JPWO2013190813A1 - 有機el表示装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

有機EL表示装置(10)は、陽極(210)と、金属膜である陰極(260)と、陽極(210)と陰極(260)との間に設けられた発光層(240)と、陰極(260)における発光層(240)が設けられた側の反対側を覆う封止層(270)と、を備える。陰極(260)と封止層(270)との間には、発光層側から酸化防止層(261)および陰極保護層(262)が順に積層されている。

Description

ここに開示された技術は、有機EL(Electro−Luminescence)表示装置およびその製造方法に関する。
有機EL表示装置では、サブピクセル単位で発光状態を制御するために薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が用いられている。各サブピクセルには、赤色発光層、緑色発光層および青色発光層のいずれかの発光層が設けられている。赤色発光層、緑色発光層および青色発光層は、例えば、塗布法または蒸着法により形成される(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−79631号公報
陰極側から光を取り出すトップエミッション型の有機EL表示装置において、陰極に可視光線を透過する金属膜であるアルミニウム薄膜が用いられた場合、アルミニウム薄膜の酸化によって陰極としての性能が低下する場合がある。つまり、有機EL表示装置の駆動電圧が上昇したり、輝度半減寿命が短くなったりするなどの課題があった。
上記の課題を解決する有機EL表示装置の一態様は、陽極と、金属膜である陰極と、陽極と陰極との間に設けられた発光層と、陰極における発光層が設けられた側の反対側を覆う封止層と、を備え、陰極と封止層との間には、発光層側から酸化防止層および陰極保護層が順に積層されている。
また、上記の課題を解決する有機EL表示装置の製造方法の一態様は、陽極を形成する工程と、陽極の上方に発光層を形成する工程と、発光層の上方に金属膜である陰極を形成する工程と、陰極の上方に当該陰極と真空中で連続して酸化防止層を形成する工程と、酸化防止層の上方に陰極保護層を形成する工程と、陰極の上方に封止層を形成する工程と、を含む。
有機EL表示装置の駆動電圧上昇および輝度半減寿命が短くなることを抑制できる。
図1は、有機EL表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。 図2は、図1における2−2線断面の一部を示す図である。 図3は、図1における3−3線断面の一部を示す図である。 図4は、有機EL表示装置の製造フロー図である。 図5は、TFT基板の製造フロー図である。 図6は、TFT基板の製造過程においてゲート電極形成後の概略断面を示す図である。 図7は、TFT基板の製造過程においてゲート絶縁膜形成後の概略断面を示す図である。 図8は、TFT基板の製造過程において半導体層形成後の概略断面を示す図である。 図9は、TFT基板の製造過程において第1絶縁層形成後の概略断面を示す図である。 図10は、TFT基板の製造過程において第1電極形成後の概略断面を示す図である。 図11は、TFT基板の製造過程において保護層形成後の概略断面を示す図である。 図12は、TFT基板の製造過程において第2電極形成後の概略断面を示す図である。 図13は、TFT基板の製造過程において第2絶縁層形成後の概略断面を示す図である。 図14は、ELデバイス部の製造フロー図である。 図15は、ELデバイス部の製造過程において平坦化層形成後の概略断面を示す図である。 図16は、ELデバイス部の製造過程において反射陽極形成後の概略断面を示す図である。 図17は、ELデバイス部の製造過程において正孔注入層形成後の概略断面を示す図である。 図18は、ELデバイス部の製造過程においてバンク形成後の概略断面を示す図である。 図19は、ELデバイス部の製造過程において電子ブロック層形成後の概略断面を示す図である。 図20は、ELデバイス部の製造過程において発光層形成後の概略断面を示す図である。 図21は、ELデバイス部の製造過程において電子注入層形成後の概略断面を示す図である。 図22は、ELデバイス部の製造過程において陰極形成後の概略断面を示す図である。 図23は、ELデバイス部の製造過程において封止層形成後の概略断面を示す図である。 図24は、実施の形態における陰極周辺の概略断面を示す図である。 図25は、実施の形態における、陰極、酸化防止層および陰極保護層の製造フロー図である。 図26は、陰極とその積層膜に対する有機EL表示装置の駆動電圧および輝度半減寿命比の関係を示す図である。 図27は、有機EL表示装置の駆動電圧および輝度半減寿命に関する陰極保護層の膜厚依存性を示す図である。
以下、実施の形態に係る有機EL表示装置およびその製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、工程(ステップ)、工程の順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
[1.有機EL表示装置10の構成]
図1から図3に示されるように、開示された有機EL表示装置10は、TFT基板100、ELデバイス部200およびカラーフィルタ基板300が積層された構成である。ELデバイス部200とカラーフィルタ基板300は、貼合わせ層20によって、接着されている。
なお、図2において、ELデバイス部200およびカラーフィルタ基板の構成は適宜省略されている。図3において、TFT基板100の構成は、適宜省略されている。
図1に示されるように、TFT基板100は、複数のTFT部170を有する。後述されるようにそれぞれのTFT部170は、少なくとも2つのTFTを有する。複数のTFT部170は、マトリクス状に配置されている。またそれぞれのTFT部170には、ゲート配線180およびソース配線190を通じて信号が供給される。
図3に示されるように、ELデバイス部200は、発光層240を有する。発光層240は、陽極210から注入された正孔と陰極260から注入された電子が再結合することにより発光する。
図1および図3に示されるように、カラーフィルタ基板300は、ガラス基板310に設けられたフィルタ320を有する、フィルタ320は、赤フィルタ321、緑フィルタ322および青フィルタ323を含む。赤フィルタ321は、ELデバイス部200から発光された赤色の光を透過する。緑フィルタ322は、ELデバイス部200から発光された緑色の光を透過する。青フィルタ323は、ELデバイス部200から発光された青色の光を透過する。つまり、開示された有機EL表示装置10は、トップエミッション型である。
ボトムエミッション型の有機EL表示装置ではTFT基板側から光を取り出す。一方、トップエミッション型では光を取り出す方向にTFT基板が形成されていない。よって、トップエミッション型は、ボトムエミッション型と比較して、開口率を大きくすることができる。つまり、トップエミッション型は、発光効率がより向上する。
[1−1.TFT基板100の構成]
図1および図2に示されるように、TFT基板100は、ガラス基板110上に、複数のTFT部170を有する。それぞれのTFT部170は、スイッチングTFT171および駆動TFT172を有する。スイッチングTFT171は、駆動TFT172のオン/オフを切り換える。駆動TFT172は、ELデバイス部200へ供給する電流を制御する。
ゲート電極101は、ゲート配線180と接続されている。第1電極130は、ソース配線190と接続されている。
ゲート配線180にゲート信号が入力されると、スイッチングTFT171がオン状態になる。すると、ソース配線190を通じて供給される電荷がコンデンサ(図示せず)に蓄積される。コンデンサ(図示せず)に蓄積された電荷により、駆動TFT172のコンダクタンスが連続的に変化する。よって、所望の輝度を得られるようにELデバイス部200を発光させる駆動電流を、ELデバイス部200に流すことができる。
開示されたTFT部170は、ボトムゲート型である。ゲート電極101は、一例として、ガラス基板110に設けられたMo(モリブデン)膜に、Cu(銅)膜が積層された構成である。ゲート電極101は、ゲート絶縁膜(ゲート酸化膜)102に覆われている。
ゲート絶縁膜102には、一例として、SiN(窒化シリコン)上にSiO2(二酸化シリコン)が積層された構成である。駆動TFT172のゲート電極101に信号を伝えるために、ゲート絶縁膜102の一部は開口されている。
ゲート絶縁膜102上には、半導体層111が設けられている。半導体層111には、例えば、透明アモルファス酸化物半導体(TAOS:Transparent Amorphous Oxide Semiconductor)、アモルファスシリコンなどが用いられる。TAOSの材料としては、一例としてa−InGaZnO4(アモルファス−インジウムガリウム亜鉛酸化物)があげられる。なお、半導体層111として、シリコン半導体を用いてもよい。
半導体層111は、第1絶縁層120に覆われている。第1絶縁層120は、一例として、SiO2である。第1絶縁層120の一部は開口されている。開口された部分を介して第1電極130が半導体層111と接続されている。図2において、スイッチングTFT171の紙面に向かって右側(ドレイン側)に接続された第1電極130は、駆動TFT172のゲート電極101と接続されている。第1電極130には、一例として、Cuが用いられる。
第1電極130は、保護層140に覆われている。保護層140は、第1保護層141と第2保護層142の積層構造である。第1保護層141には、一例として、SiO2が用いられる。第2保護層142には、一例として、SiNが用いられる。駆動TFT172から信号を得るために、保護層140の一部は開口されている。
保護層140上には、第2電極150が設けられている。第2電極150は、一例として、下層電極151と上層電極152の積層構造である。図2において、第2電極150は、駆動TFT172の紙面に向かって左側(ソース側)の第1電極130と接続されている。下層電極151には、一例としてITO(Indium Tin Oxide)が用いられる。上層電極152には、一例としてCuが用いられる。
第2電極150は、第2絶縁層161に覆われている。第2絶縁層161の一部は、開口されている。
[1−2.ELデバイス部200の構成]
[1−2−1.平坦化層201]
図3に示されるように、ELデバイス部200は、平坦化層201の一部に開口された領域を介して、TFT基板100と接続されている。具体的には、上層陽極212と下層陽極211とから構成される陽極210が、TFT基板100と接続されている。平坦化層201は、TFT基板100上に設けられる。つまり、平坦化層201によって、TFT基板100に生じた凹凸が緩和される。平坦化層201には、例えば樹脂が用いられる。
[1−2−2.陽極210]
陽極210は、平坦化層201を覆う。平坦化層201の開口された領域は、陽極210の一部で埋められている。陽極210は、一例として、下層陽極211と上層陽極212の積層構造である。下層陽極211には、一例としてアルミニウム合金が用いられる。上層陽極212には、一例としてIZO(Indium Zinc Oxide)が用いられる。陽極210は、発光層240からの発光を反射する機能を有する。トップエミッション型の有機EL表示装置において、より高い発光効率を得るためである。
[1−2−3.正孔注入層231]
正孔注入層231は、陽極210を覆う。正孔注入層231は、発光層240に正孔を注入する。正孔注入層231のイオン化エネルギーは、陽極210の仕事関数と発光層240のイオン化エネルギーの間になるように選択される。正孔注入層231としては、例えば、フタロシアニン系、オリゴアミン系、デンドリマーアミン系、ポリチオフェン系などの有機材料、金属酸化物などの無機材料が用いられる。正孔注入層231には、一例として、酸化タングステン膜が用いられる。
[1−2−4.電子ブロック層232]
電子ブロック層232は、正孔注入層231を覆う。電子ブロック層232は、後述される電子注入層251から注入された電子が正孔注入層231まで到達することを抑制する。電子ブロック層232のイオン化エネルギーは、発光層240のイオン化エネルギーより大きい。電子ブロック層232には、一例として、高分子材料が用いられる。
