JP4154064B2 - マグネトロン部品の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマグネトロン部品の製造方法に係り、特に溶接部の接合強度を高く安定化させることができ、品質および信頼性が高いマグネトロン部品を高い製造歩留りで製造することが可能なマグネトロン部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2極真空管の一種でマイクロ波を発生させるための電子管としてマグネトロンがマイクロ波通信装置や家庭電化製品に広く利用されている。このマグネトロンは円筒形状の陰極(カソード)とこれを取り囲む陽極(アノード)との間に数キロボルトの直流高電圧を印加し、マイクロ波を発生させるものである。現在では周波数が2450MHz,出力700〜1500W程度のマイクロ波を食品に照射して誘導加熱方式によって食品を加熱調理する電子レンジの主要部品として広く利用されている。
【0003】
従来、上記電子レンジ用のマグネトロン本体内に装備されるマグネトロン部品1としてのカソード(陰極)部品は、例えば図4および図5に示す方法で製造されている。すなわち、マグネトロン部品本体2としてのエンドハットに、端面を平坦に形成した被接合部材3としてのリード棒を数10kgの押圧力を印加して突き合せた状態で、抵抗溶接によって一体に接合して製造されている。上記エンドハットおよびリード棒は共にモリブデン(Mo)などの高融点金属材から形成されている。
【0004】
しかしながら、上記のように端面を平坦に形成したリード棒3をエンドハット2の側面に一体に接合した従来のマグネトロン部品1においては、図5に示すように、突き合せ溶接部に溶着金属が盛り上った突出部(ダレ)4が形成され易い難点があり、この突出部4がエンドハット2の外周面から僅かに突出しても不良品となるため、マグネトロン部品1の製造歩留りが大幅に低下してしまう問題点があった。
【0005】
また、リード棒3およびエンドハット2は共にモリブデンなどの高融点金属材で形成されているため、それらの溶接接合に際しては、溶接の各段階におけるリード棒3への押圧力や溶接電流を厳格に制御するなど高度な溶接技術が必要とされていた。しかし、上記のように厳格に溶接条件を制御した場合においてもリード棒3の溶接強度のばらつきは大きく、マグネトロン部品1としての特性安定性や信頼性が低下する問題点があった。
【0006】
上記問題点を解決するために、例えば図6に示すように、被接合部品3としてのリード棒素材をバレル加工法やタンブリング加工法によって処理して、その両端部に球面加工部(R加工部)5を形成したリード棒3aを用いることも試行されている。この製造方法によれば、部品本体2と球面加工部5との間の空間に接合金属が収容される構造となるため、図5に示すような溶接金属の盛り上りによる突出部4の形成がやや減少し、不良率も若干改善される効果も得られている。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、突き合せ部を球面加工したリード棒を用いる上記従来の製造方法によれば、リード棒を突き合せた時点で、エンドハットとリード棒とが点接触となるため、接触部にアークが発生して溶接電流が一定にならない欠点がある。また点接触していた部位がエンドハット母材側に急速にくい込み、エンドハットとの通電接触面積が急変するために、初期溶接条件の設定が極めて不安定になり、溶接部の仕上り精度にも大きなばらつきを生じる問題点があった。
【0007】
また、バレル加工またはタンブリング加工によって多数のリード棒素材の端面を同時に球面化加工をした場合においても、球面形状のばらつきが大きくなり、各リード棒毎に初期溶接条件が大きく変化してしまい、いずれにしても最終的に製造されたマグネトロン部品の溶接接合強度や仕上り形状が一定とならず、特性および信頼性のばらつきが大きくなる問題点があった。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、特に溶接部の接合部の接合強度を高く安定化させることができ、品質および信頼性が高いマグネトロン部品を高い製造歩留りで製造することが可能なマグネトロン部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本願発明者は被接合部材としてのリード棒の端面形状を種々に変えて、それらの端面形状が溶接強度,溶接操作の安定性,最終部品の信頼性および製造歩留りに及ぼす影響を比較調査した。
【0010】
