JP2000202606A - 連続鋳造設備のモ―ルド湯面制御装置 - Google Patents

連続鋳造設備のモ―ルド湯面制御装置

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JP2000202606A JP11008010A JP801099A JP2000202606A JP 2000202606 A JP2000202606 A JP 2000202606A JP 11008010 A JP11008010 A JP 11008010A JP 801099 A JP801099 A JP 801099A JP 2000202606 A JP2000202606 A JP 2000202606A
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    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22DCASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
    • B22D11/00Continuous casting of metals, i.e. casting in indefinite lengths
    • B22D11/16Controlling or regulating processes or operations
    • B22D11/18Controlling or regulating processes or operations for pouring
    • B22D11/181Controlling or regulating processes or operations for pouring responsive to molten metal level or slag level

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 周期性外乱の影響を受けても、安定してモー
ルド湯面を一定に制御できるモールド湯面制御装置を提
供すること。 【解決手段】 モールド湯面制御装置20における周期
性外乱抑制手段23は、モールド湯面の周期性外乱の周
波数と等しい周波数で振動する制御要素を有し、制御偏
差演算手段21からのモールド湯面制御偏差信号を受け
てモールド湯面周期性外乱抑制状態量を演算し、モール
ド湯面周期性外乱抑制信号を出力する。制御ループロバ
スト安定化手段24は、定常偏差抑制手段22からのモ
ールド湯面定常偏差抑制信号とモールド湯面周期性外乱
抑制信号を受けて、当該制御装置によるモールド湯面制
御ループが、ロバスト安定となるようストッパあるいは
スライディングゲートの操作量を演算し、操作量信号を
出力する。周期性外乱周波数適応手段25は、モールド
湯面検出値信号と鋳造速度検出値信号を受けてモールド
湯面の振動周波数を周期性外乱周波数として検出し、該
検出結果に基づいて周期性外乱抑制手段と制御ループロ
バスト安定化手段の演算特性を変更する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は連続鋳造設備に関
し、特に、モールド(鋳型)内における溶鋼レベルを一
定に保持するように制御するモールド湯面制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】周知のとおり、連続鋳造設備の操業にお
いて、安定した設備操業を実現すること、鋳造されるス
ラブを高品質に均質に維持することなどの目的で、操業
中にわたってモールド内溶鋼湯面を一定に保持させる機
能が重要な役割を果たす。この機能は、「モールド湯面
制御」と呼ばれる機能である。
【0003】タンディッシュ内に蓄積されている溶鋼
は、タンディッシュの底部にある開孔部から浸漬ノズル
と呼ばれる管を介して矩形の枠モールドに導かれる。モ
ールドに注入された溶鋼は抜熱冷却され、モールドとの
界面が凝固し、スラブへとその性状が変化して下流に排
出される。タンディッシュ底部あるいは浸漬ノズル接合
部には、耐火物で製作されたストッパあるいはスライデ
ィングゲートという、浸漬ノズル内溶鋼流に抵抗を与え
る部品が設置されている。ストッパあるいはスライディ
ングゲートは油圧などの駆動力により移動できる構造と
なっていて、ストッパあるいはスライデイングゲートの
位置を調整することで、浸漬ノズル内溶鋼流に与える抵
抗の度合いが変化し、結果として浸漬ノズル内溶鋼流量
を調整できる仕組みとなっている。
【0004】理想的には、連続鋳造設備にて鋳造される
スラブの単位時間あたりの体積とモールドに注入される
溶鋼の流量が均衡すれば、モールド内溶鋼湯面は一定に
保持される。ところが、連続鋳造設備の操業中、ストッ
パあるいはスライディングゲートは、高温の溶鋼にさら
され融解してその形状を変えることがある。また、溶鋼
通過部に溶鋼成分の析出物が付着/剥離したりして溶鋼
流量が変化することもある。更に、タンディッシュに蓄
積された溶鋼の量が変化し、浸漬ノズル開口部での溶鋼
吐出圧力が変化すること、浸漬ノズル内部で溶鋼の析出
物が付着/剥離し浸漬ノズルの溶鋼導通路が変化するこ
ともある。
【0005】これらの非定常で予測できない原因で、ス
トッパあるいはスライディングゲートの位置を一定にし
ていても、モールド内に注入される溶鋼流量は変化す
る。更に、製造されるスラブは完全に凝固していない状
態で下流に排出されるので、スラブを搬送するロールな
ど支持構造物との接触によりスラブの形状変化が生じ
る。この変化は、スラブ内の未凝固部分の溶鋼を逆流さ
せ、下流側からモールド湯面を変動させる一要因ともな
