JP2004018306A - ガラス物品の成型方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プレス成型時に受け型と押し型とのガイド動作により発生する粉塵が原因となってプレス成型後のガラス物品に微小欠点が発生するという事態を回避し、高品質のガラス物品を提供する。
【解決手段】受け型1と押し型2とのガイド機構3周辺における粉塵発生部位に対して、受け型1の上端開口部1cから遠ざかる方向に気体を吹き付ける気体吹き付け手段11を備える。そして、前記ガイド機構3が、押し型2に配設されたガイドバー6を構成要素とするようにした上で、受け型1の上端開口部1cの外周側であって且つ前記ガイドバー6の内周側の位置から、該ガイドバー6周辺に対して斜め下方に向けて気体を吹き付けるように構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】受け型1と押し型2とのガイド機構3周辺における粉塵発生部位に対して、受け型1の上端開口部1cから遠ざかる方向に気体を吹き付ける気体吹き付け手段11を備える。そして、前記ガイド機構3が、押し型2に配設されたガイドバー6を構成要素とするようにした上で、受け型1の上端開口部1cの外周側であって且つ前記ガイドバー6の内周側の位置から、該ガイドバー6周辺に対して斜め下方に向けて気体を吹き付けるように構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ガラス物品の成型方法及びその装置に係り、特にプレス成型装置のガイド機構によるガイド動作に起因して発生する粉塵がガラス物品の成型に及ぼす悪影響を除去するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、今日市販されている各種ガラス物品の中には、溶融ガラスに対するプレス成型工程を経て製作されるものが多数存在する。この種のプレス成型工程においては、通例、雌型をなす受け型に溶融ガラス塊を供給し、この受け型内に雄型をなす押し型を侵入させて溶融ガラス塊を押延することにより、所定形状のガラス物品を成型することが行われる。
【0003】
この種のプレス成型工程を経て製作されるガラス物品としては、陰極線管に用いられるガラスパネルやガラスファンネル等の陰極線管用ガラス物品、食器類、灰皿、電子レンジ用トレー等が挙げられる。これらのガラス物品中、例えば陰極線管用ガラスパネルのプレス成型工程においては、図8に示すような概略構成を備えた成型装置が使用され或いはその使用が試みられている。
【0004】
この成型装置は、主たる構成要素として、パネルの外表面に対応する雌成型面を有する受け型1と、パネルの内表面に対応する雄成型面を有し且つ前記受け型1の上方に昇降可能に配設された押し型(プランジャ金型)2とを備える。前記受け型1は、底受け型(ボトム金型)1Aと中間受け型(シェル金型)1Bとに分割され、この中間受け型1Bは底受け型1Aに対して当接及び離反可能とされている。
【0005】
前記中間受け型1Bの外周には、例えば90°の角度間隔で平面視コ字形の四個のガイドブロック5が突設されると共に、前記押し型2のヘッド体2Aの外周には、各ガイドブロック5に対応する位置に例えば四個の第1ガイドバー6が突設され、この第1ガイドバー6は、前記ガイドブロック5のガイド用凹部5aに軸方向(上下方向)に挿脱可能とされている。また、前記底受け型1Aの外周にも、前記各ガイドブロック5のガイド用凹部5aに軸方向に挿脱可能な例えば四個の第2ガイドバー7が突設されている。尚、第1、第2ガイドバー6、7が、両者共にガイド用凹部5aに挿入された場合には、第2ガイドバー7がガイド用凹部5aの内周側に位置し、その外周側に第1ガイドバー6が位置するように構成されている。
【0006】
この成型装置を使用してプレス成型工程を実行するには、先ず図8に示す状態から、各ガイドブロック5のガイド用凹部5aに各第2ガイドバー7を挿入させつつ中間受け型1Bを下降させ、この中間受け型1Bの下端を底受け型1Aの上端に当接させて両者の位置決めを行なう。このような状態の下で、溶融ガラス塊を受け型1(底受け型1A)内に供給し、この後、各ガイド用凹部5aに第1ガイドバー6を挿入させつつ押し型2を下降させ、この押し型2を受け型1内に侵入させて溶融ガラス塊を押延する。そして、この溶融ガラス塊に対する押延を所定時間に亘って行なった後、押し型2が、各ガイド用凹部5aからの第1ガイドバー6の離脱動作を伴って上昇することにより、パネルの形状に対応するプレス成型品が得られる。尚、このプレス成型品の取り出しは、中間受け型1Bが、各ガイド用凹部5aからの第2ガイドバー7の離脱動作を伴って上昇した後に行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記各ガイドブロック5のガイド用凹部5aに対する第1、第2ガイドバー6、7の挿入及び離脱時には、これらのガイドバー6、7とガイド用凹部5aとの間に接触や摺動が生じ、これに起因して摩耗粉等からなる粉塵が発生する。尚、ガイドブロック5のガイド用凹部5a及び第1、第2ガイドバー6、7は、焼入れ鋼或いはステンレス鋼で形成されるのが通例であるため、発塵する摩耗粉は金属粉である。
【0008】
そして、第1ガイドバー6の挿入及び離脱時、つまり押し型2の昇降時には、受け型1内に溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品が存在しているため、上述のようにして発生した粉塵が受け型1内に侵入した場合には、溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品のパネル内表面に対応する部位に粉塵が付着するという事態を招く。
【0009】
特に、プレス成型を終えた後に押し型2が上昇を開始した直後においては、受け型1内に負圧ないしは空気を引き込むような気流が発生して、粉塵の受け型1内への侵入を助長することになるため、このような時期においては、上記の粉塵付着の問題がより一層深刻なものとなる。
【0010】
このようにして溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品に粉塵が付着した場合には、その粉塵が高温下で溶融するなどして、その付着面に微小凹凸等の欠点が生成される。特に、パネル内表面に対応する部位に粉塵に起因する微小欠点が存在していると、パネル内表面に対するスクリーン膜の高精細化が推進されている近年においては、スクリーン成膜に過大な悪影響を及ぼすことになる。従って、プレス成型時における粉塵の付着は、高品質のパネルを製作する上で致命的な欠陥となる。
【0011】
尚、特開平11−246228号公報や特開2001−220155号公報には、清浄な空気を金型装置に供給して、外来の粉塵の侵入を防止するプレス成型方法が開示されている。
【0012】
しかしながら、このようなプレス成型方法では、如何に清浄な空気を金型装置に供給しても、上述のように受け型と押し型との間でガイド動作を行なう金型装置においては、ガイド動作に伴なって発生する粉塵が、金型装置に向かって引き込まれる空気により搬送されて、受け型内の溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品の内表面に付着し、既に述べた事項と同様の不具合を招く。
【0013】
尚、以上のような問題は、陰極線管用ガラスパネルに限らず、既述の他のガラス物品、例えば陰極線管用ガラスファンネル、食器類、灰皿、及びトレー等についても、プレス成型時における粉塵の付着に起因する微小欠点が生成された場合には、同様にして、高品位の製品を得る上で大きな妨げとなる。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、プレス成型時に受け型と押し型とのガイド動作により発生する粉塵が原因となってプレス成型後のガラス物品に微小欠点が発生するという事態を回避し、高品質のガラス物品を提供することを技術的課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る方法は、受け型に対して押し型をガイドしつつ接近動及び離反動させてガラス物品をプレス成型する成型方法において、前記受け型と押し型とのガイド部に気体を吹き付けて、その両者のガイド動作に伴って発生した粉塵を、受け型の上端開口部から遠ざけることを特徴とするものである。ここで、気体としては、エアが代表例として挙げられるが、窒素、水素、酸素、アルゴン、その他の不活性ガス、またはこれらの混合気であってもよい。
【0016】