[1−2−5.発光層240]
発光層240は、一例として、赤色に発光する赤色発光層241、緑色に発光する緑色発光層242および青色に発光する青色発光層243を有する。図3に示されるように、赤色発光層241、緑色発光層242および青色発光層243のそれぞれは、バンク220によって区画された領域に設けられる。発光層240は、電子ブロック層232と後述される電子注入層251に挟まれている。
発光層240には、低分子材料および高分子材料のいずれも用いられ得る。低分子材料と高分子材料の区別は必ずしも厳密ではない。一般的には、分子構造の繰り返し単位がある分子量が大きいものが高分子材料と呼ばれる。高分子材料の分子量は、概ね10000以上である。高分子材料は、分子量分布を有する。低分子材料は、通常、分子量分布を有さない。
発光層240は、電子と正孔が再結合する場を与える層である。発光層240は、ホストと、電子と正孔が再結合する際に発光中心として機能するドーパントを含む。
ホストには、例えば、アントラセン系、アミン系、ジアミン系、スチリル系、シロール系、アゾール系、ポリフェニル系などが用いられる。
アントラセン系としては、例えば、ジフェニルアントラセン誘導体またはその2量体などがあげられる。ジアミン系としては、例えば、ビスカルバゾールなどがあげられる。スチリル系としては、例えば、ジスチリルアリーレン、スチリルアミンなどがあげられる。シロール系とは、珪素(Si)を含有した5員環を有する材料である。つまり、シロール系は、電子欠乏環の1種である。アゾール系としては、オキサゾール、オキサジアゾール、ベンツイミダゾールなどがあげられる。ポリフェニル系としては、ターフェニル、クォータフェニル、キンクフェニル、セキシフェニルなどがあげられる。
ドーパントには、ホストのエネルギーギャップより小さいエネルギーギャップを有する材料が選択される。ドーパントは、通常、0.5〜5mol%程度の濃度で添加される。ドーパントの添加量は、濃度消光の影響を低減するように調整される。発光層240において、ドーパントが発光中心となる。よって、一般的に、発光層240のELスペクトルは、ドーパントのフォトルミネッセンスと同じになる。
赤色の発光中心を有するドーパントとしては、例えば、シアノメチレンピラン系、ジシアノ系、フェノキサゾン系、チオキサンテン系などがあげられる。
青色の発光中心を有するドーパントとしては、例えば、スチリル系、縮合多環芳香環系などがあげられる。
緑色の発光中心を有するドーパントとしては、例えば、クマリン系、キナクリドン系などがあげられる。
[1−2−6.電子注入層251]
電子注入層251は、発光層240とバンク220を覆う。電子注入層251は、発光層240に電子を注入する。電子注入層251の電子親和力は、後述される陰極260の仕事関数と発光層240の電子親和力の間になるように選択される。電子注入層251としては、例えば、金属キレート系、フェナントロリン系、オキサジアゾール系、トリアゾール系などの有機材料、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などの無機材料が用いられる。
[1−2−7.陰極260、酸化防止層261、陰極保護層262]
陰極260は、電子注入層251を覆うように形成される。トップエミッション型の有機EL表示装置においては、表示面側の電極(つまり陰極260)の可視光線透過率を上げることが望まれる。
なお、電子注入層251と陰極260との界面に、電子注入層251を構成する材料と陰極260を構成する材料とが混合する混合層252が形成されていてもよい。
また、陰極260の上には、酸化防止層261および陰極保護層262が設けられている。
陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262については、後に詳細に述べられる。
[1−2−8.封止層270]
封止層270は、陰極260における発光層240が設けられた側の反対側を覆う。具体的には、封止層270は、陰極260を覆うように、陰極保護層262の上に形成される。
封止層270によって封止されていないELデバイス部は、環境由来の水分や、洗浄による水分などがELデバイス部の内部に入り込みやすく、入り込んだ水分によって、層の剥離などが発生する場合がある。その結果、正常な発光が得られないなどの欠陥が生じやすくなる。よって、封止層270を設けることが好ましい。
封止層270としては、ポリパラキシレン、フッ素樹脂などの有機材料、SiO2、GeO(酸化ゲルマニウム)、Al23(酸化アルミニウム)などの酸化物材料、SiON(酸窒化シリコン)、SiNなどの窒化物材料が用いられる。なお、封止層270は、複数の種類の材料が積層された構成としてもよい。開示されたELデバイス部200においては、一例として、SiNが用いられた。
[1−3.カラーフィルタ基板300]
カラーフィルタ基板300は、光の吸収を利用することにより発光色を変化させる。つまり、カラーフィルタ基板300を光が透過することによって、色純度が向上する。フィルタ320は、顔料などによって、透過光の波長を調整する。
[2.有機EL表示装置10の製造方法]
図4に示されるように、有機EL表示装置10の製造方法は、TFT基板100を作製する工程(ステップ1)、ELデバイス部200を作製する工程(ステップ2)およびカラーフィルタ基板300を貼合わせる工程(ステップ3)を含む。
TFT基板100を作製する工程(ステップ1)およびELデバイス部200を作製する工程(ステップ2)の詳細は、TFT基板100の製造方法およびELデバイス部200の製造方法として後述する。
カラーフィルタ基板300を貼合わせる工程(ステップ3)では、後述するカラーフィルタ基板300の製造方法で作製されたカラーフィルタ基板300を用いて、図3に示されるように、ELデバイス部200とカラーフィルタ基板300とを貼合わせ層20によって貼合わせる。貼合わせ層20としては、例えば、UV硬化樹脂が用いられる。貼合わせ層20の膜厚は、10μm〜30μm程度である。
前述のように、TFT基板100は、一部が開口した平坦化層201に覆われる。よって、ELデバイス部200のみを別途作製した後に、TFT基板100と貼合わせることは容易ではない。一方、カラーフィルタ基板300を別途作製した後であれば、カラーフィルタ基板300とELデバイス部200とを容易に貼合わせることができる。
[2−1.TFT基板100の製造方法(ステップ1)]
図5に示されるように、TFT基板100の製造方法は、一例として、ゲート電極101を形成する工程(ステップ11)と、ゲート絶縁膜102を形成する工程(ステップ12)と、半導体層111を形成する工程(ステップ13)と、第1絶縁層120を形成する工程(ステップ14)と、第1電極130を形成する工程(ステップ15)と、保護層140を形成する工程と(ステップ16)と、第2電極150を形成する工程(ステップ17)と、第2絶縁層161を形成する工程(ステップ18)とを含む。
開示されたTFT基板100は、このように、ステップ11からステップ18の工程によって作製される。
[2−1−1.ステップ11]
図6に示されるように、ステップ11では、ガラス基板110上にゲート電極101が形成される。例えば、スパッタリング法によって、ガラス基板110上に、Mo膜とCu膜が順に堆積される。Mo膜とCu膜の合計膜厚は、50nm〜150nm程度である。
次に、レジストを使用したフォトリソグラフィーおよびエッチングによって、所定のパターンのゲート電極101が形成される。
[2−1−2.ステップ12]
図7に示されるように、ステップ12では、ゲート電極101を覆うゲート絶縁膜102が形成される。例えば、平行平板方式のプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって、SiO2膜が100nm〜300nm程度の膜厚で形成される。材料には、一例として、SiH4およびN2Oが用いられる。プラズマは、例えば、13.56MHzの高周波が印加されることによって発生する。プラズマ中でSiH4およびN2Oが分解し、クラスター状のSiO2が生成される。SiO2は、プラズマ中で発生するセルフバイアスによって、ガラス基板110上に堆積する。
[2−1−3.ステップ13]
図8に示されるように、ステップ13では、ゲート絶縁膜102上に、半導体層111が形成される。半導体層111として、TAOSが用いられる場合には、一例としてスパッタリング法が用いられる。例えば、組成比In:Ga:Znが1:1:1の割合のターゲット材料が用いられる。ターゲット材を酸素雰囲気中でスパッタすることによって、a−InGaZnO4が成膜される。膜厚は、例えば、30nm〜150nm程度である。さらに、大気雰囲気中で、200℃〜500℃程度の熱処理をすることによって、TFT特性が改善する。
半導体層111として、アモルファスシリコンが用いられる場合には、一例として、プラズマCVD法が用いられる。例えば、モノシランが材料に用いられた場合は、プラズマ中でシリコンと水素に分解する。シリコンは、アモルファス状態でゲート絶縁膜102上に堆積する。膜厚は、例えば、30nm〜150nm程度である。
次に、レジストを使用したフォトリソグラフィーおよびエッチングによって、所定のパターンの半導体層111が形成される。
[2−1−4.ステップ14]
図9に示されるように、ステップ14では、ゲート絶縁膜102および半導体層111上に、第1絶縁層120が形成される。例えば、平行平板方式のプラズマCVDによって、SiO2膜が100nm〜300nm程度の膜厚で形成される。材料には、一例として、SiH4およびN2Oが用いられる。
[2−1−5.ステップ15]
図10に示されるように、ステップ15では、第1電極130が形成される。第1電極130は、ゲート電極101および半導体層111におけるソース/ドレインとコンタクトする。まず、第1絶縁層120の所定の領域がフォトリソグラフィーおよびエッチングによって、開口される。次に、スパッタリングによって、Cu膜が堆積される。Cu膜の膜厚は、例えば、100nm〜300nm程度である。次に、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって所定のパターンに加工される。以上のように、第1電極130が形成される。前述の第1絶縁層120は、半導体層111と第1電極130とを絶縁する機能を有する。
[2−1−6.ステップ16]
図11に示されるように、ステップ16では、保護層140が形成される。開示された保護層140は、例えば、第1保護層141と第2保護層142の積層構造である。第1保護層141として、例えば、平行平板方式のプラズマCVDによってSiO2膜が100nm〜400nm程度の膜厚で形成される。材料には、一例として、SiH4およびN2Oが用いられる。
第2保護層142として、例えば、平行平板方式のプラズマCVDによってSiN膜が50nm〜200nm程度の膜厚で形成される。材料には、一例として、SiH4およびアンモニア(NH3)が用いられる。
[2−1−7.ステップ17]
図12に示されるように、ステップ17では、第2電極150が形成される。第2電極150は、一例として、下層電極151と上層電極152の積層構造である。第2電極150は、第1電極130とコンタクトする。まず、保護層140の所定の領域がフォトリソグラフィーおよびエッチングによって、開口される。
次に、スパッタリングによって、ITO膜が堆積される。ITO膜の膜厚は、例えば、50nm〜150nm程度である。次に、スパッタリングによって、Cu膜が堆積される。Cu膜の膜厚は、例えば、100nm〜400nm程度である。
次に、フォトリソグラフィーおよびエッチングによってITO膜およびCu膜が所定のパターンに加工される。以上のように、ITOの下層電極151およびCuの上層電極152が形成される。
[2−1−8.ステップ18]
図13に示されるように、ステップ18では、第2絶縁層161が形成される。第2絶縁層161として、例えば、平行平板方式のプラズマCVDによってSiN膜が50nm〜200nm程度の膜厚で形成される。材料には、一例として、SiH4およびアンモニアが用いられる。
以上のステップ11〜18によって、TFT基板100が作製される。
[2−2.ELデバイス部200の製造方法(ステップ2)]
