アルミニウム合金と樹脂の複合体及びその製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品等に用いら れるアルミニウム合金と高強度樹脂の複合体とその製造方法に関する。更に詳しくは 、各種機械加工で作られた軽金属合金形状物と熱可塑性合成樹脂を一体化した構 造物に関し、各種電子機器、家電製品、医療機器、車両用構造部品、車両搭載用 品、建築資材の部品、その他の構造用部品、外装用部品等に用いられる軽金属合 金と樹脂の複合体とその製造方法に関する。
背景技術
[0002] 異種材質である金属と合成樹脂を接着剤で一体化する技術は、自動車、家庭電化 製品、産業機器等の広い産業、及び技術分野力 求められており、このために多くの 接着剤が開発されている。この中には非常に優れた接着剤が提案されている。常温 、又は加熱により機能を発揮する接着剤は、金属と合成樹脂を一体化する接合に使 われ、この方法は現在では一般的な技術である。
[0003] し力しながら、接着剤を使用しないで、より合理的な接合方法がないか従来から研 究されて来た。マグネシウム、アルミニウム及びその合金である軽金属合金類、ステン レス等の鉄合金類に対して、接着剤の介在なしで高強度のエンジニアリング榭脂を 一体化する方法が提案されている。この中で、例えばアルミニウム合金部品を射出成 形金型にインサートし、これに榭脂成分を射出して接合する方法 (以下、「射出接合」 という。)は、現在のところ、アルミ合金とポリブチレンテレフタレート榭脂(以下、「PBT 」と 、う。)、及びポリフエ-レンサルファイド榭脂(以下、「PPS」と 、う。)の組み合わせ で、本出願人によって実用化が始まったば力りである。
[0004] この金属と合成樹脂との組み合わせで、射出接合が可能なことを示したのは本発 明者等が知る限りでは前記発明が最初の発明である。本発明者等は水溶性アミン系 化合物の水溶液にアルミ合金形状物を浸漬し、水洗し、乾燥してから射出成形金型 にインサートし、 PBT等を主成分とする熱可塑性合成樹脂組成物を射出した場合に
特異的に接合力(本発明では、「固着力」ともいう)が上がることを発見したものである
(特許文献 1、 2及び 3参照)。その後、金属処理法への液処理の経験を積んで好ま しい表面処理が安定してできるようになり、その結果、ポリアミド榭脂もアルミニウム合 金に射出接合できることが分力つた。この発明は特願 2006 - 111137号で提案した
[0005] 本発明者等は、引き続き、使用するポリアミド系榭脂に関し、射出接合に対して適 切な榭脂組成があるかにつき開発を続けた。その結果、特徴あるポリアミド榭脂コン ノゥンドが射出接合に適していることが解明された本発明に至った。
[0006] 特許文献 1:特開 2003— 200453号公報
特許文献 2:特開 2004— 268936号公報
特許文献 3: WO 2004/041532^- 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 前述したように、超微細凹部で覆われたアルミニウム合金の形状物を用意してこれ を射出成形金型にインサートし、そこへポリアミド榭脂組成物を射出すると、アルミ- ゥム合金部分と成形された榭脂成形物が接合した一体ィ匕物が得られることが分かつ ている。榭脂部分とアルミニウム合金部分との接合力を、ポリアミド系榭脂のコンパゥ ンド、その他の工夫により、更に高めることができないか挑戦した。
[0008] 本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、下記目的を達成する。
本発明の目的は、アルミニウム合金と主成分がポリアミド榭脂の熱可塑性合成樹脂 組成物との接合強度を強くした、アルミ合金と榭脂の複合体及びその製造方法を提 供することにある。
[0009] 本発明の他の目的は、アルミニウム合金と主成分がポリアミド榭脂の熱可塑性合成 榭脂組成物との接合するときに生産性が高い、アルミ合金と榭脂の複合体及びその 製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明の金属榭脂複合体 1は、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性ァミン化合物か
ら選択される 1種以上の水溶液に浸漬する工程を経て電子顕微鏡観察で数平均内 径 10〜80nmの凹部で表面が覆われたアルミニウム合金部品と、
前記アルミニウム合金部品の前記表面に射出成形で固着され、主成分がポリアミド 榭脂で従成分が耐衝撃性改良材である榭脂分組成の熱可塑性合成樹脂組成物部 品とからなる。
[0011] 本発明 2の金属榭脂複合体は、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性ァミン化合物か ら選択される 1種以上の水溶液に浸漬する工程を経て電子顕微鏡観察で数平均内 径 10〜80nmの凹部で表面が覆われたアルミニウム合金部品と、
前記アルミニウム合金部品の前記表面に射出成形で固着され、脂肪族ポリアミド榭 脂と芳香族ポリアミド榭脂が単純混合されたもの、及び Z又は、前記脂肪族ポリアミド 榭脂と前記芳香族ポリアミド榭脂が分子的に結合されたものが主な榭脂分組成であ る熱可塑性合成樹脂組成物部品とからなる。
[0012] 本発明 3の金属榭脂複合体は、アンモニア、ヒドラジン、又は水溶性アミンィ匕合物の 水溶液に浸漬する工程を経て電子顕微鏡観察で数平均内径 10〜80nmの凹部で 表面が覆われたアルミニウム合金部品と、
前記アルミニウム合金部品に射出成形で前記表面に固着され、異種の芳香族ポリ アミドの群カゝら選ばれた 2種以上の芳香族ポリアミドを主成分とする榭脂分組成であ る熱可塑性合成樹脂組成物部品とからなる。
[0013] 本発明 4の金属榭脂複合体は、陽極酸化法で形成され、電子顕微鏡観察による測 定で開口部の数平均内径が 10〜80nmである穴を有する表面で覆われたアルミ- ゥム合金部品と、
前記アルミニウム合金部品の前記表面に射出成形で固着された、主成分がポリアミ ド榭脂で従成分が耐衝撃性改良材である榭脂分組成の熱可塑性合成樹脂組成物 部品とからなる。
[0014] 本発明 5の金属榭脂複合体は、陽極酸化法で形成され、電子顕微鏡観察による測 定で開口部の数平均内径が 10〜80nmである穴を有する表面で覆われたアルミ- ゥム合金部品と、
前記アルミニウム合金部品の前記表面に射出成形で固着された、脂肪族ポリアミド
榭脂と芳香族ポリアミド榭脂が単純混合された、又は、脂肪族ポリアミド榭脂と芳香族 ポリアミド榭脂が分子的に結合されたものが主な榭脂分組成である熱可塑性合成榭 脂組成物部品とからなる。
[0015] 本発明 6の金属榭脂複合体は、陽極酸化法で形成され、電子顕微鏡観察による測 定で開口部の数平均内径が 10〜80nmである穴を有する表面で覆われたアルミ- ゥム合金部品と、
前記アルミニウム合金部品の前記表面に射出成形で固着された、異種の芳香族ポ リアミドの群カゝら選ばれた 2種以上の芳香族ポリアミドを主成分とする榭脂分組成であ る熱可塑性合成樹脂組成物部品とからなる。
[0016] 本発明 7の金属榭脂複合体は、本発明 2又は 5の金属榭脂複合体において、 前記脂肪族ポリアミド榭脂がナイロン 6又はナイロン 66であって、前記芳香族ポリア ミド榭脂がフタル酸類と脂肪族ジァミンカゝら合成した芳香族ナイロンであることを特徴 とする。
[0017] 本発明 8の金属榭脂複合体は、本発明 3又は 6の金属榭脂複合体において、 前記異種の芳香族ポリアミドの群力 フタル酸とへキサメチレンジァミン力 のポリア ミド、イソフタル酸とへキサメチレンジァミンからのポリアミド、及びテレフタル酸とへキ サメチレンジァミンからのポリアミドの群、であることを特徴とする。
[0018] 本発明 9の金属榭脂複合体は、本発明 1〜8の金属榭脂複合体において、
前記熱可塑性合成樹脂組成物が、榭脂分組成 100質量部に対して充填材 1〜20 0質量部が含まれて 、ることを特徴とする。
[0019] 本発明 10の金属榭脂複合体は、本発明 9の金属榭脂複合体において、
前記充填材が、ガラス繊維、炭素繊維、ァラミド繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネ シゥム、シリカ、タルク、粘土、及びガラス粉力も選ばれる 1種以上の充填材であること を特徴とする。
