【発明の詳細な説明】
LAG-3タンパク質の変異体、その発現及び使用
本発明は、可溶性LAG-3タンパク質の変異体又はその断片の変異体に相当する
新規なポリペプチドに関する。
活性化されたT細胞及びヒトNK細胞で発現されるリンパ球活性化遺伝子3(LAG-
3)は、イムノグロブリン・スーパーファミリー(IgSF)に属する4つの細胞外ドメ
インを有し、498アミノ酸から成る1型膜タンパク質をコードしている(1)。配列
分析から、この配列は、CD4受容体上の対応する一連のアミノ酸配列部分に対し
て多くの同一性を示すが、これらの2つの分子間の全体の配列相同性は、ベース
レベルをほとんど超えない(約20%の配列相同性)。LAG-3分子内での配列相
同性も、ドメイン1(D1)及び3(D3)間で、並びにドメイン2(D2)及び4(D4)間で
存在し、このことから、CD4と同様に、LAG-3は、2つのIgSFを構成する既存の構
成体から、遺伝子重複を介して進化したことが考えられる(1)。従って、LAG-3及
びCD4は、IgSFファミリー内で、進化上の「最初の近縁」であると考えることが
できる(2)。
本発明者は、細胞接着の定量検査を用いた以前の研究において、LAG-3形質転
換COS7細胞と、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラスII分子を発現しているB
リンパ球との間のロゼット形成が、LAG-3とMHCクラスII分子との相互作用に特異
的に依存していることを示した(2)。種々のヒトクラスII分子(種々の対立遺伝
子及びアイソタイプを含む)、並びにマウス及びサルのクラスII分子に対する、
LAG-3の直接的及び特異的結合も、LAG-3Ig融合タンパク質を用いた実験で観察さ
れた。この二量体の組換えグロブリンLAG-3Ig
は、CD4-Igに比べて、MHCクラスII分子の単一形態性部分に、高い親和性(Kd=60n
M,37℃)で結合する。実際、細胞内接着実験において、LAG-3Igは、クラスII分子
/CD4の相互作用を阻害することができる。
LAG-3(5)及びLAG-3Ig(6)に対する特異的モノクローナル抗体を用いて、このLA
G-3/クラスII分子の相互作用の役割が研究された。この相互作用は、T細胞株
の活性化に対して、負の調節を誘導する。LAG-3/クラスII分子相互作用の形成
は、T細胞間の接触で、おそらくT細胞のクラスII分子からの負のシグナルを介
して、誘発される。
一般に、LAG-3は、インビボ及びインビトロで、リンパ球活性化後のみに発現
される。従ってLAG-3は、CD4とは異なり、相誘導反応においては機能しない。さ
らにモノクローナル抗体を用いた阻害実験から、LAG-3は、クラスII分子を介し
て限定されたCD4T細胞株による認識の相には関わっていないことが示された。
従って、LAG-3の機能は、MHC分子のリガンド、例えばCD4及びCD8の機能とは、実
質的に異なる。
PCT/FR95/00593において、本発明者は、LAG-3のいくつかの可溶性ポリペプチ
ド分画が、クラスII分子に結合できることを示した。本発明者は、アミノ酸残基
46〜77の領域、特に73,75,76及び77の位置のアミノ酸が、潜在的に重要である
ことを明示した。
本発明者は、クラスII分子との結合に特に関与するLAG-3の領域を、正確に調
べる必要があった。このために、本発明者は、本成熟タンパク質の細胞外領域の
最初の2つのドメインに目的とする変異を有するLAG-3のいくつかの変異体を合
成した。この成熟タンパク質とは、シグナルペプチド、すなわちN-末端配列LQPG
AEを欠いたLAG-3タンパク質のことである。D1ドメインは、アミノ酸1(L)からア
ミノ酸149(M)まで;D2ドメインは、アミノ酸150(T)からアミノ酸239(G)まで伸び
ている。驚くことに、本発明者は、単一アミノ酸置換によって、クラスII分子に
対するLAG-3の親和性を修飾して、その分子に対するLAG-3の結合を増加するか、
あるいは逆に、部分的又は完全に阻害することができることを示した。
本発明の1つの点は、可溶性LAG-3タンパク質の変異体、又は細胞外ドメインD
1及びD2を含んでいるその断片の変異体、に相当する精製されたポリペプチドで
あって、以下の中から選択された1つの位置におけるアミノ酸置換が存在するか
:
73番目のアルギニンをグルタミン酸で置換する(R73E)、
75番目のアルギニンをアラニン(R75A)又はグルタミン酸(R75E)で置換する、
76番目のアルギニンをグルタミン酸で置換する(R76E);
あるいは、以下の中から選択された1つの位置におけるアミノ酸置換が存在する
か:
30番目のアスパラギン酸をアラニンで置換する(D30A)、
56番目のヒスチジンをアラニンで置換する(H56A)、
77番目のチロシンをフェニルアラニンで置換する(Y77F)、
88番目のアルギニンをアラニンで置換する(R88A)、
103番目のアルギニンをアラニンで置換する(R103A)、
109番目のアスパラギン酸をグルタミン酸で置換する(D109E)、
115番目のアルギニンをアラニンで置換する(R115A);
あるいは、54番目(P)から66番目(A)までの領域の欠失がある、前記ポリペプチド
を提供することである。
本発明の別の点は、薬物、特にLAG-3分子を分子擬態するペプチド性の薬物、
すなわちLAG-3分子と同様にMHCクラスII分子と結合し、且つそれと同じタイプの
免疫抑制活性を有する前記薬物、を製
造するために、可溶性LAG-3の前記変異体を使用することである。
本発明は、前記のLAG-3タンパク質の変異体の1つを、活性成分として含んで
