JP2003012573A - 4,4’−ジブロモビフェニルの製造方法 - Google Patents

4,4’−ジブロモビフェニルの製造方法

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JP2003012573A
JP2003012573A JP2001204827A JP2001204827A JP2003012573A JP 2003012573 A JP2003012573 A JP 2003012573A JP 2001204827 A JP2001204827 A JP 2001204827A JP 2001204827 A JP2001204827 A JP 2001204827A JP 2003012573 A JP2003012573 A JP 2003012573A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 4,4’−ジブロモビフェニルを高収率で製
造する方法を提供する。 【解決手段】 反応溶媒中でビフェニルと臭素とを反応
させて粗4,4’−ジブロモビフェニルを該反応溶媒中
に粗結晶として析出させ、次いで該粗結晶を含むスラリ
ーを加熱および冷却して4,4’−ジブロモビフェニル
を再結晶して純結晶を得ることを特徴とする。該純結晶
を析出した後の分離液(晶析母液)は、公知の精製等を
必要とせず、これをビフェニルと臭素との反応溶媒とし
て再使用できるため、処理操作が簡便でかつ生産効率に
優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は4,4’−ジブロモ
ビフェニルの製造方法に関し、より詳細には、反応溶媒
中で臭素とビフェニルとを反応させて4,4’−ジブロ
モビフェニルの粗結晶を得て、次いで該粗結晶を含むス
ラリーから4,4’−ジブロモビフェニルを分離するこ
となく該スラリーを昇温および冷却して再結晶し、4,
4’−ジブロモビフェニルの純結晶を得る、生産手順が
簡略化された4,4’−ジブロモビフェニルの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】4,4’−ジブロモビフェニルは、これ
を加水分解して4,4’−ジヒドロキシビフェニルや更
にこれを酸化して4,4’−ジカルボキシビフェニルと
することができ、これらの化合物は、樹脂の酸化安定
剤、染料中間体およびポリエステル、ポリエポキサイ
ド、ポリウレタン、ポリカーボネートなどの樹脂製造原
料として有用であり、有機シリコン等のコポリマーや酸
化膜に用いられる。また、4,4’−ジブロモビフェニ
ルに第二アミンを反応させて得たN,N,N’,N’−
テトラフェニルベンジジンは、有機エレクトロルミネセ
ンス等の原料化合物とすることができる。更には、4,
4’−ジブロモビフェニルから昆虫成長調整剤であるエ
チル−4−(イソプロピルフェニル)ベンゾエートが製
造できるなど、4,4’−ジブロモビフェニルは農薬、
高分子関連、染料関連で極めて有用性の高い化合物であ
る。
【0003】この4,4’−ジブロモビフェニルを製造
する方法には種々あり、ビフェニルと臭素とを原料とす
る場合には、溶媒中で触媒を使用してビフェニルを臭素
によって臭素化する方法や、溶媒中で触媒を使用せずに
ビフェニルに臭素を反応させる方法などがある。
【0004】例えば、米国特許第3,518,316号
には、ビフェニル1モルに2.1モルの臭素を二酸化イ
オウの存在下で−40〜−5℃の範囲で反応させる4,
4’−ジブロモビフェニルの製造方法が開示されてい
る。実施例では、ビフェニルを含む無水の二酸化イオウ
溶媒に温度−6℃で臭素を65分かけて添加している。
該溶媒を撹拌すると発生する臭化水素酸によって温度が
低下するため、臭素を添加した後は反応温度を−22℃
で6時間維持させ、その後に臭化水素を除去し温度が上
昇して温度が−10℃になった時点で該溶媒をろ過して
いる。該実施例では、これによって92.2%の収率で
4,4’−ジブロモビフェニルを得ている。
【0005】また、特開昭55−64532号公報に
は、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンまたは特定
のハロゲン化飽和脂肪族炭化水素等であって、誘電率が
6.5以上の化合物を溶媒として使用し、該反応溶媒中
でビフェニルと臭素とを反応させて4,4’−ジブロモ
ビフェニルを製造する方法が開示されている。該発明
は、常温常圧で触媒を使用することなく4,4’−ジブ
ロモビフェニルを製造する方法であり、誘電率が6.5
以上の溶媒を反応液として使用したのは収率に優れるか
らである。該公報の実施例6では、溶媒としてジクロロ
ベンゼンを使用し、温度30〜35℃に保ちつつ臭素と
ジクロロベンゼンとの混合液を1時間かけて滴下し、滴
