JP2004018461A - 高純度エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、淡色且つ遊離アルコール、過酸化物等の不純物の含有量が極めて少ない高品質な高純度エステルの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は
エステル交換反応及び蒸留精製工程における安定性に優れ、エステル交換反応触媒含有の粗反応生成物を直接蒸留精製することを特徴とする高純度エステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、下記一般式(2)で表されるエステル化合物は、これを中間体とした医薬・農薬等への用途が増えてきている。このような用途に使用する場合、製品中に含まれる水、原料アルコール、窒素化合物などの不純物が医薬・農薬等を合成する際に悪影響を及ぼす為これら不純物の少ない高純度なエステルが望まれる。
【0003】
【化3】
【0004】
一般にこのようなエステル化合物は、直接エステル化法と呼ばれる酸とアルコールをルイス酸や硫酸などの酸性触媒下、脱水反応を伴って合成する方法と、エステル交換法と呼ばれる酸のメチル或いはエチルエステルとアルコールとをエステル交換触媒存在下、脱メタノール、や脱エタノールなどの脱アルコール反応を伴って合成する方法が知られている。
【0005】
直接エステル化法は強酸を触媒として使用するためにそれを除去するために大量のアルカリ水や水が必要となり、その廃液処理や工程が長くなるなどの欠点を有している。また、アルカリ水や水による液−液での洗浄工程が必要なため、粗反応物中に水分が混入しやすく、蒸留精製後も製品中に水分を含みやすい欠点を持っている。
【0006】
一方、エステル交換法による製造法は、反応系に大量のアルコール化合物が必要となる。原料とする下記一般式(1)の化合物に対して過剰のアルコールの反応溶液中でチタン、錫、アルカリ金属等の(有機)金属化合物を共存させて反応させるものであり、更にエステル交換反応により生成するメタノールやエタノールを反応系外に留去することによって相当するエステルを含む粗反応物が得られる。続いて、エステル交換反応により得られた粗反応物を水洗や蒸留法にて反応系内に残存する未反応の一般式(1)で表される化合物、過剰にあるアルコール、エステル交換触媒の分離除去を行い、目的とするエステルが得られる。
【0007】
【化4】
【0008】
この様な状況の中でテトラアルキルチタネートで代表されるチタン系触媒は、その反応性に特徴がありエステル交換反応が早くしかもエステル交換率が高い特徴を持っている。また、触媒を水と反応させることにより容易にその触媒活性を失活させることができるため、蒸留と水で処理する水洗法を精製工程として行うことができる利点を有している。
【0009】
しかしながら、チタン系触媒を使用した場合、蒸留精製法では、粗反応物中に均一に溶解した触媒が存在するため、蒸留精製を行う工程でエステルの一部が微量の水分や熱により分解して原料アルコールを遊離する現象が見られる(この現象を逆反応と呼ぶ)。逆反応は、蒸留時の内温が高くなるにつれて反応が進み、蒸留が終了するまでに留出物中に数百〜数千ppmのオーダーで遊離アルコールが混入する。このため同方法では、高純度の製品を得ることができない問題点を有している。
この現象は、酸化錫等の錫系触媒を使用した場合も同様で、蒸留精製時に逆反応が起こり製品中に遊離アルコールが混入する問題点を有している。
【0010】
この遊離アルコールの混入を抑える手段として、蒸留前にエステル交換触媒を不活性化またはエステル交換触媒を系外に除去する方法が考えられるが、均一に溶解したエステル交換触媒を不活性化あるいは分離することは困難であるが、エステル交換触媒を系外に除去する方法として、粗蒸留によりエステル交換触媒を系外に除去した後、粗蒸留品を再度蒸留精製する手段によって高純度なエステルを得ることができる。
しかしながら、かかる方法は、蒸留を少なくとも2回行うために蒸留釜における滞留時間が長くなることと、それに伴う製品コストへの影響があり、更に1回の蒸留による精製に比べ熱履歴を受け易く蒸留中に一部粗反応物の重合、酸素により酸化された過酸化物濃度の高いものが得られるなどの問題点がある。
【0011】
一方、チタン触媒の特徴である水洗法による精製では、水によりチタン触媒を不活性化するために製品中に大量の水が混入し、製品から水分を除去するためには無水硫酸マグネシウム、モレキュラーシーブのような脱水剤を用いなければならず、脱水剤の再生と脱水までに長時間必要であるなど経済性、効率の面から問題がある。また、水で触媒を失活させ蒸留する方法では逆反応は起こらないが、製品中の水分を低く抑えることが難しい問題点を有している。
この様にチタン系および錫系触媒では高純度のエステルを得ることは難しい。
【0012】
一方、エステル交換触媒としてアルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩を使用し、該炭酸塩または重炭酸塩を予めアルコールに溶解してエステル化合物の合成を製造する方法が知られている。しかしながら、本発明者らの知見及び実験結果によると、分子中に酸化され易い活性水素を含有したシクロヘキシルアルコールやアリルアルコールのような不飽和結合を有するアルコールを原料とした場合、反応中の過酸化物生成量が多くなる傾向にある。その結果、製品が着色したり、これを中間体として医薬・農薬原料を合成した場合、目的とする化合物の純度が低下したりするなどの悪影響を及ぼす問題点がある。また、かかる触媒は水分の影響を受けてその活性が低くなる欠点と蒸留精製した製品が過酸化物の影響で着色する欠点を有している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の製造方法では、水分、遊離アルコールや窒素化合物、あるいは過酸化物の含有量が少ない高品質で高純度なエステルを効率的に製造することができないのが実情である。
