JP2003201517A - 磁気特性が安定して優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁気特性が安定して優れた方向性電磁鋼板の製造方法Info
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Abstract
晶を生じさせることによって、磁気特性が安定して優れ
た方向性電磁鋼板を得る。 【解決手段】 質量%で、C:0.08%以下, Si:2.0 〜
6.5 %およびMn:0.005〜3.0 %を含み、Alを 100 ppm
未満、N, S, Seをそれぞれ 50ppm以下に低減した溶鋼
を用いて製造した鋼スラブを用いて方向性電磁鋼板を製
造するに際し、熱間粗圧延に先立つスラブ加熱温度を12
80℃以下にすると共に、1050℃以上の温度で、圧下率:
30%以上のパスを少なくとも1回含む累積圧下率:70%
以上の粗圧延を行ったのち、仕上げ圧延を施し、引き続
き仕上げ圧延後の冷却速度を平均:20℃/s以上としてコ
イル状に巻き取り、熱延板表面にマグネタイトを主体と
する酸化物を形成する。
Description
に使用して好適な磁気特性が安定して優れた方向性電磁
鋼板の製造方法に関するものである。
ヒビターと呼ばれる析出物を使用して、最終仕上げ焼鈍
中にゴス方位粒と呼ばれる{110}<001>方位粒
を優先的に二次再結晶させることが、一般的な技術とし
て使用されている。例えば、特公昭40−15644 号公報に
は、インヒビターとしてAlN,MnSを使用する方法が、
また特公昭51−13469 号公報には、インヒビターとして
MnS, MnSeを使用する方法が開示され、いずれも工業的
に実用化されている。これらとは別に、CuSeとBNを添
加する技術が特公昭58−42244 号公報に、またTi,Zr,
V等の窒化物を使用する方法が特公昭46−40855 号公報
に開示されている。
定して二次再結晶粒を発達させるのに有用な方法である
が、析出物を微細に分散させなければならないので、熱
延前のスラブ加熱を1300℃以上の高温で行うことが必要
とされる。しかしながら、スラブの高温加熱は、設備コ
ストが嵩むことの他、熱延時に生成するスケール量も増
大することから歩留りが低下し、また設備のメンテナン
スが煩雑になる等の問題がある。
で方向性電磁鋼板を製造する方法が、特開昭64−55339
号、特開平2−57635 号、特開平7−76732 号および特
開平7−197126号各公報に開示されている。これらの技
術に共通していることは、表面エネルギーを駆動力とし
て{110}面を優先的に成長させることを意図してい
ることである。表面エネルギーを有効に利用するために
は、表面の寄与を大きくするために板厚を薄くすること
が必然的に要求される。例えば、特開昭64−55339 号公
報に開示の技術では板厚が 0.2mm以下に、また特開平2
−57635 号公報に開示の技術では板厚が0.15mm以下に、
それぞれ制限されている。しかしながら、現在使用され
ている方向性電磁鋼板の板厚は0.20mm以上がほとんどで
あるため、上記したような表面エネルギーを利用した方
法で通常の方向性電磁鋼板を製造することは難しい。
は、表面酸化物の生成を抑制した状態で高温の最終仕上
げ焼鈍を行わなければならない。例えば、特開昭64−55
339 号公報に開示の技術では、1180℃以上の温度で、し
かも最終仕上げ焼鈍の雰囲気として、真空または不活性
ガス、あるいは水素ガスまたは水素ガスと窒素ガスの混
合ガスを使用することが記載されている。また、特開平
2−57635 号公報に開示の技術では、 950〜1100℃の温
度で、不活性ガス雰囲気あるいは水素ガスまたは水素ガ
スと不活性ガスの混合雰囲気で、しかもこれらを減圧す
ることが推奨されている。さらに、特開平7−197126号
公報に開示の技術では、1000〜1300℃の温度で酸素分圧
が0.5 Pa以下の非酸化性雰囲気中または真空中で最終仕
上げ焼鈍を行うことが記載されている。
好な磁気特性を得ようとすると、最終仕上げ焼鈍の雰囲
気は不活性ガスや水素ガスが必要とされ、また推奨され
る条件として真空とすることが要求されるけれども、高
