JP2000501419A - 選択的アシル化方法 - Google Patents

選択的アシル化方法

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Abstract

(57)【要約】 インスリン、インスリン類似化合物またはその前駆体(そこに含まれる Lys 残基の遊離ε-アミノ基、および少なくとも1の遊離α-アミノ基を有する)を選択的にアシル化する方法であり、この方法は、塩基の存在する極性溶媒中で、ε-アミノ基を活性化アミドと反応させることを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】 選択的アシル化方法 発明の分野 本発明は、アシル基をペプチドに導入する方法に関する。更に詳しくは、本発 明は、天然に存在するインスリンまたはその類似化合物若しくは前駆体に含まれ るリジン残基のε-アミノ基をアシル化する改良法に関する。 発明の背景 ヒトインスリンおよび近縁のインスリン類は、その分子中に3つの第一級アミ ノ基、即ち、夫々、GlyA1および PheB1のα-アミノ基、並びに LysB29のε-アミ ノ基を有している。保護されていないインスリンの N-アシル化により、(条件に 依存して)モノ、ジ、更にトリアシル化された生成物の複合混合物が得られる。 しかしながら、多くの場合に特異的位置のアシル化のための一定した優先性が観 察されているにも関わらず、所望する生成物の形成は多量の関連した副産物の形 成を伴う可能性があることから、前記の優先性のために、前述の直接的なアセチ ル化がモノアシル化インスリンの製造方法として実用化できるとは、常に十分に 断言できるものではない。副産物が形成される場合には、この副産物は、所望す る生成物の損失により生じ、且つ所望する生成物の精製上の問題の原因になる可 能性があるのである。 インスリン分子における 1 または 2 の特異的なアミノ基についてのみのアシ ル化は、適切に保護された中間体が入手できるのであれば、成し遂げることが可 能である。適切な中間体は、アシル化されるべきでないアミノ基(単数または複 数)が保護基(アシル化が実施された後に、選択的に取り除ける)でブロックされ ているインスリン誘導体である。前述の保護された中間体は、特定の方法で 1 若しくは 2 の保護基を導入することが可能な、インスリン前駆体またはインス リン誘導体の何れであってもよい。経済的な理由から、可能であれば特殊な保護 基の使用は避けることが非常に望ましい。 フリエッセン HJ ら(Friesen HJ ら、半合成ペプチド類およびタンパク類、オ ックスフォード RE、DiBello C、eds、161-179、1978、ロンドン)は、N-ヒドロ キシサクシンイミドエステル類(以下 OHSu - エステル類と称する)、および他の 活性化エステル類を用いた、種々の条件下(表 4 および 5 /.c.において概説さ れる)におけるインスリンのアシル化について記述している。一定の選択性は見 られるが、A1 モノ置換生成物および B2 モノ置換生成物は、常に、互いを含ん だ、またジ置換生成物を含んだ混合物の中で得られる。報告されているモノ置換 生成物の最高総収率は 75% であったが、この 85% が A1 異性体であった。他の 場合では、モノ置換生成物の総収率は 45-55% の範囲にあり、その 70-72% がε - B29 異性体であった。フリエッセン HJ ら(インスリンおよび関連ホルモン類 の化学、構造および機能、第 2 回国際インスリンシンポジウム会報、Brandenbu rg D.Wollmer A.eds、ニューヨーク、1980)により示された通り、反応媒質の pH は、インスリンを ONSu-エステル類または特定の他のアシル化剤でアシル化 する場合に、その反応の進行に対して非常に強い影響力を有している。従って、 pH5-6 でのモノアシル化は、好ましくは B1 アミノ基において行われ、且つジア シル化生成物は、A1,B1-ジアシル化インスリンとなるのが好ましいであろう。pH 6.8-9.2 でのモノアシル化は、A1 アミノ基で行われるのが好ましいのに対して 、ジアシル化生成物は、A1,B1- または A1,ε-B29 ジアシル化インスリンの何れ かとなる可能がある。最終的に、pH10 以上でのモノアシル化は、LysB29のε-ア ミノ基で好ましく起こるのに対し、更なるアシル基は、好ましくは A1 のアミノ 基に向かう。 プロインスリン、インスリンまたはインスリン類似体(遊離ε-アミノ基を有 する)の選択的なアシル化が可能な方法は、EP 0 712 861 A2 およびEP 0 712 8 62 A2(両者ともEliLilly and Company)に開示される。その方法に従うと、非保 護インスリンは、可溶性の活性化脂肪酸エステル類、詳しくは ONSu-エステル類 により、塩基的条件下にて極性溶媒中においてアシル化される。 EP 0 511 600 A2(Kuraray Co.,Ltd.)は、なかでも、構造式[タンパ][Z]nのタ ンパク誘導体類に関する。ここで、[タンパク]は、多くのアミノ基を有したタン パクを示し、[Z]は構造式 -CO-W-COOH(ここで、W は、ヘテロ原子も含むことが 可能な二価の長鎖炭化水素基である)により表される残基であり、また、n は[Z] と[タンパク]の間のアミド結合の平均数を示す。該誘導体は、親タンパクと長鎖 カルボン酸イミドエステルとの間の、所望に応じて有機溶媒も含有する塩水性溶 液中における反応によって製造される。前記アシル化の非特異性について言及す ると、n は平均値であると規定している事実により、特異性は達成されていない ことが示されているように思われる。インスリンは、それから前記発明に従う誘 導体が製造できるタンパク類の1つであることは記載されているが、EP 0 511 6 00 には特異的なインスリン誘導体の開示はなく、また、有効なインスリン誘導 体を得るための好ましい[Z]または[Z]を導入するべき好ましい位置について の如何なる指摘もないのである。 その中に含まれる Lys 残基のε-アミノ基においてアシル化されたインスリン 誘導体類の例は、WO 95/07931(ノボ・ノルディスク・A/S)に開示される。その誘 導体類は、対応するインスリンを、例えば、di-tert-ブチルジカーボネートと反 応し、続いてその保護基を除去することから製造された対応する(A1,B1)-diBoc インスリンをアシル化することにより、並びにその後に更なる処理が必要な単鎖 インスリン前駆体をアシル化することにより製造することが可能である。驚いた ことに、本発明の方法により、その中に含まれる Lys 残基のε-アミノ基におい てモノアシル化されたインスリンが、高収率で得られることが今回明らかとなっ たのである。 発明の概要 最も広義な側面において、本発明は、インスリン、インスリン類似体またはそ の前駆体(その中に含まれる Lys 残基の遊離ε-アミノ基と、少なくとも 1 の 遊離α-アミノ基とを有する)を選択的にアシル化する方法であって、該ε-アミ ノ基を活性化アミドと、塩基の存在する極性溶媒中で反応させることを具備する 方法に関する。 