このような構成によれば、受け型と押し型とのガイド部に吹き付けられた気体の作用により、そのガイド動作に伴なって発生した粉塵が、受け型の上端開口部から遠ざけられるため、受け型の内部には粉塵が侵入しなくなり、これに伴なって、受け型の内部の溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品の内表面に粉塵が付着しなくなる。特に、プレス成型を終えた押し型が上昇を開始することに伴なって、受け型内に負圧ないしは空気を引き込むような気流が発生した場合であっても、これらに打ち負かされることなく、ガイド部に吹き付けられた気体により、粉塵が受け型の上端開口部から遠ざけられる。これにより、受け型内のプレス成型品の内表面に粉塵が付着することによるその付着面における微小欠点の発生、及びこれに起因する製品の品質低下や不良品の増大等が回避される。
【0017】
この場合、前記気体は、ガラス物品をプレス成型する成型装置の構成要素から吹き付けることが好ましい。すなわち、ガイド部は、押し型及び受け型の成型面に対して近接配置されていることが適正な位置決めを行なう上で且つ装置の小型化を図る上で有利であるから、上述のように気体をこのガイド部に対して受け型の上端開口部から遠ざかる方向に吹き付けようとすれば、その気体吹き付け部の設置位置が限られた狭い場所となる。したがって、成型装置の構成要素以外の他部材から気体を吹き付けるようにするならば、成型装置の構成要素と他部材とのレイアウト上の問題や、他部材の設置スペース上の問題が生じるが、成型装置の構成要素自体から気体を吹き付けるようにすれば、このような問題は生じなくなる。ここで、成型装置の構成要素とは、受け型や押し型等の成型用型に限られるものではなく、これらの成型用型に付設される構成要素(例えば押し型の昇降装置等)をも含むものである。
【0018】
そして、前記気体は、受け型の上端開口部の外周側であり且つ前記ガイド部の内周側の位置から、該ガイド部に対して斜め下方に向けて吹き付けることが好ましい。このようにすれば、気体の吹き付け位置が、受け型の上端開口部の外周側に存在し、しかも気体の吹き付け方向が、外周側に向かう方向であって斜め下方に向かう方向であるため、気体がガイド部の粉塵を受け型内に搬送することはあり得ない。更に、気体による粉塵の搬送途中或いは搬送後に、自重により粉塵が落下した場合であっても、受け型内に向かって粉塵が落下することもあり得ない。したがって、受け型の内部は、粉塵から確実に保護されることになる。
【0019】
一方、上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る装置は、溶融ガラス塊が供給される受け型と、該受け型に対して接近動及び離反動可能に配設された押し型と、前記受け型に対する押し型の移動をガイドするガイド機構とを備えたガラス物品の成型装置において、前記ガイド機構周辺の粉塵発生部位に対して、前記受け型の上端開口部から遠ざかる方向に気体を吹き付ける気体吹き付け手段を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
このような構成によれば、受け型に対する押し型の移動に伴なってガイド機構が両者の移動のガイド動作を行なっている際には、気体吹き付け手段から、ガイド機構周辺の粉塵発生部位に対して、受け型の上端開口部から遠ざかる方向に気体が吹き付けられる。したがって、受け型による押し型のガイド動作に伴なって摩耗粉や金属粉等からなる粉塵が発生しても、この発生した粉塵が、受け型の内部に侵入することが阻止されるため、その内部の溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品の内表面に対する粉塵付着の問題が回避される。これにより、受け型内のプレス成型品の内表面における微小欠点の発生、及びこれに起因する製品の品質低下や不良品の増大等が回避される。
【0021】
そして、前記ガイド機構が、押し型に配設されたガイドバーを構成要素とする場合には、受け型の上端開口部の外周側であり且つ前記ガイドバーの内周側の位置から、該ガイドバー周辺に対して斜め下方に向けて気体が吹き付けられることが好ましい。このようにすれば、ガイド機構のガイド動作によってガイドバー周辺に粉塵が発生した場合であっても、気体の吹き付け位置が、受け型の上端開口部の外周側に存在し、しかも気体の吹き付け方向が、外周側に向かう方向であって且つ斜め下方に向かう方向であるため、気体がガイドバー周辺の粉塵を受け型内に搬送することはあり得ない。更に、気体による粉塵の搬送途中或いは搬送後に、自重により粉塵が落下した場合であっても、受け型内に向かって粉塵が落下することもあり得ない。したがって、受け型の内部は、粉塵から確実に保護されることになる。
【0022】
この場合、前記気体吹き付け手段は、前記押し型のヘッド体に形成された気体吹き付け孔を有していることが好ましい。このようにすれば、押し型のヘッド体(プランジャヘッド)が、気体吹き付け手段の構成要素である気体吹き付け孔の形成部材として有効利用され、部品点数の増加を回避できるばかりでなく、押し型とヘッド体との相対位置関係を勘案すれば、例えば上述のガイドバー周辺に気体を吹き付ける場合には、最適な位置であって且つ最適な方向性を有する気体吹き付け孔を形成することが可能となる。
【0023】
また、前記押し型のヘッド体には、前記気体吹き付け孔に気体を供給する配管類が設置されていることが好ましい。このようにすれば、押し型のヘッド体が配管類の設置場所として有効利用され、装置のコンパクト化が図られると共に、上述のようにヘッド体に気体吹き付け孔が形成される場合には、配管類の短尺化やその構成の簡素化を図ることが可能となる。
【0024】
そして、前記気体吹き付け手段は、98〜500kPaのエアを吹き付けるものであることが好ましい。すなわち、気体吹き付け手段によって吹き付けられる気体は、コスト面や取り扱い面を勘案すれば、エアであることが好ましく、このエアの吹き付け圧力が、98kPa未満であると、金属粉等からなる粉塵が確実に受け型の上端開口部から遠ざかる位置まで追い遣ることが困難になり、また500kPaを超えると、粉塵を不当に舞い上げてしまうおそれがあると共にエアの供給に無駄が生じるという不具合を招く。したがって、エアの圧力は、上記の設定範囲内であることが好ましい。尚、このような点を踏まえると、エアの圧力は、180〜300kPaであることが更に好ましい。
【0025】
以上の構成を備えた成型装置を使用してプレス成型されるガラス物品は、陰極線管用ガラスパネルであることが好適である。すなわち、このような成型装置を使用して、陰極線管用ガラスパネルを製作すれば、該パネルの内表面に摩耗粉等からなる粉塵の付着による微小欠点が存在しなくなることから、スクリーン成膜を適正且つ良好に行えることになり、近年におけるスクリーン膜の高精細化に的確に対処することが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る成型装置の要部を示すものであって、陰極線管用ガラスパネルの長軸に対応するする軸に沿って切断した概略縦断面図、図2は、同じくその成型装置の要部を示すものであって、陰極線管用ガラスパネルの短軸に対応するする軸に沿って切断した概略縦断面図である。
【0027】
先ず、本実施形態に係る成型装置を使用してプレス成型されるガラス物品であるカラー陰極線管用ガラスパネル20(以下、単にパネルという)について説明すると、図7に示すように、当該パネル20は、画像を表示する有効画面を備えた略矩形のフェース部21と、該フェース部21の周縁にブレンドR部22を介して連なり且つファンネルと接合するための封着端面23を有するスカート部24とから構成され、このスカート部24は、四つのコーナー部25の相互間に各辺部26を備えている。
【0028】
以下、本実施形態に係る成型装置について説明するが、図8に基づいて既に説明した構成要件と共通のものについては、同一符号を使用しつつその説明を行なう。この成型装置は、図1及び図2に示すように、溶融ガラス塊が供給される受け型1と、該受け型1の上方に配設された押し型2(プランジャ金型)とを備える。押し型2は、図外の昇降駆動手段の動作により、受け型1に対して接近動及び離反動するように構成されている。また、受け型1は、基台上に設置された底受け型1A(ボトム金型)と、該底受け型1Aの上方に配設された中間受け型1B(シェル金型)とに分割されている。そして、この中間受け型1Bは、図外の昇降駆動手段の動作により、底受け型1Aに対して接近動及び離反動するように構成されている。
【0029】