下終了後に50℃まで昇温し、同温度を保持して5時間
反応させている。次に、反応系に50℃以下で10%の
水酸化ナトリウム水溶液を加え、過剰の臭素と溶存臭化
水素とを中和し、反応物を10〜15℃に冷却し、ろ
過、水洗、乾燥して4,4’−ジブロモビフェニル(一
次晶)を得ている。その後、ろ液から溶媒を留去濃縮し
た後、同様に冷却し、ろ過、水洗、乾燥して4,4’−
ジブロモビフェニルの二次晶を得ている。仕込みビフェ
ニル換算した収率は80.0%である。
【0006】一方、特開平1−1479740号公報に
は、ハロゲン化炭化水素溶媒中で、アンチモン、チタ
ン、スズまたは亜鉛の元素単体またはその化合物を触媒
として使用してビフェニルと臭素とを反応させる方法が
開示されている。ニトロ化合物を溶媒として使用する
と、ビフェニルに臭素を添加する際に激しく発熱し、大
規模での実施に際して反応の制御が困難であるため、ハ
ロゲン化炭化水素を溶媒として使用して激しい発熱を防
止するものである。その一方、ハロゲン化炭化水素を使
用するとモノブロモビフェニルで止まるものが多いた
め、触媒の添加によって異性体の副生を防止している。
該公報の実施例では、1,2−ジクロロエタン、1,
1,1−トリクロロエタン、クロロホルム、クロロベン
ゼン等を使用し、温度30〜35℃の該溶媒に触媒存在
下に臭素を滴下し、その後液温38〜50℃に昇温して
5時間熟成し、次いで該反応液を0℃に冷却し、臭素処
理剤を滴下した後に結晶をろ過、水洗し、真空乾燥して
4,4’−ジブロモビフェニルを得ている。なお、ろ液
から分離した有機相からも4,4’−ジブロモビフェニ
ルを得ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】4,4’−ジブロモビ
フェニルは上記の如く広範囲に使用される化合物であ
り、特に医薬品や農薬の原料化合物として使用する場合
には、99質量%以上の製品純度が要求される。しかし
ながら、一般にこのような製品純度のものを簡便に製造
することは困難である。例えば、上記米国特許第3,5
18,316号の方法では、該反応では、水が存在する
と臭素が臭化水素に変化し、および二酸化イオウが硫酸
に変化してそれぞれ収率低下の原因となるため、水が混
在しないように注意する必要がある。また、ビフェニル
に臭素を添加する際に上記温度範囲を外れると、異性体
が副生し収率が低下する。
【0008】また、特開昭55−64532号公報や特
開平1−1479740号公報記載の方法では、目的物
を得るのに反応液からの分離、水洗、乾燥、およびろ液
からの目的物の分離水洗、乾燥などが必要であり、目的
物の単離操作が極めて煩雑である。加えて、特開平1−
1479740号公報では触媒を使用しているため、触
媒と目的物たる4,4’−ジブロモビフェニルとの分離
操作が必要となり、更に製造工程が増加する。4,4’
−ジブロモビフェニルは、有用な原料物質であるため高
い収率で製造できることが好ましいが、上記の方法はこ
れらを満足するものではない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、触媒を使用
せずに、反応溶媒中でビフェニルを臭素と反応させて
4,4’−ジブロモビフェニルを製造する工程について
詳細に検討した結果、異性体の副生を抑制しつつ高収率
で4,4’−ジブロモビフェニルが製造できること、お
よび該溶媒に特定温度の昇温および冷却操作を行なうだ
けで目的物を再結晶化し純結晶を得ることができ、極め
て簡便に高純度の4,4’−ジブロモビフェニルを製造
できること、および目的物を分離した後の溶媒は、これ
を再度ビフェニルと臭素との反応溶媒として再使用でき
るため、仮にモノブロモビフェニルが副生した場合であ
っても、次の反応系で4,4’−ジブロモビフェニルと
して回収できるため、更に収率を向上できることを見出
し本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の
(1)〜(5)を提供するものである。
【0010】(1) 反応溶媒中でビフェニルと臭素と
を反応させて粗4,4’−ジブロモビフェニルを該反応
溶媒中に粗結晶として析出させ、次いで該粗結晶を含む
スラリーを加熱および冷却して再結晶し、4,4’−ジ
ブロモビフェニルの純結晶を得ることを特徴とする、
4,4’−ジブロモビフェニルの製造方法。
【0011】(2) 該反応溶媒中でのビフェニルと臭
素との反応および粗4,4’−ジブロモビフェニルの粗
結晶の析出を温度−5〜50℃で行ない、該粗結晶析出
後に該スラリーを温度80〜130℃に加熱した後に冷
却して純結晶を得ることを特徴とする、上記(1)記載
の4,4’−ジブロモビフェニルの製造方法。
【0012】(3) 該粗結晶の析出後に、該スラリー
に残存する臭素を除去し、次いで該スラリーを加熱およ