発明の詳細な説明 好ましい態様において、その親インスリン(即ち、本発明の方法を使用しアシ ル化されるべき天然に存在するインスリン、インスリン類似体またはインスリン 前駆体)は des(B30)ヒトインスリンである。他の好ましい親インスリンの例は 、 ヒトインスリン、ブタインスリンおよび他の天然に存在するインスリンであり、 また並びに、遊離ε-アミノ基を有した Lys を少なくとも 1 と、遊離α-アミノ 基を有したアミノ酸残基とが存在しているインスリン類似体またはインスリン前 駆体も含まれる。 特に好ましい親インスリンの 1 つの群は、位置 B1 のアミノ酸残基が欠失し たインスリン類似体類である。 もう 1 つの特に好ましい親インスリンの群は、位置 B28 に Lys を有し、位 置 B29 に Pro を有するインスリン類似体である。この群からの好ましい例は、 LysB29ProB29ヒトインスリンである。 もう1つの特に好ましい親インスリンの群は、位置 B28 に Asp を有するイン スリン類似体類である。この群からの好ましい例は、AspB28ヒトインスリンであ る。 その他の特に好ましい親インスリン類の群は、その A 鎖および/または B 鎖 が N 末端の伸長を有するインスリン類似体と、その A 鎖および/または B 鎖 が C 末端の伸長を有するインスリン類似体である。 本発明の方法で親インスリン類として有効であり得る更なるインスリン類似体 類は、そのアミノ酸残基の1以上、好ましくはそれらの 1、2、または 3 のアミ ノ酸残基が、別のコード化可能なアミノ酸残基により置換されているような類似 体類である。従って、位置 A21 において、親インスリンは Asn に代えて、Ala 、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Met、Ser、Thr、Typ、Tyr、または Val を含 む群から選択されるアミノ酸残基、特に Gly、Ala、Ser および Thr を含む群か ら選択されたアミノ酸残基を有していてよい。また、本発明の方法における親イ ンスリン類として有益なインスリン類似体は、上記に概説した変更の組合わせに より修飾されていてもよい。 ここで使用される「インスリン類似体」は、CysA7とCysB7との間、および CysA20 と CysB19との間でのジスルフィド架橋、並びに CysA6と CysA11との間での 内部ジスルフィド架橋を含むヒトインスリンと等しい分子構造を有し、且つイン スリン活性を有したペプチドを意味する。位置 B1 でアミノ酸が欠失している場 合でも、該 B 鎖の残りのアミノ酸の位置の番号は付け替えない。 ここで使用される「コード化可能なアミノ酸残基」の表現は、遺伝コード、即 ち、ヌクレオチドのトリプレットコドンにより遺伝暗号を指定され得るアミノ酸 を表す。 好ましい親インスリン類似体 des(B30)ヒトインスリンは、幾つかの方法、例 えば、ヒトインスリン、ブタインスリンおよびインスリン誘導体類の酵素的な加 水分解により製造することか可能である。この加水分解を促進する酵素は、リシ ルエンドペプチダーゼ類であり、トリプシンおよびアクロモバクター・リチクス ・プロテアーゼ類(Achromobacter lytlcus proteases)等である。更に、des(B30 )ヒトインスリンは、B(1-29)-Ala-Ala-Lys-A(1-21)の構造の単鎖インスリン前駆 体から酵素的処理により製造することが可能である[ここで、B(1-29)は、ヒト インスリンの B 鎖の位置 1 から位置 29 のアミノ酸配列を示し、A(1-21)は、 ヒトインスリンの A 鎖の位置 1 から位置 21 のアミノ酸配列を示す]。この前 駆体は、EP 163.529 に記述される通りに得られる。該方法のために適切な酵素 は、アクロモバクター・リチクス・プロテアーゼ 1(EC code No.3.4.21.50)であ る。該酵素は、可溶性形態で、または N-ヒドロキシスクシンイミド活性化セフ ァロースに固定化して使用することが可能である。該反応が完了した後、形成さ れた des(B30)ヒトインスリンは、多くの方法、即ち、亜鉛またはナトリウム塩 類を添加することによる沈澱により単離することが可能である。 アシル化反応は、通常、反応の開始時に、約 0.1% w/w から約 25% w/w、好ま しくは約 2% w/w から約 12% w/w、より好ましくは約 3% w/w から約 8% w/w の 親インスリンの濃縮物を用いて実施する。 本発明の1つの好ましい態様おいて、Lys 残基のε-アミノ酸基に導入される べきアシル基は、一般式(I)のモノカルボキシル酸のアシル基である: M-COOH (I) [ここで M は、長鎖炭化水素基であり、これは酸素原子および硫黄原 子からなる群から各々独立して選択される 1 以上の官能基により、任意に割り 込まれていてもよい。より好ましい該アシル基は、6 から 24 の炭素原子を有す る、枝分れのない、脂肪族モノカルボン酸のアシル基であり、特に、CH3(CH2)8C O-、CH3(CH2)9CO-、CH3(CH2)10CO-、CH3(CH2)11 CO-、CH3(CH2)12CO-、CH3(CH2)13CO-、CH3(CH2)14CO-、CH3(CH2)15CO-、CH3(CH2 )16CO-、CH3(CH2)17CO-、CH3(CH2)18CO-、CH3(CH2)19CO-、CH3(CH2)20CO-、CH3( CH2)21CO-、およびCH3(CH2)22CO- を含む群から選択されるアシル基である]。 本発明のもう 1 つの好ましい態様において、Lys 残基のε-アミノ基に導入さ れるべきアシル基は、一般的式(II)のジカルボン酸のアシル基類の 1 つである: HOOC-D-COOH (II) [ここで D は、長鎖炭化水素であり、これは酸素原子および硫黄原子 からなる群から各々独立して選択される 1 以上の官能基により、任意に割り込 まれていてもよい。より好ましい該アシル基は、一般式(II)のジカルボン酸のア シル基の 1 つであり、ここで D は、6 から 22 の炭素原子を有する枝分れのな い、二価の脂肪族炭化水素基であり、特にHOOC(CH2)6CO-、HOOC(CH2)8CO-、HOOC (CH2)10CO-、HOOC(CH2)12CO-、HOOC(CH2)14CO-、HOOC(CH2)16CO-、HOOC(CH2)18C O-、HOOC(CH2)20CO- およびHOOC(CH2)22CO- を含む群から選択されるアシル基で ある]。 本発明の更に好ましい態様において、Lys 残基のε-アミノ基に導入されるべ きアシル基は、一般式(III)の置換基である: CH3(CH2)xCONHCH(COOR1)CH2CH2CO- (III) [ここで X は、8 から 24 の整数であり、R1は水素、またはアシル化 が実施された後に、水素で置換することが可能な置換基、例えば、メチル基、エ チル基、若しくは tert-ブチル基である。