JP2002253228A - 高分子系機能性ゲルの製造法 - Google Patents

高分子系機能性ゲルの製造法

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JP2002253228A
JP2002253228A JP2001060976A JP2001060976A JP2002253228A JP 2002253228 A JP2002253228 A JP 2002253228A JP 2001060976 A JP2001060976 A JP 2001060976A JP 2001060976 A JP2001060976 A JP 2001060976A JP 2002253228 A JP2002253228 A JP 2002253228A
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Hideo Ueno
秀雄 上野
Satoshi Shinohara
智 篠原
Takeshi Fujii
武 藤井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 含水ゲルを水中に浸漬した状態で冷凍したと
きに生じる特異な現象を解明する努力の中で生まれたも
のであって、特殊な高分子系機能性ゲル(殊に、充填力
価の大きい固定化生体触媒ゲル)を製造する方法を提供
することを目的とする。 【解決手段】 高分子の含水ゲル(殊に、酵素や菌体な
どの生体触媒を含有するアルギン酸系高分子の含水ゲ
ル)を水に浸漬した状態で凍結操作に供することによ
り、その含水ゲル中の水分を離水させて離水ゲルとな
す。ついで解凍操作に供することにより、その離水ゲル
を単離する。さらに必要に応じ、その離水ゲルを乾燥し
て乾燥ゲルとなす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として固定化生
体触媒として有用な高分子系機能性ゲル(殊にアルギン
酸系機能性ゲル)を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】〈固定化生体触媒ゲル〉アルギン酸ナト
リウム水溶液と生体触媒を混合して塩化カルシウム水溶
液中に滴下することにより、水に不要のアルギン酸カル
シウムの含水ゲルとなす方法が知られている。このよう
にして得られたゲルは、生体触媒がゲルに包括された固
定化生体触媒ゲルである。生体触媒担体の例は、固定化
酵素や、固定化微生物(つまり固定化菌体)である。ア
ルギン酸系のゲルのほか、カラギーナン系などの他の天
然高分子系ゲルや、ポリアクリルアミド系、ポリビニル
アルコール系などの合成高分子系ゲルも知られている。
たとえば、「ゲル −ソフトマテリアルの基礎と応用
−、産業図書株式会社発行、発行日:平成3年5月20
日」の112頁を参照。
【0003】〈フラクトオリゴ糖〉フラクトオリゴ糖
は、水溶液としたシュクロースにフラクトシルトランス
フェラーゼ(オーレオバシディウム属やアスペルギルス
属の菌の菌体内に産生されるフラクトース転移酵素)を
添加して作用させることにより製造される。この反応
は、 GF → GF2 + GF3 + GF4 で表わされる。ここで、Gはグルコース単位、Fはフラ
クトース単位である。GFはシュクロース、GF2 (GFF) は
1−ケストース、GF3 (GFFF)はニストース、GF4(GFFFF)
は1−フラクトシルニストースである。実際の反応で
は、1−ケストースとニストースが多量に生成し、1−
フラクトシルニストースも少量生成する。GF5 以上のフ
ラクトオリゴ糖の生成はごくわずかである。なお上記反
応においては、フラクトース(F) 、グルコース(G) も副
生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】水溶液としたシュクロ
