JP2000248469A - シートベルト用ウェビングおよびその製造方法 - Google Patents

シートベルト用ウェビングおよびその製造方法

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JP2000248469A
JP2000248469A JP11053556A JP5355699A JP2000248469A JP 2000248469 A JP2000248469 A JP 2000248469A JP 11053556 A JP11053556 A JP 11053556A JP 5355699 A JP5355699 A JP 5355699A JP 2000248469 A JP2000248469 A JP 2000248469A
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webbing
component
weight
seat belt
ethylene oxide
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Satoshi Oki
智 隠岐
Hideo Nagahara
秀夫 長原
Isoo Saito
磯雄 斉藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Automotive Seat Belt Assembly (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シートベルトのスムーズな引き出しと格納を
行なうことができ、かつ繰り返し使用した後もスムーズ
な引き出しと格納が保持されるシートベルト用ウェビン
グ、つまり格納性および格納耐久性に優れたシートベル
ト用ウェビングおよびその効率的な製造方法を提供す
る。 【解決手段】 合成繊維マルチフィラメントの表面に、
分子量500〜800の二塩基酸エステル成分[I]
0.05〜1.50重量%、分子量1300〜2500
のヒマシ油エチレンオキサイド付加物および/または硬
化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物成分[II]0.0
2〜0.60重量%、および分子量1300〜2500
のソルビタントリエステルエチレンオキサイド付加物成
分[III]0.01〜0.30重量%を主要有効成分と
する処理剤を付与したシートベルト用ウエビング。その
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシートベルト用ウェ
ビングおよびその製造方法に関するものである。さらに
詳しくは、シートベルトのスムーズな引き出しと格納を
行なうことができ、かつ繰り返し使用した後もスムーズ
な引き出しと格納が保持されるシートベルト用ウェビン
グ、つまり格納性および格納耐久性に優れたシートベル
ト用ウェビングおよびその効率的な製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】シートベルトは自動車に搭乗するの乗員
の保護装置として、近年益々その重要度を増しており、
安全装置としての要求性能の向上は勿論のこと、乗員が
シートベルトを確実に装着できるよう、快適な装着感や
装着時の利便性の改善が強く求められている。
【0003】特に、装着時の利便性については乗員がシ
ートベルトを装着する際の重要な要因となっている。そ
して、シートベルトの装着時の利便性には、シートベル
トを装着しようとした時にウェビングをリトラクターか
ら抵抗感なく引き出せること、およびシートベルトを脱
着した際にウェビングが適度な速度で瞬時にリトラクタ
ーへ格納されることが必要である。
【0004】そのため、従来からシートベルトの装脱着
時のスムーズな引き出しと格納を改善することを目的と
して、リトラクターに適度な引き出し時の抵抗力および
格納力を持たせると共に、ウェビングには、ウェビング
の表面摩擦抵抗を低くすることによって、引き出し抵抗
力および格納抵抗力を下げ、リトラクターからの引き出
しとリトラクターへの格納をスムーズにする工夫がなさ
れてきた。
【0005】ここで、アンコートウェビング、つまり全
