JP2000200703A - 有機ptcサ―ミスタおよびその製造方法 - Google Patents

有機ptcサ―ミスタおよびその製造方法

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JP2000200703A
JP2000200703A JP10377475A JP37747598A JP2000200703A JP 2000200703 A JP2000200703 A JP 2000200703A JP 10377475 A JP10377475 A JP 10377475A JP 37747598 A JP37747598 A JP 37747598A JP 2000200703 A JP2000200703 A JP 2000200703A
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thermistor
electrode
polymer
metal particles
organic
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Noriyoshi Nanba
憲良 南波
Norihiko Shigeta
徳彦 繁田
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非動作時の抵抗値が低く、かつ、剥離強度が
高く、信頼性の高い有機PTCサーミスタ、および、そ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の有機PTCサーミスタは、高分
子重合体中に導電性金属粒子が分散された構成のサーミ
スタ素体と、このサーミスタ素体表面に設けられた電極
とを有し、電極がサーミスタ素体表面に露出している導
電性金属粒子と一体的に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正の抵抗温度特性
(PTC:positive temperature coefficient of resi
stivity)を示すPTCサーミスタのうち、高分子重合
体を用いる有機PTCサーミスタ、および、その製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機PTCサーミスタは、図1のよう
に、結晶性高分子重合体11にカーボンブラックや金属
等の導電性粒子12を分散させた構成のサーミスタ素体
13の表面に電極14を設けたものである。また、動作
物質が低分子有機化合物である、高分子マトリックス中
にワックス等の低分子有機化合物を含有させた有機PT
Cサーミスタも提案されている。このような有機PTC
サーミスタは、従来のセラミックス系PTCサーミスタ
に比べ、室温での比抵抗(非動作時の比抵抗)が低いた
め、大電流を流す用途に好適であり、また、小型化で
き、さらに、抵抗変化率(最大抵抗値/室温抵抗値)が
大きいという優れた特性を有することが知られている。
有機PTCサーミスタは、例えば自己制御型ヒーターや
温度検出器、過電流保護素子などに利用することができ
る。
【0003】有機PTCサーミスタの素体に電極を設け
る方法としては、金属箔を圧着する方法(米国特許第
4,426,633号明細書)、あるいは、網状金属を
熱融着する方法(特公平2−160022号公報)等が
広く知られている。しかし、これらの圧着方法を用いる
と、素体と電極との間の電気的な接触を均一にすること
ができないので、電極の接触抵抗が大きくなってしま
う。このため、非動作時の抵抗値が高くなってしまい、
大電流を流す用途には好ましくない。これは、導電性充
填剤の表面が重合体で覆われているためであり、そのま
ま圧着しても電極と導電性充填剤との間に絶縁性の重合
体が薄く存在するためである。
【0004】このため、特公平4−44401号公報で
は、あらかじめ素体表面をエッチングして素体表面付近
の導電性充填材を露出させた後、電気メッキ法または化
学メッキ法により電極を形成する方法が提案されてい
る。同公報には、エッチング手段としてクロム酸混液、
パラキシレンなどによる表面処理や、サンドブラスト、
サンドペーパーによる表面処理が挙げられている。しか
し、同公報の実施例における導電性充填剤はすべてカー
ボンブラックであり、接触抵抗値の減少効果についての
記載はあるが、剥離防止効果については全く示唆されて
いない。また、カーボンブラック粒子と金属メッキ膜と
では一体化することなく、強力な接着効果は期待できな
い。動作時に発熱し、膨張、収縮を繰り返すサーミスタ
素子の電極は、過酷な引っ張り力を繰り返し受けるため
に、極めて剥離しやすい。また、剥離にいたらなくて
も、電気抵抗値の上昇が見られる。特公平4−4440
1号公報では、このような電極とPTC素体間の剥離防
止効果については全く述べられていない。実際、このも
のは、電極の接触抵抗を低減させることは可能である
が、メッキ膜と素体との密着強度は不十分であり、電極
が剥離しやすいという問題がある。
【0005】また、これに対して、特公平4−3083
号公報では、ヒートショックによる剥離を防止するため
に、素体表面をエッチングした後、電気メッキ法または
無電解メッキ法によりメッキ皮膜(電極)を形成し、結
晶性高分子重合体の結晶化温度以上の温度において、メ
ッキ皮膜上に圧力を加える方法が提案されている。しか
しながら、同公報の実施例および比較例における導電性
充填剤はカーボンブラックのみであり、金属粒子の例は
ない。明細書には、導電性充填剤として粒径20μm 以
下の金属粒子および長さ1mm 以下でアスペクト比10
以上の金属繊維を挙げているが、カーボンブラックを好
ましいとしており、効果の違いについては何ら記載され
ていない。前述の通り、カーボンブラック粒子と金属メ
ッキ膜とでは一体化することがないので、このような処
理をしても十分な剥離防止効果は得られない。また、導
電性充填剤に金属粒子を用いても、エッチングした後そ
のままメッキすれば、金属粒子表面に酸化物が存在して
いたりして、金属粒子とメッキ膜とは一体化しにくく、
剥離しやすい。
【0006】また、特開昭60−3881号公報では、
プラスチックPTC発熱体の素体表面を拡大化処理した
後に金属メッキにより電極を形成する方法が提案されて
いる。このものは、銀ペースト等の電極に比較して電気
容量が大きく、耐食性に優れ、複雑な形状にできるとし
ている。拡大化処理としては、サンドブラスト法による
機械的ホーニング処理が挙げられている。同公報には、
PTC素体の表面粗度を、中心線平均粗さRaで0.4
μm 程度から表面拡大化処理後はRaで6〜7μm とす
ることで接着強度が向上していることが記載されいて
る。しかしながら、同公報に記載された導電性充填剤は
カーボンブラックであり、金属粒子については何ら述べ
られていない。
【0007】有機PTCサーミスタでは、PTC動作時
に素体が著しく熱膨張するため、電極に過大な応力が発
生する。そのため、PTC動作の繰り返しにより電極に
クラックが発生したり、電極が部分的に剥離したりして
しまい、電気抵抗の増大等の信頼性上の問題が生じる要
因となっている。
【0008】接着強度を向上させるためには、電極とし
て使用する金属箔を多孔質化することが銅張り積層板等
で古くから広く行われている。銅箔またはNi箔を化学
エッチングまたはメッキ法により拡面化した後にPTC
素体を圧着することが提案されている。米国特許第4,
689,475号明細書には、微小粗面を有する電極を
有する有機PTCサーミスタが記載されている。この微
小粗面を有する電極は、電気メッキや電着等により形成
された金属箔である。同明細書でも、電極の接着性の向
上を効果としている。これは、電極箔の粗面化面にPT
C素体を熱圧着することによるアンカー効果に基づくも
のである。しかし、電極の接着性および接触抵抗の改善
が可能な特定の粗面を有する金属箔、特にNi箔は高価
であり、一方、Cu箔は相対的に安価ではあるが耐食性
が不十分である。また、本発明者らの研究によれば、有
機PTCサーミスタにおいて、素体表面付近に存在する
導電性粒子のうち素体表面から露出しているものはわず
かであり、大部分が厚さ数マイクロメートル程度の高分
子重合体に被覆されていることがわかった。このため、
接触抵抗を安定して低減するためには電極の粗面化だけ
では不十分である。
【0009】また、米国特許第4,444,708号明
細書では、2本の電極をアモルファス高導電率ラバーに
よって被覆し、これをPTC材料に埋め込むことによ
り、電極とPTC材料との密着強度を改善して、抵抗値
の安定、信頼の向上を図る提案がなされている。同明細
書におけるアモルファス高導電率ラバーは、非PTC特
性を有するものである。同明細書には、アモルファス高
導電率ラバーの好ましい例として、多量のカーボンブラ
ックを含むエピクロロヒドリンが挙げられている。同明
細書には、必要であれば電極表面を突起状(例えば微小
突起状)にして、接触抵抗および付着力を改善してもよ
い旨の記載がある。しかし、同明細書では、PTC材料
のアモルファス高導電率ラバーとの界面をエッチングし
てもよい旨の記載はない。結晶性高分子重合体中に導電
性粒子を分散した構成のサーミスタ素体では、上述した
ように素体表面付近の導電性粒子が重合体に覆われてい
るため、サーミスタ素体と電極との間に同明細書記載の
アモルファス高導電率ラバーを介在させた場合、単純に
接合しただけでは接触抵抗が大きくなってしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、非動
作時の抵抗値が低く、かつ、剥離強度が高く、信頼性の
高い有機PTCサーミスタ、および、その製造方法を提
供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
のいずれかの構成により達成される。 (1) 高分子重合体中に導電性金属粒子が分散された
構成のサーミスタ素体と、このサーミスタ素体表面に設
けられた電極とを有する有機PTCサーミスタであっ
て、電極が、サーミスタ素体表面に露出している導電性
金属粒子と一体的に形成されている有機PTCサーミス
タ。 (2) 前記サーミスタ素体がさらに低分子有機化合物
を含む上記(1)の有機PTCサーミスタ。 (3) 前記電極がメッキ膜である上記(1)または
(2)の有機PTCサーミスタ。 (4) 前記導電性金属粒子が非球形である上記(1)
〜(3)のいずれかの有機PTCサーミスタ。 (5) 前記導電性金属粒子がスパイク状の突起を有す
る上記(4)の有機質正特性サーミスタ。 (6) 前記導電性金属粒子がNiである上記(1)〜
(5)のいずれかの有機PTCサーミスタ。 (7) 前記導電性金属粒子の平均粒径が1〜4μm で
ある上記(1)〜(6)のいずれかの有機PTCサーミ
スタ。 (8) 前記導電性金属粒子の金属種と前記電極の金属
種とが同一である上記(1)〜(7)のいずれかの有機
PTCサーミスタ。 (9) 高分子重合体中に導電性金属粒子が分散された
構成のサーミスタ素体と、このサーミスタ素体表面に設
けられた電極とを有する有機PTCサーミスタを製造す
る方法であって、サーミスタ素体の表面から高分子重合
体を選択的に除去して、導電性金属粒子をサーミスタ素
体表面に露出させる選択除去工程と、このサーミスタ素
体表面に露出した導電性金属粒子と一体的に電極を形成
する電極形成工程とを有する有機PTCサーミスタの製
造方法。 (10) 低分子有機化合物を含む高分子重合体中に導
電性金属粒子が分散された構成のサーミスタ素体と、こ
のサーミスタ素体表面に設けられた電極とを有する有機
PTCサーミスタを製造する方法であって、サーミスタ
素体の表面から高分子重合体と低分子有機化合物とを選
択的に除去して、導電性金属粒子をサーミスタ素体表面
に露出させる選択除去工程と、このサーミスタ素体表面
に露出した導電性金属粒子と一体的に電極を形成する電
極形成工程とを有する有機PTCサーミスタの製造方
法。 (11) 前記電極形成工程において、メッキ法を用い
る上記(9)または(10)の有機PTCサーミスタの
製造方法。 (12) 前記電極形成工程において、前記サーミスタ
素体を電解エッチングした後、電気メッキ法により電極
を形成する上記(11)の有機PTCサーミスタの製造
方法。 (13) 前記選択除去工程において、プラズマ処理
法、反応性イオンエッチング法、紫外線照射、オゾン含
有雰囲気への曝露、レーザー光照射、逆スパッタ法、サ
ンドブラスト法、有機溶剤暴露または有機溶剤蒸気暴露
のいずれかを用いる上記(9)〜(12)のいずれかの
有機PTCサーミスタの製造方法。
【0012】
【作用】本発明の有機PTCサーミスタは、高分子重合
体中に導電性金属粒子が分散された構成のサーミスタ素
体と、このサーミスタ素体表面に設けられた電極とを有
し、電極が、サーミスタ素体表面に露出している導電性
金属粒子と一体的に形成されている。サーミスタ素体
は、低分子有機化合物を含有していてもよく、低分子有
機化合物が動作物質であってもよい。
【0013】このような有機PTCサーミスタは、サー
ミスタ素体表面の高分子重合体、低分子有機化合物を選
択的に除去し、電解エッチングによりサーミスタ素体表
面に露出した導電性金属粒子の酸化膜等を還元・除去し
てフレッシュな面を形成した後、メッキ法により電極を