図14に示されるように、TFT基板100の製造方法は、一例として、平坦化層201を形成する工程(ステップ21)と、陽極210を形成する工程(ステップ22)と、正孔注入層231を形成する工程(ステップ23)と、バンク220を形成する工程(ステップ24)と、電子ブロック層232を形成する工程(ステップ25)と、発光層240を形成する工程と(ステップ26)と、電子注入層251を形成する工程(ステップ27)と、陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262を形成する工程(ステップ28)と、封止層270を形成する工程(ステップ29)とを含む。
開示されたELデバイス部200は、このように、ステップ21からステップ29の工程によって作製される。
[2−2−1.ステップ21]
図15に示されるように、ステップ21では、平坦化層201が形成される。平坦化層201として、例えば、感光性樹脂が用いられる。具体的には、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物などである。また、上記の樹脂組成物の任意の混合物を使用することもできる。なお、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。感光性樹脂は、溶剤中に分散される。
まず、例えば、塗布法によって、感光性樹脂がTFT基板100上に形成される。感光性樹脂が塗布される面は、第2絶縁層161が設けられている面である。次に、フォトリソグラフィーと現像がなされる。TFT基板100との接続用の開口部を形成するためである。次に、大気雰囲気中で熱処理がなされる。熱処理における温度は、150℃〜250℃程度である。熱処理によって、残留していた溶剤が揮発する。熱処理後の平坦化層201の膜厚は、2μm〜5μm程度である。次に、平坦化層201をマスクとして、第2絶縁層161がエッチングされる。第2電極150の表面を露出させるためである。
[2−2−2.ステップ22]
図16に示されるように、ステップ22では、陽極210が形成される。陽極210は、例えば、下層陽極211と上層陽極212の積層構造である。下層陽極211には、例えば、アルミニウム合金が用いられる。上層陽極212には、例えば、IZOが用いられる。下層陽極211と上層陽極212は、一例として、スパッタリングにより形成される。下層陽極211の膜厚は、例えば、100nm〜500nm程度である。上層陽極212の膜厚は、例えば、5nm〜30nm程度である。
[2−2−3.ステップ23]
図17に示されるように、ステップ23では、正孔注入層231が形成される。正孔注入層231には、一例として、酸化タングステン膜が用いられる。正孔注入層231は、一例としてスパッタリングにより形成される。酸化タングステンの組成はWOx(2≦x≦3)で表される。正孔注入層231の膜厚は、例えば、2nm〜20nm程度である。
[2−2−4.ステップ24]
図18に示されるように、ステップ24では、バンク220が形成される。まず、正孔注入層231および陽極210が、画素形状にパターニングされる。具体的には、レジストを使用したフォトリソグラフィーおよびエッチングによって、正孔注入層231および陽極210に開口領域が形成される。
バンク220として、例えば、感光性樹脂が用いられる。具体的には、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物などである。また、上記の樹脂組成物の任意の混合物を使用することもできる。なお、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。感光性樹脂は、溶剤中に分散される。
例えば、塗布法によって、感光性樹脂が前述の開口領域および正孔注入層231上に形成される。次に、フォトリソグラフィーと現像がなされる。次に、大気雰囲気中で熱処理がなされる。熱処理における温度は、150℃〜250℃程度である。熱処理によって、残留していた溶剤が揮発する。熱処理後のバンク220の膜厚は、0.5μm〜2μm程度である。なお、バンク220の側面が順テーパ形状であると、後のステップが容易になるので好ましい。
[2−2−5.ステップ25]
図19に示されるように、ステップ25では、電子ブロック層232が形成される。電子ブロック層232として、例えば、アミン系ポリマーが用いられる。アミン系ポリマーは、例えば、溶剤中に分散されることによって、印刷用インクとなる。印刷用インクは、例えば、インクジェット装置によって、正孔注入層231上に塗布される。次に、真空乾燥と熱処理がなされる。熱処理は、150℃〜250℃程度である。熱処理によって溶剤が揮発する。電子ブロック層232の膜厚は、5nm〜20nm程度である。
[2−2−6.ステップ26]
図20に示されるように、ステップ26では、発光層240が形成される。発光層240として、例えば、高分子材料のホストにドーパントが添加された材料が用いられる。高分子材料は、例えば、溶剤中に分散されることによって、印刷用インクとなる。印刷用インクは、例えば、インクジェット装置によって電子ブロック層232上に塗布される。赤色発光層241、緑色発光層242および青色発光層243はそれぞれ別々に塗布される。なお、複数のヘッドを有するインクジェット装置を使用する場合は、赤色発光層241、緑色発光層242および青色発光層243を同時に塗布することもできる。
赤色発光層241、緑色発光層242および青色発光層243それぞれの膜厚は、輝度のバランスをとるために適宜設定される。つまり、単位膜厚あたりの発光量が相対的に大きい色は、膜厚が相対的に小さく設定される。単位膜厚あたりの発光量が相対的に小さい色は、膜厚が相対的に大きく設定される。膜厚は、印刷用インクの粘度、ヘッドの開口径などによって調整される。次に、熱処理がなされる。熱処理は、150℃〜250℃程度である。熱処理によって、残留していた溶剤が揮発する。発光層240の膜厚は、40nm〜100nm程度である。
[2−2−7.ステップ27]
図21に示されるように、ステップ27では、電子注入層251が形成される。電子注入層251として、例えば、低分子材料にバリウム(Ba)が添加された材料が用いられる。電子注入層251の材料は、例えば、蒸着法によって、発光層240およびバンク220上に形成される。電子注入層251の膜厚は、2nm〜50nm程度である。
また、電子注入層251として、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物などの無機材料を用いてもよい。この場合、例えば、電子注入層251としてアルカリ金属化合物であるフッ化ナトリウムを用いて、さらに、電子注入層251の上に形成する陰極260としてアルミニウムを用いた場合、アルミニウムによってフッ化ナトリウムが還元されて、電子注入層251と陰極260との界面に、アルミニウム、フッ素およびナトリウムを含む混合層252が形成される。
このように、電子注入層251としてアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を用いるとともに、陰極260として、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物に対して還元作用を及ぼす金属を用いることによって、電子注入層251と陰極260の界面にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が遊離した状態で存在する。例えば、上述のように、電子注入層251がフッ化ナトリウム(アルカリ金属化合物)であり、陰極260がアルミニウムである場合、電子注入層251と陰極260の界面にナトリウム(アルカリ金属)が遊離した状態で存在する。これにより、電子注入性が高まると考えられる。したがって、フッ化ナトリウムとアルミニウムとを組み合わせて用いることは非常に望ましい。
なお、電子注入層251と陰極260との界面だけではなく、電子注入層251(フッ化ナトリウム層)全体が還元された状態になっていてもよい。
また、電子注入層251は、フッ化ナトリウムに限らず、フッ化リチウム等のアルカリ金属化合物を用いてもよい。また、陰極260は、アルミニウムに限らず、マグネシウムと銀の合金等を用いてもよい。これらの場合またはこれらと上記材料とを組み合わせた場合でも、混合層252が形成される。
[2−2−8.ステップ28]
図22に示されるように、ステップ28では、陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262が形成される。陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262の形成については、後に詳細に述べられる。
[2−2−9.ステップ29]
図23に示されるように、ステップ29では、封止層270が形成される。具体的には、封止層270は、陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262を形成した後に、陰極保護層262の上に形成される。封止層270として、例えば、平行平板方式のプラズマCVDによって500nm〜800nm程度の膜厚のSiN膜が形成される。この場合、SiN膜の原料には、一例として、SiH4およびNH3が用いられる。なお、ステップ27からステップ29を真空中で連続して行うことが好ましい。水分などを含む雰囲気に曝されることが抑制されるからである。
以上のステップ21〜29によって、ELデバイス部200が作製される。
[2−3.カラーフィルタ基板300の製造方法]
カラーフィルタ基板300は、ガラス基板310上にフィルタ320を形成することによって作製することができる。フィルタ320は、従来知られているように、フォトリソグラフィーなどによって形成される。
[3.陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262の詳細]
[3−1.陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262の構成]
まず、陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262の構成について、図24を用いて説明する。図24は、図23の破線で囲まれる領域Aの拡大断面図である。
図24に示されるように、本実施の形態におけるELデバイス部200では、陰極260の上に酸化防止層261および陰極保護層262が積層された構成となっており、さらに、その上には封止層270が形成されている。つまり、陰極260と封止層270との間には、発光層側から酸化防止層261および陰極保護層262がこの順に積層されている。
陰極260は、金属膜であって、電子注入層251の上層に設けられる。例えば、陰極260は、電子注入層251と接するように電子注入層251の上に形成される。また、有機EL表示装置10は陰極側から光を取り出すトップエミッション型であるので、陰極260としての金属膜は、発光層が発する光(可視光線)を透過する。
陰極保護層262は、陰極260の上層、かつ、封止層270の下層に設けられる。例えば、陰極保護層262は、陰極260と接するように陰極260上に形成される。
なお、図24において、封止層270より上側の層および電子注入層251より下側の層は省略されている。
陰極260の金属膜材料としては、例えば、アルミニウムが用いられる。陰極260の膜厚は、5nm以上15nm以下が好ましい。陰極260の膜厚が5nm未満であると、陰極としての抵抗が高くなる。一方、陰極260の膜厚が15nmを超えると、可視光線に対する透過率が低下する。
酸化防止層261としては、例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体などの有機成分を含む材料が用いられる。酸化防止層261の膜厚は、15nm以上80nm以下が好ましい。酸化防止層261の膜厚が15nm未満であると、酸化防止機能が低下する。一方、酸化防止層261の膜厚が80nmを超えると、可視光線に対する透過率が低下する。
陰極保護層262としては、例えば、可視光を透過する金属酸化物が用いられる。具体的には、ITOまたはIZOなどがあげられる。陰極保護層262の膜厚は、15nm以上50nm以下であることが好ましい。陰極保護層262の膜厚が15nm未満であると、酸化防止機能が低下する。一方、陰極保護層262の膜厚が50nmを超えると、逆に陰極260の金属膜の酸化が進行する。