いる医薬組成物にも関する。
本明細書の以下の部分において、前記ポリペプチドを「LAG-3変異体」と記す
。
この定義を、可溶性LAG-3の完全なタンパク質の変異体、又は細胞外ドメインD
1及びD2を含んでいるLAG-3断片の変異体、特にその2つのドメインD1及びD2から
成る断片の変異体、に相当する本ポリペプチドに適用する。
可溶性LAG-3タンパク質とは、シグナルペプチドの無い成熟タンパク質の1番
目のN-末端残基から412番目の残基までの配列に相当するものである。
1つの実施形態として、本発明は、MHCクラスII分子に対して、野生型LAG-3タ
ンパク質の場合に比べてより強い親和性を有する可溶性LAG-3の精製されたポリ
ペプチド変異体に関する。前記ペプチドにおける変異は、残基46〜77間に位置す
るLAG-3の細胞外ループ内にあることが好ましい。
詳しく云うと、本発明は、可溶性LAG-3タンパク質の変異体、又は2つの細胞
外ドメインD1及びD2を含んでいるその断片の変異体、に相当する精製されたポリ
ペプチドであって、以下の中から選択された1つの位置におけるアミノ酸置換が
存在するか:
73番目のアルギニンをグルタミン酸で置換する(R73E)、
75番目のアルギニンをアラニン(R75A)又はグルタミン酸(R75E)で置換する、
76番目のアルギニンをグルタミン酸で置換する(R76E)、
あるいは、2つ又は3つの前記置換の組み合わせが存在する、前記ポリペプチド
に関する。
前記LAG-3変異体は、以下の中から選択された2つ又は3つの前記置換の組み
合わせであることが好ましい:
(R73E+R75A)、
(R73E+R76E)、
(R75A+R76E)、
(R73E+R75A+R76E)。
これらの異なる変異体を以後「ポジティブ変異」と呼ぶ。
別の実施形態として、本発明は、可溶性LAG-3タンパク質の変異体、又は細胞
外ドメインD1及びD2を含んでいるその断片の変異体、に相当する精製されたポリ
ペプチドであって、以下の中から選択された1つの位置におけるアミノ酸置換が
存在するか:
30番目のアスパラギン酸をアラニンで置換する(D30A)、
56番目のヒスチジンをアラニンで置換する(H56A)、
77番目のチロシンをフェニルアラニンで置換する(Y77F)、
88番目のアルギニンをアラニンで置換する(R88A)、
103番目のアルギニンをアラニンで置換する(R103A)、
109番目のアスパラギン酸をグルタミン酸で置換する(D109E)、
115番目のアルギニンをアラニンで置換する(R115A)、
あるいは、54番目(P)から66番目(A)までの領域の欠失がある、前記ポリペプチド
を提供する。
これらの変異を以後「ネガティブ変異」と呼ぶ。
本発明のLAG-3の点変異体を、部位特異的変異誘発法によって得ることができ
る。
部位特異的変異誘発法は、性質及び位置の両方で規定された変異を自由に作る
ことが可能であり、現在、当業者に十分に知られている。この原理は、希望する
変異を有するプライマーオリゴヌクレオチドと、変性させた鋳型DNAとのハイブ
リダイゼーションに基づく
。このプライマーの伸長によって作られた変異DNA鎖と野生型のDNA鎖との間に二
重鎖を形成させてから、適当な条件下で連続的に複製反応を繰り返して、両方の
鎖に変異が導入されたDNAを作ることができる。
現在では、部位特異的変異誘発には、当業者が必要に応じて選択と改変をする
ことができる幅広い方法と技術があると考えられる。簡単に云うと、部位特異的
変異誘発は、3タイプの方法、すなわち年代順に一本鎖法、二本鎖法及びPCR法
によって行うことができる。これらの3つの各方法には、特定の目的と実験者の
制約に大なり小なり合わせたいくつかの変法がある。
本発明の枠組み内で、可溶性LAG-3タンパク質又はその断片をコードするDNAに
対して部位特異的変異誘発を起こす。この異なったLAG-3変異体をコードする単
離されたヌクレオチド配列、並びにそれらに相補的なヌクレオチド配列も、本発
明の1つの点である。
組換え体を作成する技術を用いて、前記のコードヌクレオチド配列を適当な宿
主細胞に導入して、LAG-3遺伝子上の誘発変異に起因するLAG-3変異体ポリペプチ
ドを得る。
この場合、使用する本ヌクレオチド配列を、選択した宿主での発現を可能にす
るシグナルの調節下に配置する。使用する宿主細胞を、原核生物系、例えば細菌
、又は真核生物系、例えば酵母、昆虫細胞、CHO(Chinese hamster ovary cell)
、あるいは市販されている他の有利な系から選択することができる。本発明のポ
リペプチドを発現させる宿主細胞として、線維芽細胞株COS7が好ましい。
用いるベクターには、プロモーター、翻訳開始及び停止シグナル、並びに転写
調節に必要な適当な領域が必要である。ベクターは、用いる細胞内で安定に維持
されなければならないし、場合によっては、翻訳されたタンパク質の分泌を指令
する特定のシグナルを含ん
でもよい。
用いる宿主細胞に応じて、前記の種々の調節シグナルを選択する。これを実行
するためには、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を、選択した宿
主細胞内で自律的に複製するベクターに、あるいは宿主細胞ゲノムに組み込まれ
る型のベクターに、組み込んでもよい。当業者に普通に用いられている方法に従
って、その様なベクターを調製し、そして得られたベクターを、標準的な方法、
例えば電気穿孔法によって適当な宿主細胞に導入することができる。
前記のLAG-3変異体ポリペプチドを発現させるためのベクターも、本発明の一
部分である。