び冷却することを特徴とする、上記(1)または(2)
記載の4,4’−ジブロモビフェニルの製造方法。
【0013】(4) 該スラリーから純結晶を分別した
後の反応溶媒を、ビフェニルと臭素との反応用の反応溶
媒として再使用することを特徴とする、上記(1)〜
(3)のいずれかに記載の4,4’−ジブロモビフェニ
ルの製造方法。
【0014】(5) 該反応溶媒が、ベンゼン、モノク
ロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベ
ンゼン、p−ジクロロベンゼン、モノブロモベンゼン、
o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジ
ブロモベンゼン、ブロモクロロベンゼンのいずれか1種
以上であることを特徴とする、上記(1)〜(4)のい
ずれかに記載の4,4’−ジブロモビフェニルの製造方
法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の第一は、反応溶媒中でビ
フェニルと臭素とを反応させて粗4,4’−ジブロモビ
フェニルを該反応溶媒中に粗結晶として析出させ、次い
で該粗結晶を含むスラリーを加熱および冷却して再結晶
し、4,4’−ジブロモビフェニルの純結晶を得ること
を特徴とする、4,4’−ジブロモビフェニルの製造方
法である。
【0016】結晶状で得た粗製物を精製する方法として
再結晶があり、溶媒中で加熱および冷却操作を行なうこ
とが一般的である。再結晶は、溶媒中の目的物を加熱し
て飽和溶液をつくり、これを冷却して温度差による溶解
度の違いから溶質を再び結晶として析出させて精製して
少量の不純物を溶媒中に残すものである。このため特定
溶媒に対する原料化合物と目的物との溶解性の相違か
ら、反応溶媒と異なる溶媒を使用することが通常であ
る。特に、ビフェニルと臭素とを反応させて4,4’−
ジブロモビフェニルを製造する場合には、反応熱によっ
て溶液の温度が上昇する。このため発熱量の少ない溶媒
や、原料化合物または目的化合物、副生物との反応性等
との関連から至適な反応溶媒を選択する必要があり、従
来から使用できる反応溶媒の種類は限定的なものであ
る。そのため、4,4’−ジブロモビフェニルを析出さ
せた反応溶媒を加熱および冷却して再結晶させ、より純
度の高い4,4’−ジブロモビフェニルを結晶として得
ることは全く知られていなかった。しかしながら、本発
明では反応条件および至適な再結晶条件を見出すこと
で、粗結晶を含む反応溶媒を用いて再結晶し、より高純
度の4,4’−ジブロモビフェニルを極めて簡便に製造
方法することができる。以下、本発明を詳細に説明す
る。
【0017】まず、本発明で使用できる反応溶媒として
は、ビフェニルを溶解するものであり、かつ4,4’−
ジブロモビフェニルを該溶媒中に結晶として析出させ、
かつ原料化合物や目的物と反応せず、再結晶の際の昇温
によっても分解することがないものである。このような
反応溶媒としては、ベンゼン、モノクロロベンゼン、o
−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジク
ロロベンゼン、モノブロモベンゼン、o−ジブロモベン
ゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、
ブロモクロロベンゼン等がある。本発明ではこれらの1
種を単独で使用するほか、2種以上を併用することもで
きる。本発明では、ベンゼン、モノクロロベンゼン、o
−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジク
ロロベンゼン、モノブロモベンゼン、o−ジブロモベン
ゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、
ブロモクロロベンゼンを単独で使用することが好まし
い。中でも特にモノクロルベンゼンの単独使用が好まし
い。4,4’−ジブロモビフェニルの選択性に優れ、再
結晶の際に、4−ブロモビフェニル、2,4’−ジブロ
モビフェニル、3,4’−ジブロモビフェニル等の副生
物を溶解するため、再結晶の効率に優れるからである。
【0018】一般には、冷却装置が付属する反応器に、
上記反応溶媒、臭素、ビフェニルを仕込む。反応原料で
あるビフェニルは、反応溶媒中に濃度20〜80質量/
体積%、より好ましくは30〜70質量/体積%、特に
好ましくは40〜60質量/体積%の濃度で溶解する。
80質量/体積%を越えると、臭素との反応の際の温度
制御が困難となり、また再結晶の際の目的物の純度の低
下を招く場合がある。その一方、20質量/体積%を下
回ると、収率が低下する場合がある。
【0019】また、反応原料である臭素とビフェニルと
の使用モル比(臭素/ビフェニル)は、2.0〜3.