っている。
【0006】このような状況で溶鋼をモールドに注入し
てその湯面を一定に保持するために、モールド内溶鋼湯
面を検知するセンサを設置し、指令された目標湯面にセ
ンサの出力値を一致させるようストッパあるいはスライ
ディングゲート位置を調整するというフィードバック制
御方式が、モールド湯面制御方式として一般的に採用さ
れている。
【0007】今日では、設備規模の縮小化ひいては設備
コストの低減化、および操業の高効率化、生産に要する
エネルギーの削減などの目的で、連続鋳造設備と熱間圧
延設備を直結し、精錬された溶鋼からホットコイルを一
貫して生産する新しいプロセスが開発されている。その
中で重要な役割を果たす連続鋳造設備において、上で述
べたような目的のほか、下工程の熱間圧延プロセスの負
荷を軽減する目的で、製造されるスラブには厚みが80
〜120(mm)と薄いこと、比較的高温であることと
いう特質が必要とされる。このように、スラブ厚みが比
較的薄いことから、従来の設備と比較してその生産能力
に優位性を持たせるため、連続鋳造設備には5〜8(m
/分)という高速な鋳造速度が要求されている。
【0008】スラブ厚みが薄くなり、モールド断面積が
従来よりも小さくなることで、調整する溶鋼流量がより
敏感にモールド湯面に反映される。また、製造されるス
ラブは温度が高くなることで、スラブが従来に比べて柔
軟な状態で下流に引き出される。その結果、ロールなど
の支持構造物との接触による下流スラブの形状変動がよ
り生起しやすく、その程度が大きくなり、下流から引き
起こされるモールド湯面の変動の度合いが大きくなる。
このような柔軟なスラブの形状変動を、非定常バルジン
グと称している。非定常バルジングの及ぼす重大な影響
につき以下に説明する。
【0009】我々は、モールド湯面のフィードバック制
御方式として、化学プラントなどでよく利用されるPI
制御を適用してモールド湯面制御装置を構成した。この
際、特定の鋳造速度にて操業を行なったところ、それま
で良好に制御されていたモールド内溶鋼湯面が、突然
0.3(Hz)程度の周波数にて振動し始め、やがて増
大し、安定した設備操業を維持できなくなるという問題
に直面した。
【0010】鋳造されたスラブ表面を観察したところ、
ロールの間隔と一致するスラブ表面性状の不均一性分布
がスラブの移動方向に確認できた。更に、モールド湯面
の振動周波数は、鋳造速度をロール間隔で割った値にほ
ぼ一致する。これらを含む数々の操業状態の調査/観察
から、モールド湯面の振動状態は以下のように生起する
という知見を得た。
【0011】(1)高温で柔軟なスラブをロールにて支
持すれば、スラブはロールの間隔にて膨らんだ形状とな
る。
【0012】(2)このようなスラブが一定速度にて下
流に移動すれば、オシレーションマーク等のスラブ性状
空間的不均一性が、例えば摩擦力のように作用して、ス
ラブが脈動を始める。複数のロール間隔が等しければ、
各ロール間隔にて生じる脈動の程度が相互に増幅される
ものとなる。
【0013】(3)上記の脈動により、スラブ内の未凝
固溶鋼がモールド側へと逆流し、周期性外乱流となって
モールド湯面に印加される。周期性外乱流は、その周期
でのモールド内の湯面変動を引き起こす。これにより、
モールド内の冷却作用その他に上記周期の不均一性を生
じさせる。結果として鋳造されるスラブは、表面性状/
組成その他に上記周期の空間的不均一性が付与されたも
のとなる。
【0014】(4)上記(3)の性状を持つスラブ部分
が、上記(2)の作用を果たす支持ロール群に至れば、
上記周期の脈動は更に大きなものとなる。これは、モー
ルド湯面に印加される周期性外乱流の程度を更に大きく
するよう作用する。結果としてモールド湯面の振動は、
雪だるま的に増大し、安定した連続鋳造設備の操業を阻
害する状況を引き起こすものとなる。
【0015】このように、柔軟スラブの非定常バルジン
グに起因するモールド湯面の変動は、自己増大的である
ため、抑制することが極めて困難なものとなっている。
【0016】前述したように、モールド湯面制御装置の
目的は、モールド湯面制御対象に印加されている外乱を
抑制して、モールド湯面を所定の値に維持させようとす
ることである。一般的に、PI制御にて実施されている
制御ループは、ステップ状の定常外乱が印加されたとき
に当該制御器に存在する積分項により、定常外乱を打ち
消すような操作量(モールド湯面制御の場合はストッパ
あるいはスライディングゲート指令位置)を生成するも
のである。上記積分項は位相を90°遅らせるものであ
るから、上記積分項による補正動作は変動を受けてから
かなり遅れたものとなる。更に、制御ループには、スト
ッパあるいはスライディングゲート位置制御の遅れ時
間、湯落ち時間、モールド湯面を検知するセンサの検出
遅れ時間などのモールド湯面制御を困難とする要素が存
在する。このように補正動作が遅れる制御対象では、上
記積分項のゲインを大きく設定すれば、制御ループが発
散してしまうという危険な状態に陥り、すなわちPI制
御での外乱抑制動作は限られたものとなっている。
【0017】上記のようなPI制御による問題を解決す
るために、従来、種々のモールド湯面制御方法(装置)
が提案されている。
【0018】例えば、特開平5−31560号公報(以
下、先行技術1と呼ぶ)には、あらゆる外乱に対して迅
速且つ適切に対応して湯面レベルを常に安定に保つこと
ができる「連続鋳造における湯面レベル制御方法」が開
示されている。この先行技術1では、フィードバック制
御ループが湯面レベル実績値を湯面レベル目標値に一致
させるべく作用する。外乱打消制御ループがアクチュエ
ータへ出力する指令値と湯面レベル実績値及び湯面レベ
ル制御モデルを用いて、フィードバック制御ループでフ
