JP2003328131A - ガスバリアー性に優れたケイ素酸化物膜及び包装体 - Google Patents

ガスバリアー性に優れたケイ素酸化物膜及び包装体

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JP2003328131A
JP2003328131A JP2002131424A JP2002131424A JP2003328131A JP 2003328131 A JP2003328131 A JP 2003328131A JP 2002131424 A JP2002131424 A JP 2002131424A JP 2002131424 A JP2002131424 A JP 2002131424A JP 2003328131 A JP2003328131 A JP 2003328131A
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silicon
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Tsunehisa Namiki
恒久 並木
Toshihide Iegi
敏秀 家木
Hajime Inagaki
肇 稲垣
Akira Kobayashi
亮 小林
Koji Yamada
幸司 山田
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Toyo Seikan Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガス遮断性(ガスバリアー性)に特に優れて
おり、従来のものに比して薄い膜厚で優れたガス遮断性
を達成できると共に、形成される被膜が柔軟性及び可撓
性に優れており、生産性にも優れているケイ素酸化物被
膜を提供するにある。 【解決手段】 プラスチック基材上に形成されるケイ素
酸化物被膜において、有機ケイ素化合物の化学蒸着によ
り形成され、膜中のケイ素量/厚みで表わされる係数が
0.3g/cm以上であり、且つ膜の酸素透過係数が
0.5(×10 16cc・cm/cm/sec/c
mHg・at30℃)以下であることを特徴とするケイ
素酸化物被膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケイ素酸化物被膜
及びそれを備えた包装体に関するもので、より詳細に
は、ガス遮断性に優れ、包装容器等の包装体として有用
なケイ素酸化物被膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、包装容器としては、金属缶、ガラ
スビン、各種プラスチック容器等が使用されているが、
プラスチック容器は、軽量であり、耐衝撃性にもある程
度優れているという利点を有しているが、容器壁を透過
する酸素による内容物の変質やフレーバー低下が問題と
なっている。
【0003】特に、金属缶やガラスビンでは容器壁を通
しての酸素透過がゼロであり、容器内に残留する酸素の
みが問題であるのに対して、プラスチック容器の場合に
は器壁を通しての酸素透過が無視し得ないオーダーで生
じ、内容品の保存性の点で問題となっている。
【0004】これを防止するために、プラスチック容器
では容器壁を多層構造とし、その内の少なくとも一層と
して、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のガス遮
断性を有する樹脂を用いることが行われているが、多層
プラスチック容器では、複数の樹脂の共押出や共射出と
いった技術が必要であり、単層の樹脂容器に比して、面
倒な成形操作が必要であり、生産性も低いという問題を
有している。
【0005】単層のプラスチック素材に対して、蒸着膜
を形成させることにより、ガス遮断性を向上させること
も既に公知であり、ケイ素酸化物被膜(SiOx)や硬
質炭素膜(DLC)を形成させることも知られている。
実開昭49−50563号公報及び特開昭49−581
71号公報には、プラスチックフィルムに物理的蒸着法
(PVD)により被覆したケイ素酸化物被膜が記載さ
れ、特開平5−345383号公報には、化学蒸着法
(CVD)により形成したケイ素酸化物被膜が記載され
ている。
【0006】本出願人の出願にかかる特許第25267
66号公報には、プラスチック材と、その上に設けた少
なくともケイ素、炭素、酸素の組成においてケイ素15
%以上、炭素20%以上、残りが酸素を含有する重合体
で形成された第1層と、第1層の上に設けたケイ素酸化
物の第2層とからなるガス遮断性積層プラスチック材が
記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ケイ素酸化物被膜は、ガス遮断性を付与するために必要
な膜厚がかなり厚くなければならず、形成される被覆物
が柔軟性や可撓性にかけるという欠点や生産性に劣ると
いう欠点がある。特に、物理的蒸着法(PVD)で形成
されるケイ素酸化物被膜は、同じ膜厚で比較して、酸素
ガス遮断性に劣っており、同じレベルのガス遮断性を達
成するためにはかなり厚い被膜を形成しなければならな