[3−2.陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262の形成方法]
次に、陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262の形成方法(ステップ28)の詳細について、図24および図25を用いて説明する。
まず、発光層240の上方に陰極260として金属膜を形成する(ステップ281)。具体的には、電子注入層251の上に陰極260として金属膜を形成する。陰極260は、例えば、抵抗加熱による真空蒸着法などにより形成される。アルミニウムを蒸着材料に用いた場合には、アルミニウム膜が形成される。陰極260の膜厚は、真空蒸着装置の真空度や、蒸着材料が入った容器に流す電流などによって適宜調整される。
ここで、電子注入層251がフッ化ナトリウム層等のアルカリ金属化合物である場合、陰極260を形成する工程において、電子注入層251の上に陰極260としてアルミニウム膜を形成することにより、陰極260のアルミニウムによって電子注入層251のフッ化ナトリウムが還元されて、電子注入層251と陰極260との界面に、アルミニウム、フッ素およびナトリウムを含む混合層252が形成される。
次に、陰極260の上方に酸化防止層261を形成する(ステップ282)。このとき、陰極260の形成後、酸化防止層261の形成までに、陰極260が大気に曝されないようにするとよい。つまり、陰極260と酸化防止層261とを真空中で連続して形成するとよい。例えば、同じ真空蒸着装置において、蒸着材料をアルミニウムから、例えばオキサジアゾール誘導体に切り替える。これによって、真空状態を保ったまま陰極260上に酸化防止層261を形成できるので、陰極260の酸化を抑制できる。
次に、酸化防止層261の上方に陰極保護層262を形成する(ステップ283)。陰極保護層262は、例えば、スパッタリングにより形成される。ITOをターゲットに用いた場合には、ITO膜が形成される。IZOをターゲットに用いた場合には、IZO膜が形成される。導入ガスにアルゴンおよび酸素が用いられる。陰極保護層262の膜厚は、スパッタ装置の真空度、印加電力などによって適宜調整される。
[3−3.評価結果]
実際に陰極260を有する種々の有機EL表示装置10を作製し、緑色を発光させたときの駆動電圧と寿命とを評価した。その評価結果を図26および図27を用いて説明する。
まず、図26では、Al膜である陰極260に対して、酸化防止層261および陰極保護層262を設けた場合と設けない場合とについて評価を行った。なお、陰極260(Al膜)の膜厚は10nmとし、酸化防止層261の膜厚は35nmとし、陰極保護層262の膜厚は35nmとした。
図26に示されるように、陰極260がAlの金属膜のみの構造(酸化防止層261、陰極保護層262を有さない)の第1試料では、駆動電圧の要求性能に対しては0.7V程度高く、寿命の要求性能に対しては1/10であり輝度半減寿命が短い。
また、陰極260の上に酸化防止層261を積層した構造(陰極保護層262を有さない)の第2試料では、駆動電圧が低下して要求性能を満たす駆動電圧は実現できているものの、寿命比は約50%である。つまり、寿命については、第1試料より改善しているが、要求性能を満たしておらず、輝度半減寿命は不十分である。
また、陰極260の上に酸化防止層261および陰極保護層262を積層した構造の第3試料では、駆動電圧が低下して要求性能を満たす駆動電圧を実現できるとともに、輝度半減寿命が改善して寿命の要求性能も満たすことができる。このように、第3試料では、駆動電圧の低下と輝度半減寿命の改善との両立を図ることができる。
図26に示す結果から、酸化防止層261のみを設けた場合は、初期特性における陰極260の酸化抑制に対しては有効であるが、長時間駆動中の陰極260の酸化抑制に対しては不十分であることが示唆される。しかし、酸化防止層261の上にさらに陰極保護層262を設ける構成とすることで、長時間駆動中の陰極260の酸化抑制に対しても有効なものになることが分かる。
また、図27では、ITO膜である陰極保護層262の膜厚と駆動電圧および寿命との関係を評価した。具体的には、陰極保護層262の膜厚を、0nm、15nm、35nm、50nm、105nmの場合について、駆動電圧および寿命を評価した。なお、図26において、陰極保護層262(ITO膜)を設けている試料では、膜厚35nmの酸化防止層261を設けている。また、陰極260は、膜厚が10nmのアルミニウム膜としている。
図27に示されるように、陰極保護層262(ITO膜)の膜厚を15nm以上50nm以下とすることによって、駆動電圧が低下して要求性能を満たす駆動電圧が実現できることが分かる。しかしながら、陰極保護層262(ITO膜)の膜厚が105nmの場合、0.1V程度ではあるが要求性能の駆動電圧を越えることとなり、陰極保護層262(ITO膜)の膜厚を厚くしすぎると、かえって駆動電圧が上昇することが分かる。
また、陰極保護層262の膜厚を15nm以上50nm以下とすることによって、輝度半減寿命が改善して寿命の要求性能を満たすことも分かる。但し、陰極保護層262の膜厚を厚くしていくと、輝度半減寿命も徐々に短くなっていき、陰極保護層262の膜厚が105nmを越えると寿命比は約50%になり、寿命の要求性能を満たさなくなる。このように、陰極保護層262の膜厚の増加とともに輝度半減寿命が短くなるのは、陰極保護層262(ITO膜)の成膜時に膜厚の増加によって長時間酸素雰囲気に曝されて、陰極260の酸化が進行したものと推測される。
[4.まとめ]
以上、有機EL表示装置10によれば、陽極210と、金属膜である陰極260と、陽極210と陰極260の間に設けられた発光層240と、陰極260における発光層240が設けられた側の反対側を覆う封止層270と、を備える。そして、陰極260と封止層270との間には、発光層240側から酸化防止層261および陰極保護層262がこの順に積層されている。
上記構成によって、陰極260の酸化が抑制される。これにより、駆動電圧が上昇することおよび輝度半減寿命が短くなることを抑制できる。
なお、酸化防止層261は、有機成分を含んでいてもよい。さらに、酸化防止層261の膜厚は、15nm以上80nm以下であることが好ましい。
この構成により、陰極260に対する酸化防止効果の低下を抑制できるとともに、酸化防止層261の透過率が低下することを抑制できる。
また、陰極保護層262は、可視光を透過する金属酸化物であってもよい。さらに、陰極保護層262の膜厚は、15nm以上50nm以下であることが好ましい。
この構成により、陰極260に対する酸化防止効果の低下を抑制でき、寿命の要求性能を満たすことができる。
また、電子注入層251と陰極260との界面には、電子注入層251を構成する材料と陰極260を構成する材料とが混合する混合層252が形成されているとよい。この場合、電子注入層251をアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物とし、陰極260をアルカリ金属化合物または前記アルカリ土類金属化合物に還元する金属とすることができ、例えば、電子注入層251をフッ化ナトリウムとし、陰極260をアルミニウムとすることができる。この場合、混合層252には、電子注入層251を構成する材料および陰極260を構成する材料として、フッ素、ナトリウムおよびアルミニウムが含まれている。
この構成により、電子注入性を高めることができるので、発光層240の発光効率を向上させることができる。
また、有機EL表示装置10の製造方法によれば、陽極210を形成する工程(ステップ22)、陽極210の上方に発光層240を形成する工程(ステップ26)、発光層240の上方に陰極260として金属膜を形成する工程(ステップ281)、陰極260の上方に当該陰極260と真空中で連続して酸化防止層261を形成する工程(ステップ282)と、酸化防止層261の上方に陰極保護層262を形成する工程(ステップ283)と、陰極260の上方に封止層270を形成する工程(ステップ29)と、を含む。
上記方法によって、陰極260の酸化が抑制される有機EL表示装置を実現することができる。これにより、駆動電圧が上昇することおよび輝度半減寿命が短くなることを抑制できる有機EL表示装置を実現できる。
また、発光層240を形成する工程と陰極260を形成する工程との間に、発光層240の上方に電子注入層251を形成する工程を含んでいてもよい。この場合、陰極260を形成する工程において、電子注入層251の上に陰極260を形成することにより、電子注入層251と陰極260との界面に、電子注入層251を構成する材料と陰極260を構成する材料とが混合する混合層252を形成するとよい。この場合、電子注入層251をアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物とし、陰極260をアルカリ金属化合物または前記アルカリ土類金属化合物を還元する金属とすることができ、例えば、電子注入層251をフッ化ナトリウムとし、陰極260をアルミニウムとすることができる。
この構成により、アルミニウムによってフッ化ナトリウムが還元されて、電子注入層251と陰極260との界面に、アルミニウム、フッ素およびナトリウムが含まれる混合層252が形成される。このように、電子注入層251と陰極260の界面にナトリウムが遊離した状態で存在するので、電子注入性を高めることができる。
以上、有機EL表示装置およびその製造方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
開示された技術は、表示デバイスなどに用いられる有機EL表示装置等に利用可能である。
10 有機EL表示装置
20 貼合わせ層
100 TFT基板
101 ゲート電極
102 ゲート絶縁膜
110 ガラス基板
111 半導体層
120 第1絶縁層
130 第1電極
140 保護層
141 第1保護層
142 第2保護層
150 第2電極
151 下層電極
152 上層電極
161 第2絶縁層
170 TFT部
171 スイッチングTFT
172 駆動TFT
180 ゲート配線
190 ソース配線
200 ELデバイス部
201 平坦化層
210 陽極
211 下層陽極
212 上層陽極
220 バンク
231 正孔注入層
232 電子ブロック層
240 発光層
241 赤色発光層
242 緑色発光層
243 青色発光層
251 電子注入層
252 混合層
260 陰極
261 酸化防止層
262 陰極保護層
270 封止層
300 カラーフィルタ基板
310 ガラス基板
320 フィルタ
321 赤フィルタ
322 緑フィルタ
323 青フィルタ
ここに開示された技術は、有機EL(Electro−Luminescence)表示装置およびその製造方法に関する。
有機EL表示装置では、サブピクセル単位で発光状態を制御するために薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が用いられている。各サブピクセルには、赤色発光層、緑色発光層および青色発光層のいずれかの発光層が設けられている。赤色発光層、緑色発光層および青色発光層は、例えば、塗布法または蒸着法により形成される(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−79631号公報
陰極側から光を取り出すトップエミッション型の有機EL表示装置において、陰極に可視光線を透過する金属膜であるアルミニウム薄膜が用いられた場合、アルミニウム薄膜の酸化によって陰極としての性能が低下する場合がある。つまり、有機EL表示装置の駆動電圧が上昇したり、輝度半減寿命が短くなったりするなどの課題があった。
上記の課題を解決する有機EL表示装置の一態様は、陽極と、金属膜である陰極と、陽極と陰極との間に設けられた発光層と、陰極における発光層が設けられた側の反対側を覆う封止層と、を備え、陰極と封止層との間には、発光層側から酸化防止層および陰極保護層が順に積層されている。
また、上記の課題を解決する有機EL表示装置の製造方法の一態様は、陽極を形成する工程と、陽極の上方に発光層を形成する工程と、発光層の上方に金属膜である陰極を形成する工程と、陰極の上方に当該陰極と真空中で連続して酸化防止層を形成する工程と、酸化防止層の上方に陰極保護層を形成する工程と、陰極の上方に封止層を形成する工程と、を含む。
