JP2001237187A - 結晶質シリコン系半導体薄膜の製造方法 - Google Patents

結晶質シリコン系半導体薄膜の製造方法

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silicon
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semiconductor thin
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Keiji Okamoto
圭史 岡本
Masashi Yoshimi
雅士 吉見
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温プラズマCVD法で形成する結晶質シリ
コン系半導体薄膜の成膜速度を高速化することによっ
て、その生産効率を高めるとともにその膜特性をも改善
する。 【解決手段】 結晶質シリコン系半導体薄膜の製造方法
は、そのシリコン系薄膜をプラズマCVD法で堆積する
条件として:基板に対向して反応ガスを吹出すプラズマ
放電電極が配置され、その電極に含まれる複数のガス放
出穴の各々はガス導入側に比べてガス放出側において大
きな断面直径を有し;反応室内のガス圧は5Torr以
上であり;反応ガスは主要成分としてシランガスと水素
ガスを含み;そしてシリコン系薄膜の堆積速度が1μm
/h以上であることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体薄膜の製造方
法に関し、特に、結晶質シリコン系(シリコン合金を含
む)半導体薄膜の低コスト化と特性改善に関するもので
ある。なお、本明細書において、「結晶質」と「多結
晶」と「微結晶」の用語は、シリコン系薄膜の技術分野
において一般に用いられているように、部分的に非晶質
状態を含むものをも意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】現在では、プラズマCVD法が、種々の
半導体薄膜を形成するためしばしば利用されている。代
表的な例としては、薄膜太陽電池、電子写真コピー機の
感光ドラム、液晶ディスプレイのTFTアレイなどに必
要とされるシリコン系薄膜がプラズマCVD法を利用し
て形成されている。ここで薄膜光電変換装置を例にとれ
ば、それは一般にpin接合を含み、光電変換作用は実
質的に真性の半導体層であるi層において主として生じ
る。そして、電界を生じさせるための導電型層であるp
層とn層はi層に比べてはるかに薄いものであり、薄膜
光電変換装置の性能はi層の特性によって著しい影響を
受ける。したがって、一般に、p層とn層が非晶質か結
晶質かに拘らず、i層が非晶質の場合には非晶質系
(型)薄膜光電変換装置と称され、i層が結晶質の場合
には結晶質系(型)薄膜光電変換装置と称される。
【0003】ところで、薄膜光電変換装置の代表的なも
のとして非晶質シリコン系太陽電池がある。非晶質光電
変換材料は通常200℃前後の低い成膜温度の下でプラ
ズマCVD法によって形成されるので、ガラス,ステン
レス,有機フィルム等の安価な基板上に形成することが
でき、低コストの光電変換装置のための有力材料として
期待されている。また、非晶質シリコンにおいては可視
光領域での吸収係数が大きいので、500nm以下の薄
い膜厚の非晶質光電変換層を用いた太陽電池において1
5mA/cm2 以上の短絡電流が実現されている。
【0004】しかし、非晶質シリコン系材料では、Steb
ler-Wronskey効果と呼ばれるように、光電変換特性が長
期間の光照射によって低下するなどの問題を抱えてお
り、さらにその有効感度波長領域が800nm程度まで
である。したがって、非晶質シリコン系材料を用いた光
電変換装置においては、その信頼性や高性能化には限界
が見られ、基板選択の自由度や低コストプロセスを利用
し得るという本来の利点が十分には生かされていない。
【0005】これに対して、近年では、たとえば多結晶
シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコンを含
む半導体薄膜を利用した光電変換装置の開発が精力的に