いという欠点がある。
【0008】ケイ素酸化物被膜の膜厚を薄くすることも
行われており、例えば特開平9−169075号公報に
は、電子ビーム蒸着法により、1.80〜2.20の比
重の酸化硅素系薄膜が形成された酸化硅素系薄膜積層ガ
スバリアフィルムが記載されているが、この酸化珪素系
薄膜積層ガスバリアフィルムにおける酸化硅素系薄膜の
厚みは500〜5000Å程度で、酸素透過率は0.7
〜1.5cc/m/24h/atm程度であり、更に
薄膜でガスバリアー性に優れたケイ素酸化物被膜が望ま
れている。
【0009】従って、本発明の目的は、ガス遮断性(ガ
スバリアー性)に特に優れており、従来のものに比して
薄い膜厚で優れたガス遮断性を達成できると共に、形成
される被膜が柔軟性及び可撓性に優れており、生産性に
も優れているケイ素酸化物被膜を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、プラス
チック基材上に形成されるケイ素酸化物被膜において、
有機ケイ素化合物の化学蒸着により形成され、膜中のケ
イ素量/厚みで表わされる係数が0.3g/cm以上
であり、且つ膜の酸素透過係数が0.5(×10−16
cc・cm/cm/sec/cmHg・at30℃)
以下であることを特徴とするケイ素酸化物被膜が提供さ
れる。本発明のケイ素酸化物被膜は、有機ケイ素化合物
の重合体層を介してプラスチック基材上に形成されてい
ることが好ましい。
【0011】本発明によればまた、上記ケイ素酸化物被
膜がプラスチック基材上に形成されて成ることを特徴と
する包装体が提供される。本発明の包装体は、ケイ素酸
化物膜が少なくとも容器胴部に被覆されている容器であ
ることが好ましい。
【0012】
【発明の実施形態】本発明におけるケイ素酸化物被膜
は、それ自体公知の化学蒸着法(CVC)、特に低温プ
ラズマCVDにより行われるものである。低温プラズマ
CVDとは、気体プラズマを利用して薄膜成長を行うも
のであり、基本的には、原料ガスを含むガスを高電界に
よる電気的エネルギーで放電させ、分解させ、生成する
物質を気相中或いは基板上での化学反応を経て、基板上
に堆積させるプロセスから成る。プラズマ状態は、グロ
ー放電によって実現されるものであり、このグロー放電
の方式によって、直流グロー放電を利用する方法、高周
波グロー放電を利用する方法、マイクロ波放電を利用す
る方法などが知られている。
【0013】低温プラズマCVDは、高速電子による
ガス分子の直接分解を利用しているため、生成エネルギ
ーの大きな原料ガスを容易に解離できる、電子温度と
イオン温度が異なる熱的非平衡状態にあり、質量の小さ
な電子の温度は高いが、質量の大きなイオンの温度が低
いため、低温プロセスが可能となる、基板温度が低く
ても比較的均一なアモルファス膜を形成できる、という
利点を有するものであり、プラスチック基材にも容易に
適用できるものである。
【0014】本発明で採用する化学蒸着法(CVD)に
対比されるべきものとして、物理蒸着法(PVD)が知
られている。この物理蒸着法(PVD)では、被蒸着物
質を加熱気化し、基板上に蒸着せしめるのであるが、後
述する比較例に示すとおり、物理蒸着法(PVD)によ
るケイ素酸化物被膜では、膜の酸素透過係数が大きく、
ガス遮断性を付与するには、膜厚を厚くしなければなら
ないため加工性が劣り、本発明の目的には適していな
い。
【0015】本発明のケイ素酸化物被膜は、かかるプラ
ズマCVDにより、プラスチック基材上に形成されるも
のであるが、膜中のケイ素量/膜の厚みで表わされる係
数が0.3g/cm以上であると共に、酸素透過係数
が0.5(×10−16cc・cm/cm/sec/
cmHg・at30℃)以下であることが重要な特徴で
ある。100μm厚の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートシート(以下BOPETシートと記す)に後述する
プラズマ処理法によって、異なる膜厚を有するケイ素酸
化物被膜を形成し、酸素透過量をOxtran2/20
(Mocon社製、30℃80%RH)により測定し、
表1に示した。また膜厚をエリプソメーター((株)溝尻
光学工業所製,DVA−36L)で測定し、単位面積当
たりのSi量を(株)リガク製蛍光X線分光分析装置(S
ystem3080)で測定し、ケイ素量/膜厚を算出
し、そして膜厚、酸素透過量を表1に示した。また膜の
酸素透過係数を、下記式(1)に示す積層体のガス透過
の式より求め、あわせて表1に示した。 (積層体のガス透過の式) t/p=t/P+t/P+…t/P …(1) 式中、t:n層の厚み(cm) P:n層のガスの透過係数(cc・cm/cm/se
c/cmHg) t,t,t:1層目、2層目,n層目の厚み(c
m) P,P,P:1層目、2層目,n層目のガスの透
過係数 (cc・cm/cm/sec/cmHg)
【0016】この表1から明らかなように、膜中のケイ
素量/厚みの係数が0.3より小さい積層シート1及び
積層シート2はケイ素酸化物被膜が形成されていないB
OPETシートとほとんど変わらない酸素透過量を示し
ているのに対して、膜中のケイ素量/厚みの係数が0.
