JP2000273110A - 水溶性重合体製造用光開始剤、水溶性重合体の製造方法およびこの方法により製造された高分子凝集剤 - Google Patents

水溶性重合体製造用光開始剤、水溶性重合体の製造方法およびこの方法により製造された高分子凝集剤

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JP2000273110A
JP2000273110A JP11084952A JP8495299A JP2000273110A JP 2000273110 A JP2000273110 A JP 2000273110A JP 11084952 A JP11084952 A JP 11084952A JP 8495299 A JP8495299 A JP 8495299A JP 2000273110 A JP2000273110 A JP 2000273110A
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Kenji Ito
賢司 伊藤
Yoshio Mori
嘉男 森
Kunihiko Mizutani
邦彦 水谷
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Toagosei Co Ltd
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/46Polymerisation initiated by wave energy or particle radiation
    • C08F2/48Polymerisation initiated by wave energy or particle radiation by ultraviolet or visible light
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分子量が高くかつ水溶解性のよい重合体を与
える水溶性重合体製造用光開始剤、この光開始剤を用い
た水溶性重合体の製造方法、およびこの方法により製造
された高分子凝集剤を提供する。 【解決手段】 本発明の光開始剤は、分子中にシクロア
ルカノール構造を有することを特徴とし、特に好ましい
例は1−ベンゾイル−1−ヒドロキシシクロヘキサンで
ある。本発明の製造方法は、この光開始剤とビニル系単
量体とを含む水溶液に光照射することを特徴とする。上
記ビニル系単量体としては、アクリルアミドからなるも
の、またはアクリルアミドとジアルキルアミノアルキル
(メタ)アクリレートの3級塩および/または4級塩の
単量体混合物が好ましい。この方法で製造された水溶性
重合体は、高分子量でかつ不溶解分が少ないため、高分
子凝集剤として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性重合体製造
用光開始剤、この光開始剤を用いた水溶性重合体の製造
方法、およびこの方法により製造された水溶性重合体に
関する。本発明の光開始剤によると、高分子量でかつ溶
解性の良好な、特に高分子凝集剤の用途に好適な水溶性
重合体を得ることができる。
【0002】
【従来の技術】高分子凝集剤は、廃水などの液体中の懸
濁物質を凝集させて沈降させるなどの目的で使用される
ものであって、無機系凝集剤の他、非イオン性、カチオ
ン性、アニオン性の有機高分子凝集剤(以下、単に「高
分子凝集剤」という。)等が用いられている。この高分
子凝集剤の製造方法は、重合方式の違いから、レドッ
クス系開始剤または光開始剤を用いた水溶液重合法と、
逆相懸濁重合、逆相乳化重合などの異相系重合法、の
二つに大きく分類される。このうち、有機溶剤を使用し
ないこと、重合操作が簡便であることなどの理由から、
の水溶液重合法が一般的である。この高分子凝集剤と
しては、凝集性能に優れる、処理時において配管やポン
プへの負担が少ないなどの理由から、分子量が高くかつ
水に対する溶解性の良好な(不溶解分の少ない)水溶性
重合体が望まれる。また、このように水溶性が良く高分
子量の重合体は、凝集剤用途以外に、抄紙用薬剤、増粘
剤などの分野においても非常に有用である。
【0003】重合体の不溶解分を少なくするためには、
重合中の架橋反応を抑えることが好ましい。その方法と
して、例えば特公平4−10881号公報および同10