COS7細胞を用いる場合、文献(2)の通りに、ベクターpCDM8を用いてトランスフ
ェクションを行う。
さらに、本発明は、前記発現ベクターによって形質転換された細胞にも関する
。この様な細胞は、前記載通りに、LAG-3変異体を発現させるためのベクターを
宿主細胞に導入することによって得られ、次にこの細胞を、LAG-3変異体をコー
ドする導入されたヌクレオチド配列の複製及び/又は発現を可能にする条件下で
培養する。
このLAG-3変異体が、トランスフェクションされた細胞の表面で発現する場合
、この細胞を細胞結合及び接着検査に用いて、前記変異体による各種リガンドと
の、特に特定の細胞群の膜抗原との、特にMHCクラスII分子との結合能を調べる
ことができる。
これらの宿主細胞を、LAG-3変異体ポリペプチドを生産する方法において用い
ることもできる。この方法自身も本発明に含まれ、これは、前記のトランスフェ
クションされた細胞を、LAG-3変異体組換えポリペプチドの発現を可能にする条
件下で培養すること、そしてその組換えポリペプチドを回収することを特徴とし
て含んでいる
。
用いる精製方法は、当業者に知られたものである。細胞溶解液及び抽出液から
、あるいは培養上清から、例えば、分画法、クロマトグラフィー法、及び特異的
モノ-又はポリクローナル抗体を利用した免疫親和的方法などの方法を単独で、
あるいは組み合わせて用いて、前記組換えポリペプチドを精製することもできる
。
有利な変異体として、「担体」タンパク質、例えばイムノグロブリン又はイム
ノグロブリン領域を組換えLAG-3変異体に融合して作成したキメラタンパク質を
生産する。この系の利点の1つは、本組換え産物の安定性、及びタンパク質分解
の低下が促進され、さらに、前記融合の相手が特異的リガンドに対する親和性を
有する場合には、精製の簡素化が計られることである。
PCT/FR95/00593には、融合タンパク質として、特に、ヒトイムノグロブリン(I
g)重鎖のヒンジ領域-CH2-CH3に結合したLAG-3の細胞外ドメイン断片が明記され
ている。
本発明のLAG-3変異体ペプチドの中でも、ポジティブ変異体、すなわちMHCクラ
スII分子に対して野生型よりも強い親和性を有する変異体は、免疫調節活性を有
する医薬組成物を製造するために有利に用いられる。
本発明には、活性成分としてのLAG-3変異体を、医薬上容認された媒体と共に
含んでいる前記医薬組成物も含まれる。この様な組成物を用いることで、活性化
T細胞と、MHCクラスII分子を発現している細胞との細胞間相互作用が関与して
いる免疫反応を調節する新しい方法が提供される。従って、例えば、この組成物
は、自己免疫疾患又は臓器移植拒絶などの免疫学的に異常な又は悪化した反応に
起因する病状の患者において、免疫抑制効果を発揮するために有効である。
本発明の医薬組成物は、インビボの腫瘍増殖を予防又は低下させるためにも有
効である。ナチュラルT細胞によるヒト腫瘍の免疫抑制は、生物学的に現実に起
こっている。従って、LAG-3/MHCクラスII分子の相互作用に関与する低分子は、
その様な腫瘍と宿主生物の関係において、ガンに対する免疫療法のための新しい
作用活性を提供する。
本発明における前記治療用組成物を、通常の技法によって調合することができ
る。種々の剤形に使われる媒体は、用いる投与経路:経口、腸管外、舌下、直腸
内、又は鼻腔内投与、に依存する。
腸管外に投与する組成物の場合、媒体は、一般に、滅菌水、及び本組成物の溶
解性又は保存性を促進する他の任意の成分を含んで成る。腸管外投与には、静脈
内、筋肉内又は皮下注射が含まれる。
本治療用組成物は、特に、長期間治療するために、例えば自己免疫疾患を治療
するために、又は臓器移植の拒絶を制御するために、持続放出型であってもよい
。この投与量は、治療される患者、特に、希望するレベルに制御される患者の免
疫系の能力に依存する。投与される活性成分の正確な量は、治療を始めた医師に
よって問題なく決定されるだろう。
本発明の治療用組成物は、1つ以上のLAG-3変異体の他に、別の活性成分を、
任意には本LAG-3変異体に化学結合した形で、含むことができる。この例として
、毒素、例えばMHCクラスII分子に結合して白血病細胞又はメラノーマ細胞など
の標的細胞を殺すことができるリシン又はジフテリアトキソイド、あるいは放射
性同位体、を結合した本発明の可溶性LAG-3変異体がある。
本ネガティブ変異体ペプチド、すなわちMHCクラスII分子に対する親和性が完
全又は部分的に減弱した本変異体ペプチドも、本発明に有利な点として含まれる
。
前記ペプチドの特性から、LAG-3とMHCクラスII分子との分子間相互作用に関す
る情報が得られる。これは、LAG-3とMHCクラスII分子との相互作用に対するアゴ
ニスト又はアンタゴニストとなる分子を製造するために有用である。
実施例で説明するように、LAG-3内の種々の構造が、おそらく、その多量体化
、及びMHCクラスII分子との相互作用に関与している。いくつかのLAG-3のネガテ
ィブ変異体は、(可溶型又は膜結合型の)野生型タンパク質との間で多量体化さ
れ、その結果、その複合体とMHCクラスII分子との相互作用が修飾され得る。従
って、この様な変異体は、LAG-3のある種の機能を逆転し得るだろう。それ故、L
AG-3のネガティブ変異体は、LAG-3又はMHCクラスII分子に由来する低分子量のア
ゴニスト又はアンタゴニストを開発するために有効に利用される。
本発明の他の特性及び利点を、以下の実施例及び図を利用して説明する。図の
説明を以下に記す。
図の説明
図1は、発現ベクターpCDM8-LAG-3及びpCDM8-GALを示す。LAG-3をコードする
