【発明の詳細な説明】
水中−溶剤型エマルジョンを用いた塗料オーバースプレイシステムから気化性の
有機化合物を回収する方法
発明の背景 発明の分野
本発明は塗料オーバースプレイ処理および捕集システムから生じる使用済の水
中−溶剤型エマルジョンより実質的にカルボニル化合物からなる気化性の有機物
質を回収するための方法に関する。より詳細には本発明は塗料オーバースプレイ
処理および捕集システムから生じる使用済の水中−溶剤型エマルジョンからカル
ボニル化合物をそれらが有効に再使用できるような態様で回収する方法に関する
。関連技術の説明
塗料溶剤からの炭化水素放出物の回収、種々の塗料の可溶化および非可溶化固
体物の分散および収集を可能にする水中−溶剤型エマルジョンを用いた塗装スプ
レイブースの操作は多くの文献に記載されている。塗装スプレイブースに用いる
水中−溶剤型エマルジョン中にカルボニル化合物を用いる組成物についての検討
はそれらの明細書をここで本願中に参考までに引用する、いずれもツェルナ(Zer
ner)等に付与された米国特許第5,198,143号;5,197,496号;
5,200,174号および5,254,256号中において記載されている。
塗料スプレイブースに用いられる水中−溶剤型エマルジョンは従来の水性系の
代替物として用いられ炭化水素蒸気および塗料オーバース
プレイの収集媒体として作用する。この塗料オーバースプレイは塗料スプレイブ
ース中を循環する水中−溶剤と接触する。この物質は可溶化されそして塗料固体
物は水中−溶剤型エマルジョン中に分散される。塗料固体物は水中−溶剤型エマ
ルジョンが塗装スプレイブースシステムから分離されるまで水中−溶剤型エマル
ジョン中で再循環される。塗料固体物を含む使用済の水中−溶剤型エマルジョン
は、回収プロセスの一部として化学的に壊されもしくは分離された相となるよう
にされる。これらの分離された相は一般に可溶化された塗料固体物を含む有機相
と水性相とからなる。次いでこれらの分離された相は処理および再使用されもし
くは適宜に廃棄される。たとえば、パッツェルト(Patzert)の第4,919,
691号には使用済のエマルジョンの回収された水性部分を再循環される水中−
溶剤型エマルジョン物質として用いることを示唆している。しかし使用済の水中
−溶剤型エマルジョンの有機溶剤部分の直接的で効率的な回収方法は現在まで発
見されていない。
オーバースプレイ処理および捕集システムから生じる使用済の水中ー溶剤型エ
マルジョンからの有機溶剤成分の除去が塗料オバースプレイプロセス全体におけ
る効率および経済性を最大にすることはよく知られている。回収された有機溶剤
成分は塗料オーバースプレイ処理および捕集システムにおける再使用に適したも
のでなければならない。しかし、回収プロセスの間における塗料固体物の存在お
よびこれらとの相互作用のため有機溶剤成分の相当な部分が未回収のまま残され
ていた。使用済のエマルジョン中における塗料固体物が比較的純度の高い相当な
量の有機溶剤を効果的に回収することを困難にしている。溶剤の大量の部分が塗
料固体物に結合されたままなので有機溶剤成分の塗料固体物からの分離は極めて
困難でありかつ実質的に回収が不可能
であった。
塗料オーバースプレイ処理および捕集システムから生じる使用済の水中−溶剤
型エマルジョンから溶剤を分離するための種々の技術が示唆されている。これら
の技術においては、塗料オーバースプレイ処理システムから生じる塗料固体物の
存在によって回収プロセスにおける溶剤の残存および塗料固体の熱分解の問題が
生じる。有機溶剤を気化させるために必要な温度によって塗料固体物の不均一な
固化が生じそれによって相当な量の有機溶剤が固化中の塗料の固体物塊状物中に
捕集される。さらに、有機溶剤を気化させるために必要な処理温度では塗料固体
物の熱分解も生じていた。熱分解した固体物は反応容器から除去することが困難
であるばかりでなく一旦除去した後での取扱いが困難である。
このように、塗料オーバースプレイおよび捕集システムから生じる使用済の水
中−溶剤型エマルジョン系から有機カルボニル化合物物質を効率的にそして良好
に回収することのできる方法を提供することが望まれている。また第二級アルコ
ールエステルおよび第二級アルコールエステル誘導体などのようなカルボニル化
合物物質を残存する固体化合物の熱分解を生じさせずに連続的な態様で回収する
ことのできる方法を提供することが望まれている。
発明の概要