好ましい X の値は、10、12、および 14 である。アシル化が実施され、且つR1が水素とは異なる場合に、そのエステ ル基のR1は、それ自身公知の方法により、加水分解され、相当する遊離酸および アルコール R1OH を得ることが可能な部分である。従って、R1が、メチル基、若 しくはエチル基である場合は、加水分解は、アルカリ性条件下にて実施すること が可能な部分である。従って R1がメチル基またはエチル基である場合には、該 加水分解は、アルカリ性条件下で実施することが可能であり、R1がtert-ブチル である場合には、該加水分解はトリフルオロ酢酸を使用し て実施することが可能である]。 本発明の更なる好ましい態様は、Lys 残渣のε-アミノ基に導入されるべきア シル基は一般式(IV)の官能基である: リトコーロイル-NHCH(COOR2)CH2CH2CO- (IV) [ここで R2は、水素、または該アシル化を実施した後で水素に置換す ることが可能である官能基であり、例えばメチル基、エチル基若しくはtert-ブ チル基である。該アシル化が実施され、且つ R2が水素と異なる場合には、その エステル基の R2は、それ自身公知の方法により加水分解され、相当する遊離酸 とアルコール R2OH を得られる部分である。従って、R2は、メチル基またはエチ ル基である場合には、該加水分解は、アルカリ性条件下で実施することが可能で あり、R2が tert-ブチルである場合には、該加水分解はトリフルオロ酢酸を使用 して実施することが可能である]。 親インスリンのアシル化は、活性化アミド、より好ましくは導入されるべきア シル基に相当する該酸のアゾライドであるアシル化剤を使用して実施する。前述 のアゾライド類(1-アシラゾール類)は、公知の方法に従って製造することが可能 であり、例えば、スタッブ HA(Staab HA Angew.Chem.74(1962)407-423)を参照 されたい。本発明のアシル化剤の製造において使用され得るアゾール類の例は、 ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラ ゾール、フェニルテトラゾール、並びに(可能な位置での)対応するベンザンレー ト(benzanelated)化合物、例えば、1H-インダゾール、ベンズイミダゾールおよ びベンゾトリアゾールである。該アシル化剤の製造に好ましいアゾール類は、1, 2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾールおよび置換されたベンゾトリアゾール類 である。任意に、言及されたアゾール類は、アルキル基(C1-C5である、枝分れの ある、または枝分れのないアルキル基、特にメチル基、プロピル基およびイソプ ロピル基)、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素および臭素、特にフッ素および塩素 )、ニトロ基、アルコキシル基(C1-C5である、枝分れのある、または枝分れのな いアルコキシル基、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびイソプロ ポキシ基)、ジアルキル化アミノ基(C1-C5である、枝分れのある、または枝分れ のない ジアルキル化アミノ基)、スルホン酸、カルボキシル基、並びにアルコキシカル ボニル基(C1-C5である、枝分れのある、または枝分れのないアルコキシカルボニ ル基)からなる群から選択された 1 以上の置換基で、置換することが可能である 。アシル化剤の好ましい群は、1-アシルベンゾトリアゾール類であり、好ましい アシル化剤は、1-テトラデカノイルベンゾトリアゾールである。他の好ましい 1 -アシルベンゾトリアゾール類は、モノまたはジ置換ベンゾトリアゾール類等、 例えば、5-置換若しくは 6-置換、または 5,6-置換ベンゾトリアゾール類、例え ば、5-メチルベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、6-クロロベン ゾトリアゾール、5-ニトロベンゾトリアゾール、5,6-ジメチルベンゾトリアゾー ル、および 5,6-ジクロロベンゾトリアゾール等からの誘導体類である。 該アシル化は、極性溶媒中(水と、少なくとも 1 の水混和性有機溶媒との混合 物がよい)において実施する。単独または混合物の何れかで使用可能である水混 和性溶媒の例は、低級アルコール類(例えば、メタノール、エタノールおよび 2- プロパノール)、低級直鎖および枝分れのあるケトン類(例えば、アセトン)、環 状エーテル類(テトラヒドロフランおよびジオキサン)、直鎖および枝分れのある アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミドおよび N-メチル -2-ピロリドン)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル)、並びにスルホキシド類 (例えば、ジメチルスルホキシド)である。水混和性溶媒類の中で最も好ましいも のは、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミド、 およびジメチルスルホキシドである。 反応媒質中の水の量は、一般的に該媒質が約 1% w/w から約 99% w/w の水を 含有するように、広範囲に亘り変更してもよい。N-メチル-2-ピロリドンを、水 混和性有機溶媒として使用する場合では、該媒質中の水の量は、好ましくは約 1 % w/w から約 90% w/w、より好ましくは約 10% w/w または約 20% w/w から約 7 5% w/w までである。 アシル化は、無機塩基または有機塩基の何れかである中強または強塩基が過剰 に存在する中で実施する。無機塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム 、炭酸ナトリウム、および炭酸カリウムである。有機塩基の例は、三級アミン類 (例えば、エチルジイソプロピルアミン、トリエチルアミンおよびジエチルエタ ノ ールアミン)である。好ましくは有機塩基が使用される。使用される塩基の量は 、一般的に親インスリンの 1 mol 当たり 5 mol の過剰量であり、例えば、親イ ンスリンの 1 mol 当たり 10 から 30molまたは 100 mol の塩基であってもよい 。 本質的に、アシル化を実施できる温度の下限は、該媒質の凝固点により決定さ れ、それに対してその上限は、親インスリンまたはアシル化インスリンが劣化す るであろう温度により決定される。重ねて、即ちこれは、とりわけ該媒質の組成 に依存するであろう。従って、-30℃ から 70℃ の間の温度での該反応を実施す ることが可能である一方で、一般的には、約 -5℃ から約 30℃ の間の温度で該 反応を実施することが最も都合がよい。 本発明の方法により製造された生成物の単離および精製は、ゲル濾過およびク ロマトグラフィーを含む、それ自身公知の方法により実施することが可能である 。 