JP2000344680A - Hgf含有医薬組成物 - Google Patents

Hgf含有医薬組成物

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JP2000344680A
JP2000344680A JP11152349A JP15234999A JP2000344680A JP 2000344680 A JP2000344680 A JP 2000344680A JP 11152349 A JP11152349 A JP 11152349A JP 15234999 A JP15234999 A JP 15234999A JP 2000344680 A JP2000344680 A JP 2000344680A
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Masanori Sato
眞紀 佐藤
Kunji Kawai
勲二 河合
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 肝実質細胞増殖因子を含有し、腎毒性が軽減
された医薬組成物を提供する。 【解決手段】 肝実質細胞増殖因子との結合親和性(K
d値)が1.0×10-8M未満である硫酸化多糖類(例
えばヘパリンなど)と肝実質細胞増殖因子とを含み、肝
実質細胞増殖因子に由来する腎毒性が軽減された医薬組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肝実質細胞増殖因
子を含有し、腎毒性が軽減された医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】肝実質細胞増殖因子(Hepatocyte growt
h factor:以下、本明細書において「HGF」と略す場
合がある。)は肝実質細胞の増殖活性を有するタンパク
質であり、種々の動物種においてその存在が知られてお
り、異なったアミノ酸配列を有するものが報告されてい
る。ヒト肝実質細胞増殖因子(以下、本明細書において
「hHGF」と略す場合がある。)は、大工原らにより
劇症肝炎患者血漿より見出され(特開昭63-22526号公
報)、その後、喜多村らによりhHGFタンパク質のア
ミノ酸配列及びそれをコードする遺伝子(cDNA)配
列が明らかにされた(特開平3-72883号公報)。さらに
このcDNAを用いたhHGFタンパク質の生産方法及
び形質転換体が報告されるにいたり(特開平3-285693号
公報)、hHGFタンパク質の大量生産が可能となり医
薬品としての応用が期待されている。
【0003】hHGFは糖タンパク質の一種であり、分
子量は非還元状態では約80〜90 KDa、還元状態では約52
〜56 KDaのαサブユニットと約30〜36 KDaのβサブユニ
ットからなるヘテロダイマーである。hHGFは、肝細
胞増殖因子としての活性のほか、スキャター因子(scat
ter factor;SF)活性、腎臓尿細管上皮細胞増殖因子活
性、損傷組織修復因子活性、血管内皮細胞増殖因子活性
など多様な生物活性を有しており、肝臓疾患治療薬、腎
臓疾患治療薬、脳神経障害治療剤、育毛促進剤、創傷治
療薬、抗腫瘍治療薬などの医薬としての開発が期待され
ている。しかしながら、HGFは腎臓の糸球体への毒性
を有することが知られており、HGFの臨床適用に際し
て、腎毒性を回避する方法の開発が求められている。
【0004】一方、HGFに対する多糖類の作用につい
て、特開平5-301824号公報には、hHGFの肝実質細胞
の増殖測定系に多糖類を添加することにより、培養上清
中に存在するhHGFの分解が抑制されることが記載さ
れている。また、特開平6-40938号公報には、ヘパリン
によりHGFの作用時間が延長されることが記載されて
おり、特開平6-145065号公報には、ヘパリン、デキスト
ラン硫酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸等のグル
コサミノグリカン、グルカンまたはその誘導体にHGF
を結合して、固相化された肝実質細胞増殖剤を製造する
方法が記載されている。さらに、特開平6-312941号公報
には、ヘパリンまたはその誘導体、ヘパラン硫酸等から