[0020] 本発明 11の金属榭脂複合体の製造方法は、数平均内径 10〜80nmの凹部で覆 われたアルミニウム合金部品の表面とする為の、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性 ァミンから選択される 1種以上の水溶液への浸漬処理工程と、
該浸漬処理工程が為された前記アルミニウム合金部品を射出成形金型にインサー
トし、主成分がポリアミド榭脂で従成分が耐衝撃性改良材である榭脂分組成の熱可 塑性合成樹脂組成物を射出して榭脂組成物部品として成形すると共にこれを前記ァ ルミ-ゥム合金部品の前記表面に接合する工程とからなることを特徴とする。
[0021] 本発明 12の金属榭脂複合体の製造方法は、数平均内径 10〜80nmの凹部で覆 われたアルミニウム合金部品の表面とする為の、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性 ァミンから選択される 1種以上の水溶液への浸漬処理工程と、
該浸漬処理工程が為された前記アルミニウム合金部品を射出成形金型にインサー トし、脂肪族ポリアミド榭脂と芳香族ポリアミド榭脂が単純混合された、又は、前記脂 肪族ポリアミド榭脂と前記芳香族ポリアミド榭脂が分子的に結合されたものが主な榭 脂分組成である熱可塑性合成樹脂組成物を射出して榭脂組成物部品として成形す ると共にこれを前記アルミニウム合金部品の前記表面に接合する工程とからなること を特徴とする。
[0022] 本発明 13の金属榭脂複合体の製造方法は、数平均内径 10〜80nmの凹部で覆 われたアルミニウム合金部品の表面とする為の、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性 ァミンから選択される 1種以上の水溶液への浸漬処理工程と、
該浸漬処理工程が為された前記アルミニウム合金部品を射出成形金型にインサー トし、フタル酸とへキサメチレンジァミンからのポリアミド、イソフタル酸とへキサメチレン ジァミンからのポリアミド、及びテレフタル酸とへキサメチレンジァミンからのポリアミド の群力 選ばれた 2種以上のポリアミドを主成分とする榭脂分組成である熱可塑性合 成榭脂組成物を射出して榭脂組成物部品として成形すると共にこれを前記アルミ二 ゥム合金部品の前記表面に接合する工程とからなることを特徴とする。
[0023] 本発明 14の金属榭脂複合体の製造方法は、開口部の数平均内径が 10〜80nm である孔で覆われたアルミニウム合金部品表面とする陽極酸ィ匕工程と、
該陽極酸化工程が為された前記アルミニウム合金部品を射出成形金型にインサー トし、主成分がポリアミド榭脂で従成分が耐衝撃性改良材である榭脂分組成の熱可 塑性合成樹脂組成物を射出して榭脂組成物部品として成形すると共にこれを前記ァ ルミ-ゥム合金部品の前記表面に接合する工程とからなることを特徴とする。
[0024] 本発明 15の金属榭脂複合体の製造方法は、開口部の数平均内径が 10〜80nm
である穴で覆われたアルミニウム合金部品の表面とする陽極酸ィ匕工程と、 前記陽極酸化工程が為された前記アルミニウム合金部品を射出成形金型にインサ ートし、脂肪族ポリアミド榭脂と芳香族ポリアミド榭脂が単純混合された、又は、脂肪 族ポリアミド榭脂と芳香族ポリアミド榭脂が分子的に結合されたものが主な榭脂分組 成である熱可塑性合成樹脂組成物を射出して榭脂組成物部品として成形すると共 にこれを前記アルミニウム合金部品の前記表面に接合する工程とからなることを特徴 とする。
[0025] 本発明 16の金属榭脂複合体の製造方法は、開口部の数平均内径が 10〜80nm である穴で覆われたアルミニウム合金部品表面とする陽極酸ィ匕工程と、
該陽極酸化工程が為された前記アルミニウム合金部品を射出成形金型にインサー トし、フタル酸とへキサメチレンジァミンからのポリアミド、イソフタル酸とへキサメチレン ジァミンからのポリアミド、及びテレフタル酸とへキサメチレンジァミンからのポリアミド の群力 選ばれた 2種以上のポリアミドを主成分とする榭脂分組成である熱可塑性合 成榭脂組成物を射出して榭脂組成物部品として成形すると共にこれを前記アルミ二 ゥム合金部品の前記表面に接合する工程とからなることを特徴とする金属榭脂複合 体の製造方法。
[0026] 以下、前述した各発明を構成する各要素について詳細に説明する。
〔アルミニウム合金部品〕
本発明で使用するアルミニウム合金部品の素材はアルミニウム合金である。アルミ -ゥム合金部品は、アルミニウム合金の素材力も機械カ卩ェにより作られる。アルミ-ゥ ム合金は、展伸用合金、铸物用合金に大別される。一方、加工硬化のみにより硬さ、 引張強さを高める非熱処理形合金と、熱処理により機械的性質を改善する熱処理合 金にも大別できる。非熱処理形合金に属するアルミニウム合金は、 Al— Mg系合金、 Al— Mn系合金、 Al— Mg— Mn系合金等があげられる。熱処理形合金に属するァ ルミ-ゥム合金は、 A1— Cu— Mg系合金、 A1— Zn— Mg系合金、 A1— Mg— Si系合 金、及び耐熱アルミニウム合金等がある。铸物用合金は、さらに金型 ·砂型'シェル铸 物用とダイ铸物用等に分けられる。
[0027] このように、本発明に用いるアルミニウム合金は、多種類のものが知られ、 JIS (日本
工業規格)の A1000〜A7000番系として規格ィ匕されている。本発明で使用するァ ルミ-ゥム合金部品は、原則としてこれらの公知のアルミニウム合金を使用する。本発 明で使用するアルミニウム合金部品として加工前の素材形状としては、板状物、棒状 、 ノイブ状の押し出し品等の中間アルミ材料、又、铸造品等を用いる。これらの素材 力もアルミニウム合金部品を得るには、切断、切肖 ij、曲げ、絞り等の加工、即ち、鋸カロ ェ、フライス力卩ェ、放電加工、ドリル力卩ェ、プレス力卩ェ、研削加工、研磨加工等の機 械加工により、所望の形状、構造に加工する。これらの機械カ卩ェにより、部品の一部 を構成する金属形状物に加工し、この金属形状物が射出成形でのインサート品とな り、部品として必要な形状、構造の部分を構成する。
[0028] 必要な形状、構造に加工されたアルミニウム合金部品は、接着すべき面が厚!、酸 化膜、水酸ィ匕膜等が形成されていないことが必要であり、長期間の自然放置で表面 に鲭の存在が明らかなものは研磨、ブラスト加工等で表面を除肉加工することが必要 である。鲭以外の汚れ、即ち、金属加工工程で付着した表面の油層、持ち運びで付 着した指脂等は以下に述べる脱脂工程で除くようにする。
[0029] 〔前処理工程〕
アルミニウム合金部品の表面には、加工油、指脂、切粉等が付着しており、また、サ ンドブラスト加工等による加工後でも微細な油滴や汚れが付いているため、脱脂、洗 浄されるべきである。通常は、加工されたアルミニウム合金部品を公知の脱脂処理の ための溶剤脱脂処理機に投入して処理する。又は油剤の付着が軽度の場合は、常 法である市販されて!、るアルミ合金用脱脂剤を溶解した水溶液に、数分浸漬して水 洗する脱脂処理を最初に行う。更に、表面をィ匕学的に削り取って清浄なアルミニウム 面を出すために、 40°C程度で数%濃度の薄い苛性ソーダ水溶液槽を準備して、こ の苛性ソーダ水溶液槽にアルミニウム合金部品を浸漬する。
[0030] 又、別の槽に数%濃度の塩酸水溶液、硝酸水溶液、 1水素 2弗化アンモニゥム水 溶液等の酸性水溶液を、 40°C程度として用意する。アルミ合金の種類によって使用 する酸液が異なる力 これらの数種の溶液を用意しておけば異なるアルミニウム合金 でも対応できる。苛性ソーダ水溶液に浸漬して水洗したアルミニウム合金形状物は、 これら酸液に浸漬し、更に水洗して前処理工程を終える。
[0031] 〔水溶性のアミン系化合物の水溶液への浸漬処理〕
前述した前処理工程が終了したアルミニウム合金部品は、水溶性のアミン系化合 物の水溶液へ浸漬処理をする。この浸漬処理は、アンモニア、ヒドラジン、水溶性アミ ン化合物力 選択される 1以上の水溶液に浸漬して、アルミニウム合金部品の表面を 超微細な凹凸を形成するためにエッチングをするものである。水溶性アミンィ匕合物と しては、メチルァミン、ジメチルァミン、トリメチルァミン、ェチルァミン、ジェチルァミン 、トリエチルァミン、エチレンジァミン、エタノールァミン、ァリルァミン、エタノールアミ ン、ジエタノールァミン、トリエタノールァミン、ァ-リン等がある。