本発明を、以下の例により更に説明するが、しかしながら、それらにより保護 の範囲が限定されるものであるとは、解釈されるべきものではない。前述の説明 および以下の例において開示される特徴が、単独でも、またその何れかの組み合 わせの中においても、多様な形態で本発明を実現するためには必須である。 例 分析 本反応混合物(例 4 における混合物を除く)は、RP-HPLC により、ダイオード アレイ検出器(Diode Array Detector)を装備したメルク/日立(Merck/Hitachi) の装置を使用して、以下に記述した通りに分析した。 カラム:4.0×125 mm、60℃にて操作する。 カラム媒体:ジメチルブチルジメチルシリル置換 100 Å、5 mm シリカ 溶出液勾配系: 溶出液 A:硫酸アンモニウム(2.0%)を含有する水中のアセトニトリル(7.8%)、pH 2.5 溶出液 B:水中のアセトニトリル(53.9%) 流速:1.0ml/min 検出:280nm での UV 吸収 サイクルタイム:65min 規定された収量は、クロマトグラムにおけるピークの面積に基づいている。 アシル化インスリン類の識別点は、RP-HPLCにおけるそれらの保持時間により 、および単離により決定し、並びに質量分析法/ペプチドマッピングを、アシル 化生成物について、1)何れの前処理も行わず、2)ジスルフィド結合を還元するた めのジチオスレイトールを用いた前処理の後、および3)ジチオスレイトールと、 位置 21 および位置 22 の間で B 鎖を切断するための黄色ブドウ球菌プロテア ーゼ V8(Staphylococcus aureus protease V8)とでの前処理の後で行った。 出発物質の製造: 例1 1-テトラデカノイルベンゾトリアゾールの製造 ベンゾトリアゾール(59.6g、0.50mol)を、20℃で、tert-ブチルメチルエーテ ル(950ml)中に溶解し、次にトリエチルアミン(50.6g、0.50mol)を添加した。冷 却してその温度を 20-30℃に維持しながら、塩化テトラデカノイル(125.0g、0.5 1mol)を 30minに亘り添加した。得られた沈澱物を濾過により除き、60 ℃ で、 減圧下で、その濾液を蒸発して乾燥した。その残渣を、60℃ のアセトン(375ml) に溶解した。0 ℃ に冷却した後に、得られた結晶を濾過により単離し、アセト ン(120ml)で洗浄し、次に 20 ℃の減圧下で乾燥して一定の重量にした。 収量:1-テトラデカノイルベンゾトリアゾールの白色結晶を 142.3g(86%)、58 .0℃(ピーク値)での融解は示差走査熱分析(DSC)により決定した。 同様の反応条件において、以下のアシル化トリアゾール類も製造した: 1-テトラデカノイル-1,2,4-トリアゾール、DSC:59.7 ℃(テトラヒドロフランか ら再結晶)、 5-メチル-1-テトラデカノイルベンゾトリアゾール、DSC:69.5℃(2 -プロパノー ルから再結晶)、 5-クロロ-1-テトラデカノイルベンゾトリアゾール(NMR データにより該生成物が 多少の 6-クロロ-1-テトラデカノイルベンゾトリアゾールも含有していることを 示した)、DSC:52.1℃(2-プロパノールから再結晶)、 5-ニトロ-1-テトラデカノイルベンゾトリアゾール、DSC:117.5℃(アセトンから 再結晶)、 5,6-ジクロロ-1-テトラデカノイルベンゾトリアゾール、DSC:60.6℃(テトラヒ ドロフランから再結晶)、 5.6-ジメチル-1-テトラデカノイルベンゾトリアゾール、DSC:61.6℃(アセトン から再結晶)、 1-ドデカノイルベンゾトリアゾール、DSC:43.9℃(n-ヘプタンから再結晶)およ び1-ヘキサデカノイルベンゾトリアゾール、DSC:62.℃(tert-酢酸ブチルから再 結晶)。 例2 1-(19-カルボキシノナデカノイル)ベンゾトリアゾールの製造 無水テトラヒドロフラン(200ml)中のエイコサンジオイック酸(3.43g、10.0mmo l)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.06g、10.0mmol)、ベンゾトリアゾール( 1.19g、10.0mmol)およびジメチルアミノピリジン塩酸塩の溶液を室温で 2 日間 攪拌した。得られた懸濁液を濾過し、次にその濾液を減圧下にて蒸発して乾燥し た。その残渣を、ジクロロメタン(100ml)に懸濁し、不溶性物質を濾過により単 離した。乾燥したその濾過ケーク(2.0g)をアセトン(200ml)から再結晶化して、0 .70g(16%)の 1-(19-カルボキシノナデカノイル)ベンゾトリアゾールの白色結晶 を得た[111.9℃で融解(DSC ピーク値)]。 例3 1-(17-カルボキシヘプタデカノイル)ベンゾトリアゾールの製造 例 2 と同じ反応条件下で、しかし、エイコサンジオイック酸に代えてオクタ デカンジオイック酸を使用して、1-(17-カルボキシヘプタデカノイル)-ベンゾト リアゾールを製造した。該化合物は 105.2 ℃の融点(DSC ピーク値)を有してい た。 例4 単鎖インスリン前駆体からの des(B30)ヒトインスリンの製造 構造 B(1-29)-Ala-Ala-Lys-A(1-21)[ここで、B(1-29)は、ヒトインスリンの B 鎖の位置 1 から位置 29 までのアミノ酸配列を示し、A(1-21)は、ヒトインス リンの A 鎖の位置 1 から位置 21 までのアミノ酸配列を示す]の単鎖インスリ ン前駆体を、EP 163.529 に記載の通りに得た。 前述した単鎖前駆体の約 1.5g を含有する 5g の湿潤塩ケークを、室温で、25 mM の炭酸水素ナトリウム(350ml)に溶解した。この溶液の pH 値を、1.0M 水酸 化ナトリウム(1ml)の添加により 9.0 に調整した。N-ヒドロキシスクシンイミド 活性化セファロース(約 1.0mg/l の酵素密度を有した10ml のゲル)上に固定化し たアクロモバクター・リチクス・プロテアーゼ 1 を添加した。この反応混合物 を 23 時間、室温で攪拌し、続いて固定化酵素を濾過により除去した。濾液を R P-HPLC により以下の記述の通りに分析した。 クロマトグラムにおけるピークの面積に基づくと、前記反応混合物中に存在す る des(B30)ヒトインスリンの相対量は、95.2%(保持時間:27.7min)であり、出 発物質の相対量は、0.1% であった(保持時間:15.0min)。 分析 反応混合物は、ウォーターズ(Waters)により提供された装置における RP-HPLC により分析した。 カラム:4.0×250mm、50℃で操作した。 カラム媒体:YMC 120A、5my OdDMe シリレートシリカゲル 溶出勾配系: 溶出液 A:水中のアセトニトリル(10%)中の 0.20M 硫酸ナトリウム、0.04M リン 酸、pH2.3 溶出液 B:水中のアセトニトリル(50%) 運転時間:60min 流速:1.0ml/min 検出:214nm での UV 吸収 勾配:00.00min 64% A + 36% B 40.00min 40% A + 60% B 41.00min 64% A + 36% B アシル化インスリン類の製造 例5 NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(0.50g、検定成績:約 80%〜0.070mmol)を 20℃で N- メチル-2-ピロリドン(7.0ml)および水(3.5ml)に溶解した。