前記押し型2は、パネル20全体の内表面に対応する雄成型面2aを有すると共に、前記底受け型1Aは、パネル20のフェース部21及びブレンドR部22周辺の外表面に対応する雌成型面1aを有し、且つ、前記中間受け型1Bは、パネル20のスカート部24の外表面に対応する雌成型面1bを有する。また、前記押し型2は、雄成型面2aが形成された壁部のうちの側壁部の上端に固定されたヘッド体2Aを有する。
【0030】
更に、この成型装置は、前記受け型1に対する押し型2の接近動及び離反動をガイドしてこの両型1、2の位置決めを行う第1ガイド機構3を備えると共に、前記底受け型1Aに対する中間受け型1Bの接近動及び離反動をガイドしてこの両型1A、1Bの位置決めを行う第2ガイド機構4を備える。
【0031】
前記第1ガイド機構3は、中間受け型1Bの外周に等角度間隔(図示例では90°間隔)で一体的に突設された平面視コ字形の複数(図示例では四個)のガイドブロック5と、押し型2のヘッド体2Aの外周に各ガイドブロック5に対応して固定された平面視矩形の複数の第1ガイドバー6とから構成される。そして、前記各ガイドブロック5のガイド用凹部5aに、各第1ガイドバー6が挿脱可能とされている。
【0032】
前記第2ガイド機構4は、前記各ガイドブロック5と、底受け型1Aの外周に各ガイドブロック5に対応して固定された平面視矩形の複数の第2ガイドバー7とから構成される。そして、各ガイドブロック5のガイド用凹部5aに、各第2ガイドバー7が挿脱可能とされている。
【0033】
この場合、各ガイドブロック5のガイド用凹部5aは、各第1、第2ガイドバー6、7との間における周方向移動を規制するように形成され、これにより底受け型1Aに対して中間受け型1Bと押し型2とが周方向に位置決めされるように構成されている。そして、第2ガイドバー7は、ガイド用凹部5aの内周側に挿入され、第1ガイドバー6は、その外周側に挿入されるように位置設定がなされている。
【0034】
図3は、押し型2のヘッド体2Aを詳細に示す要部平面図、図4は、そのヘッド体2Aをパネルの長軸に対応するする軸(図3のL−L線)に大略沿って切断した縦断面図、図5は、そのヘッド体2Aをパネルの短軸に対応するする軸(図3のS−S線)に大略沿って切断した縦断面図である。図3に示すように、ヘッド体2Aの外周部には、90°間隔で外方に張り出す膨出部2cが形成されると共に、各膨出部2cの外端には矩形の凹部2dが形成され、これらの凹部2dに前記各第1ガイドバー6の上端部が嵌合固定されている。そして、各膨出部2cにおける第1ガイドバー6から僅かな距離だけ内周側に離隔した位置には、各第1ガイドバー6の両端部に対応して一対のエア吹き付け孔11が平行に穿設されている。
【0035】
詳述すると、一対のエア吹き付け孔11は、図4及び図5に示すように、下流側の端部がヘッド体2Aの下端面に開口すると共に、その下流端開口部11aが上流端開口部11bよりも外周側に位置する方向性で垂直線に対して20°〜60°好ましくは30°の傾斜角を有し、その下流端開口部11aは、第1ガイドバー6の上下方向中間部における両端部内面を指向している。したがって、エア吹き付け孔11は、図1及び図2に示すように、受け型1(中間受け型1B)の上端開口部1cの外周側であり且つ前記第1ガイドバー6の内周側の位置から、該第1ガイドバー6の内面に対して斜め下方に向けてエアを吹き付けるように位置及び方向性が設定されている。
【0036】
更に、図3に示すように、ヘッド体2Aの上面部におけるS−S線の両側外周部には、相対称となる位置にそれぞれエア取り入れ口12が設けられ、この各エア取り入れ口12に対してエア源からエアが圧送されるように構成されている。また、ヘッド体2Aの上面には、各エア取り入れ口12とその直近位置の一対のエア吹き付け孔11とを連通させる短尺の連結管13と、各エア取り入れ口12と90°離隔した位置の一対のエア吹き付け孔11とを連通させる長尺の連結管14とが設置されている。したがって、同図に示すL−L線上の一方側(左側)のエア取り入れ口12から取り入れられたエアは、その一方側(左側)における一対のエア吹き付け孔11と、S−S線上の一方側(上側)における一対のエア吹き付け孔11とに圧送される。また、L−L線上の他方側(右側)のエア取り入れ口12から取り入れられたエアは、その他方側(右側)における一対のエア吹き付け孔11と、S−S線上の他方側(下側)における一対のエア吹き付け孔(図示略)とに圧送される。
【0037】
このエア流通経路の一例を、L−L線上のエア取り入れ口12の周辺について述べると、図6に示すように、ヘッド体2Aにおける膨出部2cの僅かに内周側の部位に、エア取り入れ口12に通じる閉鎖状の第1内部室15が形成され、該第1内部室15に、短尺の連結管13の上流端開口部13aと、長尺の連結管14の上流端開口部14aとが通じている。また、ヘッド体2Aにおける第1内部室15の僅かに外周側の部位に、短尺の連結管13の下流端開口部13bが通じる閉鎖状の第2内部室16が形成され、該第2内部室16に、一対のエア吹き付け孔11の上流端開口部11bがそれぞれ通じている。尚、S−S線上における一対のエア吹き付け孔11の周辺については、詳細に図示しないが、上述の第2内部室16に相当する第3内部室がヘッド体2Aの膨出部2c近傍に形成され、この第3内部室に、長尺の連結管14の下流端開口部と、一対のエア吹き付け孔11の上流端開口部とが通じている(図3参照)。
【0038】
この実施形態においては、エア源、エア取り入れ口12、第1内部室15、短尺の連結管13、長尺の連結管14、第2内部室16、及びエア吹き付け孔11によって、気体吹き付け手段が構成されている。また、この実施形態では、98〜500kPaのエアが常にエア源からエア取り入れ口12に圧送されている。したがって、エア吹き付け孔11の下流端開口部11aからは、第1ガイドバー6周辺、つまり第1ガイドバー6とガイド用凹部5aとの接触部に対して、常に斜め下方に向けてエアが吹き付けられている。
【0039】
以上の構成からなる成型装置を使用してパネル20のプレス成型工程を実行するには、先ず既述の図8と同等の状態から中間受け型1Bを下降させ、該中間受け型1Bの下端を底受け型1Aの上端に当接させて位置決めする。この中間受け型1Bの下降時においては、第2ガイドバー7がガイド用凹部5aに摺動しながら挿入されるが、この時に仮に摩耗粉が発塵して底受け型1Aの雌成型面1aに落下しても、パネル20に及ぼす影響はさほどない。
【0040】
何故ならば、パネル20のフェース部21外表面は、プレス成型後に研磨されるものであって、前記摩耗粉が落下する雌成型面1aはパネル20のフェース部21外表面に対応しているため、仮にその外表面に摩耗粉による微小欠点が存在しても、研磨により微小欠点部分が切除されるからである。
【0041】
このようにして底受け型1Aと中間受け型1Bとが受け型1として一体化された状態の下で、ガラスゴブと称される溶融ガラス塊が受け型1内に投入され、この後、押し型2が下降してその雄成型面2aが受け型1内に侵入し、溶融ガラス塊が押延される。この押し型2の下降時においては、第1ガイドバー6がガイド用凹部5aに摺動しながら挿入されるため、この摺動に起因して摩耗粉等の粉塵が発生する。
【0042】
この時点においては、受け型1内に溶融ガラス塊が存在しているため、仮に前記粉塵が受け型1内に落下した場合には、溶融ガラス塊の表面に粉塵が付着した状態で押し型2の雄成型面2aにより押延され、その結果としてパネル20の内表面に微小欠点が形成されるという問題を招く。しかしながら、ヘッド体2Aに形成されたエア吹き付け孔11の下流端開口部11aからは、第1ガイドバー6の周辺に向けてエアが吹き出しており、このエアによって、前記粉塵が受け型1の上端開口部1cから遠ざかる方向に吹き飛ばされるため、上記のような問題は生じない。
【0043】
そして、受け型1内の溶融ガラス塊に対して押し型2による押延を所定時間に亘って行った後に、押し型2が当初の待機位置まで上昇する。この押し型2の上昇時においても、第1ガイドバー6が摺動しながらガイド用凹部5aから抜け出ていく際に摩耗粉等の粉塵が発生すると共に、受け型1の内部に負圧ないしは空気を引き込むような気流が発生する。しかしながら、このような場合であっても、エア吹き付け孔11の下流端開口部11aから第1ガイドバー6の周辺に向けて98〜500kPa好ましくは180〜300kPaのエアが吹き出しているため、上述の負圧や気流に打ち負かされることなく、粉塵がエアによって受け型1の上端開口部1cから遠ざかる方向に吹き飛ばされる。
【0044】
この後において、プレス成型されたパネル20を取り出す際には、中間受け型1Bが当初の待機位置まで上昇するため、この上昇時にも第2ガイドバー7が摺動しながらガイド用凹部5aから抜け出ていく際に粉塵が発生するが、この取り出し時にはパネル20の温度が低下している関係上、粉塵がパネル20の内表面に落下しても問題は生じない。
