JP2000263239A - マグネトロン部品の製造方法 - Google Patents

マグネトロン部品の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶接部の接合部の接合強度を高く安定化させる
ことができ、品質および信頼性が高いマグネトロン部品
を高い製造歩留りで製造することが可能なマグネトロン
部品の製造方法を提供する。 【解決手段】マグネトロン部品本体2に高融点金属から
成る被接合部品3bを突き合せて抵抗溶接により一体に
接合するマグネトロン部品の製造方法において、上記被
接合部品3bの突き合せ端面に平坦部6を残して突き合
せ方向に縮径する傾斜面7を予め形成し、しかる後に上
記平坦部6をマグネトロン部品本体2に突き合せて抵抗
溶接を実施することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマグネトロン部品の
製造方法に係り、特に溶接部の接合強度を高く安定化さ
せることができ、品質および信頼性が高いマグネトロン
部品を高い製造歩留りで製造することが可能なマグネト
ロン部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】2極真空管の一種でマイクロ波を発生さ
せるための電子管としてマグネトロンがマイクロ波通信
装置や家庭電化製品に広く利用されている。このマグネ
トロンは円筒形状の陰極(カソード)とこれを取り囲む
陽極(アノード)との間に数キロボルトの直流高電圧を
印加し、マイクロ波を発生させるものである。現在では
周波数が2450MHz,出力700〜1500W程度
のマイクロ波を食品に照射して誘導加熱方式によって食
品を加熱調理する電子レンジの主要部品として広く利用
されている。
【0003】従来、上記電子レンジ用のマグネトロン本
体内に装備されるマグネトロン部品1としてのカソード
(陰極)部品は、例えば図4および図5に示す方法で製
造されている。すなわち、マグネトロン部品本体2とし
てのエンドハットに、端面を平坦に形成した被接合部材
3としてのリード棒を数10kgの押圧力を印加して突
き合せた状態で、抵抗溶接によって一体に接合して製造
されている。上記エンドハットおよびリード棒は共にモ
リブデン(Mo)などの高融点金属材から形成されてい
る。
【0004】しかしながら、上記のように端面を平坦に
形成したリード棒3をエンドハット2の側面に一体に接
合した従来のマグネトロン部品1においては、図5に示
すように、突き合せ溶接部に溶着金属が盛り上った突出
部(ダレ)4が形成され易い難点があり、この突出部4
がエンドハット2の外周面から僅かに突出しても不良品
となるため、マグネトロン部品1の製造歩留りが大幅に
低下してしまう問題点があった。
【0005】また、リード棒3およびエンドハット2は
共にモリブデンなどの高融点金属材で形成されているた
め、それらの溶接接合に際しては、溶接の各段階におけ
るリード棒3への押圧力や溶接電流を厳格に制御するな
ど高度な溶接技術が必要とされていた。しかし、上記の
ように厳格に溶接条件を制御した場合においてもリード
棒3の溶接強度のばらつきは大きく、マグネトロン部品
1としての特性安定性や信頼性が低下する問題点があっ
た。
【0006】上記問題点を解決するために、例えば図6
に示すように、被接合部品3としてのリード棒素材をバ
レル加工法やタンブリング加工法によって処理して、そ
の両端部に球面加工部(R加工部)5を形成したリード
棒3aを用いることも試行されている。この製造方法に
よれば、部品本体2と球面加工部5との間の空間に接合
金属が収容される構造となるため、図5に示すような溶
接金属の盛り上りによる突出部4の形成がやや減少し、
不良率も若干改善される効果も得られている。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、突き合
せ部を球面加工したリード棒を用いる上記従来の製造方
法によれば、リード棒を突き合せた時点で、エンドハッ
トとリード棒とが点接触となるため、接触部にアークが
発生して溶接電流が一定にならない欠点がある。また点
接触していた部位がエンドハット母材側に急速にくい込