ースにフラクトシルトランスフェラーゼを添加して作用
させることによりフラクトオリゴ糖を得る方法におい
て、先に述べた高分子ゲル(殊にアルギン酸系ゲル)を
用いる方法を適用すれば、酵素(フラクトシルトランス
フェラーゼ)を含有させた高分子ゲル(殊にアルギン酸
系高分子ゲル)に、シュクロース水溶液を接触させるだ
けで目的のフラクトオリゴ糖が得られるので、工業的に
有利となることが期待できる。
【0005】この着想に基き、本発明者らは、アルギン
酸ナトリウムの水溶液に酵素(フラクトシルトランスフ
ェラーゼ)を含有させたものを、塩化カルシウム水溶液
中に滴下することにより、水に不要の球状の含水ゲル
(酵素含有アルギン酸カルシウム含水ゲル)となし、こ
の含水ゲルにシュクロース水溶液を接触させて反応させ
る方法につき検討を行ったが、この方法は工業的操作性
の点からは有利であるものの、含水ゲルをカラムに所定
容積となるように充填したときの単位容積、単位時間当
りの充填力価(力価は、フラクトオリゴ糖を生成する酵
素活性の指標)にはおのずから限界があった。この含水
ゲルを通常の乾燥法(自然乾燥や凍結乾燥)により乾燥
した乾燥ゲルをカラムに充填したときも、依然としてそ
の充填力価にはおのずから限界があった。
【0006】ところが、本発明者らによる一連の実験の
中で、たまたま上記の含水ゲル(酵素含有アルギン酸カ
ルシウム含水ゲル)を水中に浸漬した状態で冷蔵庫に保
存しておいたところ、冷蔵庫の不調により含水ゲルが冷
凍状態にもたらされる事態となった。解凍によりゲルを
回収したとき、そのゲルがちょうど缶を潰したときのよ
うに変形しており、またそのゲルは、水中に浸漬して
も、もはや水を吸って膨潤する現象は示さないことを見
い出した。上記の変形は、含水ゲルに強い圧力が加わっ
たこと、および含水ゲルからの離水が一方向的に起こっ
たことを意味している。そしてこのゲルを固定化酵素と
してカラムに充填して用いたとき、充填力価が極めて大
きくなることを見い出した。
【0007】本発明は、このような知見に基き、含水ゲ
ルを水中に浸漬した状態で冷凍したときに生じる特異な
現象を解明する努力の中で生まれたものであって、特殊
な高分子系機能性ゲル(殊に、充填力価の大きい固定化
生体触媒ゲル)を製造する方法を提供することを目的と
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の高分子系機能性
ゲルの製造法は、高分子の含水ゲルを水に浸漬した状態
で凍結操作に供することにより、その含水ゲル中の水分
を離水させて離水ゲルとなすこと、ついで解凍操作に供
することにより、その離水ゲルを単離すること、さらに
必要に応じ、その離水ゲルを乾燥して乾燥ゲルとなすこ
とを特徴とするものである。ここで高分子の代表例は、
アルギン酸系高分子である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0010】〈高分子の含水ゲル〉高分子の含水ゲルと
しては、アルギン酸、カラギーナン、コラーゲン、ゼラ
チン、ペクチン、アラビアゴム、ザンタンガム、カード
ラン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、エチルセルロース、メチルセル
ロースをはじめとする天然または天然由来の高分子の含
水ゲルや、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ル、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸をはじめ
とする合成高分子の含水ゲルが用いられる。なお、高分
子は塩の形にあるものもある。これらの高分子は水溶性
であり、その水溶液を液滴化して適当な手段により水に
不溶とすれば、含水ゲルとなすことができる。
【0011】上に例示の高分子の含水ゲルの中ではアル
ギン酸系高分子の含水ゲルが特に重要であるので、以下