遺伝子を含んでいる断片FDCを、pCDM8のBstXI部位に、サイトメガロウイルスプ
ロモーターの調節下にあるように(pCDM8-LAG-3)、又は逆方向に(pCDM8-GAL)に挿
入した。
図2は、LAG-3の1番目のドメインD1のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を
示す。2行目に、LAG-3のドメインD1のヌクレオチド配列を示す。このヌクレオ
チド番号(1行目)は、EMBLに寄託されたLAG-3配列(X51984)の番号に対応する
。アミノ酸配列(3行目)は1文字表記法で表す。各アミノ酸の位置を4行目に
示す。N-末端の配列(Leul)は、活性化したヒトリンパ球の膜から精製したLAG-3
分子のアミノ酸配列分析から決定した。変異誘発する配列を増幅するために用い
たプライマーの位置を、矢印で示す。そのDNA断片を切断するSfanI及びEspI部位
を下線で示す。R73,R75及びR76のコドンに星印を付す。LAG-3変異体を作成する
ためにサブクローニングした103bpのDNA断片を太字で示す。
図3は、LAG-3変異体の作成方針を示す。pCDM8-LAG-3C内の3つの断片、及び
適当な点変異を含んだプライマーによるPCR増幅産物の1つのSfanI/EspI断片を
連結することによって、LAG-3変異体をコードする発現ベクターを作成した。
図4は、LAG-3形質転換体と、MHCクラスII分子を発現しているB細胞との細胞
結合の定量測定を示す。
Daudi細胞を51Crで放射性標識してから、選択したLAG-3形質転換体に対するDa
udi細胞の特異的結合を定量した。
非特異的結合レベルを、LAG-3遺伝子を逆位に挿入したpCDM8(pCDM8-GAL)によ
る形質転換体に対する結合として示す。
図5は、MHCクラスII分子に対するLAG-3変異体の結合と、色々な発現レベルに
おける野生型(wt)LAG-3分子の結合との比較を示す。
COS7細胞を、pCDM8-GAL(0.3μg)、野生型LAG-3によるpCDM8-LAG-3のDNA 0.03
,0.1,0.3及び1μg(白丸)によって、各々形質転換した。LAG-3変異体のDNA
は、形質転換あたり0.03μg用いた。LAG-3の発現を、15A9による任意の蛍光単
位(FU)で示す。クラスII分子との結合を、51Crで標識したDaudi細胞による細胞
接着検査によって、1分間あたりのカウント(cpm)の測定によって決定した。
図6は、LAG-3D1D2Ig及びLAG-3D1D4Igコードする発現ベクターを示す。LAG-3
の1〜239アミノ酸又は1〜412アミノ酸のいずれ
かをコードするDNA断片を、pCDM7-CD8Ig内のCD8の細胞外領域をコードする配列
と置き換えて挿入した。
図7は、MHCクラスII分子を発現しているDaudi細胞とのLAG-3の結合実験を示
す。
CD8-Ig,LAG-3D1D2Ig又はLAG-3D1D4Ig(各100nM)の結合を、FITC標識した抗ヒ
トイムノグロブリンのヤギ血清を用いて分析した。モノクローナル抗体9.49(抗
DR)の結合を、FITC標識した抗マウスイムノグロブリンのヤギ血清を用いて分析
した。OKT3(抗CD3)を、同一アイソタイプIgG1のコントロール抗体として用いた
。
図8は、いくつかのネガティブ変異体と野生型(wt)LAG-3との共同発現による
細胞間相互作用への影響を調べた実験を示す。
LAG-3変異体R88A,D109E及びR115Aを、野生型LAG-3タンパク質と共に発現させ
た場合、それらの形質転換COS細胞と、MHCクラスII分子を発現しているDaudi細
胞との結合が阻害された。野生型LAG-3及びネガティブコントロール(GAL)の場合
10μg/mlのDNA、そしてLAG-3変異体の場合40μg/mlのDNAをトランスフェクシ
ョンに用いた(図8a)。クラスII分子との結合を、51Crで標識したDaudi細胞に
よる細胞接着検査によって、1分間あたりのカウント(cpm)の測定によって決定
した。図8bは、トランスフェクションに用いたR88A,D109E又はR115Aをコードす
るDNAの量の関数として、Daudi細胞の結合阻害を示す。野生型LAG-3のDNA(10μ
g/ml)を、種々の量の変異体のDNAと混合し(X軸の下に、変異体DNA/野生型DNAの
量比を示す)、更に、導入するDNAの合計量が50μg/mlと成る様にpCDM8のDNAを
加えた。
材料及び方法
「モノクローナル抗体及び融合タンパク質」
抗LAG-3モノクローナル抗体17B4,4F4(LAG-3.1エピトープ特異
的)、11E3(LAG-3.2)及び15A9(LAG-3.3)は、文献(2)(5)に記載されている。二量
体LAG-3D1D4Ig及びLAG-3D1D2Igを、文献(3)の通りに調製した。COS7の培養液か
らイムノグロブリン(Ig)融合タンパク質を得た。その上清をConAの免疫親和性カ
ラムにかけて精製した(ConAはヒトIgのFc領域と結合する)。
「LAG-3変異体の発現ベクター及び接着検査」
プラスミドpCDM8はSeed(1987)によって開発された発現ベクターであって、こ
れによって、細菌又は真核生物細胞においてcDNAクローニングと発現を行うこと
ができる。このプラスミドは、ColE1、並びに、エピゾームP3(KanR,アンバーte
tR,アンバーampR)を有する細菌においてテトラサイクリン及びアンピシリン耐
性となるSup F(tRNA抑制因子)配列を有している。このエピゾームは、その菌株