く樹脂や処理剤を付与しないウェビングは、初期の滑り
性は良くないものの、引き出しと格納の繰り返しに対す
る耐久性が優れていることがすでに確認されている。そ
して、この場合の初期の格納性は、例えばリトラクター
の格納張力を高めることによってカバーし、格納耐久性
の良さを活かす設計も行われていた。しかしながら、こ
の技術においては、リトラクターの格納張力を高めざる
を得ないため、ウェビングの引き出し時に抵抗感があ
り、また装着時にも乗員に圧迫感を与えるなど快適性に
劣るという問題を有していた。
【0006】そこで、ウェビングの摩擦抵抗を下げる方
法が重点的に検討されており、そのために最も一般的に
行われてきた方法は、ウェビングを製織し、染色した
後、これに樹脂コートを施す方法である。
【0007】例えば、特公平4−66948号公報に
は、ウェビングにウレタンプレポリマーブロック化合物
を主成分とする樹脂を付与し、次いで加熱処理して架橋
反応を生じせしめることにより、滑り性の良いウェビン
グを得る方法が開示されており、この技術を主要例とす
る樹脂コートウェビングは、快適な引き出し性と格納性
を満足するものとして、これまで実用されてきた。
【0008】しかしながら、上記樹脂コートによるウェ
ビングは、引き出しと格納を繰り返し続けると、ウェビ
ングとリトラクター金具部との摩擦によって、コート樹
脂が摩耗し、剥離するため、初期のウェビング表面摩擦
が経時的に低下すると共に、剥離した樹脂がリトラクタ
ー金具部に付着し、その結果、引き出しや格納をスムー
スに行うことが困難となり、ひいてはウェビングがリト
ラクターに格納されなくなるというトラブルを生じるこ
とがしばしばあった。
【0009】また、上記の問題を解決するために、樹脂
コートに代えて比較的高分子量の低摩擦化処理剤でウェ
ビングを処理する技術が提案されている。例えば、特開
平10−37075号公報には、平均分子量が600〜
6000のポリテトラメチレングリコールと、二塩基酸
と一価脂肪酸とからなるエステル化合物であって、平均
分子量が2000〜15000のポリエーテルエステル
を含有するシートベルト用低摩擦化処理剤でウェビング
を処理する方法が開示されており、この方法で得られる
シートベルト用ウェビングは、格納性と格納耐久性のい
ずれをも満足するとされている。
【0010】そして、上記の技術を主要例とする比較的
高分子量の低摩擦化処理剤で処理したウェビングは、従
来の樹脂コートウェビングに比べて、格納耐久性が改善
されていることが実車装着試験の結果として確認されて
いる。しかしながら、近年のシートベルトの格納耐久性
に対する顧客の要求レベルはさらに高まっており、上記
技術の適用でもいまだ十分な満足が得られていないのが
実情である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術の樹脂コートベルトの欠点を改善し、かつ比較的
高分子量の低摩擦化処理剤で処理する技術の効果をさら
に拡大すること、初期の滑り性、すなわち格納性を保持
しながら格納耐久性を格段に改善したシートベルト用ウ
ェビングを提供することを目的とするものである。
【0012】本発明者らは、上記の目的を達成するため
に鋭意検討した結果、上記比較的高分子量の低摩擦化処
理剤技術の思想とアンコートウェビングの知見を結びつ
けることにより、新規な処理剤を見いだし、これによっ
て格納性と格納耐久性を画期的に改良したシートベルト
用ウェビングおよびその効率的な製造方法を完成するこ
とができた。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のシートベルト用ウェビングは、合成繊維マ
ルチフィラメントの表面に、分子量500〜800の二
塩基酸エステル成分[I]、分子量1300〜2500
のヒマシ油エチレンオキサイド付加物および/または硬
化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物成分[II]、およ
び分子量1300〜2500のソルビタントリエステル
エチレンオキサイド付加物成分[III]を主要有効成分
とする処理剤を付与したシートベルト用ウエビングであ
って、このウェビングに対し、前記成分[I]が0.0
5〜1.50重量%、前記成分[II]が0.02〜0.