本発明は塗料オーバースプレイ処理および捕集システムから生じる使用済の溶
剤型エマルジョンから相当な量の気化性のカルボニル化合物物質を回収するため
の方法である。本発明の回収方法は下記の工程を含む;
(a)塗料オーバースプレイ処理および捕集システムから気化性カル
ボニル化合物を含む使用済の水中−溶剤型エマルジョンを除去すること;
(b)除去した使用済の水中−溶剤型エマルジョンを反応容器に供給すること
;この反応容器は反応室を形成する外側ハウジングとこの反応室中における多数
の混合翼とからなる。これらの混合翼は水中ー溶剤型エマルジョンと接触する少
なくとも一つの表面を有する。また前記反応容器は混合翼の表面の温度をカルボ
ニル化合物を気化させるために十分なように維持する手段および反応容器中に1
00mm/Hg(絶対圧)以下の圧力を生じさせる手段を含む;
(c)反応容器中における使用済の水中−溶剤型エマルジョンを気化されるカ
ルボニル化合物を生じるのに十分は時間にわたって維持すること;
(d)生成された気化されたカルボニル化合物物質を反応容器から除去するこ
と;そして
(e)気化された化合物物質の発生後に反応容器中に残存する残渣物を除くこ
と;この残渣物は実質的に塗料固体物から生じる有機物質および塗料中に存在す
る無機物質からなっている。
本発明の溶剤回収方法によって処理することのできる使用済の水中ー溶剤型エ
マルジョンは:
(a)少なくとも150℃の沸点、20℃における0.5Torr以下の蒸気
圧を有する1〜50重量%のカルボニル化合物;および
(b)水
を初期状態において含むものである。
本発明の方法により除去される使用済の水中−溶剤型エマルジョンのカルボニ
ル化合物成分は第二級アルコールエステル、第二級アルコールエステル誘導体お
よびそれらの混合物からなる群より選ばれる。
本発明の方法はカルボニル化合物と水とが同時に生成されそして同時に又は後
処理工程において分離することのできる水中−溶剤型エマルジョンに関して実施
することができるものとして理解すべきである。また本発明の方法に先立って使
用済の溶剤型エマルジョンの一部または全ての水分を予め除去することも本発明
の範囲内にある。
図面の簡単な説明
本発明を更に説明するために以下の図面を示すが、図中種々の要素を示すため
に同じ図面符号が幾つかの図面を通して使用される。
図1は本発明の方法に関連して用いるのに適した反応容器の断面図であり;そ
して
図2は本発明の方法に用いられる適当な混合円板の詳細図である。
好ましい具体例の説明
塗料オーバースプレイ処理および捕集システムから生じる第二級アルコールエ
ステル、第二級アルコールエステル誘導体およびそれらの混合物から選ばれるカ
ルボニル化合物を含む使用済の水中−溶剤型エマルジョンを昇温下および負圧下
で処理してカルボニル化合物を除去しそして効果的に回収することができるとい
う予期しない発見に基いて本発明を記述する。水中−溶剤型エマルジョンはオー
バースプレイされた塗料を捕集しそれによって水中−溶剤型エマルジョンが塗料
スプレイブース中を循環する際に塗料固体物が蓄積され増加する。この循環の間
にエマルジョンが塗料固体物を収集し、可溶化しそして分散させ、それによって
本発明の方法により処理可能な使用済水中−溶剤型エマルジョンを生じる。この
ようにして、溶解した塗料固体物からのカルボニル化合物の解離は幾つかの用途
においてカルボニル化合
物の回収のための独特なとりくみを与えることができる。
ここで用いる“エマルジョン”という用語はある液相の他の液相中への混合物
として定義される。本願において用いるエマルジョンという用語は永久的なエマ
ルジョン、すなわち1〜1.5μm以下の粒径を特徴とするものおよび非永久的
エマルジョン、すなわち1μm以上の粒径を特徴とするものの双方を含むものと
する。
カルボニル化合物がそこから除かれる使用済の水中−溶剤型エマルジョンは少
なくとも少量の溶解された塗料固体物を有する。本願で用いる“溶解する”とい
う用語は固体成分の溶液中への分散および移行の双方または可溶化を含むものと
する。カルボニル化合物それ自体は水性媒体には不溶である。“不溶”という用
語は可溶化指数が約2μg/リットル以下であることを定義する。
使用済の水中−溶剤型エマルジョンはチャンバまたはタンクシステム、オーバ
ースプレイされた塗料粒子を液膜を通してタンクまたはチャンバに移行させる手
段からなる形式の塗料スプレイブースから生じ、この液体はオーバースプレイさ