3以上の積層シート3及び積層シート4は、積層シート
全体の酸素透過量がほぼ1/5以下、ケイ素酸化物被膜
の酸素透過係数の値では1/100以下の値に減少して
いることがわかる。更に積層シート2と積層シート3を
対比すると、積層シート3に形成されたケイ素酸化物被
膜は積層シート2に形成されたケイ素酸化物被膜よりも
薄肉であるにもかかわらず、ケイ素酸化物被膜の酸素透
過係数がほぼ1/100まで減少しているのである。す
なわち、図1から明らかなように、膜中のケイ素量/厚
みの係数が0.3g/cmより小さくなると、酸素透
過係数は二次関数的に増加し、急激にガスバリアー性に
劣るようになってしまうのである。従って、本発明によ
るケイ素酸化物被膜は、従来ものに比して小さい膜厚で
優れたガスバリアー性を達成できると共に、形成される
被膜が柔軟性及び可撓性に優れているため生産性にも優
れており、更に非常に薄肉であることから無色透明であ
るという利点をも与えるものである。
【0017】本発明において、ケイ素酸化物被膜中のケ
イ素量/膜の厚みの係数(g/cm )は、膜全体とす
れば単位体積当たりのケイ素原子の量を示すものである
が、後述する図2に示すように、本発明のケイ素酸化物
被膜中に存在するケイ素原子は膜中の厚み方向によって
その存在割合が異なり、被膜の外表面に向けてその量が
増加する傾向を有している。このため本発明のケイ素酸
化物被膜においては、膜中のケイ素量/膜の厚みの係数
(g/cm)が0.3以上であるだけでなく、酸素透
過係数が0.5(×10−16cc・cm/cm/s
ec/cmHg・at30℃)以下であることがきわめ
て重要になるのである。
【0018】本発明によるケイ素酸化物被膜は、有機ケ
イ素化合物の重合体層を介して前記プラスチック基材上
に形成されていることが好ましい。図2は、本発明の好
適なケイ素酸化物被膜のX線光電子分光分析による炭
素、酸素、ケイ素の原子割合の厚さ方向の分布を示して
いる。この図2によれば、基材の表面側からケイ素酸化
物被膜の外表面に向けて炭素量が連続的に減少し、基材
の表面側からケイ素酸化物被膜の外表面に向けてケイ素
量及び酸素量が連続的に増加していることが確認され、
ケイ素15%以上及び炭素20%以上を含む層の存在が
確認される。またケイ素酸化物被膜における有機ケイ素
化合物重合体層の存在は、X線光電子分光分析により、
膜厚み方向のケイ素の結合エネルギー又は二次イオン−
質量分析(SIMS)により、膜厚み方向のSiCH
イオンやSiCHイオンの量を測定することにより、
確認することができる。図3に示すように、ケイ素酸化
物被膜の外表面におけるケイ素の結合エネルギーはSi
O結合に由来する103.5eV付近を示し、ケイ素1
5%以上及び酸素20%以上含む層の結合エネルギーは
Si(R)−O結合(Rはアルキル基)に由来する10
2.5eV付近に変化しており、更に、ケイ素酸化物被
膜の外表面から基板表面への膜中のSiCHイオンや
SiCHイオンの量をSIMSで測定した結果を図4
に示す。図4に示すように、有機ケイ素化合物重合体に
由来するSiCHイオンやSiCHイオンの量は膜
外表面には無く、基板との界面の膜中に存在しているこ
とが明らかである。この結果、図2に示された、ケイ素
15%以上及び炭素20%以上を含む層は有機ケイ素重
合体層であることが確認される。このプラスチックとケ
イ素酸化物膜との間に形成された有機ケイ素化合物の重
合体層がプラスチックと酸化物膜のバインダーとして作
用し、基板と膜の密着力を向上させ、また有機ケイ素化
合物重合体のケイ素が膜の核として働き、その上に形成
されたケイ素酸化物幕の密度が向上し、ケイ素酸化物膜
のガス遮断性が更に向上するという利点を有する。尚、
本発明においては、この有機ケイ素化合物の重合体層が
形成されている場合は、この有機ケイ素化合物の重合体
層を含んだ状態でケイ素酸化物被膜とし、ケイ素酸化物
被膜のケイ素量及び膜厚は、かかる有機ケイ素化合物の
重合体層を含んだ状態で計測される。
【0019】[ケイ素酸化物被膜形成]本発明において
は、少なくともケイ素化合物、酸化性ガスを含む雰囲気
中で、プラスチック基体の表面に、プラズマ化学蒸着法
によりケイ素酸化物被膜を形成させる。このケイ素酸化
物被膜の形成に用いる装置は、処理すべき基体を含むプ
ラズマ処理室と、プラズマ処理室を減圧状態に保持する
ための排気系と、プラズマ処理室内に処理用ガスを導入
するための処理用ガス導入系と、プラズマ処理室内にプ
ラズマを発生させるための電磁波導入系とを含んでな
る。
【0020】本発明に用いるマイクロ波プラズマ処理装
置の一例の概略配置を示す図5において、全体として1
で示すプラズマ処理室には、この処理室1を減圧に保持
するための真空ポンプ2が排気管3を介して接続され、
またマイクロ波発振器4が導波管5を介して接続され
る。この具体例において、導波管5には、処理室からの
マイクロ波反射量を最少に調節するための三本チューナ
ー6が設けられており、またプラズマ処理室1には、該
処理室の負荷を調節するためのショートプランジャー7
も設けられている。
【0021】プラズマ処理室1の配置の一例を示す図6
において、この具体例ではボトル8のプラズマ処理を行
うものであり、ボトル8は倒立状態でプラズマ処理室内
