JP2002146100A - ハイドロゲル用組成物、ハイドロゲル及びその用途 - Google Patents

ハイドロゲル用組成物、ハイドロゲル及びその用途

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JP2002146100A
JP2002146100A JP2000344759A JP2000344759A JP2002146100A JP 2002146100 A JP2002146100 A JP 2002146100A JP 2000344759 A JP2000344759 A JP 2000344759A JP 2000344759 A JP2000344759 A JP 2000344759A JP 2002146100 A JP2002146100 A JP 2002146100A
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Kunio Shimada
邦男 島田
Nobuyuki Sakamoto
伸行 坂元
Yoshihiro Yano
嘉宏 矢野
Nobuo Fukuda
信雄 福田
Tadahiro Shiroi
忠洋 城井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各種化粧料、医薬品等に利用可能な、疎水性基
含有多糖類誘導体を含有するハイドロゲル、該ハイドロ
ゲルを製造するためのハイドロゲル用組成物、該ハイド
ロゲルを用いた化粧料及び皮膚貼付材、酵素安定化剤及
び安定化組成物、並びに該ハイドロゲルの乾燥被膜を備
える医療用具及び臨床検査機器を提供する。 【解決手段】水系媒体に溶解しうる疎水性基含有多糖類
誘導体(A)と、−(CH2)q−L及び/又は−
((CH2)r−O)q−L(ここで、Lは水素原子、
メチル基又は−C65を示す。qは1〜24の整数を、
rは3〜5の整数を示す。)で示される疎水性基を有す
る、水系媒体に溶解しうる重合体(B)とを含むことを
特徴とするハイドロゲル用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体適合性に優
れ、各種化粧料、医薬品等に利用可能な、疎水性基含有
多糖類誘導体を含有する、常温の水に実質的に溶解する
性質を有するハイドロゲル、該ハイドロゲルを製造する
ためのハイドロゲル用組成物、該ハイドロゲルを用いた
化粧料、皮膚貼付材、該ハイドロゲルの乾燥被膜を備え
る医療用具及び臨床検査機器、前記ハイドロゲルを含む
酵素安定化剤及び安定化組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より疎水性基含有多糖類誘導体は、
油脂類の乳剤として医薬品や化粧品分野などで知られて
いた。 [1]特開昭53−142540号公報には、プルラン
脂肪酸エステルを含有し、肌を刺激することなく、感触
の優れた油溶性仕上化粧料が示されている。 [2]特開昭63−66107号公報には、プルランを
配合してなる油相/水相型または水相/油相型の乳化型
化粧料が示されている。 [3]特開昭63−139105号公報には、プルラン
を配合することを特徴とするしわ伸ばし化粧料が示され
ている。 [4]特開平2−42011号公報には、プルランを含
有することを特徴とする厚さ0.01〜1mmのフィル
ム状メーキャップ化粧料が示されている。 [5]特開平10−182341号公報には、プルラン
脂肪酸エステルを含有するパック化粧料が示されてい
る。
【0003】また、特開昭63−319046号公報や
特開平3−292301号公報等にも疎水性基含有多糖
類誘導体を医薬品分野に用いたものが記載されている。
中でも疎水性基含有多糖類誘導体の一種である多糖類−
ステロール誘導体については、種々の研究がなされ、安
定な高分子ミセル(ミクロハイドロゲル)を形成するこ
とが知られていた(Polymer Preprint
s,Japan Vol.47 No.12(199
8)p3478−3479)。しかし、このものを他の
種類の合成高分子と混合し、産業上利用可能な多目的の
マクロハイドロゲルを形成させることは、これまで行わ
れていない。この疎水性基含有多糖類誘導体が、混合型
のマクロハイドロゲル用組成物の構成成分として特に優
れていることは、これまで知られていなかった。
【0004】疎水性基含有多糖類誘導体ではなく、多糖
類を利用したハイドロゲルとしては、古くからデンプン
系吸水性ポリマーを利用したものが知られている。例え
ば、デンプンにアクリル酸等の合成モノマーをグラフト
重合して、より高分子量のポリマーとし、3次元架橋化
したものが、米国農務省研究所で開発されているが、こ
れらは長期間の保水力に欠け、水に再溶解するような機
能もなかった。また、食品分野では、例えば、脱アシル
型ジェランガムが、カチオン類の存在により強固なゲル
を形成する(ゲルテクノロジー、株式会社サイエンスフ
ォーラム発行、1997年、339〜346頁)ことが
知られているが、これは異種高分子の会合により形成さ
れるハイドロゲルではなく、疎水性基含有多糖類誘導体
により形成されるゲルでもなかった。今日、種々の合成
高分子によるハイドロゲルが、コンタクトレンズ材料
や、化粧品などの原料として広く利用されている。近
年、これらのハイドロゲルには、生体適合性などの物性
が求められるようになり、基礎的研究が盛んである。し
かし、特定の高分子と、疎水性基含有多糖類誘導体と混
合させることにより、常温の水に実質的に溶解するよう
な特徴を持つマクロハイドロゲルを形成させる試みは、
全く行われていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、各種
生体適合性材料、化粧料及び薬剤において好ましい性質
を示す疎水性基含有多糖類誘導体を含有し、実質的に水
溶性であって、より安全性に優れ、しかも、薬物及び生
体高分子等を内包させることが可能で、且つこれらと実
質的に反応する基を有していないハイドロゲル及び該ハ
イドロゲルを簡便な方法で得ることができるハイドロゲ
ル用組成物を提供することにある。本発明の別の目的
は、常温の水に実質的に溶解し、他の化粧料材料や皮膚
に貼付するための接着成分等と実質的に化学反応するこ
となく、疎水性基含有多糖類誘導体の有する、保湿性等
の優れた作用を備える安全性に優れた化粧料及び皮膚貼
付材を提供することにある。本発明の他の目的は、血液
成分不活化、生体物質非吸着性等の生体適合性に優れ、
更には防汚性、保湿性等を付与することができる乾燥被
膜を備える医療用具及び臨床検査機器を提供することに
ある。本発明の他の目的は、長期間安定に酵素活性を保
持することができる酵素安定化剤及び安定化酵素組成物
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した。従来においては、疎水
性基含有多糖類誘導体を含むハイドロゲルを調製するに
あたり、ハイドロゲル微粒子以外のハイドロゲルを得る
には、化学的架橋構造、若しくはそれに準ずる反応性基
を有している重合体を用いなければハイドロゲルを調製
することができなかった。しかし水系媒体に溶解しうる
疎水性基含有多糖類誘導体と、水系媒体に溶解しうる特
定の重合体とを用いることによって、驚くことに、容易
に、常温の水に実質的に溶解するハイドロゲルが得られ
ることを見出した。しかも、このハイドロゲルを調製さ
せるための組成物は、薬物及び生体高分子等と実質的に
反応する基を有していないので、各種薬剤、化粧料、医
療用具又は臨床検査機器に利用することにより、疎水性
基含有多糖類誘導体が有する優れた生体適合性や保湿性
等を付与することができ、特に、ハイドロゲルの含水率
等を調整することにより、水への溶解時間の調整も可能
であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は次の(1)〜(12)
