JP2000256232A - 塩化ビニルの精製方法 - Google Patents

塩化ビニルの精製方法

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JP2000256232A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微量塩化水素及び水分を含有する塩化ビニル
を固体のアルカリ金属水酸化物と接触させて精製する際
に、アセチレンの発生を抑制した精製法を提供する。 【解決手段】 塩化ビニルを固体のアルカリ金属水酸化
物で処理して、塩化ビニル中の塩化水素、水を除去する
際、塩化ビニルと固体アルカリ金属水酸化物を、35℃
以下の温度で接触させること、或いは塩化ビニルを、固
体アルカリ金属水酸化物の充填層に通液して塩化ビニル
中の塩化水素、水を除去する方法に於いて、該充填層へ
通液される塩化ビニル中の水の累積量が、固体アルカリ
金属水酸化物1g当たり、0.20g以下の時点で、充
填層中のアルカリ金属水酸化物を交換することを特徴と
する塩化ビニルの精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩化ビニルの精製方
法に関する。詳しくは、工業的に製造された塩化ビニル
中に存在する微量の塩化水素及び水を除去する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】工業的に使用されている塩化ビニルは、
一般に、1,2−ジクロルエタンの熱分解により製造さ
れている。熱分解で得られた粗塩化ビニルは、塩化水
素、未反応の1,2−ジクロルエタン等を分別蒸留によ
り分離し、精製される。しかし、この様に精製された塩
化ビニル中にはなお、微量の塩化水素、水が含まれてお
り、容器の腐食や、かかる塩化ビニルから得られた重合
体の付着の原因となっている。そのため、アルカリ金属
水酸化物を水溶液として或いは固体状で塩化ビニルと接
触させて、塩化水素及び水を除する方法が知られている
(特開昭57−209234号)。
【0003】しかしながら、アルカリ金属水酸化物の水
溶液と接触させる方法は、塩化水素は有効に除去できる
が、処理後の塩化ビニルを乾燥する必要があり、装置及
び操作が煩雑となる欠点がある。又、固体のアルカリ金
属水酸化物を用いる方法は、塩化ビニルとアルカリ金属
水酸化物が接触することによりアセチレンを発生させる
という問題点がある。アセチレンが混入すると塩化ビニ
ルの重合度を低下させ、或いは生成したポリ塩化ビニル
の熱安定性を低下させる原因となる。アセチレン生成を
避ける方法として、特開昭57−20934号では、ア
ルカリ金属水酸化物の代わりにアルカリ土類金属水酸化
物の使用を提案している。しかしてアルカリ土類金属水
酸化物では必ずしも効果が十分ではなく、又価格が高い
という欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑み成されたものであって、固体のアルカリ金属水酸
化物を使用して、アセチレンを発生させることなく、微
量の塩化水素、水を含有する塩化ビニルを精製する工業
的有利な方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記目的を
達成するため、鋭意検討を重ね、塩化ビニルと固体のア
ルカリ金属水酸化物を接触させる際の条件を制御するこ
とにより、アセチレンの生成を抑制し得ることを知り本
発明に到達した。即ち本発明は、塩化ビニルを固体のア
ルカリ金属水酸化物で処理して、塩化ビニル中の塩化水
素、水を除去する際、塩化ビニルと固体アルカリ金属水
酸化物を、35℃以下の温度で接触させること、或いは
塩化ビニルを、固体アルカリ金属水酸化物の充填層に通
液して塩化ビニル中の塩化水素、水を除去する方法に於
いて、該充填層へ通液される塩化ビニル中の水の累積量
が、固体アルカリ金属水酸化物1g当たり、0.20g
以下の時点で、充填層中のアルカリ金属水酸化物を交換
することを特徴とする塩化ビニルの精製方法に存する。
【0006】本発明者等は、塩化ビニルと固体のアルカ
リ金属水酸化物を接触させる際、アセチレンが生成する
条件に付き検討をしたところ、接触温度及び、又はアル
カリ金属水酸化物の湿潤状態が大きく、関係しているこ
とを見出した。即ち、通常、工業的に製造される塩化ビ
ニルは、1,2−ジクロルエタンを塩化ビニルと塩化水
素に熱分解し、塩化水素を分離後、未反応1,2−ジク
ロルエタン等の高沸物を蒸留分離し、蒸留塔留出物を熱
交換器により冷却して精製された塩化ビニルを液状で回
収する。熱交換器は、通常、再冷塔で冷却された再冷水
を用いて冷却されることから、40〜50℃程度までし
か塩化ビニルを冷却出来ない。従って、従来は、40〜
50℃の温度で塩化ビニルと固体のアルカリ金属水酸化
物との接触が行われており、アセチレンが発生してい
た。しかして本発明者等は、接触時の塩化ビニルの温度
を35℃以下にするとアセチレンの生成を抑制すること
が出来ることを見出した。
【0007】又、固体アルカリ金属水酸化物の湿潤状態
もアセチレン発生速度に大きく影響し、湿潤した状態で
塩化ビニルと接触した場合、アセチレンを発生させる速
度が高いことが判明した。しかして、塩化ビニルをアル
カリ金属水酸化物の水溶液に接触させてもアセチレンは
発生しない。この理由は次の通りと推定される。固体の