882号公報には、重合系が自由に流動しなくなった時
点でこの重合系の表面をパラフィン類、アルキレンオキ
サイド化合物などにより被覆したのち重合を継続させる
ことを特徴とする水溶性重合体の製法が開示されてい
る。また、特開平6−322010号公報には、単量体
水溶液を特定の条件で調製することにより単量体水溶液
の安定性を向上させ、これにより水溶性のよい水溶性重
合体を得る両性水溶性高分子化合物の製造方法が開示さ
れている。しかし、これらの方法によると水溶性重合体
の製造工程が複雑になるという問題がある。
【0004】また、特公昭55−11684号公報に
は、水溶性高分子を紫外線開始重合させるに当たって次
亜リン酸塩を添加することを特徴とするカチオン性重合
体の製造方法が開示されている。さらに、特開平10−
231308号公報には、特定の光開始剤を使用するこ
とを特徴とする水溶性重合体の製造方法が開示されてい
る。しかし、これらの方法によっても、高分子量と低不
溶解分との十分な両立は困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高分
子量でかつ水に対する溶解性の良好な水溶性重合体を与
える光開始剤、この光開始剤を用いた水溶性重合体の製
造方法、およびこの方法により製造された高分子凝集剤
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、分子中に
特定の構造を有する光開始剤を用いることにより、光ラ
ジカル重合中における架橋反応が抑制されて、高分子量
でありながら不溶解分の少ない、高分子凝集剤の用途に
特に好適な水溶性重合体が得られることを見出した。
【0007】すなわち、本発明における第1発明の水溶
性重合体製造用光開始剤は、ビニル系単量体を光ラジカ
ル重合させて水溶性重合体を製造するための光開始剤で
あって、分子中にシクロアルカノール構造を有する化合
物からなることを特徴とする。
【0008】上記光開始剤は、第2発明のように、下記
構造式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0009】
【化3】
【0010】[ただし、上記式(1)において、XはA
r−C(=O)−またはCy−N=N−であって、Ar
はフェニル基または−Cl、−Br、−OH、−Alk
もしくは−OAlk(ここで、Alkは炭素原子数1〜
6のアルキル基を示す)の一種または二種以上で置換さ
れたフェニル基であり、Cyは下記式(2)に示す構造
式で表される基であり、YおよびZは−OH、−N(A
lk)2、−OAlk、−O−Si(Alk)3または−
CNであり、R1およびR3は−H、−OH、または炭素
原子数1〜6のアルキル基であり、R2およびR4は−H
または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Yが−O
Hであるときaは0〜11の整数で、bは1〜11の整
数であり、Yが−OHではないときaおよびbは1〜1
1の整数であり、かつ、a+bは2〜11の整数であ
り、Zが−OHであるときcは0〜11の整数で、dは
1〜11の整数であり、Zが−OHではないときcおよ
びdは1〜11の整数であり、かつ、c+dは2〜11
の整数である。
【0011】
【化4】
【0012】上記光開始剤として特に好ましい化合物
は、第3発明のように、上記構造式(1)で表される化
合物において、XがAr−C(=O)、Yが−OH、a
が0、bが4又は5、R1およびR2が−Hである化合物
である。
【0013】また、本発明における第4発明の水溶性重
合体の製造方法は、第1、第2または第3発明の光開始
剤と、ビニル系単量体と、を含む水溶液に光照射するこ
とを特徴とする。
【0014】本発明の製造方法は、第5発明のように、
上記ビニル系単量体が、アクリルアミドからなる場合、
もしくは、第6発明のように、上記ビニル系単量体が、
アクリルアミドとジアルキルアミノアルキル(メタ)ア
クリレートの3級塩および/または4級塩からなる単量
体混合物である場合に特に有用である。
【0015】そして、本発明の水溶性重合体は、第4、
第5または第6発明の方法により製造されたものであ
る。この水溶性重合体は、高分子凝集剤として特に好適
である。尚、本明細書においては、アクリルアミドまた
