JP2000501931A - Hiv感染を早期に検出する方法 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
シグナル形質導入媒介物質、具体的には酵素媒介物質、より具体的にはsrcたんぱく質チロシンキナーゼ系の仲間の活性変化を検出することにより、HIV感染を早期に検出する方法。本方法は血清、血漿、血液細胞溶解産物、尿及び唾液媒体を用いたHIV検出に応用可能である。本方法は、大変早期の、信頼性のある、特異的かつ感受性の高い、また広く利用可能かつ実際的な血清陰性のHIV感染の検査法を提供するものである。
Description
【発明の詳細な説明】
HIV感染を早期に検出する方法
発明の分野
本発明は、シグナル形質導入媒介物質の活性、特にたんぱく質チロシンキナー
ゼ活性の変化を判定することによりHIVを早期に検出する方法に関するもので
ある。
発明の背景
現在、HIVへの感染は、通常、血清中のHIV特異抗体をELISA又はウ
ェスタン・ブロット法のいずれかを用いて検出することで診断されている。HI
V特異抗体の発生までには、HIV感染について血清陰性と出る「空白期間」が
あり、この期間の間は、HIVに感染していても標準的なELISA又はウェス
タン・ブロット検定を用いるとHIV陽性とは検出されない。ある研究では、こ
の空白期間は感染日から平均45日間であり、141日間以内に90%は血清転
化するが10%の人は最高で6カ月まで血清転化しなかったとしている(1)。
改良された最新の抗HIV抗体検出システムでは、この血清転化の空白期間は感
染後およそ22日間まで減少している。しかしながら、この計算には10から3
4日間という範囲にわたる大きな95%のCVが含まれている(2)。あるカナ
ダの司法報告書は、「(輸血による)HIV感染の危険性が残る要因として最も
大きなものは、提供者が感染していても検出可能なレベルまで抗体ができていな
いという空白期間があることである」と述べている(3)。
輸血用に提供された単位血液はすべてHIV特異抗体について検査されている
にも関わらず、この空白期間があることで血液供給の安全性が損なわれているが
、それはなぜなら、血清陰性のHIV感染者が検出されずにHIV感染した単位
血液を提供することもあり得るからである。この僅かな、しかし重大な危険性の
ために、血液採集機関では提供者をふるい分けしてHIV感染のおそれのある人
から提供を受けてしまうことを減らそうとしている。現在のところ、血清陰性の
血液単位を原因とする、輸血に関連したHIV感染率の試算は、1:36,00
0
(4)から1:60,000(5)、1:153,000(6)、1:250,
000(3)とばらつきがある。カナダでは1993年から1994年の間に、
血漿、アフェレーシス血小板、シングル・ドナー(原語:single donor)血小板
、赤血球及び低温沈降AHFを含め、合計1,1418,916単位の未処置血
液成分が輸血された(7)。従ってカナダだけでみると、HIVに感染した血清
陰性の献血による輸血を原因としたHIV感染の数は1993年から1994年
では最低で6件、最高でも39件と考えられる。個人献血による血液製剤はプー
ルされるため、HIVに感染した抗体陰性の血液の単一単位が複数の成分を汚染
する可能性もある。輸血で感染した人にHIV検査をしようという理由がないと
、このような人は静脈注による薬品の使用、性交渉又は母体−胎児間伝染を通じ
てHIVをまき散らしてしまうこととなる。10から12年間のHIV無症状期
間にあるこれらの人を原因とする感染数は、計算が不可能である。
提供された単位にHIVがあるかどうかを検査するのに現在用いられているウ
ェスタン・ブロット法及びELISA抗体検査では血清陰性のHIV感染は検出
されない。抗体に基づいていない三つの検査器具が現在市販されており、血清陰
性のHIV感染を検出することができる。ロッシュ社により市販の定量競合ポリ
メラーゼ連鎖反応(QC−PCR)と、キロン社より市販の分枝鎖DNA(bD
NA)は両方とも、HIVに感染した患者の血漿中のHIV特異RNAを検出す
るものである。これらの器具は血漿又は血清からHIV RNAを捕捉し、異な
る増幅系を用いて、存在する少量のRNAを計測可能なシグナルに増幅する(8
)。しかしながら、上述の二つの検査器具の方法には大きな限界がある。両QC
−PCR及びbDNAはテスト試料ごとにおよそ100ドル(米国ドル)かかる
。どちらのテスト器具も現在カナダではカナダ健康福祉省からHIV診断用とし
ては認可を受けていない。二つの米国検査箇所では、bDNAは無症状のHIV
抗体陽性患者のうち僅かに69%及び75%しか検出できていない(8)。
HIVp24抗原を調べるELISA検査は血清p24抗原を検出するもので
あり、HIV検出の空白期間を感染後18から22日まで減少させている。この
検査はカナダ及び米国の両方の血液業界で採用されてはいるが、この検査の有効
性と空白期間の僅かな短縮では、一般大衆への経済的負担に見合うものではない
。
従って、広く利用可能かつ実際的な、血清陰性のHIV感染を調べる信頼性の
高い、特異的かつ感受性の高い検査が依然、必要とされている。
末梢血リンパ球のHIV感染、又は細胞株ジャーカットのHIV感染の結果、
ホスホチロシンを含有するたんぱく質のレベルが感染後4、5日で高くなること
が実証されている(9)。二つのたんぱく質(pp95及びpp55)にあるホ
スホチロシンのレベルは、gp120(シンシチウム形成のモデル、細胞にはH
IVは感染していない)にトランスフェクトしたジャーカットにジャーカットが
暴露した後30分で増加していた。暴露後4時間でホスホチロシンを含有するた
んぱく質のレベルは減少していた。
無症状のHIV感染患者(平均CD4=295セル/μl)のうち、25分の
7人のfynたんぱく質が増加し、lckたんぱく質が減少していたことが報告
されている。加えて、HIVに感染した患者から採った休止Tリンパ球のホスホ
チロシンのレベルに変化がなかったことが実証されている(9)。
ジャツェザック氏他は、gp120及びgp120由来のペプチドが、正常な
