JP2003010901A - 鋼板の製造方法および鋼板の製造設備 - Google Patents

鋼板の製造方法および鋼板の製造設備

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JP2003010901A JP2001192725A JP2001192725A JP2003010901A JP 2003010901 A JP2003010901 A JP 2003010901A JP 2001192725 A JP2001192725 A JP 2001192725A JP 2001192725 A JP2001192725 A JP 2001192725A JP 2003010901 A JP2003010901 A JP 2003010901A
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和田  裕
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康一 堤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱および圧延の能率を阻害することなく、
種々の厚鋼板において表面疵の発生を防止することがで
きる鋼板の製造方法およびその製造設備を提供するこ
と。 【解決手段】 鋼板の製造方法は、連続鋳造されたスラ
ブを高温状態で加熱炉4に装入した後に圧延するホット
チャージプロセスにより鋼板を製造する方法であって、
加熱炉4の入側に冷却装置2を設置し、前記冷却装置2
によりスラブを強制冷却してスラブ表面をフェライト変
態させてから前記加熱炉4に装入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造されたス
ラブを高温状態で加熱炉に装入した後に圧延するホット
チャージプロセスにより厚鋼板を製造する鋼板の製造方
法および製造設備に関する。
【0002】
【従来の技術】近年エネルギー原単位低減を目的とし
て、連続鋳造されたスラブを室温まで冷却せずに高温の
まま加熱炉へ装入して圧延するホットチャージ圧延(H
CR)が広く採用されている。熱効率の観点からは、ス
ラブ温度はより高温が望ましいため、オーステナイト温
度域から加熱炉へ装入して圧延するγ−HCRも行われ
ている。
【0003】このγ−HCRでは、冷却時にスラブ表層
がオーステナイト(γ)からフェライト(α)に変態し
ないため、γ→α変態、および、再加熱時のα→γ逆変
態に起因する組織の微細化が達成されず、粗大γ組織に
起因した表面疵が発生しやすい。特に、Nb,Ti,V
等のAr変態点を低下させる合金元素を含有するスラ
ブにおいて顕著である。
【0004】このHCRにおける表面疵対策として、鋳
造後のスラブを所定時間放置し、その温度を一定温度ま
で冷却してスラブ表面をフェライト変態させる方法があ
るが、このような技術では一般にスラブの表面温度を測
定してこれが一定温度になるまで冷却しているため、所
望の組織が得られるか否かは不明である。また、鋼成分
により変態温度は異なるため必要な冷却温度は一定では
ない。このためフェライト変態を完全に行わせるために
過度の冷却を行わざるを得ず、スラブ温度が低下しHC
Rの省エネルギー効果が低減してしまうという問題があ
った。
【0005】この問題を解決するために、いくつかの方
法が提案されている。特開平6−306458号公報
(従来技術)では、鋳造後のスラブに歪みが残留する
ように加工を施し、その後加工歪みにより再結晶が生じ
る温度以上、かつ、再結晶後の粒成長により粒が粗大化
する温度以下で加熱する方法が提案されている。
【0006】特開昭62−34602号公報(従来技術
)では、圧延条件を制御することにより表面疵の発生
を防止する技術が開示されている。すなわち、全圧下比
1.3以下までの圧延はAr変態点以上の高温側で圧
延し、全圧下比が1.3を超える部分ではスラブ表面温
度をAr+50℃〜Ar−100℃で熱間圧延する
ことにより表面疵の発生を防止している。
【0007】また、HCRにおける低温靱性の改善を目
的として、結晶粒径を微細化する工夫もなされている。
特開平7−331329号公報(従来技術)では、ス
ラブ表面温度300℃以上、Ar−100℃以下で加
