JP2000318332A - 平版印刷版の製造方法 - Google Patents

平版印刷版の製造方法

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JP2000318332A JP12729799A JP12729799A JP2000318332A JP 2000318332 A JP2000318332 A JP 2000318332A JP 12729799 A JP12729799 A JP 12729799A JP 12729799 A JP12729799 A JP 12729799A JP 2000318332 A JP2000318332 A JP 2000318332A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ現像液を要しない簡易な製版方法
で、しかも画像部と非画像部の識別性が十分に維持され
た優れた画質の印刷版を作りうる平版印刷版の製造方法
を提供する。また、短時間での走査露光ののちに現像処
理を行うことなく直接に印刷機に装着して製版すること
が可能であり、感度が高く、高精細な描画ができ、耐刷
性にすぐれ、印刷面上の印刷汚れも少ない平版印刷版の
製造方法を提供する。 【解決手段】 表面層が多孔質で光熱変換物質が埋め込
まれている多孔質基板を有することを特徴とする平版印
刷用原版。また、その印刷用原板に、像様のレーザー光
の照射によって画像を記録し、照射面を印刷用インキに
接触させて、画像領域がインキを受け入れた印刷面を形
成させて印刷を行う平版印刷方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般印刷分野、と
りわけ平版印刷、特に簡易に印刷版を製作できる新規な
平版印刷版の製造方法に関するものである。その中で
も、レーザー光に基づいた走査露光による画像記録も可
能であり、且つ現像することなくそのまま印刷機に装着
し印刷することも可能な平版印刷版の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷過程でイン
クを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性
の非画像部とからなる。このような平版印刷版用原板と
しては、従来から、親水性支持体上に親油性の感光性樹
脂層を設けたPS版が広く用いられている。その製版方
法として、通常は、リスフイルムなどの画像を通して露
光を行った後、非画像部を現像液によって溶解除去する
方法であり、この方法により所望の印刷版を得ている。
【0003】従来のPS版に於ける製版工程は、露光の
後、非画像部を溶解除去する操作が必要であり、このよ
うな付加的な湿式の処理を不要化又は簡易化すること
が、従来技術に対して改善が望まれてきた一つの課題で
ある。特に近年は、地球環境への配慮から湿式処理に伴
って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事
となっているので、この面での改善の要請は一層強くな
っている。
【0004】この要望に応じた簡易な製版方法の一つと
して、印刷版用原板の非画像部の除去を通常の印刷過程
の中で行えるような画像記録層を用い、露光後、印刷機
上で現像し最終的な印刷版を得る方法が提案されてい
る。このような方法による平版印刷版の製版方式は機上
現像方式と呼ばれる。具体的方法としては、例えば、湿
し水やインク溶剤に可溶な画像記録層の使用、印刷機中
の圧胴やブランケット胴との接触による力学的除去を行
う方法等が挙げられる。しかしながら、機上現像方式の
大きな問題は、印刷用原板は露光後も、画像記録層が定
着されないため、例えば、印刷機に装着するまでの間、
原板を完全に遮光状態又は恒温条件で保存する、といっ
た手間のかかる方法をとる必要があった。
【0005】一方、近年のこの分野のもう一つの動向と
しては、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処
理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く普及して
きており、このような、ディジタル化技術に対応した、
新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきて
いる。これに伴い、レーザ光のような高収斂性の輻射線
にディジタル化された画像情報を担持してこの光で原板
を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接印
刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート技術が注
目されている。それに伴ってこの目的に適応した印刷版
用原板を得ることが重要な技術課題となっている。した
がって、製版作業の簡素化、乾式化、無処理化は、上記
した環境面と、ディジタル化への適合化の両面から、従
来にも増して、強く望まれるようになっている。
【0006】この要請に対して、無処理型印刷版作成方
法の一つにジルコニアセラミックに活性光を照射して照
射部を親水性化することを利用した印刷版作製方法が特
開平9−169098号で開示されている。しかし、ジ
ルコニアの光感度は小さく、かつ疎水性から親水性への
光変換効果が不十分のため画像部と非画像部の識別性が
不足している。
【0007】さらに、酸化チタンも活性光の照射によっ
て表面が親水性になることが判り、この現象の簡易な印
刷原板へのに適用が提示された。一般的に酸化チタン皮
膜は、真空蒸着法、化学的蒸着法、スパッタリング法、
CVD法などの気相法、スピンコート法、ディッピング
法等の液相法、溶射法や固相反応を用いた固相法などの
皮膜生成方法が知られているが、従来から知られている
これらの方法で得た酸化チタン皮膜は、前記の各方法よ
りは優れた画像形成特性を示すものの、なお画像部と非
画像との識別性を更に向上させることが望まれた。
【0008】デジタル化技術に組み込みやすい走査露光
による印刷版の製造方法の別の一つとして、最近、半導
体レーザ、YAGレーザ等の固体レーザで高出力のもの
が安価に入手できるようになってきたことから、特に、
これらのレーザを画像記録手段として用いる製版方法が
有望視されるようになっている。従来方式の製版方法で
は、感光性原板に低〜中照度の像様露光を与えて光化学
反応による原板面の像様の物性変化によって画像記録を
行っているが、高出力レーザを用いた高パワー密度の露
光を用いる方法では、露光領域に瞬間的な露光時間の間
に大量の光エネルギーを集中照射して、光エネルギーを
効率的に熱エネルギーに変換し、その熱により化学変
化、相変化、あるいは形態や構造の変化などの物理変化
を起こさせ、その変化を画像記録に利用する。つまり、