[0032] これらの水溶液は PH9〜: LOの弱塩基性に調整するのが好ましぐ適当時間浸漬し たアルミ合金は表面が超微細な凹凸にエッチングされ、電子顕微鏡で観察すれば 1 0〜: LOOnm直径の凹凸部で覆われた状況になる。水溶性ァミン、又はヒドラジンの水 溶液を使用する場合は、濃度 1%〜30%の水溶液として、常温〜 70°Cで 0. 5分〜 十数分が使用できる。アンモニア水を使用する場合は、濃度 20%程度で常温下で は十数〜数十分の浸漬時間で使用できる。浸漬後は水洗して温風乾燥する。アルミ -ゥム合金は、前述した浸漬処理で表面が電子顕微鏡観察にて 10万倍の測定で平 均内径 10〜80nmの微細凹部で覆われるようなものにする力 凹部内径の大きさに ついて詳細を述べる。なう、本発明でいう数平均内径とは、例えば 200nm矩形の単 位正方形をその電子顕微鏡写真上で区画し、その中に観察される凹部状物の直径 を全てその写真上で測定し、その総計を測定した凹部の数で除したものである。
[0033] 凹部内径が 10nm未満の場合であるが、本発明者等が行った水溶性アミン系化合 物の水溶液による多数のエッチング実験にも拘わらず、このような超微細な凹部で表 面が覆われたものは見出せな力つた。後述する陽極酸ィ匕でも本発明者等が行った実 験では、全て lOnm径以上の孔開口部内径となった。又、日本国内で販売されてい る最高レベルの解像度を備えた機種の電子顕微鏡 (SEMタイプ)を使用したその表 面の観察でも、 5nm以下解像は周辺の振動によりて明確な観察が難しくなる領域で もある。要するに、凹部内径や陽極酸ィ匕による孔の開口部内径が lOnm未満であつ ても、本発明が適用できると推定しているが、現段階では明確に確認できていない。 それ故、本発明者等は、電子顕微鏡で明確に観察できた lOnm以上の凹部につい
て説明し、本発明の範囲とすることとしたものである。
[0034] 又、水溶性アミン系化合物の水溶液へのアルミニウム合金部品の浸漬で、凹部の 数平均内径で 80nmを越えた凹部を形成した場合、製造された本発明の金属榭脂 複合体の固着力は結果的に大きく劣るものとなるが、その理由を説明する。即ち、こ れら侵食性水溶液にアルミニウム合金部品を浸漬して表面を侵食した場合、本発明 者等の電子顕微鏡での観察から以下が分力つた。
[0035] 最も現象が明快なアルミニウム合金の A5052 (JIS規格)の例で述べると、水溶性ァ ミン水溶液を PH10程度の弱塩基性に調整し、温度を 50°C前後にして浸漬した場合 、直ちに 20〜40nm内径の凹部が発生し、 1分程度でその凹部の深さが内径と同等 レベルになる。そして、更に浸漬を続けると凹部の深さが腐食され深くなる、この腐食 により凹部を形成する外周である縁部分も腐食されてしまい、平均して凹部の内径が 更に大きくなる。
[0036] A5052片を 20分ほど浸漬した後、これを水洗して乾燥し、この表面を電子顕微鏡 観察すれば、表面力も見える凹部の内径は約 lOOnmと大きくなつた。し力 更に詳 細に凹部の中を観察すれば、ミミズが穴を掘った様に複雑な細かい凹部や溝状形状 が錯綜しているのが判明した。本発明者らが行った、本発明で使用するポリアミド系 榭脂との射出接合実験の結果によれば、凹部平均内径が 80nmを境に接合力(本 発明では、「固着力」ともいう。)が急減した。
[0037] 即ち、弱塩基性水溶液への A5052アルミ合金片の浸漬による化学エッチングでは 、ほぼ平均内径 80nmを境にして急速に射出接合での接合力が低下したのである。 凹部径が大きくなるに従って急速に接合力が低下する理由として、本発明者らは前 記した凹部内の複雑な形状が関係していると考えている。
[0038] 即ち本発明で用いるポリアミド榭脂は、射出成形される成形条件下で金属側に形 成されている超微細な凹部に侵入し、侵入した後に溶融したポリアミド榭脂が結晶化 するものである。逆にいうと、侵入した溶融ポリアミド榭脂が結晶化するように、ポリアミ ド榭脂に添加する組成物、超微細な凹部の大きさ、射出成形条件等を調整し、設定 したものである。
[0039] もし凹部の径と深さが超微細で且つこれが無数に金属表面を覆って 、るのであれ
ば、凹部に入り込んで力も結晶化したポリアミド榭脂と金属部分は無数のアンカー効 果で支えられることになり、非常に強い接合力を生じると考えられる。さて 80nm以上 の大きな凹部を持つ表面の場合だが、榭脂の流れや結晶化や固化の動的な様子を 想像することで接合力の弱くなる理由が明らかになる。即ち、アルミニウム合金表面 に数十 nm径の微細凹部を作る目的で浸漬した場合でも、浸漬時間が長すぎて凹部 径が 80nmを超えるまで続けると、前記した様に凹部内に再び小さな凹部の穴、又は 貫通孔が種々の方向に多層的的形成される等、 3次元的に非常に複雑な形状にな る。
[0040] この様に深く侵食されたアルミニウム合金片をもし垂直に切断してその断面を見た としたら、表面から 100〜200nmの深さの部分があた力も虫食いされたかのような形 状を有した層、言わば互いに穴、又は貫通孔が連通したスポンジ状の層が形成され る。要するに、凹部径が 80nm径まで大きくなるようにエッチングを進めると、アルミ- ゥム合金片の表層はスポンジ層のようになり表層自体の機械的な強度が弱くなる。ま た、スポンジ層状にその表面が形成された場合、射出された榭脂は金属表面にある 複雑に入り込んだ穴、又は貫通孔で形成された空間の最奥まで入り込むことは不可 能である。
それは、最奥まで入り込む前に冷えて結晶化や固化が始まってしまうからである。 射出した榭脂はスポンジの表面部分に食 、込むことはできるが奥まで行けな 、。従つ て、アルミ- -ゥム合金と榭脂を一体ィ匕後にせん断力、又はアルミ- -ゥム合金から 榭脂を剥がす方向の荷重を力 4ナて破壊すると、機械的応力に弱い榭脂部分が破断 せずに、先に樹脂が充填されていないアルミ- -ゥム合金の表面のスポンジ層が破 断する。このため、高い接合力を示すことができない。
[0041] 〔アルミニウム合金 Z陽極酸化処理〕
形状化したアルミニウム合金部品を、陽極酸化法で表面処理する場合にっ ヽて述 ベる。市販のアルミニウム用脱脂剤を使用して脱脂し水洗して機械加工油や油脂を 除いた後、アルカリエッチング、化学研磨等の前処理で表面を清浄にした後、酸性 水溶液中の電解により表面に無数の微細孔を有した酸ィ匕アルミニウム層を形成する 方法である。標準的なアルカリエッチング法は、 10〜20%濃度の苛性ソーダ水溶液
を 50〜90°Cとし、これに十秒〜数十秒浸漬して合金表面を溶かす方法である。水洗 し、続いて化学研磨するのが普通である。化学研磨は、硝酸、リン酸、硫酸等の酸の 高濃度水溶液を 80〜100°Cとし、ここへ数秒〜十数秒浸漬する方法である。
[0042] アルミニウム合金表面はこの両工程で数 μ m以上削られる。続、て陽極酸ィ匕である 力 よく知られているのは、アルミニウム合金を陽極として 10〜20°Cとした約 10%濃 度の硫酸水溶液中で通電してアルミニウムを酸ィ匕し、表面を丈夫で硬 ヽ酸化アルミ -ゥム層で覆う方法である。通電性のない酸ィ匕アルミニウムで表面が覆われると、電 気は通らなくなり酸ィ匕はそれで終了するはずだが、実際は通電し続けて酸ィ匕アルミ二 ゥム層の厚さは二十数 πιにも達する。これは、十数〜数十 nm径の無数の孔がこの 酸ィ匕アルミニウム層の表面に開口しており、この孔を通じて通電し続けるからである。 それは、この無数の孔があるアルミニウムやアルミニウム合金の陽極酸ィ匕物を染料を 溶力した水溶液に浸漬すると、孔に染料が入り込んで染色されることからも伺える。
[0043] これを更に処理して封孔し、染料が逃げ出さな 、ようにしたのが染色アルマイトであ る。凹部ゃ孔が開いた部分自体は金属ではないが、金属以上に丈夫で硬い金属酸 化物であれば、原理力も言って本発明は当然有効である。即ち、本発明では、染色 や封孔は行わない。又、陽極酸化を終了し、水洗したものを乾燥する場合も、低温で 行う。乾燥時の温度を上げ過ぎると、開口部の酸化アルミニウムが水と反応し水酸ィ匕 物になって開口部を変形させ孔を封じるおそれがある。乾燥温度は 60〜70°Cが好 ましい。
[0044] 〔熱可塑性合成樹脂組成物,榭脂分の組成,その一〕
以下、使用する熱可塑性合成樹脂組成物について述べる。本発明で用いられるポ リアミド榭脂とは、アミノ酸、ラタタム、又はジァミンとジカルボン酸を主たる構成成分と するポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、 6 アミノカプロン酸、 11 アミノウンデカン酸、 12—アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸 、 ε—力プロラタタム、 ω—ラウ口ラタタム等のラタタム、テトラメチレンジァミン、へキサ メチレンジァミン、 1, 5 ペンタンジァミン、 2—メチルペンタメチレンジァミン、ノナメ チレンジァミン、ゥンデカメチレンジァミン、ドデカメチレンジァミン、 2, 2, 4-/2, 4 , 4—トリメチルへキサメチレンジァミン、 5—メチルノナメチレンジァミン、メタキシリレン