60重量%、前記成分[III]が0.01〜0.30重
量%、それぞれ付与されていることを特徴とする。
【0014】そして、本発明のシートベルト用ウェビン
グにおいては、下記の(1)〜(3)が望ましい条件で
あり、これらの条件を適用することによって、さらに優
れた効果の取得を期待することができる。 (1)前記処理剤の主要有効成分である前記成分
[I]、成分[II]および成分[III]のウェビングに
対する合計付着量が0.1〜2.0重量%であること。 (2)前記処理剤において、前記成分[I]が主要有効
成分の20〜70重量%を占め、前記成分[II]が主要
有効成分の20〜30重量%を占め、前記成分[III]
の10〜15重量%を占めること。 (3)前記合成繊維マルチフィラメントが、強度8.5
g/d以上、伸度10%以上、単繊維繊度3〜30dの
ポリエステル繊維からなること。
【0015】また、本発明のシートベルト用ウェビング
の製造方法は、合成繊維マルチフィラメントの製糸工程
で前記処理剤を合成繊維に付与した後ウェビングを製織
することまたは合成繊維マルチフィラメントからウェビ
ングを製織した後このウェビングに前記処理剤を付与す
ることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。まず、本発明のシートベルト用ウェビングに付
与される処理剤について説明する。
【0017】本発明で使用する処理剤は、分子量500
〜800の二塩基酸エステル成分[I]、分子量130
0〜2500のヒマシ油エチレンオキサイド付加物およ
び/または硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物成分
[II]、および分子量1300〜2500のソルビタン
トリエステルエチレンオキサイド付加物成分[III]を
主要有効成分とするものである。
【0018】上記成分[I]の二塩基酸エステルの具体
例としては、ジオレイルアジペート、ジオレイルチオジ
プロピオネート、イソステアリルアジペート、およびイ
ソステアリルチオジプロピオネートなどが挙げられる。
【0019】上記成分[I]の二塩基酸エステルは、そ
の分子量が500〜800、好ましくは610〜780
の範囲とするものであり、分子量が500未満では、油
膜粘度が低く、摩耗後の滑り性が悪くなり、一方、分子
量が800を越えると、摩擦が高くなって初期滑り性が
悪くなり所望の効果が得られない。
【0020】上記成分[I]の二塩基酸エステルは、シ
ートベルトの滑り性や摩耗後の滑り性を良好にする観点
から、処理剤の主要有効成分の20〜70重量%を占め
ることが好ましく、かかる二塩基酸エステルは1種のみ
の使用でも良いし2種以上の併用でも良い。
【0021】上記成分[I]の二塩基酸エステルのウェ
ビングに対する付着量は、0.05〜1.50重量%、
好ましくは0.06〜1.30重量%の範囲とするもの
である。上記成分[I]のウェビングに対する付着量
が、0.05重量%未満では油膜強度を高めるという作
用が十分に発揮され難く、一方、1.50重量%を越え
ると粘度上昇が大きくなり滑り性が悪化してくる問題が
ある。
【0022】また、上記成分[II]のヒマシ油エチレン
オキサイド付加物および/または硬化ヒマシ油エチレン
オキサイド付加物成分は、その分子量が1300〜25
00、好ましくは1350〜2450の範囲とするもの
であり、分子量が1300未満では、溶解性が悪くな
り、一方、分子量が2500を越えると、摩擦が高くな
って初期滑り性が悪くなり、所望の効果が得られない。
【0023】また、上記成分[II]のヒマシ油エチレン
オキサイド付加物および/または硬化ヒマシ油エチレン
オキサイド付加物成分は、シートベルトの滑り性や摩耗
後の滑り性を良好にする点から処理剤の主要有効成分の
20〜30重量%を占めることが好ましい。上記成分
[II]のヒマシ油エチレンオキサイド付加物および/ま
たは硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物成分のウェ
ビングに対する付着量は0.02〜0.60重量%、好
ましくは0.03〜0.50重量%の範囲とするもので