この溶液を 0℃ に冷 却した。トリエチルアミン(0.40ml)を添加した。1-テトラデカノイルベンゾトリ アゾール(N-メチル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 1.50ml)を 30 分間に亘 り添加した。混濁した反応混合液を 0℃ で 30 分間、攪拌し、続いて 20℃ で 、更に 30 分間攪拌した。 この反応混合液を RP-HPLC により分析したところ、以下の結果が得られた: 例6 NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(0.50g、検定成績:約 66%〜 0.58mmol)を N-メチル- 2-ピロリドン(7.5ml)および水(1.0ml)に 20℃ で溶解した。トリエチルアミン(0 .40ml)を添加した。1-テトラデカノイル-1,2,4-トリアゾール(N-メチル-2-ピロ リドン中で 0.10M の溶液を 1.0ml)を一度に添加した。同質の反応混合物を 20 ℃ で10 分間攪拌し、次に RP-HPLC により分析したところ、以下の結果が得ら れた: 例7 NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトインスリン Des(B30)ヒトインスリン(0.50g、検定成績:約 80%〜 0.070mmol)をジメチル スルホキシド(7.0ml)および水(3.5ml)に 20℃ で溶解し、次いでトリエチルアミ ン(0.40ml)を添加した。1-テトラデカノイルベンゾトリアゾール(N-メチル-2-ピ ロリドン中で 0.10M の溶液を 1.80ml)を 2 分間に亘り添加した。その混濁した 反応混合物を、20℃ で、90 分間、攪拌した。得られた同質の反応混合物を RP- HPLC により分析したところ、収率 59.4% の NεB29-テトラデカノイル des(B30 )ヒトインスリンが得られた。 例8 NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(0.50g、検定成績:約 80%〜 0.070mmol)をジメチル ホルムアミド(7.0ml)および 6M 尿素水(2.0ml)に 20℃ で溶解した。その溶液を 0℃ にまで冷却し、次いでトリエチルアミン(0.40ml)を添加した。1-テトラデ カノイルベンゾトリアゾール(N-メチル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 1.10 ml)を一度に添加した。その混濁した反応混合液を 0℃ で 60 分間攪拌した。得 られた僅かに混濁した反応混合液を RP-HPLC により分析したところ、収率 74.2 % の NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトインスリンが示された。 例9 NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(0.50g、検定成績:80%〜 0.070mmol)を N-メチル-2- ピロリドン(7.0ml)および水(2.0ml)に 20℃ で溶解した。この溶液を 0℃まで冷 却した。トリエチルアミン(0.20ml)を添加した。1-テトラデカノイルベンゾトリ アゾール(N-メチル-2-ピロリドン中で 0.10Mの溶液を 1.00ml)を一度に添加した 。その混濁した反応混合液を 0℃ で 65 分間攪拌した。得られた反応混合物を RP-HPLC により分析したところ、収率 68.3% の NεB29-テトラデカノイル des (B30)ヒトインスリンが示された。 例10 NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(0.50g、検定成績:約 80%〜 0.070mmol)を N-メチル -2-ピロリドン(7.0ml)および 3M 尿素水(3.5ml)に 20℃ で溶解した。エチルジ イソプロピルアミン(0.50ml)を添加した。1-テトラデカノイルベンゾトリアゾー ル(N-メチル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 1.50ml)を 2 分間に亘り添加し た。その混濁した反応混合物を 20 ℃で 90 分間攪拌した。得られた反応混合物 を RP-HPLC により分析したところ、収率 61.9% の NεB29-テトラデカノイル d es(B30)ヒトインスリンが示された。 例11 NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(5.0g、検定成績:34%〜 0.30mmol)を N-メチル-2-ピ ロリドン(20.0ml)に 20℃ で溶解した。0℃ にまで冷却した後に、トリエチルア ミン(1.50ml)を添加した。5-ニトロ-1-テトラデカノイルベンゾトリアゾール(N- メチル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 3.20ml)を 10 分間に亘り添加した。 その反応混合物を 0℃ で 30 分間攪拌した。得られた反応混合物を RP-HPLC に より分析することにより、収量 58.3% の NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒ トインスリンが示された。 例12 NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(5.0g、検定成績:約 34%〜 0.30mmol)を N-メチル-2 -ピロリドン(20.0ml)に 20 ℃で溶解した。0℃ に冷却した後に、水(7.5ml)およ びトリエチルアミン(1.50ml)を添加した。5-クロロ-1-テトラデカノイルベンゾ トリ アゾール(N-メチル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 4.5ml)を 15 分間に亘り 添加した。混濁した反応混合物を 0℃ で 3 時間攪拌した。その得られた反応混 合物を RP-HPLC により分析したところ、収率 77.7% の NεB29-テトラデカノイ ル des(B30)ヒトインスリンが示された。 例13 NεB29-テトラデカノイルヒトインスリンの合成 ヒトインスリン(50mg、0.009mmol)を N-メチル-2-ピロリドン(0.7ml)および水 (0.35ml)に 0℃ で溶解した。トリエチルアミン(0.040ml)を添加した。1-テトラ デカノイルベンゾトリアゾール(N-メチル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 0. 