にカナマイシン耐性を付与する。pCDM8は、358bpから成る多重クローニング部位
(ポリリンカー)、サイトメガロウイルス(CMV)のエンハンサー配列、並びにSV4
0ウイルス及びポリオーマウイルスの複製起点を含んでいる。pCDM8からポリオー
マウイルスの複製起点を含む800bpを除くことによって、プラスミドpCDM7を作成
した。
プライマーの選択は、コンピュータ検索(PC/GENE)によって、標準的な判定基
準(プライマーのサイズ、Tm(融解温度)、GC含有量、不確実な相同性が無いこ
と)に基づいて行った。
プラスミドpCDM8又はpCDM7を含んだ反応溶液によって、大腸菌株MC1061/P3を
形質転換した。この菌株は、少数コピーの60bpのエピゾームP3を保持している。
これは、天然のカナマイシン耐性遺伝子、誘導性アンバー変異型のテトラサイク
リン耐性遺伝子及びアンピシリン耐性遺伝子をコードしている。自発的に復帰し
た菌を避けるために、組換えプラスミドを保持したコロニーの選択は、アンピ
シリン及びテトラサイクリンを含んだ培地上で行った。
形質転換菌の培養(250ml)によって本発現ベクターを生産して、そこからQIAGE
NのMaxiprep kit(Chatsworth,CA)を用いてそのDNAを抽出した。
希望する変異部位が存在する配列を含んでいるオリゴヌクレオチドプライマー
を用いて、目的の変異を有するLAG-3変異体DNAを調製した。PCR法(14)によって
、又は変異を導入した合成オリゴヌクレオチド二重鎖を挿入することによって、
本生成物を得た。このPCR産物の配列を、Sequenase kit(United State Biochemi
cal Corp.,Cleveland,OH)を用いて、取扱説明書通りに決定した。
10%ウシ胎児血清(FCS)を補充したRPMI1640中で、COS7細胞を培養した。Cellje
ct装置(Eurogentec,Liege,Belgium)を用いた電気穿孔法によって、COS7細胞にプ
ラスミドpCDM8-LAG-3C(2)をトランスフェクションした。この電気穿孔法は、200
V,1500μFの条件で、5x106細胞/mlの培養液500μl中で、30μg/mlのプラス
ミドを用いて行った。2X108のB細胞に2mCiの51Crを加えて(最終容量3ml)37℃
で45分間培養した。この細胞を3回洗浄して、結合実験に用いた。トランスフェ
クション後2日経過したCOS細胞を、1mM EDTA含有の1X PBSで処理して、12ウエ
ルの平底組織培養プレートに、0.05x106細胞/ウエルの割合でまき直した。24時
間後に、COS細胞の単層が形成された2対のウエル内に、51Crで標識した5.5x106
のDaudi B細胞を加え(最終容量550μl)1時間放置した。次に、このDaudi細胞
を吸引して除き、そしてウエルに1mlの培地を穏やかに滴下することによって、
5〜7回洗浄した。ウエルの上清をパスツールピペットで吸引した。残った細胞
に1%Triton含有のPBS 1mlを加えて、37℃で15分間溶解した。この溶解液を10000
rpmで10分間遠心して、その上清500μlの放射活性を計測した。LAG-3変異体
がトランスフェクションされたCOS7を用いた場合に得られるロゼット数(5つ以
上のDaudi細胞を用いる)を決定し、野生型LAG-3がトランスフェクションされた
COS7を用いた場合のロゼット数と比較した。LAG-3が逆方向に挿入されたpCDM8ベ
クターをトランスフェクションしたCOS7をネガティブコントロールとして、ロゼ
ット形成を計数した。
「トランスフェクションされた細胞の免疫蛍光及びフローサイトメトリー用標識
」
LAG-3変異体の発現レベルを、抗体15A9による反応性によって分析した。なぜ
なら、この抗体が認識するエピトープ(LAG-3.3)は、本変異の影響を受けないか
らである。その発現レベルを、次の式で定義した任意の蛍光単位(FU)によって計
算した:
FU=陽性細胞の%X陽性細胞の平均蛍光
変異体と野生型(wt)タンパク質との間でLAG-3の発現レベルを比較するために
、モノクローナル抗体15A9及びコントロールモノクローナル抗体(neg)を用いて
、発現の相対レベルを、次の式から計算した:
(FU15A9変異体−FUneg変異体)/(FU15A9野生型−FUneg野生型)
LAG-3変異体に対するモノクローナル抗体(mAb)による反応性を、次の式から計
算した:
「LAG-3D1D2Ig及びLAG-3DlD4Igの作成及び精製」
10%ウシ胎児血清(FCS)を補充したRPMI1640培地中で、COS細胞を培養した。Cel
lject装置(Eurogentec,Liege,Belgium)を用いた電気穿孔法によって、約107のCO
S細胞に、50μgのpCDM7-LAG-3D1D2Ig又はpCDM7-LAG-3D1D4Igをトランスフェク
ションした。
このトランスフェクションされた細胞を、5%FCS含有のRPMI培地を用いてペト
リ皿に2.5x105細胞/mlの濃度で接種した。12時間後に培養液を除き、FCS非含有
のRPMI培地を加えた。トランスフェクション後3、6、9及び12日目に、この培
養上清を採取し、そして新たにFCS非含有のRPMI培地を加えた。これらの培養上
清を低速で遠心して、細胞残存物を取り除き、さらに10000gで30分間遠心して、
その上清を0.22μmの酢酸セルロースフィルターで濾過した。
0.05Mクエン酸ナトリウム緩衝液pH8で平衡化したプロテインA-セファロース
カラム(Pharmacia,Sweden)を用いた親和性クロマトグラフィーで、イムノアドヘ