形成することにより得られる。これにより、電極がマト
リクス樹脂中に均一に分散されている導電性金属粒子と
一体的に形成される。
【0014】このように、サーミスタ素体表面の高分子
重合体、低分子有機化合物を選択的に除去することで、
サーミスタ素体と電極との接触抵抗を低減して非動作時
の抵抗値を低くすることができる。好ましくはプラズマ
処理、反応性イオンエッチング、紫外線、オゾン含有雰
囲気、レーザー光を利用して、サーミスタ素体表面の高
分子重合体等を選択的に除去することにより、サンドブ
ラスト法などの物理的除去方法や湿式エッチング法を用
いる場合と比べて、サーミスタ素体に与える悪影響が実
質的になく、しかも、高分子重合体等をエッチングする
際の選択性が良好なため、信頼性が高く、しかも非動作
時の抵抗値の低い有機PTCサーミスタが得られる。
【0015】そして、本発明の有機PTCサーミスタ
は、電極をサーミスタ素体表面に露出している導電性金
属粒子と一体的に形成しているので、剥離強度が高くな
り、動作の繰り返しによる熱膨張、収縮の繰り返しによ
る電極の剥離、クラックの発生がなくなり、電気抵抗の
増大等も起こらず、信頼性が高い。
【0016】上記特公平4−44401号公報では、電
極をメッキ法により形成しており、また、導電性粒子を
露出させているが、導電性粒子がカーボンブラックであ
るためにメッキによって一体的に電極を形成させること
ができない。例えば、表面粗度を高めても、導電性粒子
と電極金属とは一体化しておらず、強い力、特に熱膨
張、収縮の繰り返しの力により剥離する可能性が高い。
剥離にいたらなくても電気的接触が不十分となり、初期
抵抗値が十分低くならないばかりか、繰り返し動作後の
抵抗値が徐々に上昇する現象を示し、信頼性が低下す
る。また、特公平4−44401号公報では、導電性粒
子として金属粒子、繊維長1mm 以下の金属繊維も挙げ
られてはいるが、前述したとおり、電極とPTC素体間
の剥離防止効果については全く述べられていない。ま
た、導電性充填剤に金属粒子を用いても、エッチングし
た後そのままメッキすれば、金属粒子表面に酸化物が存
在していたりして、金属粒子とメッキ膜とは一体化しに
くく、剥離しやすい。しかも、エッチング手段としてク
ロム酸混液、パラキシレンなどによる表面処理や、サン
ドブラスト、サンドペーパーによる表面処理を用いてい
るが、これらは高分子重合体をエッチングする際の選択
性が悪い。
【0017】なお、同公報には、電気メッキの前処理と
して、オゾン含有ガスによる表面酸化、プラズマ照射に
よる親水性付与が記載されている。しかし、電気メッキ
の前処理は被メッキ面の改質処理であって、サブミクロ
ンオーダーの深さで表面を変化させるにすぎず、本発明
における高分子重合体の選択除去処理とは全く異なる。
【0018】また、特開昭63−312601号公報に
は、粗面化した素体表面上に電極を形成することによ
り、電極の接合を強固にしてオーミック性を改善する方
法が記載されている。同公報には、素体の粗面化手段と
して逆スパッタおよびサンドブラストが挙げられてお
り、また、電極形成方法としてスパッタ法またはイオン
プレーティング法が挙げられている。しかし、よく使用
されるサンドブラスト法は、結晶性高分子重合体をエッ
チングする際の選択性が悪く、逆スパッタ法も、反応性
イオンエッチング法に対し選択性が劣る。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の有機PTCサーミスタの
構成例を、図2に示す。同図に示す有機PTCサーミス
タは、高分子重合体(以下、単に重合体ということがあ
る)1中に導電性金属粒子2が分散された構成のサーミ
スタ素体3と、このサーミスタ素体3を挟んで設けら
れ、導電性金属粒子2と一体的に形成された一対の電極
4とを有する。サーミスタ素体3は、さらに低分子有機
化合物を含有していてもよく、低分子有機化合物が動作
物質であってもよい。この場合、各熱可塑性高分子マト
リックスと各低分子有機化合物とがそれぞれ独立に分散
して存在する海島構造をしていると考えられる。
【0020】サーミスタ素体 本発明で用いる重合体、低分子有機化合物は特に限定さ
れず、導電性粒子を分散して素体としたときにPTC特
性を発現できるものであれば制限なく使用できる。
【0021】高分子重合体を動作物質とする場合、結晶
性高分子重合体を用いる。
【0022】このような重合体としては、例えば、ポリ
エチレン、ポリエチレンオキシド、t−4−ポリブタジ
エン、ポリエチレンアクリレート、エチレン−エチルア
クリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、
ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカプロ
ラクタムフッ素化エチレン−プロピレン共重合体、塩素
化ポリエチレン、クロロスルホン化エチレン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビ
ニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアルキ
レンオキシド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホ
ン、フッ素系樹脂などが挙げられ、これらの少なくとも
1種を用いればよい。具体的には、電極の形成法や、要
求されるPTCサーミスタ特性などに応じて適宜選択す
ればよい。
【0023】重合体の好ましい具体例としては、ナイロ
ン12またはポリエチレンオキシド(PEO)が挙げら
れる。このうち、60〜70℃程度の比較的低温での動
作が対象となるときにはポリエチレンオキシドが好まし
く、140〜160℃程度の温度での動作が対象となる
ときにはナイロン12が好ましい。特に、動作温度を下
げられるという目的ではポリエチレンオキシドが好まし
い。
【0024】ポリエチレンオキシドは、重量平均分子量
Mwが好ましくは200万以上、より好ましくは300
万〜600万である。Mwが小さすぎると、溶融時の粘
度が低くなりすぎて導電性粒子の分散性が悪化してしま
い、室温での抵抗を下げることが困難になる。Mw20
0万以上のポリエチレンオキシドは、融点が65〜70
℃程度で、密度が1.15〜1.22g/cm3程度であ
る。
【0025】重合体としてポリエチレンオキシドを用い
る場合、さらに非水溶性重合体(ポリマー)および/ま
たは非水溶性低分子有機化合物を含有させることが好ま
しい。これにより、その優れたPTC特性をほぼ維持し
たまま、耐湿性が大幅に向上する。
【0026】非水溶性重合体は、吸水率(ASTM D570)
が0.5%以下であることが好ましい。このようなもの
としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメ
タクリレート、ポリ塩化ビニル、オレフィン系コポリマ
ー等の熱可塑性ポリマーや、熱可塑性エラストマーが挙
げられる。中でもポリエチレン、特に低密度ポリエチレ
ンが好ましい。
【0027】低密度ポリエチレンとは、密度が0.91
0〜0.929g/cm3のものである。密度が0.93
0〜0.941g/cm3のものは中密度ポリエチレンと
いい、0.942g/cm3以上のものは高密度ポリエチ
レンという。低密度ポリエチレンは、高圧法、すなわち
1000気圧以上の高圧ラジカル重合法で製造され、エ
チレン基等の短鎖分岐の他、長鎖分岐を含む。高密度ポ
リエチレンは、数十気圧以下の中・低圧下、遷移金属触
媒を用いて配位アニオン重合で製造され、直鎖状であ
る。ところが、中・低圧法でも、α−オレフィンを共重
合すれば、短鎖分子が導入され、中・低密度のポリエチ
レンとなる。このうち、低密度のものを直鎖状低密度ポ
リエチレンという。
【0028】用いる非水溶性重合体のASTM D1238で定義
されるメルトフローレート(MFR)は、0.1〜30
g/10min、特に1.0〜10g/10minが好
ましい。これより高いと、溶融粘度が低すぎて、導電性
粒子の分散を一定にするのが困難になり、抵抗値のばら
つきが大きくなる傾向が見られる。これより低いと、溶
融粘度が高すぎて、本発明で好ましく用いられる導電性
粒子の鎖状構造が分断され、抵抗変化率が減少する傾向
が見られる。
【0029】非水溶性重合体は、1種のみを用いても2
種以上を併用してもかまわないが、MFR0.1〜30
g/10minの低密度ポリエチレンのみを用いること
が好ましい。
【0030】ポリエチレンオキシド結晶性重合体と非水
溶性重合体との比率は、重量比で、非水溶性重合体/結
晶性重合体が0.25〜2.0、特に1.0〜1.8で
あることが好ましい。この比率が小さくなって非水溶性
重合体が少なくなりすぎると、耐湿性の向上が見られな
くなる。また、この比率が大きくなって非水溶性重合体
が多くなりすぎると、ポリエチレンオキシドの融点にお
ける充分な抵抗の増大が得られなくなる。
【0031】非水溶性低分子有機化合物としては、分子
量1000程度まで、好ましくは200〜800のもの
であれば特に制限はないが、常温(25℃程度の温度)
で固体であるものが好ましい。低分子有機化合物の融点
mpは40〜100℃であることが好ましい。
【0032】このようなものとしては、ワックス(具体
的には、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワ
ックス等の石油系ワックス、植物系ワックス、動物系ワ
ックス、鉱物系ワックスのような天然ワックス等)、油
脂(具体的には、脂肪または固体脂と称されるもの)な
どがある。ワックスや油脂の成分は、炭化水素(具体的
には、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素
等)、脂肪酸(具体的には、炭素数12以上のアルカン
系の直鎖炭化水素の脂肪酸等)、脂肪酸エステル(具体
的には、炭素数20以上の飽和脂肪酸とメチルアルコー
ル等の低級アルコールとから得られる飽和脂肪酸のメチ
ルエステル等)、脂肪酸アミド(具体的には、オレイン
酸アミド、エルカ酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド
等)、脂肪族アミン(具体的には、炭素数16以上の脂
肪族第1アミン)、高級アルコール(具体的には、炭素
数16以上のn−アルキルアルコール)などであるが、
これら自体を単独で、もしくは併用して低分子有機化合
物として用いることができる。
【0033】非水溶性低分子有機化合物としては、ワッ
クスまたは水素結合可能な官能基を有するもの、特に水
素結合可能な官能基を有するものが均一な混合状態が得
られ、製造も容易なので好ましい。炭化水素、主に炭化
水素からなる石油系ワックス等を用いると、均一な分散
が難しくなり、プレス成形時に低分子化合物が分離する
ことがある。水素結合可能な官能基を有するものは、ポ
リエチレンオキシドのエーテル酸素に水素結合するの
で、低分子化合物の分離は起こりにくい。水素結合可能
な官能基としてはアミノ基、好ましくはカルバモイル
基、水酸基等が挙げられる。
【0034】これらの低分子有機化合物は、市販されて
おり、市販品をそのまま用いることができる。
【0035】このようなものとしては、パラフィンワッ
クス(例えば、テトラコサンC2450;mp49〜52
℃、ヘキサトリアコンタンC3674;mp73℃、商品
名HNP−10(日本精蝋社製);mp75℃、HNP
−3(日本精蝋社製);mp66℃など)、マイクロク
リスタリンワックス(例えば、商品名Hi−Mic−1
080(日本精蝋社製);mp83℃、Hi−Mic−
1045(日本精蝋社製);mp70℃、Hi−Mic
2045(日本精蝋社製);mp64℃、Hi−Mic
3090(日本精蝋社製);mp89℃、セラック10
4(日本石油精製社製);mp96℃、155マイクロ
ワックス(日本石油精製社製);mp70℃など)、脂
肪酸(例えば、ベヘン酸(日本精化製);mp81℃、
ステアリン酸(日本精化製);mp72℃、パルミチン
酸(日本精化製);mp64℃など)、脂肪酸エステル
(例えば、アラキン酸メチルエステル(東京化成製);
mp48℃など)、脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸
アミド(日本精化製);mp76℃)などがある。ま
た、パラフィンワックスに樹脂類を配合した配合ワック
スやこの配合ワックスにマイクロクリスタリンワックス
を混合したものであって融点を40〜100℃にしたも
のも用いることができる。
【0036】非水溶性低分子有機化合物は、1種のみを
用いても2種以上を併用してもかまわない。
【0037】ポリエチレンオキシド結晶性重合体と非水
溶性低分子有機化合物との混合比は、ポリエチレンオキ
シド1に対して非水溶性低分子有機化合物2〜40重量
%、特に5〜30重量%であることが好ましい。この比
率が小さくなって非水溶性低分子有機化合物が少なくな
りすぎると、耐湿性の向上が見られなくなる。また、こ
の比率が大きくなって非水溶性低分子有機化合物が多く
なりすぎると、ポリエチレンオキシドの融点における充
分な抵抗の増大が得られなくなり、また、素子の強度が
減少してくる。
【0038】ナイロン12は、12−アミノドデカン酸
のラクタムのポリマーであり、融点177℃、密度1.