0、より好ましくは2.4〜2.8、特に好ましくは
2.5〜2.6である。2.0を下回ると目的物の収率
が低下するだけでなく、モノブロム体が多くなり、純度
を下げる場合がある。その一方、3.0を越えると副生
物が多くなり、精製が困難となる場合がある。この際、
使用する臭素および反応溶媒は、脱水などの処理を行な
う必要がない。本発明では、ベンゼンやモノクロルベン
ゼンなどの疎水性の反応溶媒中で反応を行なわせるた
め、水が混在しても反応自体はこれらの反応溶媒中で速
やかに進行し、水による臭素の分解などの副作用が少な
いからである。このように使用原料の前処理が無くてす
むため、効率的に目的物の製造を行なうことができる。
【0020】なお、臭素とビフェニルとを混合すると反
応熱が発生する。発生熱によって4,4’−ジブロモビ
フェニル異性体が副生するため、反応溶液を低温に維持
することが好ましく、臭素とジフェニルとを混合する際
は、反応溶液を温度−5〜50℃、好ましくは−5〜2
0℃、より好ましくは0〜15℃、特に好ましくは5〜
10℃に制限する。例えば、反応溶媒としてモノクロル
ベンゼンを使用すると、該反応溶媒にビフェニルを溶解
する際に溶解熱によって液温が低下し、これに臭素を滴
下すると徐々に反応熱によって液温が上昇する。このた
め冷却装置付きの反応器内で上記温度に制御する。従来
から、急激な発熱を防止するためにビフェニルに臭素を
滴下しているが、本発明においては上記温度範囲を保持
できれば、モノクロルベンゼンなどの反応溶媒にビフェ
ニルを添加し次いでこれに臭素を原液のまま滴下しても
よく、予め臭素を溶解させた該モノクロルベンゼンなど
の反応溶媒にビフェニルを添加してもよく、配合順序に
制限はない。この際、該反応溶媒は、ビフェニルを溶解
させるほか臭素を溶解させるために使用することもでき
る。なお、反応溶媒、臭素およびビフェニルとの混合に
よって臭化水素が副生するため、これを反応器上部から
捕集液中に導入すれば、回収することができる。
【0021】本発明では、触媒の添加を必要としない。
モノクロルベンゼンなどの特定の反応溶媒中で反応させ
ることで、触媒を添加することなく4,4’−ジブロモ
ビフェニルを高選択率で製造することができるからであ
る。
【0022】次に、モノクロルベンゼンなどの反応溶媒
にビフェニルと臭素とを混合した反応溶液を、温度−5
〜50℃の範囲、好ましくは15〜50℃、より好まし
くは15〜40℃、特には20〜38℃に維持し熟成さ
せる。これによって、ビフェニルの臭素化が進行し該反
応溶媒中に4,4’−ジブロモビフェニルの粗結晶が析
出するからである。この際、熟成時間に制限はなく、目
的物たる4,4’−ジブロモビフェニルの粗結晶が十分
析出すればよい。一般には、8〜36時間、より好まし
くは12〜24時間、特には16〜20時間である。な
お、この熟成時の温度は、反応溶媒、臭素、ビフェニル
の混合時の温度と同じであってもよいが、反応を促進さ
せるために、これより高い温度で保持することが好まし
い。従って、反応液の調整時期、すなわち反応溶媒、ビ
フェニルおよび臭素との混合時期を温度−5〜20℃に
維持し、次いで熟成のために温度15〜40℃に維持す
ることがより好ましい。
【0023】このような反応液の調整および熟成によっ
て、該反応溶媒中に、4,4’−ジブロモビフェニルの
粗結晶が析出する。この粗結晶の純度は、96〜97質
量%であり、副生物は、モノブロモビフェニルが3〜4
質量%、その他4,4’−ジブロモビフェニルの異性体
が0.1〜0.3質量%である。
【0024】次いで反応溶媒に含まれる過剰の臭素を除
去する。このような臭素の除去方法としては従来公知の
方法を採用することができ、例えば粗結晶を含むスラリ
ー(本明細書では、4,4’−ジブロモビフェニル結晶
析出後の反応溶媒を、その結晶の有無を問わず「スラリ
ー」と称する。)を50℃以下で水酸化ナトリウムなど
のアルカリ性物質を添加して過剰の臭素や臭化水素を除
去してもよく(特開昭55−64532号公報)、粗結
晶を含む該スラリーを0℃に冷却し、ここに水酸化ナト