有機EL表示装置の駆動電圧上昇および輝度半減寿命が短くなることを抑制できる。
図1は、有機EL表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。 図2は、図1における2−2線断面の一部を示す図である。 図3は、図1における3−3線断面の一部を示す図である。 図4は、有機EL表示装置の製造フロー図である。 図5は、TFT基板の製造フロー図である。 図6は、TFT基板の製造過程においてゲート電極形成後の概略断面を示す図である。 図7は、TFT基板の製造過程においてゲート絶縁膜形成後の概略断面を示す図である。 図8は、TFT基板の製造過程において半導体層形成後の概略断面を示す図である。 図9は、TFT基板の製造過程において第1絶縁層形成後の概略断面を示す図である。 図10は、TFT基板の製造過程において第1電極形成後の概略断面を示す図である。 図11は、TFT基板の製造過程において保護層形成後の概略断面を示す図である。 図12は、TFT基板の製造過程において第2電極形成後の概略断面を示す図である。 図13は、TFT基板の製造過程において第2絶縁層形成後の概略断面を示す図である。 図14は、ELデバイス部の製造フロー図である。 図15は、ELデバイス部の製造過程において平坦化層形成後の概略断面を示す図である。 図16は、ELデバイス部の製造過程において反射陽極形成後の概略断面を示す図である。 図17は、ELデバイス部の製造過程において正孔注入層形成後の概略断面を示す図である。 図18は、ELデバイス部の製造過程においてバンク形成後の概略断面を示す図である。 図19は、ELデバイス部の製造過程において電子ブロック層形成後の概略断面を示す図である。 図20は、ELデバイス部の製造過程において発光層形成後の概略断面を示す図である。 図21は、ELデバイス部の製造過程において電子注入層形成後の概略断面を示す図である。 図22は、ELデバイス部の製造過程において陰極形成後の概略断面を示す図である。 図23は、ELデバイス部の製造過程において封止層形成後の概略断面を示す図である。 図24は、実施の形態における陰極周辺の概略断面を示す図である。 図25は、実施の形態における、陰極、酸化防止層および陰極保護層の製造フロー図である。 図26は、陰極とその積層膜に対する有機EL表示装置の駆動電圧および輝度半減寿命比の関係を示す図である。 図27は、有機EL表示装置の駆動電圧および輝度半減寿命に関する陰極保護層の膜厚依存性を示す図である。
以下、実施の形態に係る有機EL表示装置およびその製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、工程(ステップ)、工程の順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
[1.有機EL表示装置10の構成]
図1から図3に示されるように、開示された有機EL表示装置10は、TFT基板100、ELデバイス部200およびカラーフィルタ基板300が積層された構成である。ELデバイス部200とカラーフィルタ基板300は、貼合わせ層20によって、接着されている。
なお、図2において、ELデバイス部200およびカラーフィルタ基板の構成は適宜省略されている。図3において、TFT基板100の構成は、適宜省略されている。
図1に示されるように、TFT基板100は、複数のTFT部170を有する。後述されるようにそれぞれのTFT部170は、少なくとも2つのTFTを有する。複数のTFT部170は、マトリクス状に配置されている。またそれぞれのTFT部170には、ゲート配線180およびソース配線190を通じて信号が供給される。
図3に示されるように、ELデバイス部200は、発光層240を有する。発光層240は、陽極210から注入された正孔と陰極260から注入された電子が再結合することにより発光する。
図1および図3に示されるように、カラーフィルタ基板300は、ガラス基板310に設けられたフィルタ320を有する、フィルタ320は、赤フィルタ321、緑フィルタ322および青フィルタ323を含む。赤フィルタ321は、ELデバイス部200から発光された赤色の光を透過する。緑フィルタ322は、ELデバイス部200から発光された緑色の光を透過する。青フィルタ323は、ELデバイス部200から発光された青色の光を透過する。つまり、開示された有機EL表示装置10は、トップエミッション型である。
ボトムエミッション型の有機EL表示装置ではTFT基板側から光を取り出す。一方、トップエミッション型では光を取り出す方向にTFT基板が形成されていない。よって、トップエミッション型は、ボトムエミッション型と比較して、開口率を大きくすることができる。つまり、トップエミッション型は、発光効率がより向上する。
[1−1.TFT基板100の構成]
図1および図2に示されるように、TFT基板100は、ガラス基板110上に、複数のTFT部170を有する。それぞれのTFT部170は、スイッチングTFT171および駆動TFT172を有する。スイッチングTFT171は、駆動TFT172のオン/オフを切り換える。駆動TFT172は、ELデバイス部200へ供給する電流を制御する。
ゲート電極101は、ゲート配線180と接続されている。第1電極130は、ソース配線190と接続されている。
ゲート配線180にゲート信号が入力されると、スイッチングTFT171がオン状態になる。すると、ソース配線190を通じて供給される電荷がコンデンサ(図示せず)に蓄積される。コンデンサ(図示せず)に蓄積された電荷により、駆動TFT172のコンダクタンスが連続的に変化する。よって、所望の輝度を得られるようにELデバイス部200を発光させる駆動電流を、ELデバイス部200に流すことができる。
開示されたTFT部170は、ボトムゲート型である。ゲート電極101は、一例として、ガラス基板110に設けられたMo(モリブデン)膜に、Cu(銅)膜が積層された構成である。ゲート電極101は、ゲート絶縁膜(ゲート酸化膜)102に覆われている。
ゲート絶縁膜102には、一例として、SiN(窒化シリコン)上にSiO2(二酸化シリコン)が積層された構成である。駆動TFT172のゲート電極101に信号を伝えるために、ゲート絶縁膜102の一部は開口されている。
ゲート絶縁膜102上には、半導体層111が設けられている。半導体層111には、例えば、透明アモルファス酸化物半導体(TAOS:Transparent Amorphous Oxide Semiconductor)、アモルファスシリコンなどが用いられる。TAOSの材料としては、一例としてa−InGaZnO4(アモルファス−インジウムガリウム亜鉛酸化物)があげられる。なお、半導体層111として、シリコン半導体を用いてもよい。
半導体層111は、第1絶縁層120に覆われている。第1絶縁層120は、一例として、SiO2である。第1絶縁層120の一部は開口されている。開口された部分を介して第1電極130が半導体層111と接続されている。図2において、スイッチングTFT171の紙面に向かって右側(ドレイン側)に接続された第1電極130は、駆動TFT172のゲート電極101と接続されている。第1電極130には、一例として、Cuが用いられる。
第1電極130は、保護層140に覆われている。保護層140は、第1保護層141と第2保護層142の積層構造である。第1保護層141には、一例として、SiO2が用いられる。第2保護層142には、一例として、SiNが用いられる。駆動TFT172から信号を得るために、保護層140の一部は開口されている。
保護層140上には、第2電極150が設けられている。第2電極150は、一例として、下層電極151と上層電極152の積層構造である。図2において、第2電極150は、駆動TFT172の紙面に向かって左側(ソース側)の第1電極130と接続されている。下層電極151には、一例としてITO(Indium Tin Oxide)が用いられる。上層電極152には、一例としてCuが用いられる。
第2電極150は、第2絶縁層161に覆われている。第2絶縁層161の一部は、開口されている。
[1−2.ELデバイス部200の構成]
[1−2−1.平坦化層201]
図3に示されるように、ELデバイス部200は、平坦化層201の一部に開口された領域を介して、TFT基板100と接続されている。具体的には、上層陽極212と下層陽極211とから構成される陽極210が、TFT基板100と接続されている。平坦化層201は、TFT基板100上に設けられる。つまり、平坦化層201によって、TFT基板100に生じた凹凸が緩和される。平坦化層201には、例えば樹脂が用いられる。
[1−2−2.陽極210]
陽極210は、平坦化層201を覆う。平坦化層201の開口された領域は、陽極210の一部で埋められている。陽極210は、一例として、下層陽極211と上層陽極212の積層構造である。下層陽極211には、一例としてアルミニウム合金が用いられる。上層陽極212には、一例としてIZO(Indium Zinc Oxide)が用いられる。陽極210は、発光層240からの発光を反射する機能を有する。トップエミッション型の有機EL表示装置において、より高い発光効率を得るためである。
[1−2−3.正孔注入層231]
正孔注入層231は、陽極210を覆う。正孔注入層231は、発光層240に正孔を注入する。正孔注入層231のイオン化エネルギーは、陽極210の仕事関数と発光層240のイオン化エネルギーの間になるように選択される。正孔注入層231としては、例えば、フタロシアニン系、オリゴアミン系、デンドリマーアミン系、ポリチオフェン系などの有機材料、金属酸化物などの無機材料が用いられる。正孔注入層231には、一例として、酸化タングステン膜が用いられる。
[1−2−4.電子ブロック層232]
電子ブロック層232は、正孔注入層231を覆う。電子ブロック層232は、後述される電子注入層251から注入された電子が正孔注入層231まで到達することを抑制する。電子ブロック層232のイオン化エネルギーは、発光層240のイオン化エネルギーより大きい。電子ブロック層232には、一例として、高分子材料が用いられる。
[1−2−5.発光層240]
発光層240は、一例として、赤色に発光する赤色発光層241、緑色に発光する緑色発光層242および青色に発光する青色発光層243を有する。図3に示されるように、赤色発光層241、緑色発光層242および青色発光層243のそれぞれは、バンク220によって区画された領域に設けられる。発光層240は、電子ブロック層232と後述される電子注入層251に挟まれている。
発光層240には、低分子材料および高分子材料のいずれも用いられ得る。低分子材料と高分子材料の区別は必ずしも厳密ではない。一般的には、分子構造の繰り返し単位がある分子量が大きいものが高分子材料と呼ばれる。高分子材料の分子量は、概ね10000以上である。高分子材料は、分子量分布を有する。低分子材料は、通常、分子量分布を有さない。
発光層240は、電子と正孔が再結合する場を与える層である。発光層240は、ホストと、電子と正孔が再結合する際に発光中心として機能するドーパントを含む。
ホストには、例えば、アントラセン系、アミン系、ジアミン系、スチリル系、シロール系、アゾール系、ポリフェニル系などが用いられる。
アントラセン系としては、例えば、ジフェニルアントラセン誘導体またはその2量体などがあげられる。ジアミン系としては、例えば、ビスカルバゾールなどがあげられる。スチリル系としては、例えば、ジスチリルアリーレン、スチリルアミンなどがあげられる。シロール系とは、珪素(Si)を含有した5員環を有する材料である。つまり、シロール系は、電子欠乏環の1種である。アゾール系としては、オキサゾール、オキサジアゾール、ベンツイミダゾールなどがあげられる。ポリフェニル系としては、ターフェニル、クォータフェニル、キンクフェニル、セキシフェニルなどがあげられる。
ドーパントには、ホストのエネルギーギャップより小さいエネルギーギャップを有する材料が選択される。ドーパントは、通常、0.5〜5mol%程度の濃度で添加される。ドーパントの添加量は、濃度消光の影響を低減するように調整される。発光層240において、ドーパントが発光中心となる。よって、一般的に、発光層240のELスペクトルは、ドーパントのフォトルミネッセンスと同じになる。