【0045】
尚、上記実施形態は、第1ガイドバー6とガイド用凹部5aとの摺動に起因する粉塵の対策のみについて、エアを吹き付ける構成としたが、次に示すような箇所に発生する粉塵の対策についても、同様にしてエアを吹き付ける構成とすることができる。すなわち、中間受け型1Bが底受け型1Aの上端に近接もしくは当接し且つ押し型2が下降を開始する直前においては、シェル押さえと称される押さえ部材(図示略)を中間受け型1Bの壁部の上端面に当接させることが行なわれる。そして、この両者の当接によって金属粉等の粉塵が発生し、この粉塵が受け型1の内部に侵入するおそれが生じる。そこで、前記押さえ部材に、エア吹き付け孔を穿設し或いはエア吹き出しノズルを付設して、粉塵が中間受け型1の上端開口部1cから遠ざかる方向に追い遣られるようにエアを吹き出させる構成とすれば、そのような問題を回避することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、エア吹き付け孔11を通じて常にエアが吹き出されるように構成したが、第1ガイドバー6とガイド用凹部5aとの摺動時のみ、或いは第1ガイドバー6がガイド用凹部5aに挿入される直前からその抜脱が完了する直後までの期間のみに、エアが吹き出されるように構成してもよい。尚、エアに代えて、窒素、水素、アルゴン、その他の不活性ガスや、それらの混合気等を使用してもよい。
【0047】
更に、上記実施形態では、パネルのプレス成型について本発明を適用したが、その他のガラス物品、例えば陰極線管用ガラスファンネル、食器類、灰皿、電子レンジ用トレー等のプレス成型についても、同様にして本発明を適用することができる。また、これに関連して、上記実施形態では、受け型1が底受け型1Aと中間受け型1Bとに分割された成型装置に本発明を適用したが、受け型1が分割不能な単一体とされた成型装置についても、同様にして本発明を適用することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るガラス物品の成型方法によれば、受け型と押し型とのガイド部に気体を吹き付けて、その両者のガイド動作に伴って発生した粉塵を、受け型の上端開口部から遠ざけるようにしたから、プレス成型を行なう過程で発生した粉塵が、受け型の内部の溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品の内表面に付着しなくなる。特に、プレス成型を終えた押し型が上昇を開始することに伴なって、受け型内に負圧ないしは空気を引き込むような気流が発生した場合であっても、この負圧や気流に打ち負かされることなく、粉塵が受け型の上端開口部から遠ざかる方向に追い遣られるため、受け型内のプレス成型品の内表面に粉塵が付着することによるその付着面における微小欠点の発生、及びこれに起因する製品の品質低下や不良品の増大等が回避される。
【0049】
そして、前記気体を、ガラス物品をプレス成型する成型装置の構成要素から吹き付けるようにすれば、該気体を吹き付けるための構成を付加する場合におけるレイアウト上の問題や設置スペース上の問題の発生を可及的に回避できる。
【0050】
また、前記気体を、受け型の上端開口部の外周側であり且つ前記ガイド部の内周側の位置から、該ガイド部に対して斜め下方に向けて吹き付けるようにすれば、気体の吹き付け位置が、受け型の上端開口部の外周側に存在し、しかも気体の吹き付け方向が、外周側に向かう方向であって斜め下方に向かう方向となるため、気体がガイド部の粉塵を受け型内に搬送することがあり得なくなると共に、気体による粉塵の搬送途中或いは搬送後に、自重により粉塵が落下した場合であっても、受け型内に向かって粉塵が落下することもあり得なくなり、受け型の内部が粉塵から確実に保護されることになる。
【0051】
一方、本発明に係るガラス物品の成型装置によれば、受け型と押し型とのガイド機構周辺における粉塵発生部位に対して、受け型の上端開口部から遠ざかる方向に気体を吹き付ける気体吹き付け手段を備えたから、両型のガイド動作に伴なって摩耗粉や金属粉等からなる粉塵が発生しても、この発生した粉塵の受け型内への侵入が阻止され、受け型の内部の溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品の内表面に対する粉塵付着の問題が回避される。これにより、受け型内のプレス成型品の内表面における微小欠点の発生、及びこれに起因する製品の品質低下や不良品の増大等が回避される。
【0052】
そして、前記ガイド機構が、押し型に配設されたガイドバーを構成要素とするようにした上で、受け型の上端開口部の外周側であって且つ前記ガイドバーの内周側の位置から、該ガイドバー周辺に対して斜め下方に向けて気体を吹き付ける気体吹き付け手段を備えた構成とすれば、気体の吹き付け位置が、受け型の上端開口部の外周側に存在し、しかも気体の吹き付け方向が、外周側に向かう方向であって且つ斜め下方に向かう方向となるため、既述の場合と同様にして、気体が粉塵を受け型内に搬送することがあり得なくなり、更に気体による粉塵の搬送途中或いは搬送後に自重により粉塵が落下した場合であっても、受け型内に向かって粉塵が落下することもあり得なくなり、受け型の内部が粉塵から確実に保護されることになる。
【0053】
この場合、前記気体吹き付け手段が、押し型のヘッド体に形成された気体吹き付け孔を有するように構成すれば、押し型のヘッド体が気体吹き付け手段の構成要素の形成部材として有効利用され、部品点数の増加を回避できるばかりでなく、押し型とヘッド体との相対位置関係を勘案すれば、最適な位置であって且つ最適な方向性を有する気体吹き付け孔を形成することが可能となる。
【0054】
また、前記押し型のヘッド体に、前記気体吹き付け孔に気体を供給する配管類を設置するように構成すれば、押し型のヘッド体が配管類の設置場所として有効利用され、装置のコンパクト化が図られると共に、配管類の短尺化やその構成の簡素化を図ることが可能となる。
【0055】
更に、前記気体吹き付け手段が、98〜500kPa、好ましくは180〜300kPaのエアを吹き付けるように構成すれば、金属粉等からなる粉塵を吹き付け力不足を生じることなく確実に受け型の上端開口部から遠ざかる位置まで追い遣ることができると共に、粉塵を不当に舞い上げる事態やエアの供給に無駄が生じる事態を効果的に回避することが可能となる。
【0056】
そして、本発明に係る成型装置を使用してプレス成型されるガラス物品を、陰極線管用ガラスパネルとすれば、該パネルの内表面に摩耗粉等からなる粉塵の付着による微小欠点が存在しなくなり、スクリーン成膜を適正且つ良好に行えることになるため、近年におけるスクリーン膜の高精細化に的確に対処することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るガラス物品の成型装置を示す縦断正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るガラス物品の成型装置を示す縦断側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るガラス物品の成型装置の構成要素であるヘッド体を示す平面図である。
【図4】図3のL−L線に沿って切断した要部破断縦断正面図である。
【図5】図3のS−S線に沿って切断した要部破断縦断正面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るガラス物品の成型装置の構成要素である気体吹き付け手段の要部を示す横断平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る成型装置によって成型されるガラス物品の一例である陰極線管用ガラスパネルを示す斜視図である。
【図8】従来例に係る成型装置を示す概略正面図である。
【符号の説明】
1 受け型
1A 底受け型(ボトム金型)
1B 中間受け型(シェル金型)
1c 受け型の上端開口部
2 押し型(プランジャ金型)
3 ガイド機構(第1ガイド機構)
6 ガイドバー(第1ガイドバー)
11 エア吹き付け孔(気体吹き付け手段)
12 エア取り入れ口(気体吹き付け手段)
20 陰極線管用ガラスパネル(ガラス物品)
【産業上の利用分野】
本発明は、ガラス物品の成型方法及びその装置に係り、特にプレス成型装置のガイド機構によるガイド動作に起因して発生する粉塵がガラス物品の成型に及ぼす悪影響を除去するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、今日市販されている各種ガラス物品の中には、溶融ガラスに対するプレス成型工程を経て製作されるものが多数存在する。この種のプレス成型工程においては、通例、雌型をなす受け型に溶融ガラス塊を供給し、この受け型内に雄型をなす押し型を侵入させて溶融ガラス塊を押延することにより、所定形状のガラス物品を成型することが行われる。