03g/cm3であり、Mw2万〜5万のものが好まし
い。
【0039】また、フッ素系樹脂としては、ポリフッ化
ビニリデンが好ましい。ポリフッ化ビニリデンは、自消
性を示す。自消性とは、着火しても、炎を遠ざけると自
然に消火する性質のことである。このため、ポリフッ化
ビニリデンは着火の可能性のある用途に好適である。
【0040】また、サーミスタ素体は、低分子有機化合
物を動作物質とするものであってもよい。このようなサ
ーミスタ素体は、高分子重合体(熱可塑性高分子マトリ
ックス)、低分子有機化合物、導電性金属粒子を含む。
低分子有機化合物を動作物質とすることで、高分子重合
体のみを用いる場合に比べて温度−抵抗曲線のヒステリ
シスが小さくなる。また、高分子の融点変化を利用して
動作温度を調整する場合に比べ、融点の異なる低分子有
機化合物を用いることで容易に動作温度を調整すること
ができる。低分子有機化合物と導電性粒子のみの構成で
は、低分子有機化合物の溶融粘度が低いために、動作す
ると素子の形状が保てないが、熱可塑性高分子マトリッ
クスを用いることにより、動作時の低分子有機化合物の
融解による流動、素子の変形等を防ぐことができる。
【0041】この場合、熱可塑性高分子マトリックス
は、結晶性でも非晶性でも用いることができ、特に制限
されないが、ポリオレフィン(共重合体を含む)を用い
ると良好な特性が得られるので好ましい。
【0042】このような熱可塑性高分子マトリックスと
しては、 i)ポリオレフィン(例えばポリエチレン) ii)1種または2種以上のオレフィン(例えばエチレ
ン、プロピレン)と、1種または2種以上の極性基を含
有するオレフィン性不飽和モノマーとから誘導されたモ
ノマー単位で構成されたコポリマー(例えばエチレン−
酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマ
ー)、 iii)ハロゲン化ビニルおよびビニリデンポリマー(例
えばポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライ
ド、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオラ
イド)、 iv)ポリアミド(例えば12−ナイロン)、 v)ポリスチレン、 vi)ポリアクリロニトリル、 vii)熱可塑性エラストマー、 viii)ポリエチレンオキシド、ポリアセタール、 ix)熱可塑性変性セルロース、 x)ポリスルホン類、 xi)ポリエチルアクリレート、ポリメチル(メタ)アク
リレート等が挙げられる。具体的には、高密度ポリエチ
レン[例えば、商品名ハイゼックス2100JP(三井
石油化学製)、商品名Marlex6003(フィリッ
プス社製)、商品名HY540(日本ポリケム製)
等]、低密度ポリエチレン[例えば、商品名LC500
(日本ポリケム製)、商品名DYNH−1(ユニオンカ
ーバイド社製)等]、中密度ポリエチレン[例えば、商
品名2604M(ガルフ社製)等]、エチレン−エチル
アクリレートコポリマー[例えば、商品名DPD616
9(ユニオンカーバイド社製)等]、エチレン−酢酸ビ
ニルコポリマー[例えば、商品名LV241(日本ポリ
ケム製)等]、エチレン−アクリル酸コポリマー[例え
ば、商品名EAA455(ダウケミカル社製)等]、ア
イオノマー[例えば、商品名ハイミラン1555(三井
・デュポンポリケミカル社製)等]、ヘキサフルオロエ
チレン−テトラフルオロエチレンコポリマー[例えば、
商品名FEP100(デュポン社製)等]、ポリビニリ
デンフルオライド[例えば、商品名Kynar461
(ペンバルト社製)等]などが挙げられる。
【0043】このような熱可塑性高分子の重量平均分子
量Mwは1万〜500万程度であることが好ましい。
【0044】これらの熱可塑性高分子は1種を用いても
よいが、2種以上用いることが好ましい。融点の異なる
熱可塑性高分子マトリックスを2種以上用いると、特性
安定性が非常に向上し、抵抗増大後のNTC現象、温度
−抵抗曲線のヒステリシス、不安定な室温抵抗が大幅に
改善され、低い室温抵抗と動作時の大きな抵抗変化とが
安定して長期に渡って維持される。特に、高温高湿加速
試験や断続負荷試験において、その効果は顕著である。
動作時に低分子有機化合物が溶融すると、その粘度が低
いために低分子有機化合物に分散していた導電性粒子の
再配列は容易に起こりうると思われるが、低分子有機化
合物の融点に比較的近い低融点をもつ高分子マトリック
スを用いることで、低分子有機化合物が溶融した直後に
この高分子マトリックスが融解を始めるため、溶融成分
の粘度が高くなり、導電性粒子の再配列が抑制され、そ
の結果、抵抗増大後のNTC現象、温度−抵抗曲線のヒ
ステリシスは小さくなると考えられる。また、高融点の
熱可塑性高分子マトリックスを用いることで、系全体が
膨張することが抑制されるので、長期に渡って安定して
低い室温抵抗が得られると考えられる。
【0045】低融点の熱可塑性高分子の融点は、低分子
有機化合物の融点よりも15℃以上、特に20〜30℃
高いことが好ましい。低融点熱可塑性高分子の融点がこ
れより高いと、低分子有機化合物の溶融時に高分子が溶
融しにくいので、溶融成分の粘度上昇の効果が低くなる
傾向がある。低融点熱可塑性高分子の融点がこれより低
いと、低分子有機化合物の融解による急激な抵抗の上昇
が鈍くなる傾向がある。高融点の熱可塑性高分子マトリ
ックスの融点は、低分子有機化合物の融点よりも30℃
以上、特に40〜110℃高いことが好ましい。高融点
熱可塑性高分子の融点がこれより高いと、混練温度が高
くなるため低分子有機化合物の熱劣化が起こる可能性が
ある。高融点熱可塑性高分子の融点がこれより低いと、
動作時の低分子有機化合物の融解による流動、素体の変
形等を防ぐことが難しくなる傾向がある。低融点熱可塑
性高分子の融点と高融点熱可塑性高分子の融点との差
は、20℃以上、特に20〜50℃であることが好まし
い。また、低融点の熱可塑性高分子マトリックスの融点
は、通常、60〜130℃であることが好ましい。高融
点の熱可塑性高分子マトリックスの融点は、通常、80
〜150℃であることが好ましい。
【0046】また、低融点の熱可塑性高分子マトリック
スのASTM D1238で定義されるメルトフローレート(MF
R)は、1〜20g/10min、特に1〜10g/10m
inであることが好ましい。MFRが1〜20g/10mi
nの高分子を用いることによって、低分子有機化合物が
溶融するとき(動作時)の溶融成分の粘度を高くし、導
電性粒子の再配列を抑制するため、特性安定化の効果が
大きい。MFRがこれより大きいと、低分子有機化合物
の溶融時の溶融成分の粘度を十分高くすることが困難に
なり、高分子マトリックス、低分子有機化合物および導
電性粒子の分散状態等が変化しやすくなる傾向がある。
MFRがこれより小さいと、低分子有機化合物の溶融時
の溶融成分の粘度が高くなりすぎ、特性安定化の効果が
得られにくくなってくる他、高分子マトリックス、低分
子有機化合物および導電性粒子の分散が困難になる傾向
がある。
【0047】低融点の熱可塑性高分子マトリックスとし
ては、低密度ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニルコポ
リマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチル
アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート等のオ
レフィン系コポリマーが好ましく、特に低密度ポリエチ
レン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ア
クリル酸コポリマー、中でも低密度ポリエチレンが好ま
しい。
【0048】高融点の熱可塑性高分子マトリックスとし
ては、適当な融点、溶融粘度を有するので、高密度ポリ
エチレンを用いることが特に好ましい。
【0049】高密度ポリエチレンのASTM D1238で定義さ
れるメルトフローレート(MFR)は、3.0g/10
min以下、特に1.5g/10min以下が好ましい。MF
Rがこれより高いと、溶融粘度が低すぎて、特性の安定
性に劣る傾向が見られる。MFRの下限は特にないが、
通常0.1g/10min程度である。
【0050】融点の異なる熱可塑性高分子マトリックス
3種以上を併用してもかまわないが、MFR3.0g/
10min以下の高密度ポリエチレンとMFR1〜20g
/10minの低密度ポリエチレンやオレフィン系コポリ
マー、特に好ましくは低密度ポリエチレンを用いること
が好ましい。
【0051】高融点の熱可塑性高分子マトリックスと低
融点の熱可塑性高分子マトリックスの重量比は、1:4
〜9:1、特に1:3〜8:1であることが好ましい。
低融点熱可塑性高分子マトリックスがこれより多いと、
初期抵抗の安定性が低下する傾向がある。低融点熱可塑
性高分子マトリックスがこれより少ないと、抵抗増加後
のNTC現象が見られたり、温度−抵抗曲線のヒステリ
シスが大きくなる傾向がある。
【0052】高分子マトリックスは上記のような熱可塑
性樹脂(架橋していてもよい)のみで構成されることが
好ましいが、場合によってはエラストマー、熱硬化性樹
脂またはその混合物を含んでいてもよい。
【0053】動作物質の低分子有機化合物は、重量平均
分子量が1000程度まで、好ましくは200〜800
の結晶性物質であれば特に制限はないが、常温(25℃
程度の温度)で固体であるものが好ましい。
【0054】低分子有機化合物としては、前述のポリエ
チレンオキシドと併用する非水溶性低分子有機化合物と
して挙げたものと同様のものが挙げられる。低分子有機
化合物は、各成分の分散を良好にするために、高分子マ
トリックスの極性を考慮して適宜選択すればよい。低分
子有機化合物としては石油系ワックスが好ましい。
【0055】これらの低分子有機化合物は、市販されて
おり、市販品をそのまま用いることができる。
【0056】人体に対しての安全性を考えると、動作温
度は100℃以下であることが好ましく、その場合、低
分子有機化合物としては、融点mpが40〜100℃で
あるものを用いることが好ましい。このようなものとし
ては、前述のポリエチレンオキシドと併用する非水溶性
低分子有機化合物として挙げたものと同様のものが挙げ
られる。
【0057】低分子有機化合物は、動作温度等によって
1種あるいは2種以上を選択して用いることができる。