温と真空の両立は設備的には極めて難しく、またコスト
高ともなる。
は、原理的には{110}面の選択のみが可能であるに
すぎず、圧延方向に<001>方向が揃ったゴス粒の成
長が選択されるわけではない。方向性電磁鋼板は、圧延
方向に磁化容易軸<001>を揃えてこそ磁気特性が向
上するので、{110}面の選択のみでは原理的に良好
な磁気特性は得られない。そのため、表面エネルギーを
利用する方法で良好な磁気特性を得ることができる圧延
条件や焼鈍条件は極めて限られたものとなり、その結
果、得られる磁気特性は不安定とならざるを得ない。
法では、表面酸化層の形成を抑制して最終仕上げ焼鈍を
行わねばならず、たとえばMgO のような焼鈍分離剤を塗
布焼鈍することができないので、最終仕上げ焼鈍後に通
常の方向性電磁鋼板と同様な酸化物被膜を形成すること
はできない。例えば、フォルステライト被膜は、焼鈍分
離剤としてMgO を主成分として塗布した時に形成される
被膜であるが、この被膜は鋼板表面に張力を与えるだけ
でなく、その上にさらに塗布焼き付けられるリン酸塩を
主体とする絶縁張力コーティングの密着性を確保する機
能を担っている。従って、かようなフォルステライト被
膜がない場合には鉄損は大幅に劣化する。
成分を含有しない素材において、ゴス方位結晶粒を二次
再結晶により発達させる技術を開発し、特開2000−1293
56号号公報において開示した。しかしながら、インヒビ
ターを用いず、集合組織制御のみで二次再結晶を発現さ
せることから、従来にもまして、一次粒径分布や集合組
織の均一性が重要になってきた。また、スラブの高温加
熱を行わないので、従来用いられてきた1300℃付近のα
相単相域での高温再結晶を利用できないことから、組織
的にも不均一になり易く、また二次再結晶が場所によっ
て不均一になり易いために、製品磁気特性が安定して得
られないという問題があった。
に鑑み開発されたもので、インヒビターを使用しない方
向性電磁鋼板の製造技術において、熱延組織に起因した
磁気特性の不安定性を有利に解消して、安定して良好な
磁気特性を得ることができる、方向性電磁鋼板の新規な
製造方法を提案することを目的とする。
構成は次のとおりである。1.質量%で、C:0.08%以
下, Si:2.0 〜6.5 %およびMn:0.005 〜3.0 %を含
み、Alを 100 ppm未満、N, S, Seをそれぞれ 50ppm以
下に低減した溶鋼を用いて製造した鋼スラブを、熱間圧
延し、必要に応じて熱延板焼鈍を行ったのち、1回また
は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行い、ついで脱
炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上げ焼鈍
を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法に
おいて、熱間粗圧延に先立つスラブ加熱温度を1280℃以
下とし、1050℃以上の温度で、圧下率:30%以上のパス
を少なくとも1回含む累積圧下率:70%以上の粗圧延を
行った後、仕上げ圧延を施し、引き続き仕上げ圧延後の
冷却速度を平均:20℃/s以上としてコイル状に巻き取
り、熱延板表面にマグネタイトを主体とする酸化物を形
成することを特徴とする磁気特性が安定して優れた方向
性電磁鋼板の製造方法。
0.005 〜1.50%、Sn:0.01〜0.50%、Sb:0.005 〜0.50
%、Cu:0.01〜1.50%、P:0.005 〜0.50%およびCr:
0.01〜1.50%のうちから選んだ1種または2種以上を含
有することを特徴とする請求項1記載の方向性電磁鋼板
の製造方法。
る。まず、本発明を由来するに至った実験結果について
説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らな
い限り質量%(mass%)を意味する。C:0.04%、Si:
3.5%、Mn:0.06%、P: 0.005%、S:0.002 %、A
l:0.005 %、Ti:0.0006%、O:0.002 %、N:0.002
5%、Sb:0.0020%、Cu:0.05%およびCr:0.04%を含
有する組成になる鋼スラブを、連続鋳造し、ついでガス