【0003】
この種のプレス成型工程を経て製作されるガラス物品としては、陰極線管に用いられるガラスパネルやガラスファンネル等の陰極線管用ガラス物品、食器類、灰皿、電子レンジ用トレー等が挙げられる。これらのガラス物品中、例えば陰極線管用ガラスパネルのプレス成型工程においては、図8に示すような概略構成を備えた成型装置が使用され或いはその使用が試みられている。
【0004】
この成型装置は、主たる構成要素として、パネルの外表面に対応する雌成型面を有する受け型1と、パネルの内表面に対応する雄成型面を有し且つ前記受け型1の上方に昇降可能に配設された押し型(プランジャ金型)2とを備える。前記受け型1は、底受け型(ボトム金型)1Aと中間受け型(シェル金型)1Bとに分割され、この中間受け型1Bは底受け型1Aに対して当接及び離反可能とされている。
【0005】
前記中間受け型1Bの外周には、例えば90°の角度間隔で平面視コ字形の四個のガイドブロック5が突設されると共に、前記押し型2のヘッド体2Aの外周には、各ガイドブロック5に対応する位置に例えば四個の第1ガイドバー6が突設され、この第1ガイドバー6は、前記ガイドブロック5のガイド用凹部5aに軸方向(上下方向)に挿脱可能とされている。また、前記底受け型1Aの外周にも、前記各ガイドブロック5のガイド用凹部5aに軸方向に挿脱可能な例えば四個の第2ガイドバー7が突設されている。尚、第1、第2ガイドバー6、7が、両者共にガイド用凹部5aに挿入された場合には、第2ガイドバー7がガイド用凹部5aの内周側に位置し、その外周側に第1ガイドバー6が位置するように構成されている。
【0006】
この成型装置を使用してプレス成型工程を実行するには、先ず図8に示す状態から、各ガイドブロック5のガイド用凹部5aに各第2ガイドバー7を挿入させつつ中間受け型1Bを下降させ、この中間受け型1Bの下端を底受け型1Aの上端に当接させて両者の位置決めを行なう。このような状態の下で、溶融ガラス塊を受け型1(底受け型1A)内に供給し、この後、各ガイド用凹部5aに第1ガイドバー6を挿入させつつ押し型2を下降させ、この押し型2を受け型1内に侵入させて溶融ガラス塊を押延する。そして、この溶融ガラス塊に対する押延を所定時間に亘って行なった後、押し型2が、各ガイド用凹部5aからの第1ガイドバー6の離脱動作を伴って上昇することにより、パネルの形状に対応するプレス成型品が得られる。尚、このプレス成型品の取り出しは、中間受け型1Bが、各ガイド用凹部5aからの第2ガイドバー7の離脱動作を伴って上昇した後に行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記各ガイドブロック5のガイド用凹部5aに対する第1、第2ガイドバー6、7の挿入及び離脱時には、これらのガイドバー6、7とガイド用凹部5aとの間に接触や摺動が生じ、これに起因して摩耗粉等からなる粉塵が発生する。尚、ガイドブロック5のガイド用凹部5a及び第1、第2ガイドバー6、7は、焼入れ鋼或いはステンレス鋼で形成されるのが通例であるため、発塵する摩耗粉は金属粉である。
【0008】
そして、第1ガイドバー6の挿入及び離脱時、つまり押し型2の昇降時には、受け型1内に溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品が存在しているため、上述のようにして発生した粉塵が受け型1内に侵入した場合には、溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品のパネル内表面に対応する部位に粉塵が付着するという事態を招く。
【0009】
特に、プレス成型を終えた後に押し型2が上昇を開始した直後においては、受け型1内に負圧ないしは空気を引き込むような気流が発生して、粉塵の受け型1内への侵入を助長することになるため、このような時期においては、上記の粉塵付着の問題がより一層深刻なものとなる。
【0010】
このようにして溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品に粉塵が付着した場合には、その粉塵が高温下で溶融するなどして、その付着面に微小凹凸等の欠点が生成される。特に、パネル内表面に対応する部位に粉塵に起因する微小欠点が存在していると、パネル内表面に対するスクリーン膜の高精細化が推進されている近年においては、スクリーン成膜に過大な悪影響を及ぼすことになる。従って、プレス成型時における粉塵の付着は、高品質のパネルを製作する上で致命的な欠陥となる。
【0011】
尚、特開平11−246228号公報や特開2001−220155号公報には、清浄な空気を金型装置に供給して、外来の粉塵の侵入を防止するプレス成型方法が開示されている。
【0012】
しかしながら、このようなプレス成型方法では、如何に清浄な空気を金型装置に供給しても、上述のように受け型と押し型との間でガイド動作を行なう金型装置においては、ガイド動作に伴なって発生する粉塵が、金型装置に向かって引き込まれる空気により搬送されて、受け型内の溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品の内表面に付着し、既に述べた事項と同様の不具合を招く。
【0013】
尚、以上のような問題は、陰極線管用ガラスパネルに限らず、既述の他のガラス物品、例えば陰極線管用ガラスファンネル、食器類、灰皿、及びトレー等についても、プレス成型時における粉塵の付着に起因する微小欠点が生成された場合には、同様にして、高品位の製品を得る上で大きな妨げとなる。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、プレス成型時に受け型と押し型とのガイド動作により発生する粉塵が原因となってプレス成型後のガラス物品に微小欠点が発生するという事態を回避し、高品質のガラス物品を提供することを技術的課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る方法は、受け型に対して押し型をガイドしつつ接近動及び離反動させてガラス物品をプレス成型する成型方法において、前記受け型と押し型とのガイド部に気体を吹き付けて、その両者のガイド動作に伴って発生した粉塵を、受け型の上端開口部から遠ざけることを特徴とするものである。ここで、気体としては、エアが代表例として挙げられるが、窒素、水素、酸素、アルゴン、その他の不活性ガス、またはこれらの混合気であってもよい。
【0016】
このような構成によれば、受け型と押し型とのガイド部に吹き付けられた気体の作用により、そのガイド動作に伴なって発生した粉塵が、受け型の上端開口部から遠ざけられるため、受け型の内部には粉塵が侵入しなくなり、これに伴なって、受け型の内部の溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品の内表面に粉塵が付着しなくなる。特に、プレス成型を終えた押し型が上昇を開始することに伴なって、受け型内に負圧ないしは空気を引き込むような気流が発生した場合であっても、これらに打ち負かされることなく、ガイド部に吹き付けられた気体により、粉塵が受け型の上端開口部から遠ざけられる。これにより、受け型内のプレス成型品の内表面に粉塵が付着することによるその付着面における微小欠点の発生、及びこれに起因する製品の品質低下や不良品の増大等が回避される。
【0017】
この場合、前記気体は、ガラス物品をプレス成型する成型装置の構成要素から吹き付けることが好ましい。すなわち、ガイド部は、押し型及び受け型の成型面に対して近接配置されていることが適正な位置決めを行なう上で且つ装置の小型化を図る上で有利であるから、上述のように気体をこのガイド部に対して受け型の上端開口部から遠ざかる方向に吹き付けようとすれば、その気体吹き付け部の設置位置が限られた狭い場所となる。したがって、成型装置の構成要素以外の他部材から気体を吹き付けるようにするならば、成型装置の構成要素と他部材とのレイアウト上の問題や、他部材の設置スペース上の問題が生じるが、成型装置の構成要素自体から気体を吹き付けるようにすれば、このような問題は生じなくなる。ここで、成型装置の構成要素とは、受け型や押し型等の成型用型に限られるものではなく、これらの成型用型に付設される構成要素(例えば押し型の昇降装置等)をも含むものである。
【0018】