アルカリ金属水酸化物を水に溶解すると、アルカリ金属
イオンとヒドロキシイオンに電離するが、水素結合によ
り、ヒドロキシイオンに水が結合する。更に多量の水
が、この周囲を取り囲み、塩化ビニルとの反応に寄与す
るヒドロキシイオンの量を低下させるため、アセチレン
は発生しない。一方、固体のアルカリ金属水酸化物は、
乾燥状態では結晶構造を保っている。このため、結晶の
外側の水酸基(ヒドロキシイオン)は、周囲をアルカリ
金属原子に取り囲まれ、一面しか塩化ビニルとの反応に
寄与しない。従って、乾燥状態のアルカリ金属水酸化物
の場合は、アセチレン生成速度が遅く、実質的にアセチ
レンの発生がない。
【0008】一方、湿潤したアルカリ金属水酸化物は、
水分により一部のアルカリ金属水酸化物が解離しヒドロ
キシイオンを生成するが、このイオンは更に水素結合に
より水と結合することはない。このため、固体或いは水
溶液状態のアルカリ金属水酸化物に比べ、反応に寄与す
るヒドロキシイオンが多量に存在し、アセチレン生成速
度が速くなるものと考えられる。
【0009】
【発明の実施の形態】上述の如く、工業的に製造される
塩化ビニルは、1,2−ジクロルエタンを塩化ビニルと
塩化水素に熱分解し、塩化水素を分離後、未反応1,2
−ジクロルエタン等の高沸物を蒸留分離し、蒸留塔留出
物を熱交換器により冷却して精製された塩化ビニルを液
状で回収する。かかる塩化ビニルは、通常、温度が40
〜50℃程度である。それ故、本発明に従って35℃以
下の温度で、塩化ビニルをアルカリ金属水酸化物と接触
させるためには、高沸蒸留塔から得られる塩化ビニル
を、更に、冷却する必要がある。冷却方法はどの様な方
法であっても構わない。例えば、吸収冷凍機もしくはア
ンモニア冷凍機等で冷却した冷媒を用いて温度40〜5
0℃程度の塩化ビニルと熱交換して、35℃以下に冷却
する。或いは、塩化ビニルの蒸留精製時に、吸収冷凍機
もしくはアンモニア冷凍機等で冷却した冷媒を用いて熱
交換して、35℃以下に冷却された塩化ビニルを得る等
の方法がある。塩化ビニルと固体のアルカリ金属水酸化
物との接触温度は、35℃以下、好ましくは25℃以
下、更に好ましくは0〜25℃である。
【0010】本発明方法に使用される固体のアルカリ金
属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウムである。
これらのアルカリ金属水酸化物は、粒状、ペレット状等
如何なる形状であってもよく、また、シリカ或いはアル
ミナ等の多孔性物質に担持して用いても良い。アルカリ
金属水酸化物と塩化ビニルとの接触方法は、回分式、又
は流通式による連続法の何れでも良い。工業的な精製法
の具体例は、アルカリ金属水酸化物の充填層に塩化ビニ
ルを流通させて接触する方法である。この方法における
塩化ビニルの流量、接触時間等の接触条件は、塩化ビニ
ル中の塩化水素及び水の量に応じて適宜決められるが、
通常単位充填物当たりの塩化ビニルの流量は、0.1〜
1000 1/Hr.望ましくは1〜50 1/Hr.
である。
【0011】本出願の他の発明は、水分量が管理された
アルカリ金属水酸化物の充填層に塩化ビニルを流通させ
て接触させる方法である。即ち、上述の如く、アルカリ
金属水酸化物の湿潤状態はアセチレンの発生に大きく関
係する。従って本発明方法によれば、固体のアルカリ金
属水酸化物の充填層に塩化ビニルを流通接触させて精製
する方法に於いて、充填層中の固体アルカリ金属水酸化
物1g当たりの水の累積通液量が、0.20g以下、好
ましくは0.15g以下、更に好ましくは0.01〜
0.1gの範囲で充填層のアルカリ金属水酸化物を交換
することが必要である。水の累積通液量は、通液する塩
化ビニルに含まれる水分濃度と塩化ビニルの累積通液量
の積を、アルカリ金属水酸化物の充填量で割った値であ
る。なお塩化ビニル中の水分測定は、JIS K 00
68により実施し、1ppm(重量)の単位まで測定す
る。
【0012】この様に、水分量が管理された充填層によ
り塩化ビニルを精製する場合も、接触温度は35℃以下
であることが好ましく、更に好ましくは25℃以下、特
に好ましくは0〜25℃である。以上詳述した本発明方
法によれば、実質的にアセチレンを発生させることな
く、塩化ビニルを精製することができる。
【0013】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り
以下の例に制約されるものではない。なお、以下の例に
おいて、「ppm」及び「%」は「重量ppm」及び
「重量%」を意味する。
【0014】実施例1 水分濃度290ppm、塩化水素濃度0.2ppm、ア
セチレン濃度0.10ppm以下の塩化ビニル450g
に、固体水酸化ナトリウム(東ソー社製、工業用水酸化
ナトリウム)を40g加え、オートクレーブにて20℃
で3時間撹拌した。3時間後、オートクレーブ気相部及
び液層部のアセチレン濃度を測定し、アセチレンの量を
求めたところ、0.10ppm以下で、アセチレンの発
生は認められなかった。又水分量及び塩化水素はそれぞ
れ65ppm、0.1ppm以下であった。
【0015】比較例1 オートクレーブの温度を50℃にした以外は実施例1と
同様にして塩化ビニルを処理した。3時間後のアセチレ
ン量は0.24ppmで、アセチレンの発生が認められ
た。又水分量及び塩化水素はそれぞれ60ppm、0.