ィードバック制御しきれない外乱の残差量を推定し、こ
の残差量を打消す補正信号を指令値に加えてアクチュエ
ータに出力する。
【0019】この先行技術1では、制御装置内部に外乱
打ち消しループを設定し、モールドレベル制御対象に印
加される外乱を推定し、推定された外乱の残差量を打ち
消す補正量を加えて操作量を演算している。これによ
り、推定された外乱の残差量はモールドレベル検出値の
うち外乱による変動分を微分したものと等価になり、い
ち早く外乱によるモールドレベルの変動を抑制しようと
動作するものとなっている。
【0020】また、特開平5−1778321号公報
(以下、先行技術2と呼ぶ)には、連続鋳造プロセスに
おけるモールド内の湯面レベルを高精度で制御する「モ
ールドレベル制御装置」が開示されている。この先行技
術2におけるモールドレベルの制御系は、溶鋼注入量を
操作するスライディングノズル又はストッパ、溶鋼レベ
ルを測定するレベル計、スライディングノズルやストッ
パ開度を算出するモールドレベル制御装置である。この
モールドレベル制御装置は、モールドレベル測定値とモ
ールドレベル設定値をデータ入力として取り込み、高次
の動的補償計算を行うデータ処理部と、定められた時間
経過後に制御出力を切り替える制御指令出力部とを備え
る。
【0021】特開平5−189009号公報(以下、先
行技術3と呼ぶ)には、制御系で遅れ時間と、周期的変
動(外乱)とを有する応答性を飛躍的に改善した「制御
装置」が開示されている。先行技術3に開示された制御
装置は、レベル測定値とレベル設定値をデータ入力とし
て取り込み、高次の動的補償計算を行うデータ処理部
と、定められた時間経過後に制御出力を切り替える制御
指令出力部を備えたことを特徴とする高次動的補償型制
御装置である。
【0022】先行技術2及び3では、H∞(無限大)制
御理論における混合感度問題をモールドレベル制御に適
用し、次数の高い特殊な線形フィルタでモールドレベル
制御器を構成している。これにより、単純なPI制御器
と比べて、外乱抑制性能のより良い制御器を得ている。
更に、プロセス摂動の上限を設定して混合感度問題に帰
着させることで、モールドレベル制御ループのロバスト
安定性を確保している。
【0023】特許第2598201号公報(以下、先行
技術4と呼ぶ)には、制御パラメータの変化や外乱の印
加等の影響による鋳型内の溶鋼の湯面レベルのハンチン
グを早期に自制し得る「連続鋳造機の鋳型内湯面レベル
制御装置」が開示されている。この先行技術4は、鋳型
内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ちつつタンディッシュ
から引抜くことにより鋳片を製造するに際して、検出さ
れた湯面レベルの当該湯面レベルの目標値に近づけるよ
うに鋳型への溶鋼の注湯量を制御する制御装置である。
この制御装置は、湯面レベルの目標値からの偏差とこの
偏差の一次微分値とよりなる制御状態から構成される制
御状態領域の内、所定の制御状態領域を分割すべく、上
記湯面レベルの目標値からの偏差とこの偏差の一次微分
値との重み付け和が0になるような特性に設定可能な制
御器と、この制御器に各制御状態領域内の制御状態を上
記特性に近づける制御ゲインを、上記制御状態領域毎に
与えるための制御ゲイン設定手段とを具備し、上記制御
状態を検出し、検出された制御状態が属する制御状態領
域の制御ゲインに基づいて上記溶鋼の注湯量を上記制御
器を用いて制御する注湯量制御手段とを具備している。
【0024】先行技術4はモールドレベル制御偏差と同
偏差の時間微分値の重み付け和が零となるように設定さ
れた、異なる制御ゲインを持つ制御器を制御状態領域毎
に切り替えて制御するもので、可変構造制御システムの
一つの応用形態となっている。可変構造制御システム
は、安定な切り替え面上にハイゲインで制御状態を拘束
することで、高いロバスト性を有しているという好まし
い特質がある。
【0025】特開平6−79423号公報(以下、先行
技術5と呼ぶ)には、バルジング等の非定常外乱や速い
応答性が要求されるノズル詰まり、剥離、パラメータ誤
差やパラメータ変動、観測雑音等に対して、安定且つ良
好な湯面レベル制御を実現して、湯面レベル変動を抑制
する「連続鋳造における湯面レベル制御方法」が開示さ
れている。
【0026】この先行技術5では、湯面レベル変動を引
き起こす外乱から湯面レベル制御出力までの伝達関数の
大きさを所望の周波数域で小さくするための第1の重み
関数と、この外乱から外乱が加わる手前間での伝達関数
の大きさを所望の周波数域で小さくするための第2の重
み関数とをそれぞれ設定し、これらと制御出力、制御操
作量、並びに外乱推定値を状態変数として状態方程式並
びに出力方程式を記述し、これらに対してH∞制御理論
を適用することにより、フィードバック演算信号を求
め、これと外乱量を打ち消すための補正信号の和を、溶
融金属のモールドへの流入量を制御するアクチュエータ
に加えている。この先行技術5は、上述した先行技術1
と同様の外乱量推定機構を有し、外乱によるモールドレ
ベルの変動分を打ち消すよう動作し、更にH∞制御器を
組み合わせて制御ループのロバスト制御性能を高める構
成としている。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た先行技術1〜5には以下のような問題点がある。
【0028】先ず、先行技術1および5の外乱推定機構
は低次のオブザーバとして構成されており、プロセスが
高次の摂動を受けた場合、外乱推定機構自身が高い周波
数で発振するスピルオーバと称される現象が起きる恐れ
がある。スピルオーバを防ぐためには外乱推定ゲインを
小さく設定させるを得ず、そのため外乱推定結果は現実