ある。上記成分[II]のヒマシ油エチレンオキサイド付
加物および/または硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付
加物成分のウェビングに対する付着量が0.02重量%
未満では油膜強度を高めるという作用が十分に発揮され
難く、一方、0.60重量%を越えると粘度上昇が大き
くなって滑り性が悪化してくる問題がある。
【0024】さらに、上記成分[III]のソルビタント
リエステルエチレンオキサイド付加物成分において、ソ
ルビタンをエステル化する一価脂肪酸の具体例として
は、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パ
ルミチン酸、およびラウリン酸などがあげられ、なかで
もオレイン酸およびイソステアリン酸が好ましく使用さ
れる。
【0025】上記成分[III]のソルビタントリエステ
ルエチレンオキサイド付加物成分の分子量は、1300
〜2500、好ましくは1350〜2450の範囲とす
るものである。この成分の分子量が1300未満では、
処理剤の溶解性が悪くなり、また2500を越えると、
摩擦が高くなって、初期滑り性が悪くなり所望の効果が
得られない。
【0026】上記成分[III]のソルビタントリエステ
ルエチレンオキサイド付加物成分は、処理剤の溶解性を
良好にする観点から、処理剤の主要有効成分の10〜1
5重量%を占めることが好ましい。また、上記成分[II
I]のソルビタントリエステルエチレンオキサイド付加
物成分のウェビングに対する付着量は0.01〜0.3
0重量%、好ましくは0.02〜0.25重量%の範囲
とするものである。上記成分[III]のソルビタントリ
エステルエチレンオキサイド付加物成分のウェビングに
対する付着量が0.01重量%未満では、処理剤の所望
の効果が得られず、一方、0.30重量%を越えると摩
擦が大きくなって初期滑り性が悪化する問題がある。
【0027】本発明で使用する処理剤は、上記成分
[I]、[II]および[III]以外に、極圧剤成分、P
H調整剤、酸化防止剤、および紫外線吸収剤などのその
他の添加剤を必要に応じて配合したものであっても良
い。
【0028】上記PH調整剤を配合する場合には、その
割合は処理剤全体に対し0.02〜10重量%、特に
0.03〜8重量%の範囲が好適である。それ以外の添
加剤を配合する場合のそれらの割合は、処理剤全体に対
し0.02〜10重量%、特に0.03から8重量%の
範囲であることが好ましい。
【0029】本発明で使用する処理剤は、1〜20重量
%濃度の水系エマルジョン液としてシートベルトウェビ
ングの処理に用いることが好ましい。シートベルトウェ
ビングへの付着性や浸透性が損なわれないならば、さら
に高濃度の水系エマルジョン液で用いてもよいし、ま
た、有機溶媒で希釈した処理液として用いても良い。と
くに好ましくは2〜10重量%濃度の水系エマルジョン
液が用いられる。
【0030】上記処理剤を1〜20重量%濃度の水系エ
マルジョンの処理液にして用いる場合には、その処理液
の25℃における表面張力が35ダイン/cm以下、2
5℃におけるキャンパス浸透性が15秒以下であること
が、シートベルトウェビングへの付着およびウェビング
内部への浸透のために好ましい。その表面張力が35ダ
イン/cmを超える場合は、ウェビングへの付着性が不
十分となりやすく、また、キャンバス浸透性が15秒を
超える場合には、処理剤の浸透性が悪くなり易いので、
格納性の耐久性を高めるためには好ましくない。
【0031】上記の構成からなる処理剤は、従来の樹脂
コートに比較して、浸透性が格段に優れているので、ウ
ェビング内部への浸透性が大きく、処理剤をシートベル
トウェビングの表面にも、またそれを構成するベルト内
部のフィラメントの表面にも均一にコートさせることが
できる。したがって、ベルト表面のみが樹脂コートされ
た従来のシートベルトのような樹脂層とベルト(繊維)
層との2層構造とはならないから、長期間の使用によっ
てベルト表面部の繊維が削り取られても、内部の繊維に
も処理剤が付着していて低摩擦性であるので、高い格納