画像情報はレーザー光などの光エネルギーによって入力
されるが、画像記録は熱エネルギーによる反応によって
記録される。通常、このような高パワー密度露光による
発熱を利用した記録方式はヒートモード記録と呼び、光
エネルギーを熱エネルギーに変えることを光熱変換と呼
んでいる。
【0009】ヒートモード記録手段を用いる製版方法の
大きな長所は、室内照明のような通常の照度レベルの光
では感光せず、また高照度露光によって記録された画像
は定着が必須ではないことにある。つまり、画像記録に
ヒートモード感材を利用すると、露光前には、室内光に
対して安全であり、露光後にも画像の定着は必須ではな
い。従って、例えば、ヒートモード露光により不溶化若
しくは可溶化する画像記録層を用い、露光した画像記録
層を像様に除去して印刷版とする製版工程を機上現像方
式で行えば、現像(非画像部の除去)は、画像露光後あ
る時間、たとえ室内の環境光に暴露されても、画像が影
響を受けないような印刷システムが可能となる。従って
ヒートモード記録を利用すれば、機上現像方式に望まし
い平版印刷版用原板を得ることも可能となると期待され
る。
【0010】ヒートモード記録に基づく平版印刷版の好
ましい製造法の一つとして、親水性の基板上に疎水性の
画像記録層を設け、画像状にヒートモード露光し、疎水
性層の溶解性・分散性を変化させ、必要に応じ、湿式現
像により非画像部を除去する方法が提案されている。こ
のような原板の例として、例えば、特公昭46ー279
19号には、親水性支持体上に、熱により溶解性が向上
するいわゆるポジ作用を示す記録層、具体的には糖類や
メラミンホルムアルデヒド樹脂等の特定の組成を有する
記録層を設けた原板をヒートモード記録することによっ
て、印刷版を得る方法が開示されている。
【0011】しかしながら、開示された記録層はいずれ
も感熱性が十分でないため、ヒートモード走査露光に対
しては、感度がはなはだ不十分であった。また、露光前
後の疎水性/親水性のディスクリミネーション、即ち、
溶解性の変化が小さいことも、実用上問題であった。デ
ィスクリミネーションが乏しければ、機上現像方式の製
版を行うことは実質的に困難である。
【0012】親水性の下層の上に親油性の金属又は有機
硫黄化合物の表面層を設けて、その親油性の層に画像状
のレーザー光照射を行ってヒートモードで画像記録を行
う製版印刷方法は特開昭52−37104号、特開平3
−197192号、特開平7−1848号の各公報など
に開示されている。これらは、それぞれ前記したヒート
モードの製版・印刷方法の利点を有するものであるが、
レーザー照射光に対するヒートモードの感度に関して
は、なお十分ではなく、さらに高感度化して、それによ
り画像部と非画像部の識別効果を高めることが望まれて
いる。
【0013】また、従来のヒートモードのポジ方式の印
刷原板には別の大きな問題として非画像部における残膜
と呼ばれる欠陥を伴うものがある。即ち、ヒートモード
ポジ型原板においては、ヒートモード露光時の熱の発生
は記録層中の光吸収物質の光吸収に基くものであるた
め、熱の発生量は記録層表面で大きく、支持体近傍では
小さいことが多い。このため、記録層の支持体近傍での
露光による溶解性変化が少なく、親水化の程度が減少し
てしまうことである。その結果、本来、親水性表面を提
供すべき露光部において、しばしば、疎水性の膜が除去
されきれずに残膜となることがある。このような、残膜
は、印刷物に印刷汚れを引き起こすのでその点の改良が
必要である。
【0014】前記した活性光の照射による画像記録及び
ヒートモードの画像記録を利用する製版・印刷方法は、
いずれも版下からフィルムを介することなく直接に刷版
を作ることができ、したがって機上で製版することも可
能であり、現像操作を省くこともできるなどの利点を持
ちながら、上記した感度の不足や、画像記録層の表面と
底部での感度の相違などの弱点を有している。これらの
弱点は基本的には画像部と非画像部との識別性の不足に
起因して生じる欠陥であり、また印刷品質や耐刷性に直
結する欠陥でもある。したがって活性光の照射、ヒート
モードの光照射のいずれの画像記録を利用する製版・印
刷方法も、印刷品質と耐刷性の両面を向上させるための
基本的な方策は、識別性を向上させることに尽きるとも
いえるのが、現状である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、アルカリ現像液を要しない簡易な製版方法で、しか
も画像部と非画像部の識別性が十分に維持された優れた
画質の印刷版を作りうる平版印刷版の製造方法を提供す
ることである。本発明のさらなる目的は、レーザー露光
を用いる製版方式の前記した欠陥を解決することであ
り、すなわち、短時間での走査露光ののちに現像処理を
行うことなく直接に印刷機に装着して製版することが可
能であり、感度が高く、高精細な描画ができ、耐刷性に
すぐれ、印刷面上の印刷汚れも少ない平版印刷版の製造
方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために、多孔質材料の特性に着目して、その
特性を顕著に発現させる手段が必要と考えてその手段を
検討し、多孔質基板に光熱変換物質を埋め込むことによ
って、レーザー光に対する熱応答感度を高めて、より低
いレーザ光の照射で画像ができ、かつ照度をさげたこと
によって高精細な描画ができる平版印刷版の製造方法を
完成させるに至った。すなわち、本発明は、下記の通り
である。
【0017】(1) 表面層が多孔質で光熱変換物質が
埋め込まれている多孔質基板を有する平版印刷用原版
に、画像状にレーザ光を照射して照射部を親水性にする
ことを特徴とする平版印刷版の製造方法。
【0018】(2) 前記多孔質基板の表面層が陽極酸
化膜されていることによって本発明の効果はさらに顕著
になる。
【0019】(3) 前記光熱変換物質が埋め込まれて
いる多孔質基板上に親油性層を設けることによっても本
発明の効果はさらに顕著になる。
【0020】(4) さらに、前記多孔質基板がアルミ
ニウム、周期律表の4A族から6A族の遷移金属から選
ばれた少なくとも一つの金属を陽極酸化した基板であ
り、該基板の表面層に光熱変換物質が埋め込まれている
ことことによっても本発明の効果はさらに顕著になる。
【0021】本発明は、光熱変換物質を埋め込んだ多孔
質基板又はその上に親油性層を設けた基板の表面にレー
ザー光を照射することによって皮膜層が飛散して除去さ
れたり、または擦傷されたりすること(アブレーション
ともいう)が可能な親油性の層(親油性層)を有するこ
とに基づいている。金属支持体上に親油性の層を設けて
レーザー光を像様に照射して画像記録して印刷版を作成
する技術は知られているが、前記したようにそのレーザ
ー光に対する感度は市場の要請に対しては、必ずしも十
分ではない。しかしながら、本発明における、光熱変換
物質を埋め込んだ多孔質基板、又はその基板上に親油性