はメタクリルアミドを(メタ)アクリルアミドと表し、
アクリル酸またはメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と
表し、アクリレートまたはメタクリレートを(メタ)ア
クリレートと表す。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (1)光開始剤 本発明の水溶性重合体製造用光開始剤は、分子中にシク
ロアルカノール構造を有することを特徴とする。このシ
クロアルカノール構造の環を構成する炭素原子のうち少
なくとも一つは、水酸基および水素原子と結合している
か、あるいは水酸基および光照射によりこの炭素原子と
の間でラジカル開裂する基と結合していることが好まし
い。この構造を有しかつ光開始剤として機能する化合物
であれば他の部分の構造は問わないが、上記構造式
(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0017】上記式(1)におけるXは、Ar−C(=
O)−、またはCy−N=N−であり、Ar−C(=
O)−であることが好ましい。このArは、フェニル基
または−Cl、−Br、−OH、−Alkもしくは−O
Alk[ここで、Alkは炭素原子数1〜6(より好ま
しくは1〜4)のアルキル基を示す]の一種または二種
以上で置換されたフェニル基であって、この置換基の数
は1〜3が好ましい。好ましいArは、フェニル基であ
るか、または、−Alkもしくは−OAlkの一種また
は二種以上で1〜2置換されたフェニル基である。ま
た、Yは−OH、−N(Alk)2、−OAlk、−O
−Si(Alk)3または−CNであって、−OHであ
ることが最も好ましい。
【0018】R1は−H、−OH、または炭素原子数1
〜6(より好ましくは1〜4)のアルキル基であり、R
2は−Hまたは炭素原子数1〜6(より好ましくは1〜
4)のアルキル基である。また、a+bは2〜11の整
数(より好ましくは4〜6の整数、特に好ましくは5)
である。Yが−OHである場合、aは0〜11の整数
(より好ましくは0〜2の整数、特に好ましくは0)で
あり、bは1〜11の整数であり、好ましいbの値は4
〜6の整数(特に好ましくは5)である。一方、Yが−
OHではない場合、aは1〜11の整数(より好ましく
は1〜3の整数、特に好ましくは1)であり、bは1〜
11の整数であり、好ましいbの値は3〜5の整数(特
に好ましくは4)である。なお、R1とR2とは同じ基で
あってもよく異なる基であってもよい。また、bが2以
上である場合、一分子中に含まれる複数のR1は全て同
じ基であっても互いに異なる基であってもよく、R2
ついても同様である。
【0019】上記式(1)の説明において、炭素数1〜
6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、
n−およびi−プロピル基、n−、i−またはtert
−ブチル基が挙げられる。また、XにおけるCyは、上
記式(2)に示す構造式で表される基であって、この式
中において、Z、R3、R4、cおよびdは、それぞれ式
(1)におけるY、R1、R2、aおよびbと同様の意味
を表す。
【0020】式(1)の化合物としては、XがAr−C
(=O)、Yが−OH、aが0、bが4又は5、R1およ
びR2が−Hである化合物、即ち、1−アリールカルボ
ニル−1−ヒドロキシシクロアルカンが好ましい。該化
合物の具体例としては、1−ベンゾイル−1−ヒドロキ
シシクロヘキサン、1−ベンゾイル−1−ヒドロキシシ
クロペンタン、1−(4−メチルベンゾイル)−1−ヒ
ドロキシシクロヘキサン、1−(3、4−ジメチルベン
ゾイル)−1−ヒドロキシシクロヘキサン、1−(2、
4−ジメチルベンゾイル)−1−ヒドロキシシクロヘキ
サン、1−(2、5−ジメチルベンゾイル)−1−ヒド
ロキシシクロヘキサン、1−(4−エチルベンゾイル)
−1−ヒドロキシシクロヘキサン、1−(4−イソプロ
ピルベンゾイル)−1−ヒドロキシシクロヘキサン、1
−(4−イソブチルベンゾイル)−1−ヒドロキシシク
ロヘキサンおよび1−(4−メトキシベンゾイル)−1
−ヒドロキシシクロヘキサン等が挙げられ、これらの中
でも1−ベンゾイル−1−ヒドロキシシクロヘキサンが
好ましい。
【0021】(2)ビニル系単量体の種類および組成比 本発明に用いるビニル系単量体(以下、単に「単量体」