1ppm以下であった。
【0016】比較例2 固体水酸化ナトリウムに水10gを加えた以外は実施例
1と同様にして塩化ビニルを処理した。3時間後のアセ
チレン量は0.79ppmで、多量のアセチレン発生が
認められた。又水分量及び塩化水素はそれぞれ170p
pm、0.1ppm以下であった。
【0017】実施例2 水の累積通液量が0.05[g−H2 O/g−NaO
H]の固体水酸化ナトリウムの充填層に、水分濃度4p
pm、塩化水素濃度0.2ppm、アセチレン濃度0.
10ppm以下の塩化ビニルを、6kg/cm2 G、2
5℃で流通させ、0.2時間接触させた。塩化ビニルと
固体水酸化ナトリウムとの接触比率は、9g/時間/g
−NaOHとした。接触後の塩化ビニル液中のアセチレ
ン濃度は、0.10ppm以下でアセチレンの発生は認
められなかった。又、水分及び塩化水素の濃度はそれぞ
れ3ppm、0.1ppm以下であった。
【0018】比較例3 流通系で、水分濃度2ppm以下、塩化水素濃度0.2
ppm、アセチレン濃度0.10ppm以下の塩化ビニ
ルを、6kg/cm2 G、40℃で40%水酸化ナトリ
ウム水溶液と0.3時間接触させた。塩化ビニルと水酸
化ナトリウム水溶液との流量比(重量)は17:1とし
た。処理後の塩化ビニル中のアセチレン濃度は0.10
ppm以下で、アセチレンの発生は認められなかった
が、水分濃度は200ppmに上昇した。一方塩化水素
は0.1ppm以下であった。
【0019】比較例4 水の累積通液量が0.25[g−H2 O/g−NaO
H]の固体水酸化ナトリウムの充填層に、水分濃度20
0ppm、塩化水素濃度0.2ppm、アセチレン濃度
0.10ppm以下の塩化ビニルを、6kg/cm2
G、40℃で流通させ、0.2時間接触させた。塩化ビ
ニルと固体水酸化ナトリウムとの接触比率は、7g/時
間/g−NaOHとした。接触後の塩化ビニル液中のア
セチレン濃度は、0.15ppmでアセチレンの発生が
認められた。又、水分及び塩化水素の濃度はそれぞれ7
0ppm、0.1ppm以下であった。
【0020】
【発明の効果】本発明方法によれば、固体のアルカリ金
属水酸化物を使用して、塩化ビニル中の微量水分及び塩
化水素を除去する際、アセチレンの発生を抑制し、高品
質の精製塩化ビニルを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣戸 健一郎 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化学 株式会社水島事業所内 (72)発明者 糸山 和年 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化学 株式会社水島事業所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AD17 BA02 BA29 BC18 BC50 BC51 EA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニルを、固体のアルカリ金属水酸
    化物で処理して、塩化ビニル中の塩化水素、水を除去す
    る際、塩化ビニルと固体アルカリ金属水酸化物を、35
    ℃以下の温度で接触させることを特徴とする塩化ビニル
    の精製方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリ
    ウム及び、又は水酸化カリウムであることを特徴とする
    請求項1記載の塩化ビニルの精製方法。
  3. 【請求項3】 塩化ビニルを、固体アルカリ金属水酸化
    物の充填層に通液して塩化ビニル中の塩化水素、水を除
    去する方法に於いて、該充填層へ通液される塩化ビニル
    中の水の累積量が、固体アルカリ金属水酸化物1g当た
    り、0.20g以下の時点で、充填層中のアルカリ金属
    水酸化物を交換することを特徴とする塩化ビニルの精製
    方法。
  4. 【請求項4】 塩化ビニルを35℃以下の温度で、固体
    アルカリ金属水酸化物層へ、通液することを特徴とする
    請求項3記載の塩化ビニルの精製方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリ
    ウム及び、又は水酸化カリウムであることを特徴とする
    請求項3又は4記載の塩化ビニルの精製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110683934A (zh) * 2019-10-25 2020-01-14 许柏文 纯化氯乙烯单体的方法及系统

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