層が設けられた多孔質基板の場合は、その表面へのレー
ザー光の照射のヒートモード感度が高く、熱拡散が少な
く、高精細な画像記録ができ、耐刷性も優れることが判
った。特に光熱変換物質を埋め込んだ多孔質基板が表面
層を陽極酸化されていると、その効果はさらに強く発現
することが判った。
【0022】この特性を利用して、本来は印刷インキを
受け付ける親油性の表面を持つ上記多孔質基板又はさら
にその上に親油性層を設けた基板の表面に像様の活性光
を照射すると、光の照射を受けた部分が熱による破壊
(アブレーション)を生じ、下層の金属化合物皮膜層の
親水性表面が露出して湿し水を受容する領域を形成し、
光の照射を受けなかった親油性表面がインキ受容領域を
形成して印刷面を構成させることができる。したがっ
て、そのまま印刷にかけられる印刷版ができ上がり、現
像処理などの操作を行う必要がない。つまり、このよう
にして得られた平版印刷用原板はレーザー光に基づいた
走査露光により十分な感度の画像記録も可能であり、且
つ現像することなくそのまま印刷機に装着し印刷するこ
とも可能であり、耐刷性にも優れたものであり、前記従
来技術の欠点を克服することを見出した。
【0023】以下の記述において、上記の周期律表の4
A族から6A族元素の金属化合物を一まとめにして呼ぶ
とき、「本発明にかかわる遷移金属化合物」と呼ぶこと
もある。また、前記した表面を親油性から親水性に変化
させる「活性光」は、高照度の可視光線や赤外光線、好
ましくは赤外光線であって、この光の照射による表面物
性の変化はおそらくヒートモードの機構によるものと考
られる。この点でいわゆる光触媒能を有する金属酸化物
の表面を励起して親水性化させる活性光とは区別する必
要がある。後者は、照射した光が光化学的に表面電子を
活性化すると解釈されており、ヒートモードの作用では
ない。また、活性光として作用する光は、紫外線や比較
的短波長の可視光線であって、本発明で好ましく用いら
れる好ましくは長波長の可視光線や赤外光線とは異な
る。本発明では、前者つまりヒートモードで活性な光線
を「活性光」と呼ぶ。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。 〔本発明にかかわる多孔質基板〕本発明の多孔質基板と
は、本来、基板自体が多孔質の基板であっても良いし、
本来は多孔質でない基板の表面を多孔質材料で被覆して
も良い。以下に、本発明において用いられる基板、多孔
質材料、多孔質基板形成法、光熱交換物質および多孔質
材料に光熱交換物質を埋め込む手段等について説明す
る。
【0025】〔基板〕基板としては、ステンレス、A
l、Cr、Ge、ITO、(スズをドープしたIn2 O
3 )、Zn、O、Ni、ニクロム、Ti、Si、SiO
2 等の金属または酸化物よりなる表面を持つ基板等を使
用できる。また、前記基板に金属や金属酸化物を蒸着、
スパッタ、ラミネート等で薄膜状に設けた基板も使用で
きる。本発明では、支持体に設けられた画像記録層の担
体を基板と呼んでいるが、支持体と基板は一体化してい
ることもある。
【0026】(多孔質材料)本発明の多孔質基板に用い
られる多孔質材料は、本来基板自体が多孔質の基板であ
ってもよく、また本来は多孔質でない基板の表面を多孔
質材料で被覆して設けた多孔質材料であってもよい。多
孔質材料は、孔径が10Åから10μmの平均孔径を有
しているものなら特に限定するものではないが、金属化
合物を用いるのが好ましい。具体例としては、例えば、
酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化イットリ
ウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウ
ム、酸化パナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化
モリブデン、酸化タングステン、酸化クロム、酸化ス
ズ、チッ化珪素、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、
チッ化チタン、チッ化ジルコニウム、チッ化ハフニウ
ム、チッ化パナジウム、チッ化ニオブ、チッ化タンタ
ル、チッ化モリブデン、チッ化タングステン、チッ化ク
ロムなどがあげられる。また、ケイ化チタン、ケイ化ジ
ルコニウム、ケイ化ハフニウム、ケイ化パナジウム、ケ
イ化ニオブ、ケイ化タンタル、ケイ化モリブデン、ケイ
化タングステン、ケイ化クロムなどがあげられる。ホウ
化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハフニウム、ホ
ウ化パナジウム、ホウ化ニオブ、ホウ化タンタル、ホウ
化モリブデン、ホウ化タングステン、ホウ化クロムなど
があげられる。また、炭化珪素、炭化チタン、炭化ホウ
素、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化パナジウ
ム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化モリブデン、炭化
タングステン、炭化クロムなどがあげられる。また、単
体のみではなく混合物でも良い。例えば珪素、アルミニ
ウム、酸素、窒素からなるサイアロンを用いることもで
きる。また、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、チタン酸ジル
コン酸鉛、チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛、ムライ
ト、フェライト、チタン酸バリウム、チタン酸ストロン
チウム、チッ化ホウ素−チッ化アルミニウムなどであ
る。ここにあげなかったものでも多孔質であれば用いる
ことができる。中でもアルミニウム及び周期律表の4A
族から6A族金属元素の化合物が望ましい。周期律表の
4A族から6A族の金属とはチタン、ジルコニウム、ハ
フニウム、パナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデ
ン、タングステン、クロムを総称して言う。
【0027】多孔質基板の形成方法には、陽極酸化、C
VD、ゾルゲル、スパッタリング法、イオンブレーティ
ング法、拡散法、溶射法などを適宜用いることができ
る。溶射方法としてはフレーム放射、アーク放射、及び
プラズマ溶射などの方法が用いられるが、これらの内特
定の方法に限定されるものではない。この中でも特に陽
極酸化膜は有機または無機の物質または染料に高い吸着
能を有しているので光熱変換物質を埋め込むのに適して
いるので望ましい。厚みは0.01μm〜10μmが望
ましく、好ましくは0.05〜5μmである。さらに好
ましくは0.2〜3μmである。また照射光の作用を充
分に発現させるには厚みが0.01μm以上あることが
好都合である。
【0028】(陽極酸化の方法)本発明にかかわる基板