ということもある。)としては、水溶性の単量体が好ま
しく、例えば(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリ
ル酸およびこれらの酸のナトリウム塩等のアルカリ金属
塩またはアンモニウム塩、アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルカンスルホ
ン酸およびそのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアル
キルアミノアルキル(メタ)アクリレート、これらの塩
酸塩および硫酸塩等の3級塩または4級塩;N,N’−
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドおよ
びこれらの塩酸塩および硫酸塩等の3級塩または4級
塩;ジメチルジアリルアンモニウムクロライド等のジア
ルキルジアリルアンモニウム塩などが挙げられる。ま
た、得られる重合体の水溶性を損なわない範囲で、水溶
性単量体に、アクリロニトリル、アクリルアミドのN置
換誘導体、スチレンなどの非水溶性単量体を併用しても
よい。これらの単量体は、一種単独で用いてもよく、二
種以上を混合して用いてもよい。
【0022】本発明における単量体としては、請求項5
に記載のように、アクリルアミドからなることが好まし
い。この場合、アクリルアミドのみからなるか、あるい
はアクリルアミド10モル%以上(より好ましくは15
モル%以上)およびこれと共重合可能な他のビニル系単
量体からなる混合物が好ましい。この場合の他のビニル
系単量体としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)
アクリレートの3級塩および/または4級塩が好まし
い。また、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレ
ートの3級塩および/または4級塩から選択された一種
または二種以上を(好ましくは5モル%以上、より好ま
しくは10モル%以上)含有するカチオン系単量体混合
物も、本発明にとり好ましいビニル系単量体である。
【0023】(3)水溶性重合体の製造方法 これらの単量体と、本発明の光開始剤の一種または二種
以上を含む水溶液に光照射して重合させることにより、
高分子量でありながら不溶解分の極めて少ない水溶性重
合体を得ることができる。この水溶液重合において、単
量体水溶液中の単量体濃度は通常20〜90重量%の範
囲とすることが好ましく、25〜80重量%の範囲とす
ることがさらに好ましい。単量体濃度が90重量%を超
えると、重合熱の除去が困難となり、重合反応を制御し
難くなるので好ましくない。一方、単量体濃度が20重
量%未満では、生産性および粉末状製品とする場合の乾
燥効率が低くなる。反応はバッチ式で行うことも連続式
で行うこともできる。
【0024】また、光開始剤の濃度は、得ようとする水
溶性重合体の分子量や組成などを考慮して決定される
が、通常は単量体に対して重量基準で1〜1,000p
pm(より好ましくは2〜500ppm、さらに好まし
くは3〜200ppm)とすることが好ましい。光照射
の強度は、開始剤濃度、得ようとする水溶性重合体の分
子量、重合時間などを考慮して決定されるが、通常は
0.5〜1,000W/m2の範囲であり、5〜400
W/m2の範囲であることが好ましい。この照射強度
は、重合中一定としてもよく、重合途中で変化させても
よい。光源としては、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ラ
ンプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水
銀ランプなどを使用することができ、これらの光源から
得られる紫外線および可視光線を利用すればよい。反応
をバッチ式で行う場合、光照射時間(重合時間)は、通
常0.5〜360分間、好ましくは3〜300分間、さ
らに好ましくは5〜240分間である。また、反応を連
続式で行う場合、滞留時間は、通常、0.5〜360
分、好ましくは3〜300分、さらに好ましくは5〜2
40分である。
【0025】重合開始時における反応系の好ましい温度
は40℃以下であり、25℃以下とすることが好まし