に示すものである。 (1)水系媒体に溶解しうる疎水性基含有多糖類誘導体
(A)と、−(CH2)q−L及び/又は−((CH2
r−O)q−L(ここで、Lは水素原子、メチル基又は
−C65を示す。qは1〜24の整数を、rは3〜5の
整数を示す。)で示される疎水性基を有する、水系媒体
に溶解しうる重合体(B)とを含むことを特徴とするハ
イドロゲル用組成物。 (2)疎水性基含有多糖類誘導体が、多糖類−ステロー
ル誘導体である前記(1)項記載のハイドロゲル用組成
物。 (3)多糖類−ステロール誘導体が、多糖類を構成する
糖単位100個あたり0.01〜20個のステリル基を
導入してなる多糖類−ステロール誘導体である前記
(2)項記載のハイドロゲル用組成物。 (4)多糖類−ステロール誘導体が、多糖類を構成する
糖単位100個あたり、0.01〜20個の糖単位の水
酸基が下記式(1)
【0008】
【化2】
【0009】(式(1)中、R1は炭素数1〜10の炭
化水素基を示す。R2はステリル基を示す。)で表され
る基で置換された多糖類−ステロール誘導体である請求
の範囲第3項記載のハイドロゲル用組成物。 (5)前記(1)〜(4)項のいずれか1項記載のハイ
ドロゲル用組成物を、水系媒体を介して混合しゲル化し
たハイドロゲル。 (6)ハイドロゲル内に、薬物及び生体高分子及び細胞
からなる群より選択される1種又は2種以上を内包して
なることを特徴とする前記(5)項記載のハイドロゲ
ル。 (7)前記(5)又は(6)項記載のハイドロゲルを含
む化粧料。 (8)前記(5)又は(6)項記載のハイドロゲルを含
む皮膚貼付材。 (9)前記(5)又は(6)項記載のハイドロゲルによ
り形成した乾燥被膜を備えることを特徴とする医療用
具。 (10)前記(5)又は(6)項記載のハイドロゲルに
より形成した乾燥被膜を備えることを特徴とする臨床検
査機器。 (11)前記(5)又は(6)項記載のハイドロゲルを
含む酵素安定化剤。 (12)前記(5)又は(6)項記載のハイドロゲル及
び酵素を含む安定化酵素組成物。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明のハイドロゲルとは、常温、即ち、
20〜25℃の水に実質的に溶解する性質を有する、疎
水性基含有多糖類誘導体を含むマクロハイドロゲルであ
って、各種生体適合性材料、化粧料用材料、医薬用材料
等に使用することができる。ここで、常温の水に実質的
に溶解する性質とは、常温の水に不溶となる化学的架橋
構造(化学架橋反応して形成された構造)を有さず、ハ
イドロゲルを常温の水に浸漬させた状態で、その含有率
や構成重合体の種類等にもよるが、約8〜96時間程度
で、常温の水に溶解することを言う。この際、溶解と
は、媒質中にハイドロゲルが溶出し、ゲルが均一な液体
となる状態を意味する。
【0011】本発明のハイドロゲルを形成するためのハ
イドロゲル用組成物は、特定の疎水性基含有多糖類誘導
体(A)と、特定の重合体(B)とを含む組成物の組合
わせにより構成される。
【0012】上記特定の疎水性基含有多糖類誘導体
(A)とは、一般に疎水性基含有多糖類誘導体と見なさ
れるものであり、多糖類に疎水性基を導入して得られる
疎水性基含有多糖類誘導体のうち、水系溶媒に溶解しう
るものをいう。水系媒体に溶解しうるとは、例えば、メ
タノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパ
ノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、グリセリ
ン、アセトニトリル、アセトン等の水性有機質媒質又は
これらの混合物を水に混合した液体;塩化ナトリウム、
塩化カルシウム、リン酸、ホウ酸又はこれらの2種以上
を組合せた塩水溶液等の水系媒体、好ましくは常温の水
等に、溶質を5重量%濃度に溶解させた際に流動性の高
い液体の状態となることを意味する。以下に説明する他
の成分において、「水系媒体に溶解しうる」と言うとき
は、同様な意味で用いる。
【0013】それらの水系媒体に溶解しうる疎水性基含
有多糖類誘導体(A)のうち好ましいものは、多糖類の
一部を疎水性基に置換して得た疎水性基含有多糖類誘導
体である。そのような疎水性基含有多糖類誘導体の原料
として、プルラン、アミロース、キシログルカン、アミ
ロペクチン、デキストラン、デキストリン、シクロデキ
ストリン、マンナン、ヒドロキシエチルデキストラン、
レバン、イヌリン、キチン、キトサン、水溶性セルロー
ス等の多糖類が考えられる。多糖類は天然のものであっ
ても合成品であってもよい。疎水性基を化学結合してな
る疎水性基含有多糖類誘導体があり、入手性の点から、
これらを本発明に好ましく使用できる。
【0014】例えば特開平10−29910号公報に用
いられているシリコーン化多糖類や、特開平10−18
2341号公報及び特開昭53−142540に用いら
れているプルラン脂肪酸エステル、特開昭63−661
07号公報に用いられているデキストラン脂肪酸エステ
ル、登録特許第3045168号公報に用いられている
多糖類と脂肪酸のエステル又はアミド、更に特開平2−
144140号公報や、特開昭63−319046号公
報、特開平3−292301号公報などに開示されてい
る多糖類−ステロール誘導体などを本発明でいう疎水性
基含有多糖類誘導体の一種として好ましく用いることが
できる。これらのもののうちでは、多糖類−ステロール
誘導体が疎水性基含有多糖類誘導体として取扱いが容易
であり、入手性の点から最も好ましい。
【0015】本発明で用いられる多糖類−ステロール誘
導体は、多糖類に適当な分子を介してステロールを化学
結合により導入してなるものであり、一般に多糖類−ス
テロール誘導体に分類されるものであり水系媒体に溶解
しうるものであるならば、いかなるものでも使用でき
る。多糖類はグリコース(glycose)がポリグリ
コシル化した高分子化合物であれば特に限定されない。
多糖類の具体的なものとしては、プルラン等疎水性基含
有多糖類誘導体の原料として記載したものが挙げられ
る。
【0016】ステロールはシクロペンタノペルヒドロフ
ェナントレン骨格、コレステロール骨格、これらの誘導
体、またはこれらの骨格と密接に関連した構造を持つア
ルコールであれば特に限定されない。ステロールの具体
的なものとしては、コレステロール、スチグマステロー
ル、β−シトステロール、ラノステロール及びエルゴス
テロールなどが挙げられる。多糖類−ステロール誘導体
としては、例えば特開平2−144140号公報、特開
昭63−319046号公報及び特開平3−29230
1号公報などに開示されている多糖類−ステロール誘導
体を好ましく使用することができる。本発明にもちいら
れる多糖類−コレステロール誘導体の製造方法として
は、公知の化学知識を用いて適宜工夫して合成したもの
を用いることができるが、特開平3−292301号公
報に記載される方法により製造したものを用いるのが好
ましい。より好ましい多糖類−コレステロール誘導体
は、合成のしやすさなどの点から、多糖類を構成する糖
単位100個当たり、0.01〜20個、好ましくは
0.05〜15個、さらに好ましくは0.1〜10個の
糖単位の水酸基が前記式(1)で表される基で置換され
た多糖類−ステロール誘導体である。
【0017】前記式(1)において、R1は炭素数1〜
10の炭化水素基であり、2価の炭化水素基であれば直
鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってよく、また
飽和であっても不飽和であってもどちらでもよいが、炭
素数3〜8の直鎖状飽和炭化水素基が最も好ましい。前
記式(1)において、R2はステリル基(ステロールの
残基)であり、例えばコレステリル基(コレステロール
残基)、スチグマステリル基(スチグマステロール残
基)、β−シトステリル基(β−シトステロール残
基)、ラノステリル基(ラノステロール残基)、及びエ