行なわれている。これらの開発は、安価な基板上に低温
プロセスで良質の結晶質シリコン薄膜を形成することに
よって光電変換装置の低コスト化と高性能化を両立させ
るという試みであり、太陽電池だけでなく光センサ等の
さまざまな光電変換装置への応用が期待されている。
【0006】これらの結晶質シリコン薄膜の形成方法と
しては、たとえばCVD法やスパッタリング法にて基板
上に直接堆積させるか、同様のプロセスで一旦非晶質膜
を堆積させた後に熱アニールやレーザアニールを行なう
ことによって結晶化を図るなどの方法があるが、いずれ
にしても前述のような安価な基板を用いるためには55
0℃以下のプロセスで行なう必要がある。
【0007】そのようなプロセスの中でも、プラズマC
VD法によって直接結晶質シリコン薄膜を堆積させる手
法は、プロセスの低温化や薄膜の大面積化が最も容易で
あり、しかも比較的簡便なプロセスで高品質な膜が得ら
れるものと期待されている。このような手法で多結晶シ
リコン薄膜を得る場合、結晶質を含む高品質シリコン薄
膜を何らかのプロセスで一旦基板上に形成した後に、こ
れをシード層または結晶化制御層としてその上に成膜を
することによって、比較的低温でも良質の多結晶シリコ
ン薄膜が形成され得る。
【0008】一方、水素でシラン系原料ガスを10倍以
上希釈しかつプラズマ反応室内圧力を10mTorr〜
1Torrの範囲内に設定してプラズマCVD法で成膜
することによって、微結晶シリコン薄膜が得られること
はよく知られており、この場合には200℃前後の温度
でもシリコン薄膜が容易に微結晶化され得る。たとえ
ば、微結晶シリコンのpin接合からなる光電変換ユニ
ットを含む光電変換装置がAppl, Phys, Lett., Vol 65,
1994, p.860に記載されている。この光電変換ユニット
は、簡便にプラズマCVD法で順次積層されたp型半導
体層、光電変換層たるi型半導体層およびn型半導体層
からなり、これらの半導体層のすべてが微結晶シリコン
であることを特徴としている。ところが、高品質の結晶
質シリコン膜、さらには高性能のシリコン系薄膜光電変
換装置を得るためには、従来の製法や条件の下ではその
成膜速度が厚さ方向で0.6μm/hrに満たないほど
遅く、非晶質シリコン膜の場合と同程度かもしくはそれ
以下でしかない。
【0009】他方、低温プラズマCVD法で比較的高い
5Torrの圧力条件の下でシリコン膜を形成した例
が、特開平4−137725に記載されている。しか
し、この事例はガラス等の基板上に直接シリコン薄膜を
堆積させたものであり、特開平4−137725に開示
された発明に対する比較例であって、その膜の品質は低
くて光電変換装置へ応用できるものではない。
【0010】また、一般にプラズマCVD法の圧力条件
を高くすれば、プラズマ反応室内にパウダー状の生成物
やダストなどが大量に発生する。その場合、堆積中の膜
表面にそれらのダスト等が飛来して堆積膜中に取り込ま
れる危険性が高く、膜中のピンホールの発生原因とな
る。そして、そのような膜質の劣化を低減するために
は、反応室内のクリーニングを頻繁に行なわなければな
らなくなる。特に、550℃以下のような低温条件で成
膜する場合には、反応室圧力を高くした場合のこれらの
問題が顕著となる。しかも、太陽電池のような光電変換
装置の製造においては、大面積の薄膜を堆積させる必要
があるので、製品歩留りの低下や成膜装置維持管理ため
の労力およびコストの増大という問題を招く。
【0011】したがって、シリコン系薄膜をプラズマC
VD法を用いて製造する場合には、上述のように従来か
ら通常は1Torr以下の圧力条件が用いられている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前述のような結晶質シ
リコン系半導体薄膜を含む光電変換装置においては、以
下のような問題がある。すなわち、多結晶シリコンであ
ろうと部分的に非晶質相を含む微結晶シリコンであろう
と、太陽電池の光電変換層として用いる場合には、結晶
質シリコンの吸収係数を考えれば、太陽光を十分に吸収
させるためには少なくとも数μmから数十μmもの膜厚
が好ましい。これは、非晶質シリコン光電変換層の場合
に比べれば1桁弱から2桁も厚いことになる。