熱炉に装入し、圧下比3以上の圧延を行って鋼板表面温
度Ar−100℃以上950℃以下で圧延を終了する
技術が提案されている。
【0008】特開昭63−317201号公報(従来技
術)では、スラブのγ→α変態量を検出し、検出値が
設定値に達したときにスラブを加熱炉に装入することに
より、組織の微細化を図り低温靱性を向上させる技術が
提案されている。この技術は、従来スラブ表面温度で管
理されていた加熱炉装入条件を、変態量検出装置によっ
て直接測定されるスラブ内部のフェライト変態率で制御
するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術の方法では、連続鋳造後のスラブに歪みが残留
するように加工を施すことが可能な設備が必要であり現
実的ではない。また、加熱条件の制約があるため操業上
能率低下を生じてしまうという問題がある。
【0010】また、上記従来技術の方法は、圧延条件
を規制する技術であり、鋼板サイズや要求される材質特
性の異なる厚鋼板へ広く適用することはできないという
問題がある。
【0011】さらに、上記従来技術の方法は、加熱炉
装入温度と圧延条件を規定するため、上記従来技術の
方法と同様に、種々の厚鋼板へ適用することは不可能で
あるとともに、加熱、圧延能率を阻害するという問題が
ある。
【0012】一方、スラブのγ→α変態量を変態量検出
装置により検出する従来技術は、所望の組織を得るの
に有効な手段である。しかし、検出値が所定値になるま
でその位置でスラブを待機させる必要があり、加熱炉装
入の作業効率が大幅に低下してしまう。また、靱性向上
のためにはスラブ厚の中心部まで所定量変態しているこ
とが必要であるが、このように変態させる場合、スラブ
全体の温度低下が避けられず省エネルギー効果が低減す
るという問題がある。
【0013】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あって、ホットチャージプロセスにより厚鋼板を製造す
るに際し、加熱および圧延の能率を阻害することなくエ
ネルギーロスを最小限にしつつ、表面疵の発生を防止す
ることができる鋼板の製造方法およびその製造設備を提
供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の第1の観点では、連続鋳造されたスラブを
高温状態で加熱炉に装入した後に圧延するホットチャー
ジプロセスにより厚鋼板を製造する方法であって、加熱
炉の入側に冷却装置を設置し、前記冷却装置によりスラ
ブを強制冷却してスラブ表面をフェライト変態させてか
ら前記加熱炉に装入することを特徴とする鋼板の製造方
法を提供する。
【0015】また、本発明の第2の観点では、連続鋳造
されたスラブが装入される加熱炉と、前記加熱炉から搬
出されたスラブを圧延する圧延機とを具備し、連続鋳造
されたスラブを高温状態のまま圧延するホットチャージ
プロセスを行う厚鋼板の製造設備であって、前記加熱炉
の入側に設けられ、スラブを強制冷却してスラブ表面を
フェライト変態させる冷却装置をさらに具備することを
特徴とする鋼板の製造設備を提供する。
【0016】上記本発明の第1および第2の観点によれ
ば、連続鋳造後のスラブ表面を強制冷却することによっ
て、スラブ表面を積極的にフェライト変態させ、これに
よりスラブ表面の組織微細化を促進するので、加熱およ
び圧延の能率を阻害することなくエネルギーロスを最小
限にしつつ、種々の厚鋼板において粗大γ組織に起因し
た表面疵の発生を防止することができる。
【0017】本発明の第3の観点では、連続鋳造された
スラブを高温状態で加熱炉に装入した後に圧延するホッ
トチャージプロセスにより厚鋼板を製造する方法であっ
て、加熱炉の入側に冷却装置およびスラブ表面の変態厚
さを測定可能な変態率計を設置し、前記冷却装置により
スラブを強制冷却してスラブ表面をフェライト変態さ
せ、前記変態率計により強制冷却後のスラブ表面のフェ
ライト変態厚さを測定し、フェライト変態厚さが所定値
となってから前記加熱炉に装入することを特徴とする鋼
板の製造方法を提供する。
【0018】また、本発明の第4の観点では、連続鋳造
されたスラブが装入される加熱炉と、前記加熱炉から搬
出されたスラブを圧延する圧延機とを具備し、連続鋳造