み、エンドハットとの通電接触面積が急変するために、
初期溶接条件の設定が極めて不安定になり、溶接部の仕
上り精度にも大きなばらつきを生じる問題点があった。
【0007】また、バレル加工またはタンブリング加工
によって多数のリード棒素材の端面を同時に球面化加工
をした場合においても、球面形状のばらつきが大きくな
り、各リード棒毎に初期溶接条件が大きく変化してしま
い、いずれにしても最終的に製造されたマグネトロン部
品の溶接接合強度や仕上り形状が一定とならず、特性お
よび信頼性のばらつきが大きくなる問題点があった。
【0008】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、特に溶接部の接合部の接合強度を高く
安定化させることができ、品質および信頼性が高いマグ
ネトロン部品を高い製造歩留りで製造することが可能な
マグネトロン部品の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本願発明者は被接合部材としてのリード棒の端面形状
を種々に変えて、それらの端面形状が溶接強度,溶接操
作の安定性,最終部品の信頼性および製造歩留りに及ぼ
す影響を比較調査した。
【0010】その結果、リード棒の端面に所定の平坦部
を残すとともに突き合せ方向に縮径する傾斜面を形成し
たリード棒を用いたときに、リード棒の溶接強度が安定
して高くなり、溶接操作も安定するとともに、溶接部の
突出等による不良がなく、信頼性が高いマグネトロン部
品を高い製造歩留りで簡単に量産できるという知見を得
た。本発明は上記知見に基づいて完成されたものであ
る。
【0011】すなわち、本発明に係るマグネトロン部品
の製造方法は、マグネトロン部品本体に高融点金属から
成る被接合部品を突き合せて抵抗溶接により一体に接合
するマグネトロン部品の製造方法において、上記被接合
部品の突き合せ端面に平坦部を残して突き合せ方向に縮
径する傾斜面を予め形成し、しかる後に上記平坦部をマ
グネトロン部品本体に突き合せて抵抗溶接を実施するこ
とを特徴とする。
【0012】また、上記被接合部品の軸直角方向の断面
積に対する上記平坦部の面積率は、2〜25%,さらに
好ましくは3〜20%であることが望ましい。
【0013】さらに、上記傾斜面の開き角度は90〜1
50度の範囲,より好ましくは100〜140度の範囲
であることが望ましい。
【0014】上記製造方法は、特にマグネトロン部品本
体および被接合部品が高融点金属であるモリブデン(M
o)から成る場合に、溶接強度の安定化,溶接操作の安
定化等に優れた効果を発揮する。
【0015】本発明方法において、被接合部品の端面に
残す平坦部は、突き合せ直後における溶接作業で初期接
触面積を一定量確保して初期通電密度を一定にし、溶接
操作を安定化させるために重要な構成となる。
【0016】図1に示すように、上記被接合部品3bの
軸直角方向の断面積(πD/4)に対する上記平坦部
6の面積率((d/D)×100(%))は2〜2
5%であることが望ましい。この平坦部の面積率が2%
未満と過少な場合には、溶接初期の通電密度が高くな
り、溶接部にアークが発生して被接合部品の先端が局部
的に溶解したり、溶接条件が不安定になるとともに溶接
性(溶接強度)が低下する。一方、面積率が25%を超
えるように過大になると、部品本体と被接合部品との間
の空間が過少になり、溶接金属が収容できないため、突
出部などの不良が生じ易い上に溶接強度も低下する。し
たがって、面積率は2〜25%の範囲とされるが、3〜
20%の範囲がより好ましい。
【0017】また、上記平坦部6の外周に形成され、突
き合せ方向に縮径するように形成される傾斜面7は、被
接合部材3bをマグネトロン部品本体2に突き合せたと
きに、部品本体2と傾斜面7との間に空間を形成し、こ
の空間に溶接金属を収容して突出することを防止するた
めに形成される。
【0018】上記傾斜面7の開き角度θは90〜150
度の範囲であることが望ましい。この開き角度θも部品
の溶接性(溶接強度)の安定性および不良率に大きな影
響を与える。開き角度θが90度未満と過少な場合に
は、被接合部品の端面が鋭角になり、抵抗溶接初期にア
ークが発生し易くなり、溶接条件が不安定になる。一