に保持されている。ボトル8の内部には処理用ガスの導
入パイプ9が挿入されており、この導入パイプ9の先端
に金属製のアンテナ10が上方に延びるように設けられ
ている。
【0022】プラズマ処理に際しては、先ず処理すべき
ボトル8をボトルホルダー(図示せず)に取り付け、ボ
トル8とボトルホルダーとを気密状態に維持し、真空ポ
ンプ2を駆動して、ボトル8の内部を真空状態に維持す
る。この際、ボトル8の外圧による変形を防止するため
に、ボトル外部のプラズマ処理室1をも減圧状態にする
ことも可能である。真空ポンプ2により達成されるボト
ル8内の減圧の程度は、真空に引きながら、処理用ガス
が導入され且つマイクロ波が導入されてグロー放電が発
生するような程度である。一方、プラズマ処理室1内の
減圧の程度は、マイクロ波が導入されてもグロー放電が
発生しないような減圧の程度である。
【0023】処理ガス導入パイプ9によりボトル8内に
処理用ガスを導入し、導波管5を通してプラズマ処理室
1内にマイクロ波を導入する。この際、金属製のアンテ
ナ10からの電子放出により、著しく短時間の内に安定
にグロー放電によるプラズマが発生するという利点が達
成される。尚、この際、処理ガス導入パイプ9を金属製
パイプとしたときには、金属製アンテナを兼ねることが
できる。また、金属製パイプの外方(該パイプの伸張方
向)に線状或いは箔状の等の金属製アンテナを取り付け
て全体を金属製アンテナとすることもできる。さらに、
容器内面に化学蒸着膜を形成する場合は、前記処理ガス
導入パイプを多孔質の金属、セラミック、プラスチック
等の多孔質体から形成することが、均一な薄い膜厚で柔
軟性及び可撓性を有するガス遮断性に優れた化学蒸着膜
とし、生産性を向上させる点で好ましい。このプラズマ
中での電子温度は数万Kであり、ガス粒子の温度は数1
00Kであるのに比して、約2桁ほど低く、熱的に非平
衡の状態であり、低温のプラスチック基体に対しても有
効にプラズマ処理による被膜形成を行うことができる。
【0024】所定のプラズマ処理を行った後、処理用ガ
スの導入及びマイクロ波の導入を停止すると共に、排気
管3を通して空気を導入して、容器の内外を常圧に復帰
させ、プラズマ処理により被膜形成されたボトルをプラ
ズマ処理室外に取り出す。
【0025】[処理すべきプラスチック基材]本発明に
おいて、処理すべきプラスチック基材としては、種々の
プラスチックを挙げることができる。プラスチックとし
ては、それ自体公知の熱可塑性樹脂、例えば低密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエ
チレン、ピロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペ
ンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロ
ック共重合体等のポリオレフィン、環状オレフィン共重
合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニ
ルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体
等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、
アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メ
チルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩
化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメ
タクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、
ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナ
イロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリフエニレンオキサイド等、ポリ乳酸等の生分解性樹
脂、あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂であって
もよい。
【0026】これらの基材は、フィルム乃至シートの形
で用いることができるし、またボトル、カップ、チュー
ブ等の容器やその他の成形品の形で本発明のプラズマ処
理に付することもできる。前述した具体例に挙げたボト
ルとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエス
テルから形成された二軸延伸ブロー成形ボトルが挙げら
れる。勿論、本発明は上記ポリエステルのカップや二軸
延伸フィルムにも同様に適用することができる。
【0027】[ケイ素酸化物被膜形成用ガス]ケイ素酸
化物被膜の形成には、四塩化ケイ素、シラン(SiH4
)、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメチルシラ
ン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラ
ン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン等の有機シラン化合物、オクタメチルシクロテトラ
シロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン、ヘキサメチルジシロキサン等の有機シロキサン化合
物等が使用される。また、これらの材料以外にも、アミ
ノシラン、シラザンなども用いられる。これらの原料は
単独でも或いは2種以上の組合せでも用いることができ
る。酸化性ガスとしては、酸素やNOxが使用され、キ
ャリアーガスとしては、アルゴンやヘリウムなどが使用
される。
【0028】[処理条件]本発明において、プラズマ処
理の条件は、前述したケイ素量/膜厚の係数が0.3以
上で酸素透過係数が0.5(×10−16cc・cm/
cm/sec/cmHg・at30℃)以下であるケ
イ素酸化物被膜が形成されるように処理条件の組合せを
設定する。この処理条件としては、製膜時の真空度、原
料ガスの供給速度、酸化性ガスの供給速度、マイクロ波
出力が挙げられるが、これらの条件は処理すべき容器の
大きさや、他の条件によっても相違するので一概に規定
することは困難である。
【0029】しかしながら、一般的傾向としては、製膜
時の真空度が低くなる(圧力が高くなる)と、本発明で
規定したケイ素量/膜厚の値及び酸素透過係数を有する
ケイ素酸化物被膜が形成されにくくなる。また、ケイ素
原料ガスの供給速度が大きくなると、やはり本発明で規
定したケイ素量/膜厚の値及び酸素透過係数を有するケ
イ素酸化物被膜が形成されにくくなる。更に、酸化性ガ
スの供給速度が小さくなると、同様に本発明で規定した
ケイ素量/膜厚の値及び酸素透過係数を有するケイ素酸
化物被膜が形成されにくくなる。上記傾向を勘案して、
本発明で規定したケイ素量/膜厚の値及び酸素透過係数
を有するケイ素酸化物被膜を形成するための条件を実験
的に定めることができる。
【0030】本発明において、先ずプラズマ処理を行う
処理室は、グロー放電が発生する真空度に保持するべき
であり、一般的にいって、製膜時の圧力を1〜200P
a、特に好適には5〜50Paの範囲に維持して、マイ
クロ波放電を行うのが好ましい。
【0031】ケイ素原料ガスの導入量は、勿論処理すべ
き基体の表面積や、原料ガスの種類によっても相違する
が、容器1個当たり、ケイ素原料を標準状態で0.5〜
50cc/min、特に1〜10cc/min(以下単
にsccmと記載することがある)の比較的少ない流量
で供給するのが望ましい。
【0032】酸化性ガスの導入量は、ケイ素原料ガスの
組成等によっても相違するが、一般に5〜500scc
m、特に10〜300sccmの比較的多い流量で供給
するのが好ましい。
【0033】ケイ素原料の供給速度が小さく、製膜時の
真空度が高い(圧力が低い)場合には、マイクロ波によ
るグロー放電が不安定になり、その結果としてケイ素酸
化物被膜の形成も不安定になる傾向がある。これに対し
て、マイクロ波プラズマ処理に際して、プラズマ処理室
内に金属製のアンテナを位置させると、製膜時の真空度
が高い(圧力が低い)場合にも、マイクロ波によるグロ
ー放電が安定になり、前述したケイ素量/膜厚の係数が
0.3以上で、酸素透過係数が0.5(×10−16
c・cm/cm/sec/cmHg・at30℃)以
下のケイ素酸化物被膜を安定に形成させることができ
る。
【0034】一般的なグロー放電においては、暗流領域
で存在するわずかな気体イオンは、電極電圧の上昇とと
もに次第に加速されて、中性分子と衝突してこれを電離
し、新たに生成した電子は更に他の分子を電離し、陽イ
オンは陰極面を衝撃して電子放出を起こさせ、この繰り
返しがねずみ算的に発展して、拡散再結合によるイオン
の消滅と釣り合った定常状態がグロー放電といわれてお
り、マイクロ波プラズマ処理におけるグロー放電発生の
メカニズムも、電極電圧印加の代わりにマイクロ波の導
入が行われる点を除けば、上記のメカニズムと同様であ
る。
【0035】本発明における上記アンテナの設置による
グロー放電の安定化は電子放出によるグロー放電の促進
と密接に関係していると思われる。実際に、本発明者ら
の観察によると、プラズマ処理室に取り付けたアンテナ
はかなり高温の状態となっており、このことはアンテナ
から熱電子の放出が生じたり、或いは陽イオンの細線へ
の衝撃により電子の放出が生じていることを示唆してい
る。
【0036】グロー放電を生じさせる電磁波としては、
13.56MHzの高周波や、マイクロ波の内、工業的
に使用が許可されている周波数が2.45GHz、5.
8GHz、22.125GHzのものを用いることが好
ましい。マイクロ波の出力は、処理すべき基体の表面積
や、原料ガスの種類によっても相違するが、一例として
プラスチック容器への表面処理では、容器1個当たり、
数〜600W、特に50〜400Wの電力となるように
供給するのが望ましい。
【0037】マイクロ波によるグロー放電の誘導期を短
縮させるために用いる金属製のアンテナとしては、マイ
クロ波の波長(λ)の0.02倍以上の長さを有するも
の、最も好適にはλ/4+n(λ/2)(nは零を含む
整数)の長さのものが使用される。アンテナの形状とし
ては、先端部が尖った細線状アンテナ或いは箔状アンテ
ナで長さが前述した範囲にあるものが使用される。そし