の表面の陽極酸化処理は、次に示す電解質水溶液の中で
行われる。 (1)硫酸、リン酸、硝酸、ホウ酸などの無機酸から選
択された1つ以上を含む水溶液。 (2)上記無機酸の他にさらに過酸化水素を含む混合水
溶液。 (3)上記(1)の無機酸の他に、さらにそのアルカリ
金属塩及びアルカリ土類金属塩の一つ以上を含む混合水
溶液。 (4)上記(1)の無機酸のアンモニウム塩を一つ以上
含む水溶液または、エチレングリコールと水の混合液を
溶媒とした溶液。 (5)シュウ酸、酒石酸、クエン酸、酢酸、乳酸、琥珀
酸、グルタミン酸、スルホサリチル酸、ナフタレンジス
ルホン酸などの有機酸から選択された一つ以上を含む水
溶液。 (6)上記有機酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金
属塩の一つ以上を含む水溶液。 (7)上記(5)の有機酸のアンモニウム塩を一つ以上
含む水溶液または、エチレングリコールと水の混合液を
溶媒とした溶液。 (8)Na、K、Ca、Li、Mgの水酸化物、水溶性
の炭素塩、水酸化アンモニウムなどのアルカリ水溶液か
ら選択された一つ以上を含む水溶液。 (9)グリセロリン酸、そのアルカリ金属塩及びアルカ
リ土類金属塩の少なくとも一つを含んで、さらに好まし
くは酢酸、そのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩
の少なくとも一つを含む水溶液。 (10)以上の(1)〜(9)の溶液成分を組み合わせ
て含む水溶液。
【0029】上記の電解質水溶液の濃度は、電解質の種
類によって適宜決められ、また、陽極酸化の処理条件
は、選択した電解質水溶液に依存して種々の条件が選ば
れるが、一般的には電解質の濃度が0.001〜3mol/
L、好ましくは0.005〜1mol/L、液温は5〜70
℃、好ましくは20〜50℃、電流密度1〜60A/d
m2、好ましくは2〜10A/dm2、電圧1〜500V好ま
しくは100〜400V、電解時間10秒〜10分好ま
しくは1〜5分の範囲にあれば適当である。個々の代表
的な電解質水溶液の適切な陽極酸化条件は、実施例に示
す。陽極酸化皮膜の厚みは、0.001〜10ミクロン
程度、好ましくは0.1〜5.0ミクロン、特に好まし
くは0.3〜1.0ミクロンである。
【0030】また、陽極酸化した表面にある種の金属を
ドーピングすることが、たとえば熱拡散などに有効な場
合があり、この目的にはイオン化傾向が小さい金属のド
ーピングが適しており、Pt,Pd,Au,Ag,C
u,Ni,Fe,Coをドーピングするのが好ましい。
また、これらの好ましい金属を複数ドーピングしてもよ
い。
【0031】(陽極酸化の前処理)本発明に係わる遷移
金属板は、金属板の単一構成のもの及び支持体で補強さ
れたものを含めて、陽極酸化に先立って表面の粗面化処
理を施してもよい。粗面化によって表面を親水性にした
ときの保水性を高めることができ、したがって画像と非
画像部の識別性を向上させることができる。粗面化処理
を施す場合には、必要により、粗面化処理に先立って表
面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶
剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われ
る。
【0032】金属板(薄層)の表面の粗面化処理は、種
々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化す
る方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および
化学的に表面を選択溶解させる方法のいずれか又はそれ
らの組み合わせによって行われる。機械的方法として
は、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バ
フ研磨法などの公知の方法を用いることができる。ま
た、電気化学的な粗面化法もアルミニウム金属表面の粗
面化の方法として公知の方法、たとえば塩酸または硝酸
電解液中で交流または直流により行う方法を遷移金属表
面の粗面化に適用することができる。また、特開昭54
−63902号に開示されているように両者を組み合わ
せた方法も利用することができる。また、化学的な粗面
化処理は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナ
トリウム、ピロリン酸ナトリウムなどから選ばれるアル
カリ性の塩類混合水溶液へ浸漬して金属表面をエッチン
グして行われる。
【0033】〔光熱変換物質〕光熱変換物質としては光
を吸収して熱に変換して放出するものであれば特に制限
はなく、従来から公知のものであれば使用できる。紫外
から近赤外にわたる波長領域において光の波長を有効に
吸収し効率よく熱エネルギーに変換できる色素が好まし
く用いられる。本発明の特に好ましい態様では半導体レ
ーザー光照射により発熱させるため600nmから20
00nmに吸収極大を示し、可視域での吸収がないもし
くは小さい近赤外吸収剤が好ましい。
【0034】赤外線レーザーを用いる場合の近赤外吸収
剤の具体例として、色素を例に挙げる。好ましい色素
は、赤外線を吸収して熱エネルギーに変換する性質をも
つ染料や顔料である。好ましい顔料や染料、とくに顔料
としては、シアニン色素、スクワリリウム色素、メチン
系色素、ナフトキノン系色素、キノンイミン系色素、キ
ノンジイミン系色素、キノンジイミン系色素、ピリリウ
ム塩系色素、ナフトキノン系色素、フタロシアニン系色
素、ナフトロシアニン系色素、ジチオール金属錯体色
素、アントラキノン系色素、アゾ系色素、トリスアゾ系
色素、ポルフィリン系顔料、モルフォリン系顔料、フタ
ロシアニン系顔料などが挙げられる。
【0035】好ましい顔料や染料の具体例としては、コ
バルトグリーン(C.I.77335),エメラルドグ
リーン(C.I.77410),フタロシアニンブル−
(C.I.74100),銅フタロシアニン(C.I.
74160),ウルトラマリン(C.I.7700
7),紺青(C.I.77510),コバルト紫(C.
I.77360),パリオジェン赤310(C.I.7
1155),パーマネントレッドBL(C.I.711
37),ペリレン赤(C.I.71140),ローダミ
ンレーキB(C.I.45170:2),ヘリオボルド
ーBL(C.I.14830),ライトファーストレッ
ドトーナーR(C.I.12455),ファーストスカ
ーレットVD、リゾールファーストスカーレットG
(C.I.12315),パーマネントブラウンFG
(C.I.12480),インダンスレンブリリアント
オレンジRK(C.I.59300),赤口黄鉛(C.
I.77601),ハンザイエロー10G(C.I.1
1710),チタンイエロー(C.I.77738),
亜鉛黄(C.I.77955),クロムイエロー(C.