加熱炉にて1150℃で2h 加熱したのち、表1に示す種々
の条件で熱間圧延を施して、2.5 mm厚の熱延板とした。
ついで、これらの熱延板を、900 ℃の窒素雰囲気中にて
1分間加熱した後、35℃/sの速度で急冷した。その後、
冷間圧延により0.34mmの最終板厚に仕上げた。ついで、
水素:65 vol%、窒素:35 vol%、露点:65℃の雰囲気
中にて 850℃,120 秒の脱炭焼鈍を行った後、MgO を主
成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上げ焼鈍
を行った。この最終仕上げ焼鈍は、15℃/hの昇温速度
で、750 ℃までは窒素雰囲気中、それ以降は水素雰囲気
中で1150℃まで加熱し、1150℃に5h保定したのち、Ar
雰囲気中で冷却する条件で行った。かくして得られた方
向性電磁鋼板の磁気特性について調べた結果を、表1に
併記する。
た場合に磁気特性が向上することが明らかとなった。す
なわち、1050℃以上の温度で、圧下率:30%以上のパス
を少なくとも1回含む累積圧下率:70%以上の粗圧延を
行ったのち、仕上げ圧延を施し、仕上げ圧延後に急冷し
た場合である。ここに、上記のような処理を施した場合
に磁気特性が向上した理由については、1050℃以上の高
温域において大きな圧下を加えることで、熱延時の組織
が均一微細化されたことによるものと考えられる。すな
わち、1050〜1200℃付近は、他の温度域とは異なり、α
相とγ相が生成するため、かような2相状態で高圧下を
加えることにより、スラブの柱状晶等の粗い組織を破壊
することができたものと考えられる。
た結果を、図1に示す。同図によれば、1パス当たりの
圧下率および累積圧下率が共に有効に作用し、圧下率が
30%以上のパスを少なくとも1回行い、かつ累積圧下率
が70%以上となった場合に、熱延板の再結晶率が増加
し、組織の均一化が図られたことが明らかである。
相域の温度外になってくるため、板厚を減らすことを目
的とした圧延が行われ、その後急冷する。ここに、仕上
げ圧延終了後の冷却速度が重要な理由は、以下のように
考えられる。すなわち、仕上げ圧延終了までの歪みを加
えている間は、鋼中に転位等の欠陥が多く存在すること
によりCの拡散速度は高くなり、従ってCは鋼中で均一
に分布し固溶しているが、仕上げ圧延終了後は新たな歪
みが加わらないため、Cは付近の結晶粒界にセメンタイ
トとして析出しようし、粒界に析出したセメンタイト
は、組織の不均一性を助長する。
後の冷却速度に対する依存性を調査するため、この冷却
速度を変更する実験を行った。その結果を図2に示す。
同図の結果より、仕上げ圧延後の平均冷却速度を20℃/s
以上とした場合に、磁気特性が向上することが明らかと
なった。すなわち、20℃/s以上の速度で冷却すると、粒
界に析出するセメンタイトの量が減り、熱延板の組織的
な不均一性が減少する。
主にマグネタイト(Fe3O4) となることによって、最表層
からの過度の脱炭を防止できる。通常、熱延後の鋼板表
面に形成される酸化物層はFeO が主体であるが、このFe
O は FeO+C→Fe+COの反応が起こり易く、地鉄中のC
を不均一に脱炭してしまうと考えられる。これら不均一
な脱炭は、引き続き行われる熱延板焼鈍や冷間圧延での
組織形成に非常に不利に作用すると考えられる。このた
め、マグネタイトを主体とした酸化物層を形成させるこ
とが有用なわけである。熱延時にこれらの処理を組み合
わせて行うことにより、熱延組織の均一性が向上し、ひ
いては製品磁気特性の安定性が増す。
鋼において二次再結晶が発現する理由は必ずしも明らか
ではないが、以下のように考えている。発明者らは、ゴ
ス方位粒が二次再結晶する理由について鋭意研究を重ね
た結果、一次再結晶組織における方位差角が20〜45°で
ある粒界が重要な役割を果たしていることを発見し、Ac
ta Material 45巻(1997)1285頁に報告した。
ある一次再結晶組織を解析し、様々な結晶方位を持つ各
々の結晶粒周囲の粒界について、粒界方位差角が20〜45
°である粒界の全体に対する割合(%)について調査し
た結果を、図3に示す。同図において、結晶方位空間は
オイラー角(Φ1 、Φ、Φ2 )のΦ2 =45°断面を用い