ジァミン、パラキシリレンジァミン、 1, 3 ビス(アミノメチル)シクロへキサン、 1, 4 ビ ス(アミノメチル)シクロへキサン、 1—ァミノ一 3 アミノメチル一 3, 5, 5 トリメチルシ クロへキサン、ビス(4—アミノシクロへキシル)メタン、ビス(3—メチル 4—アミノシク 口へキシル)メタン、 2, 2 ビス(4 アミノシクロへキシル)プロパン、ビス(ァミノプロピ ル)ピぺラジン、アミノエチルピペラジン等の脂肪族、脂環族、芳香族のジァミン、及 びアジピン酸、スベリン酸、ァゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、 イソフタル酸、 2 クロロテレフタル酸、 2—メチルテレフタル酸、 5—メチルイソフタル 酸、 5 ナトリウムスルホイソフタル酸、 2, 6 ナフタレンジカルボン酸、へキサヒドロテ レフタル酸、へキサヒドロイソフタル酸等の脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が 挙げられ、本発明においては、これらの原料力も誘導されるナイロンホモポリマー又 はコポリマーを各々単独又は混合物の形で用いることができる。
本発明にお 、て、特に有用なポリアミド榭脂は、 150°C以上の融点を有する耐熱性 や強度に優れたポリアミド榭脂であり、具体的な例としてはポリ力プロアミド (ナイロン 6
56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン 46)、ポリへキサメチレンセバカミド(ナイ口 ン 610)、ポリへキサメチレンドデカミド(ナイロン 612)、ポリゥンデカンアミド(ナイロン 11)、ポリドデカンアミド (ナイロン 12)、ポリ力プロアミド Zポリへキサメチレンアジパミ ドコポリマー(ナイロン 6Z66)、ポリ力プロアミド Zポリへキサメチレンテレフタルアミド コポリマー(ナイロン 6/6T)、ポリへキサメチレンアジノ ミド/ポリへキサメチレンイソ フタルアミドコポリマー(ナイロン 66Z6I)、ポリへキサメチレンテレフタルアミド Zポリ へキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン 6TZ6I)、ポリへキサメチレンテレ フタルアミド Zポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン 6TZ12)、ポリへキサメチレンァ ジノミド/ポリへキサメチレンテレフタルアミド/ポリへキサメチレンイソフタルアミドコ ポリマー(ナイロン 66Z6TZ6I)、ポリへキサメチレンアジノ ミド Zポリへキサメチレン イソフタルアミド Zポリ力プロアミドコポリマー(ナイロン 66Z6IZ6)、ポリメタキシリレン アジノ ミド(ナイロン MXD6)、ポリへキサメチレンテレフタルアミド/ポリ一 2—メチル ペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン 6T/M5T)、ポリノナメチレンテレ フタルアミド (ナイロン 9T)及びこれらの混合物等が挙げられる。
[0046] ポリアミド榭脂として脂肪族ナイロン、芳香族ナイロンの双方が使用できる。脂肪族 ナイロンとしてナイロン 66、及びナイロン 6が好ましい。芳香族ナイロンとして、フタル 酸類とへキサメチレンジァミン力も合成したものが好ましい。更にこれらのポリアミド榭 脂を成形加工性、相溶性等の必要特性に応じて共重合 Z混合物として用いることも 実用上好適である。射出接合に使用する熱可塑性合成樹脂組成物として 3種類に 分類した。その一つは、ポリアミド榭脂を主成分、耐衝撃性改良材を従成分とするコ ンパウンドとすることである。榭脂分合計を 100質量部としてポリアミド榭脂を 70〜95 質量部、耐衝撃性改良材を 5〜20質量部含むのが好ましい。耐衝撃性改良材を用 いることにより、金属榭脂複合体に必要な接合強度を得ることができる。耐衝撃性改 良材とはポリアミド榭脂とァロイ化した際に耐衝撃性を改良する成分を言 、、例えば ォレフィン系化合物及び Z又は共役ジェン系化合物を重合して得られる(共)重合体 等が挙げられる。
[0047] 上記 (共)重合体としては、エチレン系共重合体、共役ジェン系重合体、共役ジェ ンー芳香族ビニル炭化水素系共重合体等が挙げられる。ここで、エチレン系共重合 体とは、エチレンと他の単量体との共重合体、及び多元共重合体をさし、エチレンと 共重合する他の単量体としては炭素数 3以上の oc一才レフイン、非共役ジェン、酢酸 ビュル、ビュルアルコール、 a , j8—不飽和カルボン酸及びその誘導体等の中から 選択することができる。
[0048] 炭素数 3以上の α ォレフィンとしては、プロピレン、ブテン一 1、ペンテン一 1、 3— メチルペンテン 1、オタテン 1等が挙げられ、プロピレン、ブテン一 1が好ましく使 用できる。非共役系ジェンとしては 5—メチリデンー2 ノルボルネン、 5 ェチリデン —2 ノルボルネン、 5 ビュル一ノルボルネン、 5 プロべ-ルー 2 ノルボルネン、 5—イソプロべ-ルー 2 ノルボルネン、 5 クロチル— 2 ノルボルネン、 5— (2—メ チル 2 ブテュル) 2 ノルボルネン、 5— ( 2 メチル 2 ブテュル) 2 ノ ルボルネン、 5—メチルー 5—ビュルノルボルネン等のノルボルネン化合物、ジシクロ ペンタジェン、メチルテトラヒドロインデン、 4, 7, 8, 9ーテトラヒドロインデン、 1 , 5— シクロォクタジェン、 1 , 4一へキサジェン、イソプレン、 6—メチルー 1 , 5 ヘプタジェ ン、 11—トリデカジエン等が挙げられ、好ましくは 5—メチリデン一 2 ノルボルネン、
5 ェチリデン 2 ノルボルネン、ジシクロペンタジェン、 1, 4一へキサジェン等で ある。 , β 不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、ェタクリル酸、クロ トン酸、マレイン酸、フマル酸、ィタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸等が挙 げられ、その誘導体としては、アルキルエステル、ァリールエステル、グリシジルエス テル、酸無水物、イミドを例として挙げることができる。
[0049] また、共役ジェン系重合体とは少なくとも 1種以上の共役ジェンを構成成分とする 重合体であり、例えば 1, 3 ブタジエンの如き単独重合体、 1, 3 ブタジエン、イソ プレン(2—メチル 1, 3 ブタジエン)、 2, 3 ジメチルー 1, 3 ブタジエン、 1, 3 ペンタジェン力 選ばれる 1種以上の単量体の共重合体等が挙げられる。これらの 重合体の不飽和結合の一部又は全部が水添により還元されているものも好ましく使 用できる。
[0050] 共役ジェン一芳香族ビニル炭化水素系共重合体とは共役ジェンと芳香族ビニル炭 化水素からなるブロック共重合体又はランダム共重合体であり、これを構成する共役 ジェンの例としては前記の単量体が挙げられ、特に 1, ブタジエン、イソプレンが 好ましい。芳香族ビュル炭化水素の例としては、スチレン、 aーメチルスチレン、 o— メチルスチレン、 p—メチノレスチレン、 1, 3 ジメチルスチレン、ビニノレナフタレン等が 挙げられ、中でもスチレンが好ましく使用できる。また、共役ジェン—芳香族ビュル炭 化水素系共重合体の芳香環以外の二重結合以外の不飽和結合の一部又は全部が 水添により還元されて 、るものも好ましく使用できる。
[0051] 更に、榭脂組成物中の上記耐衝撃性改良材の分散粒子径を微細に制御するため に、更に種々の不飽和カルボン酸及び Z又はその誘導体やビニル単量体をグラフト 反応あるいは共重合して得られる(共)重合体も好ましく使用できる。耐衝撃性改良 材に対してグラフト反応或いは共重合されて 、る不飽和カルボン酸、及び Z又はそ の誘導体、ビニル単量体の量は 0. 01-20. 00質量%が好ましい。グラフト反応或 いは共重合に用いる不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、ェタクリル 酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ィタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸 等が挙げられる。