性を維持することができ、格納性の耐摩耗保持率が高い
シートベルトができるのである。
【0032】次に、本発明のシートベルト用ウェビング
を構成する合成繊維マルチフィラメントについて説明す
る。シートベルト用ウェビングの原糸については、乗員
の保護を目的として、車輌衝突時の衝撃に耐えるように
高強度を有することと同時に、衝突時のエネルギーを吸
収し得るように高伸度を有することが重要である。
【0033】したがって、本発明で使用する合成繊維マ
ルチフィラメントは、ポリチレンテレフタレートに代表
されるポリエステル繊維からなり、強度8.5g/d以
上、伸度10%以上、単繊維繊度3〜30dのものが好
ましく使用される。
【0034】なお、合成繊維マルチフィラメントにおけ
る各単繊維の繊度をかかる範囲とすることで、得られる
シートベルト用ウェビングの耐摩耗性を優れたものとで
き、剛性向上効果が大きく、一方、シートベルト用ウェ
ビングの製織性が低下することもない。
【0035】続いて、本発明のシートベルト用ウェビン
グの製造方法について説明する。本発明のシートベルト
用ウェビングは、合成繊維マルチフィラメントの製糸工
程で前記処理剤を合成繊維に付与した後ウェビングを製
織するか、または合成繊維マルチフィラメントからウェ
ビングを製織した後このウェビングに前記処理剤を付与
することにより製造される。
【0036】具体的には、上記処理剤を乳化させた水系
エマルジョン処理液ような処理液にして、これをシート
ベルト用原糸を製織してウェビングとした後の任意の段
階で、ウェビングを液中に浸透する方法や、ウェビング
表面に液を吹き付ける方法などの任意の方法により製造
することができる。なかでもウェビングを染色する場合
には、その染色の後に処理剤を付与することが好まし
い。
【0037】つまり、本発明のシートベルト用ウェビン
グは、原糸の製造工程または染色後のウェビングのいず
れかに上記処理剤を適用することにより製造することが
可能であることから、従来の製造工程がそのまま利用で
き、しかも上記処理剤も従来の繊維の既存の処理剤成分
の一部を組み合わせて得られるため、ウェビング製造コ
ストを低く抑えて効率的に製造することが可能である。
【0038】本発明のシートベルト用ウェビングにおけ
る上記処理剤の付着量は、シートベルトの滑り性や摩耗
後の滑り性を良好にする観点からウェビングを構成する
合成繊維マルチフィラメントに対する処理剤有効成分の
量で、0.1〜2.0重量%、さらには0.3〜1.5
重量%であることが好ましい。
【0039】このように、本発明の処理剤は、ウェビン
グに付与することによってシートベルトに要求される所
望の特性を満足させることができるので、処理されたシ
ートベルトウェビングは、従来のような樹脂コートを施
すことなくシートベルトに用いることができる。
【0040】本発明のシートベルト用ウェビングが、従
来のシートベルトに比べてとくに長期間使用した後の滑
り性において格段に優れる、つまり格納耐久性に優れる
という理由は、以下の作用メカニズムによるものと考え
られる。
【0041】すなわち、従来のシートベルトでは、例え
ばウレタンプレポリマーブロック化合物を主成分とする
樹脂をベルトに塗布する(特公平4−66948号公
報)ことによって滑り性を改良しているが、この場合に
は上記したように、ベルト表面に被覆された樹脂層が長
期間のベルトの繰り返し脱着時の摩耗によって、剥離
し、滑り性が著しく悪化してしまうという問題点を有し
ていた。しかも、場合によっては、摩耗して剥離した樹
脂がスカム状となってかたまったり、摩耗した部分に汚
れ物が付着して、滑り性の異常を生じることもあった。
そのため、より耐摩耗性の優れた樹脂の開発や、樹脂層
を比較的厚く塗布する方法などの多くの試みがなされて
きたが、十分満足するものは得られていなかった。
【0042】一方、本発明ではベルトの滑り性をコート
樹脂層に依存せずに、ベルトを構成する合成繊維マルチ
フィラメントの個々のフィラメントの表層に滑り性を付
与し、それによって所望の滑り性を得ようとするもので
ある。
【0043】従来のシートベルトにコートされた樹脂層
は、ベルト表面を被覆しており、通常、樹脂はベルトの