ジン(immunoadhesin)を精製した。イムノアドヘジンを吸着させてから、このカ
ラムを0.05Mクエン酸ナトリウム緩衝液pH8で洗浄した。カラムに吸着している
このタンパク質を、0.05Mクエン酸ナトリウム緩衝液pH3で溶出した。イムノア
ドヘジンの分解を抑制するために、全分画を2M Tris-HCl,pH8で中和し、そしてR
PMI培地に対して透析した。SDS-PAGE分析を行い、次にゲルを硝酸銀染色して、
イムノアドヘジンが純粋に精製されたことを確認した。ポリエステルスルホン膜
(Filtron,Northborough,MA)を用いた限外濾過で濃縮して、これらのイムノア
ドヘジンのMHCクラスII陽性Daudi細胞との結合を、免疫蛍光によって直接に分析
した。
実施例
1.LAG-3変異体:R73E,R75A,R75E及びR76Eの作成
LAG-3分子の全長をコードする1620bpのEco47III-BgIII断片(FDCと呼ぶ)(Trieb
el et al.,1990)に、BstXI連結領域(リンカー)を付加してから、これを、BstX
Iで切断して直線化した発現ベクターpCDM8に挿入した(図1)。LAG-3遺伝子が
サイトメガロウイルス
のプロモーター調節下に位置する本プラスミド、及びLAG-3遺伝子が逆方向を向
いたプラスミドを選択して、これらを各々pCDM8-LAG-3C及びpCDM8-GALと呼んだ
。
アミノ酸73、75及び76のコドンに点変異を有するDNA断片を、表1のプライマ
ーOUと、表1のプライマーR73E、R75A、R75E又はR76E(相補鎖)の中の1つとを
用いて、PCRで増幅して得た。希望した変異を有するDNA断片を制限酵素EspI及び
SfanIで切断し、アガロースゲル電気泳動で、これらの多様な変異EspI-SfanI断
片(103bp)を精製した(図2及び3)。
これと平行して、pCDM8-LAG-3を、XhoIとSfanIで、又はEspIとNotIで切断した
。LAG-3 cDNAの5'部分を含んでいるXhoI-SfanI断片(246bp)、LAG-3 cDNAの3'
部分を含んでいるEspI-XhoI断片(1362bp)、及びpCDM7を含んでいるXhoI-NotI断
片(3900bp)を精製し、そしてこれらを、4つの変異EspI-SfanI断片(103bp)の1
つと共に連結した。
各変異体の配列を有しているプラスミドを選択した。各変異体のPCR増幅断片
部分のヌクレオチド配列を決定して、アミノ酸73、75及び76のコドンに点変異が
存在していることを確認した。
表1
表1は、アミノ酸73、75及び76のコドンに点変異を導入するために用いるプラ
イマーの5'→3'ヌクレオチド配列を示している。
変異させたコドンを下線で示す。このコドンの相補鎖配列(3'→5')、及び修
飾によって生じた新しいアミノ酸も示している。
参考のために、LAG-3の天然配列に基づくアミノ酸配列とその位置を示す。
当業者に周知の同様な方法によって、表2の他のLAG-3変異体を
作成した。
2.細胞接着検査によるLAG-3変異体の分析
参照したアミノ酸残基の番号は、本成熟タンパク質のN-末端からの配列に基づ
く。外部ループ、CD1、2及び3ドメインなどの領域を網羅するように、指摘し
た置換を行った。部位特異的変異誘発によって、LAG-3分子に単一アミノ酸置換
を導入した(例外として、二重変異D133A/R134A及び外部ループ54〜66の欠失変
異がある)。一般的には、置換対象のアミノ酸は、アラニンで置換された。その
他の置換は、疎水性、水素結合基、又は荷電を保存又は改変するように行われた
。
得られた変異体を細胞接着検査で分析した。この系では、LAG-3の変異体及び
野生型を、サルウイルスSV40で形質転換したサルのCOS7細胞で発現させ、そして
それらがクラスII分子を発現しているDaudi細胞へ結合する能力を検査する(2)。
検査毎に、細胞表面における発現量が異なるので、実験毎に、各変異体の発現量
を決定し、そして野生型LAG-3の発現量と比較した。大抵の場合、細胞表面にお
ける各変異体タンパク質の発現、及びその構造の完全性を、モノクローナル抗体
17B4、11E3及び15A9を用いた活性化細胞の蛍光分析(FACS)によって確認した。実
際には、大部分の変異は、モノクローナル抗体の結合レベルに影響を与えなかっ
た。外部ループの頂上(54/66)の欠失は、エピトープLAG-3.2(抗体11E3のエピト
ープ)及びLAG-3.1(抗体17B4のエピトープ)を、各々部分的及び完全に破壊し
た。LAG-3の点変異体R73E,,H56F及びH56Aに対する前記モノクローナル抗体の反
応性の欠失から、前記エピトープには、部分的に、各々アミノ酸残基R73及びH56
が含まれていることが証明された。仮に抗体結合の減少又は欠失が、単一の抗体
に限定されるならば、この効果は、認識される残基の変異の直接的な結果として
解釈さ
れるが、そうでなければ、その効果は、本分子の大きな構造変化のためと考えら
れる。
各LAG-3変異体がクラスII分子陽性Daudi細胞に結合する能力を、細胞接着の定
量検査によって決定した(図2参照)。野生型LAG-3をトランスフェクションし
たCOS細胞にDaudi細胞を添加すると、特徴的な集塊が形成され(2)、そのロゼッ
ト形成を顕微鏡で分析した。接着させた後に、抗LAG-3抗体を用いたペルオキシ
ダーゼ免疫染色を行って観察したところ、この(Daudi)B細胞の結合は、LAG-3陽
性のCOS7細胞に限定された。更に、LAG-3変異体の発現レベルを、各実験毎に、
モノクローナル抗体15A9を用いた免疫蛍光によって決定した(エピトープLAG-3.