[0052] また、それらの誘導体としては、アルキルエステル、グリシジルエステル、ジ一又はト
リーアルコキシシリル基を有するエステル、酸無水物又はイミド等が挙げられ、中でも 、グリシジルエステル、ジ—又はトリーアルコキシシリル基を有する不飽和カルボン酸 エステル、酸無水物、イミドが好ましい。
[0053] 不飽和カルボン酸又はその誘導体の好ましい例としては、マレイン酸、フマル酸、 アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ィタコン酸ジグリシジルエステル、シトラ コン酸ジグリシジルエステル、ブテンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテンジカ ルボン酸モノグリシジルエステル、無水マレイン酸、無水ィタコン酸、無水シトラコン酸 、マレイン酸イミド、ィタコン酸イミド、シトラコン酸イミド等であり、特にメタクリル酸ダリ シジル、無水マレイン酸、無水ィタコン酸、マレイン酸イミドが好ましく使用できる。
[0054] また、ビニル単量体例としてはスチレン等の芳香族ビ-ルイ匕合物、アクリロニトリル 等のシアン化ビュル化合物、ビュルトリメトキシシラン等のビュルシラン化合物を例示 することができ、これらの不飽和カルボン酸、又はその誘導体或いはビュル単量体は 2種以上を併用してもよい。なお、これら不飽和カルボン酸、又はその誘導体或いは ビュル単量体をグラフトさせる方法については公知の手法を用いることができる。
[0055] また、ポリアミド系エラストマ一やポリエステル系エラストマ一を用いることができる。
これらの耐衝撃性改良材は 2種以上併用することも可能である。このような耐衝撃性 改良材の具体例としては、エチレン Zプロピレン共重合体、エチレン Zブテン 1共 重合体、エチレン Zプロピレン Zジシクロペンタジェン共重合体、エチレン Zプロピレ ン Z5 ェチリデン 2 ノルボルネン共重合体、未水添又は水添スチレン Zイソプ レン zスチレントリブロック共重合体、未水添又は水添スチレン Zブタジエン Zスチレ ントリブロック共重合体、エチレン zメタクリル酸共重合体、及びこれら共重合体中の カルボン酸部分の一部、又は全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウム との塩としたもの、エチレン Zアクリル酸メチル共重合体、エチレン Zメタクリル酸メチ ル共重合体、エチレン zメタクリル酸ェチル共重合体、エチレン zアクリル酸ェチル g 無水マレイン酸共重合体(「g」はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン Zメタタリ ル酸メチルー g 無水マレイン酸共重合体、エチレン Zアクリル酸ェチルー g マレ イミド共重合体、エチレン Zアクリル酸ェチル g— N フエ-ルマレイミド共重合体、 及びこれら共重合体の部分ケン化物、エチレン Zグリシジルメタタリレート共重合体、
エチレン zビュルアセテート zグリシジルメタタリレート共重合体、エチレン zメタタリ ル酸メチル Zグリシジルメタタリレート共重合体、エチレン Zグリシジルアタリレート共 重合体、エチレン zビュルアセテート zグリシジルアタリレート共重合体、エチレン z グリシジルエーテル共重合体、エチレン Zプロピレン g 無水マレイン酸共重合体 、エチレン Zブテン 1 g 無水マレイン酸共重合体、エチレン Zプロピレン Zi, 4 へキサジェン g 無水マレイン酸共重合体、エチレン Zプロピレン Zジシクロ ペンタジェン g—無水マレイン酸共重合体、エチレン Zプロピレン Z2, 5—ノルボ ノレナジェン 無水マレイン酸共重合体、エチレン Zプロピレン一 g N フエ- ルマレイミド共重合体、エチレン Zブテン 1 g— N フエ-ルマレイミド共重合体、 水添スチレン Zブタジエン Zスチレン g 無水マレイン酸共重合体、水添スチレン Zイソプレン Zスチレン g 無水マレイン酸共重合体、エチレン Zブテン 1 g— メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン Zプロピレン Zi, 4 キサジェンー g— メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン zプロピレン Zジシクロペンタジェンー g— メタクリル酸グリシジル共重合体、水添スチレン Zブタジエン Zスチレン g—メタタリ ル酸グリシジル共重合体、ナイロン 12Zポリテトラメチレングリコール共重合体、ナイ ロン 12Zポリトリメチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート Zポリテトラ メチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート Zポリトリメチルダリコール共 重合体等を挙げることができる。
[0056] この中で、エチレン Zメタクリル酸共重合体、及びこれら共重合体のカルボン酸部 分の一部又は全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの 、エチレン Zプロピレン—g—無水マレイン酸共重合体、エチレン Zブテン— 1 g— 無水マレイン酸共重合体、水添スチレン Zブタジエン Zスチレン g 無水マレイン 酸共重合体がさらに好ましぐエチレン Zメタクリル酸共重合体及びこれら共重合体 中のカルボン酸部分の一部、又は全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシ ゥムとの塩としたもの、エチレン Zプロピレン g 無水マレイン酸共重合体、ェチレ ン Zブテン i—g—無水マレイン酸共重合体が特に好ましい。
[0057] 耐衝撃性改良材に加え、多官能性イソシァネートイ匕合物やエポキシ榭脂の添加を することで射出接合力が上がることが多ぐこれらは双方の相溶を進めているものとみ
られる。即ち、榭脂分合計 100質量部に対し、更に多官能性イソシァネート化合物 0 . 1〜6. 0質量部、及び Z又はエポキシ榭脂 1〜25質量部を配合することは好まし い。
[0058] 多官能性イソシァネートイ匕合物は、市販の非ブロック型、ブロック型のものが使用で きる。該多官能性非ブロック型イソシァネートイ匕合物としては、例えば 4, 4'ージフエ ニルメタンジイソシァネート、 4, 4'ージフエニルプロパンジイソシァネート、トルエンジ イソシァネート、フエ-レンジイソシァネート、ビス(4 イソシァネートフエ-ル)スルホ ン等が例示される。
[0059] また、この多官能性ブロック型イソシァネートイ匕合物としては、分子内に 2個以上の イソシァネート基を有し、そのイソシァネート基を揮発性の活性水素化合物と反応さ せて、常温では不活性としたものであり、この多官能性ブロック型イソシァネートイ匕合 物の種類は特に規定したものではなぐ一般的には、アルコール類、フエノール類、 ε—力プロラタタム、ォキシム類、活性メチレンィ匕合物類等のブロック剤によりイソシァ ネート基がマスクされた構造を有する。この多官能性ブロック型イソシァネートとして は、例えば「タケネート(日本国東京都、三井ィ匕学ポリウレタン株式会社製)」等が挙 げられる。
[0060] 又、エポキシ榭脂としては、一般にビスフエノール Α型、クレゾ一ルノボラック型等と して知られて 、るエポキシ榭脂を用いることができ、該ビスフエノール A型エポキシ榭 脂としては、例えば「ェピコート(ジャパンエポキシレジン社製)」等が挙げられ、該クレ ゾールノボラック型エポキシ榭脂としては、「ェピクロン(日本国東京都、大日本インキ 化学工業社製) J等が挙げられる。
[0061] 〔熱可塑性合成樹脂組成物 Z榭脂分の組成 Zその二〕
ポリアミド榭脂として、脂肪族ポリアミド榭脂と芳香族ポリアミド榭脂を単純混合され たものを主な榭脂分組成とする場合は、榭脂分合計 100質量部として、脂肪族ポリア ミド榭脂が 10〜90質量部で、芳香族ポリアミド榭脂が 90〜10質量部であることが好 ましい。更に好ましくは、脂肪族ポリアミド榭脂が 70〜90質量部であり、芳香族ポリア ミド榭脂が 30〜10質量部である。双方とも結晶性は高いが、異物が混ざり合うことで 全体の結晶化速度が低下するものとみている。脂肪族ポリアミド榭脂として、ポリカブ