そして、前記気体は、受け型の上端開口部の外周側であり且つ前記ガイド部の内周側の位置から、該ガイド部に対して斜め下方に向けて吹き付けることが好ましい。このようにすれば、気体の吹き付け位置が、受け型の上端開口部の外周側に存在し、しかも気体の吹き付け方向が、外周側に向かう方向であって斜め下方に向かう方向であるため、気体がガイド部の粉塵を受け型内に搬送することはあり得ない。更に、気体による粉塵の搬送途中或いは搬送後に、自重により粉塵が落下した場合であっても、受け型内に向かって粉塵が落下することもあり得ない。したがって、受け型の内部は、粉塵から確実に保護されることになる。
【0019】
一方、上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る装置は、溶融ガラス塊が供給される受け型と、該受け型に対して接近動及び離反動可能に配設された押し型と、前記受け型に対する押し型の移動をガイドするガイド機構とを備えたガラス物品の成型装置において、前記ガイド機構周辺の粉塵発生部位に対して、前記受け型の上端開口部から遠ざかる方向に気体を吹き付ける気体吹き付け手段を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
このような構成によれば、受け型に対する押し型の移動に伴なってガイド機構が両者の移動のガイド動作を行なっている際には、気体吹き付け手段から、ガイド機構周辺の粉塵発生部位に対して、受け型の上端開口部から遠ざかる方向に気体が吹き付けられる。したがって、受け型による押し型のガイド動作に伴なって摩耗粉や金属粉等からなる粉塵が発生しても、この発生した粉塵が、受け型の内部に侵入することが阻止されるため、その内部の溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品の内表面に対する粉塵付着の問題が回避される。これにより、受け型内のプレス成型品の内表面における微小欠点の発生、及びこれに起因する製品の品質低下や不良品の増大等が回避される。
【0021】
そして、前記ガイド機構が、押し型に配設されたガイドバーを構成要素とする場合には、受け型の上端開口部の外周側であり且つ前記ガイドバーの内周側の位置から、該ガイドバー周辺に対して斜め下方に向けて気体が吹き付けられることが好ましい。このようにすれば、ガイド機構のガイド動作によってガイドバー周辺に粉塵が発生した場合であっても、気体の吹き付け位置が、受け型の上端開口部の外周側に存在し、しかも気体の吹き付け方向が、外周側に向かう方向であって且つ斜め下方に向かう方向であるため、気体がガイドバー周辺の粉塵を受け型内に搬送することはあり得ない。更に、気体による粉塵の搬送途中或いは搬送後に、自重により粉塵が落下した場合であっても、受け型内に向かって粉塵が落下することもあり得ない。したがって、受け型の内部は、粉塵から確実に保護されることになる。
【0022】
この場合、前記気体吹き付け手段は、前記押し型のヘッド体に形成された気体吹き付け孔を有していることが好ましい。このようにすれば、押し型のヘッド体(プランジャヘッド)が、気体吹き付け手段の構成要素である気体吹き付け孔の形成部材として有効利用され、部品点数の増加を回避できるばかりでなく、押し型とヘッド体との相対位置関係を勘案すれば、例えば上述のガイドバー周辺に気体を吹き付ける場合には、最適な位置であって且つ最適な方向性を有する気体吹き付け孔を形成することが可能となる。
【0023】
また、前記押し型のヘッド体には、前記気体吹き付け孔に気体を供給する配管類が設置されていることが好ましい。このようにすれば、押し型のヘッド体が配管類の設置場所として有効利用され、装置のコンパクト化が図られると共に、上述のようにヘッド体に気体吹き付け孔が形成される場合には、配管類の短尺化やその構成の簡素化を図ることが可能となる。
【0024】
そして、前記気体吹き付け手段は、98〜500kPaのエアを吹き付けるものであることが好ましい。すなわち、気体吹き付け手段によって吹き付けられる気体は、コスト面や取り扱い面を勘案すれば、エアであることが好ましく、このエアの吹き付け圧力が、98kPa未満であると、金属粉等からなる粉塵が確実に受け型の上端開口部から遠ざかる位置まで追い遣ることが困難になり、また500kPaを超えると、粉塵を不当に舞い上げてしまうおそれがあると共にエアの供給に無駄が生じるという不具合を招く。したがって、エアの圧力は、上記の設定範囲内であることが好ましい。尚、このような点を踏まえると、エアの圧力は、180〜300kPaであることが更に好ましい。
【0025】
以上の構成を備えた成型装置を使用してプレス成型されるガラス物品は、陰極線管用ガラスパネルであることが好適である。すなわち、このような成型装置を使用して、陰極線管用ガラスパネルを製作すれば、該パネルの内表面に摩耗粉等からなる粉塵の付着による微小欠点が存在しなくなることから、スクリーン成膜を適正且つ良好に行えることになり、近年におけるスクリーン膜の高精細化に的確に対処することが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る成型装置の要部を示すものであって、陰極線管用ガラスパネルの長軸に対応するする軸に沿って切断した概略縦断面図、図2は、同じくその成型装置の要部を示すものであって、陰極線管用ガラスパネルの短軸に対応するする軸に沿って切断した概略縦断面図である。
【0027】
先ず、本実施形態に係る成型装置を使用してプレス成型されるガラス物品であるカラー陰極線管用ガラスパネル20(以下、単にパネルという)について説明すると、図7に示すように、当該パネル20は、画像を表示する有効画面を備えた略矩形のフェース部21と、該フェース部21の周縁にブレンドR部22を介して連なり且つファンネルと接合するための封着端面23を有するスカート部24とから構成され、このスカート部24は、四つのコーナー部25の相互間に各辺部26を備えている。
【0028】
以下、本実施形態に係る成型装置について説明するが、図8に基づいて既に説明した構成要件と共通のものについては、同一符号を使用しつつその説明を行なう。この成型装置は、図1及び図2に示すように、溶融ガラス塊が供給される受け型1と、該受け型1の上方に配設された押し型2(プランジャ金型)とを備える。押し型2は、図外の昇降駆動手段の動作により、受け型1に対して接近動及び離反動するように構成されている。また、受け型1は、基台上に設置された底受け型1A(ボトム金型)と、該底受け型1Aの上方に配設された中間受け型1B(シェル金型)とに分割されている。そして、この中間受け型1Bは、図外の昇降駆動手段の動作により、底受け型1Aに対して接近動及び離反動するように構成されている。
【0029】
前記押し型2は、パネル20全体の内表面に対応する雄成型面2aを有すると共に、前記底受け型1Aは、パネル20のフェース部21及びブレンドR部22周辺の外表面に対応する雌成型面1aを有し、且つ、前記中間受け型1Bは、パネル20のスカート部24の外表面に対応する雌成型面1bを有する。また、前記押し型2は、雄成型面2aが形成された壁部のうちの側壁部の上端に固定されたヘッド体2Aを有する。
【0030】
更に、この成型装置は、前記受け型1に対する押し型2の接近動及び離反動をガイドしてこの両型1、2の位置決めを行う第1ガイド機構3を備えると共に、前記底受け型1Aに対する中間受け型1Bの接近動及び離反動をガイドしてこの両型1A、1Bの位置決めを行う第2ガイド機構4を備える。
【0031】
前記第1ガイド機構3は、中間受け型1Bの外周に等角度間隔(図示例では90°間隔)で一体的に突設された平面視コ字形の複数(図示例では四個)のガイドブロック5と、押し型2のヘッド体2Aの外周に各ガイドブロック5に対応して固定された平面視矩形の複数の第1ガイドバー6とから構成される。そして、前記各ガイドブロック5のガイド用凹部5aに、各第1ガイドバー6が挿脱可能とされている。
【0032】
前記第2ガイド機構4は、前記各ガイドブロック5と、底受け型1Aの外周に各ガイドブロック5に対応して固定された平面視矩形の複数の第2ガイドバー7とから構成される。そして、各ガイドブロック5のガイド用凹部5aに、各第2ガイドバー7が挿脱可能とされている。
【0033】
この場合、各ガイドブロック5のガイド用凹部5aは、各第1、第2ガイドバー6、7との間における周方向移動を規制するように形成され、これにより底受け型1Aに対して中間受け型1Bと押し型2とが周方向に位置決めされるように構成されている。そして、第2ガイドバー7は、ガイド用凹部5aの内周側に挿入され、第1ガイドバー6は、その外周側に挿入されるように位置設定がなされている。
【0034】