されたスラブを高温状態のまま圧延するホットチャージ
プロセスを行う厚鋼板の製造設備であって、前記加熱炉
の入側に設けられ、スラブを強制冷却してスラブ表面を
フェライト変態させる冷却装置と、前記冷却装置と前記
加熱炉との間に設けられ、スラブ表面のフェライト変態
厚さを測定する変態率計とをさらに具備し、前記変態率
計により測定されたスラブ表面のフェライト変態厚さが
所定値となった際にスラブを前記加熱炉に装入すること
を特徴とする鋼板の製造設備を提供する。
【0019】上記本発明の第3および第4の観点によれ
ば、スラブ表面を強制冷却してフェライト変態させた後
にフェライト変態厚さを測定し、フェライト変態厚さが
十分な場合にスラブを加熱炉に装入するので、加熱およ
び圧延の能率を阻害することなくエネルギーロスを最小
限にしつつ、種々の厚鋼板において粗大γ組織に起因し
た表面疵の発生を確実に防止することができる。
【0020】上記本発明の第3および第4の観点におい
て、前記所定値は、スラブ厚と製品厚との比で規定され
る圧下比、すなわち圧延機の圧下比に対応した値とする
ことが好ましく、例えば、前記圧下比が5以上のときに
はスラブ厚の5%とし、前記圧下比が5未満のときはス
ラブ厚の10%とする。
【0021】また、フェライト変態厚さは、スラブに直
流磁場を印加して回転磁化領域の磁化状態に磁化し、こ
の状態のスラブの磁化部分について交流磁場を用いて電
磁気的特性の測定を行うことにより求めることが好適で
ある。
【0022】さらに、前記測定されたスラブ表面のフェ
ライト変態厚さに応じて、それ以降のスラブの冷却条件
を制御することが好ましい。
【0023】上記本発明の第4の観点においては、前記
冷却装置の入側に設けられ、前記冷却装置の入側におけ
るスラブ表面のフェライト変態厚さを測定する他の変態
率計をさらに具備し、前記他の変態率計の測定したフェ
ライト変態厚さが所定値未満の場合に前記冷却装置でス
ラブの強制冷却を行い、前記他の変態率計の測定したフ
ェライト変態厚さが所定値以上の場合には前記冷却装置
でスラブの強制冷却を行わないようにしてもよい。連続
鋳造されたスラブは、冷却装置に装入されるまでの間に
その表面が十分にフェライト変態している可能性もある
ので、このように強制冷却前にフェライト変態厚さが十
分な場合にはスラブの強制冷却を行わないようにするこ
とで、スラブのエネルギーロスを最低限にすることがで
きる。
【0024】上記本発明の第3および第4の観点におい
ては、フェライト変態厚さの測定は、スラブの幅方向中
央部のみで行うようにしてもよい。また、上記本発明の
いずれの観点においても、スラブの幅方向中央部のみを
強制冷却するようにしてもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る鋼
板の製造設備の配置を示す模式図である。図1に示すよ
うに、この鋼板の製造設備は、図示しない連続鋳造機で
製造されたスラブが搬送されるスラブ搬送ライン1と、
このスラブ搬送ライン1上に設けられ、スラブを強制冷
却する冷却装置2と、この冷却装置2の出側に設けら
れ、冷却されたスラブ表面の温度を測定する温度計3
と、温度計3で温度を測定した後のスラブがスラブ搬送
ライン1から装入される加熱炉4と、この加熱炉4の出
側に設けられ、スラブを圧延して鋼板とする圧延ライン
5とを有している。このうちスラブ搬送ライン1と、加
熱炉4と、圧延ライン5とは、通常の鋼板の製造設備と
同様のものを用いることができ、既存の設備を用いても
構わない。また、冷却装置2としては、スラブの上下面
を冷却可能なものであれば特に限定されるものではな
く、スプレーノズル等を備えた水冷式の通常のものを用
いることができる。温度計3もスラブ表面の温度測定に
用いる通常のものを用いればよい。
【0026】上記の製造設備を用いて鋼板を製造する際
には、まず、連続鋳造されたスラブをスラブ搬送ライン
1上で搬送して冷却装置2に搬入し、例えば冷却装置2
のスプレーノズルを用いて所定水量で所定時間冷却する
ことにより、スラブを強制冷却してスラブ表面をフェラ
イト変態させる。次に、温度計3でスラブ表面の温度を
確認し、スラブ搬送ライン1から加熱炉4に装入し、ス
ラブを加熱した後、スラブを圧延ライン5に搬入して圧
延することにより鋼板を製造する。