赤色の発光中心を有するドーパントとしては、例えば、シアノメチレンピラン系、ジシアノ系、フェノキサゾン系、チオキサンテン系などがあげられる。
青色の発光中心を有するドーパントとしては、例えば、スチリル系、縮合多環芳香環系などがあげられる。
緑色の発光中心を有するドーパントとしては、例えば、クマリン系、キナクリドン系などがあげられる。
[1−2−6.電子注入層251]
電子注入層251は、発光層240とバンク220を覆う。電子注入層251は、発光層240に電子を注入する。電子注入層251の電子親和力は、後述される陰極260の仕事関数と発光層240の電子親和力の間になるように選択される。電子注入層251としては、例えば、金属キレート系、フェナントロリン系、オキサジアゾール系、トリアゾール系などの有機材料、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などの無機材料が用いられる。
[1−2−7.陰極260、酸化防止層261、陰極保護層262]
陰極260は、電子注入層251を覆うように形成される。トップエミッション型の有機EL表示装置においては、表示面側の電極(つまり陰極260)の可視光線透過率を上げることが望まれる。
なお、電子注入層251と陰極260との界面に、電子注入層251を構成する材料と陰極260を構成する材料とが混合する混合層252が形成されていてもよい。
また、陰極260の上には、酸化防止層261および陰極保護層262が設けられている。
陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262については、後に詳細に述べられる。
[1−2−8.封止層270]
封止層270は、陰極260における発光層240が設けられた側の反対側を覆う。具体的には、封止層270は、陰極260を覆うように、陰極保護層262の上に形成される。
封止層270によって封止されていないELデバイス部は、環境由来の水分や、洗浄による水分などがELデバイス部の内部に入り込みやすく、入り込んだ水分によって、層の剥離などが発生する場合がある。その結果、正常な発光が得られないなどの欠陥が生じやすくなる。よって、封止層270を設けることが好ましい。
封止層270としては、ポリパラキシレン、フッ素樹脂などの有機材料、SiO2、GeO(酸化ゲルマニウム)、Al23(酸化アルミニウム)などの酸化物材料、SiON(酸窒化シリコン)、SiNなどの窒化物材料が用いられる。なお、封止層270は、複数の種類の材料が積層された構成としてもよい。開示されたELデバイス部200においては、一例として、SiNが用いられた。
[1−3.カラーフィルタ基板300]
カラーフィルタ基板300は、光の吸収を利用することにより発光色を変化させる。つまり、カラーフィルタ基板300を光が透過することによって、色純度が向上する。フィルタ320は、顔料などによって、透過光の波長を調整する。
[2.有機EL表示装置10の製造方法]
図4に示されるように、有機EL表示装置10の製造方法は、TFT基板100を作製する工程(ステップ1)、ELデバイス部200を作製する工程(ステップ2)およびカラーフィルタ基板300を貼合わせる工程(ステップ3)を含む。
TFT基板100を作製する工程(ステップ1)およびELデバイス部200を作製する工程(ステップ2)の詳細は、TFT基板100の製造方法およびELデバイス部200の製造方法として後述する。
カラーフィルタ基板300を貼合わせる工程(ステップ3)では、後述するカラーフィルタ基板300の製造方法で作製されたカラーフィルタ基板300を用いて、図3に示されるように、ELデバイス部200とカラーフィルタ基板300とを貼合わせ層20によって貼合わせる。貼合わせ層20としては、例えば、UV硬化樹脂が用いられる。貼合わせ層20の膜厚は、10μm〜30μm程度である。
前述のように、TFT基板100は、一部が開口した平坦化層201に覆われる。よって、ELデバイス部200のみを別途作製した後に、TFT基板100と貼合わせることは容易ではない。一方、カラーフィルタ基板300を別途作製した後であれば、カラーフィルタ基板300とELデバイス部200とを容易に貼合わせることができる。
[2−1.TFT基板100の製造方法(ステップ1)]
図5に示されるように、TFT基板100の製造方法は、一例として、ゲート電極101を形成する工程(ステップ11)と、ゲート絶縁膜102を形成する工程(ステップ12)と、半導体層111を形成する工程(ステップ13)と、第1絶縁層120を形成する工程(ステップ14)と、第1電極130を形成する工程(ステップ15)と、保護層140を形成する工程と(ステップ16)と、第2電極150を形成する工程(ステップ17)と、第2絶縁層161を形成する工程(ステップ18)とを含む。
開示されたTFT基板100は、このように、ステップ11からステップ18の工程によって作製される。
[2−1−1.ステップ11]
図6に示されるように、ステップ11では、ガラス基板110上にゲート電極101が形成される。例えば、スパッタリング法によって、ガラス基板110上に、Mo膜とCu膜が順に堆積される。Mo膜とCu膜の合計膜厚は、50nm〜150nm程度である。
次に、レジストを使用したフォトリソグラフィーおよびエッチングによって、所定のパターンのゲート電極101が形成される。
[2−1−2.ステップ12]
図7に示されるように、ステップ12では、ゲート電極101を覆うゲート絶縁膜102が形成される。例えば、平行平板方式のプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって、SiO2膜が100nm〜300nm程度の膜厚で形成される。材料には、一例として、SiH4およびN2Oが用いられる。プラズマは、例えば、13.56MHzの高周波が印加されることによって発生する。プラズマ中でSiH4およびN2Oが分解し、クラスター状のSiO2が生成される。SiO2は、プラズマ中で発生するセルフバイアスによって、ガラス基板110上に堆積する。
[2−1−3.ステップ13]
図8に示されるように、ステップ13では、ゲート絶縁膜102上に、半導体層111が形成される。半導体層111として、TAOSが用いられる場合には、一例としてスパッタリング法が用いられる。例えば、組成比In:Ga:Znが1:1:1の割合のターゲット材料が用いられる。ターゲット材を酸素雰囲気中でスパッタすることによって、a−InGaZnO4が成膜される。膜厚は、例えば、30nm〜150nm程度である。さらに、大気雰囲気中で、200℃〜500℃程度の熱処理をすることによって、TFT特性が改善する。
半導体層111として、アモルファスシリコンが用いられる場合には、一例として、プラズマCVD法が用いられる。例えば、モノシランが材料に用いられた場合は、プラズマ中でシリコンと水素に分解する。シリコンは、アモルファス状態でゲート絶縁膜102上に堆積する。膜厚は、例えば、30nm〜150nm程度である。
次に、レジストを使用したフォトリソグラフィーおよびエッチングによって、所定のパターンの半導体層111が形成される。
[2−1−4.ステップ14]
図9に示されるように、ステップ14では、ゲート絶縁膜102および半導体層111上に、第1絶縁層120が形成される。例えば、平行平板方式のプラズマCVDによって、SiO2膜が100nm〜300nm程度の膜厚で形成される。材料には、一例として、SiH4およびN2Oが用いられる。
[2−1−5.ステップ15]
図10に示されるように、ステップ15では、第1電極130が形成される。第1電極130は、ゲート電極101および半導体層111におけるソース/ドレインとコンタクトする。まず、第1絶縁層120の所定の領域がフォトリソグラフィーおよびエッチングによって、開口される。次に、スパッタリングによって、Cu膜が堆積される。Cu膜の膜厚は、例えば、100nm〜300nm程度である。次に、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって所定のパターンに加工される。以上のように、第1電極130が形成される。前述の第1絶縁層120は、半導体層111と第1電極130とを絶縁する機能を有する。
[2−1−6.ステップ16]
図11に示されるように、ステップ16では、保護層140が形成される。開示された保護層140は、例えば、第1保護層141と第2保護層142の積層構造である。第1保護層141として、例えば、平行平板方式のプラズマCVDによってSiO2膜が100nm〜400nm程度の膜厚で形成される。材料には、一例として、SiH4およびN2Oが用いられる。
第2保護層142として、例えば、平行平板方式のプラズマCVDによってSiN膜が50nm〜200nm程度の膜厚で形成される。材料には、一例として、SiH4およびアンモニア(NH3)が用いられる。
[2−1−7.ステップ17]
図12に示されるように、ステップ17では、第2電極150が形成される。第2電極150は、一例として、下層電極151と上層電極152の積層構造である。第2電極150は、第1電極130とコンタクトする。まず、保護層140の所定の領域がフォトリソグラフィーおよびエッチングによって、開口される。
次に、スパッタリングによって、ITO膜が堆積される。ITO膜の膜厚は、例えば、50nm〜150nm程度である。次に、スパッタリングによって、Cu膜が堆積される。Cu膜の膜厚は、例えば、100nm〜400nm程度である。
次に、フォトリソグラフィーおよびエッチングによってITO膜およびCu膜が所定のパターンに加工される。以上のように、ITOの下層電極151およびCuの上層電極152が形成される。
[2−1−8.ステップ18]
図13に示されるように、ステップ18では、第2絶縁層161が形成される。第2絶縁層161として、例えば、平行平板方式のプラズマCVDによってSiN膜が50nm〜200nm程度の膜厚で形成される。材料には、一例として、SiH4およびアンモニアが用いられる。
以上のステップ11〜18によって、TFT基板100が作製される。
[2−2.ELデバイス部200の製造方法(ステップ2)]
図14に示されるように、TFT基板100の製造方法は、一例として、平坦化層201を形成する工程(ステップ21)と、陽極210を形成する工程(ステップ22)と、正孔注入層231を形成する工程(ステップ23)と、バンク220を形成する工程(ステップ24)と、電子ブロック層232を形成する工程(ステップ25)と、発光層240を形成する工程と(ステップ26)と、電子注入層251を形成する工程(ステップ27)と、陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262を形成する工程(ステップ28)と、封止層270を形成する工程(ステップ29)とを含む。
開示されたELデバイス部200は、このように、ステップ21からステップ29の工程によって作製される。
[2−2−1.ステップ21]
図15に示されるように、ステップ21では、平坦化層201が形成される。平坦化層201として、例えば、感光性樹脂が用いられる。具体的には、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物などである。また、上記の樹脂組成物の任意の混合物を使用することもできる。なお、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。感光性樹脂は、溶剤中に分散される。
まず、例えば、塗布法によって、感光性樹脂がTFT基板100上に形成される。感光性樹脂が塗布される面は、第2絶縁層161が設けられている面である。次に、フォトリソグラフィーと現像がなされる。TFT基板100との接続用の開口部を形成するためである。次に、大気雰囲気中で熱処理がなされる。熱処理における温度は、150℃〜250℃程度である。熱処理によって、残留していた溶剤が揮発する。熱処理後の平坦化層201の膜厚は、2μm〜5μm程度である。次に、平坦化層201をマスクとして、第2絶縁層161がエッチングされる。第2電極150の表面を露出させるためである。
[2−2−2.ステップ22]