て表示しており、ゴス方位など主な方位を模式的に表示
してある。同図によれば、方位差角が20〜45°である粒
界の各方位粒に対する存在頻度は、ゴス方位が最も高い
ことが分かる。
らによる実験データ(AIME Transaction 188巻(1949)
368 頁)によれば、高エネルギー粒界である。この高エ
ネルギー粒界は粒界内の自由空間が大きく乱雑な構造を
している。粒界拡散は粒界を通じて原子が移動する過程
であるので、粒界中の自由空間の大きい、高エネルギー
粒界の方が粒界拡散は速い。二次再結晶は、インヒビタ
ーと呼ばれる析出物の拡散律速による成長に伴って発現
することが知られている。高エネルギー粒界上の析出物
は、仕上げ焼鈍中に優先的に粗大化が進行するので、優
先的にピン止めがはずれて粒界移動を開始し、ゴス粒が
成長する機構を示した。
て、ゴス方位粒の二次再結晶の本質的要因は、一次再結
晶組織中の高エネルギー粒界の分布状態にあり、インヒ
ビターの役割は、高エネルギー粒界と他の粒界の移動速
度差を生じさせることにあることを見い出した。従っ
て、この理論に従えば、インヒビターを用いなくとも、
粒界の移動速度差を生じさせることができれば、二次再
結晶させることが可能となる。
とくに高エネルギー粒界に偏析し易いため、不純物元素
を多く含む場合には、高エネルギー粒界と他の粒界の移
動速度に差がなくなっているものと考えられる。この
点、素材の高純度化によって、上記したような不純物元
素の影響を排除することができれば、高エネルギー粒界
の構造に依存する本来的な移動速度差が顕在化して、ゴ
ス方位粒の二次再結晶が可能になるものと考えられる。
た二次再結晶を可能とするためには、一次再結晶組織を
できる限り均一な粒径分布に保つことが肝要である。と
いうのは、均一な粒径分布が保たれている場合には、ゴ
ス方位粒以外の結晶粒は粒界移動速度の小さい低エネル
ギー粒界の頻度が大きいため、粒成長が抑制されている
状態、いわゆるTexture Inhibition効果の発揮により、
粒界移動速度が大きい高エネルギー粒界の頻度が最大で
あるゴス方位粒の選択的粒成長としての二次再結晶が進
行するからである。これに対し、粒径分布が一様でない
場合には、隣接する結晶粒同士の粒径差を駆動力とする
正常粒成長が起こるため、粒界移動速度差と異なる要因
で成長する結晶粒が選択されるために、Texture Inhibi
tion効果が発揮されずに、ゴス方位粒の選択的粒成長が
起こらなくなる。
ー成分を完全に除去することは実用上困難なので、不可
避的に含有されてしまうが、熱延加熱温度が高い場合に
は、加熱後に固溶した微量不純物としてのインヒビター
成分が熱延時に不均一に微細析出する結果、粒界移動が
局所的に抑制されて粒径分布が極めて不均一になり、二
次再結晶の発達が阻害される。そのためインヒビター成
分を低減することが第一であるが、不可避的に混入する
微量のインヒビター成分の微細析出を回避して無害化す
るためには、熱延前の加熱温度を圧延可能な範囲で、で
きる限り低めに抑えることが有効である。
の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明す
る。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り
質量%(mass%)を意味する。 C:0.08%以下 C量が0.08%を超えると、磁気時効の起こらない 50ppm
以下まで低減することが困難になるので、Cは0.08%以
下に制限した。 Si:2.0 〜8.0 % Siは、鋼の電気抵抗を高めて鉄損の低減に有効に寄与す
るが、含有量が 2.0%に満たないと十分な鉄損低減効果
が得られず、一方 6.5%を超えると高温で全てα相とな
り、(α+γ)の2相域とすることができないので、Si
量は 2.0〜6.5%の範囲に限定した。 Mn:0.005 〜3.0 % Mnは、熱間加工性を改善するために有用な元素である
が、含有量が 0.005%未満ではその添加効果に乏しく、
一方 3.0%を超えると磁束密度の低下を招くので、Mn量
は 0.005〜3.0 %の範囲とする。
50ppm以下 また、不純物元素であるAlは 100 ppm未満、N, S, Se
についても 50ppm以下、好ましくは 30ppm以下に低減す