内部にはその一部が浸透しているのにすぎない。すなわ
ち、ベルトの最内装部に位置するフィラメントの表面に
はコート樹脂が達しておらず、これはベルトを分解した
繊維の表面物質を分析することにより確認できる。
【0044】これに対し、本発明のシートベルトウェビ
ングにおいては、ベルト表面だけでなく、ベルトの最内
層部にも処理剤が十分に浸透し、ベルト最内層を構成す
るマルチフィラメントの各々のフィラメントの表面にも
付着しており、この点において従来のシートベルトと大
きく異なっているのである。
【0045】したがって、上記の構成からなる本発明の
シートベルト用ウェビングは、従来のシートベルト用ウ
ェビングに比較して、スムーズな引き出しと格納が行わ
れ、かつ、繰り返し使用した後もスムーズな引き出しと
格納が保持される格納性および格納耐久性に優れるもの
である。
【0046】
【実施例】以下に本実施例をあげて本発明をさらに具体
的に説明する。なお、実施例などに用いた各種特性の評
価法は下記のとおりである。 [強伸度特性]JIS L 1017の方法によって測
定した。 [摩擦特性] (1)繊維−繊維間の摩擦:シートベルト用ウェビング
を分解して得られた経糸および緯糸のそれぞれについ
て、レーダー式摩擦測定器を用いて繊維間の摩擦係数を
測定した。摩擦係数が小さい程、繊維同士の滑り性が優
れていることになる。 (2)繊維−金属間の摩擦:シートベルトのウェビング
を分解して得られた経糸および緯糸のそれぞれについ
て、東レ(株)式荷重ミクロン装置を用いて、繊維と金
属間の摩擦係数を測定した繊維の走行速度は0.5m/
分および300m/分とした。前者の方法で得られた摩
擦係数は繊維の表面を被覆している処理剤の被膜強度を
表す。後者の方法で得られた摩擦係数は繊維表面の平滑
性を表す。両者の摩擦係数が同時に小さい程、滑り性が
優れていることを示す。 [処理剤溶液の表面張力(ダイン/cm)]協和界面科
学(株)製のCBV−A3型自動表面張力計を用い、2
5℃で処理剤溶液の表面張力(ダイン/cm)を測定し
た。 [処理剤溶液の浸透性(秒)]100ccビーカーに処
理剤溶液を入れ、25℃の恒温槽で15分間温調した
後、液表面に2cm×2cmの大きさで3mmの厚みの
ウールフェルトを静かに浮かべ、液中に沈降するまでの
時間(秒)を測定した。測定は5回行い、その平均値を
求めた。 [スルーとの滑り摩擦(%)]シートベルトウェビング
の一方の端に500gの荷重をセットし、その中間部を
スルーに通し、他方の端に角度20°で10kgのロー
ドセルをセットする。そのロードセルで荷重を引き上げ
る時の張力(F1)および荷重を基に戻す時の張力(F
2)を測定し、(F2/F1)の平方根×100の値を
滑り摩擦(%)とした。滑り摩擦の値は高い程、摩擦力
が小さく、滑り性、格納性に優れていることを表す。 [摩耗後の滑り摩擦(%)]シートベルトウェビング
を、サンドペーパー(N o. 500)を摩擦体にし
て、400gの荷重をかけて往復500回摩擦させてベ
ルト表面を摩耗させた。摩耗後にスルーとの滑り摩擦を
上記スルーとの滑り摩擦と同様の方法で測定し、摩耗後
の滑り摩擦(%)とした。 [六角棒摩耗保持率(%)]耐摩耗性試験法(JIS−
4606)によって行った。5000回摩耗後のシート
ベルトウェビングの強力を測定し、摩耗前の強力と摩耗
後の強力を測定し、強力保持率を求めた。
【0047】(実施例1〜3および比較例1〜5)ポリ
エチレンテレフタレートを溶融紡糸し、紡糸速度500
m/分で引取り、次に通常の紡糸油剤を0.8重量%付
与した後巻取ることなく、引き続いて245℃のホット
ローラーを用いる2段延伸により、全延伸倍率5倍に熱
延伸し、次いで3000m/分で巻取り、強度9.1g
/d、伸度13.5%、単繊維繊度10.4dのポリエ
ステルマルトフィラメントを製造した。得られたポリエ
ステルマルチフィラメントを用い、通常の方法により製
織してシートベルトウェビングを製造し、通常の方法で
黒色に染色し、さらにこれを表1に示した組成からなる
処理剤の5重量%濃度の水エマルジョン溶液に浸漬し、
ウェビングの繊維総重量に対する処理剤有効成分量で