の外乱変化より遅れを生じることとなり、その効果は限
られたものとなる。
【0029】同様に、先行技術4においても、可変構造
制御システムの切り替え面が、制御偏差と同偏差の時間
微分値の一次結合という単純なものであるため、スピル
オーバが生じる恐れがある。可変構造制御システムでの
スピルオーバは、プロセスの高次の摂動により、モール
ドレベル制御対象の制御状態を切り替え面上に拘束でき
ず発散するという現象で現れる。更に、先行技術4で
は、制御対象の制御状態が切り替え面を往復すること
で、制御器の制御ゲインが短い時間間隔で切り替わり、
操作量の時間的推移にチャタリングの現象が生じる。
【0030】また、先行技術2及び3では、プロセス摂
動の上限を設定しているので、モールドレベル制御ルー
プのロバスト安定性が確保でき上記のスピルオーバは生
じない。しかしながら、モールドレベル検出値を入力、
ストッパ/スライディングゲート指令位置を出力として
混合感度問題のH∞制御器は、最適にチューニングされ
たPID制御器と周波数特性においてさほど変わらない
ものとして得られ、その制御性能は最適にチューニング
されたPID制御器と比較してさほど変わらないという
知見を我々は有している。
【0031】前述したように、柔軟スラブの非定常バル
ジングに起因するモールド湯面の変動は、自己増大的で
あるため、多少の外乱抑制性能を有する制御装置では、
同変動を抑制することが困難である。
【0032】以上の点を図10を参照して総括する。な
お、ここでは、制御対象がストッパの場合について説明
する。自己増大するモールド湯面変動は、図10に示す
ように、外乱−モールド−センサ−非定常バルジング−
外乱という非定常バルジング特性の帰還ループが存在す
る制御モデルにて表される。このような制御モデルにお
いて、自己増大を解消するためには、上記帰還ループの
帰還ゲインよりも強大な外乱抑制性能で上記外乱を打ち
消すようなストッパ操作量を演算出力しなければならな
い。しかるに、従来の制御装置では、外乱を打ち消そう
とすると、ストッパ操作量が大きくなり(制御ゲインを
高く設定せざるを得ず)、制御ループ自体が不安定とな
ってしまう。
【0033】そこで、本発明の課題は、上述したような
周期性外乱の影響を受けても、安定してモールド湯面を
一定に制御できるモールド湯面制御装置を提供すること
である。
【0034】本発明はまた、特定の周波数の周期性外乱
が印加されても、モールド湯面の変動を強大な外乱抑制
能力にて、自己増大的な周期性外乱を抑制できるモール
ド湯面制御装置を提供することである。
【0035】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、連続鋳
造設備のモールド内における溶鋼レベルを一定に保持す
るようにストッパあるいはスライディングゲートを制御
するモールド湯面制御装置において、モールド湯面指令
値信号とモールド湯面検出値信号から、モールド湯面制
御偏差を演算し、モールド湯面制御偏差信号を出力する
制御偏差演算手段と、前記モールド湯面制御偏差信号を
受けてモールド湯面定常偏差抑制状態量の演算を行な
い、モールド湯面定常偏差抑制信号を出力する定常偏差
抑制手段と、モールド湯面の周期性外乱の周波数と等し
い周波数で振動する制御要素を有し、前記モールド湯面
制御偏差信号を受けてモールド湯面周期性外乱抑制状態
量を演算し、モールド湯面周期性外乱抑制信号を出力す
る周期性外乱抑制手段と、前記モールド湯面定常偏差抑
制信号と前記モールド湯面周期性外乱抑制信号を受け
て、当該制御装置によるモールド湯面制御ループが、ロ
バスト安定となるよう前記ストッパあるいはスライディ
ングゲートの操作量を演算し、操作量信号を出力する制
御ループロバスト安定化手段と、前記モールド湯面検出
値信号と鋳造速度検出値信号を受けてモールド湯面の振
動周波数を周期性外乱の周波数として検出し、該検出結
果に基づいて前記周期性外乱抑制手段と前記制御ループ
ロバスト安定化手段の演算特性を変更する周期性外乱周
波数適応手段とを備えたことを特徴とするモールド湯面
制御装置が提供される。
【0036】なお、前記周期性外乱周波数適応手段は、
鋳造速度検出値と下流に配置されるロールの間隔とから
前記モールド湯面の振動周波数を検出する。
【0037】また、前記周期性外乱周波数適応手段は、
モールド湯面検出値の時間的推移を高速フーリエ変換に
より処理し、前記モールド湯面の振動周波数を検出する
ようにしても良い。
【0038】
【発明の実施の形態】はじめに、本発明がなされるにい
たった考察の経過を説明する。以下では、モールド湯面
制御における溶鋼注入量の調整にストッパを使用するも
のとして述べる。勿論、スライディングゲートを使用す
る場合にも同様に実現できる。
【0039】制御理論の側面から、モールドの下流側に
ある支持ロール部にて生じる柔軟スラブの脈動による周
期性外乱流は、一種の共振性狭帯域通過フィルタと見な
すことができる。前に述べたモールド湯面の振動状態
は、図2に示すブロック線図にて表わすことができる。
すなわち、指示された湯面指令値rとモールド湯面の検
出値yの偏差から、この偏差が零になるよう、ストッパ
操作量uを演算出力するモールド湯面制御装置により制
御されている制御ループである。
【0040】制御されているモールド湯面の検出値y
は、雑音によって変動を受ける。当初不規則に変動して
いるモールド湯面の検出値yの時間的推移に、特性周波
数にて鋭いピークを持つフィルタリングがかけられる。
これにより、共振性狭帯域通過フィルタはその振動成分
に刺激を受け、同周波数にて振動する周期性外乱流Qd
が生起する。更に、周期性外乱流Qd がモールド流入外
乱流量dとして帰還される。