ならHGF産生促進剤が記載されており、特開平10-324
638号公報には、デキストラン硫酸などの多糖類により
HGFに由来する腎毒性が軽減化された医薬組成物につ
いて記載されている。しかしながら、腎毒性軽減に必要
な多糖類の条件については従来報告はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するため
の手段】本発明の課題は、HGFの腎毒性を軽減する手
段を提供することにある。本発明者らは、HGF投与時
に惹起される腎毒性の発生メカニズムと多糖類の腎毒性
抑制作用との関係について鋭意研究を行った結果、従来
認められていた硫酸化多糖類のHGF腎毒性軽減効果
は、HGFとの結合親和性の高い特定の硫酸化多糖類に
特に顕著に認められることを見出した。本発明は、上記
の知見を基にして完成されたものである。
【0006】すなわち、本発明は、肝実質細胞増殖因子
との結合親和性(Kd値)が1.0×10-8M未満であ
る硫酸化多糖類と肝実質細胞増殖因子とを含み、肝実質
細胞増殖因子に由来する腎毒性が軽減された医薬組成物
を提供するものである。本発明の医薬組成物は、肝実質
細胞増殖因子に由来する腎毒性、とりわけ腎臓の糸球体
への毒性を軽減することができる。本発明の好ましい態
様によれば、硫酸化多糖類がグリコサミノグリカンであ
る上記医薬組成物;硫酸化多糖類がデキストラン硫酸、
ヘパリン、ヘパラン硫酸,コンドロイチン硫酸、及びそ
れらの塩からなる群から選ばれる上記医薬組成物が提供
される。
【0007】さらに好ましい態様によれば、肝実質細胞
増殖因子が以下の理化学的性質: 1) SDS−PAGE(非還元条件下)による推定分子
量が約76,000〜92,000である、 2) 肝実質細胞を増殖させる活性を有する、及び 3) ヘパリンに対して強い親和性を有する、を有する蛋
白性因子である上記医薬組成物;上記の理化学的性質に
加えて、4) 80℃、10分間の加熱処理により上記活
性が失活する、5) トリプシンによる消化処理及びキモ
トリプシンによる消化処理により上記活性が失活する、
を有する蛋白性因子である上記医薬組成物;及び肝実質
細胞増殖因子が組換え体である上記医薬組成物が提供さ
れる。
【0008】さらに別の観点からは、肝実質細胞増殖因
子の腎毒性抑制剤であって、肝実質細胞増殖因子との結
合親和性(Kd値)が1.0×10-8M未満である硫酸
化多糖類を含む抑制剤;及び、肝実質細胞増殖因子の腎
毒性を抑制する方法であって、肝実質細胞増殖因子との
結合親和性(Kd値)が1.0×10-8M未満である硫
酸化多糖類を含む抑制剤をヒトを含む哺乳類動物に投与
する工程を含む方法が提供される。上記方法において、
抑制剤の投与は肝実質細胞増殖因子の投与と同時に行っ
てもよいが、抑制剤を単独で任意の時期に投与してもよ
い。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる多糖類
は、HGFとの結合親和性を表すKd値が1.0×10
-8M未満、好ましくは1.0×10-9未満、特に好まし
くは1.0×10-10未満の硫酸化多糖類である。HG
Fと硫酸化多糖類とのKd値は、本明細書の実施例に具
体的に説明した方法により容易に測定することができ
る。硫酸化多糖類としては、例えば、二糖類単位が繰り
返してできた構造を有し、その二糖類の1つがグルコサ
ミンまたはガラクトサミンからなるもの(グリコサミノ
グリカンなど:生命の科学、39(4)、p.306〜
310(1988))や、グルカンなどの多糖類が硫酸
エステル化されたものが好適に使用される。硫酸化多糖
類として、好ましくは、クリコサミノグリカンのほか、
デキストラン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸,コンドロ
イチン硫酸、及びそれらの塩からなる群から選ばれる硫
酸化多糖類が好適である。
【0010】本発明において用いられる多糖類として
は、ヘパリンが最も好ましい。同種の硫酸化多糖類にお
いても、調製方法、精製度などの相違により、Kd値が
10〜1,000倍程度異なる場合がある。例えば、本
明細書の実施例に示したように、ヘパリンでは、調製方
法などの相違によりKd値が1.0×10-8M以上のも
のと1.0×10-8M未満のものの存在が知られてい