て、前記細線状アンテナの径は一般に先端が2mm以下
のものが適しており、一方、前記箔状アンテナの幅は5
乃至10mm、厚みは5乃至500μm程度が適してい
る。この細線は発熱するので、耐熱性に優れたものがよ
く、例えば白金、ステンレススチール、銅、カーボン、
アルミニウム、スチール等の材質で製造されたものが好
ましい。
【0038】また、金属製のアンテナとしては、処理ガ
ス導入パイプ9を金属製パイプとし、この金属製パイプ
を用いて兼ねても良く、或いは前記金属製パイプの外方
(該パイプの伸張方向)に線状或いは箔状の等の金属製
アンテナを取り付けて全体を金属製アンテナとしても良
く、この場合、全体の長さ等は前述した線状、箔状アン
テナと同様に設定されることが好ましい。
【0039】プラズマ処理の時間も、処理すべき基体の
表面積、形成させる薄膜の厚さ及び原料ガスの種類等に
よっても相違し、一概に規定できないが、一例としてプ
ラスチック容器のプラズマ処理について説明すると、容
器1個当たり、1秒以上がプラズマ処理の安定性から必
要であり、コスト面から短時間化が要求されるが、必要
であれば分のオーダーでも良い。
【0040】プラズマCVDの場合、蒸着膜の付き回り
性は良好であり、全ての表面に蒸着膜を形成させること
ができる。一方、処理すべき基体がプラスチック容器の
ような立体成形品である場合、プラスチック容器内部及
び/または外部を処理用ガスを含有する減圧雰囲気に維
持し、容器内及び/または容器外でマイクロ波放電を生
じさせることにより、容器内面及び/または外面に化学
蒸着膜を形成させることができる。
【0041】また、図5に示すプラズマ処理法では、プ
ラスチック容器をプラズマ処理室内に保持すると共に、
プラスチック容器の外部とプラスチック容器の内部とを
気密状態 に維持し、プラスチック容器の内部を真空に
引きながら処理用ガスが導入された状態においてマイク
ロ波放電が生じる減圧状態に維持し、プラスチック容器
の外部を内部に処理用ガスが導入された状態においてマ
イクロ波放電が生じない減圧状態に維持し、プラズマ処
理室のプラスチック容器外部にマイクロ波を導入するこ
とにより、プラズマ処理を行うこともできる。
【0042】プラスチック容器のような立体成形品で
は、プラズマ処理室内に前記プラスチック容器の底部に
対面するようにマイクロ波の反射板を配置することが、
マイクロ波放電を安定化させ、処理効率を高めるために
好ましい。
【0043】本発明のケイ素酸化物被膜においては、ケ
イ素量/膜厚が0.3以上である限り、その厚みは特に
制限されないが、従来のケイ素酸化物被膜に比して薄膜
にすることが可能であり、2乃至500nmの範囲、特
に2乃至30nmの範囲にあることが好ましい。また、
本発明においては、基材表面側からケイ素酸化物被膜の
外面に向けて炭素量を連続的に減少させ、一方、ケイ素
量及び酸素量を連続的に増加させても良い。
【0044】
【実施例】本発明を次の例で説明するが、本発明はいか
なる意味においても、次の例に制限されるものではな
い。 (実施例1) (高周波プラズマCDV装置)周波数が13.56MH
zで、最大出力が1.5Kwの高周波電源と、直径60
0mm、高さ600mmの金属性ベルジャー型処理室
と、処理室を真空にする為の油拡散ポンプ−油回転ポン
プを備え、処理室内には直径120mmの平板高周波電
極、平板アース電極が平行に配置され、そしてアース電
極は反応ガスを導入する機構を持ち、平板試料が高周波
電極とアース電極間の高周波電極側に配置される様に試
料ホルダーに配置されている。
【0045】(高周波プラズマ処理方法)1辺が120
mmの正方形で、厚みが100μmのニ軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートシート(以下、BOPETシートと
記す)を試料ホルダーに設置し、反応ガスとしてヘキサ
メチレンジシロキサン(以下HMDSOと記す)と酸素
を用い、ガス流量比をHMDSO/O=1/10、真
空度を20Paで、高周波出力200W、被覆時間7分
(積層シート3)と高周波出力300W、被覆時間10
分(積層シート4)をそれぞれプラズマ処理を行なっ
た。
【0046】(ケイ素酸化膜中の組成分析法)処理ボト
ル胴部の内面をPHI社製、X線光電子分光分析装置
(Scanning ESCA Quantum200
0)で、ケイ素酸化膜の外表面から膜の厚さ方向のケイ
素と酸素と炭素の原子濃度を測定した。また処理ボトル
の内面をアルバックファイ社製、二次イオン質量分析装
置(SIMS)で、ケイ素酸化膜の外表面から膜の厚さ
方向のSiイオン、SiCHイオンそしてSiCH
イオンの濃度変化を測定した。
【0047】(ケイ素酸化膜厚測定法)処理ボトルの内
面におけるケイ素酸化膜の膜厚を(株)溝尻光学工業所
製のエリプソメーター(DVA−36L)により、膜の
吸収係数を零とし、膜厚を測定した。 (ケイ素酸化膜のケイ素量測定法)膜厚を測定した同じ
試料のケイ素酸化膜のケイ素強度を(株)リガク製蛍光
X線分光分析装置(System3080)により測定
し、既知のケイ素強度と量関係からケイ素量を算出し
た。 (ケイ素酸化物の単位厚み当りのケイ素量測定法)同じ
試料片から測定したケイ素酸化膜のケイ素量及び膜厚よ