れた固体塗料を受容する循環する水中ー溶剤型エマルジョンを含む。水中−溶剤
型エマルジョンは:
(a)第二級アルコールエステル、第二級アルコールエステル誘導体およびそ
れらの混合物からなる群より選ばれるカルボニル化合物1〜50重量%および
(b)水
からなる。
水中−溶剤型エマルジョンは一般にpHが約7.5〜12.0の間の範囲にあ
り、エマルジョンがオーバースプレイされた塗料固体物を収集し、可溶化しそし
て懸濁させて使用済の水中−溶剤型エマルジョンを形成するのに充分な時間だけ
塗料スプレイブース中を通して循環
される。塗料オーバースプレイ処理および捕集システムの操作を通して水中−溶
剤型エマルジョン中に懸濁される塗料固体物の濃度は用途における耐久性および
強度によって変えられる。この塗料固体物の濃度は使用済の水中−溶剤型エマル
ジョンが通常の方法によって圧送可能である限り任意の値とすることができる。
使用済の水中−溶剤型エマルジョンから回収される気化可能な有機カルボニル化
合物は第二級アルコールエステル、第二級アルコールエステル誘導体およびそれ
らの混合物からなる群より選ばれる。好ましくはこのカルボニル化合物は一般式
を有するカルボニル化合物およびそれらの混合物からなる群より選ばれ、式中R
’およびR”は主鎖に1ないし8の炭素原子を有する置換および非置換第二級ア
ルキル基から選ばれ、RおよびR'"は1ないし10の炭素原子を有する直鎖また
は分岐アルキル基から選ばれ、ここでRおよびR'"のアルキル官能性は同一でも
異なっていてもよい。好ましい具体例においてはR’およびR”は非置換エチル
、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル官能性、ならびにメチルプロピル
、メチルブチル、エチルブチル、メチルプロピル、ジメチルブチル、ジネチルペ
ンチルまたはトリメチルペンチル官能性等のようなそ
れらのモノ−、ジ−およびトリ−アルキル置換誘導体からなる群より選ばれる。
RおよびR'"はプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルまたはt−ブチル
官能性からなる群より選ばれる。
好ましいカルボニル化合物は表Iに記載したパラメタの範囲内の物性を有する
。2,2,4-トリメチル-1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4-トリメ
チル-1,3−ペンタンジオールジイソブチレートおよびそれらの混合物からなる群
より選ばれるカルボニル化合物が好ましい。
表 I
炭化水素の物性
沸点 200°− 300℃(標準圧力)
比重(20℃) 0.94 − 0.955
水溶性 不溶
粘度(20℃) 8−14cP
蒸気圧 <0.01mmHg(20℃、1atm
)
本発明においては、カルボニル化合物物質は以下の工程を含む方法によって塗
料オーバースプレイ処理および捕集システムから生じる使用済の水中−溶剤型エ
マルジョンから回収される:
(a)塗料オーバースプレイ処理および捕集システムから使用済の水中ー溶剤
型エマルジョン又は少なくともその一部を除去すること;
(b)除去した使用済の水中−溶剤型エマルジョンを反応容器に供給すること
、この反応容器は反応室を形成する外側ハウジングとこの反応室中における多数
の混合翼からなり、これらの混合翼の表面の少なくとも一部分は使用済水中−溶
剤型エマルジョンと接触し、前記反応容器はさらに混合翼の表面の温度をカルボ
ニル化合物を気化させるために十分なように維持する手段および反応容器中に1
00mm/Hg(絶対圧)以下の圧力を生じる手段等を含む;
(c)反応容器中における使用済の水中−溶剤型エマルジョンをカルボニル化
合物を気化させるのに十分な時間にわたって維持すること;
(d)反応容器からの気化されたカルボニル化合物物質を除去すること;そし
て
(e)気化されたカルボニル化合物の生成後に反応容器中に残存する実質的に
塗料固体物に由来する有機および無機物質からなる全ての残渣物を除くこと。
本発明の方法においては、カルボニル化合物と水とを同時に生成させてもよく
またカルボニル化合物と水とを付加的な後処理工程において分離してもよい。水
の一部もしくは全部が除去されている使用済の水中−溶剤型エマルジョンを処理
することも本発明の方法の目的の範囲内である。
本発明の方法によってカルボニル化合物がそこから回収される水中ー溶剤型エ
マルジョンは界面活性剤および乳化剤などのようなその他の任意の成分を含んで