0.5重量%の処理剤を付着させた後、110℃で3分
間予備乾燥し、次いで150℃で3分間加熱処理した。
【0048】なお、処理剤成分の一覧表を表1に記す。
この処理剤成分の各記号は、下記に示す化合物を表すも
のである。A1〜A3は上記成分[I]、B1〜B5は
上記成分[II]、C1〜C4は上記成分[III]であ
り、D1〜D2は他の添加剤成分である。また、H1は
ポリエーテルエステルの処理剤、R1〜R2は従来の樹
脂コートにおいて用いられる樹脂成分である。
【0049】
【表1】 [表1に示した各処理剤成分の略号の詳細] A1:ジオレイルアジペート(分子量:622) A2:ジオレイルチオジプロピオネート(分子量:65
4) A3:2エチルヘキシルステアレート(分子量:39
6) B1:硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物(分子
量:2000) B2:硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物(分子
量:1400) B3:ヒマシ油エチレンオキサイド付加物(分子量:1
700) B4:硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物(分子
量:1000) B5:硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物(分子
量:5000) C1:ソルビタントリオレートエチレンオキサイド付加
物(分子量:2000) C2:ソルビタントリイソス
テアレートエチレンオキサイド付加物(分子量:220
0) C3:ソルビタントリオレートエチレンオキサイド付加
物(分子量:1000) C4:ソルビタントリイソス
テアレートエチレンオキサイド付加物(分子量:500
0) D1:ステアリルアミンエチレンオキサイド付加物(分
子量:900) D2:オレイルホスフェートNa塩 H1:ポリテトラメチレングリコール(2000)とア
ジピン酸オレイン酸エステル R1:ピドロキシ含有シリコン、ウレタンプレポリマー
ブロック化合物が主成分の樹脂 R3:メチロールメラミン樹脂 このようにして得られた各シートベルト用ウェビングの
特性評価結果を表2に示す。
【0050】
【表2】 表2の結果から明らかなように、本発明による実施例1
〜4の場合は、シートベルトを構成する繊維の摩擦特性
が低く、シートベルトとスルーとの滑り性が良好であ
り、しかも摩耗させた後でもシートベルトとスルーとの
滑り性はほとんど低下せず、格納性およびその耐久性に
優れていた。さらに六角棒摩耗による耐久性にも優れて
いた。
【0051】(実施例4)実施例1〜3に記載の製糸方
法と同じ条件で紡糸、延伸し、巻き取る前に、表1に示
す処理剤イの20重量%水エマルジョン液をオイリング
ローラを用いて有効成分量で0.5重量%付与し、30
00m/分で巻取り、1500デニール144フイラメ
ント、強度9.1g/d、伸度13.5%、単繊維繊度
10.4dのポリエステルマルチフィラメントのシート
ベルト用繊維を製造した。得られたポリエステルフィラ
メント繊維を用いて通常の方法で製織し、通常の方法で
黒色に染色して得られたシートベルト用ウェビングの特
性評価結果を表2に併記した。
【0052】本発明とは相違する処理剤で処理した比較
例1〜3の場合および従来のコート樹脂を使用した比較
例4,5の場合には、シートベルトとスルーとの滑り性
が良好なものほど摩耗による滑りの悪化が大きく、摩耗
後の滑り性がいずれも不満足であり、六角棒摩耗による
耐久性も劣るものであった。
【0053】
【発明の効果】本発明のシートベルト用ウェビングは、
従来のシートベルト用ウェビングに比較して、スムーズ
な引き出しと格納が行われ、かつ、長期間にわたって繰
り返し使用した後もスムーズな引き出しと格納が保持さ
れる格納性および格納耐久性に優れるものである。
【0054】また、本発明のシートベルト用ウェビング
の製造方法によれば、原糸の製造工程または染色後のウ
ェビングのいずれかに上記処理剤を適用することにより
製造することが可能であることから、従来の製造工程が