る。本発明には、Kd値が1.0×10-8M未満の硫酸
化多糖類を選択する必要がある。
【0011】上記の硫酸化多糖類は、HGFに対して過
剰量使用するのが好ましく、通常、HGF1モルに対し
て硫酸化多糖類を101〜105モルの範囲で使用すれば
よい。本発明の医薬組成物は、通常は注射剤又は点滴剤
などの溶液剤の形態で使用される。本発明の医薬組成物
は常法に従って調製することができるが、ヒト血清アル
ブミンや界面活性剤等の公知の医薬用添加剤を用いても
よい。具体的には、例えば、下記に示す組成物をpH
7.5の10mMリン酸緩衝液(PBS(−))で溶解
し、全量を5mlとした後、0.22μmのフィルター
にて濾過滅菌し、バイアル瓶に分注すればよく、必要に
応じてさらに凍結乾燥して凍結乾燥用製剤を製造し、用
時に適宜蒸留水や生理的食塩水等に溶解してもよい。
【0012】(1)ヘパリン5mg、ヒト血清アルブミ
ン50mg、トライトンX−1000.5mg (2)hHGF100μg、ヘパリン5mg、ヒト血清
アルブミン50mg、トライトンX−100 0.5m
g (3)hHGF100μg、ヘパリン5mg、ヒト血清
アルブミン50mg (4)hHGF100μg、ヘパリン5mg、トライト
ンX−100 0.5mg (5)hHGF100μg、ヘパリン5mg、ツイーン
80 0.5mg (6)hHGF100μg、ヘパリン5mg
【0013】本発明の医薬組成物を凍結乾燥製剤として
調製する場合には、HGF、安定化剤、塩化ナトリウ
ム、及び緩衝剤を含有し、肝実質細胞増殖因子を5 mg/
mL以下の濃度で含有する水溶液を製造するように調製す
ることが望ましい。この製剤は、HGFを5 mg/mL以下
の濃度で含有する水溶液を凍結乾燥して得ることが好ま
しい。安定化剤としては、例えば、アルギニン、リジ
ン、ヒスチジン、グルタミン、プロリン、グルタミン
酸、アスパラギン酸、及びこれらの薬理上許容される塩
からなる群から選ばれる安定化剤を用いることができ、
緩衝剤としてはリン酸塩を用いることができる。このよ
うな凍結乾燥製剤から調製した水溶液は、保存安定性に
優れている。また、注射剤として望ましいpH(例えば
6.0から7.0の範囲)及び生体とほぼ等張又は注射
剤の浸透圧比として許容される浸透圧比(1〜2)を有
する水溶液を調製するための製剤として有用である。
【0014】本発明の医薬組成物に含まれるHGFの種
類は特に限定されない。例えば、HGFを含有すること
の知られているヒトやラット等のほ乳動物由来の体液や
組織、または自発的にHGFを産生する細胞から天然の
HGFを単離してもよいが、遺伝子組換え法により該増
殖因子cDNAを細胞に導入して得られる組換えHGF
を用いてもよい。組換えHGFを産生させる宿主として
は、大腸菌、枯草菌、酵母、糸状菌、植物細胞、昆虫細
胞、動物細胞などが挙げられる。具体例には、組換えH
GFとして、例えば、上記ほ乳動物由来の胎盤、肝障害
患者肝組織及び血液、MRC-5 細胞、IMR-9 細胞などの線
維芽細胞株、あるいは特開平3-285693号公報に記載され
た方法に従いhHGFをコードするcDNAを含む発現
ベクターをCHO細胞等の宿主に導入した産生株などか
ら得られたものを挙げることができる。
【0015】また、HGFとしては、シグナル配列を有
する蛋白質などの前駆体蛋白質や、肝実質細胞を増殖さ
せる活性を損なわない範囲において一部のアミノ酸を置
換、欠失、及び/又は挿入した修飾蛋白質や糖類を欠失
又は置換した改変体を用いてもよい。改変体としては、
例えば、特開平2-288899号公報、WO90/10651号公報、特
開平3-130091号公報、同3-255096号公報、同4-30000 号
公報、Nature, 342, 440-443(1989)等に記載されたもの
を挙げることができる。
【0016】本発明の医薬組成物に好適に用いられるH
GFとして、以下の理化学的性質を有する蛋白性因子を
挙げることができる。またHGFはヒト由来のものであ
ることが好ましく、特に好ましいHGFとして、特開平
3-72883 号公報及び特開平4-89499 号公報に記載のアミ
ノ酸配列で表されるものを挙げることができる。 1) SDS−PAGE(非還元条件下)による推定分子