【0041】図3は、モールド湯面制御対象をブロック
線図にて表わした図である。ストッパ制御器は、ストッ
パ位置xがストッパ操作量uに等しくなるよう、ストッ
パを例えば油圧シリンダなどのアクチュエータにて移動
させる。ストッパ先端とタンディッシュ底部の開孔部と
の隙間を通過する溶鋼流量qがストッパ位置xに依存し
て変化する。ストッパ位置xと溶鋼流量qの関係を流量
特性と称することにする。モールドでは、流入する溶鋼
流量qから、鋳造速度νc とモールド断面積Aの積(す
なわち製造されるスラブの単位時間当り体積)を差し引
いたものに、流入外乱流量dを重畳した単位時間当り体
積の溶鋼流量Qが流入する。モールドに流入する溶鋼流
量Qを時間的に積分した体積が、モールド内溶鋼の体積
となる。モールドは一般的に直方体であるので、同体積
をモールド断面積Aにて割った量が、モールド湯面hと
なる。モールド湯面hは、例えば渦電流式の距離センサ
にて構成される湯面検出器にて検出値yとして検出され
る。
【0042】図3の各要素は、すべて線形常微分方程式
の数学モデル、すなわちラプラス演算子sの有理関数
(伝達関数)にて表現できるものとする。モールド湯面
制御装置も、伝達関数にて表現される数値演算を実施し
てストッパ操作量uを出力するものとする。この伝達関
数をKとする。
【0043】図3の各要素の伝達関数の積、すなわちス
トッパ制御器の伝達関数、ストッパ流量特性の伝達関
数、モールドにおける積分作用の伝達関数及び湯面検出
器の伝達関数、以上すべての積にて表現される伝達関数
をPとし、Pをモールド湯面制御対象の伝達関数とす
る。
【0044】溶鋼流量qは、モールド湯面制御装置にて
調整される状態量である。一方、モールド流入外乱流量
dは制御ループの外界から混入する状態量であり、モー
ルド湯面制御装置では制御できない。このとき、制御ル
ープにおいて、外乱流量dからモールドに流入する溶鋼
流量Qに至る伝達関数Sは、 S=1/(1+L) (3.1) にて表現される。Sは制御ループの感度関数と称される
伝達関数である。ここでLは、制御ループ内要素の積す
なわち、L=K・Pにて与えられる伝達関数である。こ
れを一巡伝達関数と称する。以上により、 Q=S・d+A・νc (3.2) が成り立つ。
【0045】モールド湯面制御装置が理想的に流入外乱
を抑制するとすれば、モールドに流入する溶鋼流量Qが
単位時間当りのスラブ製造体積に一致し、モールド湯面
を一定に保つことになる。(3.2)式によれば、S=
0となる。現実にはSを零にすることはできないが、モ
ールド流入外乱流量dの影響を小さくするためには、S
を小さくする必要があることがわかる。
【0046】Sの周波数応答を考察する際、Sは周波数
ωの複素関数となる。上記により、Sの周波数特性値の
絶対値、すなわちゲインが小さな値をとるほど、流入外
乱の影響を小さくできる。
【0047】以上により、図2にて考察されたモールド
湯面振動状態において、制御ループを構成した際の感度
関数Sの周波数特性を、問題となる周期性外乱周波数に
てゲインが小さいものとすることで、制御ループヘ帰還
するモールド流入外乱流量の影響を抑制する必要がある
ことがわかる。これにより、制御ループを構成した際の
モールド湯面検出値の時間的推移は、モールド流入外乱
流量の周期性外乱周波数の成分が取り去られたものとな
り、非定常バルジングを表現する共振性狭帯域通過フィ
ルタの振動成分を刺激しなくなる。結果として、自己増
大的なモールド湯面の変動を解消できる。以降では、必
要とされる感度関数Sを実現するモールド湯面制御装置
の伝達関数Kの特性について述べるものとする。
【0048】(3.1)式にて示すように、感度関数S
は制御ループの一巡伝達関数Lにて導かれるものであ
り、しかも一巡伝達関数Lは(3.1)式の分母に出現
する。すなわち、一巡伝達関数Lのゲインが周期性外乱
周波数にて大きくなるようにすれば、(3.1)式の分
母の絶対値が大きくなり、感度関数Sのゲインを周期性
外乱周波数にて小さくすることが可能と考えられる。
【0049】一巡伝達関数Lは、制御ループ内要素の伝
達関数すべての積であり、モールド湯面制御装置の伝達
関数K以外は調整のしようがないので、モールド湯面制
御装置の伝達関数K自体を、周期性外乱周波数にてゲイ
ンが高くなるよう設定すればよい。具体的には、周期性
外乱周波数にて共振するような振動的性質を、モールド
湯面制御装置の伝達関数Kに付与させればよい。
【0050】以降では、周期性外乱周波数にてゲインが
高くなるようなモールド湯面制御装置の伝達関数Kを導
出する。その手法は、モールド湯面制御装置の伝達関数
Kに周期性外乱周波数にて共振するような振動成分を付
加し、H∞制御理論を適用して制御ループの整形を行な
い、同時にロバスト安定性を確保するものである。
【0051】図4は、H∞制御器を考察する際の一般化
プラントの構成例を示す。図4中、w1 、w2 はH∞制
御理論適用の際の一般化プラントに対する入力状態量、
1、z2 は出力状態量である。α及びεは、正定数で
ある。Cは、前記のモールド湯面制御装置の伝達関数K
を特定周波数にてゲインを高くするための伝達関数であ
る。WT は、例えば浸漬ノズルを溶鋼が移動する時間
(一般に湯落ち時間と呼ばれている)やストッパアクチ
ュエータの不感帯などの曖昧さ(モデル化誤差)の影響
を回避するための伝達関数である。更に、Hは、H∞制
御問題を解くことで求められる伝達関数であり、ug
g はそれぞれ、一般化プラントの制御入力、出力を表
わす状態量である。
【0052】以上の一般化プラントの構成にて下記の数
1にて表されるH∞制御問題、
【数1】 を解き、伝達関数Hが得られれば、目的とするモールド
