JP2003166134A - 紡機のドラフトローラの緩み検知装置 - Google Patents

紡機のドラフトローラの緩み検知装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数のローラシャフトをその端部に形成され
たねじ部の螺合により互いに連結して構成されたボトム
ローラが、2本のラインシャフトに分割されるととも
に、各ラインシャフトがそれぞれ機台の端部側から駆動
されるドラフト装置において、前記ローラシャフトのね
じ部の緩み発生を検知する。 【解決手段】ドラフト装置11の各ボトムローラ12〜14は
それぞれ2本のラインシャフト12a〜14a,12b〜14b
に分割され、機台の端部側から駆動モータ15a,15bに
よって駆動される。各ラインシャフトは、複数のローラ
シャフトをその端部に形成されたねじ部の螺合により互
いに連結して構成されている。バックボトムローラ14の
ラインシャフト14a,14bの駆動側端部に位置するロー
ラシャフト21と対応する位置に近接スイッチ23a,23b
を備え、駆動側と反対側の端部に位置するローラシャフ
ト21と対応する位置に近接スイッチ22a,22bを備えて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は紡機のドラフトロー
ラの緩み検知装置に係り、詳しくは複数のローラシャフ
トをその端部に形成されたねじ部の螺合により互いに連
結して構成された複数本のボトムローラを備え、各ボト
ムローラが2本のラインシャフトに分割されるとともに
同軸上に配置され、前記各ラインシャフトがそれぞれ機
台の端部側から駆動されるドラフト装置を備えた紡機の
ドラフトローラの緩み検知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リング精紡機等の紡機においては、粗糸
ボビンから供給される粗糸が、ドラフト装置でドラフト
されてフロントローラから送出され、スネルワイヤ、ア
ンチノードリング及びリング上を走行するトラベラを経
て、スピンドルと一体に回転するボビンに巻き取られ
る。
【0003】一般に、図5に示すように、ドラフト装置
51はフロントローラ52、ミドルローラ53及びバッ
クローラ54の3線式で、図4に示すように、フロント
ボトムローラ52a、ミドルボトムローラ53a及びバ
ックボトムローラ54aが1台の駆動モータ55で駆動
される。
【0004】また、一般に各ボトムローラ52a〜54
aは、図6に示すように、複数のローラシャフト56を
その端部に形成された雄ねじ部56a及び雌ねじ部56
bの螺合により互いに連結して、1本のラインシャフト
状に構成されている。そして、ねじの方向は、各ボトム
ローラ52a〜54aが受ける負荷の方向によって締ま
り勝手となるように構成されるのが普通である。従っ
て、粗糸Rをドラフトして送り出す作用を為す各ボトム
ローラ52a〜54aは、繊維束(粗糸)の送り出し方
向(図5における反時計回り方向)に回転されると、締
まり勝手となるように構成されている。
【0005】また、近年、機台の多数錘化(例えば、片
側で400〜600錘)のために機台長が長くなった場
合、機台の長手方向両端に駆動モータを設け、ドラフト
装置の各ボトムローラをほぼ中央で2本のラインシャフ
トに分割し、各ラインシャフトをそれぞれ機台端部側か
ら駆動する構成の装置が提案され、実施もされている。
各ボトムローラを2本のラインシャフトに分割した構成
においても、スピンドルピッチは全て一定のため、各ラ
インシャフトは対向する端面の間隔が数mm〜十mm程
度と狭くなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ドラフト装
置51のバックローラ54に作用する負荷は、図5に示
すように、粗糸Rを引き入れるための力の反力F1と、
ミドルローラ53により繊維を介して引っ張られる力F
2との合力となる。そして、反力F1と力F2とは向き
が反対のため、バックボトムローラ54aを回転させる
際の負荷が両力F1,F2の大小関係によって変動す