I.77600)などが挙げられるほか、静電記録用ト
ナーに用いられる各種の顔料も好ましく用いることがで
きる。そのほか、マラカイトグリーンしゅう酸、キニザ
リン、2−(α−ナフチル)−5−フェニルオキサゾー
ル、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイ
ルブルーBOS、オイルブラックBY、オイルブラック
BS、オイルブラックT−505(以上、オリエント化
学工業(株)製)、ベーシックフクシン、m−クレゾー
ルパープル、シアノ−p−ジエチルアミノフェニルアセ
トアニリド、あるいは特開昭62−293247号公
報、特願平7−335145号公報に記載されている染
料を挙げることができる。中でも、フタロシアニングリ
ーン、フタロシアニンブルーなど銅、コバルト、ニッケ
ル、鉄のフタロシアニン錯塩、3,3’−エチルメソエ
チルナフトチア(オキサ)ジカルボシアニン、3,3’
−エチルナフトチア(オキサ)トリカルボシアニンなど
で代表されるジカルボシアニンやトリカルボシアニン色
素が好ましい。
【0036】無機顔料としては、例えばカーボンブラッ
ク、二酸化チタン、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化
カドミウム、酸化鉄、並びに鉛、亜鉛、バリウム及びカ
ルシウムのクロム酸塩などを好適に用いることができ
る。また、酸化物、チッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭
化物などのセラミックの微粒子を充填することもでき
る。酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、
酸化パナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化モリ
ブデン、酸化タングステン、酸化クロムなどがあげられ
る。また、チッ化チタン、チッ化ジルコニウム、チッ化
ハフニウム、チッ化パナジウム、チッ化ニオブ、チッ化
タンタル、チッ化モリブデン、チッ化タングステン、チ
ッ化クロムなどがあげられる。また、ケイ化チタン、ケ
イ化ジルコニウム、ケイ化ハフニウム、ケイ化パナジウ
ム、ケイ化ニオブ、ケイ化タンタル、ケイ化モリブデ
ン、ケイ化タングステン、ケイ化クロムなどがあげられ
る。ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハフニ
ウム、ホウ化パナジウム、ホウ化ニオブ、ホウ化タンタ
ル、ホウ化モリブデン、ホウ化タングステン、ホウ化ク
ロムなどがあげられる。また、炭化チタン、炭化ジルコ
ニウム、炭化ハフニウム、炭化パナジウム、炭化ニオ
ブ、炭化タンタル、炭化モリブデン、炭化タングステ
ン、炭化クロムなどがあげられる。また、単体のみでは
なく混合物でも良い。また、染料としては酸性塗料、直
接染料、分散染料、油溶性染料、含金属油溶性染料など
を好適に用いることができる。
【0037】(光熱変換物質を埋め込む手段)多孔質材
料に光熱変換物質を埋め込む手段として交流電流により
処理する方法いわゆる電解着色法と、光熱変換物質を溶
剤に溶解あるいは微粒子状に分散し、その溶液又は分散
液に多孔質材料を浸せきすることにより、多孔質表面に
吸着させる方法、いわゆる染色法を用いることができ
る。
【0038】次に電解着色法について述べる。電解着色
法は、陽極酸化を施したアルミニウムまたはアルミニウ
ム合金を電解液中で交流電解することにより陽極酸化孔
中に金属酸化物あるいは金属水酸化物が充填されること
はよく知られている。本発明方法をさらに詳しく述べる
と、つぎのとおりである。まず、多孔質材料あるいは多
孔質材料を被覆した基板を光熱変換物質を溶解した電解
液中に浸漬してこれを陽極とし、交流通電を行なう。交
流電圧は5〜50V、好ましくは10〜30Vである。
本発明において電解液中に使用される金属塩としては種
々のものがあるが、一例をあげると、ニッケル、コバル
ト、クロム、銅、マグネシウム、鉄、カドニウム、チタ
ン、マンガン、モリブテン、カルシウム、パナジウム、
錫、鉛、亜鉛などの金属の硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、
塩酸塩、クロム酸塩などの無機酸塩、シュウ酸塩、酢酸
塩、酒石酸などの有機酸塩などがあるが、着色進行度を
増大させるためには、これらのうちから3種以上の金属
塩または2種以上の金属塩と強還元性化合物との混合物
を含有する電解が使用される。これにより融通性が増大
する。これらの金属塩の濃度は、合計量で5〜500g
/リットル、好ましくは10〜250g/リットルであ
る。本発明において使用される強還元性化合物として
は、たとえば、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸
亜鉛などの亜二チオン酸塩、チオ硫酸アンモニウム、チ
オ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸鉄など
のチオ硫酸塩、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリ
ウムなどの亜硫酸水素塩、亜硫酸、亜硫酸アンモニウ
ム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムなどの亜硫酸
塩、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウ
ム、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸カ
リウム、チオグリコール酸リチウムなどのチオグリコー
ル酸塩がある。これらは、0.05〜10g/リットル
好ましくは0.5〜3g/リットルの濃度で使用され
る。
【0039】また、上記電解液には、通常、硫酸、硝
酸、塩酸、リン酸、ホウ酸、チオシアン酸、クロム酸な
どのような無機酸またはシュウ酸、酢酸、プロピオン
酸、ギ酸、酒石酸、リンゴ酸などのような有機酸、ある
いはそれらのアンモニウム塩、アミノ塩またはイミノ塩
の少なくとも1種が添加される。その添加濃度は5〜2
50g/リットルである。また、交流着色電解におい
て、初期印加電圧よりも低い電圧に変動して電解を行な
うことにより付廻り性はさらに向上する。そして、その
低下変動させるべき電圧差は好ましくは1〜10Vであ
り、また、変動させるべき時期は、通常通電後2分以
内、好ましくは5〜60秒間である。また、上記電解液
には前記した光熱変換物質を添加して用いることもでき
る。
【0040】上記の方法で電解着色された皮膜は、必要
により、沸とう水、薬品封孔または加圧水蒸気など公知
の手段により封孔処理が施される。また、その封孔処理
を施したのち、あるいは封孔処理を施すことなく、必要
によりさらに樹脂塗料による浸漬塗装または電着塗装を
行なって表面保護を行ってもよい。また、有機染料また
は無機化合物を吸着させる方法(染色法)などを用いる
ことができる。染色法は前記した光熱変換物質の有機染
料、無機化合物などを溶剤に溶解あるいは微粒子に分散
して使用する。その溶液に多孔質材料を浸せきすること
により、多孔質表面に吸着させる方法である。溶媒は光
熱変換物質を溶解するものであれば何でも良いが、中で
も水が望ましい。
【0041】〔親油性層〕本発明の平版印刷用原版に用
いられる親油性層はレーザー光照射により飛散除去すな