【0013】しかるに、これまでの技術によれば、プラ
ズマCVD法によって低温で良質の結晶質シリコン系半
導体薄膜を得るためには、温度,反応室内圧力,高周波
パワー,ならびにガス流量比というような種々の成膜条
件パラメータを検討しても、その成膜速度は非晶質シリ
コン膜の場合と同程度もしくはそれ以下であって、たと
えば0.6μm/hr程度にしかならなかった。この問
題を言い換えれば、結晶質シリコン薄膜光電変換層は非
晶質シリコン光電変換層の何倍から何10倍もの成膜時
間を要することになり、光電変換装置の製造工程のスル
ープットの向上が困難となって低コスト化の妨げとな
る。
【0014】上述のような従来技術の課題に鑑み、本発
明の目的は、低温プラズマCVD法で形成する結晶質シ
リコン系半導体薄膜の成膜速度を高めて製造工程のスル
ープットを向上させ、かつそのシリコン系薄膜の特性を
改善させることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明による結晶質シリ
コン系半導体薄膜の製造方法においては、基板上にその
シリコン系薄膜をプラズマCVD法で堆積する条件とし
て:プラズマ反応室内において第1の電極上に基板が配
置され;その基板に対向して第2の電極が配置され;第
2電極はシリコン系薄膜を堆積するための反応ガスを基
板に向けて放出するために複数のガス放出穴を有し;そ
れらのガス放出穴の各々はガス導入側に比べてガス放出
側において大きな断面直径を有し;反応室内の反応ガス
圧は5Torr以上にされ;反応ガスは主要成分として
シランガスと水素ガスを含み;そして、シリコン系薄膜
の堆積速度が1μm/h以上であることを特徴としてい
る。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の1つの実施の形
態により製造される結晶質シリコン系半導体薄膜を含む
薄膜光電変換装置を模式的な斜視図で図解している。こ
の光電変換装置の基板101にはステンレス等の金属、
有機フィルム、または低融点の安価なガラス等が用いら
れ得る。
【0017】基板101上の裏面電極110は、下記の
薄膜(A)と(B)のうちの1以上を含み、たとえば蒸
着法やスパッタリング法によって形成され得る。 (A) Ti,Cr,Al,Ag,Au,CuおよびP
tから選択された少なくとも1以上の金属またはこれら
の合金からなる層を含む金属薄膜。 (B) ITO,SnO2 およびZnOから選択された
少なくとも1以上の酸化物からなる層を含む透明導電性
薄膜。
【0018】裏面電極110上には光電変換ユニット1
11の内の1導電型半導体層104がプラズマCVD法
にて堆積される。この1導電型半導体層104として
は、たとえば導電型決定不純物原子であるリンが0.0
1原子%以上ドープされたn型シリコン層、またはボロ
ンが0.01原子%以上ドープされたp型シリコン層な
どが用いられ得る。しかし、1導電型半導体層104に
関するこれらの条件は限定的なものではなく、不純物原
子としてはたとえばn型層のための窒素等やp型層のた
めのアルミニウム等を用いてもよく、またシリコンカー
バイドやシリコンゲルマニウムなどの合金材料を用いて
もよい。1導電型シリコン系薄膜104は、多結晶,微
結晶,または非晶質のいずれでもよく、その膜厚はたと
えば2〜150nmの範囲内に設定され得る。
【0019】結晶質シリコン系薄膜の光電変換層105
としては、ノンドープのi型多結晶シリコン薄膜や体積
結晶化分率80%以上のi型微結晶シリコン薄膜、また
は微量の不純物を含む弱p型もしくは弱n型で光電変換
効率を十分に備えているシリコン系薄膜材料が使用され
得る。また、光電変換層105はこれらの材料に限定さ
れず、シリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等の
合金材料を用いてもよい。光電変換層105の膜厚は
0.5〜10μmの範囲内にあり、結晶質シリコン薄膜
光電変換層として必要かつ十分な膜厚を有している。
【0020】結晶質シリコン系光電変換層105の成膜
は、平行平板電極型プラズマCVD法で行なわれ、周波
数が150MHz以下でHF帯からVHF帯までの高周