【0027】このようなプロセスでは、冷却装置2でス
ラブを強制冷却してスラブ表面をフェライト変態させる
ことにより、スラブ表面の組織を微細化することができ
るので、スラブ表面の粗大γ組織に起因した表面疵の発
生を防止することができる。また、強制冷却することに
よりスラブ表面は温度低下するが、一般にスラブ厚は2
00mm以上と厚いため、板厚中心部からの復熱により
スラブ全体の温度は高温に保持されたままであり、冷却
によるエネルギーロスは僅かである。さらに、加熱炉4
に装入後の加熱条件、圧延条件はいすれも鋼種、要求寸
法、要求材質に応じて適宜決定すればよく、制約は不要
であり、これらの能率を阻害することなくどのような種
類のスラブにも適用することが可能である。
【0028】また、従来のホットチャージプロセスにお
いて、表面疵が発生しやすいのはスラブの幅方向中央部
である1/4w〜3/4w(wはスラブの幅を示す。)
付近であることが経験的に知られている。したがって、
冷却装置2でスラブの幅方向中央部のみを冷却して、表
面疵が発生しやすい部分のみをフェライト変態させても
よい。これによりスラブの温度低下を極力少なくして表
面疵の発生を有効に防止することが可能となる。
【0029】図2は、本発明の第2の実施形態に係る鋼
板の製造設備の配置を示す模式図である。図2に示すよ
うに、この鋼板の製造設備は、上記第1の実施形態に係
る鋼板の製造設備と同様の構成に加えて、冷却装置2と
加熱炉4との間に、スラブ板厚方向のフェライト変態厚
さを測定する変態率計6を有しており、この変態率計6
により冷却装置2で強制冷却されたスラブのフェライト
変態厚さが測定可能になっている。また、変態率計6か
ら出力された測定結果が入力され、その値に応じて冷却
装置2の冷却条件を制御可能な制御手段7が設けられて
いる。なお、この制御手段7は、スラブの鋼種(Ar
変態点)、圧延ライン5の圧下比等も入力可能に構成さ
れており、入力されたこれらのデータによっても冷却装
置2の冷却条件を制御可能である。
【0030】この変態率計6としては、本出願人が特願
2000−011122において提案したもの、具体的
には、スラブに直流磁場を印加して回転磁化領域の磁化
状態に磁化する直流磁化手段と、スラブの磁化部分につ
いて交流磁場を用いて電磁気的特性の測定を行う検出手
段と、前記検出手段の測定した電磁気的特性値からスラ
ブ表面のフェライト変態厚さを求める変態測定手段とを
有するものを用いることができる。このような変態率計
6によれば、鋼種、加工履歴、熱履歴等の影響を受けず
にスラブのフェライト変態厚さを測定することができ、
また、スラブ板厚方向の広い範囲でフェライト変態厚さ
を測定することが可能である。
【0031】上記製造設備を用いて鋼板を製造する際に
は、まず、上記第1の実施形態と同様に、スラブをスラ
ブ搬送ライン1上で搬送して冷却装置2に搬入し、スラ
ブを強制冷却する。次いで、スラブを変態率計6に搬入
してスラブ板厚方向のフェライト変態厚さを測定し、測
定されたフェライト変態厚さが所定値以上の場合にはス
ラブを加熱炉4に装入してスラブを加熱した後、スラブ
を圧延ライン5に搬入して圧延することにより鋼板を製
造する。また、測定されたフェライト変態厚さが所定値
未満の場合にはスラブを再度冷却装置2に搬入して強制
冷却し、変態率計6で再度フェライト変態厚さを測定し
てフェライト変態厚さが所定値以上であることを確認し
た後、前記同様に加熱炉4に装入して加熱し、圧延ライ
ン5に搬入して圧延する。この場合に、搬送が錯綜する
ときにはスラブを再度冷却装置2に搬入する代わりに、
そのまま空冷により冷却するようにしてもよい。
【0032】このようなプロセスでは、スラブを強制冷
却してスラブ表面をフェライト変態させた後に変態率計
6でフェライト変態厚さを測定し、測定されたフェライ
ト変態厚さが所定値以上場合にスラブを加熱炉4に装入
するので、スラブ表面の所定厚さを確実にフェライト変
態させることができ、スラブ表面の粗大γ組織に起因し
た表面疵の発生をより確実に防止することができる。ま
た、強制冷却後のフェライト変態厚さを測定しながらス
ラブを強制冷却することができるので、スラブ表面の温
度低下を抑制しつつ、十分なフェライト変態厚さとなる
ようにスラブを強制冷却することができ、これにより最