においては主としてアルギン酸系高分子の含水ゲルにつ
いて詳しく述べることにする。
【0012】アルギン酸系高分子の含水ゲルは、アルギ
ン酸多価金属塩の含水ゲルの形をとる。この含水ゲル
は、典型的には、アルギン酸の水溶性塩の水溶液からな
る滴下液を多価金属塩の水溶液からなる受液中に滴下す
ることにより得られる。
【0013】アルギン酸の水溶性塩としては、アルギン
酸のナトリウム塩やカリウム塩が用いられる。多価金属
塩としては、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カ
ルシウム等の水溶性カルシウム塩;酢酸亜鉛、乳酸亜鉛
等の水溶性亜鉛塩;塩化バリウム、酢酸バリウム、乳酸
バリウム、グルコン酸バリウム等の水溶性バリウム塩;
などが例示できる。これらの中では、水溶性カルシウム
塩が特に重要である。
【0014】アルギン酸の水溶性塩の水溶液からなる滴
下液におけるアルギン酸の水溶性塩の濃度は、広い範囲
から選ばれるものの、 0.1〜10重量%程度、殊に 0.5
〜8重量%程度、なかんずく1〜5重量%程度とするこ
とが多い。多価金属塩の水溶液からなる受液中の多価金
属塩の濃度は、広い範囲から選ばれるものの、 0.1〜1
0重量%程度、殊に 0.5〜5重量%程度とすることが多
い。これらの濃度範囲において、含水ゲルの製造が円滑
になされるからである。
【0015】アルギン酸の水溶性塩の水溶液からなる滴
下液を多価金属塩の水溶液からなる受液中に滴下するに
は、前者の滴下液を後者の受液中にノズルから滴下する
方法、前者の滴下液を後者の受液中に噴霧する方法など
が採用される。
【0016】これによりアルギン酸多価金属塩の球状の
含水ゲルが得られるので、必要に応じ水中に浸漬したり
水を散布するなどして洗浄し、過剰の多価金属塩を除去
する。
【0017】アルギン酸多価金属塩の含水ゲルは、アル
ギン酸の水溶性塩の水溶液をノズルまたはダイから多価
金属塩の水溶液中に吐出して凝固させたり、アルギン酸
の水溶性塩の水溶液を流延したシートを多価金属塩の水
溶液中に浸漬して凝固させたりし、ついで必要に応じ凝
固物をカットすることによっても得ることができる。こ
のときの含水ゲルの形状は、ペレット状、線状、膜状、
テープ状などとなる。
【0018】アルギン酸多価金属塩の含水ゲルは、上記
とは逆に、多価金属塩の水溶液をアルギン酸の水溶性塩
の水溶液に滴下することにより得ることもできる。
【0019】高分子の含水ゲルが粒状であるときの平均
粒径は、目的物である高分子系機能性ゲルの用途に応じ
て広い範囲から選ばれるが、たとえば 0.1〜10mm程
度、殊に 0.5〜5mm程度とすることが多い。ただし、粒
径をもっと小にしたり、もっと大にしたりすることもで
きる。
【0020】高分子の含水ゲルには、他の種々の物質を
含有させることができる。代表的なものは、(イ)生体
触媒、(ロ)固体状の水溶性物質、(ハ)フィラー、で
ある。高分子の含水ゲルがアルギン酸多価金属塩の含水
ゲルであるときは、先の例では、アルギン酸の水溶性塩
の水溶液からなる滴下液の側に、これらの(イ)、
(ロ)、(ハ)を添加しておくようにする。
【0021】ここで(イ)の生体触媒としては、各種の
酵素や、乳酸菌、ビフィズス菌などの微生物(菌体)が
代表的なものとしてあげられる。(ロ)の固体状の水溶
性物質としては、乳糖、食塩をはじめ、冷水には限られ
た量だけ溶解し、その温度における飽和溶解度以上添加
したときには過剰分が結晶の形で微分散するものが好適
なものとしてあげられる。特に乳糖は、水に対して適度
の溶解度を有すること、結晶が小さいこと、安全である
こと、コストが安いことなどの点で、特に好ましい。
(ハ)のフィラーとしては、シリカ、ゼオライト、ケイ
ソウ土などの無機質フィラー(殊に微粉状の多孔性無機
質フィラー)、殻粉、微結晶セルロースなどの天然物由
来のフィラー、ポリマーの微粒子などの合成高分子フィ
ラー、炭素質フィラーをはじめとする水不溶性の種々の