る。そして、各錘に供給される粗糸の斑等により、バッ
クボトムローラ54aを構成するローラシャフト56に
作用する負荷に大きな差が生じると、負荷の大きなロー
ラシャフト56と、負荷の小さなローラシャフト56と
の間で相対回転が生じ、ねじが緩む方向の力を受ける可
能性がある。緩みが発生すると所定のドラフト率でドラ
フトが行われないばかりでなく、バックボトムローラ5
4aが伸びる。そして、緩みが発生するとその緩みが増
加し易く、緩み量即ち伸びが大きくなり、分割されたバ
ックボトムローラ54aの対向する端面同士が当接して
干渉する状態となり、部品の損傷を招く事態になる虞が
ある。
【0007】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、複数のローラシャフトをその
端部に形成されたねじ部の螺合により互いに連結して構
成されたボトムローラが、2本のラインシャフトに分割
されるとともに、各ラインシャフトがそれぞれ機台の端
部側から駆動されるドラフト装置において、前記ローラ
シャフトのねじ部の緩み発生を検知することができる紡
機のドラフトローラの緩み検知装置を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め請求項1に記載の発明は、各ボトムローラが、複数の
ローラシャフトをその端部に形成されたねじ部の螺合に
より互いに連結して構成されるとともに、長手方向にお
いて2本のラインシャフトに分割されている。各ライン
シャフトは同軸上に配置されるとともに、それぞれ機台
の端部側から駆動される。そして、バックボトムローラ
を構成する前記複数のローラシャフトのうちの駆動側と
反対側の端部に位置するローラシャフトの回転又は軸方
向への移動に基づいて、ローラシャフトの緩みを検知す
る検知手段を設けた。
【0009】この発明では、2本のラインシャフトに分
割されたバックボトムローラを構成する複数のローラシ
ャフトに作用する負荷の差が大きくなった状態で、ロー
ラシャフトに相対回転が発生する。そして、少なくとも
一部のローラシャフトに緩みが生じると、駆動側と反対
側の端部に位置するローラシャフトが緩み側へ移動(回
転)し、その軸方向への移動又は緩み側への回転が検知
手段により検知される。従って、その検知信号に基づい
て機台停止等の適切な処置を行うことができる。
【0010】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記検知手段は、前記駆動側と反対
側の端部に位置するローラシャフトの回転に基づいて前
記緩みを検知する。この発明では、ラインシャフトの駆
動側と反対側の端部に位置するローラシャフトの回転に
基づいて、ローラシャフトの緩みが検知される。ライン
シャフトを構成する複数のローラシャフトのいずれが緩
んでも、その緩みによる回転は、前記端部に位置するロ
ーラシャフトに反映されるため、該ローラシャフトの回
転を検知することにより、ラインシャフトを構成するロ
ーラシャフトに緩みが生じたことを検知できる。また、
前記ローラシャフトの軸方向への移動を直接検知する構
成では、両ラインシャフト間の隙間が小さいため、熱膨
張によるラインシャフトの伸びを除いて、ねじ部の緩み
に起因する移動を正確に検知するのは難しい。しかし、
ローラシャフトの回転を検知する構成では、ローラシャ
フト1回転当たりのローラシャフトの移動量が小さくて
も、十分精度良く検知できる。
【0011】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記検知手段は、前記駆動側と反対
側の端部に位置するローラシャフトと、駆動側端部に位
置するローラシャフトとの相対回転に基づいて前記緩み
を検知する。この発明では、ラインシャフトの駆動側端
部の位置を基準にして、それに対する駆動側と反対側の
端部に位置するローラシャフトの相対回転に基づいて、
ローラシャフトの緩みが検知される。従って、いずれの
ローラシャフトが緩んでも、前記両ローラシャフトが相
対回転され、端面が対向する2本のラインシャフトの端