小限のエネルギーロスで表面疵の発生を適切に防止する
ことができる。さらに、本実施形態においても加熱炉4
に装入後の加熱条件、圧延条件はいすれも鋼種、要求寸
法、要求材質に応じて適宜決定すればよく、制約は不要
であり、加熱や圧延の能率を阻害することなくどのよう
な種類のスラブにも適用することが可能である。
【0033】表1に、本実施形態の製造設備を用い、ス
プレーノズルを備えた冷却装置2にスラブを搬入し、
0.5m/min・mの水量密度にて種々の冷却時
間でスラブを強制冷却した後、変態率計6でフェライト
変態厚さを測定し、温度計3で加熱炉4装入時のスラブ
表面温度を測定した結果を示す。また、表1にはスラブ
を強制冷却せずに、空冷した場合のフェライト変態厚さ
およびスラブ表面温度を併せて示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1より、スラブを強制冷却することでス
ラブ表面をフェライト変態させることができ、冷却時間
とともにスラブ板厚方向のフェライト変態厚さが大きく
なることがわかる。さらに、同じフェライト変態厚さで
も強制冷却したスラブと空冷したスラブとでは加熱炉装
入時のスラブ表面温度が異なり、強制冷却したスラブで
は内部からの復熱により空冷したスラブよりも約150
℃スラブ表面温度が高くなっており、エネルギー原単位
低減の観点からも本発明が優れた効果を有していること
がわかる。また、従来のスラブ表面温度測定では、同じ
温度でも鋼種によりAr変態点が相違するためフェラ
イト変態厚さは異なっており、フェライト変態厚さを正
確に把握することは困難であったが、本実施形態におい
ては、上記のように変態率計6を用いることにより、フ
ェライト変態厚さを直接的かつ正確に測定することが可
能である。
【0036】また、従来のようにスラブを空冷してスラ
ブ表面をフェライト変態させる場合、フェライト変態が
開始するまで長時間の空冷が必要であり、スラブ製造か
ら加熱炉装入までのリードタイムが長くなるため、工程
上の制約が生じる。これに対して、本発明においては強
制冷却することにより短時間でスラブ表面をフェライト
変態させることが可能であり、リードタイムの短縮によ
る製造能率の向上も達成することができる。
【0037】図3は、本実施形態の製造設備を用い、冷
却装置2でスラブ表面を種々の条件で冷却し、スラブ表
面の板厚方向のフェライト変態厚さを変態率計6で測定
した後、加熱炉4に装入してスラブを加熱し、熱間圧延
ライン5で熱間圧延した鋼板の表面疵発生状況を調査し
た結果を示すグラフである。この調査では、Nb、Vが
添加された250mm厚のスラブを用い、加熱炉4の加
熱温度は一律1150℃とし、圧延ライン5の圧下比を
2〜10の範囲で変化させた。図3には横軸に圧延ライ
ン5の圧下比をとり縦軸に変態率計6で測定されたフェ
ライト変態厚さをとって、疵無しの場合を○、疵有りの
場合を×で示す。
【0038】図3に示すように、圧下比が5以上の場合
にはフェライト変態厚さが12.5mm以上、すなわち
スラブ厚の5%以上であれば表面疵が発生しない。ま
た、圧下比が5%未満の場合にはフェライト変態厚さが
25mm以上、すなわちスラブ厚の10%以上であれば
表面疵が発生しない。このように、圧下比により表面疵
の発生状況は異なっており、圧下比に応じてスラブ表面
のフェライト変態厚さを制御することが好ましい。具体
的には、圧延ライン5の圧下比に応じて、所定のフェラ
イト変態厚さが得られるように、冷却装置2の冷却条
件、例えばスプレーノズルを用いる場合にはその水量密
度あるいは水冷時間を制御手段7により制御してスラブ
を冷却する。
【0039】本実施形態においては、変態率計6で測定
されたスラブのフェライト変態厚さに応じて、それ以降
のスラブの冷却条件(冷却時間、冷却水量、冷却部位
等)を制御手段7により制御するようにしてもよい。こ
のようにフェライト変態厚さの実測値に応じてスラブの
冷却条件を制御することによって、より適切にフェライ
ト変態厚さを調節することができる。
【0040】また、上述したように、表面疵が出やすい
のは経験的に1/4w〜3/4w付近の幅方向中央部で
あるから、変態率計6による測定をその部分のみで行う
ようにしてもよいし、上記実施形態と同様に冷却装置2