フィラーがあげられる。
【0022】(イ)の場合には、最終的に固定化酵素や
固定化微生物を得ることができる。この態様が本発明の
最も重要な態様である。
【0023】(ロ)の固体状の水溶性物質を含有する含
水ゲルを得たときは、その含水ゲルを製造するときの水
との接触、あるいはその含水ゲルを得た後の水との接触
操作により、含水ゲル中の水溶性物質の全部または大部
分を除去することができる。また、含水ゲルを得た後、
最終的に後述の離水ゲルを得た段階で、その離水ゲルを
水と接触させて、ポーラスな離水ゲルとなすことができ
る。なおこの(ロ)の場合には、受液(アルギン酸系高
分子を用いる場合は、多価金属塩の水溶液)の方にも上
記の水溶性物質を飽和溶解度またはそれ以上となるよう
に添加しておくことが好ましい場合がある。
【0024】(ハ)のようにフィラーを含有させた場合
は、その分だけフィラーが体積を占有するので、最終物
として固いゲルを得ることができる。
【0025】〈離水ゲル〉上記のようにして高分子の含
水ゲルを準備した後は、その含水ゲルを水に浸漬した状
態で凍結操作に供することにより、その含水ゲル中の水
分を離水させて離水ゲルとなす。
【0026】凍結温度は、−5℃程度から−25℃程度
とすることが多く、通常は−7℃程度から−20℃程度
で充分である。温度が過度に高いとき(0℃に近いと
き)は、離水に時間がかかり、工業的に不利になる。一
方、液体窒素を使うなどして冷凍温度を極端に低くする
と、凍結が一瞬の間に進むので、含水ゲル中の水分の離
水がかえって円滑には進まず、また冷凍に要するエネル
ギーが大になるという不利がある。このように冷凍操作
は、温度条件をコントロールして、冷凍を適度の速度で
行うようにすることが好ましい。
【0027】含水ゲル中の水分の離水は、次の機構で進
むものと推測される。図1は、含水ゲルから離水ゲルが
生成する過程を模式的に示した説明図である。
【0028】0期:含水ゲルは、水中に浸漬された状態
で所定の温度(たとえば−10℃)で凍結操作に供され
る。 1期:周囲の水は氷結して固体となるが、含水ゲルの内
部は凝固点降下により液体のままの状態にある。 2期:含水ゲル内の水分がゲル表面を通って外に出て凍
結し始める。 3期:氷結により体積は増加するので、氷の成長につれ
て含水ゲルには強い圧力が加わる。そのため、含水ゲル
内の水分は球内部の表面を通って外に出て凍結する。 4期:内部の圧力が極限にまで高くなり、内部の水分の
大部分は離水して外に出て氷となる。その結果、ゲルは
完全に押し潰され、離水ゲルとなる。
【0029】この4期を経た後、解凍に供することによ
り、離水ゲルのみを単離することができる。解凍操作
は、単なる放置でもよく、水を流したり水中に浸漬した
りしてもよい。加熱解凍は避けることが多い。
【0030】離水ゲルは表面に水分が付着したウエット
の状態にあるが、この離水ゲルを、自然乾燥(場合によ
り減圧乾燥や軽度の加熱乾燥)することにより乾燥し、
乾燥ゲルとなすこともできる。
【0031】このようにして得た離水ゲルまたはそれを
乾燥した乾燥ゲルが、本発明の目的とする高分子系機能
性ゲルである。
【0032】〈用途〉上記の高分子系機能性ゲルは、生
体触媒担体(固定化酵素、固定化微生物、バイオリアク
ター、バイオセンサー等)として特に有用である。その
ほか、クロマトグラフ用充填剤、医療用材料、徐放性担
体をはじめとする種々の用途に用いることもできる。
【0033】上記の高分子系機能性ゲルがたとえば固定
化酵素であるときは、その固定化酵素をカラムに充填
し、カラムの一方から基質の水溶液を流せばよい。基質
水溶液がカラムを通過する間に、反応が行われ、カラム
の他方から反応液が流出する。
【0034】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を詳細に説明す
る。
【0035】実施例1 図2〜4は、本発明に従って機能性ゲルを得るときの状