部に設けられたローラシャフト同士の相対回転に基づく
検知方法に比較して、検知精度が良くなる。
【0012】請求項4に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記検知手段は、前記駆動側と反対
側の端部に位置する互いに対向するローラシャフトの相
対回転に基づいて前記緩みを検知する。この発明では、
センサの数が2個で、1本のバックボトムローラを構成
する各ローラシャフトの緩みを検知できる。両ラインシ
ャフトが同時に同じように緩む場合は、前記両ローラシ
ャフトは相対回転せず、緩みを検知できないが、両ライ
ンシャフトが同時に同じように緩む確立は非常に小さい
ため殆ど支障はない。
【0013】請求項5に記載の発明では、請求項1〜請
求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記ドラ
フト装置が左右一対設けられた精紡機において、前記検
知手段が各ドラフト装置に装備されている。従って、こ
の発明においては、一般のリング精紡機等において、請
求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明に対応した作
用効果が得られる。
【0014】請求項6記載の発明では、請求項2に記載
の発明において、前記ドラフト装置が左右一対設けられ
た精紡機において、前記検知手段が各ドラフト装置に装
備されるとともに、前記検知手段は、前記駆動側と反対
側の端部に位置する4個のローラシャフトの回転に基づ
いて前記緩みを検知する。従って、この発明では、請求
項4に記載の発明に比較して検知精度が向上する。
【0015】請求項7に記載の発明では、請求項2〜請
求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記検知
手段は検知部として近接スイッチを備え、被検知部側の
前記ローラシャフトには近接スイッチと対応する箇所の
断面がほぼD状に形成されている。この発明では、検知
部として光センサ等のように受光部における受光の有無
あるいは受光量の検出を利用した構成の検知部に比較し
て風綿の影響による誤検知の可能性が低くなる。また、
被検知部となる部分のローラシャフトの断面がほぼD状
に形成されているため、円形部分の周面に被検知部を突
設した場合と異なり、バックボトムローラの下流側に繊
維束のガイドプレートを配置する際に被検知部が邪魔に
ならない。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明をドラフト装置が左
右一対設けられた精紡機に具体化した一実施の形態を図
1〜図3に従って説明する。図1はトップローラを省略
したドラフト装置の模式平面図である。
【0017】図1に示すように、ドラフト装置11は、
ドラフトローラとしてのフロントボトムローラ12、ミ
ドルボトムローラ13及びバックボトムローラ14を備
えた3線式の構成となっている。各ボトムローラ12〜
14はそれぞれ2本のラインシャフト12a,12b,
13a,13b,14a,14bに分割されるととも
に、対をなす各2本のラインシャフト12a,12b、
13a,13b、14a,14bは同軸上に配置されて
いる。各ラインシャフト12a〜14a,12b〜14
bは、それぞれ機台の端部側から駆動モータ15a,1
5bによって駆動される。
【0018】各ラインシャフト12a〜14aは機台の
一端側に配設されたギヤボックス16aに内蔵された図
示しない歯車列(駆動ギヤリング)により互いに作動連
結されている。各ラインシャフト12b〜14bは機台
の他端側に配設されたギヤボックス16bに内蔵された
図示しない歯車列(駆動ギヤリング)により互いに作動
連結されている。ギヤボックス16a,16bには、駆
動モータ15a,15bの回転がベルト伝動機構17を
介して伝達される。駆動モータ15a,15bはインバ
ータ18を介して機台制御装置19により変速制御され
る。
【0019】図2(a)に示すように、各ラインシャフ
ト12a〜14a,12b〜14bは、複数のローラシ