波電源が用いられ得る。なお、これらのプラズマCVD
法における結晶質シリコン系光電変換層105の成膜温
度は、上述した安価な基板が使用され得る550℃以下
である。
【0021】結晶質シリコン系薄膜光電変換層105の
堆積時において、プラズマCVD反応室内で一方の電極
上に装着された基板とその基板に対向する電極との距離
は8〜30mmの範囲内に設定され、反応室内圧力が5
Torr以上に設定される。また、そのときの高周波パ
ワー密度は40mW/cm2以上であることが好まし
い。さらに、反応室内に導入されるガスの主成分として
シラン系ガスと水素ガスを含み、かつシラン系ガスに対
する水素ガスの流量比は40倍以上にされることが好ま
しい。シラン系ガスとしてはモノシラン,ジシラン等が
好ましいが、これらに加えて四フッ化ケイ素,四塩化ケ
イ素,ジクロルシラン等のハロゲン化ケイ素ガスを用い
てもよい。また、これらに加えて希ガス等の不活性ガ
ス、好ましくはヘリウム,ネオン,アルゴン等を用いも
よい。以上のような結晶質シリコン系光電変換層105
の形成条件において、その成膜速度が1μm/時以上に
され得る。
【0022】この結晶質シリコン系薄膜105に含まれ
る結晶粒の多くは、下地層104から上方に柱状に延び
て成長している。これらの多くの結晶粒は膜面に平行に
(110)の優先結晶配向面を有し、そのX線回折で求
めた(220)回折ピークに対する(111)回折ピー
クの強度比は1/5以下であり、1/10以下であるこ
とが好ましい。なお、下地層である1導電型層104の
表面形状が実質的に平面である場合でも、光電変換層1
05の形成後のその表面にはその膜厚よりも約1桁ほど
小さい間隔の微細な凹凸を有する表面テクスチャ構造が
形成される。また、得られる結晶質シリコン系薄膜10
5は、2次イオン質量分析法により求められる水素含有
量が0.1原子%以上で20原子%以下の範囲内にある
ことが好ましい。
【0023】本発明における結晶質シリコン系薄膜10
5の形成方法では、従来の1Torr以下の圧力条件に
比べて高圧力が用いられるので、膜中のイオンダメージ
が極力低減できる。したがって、成膜速度を速めるため
に高周波パワーを高くしたりガス流量を増加させても、
堆積膜表面でのイオンダメージが少なくて、良質の膜が
高速度で形成され得る。また、高圧力条件で成膜を行な
えば反応室内のパウダー生成による汚染が懸念される
が、原料ガスが水素のような高熱伝導性ガスで従来に比
べて多量に希釈されているので、このような問題も起こ
りにくい。
【0024】さらに、以下のような理由により、本発明
では、従来法の場合に比べて高品質の結晶質シリコン系
薄膜105が得られる。まず、成膜速度が速いので、反
応室内に残留している酸素や窒素等の不純物原子が膜中
に取り込まれる割合が減少する。また、膜成長初期にお
ける結晶核生成時間が短いために相対的に核発生密度が
減少し、大粒径で強く結晶配向した結晶粒が形成されや
すくなる。さらに、高圧力で成膜すれば、結晶粒界や粒
内の欠陥が水素でパッシベーションされやすく、それら
の欠陥密度も減少する。
【0025】図2において、上述のような結晶質シリコ
ン系薄膜105を形成するために好ましく用いられ得る
プラズマCVD装置の一例が、模式的な断面図で図解さ
れている。このプラズマCVD装置においては、反応室
221内にプラズマ228を生じさせるために、下方の
放電電極222と上方の電極223が設けられている。
これらの互いに上下に対向する2つの電極222,22
3は少なくとも一方が上下方向、水平方向および/また
は傾斜方向に可動であり、相互の間隔を縮小することも
拡大することもできる。
【0026】基板101はバルブ(図示せず)を備えた
出入口225を介して反応室221内に導入され、上方
の電極223上に装着され得る。このとき、電極223
へ基板を装着することを容易にするために、両電極22
2,223の間隔が拡大される。下方の電極222は反
応ガス226を導くように中空にされており、その上面
は基板101に向けて反応ガスを吹き出すために複数の
ガス吹出し穴を有している。これらのガス吹出し穴とし
て、一般には一定の断面直径を有する円筒状穴が用いら
れるが、本発明においては、ガス導入側に比べてガス放