でスラブの幅方向中央部のみを冷却するようにしてもよ
い。
【0041】図4は、表面をフェライト変態させたスラ
ブのフェライト変態厚さを幅方向の複数箇所で測定し、
横軸にスラブ幅方向位置をとり、縦軸にフェライト変態
厚さをとってフェライト変態厚さの分布を示したグラフ
である。図4に示すように、スラブの幅方向端部ではフ
ェライト変態厚さが大きく、上述の表面疵が出やすいス
ラブ幅方向中央部の1/4w〜3/4w付近では実質的
にフェライト変態が生じていないので、変態率計6をス
ラブ幅方向に複数個設けるか、あるいは変態率計6をス
ラブ幅方向に走査させて、スラブ幅方向のフェライト変
態厚さの分布状況を把握するようにし、測定されたフェ
ライト変態厚さが十分でない必要最小限の部分のみ(例
えば、幅方向中央部のみ)で強制冷却を行うようにして
もよい。これにより、スラブのエネルギーロスを最低化
することができる。
【0042】図5は、本発明の第3の実施形態に係る鋼
板の製造設備の配置を示す模式図である。図5に示すよ
うに、この鋼板の製造設備は、上記第2の実施形態に係
る鋼板の製造設備と同様の構成に加えて、冷却装置2の
入側にも変態率計6′が設けられており、この変態率計
6′から出力された測定結果もまた制御手段7に入力さ
れるようになっている。
【0043】この製造設備を用いて鋼板を製造する際に
は、まず、スラブをスラブ搬送ライン1上で搬送し、変
態率計6′に搬入してフェライト変態厚さを測定した
後、スラブを冷却装置2に搬入する。このとき、変態率
計6′において測定されたフェライト変態厚さが所定値
以上の場合にはスラブの強制冷却を行わず、フェライト
変態厚さが所定値未満の場合にはスラブを強制冷却する
ように、制御手段7により冷却装置2を制御する。以
下、上記第2の実施形態と同様に、変態率計6において
スラブ表面のフェライト変態厚さを測定し、スラブを加
熱炉4に装入し、圧延ライン5で圧延して鋼板を得る。
【0044】このようなプロセスによれば、スラブをス
ラブ搬送ライン1上で搬送している間にスラブ表面の十
分な厚さがフェライト変態している場合には、冷却装置
2においてスラブを強制冷却せずに加熱炉4に装入する
ので、スラブが必要以上に冷却されることを防止してス
ラブのエネルギーロスを最低限にすることができる。
【0045】なお、本発明は上記実施の形態に限られる
ものではなく、種々変更が可能である。例えば、上記の
実施形態では、いずれも冷却装置2、変態率計6をスラ
ブ搬送ライン1上に設けた場合を示したがこれに限られ
るものではなく、クレーン等でスラブを搬送可能な位置
に冷却装置2や変態率計6を設けてもよい。
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。表
2に示す化学成分を有するNb−V系の鋼AおよびCu
−Ni系の鋼Bからなるスラブを連続鋳造により製造し
た。スラブ厚は鋼Aでは300mmまたは250mmと
し、鋼Bでは250mmとした。この連続鋳造されたス
ラブを図2に示した鋼板の製造設備のスラブ搬送ライン
1に供給し、スプレーノズルを有する冷却装置2におい
て表3に示す水量密度および水冷時間で強制冷却し、次
いで変態率計6でスラブ表面のフェライト変態厚さを測
定してからスラブを加熱炉4に装入して加熱した後、圧
延ライン5に搬入して表3に示す圧延厚に圧延してN
o.1〜10の鋼板を得た。また、冷却装置2で強制冷
却する代わりに連続鋳造完了後約10時間空冷し、その
他は前記と同様の工程によりNo.11の鋼板を得た。
表3にはまた、変態率計6で測定されたフェライト変態
厚さと、加熱炉4装入時のスラブ表面温度と、圧延ライ
ン5の圧下比と、加熱炉4の加熱温度と、鋼板における
表面疵発生の有無とを併せて示す。
【0047】表3に示すように、冷却装置2で強制冷却
したNo.1〜10の鋼板においては、加熱炉装入時の
スラブ表面温度を大きく低下させることなく、スラブ表
面の所定厚さをフェライト変態させることができてい
た。さらに、圧下比が5以上かつフェライト変態厚さが
スラブ厚の5%以上を満足するか、圧下比が5未満かつ
フェライト変態厚さがスラブ厚の10%以上を満足する
No.1〜7の鋼板では、表面疵の発生を防止すること
ができた。
【0048】これに対して、冷却装置2で強制的な冷却