休止末梢血リンパ球及びTリンパ球細胞株HUT78においてチロシンリン酸化
及びp56lCkの活性化を一時的に誘発したことを実証している(12)。ホス
ホチロシンのレベル及びlck活性は処理後5分で上昇し、15分で頂点に達し
、30分後に対照レベルに戻っていた。
ホラック氏他は、活性化したTリンパ球のクローンをgp120又はHIVの
いずれかで処理しても、0.5から15分間処理した場合、ホスホチロシンを含
有するたんぱく質レベルもp56lCk活性も変化しなかったことを実証している
(13)。
ヒブロッツ氏他は、gp120及びgp120由来のペプチドが、正常な休止
末梢血リンパ球及びTリンパ球細胞株HUT78においてチロシンリン酸化及び
lck活性化を一時的に誘発することを実証している(14)。ホスホチロシン
のレベル及びlck活性は、gp120又はgp120由来のペプチドのいずれ
かによる処理後5分で上昇し、15分で頂点に達し、30分後に対照レベルに戻
る。
カウフマン氏他は、休止末梢血リンパ球をgp120で1時間処理してもホス
ホチロシン含有たんぱく質、細胞内カルシウム、たんぱく質キナーゼC(セリン
/トレオニンたんぱく質キナーゼ)又はアラキドン酸代謝物のレベル変化を誘発
しなかったことを実証している(15)。
オーロフ氏他は、正常な休止末梢血リンパ球及び活性化したリンパ球芽球をH
IVに感染させても、感染後1から120分間ではホスホチロシンレベルもp5
6lck活性も変化しないことを実証している(16)。
フィップ氏他は、gp120由来のペプチドが、活性化した末梢血リンパ球芽
球においてlck活性を一時的に減少させるがfyn及びsrcの活性を一時的
に高めることを実証している(17)。
現在のキナーゼ検定法には大きな問題がある。標準的な試験管内免疫複合体キ
ナーゼ検定は複雑であり、多くの段階を経る方法であるため数多くの試料を検査
するにはなじまず、またオートラジオグラフの濃度計測分析法を用いた半定量的
なものにすぎない。更に、これらには既存の定量的キナーゼ検定法と同様の二つ
の欠点がある。
現在入手可能なUBI定量的PTK(たんぱく質チロシンキナーゼ)検定器具
は、免疫沈降させたPTKが媒介する、合成アミノ酸ペプチド基質のチロシンリ
ン酸化に依拠するものである。免疫沈降させたPTKをこのペプチド及びγ32P
−ATPでインキュベートし、反応を停止させ、アリクオットのキナーゼ混合液
をフィルタ・ディスクに移し、洗浄し、乾燥させて、リン酸化の程度を液体シン
チレーション計数により調べる。この器具では異なる系統間ではPTKを区別す
ることができるが同じ系統のなかの別々のものは区別することはできない。ピア
ス社の定量PTK又はPKC ELISAを基にした比色検定法では、ビオチニ
ル化チロシンを含有するペプチドをアビジン処理した8ウェルのマイクロタイタ
細片に結合させる。PTKを含有する免疫沈降物を加えてペプチドをリン酸化さ
せ、残留たんぱく質を洗い落とし、HRPで標識付けした抗ホスホチロシンを加
え、残留抗体を洗い落とし、HRP基質を加えて、その結果生じた色を分光光度
分析法により標準ホスホチロシン含有ペプチドに対して定量化する。この器具は
異なるPTKを区別することができない。
既存のキナーゼ検定法には以下のように二つの大きな短所がある。
1)目的の細胞集団を分離するために血液を高度に処理しなければならないこと
。
2)免疫沈降に標準化がないこと。
1)全血から末梢血単核細胞PBMCを分離するための現在の密度勾配を基にし
た技術には、a)バイオハザード物質を何度も取り扱わなければならないこと、
b)免疫沈降までに試料を新しい処理用試験管に少なくとも三回移さなければな
らないため、試料を混合させてしまう危険性が高いこと、c)残留密度勾配媒体
を取り除くために細胞を入念に洗浄しなくてはならないことと、試料を無くす危
険性があること、d)密度勾配媒体及び血液処理のコストが高いこと、がある。
2)研究者は現在のところ、抗PTKをたんぱく質Aセファロース(又は同様の
固形マトリックス材料)に結合させて、細胞溶解産物からPTKを免疫沈降させ
るのに用いる免疫結合体を作っている。たんぱく質Aセファロースは顕微ビード
のスラリであり、処理前に免疫結合体と免疫沈降物との両方を洗浄することが必
要となる。洗浄と余剰上澄み液の吸引除去とにより処理時間が長くなり、試料を
失う危険性が高くなるため、結果的に、キナーゼ反応に異なる量の免疫沈降物を
使用することになりテスト間変動性が高くなってしまう可能性がある。
参考文献リスト
本明細書は以下の出版物を参考とするが、同出版物の各々を参考文献としてこ
こに編入することを明示しておく。
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発明の概要
本発明の目的は、HIVの大変早期の検出のための新規な診断的及び定量的検
定法であって、従来の方法にある前述の制限を克服した検定法を提供することで
ある。
従って、本発明はその最も広い態様において、HIVに感染していない標準的
集団に比較したときのシグナル形質導入媒介物質の活性又はレベルの変化を検出
するステップを含む、HIV感染を早期に検出する方法を提供する。
本明細書で用いるときの「シグナル形質導入媒介物質」という表現は、細胞表
面から核へシグナルが形質導入され、その結果、遺伝子転写、たんぱく質生成及
び発現、細胞増殖又は細胞遊走、エフェクタ分子の遊離、食細胞活動又はエフェ
クタ機能の発現で計測される細胞活性化が起きるときに、これに関わる分子を意
味するものである。シグナル形質導入媒介物質にはキナーゼ及びホスファターゼ
等の酵素が含まれる。
ある酵素シグナル形質導入媒介物質の活性変化とは、その酵素の触媒機能率が
、影響を受けていない対照集団中におけるその酵素の平均触媒機能に比較したと
きに、増加又は減少していることとして定義される。
ある酵素シグナル形質導入媒介物質のレベル変化とは、その酵素の絶対レベル
又は量が、影響を受けていない対照集団中におけるその酵素の平均レベルに比較
したときに増加又は減少していることとして定義される。