わちアブレーション可能で、かつ親油性のものであれ
ば、いずれの物質の層でも良い。例えば親油性の金属ま
たは親油性ポリマーを層の構成材料として用いることが
できる。好ましい親油性層について以下に説明する。
【0042】親油性層が金属薄膜層の場合、その金属は
遷移金属、インジウム、錫、アンチモン、タリウム、テ
ルル、鉛、ビスマス、アルミニウム、カリウム、ゲルマ
ニウム、テルルなどの金属あるいはこれらの合金が望ま
しい。遷移金属とは原子番号21から30のスカンジウ
ムから亜鉛、原子番号39から48のイットリウムから
カドミウム、原子番号72から80のハフニウムから水
銀、原子番号57から71のランタノイド系希土類金属
などの任意の遷移金属の化合物を用いることができる。
なお、一般に亜鉛、カドミウム、水銀は電子殻がとりう
る構造が多いので遷移金属に含ませる場合と含ませない
場合があるが、本発明ではこれらの元素も本発明の効果
が認められるので遷移金属に含めている。中でもチタ
ン、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、銅、錫、テルル、
インジウム、バナジウム、ビスマスが望ましい。特に5
00℃以下の融点の錫、テルル、ビスマス、亜鉛が望ま
しい。金属層の膜厚は100A〜1μmが望ましい。中
でも500A〜5000Aが特に望ましい。
【0043】金属以外の親油性層としては、(1)親油
性でかつ熱可塑性である樹脂と(2)レーザービーム光
を熱に変換する物質を含有する層を設けても良い。親油
性でかつ熱可塑性を有する樹脂としてはポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル
樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニ
ルブチラール樹脂、ニトロセルロース、ポリアクリレー
ト、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリウレ
タン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂−酢酸ビニル共重
合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重
合体、塩化ビニル−樹脂ビニル−マレイン酸共重合体、
塩化ビニル−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデ
ン、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、など
があげられる。
【0044】〔支持体〕本発明に係わる印刷原板は、支
持体に関していろいろの形態で用いることができる。特
に好ましいのは、前記基体そのものを支持体にしてその
表面を陽極酸化した金属板の単一構成の形態である。そ
の場合の金属板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程
度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは
0.2mm〜0.3mmである。
【0045】また、金属に支持体を兼ねさせないで、金
属は、薄板(薄層)にしてそれを強度の面で補強できる
低コストの金属板、あるいは可撓性の大きい(フレキシ
ブルな)金属板の表面に金属板を設けてその表面を陽極
酸化してもよい。強度があって低コストの、あるいは可
撓性の大きい、好ましい金属板は、例えばアルミニウ
ム、ステンレス鋼、ニッケル、銅などの金属板である。
これらの支持体金属板と金属板とは、張り合わせてもよ
く、また金属板上に金属を薄層上に真空蒸着してもよい
が、前者の方が経済的であり、かつ簡単である。以下、
本明細書の記載においては、当業界の慣例にしたがっ
て、支持体が金属の場合には、支持体を基板と記すこと
もあるが、金属に関しては支持体と基板は同義である。
【0046】そのほか、化学的に安定であって可撓性も
十分なポリエステル類やセルローズエステルなどのプラ
スチック支持体の上に金属薄層を設けることもできる。
また、防水加工紙、ポリエチレン積層紙、含浸紙などの
支持体上に金属層を設けてもよい。
【0047】好ましく使用されるプラスチック及び紙支
持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン
又はポリスチレンがラミネートされた紙、二酢酸セルロ
ース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪
酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチ
レン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニル
アセタール等のプラスチックフィルム、アルミニウムが
ラミネート又は蒸着された紙、もしくはプラスチックフ
ィルム等が挙げられる。
【0048】上記の中でも好ましい支持体は、ポリエス
テルフィルム、アルミニウム、又は印刷版上で腐食しに
くいSUS板であり、その中でも寸法安定性がよく、比
較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適な
アルミニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウ
ムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更
にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラス
チックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる
異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウ
ム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどが
ある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下で
ある。本発明において特に好適なアルミニウムは、純ア
ルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬
技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有する
ものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニ
ウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来よ
り公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用するこ
とができる。
【0049】陽極酸化された基体を支持体に用いる場合
は、その金属支持体は公知の方法によって粗面化されて
いてもよい。粗面化は、機械的な手段、電気化学的な手
段又は化学的エッチング手段のいずれでもよく、またそ
れらを組み合わせて行ってもよい。粗面化によってその
上に設けられた陽極酸化された遷移金属皮膜の保水性が
向上する場合もある。粗面化された好ましい金属支持体
はアルミニウム支持体である。
【0050】基板とは別に金属支持体を設ける場合、用