リウムや亜硫酸水素ナトリウムなどの臭素処理剤(臭素
除去剤)を添加して該スラリー中に存在する臭素を除去
してもよく(特開平1−149740号公報)、または
亜硫酸や重亜硫酸ナトリウムを添加して過剰の臭素を除
去(特開平1−311035号公報)してもよい。本発
明では、このような臭素処理の方法としては該スラリー
を温度−5〜20℃に冷却し、次いで亜硫酸や亜硫酸ナ
トリウム水溶液等を臭素量の中和量を用いて処理する。
【0025】本発明は、臭素除去剤を添加した後のスラ
リーを温度80〜130℃、より好ましくは90〜12
0℃、特には100〜105℃に加熱して4,4’−ジ
ブロモビフェニルを該スラリー中に溶解させる。その後
冷却すると高純度の4,4’−ジブロモビフェニルが析
出する。この加熱温度が80℃を下回ると目的物の純度
が低下する場合があり、その一方、温度130℃を越え
ても、それ以上の目的物の溶解が起こらず、無駄であ
る。なお、臭素処理剤として水溶液を使用し、または臭
素および反応溶媒に水分が含まれている場合には、共沸
現象によって使用した反応溶媒の沸点以上に加熱するこ
とは困難な場合もあるが、上記範囲に昇温できれば、特
に問題はない。
【0026】本発明では、上記温度に昇温した後に該ス
ラリーを冷却するが、目的物が析出すれば、冷却温度や
冷却速度、冷却時間などに制限はない。一般には、該ス
ラリーを2〜3時間で室温まで冷却すればよい。
【0027】本発明では、上記処理によって高純度の
4,4’−ジブロモビフェニルをスラリー中に析出さ
せ、副生物をスラリー中に溶解させ、これによって高純
度の4,4’−ジブロモビフェニルを結晶状で得ること
ができる。臭素を除去するために添加した臭素除去剤や
臭素との反応化合物はスラリー中の水相に溶解し、目的
物である4,4’−ジブロモビフェニルはスラリー中の
溶媒相に析出するから、予め溶媒相を分離すれば、4,
4’−ジブロモビフェニルの結晶を分取することができ
る。なお、該スラリーからの4,4’−ジブロモビフェ
ニルの純結晶の分別には、その他の従来公知の方法によ
っても行なうことができる。この際の純結晶の純度は、
99.5〜99.8質量%であり、副生物は、モノブロ
モビフェニルが0.1〜0.5質量%、その他4,4’
−ジブロモビフェニルの異性体が0.1〜0.2質量%
である。
【0028】なお、再結晶して得た4,4’−ジブロモ
ビフェニルを更に精製するために、他の溶媒またはフレ
ッシュな同じ反応溶媒中で再度再結晶することもでき
る。
【0029】本発明は、純結晶を分別して得た溶媒を、
ビフェニルと臭素との反応用の反応溶媒として再使用す
ることができる。本発明は、特定の反応溶媒を上記特定
の温度に加熱して目的物を再結晶し、副生物の産生や目
的物の分解を抑制するのであるが、同時に該温度範囲で
あれば使用するベンゼンやモノクロロベンゼンなどの反
応溶媒が臭素化されることなく安定に使用され、再使用
が可能であることが判明したものである。本発明は、臭
素自体の活性を利用し、ビフェニルの第4位および第
4’位を臭素で臭素化するという極めて簡便な原理に基
づくものであり、よって反応液も臭素化される可能性が
高い。しかしながら、本発明は、上記する特定の条件で
処理することで使用した反応溶媒を原料化合物によって
臭素化することなく、また、生成物や副生物、または反
応熱や再結晶の加熱によって分解されることなく、極め
て安定して再使用することができるのである。このこと
は、再結晶に先立ち臭素や臭化水素を除去するための処
理剤を添加した場合であっても同様である。本発明は、
先の反応溶液をそのまま使用して再結晶化し、より高純
度の目的物を得る上記方法に加え、更に目的物4,4’
−ジブロモビフェニルの生産性の増大に貢献するものと
なっている。
【0030】純結晶を分別した後の溶媒(「晶析母液」
とも称す。)を反応溶媒として再使用するには、上記し
たジフェニルと臭素とのモル比およびジフェニルの該溶
媒中の濃度が維持できるように、不足する量の反応溶媒
を晶析母液に添加すればよい。この際、該晶析母液にモ