本発明の方法は、 HIVの影響下にあるときのチロシンキナーゼ、セリン−
トレオニンキナーゼ及びチロシン−セリン−トレオニンキナーゼ、そして特にS
rcたんぱく質チロシンキナーゼ系の仲間、つまりSrc、yes、fyn(p
59fyn)、lck(p56lCk)、lyn、fgr、hck、blk及びyrk
や、cskたんぱく質チロシンキナーゼ系の仲間、つまりcsk及びctk(l
sk又はntkとしても知られる)の活性又はレベルの変化を検出するのに応用
可能であると好ましい。
本発明の方法は更に、HIVの影響下にあるときのたんぱく質チロシンホスフ
ァターゼ、特にCD45関連ホスファターゼ及びSHP−1の活性又はレベルの
変化を検出するのに応用可能である。
本発明の方法は体液を用いた検出に利用が可能であり、該体液には血清、プラ
ズマ血液細胞溶解産物、尿又は唾液媒体が含まれるがこれらに限定されるもので
はない。血液細胞溶解産物は、実際には体液中に存在する血液細胞から作成され
るが、これに拘らず本明細書及び請求の範囲においては血液細胞溶解産物は体液
の定義に含まれるものとする。
本発明は、好ましくは、Tリンパ球を含む細胞の活性化に関連する酵素である
src系たんぱく質チロシンキナーゼの調節に関連するとよい。驚くべきことに
、HIV抗体陽性の無症状の患者のp59fynたんぱく質量は未感染の対照に比
較して減少しているにもかかわらず、このような患者のp59fynキナーゼ活性
レベルはHIV陰性の対照のそれの12倍であることを我々は発見した。これら
の患者の血漿中のFYNキナーゼ活性もまた、未感染の対照に比較して増加して
いる。細胞が試験管内でHIVに感染すると、キナーゼ活性のレベルは感染後3
0分以内に増加する。このようなキナーゼ活性の誘発動態はHIVに感染した細
胞の初期反応として顕れる。理論に縛られる訳ではないが、src系のたんぱく
質チロシンキナーゼp59fynの活性はHIVに感染した人のリンパ球において
その血清状態に関係なく上昇すると我々は考える。たんぱく質チロシンキナーゼ
活性化を検出するのに試験管内免疫複合体キナーゼ検定を利用すると、血清陰性
のHIV感染者を判別することができる。たんぱく質チロシンキナーゼ活性化は
HIV感染に対する細胞レベルでの反応であるため、HIV感染が全身に至った
直後に、
急性のレトロウィルス症候群と同様、末梢血液でキナーゼ活性が上昇することと
なる。
この方法をHIV感染の検査ツールとして用いると、HIV感染の検出の空白
期間を数日に減少させることができる。
我々は、B型肝炎(n=6)ウィルス、C型肝炎(n=7)ウィルス、CMV
(n=5)に感染した患者又は未感染の対照(n=34)のいずれにおいてもキ
ナーゼ活性に変化がなかったことを発見している。このデータは、キナーゼ活性
の上昇はHIV感染に対する特異的反応であるという仮説と一致するものである
。
コーエン氏他は(11)、試験管内でHIVに感染した細胞のホスホチロシン
レベルは、PTKが活性化した結果として上昇したことを実証している。この分
権では、生体内での活性は調べられておらず、また個別のPTKの活性に対する
HIV感染の作用も調べられていない。
HIV血清陰性感染を検出する現在の方法は血漿中のHIV RNAを検出す
るものである。リンパ球中で活性化したたんぱく質チロシンキナーゼを検出する
ことは、血漿又は血清中のHIV量からは独立しているであろうし、また技術的
又は学問的にもQC−PCRやbDNA法とは関連していない。HIV特異抗体
を検出する現在の方法はELISA及び/又はウェスタン・ブロット技術を用い
ており、血清陽性のHIV感染を検出できるに過ぎない。これらの技術のいずれ
もリンパ球中の活性化たんぱく質チロシンキナーゼに関係するものではない。
本発明で用いられる定量的キナーゼ検定法は従来の検定法の制限を克服するも
のである。バキュテイナPCT試験管で分離されたPBMCを用いたり、又は全
血溶解産物を用いたり、あるいは血漿/血清を用いることができるため、密度勾
配媒体は不要である。ここで説明する両方の定量的キナーゼ検定とも、顕微ビー
ド又は96ウェルマイクロタイタ皿に直接結合させた抗PTK抗体を用いる。こ
れらの抗体は標準化されたロットで作成されており、免疫沈降で洗い流される可
能性がないため、テスト間変動性を防止できる。加えて、これらの工程は既存の
キナーゼ検定に比べて少ないため、ふるい分け検査になじむ簡単な方法である。
本発明の実施にあたって用いられる方法は、血清陰性のHIV感染の早期検出
だけでなく、抗HIV抗体が存在する血清転化後の無症状感染の検出にも利用可
能である。
本発明の好適な方法はHIV感染後のシグナル形質導入媒介物質の活性又はレ
ベルの増加を検出するものであるが、本発明には、媒介物質の活性又はレベルの
減少を検出する方法も含まれる。
PTKcskは、すべてのsrc系PTKのキナーゼ活性を、C端にある否定
的調節を行なうチロシンをリン酸化することで下方調節することが知られている
(Chow LM et al(1992)Nature 365:156;Imamoto A and Sopiano P(1993)Cell73
:1117-1124)。ここで示すように、src系PTKの活性はHIV感染後増加す
るため、理論に縛られる訳ではないが、cskの活性及びレベルがHIV感染後
変化することで、観察される通りのsrc系PTKの活性の増加がもたらされる
のではないかと我々は考える。ホスホチロシンホスファターゼCD45及びSH
P−1は、すべてのsrc系PTKを、C端にある否定的調節を行なうチロシン
を脱リン酸化することで活性化する(10)。ここで示すように、src系PT
Kの活性はHIV感染後増加するから、理論に縛られる訳ではないが、CD45
及びPTP1Cの活性及びレベルがHIV感染後に変化することで、観察される
ようなsrc系PTKの活性の増加がもたらされるのではないかと我々は考える
。
本発明のもう一つの重要な態様は、チロシンキナーゼ活性によりHIV感染を
診断する際に血漿及び/又は血清媒体を使用することである。細胞外液における
PTK活性を初めて開示していると我々が考えるものの中で、未感染の対照(n