図16に示されるように、ステップ22では、陽極210が形成される。陽極210は、例えば、下層陽極211と上層陽極212の積層構造である。下層陽極211には、例えば、アルミニウム合金が用いられる。上層陽極212には、例えば、IZOが用いられる。下層陽極211と上層陽極212は、一例として、スパッタリングにより形成される。下層陽極211の膜厚は、例えば、100nm〜500nm程度である。上層陽極212の膜厚は、例えば、5nm〜30nm程度である。
[2−2−3.ステップ23]
図17に示されるように、ステップ23では、正孔注入層231が形成される。正孔注入層231には、一例として、酸化タングステン膜が用いられる。正孔注入層231は、一例としてスパッタリングにより形成される。酸化タングステンの組成はWOx(2≦x≦3)で表される。正孔注入層231の膜厚は、例えば、2nm〜20nm程度である。
[2−2−4.ステップ24]
図18に示されるように、ステップ24では、バンク220が形成される。まず、正孔注入層231および陽極210が、画素形状にパターニングされる。具体的には、レジストを使用したフォトリソグラフィーおよびエッチングによって、正孔注入層231および陽極210に開口領域が形成される。
バンク220として、例えば、感光性樹脂が用いられる。具体的には、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物などである。また、上記の樹脂組成物の任意の混合物を使用することもできる。なお、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。感光性樹脂は、溶剤中に分散される。
例えば、塗布法によって、感光性樹脂が前述の開口領域および正孔注入層231上に形成される。次に、フォトリソグラフィーと現像がなされる。次に、大気雰囲気中で熱処理がなされる。熱処理における温度は、150℃〜250℃程度である。熱処理によって、残留していた溶剤が揮発する。熱処理後のバンク220の膜厚は、0.5μm〜2μm程度である。なお、バンク220の側面が順テーパ形状であると、後のステップが容易になるので好ましい。
[2−2−5.ステップ25]
図19に示されるように、ステップ25では、電子ブロック層232が形成される。電子ブロック層232として、例えば、アミン系ポリマーが用いられる。アミン系ポリマーは、例えば、溶剤中に分散されることによって、印刷用インクとなる。印刷用インクは、例えば、インクジェット装置によって、正孔注入層231上に塗布される。次に、真空乾燥と熱処理がなされる。熱処理は、150℃〜250℃程度である。熱処理によって溶剤が揮発する。電子ブロック層232の膜厚は、5nm〜20nm程度である。
[2−2−6.ステップ26]
図20に示されるように、ステップ26では、発光層240が形成される。発光層240として、例えば、高分子材料のホストにドーパントが添加された材料が用いられる。高分子材料は、例えば、溶剤中に分散されることによって、印刷用インクとなる。印刷用インクは、例えば、インクジェット装置によって電子ブロック層232上に塗布される。赤色発光層241、緑色発光層242および青色発光層243はそれぞれ別々に塗布される。なお、複数のヘッドを有するインクジェット装置を使用する場合は、赤色発光層241、緑色発光層242および青色発光層243を同時に塗布することもできる。
赤色発光層241、緑色発光層242および青色発光層243それぞれの膜厚は、輝度のバランスをとるために適宜設定される。つまり、単位膜厚あたりの発光量が相対的に大きい色は、膜厚が相対的に小さく設定される。単位膜厚あたりの発光量が相対的に小さい色は、膜厚が相対的に大きく設定される。膜厚は、印刷用インクの粘度、ヘッドの開口径などによって調整される。次に、熱処理がなされる。熱処理は、150℃〜250℃程度である。熱処理によって、残留していた溶剤が揮発する。発光層240の膜厚は、40nm〜100nm程度である。
[2−2−7.ステップ27]
図21に示されるように、ステップ27では、電子注入層251が形成される。電子注入層251として、例えば、低分子材料にバリウム(Ba)が添加された材料が用いられる。電子注入層251の材料は、例えば、蒸着法によって、発光層240およびバンク220上に形成される。電子注入層251の膜厚は、2nm〜50nm程度である。
また、電子注入層251として、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物などの無機材料を用いてもよい。この場合、例えば、電子注入層251としてアルカリ金属化合物であるフッ化ナトリウムを用いて、さらに、電子注入層251の上に形成する陰極260としてアルミニウムを用いた場合、アルミニウムによってフッ化ナトリウムが還元されて、電子注入層251と陰極260との界面に、アルミニウム、フッ素およびナトリウムを含む混合層252が形成される。
このように、電子注入層251としてアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を用いるとともに、陰極260として、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物に対して還元作用を及ぼす金属を用いることによって、電子注入層251と陰極260の界面にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が遊離した状態で存在する。例えば、上述のように、電子注入層251がフッ化ナトリウム(アルカリ金属化合物)であり、陰極260がアルミニウムである場合、電子注入層251と陰極260の界面にナトリウム(アルカリ金属)が遊離した状態で存在する。これにより、電子注入性が高まると考えられる。したがって、フッ化ナトリウムとアルミニウムとを組み合わせて用いることは非常に望ましい。
なお、電子注入層251と陰極260との界面だけではなく、電子注入層251(フッ化ナトリウム層)全体が還元された状態になっていてもよい。
また、電子注入層251は、フッ化ナトリウムに限らず、フッ化リチウム等のアルカリ金属化合物を用いてもよい。また、陰極260は、アルミニウムに限らず、マグネシウムと銀の合金等を用いてもよい。これらの場合またはこれらと上記材料とを組み合わせた場合でも、混合層252が形成される。
[2−2−8.ステップ28]
図22に示されるように、ステップ28では、陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262が形成される。陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262の形成については、後に詳細に述べられる。
[2−2−9.ステップ29]
図23に示されるように、ステップ29では、封止層270が形成される。具体的には、封止層270は、陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262を形成した後に、陰極保護層262の上に形成される。封止層270として、例えば、平行平板方式のプラズマCVDによって500nm〜800nm程度の膜厚のSiN膜が形成される。この場合、SiN膜の原料には、一例として、SiH4およびNH3が用いられる。なお、ステップ27からステップ29を真空中で連続して行うことが好ましい。水分などを含む雰囲気に曝されることが抑制されるからである。
以上のステップ21〜29によって、ELデバイス部200が作製される。
[2−3.カラーフィルタ基板300の製造方法]
カラーフィルタ基板300は、ガラス基板310上にフィルタ320を形成することによって作製することができる。フィルタ320は、従来知られているように、フォトリソグラフィーなどによって形成される。
[3.陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262の詳細]
[3−1.陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262の構成]
まず、陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262の構成について、図24を用いて説明する。図24は、図23の破線で囲まれる領域Aの拡大断面図である。
図24に示されるように、本実施の形態におけるELデバイス部200では、陰極260の上に酸化防止層261および陰極保護層262が積層された構成となっており、さらに、その上には封止層270が形成されている。つまり、陰極260と封止層270との間には、発光層側から酸化防止層261および陰極保護層262がこの順に積層されている。
陰極260は、金属膜であって、電子注入層251の上層に設けられる。例えば、陰極260は、電子注入層251と接するように電子注入層251の上に形成される。また、有機EL表示装置10は陰極側から光を取り出すトップエミッション型であるので、陰極260としての金属膜は、発光層が発する光(可視光線)を透過する。
陰極保護層262は、陰極260の上層、かつ、封止層270の下層に設けられる。例えば、陰極保護層262は、陰極260と接するように陰極260上に形成される。
なお、図24において、封止層270より上側の層および電子注入層251より下側の層は省略されている。
陰極260の金属膜材料としては、例えば、アルミニウムが用いられる。陰極260の膜厚は、5nm以上15nm以下が好ましい。陰極260の膜厚が5nm未満であると、陰極としての抵抗が高くなる。一方、陰極260の膜厚が15nmを超えると、可視光線に対する透過率が低下する。
酸化防止層261としては、例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体などの有機成分を含む材料が用いられる。酸化防止層261の膜厚は、15nm以上80nm以下が好ましい。酸化防止層261の膜厚が15nm未満であると、酸化防止機能が低下する。一方、酸化防止層261の膜厚が80nmを超えると、可視光線に対する透過率が低下する。
陰極保護層262としては、例えば、可視光を透過する金属酸化物が用いられる。具体的には、ITOまたはIZOなどがあげられる。陰極保護層262の膜厚は、15nm以上50nm以下であることが好ましい。陰極保護層262の膜厚が15nm未満であると、酸化防止機能が低下する。一方、陰極保護層262の膜厚が50nmを超えると、逆に陰極260の金属膜の酸化が進行する。
[3−2.陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262の形成方法]
次に、陰極260、酸化防止層261および陰極保護層262の形成方法(ステップ28)の詳細について、図24および図25を用いて説明する。
まず、発光層240の上方に陰極260として金属膜を形成する(ステップ281)。具体的には、電子注入層251の上に陰極260として金属膜を形成する。陰極260は、例えば、抵抗加熱による真空蒸着法などにより形成される。アルミニウムを蒸着材料に用いた場合には、アルミニウム膜が形成される。陰極260の膜厚は、真空蒸着装置の真空度や、蒸着材料が入った容器に流す電流などによって適宜調整される。
ここで、電子注入層251がフッ化ナトリウム層等のアルカリ金属化合物である場合、陰極260を形成する工程において、電子注入層251の上に陰極260としてアルミニウム膜を形成することにより、陰極260のアルミニウムによって電子注入層251のフッ化ナトリウムが還元されて、電子注入層251と陰極260との界面に、アルミニウム、フッ素およびナトリウムを含む混合層252が形成される。
次に、陰極260の上方に酸化防止層261を形成する(ステップ282)。このとき、陰極260の形成後、酸化防止層261の形成までに、陰極260が大気に曝されないようにするとよい。つまり、陰極260と酸化防止層261とを真空中で連続して形成するとよい。例えば、同じ真空蒸着装置において、蒸着材料をアルミニウムから、例えばオキサジアゾール誘導体に切り替える。これによって、真空状態を保ったまま陰極260上に酸化防止層261を形成できるので、陰極260の酸化を抑制できる。
次に、酸化防止層261の上方に陰極保護層262を形成する(ステップ283)。陰極保護層262は、例えば、スパッタリングにより形成される。ITOをターゲットに用いた場合には、ITO膜が形成される。IZOをターゲットに用いた場合には、IZO膜が形成される。導入ガスにアルゴンおよび酸素が用いられる。陰極保護層262の膜厚は、スパッタ装置の真空度、印加電力などによって適宜調整される。