湯面制御装置の伝達関数Kは、 K=C・H (3.4) にて得ることができる。
【0053】(3.3)式において、Si 、To はそれ
ぞれ、図4に示す一般化プラント制御ループの感度関
数、相補感度関数である。
【0054】以降では、具体的な伝達関数を示しなが
ら、本発明の実施例を述べる。なお、本発明の構成を容
易にするため、便宜上、最も単純な数学モデルを用いる
が、本発明はこれに限定されるものではない。各伝達関
数を更に複雑に表現すれば、より高性能/高精度なモー
ルド湯面制御装置を構成することも可能であると思われ
る。しかしながらそれは、本発明の枠を超えず容易に着
想可能なものであることをあらかじめ述べておく。
【0055】図3に示すモールド湯面制御対象に具体的
な伝達関数をあてはめたブロック線図を図5に示す。
【0056】図5中、Tn ,Kq ,A,Ts はそれぞ
れ、ストッパアクチュエータの動作遅れ時間、ストッパ
の流量ゲイン、モールド断面積、湯面検出器の動作遅れ
時間を示しており、これらは時不変なパラメータとす
る。これにより、モールド湯面制御対象の伝達関数P
は、 P=Kq /{A・s(1+s・Ts )(1+s・Tn )} (3.5) となる。
【0057】モールド湯面制御装置の伝達関数Kを特定
周波数にてゲインを高くするための伝達関数Cを、 C={ωn 2 /(s2 +2・ζ・ωn ・s+ωn 2 )} +1/(Ti ・s) (3.6) とする。(3.6)式中第一項が周期性外乱にて共振す
る振動成分であり、ωnが周期性外乱振動周波数であ
る。ζは振動成分の減衰係数であり、周波数ωn におけ
るCのゲインを調整する作用を果たす。ζが小さいほど
周波数ωn におけるCのゲインが高くなる。また、
(3.6)式中第二項は、PI制御器における積分項と
同じ作用、すなわちモールド湯面制御定常偏差を零にす
るために導入されたものである。
【0058】図6にCの周波数特性をボード線図にプロ
ットした結果を示す。
【0059】モデル化誤差の影響を回避するための伝達
関数WT は、(3.3)式中、WT・P・Cの項がプロ
パーとなるようにとればよい。例えば、WT を、 WT =T1 (1+s・T2 )(1+s・T3 ) (3.7) とする。(3.7)式中、T1 ,T2 ,T3 は調整パラ
メータであり、WT の周波数応答のゲイン曲線が、モー
ルド湯面制御対象Pの乗法摂動Δm の周波数応答のゲイ
ン曲線を覆うようにとればよい(摂動を受けたモールド
湯面制御対象の伝達関数P´は、P´=(1+Δm )・
Pとなる)。
【0060】図7にWT の周波数特性をボード線図にプ
ロットした例を示す。
【0061】以上により、図4に示す一般化プラントの
状態方程式は下記の数2により、
【数2】 として求められる。但し、(3.8)式のa0 ,a1
2 ,a3 ,a4 ,a5,a6 、b0 ,b1 ,b2 ,b
3 ,b4 ,b5 、c0 ,c1 ,c2 ,c3 ,c4,c5
は、WT ・P・Cの項及びP・Cの項に、(3.5)
式,(3.6)式,(3.7)式をそれぞれ代入して、
伝達関数の分母、分子を展開した結果を、下記の数3に
よる、
【数3】 とした時の各項の係数である。(3.8)式の状態方程
式にてH∞制御問題を解いてHを求め、(3.4)式に
てモールド湯面制御装置の伝達関数Kを求める。
【0062】求められたモールド湯面制御装置の伝達関
数Kを用いた制御ループ感度関数Sの周波数特性をボー
ド線図にプロットした結果を図8に示す。図8によれ
ば、周期性外乱周波数にてゲイン曲線の鋭い谷のあるこ
とが認められ、モールドヘ流入する周期性外乱を抑制す
る効果のあることがわかる。図8の例では、想定してい
る周期性外乱の周期を0.3(Hz)としている。
【0063】連続鋳造設備の操業中に発生する周期性外
乱の周期は、鋳造速度の変化などの状況により変化す
る。これに対応して、モールド湯面制御装置の外乱抑制
性能を最適にしておくことにより、いかなる操業状態で
もモールド湯面の振動を抑制することができる。これ
は、モールドに流入する周期性外乱周波数と制御ループ
感度関数Sのボード線図ゲイン曲線の谷にあたる周波数
を一致させるようにすることである。換言すれば、
(3.6)式の振動周波数ωn を周期性外乱周波数にと
ることである。そのためには、 (1)周期性外乱の周波数は、鋳造速度をロール間隔に
て割ったものにほぼ等しくなることがわかっているの
で、鋳造速度を検出して周期性外乱周波数を想定する。
【0064】(2)モールド湯面検出値の時間的推移
を、例えば高速フーリエ変換(FFT)演算などを用い
て処理し、操業上問題となるモールド湯面の振動周波数
を検出する。
【0065】などの手段にて、望ましいモールド湯面制
御装置伝達関数の振動周波数ωn を見積もり、状況に応
じて、モールド湯面制御装置を計画し直せばよい。
【0066】具体的には、あらかじめ振動周波数ωn
異なるモールド湯面制御装置伝達関数を複数個用意して
おき、それらの中から状況に応じて最適なモールド湯面
制御装置伝達関数を選択して切り替えて使用する第1の
方法や、モールド湯面制御装置伝達関数を算出する手続
きを自動化しておき、操業中に状況に応じて同手続きを
実施することで算出されたモールド湯面制御装置伝達関
数を使用する第2の方法が適用される。これらは、後述
する図1の周期性外乱周波数適応手段25において適用
される。
【0067】図1は本発明によるモールド湯面制御装置
の構成を示しており、各構成要素の機能について説明す
る。
【0068】(1)モールド湯面指令値設定器11 モールド湯面の指令値を設定し、モールド湯面指令値信
号を出力する。
【0069】(2)モールド湯面検出器12 モールド内溶鋼の湯面を検出し、モールド湯面検出値信
号を出力する。