=5)と比較すると、HIVに感染した患者(n=5)から採った血漿中のfy
n−PTK活性の方が高いことを我々は明らかにしている。HIV感染を診断す
るのに血漿及び/又は血清を使用することで、血液溶解産物を加工する必要がな
くなり、従って本発明の方法は今日までに知られたものの中で最もストレートな
PTK検定法となっている。
更なる態様では、本発明はヒトの体液中に存在する特異的酵素シグナル形質導
入媒介物質を検定する方法を提供するものであり、該方法は、
(A)一つ又はそれ以上の前記酵素に対する抗体と、遮断薬、好ましくはたん
ぱく質、好ましくはエノラーゼとを固形マトリックスに固定するステップと、
(B)前記酵素が前記体液中で結合するように、該固定された抗体を前記体液
試料に暴露して免疫複合体を形成させると共に、以下、
(a)(i)前記免疫複合体を、ATP及び標識付けされた抗ホスホチロシン抗
体の混合液に暴露し、前記標識が、酵素、蛍光性標識、放射性標識及びこれらの
標識のいずれかを用いたアビジン/ビオチン系から選択され、それにより前記免
疫複合体及び前記遮断薬のチロシンリン酸化を達成し、
(ii)標識付けされた抗ホスホチロシンをリン酸化したチロシンに結合させ
、
(iii)結合した抗ホスホチロシン抗体の量を計測するステップか、
(b)(i)前記免疫複合体を、チロシンリン酸化ポリペプチドとマラカイトグ
リーンとの混合液に暴露し、それにより前記リン酸化チロシンからリン酸塩を切
り取って遊離したリン酸塩を提供し、
(ii)前記遊離したリン酸塩をマラカイト・グリーンに反応させることで色
の変化を行なわせ、
(iii)分光光度計で前記色の変化を測定するステップか、
(c)(i)前記免疫複合体を、前記免疫複合体中の前記結合した酵素に特異的
な標識付けされた抗体に暴露し、前記標識が、酵素、蛍光性標識、放射性標識及
びこれらの標識のいずれかを用いたアビジン/ビオチン系から選択され、それに
より標識付けされた抗体の抗原に対する結合を達成し、
(ii)結合した標識付けされた抗体の量を測定するステップ
のうちいずれかから選択される一つ又はそれ以上の処理を行なうステップと、
(C)処理(a)、(b)又は(c)から得られた前記酵素シグナル形質導入媒
介物質のレベル及び活性を未感染の対照の標準集団と比較するステップと
を特徴とする。
更に別の態様では、本発明はヒトの体液中に存在する特異的酵素シグナル形質
導入媒介物質を検定するための器具を提供するものであり、前記器具は、一つ又
はそれ以上の前述したステップを行なうのに必要な一つ又はそれ以上の試薬を含
む。
図面の簡単な説明
本発明をより良く理解されんために、以下、次の図面を参照しながら例として
のみ好適な実施例を説明するが、図において
図1は、HIV、B型及びC型肝炎、サイトメガロウィルス(CMV)に感染
した患者及び未感染の対照から得たFYNチロシンキナーゼ活性の表である。
図2は、試験管内HIV感染後の、時間経過につれたFYN PTK活性の表
である。
図3は、HIVに感染した患者及び未感染の対照におけるFYNたんぱく質レ
ベルの表である。
図4は、無症状のHIVに感染した患者及び未感染の対照における血漿中のF
YN活性の表である。
図5は、ジャーカット中のsrc系キナーゼの活性に対するHIV感染の影響
を示す表である。
図6は、本発明に基づく免疫検定法を描いた図である。
好適な実施例の詳細な説明
免疫複合体キナーゼ検定:全血を採取し、PBMCをフィコールハイパークを
用いた密度勾配遠心分離法により分離した。洗浄後、分離した細胞を4℃の低温
RIPA溶解緩衝液(1%のNP−40、0.1%のSDS、0.1%のデオキ
シコール酸ナトリウム、50mMのHEPES、pHは7.3、150mMのN
aCl、1mMのオルトバナジン酸ナトリウム、50μM、ZnCl2、2mM
のEDTA、2mMのPMSF)で溶解させた。細胞溶解産物は1.5mLのエ
ッペンドルフ型試験管に移し、10分間10,000gで遠心分離して粒子状物
質を除去した。この溶解産物を、予め抗p59fynにコンプレックスさせた(原
語:complexed)たんぱく質A−セファロースCL4B(ファーマシア社製)と
混合した。この混合液を4℃で1時間回転させて、細胞溶解産物中に含まれた問
題のたんぱく質を免疫沈降させた。この免疫沈降物をRIPAで4回、更にキナ
ーゼ緩衝液(50mMのHEPES、pHは7.23、150mMのNaCl、
1mMのMgCl2、1mMのMnCl2、0.5%のNP−40)で更に4回洗
浄した。次に各免疫沈降物を、5μCiの(γ32P)ATP(カリフォルニア州
、アービ
ン、ICNバイオメディカルズ社製)と共に20μLのキナーゼ緩衝液中で、2
μgの酸処理したエノラーゼを加えて又は加えない状態で37℃で10分間イン
キュベートした。(γ32P)ATPと共にインキュベートした後、還元SDSゲ
ル試料緩衝液をこの反応混合液に加え、試料を10分間沸騰させた。試料を10
,000gで10分間遠心分離し、上澄みの32Pで標識付けされたたんぱく質を
、12%(vol/vol)ポリアクリルアミドを含有するゲルを用いたSDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)により分離した。ゲル分離し
たたんぱく質を電気泳動法によりイモビロン・フィルタ(マサチューセッツ州ベ
ッドフォード、ミリポア社製)に移し、1MのKOHで56度で2時間処理し、
ホスホセリン及びホスホトレオニンを含むたんぱく質の量を加水分解により減ら
した後、オートラジオグラフィを行なった。エノラーゼの帯のリン酸化の程度を
デンシトメトリにより定量化した。
ウェスタン・ブロット分析: (上記のキナーゼ検定から)電気泳動法により32
Pで標識付けされたたんぱく質を移したイモビロン・フィルタを、10mMの
Tris、140mMのNaCl及び0.01%のNaN3、pHは8.2(遮
断溶液)中において5%のスキムミルク粉末で一晩遮断した。次にこれらのブロ
ットを、単クローン抗p59fyn(トランスダクション・ラブズ社製)の遮断溶
液中、1:250の希釈度で4℃で1時間インキュベートした。このブロットを