ノブロモビフェニル、2,4’−ジブロモビフェニル、
3,4’−ジブロモビフェニル、更に4,4’−ジブロ
モビフェニルが含まれていてもよい。本来、本発明は
4,4’−ジブロモビフェニルの選択性に優れるため、
副生物の存在量は極めて少ないのであるが、例えばモノ
ブロモビフェニルは、次の反応系で目的物たる4,4’
−ジブロモビフェニルとなり、晶析母液に溶存する目的
物4,4’−ジブロモビフェニルは再使用によって収率
を向上させ得るからである。しかも晶析母液を蒸留した
り、脱色したり、カラム処理、脱水などの処理をするこ
となく、そのまま使用できる点で優れる。
【0031】本発明によって得られる4,4’−ジブロ
モビフェニルは、純度が極めて高く、常法によって他の
誘導体を合成すると高純度の目的物を得ることができ
る。例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニルは、樹
脂の酸化安定剤、染料中間体およびポリエステル、ポリ
エポキサイド、ポリウレタン、ポリカーボネートなどの
樹脂製造原料として有用な化合物であり、4,4’−ジ
ブロモビフェニルから4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ルを合成する方法も種々知られている。このような方法
として、例えば、特開昭52−36057号公報に記載
の方法や特開昭55−17304号公報記載の方法など
がある。具体的には、特開昭55−17304号公報記
載に従って、4,4’−ジブロモビフェニルを銅化合物
触媒の存在下にアルカリ性水溶液中で加水分解し、反応
生成物を含むアルカリ水溶液から副生物を、水に難溶ま
たは不溶のアルコール類またはケトン類で抽出し、次い
で、アルカリ水溶液を鉱酸で中和し、上記と同種の反応
溶媒を用い抽出し、次いで結晶析出させるものである。
本発明によれば、4,4’−ジヒドロキシビフェニルの
原料たる4,4’−ジブロモビフェニルを高純度で製造
することができるため、該化合物を使用して高収率に
4,4’−ジヒドロキシビフェニルを合成することがで
きる。
【0032】なお、上記4,4’−ジヒドロキシビフェ
ニルと同様の趣旨により、本発明によって製造した4,
4’−ジブロモビフェニルを従来公知の方法によって部
分加水分解して、4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェ
ニルを製造することもでき、4,4’−ジヒドロキシビ
フェニルを公知の方法によって酸化し、4,4’−ジカ
ルボキシビフェニルを製造することもできる。これらの
化合物は、いずれも有機EL用途や医薬、農薬用途の中
間体として有用である。
【0033】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳細に説明す
る。 (実施例1)500リットルのGL反応器にモノクロル
ベンゼン154リットルと粉末ビフェニル77kg(5
00モル)を仕込み、撹拌し溶解させた。該溶液の温度
を0〜12℃に維持しながら、ここに臭素208kg
(1300モル)を1時間30分かけて滴下した。発生
した臭化水素は反応器の上部から水を張った受器に導入
して回収した。滴下終了後から該溶液を徐々に昇温し、
20℃で20時間熟成させた。次いで、液温を38℃に
昇温し1時間熟成した。溶液中には4,4’−ジブロモ
ビフェニルの粗結晶が析出した。該粗結晶の4,4’−
ジブロモビフェニル含有量は97.0質量%であった。
【0034】次いで、該粗結晶を含むスラリーを0℃に
冷却し23.2質量%のNa2SO3水溶液162.8k
gを添加して過剰の臭素を除去した。次いで、該スラリ
ーを100℃に昇温した後、直ちに冷却した。析出した
結晶を遠心分離によって分取し、コニカルドライヤーで
乾燥した。該結晶は、4,4’−ジブロモビフェニルが
99.8質量%であり、ビフェニル基準での収率は94
%であった。なお、遠心分離後の晶析母液は160kg
であり、モノブロモビフェニルは2質量/体積%、その
