク
リロニトリル/アクリルアミド/アクリル酸メチ
ル=90/5.5/4.5(モル%)からなるηinh=1.34の
アクリロニトリル共重合体298.7gを1000mlの70
%硝酸水溶液に加えて撹拌溶解し、濃度19%のド
ープを作成した。このドープの0℃における溶液
粘度は1960ポイズであり、顕微鏡観察により微細
な島状の相を分離しており、直交偏光暗視野下に
おいては、カバーグラスを指で押えてずらすこと
により、流動状態で、この島状の相のみが光を透
過し、流動複屈折を示すことが認められた。 このドープを冷却ジヤケツトの付いたドープタ
ンクに移し、0℃付近にドープ温度を保つたま
ま、真空脱泡後、孔径0.08mmφ、孔数100の紡糸
口金を用いて、4.27ml/min、8.50m/minの吐
出線速度で、浴長1m、35%硝酸水溶液からなる
凝固浴中に吐出したのち4m/minの速度で糸条
を捲きとり、ついで5mの水洗浴を通して洗浄
後、2.5mの沸騰水浴中で9.9倍延伸し繊維を得
た。 次いで70℃の熱風雰囲気中で弛緩乾燥を施した
後、総デニール180の連続フイラメントを、管長
2m、管径10cmで両端にラビリンスシールの付さ
れたSUS製の熱処理管に導き、飽和蒸気(約1
Kg/cm2G圧)を吹き込みつつ120℃、に保ちなが
ら熱処理した。尚この時の処理張力は、入口側ロ
ール速度を5m/min、出口側ロール速度を約
4.6m/minに調整しながら、0.05gdに保つた。
この時の処理時間は約24秒であつた。 この繊維の諸特性値、及び比較の為、本実施例
に用いられたアクリロニトリル系重合体のみから
なる公知のアクリル繊維の特性値を比較例1とし
て表1に示した。尚、実施例1、及び比較例1の
tanδ温度曲線をそれぞれ第1図、及び第2図とし
て示した。
【表】 表1から明らかなように、本発明の繊維は、極
めて高い配向性を示すセルロース誘導体と、アク
リロニトリル系重合体とからなり、熱形態安定性
は3.3%と、驚くべき程の優秀性を示すものであ
る。また第1図及び第2図との比較から、本発明
の繊維は従来のアクリロニトリル系重合体とから
なるものとはそのtanδの温度曲線において全く異
なるものであることは明白であり、後述実施例5
において示される様に、従来公知の相分離してな
る繊維とも全く異なることが確認された。 実施例 2、3 DP330、DS2.62のシアノエチルセルロース、
アクリロニトリル/アクリルアミド/アクリル酸
メチル/メタリルスルホン酸ソーダ=91.5/
3.5/4.5/0.5(モル%)からなるηinh=1.16のア
クリロニトリル共重合体及び67%硝酸水溶液とか
ら表2に示されるドープを作成し、実施例1と同
様の方法にて紡糸、延伸(10.5倍)し繊維を得
た。
【表】 この延伸繊維に実施例1と同じ熱処理を実施し
て得られた最終繊維の特性値は表3に示す通りで
あつて、極めて熱形態安定性に優れたものであつ
た。尚、実施例3で得られた最終繊維の光学顕微
鏡断面写真を第3図として示したが、本発明の繊
維の特徴として、シアノエチルセルロースが微細
な繊維状に、均一に分散していることが観察され
た。
【表】 実施例 4 紡糸用ドープとしてDP180、DS2.48の酢酸セ
ルロース35.3g及びアクリロニトリル/アクリル
酸メチル=92/8(モル%)からなるアクリロニ
トリル共重合体317.3gを、69%硝酸水溶液750ml
に溶解しドープを調製した。このドープは直交偏
光暗視野下の顕微鏡観察によつて流動複屈折を示
すことが確認された。 このドープを冷却ジヤケツトの付いたドープタ
ンクに移し、0℃付近にドープ温度を保つたまま
真空脱泡後、孔径0.14mmφ、孔後100の紡糸口金
を用いて3.37c.c./min、2.19m/minの吐出線速
度で、4mmの空間部を隔てて浴長1m、33%硝酸
水溶液からなる凝固浴中に吐出し、ついで実施例
1と同様の紡糸、延伸、及び熱処理を行つて繊維
を得た。 この繊維の諸特性値は表4の通りであつて、優
れた熱形態安定性を示すものであり、更に引張強
度も5.8g/dと極めて高いものであつた。
【表】 実施例 5 実施例1に用いたものと同じシアノエチルセル
ロース及びアクリロニトリル共重合体とから紡糸
用ドープとして、シアノエチルセルロース48.8g
及びアクリロニトリル共重合体439.2gを1634g
の50℃に加温したジメチルスルホキシドに溶解し
た。ドープの粘度は50℃において1180ポイズであ
り、光学的等方性ドープであつた。 このドープをドープタンクに移し、真空脱泡
後、孔径0.10mm、孔数100の紡口を用い、浴長0.8
m、浴温を31〜36℃に保つた50%のジメチルスル
ホキシド水溶液中に3.98c.c./minの吐出量で吐出
し、生成した糸条を5.5m/minの速度の第1ロ
ールで引きとり、ついで12.0m/minの第2ロー
ルとの間で2.18倍延伸した。その後5mの水洗浴