【0070】(3)ピンチロール駆動装置13 モールドの下流側に配置されて製造されるスラブを下流
へ搬送するものであり、鋳造速度検出値信号を出力す
る。
【0071】(4)ストッパ制御装置14 モールド湯面制御装置20の出力するストッパ操作量信
号を受けて、ストッパをストッパ操作量信号に基づいて
制御する。
【0072】(5)制御偏差演算手段21 モールド湯面指令値信号とモールド湯面検出値信号か
ら、モールド湯面指令値とモールド湯面検出値を得て、
モールド湯面制御偏差(すなわち、モールド湯面指令値
からモールド湯面検出値を差し引いた状態量)を演算
し、モールド湯面制御偏差信号を出力する。
【0073】(6)定常偏差抑制手段22 (3.6)式中第二項にて、モールド湯面定常偏差抑制
状態量の演算を行ない、これを示すモールド湯面定常偏
差抑制信号を出力する。(3.6)式中第二項の積分特
性により、定常偏差が長時間継続すれば、モールド湯面
定常偏差抑制状態量は次第に大きなものとなり、モール
ド湯面定常偏差を抑制するよう動作する。これは従来の
PI制御器における積分項と同じ構成にて同じ作用をす
るものである。
【0074】(7)周期性外乱抑制手段23 (3.6)式中第一項にて、モールド湯面周期性外乱抑
制状態量を演算し、これを示すモールド湯面周期性外乱
抑制信号を出力する。前述した通り、周期性外乱抑制手
段23は、内部に周期性外乱周波数と等しい周波数で振
動する制御要素を有している点に大きな特徴を有する。
モールド湯面検出値(ひいてはモールド湯面制御偏差)
が上記の周期性外乱周波数にて振動した時に、上記の制
御要素が刺激を受け、上記の周期性外乱周波数に同期し
て振動する性質を有している。この共振状態により、大
きなモールド湯面周期性外乱抑制状態量が生成される。
これは、モールド湯面の振動状態の程度が小さく、すな
わちモールド湯面制御偏差の振幅が小さい状態でも、い
ち早く大きなモールド湯面周期性外乱抑制状態量が生成
されることを示している。この性質により、自己増大的
なモールド湯面の変動が小さなうち、すなわち安定した
操業を阻害するまでに至らずに同振動状態を抑制し、本
発明の課題を達成するものとなる。なお、本明細書で
は、制御ループ感度関数Sの性質に換言して説明を行な
った。
【0075】(8)制御ループロバスト安定化手段24 モールド湯面定常偏差抑制信号とモールド湯面周期性外
乱抑制信号を受けて、本制御装置によるモールド湯面制
御ループが、ロバスト安定となるようストッパ操作量を
演算し、ストッパ操作量信号として出力する。本明細書
中、伝達関数Hにて表現される演算を行なうものであ
る。
【0076】モールド湯面定常偏差抑制状態量とモール
ド湯面周期性外乱抑制状態量の和に基づいてストッパ操
作量を演算したのでは、制御ループが不安定となる場合
がある。すなわち、周期性外乱周波数が高く、制御ルー
プのクロスオーバ周波数に近い場合に、制御ループのゲ
イン余裕及び位相余裕がなくなる状況が起こり得る。更
に、そうでないにしても、前述したように、例えば湯落
ち時間、ストッパアクチュエータの不感帯などの考察か
ら漏れているモデル化誤差の影響、あるいは連続鋳造設
備操業中の予期せず生起するモールド湯面制御対象の特
性の変動により、制御ループが不安定になる場合も想定
できる。
【0077】そこで、本発明では、上記の二つの問題を
H∞制御問題に帰着して解決している。
【0078】(9)周期性外乱周波数適応手段25 モールド湯面検出値信号と鋳造速度検出値信号を受け
て、周期性外乱抑制手段23と制御ループロバスト安定
化手段24の演算特性を変更する。周期性外乱抑制手段
23において述べた通り、本発明によるモールド湯面制
御装置の特徴は、周期性外乱抑制手段23が周期性外乱
周波数と等しい周波数で振動する制御要素を有し、周期
性外乱の抑制能力を飛躍的に高くしている点にある。と
ころが、連続鋳造設備操業中の諸条件により、周期性外
乱周波数は変化する。本制御装置の有する振動制御要素
の周波数が周期性外乱周波数と異なってくれば、本制御
装置の効果は薄くなる。そこで、前記の鋳造速度をロー
ル間隔で割った値あるいはFFTの箇所で述べた方策に
より、周期性外乱周波数適応手段25は、必要に応じて
本制御装置の伝達関数Kを変更するようにしている。
【0079】図9に本発明によるモールド湯面制御装置
を適用した結果を示す。図9中、上部実線の波形がモー
ルド湯面検出値の時間的推移を、下部破線の波形がスト
ッパ操作量の時間的推移を示している。
【0080】図9では、本制御装置の効果を示すため
に、従来のPI制御方式にて制御している状態から本制
御装置にて制御している状態に切り替えた様子を示して
いる。すなわち、時間軸にて150秒までは、従来のP
I制御器にてモールド湯面が制御されている状況を示し
ている。時刻150秒にて制御を本制御装置に切替え、
それ以降は本制御装置にてモールド湯面が制御されてい
る状況を示している。
【0081】図9によれば、PI制御器にて制御されて
いる時間区間では、モールド湯面が激しく振動し、更に
振幅が次第に増大している様子がわかる。ところが、本
制御装置に切り替えた以降は、振動が速やかに収まり、
モールド湯面が安定して制御されている様子がわかる。
これはすなわち、これまで述べてきた本発明にいたる考
察が正当であることを示し、本発明がその目的を果たす
ものであることを示している。
【0082】因みに、従来の制御方式による周期性湯面
変動抑制効果の具体的数値は、20〜30(%)である
のに対し、本発明によれば96.7(%)以上の周期性
湯面変動抑制効果が得られている。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、モールド湯面における
