JPWO2015114703A1 - リンおよびカルシウムの回収方法および前記回収方法によって得られる混合物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]製鋼スラグからリンおよびカルシウムを回収する方法であって、二酸化炭素を30ppm以上含む水溶液と、前記製鋼スラグとを接触させて、前記製鋼スラグ中のリンおよびカルシウムを前記水溶液に溶出させる第1工程と、前記第1工程の後、前記水溶液から前記二酸化炭素を除去して、リン化合物およびカルシウム化合物を含む混合物を析出させる第2工程と、を有する、リンおよびカルシウムの回収方法。
図1は、本発明の一実施の形態に係るリンおよびカルシウムの回収方法のフローチャートである。図1に示されるように、本実施の形態に係るリンおよびカルシウムの回収方法は、製鋼スラグ中のリンおよびカルシウムを、二酸化炭素を含む水溶液に溶出させる第1工程と、第1工程の後、リン化合物およびカルシウム化合物を含む混合物を析出させる第2工程と、を有する。
第1工程では、製鋼スラグと、二酸化炭素を含む水溶液とを接触させて、製鋼スラグ中のリンおよびカルシウムを水溶液に溶出させる。
第2工程では、第1工程の後、リンおよびカルシウムが溶解した水溶液からリン化合物およびカルシウム化合物を含む混合物を析出させた後、混合物を回収する。
ガスの水溶液への吹込みにより、二酸化炭素を除去する方法では、水溶液に二酸化炭素以外のガスを吹込むことにより行う。これにより、溶解している二酸化炭素と吹き込んだガスとを置換することで、簡単に二酸化炭素を水溶液から除去することができる。水に吹込むガスの種類は、水との反応性が低い無機系ガス、または水との反応性が低い有機系ガスであることが好ましい。無機系ガスの例には、空気、窒素、酸素、水素、アルゴン、ヘリウムなどが含まれる。また、有機系ガスの例には、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパンなどが含まれる。有機系ガスは、外部に漏れた場合に燃焼や爆発の危険があるため、注意が必要である。なお、塩素ガス、亜硫酸ガスなどの水と反応するガスを使用すると、塩素イオン、硫酸イオンなどが水中で生成する。そして、これらのイオンは、水中に溶出したカルシウムと塩を形成してしまう。その結果、水溶液から二酸化炭素を除去してもリン化合物およびカルシウム化合物を含む混合物が析出しないため好ましくない。
水溶液を減圧することにより、二酸化炭素を除去する方法では、水溶液を密閉容器に入れて、ポンプなどにより容器内の空気を排出して、容器内を減圧雰囲気にすること(脱気)により行う。なお、水溶液の減圧に加えて、水溶液に超音波を印加してもよく、または水溶液を攪拌してもよい。また、水溶液の減圧に加えて、水溶液への超音波の印加および水溶液の攪拌を行ってもよい。これにより、水溶液から二酸化炭素を効率的に除去できる。
水溶液の加熱により、二酸化炭素を除去する方法では、水溶液の温度を高める。この場合、加熱コストを低くする観点から、水の蒸気圧が雰囲気圧力を超えない範囲内の温度に加熱することが好ましい。例えば、雰囲気圧力が大気圧(1気圧)の場合、加熱温度は、100℃未満である。水溶液を加熱すると、二酸化炭素が除去されるだけでなく、カルシウム化合物(炭酸カルシウム)の溶解度が低下するため、カルシウム化合物が析出しやすくなる。
第3工程では、リンおよびカルシウムが溶解した水溶液から二酸化炭素の一部を除去して、リン化合物の含有量が多い混合物を析出させる(工程S230)。第3工程では、カルシウム化合物とリンとが一緒に析出しやすい性質を利用して行う。第3工程における混合物の析出速度は、0.1g/min・L以下であることが好ましい。析出速度が0.1g/min・L以下の場合、カルシウム化合物の表面にリン化合物が吸着するため、カルシウム化合物に対して多くのリン化合物が一緒に析出するためである。このとき、水溶液を攪拌することにより、リン化合物およびカルシウム化合物が一緒に析出しやすくなる。そして、リン化合物の含有量が多い混合物を回収する(工程S240)。