ャフト21をその端部に形成された雄ねじ部21a及び
雌ねじ部21bの螺合により互いに連結して構成されて
いる。なお、図2(a)では、バックボトムローラ14
のラインシャフト14a,14bを示している。ローラ
シャフト21のうちの駆動側と反対側の端部に位置する
両ローラシャフト21はその対向する端部において軸受
20aにより支持されている。また、ローラシャフト2
1はその連結部近傍において軸受20bにより支持され
ている。
【0020】バックボトムローラ14には、バックボト
ムローラ14を構成する複数のローラシャフト21のう
ちの駆動側と反対側の端部に位置するローラシャフト2
1の緩みを検知する検知手段が設けられている。検知手
段は、駆動側と反対側の端部に位置するローラシャフト
21の回転に基づいて、ローラシャフトの緩みを検知す
るように構成されている。この実施の形態では、検知手
段は、前記駆動側と反対側の端部に位置するローラシャ
フト21と、駆動側端部に位置するローラシャフト21
との相対回転に基づいて前記緩みを検知する。
【0021】この実施の形態では、検知手段は、ライン
シャフト14a,14bの駆動側と反対側の端部に位置
するローラシャフト21と対応する位置に配置された検
知部としての近接スイッチ22a,22bと、駆動側端
部に位置するローラシャフト21と対応する位置に配置
された検知部としての近接スイッチ23a,23bとを
備えている。ラインシャフト14a,14bの駆動側端
部に位置するローラシャフト21は、緩みが生じないた
め、近接スイッチ23a,23bは各2本のラインシャ
フト14a,14bに対して1個宛設けられている。
【0022】また、図2(b),(c)に示すように、
被検知部側のローラシャフト21は近接スイッチ22
a,22b,23a,23bと対応する箇所の断面がほ
ぼD状に形成されて、周面の一部に平面部21cが形成
されている。平面部21cの位置は、近接スイッチ22
a,22bに対応する箇所と、近接スイッチ23a,2
3bに対応する箇所とで180度位相がずれた状態に形
成されている。従って、各ローラシャフト21が緩みの
ない連結状態で回転した場合、近接スイッチ22a,2
2bが平面部21cと対向した後、バックボトムローラ
14が180度回転すると、近接スイッチ23a,23
bが平面部21cと対向する状態となるように平面部2
1cの位置が設定されている。
【0023】機台制御装置19は、CPU24、ROM
25、RAM26、入力装置及び入出力インタフェース
(いずれも図示せず)を備えている。CPU24はイン
バータ18を介して両駆動モータ15a,15bを制御
するとともに、図示しないリフティング駆動系及びスピ
ンドル駆動系を駆動するモータ(図示せず)の制御も行
い、紡機の制御装置として機能する。
【0024】機台制御装置19は各近接スイッチ22
a,22b,23a,23bと電気的に接続され、CP
U24には各近接スイッチ22a,22b,23a,2
3bの出力信号が入力される。検知手段を構成するCP
U24は、その信号に基づいてバックボトムローラ14
の各ラインシャフト14a,14bの駆動側と反対側の
端部に位置するローラシャフト21が、駆動側端部のロ
ーラシャフト21に対して相対回転したか否かを判断
し、相対回転したと判断したときに異常信号(緩み検知
信号)を出力する。また、CPU24は前記異常信号を
出力したときに、紡機の運転を停止する制御を行う。従
って、CPU24はドラフト装置11の緩み検知装置か
ら緩み検知信号が出力された時に紡機の運転を停止する
制御装置を構成する。
【0025】ROM25にはプログラムデータと、その
実行に必要な各種データとが記憶されている。プログラ
ムデータには種々の繊維原料、紡出糸番手及び撚り数等
の紡出条件と、定常運転時のスピンドル回転速度、ドラ
フト駆動系及びリフティング駆動系の駆動モータの回転
速度との対応データや、種々の巻量における回転数と駆
動モータ15a,15bへの供給電流量との関係を示す
マップ等がある。RAM26は入力装置により入力され