出側において大きな断面直径を有する末広ノズル状穴が
用いられる。上方の電極223上に基板101が装着さ
れれば、基板101と対向電極222との間隔が8〜3
0mmの範囲内の距離に設定される。反応室221の内
部は、排気流路227を介して真空引きされるととも
に、対向電極222の末広ノズル状穴から反応ガスが供
給され、それによって所定の反応ガス圧に保持され得
る。
【0027】一般に、通常の円筒状ガス吹出し穴を有す
る対向電極が用いられる場合、プラズマ放電を維持する
ために必要なガス圧と基板電極間距離とは逆の関係にあ
り、ガス圧が小さいときには基板電極間距離を比較的大
きくしなければならず、逆にガス圧が大きいときには基
板電極間距離を小さくしなければならない。たとえば、
通常の円筒状ガス吹出し穴を有する対向電極を用いる場
合には、5Torr以上の反応ガス圧の下では基板電極
間距離を10mm以下の狭い距離に設定しなければなら
ない。このように狭い基板電極間距離の下においては、
限られた狭い領域においてプラズマが発生するので、シ
リコン粉体が多く発生する可能性がある。また、そのよ
うに狭い基板電極間距離の下においては反応ガスの流れ
や濃度の均一性を維持することが困難になり、大きな面
積の光電変換装置においては、その光電変換特性に場所
的なばらつきを生じやすくなる。
【0028】他方、本発明におけるように対向電極22
2が末広ノズル状ガス吹出し穴を有する場合、5Tor
r以上のガス圧の下においても、8〜30mmのように
広範囲内の基板電極間距離によって放電を維持すること
が可能になる。すなわち、末広ノズル状ガス吹出し穴を
有する対向電極を用いる場合、通常の円筒状ガス吹出し
穴を有する対向電極を用いる場合に比べて、基板電極間
距離を大きく設定することができる。したがって、本発
明におけるように末広ノズル状ガス吹出し穴を有する対
向電極を用いることによって、高い反応ガス圧の下にお
いてもシリコン粉体の発生を低減させることができ、ま
た、大きな受光面積を有する光電変換装置においても場
所的な特性のばらつきを低減させることができる。
【0029】図3は、対向電極222において用いられ
得る末広ノズル状ガス吹出し穴の一例の断面形状を模式
的に図解している。図3に示されているような末広ノズ
ル状ガス吹出し穴において、ガス放出側の断面直径A
は、たとえば1.6〜3.8mmの範囲内に設定され得
る。円錐状部分の開き角Bは約22度の範囲内で設定さ
れ得る。円錐状部分の底部にある短い円筒部の断面直径
Cは約1.1〜1.6mmの範囲内で設定され得る。ガ
ス導入側の円筒部の断面直径Eは、約0.4〜0.7m
mの範囲内で設定され得る。ガス放出側の円錐部と円筒
部のトータル長さFは、約6〜8.4mmの範囲内で設
定され得る。そして、ガス導入側の円筒部の長さGは、
約2〜2.5mmの範囲内で設定され得る。但し、図3
に示されているような断面形状は末広ノズル状ガス吹出
し穴として採用し得るものの一例に過ぎず、他の断面形
状を有する種々の末広ノズル状穴も用いられ得ることは
言うまでもない。
【0030】光電変換層105上には、その下地層10
4とは逆タイプの導電型半導体層106としてのシリコ
ン系薄膜がプラズマCVD法によって堆積される。この
逆導電型シリコン系薄膜106としては、たとえば導電
型決定不純物原子であるボロンが0.01原子%以上ド
ープされたp型シリコン薄膜、またはリンが0.01原
子%以上ドープされたn型シリコン薄膜などが用いられ
得る。しかし、逆導電型半導体層106についてのこれ
らの条件は限定的なものではなく、不純物原子としては
たとえばp型のためのアルミニウム等やn型のための窒
素等を用いてもよく、またシリコンカーバイドやシリコ
ンゲルマニウム等の合金材料の膜を用いてもよい。この
逆導電型シリコン系薄膜106は、多結晶,微結晶,ま
たは非晶質のいずれでもよく、その膜厚は2〜150n
mの範囲内に設定され得る。
【0031】光電変換ユニット111上には、ITO,
SnO2,ZnO等から選択された少なくとも1以上の
層からなる透明導電性酸化膜107が形成され、さらに
この上にグリッド電極としてAl,Ag,Au,Cu,
Pt等から選択された少なくとも1以上の金属またはこ
れらの合金の層を含む櫛形状の金属電極108がスパッ