を通して洗浄後更に1.8mの沸騰水浴中で、3.3倍
延伸し、繊維を得た。この延伸繊維をついで、
100℃の熱風乾燥機中で弛緩状態で乾燥し、検尺
器にて1mの長さとなる様に巻きとり、総デニー
ル23500の繊維束とし、処理張力が0.06g/dとな
るように1.41Kgの重りを一端に下げて、110℃の
加圧スチームにて4分30秒間熱処理し最終繊維と
した。この繊維の力学的性質及び他の特性質は表
5に示す通りであり、また第4図にこの繊維の
tanδの温度曲線を示した。尚比較例2として、熱
処理前の繊維の特性値を併記したが、比較例繊維
は、アクリロニトリル共重合体部の配向は充分な
配向性を示したが、シアノエチルセルロース部の
配向性が悪く、熱形態安定性も著しく本発明の繊
維に劣つたものであつた。
【表】 実施例 6 DP318、DS2.66のシアノエチルセルロース27.3
gと、アクリロニトリル97.5モル%、アクリルア
ミド2モル%、メタクリルスルホン酸ソーダ0.5
モル%よりなるηinh=1.19のアクリロニトリル共
重合体245.7gを60℃、71%の塩化亜鉛水溶液
1677gに溶解し、濃度14%のドープを作成した。
ドープは透明であつて相分離が認められないが、
流動複屈折を示した。 このドープを60℃に加温したまま、真空脱泡
後、孔径0.14mmφ、孔数100の紡糸口金を用いて
4.86c.c./min、3.16m/minの吐出線速度で5mm
の空間部を隔てて、浴長1.3m、4℃の3.35%塩
化亜鉛水溶液からなる凝固浴中に吐出し、ついで
4m/minの速度で糸条を引きとり、5mの水洗
浴を通して洗浄後、2.5mの沸騰水浴中で9倍の
延伸を行つて延伸繊維を得た。この延伸繊維をつ
いで、80℃弛緩状態で乾燥後した、総デニール
290の連続フイラメントを、実施例と同じ装置を
用いて、125℃、0.04g/dの張力及び処理時間を
12秒として熱処理した。得られた繊維の特性値は
表6の通りであつた。
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図及び第4図は、実施例1及び実施例5に
よつて得られた本発明の繊維のtanδの温度曲線で
あり、第2図は従来公知のアクリロニトリル系重
合体のみからなる繊維のtanδの温度曲線である。
第3図は実施例3によつて得られた本発明の繊維
の光学顕微鏡による断面写真(400倍)である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 セルロース誘導体、アクリロニトリル系重合
    体及び実質的にこれらを同時に溶解する溶媒とか
    らなるドープ組成物を紡糸、延伸して得られた繊
    維を0.01〜0.1g/dの緊張下、100℃以上の温度で、
    且つ下式(4)を満足する条件によつて熱処理された
    繊維であつて、実質的にセルロース誘導体3〜15
    重量%、及びアクリロニトリル系重合体85〜97重
    量%とからなり、セルロース誘導体が微細な繊維
    状に相分離して分散してなる繊維であつて、広角
    X線回折によつて測定されるアクリロニトリル系
    重合体部の結晶配向角18〜63゜であり、セルロー
    ス誘導体部とアクリロニトリル系重合体部との結
    晶配向角の比が、下式(1)を満足し、粘弾性損失正
    接(以下tanδと略記する)の温度曲線において、
    下式(2)を満足し、かつ下式(3)で表わされる熱形態
    安定性が10%以下である熱形態安定性に優れた複
    合繊維 0.8≦αCell Der/αPAN≦1.2 (1) tanδmax/(tanδ)T=60+(tanδ)T=200−0.5≦1.45
    (2) (但し式(1)において、αcell Derはセルロース誘
    導体部の結晶配向角(゜)であり、αPANはアク
    リロニトリル系重合体部の結晶配向角(゜)を表
    わし、式(2)、tanδmaxは40℃〜220℃の範囲で測
    定されたtanδ対温度曲線から求められるtanδの最
    大値を、(tanδ)T=60及び(tanδ)T=200はそれぞれ
    60℃及び200℃におけるtanδ値を表わす。) 熱形態安定性(%)=l−lo/lo×100 (3) (但し式(3)中、loは5000デニールのトウとなし、
    室温下0.1g/dの荷重付与下に測定された初期長
    (cm)であり、lは沸水浴中、0.1g/dの荷重付与
    下に10分間浸漬後のトウの長さ(cm)である。) (但し式(4)中、R;熱処理時間(sec)、D;処理
    に供される繊維の総デニール、t;処理張力
    (g/d)、T;処理温度(〓)
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