【0058】低分子有機化合物の重量は、熱可塑性高分
子マトリックスの合計重量の0.2〜4倍、特に0.2
〜2.5倍であることが好ましい。この混合比が小さく
なって低分子有機化合物の量が少なくなると、抵抗変化
率が十分得られにくくなってくる。反対に混合比が大き
くなって低分子有機化合物の量が多くなると、低分子化
合物が溶融する際に素体が大きく変形する他、導電性粒
子との混合が困難になってくる。
【0059】本発明で用いる導電性粒子は金属であれば
特に限定されず、必要な導電性を有し、メッキ金属と一
体化するものあれば制限なく用いることができる。
【0060】本発明で使用できる導電性粒子としては、 金属粒子:Ni、Ti、Cu、Ag、Pd、Au、Pt
等; 金属コーティング粒子:カーボンブラック、Al23
TiO2等の粒子にAgメッキ層を形成したもの、Ba
TiO3等の粒子にPdメッキ層を形成したもの; 金属繊維:長さ1mm 以下で、アスペクト比10以上の
Ni、Ti、Cu、Ag、Pd、Au、Pt等 などが挙げられる。これらの導電性粒子あるいは繊維か
ら少なくとも1種を選択すればよい。具体的には、電極
の形成方法や要求されるPTCサーミスタ特性などに応
じて適宜選択すればよいが、Niを用いることが好まし
い。また、電極の金属種と同一の金属種であること、例
えば、Niメッキを行う場合には導電性粒子としてNi
粒子を用いることが、一体化する上で好ましい。
【0061】導電性粒子の形状は特に限定されず、フレ
ーク状、球状、不定形等のいずれであってもよいが、好
ましくは非球形、特に、例えば特開平5−47503号
公報、米国特許第5378407号明細書や特願平8−
332979号に記載されているようなスパイク状の突
起を有するものを用いることが好ましい。多数の突起を
有するスパイク状粒子を用いると、剥離強度が強くな
る。スパイク状の突起を有する導電性粒子を用いると、
その形状によりトンネル電流が流れやすくなり、球状の
導電性粒子と比較して低い室温抵抗が得られる。また、
導電性粒子間の間隔が球状のものと比較して大きいた
め、動作時にはより大きな抵抗変化が得られる。
【0062】スパイク状の突起を有する導電性粒子は、
1個、1個が鋭利な突起をもつ一次粒子から形成されて
おり、粒径の1/3〜1/50の高さの円錘状のスパイ
ク状の突起が1個の粒子に複数(通常10〜500個)
存在するものである。その材質は金属、特にNi等が好
ましい。
【0063】このような導電性粒子は、1個、1個が個
別に存在する粉体であってもよいが、一次粒子が10〜
1000個程度鎖状に連なり二次粒子を形成しているこ
とが好ましい。鎖状のものには、一部一次粒子が存在し
てもよい。前者の例としては、スパイク状の突起をもつ
球状のニッケルパウダがあり、商品名INCO Typ
e 123ニッケルパウダ(インコ社製)として市販さ
れており、その平均粒径は3〜7μm 程度、見かけの密
度は1.8〜2.7g/cm3程度、比表面積は0.34
〜0.44m2/g程度である。
【0064】また、好ましく用いられる後者の例として
は、フィラメント状ニッケルパウダがあり、商品名IN
CO Type 210、255、270、287ニッ
ケルパウダ(インコ社製)として市販されており、この
うちINCO Type 255、287が好ましい。
そして、その一次粒子の平均粒径は、特に0.5〜4μ
m 程度が好ましいまた、見かけの密度は0.3〜1.0
g/cm3程度、比表面積は0.4〜2.5m2/g程度で
ある。
【0065】なお、この場合の平均粒径はフィッシュー
・サブシーブ法で測定したものである。
【0066】導電性金属粒子の好ましい平均粒径は、そ
の種類や形状、径の測定法などによっても異なるが、通
常、0.5〜4μm 程度、特に1〜4μm 程度の比較的
大きな粒子が好ましい。小さな球状粒子では容易に樹脂
マトリクスから抜けてしまい、剥離強度が低下する。
【0067】素体中の導電性粒子の比率(体積比)は、
要求されるPTCサーミスタ特性が得られ、かつ非動作
時に十分に抵抗値が低くなるように適宜決定すればよ
い。導電性粒子の好ましい比率{導電性粒子/(重合体
+導電性粒子)}は、導電性粒子の種類やその形状等の
各種条件によっても異なるが、好ましくは15〜65体
積%、より好ましくは20〜50体積%である。導電性
粒子の比率が低すぎると素体の抵抗値が高くなるので、
大電流を流す用途には好ましくない。また、電気メッキ
法による電極の形成が困難になる。一方、導電性粒子の
比率が高すぎると、導電性粒子を重合体と混練する際に
均一な分散が困難となるほか、耐電圧等の特性が劣化し
やすくなる。また、PTC特性が発現しなくなることも
ある。
【0068】導電性粒子は、重量比で、ポリエチレンオ
キシド結晶性重合体と非水溶性ポリマーおよび/または
非水溶性低分子有機化合物との合計量の2〜5倍程度で
あることが好ましい。導電性粒子が少なくなりすぎる
と、非動作時の初期抵抗を充分に低くすることができな
くなる。また、導電性粒子が多くなりすぎると、非動作
時から動作時にかけての抵抗変化率が小さくなる上、混
練が困難になる。
【0069】導電性粒子の重量は、熱可塑性高分子マト
リックスと低分子有機化合物の合計重量の1.5〜5倍
であることが好ましい。この混合比が小さくなって導電
性粒子の量が少なくなると、非動作時の室温抵抗を十分
低くすることができなくなってくる。反対に導電性粒子
の量が多くなると、大きな抵抗変化率が得られにくくな
り、また、均一な混合が困難になって安定した特性が得
られにくくなってくる。
【0070】電極 本発明の有機PTCサーミスタは、サーミスタ素体表面
に露出している導電性金属粒子と一体的に形成されたメ
ッキ膜を電極とする。一体的とは、導電性金属粒子と電
極との間に界面をもたないことをいう。
【0071】電極材料として用いられるメッキ用金属の
種類は、必ずしも導電性金属粒子の金属種と同一でなく
てもよいが、一体化を確実にするためには同種であるこ
とが好ましい。
【0072】電極の厚さは、特に規定されないが、通
常、10〜300μm 程度とする。
【0073】電極と一体化した導電性粒子は半分以上が
サーミスタ素体に埋没していることが好ましく、埋没部
分の大きさおよび形状によって剥離強度に影響がある。
特に、導電性金属粒子が、サーミスタ素体の表面、つま
り、重合体の表面からその粒径の10%以上50%未満
の範囲で露出していることが好ましい。露出している部
分がこれより小さいと、一体化して電極を形成しにく
く、また、サーミスタ素体と電極との接触抵抗を十分低
減することが困難になり、剥離強度も低くなってくる。
一方、露出している部分がこれより大きいと、導電性粒
子が重合体から完全に浮いてしまうため、剥離強度が低
下してきたり、電極抵抗が増大してくる。導電性金属粒
子は、通常、サーミスタ素体の表面の20〜40%の範
囲を占めている。
【0074】電極は、抵抗が低いほどよく、また、PT
Cサーミスタとして動作する温度域において抵抗値の上
昇がほとんど生じないことが好ましい。すなわち、PT
Cサーミスタとして動作する際に、電極の抵抗値がサー
ミスタ素体の抵抗値よりも著しく低くなることが好まし
い。具体的には、PTC動作温度において、電極の抵抗
値がサーミスタ素体の抵抗値の1/100以下であれば
よい。また、非動作時(25℃)においては、電極の抵
抗値はサーミスタ素体の抵抗値の好ましくは同等以下、
より好ましくは1/10以下である。なお、ここでいう
PTC動作温度での抵抗値とは、(Rmax+R25)/2
を意味する。Rmaxは昇温したときの最大抵抗値であ
り、R25は25℃における抵抗値である。
【0075】PTCサーミスタ素体の製造 サーミスタ素体は、通常、以下に示す手順で製造する。
まず、高分子重合体に低分子有機化合物、導電性粒子を
加えて、重合体の融点または軟化点以上の温度に保ち、
導電性粒子が均一に分散されるまでミルやロール等によ
り十分に混練する。次いで、押し出し成型機やロール成
型機などを用いてシート状等に成形し、必要に応じ架橋
処理を施して、サーミスタ素体を得る。
【0076】また、高分子重合体、低分子有機化合物の
熱劣化を防止するために酸化防止剤を混入することもで
き、フェノール類、有機イオウ類、フォスファイト類な
どが用いられる。
【0077】架橋方法は、放射線架橋、有機過酸化物に
よる化学架橋、シラン系カップリング剤をグラフト化し
シラノール基を縮合反応する水架橋等があるが、水架橋
を行うことが好ましい。特に、ビニル基または(メタ)
アクリロイル基と、アルコキシ基とを有するシラン系カ
ップリング剤、中でもC=C結合含有トリアルコキシシ
ランで架橋処理することが好ましい。これにより、保存
時、繰り返し動作時の特性安定性が著しく向上する。
【0078】シラン系カップリング剤としては、具体的
には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラ
ン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチ
ルジエトキシシラン等が挙げられる。中でも、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好まし
い。
【0079】カップリング処理は、高分子重合体、低分
子有機化合物、導電性粒子の混練物中に、好ましくは高
分子重合体と低分子有機化合物の合計重量の0.1〜5
重量%のシラン系カップリング剤を滴下し、よく混合し
た後、水架橋する。ビニル基をもつシラン系カップリン
グ剤を用いる場合は、カップリング剤の5〜20重量%
の有機過酸化物、例えば、2,2−ジ−(t−ブチルパ
ーオキシ)ブタン、ジクミルパーオキサイド、1,1−
ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン等をともに混入させ、ビニル基を介して有
機物、つまり高分子重合体と低分子有機化合物とにグラ
フト化を行う。そして、混練物をプレス成型した後、水
の存在下で架橋処理を行う。具体的には、触媒としてジ
ブチルすずジラウレート、ジオクチルすずジラウレー
ト、酢酸すず、オクト酸すず、オクト酸亜鉛などの金属
カルボキシレートを用い、温水中で6〜8時間成形体を
浸積して行う。中でもジブチルすずジラウレートを触媒
に用いることが好ましい。架橋温度は、繰り返し動作等
の特性の安定性を高めるために、低分子有機化合物の融