態を示した写真の複写図である。図5は、含水ゲルをそ
のまま数日放置して乾燥したときの状態を示した写真の
複写図である。
【0036】3重量%濃度のアルギン酸ナトリウムの水
溶液を、ノズルから 0.2モル/リットルの濃度の塩化カ
ルシウム水溶液中に滴々と滴下した。塩化カルシウム水
溶液は軽く撹拌しておいた。これにより、直径 2.5〜
3.0mmの球形のアルギン酸カルシウムの含水ゲルが得ら
れた(図2参照)。なお、この含水ゲルをそのまま数日
放置して乾燥したときは、直径が約1mmの球形のビーズ
となった(図5参照)。
【0037】上記で得た含水ゲルを多数のシャーレ(浅
い容器とするため上蓋を使用)に入れ、水を注いで含水
ゲルが浸るようにし、温度−10℃の冷凍庫内で凍結さ
せた。氷結はシャーレの周囲側から進み(図3参照)、
最終的には全体が氷結した。冷凍庫から経時的にシャー
レを1つずつサンプル的に取り出して含水ゲルの様子を
観察すると、浸漬水の氷結の進行につれて含水ゲルが変
形しはじめ、その変形の度合がしだいに大になることが
わかった。
【0038】シャーレを冷凍庫内に入れてから2時間経
過後に、そのシャーレを取り出して流水で解凍した。こ
れにより、ちょうど空缶を潰したような形状を有する離
水ゲルが得られた(図4参照)。離水ゲルの一部は、自
然乾燥により乾燥させ、乾燥ゲルとなした(この乾燥ゲ
ルの外観は図4と同じ)。なお、繰り返し実験によれ
ば、条件により金平糖状、平板状、針状のように形は変
わるものの、いずれも空缶を潰したような形状となって
いた。
【0039】また、上記の凍結期間中、経時的にシャー
レをサンプル的に取り出して解凍し、離水ゲルの重量を
測定すると共に、それを自然乾燥した乾燥ゲルの重量を
測定した。結果は次の表1の如くであった(「−」は測
定していない)。
【0040】
【表1】 冷凍時間 0hr 1.5hr 2hr 4hr 24hr 48hr 離水ゲル重量(g) 20.0 11.50 2.00 1.91 1.81 1.82 乾燥ゲル重量(g) - - 0.96 1.03 0.98 -
【0041】表1から、2時間程度の冷凍操作で、当初
の含水ゲルの重量のうちの約90%が離水することがが
わかる。また2時間冷凍操作した後、解凍して取得した
離水ゲルを室温に放置して自然乾燥したときには、当初
の含水ゲルの重量のうちの約95%の水が除去され、カ
ラカラの乾燥状態になることがわかる。なお、この条件
における見掛け容積変化は、含水ゲルが33mlであった
のに対し、離水ゲルが5ml、乾燥ゲルが 2.5mlであっ
た。
【0042】従って、この離水ゲルまたはそれを乾燥し
た乾燥ゲルを固定化酵素として用いれば、カラムに充填
するゲルの量を多くすることができるので、目的物の生
産能力に対して設備を小型化できる利点があり、またゲ
ルが固いため酵素の離脱が起きにくく、酵素のロングラ
イフ化が図られる。
【0043】実施例2 〈酵素の精製〉オウレオバシディウム・プルランスのフ
ラクトシルトランスフェラーゼ含有菌体2kgを細胞膜破
砕し、フラクトシルトランスフェラーゼを30リットル
の水中に遊離させた。このとき、フラクトシルトランス
フェラーゼの力価を100unit/ml に調整し、粗フラク
トシルトランスフェラーゼ水溶液を得た。
【0044】次に分画分子量20000の限外ろ過によ
り、上記の粗フラクトシルトランスフェラーゼ水溶液を
1.5リットル、力価2000unit/ml まで濃縮精製し、
精製フラクトシルトランスフェラーゼ水溶液を得た。
【0045】なお1unitは、温度50℃、濃度50重量
%のシュクロース水溶液において、1分間に1−ケスト
ースを1マイクロモル生成する力価である。
【0046】上記の酵素(フラクトシルトランスフェラ
ーゼ)500unit/gを含有した3重量%のアルギン酸ナ
トリウム水溶液を、 0.2モル/リットルの濃度の塩化カ
ルシウム水溶液中にノズルから滴下させた。これによ