3は本変異によって影響を受けない)。各実験において、LAG-3変異体又は野生型
のcDNAをトランスフェクションした細胞の約50%が、その分子を発現した。大抵
の場合、LAG-3変異体分子の発現は、野生型分子の発現と同等なレベルであった
ので、Daudi細胞の前記変異体との結合と、野生型LAG-3との結合とを直接比較す
ることができた。LAG-3変異体へのDaudi細胞の結合を、51Crで標識したBリンパ
球を用いて、3回の独立した実験にて定量分析した。これらの実験の1つの結果
を図4に示す。変異体R103A及びR88Aは、Daudi細胞に弱く結合する。反対に、75
番目の陽帯電性アミノ酸をアラニンで置換すると(R75A)、結合は増強する。 表2は、51Crで標識したDaudi B細胞とLAG-3変異体を発現したCOS7細胞との結
合レベルを示す。D225L以外の全ての変異は、ドメイン1に誘発されている。ト
ランスフェクションコントロール細胞との非特異的結合値を、平均実験値(cpm)
から差し引いていないので、本実験値を、野生型LAG-3を用いて得られた値との
相対値として、GAL(逆方向にLAG-3が挿入されたpCDM8)をトランスフェクション
したコントロール細胞で測定された背景ノイズ値と比較する必要がある。LAG-3
変異体の発現レベルを、野生型LAG-3の発現レベルと比較した。これは、モノク
ローナル抗体15A9の反応性の測定によって行った。このモノクローナル抗体の相
対的な反応性を、次の通りに決定した:+:1〜0.6;+/-:0.2〜0.6;-:0〜0.2。
3.クラスII分子との結合の減少は、細胞表面におけるLAG-3変異体の発現減少
の結果ではない。
野生型LAG-3の発現レベルと同程度に発現されたLAG-3変異体分子を用いて、ク
ラスII分子が発現しているDaudi細胞との結合能を検査した。この場合のロゼッ
トの形成及び1分間あたりのカウントを測定して、野生型LAG-3を用いた場合の
値と比較した。しかし、変異体D30A,,H56A,,Y77F及びR115A、並びに欠失変異(
D2)-及び(54/66)-の発現レベルは、野生型LAG-3分子の発現レベルより低かった
。従って、LAG-3の発現レベルの違いに起因するであろうMHCクラスII分子との結
合に対する影響の可能性を排除することができる実験を行って、これらの変異体
について再調査した。これらの実験では(図5参照)、野生型LAG-3の発現レベ
ルを、種々の量のDNAをトランスフェクションすることによって調節して、LAG-3
変異体の様々な発現レベルに対応させた。前記の6つの各変異体を用いた場合、
その結合量(cpm)は、同等レベルの野生型LAG-3が発現された細胞を用いた場合に
比べて、40%少なかった。本実験では、未
処理の実験値を、GALがトランスフェクションされたCOS細胞を用いた場合の背景
ノイズ値(1048cpm)と比較する必要がある。
従って、図5に示すように、結合の減少は、アミノ酸の置換又は断片の欠失の
結果であり、細胞表面における発現の減少の結果ではない。
4.細胞表面のドメイン1及び2上の単一部位の変化の効果
LAG-3の構造上の変異による、LAG-3のクラスII分子との結合に対する影響は、
これまで報告されていない。意外にも、いくつかの変異は、クラスII分子との結
合を減少させたが、他の変異は、LAG-3のクラスII分子との親和性を増加させた
(表2)。変異体Y77F、R88A,,D109E及びR115Aの結合は大きく阻害されたが、
変異体D30A、H56A及びR103の結合は1/2減少した。反対に、変異体R73E,,R75
A、R75E及びR76Eの結合は3倍以上増加した。これらの全ての変異が、外部ルー
プに局在していることから、この領域が、クラスII分子との相互作用にとって重
要であることが示唆される。
LAG-3の外部ループが、クラスII分子との結合に深く関わっていることを支持
する別の論拠は、変異体H56Aの分析から得られた。この変異体の結合は、少なく
とも1/2減少する(0.45±0.28,ネガティブコントロール0.09±0.06)が、同位
置の置換H56Fでは、結合の変化は認められない。従って、エピトープ17B4の一部
を形成している本残基H56は、クラスII分子と直接接触すると考えられる。この
仮定は、外部ループの頂上が除去された欠失変異(54/66)-は、クラスII分子と結
合しない事実からも支持される。
5.可溶性本タンパク質の短縮型の実験から、MHCクラスII分子との結合にとっ
て、LAG-3のドメイン1及び2が必須であることが判った。
LAG-3の最初の2つのドメインに、クラスII分子との結合部位が
存在するかどうか調べるために、本発明者は、ヒトIgG1のFc断片と、LAG-3の細
胞外ドメインD1及びD2、又はLAG-3の4つの細胞外ドメインとから成る融合タン
パク質(各々LAG-3D1D2Ig又はLAG-3D1D4Igと呼ぶ)を合成した。
このために、ヒトイムノグロブリンのアイソタイプIgG1のFc部分(すなわちCH
2及びCH3領域、並びにヒンジ領域)に融合したCD8の細胞外領域をコードする配
列を含有する2.1kbのDNA断片を、pCDM7に挿入して、プラスミドpCDM7-CD8-IgG1
(図6)を作成した。
LAG-3の細胞外ドメイン(4つのドメイン)をコードするDNA断片を、制限部位
を含んだ以下の2つのヌクレオチドプライマーを用いた「ホットスタート」PCR
法(Ampliwax PCR Gem 100 kit,Perkin Elmer Cetus)によって、クローニングし
た:(XhoI制限部位(点線部分)及びLAG-3遺伝子の翻訳開始コドン(実線部分)ま
での5'側の短い非コード配列を含んでいる)
(BglII制限部位(点線部分)及びLAG-3分子の残基405-412のコドンを含んでい
る)。
増幅したDNA断片をXhoIとBglIIで切断し、これを、BamHIとXhoIで切断したpCD
M7-CD8-IgG1に、CD8の細胞外領域をコードする配列の代わりに挿入した(図6)
。従って、LAG-3の最初の412アミノ酸の配列とヒトIgG1のFc部分の配列から成る