点以下で行うことが好ましい。架橋処理した後、成形体
を乾燥すればサーミスタ素体が得られる。
【0080】選択除去工程 サーミスタ素体製造後、サーミスタ素体の表面から高分
子重合体、低分子有機化合物を選択的に除去して導電性
粒子をサーミスタ素体表面に露出させる。選択除去工程
を設ける理由は、以下のとおりである。
【0081】上記したような方法で製造されたサーミス
タ素体の表面には、導電性粒子と高分子重合体、低分子
有機化合物との混合比に応じてそれぞれ分布していると
期待される。しかし、本発明者らの研究によれば、前述
したように素体表面付近の導電性粒子は、その表面が重
合体(以後、低分子有機化合物も含めていう)の薄膜で
覆われていることがわかった。具体的には、導電性粒子
と重合体との組み合わせにもよるが、走査型電子顕微鏡
による表面観察および原子間力顕微鏡による表面導電率
の測定の結果から、素体表面付近に存在する導電性粒子
の最大90%程度が、厚さ0.1〜3μm程度の重合体
層に覆われていることがわかった。
【0082】このような素体表面に電極を形成すると、
電極と素体との接触抵抗が著しく高くなってしまい、好
ましくない。そこで本発明では、素体表面付近に存在す
る導電性粒子を覆う重合体膜を除去するために、選択除
去工程を設ける。
【0083】重合体の除去深さは、導電性粒子が十分に
露出するように、導電性粒子と重合体との組み合わせに
応じて適宜決定すればよい。前述の通り、導電性金属粒
子が、サーミスタ素体の表面からその粒径の10%以上
50%未満の範囲で露出するように除去深さを決めるこ
とが好ましいが、除去深さの絶対値としては、好ましく
は0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmで
ある。選択除去する深さが浅すぎると、選択除去による
効果が不十分となる。一方、選択除去する深さが深すぎ
ると、導電性粒子が重合体から完全に浮いてしまうた
め、電極付着強度の低下、電極抵抗の増大を招く。
【0084】重合体の選択除去に用いる方法は、重合体
および導電性粒子からなるサーミスタ素体から重合体を
選択的に除去でき、かつサーミスタ素体にダメージを与
えないように、両者の組み合わせを考慮して適宜選択す
ればよく、特に限定されるものではないが、本発明で
は、例えば以下に説明する方法を用いることが好まし
い。
【0085】気体放電プラズマを利用する選択除去法 この方法では、サーミスタ素体を置いた真空槽内に放電
用ガスを導入して気体プラズマを発生させ、プラズマの
イオン衝撃やプラズマ中で生成される活性酸化性ガスに
より、重合体を選択的に除去する。放電用ガスとして
は、Ar等の不活性ガス、酸素などの酸化性ガスまたは
これらの混合ガスを用いればよいが、好ましくは少なく
とも酸化性ガスを含むものを用いる。具体的には、プラ
ズマ処理法、反応性イオンエッチング法、逆スパッタ法
などを用いればよい。反応性イオンエッチング法では酸
素等の酸化性ガスを放電用ガスとして用い、また、逆ス
パッタ法ではAr等の不活性ガスを放電用ガスとして用
いる。そして、両方法では、エッチング対象物を電極と
して用いる。一方、プラズマ処理法は、反応性イオンエ
ッチング法や逆スパッタ法とは異なり、エッチング対象
物を電極として用いず、単にプラズマ雰囲気に曝す方法
である。
【0086】プラズマ処理法に用いる処理装置は特に限
定されないが、通常、バレル型プラズマ処理装置を用い
ることが好ましい。バレル型プラズマ処理装置では、反
応性イオンエッチング装置や逆スパッタ法に用いるスパ
ッタエッチング装置と異なり、被エッチング試料は電極
上には配置されず、周囲から電気的に絶縁された状態で
プラズマに曝される。具体的には、例えば石英製チャン
バー中に対向電極を配置した構成とされる。この装置で
は、まず、チャンバー内に被エッチング試料を挿入した
後、チャンバー内部を例えば10Pa以下まで排気する。
次に、チャンバー内に酸素などの酸化性ガスを含んだ放
電用ガスを導入し、真空ポンプの排気速度を調整してチ
ャンバー内の圧力を100Pa程度に保つ。この状態で電
極に高周波電力を投入してプラズマを発生させる。エッ
チング中に試料を100℃程度に加熱することで、エッ
チング時間を1/3以下に短縮することも可能である。
プラズマ励起に用いる高周波電力は、通常使われる周波
数13.56MHzのものに限らず、例えば100kHz程度
の比較的低周波から2.45GHz程度のマイクロ波ま
で、プラズマ発生が可能な周波数のものであれば同等の
エッチング効果が得られる。
【0087】プラズマ処理法は、反応性イオンエッチン
グ法や逆スパッタ法などに比べエッチング速度はやや遅
くなるが、プラズマ処理法では、プラズマ発生のための
高電圧が試料に直接印加されないため、装置の構成が簡
単となること、多数の試料を同時にエッチングすること
が可能であること、試料の両面を同時にエッチングする
ことが容易であること、例えばシート状試料を巻き取り
式に連続処理することが装置の構造的に容易であること
などの長所がある。すなわち、プラズマ処理法を用いる
方法は、低コストであり、生産性が良好である。一方、
反応性イオンエッチング法は、逆スパッタ法に比べ、重
合体をエッチングする際の選択性に優れる点で好まし
い。
【0088】気体放電プラズマを利用する方法では、重
合体の組成にもよるが、素体表面の重合体を数十秒間か
ら数十分間で最大20μm程度の深さまで選択的に除去
することが可能である。
【0089】紫外線照射およびオゾン含有雰囲気への曝
露の少なくとも一方を利用する選択除去法 サーミスタ素体に紫外線を照射することにより、重合体
中の原子間の結合を切断することができる。紫外線照射
を酸化性雰囲気中で行えば、分解物を周囲の酸化性ガス
により酸化除去することができる。一方、紫外線照射を
不活性ガス中で行った後、水洗やエッチングすることな
どによっても、重合体を除去することができる。なお、
この場合のエッチングは有機溶媒などを用いて行えばよ
い。
【0090】また、強力な酸化力をもつオゾンを含む雰
囲気にサーミスタ素体を曝露して、オゾンを重合体と直
接反応させることにより重合体を選択除去することもで
きる。
【0091】また、紫外線照射とオゾン含有雰囲気への
曝露とを併用することもできる。併用する方法では、紫
外線照射により重合体中の原子間の結合を切断し、これ
をオゾンにより強力に酸化して除去する。
【0092】なお、紫外線照射法に用いる酸化性雰囲気
は特に限定されず、例えば空気であってもよい。また、
上記各方法で用いるオゾン含有雰囲気中のオゾン濃度は
特に限定されず、必要な除去速度が得られるように適宜
決定すればよい。
【0093】紫外線照射を利用する方法およびオゾン含
有雰囲気に曝露する方法では、気体放電プラズマを用い
た方法と比較してエッチング速度は遅くなるが、真空装
置を用いないため低コスト化がはかれ、大面積のエッチ
ング処理が可能である点でも優れている。また、紫外線
照射とオゾン含有雰囲気への曝露とを併用する方法で
は、気体プラズマを利用する方法に匹敵するエッチング
速度が得られる。具体的には、例えば、市販のUVオゾ
ンクリーナーを用いれば、10分間程度で最大20μm
程度の深さまで選択除去が可能である。なお、UVオゾ
ンクリーナーとは、紫外線ランプによる試料への紫外線
照射と同時に空気中の酸素を紫外線でオゾン化し、発生
したオゾンを試料と反応させる装置である。
【0094】レーザー光照射を利用する選択除去法 サーミスタ素体にレーザー光を照射すると、レーザー光
の強力な光化学的励起により重合体の分子間結合が切
れ、重合体が乖離、分解、飛散する。これを利用するこ
とにより、重合体を素体表面から選択的に除去すること
ができる。この方法は一般にレーザーアブレーション法
と呼ばれ、光分解除去加工の一種であり、分子間結合が
比較的弱いものである樹脂ではエッチングレートが高
く、金属等の無機材料ではエッチングレートが一般に低
くなるため、素体から重合体を選択的に除去する際の選
択性に優れる。また、加工の際の素体の温度上昇がほと
んどないため、高品位加工が可能である。また、短時間
で深いエッチングが可能である。また、レーザー光の走
査により大面積の加工も可能である。
【0095】この方法に用いるレーザー加工装置として
は、エキシマレーザー加工装置が好ましい。エキシマレ
ーザーとしては、KrF、ArF、NeF、XeF等の
いずれであってもよく、いずれも同等の効果が得られ
る。エキシマレーザーのパワーは特に限定されず、重合
体と導電性粒子との組み合わせに応じて適宜決定すれば
よいが、通常、エネルギー密度として0.1〜6J/cm2
程度、好ましくは0.5〜4J/cm2程度である。
【0096】なお、エキシマレーザーとはエッチング原
理が異なり、エキシマレーザーを利用する場合に比べエ
ッチングの選択性に劣るが、炭酸ガスレーザーやYAG
レーザーなどでエッチングを行うこともできる。
【0097】サンドブラストを利用する選択除去法 サーミスタ素体表面をサンドブラスト加工することによ
り、素体表面付近の重合体を除去することができる。た
だし、この方法は、重合体を選択除去する際の選択性に
劣る。また、サーミスタ素体の物理的ダメージや不純物
混入などが生じるため、サーミスタ特性の劣化を招くこ
とがある。
【0098】有機溶剤暴露または有機溶剤蒸気暴露する
選択除去法 サーミスタ素体を有機溶剤暴露または有機溶剤蒸気暴露
することにより、素体表面付近の重合体を除去すること
ができる。有機溶剤としては、パラキシレン、N−メチ
ル−2−ピロリドン、ジクロロエタン、N,N−ジメチ
ルホルムアミドなどを用いることができる。ただし、こ
の方法は、重合体を選択的に除去することが難しくな
る。また、素体中へのエッチング液の浸透は避けられな
いので、サーミスタ特性の不安定化や信頼性低下を招く
ことがある。
【0099】選択除去工程においては、プラズマ処理
法、反応性イオンエッチング法、紫外線照射、オゾン含
有雰囲気への曝露またはレーザー光照射のいずれかを用
いることが好ましい。
【0100】電極形成工程 重合体を選択除去した後、サーミスタ素体表面に電極を
形成する。電極は、メッキ法、好ましくは電気メッキ法
により形成する。
【0101】電気メッキによる電極層は、サーミスタ素
体を陰極とし、金属板を陽極として行うが、開始直後の
短時間の間は陰極と陽極とを逆にして通電し、金属導電
性粒子表面の酸化物を還元除去または溶解させる。この
ように電解エッチングすることによって、電極と導電性