方、開き角度θが150度を超えるように過大になる
と、部品本体と傾斜面との間の空間が小さくなり、溶接
金属を収容しにくくなり、突出不良が生じ易くなる。し
たがって、上記傾斜面7の開き角度は90〜150度の
範囲とされるが、100〜140度の範囲がより好まし
く、110〜130度の範囲がさらに好ましい。
【0019】上記構成に係るマグネトロン部品の製造方
法によれば、被接合部品の突き合せ端面に平坦部を残し
て突き合せ方向に縮径する傾斜面を予め形成し、しかる
後に上記平坦部をマグネトロン部品本体に突き合せて抵
抗溶接を実施しているため、溶接初期において平坦部に
より一定の接触面積が確保できる。したがって、初期通
電密度が過大にならず、またアークも発生しないため、
溶接初期条件が一定となる。そのため、溶接操作が安定
して接合部の接合強度も高くなり、接合部の仕上り状態
のばらつきも減少して高い信頼性を有するマグネトロン
部品を量産することができる。
【0020】また、平坦部の外周に傾斜面を形成し、部
品本体と傾斜面との間の空間に溶接金属を収容すること
ができ、溶接金属の突出による不良を解消することが可
能であり、高品質のマグネトロン部品を高い製造歩留り
で量産することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について添
付図面を参照して以下の実施例に基づいて具体的に説明
する。
【0022】図1は本実施例で使用する被接合部品とし
てのリード棒3bの端面形状を示す部分断面図であり、
図2は本実施例の製造方法によって製造したマグネトロ
ン部品1aとしてのカソード部品の形状を示す断面図で
ある。
【0023】上記マグネトロン部品としてのカソード部
品は以下のような手順で製造した。まず、直径Dが1.
3mmのMo棒を多数用意し、各Mo棒の端面を、図1
に示すように旋盤加工によって切削して開き角度θが1
20度となる傾斜面7をそれぞれ形成した。このとき、
平坦部6の直径dが0.15〜0.69mmで面積率が
1.2〜28%の範囲で変化するように加工してそれぞ
れリード棒3bを形成した。
【0024】一方、図2に示す形状を有し、モリブデン
から成り、外径8mmで厚さが2.4mmである、マグ
ネトロン部品本体としてのエンドハット2を多数用意し
た。そして、前記のように調製した各リード棒3bの平
坦部6をエンドハット2の側面に75kgの押圧力を付
加して突き合せ、抵抗溶接を実施することにより、各実
施例に係るマグネトロン部品としてのカソード部品をそ
れぞれ製造した。なお抵抗溶接時の押圧力や電流等の溶
接条件は全ての実施例について同一とした。
【0025】こうして調製した各カソード部品のリード
棒3bと部品本体2との溶接強度を評価するために、各
リード棒3bの破断トルクを測定して図3に示す結果を
得た。
【0026】図3に示す結果から明らかなように、リー
ド棒3bの軸直角方向の断面積(πD/4)に対する
上記平坦部6の面積率((d/D)×100)が2
〜5.5%の範囲(A−A′間)においてリード棒3b
の溶接強度が最大値をとり、面積率が5.5〜25%の
範囲(A′−B間)で徐々に溶接強度が低下する傾向が
あり、さらに面積率が28%を超える範囲(C点以降)
で溶接強度が急激に低下することが判明した。
【0027】なお、リード棒3b端面の平坦部6の直径
dが0.15mm以下である試料(S点)については、
溶接初期にスパークが発生してリード棒3bの先端部が
急激に溶融したため、接合操作が不能であった。
【0028】したがって、高い溶接強度が安定して得ら
れる面積率の範囲は2〜25%である。特に上記面積率
を3〜5.5%の範囲とすることにより、溶接強度値を
より高められることが判明した。
【0029】このように本実施例に係るマグネトロン部
品としてのカソード部品の製造方法によれば、リード棒
の端面に所定量の平坦部6が形成されているため、突き
合せ抵抗溶接時の初期から溶接電流密度が一定になる。
そのため、接合部における金属の溶融状態が安定するた
め、信頼性が高い溶接部品が得られた。また、リード棒
3bの端面の平坦部6の直径dを所定範囲に高精度に加
工することにより、溶接強度が高く、特性安定性に優れ