く、10℃以下とすることがさらに好ましい。重合開始
温度が40℃を超えると、枝分かれ反応の頻度が増加し
て不溶解分が増加したり、あるいは平均分子量が低下し
たりする場合がある。重合開始温度の下限は特に限定さ
れないが、操作性およびエネルギー効率の点から−10
℃以上であることが好ましい。また、重合中における系
内の到達最高温度は100℃未満とすることが好まし
く、95℃未満とすることがより好ましい。得られた重
合体の乾燥、粉砕などの工程については、常法にしたが
って行えばよい。
【0026】本発明の光開始剤を用いて得られる水溶性
重合体は、その分子量が、4重量%塩化ナトリウム水溶
液中の0.5重量%濃度の25℃における粘度(B型粘
度計により測定。以下、「0.5%塩粘度」ともい
う。)として10mPa・S以上であることが好まし
く、30mPa・Sであることがより好ましい。このよ
うな高分子量の水溶性重合体は、高分子凝集剤に使用し
た場合、泥水に対して少量の添加で優れた凝集性能を発
揮することができる。0.5%塩粘度の上限は特に限定
されないが、通常は200mPa・s以下である。ま
た、本発明の光開始剤を用いて得られる水溶性重合体
は、重合体サンプルをイオン交換水に溶解して0.1重
量%濃度の重合体溶液を400ml作製し、この溶液全
量を83メッシュの篩で濾過した場合において、篩上に
残った不溶解分の容量が溶液全量に対して5容量%以下
であることが好ましく、1容量%以下であることがより
好ましく、不溶解分のないことが最も好ましい。本発明
によれば、上記のような高分子量であっても、不溶解分
がほとんど生成せず、単量体のロスのない経済的なもの
となり、かつ不溶解分がパイプ等に目詰まりすることが
ないため、重合時に安定な操業が可能となる。
【0027】なお、本発明の製造方法においては、本発
明の光開始剤と、シクロアルカノール構造をもたない通
常の開始剤、たとえばベンゾフェノン、ベンゾイン、ベ
ンゾインアルキルエーテル、アセトフェノン系、アシル
ホスフィンオキサイド系などの光開始剤、トリエタノー
ルアミン、メチルジエタノールアミンなどのアミン系な
どの光増感剤、アゾ化合物、過硫酸塩、過酸化物などの
熱重合開始剤またはレドックス系開始剤とを併用しても
よい。この場合、開始剤全体に占める本発明の光開始剤
の割合は10重量%以上(より好ましくは30重量%以
上)とすることが好ましい。
【0028】本発明により得られる水溶性重合体は、種
々の用途に使用可能であり、具体的には高分子凝集剤、
抄紙用薬剤および増粘剤等が挙げられ、特に、高分子凝
集剤として好適に使用できる。
【0029】(4)作用 本発明の光開始剤を用いることにより、高分子量であり
ながら不溶解分を含まない水溶性重合体が得られる理由
は必ずしも明らかではないが、以下のように推察され
る。すなわち、光開裂により生じたシクロアルカノール
ラジカルは単量体と反応して重合を開始するが、一部、
このシクロアルカノールラジカル中の水酸基がケトン化
して水素ラジカルを発生し、生成した重合体のα位水素
引き抜き反応をこの水素ラジカルが抑制することにより
架橋反応が未然に防止されるのではないかと考えられ
る。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。 (実施例1)アクリルアミド70モル%、ジメチルアミ
ノエチルアクリレートのメチルクロライドによる四級化
塩(以下、「DAC」という。)30モル%の単量体混
合物に、全重量500g、単量体濃度35重量%となる
ように蒸留水を加えた。これを内径146mmの円筒型
ガラス容器(反応器)に仕込み、pHを4.0に調製し
た後、水溶液の温度を15℃に保ちながら30分間窒素
バブリングして単量体水溶液を得た。このとき液深は3
0mmであった。次いで、この単量体水溶液に、光開始
剤としての1−ベンゾイル−1−ヒドロキシシクロヘキ
サン(開始剤A)を、単量体純分に対して重量基準で4
0ppm(2.11mmol%)添加し、さらに2分間
窒素バブリングした。その後、反応器の上方から、10
0Wブラックライト(株式会社東芝製、商品名「H10
0BL」)を用いて、1.7mW/cm2の照射強度で
20分間照射し、続いて5.0mW/cm2の照射強度
で10分間照射して含水ゲル状の重合物を得た。この含
水ゲルを一片3mm程度の塊に細断し、次いで熱風乾燥
機にて80℃で5時間乾燥した後、粉砕機で粉砕して粉