150ml)を一度に添加した。その混濁した反応混合物を 0℃で 150 分間攪拌した 。得られた同質の反応混合物を RP-HPLC により分析したところ、収率 64.0% の NεB29-テトラデカノイルヒトインスリン(保持時間:27.75min)が示された。 例14 NεB29-テトラデカノイルブタインスリンの合成 ブタインスリン(50mg、0.009mmol)を N-メチル-2-ピロリドン(0.7ml)および水 (0.35ml)に 0℃ で溶解した。トリエチルアミン(0.O40ml)を添加した。1-テトラ デカノイルベンゾトリアゾール(N-メチル-2-ピロリドン中で0.10M の溶液を 0.1 50ml)を一度に添加した。その混濁した反応混合液を 0℃ で 155 分間攪拌した 。得られた同質の反応混合物を RP-HPLC により分析したところ、収率 62.5% の NεB29-テトラデカノイルブタインスリンが示された(保持時間:28.99min)。 例15 NεB29-(19-カルボキシノナデカノイル)des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(5.0g、検定成績:約 34%〜 0.30mmol)を N-メチル-2 -ピロリドン(30.0ml)および水(6.9ml)に 20℃ で溶解した。トリエチルアミン(1 .10ml)を添加した。1-(19-カルボキシノナデカノイル)ベンゾトリアゾール(N-メ チル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 5ml)を一度に添加した。反応混合液を 20 ℃ で 4.5 時間攪拌した。得られた反応混合物を RP-HPLC により分析したとこ ろ、収率 30.0% の NεB29-(19-カルボキシノナデカノイル)des(B30)ヒトインス リンが示された(保持時間:32.19min)。出発物質量は 57.3% であった。 例16 NεB29-(17-カルボキシヘプタデカノイル)des(B30)ヒトインスリンの合成 例 15 と同じ反応条件下であるが、1-(19-カルボキシノナデカノイル)ベンゾ トリアゾールに代えて 1-(17-カルボキシヘプタデカノイル)ベンゾトリアゾール を使用し、得られた反応混合物を RP-HPLC により分析したところ、収率 24.9% のNεB29-(17-カルボキシヘプタデカノイル)des(B30)ヒトインスリンが示された (保持時間:26.41min)。出発物質量は、68.3% であった。 例17 NεB29-テトラデカノイルdes(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(0.50g、検定成績:約 80%〜 0.070mmol)を N-メチル -2-ピロリドン(7.0ml)および 3M 尿素水(3.5ml)を 20℃ で溶解した。トリエチ ルアミン(0.40ml)を添加し、次いでその溶液を -13℃ に冷却した。1-テトラデ カノイルベンゾトリアゾール(N-メチル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 1.80 ml)を一度に添加した。得られた懸濁液を -13℃で、47 時間攪拌した。得られた 混合物を RP-HPLC により分析したところ、収率 65.2% の NεB29-テトラデカノ イル des(B30)ヒトインスリンが示された。 例18 NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(0.50g、検定成績:約 80%〜 0.070mmol)を N-メチル -2-ピロリドン(7.0ml)および水(2.0ml)に 20℃ で溶解した。その溶液を 0℃ に 冷却した。トリエチルアミン(0.40ml)を添加した。5-メチル-1-テトラデカノイ ルベンゾトリアゾール(N-メチル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 1.00ml)を 一度に添加した。その混濁した反応混合物を 0℃ で 2 時間攪拌した。得られた 溶液を RP-HPLC により分析したところ、収率 66.8% の NεB29-テトラデカノイル des( B30)ヒトインスリンが示された。 例19 NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(0.50g、検定成績:約 80%〜 0.070mmol)を N-メチル -2-ピロリドン(7.0ml)および水(2.0ml)に 20℃ で溶解した。トリエチルアミン( 0.40ml)を添加した。5,6-ジクロロ-1-テトラデカノイルベンゾトリアゾール(N- メチル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 1.10ml)を一度に添加した。その混濁 した反応混合物を 20℃ で 1 時間攪拌した。得られた溶液を RP-HPLC により分 析したところ、収率 68.8% の NεB29-テトラデカノイルdes(B30)ヒトインスリ ンが示された。 例20 NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(5.0g、検定成績:約 30%〜 0.26mmol)を N-メチル-2 -ピロリドン(30.0ml)および水(6.0ml)に 20℃ で溶解した。トリエチルアミン(1 .08ml)を添加した。5,6-ジメチル-1-テトラデカノイルベンゾトリアゾール(N-メ チル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 4.00ml)を 15 分間に亘り添加した。そ の混濁した反応混合物を 20℃ で 1 時間攪拌した。得られた溶液を RP-HPLC に より分析したところ、収率 54.6% の NεB29-テトラデカノイル des(B30)ヒトイ ンスリンが示された。 例21 NεB29-ドデカノイル des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(0.10g、検定成績:約 80%〜 0.014mmol)を N-メチル -2-ピロリドン(1.4ml)および水(0.4ml)に 20℃ で溶解した。その溶液を 0℃ に 冷却した。トリエチルアミン(0.08ml)を添加した。1-ドデカノイルベンゾトリア ゾール(N-メチル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 0.20ml)を 3 分間に亘り添 加 した。その混濁した反応混合物を 0℃ で 40 分間攪拌した。得られた溶液を RP -HPLC により分析したところ、収率 58.9% の NεB29-ドデカノイル des(B30)ヒ トインスリン(保持時間:23.17分)、および 23.7% の出発物質が示された。 例22 NεB29-ヘキサデカノイル des(B30)ヒトインスリンの合成 Des(B30)ヒトインスリン(0.10g、検定成績:約 80%〜 0.014mmol)を N-メチル -2-ピロリドン(1.4ml)および水(0.4ml)に 20℃ で溶解した。