金属粒子との一体化が確実となり、電気的接続および剥
離防止が効果的となる。すなわち、還元または一部溶解
することによってフレッシュな金属面が生成し、次いで
形成されるメッキ金属との界面がなくなり、一体化が確
実となるからである。金属粒子表面がわずかでも酸化さ
れていたりすると、そこから剥離してしまう。
【0102】電解エッチングは、重合体を選択除去した
サーミスタ素体を陽極とし、金属板を陰極として行う。
電解エッチングの条件は、用いる導電性金属粒子、重合
体等により適宜決めればよいが、通常、液温10〜80
℃、好ましくは20〜60℃、電流密度0.2〜10A/
cm2、好ましくは0.5〜5A/cm2で0.5〜10分間、
好ましくは1〜5分間行えばよい。電解液としては、通
常、電極形成の際のメッキ液を用いる。金属板も、通
常、電極形成の際のメッキ材料(電極材料)を用いる。
【0103】そして、電解エッチングの後、電極を好ま
しくは電気メッキ法により形成する。
【0104】電気メッキは、サーミスタ素体を陰極と
し、金属板を陽極として行う。メッキ条件は、用いる電
極材料、導電性金属粒子、重合体等により適宜決めれば
よいが、通常、メッキ浴温度10〜80℃、好ましくは
20〜60℃、電流密度0.2〜10A/cm2、好ましく
は0.5〜5A/cm2で行えばよい。メッキ液は、通常、
用いられているものを使用すればよい。メッキ時間は、
成膜する電極の厚さに応じて適宜決めればよいが、通
常、10〜60分間程度行えばよい。メッキの際、溶液
は攪拌していることが好ましい。
【0105】電極は、結晶の大きさが均一で細かいほど
好ましい。電流密度が小さいと、ゆっくりと析出が起こ
るので、大きな結晶ができやすい。逆に、大きい電流密
度でメッキすると、一つの結晶が成長していくよりも新
しい結晶が次々とできていくので、小さな結晶が得られ
る。しかし、電流密度があまりに大きくなると、金属の
析出と同時に水素も発生し、孔があいたメッキになった
り、ぼろぼろのメッキになったりする。メッキ浴の温度
を高くすると、大きい結晶が析出しやすくなる。また、
均一の厚さのメッキ膜を得るためには、メッキ浴の伝導
性を大きくすることが好ましい。
【0106】
【実施例】実施例1 サンプルNo.101 以下に示す手順で有機PTCサーミスタサンプルを作製
した。
【0107】サーミスタ素体の作製 高融点高分子マトリックスとして高密度ポリエチレン
(日本ポリケム製、商品名HY540;MFR1.0g
/10min、融点135℃)、低融点高分子マトリック
スとして低密度ポリエチレン(日本ポリケム製、商品名
LC500;MFR4.0g/10min、融点106
℃)、低分子有機化合物としてパラフィンワックス(日
本精蝋社製、商品名HNP−10、融点75℃)、導電
性粒子としてフィラメント状ニッケルパウダ(INCO
社製、商品名Type255ニッケルパウダ)を用い
た。なお、フィラメント状パウダーは、スパイク状突起
を有する粒子が連なって形成された粒子からなるもので
ある。導電性粒子の平均粒径は2.2〜2.8μm 、見
かけの密度は0.5〜0.65g/cm3、比表面積は0.
68m2/gである。
【0108】高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレン
との重量比を4:1とし、その合計重量の4倍重量のニ
ッケルパウダを加え、この混合物をミル中、150℃で
5分間混練した。そして、高密度ポリエチレンと低密度
ポリエチレンの合計重量と等重量のパラフィンワックス
と、ワックスの4倍重量のニッケルパウダとをさらに加
えて混練した。そして、シラン系カップリング剤として
有機物の合計重量の0.5重量%のビニルトリエトキシ
シラン(信越化学工業製、製品名KBE1003)と、
有機過酸化物としてシラン系カップリング剤の20重量
%の2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン(化
薬アクゾ製、製品名トリゴノックスD−T50)とを混
練物中に滴下し、さらに60分間混練した。
【0109】この混練物を150℃で厚さ1mmのシート
状に熱プレス機で成形した。そして、このシートをジブ
チルすずジラウレート(東京化成製)20重量%乳濁水
液に浸積し、65℃で8時間架橋処理を行った。この架
橋処理したシートを真空乾燥し、厚さ1mmのシート状の
サーミスタ素体を得た。サーミスタ素体中の導電性粒子
の比率は、35体積%であった。
【0110】選択除去工程 このサーミスタ素体に対し、UVオゾンクリーナー(オ
ーク製作所製VUM-3073-13-00)を用いて、オゾン含有雰
囲気中での紫外線照射を行った。このUVオゾンクリー
ナーは、40Wの低圧水銀ランプを4本備えたものであ
り、有効照射面積は20cm×20cmである。5分間の紫
外線照射およびオゾン含有雰囲気への曝露により、サー
ミスタ素体表面から約10μmの深さまでの重合体が選
択的に除去された。
【0111】選択除去前および選択除去後のサーミスタ
素体表面の走査型電子顕微鏡写真を見たところ、選択除
去処理前には素体表面付近の導電性粒子が薄い膜状の重
合体、低分子有機化合物を被っており、選択除去処理後
には導電性粒子が露出していた。また、選択除去処理の
前後での素体表面の導電性を原子力間顕微鏡の電流印加
モードを用いて評価したところ、選択除去処理前の素体
表面がほとんど絶縁状態であり、選択除去処理により表
面の導電性が著しく向上した。
【0112】電極形成工程 メッキ液として、硫酸ニッケル290g/l、塩化ニッケ
ル50g/l、ホウ酸40g/lを含有する水溶液を用いた。
そして、このメッキ液を電解液とし、重合体、低分子有
機化合物を選択除去したサーミスタ素体を陽極とし、ニ
ッケル板を陰極として電解エッチングを行った。電解エ
ッチングの条件は、液温50℃、電流密度0.5A/cm2
で1分間行った。
【0113】そして、重合体等を選択除去したサーミス
タ素体を陰極とし、ニッケル板を陽極として電気メッキ
を施し、電極を形成した。電気メッキは、液温50℃、
陰極電流密度5A/cm2で20分間行った。このようにし
て表面に、金属電極層として厚さ16μmのNiメッキ
層を形成した。
【0114】金属電極層形成後、直径10mmの円盤状に
打ち抜き、有機PTCサーミスタサンプルとした。
【0115】サンプルNo.102 メッキ浴にpH4.5、液温50℃のスルファミン酸浴
を用いて金属メッキ電極を形成した他はサンプルNo.1
01と同様にして、サンプルNo.102を作製した。
【0116】サンプルNo.103(比較例) 重合体の選択除去を行わなかった他はサンプルNo.10
1と同様にして、サンプルNo.103を作製した。
【0117】サンプルNo.104(比較例) 導電性粒子を平均粒径43nmのカーボンブラック(三菱
化成工業(株)製ダイアブラック(登録商標)E)と
し、配合比を樹脂100重量部に対して75重量部とし
た他はサンプルNo.101と同様にして、サンプルNo.1
04を作製した。
【0118】サンプルNo.105(比較例) 電気メッキ前に電解エッチングを行わなかった他はサン
プルNo.101と同様にして、サンプルNo.105を作製
した。
【0119】上記各サンプルについて、25℃および8
5℃においてそれぞれ抵抗値(初期抵抗値)を測定し
た。次に、室温と120℃との間で加熱・冷却を繰り返
すサイクル試験を1000回繰り返した後、同様にして
抵抗値(サイクル試験後抵抗値)を測定した。なお、抵
抗値の測定には、4端子法を用いた。これらの結果を表
1に示す。
【0120】
【表1】
【0121】表1から、本発明の効果が明らかである。
それぞれ25℃での初期抵抗値およびサイクル試験後抵
抗値を比較すると、サーミスタ素体表面から重合体を選
択除去したサンプルNo.101および102は、選択除
去を行わなかったサンプルNo.103に比べ、著しく低
くなっている。なお、各サンプルとも、85℃では十分
に高い抵抗値が得られている。このように、本発明の方
法により製造された有機PTCサーミスタは、初期抵抗
値が十分に低く、また、剥離強度が高いのでPTC動作
の繰り返しによる抵抗値変動が実用上無視しうる程度に
小さいので、極めて信頼性が高い。
【0122】また、サンプルNo.104のように導電性
粒子としてカーボンブラックを用いた場合、サンプルN
o.105のように電解エッチングを行わなかった場合に
は、メッキ電極との接着性が十分ではなく、繰り返し動
作後の抵抗値が次第に上昇する結果となり、信頼性が不
十分であった。
【0123】上記した加熱・冷却サイクルは、サンプル
全体を加熱するものであるが、加熱をサンプルに通電す
ることにより行った場合でも、1000回の繰り返し後
に上記表1と同等の結果が得られた。
【0124】上記各サンプルに用いた電極について、2
5〜120℃の範囲での抵抗値を求めた。電極単独の抵
抗値は直接測定することができないので、まず、絶縁基
板上に化学メッキを施し、その上に電気メッキ膜を形成
してNiメッキ層を形成し、4探針プローブ法を用いて
比抵抗を測定した。この結果、Niメッキ層の比抵抗は
約1×10-5Ωcmであり、かつ室温から120℃までの
間で比抵抗の変化は認められなかった。この電極抵抗値
と表1に示されるサンプルの抵抗値とから、25℃での
抵抗値R25およびPTC動作温度での抵抗値{(Rmax
+R25)/2}は、いずれも電極がサーミスタ素体に比
べて十分に低いことがわかる。
【0125】実施例2 サンプルNo.201 サーミスタ素体の作製 結晶性重合体としてポリエチレンオキシド(住友精化
製、重量平均分子量4,300,000〜4,800,
000、融点67℃)に、フェノール系および有機イオ
ウ系酸化防止剤(住友化学製、商品名スミライザー−B
HTおよびTP−D)をポリエチレンオキシドの0.5
wt%、相溶化剤(住友化学製、商品名スミエード60
0)をポリエチレンオキシドの5wt%加え、ミル中、8
0℃で10分間混練した。
【0126】次に、ミルの温度を115℃に上げ、非水
溶性重合体として低密度ポリエチレン(日本ポリケム
製、商品名LC500、MFR=4.0g/10mi
n、融点106℃)をポリエチレンオキシドの1.75
重量倍加え、5分間混練した。
【0127】そして、導電性粒子として鎖状のフィラメ
ント状ニッケルパウダ(インコ社製、商品名INCO
Type 255ニッケルパウダ、平均粒径2.2〜
2.8μm、見かけの密度0.5〜0.65g/cm3