ルゴステリル基(エルゴステロール残基)などが挙げら
れる。これらの中では入手性の点からは、コレステリル
基(コレステロール残基)が最も好ましい。
【0018】この様な多糖類−ステロール誘導体は、分
子の一端にステリル基と他端にイソシアナト基を有する
化合物と、多糖類の水酸基とを反応させることにより合
成することができる。分子の一端にステリル基と他端に
イソシアナト基を有する化合物は、例えば下記の反応式
(2)
【0019】
【化3】
【0020】に示されるように、ジイソシアネート化合
物の一端のイソシアナト基を、ステロールの水酸基と反
応させ、ウレタン結合により両者を結合させることによ
り得られる。このとき、ジイソシアネート化合物との反
応に用いられるステロールとしては、例えばコレステロ
ール、スチグマステロール、β−シトステロール、ラノ
ステロール及びエルゴステロールなどが用いられ、入手
性の点からコレステロールが好ましく用いられる。
【0021】ステロールと反応させるジイソシアネート
化合物はOCN−R−NCOで表される化合物である。
例えば、Rがエチレン基であるエチレンジイソシアネー
ト、ブチレン基であるブチレンジイソシアネート、ヘキ
サメチレン基であるヘキサメチレンジイソシアナート、
及びジフェニルメタン基であるジフェニルメタンジイソ
シアネートなどが挙げられる。これらの中ではブチレン
ジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート
などが好ましい。本発明に好ましく用いられる多糖類−
ステロール誘導体は、上記の分子の一端にステリル基と
他端にイソシアナト基を有する化合物を、多糖類と反応
させることにより得ることができる。分子の一端にステ
リル基と他端にイソシアナト基を有する化合物と、多糖
類との反応は、例えば下記の反応式(3)
【0022】
【化4】
【0023】に示される様に、多糖類を構成する単糖の
水酸基と、分子の一端にステリル基と他端にイソシアナ
ト基を有する化合物の持つイソシアナト基との1ステッ
プ付加反応で行うことができる。反応式(3)には、1
つの六単糖ユニットと、イソシアナト基を有する化合物
との反応がモデルとして示されているが、本発明に用い
られる多糖類−ステロール誘導体の合成においては、多
糖類を構成する糖単位100個当たり、0.01〜20
個、好ましくは0.05〜15個、さらに好ましくは
0.1〜10個の糖単位の水酸基に対して、反応式
(3)に示される様な反応を生じせしめるのが、ハイド
ロゲルを形成しやすくする上で好ましい。上記反応に用
いられる多糖類としては、多糖類であればいかなるもの
を用いることも可能であるが、特にプルラン等疎水性基
含有多糖類誘導体の原料として記載したものが挙げられ
る。これらの多糖類は、天然または合成由来のものであ
ってよく、入手が可能なものであるならば分子量などは
いかなるものであってもよいが、ハイドロゲル用組成物
とした際に、より特徴を発揮するためには重量平均分子
量10000〜1000000程度、好ましくは300
00〜500000のものがよい。また、多糖類の種類
としては、入手性及びハイドロゲルの形成しやすさの点
から、特にプルランが好ましく用いられる。
【0024】多糖類と、分子の一端にステリル基と他端
にイソシアナト基を有する化合物との反応を行う場合に
用いられる溶媒としては、分子の一端にステリル基と他
端にイソシアナト基を有する化合物及び多糖類の両方が
溶解し、かつ反応生成物である多糖類−ステロール誘導
体が溶解する溶媒が好ましく、通常、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、ジオキサ
ン、テトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒等が好
ましく用いられる。このときの反応温度及び時間は用い
られる多糖類及び溶媒などに応じて反応の進行状態によ
り適宜選択されるが、好ましくは0〜200℃で1〜4
8時間程度反応させるのがよい。
【0025】多糖類と、分子の一端にステリル基と他端
にイソシアナト基を有する化合物との仕込比はいかなる
比率でもよく、この仕込比を変化させることにより多糖
類に対するステリル基の導入量を適宜制御することがで
きる。多糖類を構成する糖単位100個当たり0.01
〜20個のステリル基を導入する場合には、多糖類の1
00単糖単位に対して、分子の一端にステリル基と他端
にイソシアナト基を有する化合物を0.01〜30分子
の割合で仕込むのが好ましい。この様にして得られる多
糖類−ステロール誘導体の精製方法としては、再沈殿精
製法、各種クロマトグラフィーによる分離精製法及び透
析法などが利用できる。また乾燥方法としては凍結乾燥
法、または真空乾燥法が望ましい。
【0026】本発明に用いられる多糖類−ステロール誘
導体は、多糖類−ステロール誘導体であるならば上記の
製造方法に限らず、いかなる製造方法によって得られた
ものであっても用いてよい。それらの場合でも、ハイド
ロゲルの形成し易さなどの点から、多糖類を構成する糖
単位100個当たり0.01〜20個、好ましくは0.
05〜15個、さらに好ましくは0.1〜10個のステ
リル基が導入された多糖類−ステロール誘導体が望まし
い。疎水性基の導入数が、多糖類100単糖当たり0.
01個未満の場合、ハイドロゲルが形成しにくくなり、
20個より多い場合は、疎水性基によりゲル化して水系
溶媒に溶解し難くなる場合がある。更には、多糖類部分
がプルランであるプルラン−ステロール誘導体が、入手
性の点から最も好ましい。本発明で使用される多糖類−
ステロール誘導体の分子量は特に限定されないが、ハイ
ドロゲル用組成物とした際に、より特徴を発揮するため
には重量平均分子量10000〜1000000程度、
好ましくは30000〜500000程度のものがよ
い。
【0027】以上のようにして得られる、特定の疎水性
基含有多糖類誘導体(A)を本発明に好ましく用いるこ
とができるが、特に原料の多糖類としてプルランを用
い、疎水性基であるコレステロールを、プルランを構成
する糖単位100個当たり、0.1〜10個程度導入し
て得たプルラン−コレステロール誘導体(以下、CHP
と略す。)が、製造のしやすさなどの点から最も好まし
く用いられる。
【0028】本発明に用いられる上記特定の重合体
(B)は、−(CH2)q−L及び/又は−((CH2
r−O)q−L(ここで、Lは水素原子、メチル基又は
−C6 5を示す。qは1〜24の整数を、rは3〜5の
整数を示す。)で示される疎水性基を有する、水系媒体
に溶解しうるものである。例えば、ランダム状、ブロッ
ク状あるいはグラフト状の高分子が考えられる。重合体
(B)の分子量は、水系媒体に溶解しうるものであれば
特に限定されず、通常、重量平均分子量10000〜5
000000程度から適宜決定することができる。
【0029】上記重合体(B)が必須に有する疎水性基
としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル
基等のアルキル基;フェニル基、ベンジル基、フェノキ
シ基等の芳香族官能基が挙げられる。その他に、例えば
グラフト状重合体の側鎖としては、ポリプロピレンオキ
シ基、ポリテトラメチレンオキシ基等のアルキレンオキ
シ基等の疎水性基も挙げることができる。このような疎
水性基を有する重合体(B)としては、前記した通り−
(CH2)q−L及び/又は−((CH2)r−O)q−
Lで示される疎水性基を有する、水系媒体に溶解しうる
重合体であれば、市販のもの、若しくは高分子化学の知
識に基づき屈指して得られるいかなる重合体であってよ
いが、具体的には例えば、メタクリル酸単独重合体、ア
クリル酸−アクリル酸アミド−アクリル酸エチル共重合
体、アクリル酸−メタクリル酸ブチル共重合体、メタク
リル酸−メタクリル酸ステアリル共重合体、ポリエチレ
ングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重
合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、メチルセ
ルロース、プロピルセルロース、2−メタクリロイルオ
キシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホ
スフェート単独重合体、さらにはポリプロピレングリコ
ールモノメタクリレート−メタクリル酸、ポリテトラメ
チレングリコールモノメタクリレート−メタクリル酸等
のランダム状重合体、等の重合体が挙げられる。
【0030】上記の組成物において、疎水性基含有多糖
類誘導体(A)と、重合体(B)との組合せとしては、
例えば、CHPとメタクリル酸単独重合体、CHPとア
クリル酸−アクリルアミド−アクリル酸エチル共重合
体、CHPとアクリル酸−メタクリル酸ブチル共重合
体、CHPとアクリル酸−メタクリル酸ステアリル共重
合体、CHPとポリエチレングリコール−ポリプロピレ
ングリコールブロック共重合体、CHPとビニルピロリ
ドン−スチレン共重合体、CHPとアクリル酸−プロピ
ルセルロース、CHPと2−メタクリロイルオキシエチ
ル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェー
ト単独重合体等が好ましく挙げられ、ゲル化のし易さな
どの点からCHPとポリエチレングリコール−ポリプロ
ピレングリコール共重合体の組み合わせが好ましく例示
される。上記の組成物において、疎水性基含有多糖類誘
導体(A)と、重合体(B)との配合割合は、後述する
方法等によりハイドロゲルが形成できる割合であれば特
に限定されないが、好ましくは、疎水性基含有多糖類誘
導体(A):重合体(B)が質量比で、1:15〜1
5:1、特に好ましくは1:5〜5:1である。疎水性
基含有多糖類誘導体(A)と、重合体(B)とは、各々
粉末等の固体状態でも良く、また各々別々に水系媒体、
特に水に溶解した溶液状態であっても良い。溶液状態と
する場合の濃度は溶解状態であれば特に限定されない
が、水系媒体に対する濃度が極端に低い場合には、ハイ
ドロゲルが形成されない恐れがあるので、0.5〜70
重量%程度が好ましい。上記の組成物は、疎水性基含有
多糖類誘導体(A)及び重合体(B)の他に、ハイドロ
ゲルの用途等に応じて、ハイドロゲルの形成を損なわな
い限り他の成分を含んでいても良い。
【0031】本発明のハイドロゲルは、上記ハイドロゲ
ル用組成物を水系媒体を介して混合しゲル化した、常温
の水に実質的に溶解する性質を有するゲルである。ま
た、本発明のハイドロゲルは、好ましくは90℃以上に
加熱するか、若しくは水系媒体に再溶解することにより
溶解状態に戻すことができ、冷却することにより再度ゲ
ル化させることができる。本発明のハイドロゲルの強度
の調整は、例えば、ハイドロゲルを乾燥させ、含水率を
低下若しくは完全に乾燥させた後、再度水系媒体に膨潤
させる操作を繰り返すことにより行うことができる。本
発明のハイドロゲルの含水率は、特に限定されず、用途
に応じて適宜選択できるが、通常、0.5〜70重量%
である。
【0032】上記水系媒体を介して混合しゲル化する方
法としては、例えば、組成物の各必須成分、具体的に
は、 1、疎水性基含有多糖類誘導体(A)と重合体(B)と
をそれぞれ上述した水系媒体等に別々に適量溶解してお
き、これらの水溶液を常温等で混合しゲル化させる方
法、 2、疎水性基含有多糖類誘導体(A)と重合体(B)と
をそれぞれ粉末状態等の固体状で予め混合し、この混合
物に上述の水系媒体等を加えて常温等で混合しながらゲ
ル化する方法、 3、疎水性基含有多糖類誘導体(A)と重合体(B)と
をそれぞれ上述した水系媒体等に別々に希釈率を高くし
て溶解しておき、これらを混合しても流動化してゲルが
形成されない溶液を調製し、該溶液を濃縮しながらゲル
化させる方法等が挙げられる。上記、1の方法におい
て、混合によりそのままハイドロゲルを得る場合の各溶
液の適量濃度は、常温において、各成分が0.5〜75
重量%となるように水系媒体に溶解した溶液を用いるこ
とが、均一なハイドロゲルの調製が容易になることから
好ましい。
【0033】本発明のハイドロゲルには、該ハイドロゲ
ルに反応しない成分等を含有させることができる。例え
ば、消毒剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、止血剤、消炎症
剤、麻酔剤、鎮痛剤、栄養剤等の薬物;ペプチド、血漿
製剤蛋白質、酵素、核酸関連物質等の生体高分子;各種
生体由来物又はこれらの混合物等をハイドロゲルに内包
させることができる。つまり、ハイドロゲルに反応しな
い成分を、ハイドロゲルと複合した組成物とし、当該成
分を安定化させたり、保護したりすることができる。な
お、このような複合した組成物は、具体的には例えば、
ハイドロゲルをゲル化させるための水系媒体に、予め当
該成分を溶解、懸濁等しておき、続いてゲル化を行うこ
とにより形成することができる。本発明のハイドロゲル
は、常温の水に実質的に溶解するので、上記薬物、生体
高分子、細胞の保存安定剤、生体由来物の保存安定剤、
生体内デリバリーシステム用担体、体内挿入用カプセル
等として使用できる。これらの成分の配合割合は、その
目的や用途に応じて適宜決定することができる。
【0034】本発明の化粧料及び皮膚貼付材は、上記ハ
イドロゲル及び各種成分が含有されたハイドロゲルを含
んでおれば良く、その種類及び目的に応じて、通常、化
粧料、又は皮膚貼付材に使用される材料を含ませること
ができる。化粧料は、例えば、乳液、クリーム、ヘアク
リーム、リキッドファンデーション等の乳化化粧料に配
合したり、化粧水、美容液、整髪料等の液状化化粧料に
配合したり、パウダーファンデーション、アイシャドウ
等の練状又は固形化粧料に配合したり、リンス、洗顔ク
リーム等の洗浄剤に配合したり、ピールオフ型液状パッ
ク、フェイスマスク等のパック剤へ使用したりできる。
また、クレンジングフォーム、ジェル、エッセンス等の
化粧料に用いることもできる。特に、クリーム、エッセ
ンス等の乳化状態の化粧料に本発明のハイドロゲルを水
相中に含めることにより、W/O、W/O/W、O/W
の種々の乳化状態を安定に保つ効果もある。乳化状態の
化粧料に本発明のハイドロゲルを配合するには、本発明
のハイドロゲルを形成させた後にホモジナイザー等で乳
化状態へ移行させても良いし、ハイドロゲルを構成する
ポリマーを別々に添加した後、乳化させる過程でハイド
ロゲルを形成させても良い。前記ハイドロゲルを化粧料
又は皮膚貼付材に含有させる場合の配合割合や含水率、
更に形態は、その種類や目的等に応じて適宜選択するこ
とができる。
【0035】本発明の医療用具及び臨床検査機器は、上
記ハイドロゲル及び各種成分が含有されたハイドロゲル
により形成した乾燥被膜を備える。このような乾燥被膜
を調製するには、例えば、ハイドロゲルを加熱、若しく
は水系媒体に再溶解することによりゲルを溶液状態にし
た後、該溶液を膜状に形成し乾燥させる方法等により乾
燥被膜を得ることができる。ハイドロゲルを溶液状態と
する際の加熱条件は、ハイドロゲルの種類に応じて適宜
選択できるが、通常90℃以上に加熱することにより溶
液状態とすることができる。該溶液を膜状に形成し乾燥
するには、膜状に形成し、冷却することにより膜状のハ
イドロゲルが得られるので、該膜状のハイドロゲルを通
常の乾燥操作等を利用して乾燥させることができる。例
えば、含有される各種重合体成分を維持するために、乾
燥は、60〜150℃の範囲で行うことが好ましい。乾
燥被膜の含水率は、通常、0〜95%程度であり、その
膜厚は特に限定されず、通常、0.1μm〜5mmの範
囲とすることができる。このような乾燥被膜は、上記ハ
イドロゲルに比して常温の水に溶解する速度が極端に遅
延するが、基本的には時間を要すれば常温の水に溶解す