この溶液を 0℃ に 冷却した。トリエチルアミン(0.08ml)を添加した。1-ヘキサデカノイルベンゾト リアゾール(N-メチル-2-ピロリドン中で 0.10M の溶液を 0.20ml)を 3 分間に亘 り添加した。この混濁した反応混合物を 0℃ で 60 分間攪拌した。尚も混濁し ている反応混合物を RP-HPLC により分析したところ、収率 32.6% の NεB29-ヘ キサデカノイル des(B30)ヒトインスリン(保持時間:33.41 分)、および 59.2% の出発物質が示された。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1998年7月30日(1998.7.30) 【補正内容】 請求の範囲 1. インスリン、インスリン類似体またはその前駆体(その中に含まれる Lys 残基の遊離ε-アミノ基と、少なくとも1の遊離α-アミノ基とを有する)を選択 的にアシル化する方法であって、塩基の存在する極性溶媒中で、前記ε-アミノ 基を活性化アミド(該活性アミドは、導入されるべきアシル基に相当する酸のベ ンゾトリアゾライドまたは置換されたベンゾトリアゾライドの何れかである)と 反応することを具備する方法。 2. 請求項1に記載の方法であって、前記ベンゾトリアゾライドが、1-テトラ デカノイルベンゾトリアゾールである方法。 3. 請求項1に記載の方法であって、前記ベンゾトリアゾライドが、C1-C4ア ルキル基、ハロゲンおよびニトロ基を含む群から選択された置換基でモノまたは ジ置換されたベンゾトリアゾールから誘導される方法。 4. 請求項1に記載の方法であって、前記ベンゾトリアゾライドが、5-メチル ベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、5-ニトロベンゾトリアゾー ル、5,6-ジメチルベンゾトリアゾールおよび5,6-ジクロロベンゾトリアゾールを 含む群から誘導される方法。 5. 請求項1に記載の方法であって、前記インスリンがヒトインスリンである 方法。 6. 請求項1に記載の方法であって、前記インスリンがブタインスリンである 方法。 7. 請求項1に記載の方法であって、その親インスリンがインスリン類似体で ある方法。 8. 請求項7に記載の方法であって、前記親インスリンが des(B30)ヒトイン スリンである方法。 9. 請求項7に記載の方法であって、前記インスリンが、位置 B28 で Lys を 、且つ位置 B29 で Pro を有する方法。 10. 請求項7に記載の方法であって、前記インスリンが、PheB1の欠失して いるインスリン類似体である方法。 11. 請求項7に記載の方法であって、前記インスリンが、A 鎖および/また は B 鎖の N 末端における伸長を有しているインスリン類似体である方法。 12. 請求項7に記載の方法であって、前記インスリンが、A 鎖および/また は B 鎖の C 末端における伸長を有しているインスリン類似体である方法。 13. 請求項1から12の何れか1項に記載の方法であって、導入されるべき 前記アシル基が、一般式(I)のモノカルボン酸のアシル基である方法: M-COOH (I) [ここで、M は長鎖炭化水素基であり、これは酸素原子および硫黄原子 からなる群から各々独立して選択された 1 以上の官能基により任意に割り込ま れてもよい]。 14. 請求項13に記載の方法であって、導入されるべき前記アシル基が、6 から 2 4の炭素原子を有する、枝分れのない脂肪族モノカルボン酸のアシル基で ある方法。 15. 請求項13に記載の方法であって、導入されるべき前記アシル基が、CH3 (CH2)8CO-、CH3(CH2)10CO-、CH3(CH2)12CO-、CH3(CH2)14CO-、CH3(CH2)16CO-、 CH3(CH2)18CO-、CH3(CH2)20CO-、およびCH3(CH2)22CO-からなる群から選択され る方法。 16. 請求項15に記載の方法であって、導入されるべき前記アシル基が、CH3 (CH2)12CO-である方法。 17. 請求項1および3−12の何れか1項に記載の方法であって、導入され るべき前記アシル基が、一般式(II)のジカルボン酸のアシル基の1である方法: HOOC-D-COOH (II) [ここで D は、長鎖炭化水素であり、これは酸素原子および硫黄原子 を含む群から各々独立して選択された 1 以上の官能基により任意に割り込まれ ていてもよい]。 18. 請求項17に記載の方法であって、導入されるべき前記アシル基が、一 般式(II)[ここで、D は、6 から 22 の炭素原子を有する、枝分れのない、二価 の脂肪酸炭化水素である]のジカルボン酸のアシル基の1である方法。 19. 請求項17に記載の方法であって、導入されるべき前記アシル基が、HO OC(CH2)4CO-、HOOC(CH2)6CO-、HOOC(CH2)8CO-、HOOC(CH2)10CO-、HOOC(CH2)12CO -、HOOC(CH2)14CO-、HOOC(CH2)16CO-、HOOC(CH2)18CO-、HOOC(CH2)20CO-およびH OOC(CH2)22 CO- からなる群から選択される方法。 20. 請求項1および3−12の何れか1項に記載の方法であって、導入され るべき前記アシル基が一般式(III)の官能基である方法: CH3(CH2)xCONHCH(COOR1)CH2CH2CO- (III) [ここで x は、8 から 24 の整数であり、R1は水素、またはアシル基 が実施された場合に、水素で置換することが可能な置換基である]。 21. 請求項20に記載の方法であって、x が 10、12 または 14 である方法 。 22. 請求項20に記載の方法であって、R1がメチル基、エチル基または ter t-ブチル基である方法。 23. 請求項1および3−12の何れか1項に記載の方法であって、導入され るべき前記アシル基が、一般式(IV)の置換基である方法: リトコーロイル-NHCH(COOR2)CH2CH2CO- (IV) [ここで R2は、水素、またはアシル化を実施した場合に、水素で置換 することが可能な官能基である]。 24. 請求項23に記載の方法であって、R2がメチル基、エチル基または ter t-ブチル基である方法。 25. 請求項1から24に記載の方法であって、前記有機溶媒が、N-メチル-2 -ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミドおよびジメチルスル ホキシドからなる群から選択される方法。 26. 請求項1から25に記載の方法であって、前記媒質が約 1% w/w から約 99% w/w の水を含有する方法。 27. 