末状の重合体を得た。得られた重合体を、下水汚泥に適
用したところ、良好なフロックを形成し、またフロック
形成後の汚泥は濾過性に優れ、濾過後の濾物を脱水して
得られるケーキは、含水率の低いものであった。
【0031】(実施例2、3)光開始剤としての1−ベ
ンゾイル−1−ヒドロキシシクロヘキサンの添加量をそ
れぞれ50ppm(2.64mmol)および60pp
m(3.17mmol)とした点以外は、実施例1と同
様にして粉末状の重合体を得た。得られた重合体を、下
水汚泥に適用したところ、良好なフロックを形成し、ま
たフロック形成後の汚泥は濾過性に優れ、濾過後の濾物
を脱水して得られるケーキは、含水率の低いものであっ
た。
【0032】(比較例1〜5)光開始剤として、1−ベ
ンゾイル−1−ヒドロキシシクロヘキサンの代わりに表
1に示す各化合物を用いた。光開始剤の使用量は、いず
れも単量体純分に対して2.64mmol%となる量と
した。その他の点については実施例1と同様にして粉末
状の重合体を得た。
【0033】(比較例6〜10)光開始剤として、1−
ベンゾイル−1−ヒドロキシシクロヘキサンの代わりに
表1に示す各化合物を用いた。光開始剤の使用量は表1
に示す値とした。その他の点については実施例1と同様
にして粉末状の重合体を得た。
【0034】
【表1】
【0035】なお、表1における光開始剤A〜Eはそれ
ぞれ以下の化合物である。
【0036】開始剤A:1−ベンゾイル−1−ヒドロキ
シシクロヘキサン
【化5】
【0037】開始剤B:2−ヒドロキシ−2−メチル−
1−フェニルプロパン−1−オン
【化6】
【0038】開始剤C:1−[4−(2−ヒドロキシエ
トキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1
−プロパン−1−オン
【化7】
【0039】開始剤D:2,2−ジメトキシ−1,2−
ジフェニルエタン−1−オン
【化8】
【0040】開始剤E:ベンゾインエチルエーテル
【化9】
【0041】開始剤F:2,4,6−トリメチルベンゾ
イル−ジフェニルホスフィンオキサイド
【化10】
【0042】実施例1〜3および比較例1〜10で得ら
れた重合体につき、以下の物性を測定した。その結果を
表1に併せて示す。 [0.5%塩粘度]各重合体を4重量%塩化ナトリウム
水溶液に溶解して0.5重量%濃度の重合体溶液を作製
し、B型粘度計にて25℃、60rpmの条件で5分後
の粘度を測定した。 [不溶解分]各重合体をイオン交換水に溶解して0.1
重量%濃度の重合体溶液を400ml作製し、この溶液
全量を直径20cm、83メッシュの篩で濾過した後、
篩上に残った不溶解物を集めてその容量を測定した。
【0043】表1の結果から判るように、本発明の光開
始剤に該当する開始剤Aを用いた実施例1〜3の重合体
は、いずれも0.5%塩粘度が80mPa・S以上と高
分子量であり、かつ不溶解分を全く含まない水溶性重合
体であった。これに対して、開始剤Aのシクロヘキサノ
ール構造部分が直鎖(非環状)2級アルコールに代わっ
た開始剤BおよびCを用いた比較例1および2では、開
始剤の使用量を実施例2と同量(モル数基準で)とした
場合には重合体に含まれる不溶解分が200ml以上と
著しく多く、しかも0.5%塩粘度は実施例1〜3に比
べて明らかに低かった。そして、この不溶解分を低減す
るために添加量を増した比較例6および7においても、
実施例1〜3のように不溶解分を全くなくすことはでき
なかった。
【0044】また、従来の一般的な光開始剤である開始
剤DおよびEを用いた比較例3、4、8、9により得ら
れた重合体も、0.5%塩粘度および不溶解分量のいず
れにおいても実施例1〜3に劣り、開始剤の使用量を増
減してもこれらの性能を両立させることはできなかっ
た。そして、特開平10−231308号公報に記載の
アシルホスフィンオキサイド化合物の一種である開始剤
Fを実施例2と同量(モル数基準で)用いた比較例5で
は、不溶解分はないものの0.5%塩粘度が著しく低か
った。比較例10のように開始剤の使用量を減らす(4
0ppm)と、0.5%塩粘度はやや上昇するものの実
施例1〜3に比べれば明らかに低く、しかも不溶解分が
発生した。なお、開始剤の使用量を40ppm未満とし
た場合には、上記重合条件では重合が進行しなかった。
【0045】なお、本発明においては、前記具体的実施