を行わずに空冷したNo.11の鋼板では、空冷でフェ
ライト変態厚さをスラブ厚の10%以上とすることによ
り表面疵の発生を防止することはできたが、スラブ表面
温度は450℃まで低下しており、No.1〜10の鋼
板と比べるとスラブ表面温度が150℃以上低く、大き
なエネルギーロスを生じていた。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、連続鋳造されたスラブ
を高温状態で加熱炉に装入した後に圧延するホットチャ
ージプロセスによる厚鋼板の製造において、加熱および
圧延の能率を阻害することなくエネルギーロスを最小限
にして、厚鋼板の表面疵を防止することが可能となり、
工業上有用な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る鋼板の製造設備
の配置を示す模式図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る鋼板の製造設備
の配置を示す模式図。
【図3】鋼板の表面疵発生状況を調査した結果を示すグ
ラフ。
【図4】表面をフェライト変態させたスラブのフェライ
ト変態厚さを幅方向の複数箇所で測定し、横軸にスラブ
幅方向位置をとり、縦軸にフェライト変態厚さをとって
フェライト変態厚さの分布を示したグラフ。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る鋼板の製造設備
の配置を示す模式図。
【符号の説明】
1;スラブ搬送ライン 2;冷却装置 3;温度計 4;加熱炉 5;圧延ライン(圧延機) 6,6′;変態率計 7;制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 宏晴 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E002 AA05 AD07 BC05 BD02 BD07 CB01 CB03 CB07 4E004 MC01 NB01 NC01 SE03

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造されたスラブを高温状態で加熱
    炉に装入した後に圧延するホットチャージプロセスによ
    り厚鋼板を製造する方法であって、加熱炉の入側に冷却
    装置を設置し、前記冷却装置によりスラブを強制冷却し
    てスラブ表面をフェライト変態させてから前記加熱炉に
    装入することを特徴とする鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 連続鋳造されたスラブを高温状態で加熱
    炉に装入した後に圧延するホットチャージプロセスによ
    り厚鋼板を製造する方法であって、加熱炉の入側に冷却
    装置およびスラブ表面の変態厚さを測定可能な変態率計
    を設置し、前記冷却装置によりスラブを強制冷却してス
    ラブ表面をフェライト変態させ、前記変態率計により強
    制冷却後のスラブ表面のフェライト変態厚さを測定し、
    フェライト変態厚さが所定値となってから前記加熱炉に
    装入することを特徴とする鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記所定値は、スラブ厚と製品厚との比
    で規定される圧下比に対応した値であることを特徴とす
    る請求項2に記載の鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記所定値は、前記圧下比が5以上のと
    きにはスラブ厚の5%であり、前記圧下比が5未満のと
    きにはスラブ厚の10%であることを特徴とする請求項
    3に記載の鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 スラブに直流磁場を印加して回転磁化領
    域の磁化状態に磁化し、この状態のスラブの磁化部分に
    ついて交流磁場を用いて電磁気的特性の測定を行うこと
    によりスラブ表面のフェライト変態厚さを測定すること
    を特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記