第4工程では、第3工程の後に、リンおよびカルシウムが溶解した水溶液から二酸化炭素をさらに除去して、混合物を析出させる(工程S250)。具体的には、第3工程を行った後、その水溶液から二酸化炭素をさらに除去して、残りのカルシウム化合物を析出させる。このとき、リン化合物は、第3工程においてほとんど析出しているため、リン化合物の含有量の少ない混合物を得ることができる。この場合、二酸化炭素を除去する方法は、前述したガスの水溶液への吹込み法、水溶液の減圧、水溶液の加熱のいずれでもよい。いずれの方法によっても、リン化合物をほとんど含まないカルシウム化合物が得られる。そして、リン化合物の含有量が少ない混合物を回収する(工程S260)。
このようにして得られる混合物(本発明に係る混合物)は、リン化合物およびカルシウム化合物を含み、リンを原子換算で1質量%以上含有する。前述のとおり、リン化合物の例にはリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、ヒドロキシアパタイト(HAp)などが含まれ、カルシウム化合物の例には炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化カルシウムなどが含まれる。混合物中のリンの含有量は、ICP−AES法によって求めることができる。
実験1では、二酸化炭素の除去および混合物の回収をそれぞれ1回行った例を示す。
成分比率の異なる2種類の製鋼スラグ(スラグAおよびスラグB)を準備した(表1参照)。最大粒径が100μmとなるように、ローラミルを用いてスラグAおよびスラグBを粉砕した。また、粉砕したスラグの最大粒径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置を用いて確認した。
容器に充填された100Lの水に、粉砕したスラグ(1kg、3kgまたは5kg)を投入してスラグ懸濁液を調製した。次いで、調製したスラグ懸濁液内に、二酸化炭素を20L/minで吹込みながら、インペラを用いてスラグ懸濁液を30分間攪拌した。このときの二酸化炭素濃度は、30ppm以上であった。また、比較のため、スラグ懸濁液内に、二酸化炭素を吹込まずに、インペラを用いてスラグ懸濁液を30分間攪拌した。攪拌後のスラグ懸濁液を静置して、スラグを沈殿させた。その後、上澄み液を回収し、フィルターを用いた減圧濾過によって浮遊物を除去した。
(1)ガスの水溶液への吹込み、(2)水溶液の減圧、(3)水溶液の加熱、(4)ガスの水溶液への吹込みおよび水溶液の加熱、または(5)ガスの水溶液への吹込み、水溶液の減圧および水溶液の加熱により、上澄み液に含まれる二酸化炭素を除去した。これにより、上澄み液中に析出物が生じた。以下、二酸化炭素の除去方法(上記(1)〜(5))について説明する。
容器に投入された上澄み液にガス(空気、N2、O2、H2、Ar、Heまたはこれらの組み合わせ)を20L/minで吹込みながら、インペラを用いて30分間攪拌することによって、二酸化炭素を除去した。なお、ガスとしてN2およびArを使用した実施例11では、N2:10L/min、Ar:10L/minとした。
上澄み液を投入した密閉容器の内部の圧力を1/10気圧に30分間維持するとともに、上澄み液に超音波を印加することによって、二酸化炭素を除去した。
容器に投入された上澄み液の液温を90℃に加熱するとともに、インペラを用いて30分間攪拌することによって、二酸化炭素を除去した。
容器に投入された上澄み液に空気を20L/minで吹込みつつ、上澄み液の液温を90℃に加熱しながら、インペラを用いて30分間攪拌することによって、二酸化炭素を除去した。
密閉容器に投入された上澄み液に空気を5L/minで吹込みつつ、密閉容器の内部の圧力を3/10気圧とし、かつ上澄み液の液温を60℃に加熱した状態を30分間維持することよって、二酸化炭素を除去した。