たデータやCPU24における演算処理結果等を一時記
憶する。入力装置は紡出糸番手、繊維種(原料)、紡出
運転時の最高スピンドル回転数、紡出長、リフト長、チ
ェイス長、使用ボビン長等の紡出条件データの入力に使
用される。
【0026】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。精紡機の運転に先立って繊維原料、紡出糸番
手、撚り数等の紡出条件が入力装置により機台制御装置
19に入力される。そして、精紡機の運転が開始される
と、機台制御装置19からの指令に基づき、紡出条件に
対応してインバータ18を介して駆動モータ15a,1
5bが駆動制御される。また、スピンドル駆動系及びリ
フティング系の駆動モータも所定の回転速度となるよう
に制御される。
【0027】精紡機が運転されると、粗糸Rはドラフト
装置11のバックローラからフロントローラの間を通過
することによりドラフトされた後、図示しない巻き取り
部において、スピンドルと一体回転されるボビンに巻き
取られる。
【0028】また、精紡機が運転されると各ボトムロー
ラ12〜14が所定の速度で回転される。各近接スイッ
チ22a,22b,23a,23bと対応するローラシ
ャフト21には平面部21cが一箇所に形成されている
ため、ローラシャフト21が1回転すると対応する近接
スイッチからパルス信号が1パルス出力される。緩みが
なければ、図3に正常部分として示すように、ラインシ
ャフト14aの駆動側端部と反対側の近接スイッチ22
aと、駆動側端部の近接スイッチ23aとから交互にパ
ルス信号が出力される。
【0029】しかし、バックボトムローラ14を構成す
る複数のローラシャフト21に作用する負荷がローラシ
ャフト21によってバラツキを生じ、異なるローラシャ
フト21間で負荷に大きな差が生じると、負荷の大きな
ローラシャフト21と、負荷の小さなローラシャフト2
1との間で相対回転が生じる。例えば、ラインシャフト
14aにおいて相対回転が生じてねじ部が緩むと、駆動
側と反対側の端部のローラシャフト21が対向するライ
ンシャフト14b側へ移動する。ローラシャフト21の
ねじ部に緩みが発生して駆動側端部のローラシャフト2
1と、駆動側と反対側のローラシャフト21とが相対回
転する状態では、近接スイッチ23aからは正常時と同
じ間隔でパルス信号が出力されるが、近接スイッチ22
aからはパルスが発生しないか発生間隔が長くなる状態
となる。従って、図3に異常部分として示すように、近
接スイッチ23aから連続してパルス信号が発生する状
態となる。CPU24はこの状態になったら、ローラシ
ャフト21の緩みが生じたと判断し、異常信号を出力す
る。この異常信号に基づいて、機台の運転停止制御が実
施されるとともに、ブザー、警報ランプ等の報知手段が
駆動されて、アラームが作業者に報知される。
【0030】他のラインシャフト14bについても同様
に緩み検知が行われる。この実施の形態では、CPU2
4は4本のラインシャフト14a,14bに対して、ロ
ーラシャフト21の緩みの有無を検知する。
【0031】バックボトムローラ14を構成する一対の
ラインシャフト14a,14bの対向面の間隔は10m
m以下程度と狭い。そして、駆動側と反対側の端部のロ
ーラシャフト21は、ラインシャフト14a,14bの
熱膨張によっても緩み側へ移動するため、熱膨張による
移動の分を差し引いてねじ部の緩みによって生じた移動
量を検知するのが難しい。しかし、ローラシャフト21
の回転に基づいてローラシャフト21の緩みを検知する
構成では、ラインシャフト14a,14bの熱膨張は回
転に影響を及ぼさないため、ねじ部の緩みを正確に検知
するのが容易となる。
【0032】この実施の形態では以下の効果を有する。 (1) 2本のラインシャフト14a,14bに分割さ
れるとともに、各ラインシャフト14a,14bがそれ
ぞれ機台の端部側から駆動されるバックボトムローラ1
4を備えたドラフト装置11において、複数のローラシ
ャフト21のうちの駆動側と反対側の端部に位置するロ
ーラシャフト21の回転に基づいて、ローラシャフト2