量が約76,000〜92,000である、 2) 肝実質細胞を増殖させる活性を有する、及び 3) ヘパリンに対して強い親和性を有する。さらに、好
ましいHGFは、上記の理化学的性質に加えて、 4) 80℃、10分間の加熱処理により上記活性が失活
する、及び 5) トリプシンによる消化処理及びキモトリプシンによ
る消化処理により上記活性が失活する、を有する。
【0017】HGFはスキャター因子(scatter facto
r;SF)活性、腎臓尿細管上皮細胞増殖因子活性、損傷
組織修復因子活性、血管内皮細胞増殖因子活性など多様
な生物活性を有しており、肝臓疾患治療薬、腎臓疾患治
療薬、肺障害治療剤、脳神経障害治療剤、育毛促進剤、
創傷治療薬、抗腫瘍治療薬、低蛋白血漿治療剤などの医
薬として有用である。もっとも、単独での投与では腎毒
性を惹起する可能性があり、腎臓の糸球体にHGFに起
因する病変(糸球体上皮の肥大/変性、癒着、半月体形
成、糸球体増殖性病変)が生じる場合がある。本発明の
医薬組成物では、HGFに起因する腎毒性が低減されて
おり、安全性が高いことが特徴である。また、本発明の
抑制剤は、HGF投与に伴う腎毒性の発現を軽減ないし
回避することができる。
【0018】本発明に従いHGFの腎毒性を軽減するた
めには、HGFと硫酸化多糖類とを含む医薬組成物を製
造して投与する場合のほか、HGFを含む製剤と硫酸化
多糖類を含む製剤を別々に調製しておき、HGFを含む
製剤の投与に際して、硫酸化多糖類を含む製剤を同時に
投与してもよい。また、それぞれの製剤を適宜の時期に
投与してもよい。一般的に、HGFを含む製剤を投与す
るにあたり、硫酸化多糖類を含む製剤を予め投与する
か、又はできる限り速やかに投与することが好ましい。
HGFと硫酸化多糖類とを含む医薬組成物、またはそれ
ぞれの成分を含む製剤は、当業者に利用可能な適宜の製
剤用添加物を用いて製造することができる。組成物又は
製剤の形態は特に限定されないが、一般には非経口的投
与に適する剤型が望ましく、好ましくは注射用アンプル
剤や注射用凍結乾燥粉末剤(バイアル)として調製する
ことができる。組成物や製剤の調製は、当業界で利用可
能な適宜の手段を用いることができる。
【0019】製剤用添加物は製剤形態に応じて当業者が
適宜選択可能であるが、例えば、注射用凍結乾燥粉末剤
は、精製された前記HGFの有効量を、例えば、蒸留
水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液などの希釈剤に溶解
し、必要に応じてカルボキシメチルセルロース、アルギ
ン酸ナトリウムなどの賦形剤、ポリエチレングリコー
ル、デキストラン硫酸ナトリウム、アミノ酸、ヒト血清
アルブミンなどの安定化剤、ベンジルアルコール、塩化
ベンザルコニウム、フェノールなどの保存剤、ブドウ
糖、グルコン酸カルシウム、塩酸プロカインなどの無痛
化剤、塩酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウムなどの
pH調節剤、塩化ナトリウムなどの溶解補助剤、アミノ
酸類などの安定化剤、塩化ナトリウムなどの等張化剤な
どを加え、常法に従って凍結乾燥することにより調製す
ることができる。
【0020】また、注射用アンプル剤は、前記HGFの
有効量を、例えば、蒸留水、生理食塩水、リンゲル液な
どの希釈剤に溶解し、必要に応じてサリチル酸ナトリウ
ム、マンニトールなどの溶解補助剤、クエン酸ナトリウ
ム、グリセリンなどの緩衝剤、ブドウ糖、添加糖、塩化
ナトリウムなどの等張化剤、上記安定化剤、上記保存
剤、上記無痛化剤、上記pH調節剤、塩化ナトリウムな
どの溶解補助剤、アミノ酸類などの安定化剤などの製剤
用添加剤を加え、得られた溶液を通常の加熱滅菌、無菌
濾過などにより無菌化して調製することができる。な
お、外用剤として使用する場合は、特開平5−2137
21号公報、特開平5−279230号公報に記載され
ているような剤型で使用することが可能である。
【0021】本発明の医薬組成物は、患者に対して通常
は非経口的に投与することができる。一般的には、所定
量を単回又は複数回に分けて投与するか、または連続的
に投与することができる。投与量は、患者の年齢、性
別、症状、体重等により適宜調整されるが、成人1日当
たり有効成分重量1μg/kg体重〜10 mg/kg体重、より好