るものである。
【0036】本発明の医療用具及び臨床検査機器は、所
望面に上記ハイドロゲルの乾燥被膜を形成することによ
り、ハイドロゲルの有する各種機能、例えば、防汚性、
保湿性等を付与することができる。このような機能が必
要とされる医療用具としては、例えば、血液透析膜、皮
下埋込型センサー等が挙げられる。一方、このような機
能が必要とされる臨床検査機器としては、例えば、試験
管、採尿容器、タンパク質保存容器、臨床検査用プレー
ト等が挙げられる。
【0037】本発明の酵素安定化剤は、上記ハイドロゲ
ルを含んでなる。本発明の酵素安定化剤は、酵素とハイ
ドロゲルとを共存させ、以下に述べる安定化酵素組成物
とすることにより、長期間安定に酵素活性を保持するこ
とができる。本発明の安定化酵素組成物は、上記ハイド
ロゲル及び酵素を含んでなる。前記酵素としては、特に
限定されず、安定化することにより便利に用いることが
できる各種の酵素を挙げることができる。具体的には例
えば、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵
素、異性化酵素、及び合成酵素を挙げることができる。
前記酸化還元酵素としては、グルコースオキシダーゼ、
コレステロールオキシダーゼ、スーパーオキシドジスム
ターゼ(SOD)等を挙げることができ、転移酵素とし
ては、コリンアセチルトランスフェラーゼ、アスパラレ
ートアミノトランスフェラーゼ等を挙げることができ、
加水分解酵素としては、カルボヒドラーゼ、エステラー
ゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ等を挙げることができ、
脱離酵素としては、アルドラーゼ、ハイドラーゼ等を挙
げることができ、異性化酵素としては、グルコースホス
フェートイソメラーゼ、グルコースイソメラーゼ等を挙
げることができ、合成酵素としては、t−RNAシンセ
ターゼ、アセチルCoAシンセターゼ等を挙げることが
できる。
【0038】本発明の安定化酵素組成物中の前記酵素の
含有割合は、10-10〜10重量%、好ましくは10-7
〜1重量%とすることができる。前記酵素の含有割合を
10重量%以上とすることにより、ハイドロゲルによる
安定化作用を良好に得ることができ、またゲルの強度を
維持することができる。本発明の安定化酵素組成物中の
前記ハイドロゲルの含有割合は、前記ハイドロゲル用組
成物として、0.5〜70重量%、好ましくは1〜50
重量%とすることができる。前記ハイドロゲルの含有割
合を0.5重量%以上とすることにより、ハイドロゲル
による安定化作用を良好に得ることができ、また70重
量%以下とすることにより、酵素の活性を良好に発現さ
せることができる。
【0039】本発明の安定化酵素組成物を製造する方法
は、特に限定されないが、例えば、前記酵素が溶解した
溶液を水系媒体として用いてハイドロゲル用組成物をゲ
ル化させハイドロゲルを形成することにより製造するこ
とができる。より具体的には例えば、前記酵素及び本発
明のハイドロゲル用組成物の構成要素である重合体を含
む溶液中に、本発明のハイドロゲル用組成物の他の構成
要素である重合体を添加し、溶液中でハイドロゲルを形
成することにより、ハイドロゲル内に酵素が内包され
た、酵素活性の安定性に優れる安定化酵素組成物を得る
ことができる。本発明のハイドロゲル用組成物は、−
(CH2)q−L及び/又は−((CH2)r−O)q−
Lで示される疎水性基を有する、実質的に化学的架橋構
造を形成する反応性基を有していない特定の重合体及び
疎水性基含有多糖類誘導体を含むので、実質的に水溶性
であって、安全性に優れ、しかも、薬物、生体高分子及
び細胞等を内包させることが可能なハイドロゲルの原料
として有用である。また、本発明のハイドロゲルは、上
記組成物を水系媒体を介して混合するという簡便な方法
で得ることができ、疎水性基含有多糖類誘導体の有する
優れた保湿性等を備え、且つ常温の水に実質的に溶解す
るので、各種化粧料、皮膚貼付材等の材料として有用で
ある。
【0040】更に、本発明の医療用具及び臨床検査機器
は、上記ハイドロゲルの乾燥被膜を備えるので、ハイド
ロゲルの有する各種特性が備えられており、生体適合性
に優れ、更には防汚性、保湿性等にも優れる。更に、本
発明の酵素安定化剤は、上記ハイドロゲルを含むので、
酵素をその中に内包することができ、酵素の安定性を高
めることができる。更に、本発明の安定化酵素組成物
は、上記ハイドロゲル及び酵素を含むので、酵素がハイ
ドロゲルに内包された形態をとることができ、安定性の
高い酵素製剤として用いることができる。
【0041】
【発明の効果】本発明のハイドロゲル用組成物は、実質
的に化学的架橋構造を形成する反応性基を有していない
特定の重合体及び疎水性基含有多糖類誘導体を含むの
で、実質的に水溶性であって、安全性に優れ、しかも、
薬物、生体高分子、及び生体由来物を内包させることが
可能なハイドロゲルの原料として有用である。また、本
発明のハイドロゲルは、上記組成物を水系媒体を介して
混合するという簡便な方法で得ることができ、疎水性基
含有多糖類誘導体の有する優れた保湿性等を備え、且つ
常温の水に実質的に溶解するので、各種化粧料、皮膚貼
付材等の材料として有用である。また、本発明のハイド
ロゲルを、特に洗浄用の化粧料に用いた場合、疎水性基
含有多糖類誘導体が洗浄後においても皮膚表面に残留
し、高い保湿性を発揮する。更に、本発明の医療用具及
び臨床検査機器は、上記ハイドロゲルの乾燥被膜を備え
るので、ハイドロゲルの有する各種特性が備えられてお
り、防汚性、保湿性等に優れる。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。 参考例1 <N−(6−イソシアナートヘキシル)コレステリルカ
ルバメートの合成>1Lのナス型フラスコに、コレステ
ロール25g(0.065mol)、トルエン300m
Lを入れて溶かし、さらにトリエチルアミン17mL
(0.12mol)を加えた。そこへ、トルエン300
mLに溶かしたヘキサメチレンジイソシアナート161
g(0.96mol)を入れ、窒素雰囲気下、80℃で
約6時間反応させた。反応終了後、トルエンと過剰のヘ
キサメチレンジイソシアナートを減圧除去した。得られ
た黄色オイル状の残さを室温で一晩放置することによ
り、淡黄色の結晶が生成した。結晶を取り出し、約1L
のヘキサンを加え、激しく振とうした後、上澄み液をデ
カンテーションにより除去した。この洗浄操作を計4回
行った後、室温で3時間減圧乾燥することにより白色の
固体を得た。収量は18.25g、収率は50.9%で
あった。得られた生成物のIRの測定結果を示す。 IR(KBr,cm-1):3260、2320、168
0、1130。 以上より、N−(6−イソシアナートヘキシル)コレス
テリルカルバメートが得られたことを確認した。
【0043】合成例1:<CHP0.9の合成> 1Lのナス型フラスコに、プルラン(平均分子量、10
8000、和光純薬社製)40gとジメチルスルホキシ
ド420mLを加え、窒素雰囲気下80℃でかき混ぜ溶
解させた。そこへ参考例1で合成した、N−(6−イソ
シアナートヘキシル)コレステリルカルバメート1.7
8g(3.21mmol)をピリジン32.4mL
(0.40mol)に溶かした溶液を入れ、90℃で
1.5時間反応させた。反応終了後、ジメチルスルホキ
シドを減圧除去し、得られたオイル状の残さをアセトン
6Lに滴下して沈殿を生成させた。上澄み液を除去後、
得られた沈殿にアセトン4Lを加え、室温で一晩放置し
た。沈殿を濾別採取した後、減圧乾燥した。得られた固
体をジメチルスルホキシドに溶かし、これを透析膜(ス
ペクトロポア社製、Spectra/Por3、分画分
子量:3500)に充填し、蒸留水に対して一週間透析
した。得られたポリマー溶液1.5Lを常法により凍結
乾燥することによって、白色の固体を得た。収量31.