請求項1から26に記載の方法であって、前記溶媒が、約 1% w/w から 約 90% w/w、好ましくは約 20% から約 75% w/w の水を含有する N-メチル-2-ピ ロリドンである方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),UA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. インスリン、インスリン類似体またはその前駆体(その中に含まれる Lys 残基の遊離ε-アミノ基と、少なくとも1の遊離α-アミノ基とを有する)を選択 的にアシル化する方法であって、塩基の存在下する極性溶媒中で、前記ε-アミ ノ基を活性化アミドと反応させることを具備する方法。 2. 請求項1に記載の方法であって、前記インスリンがヒトインスリンである 方法。 3. 請求項1に記載の方法であって、前記インスリンがブタインスリンである 方法。 4. 請求項1に記載の方法であって、その親インスリンがインスリン類似体で ある方法。 5. 請求項4に記載の方法であって、前記親インスリンが des(B30)ヒトイン スリンである方法。 6. 請求項4に記載の方法であって、前記インスリンが、位置 B28 で Lys を 、且つ位置 B29 で Pro を有する方法。 7. 請求項4に記載の方法であって、前記インスリンが、PheB1の欠失してい るインスリン類似体である方法。 8. 請求項4に記載の方法であって、前記インスリンが、A 鎖および/または B 鎖の N 末端における伸長を有しているインスリン類似体である方法。 9. 請求項4に記載の方法であって、前記インスリンが、A 鎖および/または B 鎖の C 末端における伸長を有しているインスリン類似体である方法。 10. 請求項1から9の何れか1項に記載の方法であって、導入されるべき前 記アシル基が、一般式(I)のモノカルボン酸のアシル基である方法: M-COOH (I) [ここで、M は長鎖炭化水素基であり、これは酸素原子および硫黄原子 からなる群から各々独立して選択された 1 以上の官能基により任意に割り込ま れてもよい]。 11. 請求項10に記載の方法であって、導入されるべき前記アシル基が、6 から 24 の炭素原子を有する、枝分れのない脂肪族モノカルボン酸のアシル基で ある方法。 12. 請求項10に記載の方法であって、導入されるべき前記アシル基が、CH3 (CH2)8CO-、CH3(CH2)10CO-、CH3(CH2)12CO-、CH3(CH2)14CO-、CH3(CH2)16CO-、 CH3(CH2)18CO-、CH3(CH2)20CO-、およびCH3(CH2)22CO- を含む群から選択される 方法。 13. 請求項12に記載の方法であって、導入されるべき前記アシル基が、CH3 (CH2)12CO- である方法。 14. 請求項1から9の何れか1項に記載の方法であって、導入されるべき前 記アシル基が、一般式(II)のジカルボン酸のアシル基の1である方法: HOOC-D-COOH (II) [ここで D は、長鎖炭化水素であり、これは酸素原子および硫黄原子 を含む群から各々独立して選択された 1 以上の官能基により任意に割り込まれ ていてもよい]。 15. 請求項14に記載の方法であって、導入されるべき前記アシル基が、一 般式(II)[ここで、D は、6 から 22 の炭素原子を有する、枝分れのない、二価 の脂肪酸炭化水素である]のジカルボン酸のアシル基の 1 である方法。 16. 請求項14に記載の方法であって、導入されるべき前記アシル基が、HO OC(CH2)4CO-、HOOC(CH2)6CO-、HOOC(CH2)8CO-、HOOC(CH2)10CO-、HOOC(CH2)12CO -、HOOC(CH2)14CO-、HOOC(CH2)16CO-、HOOC(CH2)18CO-、HOOC(CH2)20CO- および HOOC(CH2)22CO- を含む群から選択される方法。 17. 請求項1から9の何れか1項に記載の方法であって、導入されるべき前 記アシル基が一般式(III)の官能基である方法: CH3(CH2)xCONHCH(COOR1)CH2CH2CO- (III) [ここで x は、8 から 24 の整数であり、R1は水素、またはアシル基 が実施された場合に、水素で置換することが可能な置換基である]。 18. 請求項17に記載の方法であって、x が 10、12 または 14 である方法 。 19. 請求項17に記載の方法であって、R1がメチル基、エチル基または ter t-ブチル基である方法。 20. 請求項1から9の何れか1項に記載の方法であって、導入されるべき前 記アシル基が、一般式(IV)の置換基である方法: リトコーロイル-NHCH(COOR2)CH2CH2CO- (IV) [ここで R2は、水素、またはアシル化を実施した場合に、水素で置換 することが可能な官能基である]。 21. 請求項20に記載の方法であって、R2がメチル基、エチル基または ter t-ブチル基である方法。 22. 請求項1から21の何れか1項に記載方法であって、前記アシル化が、 導入されるべきアシル基に相当する酸のアゾライドであるアシル化剤を使用して 実施される方法。 23. 請求項22に記載の方法であって、前記アゾライドが、ピラゾール、イ ミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾールおよびフ ェニルテトラゾールからなる群から選択されるアゾールから誘導される方法。 24. 請求項22に記載の方法であって、前記アゾライドが、ベンザンレート アゾール(benzanelated azole)から誘導される方法。 25. 請求項22に記載の方法であって、前記アゾライドが、インダゾール、 ベンゾイミダゾールおよびベンゾトリアゾールを含む群から選択されるアゾール から誘導される方法。 26. 請求項22に記載の方法であって、前記アシル化剤が、1-テトラデカノ イルベンゾトリアゾールである方法。 27. 請求項22に記載の方法であって、前記アゾライドが、C1-4アルキル基 、ハロゲンおよびニトロ基を含む群から選択される置換基によりモノまたはジ置 換されたベンゾトリアゾールから誘導される方法。 28. 請求項27に記載の方法であって、前記アゾライドが、5-メチルベンゾ トリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、5-ニトロベンゾトリアゾール、5, 6-ジメチルベンゾトリアゾールおよび 5,6-ジクロロベンゾトリアゾールを含む 群から誘導される方法。 29. 請求項1から28の何れか1項に記載の方法であって、前記有機溶媒が 、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミドおよび ジメチルスルホキシドを含む群から選択される方法。 30. 請求項1から29の何れか1項に記載の方法であって、前記媒質が約 1 % w/w から約 9 9% w/w の水を含有する方法。 31. 請求項1から30の何れか1項に記載の方法であって、前記溶媒が、約 1% w/w から約 90% w/w、好ましくは約 20% から約 75% w/w の水を含有するN- メチル-2-ピロリドンである方法。
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