比表面積0.68m2/g)をポリエチレンオキシドと低
密度ポリエチレンとの合計重量の4倍量加え、ミル中、
115℃で60分間混練した。得られた混練物をプレス
成型機により成形して、厚さ1mmのシート状のサーミス
タ素体を得た。サーミスタ素体中の導電性粒子の比率
は、35体積%であった。
【0128】選択除去工程 このサーミスタ素体を反応性イオンエッチング型アッシ
ング装置にセットし、エッチングを行った。放電用ガス
にはO2を用い、放電圧力は20Paとし、電力密度は
0.25W/cm2とし、放電時間は2分間とした。この結
果、サーミスタ素体表面から約10μmの深さまでの重
合体が選択的に除去された。
【0129】選択除去前および選択除去後のサーミスタ
素体表面の走査型電子顕微鏡写真を見たところ、選択除
去処理前には素体表面付近の導電性粒子が薄い膜状の重
合体を被っており、選択除去処理後には導電性粒子が露
出していた。また、選択除去処理の前後での素体表面の
導電性を原子力間顕微鏡の電流印加モードを用いて評価
したところ、選択除去処理前の素体表面がほとんど絶縁
状態であり、選択除去処理により表面の導電性が著しく
向上した。
【0130】電極形成工程 メッキ液として、硫酸銅80g/l、硫酸180g/l、塩酸
0.06ml/lを含有する水溶液を用いた。そして、この
メッキ液を電解液とし、重合体を選択除去したサーミス
タ素体を陽極とし、リン銅板を陰極として電解エッチン
グを行った。電解エッチングの条件は、液温25℃、電
流密度0.5A/cm2で1分間行った。
【0131】そして、重合体を選択除去したサーミスタ
素体を陰極とし、リン銅板を陽極として電気メッキを施
し、電極を形成した。電気メッキは、液温25℃、陰極
電流密度0.5A/cm2で30分間行った。このようにし
て表面に、金属電極層として厚さ16μmのCuメッキ
層を形成した。
【0132】金属メッキ電極層を形成後、直径10mmの
円盤状に打ち抜き、有機PTCサーミスタサンプルとし
た。
【0133】サンプルNo.202(比較例) 重合体の選択除去を行わず、金属電極層(Ni箔)を素
体に熱圧着した他はサンプルNo.201と同様にして、
サンプルNo.202を作製した。
【0134】サンプルNo.203 金属電極層としてサンプルNo.101のものと同じNi
メッキ層を形成した他はサンプルNo.201と同様にし
て、サンプルNo.203を作製した。
【0135】上記各サンプルについて、25℃および1
90℃においてそれぞれ抵抗値(初期抵抗値)を測定し
た。次に、室温と200℃との間で加熱・冷却を繰り返
すサイクル試験を1000回繰り返した後、同様にして
抵抗値(サイクル試験後抵抗値)を測定した。なお、抵
抗値の測定には、4端子法を用いた。これらの結果を表
2に示す。
【0136】
【表2】
【0137】表2から、本発明の効果が明らかである。
すなわち、それぞれ25℃での初期抵抗値およびサイク
ル試験後抵抗値を比較すると、重合体の選択除去を行っ
たサンプルNo.201およびNo.203は、選択除去を行
わなかったサンプルNo.202に比べ著しく低くなって
いる。また、サイクル試験による抵抗値増大は、アンカ
ー効果の大きなサンプルNo.203が、素体表面に直接
金属電極層を形成したサンプルNo.201よりも少なく
なっている。これは、電極と一体的に形成されたスパイ
ク状Ni粒子が樹脂中深く入り込んでいることによる応
力吸収のためと考えられる。このように、本発明の方法
により製造された有機PTCサーミスタは、初期抵抗値
が十分に低く、PTC動作の繰り返しによる抵抗値変動
が実用上無視しうる程度に小さいので、極めて信頼性が
高い。
【0138】上記した加熱・冷却サイクルは、サンプル
全体を加熱するものであるが、加熱をサンプルに通電す
ることにより行った場合でも、1000回の繰り返し後
に上記表2と同等の結果が得られた。
【0139】表2の各サンプルに用いた電極の比抵抗を
実施例1と同様にして測定したところ、実施例1と同様
に電極抵抗値は1×10-5Ω・cmと推定され、かつ電極
抵抗値が温度依存性を示さないことがわかった。この電
極抵抗値と表2に示されるサンプルの抵抗値とから、2
5℃での抵抗値R25およびPTC動作温度での抵抗値
{(Rmax+R25)/2}は、いずれも電極がサーミス
タ素体に比べて十分に低いことがわかる。
【0140】実施例3 結晶性重合体としてポリエチレンオキシド(住友精化
製、重量平均分子量4,300,000〜4,800,
000、融点67℃)、低分子非水溶性有機化合物とし
てオレイン酸アミド(日本精化製、商品名ニュートロン
P)、導電性粒子として鎖状のフィラメント状ニッケル
パウダ(INCO社製、商品名Type255ニッケル
パウダ)を用いた。導電性粒子の平均粒径は2.2〜
2.8μm 、見かけの密度は0.5〜0.65g/cm3
比表面積は0.68m2/gである。
【0141】ポリエチレンオキシドに、オレイン酸アミ
ドをポリエチレンオキシドの20重量%、ニッケルパウ
ダをポリエチレンオキシドの4倍重量、フェノール系お
よび有機イオウ系酸化防止剤(住友化学製、商品名スミ
ライザー−BHTおよびTP−D)をポリエチレンオキ
シドの0.5重量%加え、ミル中、80℃で10分間混
練した。得られた混練物をプレス成型機により成形し
て、厚さ1mmのシート状のサーミスタ素体を得た。サー
ミスタ素体中の導電性粒子の比率は、34体積%であっ
た。
【0142】このサーミスタ素体を用いて、実施例2、
サンプルNo.201と同様にして選択除去を行ったとこ
ろ、サーミスタ素体表面から約10μmの深さまでの重
合体が選択的に除去された。そして、サンプルNo.20
1と同様にして電極を形成し、サンプルNo.301の有
機PTCサーミスタサンプルとした。また、このサーミ
スタ素体を用いて、実施例2、サンプルNo.202(比
較例)と同様にして電極を形成し、サンプルNo.302
(比較例)の有機PTCサーミスタサンプルとした。ま
た、このサーミスタ素体を用いて、実施例2、サンプル
No.203と同様にして選択除去を行い、電極を形成
し、サンプルNo.303の有機PTCサーミスタサンプ
ルとした。
【0143】上記各サンプルについて、25℃および1
90℃においてそれぞれ抵抗値(初期抵抗値)を測定し
た。次に、室温と200℃との間で加熱・冷却を繰り返
すサイクル試験を1000回繰り返した後、同様にして
抵抗値(サイクル試験後抵抗値)を測定した。なお、抵
抗値の測定には、4端子法を用いた。その結果、サンプ
ルNo.301、302(比較例)、303の有機PTC
サーミスタは、それぞれ、サンプルNo.201、202
(比較例)、203と同等の結果が得られた。
【0144】実施例4 サンプルNo.101に使用したサーミスタ素体を、反応
性イオンエッチング型アッシング装置を用いてエッチン
グした。放電用ガスにはO2またはArを用い、放電圧
力は20Paとし、電力密度は0.25W/cm2とし、放電
時間は1分間とした。この結果、サーミスタ素体表面か
ら約5μmの深さまでの重合体が選択的に除去された。
2を用いた反応性イオンエッチング法を利用したとき
のサーミスタ素体表面の走査型電子顕微鏡写真と、Ar
を用いた反応性イオンエッチング法を利用したときのサ
ーミスタ素体表面の走査型電子顕微鏡写真とを見たとこ
ろ、選択除去処理前には素体表面付近の導電性粒子が薄
い膜状の重合体、低分子有機化合物を被っており、選択
除去処理後には導電性粒子が露出していた。また、選択
除去処理の前後での素体表面の導電性を原子力間顕微鏡
の電流印加モードを用いて評価したところ、選択除去処
理前の素体表面がほとんど絶縁状態であり、選択除去処
理により表面の導電性が著しく向上した。
【0145】選択除去方法以外はサンプルNo.101と
同様にして有機PTCサーミスタを作製し、実施例1と
同様な測定を行ったところ、サンプルNo.101と同等
の結果が得られた。
【0146】実施例5 サーミスタ素体の作製 重合体としてポリフッ化ビニリデン(PVDF:米国エ
ルフ・アトケム・ノース・アメリカ社製カイナー71
1)を用意した。この重合体100重量部に対し、シラ
ンカップリング剤(信越化学工業(株)製KBC100
3)を10重量部加え、また、有機過酸化物である2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシン)
ヘキシン−3を1重量部加え、200℃に加熱しながら
二軸押し出し機を用いてグラフト樹脂とした。次に、こ
のグラフト樹脂にスパイク状Ni粉末が全体の20体積
%となるように混合し、200℃に保ったまま1時間混
練した。得られた混練物をプレス成型機により成形し
て、厚さ1mmのシート状のサーミスタ素体を得た。
【0147】選択除去工程 このサーミスタ素体を反応性イオンエッチング型アッシ
ング装置にセットし、エッチングを行った。放電用ガス
にはO2を用い、放電圧力は20Paとし、電力密度は
0.25W/cm2とし、放電時間は1分間とした。この結
果、サーミスタ素体表面から約5μmの深さまでの重合
体が選択的に除去された。なお、放電用ガスとしてAr
を用いた場合、エッチング速度は若干低下したが、O2
を用いた場合とほぼ同様に重合体の選択的な除去が可能
であった。
【0148】選択除去前のサーミスタ素体表面の走査型
電子顕微鏡写真と、放電用ガスとしてO2を用いて選択
除去を行った後のものの走査型電子顕微鏡写真と、放電
用ガスとしてArを用いて選択除去を行った後のものの
走査型電子顕微鏡写真とを見たところ、選択除去処理前
には素体表面付近の導電性粒子が薄い膜状の重合体を被
っており、選択除去処理後には導電性粒子が露出してい
た。また、選択除去処理の前後での素体表面の導電性を
原子力間顕微鏡の電流印加モードを用いて評価したとこ
ろ、選択除去処理前の素体表面がほとんど絶縁状態であ
り、選択除去処理により表面の導電性が著しく向上し
た。
【0149】電極形成工程 サンプルNo.101と同様にして形成した。このように
して作製した有機PTCサーミスタサンプルについて実
施例1と同様な測定を行ったところ、25℃での抵抗値
25は9.5mΩ、120℃での抵抗値R120は130M
Ωであった。比較のため、サーミスタ素体に直接Ni箔
を熱圧着したサンプルを作製し、これについても抵抗値
の測定を行ったところ、R25は20mΩ、R120は150
MΩであった。これらのサンプルについて、室温と14