タリング法または蒸着法によって形成され、これによっ
て図1に示されているような光電変換装置が完成する。
【0032】なお、図1は本発明による製造方法が適用
され得るシリコン系薄膜光電変換装置の1つを例示して
いるだけであって、本発明は、図1に示されているよう
な結晶質光電変換層を含む少なくとも1つの結晶系薄膜
光電変換ユニットに加えて、周知の方法で形成される非
晶質光電変換層を含む少なくとももう1つの非晶質系薄
膜光電変換ユニットをも含むタンデム型光電変換装置に
も適用し得ることは言うまでもない。
【0033】たとえば図4の模式的な斜視図に示される
ているように、本発明の他の実施の形態として、ガラス
基板側から光が入射されるタイプのタンデム型シリコン
系薄膜光電変換装置が製造され得る。図4の光電変換装
置においては、まず透明基板401上に図1中の透明導
電層107に対応する層407が形成され得る。そし
て、この透明導電層407上には、第1の光電変換ユニ
ット412,第2の光電変換ユニット411,および裏
面電極410が積層される。第1の光電変換ユニット4
12は非晶質系光電変換ユニットであり、順次積層され
た第1導電型の微結晶または非晶質のシリコン系薄膜4
15,実質的に真性半導体の非晶質シリコン系薄膜光電
変換層414,および逆導電型の微結晶または非晶質の
シリコン系薄膜413を含んでいる。第1光電変換ユニ
ット412上には、図1中の複数の層102〜106に
それぞれ対応する複数の層402〜406が積層順序を
逆にして堆積される。このとき、図4中の各層402〜
406は、図1中の対応する各層102〜106に準じ
て同様に形成され得る。
【0034】以上述べたシリコン系薄膜光電変換装置の
一連の製造工程のうちで、スループットを向上させる上
で従来から最も大きな課題であったのは、大きな膜厚を
必要とする結晶質光電変換層(105,405)の製造
工程であったことは言うまでもない。しかしながら、本
発明によれば、その結晶質光電変換層の成膜速度が大幅
に向上し、しかも、より良質の膜が得られることから、
シリコン系薄膜光電変換装置の高性能化と低コスト化に
大きく貢献することができる。
【0035】
【実施例】以下において、本発明の実施例の製造方法に
よる結晶質シリコン系半導体薄膜を利用し得る薄膜太陽
電池が説明される。
【0036】(実施例1)図1の実施の形態に対応し
て、実施例1としての結晶質シリコン薄膜太陽電池が作
製された。まず、ガラス基板101上に裏面電極110
として、Ti層とAg層を含む金属膜102とその上の
ZnO膜103のそれぞれがスパッタリング法によって
形成された。裏面電極110上には、結晶質光電変換ユ
ニット111が形成された。光電変換ユニット111に
含まれるn層104,i層105,およびp層106
は、それぞれ100nm,2.5μm,および100n
mの厚さに堆積された。
【0037】i層105の堆積時には、末広ノズル状ガ
ス吹出し穴を複数有する対向電極が用いられ、基板電極
間距離は11mmに設定された。末広ノズル状ガス吹出
し穴を有する対向電極が用いられる場合、基板電極間距
離が10mm以上であってもプラズマ放電を維持し得る
反応室圧力を高めることができ、9.5Torrに設定
された。反応ガスとしてシランと水素が用いられ、シラ
ンに対する水素の流量は150倍に設定され、13.5
6MHzのRF電源から印加された高周波パワー密度は
99.5mW/cm2であった。このようなプラズマC
VD条件の下において、i層105の堆積速度は1.3
μm/hであった。
【0038】この実施例1の結晶質シリコン薄膜太陽電
池に入射光109としてAM1.5の光を100mW/
cm2の光度で照射したときの出力特性において、開放
端電圧が0.502V、短絡電流密度が25.1mA/
cm2、曲線因子が77.1%、そして変換効率が9.
7%であった。
【0039】(実施例2)実施例2として、実施例1に
類似して結晶質シリコン薄膜太陽電池が作製された。こ
の実施例2において、結晶質シリコン光電変換層105
の成膜条件が変更されたことを除けば、他の層の成膜条
件やデバイス構造は実施例1の場合と全く同じであっ
た。すなわち、実施例2においては、反応室圧力が5.