り、直径2〜3mmの球形の含水ゲルが得られたので、こ
れを蒸留水の中でよく撹拌して過剰の塩化カルシウムを
除去した。
【0047】上記含水ゲル20gを温度−10℃の冷凍
庫の中に入れ、2時間凍結操作を行った。その結果、当
初球形の含水ゲルであったものが、金平糖状の離水ゲル
となり、表面積が大きくなっていることが確認された。
また離水のため、重量は含水ゲルの約1/10になって
いた。ついでこの離水ゲルを室内に放置することにより
自然乾燥して、重量が含水ゲルの約1/20である乾燥
ゲルとなした。
【0048】上記の含水ゲル、離水ゲルおよび乾燥ゲル
の1リットル当りの充填力価を求めた。結果を表2に示
す。
【0049】
【表2】 力 価 見掛容積 充填可能 充填力価 (unit/g) (ml/g) 重量 (g) (unit) 含水ゲル 35 1.65 606 21,000 離水ゲル 250 2.50 400 100,000 乾燥ゲル 150 2.50 400 60,000
【0050】実施例3 上記の酵素(フラクトシルトランスフェラーゼ)500
unit/gを含有した3重量%濃度のアルギン酸ナトリウム
水溶液に乳糖をその溶解度以上に添加して過剰の乳糖が
微分散するようにしてから、 0.2モル/リットルの濃度
の塩化カルシウム水溶液中にノズルから滴下させ、含水
ゲルを製造した。ついでこの含水ゲルにつき実施例2と
同様にして冷凍操作を行ってから、得られたゲルを水中
に浸漬して微分散している乳糖を溶解除去して離水ゲル
となし、さらにこれを乾燥して乾燥ゲルとなした。得ら
れた離水ゲルおよび乾燥ゲルは、ポーラスであった。そ
れぞれのゲルにつき充填力価を求めた。結果を表3に示
す。また離水ゲルの外観図(写真の複写図)を図6に示
す。
【0051】
【表3】 力 価 見掛容積 充填可能 充填力価 (unit/g) (ml/g) 重量 (g) (unit) 含水ゲル 30 1.65 606 18,000 脱水ゲル 70 2.11 475 33,000 乾燥ゲル 270 5.00 200 54,000
【0052】実施例4 上記の酵素(フラクトシルトランスフェラーゼ)500
unit/gを含有した3重量%濃度のアルギン酸ナトリウム
水溶液に乳糖をその溶解度以上に添加して過剰の乳糖が
微分散するようにしてから、 0.2モル/リットルの濃度
の塩化カルシウム水溶液中にノズルから滴下させた。得
られた球形物を水中に浸漬する操作を繰り返して、微分
散している乳糖を溶解除去して含水ゲルとなし、さらに
実施例2と同様にして冷凍操作を行うことにより離水ゲ
ルとなし、さらには乾燥ゲルを製造した。得られた離水
ゲルおよび乾燥ゲルは、固いゲルであった。それぞれの
ゲルの充填力価を求めた。結果を表4に示す。また離水
ゲルの外観図(写真の複写図)を図7に示す。
【0053】
【表4】 力 価 見掛容積 充填可能 充填力価 (unit/g) (ml/g) 重量 (g) (unit) 含水ゲル 30 1.65 606 18,000 脱水ゲル 140 2.14 466 65,000 乾燥ゲル 450 3.50 285 129,000
【0054】実施例5 上記の酵素(フラクトシルトランスフェラーゼ)500
unit/gを含有した3重量%濃度のアルギン酸ナトリウム
水溶液に多孔質シリカを3重量%添加してから、 0.2モ
ル/リットルの濃度の塩化カルシウム水溶液中にノズル
から滴下させ、含水ゲルを製造し、さらに実施例2と同
様にして冷凍操作を行うことにより離水ゲルとなし、さ
らには乾燥ゲルを製造した。得られた離水ゲルおよび乾
燥ゲルは、シリカを含有しているため、固いゲルであっ
た。それぞれのゲルの充填力価を求めた。結果を表5に
示す。
【0055】
【表5】 力 価 見掛容積 充填可能 充填力価 (unit/g) (ml/g) 重量 (g) (unit) 含水ゲル 40 1.65 606.1 24,000 脱水ゲル 150 1.43 699.3 105,000 乾燥ゲル 80 1.25 800.0 64,000