いられる支持体の厚みはおよそ0.06mm〜0.6mm程
度、好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは
0.1mm〜0.3mmであり、遷移金属の薄層の厚みは、
0.001mm〜0.1mm程度、好ましくは0.005mm
〜0.05mm、特に好ましくは0.01mm〜0.05mm
である。
【0051】〔製版〕本発明の前記光熱変換物質を埋め
込んだ多孔質基板上に、親油性層が形成された印刷原板
の表面は、本来親油性であり、インキを受容するが、活
性光による画像露光を行うと、光の照射を受けた部分
は、アプレーションを生じ、下層の陽極酸化した遷移金
属層の表面も光の照射を受けた部分は、親水性となり、
インキを受け付けなくなる。したがって画像露光した印
刷原版に平版印刷用インキに接触させて非画像領域が湿
し水を保持し、画像領域がインキを受け入れた印刷面を
形成させ、該印刷面を印刷される面と接触させてインキ
を転写することによって印刷が行われる。
【0052】(光照射)本発明において前記光熱変換物
質を埋め込んだ多孔質基板又はその上に、親油性層が形
成された印刷原板の表面の金属皮膜を励起させる活性光
は、この皮膜の感光域の光であればいずれの光源からの
光でもよい。例えば、酸化チタンは、アナターゼ型が3
87nm以下,ルチル型が413nm以下に感光域をも
つが、陽極酸化されたチタン皮膜もほぼ同様に420n
m以下に感光域をもつ光を利用することができる。好ま
しい光源は、水銀灯、タングステンハロゲンランプ、そ
の他のメタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンア
ーク灯などを用いることが出来る。また、励起光の発振
波長を325nmに有するヘリウムカドミウムレーザー
や発振波長を351.1〜363.8nmに有する水冷
アルゴンレーザーも用いることができる。さらに近紫外
レーザー発振が確認されている発振波長を330nmに
有する硫化亜鉛レーザー、370nmに有する硫化亜鉛
レーザー、330〜440nmに有する硫化亜鉛/カド
ミウムレーザーも適用できる。また、1064nmの波
長を有するNd:YAGレーザーを用いることもでき
る。とりわけ、Qスイッチを装備し、パルス発振によっ
てクリプトンマークランプで工学的にポンピングされる
Nd:YAGレーザーが好ましい。陽極酸化されたチタ
ン皮膜に画像を形成させる場合、ピーク出力が1000
w,好ましくは2000wのレーザー光を照射するのが
好ましい。そのほか、GaAs、GaP、PbS、Pb
Seなどの半導体レーザー、ArF、KrF、xEc
L、XeFなどのエキシマレーザー及びヘリウムネオン
レーザーも用いることができる。
【0053】好ましい照射光の強さは、光の波長によっ
ても異なるが、通常は、印刷される画像で変調する前の
面露光強度として0.05〜100joule /cm2 、好
ましくは0.2〜10joule /cm2 、より好ましくは
0.5から5joule /cm2である。
【0054】画像露光が、アブレーションと呼ばれる画
像層の飛散・除去を伴う強度のとくに強い照射である場
合には、赤外線成分を多く含むレーザー光源を使用し
て、レーザービームを画像で変調して原板上を走査する
方式が行わうのが好ましいが、可視光レーザーであって
も吸光物質が効率よく吸収する輻射であれば、光熱変換
は行われる。レーザー光源の例として、半導体レーザ
ー、ヘリウムネオンレーザー、ヘリウムカドミウムレー
ザー、YAGレーザーを挙げることができる。レーザー
出力が0.1〜300Wのレーザーで照射をすることが
できる。また、パルスレーザーを用いる場合には、ピー
ク出力が1000W、好ましくは2000Wのレーザー
を照射するのが好ましい。この場合の露光量は、印刷用
画像で変調する前の面露光強度が0.1〜10J/cm2 の
範囲であることが好ましく、0.3〜1J/cm2 の範囲で
あることがより好ましい。
【0055】上記の感光性は、従来技術として前記した
ジルコニアセラミック(特開平9−169098)の感
光性とは異なるものである。たとえば、感度について
は、ジルコニアセラミックに対しては7W/μm2 のレ
ーザー光と記されており、レーザー光のパルス持続時間
を100ナノ秒として70joule /cm2 であって陽極
酸化したチタン皮膜の感度より1桁以上低い。また、同
様に従来技術として前記した親水性の下層の上に親油性
の金属又は有機硫黄化合物の表面層を設けて、その親油
性の層に画像状のレーザー光照射を行ってヒートモード
で画像記録を行う特開昭52−37104号、特開平3
−197192号、特開平7−1848号の各公報など
の製版印刷方法に対してもレーザー照射光に対するヒー
トモードの感度が高く、それが画像部と非画像部との識
別性を高くしている。
【0056】〔印刷工程〕本発明の前記光熱変換物質を
埋め込んだ多孔質基板又はその上に、親油性層が形成さ
れた印刷原板の表面への画像焼き付け露光を行ったの
ち、印刷原版は現像処理することなく、そのまま平版印
刷工程に送ることができる。従って通常の公知の平版印
刷法に比較して簡易性を中心に多くの利点を有する。す
なわち上記したようにアルカリ現像液による化学処理が
不要であり、それに伴うワイピング、ブラッシングの操
作も不要であり、さらに現像廃液の排出による環境負荷
も伴わない。
【0057】以上のようにして得られた平版印刷版の露
光部は十分に親水性化しているが、所望により、水洗
水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや
澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の
画像記録材料を印刷用版材として使用する場合の後処理
としては、これらの処理を種々組み合わせて用いること
ができる。その方法としては、該整面液を浸み込ませた
スポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整
面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方
法や、自動コーターによる塗布などが適用される。ま
た、塗布した後でスキージー、あるいは、スキージーロ
ーラーで、その塗布量を均一にすることは、より好まし
い結果を与える。整面液の塗布量は一般に0.03〜
0.8g/m2(乾燥重量)が適当である。この様な処理に
よって得られた平版印刷版は平版印刷機等にかけられ、
多数枚の印刷に用いられる。
【0058】
〔実施例1〜7及び比較例1〜5〕
(実施例1)実施例1においては、板厚0.2mmの市
販のチタン板をグリセロリン酸ナトリウム0.005m
ol/Lと酢酸ストロンチウム0.09mol/Lの混
合液を使用して、温度40℃、電流密度5A/dm2 で
4分間直流にて陽極酸化後、水洗、乾燥し基板〔A〕を
作成した。次に浴温25℃、硫酸第1スズ10g/L、
硫酸40g/Lの電解液中で0.8A/dm2 の電流密
度にて60秒間交流電解を行った。その後、日本電子製
の真空蒸着装置を使用して基板Aに厚さ1000Aのチ
タン金属を蒸着し、平版印刷用原版〔A−1〕を作成し
た。この印刷用原版〔A−1〕に次の条件でYAGレー
ザーを照射した。
【0059】 レーザーパワー: 0.7W ビーム直径 : 45μm 走査速度 : 1.2m/sec
【0060】(印刷性評価)上記平版印刷版〔A−1〕