TBSで洗浄し、ヒツジ抗マウスIgG・カラシペルオキシダーゼ結合体を4℃
で1時間、最終希釈度1:2500まで加えた。TBSを用いた洗浄後、ブロッ
トをエンハンスド化学発光法(アマーシャム社製)で展開させ、fyn帯域の強
度をデンシトメトリで定量化した。
末梢血単核細胞(マクロファージ、Bリンパ球及びTリンパ球)を9人の無症
状のHIV感染患者の血液から分離したが、このときの平均CD4細胞は623
±61セル/μlであった。5×106PBMCから得た溶解産物を、p59fyn
に対して特異的な抗体で免疫沈降させ、キナーゼ活性の程度を、外来の基質エノ
ラーゼのリン酸化の程度を測定する試験管内免疫複合体キナーゼ検定で調べた。
fynたんぱく質の量はウェスタン・ブロット法で調べた。キナーゼ活性及びた
んぱく質含有量は両方ともデンシトメトリにより定量化し、キナーゼ:たんぱく
質
の比率を判定し、AIDS患者(n=4)、HIV未感染の対照被験者(ctr
n、n=34)、B型肝炎ウィルス感染患者(n=6)、C型肝炎感染患者(n
=7)及びCMV感染患者(n=5)から採取した5×106のPBMCのそれ
と比較した。
107のジャーカット(CD4陽性T細胞株)をHIVIIIBに感染させ、示し
たように感染後さまざまな時点で回収した。細胞を溶解させ、溶解産物をp59fyn
に対する抗体で免疫沈降させてキナーゼ活性の程度を試験管内免疫複合体キ
ナーゼ検定で調べた。キナーゼ活性をデンシトメトリで定量化し、未感染のジャ
ーカットのそれと比較した。図5を参照すると、この表はHIV感染によりジャ
ーカット中のsrc系キナーゼの活性が増加することを示すものである。107
のジャーカット(−)又はHIVに感染してから24時間のジャーカット(+)
をRIPA溶解緩衝液中に溶解させた。抗lck、抗fyn、又は抗src抗体
で免疫沈降させた溶解産物を試験管内免疫複合体キナーゼ検定してキナーゼ活性
を調べた。
図4を特に参照して説明すると、5人の無症状HIV感染患者(平均CD4細
胞数は623±61セル/μl)と5人のHIV未感染の対照者の血液から血漿
を分離した。この血漿をたんぱく質Aでインキュベートして免疫グロブリンを取
り除き、免疫グロブリンを除かれたこの血漿を、たんばく質A−セファロースに
結合させたp59fyn特異的抗体で免疫沈降させた。外来の基質エノラーゼの(
デンシトメトリで定量化した)リン酸化程度を測定する試験管内免疫複合体キナ
ーゼ検定でキナーゼ活性の程度を調べた。無症状の患者と対照被験者との間のキ
ナーゼ活性中間値の差を独立tテストで調べると統計学的に著しい差であった(
p<0.05)。
図5は、T細胞株が試験管内でHIVに感染すると、テストを受けた三つのP
TKすべての活性が高まることを示すものである。PTKの活性化は、p50cs k
及び、SHP−1等のホスファターゼやCD45に関連したホスホチロシンホ
スファターゼ等のキナーゼにより調節を受ける(10)。HIV感染により三つ
のPTKすべてが活性化するために、HIVにより、ホスファターゼ又はキナー
ゼ等の調節酵素を活性化することでPTKが活性化することになる。従って、C
D45及びSHP−1を含むホスファターゼや、p56lck、p59fyn、p60c -src
及びp50cskを含むキナーゼの活性の変化により、HIV感染を診断でき
ることとなる。 表1は以下の方法のステップを順に示すものである。
(A)はたんぱく質チロシンキナーゼ活性の上昇を調べるべく本発明で用いられ
る方法の実施例、
(B)及び(C)は現在利用の可能な従来技術による検出テスト法であり、同表
において
1は半定量的な結果を出すものであり、
2は、当該ステップには研究者による誤差が生じることがあることを示すもので
ある。
以下の方法は、本発明をどのように実施できるかについて表1を参照しながら
より詳細に指示かつ例示するものである。方法A
1. 静脈穿刺により全血を採取する。
2. 密度勾配遠心分離によりPBMCを分離する。
3. 分離されたPBMCを等張液で三回洗浄する。
4. 界面活性剤を基にした溶解緩衝液でPBMCを溶解させる。
5. 遠心分離して粒子状物質を取り除く。
6. 上記ステップ5で得た上澄み液を、予め作成してあるたんぱく質Aセファ
ロースビードに結合させたPTKに対する抗体を含む免疫結合体を用いて、4℃
で少なくとも1時間、免疫沈降させる。
7. 上記ステップ6で得た免疫複合体を(上記ステップ4で得た)溶解緩衝液
で4回洗浄する。
8. ステップ7で得た免疫複合体をキナーゼ緩衝液で4回洗浄する。
9. 免疫複合体に(γ32P)ATP及びエノラーゼを加える。
10. 37℃で10分間インキュベートする。
11. 還元SDS−試料緩衝液を加えると共に試料を10分間沸騰させて反応
を停止させる。
12. 試料を10分間遠心分離して粒子状物質を取り除く。
13. SDS−PAGE(一晩)により問題のたんぱく質を分離する。
14. 分離したたんぱく質を電気移動(5時間)によりナイロン膜に移動させ
る。
15. フィルムを膜に暴露する(時間を変えて)。
16. フィルムを展開させる。
17. 問題のたんぱく質帯域を探し出す。
18. デンシトメトリによりスキャンしてキナーゼ活性を半定量化する。
19. 膜を5%のスキムミルク中に置いて遮断する(2時間)。
20. 単クローン抗体を用いて問題の全たんぱく質についてウェスタン・ブロ
ットを行なう(最低2時間又は一晩)。
21. 膜を洗浄し、GAM−HRPでインキュベートする(2時間)。
22. 膜を洗浄し、エンハンスド化学発光法を行い、フィルムを暴露して問題
のたんぱく質を視覚化する。
23. デンシトメトリを行なって問題のたんぱく質のレベルを半定量化する。
24. キナーゼ活性対たんぱく質レベルの比率を計算する。方法B
7. 免疫複合体を4回洗浄して希釈緩衝液中に再懸濁させる。
8. 5μlの検定緩衝ストック液、5μlの基質ペプチドストック液、及び(
上記ステップ7で得た)10μlの免疫沈降物をポリプロピレン製のエッペンド
ルフ試験管内で混合して同混合液を氷上に維持する。盲験として基質ペプチドス
トック液の代わりに5μlの水を用いる。