キメラ遺伝子ができた。このキメラ遺伝子は、作成されたプラスミドpCDM7-LAG-
3D1D4Igに含まれ、サイトメガロウイルスプロモーターの調節下にある。確認の
ために、このキメラ遺伝子のヌクレオチド配列を決定した。
LAG-3の最初の2つのドメインをコードするDNA断片を増幅して、前記のpCDM7-
CD8-IgG1に挿入した。ただしこの際に、2番目のプライマーとして、以下の配列
を用いた:
(BglII制限部位(点線部分)及びアミノ酸232-239のコドンを含んでいる)。こ
の組換えによってできたプラスミドpCDM7-LAG-3D1D2Igには、IgG1のFc部分をコ
ードする配列に融合されたLAG-3の最初の239アミノ酸をコードする配列が含まれ
る(図6)。
これらの融合分子LAG-3D1D2Ig及びLAG-3D1D4Igを、COS細胞を用いて一過性に
発現させ、プロテインA-セファロースカラムの親和性クロマトグラフィーによっ
て精製した。
LAG-3D1D2IgのクラスII分子陽性Daudi細胞との結合は、LAG-3D1D4Igの結合、
又は抗クラスII分子モノクローナル抗体の結合の場合と同程度に強かった。従っ
て、クラスII分子と結合するためには、エキソン2、3及び4によってコードさ
れる構造(Ig様ドメイン1及び2)があれば十分である。更に、エキソン4(Ig
様ドメインD2)の欠失によって、Daudi細胞と形質転換COS7細胞との間のロゼッ
ト形成が、そのCOS7細胞表面上にD1が適切に発現しているにも関わらず、阻害さ
れた。これらのデータから、D2ドメインは、LAG-3とクラスII分子との結合か、
又はクラスII分子との結合の際にD1を適切に配置することに関与することが示唆
される。
また、これらの実験結果から、本発明のLAG-3変異体は、都合が良いことに、D
1とD2ドメインに相当する可溶性LAG-3の短縮型変異体に対応し得ると結論される
。
6.2タイプのネガティブ変異体の同定
この実験において、本発明者は、3つのネガティブ変異体が、明
らかに、クラスII分子との直接的な相互作用よりも、LAG-3分子の多量体化に関
与していることを示した。LAG-3の多量体化は、明らかにMHCクラスII分子との結
合を安定化するために必要であったので、最終的には同一の結果(ロゼット数の
減少)が導かれた。本発明者は、細胞表面上でのLAG-3分子の多量体化が、LAG-3
とクラスII分子との相互作用を増加させ、その結果その複合体が安定化すると仮
定して、この実験を始めた。従って、もしクラスII分子との結合の安定化にとっ
てLAG-3の多量体化が必要であるならば、クラスII分子との結合を減少させるあ
る種のLAG-3変異体と野生型LAG-3とを共にトランスフェクションした場合、野生
型分子と変異体分子とが同一の多量体に組み込まれると仮定すると、この変異体
によって、野生型分子のクラスII分子との結合能も阻害されるだろうと考えられ
た。
本発明者は、LAG-3分子の側面(βABED鎖)に位置する3つの変異R88A、D109E
及びR115Aが、ドミナント・ネガティブな変異であり、これらの変異体によって
、それのMHCクラスII分子との結合が抑制されるだけではなく、野生型LAG-3のク
ラスII分子との結合も阻害されることを見出した。この阻害は、トランスフェク
ションしたLAG-3変異体のDNAの量に依存する(図8b)。反対に、他のネガティブ
変異、すなわちLAG-3のD1ドメインの頂上に位置する残基の変異であるY77F及びR
103Aでは、野生型分子のMHCクラスII分子との結合に対する阻害的な効果は認め
られなかった。実際、(Y77F+wt)及び(R103A+wt)の場合のカウント数(cpm)は、wt
単独の場合よりも高かった。ただしこの場合、これらの発現された変異体タンパ
ク質は、たとえ弱くてもMHCクラスII分子と結合することができると仮定される
。
これらのトランスフェクション実験では、用いた変異体DNA対野
生型DNAの量比は、4対1とした。
参考文献
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07K 19/00 C12P 21/02 C
C12N 5/10 C12N 5/00 B
C12P 21/02 A61K 37/02
//(C12P 21/02
C12R 1:91)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
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SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP
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LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M
W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD
,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,
TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(71)出願人 アプライド リサーチ システムズ エー
アールエス ホールディング ナームロゼ
フェンノートシャップ
オランダ領アンチル,クラカオ,ピー.オ
ー.ボックス 3889,ジョン アール.ゴ
ルシラウェヒ 6
(72)発明者 エル タヤール,ナビル
アメリカ合衆国,マサチューセッツ
02186,ミルトン,ジェラルド ロード
143
(72)発明者 マストランジェリ,レナート
イタリア国,イ―00146 ローマ,ビア
ペスカイア 93
(72)発明者 カール,ベルトラン
フランス国,エフ―94240 ライ レ ロ
ーズ,アブニュ フルケ,21
(72)発明者 トリベル,フレデリク
フランス国,エフ―78000 ベルサイユ,
リュ サン ルイ,10