他の4,4’−ジブロモビフェニルの異性体は0.5〜
1質量/体積%、4,4’−ジブロモビフェニルは4質
量/体積%であった。
【0035】なお、4,4’−ジブロモビフェニルの純
度および晶析母液中の各成分の含有量は、ガスクロマト
グラフィにより測定した。
【0036】(実施例2)実施例1のモノクロルベンゼ
ン154リットルに換えて、実施例1で得た晶析母液1
60kgに新たに9.4kgのモノクロルベンゼンを添
加し合計169.4kgとしたものを使用した以外は、
実施例1と同様に操作して、4,4’−ジブロモビフェ
ニルを得た。該粗結晶の4,4’−ジブロモビフェニル
含有量は96.5質量%であった。また、再結晶によっ
て得られた結晶の純度は、該結晶は、4,4’−ジブロ
モビフェニルが99.8質量%であり、ビフェニル基準
での収率は96%であった。なお、晶析母液は158k
gであり、モノブロモビフェニルは2質量/体積%、そ
の他の4,4’−ジブロモビフェニルの異性体は0.5
〜1質量/体積%、4,4’−ジブロモビフェニルは3
質量/体積%であった。
【0037】(実施例3)実施例1のモノクロルベンゼ
ン154リットルに換えて、実施例2で得た晶析母液1
58kgに新たに11.4kgのモノクロルベンゼンを
添加し合計169.4kgとしたものを使用した以外
は、実施例1と同様に操作して、4,4’−ジブロモビ
フェニルを得た。該粗結晶の4,4’−ジブロモビフェ
ニル含有量は96.8質量%であった。また、再結晶に
よって得られた結晶の純度は、該結晶は、4,4’−ジ
ブロモビフェニルが99.8質量%であり、ビフェニル
基準での収率は97%であった。なお、晶析母液は15
8kgであり、モノブロモビフェニルは2質量/体積
%、その他の4,4’−ジブロモビフェニルの異性体は
0.5〜1質量/体積%、4,4’−ジブロモビフェニ
ルは2.5質量/体積%であった。
【0038】(実施例4)500リットルのGL反応器
に臭素208kg(1300モル)を仕込み、これに、
該溶液の温度を0〜12℃に維持しながら粉末ビフェニ
ル77kg(500モル)をモノクロルベンゼン154
リットルに溶解したものを1時間30分かけて滴下した
以外は、実施例1と同様に操作して、4,4’−ジブロ
モビフェニルの粗結晶を得た。該粗結晶の4,4’−ジ
ブロモビフェニル含有量は97.0質量%であった。
【0039】また、該粗結晶を含むスラリーを実施例1
と同様に処理して、4,4’−ジブロモビフェニルの純
結晶を得た。その純度は、99.8質量%であり、ビフ
ェニル基準での収率は94%であった。なお、晶析母液
は160kgであり、モノブロモビフェニルは2質量/
体積%、その他の4,4’−ジブロモビフェニルの異性
体は0.5〜1質量/体積%、4,4’−ジブロモビフ
ェニルは4質量/体積%であった。
【0040】(実施例5)500リットルのGL反応器
に、臭素208kg(1300モル)をモノクロルベン
ゼン54リットルに溶解したものを仕込み、これに、該
溶液の温度を0〜12℃に維持しながら粉末ビフェニル
77kg(500モル)をモノクロルベンゼン100リ
ットルに溶解したものを1時間30分かけて滴下した以
外は、実施例1と同様に操作して、4,4’−ジブロモ
ビフェニルの粗結晶を得た。該粗結晶の4,4’−ジブ
ロモビフェニル含有量は97.0質量%であった。
【0041】また、該粗結晶を含むスラリーを実施例1
と同様に処理して、4,4’−ジブロモビフェニルの純
結晶を得た。その純度は、99.8質量%であり、ビフ
ェニル基準での収率は94%であった。なお、晶析母液
は160kgであり、モノブロモビフェニルは2質量/
体積%、その他の4,4’−ジブロモビフェニルの異性
体は0.5〜1質量/体積%、4,4’−ジブロモビフ
ェニルは4質量/体積%であった。
【0042】(実施例6)500リットルのGL反応器
に、粉末ビフェニル77kg(500モル)をモノクロ
ルベンゼン100リットルに溶解したものを仕込み、こ
れに、該溶液の温度を0〜12℃に維持しながら臭素2
08kg(1300モル)をモノクロルベンゼン54リ