9. 5μl(50μCi)の(γ32P)ATPを加えて反応を開始させ、この
反応混合液を最大30分間、30℃でインキュベートする。
10. 10μlの50%酢酸を加えて反応を停止させる。
11. 試料を5分間遠心分離する。
12. 各テスト及び盲験から25μlの上澄み液を1.5cm×1.5cmの
p81ホスホセルロースフィルタ紙ディスクに滴下する。
13. フィルタ紙ディスクを過剰なリン酸で4回、そして過剰なアセトンで1
回洗浄する。
14. ディスクを乾燥させる。
15. ディスクをシンチレーション・バイアルに入れ、シンチレーション・カ
ウンタで放射活性を計測する。方法C
ステップ1−6は方法A及びBとまったく同じ。
7. 免疫沈降物を反応緩衝液で4回洗浄する。
8. ステップ1−7の前に、又は同時に、適したビオチニルチロシンキナーゼ
基質ペプチドを、ニュートラビジンの被膜を形成し予め遮断したマイクロウェル
細片に加える。
9. 細片を洗浄緩衝液で洗浄する。
10. 上記7から得た免疫複合体及び非放射性ATPを加える。
11. 反応を進行させる。ペプチド基質はチロシン残基でリン酸化することと
なる。
12. 細片を洗浄緩衝液で洗浄する。
13. HRPで標識付けした抗ホスホチロシン抗体を加える。
14. 抗体をホスホチロシンを含有する残基に結合させる。
Pを展開させる。
16. 分光光度分析計を用いて450nmで光学密度を測定する。
注意:
1.この検定はキナーゼ活性を検出する。
2.この検定はホスファターゼ活性を検出する。
3.この検定は酵素のたんぱく質レベルを検出する。
4.標識は酵素、蛍光性、放射性又はこれらの標識のうちのいずれかを用いたビ
オチン/アビジン結合体系でよいであろう。
表2は、キナーゼ及びホスファターゼの活性又はたんぱく質レベルを検定する
本発明に基づく酵素シグナル形質導入媒介物質検定の好適な方法を含む概要ステ
ップを示す。
遮断薬という用語は、抗体を固定のマトリックス担体に結合させた後に、未結
合のまま残った部位を遮断する化合物を意味する。抗体の固定マトリックスへの
結合の間、すべてのマトリックス部位が抗体で被膜される訳ではない。遮断薬は
、その後使用しようとするテスト試料中の基質の非特異的結合を防ぐ目的でこれ
らの未結合のマトリックス部位を遮断するために用いられるものである。遮断薬
は化合物、好ましくはたんぱく質、より好ましくは酵素シグナル形質導入媒介物
質の基質、さらにより好ましくはエノラーゼであるとよい。
酵素たんぱく質レベルも計測するが、これは、FYNたんぱく質のレベルはH
IV感染した患者の細胞中では、増加するFYNのキナーゼ活性とは対照的に減
少する(図3)からである。さらに、細胞内キナーゼたんぱく質のレベルが減少
するのとは対照的に、HIVに感染した患者の血漿及び血清中のFYNキナーゼ
たんぱく質は、血液細胞の抗体が増加するために増加する。HIVに感染した患
者のリンパ球の半減期は未感染の患者のそれよりぐっと短いが、これはHIVの
細胞溶解作用のためである(18,19)。これらの感染リンパ球は血漿中で溶
解し、かつ活性キナーゼ及びホスファターゼを含むそれらの細胞内含有物を蓄積
させるため、血漿中の酵素たんぱく質のレベル及び酵素活性が上昇する。酵素活
性が血漿中で上昇するのである。
表2を参照すると、酵素がキナーゼである場合、キナーゼの免疫沈降に引き続
き、0.25μmolのATP及び1.0μgの標識付けした抗ホスホチロシン
抗体の組合せを、暖かいキナーゼ緩衝液中に加えて10分間インキュベートする
ことにより、キナーゼ活性を検出する。この標識は酵素でも、蛍光性、放射性又
はこれらの標識を用いたアビジン/ビオチン系でもよい。余分なATP及び抗ホ
スホチロシン抗体を洗い流し、酵素の場合には、適した基質を加える。結果を適
し
た検出モニタ、例えば分光光度計、フルオリメータ又はシンチレーションカウン
タで読み取る。
酵素がホスファターゼの場合、ホスファターゼの免疫沈降に引き続き、チロシ
ンリン酸化ポリペプチド及びマラカイト・グリーンの混合液を加えて10分間イ
ンキュベートすることでホスファターゼ活性を検出する。ホスホチロシンから切
り取られた遊離したリン酸塩を検出したときのマラカイト・グリーンの色の変化
を、650−660nmでプレート/ビードを読み取って評価する。
酵素たんぱく質のレベルを検出するには、標準的なELISA技術を用いる。
免疫沈降後、その酵素に対して特異的な標識付けをされた第二抗体と共にインキ
ュベートすることで酵素を検出する。標識及びそれらの検出方法は上述した通り
である。
以下、図6を参照しながら説明するが、同図は96ウェルの検定において
E=エノラーゼ E−p=リン酸化エノラーゼ
を示す。
定量的キナーゼ検定
この技術は説明したような標準的なELISA技術に基づくものである。抗体
を0.1Mの炭酸塩緩衝液、pHは9.6中に懸濁させ、ポリスチレンの固形の
担体と共に室温で一晩インキュベートして抗体をウェルに結合させることで、抗
酵素をポリスチレンのマイクロタイタプレート又はビードに結合させる。抗fy
nの結合後、このウェルを炭酸塩緩衝液中で洗浄し、エノラーゼを加えて未結合
の部位を遮断するが、これにより、エノラーゼは遮断薬としても、またキナーゼ
活性にとっての外来の基質としても作用させることができる。200μlの試料
をウェル中で1時間、4℃でインキュベートしてfynをテスト試料から免疫沈
降させる。
テスト試料。96ウェルプレート検定又はビード検定のいずれにおいても、血
漿及び/又は血清を用いてよい。10倍のRIPA溶液を1:10の希釈度で全
血に混合して全血溶解産物を作成し、ビード検定用のテスト試料として用いる。
ベクトン・ディッキンソン社から市販のPCTバキュテイナ試験管を用いて作成
したPBMCをRIPA中に溶解させて96ウェルプレート検定用のテスト試料
として用いる。いずれの検定においても尿又は唾液を用いてもよい。
血漿中のfynキナーゼ活性を以下のようにして調べる。
1.0mlの血漿(ヘパリン添加静脈血から分離)をまず、細胞表面たんぱく
質Aを含有する黄色ブドウ球菌のスラリと共にインキュベートして血漿中に存在