ることが、良好に二次再結晶させる上で不可欠である。
その他、窒化物形成元素であるTi, Nb, B, Ta, V等に
ついても、それぞれ 50ppm以下に低減することが鉄損の
劣化を防止し、良好な加工性を確保する上で有効であ
る。
明したが、本発明では、その他にも以下に述べる元素を
適宜含有させることができる。 Ni:0.005 〜1.50%、Sn:0.01〜0.50%、Sb:0.005 〜
0.50%、Cu:0.01〜1.50%、P:0.005 〜0.50%、Cr:
0.01〜1.50%のうちから選んだ少なくとも1種 Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させる有用
元素である。しかしながら、含有量が 0.005%未満では
磁気特性の向上量が小さく、一方1.50%を超えると二次
再結晶が不安定になり磁気特性が劣化するので、Ni量は
0.005〜1.50%とした。また、Sn,Sb,Cu, P, Crはそ
れぞれ、鉄損の向上に有用な元素であるが、いずれも上
記範囲の下限値に満たないと鉄損の向上効果が小さく、
一方上限量を超えると二次再結晶粒の発達が阻害される
ので、それぞれSn:0.01〜0.50%,Sb:0.005 〜0.50
%,Cu:0.01〜1.50%,P:0.005 〜0.50%,Cr:0.01
〜1.5 %の範囲で含有させる。
る。上記の好適成分組成に調整した溶鋼を、転炉、電気
炉などを用いる公知の方法で精錬し、必要があれば真空
処理などを施したのち、通常の造塊法や連続鋳造法を用
いてスラブを製造する。また、直接鋳造法を用いて 100
mm以下の厚さの薄鋳片を直接製造してもよい。スラブ
は、通常の方法で加熱して熱間圧延するが、鋳造後、加
熱せずに直ちに熱延に供してもよい。また、薄鋳片の場
合には、熱間圧延を行っても良いし、熱間圧延を省略し
てそのまま以後の工程に進めてもよい。熱間圧延前のス
ラブ加熱温度は1280℃以下に抑えることが、スラブ加熱
中に生成する酸化物層量を低減する上で重要である。ま
た、結晶組織の微細化および不可避的に混入するインヒ
ビター成分の弊害を無害化して、均一な整粒一次再結晶
組織を実現する意味でもスラブ加熱温度の低温化が望ま
しい。
条件が、本発明の骨子である。すなわち、特に熱間粗圧
延を、1050℃以上の温度で、圧下率:30%以上のパスを
少なくとも1回含む累積圧下率:70%以上の圧延とする
ことが重要である。この理由は、1050〜1200℃の(α+
γ)2相域で十分に圧延することによって、スラブ段階
での結晶組織を破壊し、結晶組織を十分に微細化するた
めである。
後、前述したように、20℃/s以上の速度で冷却し、コイ
ル状に巻き取ることにより、セメンタイトの粒界析出を
抑制すると共に、熱延板表面にマグネタイトを形成させ
る。ここに、マグネタイトを主体とした酸化物層を形成
させるためには、仕上げ圧延終了後の冷却速度を高める
ことが肝要で、高温で生成する酸化物層の除去をかねて
水冷を強化することが望ましい。また、低温で巻き取る
ことが重要であり、巻き取り温度は 600℃以下とするこ
とが好ましい。さらに、コイルはできるだけタイトに巻
き取り、大気に曝されないようにすることも重要であ
る。以上の処理を、効果的に組み合わせることにより、
マグネタイトを主体とした酸化物層を形成させることが
できる。ここで、マグネタイトを主体とする酸化物層と
は、X線回折により測定される、熱延板表面の全酸化物
に対するマグネタイトの存在比率が50%以上であること
を意味する。
ゴス組織を製品板において高度に発達させるためには、
熱延板焼鈍温度は 800〜1100℃の範囲が好適である。と
いうのは、熱延板焼鈍温度が 800℃未満では熱延でのバ
ンド組織が残留し、整粒の一次再結晶組織を実現するこ
とが困難になる結果、二次再結晶の発達が阻害され、一
方熱延板焼鈍温度が1100℃を超えると、不可避的に混入
するインヒビター成分が固溶し冷却時に不均一に再析出
するために、整粒一次再結晶組繊を実現することが困難
となり、やはり二次再結晶の発達が阻害されるからであ
る。また、熱延板焼鈍温度が1100℃を超えると、熱延板
焼鈍後の粒径が粗大化しすぎることも、整粒の一次再結