その結果、リード棒の端面に所定の平坦部を残すとともに突き合せ方向に縮径する傾斜面を形成したリード棒を用いたときに、リード棒の溶接強度が安定して高くなり、溶接操作も安定するとともに、溶接部の突出等による不良がなく、信頼性が高いマグネトロン部品を高い製造歩留りで簡単に量産できるという知見を得た。本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明に係るマグネトロン部品の製造方法は、マグネトロン部品本体に高融点金属から成る被接合部品を突き合せて抵抗溶接により一体に接合するマグネトロン部品の製造方法において、上記被接合部品の突き合せ端面に平坦部を残して突き合せ方向に縮径する傾斜面を予め形成し、上記被接合部品の軸直角方向の断面積に対する上記平坦部の面積率を2〜25%とし、上記傾斜面の開き角度を90〜150度の範囲とし、しかる後に上記平坦部をマグネトロン部品本体に突き合せて抵抗溶接を実施することを特徴とする。
【0012】
また、上記被接合部品の軸直角方向の断面積に対する上記平坦部の面積率は、さらに3〜20%であることが望ましい。
【0013】
さらに、上記傾斜面の開き角度は、100〜140度の範囲であることがより望ましい。
【0014】
上記製造方法は、特にマグネトロン部品本体および被接合部品が高融点金属であるモリブデン(Mo)から成る場合に、溶接強度の安定化,溶接操作の安定化等に優れた効果を発揮する。
【0015】
本発明方法において、被接合部品の端面に残す平坦部は、突き合せ直後における溶接作業で初期接触面積を一定量確保して初期通電密度を一定にし、溶接操作を安定化させるために重要な構成となる。
【0016】
図1に示すように、上記被接合部品3bの軸直角方向の断面積(πD/4)に対する上記平坦部6の面積率((d/D)×100(%))は2〜25%であることが望ましい。この平坦部の面積率が2%未満と過少な場合には、溶接初期の通電密度が高くなり、溶接部にアークが発生して被接合部品の先端が局部的に溶解したり、溶接条件が不安定になるとともに溶接性(溶接強度)が低下する。一方、面積率が25%を超えるように過大になると、部品本体と被接合部品との間の空間が過少になり、溶接金属が収容できないため、突出部などの不良が生じ易い上に溶接強度も低下する。したがって、面積率は2〜25%の範囲とされるが、3〜20%の範囲がより好ましい。
【0017】
また、上記平坦部6の外周に形成され、突き合せ方向に縮径するように形成される傾斜面7は、被接合部材3bをマグネトロン部品本体2に突き合せたときに、部品本体2と傾斜面7との間に空間を形成し、この空間に溶接金属を収容して突出することを防止するために形成される。
【0018】
上記傾斜面7の開き角度θは90〜150度の範囲であることが望ましい。この開き角度θも部品の溶接性(溶接強度)の安定性および不良率に大きな影響を与える。開き角度θが90度未満と過少な場合には、被接合部品の端面が鋭角になり、抵抗溶接初期にアークが発生し易くなり、溶接条件が不安定になる。一方、開き角度θが150度を超えるように過大になると、部品本体と傾斜面との間の空間が小さくなり、溶接金属を収容しにくくなり、突出不良が生じ易くなる。したがって、上記傾斜面7の開き角度は90〜150度の範囲とされるが、100〜140度の範囲がより好ましく、110〜130度の範囲がさらに好ましい。
【0019】
上記構成に係るマグネトロン部品の製造方法によれば、被接合部品の突き合せ端面に平坦部を残して突き合せ方向に縮径する傾斜面を予め形成し、しかる後に上記平坦部をマグネトロン部品本体に突き合せて抵抗溶接を実施しているため、溶接初期において平坦部により一定の接触面積が確保できる。したがって、初期通電密度が過大にならず、またアークも発生しないため、溶接初期条件が一定となる。そのため、溶接操作が安定して接合部の接合強度も高くなり、接合部の仕上り状態のばらつきも減少して高い信頼性を有するマグネトロン部品を量産することができる。
【0020】
また、平坦部の外周に傾斜面を形成し、部品本体と傾斜面との間の空間に溶接金属を収容することができ、溶接金属の突出による不良を解消することが可能であり、高品質のマグネトロン部品を高い製造歩留りで量産することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態について添付図面を参照して以下の実施例に基づいて具体的に説明する。
【0022】
図1は本実施例で使用する被接合部品としてのリード棒3bの端面形状を示す部分断面図であり、図2は本実施例の製造方法によって製造したマグネトロン部品1aとしてのカソード部品の形状を示す断面図である。
【0023】
上記マグネトロン部品としてのカソード部品は以下のような手順で製造した。まず、直径Dが1.3mmのMo棒を多数用意し、各Mo棒の端面を、図1に示すように旋盤加工によって切削して開き角度θが120度となる傾斜面7をそれぞれ形成した。このとき、平坦部6の直径dが0.15〜0.69mmで面積率が1.2〜28%の範囲で変化するように加工してそれぞれリード棒3bを形成した。
【0024】
一方、図2に示す形状を有し、モリブデンから成り、外径8mmで厚さが2.4mmである、マグネトロン部品本体としてのエンドハット2を多数用意した。そして、前記のように調製した各リード棒3bの平坦部6をエンドハット2の側面に75kgの押圧力を付加して突き合せ、抵抗溶接を実施することにより、各実施例に係るマグネトロン部品としてのカソード部品をそれぞれ製造した。なお抵抗溶接時の押圧力や電流等の溶接条件は全ての実施例について同一とした。