ロアミド(ナイロン 6)、ポリへキサメチレンアジパミド(ナイロン 66)、ポリペンタメチレン アジパミド(ナイロン 56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン 46)、ポリへキサメチレ ンセバカミド(ナイロン 610)、ポリへキサメチレンドデカミド(ナイロン 612)、ポリゥンデ カンアミド (ナイロン 11)、ポリドデカンアミド (ナイロン 12)、及びこれらの混合物等が 挙げられる。
[0062] 芳香族ポリアミド榭脂として、イソフタル酸とへキサメチレンジァミン力も合成した芳 香族ナイロン (ナイロン 61)、テレフタル酸類とへキサメチレンジァミン力も合成した芳 香族ナイロン (ナイロン 6T)、ポリメタキシリレンアジパミド (ナイロン MXD6)、ポリノナ メチレンテレフタルアミド(ナイロン 9T)及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの 脂肪族ポリアミド榭脂と芳香族ポリアミド榭脂は上記の割合で混合し、溶融混練して 用いることもできるし、それぞれの榭脂からなるペレットをドライブレンドして用いても 良い。
[0063] 脂肪族ポリアミド榭脂と芳香族ポリアミド榭脂が分子的に結合されたものを主な榭脂 分組成とする場合は、脂肪族ポリアミド榭脂成分と芳香族ポリアミド榭脂成分のブロッ クポリマー、一般的に共重合ナイロン (コポリマー)と言われているものを使用する。共 重合される脂肪族ポリアミド榭脂成分としては、上記の脂肪族ポリアミド榭脂からなる 成分を使用することができ、好ましくは、ナイロン 6、ナイロン 66、ナイロン 46、ナイ口 ン 610、ナイロン 612、ナイロン 12であり、更に好ましくはナイロン 6、ナイロン 66であ る。共重合される芳香族ポリアミド榭脂成分としては、上記の芳香族ポリアミド榭脂か らなる成分をしょうすることがでさる。
[0064] 好ましい共重合ナイロンとしては、ポリ力プロアミド Zポリへキサメチレンイソフタルァ ミドコポリマー(ナイロン 6Z6I)、ポリ力プロアミド Zポリへキサメチレンテレフタルアミド コポリマー(ナイロン 6/6T)、ポリへキサメチレンアジノ ミド/ポリへキサメチレンイソ フタルアミドコポリマー(ナイロン 66Z6I)、ポリへキサメチレンアジノ ミド Zポリへキサ メチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン 66/6T)、ポリへキサメチレンテレフタル アミド Zポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン 6TZ12)、ポリへキサメチレンアジパミ ド/ポリへキサメチレンテレフタルアミド/ポリへキサメチレンイソフタルアミドコポリマ 一(ナイロン 66Z6TZ6I)、ポリへキサメチレンアジノ ミド Zポリへキサメチレンイソフ
タルアミド Zポリ力プロアミドコポリマー(ナイロン 66Z6IZ6)が挙げられる。
[0065] 好ましい共重合ナイロンは 61ナイロン成分が入ったものであり、特に好ましい共重 合ナイロンは、へキサメチレンアジパミド成分 (ナイロン 66成分)、へキサメチレンイソ フタラミド成分 (ナイロン 61成分)、および力プロアミド成分 (ナイロン 6成分)からなる 3 元共重合体 (ナイロン 66Z6IZ6榭脂)であり、へキサメチレンジァミンとアジピン酸の 当モル塩、へキサメチレンジァミンとイソフタル酸の当モル塩、および ε力プロラタタム を重合缶内で加熱、重合することで得られる。その共重合比率は、配合原料の比率 である。好ましい各繰返し構造単位の共重合割合は、ナイロン 66成分が 65〜90質 量。 /0、ナイロン 61成分が 5〜30質量%、ナイロン 6成分が 1〜14質量%さらに好まし くは 2〜 12質量%であり、ナイロン 61成分 Ζナイロン 6成分の共重合比 1. 0以上を同 時に満たすことが好ま 、。これらの共重合比は共重合体を製造する際の原料の割 合を調整することにより、達成される。
[0066] また、へキサメチレンアジパミド成分 (ナイロン 66成分)、へキサメチレンテレフタラミ ド成分 (ナイロン 6Τ成分)、およびへキサメチレンイソフタラミド成分 (ナイロン 61成分) 力もなる 3元共重合体 (ナイロン 66Ζ6ΤΖ6Ι榭脂)も好ましく使用することができ、へ キサメチレンジァミンとアジピン酸の当モル塩、へキサメチレンジァミンとテレフタル酸 の当モル塩、およびへキサメチレンジァミンとイソフタル酸の当モル塩を重合缶内で 加熱、重合することで得られる。その共重合比率は、配合原料の比率である。好まし い各繰返し構造単位の共重合割合は、ナイロン 66成分が 5〜15質量%、ナイロン 6 Τ成分が 55〜65質量0 /0、ナイロン 61成分が 20〜30質量%である。
[0067] また、力プロアミド成分 (ナイロン 6成分)、へキサメチレンテレフタラミド成分 (ナイ口 ン 6Τ成分)、およびへキサメチレンイソフタラミド成分 (ナイロン 61成分)からなる 3元 共重合体けィロン 6Ζ6ΤΖ6Ι榭脂)も好ましく使用することができ、 ε—力プロラクタ ムと安息香酸の当モル塩、へキサメチレンジァミンとテレフタル酸の当モル塩、および へキサメチレンジァミンとイソフタル酸の当モル塩を重合缶内で加熱、重合することで 得られる。その共重合比率は、配合原料の比率である。好ましい各繰返し構造単位 の共重合割合は、ナイロン 6成分が 5〜15質量%、ナイロン 6Τ成分が 55〜65質量 。 ナイロン 61成分が 20〜30質量0 /0である。
[0068] このような共重合比率の共重合ナイロンを使用することで、機械特性や耐熱特性を 損なわずに A1との接着性に適した固化特性を得ることができる。ナイロン 6は、 1〜: LO 質量部が好ましぐ更に好ま 、範囲は 3〜8質量部であり吸湿時の機械特性低下を 抑制できる。さらに、ナイロン 61とナイロン 6との共重合比率を 1. 0以上とすることで、 吸湿時の機械特性低下を抑制することができる。また、本発明で使用する共重合ナ イロンは ISO 307に従って測定した粘度数の値が 70〜130mlZgのものが好ましく 、更に好ましくは 75〜110mlZgである。この範囲の共重合ナイロンを使用すること で、機械特性を損なうことなぐアルミニウムとの良好な接着性を有した本発明に適し た熱可塑性合成樹脂組成物を得る事ができる。
[0069] 〔熱可塑性合成樹脂組成物 Z榭脂分の組成 Zその三〕
さらに本発明では、異種の芳香族ポリアミド榭脂の群力 選ばれた 2種以上の芳香 族ポリアミドを主成分とする榭脂分組成の熱可塑性合成樹脂組成物を使用すること ができる。この場合、 2種以上の芳香族ポリアミドは単純混合されたものであっても、 分子的に結合されたものであっても良い。単純混合されたものを使用する場合は、前 記の芳香族ポリアミド榭脂から 2種以上を主成分とすることができ、好ましくは、フタル 酸とへキサメチレンジァミン力 のポリアミド榭脂、イソフタル酸とへキサメチレンジアミ ンからのポリアミド榭脂(ナイロン 61)、テレフタル酸とへキサメチレンジァミンからのポ リアミド榭脂けィロン 6T)力もなる群力 選ばれる 2種以上を使用することができ、さ らに好ましくは、ナイロン 6Tと、ナイロン 61との組合せである。
[0070] この場合、榭脂分を合計 100質量部として、ナイロン 6Tが 10〜90質量部、ナイ口 ン 61が 10〜90質量部とすることが好ましい。更に好ましくは、ナイロン 6Tが 50〜80 質量部、ナイロン 61が 20〜50質量部である。このような範囲とすることで、優れた耐 熱特性を有し、アルミニウムとの接着性に適した熱可塑性合成樹脂組成物とすること 力 Sできる。 2種以上の芳香族ポリアミドが分子的に結合されたものを使用する場合も、 単純混合の場合と同様な比率の共重合ナイロンを使用することが好ましい。
[0071] [熱可塑性合成樹脂組成物 Z充填材]
また、本発明の複合体は、アルミニウム合金部品と榭脂組成物部品の線膨張率差 の調整、及び榭脂組成物部品の機械的強度を向上することを目的として、榭脂分合
計 100質量部に対し、更に充填剤 1〜200質量部、より好ましくは 10〜150質量部を 含んでなる榭脂組成物部品であることが好ましい。