する免疫グロブリンの大半を取り除いた。免疫グロブリン除去した血漿を抗fy
nで免疫沈降させ、エノラーゼのあるところでキナーゼ検定を行なってfynキ
ナーゼ活性のレベルを調べた。fynキナーゼをデンシトメトリで分析してキナ
ーゼ活性を調べた。図4に示すデータは、調査を受けた各患者群、つまりAsn
=無症状のHIV感染者、ctrl=未感染の対照のうちの5人を示すものであ
る。
図1では、FYNチロシンキナーゼ活性が、HIVに感染した患者では上昇し
ているのに対し、B型肝炎及びC型肝炎ウィルス、CMVに感染した患者又は対
照では上昇していないことが分かる。
末梢血単核細胞(マクロファージ、Bリンパ球及びTリンパ球)を、9人の無
症状HIV感染患者(平均CD4細胞数は623±61セル/μl)及び4人の
AIDS患者(平均CD4細胞数は15±4セル/μl)の血液から分離した。
5×106のPBMCから得た溶解産物を59fynに対して特異的な抗体で免疫沈
降させ、キナーゼ活性の程度を、外来の基質エノラーゼのリン酸化の程度を測定
する試験管内免疫複合体キナーゼ検定により調べた。fynたんぱく質の両派ウ
ェスタン・ブロットで調べた。キナーゼ活性及びたんぱく質含有量は両方ともデ
ンシトメトリで定量化し、FYN特異的キナーゼ活性(キナーゼ活性:キナーゼ
たんぱく質の比)を調べて、HIV未感染の対照被験者(ctrl、n=34)
、B型肝炎ウィルス(n=6)又はC型肝炎ウィルス(n=7)に感染した患者
、又はサイトメガロウィルス(CMV、=5)に血清陽性と出た患者から採った
5×106のPBMCのそれと比較した。無症状の患者と対照被験者間(p=1
.320×10-5)、及びAIDS患者と対照被験者間(p=9.366×10-5
)の
キナーゼ活性中間値の違いは、独立tテストで調べたように、統計学的に大きな
違いであった。
図2は、ヒトCD4陽性T細胞株がHIVに試験管内で感染すると感染後30
分以内にたんぱく質チロシンキナーゼ活性が上昇することを示す図である。
図3は、生体内でHIVに感染するとたんぱく質チロシンキナーゼのレベルが
減少することを示す図である。
以上、本発明を具体的な実施例を参照しながら詳細に説明したが、当業者であ
れば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多様な変更及び改良を行なう
ことができることは自明であろう。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年10月21日(1997.10.21)
【補正内容】
請求の範囲(翻訳文)
1. 体液中のシグナル形質導入媒介物質の活性又はレベルを、HIVに未感染
の標準集団に比較したときの変化を検出するステップを含む、HIV感染を早期
に検出する方法。
2. 前記変化が増加である、請求項1に記載の方法。
3. 前記変化が減少である、請求項1に記載の方法。
4. 前記媒介物質がキナーゼである、請求項1に記載の方法。
5. 前記媒介物質がホスファターゼである、請求項1に記載の方法。
6. 前記キナーゼが、チロシンキナーゼ、セリン−トレオニンキナーゼ、チロ
シン−トレオニンキナーゼ及びチロシン−セリン−トレオニンキナーゼのいずれ
かから選択される、請求項4に記載の方法。
7. 前記媒介物質がsrc系のチロシンキナーゼである、請求項6に記載の方
法。
8. 前記媒介物質がcsk系のチロシンキナーゼである、請求項6に記載の方
法。
9. 前記媒介物質がsrc、yes、fyn(p59fyn)lck(p56lCk
)、fgr、hck、blk、及びyrkのいずれかから選択される、請求項7
に記載の方法。
10. 前記体液が血清、血漿、唾液、尿及び血液細胞溶解産物のいずれかか
ら選択される、請求項1に記載の方法。
11. ヒトの体液中に存在する特異酵素シグナル形質導入媒介物質を検定する
方法であって、
(A)一つ又はそれ以上の前記酵素に対する抗体と遮断薬とを固形マトリック
スに固定するステップと、
(B)前記酵素が前記体液中で結合するように、該固定された抗体を前記体液
試料に暴露して免疫複合体を形成させると共に、以下、
(a)(i)前記免疫複合体を、ATP及び標識付けされた抗ホスホチロシン抗
体の混合液に暴露し、前記標識が、酵素、蛍光性標識、放射性標識及びこれらの
標識のいずれかを用いたアビジン/ビオチン系から選択され、それにより前記免
疫複合体及び前記遮断薬のチロシンリン酸化を達成し、
(ii)標識付けされた抗ホスホチロシンをリン酸化したチロシンに結合させ
、
(iii)結合した抗ホスホチロシン抗体の量を計測するステップと、
(b)(i)前記免疫複合体を、チロシンリン酸化ポリペプチドとマラカイトグ
リーンとの混合液に暴露し、それにより前記リン酸化チロシンからリン酸塩を切
り取って遊離したリン酸塩を提供し、
(ii)前記遊離したリン酸塩をマラカイト・グリーンに反応させることで色
の変化を行なわせ、
(iii)分光光度計で前記色の変化を測定するステップと、
(c)(i)前記免疫複合体を、前記免疫複合体中の前記結合した酵素に特異的
な標識付けされた抗体に暴露し、前記標識が、酵素、蛍光性標識、放射性標識及
びこれらの標識のいずれかを用いたアビジン/ビオチン系から選択され、それに
より標識付けされた抗体の抗原に対する結合を達成し、
(ii)結合した標識付けされた抗体の量を測定するステップと
のうちいずれかから選択される一つ又はそれ以上の処理を行なうステップと、
(C)処理(a)、(b)又は(c)から得られた前記酵素シグナル形質導入媒
介物質のレベル及び活性を未感染の対照の標準集団と比較するステップと
を特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
12. 前記酵素媒介物質がキナーゼである、請求項11に記載の方法。
13. 前記酵素媒介物質がfynキナーゼである、請求項12に記載の方法。
14. 前記酵素媒介物質が、src系のたんぱく質チロシンキナーゼの仲間で
ある、請求項11に記載の方法。
15. 前記酵素が、媒介物質ホスファターゼ、特にCD45及びSHP−1か