7g(収率76.2%)。次に、生成物の1H−NMR
とIRの測定結果を示す。1H−NMR((δpp
m)、DMSO−d6/D20=20/1,vol、T
MS):0.68−2.40、2.60−4.60、
4.60−5.05。IR(KBr,cm-1):168
0、1180−900。また1H−NMRスペクトルよ
り、コレステロール基由来のピーク面積(δ=0.6〜
2.3)及びプルラン由来のピーク面積(δ=4.7〜
5.1)から、100単糖当たりのコレステロール基の
置換度を計算により算出した。その結果、100単糖当
たりのコレステロール基の置換度は0.9個であった。
以上のデータから、得られた化合物がプルラン100単
糖当たり0.9個のコレステリル基を導入したプルラン
−コレステロール誘導体(CHP0.9と略す。)であ
ることを確認した。
【0044】合成例2:<CHP0.1の合成> 合成例1と同じ反応操作により、N−(6−イソシアナ
トヘキシル)コレステリルカルバメイトの仕込み量のみ
を0.198g(0.357mmol)にかえて、CH
P0.1を合成した。1H−NMRスペクトルより、コ
レステロール基由来のピーク面積及びプルラン由来のピ
ーク面積から、100単糖当たりのコレステロール基の
置換度を計算により算出した。その結果、100単糖当
たりのコレステロール基の置換度は0.1個であった。
プルラン100単糖当たり0.1個のコレステリル基を
導入したプルラン−コレステロール誘導体をCHP0.
1と略す。
【0045】合成例3:<CHP0.05合成> 合成例1と同じ反応操作により、N−(6−イソシアナ
トヘキシル)コレステリルカルバメイトの仕込み量のみ
を0.099g(0.178mmol)にかえて、CH
P0.05を合成した。1H−NMRスペクトルより、
コレステロール基由来のピーク面積及びプルラン由来の
ピーク面積から、100単糖当たりのコレステロール基
の置換度を計算により算出した。その結果、100単糖
当たりのコレステロール基の置換度は0.05個であっ
た。プルラン100単糖当たり0.05個のコレステリ
ル基を導入したプルラン−コレステロール誘導体をCH
P0.05と略す。
【0046】合成例4:<CHP10の合成> 合成例1と同じ反応操作により、N−(6−イソシアナ
トヘキシル)コレステリルカルバメイトの仕込み量のみ
を29.7g(53.6mmol)にかえて、CHP1
0を合成した。1H−NMRスペクトルより、コレステ
ロール基由来のピーク面積及びプルラン由来のピーク面
積から、100単糖当たりのコレステロール基の置換度
を計算により算出した。その結果、100単糖当たりの
コレステロール基の置換度は10個であった。プルラン
100単糖当たり10個のコレステリル基を導入したプ
ルラン−コレステロール誘導体をCHP10と略す。
【0047】合成例5:<CHP15の合成> 合成例1と同じ反応操作により、N−(6−イソシアナ
トヘキシル)コレステリルカルバメイトの仕込み量のみ
を49.5g(89.3mmol)にかえて、CHP1
5を合成した。1H−NMRスペクトルより、コレステ
ロール基由来のピーク面積及びプルラン由来のピーク面
積から、100単糖当たりのコレステロール基の置換度
を計算により算出した。その結果、100単糖当たりの
コレステロール基の置換度は15個であった。プルラン
100単糖当たり15個のコレステリル基を導入したプ
ルラン−コレステロール誘導体をCHP15と略す。
【0048】合成例6:<CHMの合成> 合成例1と同じ反応操作により、プルランをマンナン
(平均分子量、85000、シグマ社製)26.2gに
かえ、N−(6−イソシアナトヘキシル)コレステリル
カルバメイトの仕込み量を1.08g(1.95mmo
l)、ピリジンの仕込み量を19.6mL、ジメチルス
ルホキシドの仕込み量を320mLにかえて、21.5
gのマンナン−コレステロール誘導体を合成した。生成
物の1H−NMRとIRの測定から、得られた化合物が
マンナン−コレステロール(CHMと略す。)であるこ
とを確認した。1H−NMRスペクトルより、コレステ
ロール基由来のピーク面積及びマンナン由来のピーク面
積から、100単糖当たりのコレステロール基の置換度
を計算により算出した。その結果、100単糖当たりの
コレステロール基の置換度は0.9個であった。マンナ
ン100単糖当たり0.9個のコレステリル基を導入し
たマンナン−コレステロール誘導体をCHMと略す。
【0049】合成例7:<TSPの合成> プルラン(平均分子量、108000、和光純薬社製)
10gをN−メチルピロリドン300mLに溶解し、触
媒としてトリエチルアミン0.01gを加え、トリスト
リメチルシロキシシリルプロピルイソシアネート0.7
gを滴下し、100℃で2時間反応させた。反応液をア
セトンに注ぎ、生じた析出物をメタノールで洗浄し、乾
燥して、トリストリメチルシロキシシリルプロピルカル
バミド酸プルラン50gを得た。なお、この生成物のプ
ルラン100単糖当たりのトリストリメチルシロキシシ
リルプロピル基の置換度を、元素分析値をもとに計算し
たところ、1.7個であった。プルラン100単糖当た
り1.7個のトリストリメチルシロキシシリルプロピル
基を導入したトリストリメチルシロキシシリルプロピル
カルバミド酸プルランをTSPと略す。
【0050】実施例1−1:<CHP0.9と(PEG
−PPG)ブロック共重合体からなるハイドロゲルの調
製> 合成例1で合成したCHP0.9を水に溶解させて得た
5重量%のCHP0.9水溶液10gと、2重量%の
(ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコー
ル)(以下、PEG−PPGと略す。)ブロック共重合
体水溶液{共重合体:ユニルーブ70DP950B(商
品名、日本油脂株式会社製、重量平均分子量1286
0、EO/POモル比=200/70)}10gとから
なるハイドロゲル用組成物を調製した。得られた組成物
を、50mLのガラス容器中において十分混和して無色
透明の均一なハイドロゲルを調製した。得られたハイド
ロゲルについて、以下に示す、混合後の状態評価、加熱
による再流動化評価、並びに水中での溶解性評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0051】1.混合後の状態評価 混合後10分間静置し、容器を90゜傾けた際の流動性
の有無を目視で確認した。 2.加熱による再流動化評価 得られたハイドロゲルを90℃に加熱した際に流動化
し、更に常温に戻すことにより10分より少ない時間で
再ゲル化するものを○、ハイドロゲルを90℃に加熱し
た際に流動化し、更に常温に戻し10分〜5時間で再ゲ
ル化するものを△、ハイドロゲルを90℃に加熱した際
に流動化しないか、若しくは常温に戻し5時間より後で
も再ゲル化しないものを×とした。 3.水中での溶解性評価 得られたハイドロゲルを室温にて500gの純水中に放
置し、24時間後に溶解しているものを○、24時間で
は溶解しないが3箇月後に溶解しているものを△、3箇
月より日数を経ても溶解しないものを×とした。
【0052】
【表1】
【0053】ここで、表中に用いた略号を示す。PEG
−PPG:(ポリエチレングリコール−ポリプロピレン
グリコール)ブロック共重合体(分子量12860)、
MTE:2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(ト
リメチルアンモニオ)エチルホスフェート単独重合体
(分子量1030000)、PEG:ポリエチレングリ
コール10000(分子量10000)、PAA:アク
リル酸単独重合体(分子量1000000)。
【0054】実施例1−2:<CHP0.1と(PEG
−PPG)ブロック共重合体からなるハイドロゲルの調
製> CHP0.9を、合成例2で得られたCHP0.1に換
えた以外は、全て実施例1−1と同様に行った。結果を
表1に示す。
【0055】実施例1−3:<CHP0.05と(PE
G−PPG)ブロック共重合体からなるハイドロゲルの
調製> CHP0.9を、合成例3で得られたCHP0.05に
換えた以外は、全て実施例1−1と同様に行った。結果
を表1に示す。
【0056】実施例1−4:<CHP10と(PEG−
PPG)ブロック共重合体からなるハイドロゲルの調製
> ハイドロゲル用組成物として、合成例4で合成したCH
P10を水に溶解させて得た10重量%のCHP10水
溶液10gと、5重量%の(ポリエチレングリコール−
ポリプロピレングリコール)ブロック共重合体水溶液
(共重合体の重量平均分子量は12860)10gとか
らなるハイドロゲル用組成物を調製した以外は、全て実
施例1−1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0057】実施例1−5:<CHP15と(PEG−
PPG)ブロック共重合体からなるハイドロゲルの調製
> CHP0.9を、合成例5で得られたCHP15に換え
た以外は、全て実施例1−1と同様に行った。結果を表
1に示す。
【0058】実施例1−6:<CHMと(PEG−PP
G)ブロック共重合体からなるハイドロゲルの調製> CHP0.9を、合成例6で得られたCHMに換えた以
外は、全て実施例1−1と同様に行った。結果を表1に
示す。
【0059】実施例1−7:<TSPと(PEG−PP
G)ブロック共重合体からなるハイドロゲルの調製> CHP0.9を、合成例7で得られたTSPに換えた以
外は、全て実施例1−1と同様に行った。結果を表1に
示す。
【0060】実施例1−8:<CHP0.9と2−メタ
クリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニ
オ)エチルフォスフェート単独重合体からなるハイドロ
ゲルの調製> (PEG−PPG)ブロック共重合体を2−メタクリロ
イルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エ
チルフォスフェート単独重合体(MTEと略す、重合体
の重量平均分子量は1030000)に換えた以外は、
全て実施例1−1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0061】比較例1−1:<CHP0.9とPEG1
0000からなるハイドロゲルの調製> ハイドロゲル用組成物として、合成例1で合成したCH
P0.9を水に溶解させて得た10重量%のCHP0.