【0056】実施例6 実施例2で得た離水ゲルを固定化酵素として用い、これ
をカラムに充填し、下記の反応条件でフラクトオリゴ糖
化を行った。(なお、この実験は主として力価を求める
ことを目的としているため基質濃度を50%にしてある
が、工業的に行う場合は基質濃度を72重量%程度にす
るのが実際的である。) ・基質:50%濃度のシュクロース(グラニュー糖)水
溶液 ・pH:5.0 ・温度:50℃ ・撹拌条件:スターラーで撹拌 ・反応時間:5時間 ・固定化酵素使用量:酵素として1g(離水ゲル)
【0057】カラムからの導出液を直ちに高速液体クロ
マトグラフ(HPLC)により分析した。結果を、図8
のチャートおよび次の表6に示す。濃度の単位は、固形
分の「wt/wt %」である。
【0058】
【表6】 Peak 糖 溶出時間 面 積 濃度 No.1 Glucose (G) + Fructose (F) 1.949 1739300 34.9239 No.2 Unknown 2.287 79652 1.5993 No.3 Sucrose (GF) 2.482 601838 12.0844 No.4 1-Kestose (GF2) 3.195 1351267 27.1325 No.5 Unknown 4.805 31051 0.6234 No.6 Nystose (GF3) 5.549 922138 18.5159 No.7 1-Fructosyl-Nystose (GF4) 10.737 255003 5.1202 Total 4980252 100.0000
【0059】図8および表6から、導出液中の糖組成の
うちフラクトオリゴ糖(GF2 + GF3 +GF4) の占める割合
は50.8%であることがわかる。
【0060】実施例7〜9 実施例3、4、5で得た離水ゲルを固定化酵素として用
い、これをカラムに充填し、実施例6と同様の反応条件
でフラクトオリゴ糖化を行った。HPLCチャートは省
略するが、導出液中の糖組成のうちフラクトオリゴ糖(G
F2 + GF3 + GF4) の占める割合は50〜53%であっ
た。
【0061】
【発明の効果】本発明にあっては、高分子(殊にアルギ
ン酸系高分子)の含水ゲルを水に浸漬した状態で凍結操
作に供することにより、その含水ゲル中の水分を離水さ
せて離水ゲルとなし、ついで解凍操作に供することによ
り、その離水ゲルを単離し、さらに必要に応じ、その離
水ゲルを乾燥して乾燥ゲルとなしている。この方法にお
いては、含水ゲルにたとえば酵素を含有させる場合も、
酵素の性質を損なうことなく目的の機能性ゲルを得るこ
とができる。
【0062】しかも凍結操作は、通常の冷凍庫程度の能
力を有する冷凍装置を用いて行うことができるので実際
的であり、またたとえば2時間程度という短時間で達成
できる。ちなみに、含水ゲルを熱を加えることなく自然
乾燥して脱水させようとすると、1〜2日の日数を要す
る。
【0063】このようにして得られた離水ゲルまたは乾
燥ゲルからなる高分子系機能性ゲルは、ちょうど空缶を
潰したときのように変形して表面積が増加している上、
含水ゲルに比し含有水分が90%とか95%も除去され
ており、しかも水と接触してももはやほとんど含水しな
い。なお、液体窒素のような冷媒を用いた通常の凍結乾
燥法では、含水ゲルの直径が小さくなるだけで変形の度
合が小さく、本発明のように潰れて表面積が大きくなっ
た機能性ゲルを得ることはできない。
【0064】従って、含水ゲルの製造に際し、たとえば
酵素や微生物などの生体触媒を含有させておけば、得ら
れる高分子系機能性ゲルはコンパクトとなるのでカラム
への充填効率が顕著に高まり、かつ生体触媒がゲルの表
面またはその近くに存在することになるので、この機能
性ゲルをカラムに充填して基質水溶液を通過させるとき
に充填力価が顕著に高くなり、反応が円滑に行われ、工
業的に極めて好ましいものとなる。