ましくは10〜1000μg/kg体重の範囲で投与される。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定される
ことはない。なお、以下の実施例において、HGFとし
て、特開平3-285693号公報に記載された方法に従って製
造された組換えヒトHGFを使用した。
【0023】例1:HGFと硫酸化多糖類との結合活性
測定 <試料>硫酸化多糖類としてヘパリン及びデキストラン
硫酸ナトリウムを用いた。ヘパリンは「ヘパリンナトリ
ウム注ヨシトミ」(吉富製薬)をリン酸ナトリウム緩衝
液に透析後凍結乾燥したものを「ヘパリンA」、同製品
を無処理で用いたものを「ヘパリンB」とした。デキス
トラン硫酸ナトリウムは生化学工業社の分子量約6500の
ものを用いた。ヒト組み換えHGFは、1.5 mg/mlの保
存溶液(10 mM リン酸ナトリウム緩衝液、0.6M NaCl、
0.005% Tween-80; pH7.5)を10 mM リン酸ナトリウム緩
衝液で6倍希釈して用いた。ランニングバッファーとし
て10 mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を、解離バ
ッファーとして1.5M NaCl、10 mM リン酸ナトリウム緩
衝液(pH7.5)を用いた。
【0024】<方法>ファルマシア社SPRセンサー
(BIAcore 2000)のセンサーチップ(CM5)にHGF
をアミンカップリング法により化学固定した。このセン
サーチップ表面に種々の濃度の硫酸化多糖類を流し、S
PR(表面プラズモン共鳴)応答を観測した。得られたS
PR応答から濃度-応答曲線を作成し、その曲線より結
合定数(Kd)を求めた。すなわち、センサーチップに固
定化されたHGFと相互作用したヘパリン間のSPR応
答値をR(単位:RU)、そのときのヘパリン溶液の濃度
をC(単位:M)、過剰濃度のヘパリンがチップに接触
した時に得られる応答値をRm ax(センサーチップ上の
HGF分子全てにヘパリンが結合したときの応答値;単
位:RU)、および結合定数をKdとすると以下の式:R=
α+Rmax/(1+Kd/C)が成り立つ。αは非特異吸着量で
種々の濃度の硫酸化多糖類溶液を流す実験で得られる。
R、Rmax、Cを変数としてこの式に実験から得られた
曲線をフィッティングさせることによりKdが求められ
る。
【0025】<結果>HGFと硫酸化多糖類の結合定数
を表1に示す。HGFに対する結合親和性は硫酸化多糖
類によって異なり、親和性に約100倍の開きがあった。
HGFに対する親和性は、ヘパリンB>デキストラン硫
酸ナトリウム>ヘパリンAの順であった。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2:ヘパリン添加による腎毒性軽減
効果 <使用動物>SD系雄性ラットを購入し、6日間の検疫
・馴化期間後、健康状態が良好である70匹(5週齢)を
試験に用いた。 <群構成> 対照群:無処置動物 (n=10) HGF 1 mg/kg (n=10) HGF 1 mg/kg+ヘパリンA 1.3 mg/kg (n=10) HGF 1 mg/kg+ヘパリンB 1.3 mg/kg (n=10) HGF 0.3 mg/kg (n=10) HGF 0.3 mg/kg+ヘパリンA 0.39 mg/kg (n=10) HGF 0.3 mg/kg+ヘパリンB 0.39 mg/kg (n=10)
【0028】HGFは希釈バッファー(140 mM NaCl,
0.005% Tween80, 10 mMリン酸緩衝液, pH7.5)中0.2 mg/ml
または0.06 mg/mLの濃度となるように調製した。ヘパリ
ンは「ヘパリンナトリウム注ヨシトミ」(吉富製薬)を
用い、同製品をリン酸緩衝液に透析後凍結乾燥したもの
を「ヘパリンA」、同製品を無処理で使用したものを
「ヘパリンB」で示した。ヘパリンA、Bともに0.26 m
g/mLまたは0.078 mg/mLの濃度となるように添加した。
【0029】<投与方法>上記被験物質を投与至近日の
体重に基づき5 mL/kgの容量で、ラットの尾静脈内に連
日反復投与した。投与期間はHGF 1 mg/kgの群で2週
間、0.3 mg/kgの群で4週間とした。対照群は無処置動物