フィルターを用いて、析出物(混合物)を含む上澄み液を減圧濾過して、混合物を回収した。なお、二酸化炭素を除去する時に加熱した上澄み液については、液温が低下しないように加温しながら減圧濾過して、混合物を回収した。回収した混合物中のリン濃度を、ICP−AES法により測定した。また、ICP−AES法により混合物中にカルシウムが含まれていることも確認した。これにより、リン化合物およびカルシウム化合物を含む混合物を得たことを確認した。
実験1の回収条件および回収結果を表2に示す。
実験2では、二酸化炭素の除去および混合物の回収をそれぞれ2回に分けて行った例を示す。
実験1と同様の2種類の製鋼スラグ(スラグAおよびスラグB)を準備した。
容器に充填された100Lの水に、粉砕したスラグ(1kgまたは3kg)を投入してスラグ懸濁液を調製した。次いで、調製したスラグ懸濁液内に、二酸化炭素を20L/minで吹込みながら、インペラを用いてスラグ懸濁液を30分間攪拌した。そして、懸濁液を静置して、スラグを沈殿させた後、上澄み液を回収し、フィルターを用いた減圧濾過によって浮遊物を除去した。
(1)ガスの水溶液への吹込み
容器に投入された上澄み液にガス(空気またはN2)を20L/minで吹込みながら、インペラを用いて5分間攪拌した後、ガスの吹込みを停止して、さらに5分間攪拌した。そして、フィルターを用いて、析出物(混合物)を含む上澄み液を減圧濾過して、混合物を回収した。混合物を回収した上澄み液を容器に再度投入して、ガス(空気またはN2)を20L/minで吹込みながら、インペラを用いて25分間攪拌した。そして、フィルターを用いて、析出物(混合物)を含む上澄み液を減圧濾過して、混合物を回収した。
上澄み液を投入した密閉容器の内部の圧力を1/10気圧に5分間維持して二酸化炭素を除去した後、フィルターを用いて、析出物(混合物)を含む上澄み液を減圧濾過して、混合物を回収した。混合物を回収した上澄み液を密閉容器に再度投入して、密閉容器の内部の圧力を1/10気圧に25分間維持して二酸化炭素を除去した後、フィルターを用いて、析出物(混合物)を含む上澄み液を減圧濾過して、混合物を回収した。
混合物中に含まれるリンおよびカルシウムの測定を実験1と同様に行った。
実験2の回収条件および回収結果を表3に示す。
実験3では、2種類の方法で二酸化炭素の除去を1回ずつ行い、混合物を回収した例を示す。
実験1、2と同様の2種類の製鋼スラグ(スラグAおよびスラグB)を準備した。リンおよびカルシウムの溶出は、実験2と同じ手順により行った。
(1)ガスの水溶液へのガスの吹込みおよび水溶液の加熱
容器に投入された上澄み液にガス(空気またはN2)を20L/minで吹込みながら、インペラを用いて5分間二酸化炭素を除去した後、フィルターを用いて、混合物を含む上澄み液を減圧濾過して、混合物を回収した。混合物を回収した上澄み液を容器に再度投入して、上澄み液の液温を90℃に加熱しながら、インペラを用いて25分間攪拌することによって、二酸化炭素を除去した後、液温が低下しないように加温しながら減圧濾過して、混合物を回収した。
容器に投入された上澄み液にガス(空気またはN2)を20L/minで吹込みながら、インペラを用いて5分間二酸化炭素を除去した後、フィルターを用いて、混合物を含む上澄み液を減圧濾過して、混合物を回収した。混合物を回収した上澄み液を容器に再度投入して、密閉容器の内部の圧力を1/10気圧に25分間維持して二酸化炭素を除去した後、フィルターを用いて、混合物を含む上澄み液を減圧濾過して、混合物を回収した。
混合物に含まれるリン濃度の測定を実験1と同様に行った。
実験3の回収条件および回収結果を表4に示す。
実験4では、1種類の方法で二酸化炭素の除去を行い、混合物の回収を2回に分けて行った例を示す。
実験1、2で使用したスラグAを準備した。リンおよびカルシウムの溶出は、実験2と同じ手順により行った。なお、投入したスラグは、1kgとした。
二酸化炭素の除去は、密閉容器に投入された上澄み液に空気を所定量吹込みながら、インペラを用いて5分間二酸化炭素を除去した後、ガスの吹込みを停止して、さらに5分間攪拌した。その後、フィルターを用いて、析出物を含む上澄み液を減圧濾過して、析出物を回収した。次いで、再度容器に投入された上澄み液に空気を所定量吹込みながら、インペラを用いて25分間二酸化炭素を除去した後、フィルターを用いて、析出物を含む上澄み液を減圧濾過して、析出物を回収した。なお、空気の吹込み量は、スラグ懸濁液1L当たりの1分間の大気圧の空気容量で示した。