0Torrであり、基板電極間距離が15mmに設定さ
れた。そして、シランに対する水素の流量は79倍にさ
れ、RFパワー密度は49.7mW/cm2であった。
このプラズマCVD条件において、i層105の堆積速
度は、1μm/hであった。
【0040】実施例2においては実施例1に比べて反応
室圧力が低減されているので基板電極間距離をさらに拡
大することができ、それに伴ってシランに対する水素の
流量比とRFパワー密度を低減することができる。
【0041】この実施例2による結晶質シリコン薄膜太
陽電池に対して実施例1と同じ条件で入射光109を照
射したときの出力特性においては、開放端電圧が0.4
93V、短絡電流密度が23.4mA/cm2、曲線因
子が78.0%、そして変換効率が9.0%であった。
【0042】(実施例3)実施例3として、実施例2に
類似して結晶質シリコン薄膜太陽電池が作製された。こ
の実施例3においては、i層105の成膜時の高周波電
源がHFから40MHzのVHFに変更され、シランに
対する水素の流量が45倍にされたことのみにおいて実
施例2と異なっている。このプラズマCVD条件におい
て、i層105の堆積速度は、2.8μm/hであっ
た。すなわち、放電電極に印加される高周波の周波数を
高めることによって、シランに対する水素の流量比を低
減し得ることがわかる。
【0043】この実施例3の結晶質シリコン薄膜太陽電
池に対して実施例1の場合と同様に入射光109を照射
したときの出力特性においては、開放端電圧が0.47
9V、短絡電流密度が24.4mA/cm2、曲線因子
が75.4%、そして変換効率が8.8%であった。
【0044】(実施例4)図4の実施の形態に対応し
て、実施例4としてのタンデム型シリコン薄膜太陽電池
が作製された。まず、ガラス基板401上に透明電極層
407としてSnO 2膜がCVD法によって形成され
た。透明電極407上には、非晶質光電変換ユニット層
412,結晶質光電変換ユニット層411,および裏面
電極410が積層された。
【0045】非晶質光電変換ユニット412に含まれる
非晶質i層414の堆積条件においては、反応ガスとし
て10sccmのシランが用いられ、0.3Torrの
反応室圧力の下で13.56MHzのRFパワー密度1
5mW/cm2が印加された。そして、非晶質i層41
4は、0.25μmの厚さに堆積させられた。
【0046】非晶質光電変換ユニット412上に積層さ
れる結晶質光電変換ユニット411とに含まれる複数の
層404〜406は、それらに対応する実施例1の複数
の層104〜106の形成条件と同じ条件の下で形成さ
れた。結晶質光電変換ユニット411上には、裏面電極
410としてITO膜403とAg膜402が積層され
た。
【0047】この実施例4のタンデム型シリコン薄膜太
陽電池に対して入射光409としてAM1.5の光を1
00mW/cm2の光量で照射したときの出力特性にお
いて、開放端電圧が1.37V、短絡電流密度が11.
6mA/cm2、曲線因子が74.9%、そして変換効
率が11.9%であった。
【0048】(実施例5)実施例5として、実施例4に
類似したタンデム型シリコン薄膜太陽電池が作製され
た。この実施例5においては、結晶質光電変換層405
が実施例2の結晶質光電変換層105と同じ条件の下で
形成されたことのみにおいて実施例4と異なっている。
【0049】この実施例5のタンデム型薄膜太陽電池に
対して実施例4と同じ条件で入射光409を照射したと
きの出力特性において、開放端電圧が1.36V、短絡
電流密度が10.6mW/cm2、曲線因子が76.2
%、そして変換効率が11.0%であった。
【0050】(実施例6)実施例6として、実施例5に
類似したタンデム型シリコン薄膜太陽電池が作製され
た。この実施例6においては、結晶質光電変換層405
が実施例3と同じ条件で形成されたことのみにおいて実
施例5と異なっている。
【0051】この実施例6のタンデム型薄膜太陽電池に
対して実施例5と同様に入射光409を照射したときの
出力特性においては、開放端電圧が1.33V、短絡電
流密度が11.1mA/cm2、曲線因子が72.2
%、そして変換効率が10.6%であった。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、安価な
基板上に結晶質シリコン系半導体薄膜をプラズマCVD
法によって低温で形成する際に従来技術に比べて成膜速
度を大幅に向上させることができ、しかも良好な膜質が
得られる。したがって、本発明は、結晶質シリコン系半
導体薄膜を利用する種々の装置の高性能化と低コスト化
の両方に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態による製法によって得ら
れる結晶質シリコン系半導体薄膜を含む光電変換装置の
一例を示す模式的な斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態による製法において用い
られ得るプラズマCVD装置を示す模式的な断面図であ
る。
【図3】 プラズマCVD装置の反応ガス吹出し電極に
おいて好ましく用いられ得る末広ノズル状ガス吹出し穴
の一例を示す模式的な断面図である。
【図4】 本発明のもう1つの実施の形態による製法を
利用して得られるタンデム型薄膜光電変換装置の一例を
示す模式的な斜視図である。
【符号の説明】
101,401 ガラス等の基板、102,402 A
g等の膜、103,403 ZnO,ITO等の膜、1
04,404,413 たとえばn型のシリコン層、1