そのまま利用でき、しかも上記処理剤も従来の繊維の既
存の処理剤成分の一部を組み合わせて得られるため、ウ
ェビング製造コストを低く抑えて効率的に製造すること
が可能である。
フロントページの続き Fターム(参考) 3D018 BA01 4L033 AA04 AA07 AB01 AB05 AC08 AC15 BA39 CA48 4L048 AA20 AA21 AA48 AA49 AA56 AB07 AC09 AC10 AC17 CA01 CA09 DA26 EB00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成繊維マルチフィラメントの表面に、
    分子量500〜800の二塩基酸エステル成分[I]、
    分子量1300〜2500のヒマシ油エチレンオキサイ
    ド付加物および/または硬化ヒマシ油エチレンオキサイ
    ド付加物成分[II]、および分子量1300〜2500
    のソルビタントリエステルエチレンオキサイド付加物成
    分[III]を主要有効成分とする処理剤を付与したシー
    トベルト用ウエビングであって、このウェビングに対
    し、前記成分[I]が0.05〜1.50重量%、前記
    成分[II]が0.02〜0.60重量%、前記成分[II
    I]が0.01〜0.30重量%、それぞれ付与されて
    いることを特徴とするシートベルト用ウェビング。
  2. 【請求項2】 前記処理剤の主要有効成分である前記成
    分[I]、成分[II]および成分[III]のウェビング
    に対する合計付着量が0.1〜2.0重量%であること
    を特徴とする請求項1に記載のシートベルト用ウェビン
    グ。
  3. 【請求項3】 前記処理剤において、前記成分[I]が
    主要有効成分の20〜70重量%を占め、前記成分[I
    I]が主要有効成分の20〜30重量%を占め、前記成
    分[III]の10〜15重量%を占めることを特徴とす
    る請求項1または2に記載のシートベルト用ウェビン
    グ。
  4. 【請求項4】 前記合成繊維マルチフィラメントが、強
    度8.5g/d以上、伸度10%以上、単繊維繊度3〜
    30dのポリエステル繊維からなることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1項に記載のシートベルト用ウェ
    ビング。
  5. 【請求項5】 合成繊維マルチフィラメントの製糸工程
    で前記処理剤を合成繊維に付与した後、ウェビングを製
    織することを特徴とするシートベルト用ウェビングの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 合成繊維マルチフィラメントからウェビ
    ングを製織した後、このウェビングに前記処理剤を付与
    することを特徴とするシートベルト用ウェビングの製造
    方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2440530A (en) * 2006-07-31 2008-02-06 Autoliv Dev Non-woven safety belt
US7563735B2 (en) 2005-11-28 2009-07-21 Takata Corporation Webbing for a seat belt
US7662734B2 (en) 2005-11-28 2010-02-16 Takata Corporation Woven belt and seat belt apparatus
US7735933B2 (en) 2006-12-11 2010-06-15 Takata Corporation Woven belt
US7799709B2 (en) 2005-11-28 2010-09-21 Takata Corporation Woven belt and seatbelt device

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