例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の
範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
【0046】
【発明の効果】本発明の水溶性重合体製造用光開始剤
は、光ラジカル重合中における架橋反応を抑制する効果
を有する。したがって、この光開始剤を用いた本発明の
製造方法によれば、高分子量でありながら不溶解分の少
ない、特に高分子凝集剤の用途に好適な水溶性重合体を
得ることができる。本発明の方法により製造された水溶
性重合体を用いた高分子凝集剤は、高分子量でありかつ
不溶解分が少ないことから優れた凝集性能を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水谷 邦彦 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内 Fターム(参考) 4H050 AA03 AB81 4J011 QA01 QA03 QA06 SA02 SA16 SA36 SA38 UA01 WA10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル系単量体を光ラジカル重合させて
    水溶性重合体を製造するための光開始剤であって、分子
    中にシクロアルカノール構造を有する化合物からなるこ
    とを特徴とする水溶性重合体製造用光開始剤。
  2. 【請求項2】 分子内にシクロアルカノール構造を有す
    る化合物が下記構造式(1)で表される化合物である請
    求項1記載の水溶性重合体製造用光開始剤。 【化1】 [ただし、上記式(1)において、 XはAr−C(=O)−またはCy−N=N−であっ
    て、Arはフェニル基または−Cl、−Br、−OH、
    −Alkもしくは−OAlk(ここで、Alkは炭素原
    子数1〜6のアルキル基を示す)の一種または二種以上
    で置換されたフェニル基であり、Cyは下記式(2)に
    示す構造式で表される基であり、 YおよびZは−OH、−N(Alk)2、−OAlk、
    −O−Si(Alk)3または−CNであり、 R1およびR3は−H、−OH、または炭素原子数1〜6
    のアルキル基であり、 R2およびR4は−Hまたは炭素原子数1〜6のアルキル
    基であり、 Yが−OHであるときaは0〜11の整数で、bは1〜
    11の整数であり、Yが−OHではないときaおよびb
    は1〜11の整数であり、かつ、a+bは2〜11の整
    数であり、Zが−OHであるときcは0〜11の整数
    で、dは1〜11の整数であり、Zが−OHではないと
    きcおよびdは1〜11の整数であり、かつ、c+dは
    2〜11の整数である。 【化2】
  3. 【請求項3】 上記構造式(1)で表される化合物にお
    いて、XがAr−C(=O)、Yが−OH、aが0、b
    が4又は5、R1およびR2が−Hである化合物である請
    求項2記載の水溶性重合体製造用光開始剤。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の光開始剤
    とビニル系単量体とを含む水溶液に光照射することを特
    徴とする水溶性重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記ビニル系単量体が、アクリルアミド
    からなる請求項4記載の水溶性重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記ビニル系単量体が、アクリルアミド
    とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの3
    級塩および/または4級塩からなる単量体混合物である
    請求項5記載の水溶性重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項4、5または6記載の方法により
    製造された水溶性重合体からなることを特徴とする高分
    子凝集剤。
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