【0025】
こうして調製した各カソード部品のリード棒3bと部品本体2との溶接強度を評価するために、各リード棒3bの破断トルクを測定して図3に示す結果を得た。
【0026】
図3に示す結果から明らかなように、リード棒3bの軸直角方向の断面積(πD/4)に対する上記平坦部6の面積率((d/D)×100)が2〜5.5%の範囲(A−A′間)においてリード棒3bの溶接強度が最大値をとり、面積率が5.5〜25%の範囲(A′−B間)で徐々に溶接強度が低下する傾向があり、さらに面積率が28%を超える範囲(C点以降)で溶接強度が急激に低下することが判明した。
【0027】
なお、リード棒3b端面の平坦部6の直径dが0.15mm以下である試料(S点)については、溶接初期にスパークが発生してリード棒3bの先端部が急激に溶融したため、接合操作が不能であった。
【0028】
したがって、高い溶接強度が安定して得られる面積率の範囲は2〜25%である。特に上記面積率を3〜5.5%の範囲とすることにより、溶接強度値をより高められることが判明した。
【0029】
このように本実施例に係るマグネトロン部品としてのカソード部品の製造方法によれば、リード棒の端面に所定量の平坦部6が形成されているため、突き合せ抵抗溶接時の初期から溶接電流密度が一定になる。そのため、接合部における金属の溶融状態が安定するため、信頼性が高い溶接部品が得られた。また、リード棒3bの端面の平坦部6の直径dを所定範囲に高精度に加工することにより、溶接強度が高く、特性安定性に優れたカソード部品を製造することが可能になった。
【0030】
また上記各実施例に係るマグネトロン部品1aとしてのカソード部品のうち、平坦部の面積率が2〜25%の範囲のものは、いずれも図2に示すように、リード棒3bがエンドハット2の側面に強固に接合されており、かつ図5の従来例で示すような溶接金属の盛り上りによる突出不良は一切発生せず、高い製造歩留りでカソード部品を量産できることも実証された。
【0031】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係るマグネトロン部品の製造方法によれば、被接合部品の突き合せ端面に平坦部を残して突き合せ方向に縮径する傾斜面を予め形成し、しかる後に上記平坦部をマグネトロン部品本体に突き合せて抵抗溶接を実施しているため、溶接初期において平坦部により一定の接触面積が確保できる。したがって、初期通電密度が過大にならず、またアークも発生しないため、溶接初期条件が一定となる。そのため、溶接操作が安定して接合部の接合強度も高くなり、接合部の仕上り状態のばらつきも減少して高い信頼性を有するマグネトロン部品を量産することができる。
【0032】
また、平坦部の外周に傾斜面を形成し、部品本体と傾斜面との間の空間に溶接金属を収容することができ、溶接金属の突出による不良を解消することが可能であり、高品質のマグネトロン部品を高い製造歩留りで量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法で使用する被接合部品の端面形状を示す部分断面図。
【図2】本発明方法で製造したマグネトロン部品の形状を示す断面図。
【図3】本発明方法における平坦部面積率と溶接強度との関係を示すグラフ。
【図4】従来のマグネトロン部品の製造方法を示す断面図。
【図5】図4に示すマグネトロン部品の仕上り状態を示す断面図。
【図6】従来の他のマグネトロン部品の製造方法を示す断面図。
【符号の説明】
1,1a マグネトロン部品(カソード部品)
2 マグネトロン部品本体(エンドハット)
3,3a,3b 被接合部材(リード棒)
4 突出部(ダレ)
5 球面加工部(R加工部)
6 平坦部
7 傾斜面

Claims (4)

  1. マグネトロン部品本体に高融点金属から成る被接合部品を突き合せて抵抗溶接により一体に接合するマグネトロン部品の製造方法において、上記被接合部品の突き合せ端面に平坦部を残して突き合せ方向に縮径する傾斜面を予め形成し、上記被接合部品の軸直角方向の断面積に対する上記平坦部の面積率を2〜25%とし、上記傾斜面の開き角度を90〜150度の範囲とし、しかる後に上記平坦部をマグネトロン部品本体に突き合せて抵抗溶接を実施することを特徴とするマグネトロン部品の製造方法。
  2. 被接合部品の軸直角方向の断面積に対する上記平坦部の面積率が3〜20%であることを特徴とする請求項1記載のマグネトロン部品の製造方法。
  3. 傾斜面の開き角度が100〜140度の範囲であることを特徴とする請求項1記載のマグネトロン部品の製造方法。
  4. マグネトロン部品本体および被接合部品がモリブデン(Mo)から成ることを特徴とする請求項1記載のマグネトロン部品の製造方法。
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