周期性外乱の影響を受けても、安定してモールド湯面を
一定に制御できるモールド湯面制御装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるモールド湯面制御装置とこれに付
随する構成の一例を示したブロック図である。
【図2】モールド湯面の振動状態を説明するためのブロ
ック線図である。
【図3】モールド湯面制御対象をブロック線図にて表わ
した図である。
【図4】本発明においてH∞制御器を考察する際の一般
化プラントの構成例を示した図である。
【図5】図3に示したモールド湯面制御対象に具体的な
伝達関数をあてはめたブロック線図である。
【図6】図1における定常偏差抑制手段と周期性外乱抑
制手段の動作を説明するためのボード線図で、図(a)
はゲイン特性を示す図、図(b)は位相特性を示す図で
ある。
【図7】本発明におけるモールド湯面制御対象の摂動に
対するモールド湯面制御ループのロバスト安定性を表現
するためのボード線図で、図(a)はゲイン特性を示す
図、図(b)は位相特性を示す図である。
【図8】本発明によるモールド湯面制御装置の外乱抑制
性能を示したボード線図で、図(a)はゲイン特性を示
す図、図(b)は位相特性を示す図である。
【図9】本発明によるモールド湯面制御装置の効果を従
来例と比較して説明するための測定結果を示した図であ
る。
【図10】自己増大するモールド湯面変動を制御モデル
にて説明するためのブロック線図である。
【符号の説明】
11 モールド湯面指令値設定器 12 モールド湯面検出器 13 ピンチロール駆動装置 14 ストッパ制御装置 20 モールド湯面制御装置 21 制御偏差演算手段 22 定常偏差抑制手段 23 周期性外乱抑制手段 24 制御ループロバスト安定化手段 25 周期性外乱周波数適応手段
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年1月13日(2000.1.1
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正内容】
【0052】以上の一般化プラントの構成にて下記の数
1にて表されるH∞制御問題、
【数1】 を解き、伝達関数Hが得られれば、目的とするモールド
湯面制御装置の伝達関数Kは、 K=C・H (3.4) にて得ることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正内容】
【0061】以上により、図4に示す一般化プラントの
状態方程式は下記の数2により、
【数2】 として求められる。但し、(3.8)式のa0 ,a1
2 ,a3 ,a4 ,a5,a6 、b0 ,b1 ,b2 ,b
3 ,b4 ,b5 、c0 ,c1 ,c2 ,c3 ,c4,c5
は、WT ・P・Cの項及びP・Cの項に、(3.5)
式,(3.6)式,(3.7)式をそれぞれ代入して、
伝達関数の分母、分子を展開した結果を、下記の数3に
よる、
【数3】 とした時の各項の係数である。(3.8)式の状態方程
式にてH∞制御問題を解いてHを求め、(3.4)式に
てモールド湯面制御装置の伝達関数Kを求める。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造設備のモールド内における溶鋼
    レベルを一定に保持するようにストッパあるいはスライ
    ディングゲートを制御するモールド湯面制御装置におい
    て、 モールド湯面指令値信号とモールド湯面検出値信号か
    ら、モールド湯面制御偏差を演算し、モールド湯面制御
    偏差信号を出力する制御偏差演算手段と、 前記モールド湯面制御偏差信号を受けてモールド湯面定
    常偏差抑制状態量の演算を行ない、モールド湯面定常偏
    差抑制信号を出力する定常偏差抑制手段と、 モールド湯面の周期性外乱の周波数と等しい周波数で振
    動する制御要素を有し、前記モールド湯面制御偏差信号
    を受けてモールド湯面周期性外乱抑制状態量を演算し、
    モールド湯面周期性外乱抑制信号を出力する周期性外乱
    抑制手段と、 前記モールド湯面定常偏差抑制信号と前記モールド湯面
    周期性外乱抑制信号を受けて、当該制御装置によるモー
    ルド湯面制御ループが、ロバスト安定となるよう前記ス
    トッパあるいはスライディングゲートの操作量を演算
    し、操作量信号を出力する制御ループロバスト安定化手
    段と、 前記モールド湯面検出値信号と鋳造速度検出値信号を受
    けてモールド湯面の振動周波数を周期性外乱の周波数と
    して検出し、該検出結果に基づいて前記周期性外乱抑制
    手段と前記制御ループロバスト安定化手段の演算特性を
    変更する周期性外乱周波数適応手段とを備えたことを特
    徴とするモールド湯面制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のモールド湯面制御装置に
    おいて、前記周期性外乱周波数適応手段は、鋳造速度検
    出値と下流に配置されるロールの間隔とから前記モール
    ド湯面の振動周波数を検出することを特徴とするモール
    ド湯面制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のモールド湯面制御装置に
    おいて、前記周期性外乱周波数適応手段は、モールド湯
    面検出値の時間的推移を高速フーリエ変換により処理
    し、前記モールド湯面の振動周波数を検出することを特
    徴とするモールド湯面制御装置。
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