[3−3.評価結果]
実際に陰極260を有する種々の有機EL表示装置10を作製し、緑色を発光させたときの駆動電圧と寿命とを評価した。その評価結果を図26および図27を用いて説明する。
まず、図26では、Al膜である陰極260に対して、酸化防止層261および陰極保護層262を設けた場合と設けない場合とについて評価を行った。なお、陰極260(Al膜)の膜厚は10nmとし、酸化防止層261の膜厚は35nmとし、陰極保護層262の膜厚は35nmとした。
図26に示されるように、陰極260がAlの金属膜のみの構造(酸化防止層261、陰極保護層262を有さない)の第1試料では、駆動電圧の要求性能に対しては0.7V程度高く、寿命の要求性能に対しては1/10であり輝度半減寿命が短い。
また、陰極260の上に酸化防止層261を積層した構造(陰極保護層262を有さない)の第2試料では、駆動電圧が低下して要求性能を満たす駆動電圧は実現できているものの、寿命比は約50%である。つまり、寿命については、第1試料より改善しているが、要求性能を満たしておらず、輝度半減寿命は不十分である。
また、陰極260の上に酸化防止層261および陰極保護層262を積層した構造の第3試料では、駆動電圧が低下して要求性能を満たす駆動電圧を実現できるとともに、輝度半減寿命が改善して寿命の要求性能も満たすことができる。このように、第3試料では、駆動電圧の低下と輝度半減寿命の改善との両立を図ることができる。
図26に示す結果から、酸化防止層261のみを設けた場合は、初期特性における陰極260の酸化抑制に対しては有効であるが、長時間駆動中の陰極260の酸化抑制に対しては不十分であることが示唆される。しかし、酸化防止層261の上にさらに陰極保護層262を設ける構成とすることで、長時間駆動中の陰極260の酸化抑制に対しても有効なものになることが分かる。
また、図27では、ITO膜である陰極保護層262の膜厚と駆動電圧および寿命との関係を評価した。具体的には、陰極保護層262の膜厚を、0nm、15nm、35nm、50nm、105nmの場合について、駆動電圧および寿命を評価した。なお、図26において、陰極保護層262(ITO膜)を設けている試料では、膜厚35nmの酸化防止層261を設けている。また、陰極260は、膜厚が10nmのアルミニウム膜としている。
図27に示されるように、陰極保護層262(ITO膜)の膜厚を15nm以上50nm以下とすることによって、駆動電圧が低下して要求性能を満たす駆動電圧が実現できることが分かる。しかしながら、陰極保護層262(ITO膜)の膜厚が105nmの場合、0.1V程度ではあるが要求性能の駆動電圧を越えることとなり、陰極保護層262(ITO膜)の膜厚を厚くしすぎると、かえって駆動電圧が上昇することが分かる。
また、陰極保護層262の膜厚を15nm以上50nm以下とすることによって、輝度半減寿命が改善して寿命の要求性能を満たすことも分かる。但し、陰極保護層262の膜厚を厚くしていくと、輝度半減寿命も徐々に短くなっていき、陰極保護層262の膜厚が105nmを越えると寿命比は約50%になり、寿命の要求性能を満たさなくなる。このように、陰極保護層262の膜厚の増加とともに輝度半減寿命が短くなるのは、陰極保護層262(ITO膜)の成膜時に膜厚の増加によって長時間酸素雰囲気に曝されて、陰極260の酸化が進行したものと推測される。
[4.まとめ]
以上、有機EL表示装置10によれば、陽極210と、金属膜である陰極260と、陽極210と陰極260の間に設けられた発光層240と、陰極260における発光層240が設けられた側の反対側を覆う封止層270と、を備える。そして、陰極260と封止層270との間には、発光層240側から酸化防止層261および陰極保護層262がこの順に積層されている。
上記構成によって、陰極260の酸化が抑制される。これにより、駆動電圧が上昇することおよび輝度半減寿命が短くなることを抑制できる。
なお、酸化防止層261は、有機成分を含んでいてもよい。さらに、酸化防止層261の膜厚は、15nm以上80nm以下であることが好ましい。
この構成により、陰極260に対する酸化防止効果の低下を抑制できるとともに、酸化防止層261の透過率が低下することを抑制できる。
また、陰極保護層262は、可視光を透過する金属酸化物であってもよい。さらに、陰極保護層262の膜厚は、15nm以上50nm以下であることが好ましい。
この構成により、陰極260に対する酸化防止効果の低下を抑制でき、寿命の要求性能を満たすことができる。
また、電子注入層251と陰極260との界面には、電子注入層251を構成する材料と陰極260を構成する材料とが混合する混合層252が形成されているとよい。この場合、電子注入層251をアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物とし、陰極260をアルカリ金属化合物または前記アルカリ土類金属化合物に還元する金属とすることができ、例えば、電子注入層251をフッ化ナトリウムとし、陰極260をアルミニウムとすることができる。この場合、混合層252には、電子注入層251を構成する材料および陰極260を構成する材料として、フッ素、ナトリウムおよびアルミニウムが含まれている。
この構成により、電子注入性を高めることができるので、発光層240の発光効率を向上させることができる。
また、有機EL表示装置10の製造方法によれば、陽極210を形成する工程(ステップ22)、陽極210の上方に発光層240を形成する工程(ステップ26)、発光層240の上方に陰極260として金属膜を形成する工程(ステップ281)、陰極260の上方に当該陰極260と真空中で連続して酸化防止層261を形成する工程(ステップ282)と、酸化防止層261の上方に陰極保護層262を形成する工程(ステップ283)と、陰極260の上方に封止層270を形成する工程(ステップ29)と、を含む。
上記方法によって、陰極260の酸化が抑制される有機EL表示装置を実現することができる。これにより、駆動電圧が上昇することおよび輝度半減寿命が短くなることを抑制できる有機EL表示装置を実現できる。
また、発光層240を形成する工程と陰極260を形成する工程との間に、発光層240の上方に電子注入層251を形成する工程を含んでいてもよい。この場合、陰極260を形成する工程において、電子注入層251の上に陰極260を形成することにより、電子注入層251と陰極260との界面に、電子注入層251を構成する材料と陰極260を構成する材料とが混合する混合層252を形成するとよい。この場合、電子注入層251をアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物とし、陰極260をアルカリ金属化合物または前記アルカリ土類金属化合物を還元する金属とすることができ、例えば、電子注入層251をフッ化ナトリウムとし、陰極260をアルミニウムとすることができる。
この構成により、アルミニウムによってフッ化ナトリウムが還元されて、電子注入層251と陰極260との界面に、アルミニウム、フッ素およびナトリウムが含まれる混合層252が形成される。このように、電子注入層251と陰極260の界面にナトリウムが遊離した状態で存在するので、電子注入性を高めることができる。
以上、有機EL表示装置およびその製造方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
開示された技術は、表示デバイスなどに用いられる有機EL表示装置等に利用可能である。
10 有機EL表示装置
20 貼合わせ層
100 TFT基板
101 ゲート電極
102 ゲート絶縁膜
110 ガラス基板
111 半導体層
120 第1絶縁層
130 第1電極
140 保護層
141 第1保護層
142 第2保護層
150 第2電極
151 下層電極
152 上層電極
161 第2絶縁層
170 TFT部
171 スイッチングTFT
172 駆動TFT
180 ゲート配線
190 ソース配線
200 ELデバイス部
201 平坦化層
210 陽極
211 下層陽極
212 上層陽極
220 バンク
231 正孔注入層
232 電子ブロック層
240 発光層
241 赤色発光層
242 緑色発光層
243 青色発光層
251 電子注入層
252 混合層
260 陰極
261 酸化防止層
262 陰極保護層
270 封止層
300 カラーフィルタ基板
310 ガラス基板
320 フィルタ
321 赤フィルタ
322 緑フィルタ
323 青フィルタ

Claims (12)

  1. 陽極と、
    金属膜である陰極と、
    前記陽極と前記陰極との間に設けられた発光層と、
    前記陰極における前記発光層が設けられた側の反対側を覆う封止層と、を備え、
    前記陰極と前記封止層との間には、前記発光層側から酸化防止層および陰極保護層が順に積層されている、
    有機EL表示装置。
  2. 前記酸化防止層は、有機成分を含む、
    請求項1に記載の有機EL表示装置。
  3. 前記酸化防止層の膜厚は、15nm以上80nm以下である、
    請求項2に記載の有機EL表示装置。
  4. 前記陰極保護層は、可視光を透過する金属酸化物である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の有機EL表示装置。
  5. 前記陰極保護層の膜厚は、15nm以上50nm以下である、
    請求項4に記載の有機EL表示装置。
  6. さらに、前記発光層と前記陰極との間に設けられた電子注入層を備え、
    前記電子注入層と前記陰極との界面には、前記電子注入層を構成する材料と前記陰極を構成する材料とが混合する混合層が形成されている、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の有機EL表示装置。
  7. 前記電子注入層は、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物であり、
    前記陰極は、前記アルカリ金属化合物または前記アルカリ土類金属化合物を還元する金属である、
    請求項6に記載の有機EL表示装置。
  8. 前記電子注入層がフッ化ナトリウムであり、かつ、前記陰極がアルミニウムである場合、
    前記混合層には、前記電子注入層を構成する材料および前記陰極を構成する材料として、フッ素、ナトリウムおよびアルミニウムが含まれている、
    請求項7に記載の有機EL表示装置。
  9. 陽極を形成する工程と、
    前記陽極の上方に発光層を形成する工程と、
    前記発光層の上方に陰極として金属膜を形成する工程と、
    前記陰極の上方に当該陰極と真空中で連続して酸化防止層を形成する工程と、
    前記酸化防止層の上方に陰極保護層を形成する工程と、
    前記陰極の上方に封止層を形成する工程と、を含む、
    有機EL表示装置の製造方法。
  10. 前記発光層を形成する工程と前記陰極を形成する工程との間に、前記発光層の上方に電子注入層を形成する工程を含み、
    前記陰極を形成する工程において、前記電子注入層の上に前記陰極を形成することにより、前記電子注入層と前記陰極との界面に、前記電子注入層を構成する材料と前記陰極を構成する材料とが混合する混合層を形成する、
    請求項9に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  11. 前記電子注入層は、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物であり、
    前記陰極は、前記アルカリ金属化合物または前記アルカリ土類金属化合物を還元する金属である、
    請求項10に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  12. 前記電子注入層がフッ化ナトリウムであり、かつ、前記陰極がアルミニウムである場合、
    前記混合層には、前記電子注入層を構成する材料および前記陰極を構成する材料として、フッ素、ナトリウムおよびアルミニウムが含まれている、
    請求項11に記載の有機EL表示装置の製造方法。
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