1の緩みを検知する検知手段を設けた。従って、どのね
じ部が緩んでもローラシャフト21の緩み発生を検知す
ることができ、その検知信号に基づいて機台停止等の適
切な処置を行うことができる。また、熱膨張によるライ
ンシャフトの伸びを考慮せずに、ローラシャフト21の
緩みを正確に検知できる。また、ローラシャフト21の
回転を検知する構成では、ローラシャフト21の1回転
当たりのローラシャフト21の移動量が小さくても、十
分精度良く検知できる。
【0033】(2) 前記検知手段は、駆動側と反対側
の端部に位置するローラシャフト21と、駆動側端部に
位置するローラシャフト21との相対回転に基づいて前
記緩みを検知する。従って、いずれのローラシャフト2
1が緩んでも、前記両ローラシャフト21が相対回転さ
れ、端面が対向する2本のラインシャフト14a,14
bの端部に設けられたローラシャフト21同士の相対回
転に基づく検知方法に比較して、検知精度が良くなる。
【0034】(3) 前記検知手段の検知部として近接
スイッチ22a,22b,23a,23bが使用されて
いる。従って、検知部として光センサ等のように受光部
における受光の有無あるいは受光量の検出を利用した構
成の検知部に比較して風綿の影響による誤検知の可能性
が低くなる。
【0035】(4) 被検知部側のローラシャフト21
には近接スイッチと対応する箇所の断面がほぼD状に形
成されて、平面部21cが形成されている。従って、円
形部分の周面に被検知部を突設した場合と異なり、バッ
クボトムローラ14の周面より外側に凸部がない。その
結果、バックボトムローラ14の下流側に繊維束のガイ
ドプレートを近接して配置する際に被検知部が邪魔にな
らない。また、被検知部として他の部品を例えば接着剤
で固定する場合はその耐久性が問題になるが、切削によ
り一部をカットした構成では、耐久性の心配がない。
【0036】(5) ねじ部の緩みを検知した検知信号
に基づいて精紡機の運転が停止されるため、異常状態で
運転が継続されるのを防止でき、ドラフト装置11の部
品の損傷等を未然に防止できる。
【0037】(6) ドラフト装置11が左右一対設け
られた精紡機において、前記検知手段が各ドラフト装置
11に装備されている。従って、一般のリング精紡機等
において、(1)〜(5)の効果が得られる。
【0038】実施の形態は前記に限定されるものではな
く、例えば、次のように具体化してもよい。 ○ ラインシャフト14a,14bの駆動側端部に設け
た近接スイッチ23a,23bを省略し、一対のライン
シャフト14a,14bの各駆動側と反対側の端部に位
置するローラシャフト21の回転に基づいて、ローラシ
ャフト21の緩みを検知する構成としてもよい。CPU
24は一対のラインシャフト14a,14bの近接スイ
ッチ22a,22bの出力パルス信号を比較し、いずれ
か一方の近接スイッチ22a,22bの出力パルス信号
が連続して入力された際に、ねじ部の緩みが発生したと
判断する。両ラインシャフト14a,14bが同時に同
じように緩む場合は、両ローラシャフト21は相対回転
せず、緩み側への移動を検知できないが、両ラインシャ
フト14a,14bが同時に同じように緩む確立は非常
に小さいため殆ど支障はない。この構成では、近接スイ
ッチの数を少なくでき、コストを低減できる。
【0039】○ ドラフト装置11が左右一対設けられ
た精紡機においては、一対のラインシャフト14a,1
4bに対応して設けられた近接スイッチ22a,22b
の出力パルス信号の比較を行う代わりに、同じ駆動モー
タで駆動されるラインシャフトの近接スイッチ同士で比
較しても良い。また、4個の近接スイッチ22a,22
bの出力パルス信号を比較しても良い。4個の近接スイ
ッチ22a,22bの出力パルス信号を比較する構成で
あれば、4本全てのラインシャフト14a,14bが同
時に同じように緩む確立は2本の場合より小さいため、
誤検知の虞はほとんどないと考えられる。
【0040】○ バックボトムローラ14が正常に回転
している状態で、各近接スイッチ22a,22b,23
a,23bが平面部21cと対向するときを同じ、即ち