たカソード部品を製造することが可能になった。
【0030】また上記各実施例に係るマグネトロン部品
1aとしてのカソード部品のうち、平坦部の面積率が2
〜25%の範囲のものは、いずれも図2に示すように、
リード棒3bがエンドハット2の側面に強固に接合され
ており、かつ図5の従来例で示すような溶接金属の盛り
上りによる突出不良は一切発生せず、高い製造歩留りで
カソード部品を量産できることも実証された。
【0031】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係るマグネト
ロン部品の製造方法によれば、被接合部品の突き合せ端
面に平坦部を残して突き合せ方向に縮径する傾斜面を予
め形成し、しかる後に上記平坦部をマグネトロン部品本
体に突き合せて抵抗溶接を実施しているため、溶接初期
において平坦部により一定の接触面積が確保できる。し
たがって、初期通電密度が過大にならず、またアークも
発生しないため、溶接初期条件が一定となる。そのた
め、溶接操作が安定して接合部の接合強度も高くなり、
接合部の仕上り状態のばらつきも減少して高い信頼性を
有するマグネトロン部品を量産することができる。
【0032】また、平坦部の外周に傾斜面を形成し、部
品本体と傾斜面との間の空間に溶接金属を収容すること
ができ、溶接金属の突出による不良を解消することが可
能であり、高品質のマグネトロン部品を高い製造歩留り
で量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法で使用する被接合部品の端面形状を
示す部分断面図。
【図2】本発明方法で製造したマグネトロン部品の形状
を示す断面図。
【図3】本発明方法における平坦部面積率と溶接強度と
の関係を示すグラフ。
【図4】従来のマグネトロン部品の製造方法を示す断面
図。
【図5】図4に示すマグネトロン部品の仕上り状態を示
す断面図。
【図6】従来の他のマグネトロン部品の製造方法を示す
断面図。
【符号の説明】
1,1a マグネトロン部品(カソード部品) 2 マグネトロン部品本体(エンドハット) 3,3a,3b 被接合部材(リード棒) 4 突出部(ダレ) 5 球面加工部(R加工部) 6 平坦部 7 傾斜面

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネトロン部品本体に高融点金属から
    成る被接合部品を突き合せて抵抗溶接により一体に接合
    するマグネトロン部品の製造方法において、上記被接合
    部品の突き合せ端面に平坦部を残して突き合せ方向に縮
    径する傾斜面を予め形成し、しかる後に上記平坦部をマ
    グネトロン部品本体に突き合せて抵抗溶接を実施するこ
    とを特徴とするマグネトロン部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 被接合部品の軸直角方向の断面積に対す
    る上記平坦部の面積率が2〜25%であることを特徴と
    する請求項1記載のマグネトロン部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 被接合部品の軸直角方向の断面積に対す
    る上記平坦部の面積率が3〜20%であることを特徴と
    する請求項1記載のマグネトロン部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 傾斜面の開き角度が90〜150度の範
    囲であることを特徴とする請求項1記載のマグネトロン
    部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 傾斜面の開き角度が100〜140度の
    範囲であることを特徴とする請求項1記載のマグネトロ
    ン部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 マグネトロン部品本体および被接合部品
    がモリブデン(Mo)から成ることを特徴とする請求項
    1記載のマグネトロン部品の製造方法。
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