とし、2週時に4例、4週時に6例屠殺した。
【0030】<検査項目>病理組織検査:最終投与後の
翌日麻酔下で屠殺し、腎臓を摘出して10%中性ホルマリ
ン液で固定した。その後パラフィン包埋病理標本を作製
し、薄切、ヘマトキシリン・エオジン染色後光学顕微鏡
にて病理組織学的評価を実施した。尿検査:HGF 0.3
mg/kgの群については、投与前日、投与2週および4週
目に絶食下で各検査時投与後5時間の畜尿を行い、クレ
アチニンはJaffe法にて、アルブミンはラットアルブミ
ン測定キット(パナテストAシリーズラットアルブミ
ン、(株)パナファーム・ラボラトリーズ)を用いEIA法に
て測定し、尿アルブミン/クレアチニン比を算出した。
なお、ヘパリン添加群についてはヘパリンB添加群のみ
測定を実施した。
【0031】<結果>HGF 1 mg/kg投与における病理
組織検査結果を表2に示す。HGF単独群では7/10例でHGF
に起因する糸球体上皮細胞の肥大/変性が認められたの
に対し、ヘパリンA添加群では5/10例、ヘパリンB添加群
では0/10例であった。従って、ヘパリンB添加群ではHGF
に起因する腎糸球体上皮の肥大/変性像の顕著な軽減効
果が認められた。さらに、病理組織学的に腎毒性軽減効
果のみられたヘパリンB添加群において、尿アルブミン
/クレアチニン比をHGF単独群と比較した。結果を図1に
示す。尿アルブミン/クレアチニン比は腎機能異常の最
も鋭敏な指標の1つであり、臨床においても広く認めら
れたマーカーである。HGF0.3 mg/kg/dayという比較
的低用量においても、HGF単独群では顕著な尿アルブ
ミン/クレアチニンの経時的な上昇が認められたが、ヘ
パリンB添加群では尿アルブミン/クレアチニンの上昇
は極めて軽微であった。
【0032】
【表2】
【0033】実施例3:デキストラン硫酸ナトリウム添
加による腎毒性軽減効果 <使用動物>SD系雄性ラットを購入し、6日間以上の検
疫・馴化期間後、健康状態が良好である34匹(5週齢)
を試験に用いた。 <群構成> HGF単独試験 対照群:溶媒投与 (n=4) HGF 0.1 mg/kg (n=6) HGF 1 mg/kg (n=6) HGFは希釈バッファー(140 mM NaCl, 0.005% Tween8
0, 10 mMリン酸緩衝液, pH7.5)中に0.02 mg/mLまたは0.2
mg/mLの濃度となるように調製した。
【0034】デキストラン硫酸ナトリウム添加試験 対照群:溶媒投与 (n=6) HGF 0.1 mg/kg+デキストラン硫酸ナトリウム 1 mg
/kg (n=6) HGF 1mg/kg+デキストラン硫酸ナトリウム 1 mg/kg
(n=6) HGFは希釈バッファー(デキストラン硫酸ナトリウム
0.2 mg/mL,140 mM NaCl, 0.005% Tween80, 10 mMリン酸
緩衝液, pH7.4)中に0.02 mg/mLまたは0.2 mg/mLの濃度
となるように調製した。
【0035】<投与方法>上記被験物質を投与至近日の
体重に基づき5 mL/kgの容量で、ラットの尾静脈内に連
日4週間投与を実施した。各試験とも対照群には、希釈
バッファーと同じ組成の溶媒を同様に投与した。 <検査項目> 病理組織検査:最終投与後の翌日麻酔下で屠殺し、腎臓
を摘出して10%中性ホルマリン液で固定した。その後パ
ラフィン包埋病理標本を作製し、薄切、ヘマトキシリン
・エオジン染色後光学顕微鏡にて病理組織学的評価を実
施した。 <結果>結果を表3に示す。HGF単独試験群に比べ、デ
キストラン硫酸ナトリウム添加試験群で、腎病変の軽減
効果が認められた。
【0036】
【表3】
【0037】実施例4:DMN(ジメチルニトロソアミ
ン)肝硬変ラットに対するHGF薬効に及ぼすヘパリン
の影響 <使用動物>Wistar系雄性ラット6週齡を用いた。
【0038】<群構成> 実験1 A群:無処置(N=10) B群:DMN処置(N=13) C群:DMN処置、HGF 0.03 mg/kg/day(N=15) 実験2 A群:無処置(N=10) B群:DMN処置コントロール群(N=13) C群:DMN処置、ヘパリンA 0.13 mg/kg/day D、E
群の対照 (N=15) D群:DMN処置、HGF 0.03 mg/kg/day+ヘパリンA 0.