いてもよい。水中−溶剤型エマルジョンの任意の成分は水中−溶剤型エマルジョ
ンと共に処理される、
本発明の方法においては、使用済の水中−溶剤型エマルジョンは反応容器に対
して実質的に塗料オーバースプレイ処理および捕集システムから除去される形態
において導入することができる。このような場合には、使用済の水中−溶剤型エ
マルジョンのカルボニル化合物濃度は約1重量%および50重量%の範囲とする
ことができる。
本発明のカルボニル化合物処理は反応容器に対して使用済の水中ー溶剤型エマ
ルジョン物質を導入する前に水中−溶剤型エマルジョンの水性成分の少なくとも
一部を除去する任意の工程を含むことができる。この脱水工程はエマルジョンの
水性および有機相への破壊および傾瀉または水性相の少なくとも一部を有機相と
の接触から除くような任意の適宜な手段によって行われる。エマルジョンは可能
な場合には自然に破壊されまたは多くの場合には適宜な機械的または化学的手段
によって破壊することができる。塗料オーバースプレイ処理および捕集システム
に用いられる水中−溶剤型エマルジョンを酸性化によって破
壊することを含む方法の例はいずれもパッェルト等に付与された米国特許第4,
814,092および4,919,691号ならびにいずれもツェルナ等に付与
された米国特許第5,198,143;5,200,104;5,554,25
6および5,397,496号にその概要を記載されている。限外濾過および蒸
留などのような他の方法を用いて脱水を行うことができる。
使用済の水中−溶剤型エマルジョンを反応容器に対する導入に先立って脱水工
程にかける場合には、使用済の水中−溶剤型エマルジョン物質中に導入される回
収可能な溶剤の相対的な濃度が前記よりもかなり高いものとなり得ることを理解
すべきである。使用済の水中−溶剤型エマルジョンを脱水する場合には、反応容
器に導入する使用済の水中ー溶剤型エマルジョン物質中の溶剤の濃度を85−9
0重量%のように高くすることができるが、約30ないし60重量%の溶剤濃度
が典型的である。
本発明の方法はまた反応容器中に含まれる水中−溶剤型エマルジョンから気化
された水性液体を生成させる任意の工程を含むことができる。この水性液体は気
化されるカルボニル化合物と同時に生成させることもできまたはこの水性物質の
大部分をカルボニル化合物成分の気化に先立って気化させる漸増加熱工程などの
ような別の工程で生成させることもできる。カルボニル化合物と水とを同時に生
成させる場合には、本発明の回収方法では有機および水性物質を分離および傾瀉
させるかまたは当業者に公知の機械的または化学的な適当な方法によって分離さ
せるさらに別の工程が考えられる。
本発明の方法においてカルボニル化合物がそこから除去される使用済の水中−
溶剤型エマルジョンは塗料オーバスプレイシステムから生じる。このようなもの
としては、これらの使用済のエマルジョンは樹
脂結合剤、充填剤および接着剤、ならびに顔料、防腐剤、組織改良剤などを含む
がこれらに限定されるものではない。これらの材料を一括して“塗料固体物”と
いう。使用済みの水中−溶剤型エマルジョンの塗料固体物成分は一般に溶解状態
でエマルジョン中に含まれている。
塗料オーバスプレイ処理および捕集システムで典型的に用いられる塗料オーバ
スプレイ処理溶液においては、カルボニル化合物は組成物容量の5%〜50%の
量で存在し、約5%〜約30%の量が典型的であり、そして組成物容量の約12
%〜約18%の量が好ましい。オーバスプレイ処理材料の残部は主として水から
なる。オーバスプレイ処理操作に用いるときにはカルボニル化合物物質を水性相
中とエマルジョン又はエマルジョン様の形態で分散させる。エマルジョンが破壊
される際に、カルボニル化合物化合物物質はその水中での固有な不溶性によって
有機相を好ましく形成する。このようにして、カルボニル化合物物質はエマルジ
ョンの破壊後に塗料固体成分およびその他の何等かの有機物質と共に有機相中に
好ましく局在する。水性相は必要があれば処理に先立って有機相から分離して回
収プロセスの効率を向上させることができる。
本発明の方法によってカルボニル化合物が回収されるプロセス流は典型的に2
5〜40容量%の水を含み得る。このプロセス流は一般的には酸性化またはその
他の適宜な方法による使用済の水中−溶剤型エマルジョンの破壊によって生じる
ので、大量の水がこのプロセス流中に残存し得る。このプロセス流は反応容器中
に直接導入することができ、またはカルボニル化合物の気化に先立って処理して