各近接スイッチ22a,22b,23a,23bからの
パルス信号の出力時期が同じになるように平面部21c
の位置を設定してもよい。また、位相をずらす場合でも
前記実施の形態のように180度にする必要はなく、任
意の角度に設定してもよい。いずれの場合も同様な効果
が得られる。
【0041】○ 少なくとも2個の近接スイッチの出力
パルス信号の比較により、ねじ部の緩みを検知する構成
に限らず、駆動側と反対側の端部に位置するローラシャ
フト21の回転を検知する近接スイッチ22aの出力パ
ルスの発生間隔から演算したローラシャフト21の回転
速度と、駆動モータ15a,15bの回転速度から演算
した回転速度に差が生じた場合に、緩みが生じたと判断
するようにしてもよい。
【0042】○ 平面部21cの数を複数(例えば、2
個)としてもよい。この場合はローラシャフト21の1
回転でパルス数が2個出力されるため、1個の場合より
少ない緩み量の発生時点で検知可能となる。しかし、1
個でも充分である。
【0043】○ 被検知部としてローラシャフト21に
平面部21cを加工する代わりに、ローラシャフト21
の外周に鉄片や磁石を固定してもよい。 ○ 検出手段を構成する検知部(センサ)は、近接スイ
ッチに限らず、磁気センサや光センサ等のセンサを使用
してもよい。
【0044】○ センサの検出信号に基づいて機台制御
装置19のCPU24が、駆動側と反対側の端部に位置
するローラシャフト21の回転に基づいて、ローラシャ
フト21の緩みを検知する以外の構成にしてもよい。例
えば、各近接スイッチ22a,22b,23a,23b
の正常時におけるパルス信号の出力時期を同じにし、各
出力信号をアンド回路に入力する。この構成では、正常
時には同じタイミングでアンド回路にHレベルの信号が
入力されるため、その間は出力がHレベルになり、緩み
が発生すると、アンド回路にHレベルの信号が同時に入
力されなくなり、その出力がLレベルとなる。従って、
アンド回路の出力が所定時間内にHレベルにならないと
きに、ねじ部の緩みが発生したことになる。
【0045】〇 駆動側と反対側の端部に位置するロー
ラシャフト21の回転に基づいて、ローラシャフト21
の緩みを検知する代わりに、駆動側と反対側の端部に位
置するローラシャフト21の緩み側(駆動側と反対側)
における軸方向への所定量以上の移動を検知する構成に
してもよい。所定量以上とは、熱膨張による伸びより大
きな量を意味する。
【0046】〇 各ラインシャフト12a,13a,1
4aを駆動モータ15aで、各ラインシャフト12b,
13b,14bを駆動モータ15bで駆動する構成に代
えて、フロントボトムローラ12及びミドルボトムロー
ラ13のラインシャフト12a,13aとラインシャフ
ト12b,13bとをそれぞれ駆動モータ15a,15
bと別の駆動モータで駆動する構成としてもよい。この
場合、ドラフト率の変更が容易になる。
【0047】○ ドラフト装置11は3線式に限らず、
ドラフトローラを片側4本以上備えた装置であってもよ
い。 〇 両側にドラフト装置11を備えたリング精紡機に限
らず、片側だけで紡出を行うリング精紡機、例えば、粗
糸Rを経ずに、スライバをドラフトして精紡糸を直接紡
出するリング精紡機に適用してもよい。
【0048】前記実施の形態から把握できる技術的思想
(発明)について以下に記載する。 (1) 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発
明のドラフトローラの緩み検知装置を備えた紡機の制御
装置であって、バックボトムローラを構成するローラシ
ャフトの緩みを検知する検知信号が出力されたときに紡
機の運転を停止する制御を行う紡機の制御装置。
【0049】
【発明の効果】以上、詳述したように、請求項1〜請求
項7に記載の発明によれば、複数のローラシャフトをそ
の端部に形成されたねじ部の螺合により互いに連結して
構成されたボトムローラが、2本のラインシャフトに分
割されるとともに、各ラインシャフトがそれぞれ機台の
端部側から駆動されるドラフト装置において、前記ロー