図3は、押し型2のヘッド体2Aを詳細に示す要部平面図、図4は、そのヘッド体2Aをパネルの長軸に対応するする軸(図3のL−L線)に大略沿って切断した縦断面図、図5は、そのヘッド体2Aをパネルの短軸に対応するする軸(図3のS−S線)に大略沿って切断した縦断面図である。図3に示すように、ヘッド体2Aの外周部には、90°間隔で外方に張り出す膨出部2cが形成されると共に、各膨出部2cの外端には矩形の凹部2dが形成され、これらの凹部2dに前記各第1ガイドバー6の上端部が嵌合固定されている。そして、各膨出部2cにおける第1ガイドバー6から僅かな距離だけ内周側に離隔した位置には、各第1ガイドバー6の両端部に対応して一対のエア吹き付け孔11が平行に穿設されている。
【0035】
詳述すると、一対のエア吹き付け孔11は、図4及び図5に示すように、下流側の端部がヘッド体2Aの下端面に開口すると共に、その下流端開口部11aが上流端開口部11bよりも外周側に位置する方向性で垂直線に対して20°〜60°好ましくは30°の傾斜角を有し、その下流端開口部11aは、第1ガイドバー6の上下方向中間部における両端部内面を指向している。したがって、エア吹き付け孔11は、図1及び図2に示すように、受け型1(中間受け型1B)の上端開口部1cの外周側であり且つ前記第1ガイドバー6の内周側の位置から、該第1ガイドバー6の内面に対して斜め下方に向けてエアを吹き付けるように位置及び方向性が設定されている。
【0036】
更に、図3に示すように、ヘッド体2Aの上面部におけるS−S線の両側外周部には、相対称となる位置にそれぞれエア取り入れ口12が設けられ、この各エア取り入れ口12に対してエア源からエアが圧送されるように構成されている。また、ヘッド体2Aの上面には、各エア取り入れ口12とその直近位置の一対のエア吹き付け孔11とを連通させる短尺の連結管13と、各エア取り入れ口12と90°離隔した位置の一対のエア吹き付け孔11とを連通させる長尺の連結管14とが設置されている。したがって、同図に示すL−L線上の一方側(左側)のエア取り入れ口12から取り入れられたエアは、その一方側(左側)における一対のエア吹き付け孔11と、S−S線上の一方側(上側)における一対のエア吹き付け孔11とに圧送される。また、L−L線上の他方側(右側)のエア取り入れ口12から取り入れられたエアは、その他方側(右側)における一対のエア吹き付け孔11と、S−S線上の他方側(下側)における一対のエア吹き付け孔(図示略)とに圧送される。
【0037】
このエア流通経路の一例を、L−L線上のエア取り入れ口12の周辺について述べると、図6に示すように、ヘッド体2Aにおける膨出部2cの僅かに内周側の部位に、エア取り入れ口12に通じる閉鎖状の第1内部室15が形成され、該第1内部室15に、短尺の連結管13の上流端開口部13aと、長尺の連結管14の上流端開口部14aとが通じている。また、ヘッド体2Aにおける第1内部室15の僅かに外周側の部位に、短尺の連結管13の下流端開口部13bが通じる閉鎖状の第2内部室16が形成され、該第2内部室16に、一対のエア吹き付け孔11の上流端開口部11bがそれぞれ通じている。尚、S−S線上における一対のエア吹き付け孔11の周辺については、詳細に図示しないが、上述の第2内部室16に相当する第3内部室がヘッド体2Aの膨出部2c近傍に形成され、この第3内部室に、長尺の連結管14の下流端開口部と、一対のエア吹き付け孔11の上流端開口部とが通じている(図3参照)。
【0038】
この実施形態においては、エア源、エア取り入れ口12、第1内部室15、短尺の連結管13、長尺の連結管14、第2内部室16、及びエア吹き付け孔11によって、気体吹き付け手段が構成されている。また、この実施形態では、98〜500kPaのエアが常にエア源からエア取り入れ口12に圧送されている。したがって、エア吹き付け孔11の下流端開口部11aからは、第1ガイドバー6周辺、つまり第1ガイドバー6とガイド用凹部5aとの接触部に対して、常に斜め下方に向けてエアが吹き付けられている。
【0039】
以上の構成からなる成型装置を使用してパネル20のプレス成型工程を実行するには、先ず既述の図8と同等の状態から中間受け型1Bを下降させ、該中間受け型1Bの下端を底受け型1Aの上端に当接させて位置決めする。この中間受け型1Bの下降時においては、第2ガイドバー7がガイド用凹部5aに摺動しながら挿入されるが、この時に仮に摩耗粉が発塵して底受け型1Aの雌成型面1aに落下しても、パネル20に及ぼす影響はさほどない。
【0040】
何故ならば、パネル20のフェース部21外表面は、プレス成型後に研磨されるものであって、前記摩耗粉が落下する雌成型面1aはパネル20のフェース部21外表面に対応しているため、仮にその外表面に摩耗粉による微小欠点が存在しても、研磨により微小欠点部分が切除されるからである。
【0041】
このようにして底受け型1Aと中間受け型1Bとが受け型1として一体化された状態の下で、ガラスゴブと称される溶融ガラス塊が受け型1内に投入され、この後、押し型2が下降してその雄成型面2aが受け型1内に侵入し、溶融ガラス塊が押延される。この押し型2の下降時においては、第1ガイドバー6がガイド用凹部5aに摺動しながら挿入されるため、この摺動に起因して摩耗粉等の粉塵が発生する。
【0042】
この時点においては、受け型1内に溶融ガラス塊が存在しているため、仮に前記粉塵が受け型1内に落下した場合には、溶融ガラス塊の表面に粉塵が付着した状態で押し型2の雄成型面2aにより押延され、その結果としてパネル20の内表面に微小欠点が形成されるという問題を招く。しかしながら、ヘッド体2Aに形成されたエア吹き付け孔11の下流端開口部11aからは、第1ガイドバー6の周辺に向けてエアが吹き出しており、このエアによって、前記粉塵が受け型1の上端開口部1cから遠ざかる方向に吹き飛ばされるため、上記のような問題は生じない。
【0043】
そして、受け型1内の溶融ガラス塊に対して押し型2による押延を所定時間に亘って行った後に、押し型2が当初の待機位置まで上昇する。この押し型2の上昇時においても、第1ガイドバー6が摺動しながらガイド用凹部5aから抜け出ていく際に摩耗粉等の粉塵が発生すると共に、受け型1の内部に負圧ないしは空気を引き込むような気流が発生する。しかしながら、このような場合であっても、エア吹き付け孔11の下流端開口部11aから第1ガイドバー6の周辺に向けて98〜500kPa好ましくは180〜300kPaのエアが吹き出しているため、上述の負圧や気流に打ち負かされることなく、粉塵がエアによって受け型1の上端開口部1cから遠ざかる方向に吹き飛ばされる。
【0044】
この後において、プレス成型されたパネル20を取り出す際には、中間受け型1Bが当初の待機位置まで上昇するため、この上昇時にも第2ガイドバー7が摺動しながらガイド用凹部5aから抜け出ていく際に粉塵が発生するが、この取り出し時にはパネル20の温度が低下している関係上、粉塵がパネル20の内表面に落下しても問題は生じない。
【0045】
尚、上記実施形態は、第1ガイドバー6とガイド用凹部5aとの摺動に起因する粉塵の対策のみについて、エアを吹き付ける構成としたが、次に示すような箇所に発生する粉塵の対策についても、同様にしてエアを吹き付ける構成とすることができる。すなわち、中間受け型1Bが底受け型1Aの上端に近接もしくは当接し且つ押し型2が下降を開始する直前においては、シェル押さえと称される押さえ部材(図示略)を中間受け型1Bの壁部の上端面に当接させることが行なわれる。そして、この両者の当接によって金属粉等の粉塵が発生し、この粉塵が受け型1の内部に侵入するおそれが生じる。そこで、前記押さえ部材に、エア吹き付け孔を穿設し或いはエア吹き出しノズルを付設して、粉塵が中間受け型1の上端開口部1cから遠ざかる方向に追い遣られるようにエアを吹き出させる構成とすれば、そのような問題を回避することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、エア吹き付け孔11を通じて常にエアが吹き出されるように構成したが、第1ガイドバー6とガイド用凹部5aとの摺動時のみ、或いは第1ガイドバー6がガイド用凹部5aに挿入される直前からその抜脱が完了する直後までの期間のみに、エアが吹き出されるように構成してもよい。尚、エアに代えて、窒素、水素、アルゴン、その他の不活性ガスや、それらの混合気等を使用してもよい。
【0047】