ら選択されたものである、請求項11に記載の方法。
16. 前記遮断薬がたんぱく質である、請求項1に記載の方法。
17. 前記遮断薬がエノラーゼである、請求項1に記載の方法。
18. 請求項11に記載したステップのうち一つ又はそれ以上のステップを行
なうのに必要な一つ又はそれ以上の試薬を含む、ヒトの体液中に存在する特異的
酵素シグナル形質導入媒介物質を検定するための器具。
19. 前記酵素媒介物質に特異的な抗体を有する基質を含む、請求項18に記
載の器具。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
G01N 33/543 545 G01N 33/543 545S
33/569 33/569 H
33/573 33/573 A
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,
CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,H
U,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ
,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,
MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,R
O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM
,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN
(72)発明者 フィップス デビッド ジェイ.
カナダ エム5ジー 2エル3 オンタリ
オ トロント、ユニバーシティアヴェニュ
ー525、スイート 925
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. 体液中のシグナル形質導入媒介物質の活性又はレベルを、HIVに未感染 の標準集団に比較したときの変化を検出するステップを含む、HIV感染を早期 に検出する方法。 2. 前記変化が増加である、請求項1に記載の方法。 3. 前記変化が減少である、請求項1に記載の方法。 4. 前記媒介物質がキナーゼである、請求項1に記載の方法。 5. 前記媒介物質がホスファターゼである、請求項1に記載の方法。 6. 前記キナーゼが、チロシンキナーゼ、セリン−トレオニンキナーゼ、チロ シン−トレオニンキナーゼ及びチロシン−セリン−トレオニンキナーゼのいずれ かから選択される、請求項4に記載の方法。 7. 前記媒介物質がsrc系のチロシンキナーゼである、請求項6に記載の方 法。 8. 前記媒介物質がcsk系のチロシンキナーゼである、請求項6に記載の方 法。 9. 前記媒介物質がsrc、yes、fyn(p59fyn)lck(p56lCk )、fgr、hck、blk、及びyrkのいずれかから選択される、請求項7 に記載の方法。 10. 前記体液が血清、血漿、唾液、尿及び血液細胞溶解産物のいずれかから 選択される、請求項1に記載の方法。 11. ヒトの体液中に存在する特異酵素シグナル形質導入媒介物質を検定する 方法であって、 (A)一つ又はそれ以上の前記酵素に対する抗体と遮断薬とを固形マトリック スに固定するステップと、 (B)前記酵素が前記体液中で結合するように、該固定された抗体を前記体液 試料に暴露して免疫複合体を形成させると共に、以下、 (a)(i)前記免疫複合体を、ATP及び標識付けされた抗ホスホチロシン抗 体の混合液に暴露し、前記標識が、酵素、蛍光性標識、放射性標識及びこれらの 標識のいずれかを用いたアビジン/ビオチン系から選択され、それにより前記免 疫複合体及び前記遮断薬のチロシンリン酸化を達成し、 (ii)標識付けされた抗ホスホチロシンをリン酸化したチロシンに結合させ 、 (iii)結合した抗ホスホチロシン抗体の量を計測するステップと、 (b)(i)前記免疫複合体を、チロシンリン酸化ポリペプチドとマラカイトグ リーンとの混合液に暴露し、それにより前記リン酸化チロシンからリン酸塩を切 り取って遊離したリン酸塩を提供し、 (ii)前記遊離したリン酸塩をマラカイト・グリーンに反応させることで色 の変化を行なわせ、 (iii)分光光度計で前記色の変化を測定するステップと、 (c)(i)前記免疫複合体を、前記免疫複合体中の前記結合した酵素に特異的 な標識付けされた抗体に暴露し、前記標識が、酵素、蛍光性標識、放射性標識及 びこれらの標識のいずれかを用いたアビジン/ビオチン系から選択され、それに より標識付けされた抗体の抗原に対する結合を達成し、 (ii)結合した標識付けされた抗体の量を測定するステップと のうちいずれかから選択される一つ又はそれ以上の処理を行なうステップと、 (C)処理(a)、(b)又は(c)から得られた前記酵素シグナル形質導入媒 介物質のレベル及び活性を未感染の対照の標準集団と比較するステップと を特徴とする方法。 12. 前記酵素媒介物質がキナーゼである、請求項11に記載の方法。 13. 前記酵素媒介物質がfynキナーゼである、請求項12に記載の方法。 14. 前記酵素媒介物質が、src系のたんぱく質チロシンキナーゼの仲間で ある、請求項11に記載の方法。 15. 前記酵素が、媒介物質ホスファターゼ、特にCD45及びSHP−1か ら選択されたものである、請求項11に記載の方法。 16. 前記遮断薬がたんぱく質である、請求項1に記載の方法。 17. 前記遮断薬がエノラーゼである、請求項1に記載の方法。 18. 請求項11に記載したステップのうち一つ又はそれ以上のステップを行 なうのに必要な一つ又はそれ以上の試薬を含む、ヒトの体液中に存在する特異的 酵素シグナル形質導入媒介物質を検定するための器具。 19. 前記酵素媒介物質に特異的な抗体を有する基質を含む、請求項18に記 載の器具。
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1999
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