ットルに溶解したものを1時間30分かけて滴下した以
外は、実施例1と同様に操作して、4,4’−ジブロモ
ビフェニルの粗結晶を得た。該粗結晶の4,4’−ジブ
ロモビフェニル含有量は96.7質量%であった。
【0043】また、該粗結晶を含むスラリーを実施例1
と同様に処理して、4,4’−ジブロモビフェニルの純
結晶を得た。その純度は、99.8質量%であり、ビフ
ェニル基準での収率は94%であった。なお、晶析母液
は160kgであり、モノブロモビフェニルは2質量/
体積%、その他の4,4’−ジブロモビフェニルの異性
体は0.5〜1質量/体積%、4,4’−ジブロモビフ
ェニルは4質量/体積%であった。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、原料化合物のビフェニ
ルと臭素とをベンゼンまたはベンゼン誘導体のいずれか
1種の反応溶媒中で反応させることで、異性体等の副生
を抑えつつ4,4’−ジブロモビフェニルを合成するこ
とができ、該反応溶媒を加熱および冷却することで4,
4’−ジブロモビフェニルを再結晶し、これを高純度で
製造することができる。このため、従来は反応溶液と異
なる反応溶媒を使用して再結晶することが一般的であっ
たが、粗結晶を分離することなく簡便に再結晶処理を行
い、純度の高い4,4’−ジブロモビフェニルを製造す
ることができる。しかも、該反応条件では、反応溶媒が
分解等せずに安定して回収できるため、再結晶によって
4,4’−ジブロモビフェニルを得た後の晶析母液を、
再度ビフェニルと臭素の反応液として使用することがで
きる。このため、例え、モノブロモビフェニルが存在し
ても、次工程でこれを目的物である4,4’−ジブロモ
ビフェニルに変換できるため、さらに収率を向上させる
ことができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応溶媒中でビフェニルと臭素とを反応
    させて粗4,4’−ジブロモビフェニルを該反応溶媒中
    に粗結晶として析出させ、次いで該粗結晶を含むスラリ
    ーを加熱および冷却して再結晶し、4,4’−ジブロモ
    ビフェニルの純結晶を得ることを特徴とする、4,4’
    −ジブロモビフェニルの製造方法。
  2. 【請求項2】 該反応溶媒中でのビフェニルと臭素との
    反応および粗4,4’−ジブロモビフェニルの粗結晶の
    析出を温度−5〜50℃で行ない、該粗結晶析出後に該
    スラリーを温度80〜130℃に加熱した後に冷却して
    純結晶を得ることを特徴とする、請求項1記載の4,
    4’−ジブロモビフェニルの製造方法。
  3. 【請求項3】 該粗結晶の析出後に、該スラリーに残存
    する臭素を除去し、次いで該スラリーを加熱および冷却
    することを特徴とする、請求項1または2記載の4,
    4’−ジブロモビフェニルの製造方法。
  4. 【請求項4】 該スラリーから純結晶を分別した後の反
    応溶媒を、ビフェニルと臭素との反応用の反応溶媒とし
    て再使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれ
    かに記載の4,4’−ジブロモビフェニルの製造方法。
  5. 【請求項5】 該反応溶媒が、ベンゼン、モノクロロベ
    ンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼ
    ン、p−ジクロロベンゼン、モノブロモベンゼン、o−
    ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロ
    モベンゼン、ブロモクロロベンゼンのいずれか1種以上
    であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記
    載の4,4’−ジブロモビフェニルの製造方法。
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