更に、上記実施形態では、パネルのプレス成型について本発明を適用したが、その他のガラス物品、例えば陰極線管用ガラスファンネル、食器類、灰皿、電子レンジ用トレー等のプレス成型についても、同様にして本発明を適用することができる。また、これに関連して、上記実施形態では、受け型1が底受け型1Aと中間受け型1Bとに分割された成型装置に本発明を適用したが、受け型1が分割不能な単一体とされた成型装置についても、同様にして本発明を適用することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るガラス物品の成型方法によれば、受け型と押し型とのガイド部に気体を吹き付けて、その両者のガイド動作に伴って発生した粉塵を、受け型の上端開口部から遠ざけるようにしたから、プレス成型を行なう過程で発生した粉塵が、受け型の内部の溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品の内表面に付着しなくなる。特に、プレス成型を終えた押し型が上昇を開始することに伴なって、受け型内に負圧ないしは空気を引き込むような気流が発生した場合であっても、この負圧や気流に打ち負かされることなく、粉塵が受け型の上端開口部から遠ざかる方向に追い遣られるため、受け型内のプレス成型品の内表面に粉塵が付着することによるその付着面における微小欠点の発生、及びこれに起因する製品の品質低下や不良品の増大等が回避される。
【0049】
そして、前記気体を、ガラス物品をプレス成型する成型装置の構成要素から吹き付けるようにすれば、該気体を吹き付けるための構成を付加する場合におけるレイアウト上の問題や設置スペース上の問題の発生を可及的に回避できる。
【0050】
また、前記気体を、受け型の上端開口部の外周側であり且つ前記ガイド部の内周側の位置から、該ガイド部に対して斜め下方に向けて吹き付けるようにすれば、気体の吹き付け位置が、受け型の上端開口部の外周側に存在し、しかも気体の吹き付け方向が、外周側に向かう方向であって斜め下方に向かう方向となるため、気体がガイド部の粉塵を受け型内に搬送することがあり得なくなると共に、気体による粉塵の搬送途中或いは搬送後に、自重により粉塵が落下した場合であっても、受け型内に向かって粉塵が落下することもあり得なくなり、受け型の内部が粉塵から確実に保護されることになる。
【0051】
一方、本発明に係るガラス物品の成型装置によれば、受け型と押し型とのガイド機構周辺における粉塵発生部位に対して、受け型の上端開口部から遠ざかる方向に気体を吹き付ける気体吹き付け手段を備えたから、両型のガイド動作に伴なって摩耗粉や金属粉等からなる粉塵が発生しても、この発生した粉塵の受け型内への侵入が阻止され、受け型の内部の溶融ガラス塊或いは押延直後の成型品の内表面に対する粉塵付着の問題が回避される。これにより、受け型内のプレス成型品の内表面における微小欠点の発生、及びこれに起因する製品の品質低下や不良品の増大等が回避される。
【0052】
そして、前記ガイド機構が、押し型に配設されたガイドバーを構成要素とするようにした上で、受け型の上端開口部の外周側であって且つ前記ガイドバーの内周側の位置から、該ガイドバー周辺に対して斜め下方に向けて気体を吹き付ける気体吹き付け手段を備えた構成とすれば、気体の吹き付け位置が、受け型の上端開口部の外周側に存在し、しかも気体の吹き付け方向が、外周側に向かう方向であって且つ斜め下方に向かう方向となるため、既述の場合と同様にして、気体が粉塵を受け型内に搬送することがあり得なくなり、更に気体による粉塵の搬送途中或いは搬送後に自重により粉塵が落下した場合であっても、受け型内に向かって粉塵が落下することもあり得なくなり、受け型の内部が粉塵から確実に保護されることになる。
【0053】
この場合、前記気体吹き付け手段が、押し型のヘッド体に形成された気体吹き付け孔を有するように構成すれば、押し型のヘッド体が気体吹き付け手段の構成要素の形成部材として有効利用され、部品点数の増加を回避できるばかりでなく、押し型とヘッド体との相対位置関係を勘案すれば、最適な位置であって且つ最適な方向性を有する気体吹き付け孔を形成することが可能となる。
【0054】
また、前記押し型のヘッド体に、前記気体吹き付け孔に気体を供給する配管類を設置するように構成すれば、押し型のヘッド体が配管類の設置場所として有効利用され、装置のコンパクト化が図られると共に、配管類の短尺化やその構成の簡素化を図ることが可能となる。
【0055】
更に、前記気体吹き付け手段が、98〜500kPa、好ましくは180〜300kPaのエアを吹き付けるように構成すれば、金属粉等からなる粉塵を吹き付け力不足を生じることなく確実に受け型の上端開口部から遠ざかる位置まで追い遣ることができると共に、粉塵を不当に舞い上げる事態やエアの供給に無駄が生じる事態を効果的に回避することが可能となる。
【0056】
そして、本発明に係る成型装置を使用してプレス成型されるガラス物品を、陰極線管用ガラスパネルとすれば、該パネルの内表面に摩耗粉等からなる粉塵の付着による微小欠点が存在しなくなり、スクリーン成膜を適正且つ良好に行えることになるため、近年におけるスクリーン膜の高精細化に的確に対処することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るガラス物品の成型装置を示す縦断正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るガラス物品の成型装置を示す縦断側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るガラス物品の成型装置の構成要素であるヘッド体を示す平面図である。
【図4】図3のL−L線に沿って切断した要部破断縦断正面図である。
【図5】図3のS−S線に沿って切断した要部破断縦断正面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るガラス物品の成型装置の構成要素である気体吹き付け手段の要部を示す横断平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る成型装置によって成型されるガラス物品の一例である陰極線管用ガラスパネルを示す斜視図である。
【図8】従来例に係る成型装置を示す概略正面図である。
【符号の説明】
1 受け型
1A 底受け型(ボトム金型)
1B 中間受け型(シェル金型)
1c 受け型の上端開口部
2 押し型(プランジャ金型)
3 ガイド機構(第1ガイド機構)
6 ガイドバー(第1ガイドバー)
11 エア吹き付け孔(気体吹き付け手段)
12 エア取り入れ口(気体吹き付け手段)
20 陰極線管用ガラスパネル(ガラス物品)
Claims (9)
- 受け型に対して押し型をガイドしつつ接近動及び離反動させてガラス物品をプレス成型する成型方法において、
前記受け型と押し型とのガイド部に気体を吹き付けて、その両者のガイド動作に伴って発生した粉塵を、受け型の上端開口部から遠ざけることを特徴とするガラス物品の成型方法。 - 前記ガラス物品をプレス成型する成型装置の構成要素から気体を吹き付けることを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の成型方法。
- 前記受け型の上端開口部の外周側であり且つ前記ガイド部の内周側の位置から、該ガイド部に対して斜め下方に向けて気体を吹き付けることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス物品の成型方法。
- 溶融ガラス塊が供給される受け型と、該受け型に対して接近動及び離反動可能に配設された押し型と、前記受け型に対する押し型の移動をガイドするガイド機構とを備えたガラス物品の成型装置において、
前記ガイド機構周辺の粉塵発生部位に対して、前記受け型の上端開口部から遠ざかる方向に気体を吹き付ける気体吹き付け手段を備えたことを特徴とするガラス物品の成型装置。 - 前記ガイド機構は、前記押し型に配設されたガイドバーを有し、前記受け型の上端開口部の外周側であり且つ前記ガイドバーの内周側の位置から、該ガイドバーに対して斜め下方に向けて気体を吹き付ける気体吹き付け手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載のガラス物品の成型装置。
- 前記気体吹き付け手段は、前記押し型のヘッド体に形成された気体吹き付け孔を有していることを特徴とする請求項4または5に記載のガラス物品の成型装置。
- 前記押し型のヘッド体に、前記気体吹き付け孔に気体を供給する配管類が設置されていることを特徴とする請求項6に記載のガラス物品の成型装置。
- 前記気体吹き付け手段は、98〜500kPaのエアを吹き付けるものであることを特徴とする請求項4〜7の何れかに記載のガラス物品の成型装置。
- 前記ガラス物品が、陰極線管用ガラスパネルであることを特徴とする請求項4〜8の何れかに記載のガラス物品の成型装置。
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-
2002
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