[0072] この充填剤としては繊維状充填剤、粒状充填剤、板状充填剤等の充填剤を挙げる ことができ、該繊維状充填剤としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、ァラミド繊維等 が挙げられ、ガラス繊維の具体的な例示としては、平均繊維径が 6〜 14 mのチヨッ プドストランド等が挙げられる。また、該板状、粒状充填剤としては、例えば炭酸カル シゥム、マイ力、ガラスフレーク、ガラスバルーン、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、 粘土、炭素繊維ゃァラミド繊維の粉砕物等が挙げられる。
[0073] フィラーを含まない場合でも強固に接着し、金属に接着した榭脂成形物を取り去る には非常に強い力が必要である。し力しながら、成形された複合体を温度サイクル試 験にかけると、フィラーを含まない榭脂の系ではサイクルを重ねることで急速に接着 強度が低下する。これには二つの原因があり、一つは、線膨張率で金属形状物と熱 可塑性合成樹脂組成物に大差があることによる。例えば、アルミニウム合金の線膨張 率は金属の中では大きい方だが、それでも熱可塑性合成樹脂よりかなり小さい。フィ ラーの存在は熱可塑性合成樹脂組成物の線膨張率を下げ、アルミニウム合金の線 膨張率、約 2. 5 X 10— 5°C_1に近づける。
[0074] フィラーの種類とその含有率を選べば榭脂の線膨張率はアルミニウム合金等に近 い値にでき、例えば、ガラス繊維 40〜50%をナイロン 66に含ませると線膨張率は 2 〜3 X 10_5°C_1に下がる。もう一つは、インサート成形後の金属形状物の冷却縮みと 熱可塑性合成樹脂組成物の成形収縮の関係である。フィラーを含まな 、ナイロン 66 の成形収縮率は 0.6〜2. 5%である。一方、アルミ合金の冷却縮み、例えば射出時 力も室温まで 100°C程度冷えるとして、約 0.2%は榭脂の成形収縮率よりずっと小さく 差がある。射出成形金型から離型して時間が経ち樹脂の収縮が進むと、界面に内部 歪が生じ僅かな衝撃で界面破壊が起こって剥がれてしまう。ナイロン 66にガラス繊維 40〜50%を混ぜると、成形収縮率は 0. 4〜0. 6%程度に下がる。これでもアルミ合 金の縮みよりかなり大きぐ接合した場合でも接合面に大きな内部歪が残ってしまう。
[0075] 従って、これほどの大量のフィラー含有も成形収縮率に関しては十分な満足度を与 えない。そこで、接合面に大きな内部歪が残り難い形でアルミ合金とポリアミド組成物
を射出接合することが設計としてまず必要である。しかしながら、設計結果が製品とし て使用に値するものであつたか否かを具体的に確認する方法が必要である。その方 法は意外と簡単である。即ち、射出接合を実施して数日間放置した後に破壊して一 応満足できる強度を示した場合、接合強度は内部歪によって破断を引き起こそうとす る力に一応は勝って 、ると言える。そのような一体ィ匕物は射出接合の後の数日以内 に 150〜170°C X 1時間程度加熱し (ァニールし)榭脂を軟ィ匕して内部歪を解消して みる。ァニール処理をした一体ィ匕物を破壊試験してみて予期した強度が得られた場 合、その設計は成功であり、その強度はポリアミドの吸水で榭脂部の膨潤による膨張 力 い限り長く続く。
[0076] 〔成形 Z射出成形〕
射出成形金型を用意し、可動金型を開いてその一方に先ほどのアルミニウム合金 形状物をインサートし、可動金型を閉め、前述した熱可塑性合成樹脂組成物を射出 し、可動金型を開き離型する方法である。成形するときのこの熱可塑性合成樹脂組 成物の射出条件について説明する。金型温度、射出温度は高い方が良い結果が得 られるが無理に上げることはなぐ前記の熱可塑性合成樹脂組成物を使う通常の射 出成形時とほぼ同様の条件で十分な接合効果が発揮できる。接合力を上げるため には、むしろ金型温度を通常の榭脂のみの成形時より若干上げることが有効である。 本発明者らの経験では、金型温度は 140〜160°Cとすれば接合力が高く安定した。 従って、射出成形金型はこのような高温で使用することを前提に作るべきである。
[0077] 〔作用〕
本発明によれば、アルミニウム合金形状物とポリアミド系榭脂組成物を、インサート を使った射出成形による手法で強固に接着することができる。この様なことが可能に なった理由は、金属形状物を種々の方法で処理し、その表面を超微細な凹部ゃ孔 の開口部で覆う形状にしたこと、及び、コンパウンドの手段でポリアミド榭脂の物性を 特殊化したことである。これら双方の措置により、表面処理を為した金属合金形状物 を射出成形金型にインサートし、ここへポリアミド系榭脂組成物を射出することで金属 と榭脂成形部分とを接合することができるようになった。本発明を使用することで、電 子機器や家電機器の軽量化や、車載機器や部品の軽量化、その他多くの分野で部
品、筐体の供給に役立つものとみている。
発明の効果
[0078] 以上詳記したように、本発明を利用すれば、ポリアミド系榭脂組成物とアルミニウム 合金形状物とを強固に射出接合でき、得られた一体化品は容易に剥がれることがな い。従って、形状、構造上も機械的強度の上でも自由度の多い各種機器の筐体や部 品、構造物等を作ることができる。本発明によって製造した筐体、部品、構造物は、 軽量ィ匕ゃ機器製造工程の簡素化に役立つものである。
[0079] 以下、本発明の実施例を実験例に代えて詳記する。実施例で使用した共重合ポリ アミド (ブロックポリマー)の製造法と粘度数の測定方法は以下のとおりである。
〔参考例 1 共重合ポリアミド (ブロックポリマー)の製造方法〕
それぞれの共重合ポリアミドの原料となるジァミンと酸の等モル塩などの原料をそれ ぞれの質量比で反応器に投入し、投入した榭脂分全量と同量の純水を加え、重合 缶内を Nで置換した後、攪拌しながら加熱を開始し、缶内圧力を最大 20kgZcm2
2
に調整しながら最終到達温度を 270°Cとし反応させた。水浴中に吐出したポリマーを ストランドカッターでペレタイズした。得られたペレットは 95°C熱水中で 20時間処理し 、未反応モノマーや低重合物を抽出除去した。抽出後のペレットは 80°Cで 50時間以 上乾燥した。
〔参考例 2 粘度数の測定方法〕
ISO307標準方法に従って 96%硫酸での粘度数測定を行った。
[0080] [実施例 1]
市販の 1. 6mm厚の A5052アルミニウム合金板を購入した。 18mmX 45mmの長 方形片多数に切断した。このアルミ合金片の端部に直径 2mm φの穴をプレス機で 開けた。塩ビ榭脂カバーの銅線を用意した。合金片 10個の穴に銅線を通しつつ途 中を曲げ、合金片同士がべったりとは接触せぬようにしつつ 10個をぶら下げられるよ うにした。アルミ用脱脂材「NE— 6 (日本国東京都、メルテックス株式会社製)」15% を含む槽を用意し液温を 75°Cとした。この脱脂材水溶液に 5分浸漬し、水洗した。続 いて別の槽に 1%濃度の塩酸水溶液を用意し液温を 40°Cとした。ここへ先ほどのァ ルミニゥム合金片を 1分間浸潰し水洗した。
[0081] 続 、て別の槽に 1%苛性ソーダ水溶液を用意し、液温を 40°Cとした。ここへ先ほど の合金片を 1分間浸漬し水洗した。続いて別の槽に 1%塩酸水溶液を用意し、液温 を 40°Cとした。ここへ先ほどの合金片を 1分間浸漬し推薦した。続いて 3. 5%量の一 水和ヒドラジン水溶液を 60°Cとした中に先ほどの合金片を 1分間浸漬し、水洗し 60 °C X 20分間温風乾燥機で乾燥した。アルミニウム合金片を銅線から外し、アルミ箔 で包み、これをポリェチ袋に入れて封じた。翌日、電子顕微鏡「S— 4800 (日本国東 京都、株式会社日立製作所製)」で、 10万倍率で観察したところ 20〜40nm径、数 平均内径で 25nmの凹部で表面全面が覆われていることを確認した。
[0082] 一方、アジピン酸とへキサメチレンジァミンとからナイロン 66成分として 77質量0 /0、 イソフタル酸とへキサメチレンジァミンとから 61ナイロン成分として 17質量0 /0、ナイロン 6成分として 6質量%から成るブロックポリマーを参考例 1の方法で合成した。得られ た合成樹脂の参考例 2記載の方法で測定した粘度数は 85mlZgであり、溶融粘度 は、フローテスター「CFT— 500 (日本国京都府、株式会社島津製作所製)にての温 度 270°C、荷重 98. lN (lOkgf)の条件下にて 380ボイズであった。二軸押出機「T EM— 35Β (東芝機械株式会社製)」にて、ガラス繊維「RES03— TP91 (日本板硝 子株式会社製)」をサイドフィーダ一力も添加量が 50質量%となるように供給しながら 、シリンダー温度 280°Cで溶融混練してペレツトイ匕したポリアミド系榭脂組成物を得た