大量の水ならびに水溶性の有機および無機化合物を除去することができる。これ
らの脱水プロセスの例としては前記のように蒸留や限外濾過等が挙げら
れる。本発明の方法においてはこの脱水工程は効率の改善のために必要に応じて
用いられるものと理解すべきである。
塗料オーバスプレイ処理および捕集システムから生じる使用済の水中−溶剤型
エマルジョンから有機溶媒を回収するための方法においては、使用済のエマルジ
ョンの除去工程は圧送や重力による供給などのような任意の適切な態様で行うこ
とができる。使用済の水中−溶剤型エマルジョンをオーバスプレイ処理システム
からこのオーバスプレイ処理システムの近くに設けた適当な反応容器に直接供給
すること、又は使用済の水中−溶剤型エマルジョンを移送および/又は後処理の
ための適当な保持タンクやその他の装置に収集することは本発明の目的の範囲内
にある。この脱水工程はオーバスプレイ処理システムから反応容器への回収の間
もしくはその直後に又は使用済の水中−溶剤型エマルジョンの適宜な保持タンク
装置への収集の間に行うことができる。また、この任意の脱水工程は使用済の水
中−溶剤型エマルジョンを一度反応容器中に導入してから、本発明の溶剤回収方
法を開始する際に行うことができる。
使用済の水中−溶剤型エマルジョンは通常の操業の間に塗料オーバスプレイ処
理および捕集システムから連続的に増大する態様で除去できることが予測される
。システム停止等の間に生じるように、ほとんど全ての使用済の水中−溶剤型エ
マルジョンをオーバスプレイ処理システムから完全に除去することも本発明の範
囲内である。
このようにして、塗料オーバスプレイ操作から生じカルボニル化合物物質がそ
こから回収されるプロセス流はカルボニル化合物を存在する水および塗料固体物
の全容量によって約5〜約95容量%の量で含み得る。処理に先立って水の大部
分が除かれていない場合は、カルボニル化合物物質は約5%〜約50%(容量)
の量でプロセス流中に存
在し得るが、約12〜約30容量%が好ましい。
反応容器中への導入前に又は反応容器中で生じる初期の蒸発工程の結果として
水が使用済の水中−溶剤型エマルジョンから除去される場合には、極めて低い粘
度の液体凝縮系が生じる。この極めて低い粘度は本発明の方法以外の公知の方法
によって処理を行なおうとする場合に問題を生じる。なんらかの理論に拘束され
るものではないが、使用済の水中−溶剤型エマルジョンから生じる濃縮物の大き
な流動性などのような物性は回収が意図されるカルボニル化合物物質の存在によ
るものであると考えられる。
本発明の方法においては、使用済の水中−溶剤型エマルジョンをカルボニル化
合物成分を使用済の水中−溶剤型エマルジョンから気化させるのに充分な温度に
加熱する。このプロセスは真空下で生じる。好ましい具体例においては、水中−
溶剤型エマルジョンを残存する使用済のエマルジョン物質に対して迅速に気化さ
せるのに充分な温度にする。本発明の方法に用いる反応温度はカルボニル化合物
を塗料固体物との接触から引離なすのに充分である。カルボニル化合物の初期の
量は後期の量よりもより容易に除去されることが判明した。これらの後期の量を
塗料固体物から分離するのにはより大きな除去力を必要とする。一般に、反応温
度は所定の真空度でのカルボニル化合物の沸点より約50°F又はそれ以上に高
く、最高反応温度の上限は使用済のエマルジョン中に存在する塗料固体物の熱分
解温度によって限定される。好ましくは、反応温度は使用される真空度における
除去するカルボニル化合物の沸点よりも約50°Fないし約100°F高い。2
0ないし40mm/Hg(絶対圧)の圧力では、約450°Fないし約550°
Fの間の処理温度が好ましい。
本明細書中で定義したようなカルボニル化合物を含む使用済の水中
−溶剤型エマルジョンを前記真空下での処理温度下におくと、使用済の水中−溶
剤型エマルジョンが極めて狭い温度勾配でのカルボニル化合物の気化を示すこと
が発見された。これは本発明の方法の結果としての純度の高いカルボニル化合物
の回収を促進させる。
本発明の回収方法は気化されるカルボニル化合物を増大させるために真空下で
行われる。好ましくは、本発明の回収方法は100mm/Hg(絶対圧)の圧力
で行われ、約10ないし40mm/Hg(絶対圧)の間の圧力が好ましい。
使用済の水中−溶剤型エマルジョンからのカルボニル化合物の回収を最適化す
るために、気化されたカルボニル化合物の発生中にエマルジョンを攪拌および混