9水溶液10gと、5重量%のポリエチレングリコール
10000(製品名、関東化学株式会社製)水溶液10
gとからなるハイドロゲル用組成物を調製した以外は、
全て実施例1−1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0062】比較例1−2:<プルランと(PEG−P
PG)ブロック共重合体からなるハイドロゲルの調製> CHP0.9を市販のプルラン(平均分子量、1080
00、和光純薬社製)に換えた以外は、全て実施例1−
1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0063】比較例1−3:<CHP0.9とアクリル
酸単独重合体からなるハイドロゲルの調製> (PEG−PPG)ブロック共重合体を市販のアクリル
酸単独重合体(平均分子量、1000000)に換えた
以外は、全て実施例1−1と同様に行った。結果を表1
に示す。
【0064】実施例2 4.ハイドロゲル用組成物の保湿性評価 実施例1−1で使用したハイドロゲル用組成物と同様の
ものを用いて、以下の試験を行った。試験は、日本油化
学会誌 Vol.48(p577,1999)を参考に
した生体負荷試験であり、ハイドロゲル用組成物を混合
した直後の、流動性のある状態のハイドロゲル用組成物
を用いて行った。即ち、混合したハイドロゲル用組成物
をヒトの左前腕内側に0.2g付着させ、直径約3cm
に広げて塗り、塗布50分経過後、塗布部位を水洗した
直後、水洗後2時間経過後の3回皮膚の水分量を測定し
た。測定は、3.5MHz高周波電気伝導度測定装置
(IBS社製)を用いて行った。試験は5検体の平均で
行い、結果はハイドロゲル用組成物塗布前の水分量を1
として相対比で評価した。対照として、ハイドロゲル用
組成物を塗布しない皮膚表面の水分量も測定した。これ
らの結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】表2の結果より、ハイドロゲル用組成物の
皮膚表面への塗布により、皮膚自身の水分保持能の向上
が確認され、化粧品用保湿剤としての効果が確認され
た。
【0067】実施例3 5.ハイドロゲル用組成物の皮膚貼付材(創傷被覆材)
の調製及び評価 実施例1−1で使用したハイドロゲル用組成物と同様の
ものを用いて、以下の皮膚貼付材(創傷被覆材)の調製
及び試験を行った。まず、ハイドロゲル用組成物の混合
時に、日本薬局方ガーゼも同時に浸して溶液を吸収させ
た後、ゲル化が完了する前にガーゼを引き上げた。次
に、ガーゼを90℃で2時間、続いて110℃で1時間
加熱乾燥してハイドロゲル含有ガーゼを作製した。次い
で、得られたハイドロゲル含有ガーゼを生理食塩水で1
5分間膨潤させてから得られたガーゼの創傷被覆能を以
下の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0068】6.創傷被覆能評価 試験動物として、ddyマウス(雌性、6加齢、体重2
5〜30g)1群5匹を用い、ネンブタール麻酔下に剃
毛し、背部正中線上の皮膚に、外科手術用ハサミを用い
て、全層皮膚欠損創を作成した。開放創作成後、直ちに
上記ハイドロゲル含有ガーゼを貼付し、外側を伸縮性包
帯で固定した。欠損創作成後、毎日1回新しい被覆材に
交換し、交換時に被覆材を剥離した際の出血の程度を4
段階(0:出血無し、1:軽微な出血あり、2:中程度
の出血あり、3:顕著な出血あり)評価し、5匹の平均
値を肉眼的所見で評価した。比較対照としては、未処理
の日本薬局方ガーゼを生理食塩水で15分間膨潤させて
から同様な評価を行なった。
【0069】
【表3】
【0070】表3の結果より、ハイドロゲルを形成させ
たガーゼでは、未処理ガーゼに比べ、血液凝固成分の固
着が未然に防ぐことができ、創傷面の出血が防げること
が確認された。
【0071】実施例4 7.ハイドロゲルをコーティングした医療用具の血液適
合性評価 実施例1−1で使用したハイドロゲル用組成物と同様の
ものを用いて、以下のハイドロゲルコーティングガイド
ワイヤーの調製及び試験を行った。まず、ハイドロゲル
用組成物を水で10倍に希釈し、混合後、予め15分間
0.1N−NaOHで処理したウレタン表面を有する医
療用ガイドワイヤーにコーティングした。得られたコー
ティングガイドワイヤー又は未コーティングガイドワイ
ヤーを90℃で3時間加熱乾燥した。コーティングガイ
ドワイヤーの表面には、ハイドロゲルの乾燥被膜が形成
されていた。各々のガイドワイヤーを2cmにカット
し、2mLのポリプロピレン製蓋付きチューブに入れ、
試験直前まで0.1Mのリン酸緩衝液を入れて保存し
た。次いで、血液適合性評価として血小板粘着試験を以
下の方法に従って行った。まず、0.1重量%クエン酸
ナトリウム水溶液をウサギ血液に対して1容量%加え、
37℃で静置し、2時間以内に以下の試験が終了するよ
うに使用した。
【0072】次に、上記ポリプロピレン製蓋付チューブ
内からリン酸緩衝液のみを取除き、上記各ガイドワイヤ
ーが入ったチューブ内に上記希釈多血小板血漿を入れ、
37℃で15分間静置した。次いで、ガイドワイヤーを
取出し0.1M−リン酸緩衝液で軽く洗浄し、続いて
0.1重量%のグルタルアルデヒド水溶液で付着した血
小板を固定化し、エタノール/水混合液で洗浄し、風乾
した。得られた各ガイドワイヤー表面の血小板の付着数
を、走査型電子顕微鏡(日本電子(株))にて観察し、
未コーティングガイドワイヤーとコーティングガイドワ
イヤーとでの比較を行った。
【0073】その結果、血小板の付着は、未コーティン
グガイドワイヤーで多く見られ、また、付着している血
小板の形態も、未コーティングガイドワイヤーで変形
(=活性化状態)しているものが多く見られた。即ち、
未コーティングガイドワイヤーに比べ、コーティングガ
イドワイヤーの方が良好な血液適合性を示した。
【0074】実施例5 8.ハイドロゲルコーティング臨床検査機器の製造 実施例1−1〜1−8で使用したハイドロゲル用組成物
と同様のものを用いて、以下のハイドロゲルコーティン
グマルチプレートの調製を行った。まず、ハイドロゲル
用組成物を水で20倍に希釈し、混合しながら、スチレ
ン基材の96穴マルチプレートの各ウェルに300μL
ずつ加えた。このプレートを60℃で24時間風乾し、
各ウェルの表面にハイドロゲルの乾燥被膜を形成し試験
用のプレートとした。いずれのハイドロゲル用組成物を
用いた場合でも、外観上問題ないハイドロゲルコーティ
ングマルチプレートが得られることを確認した。また、
安定性について確認を行ったところ、良好な結果が得ら
れた。
【0075】実施例6 9.ハイドロゲルを用いたタンパク質の内包と除去 合成例1で合成したCHP0.9を用いて、5重量%の
CHP0.9水溶液9gを調製した。これに、濃度40
mg/mLの牛血清アルブミン2mLを入れ、続いて、
5重量%の(PEG−PPG)ブロック共重合体水溶液
(共重合体の重量平均分子量は12860)9gを加
え、軽く振とうさせて牛血清アルブミン内包のハイドロ
ゲルを調製した。次いで、分子量分画120000の透