    載の鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記変態率計により測定されたスラブ表
    面のフェライト変態厚さに応じて、それ以降のスラブの
    冷却条件を制御することを特徴とする請求項2から請求
    項5のいずれか1項に記載の鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 スラブ表面のフェライト変態厚さをスラ
    ブの幅方向中央部のみで測定することを特徴とする請求
    項2から請求項6のいずれか1項に記載の鋼板の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記冷却装置によりスラブの幅方向中央
    部のみを強制冷却することを特徴とする請求項1から請
    求項7のいずれか1項に記載の鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】 連続鋳造されたスラブが装入される加熱
    炉と、前記加熱炉から搬出されたスラブを圧延する圧延
    機とを具備し、連続鋳造されたスラブを高温状態のまま
    圧延するホットチャージプロセスを行う厚鋼板の製造設
    備であって、 前記加熱炉の入側に設けられ、スラブを強制冷却してス
    ラブ表面をフェライト変態させる冷却装置をさらに具備
    することを特徴とする鋼板の製造設備。
  10. 【請求項10】 連続鋳造されたスラブが装入される加
    熱炉と、前記加熱炉から搬出されたスラブを圧延する圧
    延機とを具備し、連続鋳造されたスラブを高温状態のま
    ま圧延するホットチャージプロセスを行う厚鋼板の製造
    設備であって、 前記加熱炉の入側に設けられ、スラブを強制冷却してス
    ラブ表面をフェライト変態させる冷却装置と、 前記冷却装置と前記加熱炉との間に設けられ、スラブ表
    面のフェライト変態厚さを測定する変態率計とをさらに
    具備し、 前記変態率計により測定されたスラブ表面のフェライト
    変態厚さが所定値となった際にスラブを前記加熱炉に装
    入することを特徴とする鋼板の製造設備。
  11. 【請求項11】 前記変態率計は、スラブに直流磁場を
    印加して回転磁化領域の磁化状態に磁化する直流磁化手
    段と、スラブの磁化部分について交流磁場を用いて電磁
    気的特性の測定を行う検出手段と、前記検出手段の測定
    した電磁気的特性値からスラブ表面のフェライト変態厚
    さを求める変態測定手段とを有することを特徴とする請
    求項10に記載の鋼板の製造設備。
  12. 【請求項12】 前記冷却装置を制御する制御手段をさ
    らに具備し、 前記制御手段は、前記変態率計の測定したフェライト変
    態厚さに応じて、前記冷却装置がそれ以降のスラブを強
    制冷却する条件を制御することを特徴とする請求項10
    または請求項11に記載の鋼板の製造装置。
  13. 【請求項13】 前記冷却装置の入側に設けられ、前記
    冷却装置の入側におけるスラブ表面のフェライト変態厚
    さを測定する他の変態率計をさらに具備し、 前記他の変態率計の測定したフェライト変態厚さが所定
    値未満の場合に前記冷却装置でスラブの強制冷却を行
    い、前記他の変態率計の測定したフェライト変態厚さが
    所定値以上の場合には前記冷却装置でスラブの強制冷却
    を行わないことを特徴とする請求項10から請求項12
    のいずれか1項に記載の鋼板の製造設備。
  14. 【請求項14】 前記変態率計は、スラブ表面のフェラ
    イト変態厚さをスラブの幅方向中央部のみで測定するこ
    とを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか1
    項に記載の鋼板の製造設備。
  15. 【請求項15】 前記冷却装置は、スラブの幅方向中央
    部のみを強制冷却することを特徴とする請求項9から請
    求項14のいずれか1項に記載の鋼板の製造設備。
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