合する。好ましくは、反応容器の反応ハウジングによって形成される反応室中に
配置された多数の移動する加熱された攪拌表面によって使用済の水中−溶剤型エ
マルジョンを完全に攪拌および混合する。これらの移動する加熱された攪拌表面
は好ましくは使用済の水中−溶剤型エマルジョンからカルボニル化合物を気化さ
せるのに充分な温度に加熱された使用済のエマルジョンと接触する多数の表面を
有する混合翼であり、この温度は好ましくは約500°Fまたはそれ以上であっ
て、20ないし50mm/Hg(絶対圧)の間の圧力値が与えられる場合には約
450°Fないし約550°Fの間の温度がもっとも好ましい。
これらの攪拌翼は好ましくは回収プロセス中に反応容器内に生成される固体物
および固化物質を混合するのに充分なトルクを発生することのできるモーターな
どのような装置によって回転される。回転する攪拌翼の表面および反応容器の内
部に設けられた対向する固定表面は共働して反応容器中で処理されている使用済
の水中−溶剤型エマルジョンを混合および粉砕するように作用する。
本発明の回収方法においては、気化されたカルボニル化合物がそこから生成さ
れる使用済の水中−溶剤型エマルジョンを別々の物理的な変換段階に通過させる
。カルボニル化合物の回収を最適化するために、使用する反応容器は使用済のエ
マルジョン物質がこれらの段階の全体又はほとんどの部分を通過する際に導入さ
れたエマルジョンを取り扱うことができる。
反応容器中に導入された使用済の水中−溶剤型エマルジョンは最初は平均的な
粘度を有する圧送可能な液体としての特徴を有する。加熱時に、使用済の水中−
溶剤型エマルジョンは著しい粘度の低下を示しそして希薄な液体として挙動する
。この物質はカルボニル化合物の気化および除去につれて時間と共に結合して濃
厚な液体となる。この濃厚な液相は反応容器に導入される際の使用済水中−溶剤
型エマルジョンの最初の粘度よりも大きな又はこれに等しい粘度を有することを
特徴とする。
カルボニル化合物が気化するにつれて、反応容器中に残存する物質は湿潤で延
展性のあるペースト状の物質の存在によって特徴付けられる粘度の大きなペース
ト状相となる。反応容器中における物質はカルボニル化合物がさらに気化される
につれて粘度の大きなペースト状相から硬化被膜相になる。この硬化被膜相は加
熱部材上において残渣が付着物として形成されている特徴を有し、これらは全て
の又はほとんどのカルボニル化合物が除去されて実質的に乾燥した外側表面領域
およびカルボニル化合物が塗料固体物と共に残存する内部領域を有している。
カルボニル化合物の全体又はほぼ全体が気化されるにつれて、反応容器中に残
存する物質が固体相の形成を生じる。固体相においては、反応容器中に残存する
物質は実質的に乾燥した自由流動性の粒状固体
物である。
本発明の方法においては、反応容器の混合部材はこれらの全ての相において使
用済の水中−溶剤型エマルジョンを、特にこの物質がペースト状の又は硬化被膜
状態の固体相あるときには、これを適切に混合および処理することができる。
使用する反応容器は機構上に広い熱移動境界面を好ましく与えこれによって迅
速な熱および蒸気の移動を可能にする強力な混合および粉砕がもたらされる。反
応容器の容積と特定の形状とは処理される水中−溶剤型エマルジョンの体積およ
び所望の処理時間に対して熱の移動を最大にするように改善することができる。
使用済の水中−溶剤型エマルジョンを種々に相変化させそして充分な体積の気化
した有機溶剤材料を生じさせるために、約15分以上の処理時間が一般に必要で
あることが決定された。約30分以上の処理時間が一般に好ましい。最大処理時
間は反応容器中に導入される水中−溶剤型エマルジョンの初期の容積、溶剤の意
図する好ましい回収率および最終固体相の物性などのような因子によって決定さ
れる。最終的には、溶剤回収方法の完了の際に反応容器中に残存する固体相は、
実質的に非気化塗料固体物からなる。好ましくは、生じた最終相の固体物は実質
的に自由流動性の粒状物の形態となる。通常の操作条件下では、反応容器中の処
理時間は約2時間以下であり、最大処理時間は約1時間以下が好ましい。
本発明の溶剤回収方法は非酸化性の好ましくは酸素を含まない雰囲気を反応容
器中に与える手段を備えている。使用される非酸化性雰囲気は所定の処理条件下
で燃焼を維持しないようなものである。選択される気体性物質としては本発明の
回収方法の間における反応容器中の塗料固体物の燃焼および出火を防止または阻