0℃との間で加熱・冷却を繰り返すサイクル試験を10
00回繰り返した後、同様にして抵抗値を測定したとこ
ろ、本発明サンプルではR25、R120とも初期値の+5
0%以下の変化率にとどまったのに対し、比較サンプル
では電極が完全に剥離し、特性評価が不可能となった。
【0150】実施例6 サーミスタ素体の作製 重合体として重量平均分子量Mwが3万のナイロン12
(融点180℃)を用意し、導電性粒子としてフィラメ
ント状ニッケルパウダー(インコ社製の商品名INCO Typ
e 255ニッケルパウダー)を用意した。なお、フィラメ
ント状パウダーは、スパイク状突起を有する粒子が連な
って形成された粒子からなるものである。このスパイク
状突起を有する粒子は、平均粒径が2.2〜2.8μ
m、見かけの密度が0.5〜0.65g/cm3、比表面積
が0.68m2/gである。
【0151】次に、重合体に導電性粒子を加え、ミル中
で190℃に保持したまま5分間混練した。得られた混
練物をプレス成型機により成形して、厚さ1mmのシート
状のサーミスタ素体を得た。サーミスタ素体中の導電性
粒子の比率は、33体積%であった。
【0152】選択除去工程 このサーミスタ素体を反応性イオンエッチング型アッシ
ング装置にセットし、エッチングを行った。放電用ガス
にはO2を用い、放電圧力は20Paとし、電力密度は
0.25W/cm2とし、放電時間は1分間とした。この結
果、サーミスタ素体表面から約5μmの深さまでの重合
体が選択的に除去された。なお、放電用ガスとしてAr
を用いた場合、エッチング速度は若干低下したが、O2
を用いた場合とほぼ同様に重合体の選択的な除去が可能
であった。
【0153】O2を用いた反応性イオンエッチング法を
利用したときのサーミスタ素体表面の走査型電子顕微鏡
写真と、Arを用いた反応性イオンエッチング法を利用
したときのサーミスタ素体表面の走査型電子顕微鏡写真
とを見たところ、選択除去処理前には素体表面付近の導
電性粒子が薄い膜状の重合体を被っており、選択除去処
理後には導電性粒子が露出していた。また、選択除去処
理の前後での素体表面の導電性を原子力間顕微鏡の電流
印加モードを用いて評価したところ、選択除去処理前の
素体表面がほとんど絶縁状態であり、選択除去処理によ
り表面の導電性が著しく向上した。
【0154】電極形成工程 サンプルNo.101と同様にして形成した。このように
して作製した有機PTCサーミスタサンプルについて実
施例1と同様な測定を行ったところ、25℃での抵抗値
25は8.6mΩ、120℃での抵抗値R120は110M
Ωであった。比較のため、サーミスタ素体に直接Ni箔
を熱圧着したサンプルを作製し、これについても抵抗値
の測定を行ったところ、R25は25mΩ、R120は120
MΩであった。これらのサンプルについて、室温と14
0℃との間で加熱・冷却を繰り返すサイクル試験を10
00回繰り返した後、同様にして抵抗値を測定したとこ
ろ、本発明サンプルではR25、R120とも初期値の+5
0%以下の変化率にとどまったのに対し、比較サンプル
では電極が完全に剥離し、特性評価が不可能となった。
【0155】実施例7 サンプルNo.101に使用したサーミスタ素体を、バレ
ル型プラズマ処理装置(株式会社プラズマシステム製DE
S-106-254AEN)を用いて以下の手順でエッチングした。
この装置は、直径25cm、長さ40cmの円筒形石英チャ
ンバーに対向電極を配置したもので、前述したように被
エッチング試料が電極上に配置されないものである。ま
ず、サーミスタ素体をチャンバー内に挿入した後、チャ
ンバー内部を10Pa以下まで真空排気した。次いで、O
2を導入し、真空ポンプの排気速度を調整してチャンバ
ー内部の圧力を100Paに保った。この状態で、電極に
13.56MHzの高周波電力400Wを投入してプラズマ
を発生させ、サーミスタ素体を15分間プラズマに曝し
た。この結果、サーミスタ素体表面から約10μmの深
さまでの重合体、低分子有機化合物が選択的に除去され
た。
【0156】このようにして選択除去を行ったサーミス
タ素体を用いた他はサンプルNo.101と同様にして有
機PTCサーミスタを作製し、実施例1と同様な測定を
行ったところ、サンプルNo.101と同等の結果が得ら
れた。
【0157】実施例8 サンプルNo.101に使用したサーミスタ素体を、波長
248nmのKrFエキシマレーザーを用いたレーザーア
ブレーション法によりエッチングした。エネルギー密度
は2J/cm2、パルス照射回数は10回とした。この結
果、サーミスタ素体表面から約10μmの深さまでの重
合体、低分子有機化合物が選択的に除去された。
【0158】このようにして選択除去を行ったサーミス
タ素体を用いた他はサンプルNo.101と同様にして有
機PTCサーミスタを作製し、実施例1と同様な測定を
行ったところ、サンプルNo.101と同等の結果が得ら
れた。
【0159】実施例9 サンプルNo.201に使用したサーミスタ素体を、サン
ドブラスト法によりエッチングし、サーミスタ素体表面
から約10μmの深さまでの重合体を選択的に除去し
た。サンプルNo.201よりも重合体除去の選択性は低
かった。
【0160】このようにして選択除去を行ったサーミス
タ素体を用いた他はサンプルNo.201と同様にして有
機PTCサーミスタを作製し、実施例2と同様な測定を
行ったところ、サンプルNo.201と同様の結果が得ら
れた。
【0161】実施例10 サンプルNo.201に使用したサーミスタ素体を、パラ
キシレンに暴露して、サーミスタ素体表面から約10μ
mの深さまでの重合体を選択的に除去した。サンプルNo.
201よりも重合体除去の選択性は低かった。
【0162】このようにして選択除去を行ったサーミス
タ素体を用いた他はサンプルNo.201と同様にして有
機PTCサーミスタを作製し、実施例2と同様な測定を
行ったところ、サンプルNo.201と同様の結果が得ら
れた。
【0163】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、非動作
時の抵抗値が低く、かつ、剥離強度が高く、信頼性の高
い有機PTCサーミスタ、および、その製造方法を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の有機PTCサーミスタの構成例を示す概
略断面図である。
【図2】本発明の有機PTCサーミスタの構成例を示す
概略断面図である。
【符号の説明】
1 高分子重合体 2 導電性金属粒子 3 サーミスタ素体 4 電極 11 結晶性高分子重合体 12 導電性粒子 13 サーミスタ素体 14 電極

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子重合体中に導電性金属粒子が分散
    された構成のサーミスタ素体と、このサーミスタ素体表
    面に設けられた電極とを有する有機PTCサーミスタで
    あって、 電極が、サーミスタ素体表面に露出している導電性金属
    粒子と一体的に形成されている有機PTCサーミスタ。
  2. 【請求項2】 前記サーミスタ素体がさらに低分子有機
    化合物を含む請求項1の有機PTCサーミスタ。
  3. 【請求項3】 前記電極がメッキ膜である請求項1また
    は2の有機PTCサーミスタ。
  4. 【請求項4】 前記導電性金属粒子が非球形である請求
    項1〜3のいずれかの有機PTCサーミスタ。
  5. 【請求項5】 前記導電性金属粒子がスパイク状の突起
    を有する請求項4の有機質正特性サーミスタ。
  6. 【請求項6】 前記導電性金属粒子がNiである請求項
    1〜5のいずれかの有機PTCサーミスタ。
  7. 【請求項7】 前記導電性金属粒子の平均粒径が1〜4
    μm である請求項1〜6のいずれかの有機PTCサーミ
    スタ。
  8. 【請求項8】 前記導電性金属粒子の金属種と前記電極
    の金属種とが同一である請求項1〜7のいずれかの有機
    PTCサーミスタ。
  9. 【請求項9】 高分子重合体中に導電性金属粒子が分散
    された構成のサーミスタ素体と、このサーミスタ素体表
    面に設けられた電極とを有する有機PTCサーミスタを
    製造する方法であって、 サーミスタ素体の表面から高分子重合体を選択的に除去
    して、導電性金属粒子をサーミスタ素体表面に露出させ
    る選択除去工程と、 このサーミスタ素体表面に露出した導電性金属粒子と一
    体的に電極を形成する電極形成工程とを有する有機PT
    Cサーミスタの製造方法。
  10. 【請求項10】 低分子有機化合物を含む高分子重合体
    中に導電性金属粒子が分散された構成のサーミスタ素体
    と、このサーミスタ素体表面に設けられた電極とを有す
    る有機PTCサーミスタを製造する方法であって、 サーミスタ素体の表面から高分子重合体と低分子有機化
    合物とを選択的に除去して、導電性金属粒子をサーミス
    タ素体表面に露出させる選択除去工程と、 このサーミスタ素体表面に露出した導電性金属粒子と一
    体的に電極を形成する電極形成工程とを有する有機PT
    Cサーミスタの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記電極形成工程において、メッキ法
    を用いる請求項9または10の有機PTCサーミスタの
    製造方法。
  12. 【請求項12】 前記電極形成工程において、前記サー
    ミスタ素体を電解エッチングした後、電気メッキ法によ
    り電極を形成する請求項11の有機PTCサーミスタの
    製造方法。
  13. 【請求項13】 前記選択除去工程において、プラズマ
    処理法、反応性イオンエッチング法、紫外線照射、オゾ
    ン含有雰囲気への曝露、レーザー光照射、逆スパッタ
    法、サンドブラスト法、有機溶剤暴露または有機溶剤蒸
    気暴露のいずれかを用いる請求項9〜12のいずれかの
    有機PTCサーミスタの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004342658A (ja) * 2003-05-13 2004-12-02 Nichicon Corp 正特性サーミスタ素子の製造方法

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