混合物中に含まれるリン濃度の測定を実験1と同様に行った。
実験4の回収条件および回収結果を表5に示す。
実験5では、二酸化炭素の除去を複数回(3回)行った例を示す。図3は、実験5におけるリンおよびカルシウムの回収方法のフローチャートである。
実験1、2で使用したスラグAを準備した(工程S100、S110)。リンおよびカルシウムの溶出は、実験2と同じ手順により行った(工程S120)。なお、投入したスラグは、1kgとした。
二酸化炭素の除去は、容器に投入された上澄み液に空気を所定量吹込みながら、インペラを用いて0.5分間二酸化炭素を除去した後、空気の吹込みを停止して、さらに1分間攪拌した。空気の吹込みおよび空気の吹込みの停止を3回繰り返した(工程S300およびS310)。フィルターを用いて、混合物を含む上澄み液を減圧濾過して、混合物を回収した(工程S320)。次いで、混合物を回収した上澄み液を容器に再度投入して、上澄み液に空気を20L/minで吹込みながら、インペラを用いて25分間二酸化炭素を除去した(工程S330)後、フィルターを用いて、混合物を含む上澄み液を減圧濾過して、混合物を回収した(工程S340)。
混合物中に含まれるリンおよびカルシウムの測定を実験1と同様に行った。
実験5の回収条件および回収結果を表6に示す。
Claims (8)
- 製鋼スラグからリンおよびカルシウムを回収する方法であって、
二酸化炭素を30ppm以上含む水溶液と、前記製鋼スラグとを接触させて、前記製鋼スラグ中のリンおよびカルシウムを前記水溶液に溶出させる第1工程と、
前記第1工程の後、前記水溶液から前記二酸化炭素を除去して、リン化合物およびカルシウム化合物を含む混合物を析出させる第2工程と、
を有する、リンおよびカルシウムの回収方法。 - 前記第2工程は、
前記水溶液から前記二酸化炭素の一部を除去して、前記混合物を析出させる第3工程と、
前記第3工程の後に、前記水溶液から前記二酸化炭素をさらに除去して、前記混合物を析出させる第4工程と、
を有し、
前記第4工程で得られる前記混合物における前記リン化合物の割合は、前記第3工程で得られる前記混合物における前記リン化合物の割合より少ない、
請求項1に記載のリンおよびカルシウムの回収方法。 - 前記第3工程における前記混合物の析出速度は、0.1g/min・L以下である、請求項2に記載のリンおよびカルシウムの回収方法。
- 前記第2工程では、空気、窒素、酸素、水素、アルゴンおよびヘリウムからなる群から選択される1または2以上のガスを前記水溶液内に吹込むことにより、前記二酸化炭素の除去を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリンおよびカルシウムの回収方法。
- 前記第3工程では、前記ガスの前記水溶液内への吹込みを断続的に行う、請求項4に記載のリンおよびカルシウムの回収方法。
- 前記第2工程では、前記水溶液を減圧することにより、前記二酸化炭素の除去を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリンおよびカルシウムの回収方法。
- 前記第2工程では、前記水溶液を加熱することにより、前記二酸化炭素の除去を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリンおよびカルシウムの回収方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のリンおよびカルシウムの回収方法によって得られる混合物であって、
リン化合物およびカルシウム化合物を含み、
リンを原子換算で1質量%以上含有する、
混合物。
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