039 mg/kg/day (N=14) E群:DMN処置、HGF 0.1 mg/kg/day+ヘパリンA 0.1
3 mg/kg/day (N=15) F群:DMN処置、ヘパリンB 0.13 mg/kg/day G、H
群の対照 (N=14) G群:DMN処置、HGF 0.03 mg/kg/day+ヘパリンB 0.
039 mg/kg/day (N=13) H群:DMN処置、HGF 0.1 mg/kg/day+ヘパリンB 0.1
3 mg/kg/day (N=13)
【0039】<実験方法> 動物への処置:6週齡のラット(約170 g)に1%DMN
溶液(生理食塩水にて希釈)を1 ml/kg、3日連日/
週、4週間に渡り腹腔内投与した。A群には同様に生理
食塩水を投与した。 実験1:HGFは希釈バッファー(0.14 M NaCl, 0.005
% Tween 80, 10 mM phosphate buffer pH 7.4)中に0.0
3 mg/ml(C群)となるように溶解し、1時間37℃で加温
した後、4週間毎日1 ml/kg体重、一日一回、尾静脈内
投与した。AおよびB群には、同様に希釈バッファーの
みを投与した。
【0040】実験2:この実験において、ヘパリンとし
ては吉富製薬「ヘパリンナトリウム注ヨシトミ」を用
い、同製品をリン酸緩衝液に透析後凍結乾燥したものを
「ヘパリンA」、同製品を無処理で使用したものを「ヘ
パリンB」として示した。HGFは希釈バッファー(0.
14 M NaCl, 0.005% Tween 80, 10 mM phosphate buffer
pH7.4)中に0.03 mg/ml(D、G群)または0.1 mg/ml
(E、H群)となるように溶解し、これにヘパリンAを
0.039 mg/ml(D群)、0.13 mg/ml(E群)、ヘパリンB
を0.039 mg/ml(G群)、0.13 mg/ml(H群)となるよ
うに添加した。C群にはヘパリン Aのみを0.13 mg/ml、
F群にはヘパリンBのみを0.13 mg/mlとなるように希釈
バッファーに添加した。これらの溶液は、混合後1時間
37℃で加温した後、4週間毎日1 ml/kg体重、一日一
回、尾静脈内投与を行った。AおよびB群には、同様に
希釈バッファーのみを投与した。4週間の投与終了後、
絶食下にて下行大静脈よりの採血を行った。血清アルブ
ミン濃度測定:血清アルブミンは、アルブミンB-テスト
ワコー(和光純薬、ブロムクレゾールグリーン法)を使
用した。
【0041】<結果>図2に実験1の、図3に実験2の
血清中アルブミン濃度の結果を示す。血清アルブミン
は、臨床上肝機能の重要な指標の1つであり、肝硬変患
者においても低下することが知られている。実験1(図
2):血清中アルブミン濃度は、DMN処置によりA群
に比してDMNコントロールのB群が有意に低下してお
り、B群に比してHGF投与群のC群では有意に増加し
ていた。すなわち、HGF単独群では投与量0.03 mg/kg
/dayから薬効が認められた。
【0042】実験2(図3):血清中アルブミン濃度
は、DMN処置によりA群に比してDMNコントロール
のB群で有意に低下していた。ヘパリンAのみ投与のC
群、ヘパリン Bのみ投与のF群でも、A群に比してそれ
ぞれB群同様に有意に低下していた。すなわち、ヘパリ
ンA及びB自体に薬効は認められない。ヘパリンA 添加
群のC、D、E群において、HGFをそれぞれ0.03, 0.