ラシャフトのねじ部の緩み発生を検知することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態のドラフト装置の模式平面図。
【図2】 (a)はローラシャフトの連結状態を示す一
部破断部分平面図、(b)は(a)のB−B線模式端面
図、(c)はローラシャフトの駆動側端部の(b)に対
応する模式端面図。
【図3】 近接スイッチの出力パルスを示すグラフ。
【図4】 従来のドラフト装置の模式平面図。
【図5】 ドラフト装置の模式側面図。
【図6】 ローラシャフトの連結状態を示す一部破断部
分平面図。
【符号の説明】
11…ドラフト装置、12…フロントボトムローラ、1
3…ミドルボトムローラ、14…バックボトムローラ、
12a,12b,13a,13b,14a,14b…ラ
インシャフト、21…ローラシャフト、21a…ねじ部
を構成する雄ねじ部、21b…同じく雌ねじ部、21c
…被検知部としての平面部、22a,22b,23a,
23b…検知手段を構成する検知部としての近接スイッ
チ、24…検知手段を構成するCPU。
フロントページの続き (72)発明者 新美 究 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機内 Fターム(参考) 4L056 AA02 BC01 EA10 EA32 EA43 EC38 EC55

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のローラシャフトをその端部に形成
    されたねじ部の螺合により互いに連結して構成された複
    数本のボトムローラを備え、各ボトムローラが2本のラ
    インシャフトに分割されるとともに同軸上に配置され、
    前記各ラインシャフトがそれぞれ機台の端部側から駆動
    されるドラフト装置を備えた紡機において、 バックボトムローラを構成する前記複数のローラシャフ
    トのうちの駆動側と反対側の端部に位置するローラシャ
    フトの回転又は軸方向への移動に基づいて、ローラシャ
    フトの緩みを検知する検知手段を設けた紡機のドラフト
    ローラの緩み検知装置。
  2. 【請求項2】 前記検知手段は、前記駆動側と反対側の
    端部に位置するローラシャフトの回転に基づいて前記緩
    みを検知する請求項1に記載の紡機のドラフトローラの
    緩み検知装置。
  3. 【請求項3】 前記検知手段は、前記駆動側と反対側の
    端部に位置するローラシャフトと、駆動側端部に位置す
    るローラシャフトとの相対回転に基づいて前記緩みを検
    知する請求項2に記載の紡機のドラフトローラの緩み検
    知装置。
  4. 【請求項4】 前記検知手段は、前記駆動側と反対側の
    端部に位置する互いに対向するローラシャフトの相対回
    転に基づいて前記緩みを検知する請求項2に記載の紡機
    のドラフトローラの緩み検知装置。
  5. 【請求項5】 前記ドラフト装置が左右一対設けられた
    精紡機において、前記検知手段が各ドラフト装置に装備
    されている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の
    紡機のドラフトローラの緩み検知装置。
  6. 【請求項6】 前記ドラフト装置が左右一対設けられた
    精紡機において、前記検知手段が各ドラフト装置に装備
    されるとともに、前記検知手段は、前記駆動側と反対側
    の端部に位置する4個のローラシャフトの回転に基づい
    て前記緩みを検知する請求項2に記載の紡機のドラフト
    ローラの緩み検知装置。
  7. 【請求項7】 前記検知手段は検知部として近接スイッ
    チを備え、被検知部側の前記ローラシャフトには近接ス
    イッチと対応する箇所の断面がほぼD字状に形成されて
    いる請求項2〜請求項6のいずれか一項に記載の紡機の
    ドラフトローラの緩み検知装置。
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