止するものを具体的に含む。適当な気体物質としては窒素、希ガスおよびそれら
の混合物など
が含まれるがこれらに限定されるものではない。酸化性物質の量が反応操作パラ
メータにおいて可燃性の閾値以下であれば酸素などのような酸化性を有する物質
を痕跡量で含むガスを用いることも本発明の範囲以内に含まれる。
図1および図2に示すように、適当な処理装置10は以下に詳述する相互に噛
合する多数の回転翼14を含む反応容器12を備えている。また翼表面を加熱す
るための手段(図示せず)および反応容器12内に真空を形成するための手段(
図示せず)も含まれている。反応容器12は使用済の水中−溶剤型エマルジョン
が供給タンク18などのような適宜な供給源から容器12に入ることを可能にす
る適当な一つまたは複数の入口16を含んでいる。また反応容器12には気化さ
れたカルボニル化合物を回収するための適切な手段20が接続されている。適当
な回収手段としてはオーバーヘッド凝縮器22などのような装置が含まれる。最
終相の固体物質は適当な出口24を通して反応容器12から搬出され排出器26
を介して適当な収集装置中に移送することができる。
効果的な混合および気化を行うために、本発明の反応容器12の熱移動表面は
熱効率を増大させそしてペースト状のまたは硬化被膜状の物質の大量の形成を防
止するように広い範囲で掃引されるようになされている。この掃引作用を得るた
めの一つの適当な構成を図2に示す。回転軸30はそれに沿って径方向の外側に
延出する円板32を有する。各円板32の外縁には横方向の混合/混練バー34
が設けられている。多数のカウンターフック36が容器ハウジングの内部に位置
されていて共働する円板32の表面を掃引しそれによって加熱表面を連続的にク
リーニングするようになされている。加熱工程の効率を向上させるために、反応
容器の付加的な表面も必要によって加熱される。
前記の特徴を有する適当な反応容器は多数の供給元から市販されている。このよ
うな反応容器は外側ハウジング、少なくとも一つの回転軸上の中央に置かれた多
数の互いに噛合する混合円板、軸を約450°F〜約550°Fの間の温度に加
熱するための手段および反応容器の内部を真空引きするための手段を少なくとも
備えている。適切な翼装置を有する反応容器の例は明細書の関連部分を参考迄に
ここに引用するドッチュ(Dotsch)等の、米国特許第5,407,266号、リスト(Lis
t)等の米国特許第5,147,135号、クンツ(Kunz)等の米国特許第4,826,324号に
記載されている。これらの装置は回転軸に設けられた多数の翼を有しそして翼の
表面およびその近傍に形成される固化性塗料の固体塊状物が規則的に粉砕されて
翼の表面との接触から引離されるように翼の表面に対するすぐ近くの場所で充分
な剪断および混合を与えるようになされている。この軸は使用済の水中−溶剤型
エマルジョンを反応容器中の滞在の間に攪拌状態に維持するのに充分な軸速度で
回転する。好ましくは、軸は約2〜約30rpmの間の速度で回転するが、約1
5〜約20rpmの間の軸速度が好ましい。この回転速度と翼の形状とによって
反応容器中に滞在する使用済の水中−溶剤型エマルジョンの強力な混練および混
合作用が生じる。この連続的な混練および粉砕によって塗料固体残渣の固体塊状
物がそれらの生成と共に破壊される。この固体塊状物の“破壊”によって固体塊
状物中に存在しうる内部のペースト部分が翼の表面に触れて内部に含まれるカル
ボニル化合物を気化させることができる。このプロセスは真空下で生じ乾燥した
適当な最終相固体物の生成と共にカルボニル化合物の気化を最大にする。
カルボニル化合物回収プロセスの副産物として生じる固体樹脂の残渣は別に収
集されそしてその主要な部分として塗料固体物から生じる
高分子量のポリマおよび樹脂を有する。このような残渣は典型的に乾燥した粒状
物としての特徴を有する。本発明の方法において生成される固体樹脂残渣は廃棄
、後処理工程での処理または原料としての使用のために容易に取り扱うことがで
きる。
なんらかの理論に拘束されるものではないが、塗料オーバスプレイ処理および
捕集システムからの使用済の水中−溶剤型エマルジョンを真空下で所定の温度に
おいて攪拌によって処理することにより、カルボニル化合物成分の使用済エマル
ジョン物質からの拡散および気化物質としての生成が促進されるものと考えられ
る。混合表面の広い表面領域の加熱がカルボニル化合物成分の迅速で規則的な気