1 mg/kg/day投与したD、E群では、C群に比して用量
依存的に血清中アルブミン濃度の改善が認められた。特
にF群では有意な改善であった。ヘパリンB添加群の
F、G、H群において、HGFをそれぞれ0.03, 0.1 mg
/kg/day投与したG、H群では、F群に比して用量依存
的に血清中アルブミン濃度の改善が認められた。G、H
群いずれも有意な改善であった。
【0043】以上より、ヘパリンA、及びB添加群におい
て、HGF単独群とほぼ同様の肝機能改善効果が認めら
れた。これは、DMN肝硬変モデルにおいては、ヘパリ
ン添加でもHGF薬効が減じられないことを示す。以
上、実施例1から4をまとめると、(1)HGFに対す
る結合親和性の高い特定の硫酸化多糖類(Kd<10
-8M)を使用することにより、HGF薬効は維持されつつ
腎毒性が軽減され、安全閾が拡大すること、及び(2)
硫酸化多糖類のHGF腎毒性軽減効果は、上記の特定の
硫酸化多糖において特に顕著に認められることが明らか
となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 HGFに対する結合親和性の高い硫酸化多糖
類であるヘパリンがHGFに起因する腎糸球体上皮の肥大
/変性に対して顕著な軽減効果を有することを示した図
である。
【図2】 ジメチルニトロソアミン肝硬変ラットに対す
るHGFの薬効発現を示した図である。図中、NTは無
処置群、DMNはジメチルニトロソアミン処置群(HG
F非投与)の結果を示し、HGF0.03はHGF投与
量0.03 mg/kg/day群の結果を示す。##はNT群に対して
p<0.01(Student's t-test)で有意差あり;*はDMN
群に対してp<0.05 (Student's t-test)で有意差ありを
示す。
【図3】 ジメチルニトロソアミン肝硬変ラットに対す
るHGF薬効に及ぼすヘパリンの影響を示した図であ
る。図中、NTは無処置群、DMNはジメチルニトロソ
アミン処置群(HGF非投与)の結果を示し、HGF
0.01及びHGF0.03はそれぞれHGF投与量0.
01 mg/kg/day群及び0.03 mg/kg/day群の結果を示す。C
群はヘパリンAのみ投与、F群はヘパリン Bのみ投与の
結果を示す。##はNT群(A)に対してp<0.01(Stude
nt's t-test)で有意差あり;**はDMN群(C)に対
してp<0.01(Dunnett test)で有意差あり;†はDM
N群(F)に対してp<0.05(Dunnett test)で有意差
あり;††はDMN群(F)に対してp<0.01(Dunnett
test)で有意差ありを示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/727 A61K 31/715 610 31/737 618 (72)発明者 水野 英子 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 宇野 芳文 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 佐藤 眞紀 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 河合 勲二 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 角張 雅江 東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三 菱化学株式会社医薬カンパニー内 Fターム(参考) 4C084 AA03 BA44 DB62 MA05 MA17 MA44 MA66 NA06 4C086 AA01 MA02 MA05 MA07 NA06 ZA75

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肝実質細胞増殖因子との結合親和性(K
    d値)が1.0×10-8M未満である硫酸化多糖類と肝
    実質細胞増殖因子とを含み、肝実質細胞増殖因子に由来
    する腎毒性が軽減された医薬組成物。
  2. 【請求項2】 硫酸化多糖類がグリコサミノグリカンで
    ある請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 【請求項3】 硫酸化多糖類がデキストラン硫酸、ヘパ
    リン、ヘパラン硫酸,コンドロイチン硫酸、及びそれら
    の塩からなる群から選ばれる請求項1に記載の医薬組成
    物。
  4. 【請求項4】 肝実質細胞増殖因子の腎毒性抑制剤であ
    って、肝実質細胞増殖因子との結合親和性(Kd値)が
    1.0×10-8M未満である硫酸化多糖類を含む抑制
    剤。
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