[0083] アルミニウム合金片を保管して 2日後、合金片を取り出し、油分等が付着せぬよう手 袋で摘まんで射出成形金型にインサートした。射出成形金型の構造図を図 1に示し たが、図内で 1はアルミニウム合金片、 2は可動側型板、 3は固定側型板、 4は榭脂が 射出されるキヤビティー部、 5はピンポイントゲート、 6は接合面を示した。射出接合が 為されると図 2で示す一体化物が得られる。図 2で 1はアルミニウム合金片(1. 6mm X 45. 0mmX 18. Omm)、 4は榭脂部(3mm X 50mm X 10mm)、 5はピンポイント ゲート、 6は接合面(5mm X 10mm)である。接合面の面積は 0. 5cm2であった。金 型を閉め、ガラス繊維 50%含有の前記ナイロン系榭脂組成物を射出し、図 2で示す 一体化品を得た。
[0084] 射出温度は 260°Cであり、金型温度は 140°Cであった。射出接合した約 2時間後に
150°Cとした熱風乾燥機に入れて 1時間置き、放冷した。その 2日後に引っ張り試験 機で 10個のサンプル全てを引っ張り破断試験した。この試験ではせん断破断力が 測定できる。その結果、平均したせん断破断力は 26. 0MPa (265kgfZcm2)であつ た。
[0085] [比較例 1]
榭脂組成物としてガラス繊維 45%含むナイロン 66である「アミラン CM3001G45 ( 日本国東京都、東レ株式会社製)」を使用した他は、実施例 1と全く同様にして実験 した。得られたアルミニウム合金片とナイロン 66榭脂との一体ィ匕物のせん断破断力は 平均で 18. 9MPa (193kgfZcm2)であり、実施例 1より低かった。
[0086] [実施例 2]
ナイロン 6「CM 1010 (東レ株式会社製)」を 63質量0 /0、エチレン—メタクリル酸共重 合物のアイオノマー「ノヽイミラン 1706 (日本国東京都、三井デュポン 'ポリケミカル株 式会社製) 7質量%をあら力じめブレンドしたあと、二軸押出機「TEM— 35 (日本国 静岡県、東芝機械株式会社製)」にてガラス繊維「RES03—TP91 (日本板硝子株 式会社製)」をサイドフィーダ一力 添加量が 30質量%となるように供給しながらシリ ンダー温度 250°Cで溶融混練してペレツトイ匕したポリアミド Zエラストマー榭脂組成物 を得た。得られたポリアミド Zエラストマ一のコンパウンド樹脂組成物を 175°Cで 2時 間乾燥した。この榭脂組成物を使用した他は全く実施例 1と同様に実験を行った。ァ ルミ-ゥム合金片との一体ィ匕物サンプルを得、引っ張り破断試験をしてせん断破断 力を測定したところ、 10個の平均で 24. 6MPa (251kgfZcm2)であった。
[0087] [比較例 2]
榭脂組成物としてガラス繊維 30%含むナイロン 6である「アミラン CM1011G30 (東 レ株式会社製)」を使用した他は実施例 2と全く同様にして実験した。得られたアルミ -ゥム合金片とナイロン 6榭脂との一体ィ匕物のせん断破断力は平均で 20. lMPa (2 05kgf/cm2)であり、実施例 2より著しく低力つた。
[0088] [実施例 3]
アジピン酸とへキサメチレンジァミン力も成るナイロン 66成分として 12質量0 /0、テレ フタル酸とへキサメチレンジァミン力 成るナイロン 6T成分として 62質量0 /0、イソフタ
ル酸とへキサメチレンジァミン力 成るナイロン 61成分として 26%質量%力 成るポリ マーを参考例 1の方法で合成した。得られた合成樹脂の参考例 2記載の方法で測定 した粘度数は 85mlZgであり、溶融粘度は、フローテスター「CFT— 500 (株式会社 島津製作所製)」にての温度 300°C、荷重 10kgの条件下にて 360ボイズであった。 二軸押出機「TEM - 35B (東芝機械株式会社製)」にて、ガラス繊維「RES03— TP 91 (日本国東京都、 日本板硝子株式会社製)」をサイドフィーダ一から添加量が 30 質量%となるように供給しながら、シリンダー温度 300°Cで溶融混練してペレツトイ匕し たポリアミド榭脂組成物を得た。
[0089] この芳香族ナイロン系榭脂組成物を使用したことと射出温度を 280°Cとした他は全 く実施例 1と同様に実験を行った。アルミニウム合金片との一体ィ匕物サンプルを得、 引っ張り破断試験をしてせん断破断力を測定したところ、 10個の平均で 25. 5MPa (
260kgf/cm2)であった。
[0090] [実施例 4]
テレフタル酸とへキサメチレンジァミン力 成るナイロン 6T成分として 70質量0 /0、ィ ソフタル酸とへキサメチレンジァミン力 成るナイロン 61成分として 30%質量%力 成 るポリマーを参考例 1の方法で合成した。得られた合成樹脂の参考例 2記載の方法 で測定した粘度数は 90mlZgであり、溶融粘度は、フローテスター「じ?丁—500 (株 式会社島津製作所製)」にての温度 300°C、荷重 10kgの条件下にて 380ボイズであ つた。二軸押出機「TEM— 35B (東芝機械株式会社製)」にて、ガラス繊維「RES03 -TP91 (日本板硝子株式会社製)」をサイドフィーダ一から添加量が 30質量%とな るように供給しながら、シリンダー温度 300°Cで溶融混練してペレツトイ匕したポリアミド 榭脂組成物を得た。
[0091] この全芳香族ナイロン系榭脂組成物を使用したことと射出温度を 290°Cとした他は 全く実施例 1と同様に実験を行った。アルミニウム合金片との一体ィ匕物サンプルを得 、引っ張り破断試験をしてせん断破断力を測定したところ、 10個の平均で 24. 0MP a (245kgf/cm2)であった。
[0092] [実施例 5]
市販の 1. 6mm厚の A5052アルミ合金を 18mm X 45mmの長方形片多数に切断
し、金属板 1であるアルミニウム合金板とした。このアルミニウム合金板の端部に穴を 開け、十数個に対し塩ィ匕ビュルでコートした銅線を通し、アルミニウム合金板同士が 互いに重ならな 、ように銅線を曲げてカ卩ェし、全てを同時にぶら下げられるようにし た。槽に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE— 6 (メルテックス株式会社製)」 7. 5 %を水に投入した後で 75°Cとして加熱溶解し、前記のアルミニウム合金板を 5分浸 漬し、よく水洗した。
[0093] 続いて別の槽に 50°Cとした 10%苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記のアルミ -ゥム合金板を 0. 5分浸漬してよく水洗した。続いて別の槽に 90°Cとした 60%硝酸 液を用意し、 15秒浸漬してよく水洗した。続いて別の槽に 20°Cとした 5%硫酸水溶 液を用意し、前記のアルミニウム合金の穴部に直流電源装置「ASR3SD— 150— 5 00 (中央製作所製)」の陽極を結線し、陰極は槽に入れた鉛板に結線して 5AZdm2 の電流密度になる定電流制御で陽極酸ィ匕した。 40分陽極酸ィ匕して水洗し、 60°Cと した温風乾燥機に 1時間入れて乾燥した。 1日後、うち 1個を電子顕微鏡によって観 察し、数平均内径 17nmの微細孔口が表面を覆っていることを確認した。
[0094] その 2日後、残りのアルミニウム合金板を取り出し、油分等が付着せぬよう穴のある 方を手袋で摘まみ 140°Cとした射出成形金型にインサートした。金型を閉じ実施例 3 で使用したときと同じ芳香族ナイロン系の榭脂組成物を射出温度 280°Cで射出した。 金型温度は 140°Cであり、図 2で示す一体化した複合体 12個を得た。 1日後、これら を引っ張り試験した。 10個の平均のせん断破断力は 25. 5MPa (260kgfZcm2)で めつに。
図面の簡単な説明
[0095] [図 1]図 1は、アルミニウム合金部品とポリアミド榭脂を主成分とする熱可塑性合成榭 脂組成物部品との複合体を、製造を模式的に示した射出成形金型の断面図である。
[図 2]図 2は、アルミニウム合金部品とポリアミド榭脂を主成分とする熱可塑性合成榭 脂組成物部品との複合体を、模式的に示した単体の外観図である。
符号の説明
[0096] 1…アルミニウム合金部品
2…可動側型板
…固定側型板
…熱可塑性合成樹脂組成物部品···ピンポイントゲート
···接合面
…複合体