析膜に得られたゲルを入れ、200mLの100mM−
リン酸緩衝液中に浸積し、37℃で1時間毎に透析外液
を採取し、ハイドロゲルからのアルブミンの放出をニン
ヒドリン法により定量的に評価した。比較対照サンプル
として、2mLの牛血清アルブミン溶液を18mLの1
00mM−リン酸緩衝液そのまま透析膜に入れたもの、
ならびに1重量%アガロースゲル20gに牛血清アルブ
ミン80mgを内包させたものを用いた。リン酸緩衝液
中でのハイドロゲルの緩やかな崩壊に伴い、牛血清アル
ブミンの放出が確認され、8時間後では牛血清アルブミ
ン溶液をそのまま透析膜に入れたものの24%ならびに
アガロースゲル中に牛血清アルブミンを内包させたもの
の80%のアルブミン放出量を示し、アルブミンを内包
させた本発明のハイドロゲルにより、タンパク質の徐放
速度が制御されることが明らかとなった。
【0076】実施例7 10.ハイドロゲルを用いた安定化酵素組成物 合成例1で合成したCHP0.9を用いて、5重量%の
CHP0.9水溶液を調製した。これをダルベッコリン
酸緩衝生理食塩液で希釈しpH7.4とし、2重量%の
CHP0.9溶液を調製した。この溶液に、西洋ワサビ
ペルオキシダーゼ(以下HRPと略す)を1.33μg
/mLとなるように溶解し、酵素含有溶液を得た(以
下、酵素溶液1と称する)。一方、5重量%の(PEG
−PPG)ブロック共重合体水溶液(共重合体の重量平
均分子量は12860)を調製し、これをダルベッコリ
ン酸緩衝生理食塩液で希釈し(約pH4.0)、2重量
%のアクリル酸単独重合体溶液を調製した(以下、溶液
2と称する)。酵素溶液1と溶液2とを、質量比が3:
1となるよう混和し、ゲル中に酵素が内包された、安定
化酵素組成物を調製した。この安定化酵素組成物は37
℃で保存した。調製直後、2日後、3日後及び6日後
に、安定化酵素組成物の一部を取り、9倍容量のダルベ
ッコリン酸緩衝生理食塩液(pH7.4)で希釈してゲ
ルを溶解し、HRPの活性を測定した。活性の測定は、
2,2’−アジノ−ジ(3−エチルベンツチアゾリン−
6−スルホネート)を基質として用い、波長405nm
における比色により行った。安定化酵素組成物調製直後
に取った試料における酵素活性に対する、それぞれの試
料における酵素活性の百分率を求めた。結果を表4に示
す。
【0077】
【表4】
【0078】比較例2 HRPを、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩液(pH7.
4)に、濃度が1μg/mLとなるよう溶解し、HRP
溶液を調製した。調製直後、2日後、3日後及び6日後
に、このHRP溶液の一部を取り、9倍容量のダルベッ
コリン酸緩衝生理食塩液(pH7.4)で希釈し、実施
例7と同様にHRPの活性を測定した。HRP溶液調製
直後に取った試料における酵素活性に対する、それぞれ
の試料における酵素活性の百分率を求めた。結果を表4
に示す。
【0079】以上の結果より本発明の実施例のゲル及び
ゲル組成物は、各用途において比較例に比べて、優れた
効果を有することがわかる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/34 A61K 47/34 4J002 47/36 47/36 A61L 15/44 A61M 1/16 500 A61M 1/16 500 A61P 17/16 A61P 17/16 C08L 71/02 C08L 71/02 101/00 101/00 C12N 9/96 C12N 9/96 A61L 15/03 Fターム(参考) 4B050 CC07 DD13 HH04 KK15 KK16 LL01 LL10 4C076 AA74 BB31 DD70 EE01 EE30 EE56 FF02 FF57 4C077 AA05 BB01 KK03 PP01 4C081 AA03 AA12 BA03 BB01 CA291 CB041 CC02 CC03 CD011 CD34 CE02 DA12 DC12 4C083 AA021 AD011 AD052 AD491 AD492 BB60 CC01 CC02 DD41 EE12 FF01 4J002 AB01W BG01X BG04X BG07X BG13X BJ00X CH02X DE026 GB00

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水系媒体に溶解しうる疎水性基含有多糖類
    誘導体(A)と、−(CH2)q−L又は−((CH2
    r−O)q−L(ここで、Lは水素原子、メチル基又は
    −C65を示す。qは1〜24の整数を、rは3〜5の
    整数を示す。)で示される疎水性基を有する、水系媒体
    に溶解しうる重合体(B)とを含むことを特徴とするハ
    イドロゲル用組成物。
  2. 【請求項2】疎水性基含有多糖類誘導体が、多糖類−ス
    テロール誘導体である請求の範囲第1項記載のハイドロ
    ゲル用組成物。
  3. 【請求項3】多糖類−ステロール誘導体が、多糖類を構
    成する糖単位100個あたり0.01〜20個のステリ
    ル基を導入してなる多糖類−ステロール誘導体である請
    求の範囲第2項記載のハイドロゲル用組成物。
  4. 【請求項4】多糖類−ステロール誘導体が、多糖類を構
    成する糖単位100個あたり、0.01〜20個の糖単
    位の水酸基が下記式(1) 【化1】 (式(1)中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を示
    す。R2はステリル基を示す。)で表される基で置換さ
    れた多糖類−ステロール誘導体である請求の範囲第3項
    記載のハイドロゲル用組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項記載のハイド
    ロゲル用組成物を、水系媒体を介して混合しゲル化した
    ハイドロゲル。
  6. 【請求項6】ハイドロゲル内に、薬物、生体高分子及び
    細胞からなる群より選択される1種又は2種以上を内包
    してなることを特徴とする請求項5記載のハイドロゲ
    ル。
  7. 【請求項7】請求項5又は6記載のハイドロゲルを含む
    化粧料。
  8. 【請求項8】請求項5又は6記載のハイドロゲルを含む
    皮膚貼付材。
  9. 【請求項9】請求項5又は6記載のハイドロゲルにより
    形成した乾燥被膜を備えることを特徴とする医療用具。
  10. 【請求項10】請求項5又は6記載のハイドロゲルによ
    り形成した乾燥被膜を備えることを特徴とする臨床検査
    機器。
  11. 【請求項11】請求項5又は6記載のハイドロゲルを含
    む酵素安定化剤。
  12. 【請求項12】請求項5又は6記載のハイドロゲル及び
    酵素を含む安定化酵素組成物。
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