化を与えそしてカルボニル化合物の気化に伴ってプロセス流中の固体状のまたは
固化可能な樹脂塗料成分の固化を開始させる。継続する攪拌によって処理中の水
中−溶剤型エマルジョンの乱流作用が維持され加熱部材上の固体物の蓄積および
カルボニル化合物の拡散を妨げる硬化被膜外面を有する蓄積物質の形成が防止さ
れる。またこれによってプロセス流中に存在する固体状のまたは固化可能な塗料
成分の熱分解の防止が助長される。
本発明の方法はまた塗料オーバスプレイ処理および捕集システムから生じる使
用済の水中−溶剤型エマルジョンをこの使用済の水中−溶剤型エマルジョン中に
存在し得る水および全ての軽質溶剤の少なくとも一部分を除去するのに充分な時
間にわたって約100℃以上の温度にする任意の予備加熱工程を含む。この予備
加熱温度としてはカルボニル化合物および残存する塗料固体物を損なわずに水お
よび軽質溶剤の気化を可能にするような範囲が好ましい。好ましくは、この予備
加熱温度は約90℃〜約150℃の間である。予備加熱時間は軽質溶媒、水など
のような気化性の物質の除去を最適化するように調節するこ
とができる。
処理状態では、生じた固体副産物は実質的な粒状形態をなす樹脂物質から実質
的になる。ここで用いる“実質的な粒状物質”という用語は粒状の流動可能な固
体物質として定義される。本発明の副産物として生成される実質的な粒状の物質
は使用済の水中−溶剤型エマルジョンにおける塗料固体物質の初期の組成に依存
する化学的特性を有するものとして理解すべきである。塗料固体成分は使用済の
水中−溶剤型エマルジョンがそこから生じるオーバスプレイ処理過程によって処
理された塗料の初期の性質に応じて変化するものとして理解すべきである。
本発明の方法によって回収される気化したカルボニル化合物物質は適当な用途
のために濃縮して再度利用することができる。本発明の方法の結果として回収さ
れたカルボニル化合物は実質的に変化するべきであり、このようにしてこれらの
回収した物質をすでに述べたツェルナーの種々の特許に概説されたような方法に
おいてより良好に用いることができる。
本発明の方法を更に充分に理解するために以下の説明的な実施例を示す。これ
らの実施例は本発明の説明のためのものとして考えられるべきであり、ここに請
求する本発明の範囲または領域を制限するものではない。
実施例 I
エマルジョン試料は米国特許第5,198,143号にその概要を記載された
2,2,4-トリメチル-1,3−ペンタンジオールジイソブチレートを用いる塗料オーバ
ースプレイ工程中で生じた物質から採取した。この試料物質を酸性化してエマル
ジョンを破壊した。20gの有機
相をホットプレート中で加熱して全ての気化成分を気化させた。濃縮物からの蒸
気を凝縮器に通して気化性の成分を凝縮させて回収した。凝縮器からの有機相を
分析したところオーバースプレイマルジョンの主成分である2,2,4-トリメチル-1
,3−ペンタンジオールジイソブチレートは78%であった。
実施例 II
実施例Iに概説した方法により収集した濃縮物の組成試料200gを83mL
の鉱油とともに500mLの丸底フラスコ中に入れた。鉱油は試験中に試料に存
在する樹脂の硬化を防ぐために用いた。この混合物を28インチ真空下で220
°Fに加熱した。これらの条件下で、ジイソブチレート成分および油の一部が気
化することが判明した。この実験による蒸気を凝縮させそして収集した。有機相
は93gでありそして分析によってジイソブチレートを含むことが判明した。計
算されたジイソブチレート回収量は30.5gであった。濃縮物は17.1gの
ジイソブチレートとして分析され、したがって回収率は90%であった。
実施例 III
実施例Iに概説した方法において処理した使用済の水中−溶剤型エマルジョン
の試験をその明細書を参考迄にここに引用するエルドマン(Erdman)の米
国特許第4,750,274号に開示されたような通常のオ−ガ−型のドライヤ
中で処理した。上方回収物(オ−バ−ヘッド)を集めて目視によって検査した。
この上方回収物は暗色でこげた匂いがし、カルボニル化合物成分の気化に加えて
樹脂の熱分解が起こっていたことを示す。実施例 IV−IX
連続真空乾燥混練装置を用いてカルボニル化合物の回収効率を決定するための
6通りのバッチ試験を行った。プロセスパラメタを表IIに示す。水、塗料由来の
固体物およびカルボニル化合物として2,2,4-トリメチル-1,3−ペンタンジオール
ジイソブチレートの所定量を用いそして表IIIに示す。