【0065】なお、含水ゲルとするときに予め固体状の
水溶性物質を含有させておけば、その水溶性物質を後に
溶解除去することによりポーラスな機能性ゲルとするこ
とができ、またフィラーを含有させておけば、固い機能
性ゲルを得ることができる。
【0066】アルギン酸系高分子の含水ゲルから出発す
るときは、アルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸の
水溶性塩と、塩化カルシウムのような多価金属塩とか
ら、容易に含水ゲルを作製することができる。この場
合、アルギン酸ナトリウムも塩化カルシウムも食品添加
物として認められているので、安全性の高い機能性ゲル
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】含水ゲルから離水ゲルが生成する過程を模式的
に示した説明図である。
【図2】本発明に従って機能性ゲルを得るときの状態を
示した写真の複写図である。
【図3】本発明に従って機能性ゲルを得るときの状態を
示した写真の複写図である。
【図4】本発明に従って機能性ゲルを得るときの状態を
示した写真の複写図である。
【図5】含水ゲルをそのまま数日放置して乾燥したとき
の状態を示した写真の複写図である。
【図6】実施例3における離水ゲルの状態を示した外観
図(写真の複写図)である。
【図7】実施例4における離水ゲルの状態を示した外観
図(写真の複写図)である。
【図8】実施例6におけるカラムからの導出液のHPL
Cチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B033 NA25 NB02 NB48 NB62 NB67 NC04 NC06 ND02 4B064 AF04 CA31 CA34 CA38 CD09 CE10 DA16 4F070 AA01 AB13 AC59 AE01 AE16 CB03 CB11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子の含水ゲルを水に浸漬した状態で凍
    結操作に供することにより、その含水ゲル中の水分を離
    水させて離水ゲルとなすこと、 ついで解凍操作に供することにより、その離水ゲルを単
    離すること、 さらに必要に応じ、その離水ゲルを乾燥して乾燥ゲルと
    なすことを特徴とする高分子系機能性ゲルの製造法。
  2. 【請求項2】アルギン酸系高分子の含水ゲルを水に浸漬
    した状態で凍結操作に供することにより、その含水ゲル
    中の水分を離水させて離水ゲルとなすこと、 ついで解凍操作に供することにより、その離水ゲルを単
    離すること、 さらに必要に応じ、その離水ゲルを乾燥して乾燥ゲルと
    なすことを特徴とする請求項1記載の高分子系機能性ゲ
    ルの製造法。
  3. 【請求項3】高分子の含水ゲルが、(イ)生体触媒、
    (ロ)固体状の水溶性物質、(ハ)フィラー、のうちの
    少なくとも1種を含有していることを特徴とする請求項
    1または2記載の製造法。
  4. 【請求項4】アルギン酸系高分子の含水ゲルが、アルギ
    ン酸の水溶性塩の水溶液からなる滴下液を多価金属塩の
    水溶液からなる受液中に滴下することにより得たもので
    ある請求項2記載の製造法。
  5. 【請求項5】固定化生体触媒ゲルを得る方法である請求
    項1または2記載の製造法。
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EP1618883A4 (en) * 2003-04-25 2009-07-08 Kouki Bussan Yugenkaisha MEANS TO PREVENT AND PREVENT OBSTIPATION
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