晶組織を実現する上で極めて不利である。
2回以上の冷間圧延を施したのち、脱炭焼鈍を施して、
Cを磁気時効の起こらない 50ppm以下好ましくは 30ppm
以下まで低減する。上記の冷間圧延において、圧延温度
を 100〜250 ℃に上昇させて圧延を行うことや、冷間圧
延の途中で 100〜250 ℃の範囲での時効処理を1回また
は複数回行うことが、ゴス組織を発達させる上で有効で
ある。
用して 700〜1000℃の温度で行うことが好適である。ま
た、脱炭焼鈍後に浸珪法によってにSi量を増加させる技
術を併用してもよい。その後、焼鈍分離剤を適用して、
最終仕上げ焼鈍を施すことにより二次再結晶組織を発達
させるとともにフォルステライト被膜を形成させる。最
終仕上げ焼鈍は、二次再結晶発現のために 800℃以上で
行う必要があるが、800 ℃までの加熱速度は磁気特性に
大きな影響を与えないので任意の条件でよい。
る。ついで、上記の平坦化焼鈍後、鉄損の改善を目的と
して、鋼板表面に張力を付与する絶縁コーティングを施
すことが有利である。さらに、公知の磁区細分化技術を
適用できることはいうまでもない。
造にて製造したのち、各スラブを1150℃で50分加熱後、
熱間圧延によって 2.4mm厚の熱延板とした。この時の熱
延条件を表3,4に示す。ついで、1080℃,50秒の熱延
板焼鈍後、150 ℃の温間圧延によって0.34mmの最終板厚
に仕上げた。ついで、水素:50 vol%、窒素:50 vol
%、露点:60℃の雰囲気中にて 830℃、120 秒の脱炭焼
鈍を施したのち、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し
てから、コイル状に巻き取った。ついで、最終仕上げ焼
鈍を、窒素雰囲気中で 850℃まで20℃/hの速度で昇温し
たのち、850 ℃に50hr保定し、ついで水素雰囲気中で15
℃/hの速度で1140℃まで昇温し、1140℃に5h保定する
条件で行った。その後、Ar雰囲気に切り替え室温まで冷
却した。その後、未反応の焼鈍分離剤を除去したのち、
50%コロイダルシリカを含有する張力コーティングを塗
布焼き付けて製品板とした。かくして得られた製品板の
磁気特性について調べた結果を表4に併記する。
明の適正範囲を満足している場合には、磁気特性に優れ
た製品板が安定して得られている。
ーを使用せずに効果的に二次再結晶を生じさせることが
でき、その結果、磁気特性が安定して優れた方向性電磁
鋼板を得ることができる。
累積圧下率が熱延板の再結晶率に及ぼす影響を示した図
である。
特性に及ぼす影響を示した図である。
ある粒界の各方位粒に対する存在頻度(%)を示した図
である。
Claims (2)
- 【請求項1】 質量%で、C:0.08%以下, Si:2.0 〜
6.5 %およびMn:0.005〜3.0 %を含み、Alを 100 ppm
未満、N, S, Seをそれぞれ 50ppm以下に低減した溶鋼
を用いて製造した鋼スラブを、熱間圧延し、必要に応じ
て熱延板焼鈍を行ったのち、1回または中間焼鈍を挟む
2回以上の冷間圧延を行い、ついで脱炭焼鈍後、焼鈍分
離剤を塗布してから、最終仕上げ焼鈍を施す一連の工程
からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、 熱間粗圧延に先立つスラブ加熱温度を1280℃以下とし、
1050℃以上の温度で、圧下率:30%以上のパスを少なく
とも1回含む累積圧下率:70%以上の粗圧延を行った
後、仕上げ圧延を施し、引き続き仕上げ圧延後の冷却速
度を平均:20℃/s以上としてコイル状に巻き取り、熱延
板表面にマグネタイトを主体とする酸化物を形成するこ
とを特徴とする磁気特性が安定して優れた方向性電磁鋼
板の製造方法。 - 【請求項2】 鋼スラブが、さらに、質量%で、Ni:0.
005 〜1.50%、Sn:0.01〜0.50%、Sb:0.005 〜0.50
%、Cu:0.01〜1.50%、P:0.005 〜0.50%およびCr:
0.01〜1.50%のうちから選んだ1種または2種以上を含
有することを特徴とする請求項1記載の方向性電磁鋼板
の製造方法。
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