を光学顕微鏡で観察したところ、35μmの細線を描画
できていた。細線の幅が太ければ太いほど感度が高いこ
とになる。この様にしてレーザー照射により画像形成し
た平版印刷版を後処理することなく印刷機にかけて印刷
を行った。印刷機としてはハリス菊半単色機(ハリス
(株)製)を用い、インキとしてGeos墨(大日本イ
ンキ化学工業(株)製)、湿し水として、湿し水 EU
−3(富士写真フィルム(株)製)を1:100に水で
希釈したもの90vol%とイソプロパノール10vo
l%との混合物をそれぞれ用いて、上質紙上に印刷を行
った。その結果、レーザー照射部には汚れがなく、ま
た、非照射部には着肉した鮮明な印刷物を1万枚印刷す
ることができた。
【0061】(実施例2)実施例2においては、実施例
1の基板〔A〕を浴温25℃、硫酸チタン40g/L、
硫酸40g/Lの電解液中で0.8A/dm2 の電流密
度にて60秒間交流電解を行った。実施例1と同様に真
空蒸着にてチタン金属を蒸着し基板〔A−2〕を作成し
た。次に実施例1と同様にYAGレーザー照射した。上
記平版印刷版〔A−2〕を実施例1と同様に光学顕微鏡
観察したところ、35μmの細線を描画できていた。ま
た鮮明な印刷物を1万枚印刷できた。
【0062】(実施例3)実施例3においては、基板
〔A〕をナフトロシアニン色素2重量部をテトラヒドロ
フランに溶解した溶液に30℃、2分間浸漬した後、自
然乾燥した後、実施例1と同様にチタンを蒸着し基板
〔A−3〕を作成した。上記平版印刷版〔A−3〕を実
施例1と同様に光学顕微鏡観察したところ、35μmの
細線を描画できていた。また鮮明な印刷物を1万枚印刷
できた。
【0063】(実施例4)実施例4においては、市販の
0.2mmのアルミニウムを硫酸液100g/Lを使用
して温度30℃、電流密度30A/dm2 で20秒間直
流にて陽極酸化後、水洗、乾燥し基板〔B〕を作成し
た。MEK40重量部にチッ化チタン3重量部を分散さ
せた溶液中に基板〔B〕を30℃、2分間浸漬した後、
オーブンで100℃、1分間乾燥させた。次に基板
〔B〕にクロムを蒸着し基板〔B−1〕を作成した。
上記平版印刷版〔B−1〕を実施例1と同様に光学顕微
鏡観察したところ、25μmの細線を描画できていた。
また鮮明な印刷物を1万枚印刷できた。
【0064】(実施例5)実施例5においては、市販の
板厚0.2mmのジルコニウム板を硫酸液100g/L
を使用して温度30℃、電流密度5A/dm2 で90秒
間直流にて陽極酸化後、水洗、乾燥し基板〔C〕を作成
した。基板〔C〕を浴温25℃、硫酸第1スズ10g/
L、硫酸40g/L、硫酸コバルト5g/Lの電解液中
で0.8A/dm2 の電流密度にて60秒間交流電解を
行った後、チタンを蒸着し基板〔C−1〕を作成した。
上記平版印刷版〔C−1〕を実施例1と同様に光学顕微
鏡観察したところ、30μmの細線を描画できていた。
また、鮮明な印刷物を1万枚印刷できた。
【0065】(実施例6)実施例6においては、反応性
スパッタリング法で作成した。アルゴン/窒素=50/
50の雰囲気で500Aの厚みでチッ化チタンを0.2
mmのステンレス基板上に作成してから酸化チタンの微
粒子を交流電解で充填した後,チタンを蒸着し、基板
〔D〕を作成した。基板〔D〕に実施例1と同様の条件
でYAGレーザーを照射した。上記平版印刷版〔D〕を
実施例1と同様に光学顕微鏡観察したところ、35μm
の細線を描画できていた。また、鮮明な印刷物を1万枚
印刷できた。
【0066】(実施例7)実施例7においては、0.2
mmのステンレス板に酸化アルミを10μmの厚みに大
気プラズマ溶射してから、実施例1と同様に交流電解し
た。その後、チタンを真空蒸着し、基板〔E〕を作成し
た。基板〔E〕に実施例1と同様の条件でYAGレーザ
ーを照射した。上記平版印刷版〔E〕を実施例1と同様
に光学顕微鏡観察したところ、30μmの細線を描画で
きていた。また鮮明な印刷物を1万枚印刷できた。
【0067】(比較例1)比較例1においては、実施例
1で交流電解をしなかった以外は、実施例1と同様に基
板を作成し、YAGレーザーを照射した。光学顕微鏡観
察をしたところ10μmの細線しか描画できなかった。
【0068】(比較例2)比較例2においては、交流電
解しなかった以外は、実施例4と同様に基板を作成し、
実施例4と同様にYAGレーザーを照射し、光学顕微鏡
観察をしたところはっきりとした細線を描画できなかっ
た。
【0069】(比較例3)比較例3においては、チッ化
チタンの溶液に浸漬しなかった以外は、実施例5と同様
に作成した基板に実施例5と同様の条件でYAGレーザ
ーを照射し、光学顕微鏡観察をしたところ、5μmの細
線しか描画できていなかった。
【0070】(比較例4)比較例4においては、交流電
解しなかった以外は、実施例6と同様に作成した基板に
実施例6と同様の条件でYAGレーザーを照射し、光学
顕微鏡観察をしたところ、10μmの細線しか描画でき
ていなかった。
【0071】(比較例5)比較例5においては、交流電
解しなかった以外は、実施例7と同様に作成した基板に
実施例7と同様の条件でYAGレーザーを照射し、光学
顕微鏡観察をしたところ、10μmの細線しか描画でき
ていなかった。
【0072】上記のテスト結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】表1から明らかなように、本発明に係わる
各実施例の平版印刷版は感度が高く、高精細な描画がで
き、また印刷汚れ、耐刷性等について、それぞれ満足す
べき結果を得たが、各比較例の平版印刷版は、高精細な
描画ができず不満足なものであった。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の平版印刷
版の製造方法よる平版印刷版は、光熱変換材料を埋め込
んだ多孔質基板を用い、又は該多孔質基板上にレーザー
露光によりアブレーション可能な親油性層を設けること
により、活性光による像様露光のみで非照射部がインキ
を受容する平版印刷画面が形成され、また、レーザー光
の像様照射によるアブレーションによって照射部がイン
キを受容しない平版印刷画面が形成され、いずれの方式
であっても現像液が不要で、かつ印刷面の鮮明性が保た
れた平版印刷が可能である。また、機上製版も可能であ
る。更に、本発明によれば、感度が高く、高精細な描画
ができ、また印刷汚れ、耐刷性に優れた平版印刷版の製
造方法を提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面層が多孔質で光熱変換物質が埋め込
    まれている多孔質基板を有する平版印刷用原版に、画像
    状にレーザ光を照射して照射部を親水性にすることを特
    徴とする平版印刷版の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020096579A1 (en) * 2018-11-06 2020-05-14 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Covers for electronic devices
CN114643072A (zh) * 2021-11-24 2022-06-21 湖南大学 一种金属单原子修饰的三维多孔MXenes复合材料的制备方法

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