りg/cmの単位で算出した。
【0048】(ボトルの酸素透過量測定法)処理ボトル
と未処理ボトル内を窒素ガスで置換し、シーラント付き
金属アルミニウム箔積層体でボトルの口部を密封し、3
0℃80%RH、酸素21%の環境に保存し、経時的に
ボトル内酸素濃度を測定し酸素透過量を求めた。
【0049】(被膜の酸素透過量及び酸素透過係数)モ
ダンコントロール社のオキシトラン2/20を用い、被
覆したそれぞれのPETシートを30℃80%RH、酸
素100%の環境に保存して酸素透過量を測定し、更に
(株)溝尻光学工業所製のエリプソメーター(DVA−
36L)によりケイ素酸化膜の膜厚を測定し、未被覆P
ETの酸素透過量から積層体の酸素透過の式(1)を用
い、ケイ素酸化膜の酸素透過係数を算出した。
【0050】(比較例1)実施例1において、ガス流量
比をHMDSO/O=4/10とし、高周波出力を3
50W、8分間とした以外は同じ条件で100μmのB
OPETシートをプラズマ処理し、酸素透過量、膜厚そ
してケイ素量を測定し、膜の酸素透過係数、Si量/膜
の厚みを表1に示した。この膜のSi量/膜の厚み係数
は0.2g/cmで、膜の酸素透過係数は8×10
−16cc・cm/cm/sec/cmHgであった。
【0051】(比較例2)実施例1において、高周波出
力を100W、8分間とした以外は同じ条件で100μ
mのBOPETシートをプラズマ処理し、酸素透過量、
膜厚そしてケイ素量を測定し、膜の酸素透過係数、Si
量/膜の厚み算出し、表1に示した。この膜のSi量/
膜の厚み係数は0.27g/cmで、膜の酸素透過係
数は5.8×10−16cc・cm/cm/sec/cmHgであ
った。
【0052】上述した実施例1及び比較例1乃至2の測
定結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】(実施例2) (マイクロ波プラズマ処理装置)図5に示した装置を用
い、即ち、周波数が2.45GHzで、最大出力が1.
5Kwのマイクロ波発振器と直径300mm、高さ30
0mmの金属製円筒形プラズマ処理室と、処理室を真空
にする為の油回転式真空ポンプと、マイクロ波を発振器
からプラズマ処理室に導入する矩形導波管とを用いた。
プラズマ処理室内は図6に示したボトルホルダー(図示
していない)、ガス導入器そして、ガス導入器の先端に
直径0.5mm、長さ30mmの先端が針状に加工され
た鉄製の線状アンテナそしてボトル内を真空にする為の
油回転式真空ポンプを設置した。ガス導入器は外形10
mm、長さ180mmの孔径120μmの金属焼結体製
の底付円筒管を用いた。
【0055】(マイクロ波プラズマ処理方法)口径28
mm、高さ220mmの円筒形ポリエチレンテレフタレ
ート製のボトル(以下PETボトルと記す)を設置し、
処理室内のボトル外部の真空度が2KPaになる様に真
空に引き、更にボトル内真空度が2Paになるまで、真
空ポンプを作動させた。真空ポンプを作動させたまま、
HMDSOガス2sccm、酸素を20sccm導入し、更にバ
ルブ(図示していない)調整により、ボトル内真空度を
50Paに調整した。マイクロ波発振器より電波を発信さ
せ、0.3Kw、8秒間PETボトルをプラズマ処理
し、酸素透過量、膜厚そしてケイ素量を測定し、膜の酸
素透過係数、Si量/膜の厚みを算出し、表2に示し
た。このPETボトルに被覆されている膜の平均Si量
/膜の厚み係数は0.49g/cmで、膜の酸素透過
係数は0.038×10−16cc・cm/cm/sec/cmH
gであった。
【0056】(実施例3)実施例2において、PETボ
トルを用い、マイクロ波放電条件を0.2kw、6秒間
とした以外は同じ条件で、PETボトルをプラズマ処理
し、酸素透過量、膜厚そしてケイ素量を測定し、膜の酸
素透過係数、Si量/膜の厚みを算出し、表2に示し
た。このPETボトルの胴部の膜の平均Si量/膜の厚
み係数は0.33g/cmで、膜の酸素透過係数は
0.06×10−16cc・cm/cm/sec/cmHgであっ
た。
【0057】(比較例3)実施例2において、PETボ
トルを用い、HMDSOの導入量を4sccmとし、マイク
ロ波放電条件を0.35kw、4秒間とした以外は同じ
条件でPETボトルをプラズマ処理し、酸素透過量、膜
厚そしてケイ素量を測定し、膜の酸素透過係数、Si量
/膜の厚みを算出し、表2に示した。このPETボトル
の胴部の膜の平均Si量/膜の厚み係数は0.17g/
cmで、膜の酸素透過係数は3.4×10−16cc・
cm/cm/sec/cmHgであった。
【0058】(実施例4)実施例2において、PETボ
トルを用い、マイクロ波放電条件を0.2kw、10秒
間とした以外は同じ条件で、PETボトルをプラズマ処
理し、酸素透過量、膜厚そしてケイ素量を測定し、膜の
酸素透過係数、Si量/膜の厚みを算出した。膜の酸素
透過係数は0.05×10−16cc・cm/cm/sec/c
mHg、平均Si量/膜の厚みは0.35g/cmであ
った。このPETボトルの胴部を切り出し、X−PSに
より膜表面から厚み(基板)方向のケイ素、酸素そして
炭素の元素濃度の変化を測定し、図2に示した。図2の
横軸は膜をSiOに換算した時の厚みを示した。その
結果、膜表面から約18nmまでは珪素と酸素からなる