05,405 結晶質シリコン系光電変換層、106,
406,415たとえばp型のシリコン層、107,4
07 ITO,SnO2等の透明導電膜、108 Ag
等の櫛形電極、109,409 照射光、110,41
0 裏面電極、111,411 結晶質シリコン系光電
変換ユニット、222 反応ガス吹出し電極、223
基板装着用電極、414 非晶質シリコン系光電変換
層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 31/04 X W Fターム(参考) 4G077 AA03 BA04 DB04 DB11 DB16 EA01 EA04 4K030 AA06 AA17 BA29 BA45 CA06 CA17 EA04 FA03 HA04 JA01 JA05 JA09 JA10 JA12 JA16 JA18 KA17 LA16 5F045 AA08 AB03 AB06 AC01 AC02 AC03 AC05 AC16 AC17 AD09 AE21 AE23 AF07 BB07 BB08 BB09 BB12 BB14 BB16 CA13 DA61 EE12 EH05 EH07 EH14 EH19 5F051 AA05 CA02 CA03 CA04 CA07 CA08 CA09 CA16 CA23 CA36 CA37 DA04 DA17 FA02 FA03 FA04 FA06 FA18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶質シリコン系半導体薄膜の製造方法
    であって、 基板上に前記シリコン系薄膜をプラズマCVD法で堆積
    する条件として、 プラズマ反応室内において第1の電極上に前記基板が配
    置され、 前記基板に対向して第2の電極が配置され、 前記第2電極は前記シリコン系薄膜を堆積するための反
    応ガスを前記基板に向けて放出するために複数のガス放
    出穴を有し、 前記ガス放出穴の各々はガス導入側に比べてガス放出側
    において大きな断面直径を有し、 前記反応室内の反応ガス圧は5Torr以上であり、 前記反応ガスは主要成分としてシランガスと水素ガスを
    含み、 そして、前記シリコン系薄膜の堆積速度が1μm/h以
    上であることを特徴とする結晶質シリコン系半導体薄膜
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2電極と前記基板との間隔は0.
    8〜30mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1
    に記載の結晶質シリコン系半導体薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記シラン系ガスに対する前記水素ガス
    の流量比は40倍以上であることを特徴とする請求項1
    または2に記載の結晶質シリコン系半導体薄膜の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記第1と第2の電極間には40mW/
    cm2以上の放電パワーが印加されることを特徴とする
    請求項1から3のいずれかの項に記載の結晶質シリコン
    系半導体薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1と第2の電極間にはHFからV
    HFまでの範囲内の高周波電力が印加されることを特徴
    とする請求項1から4のいずれかの項に記載の結晶質シ
    リコン系半導体薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記シリコン系薄膜は100〜400℃
    の範囲内の下地温度の下で形成され得る体積結晶化分率
    80%以上の結晶質シリコン膜であり、0.1原子%以
    上で20原子%以下の水素を含有し、そして0.5〜1
    0μmの範囲内の膜厚を有していることを特徴とする請
    求項1から5のいずれかの項に記載の結晶質シリコン系
    半導体薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記シリコン系薄膜はその膜面に平行に
    (110)の優先結晶配向面を有し、そのX線回折にお
    ける(220)回折ピークに対する(111)回折ピー
    クの強度比が1/5以下であることを特徴とする請求項
    1から6のいずれかの項に記載の結晶質シリコン系半導
    体薄膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006269931A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Sanyo Electric Co Ltd 光起電力装置
US8053254B2 (en) 2008-05-26 2011-11-08 Mitsubishi Electric Corporation Apparatus for forming thin film and method of manufacturing semiconductor film
JP2018174263A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 株式会社カネカ 光電変換装置

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