SiOx膜であるが、18〜23nmの範囲ではケイ素と
酸素の量が連続的に減少し、炭素が連続的に増加してい
る。その量はケイ素が15%以上、炭素が20%以上残
りが酸素であった。そこで、表面からの15nmから3
0nmのケイ素の結合エネルギーをX−PSで測定し、
図3に示した。その結果、18nmから23nmの領域
で、ケイ素の結合エネルギーはシリカの約103eVか
らシランの102.5eVに変化しており、基板界面近
傍の膜はSiOxではなく、有機ケイ素重合体である事
が分かった。更に、このPETボトルの他の試験片をS
IMSにより、膜表面から厚み方向のSiOイオン、S
iCHイオンそしてSiCHイオンの濃度分布を測
定し、図4に示した。その結果、SiOイオンが減少す
る領域(膜と基板との界面)にSiCHイオンとSiC
イオンが存在することがあきらかである。これはX
−PSの結果と同様、この膜は膜表層がSiOx膜であ
り、基板界面近傍はSiCHやSiCHなどを含む
有機ケイ素重合膜である事が分かった。
【0059】(比較例4)電子銃加熱による蒸発源を有
し、蒸発源に対向した一に平板基板用ホルダーを配置し
た直系600mm、高さ600mmのベルジャー型真空
チャンバーを用い、基板として100μmのPETシー
トを用い、蒸発物として、モノ酸化ケイ素(SiO)を
使用し、製膜真空度が1.3×10−3Paで、物理的真
空蒸着法(PVD法)を用い、膜厚100nmのSiO
x膜を形成した。その積層体の酸素ガス透過量、膜厚そ
してケイ素量を測定し、膜の酸素透過係数、Si量/膜
の厚みを算出した。膜の酸素透過係数は1.5×10
−16cc・cm/cm/sec/cmHg、平均Si量/膜の厚
みは0.23g/cmであった。
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、プラスチック基材上に
形成されたケイ素酸化物被膜において、有機ケイ素化合
物の化学蒸着により形成され、膜中のケイ素量/厚みで
表わされる係数が0.3g/cm以上であり、且つ膜
の酸素透過係数が0.5(×10−16cc・cm/c
/sec/cmHg・at30℃)以下であること
を特徴とするケイ素酸化物被膜が提供され、このケイ素
酸化物被膜は、ガス遮断性(ガスバリアー性)に特に優
れており、従来のものに比して小さい膜厚で優れたガス
遮断性を達成できると共に、形成される被膜が柔軟性及
び可撓性に優れており、生産性にも優れているという利
点が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ケイ素酸化物被覆のケイ素量/膜厚の係数と膜
の酸素透過係数の関係を示す図である。
【図2】本発明のケイ素酸化物被膜を設けた被膜/PE
Tボトルの元素濃度分布のチャートである。
【図3】本発明のケイ素酸化物被膜の基板近傍における
ケイ素の結合エネルギーをプロットしたグラフである。
【図4】本発明のケイ素酸化物被膜を設けた被膜/PE
Tボトルにおける膜中のイオン濃度分布図である。
【図5】本発明に用いるマイクロ波プラズマ処理装置の
一例の概略配置図である。
【図6】プラズマ処理室の配置の一例を示す断面図であ
る。
【図7】ケイ素酸化物被膜を設けたボトルの各部位にお
ける膜厚をプロットしたグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 稲垣 肇 神奈川県横浜市保土ヶ谷区岡沢町22番地4 東洋製罐グループ綜合研究所内 (72)発明者 小林 亮 神奈川県横浜市保土ヶ谷区岡沢町22番地4 東洋製罐グループ綜合研究所内 (72)発明者 山田 幸司 神奈川県横浜市保土ヶ谷区岡沢町22番地4 東洋製罐グループ綜合研究所内 Fターム(参考) 3E062 AA09 AC02 JA04 JA07 JB24 JC04 JD01 4F100 AA20B AK01A AK42 AT00A BA02 BA07 EH66B GB15 JD03B YY00B 4K030 AA06 AA09 BA44 BA61 CA07 CA11 FA01 LA01 LA24

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基材上に形成されるケイ素
    酸化物被膜において、有機ケイ素化合物の化学蒸着によ
    り形成され、膜中のケイ素量/厚みで表わされる係数が
    0.3g/cm以上であり、且つ膜の酸素透過係数が
    0.5(×10 16cc・cm/cm/sec/c
    mHg・at30℃)以下であることを特徴とするケイ
    素酸化物被膜。
  2. 【請求項2】 有機ケイ素化合物の重合体層を介してプ
    ラスチック基材上に形成されている請求項1記載のケイ
    素酸化物被膜。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のケイ素酸化物被
    膜がプラスチック基材上に形成されて成ることを特徴と
    する包装体。
  4. 【請求項4】 包装体が容器であり、前記ケイ素酸化物
    被膜が少なくとも容器胴部に被覆されている請求項3記
    載の包装体。
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