本発明の目的は、エステル交換反応によって得られた粗反応生成物をそのまま直接蒸留精製して、遊離アルコール、過酸化物、水分や窒素化合物の含有量が少ない高品質で高純度エステルを効率的に製造する方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の触媒を選択し、重合禁止剤にヒンダードフェノール系重合禁止剤を使用し、かつ反応系内中の水分量をコントロールすることにより、従来の製造方法では達成し得なかった、活性水素を有する原料アルコールを用いた時でも、エステル交換反応時および蒸留時の安定性に優れ、しかも粗反応物をそのまま直接蒸留精製して水分、遊離アルコール、窒素化合物及び過酸化物等の不純物含有量が極めて少ない高品質で高純度なエステルの製造方法を見出し、本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明は、(1)炭素数3〜20の飽和または不飽和アルコールと下記式(1)で示すエステルとのエステル交換反応により下記一般式(2)で示されるエステルを製造するに際して、下記(a),(b),(c)の条件下で反応させ、得られた粗反応物を直接蒸留精製することを特徴とする遊離アルコール、過酸化物含有量の少ない高純度エステルの製造方法に関する。
(a)エステル交換触媒としてカリウム,セシウムの炭酸塩から選ばれる1種を使用、
(b)重合禁止剤にヒンダードフェノール化合物を使用、
(c)反応系内水分値2000ppm以下。
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】
また、本発明は、(2)更にテトラアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルホスホニウム塩から選ばれる少なくとも1種を加えることを特徴とする上記(1)記載の高純度エステルの製造方法に関する。
【0019】
また、本発明は、(3)不飽和アルコールがアリルアルコールである上記(1)記載の高純度エステルの製造方法に関する。
【0020】
また、本発明は、(4)飽和アルコールがシクロヘキシルアルコール、またはベンジルアルコールである上記(1)記載の高純度エステルの製造方法に関する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のエステルは、下記一般式(1)で示す化合物とアルコールをエステル交換触媒とヒンダードフェノール系重合禁止剤存在下加熱攪拌して、生成するメタノール及び/又はエタノールを系外に留去することによって反応を進める。
【0022】
【化7】
【0023】
この時の反応温度は、50〜150℃、好ましくは80〜120℃で行い反応を進めることができる。反応温度が50℃未満の場合エステル交換反応が十分に促進せず、また150℃を超えると反応器に過剰の熱がかかることで、反応液が酸化したり、副生成物量が増えたりする危険性がある。
反応の終了は、反応系内に仕込んだアルコールの90%以上が反応したときを目安とする。未反応で残存するアルコール量はガスクロマトグラフによる測定で知ることができる。90%よりも反応率が低い場合には、原料の回収工程に時間が必要になること、および製品の収量が低くなるために好ましくない。
【0024】
本発明の方法におけるエステル化反応に用いられるアルコールとしては、炭素数3〜20の飽和あるいは不飽和アルコールで、例えばプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール、ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の飽和アルコール、あるいはジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等の含窒素アルコール、あるいはシクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等の活性水素を持ったアルコール、あるいはアリルアルコール等の不飽和アルコールが挙げられる。これらのうちで本発明の製造方法は、特に酸化され易い活性水素または不飽和基を含有したアリルアルコールやシクロヘキサノール、ベンジルアルコールを用いる場合に有効である。
【0025】
前記一般式(1)で示す化合物とアルコールの使用量は、一般式(1)で示す化合物1モルに対して、アルコールを過剰に使用することが好ましく、その範囲は1.0〜4.0倍モル、更に好ましくは1.1〜2.5倍モルの範囲で使用することができる。1.0倍モル未満では目的とするエステルの収率が低下すること、反応時間が長くなる欠点がある。更に一般式(1)の二量体が副生するので好ましくない。一方、4.0倍モルを超える範囲では未反応のアルコール回収工程が増え、反応時間が長くなる等の欠点がある。また、4.0倍モルを超える場合は、未反応のアルコール回収工程が増え、釜容積効率の低下に伴う1バッチ当りの製品収量の減少等の問題点があるので好ましくない。
【0026】
本発明において触媒として用いるアルカリ金属の炭酸塩は、一般式(1)で示す化合物とアルコールとのエステル交換反応を円滑に進める触媒としての作用を有する。この様な触媒としては、例えば炭酸カリウム、炭酸セシウムが好ましい。アルカリ金属の炭酸塩である炭酸リチウム、炭酸水素カリウムについては、ほとんど活性がなく、マイケル付加した副生成物が増え効果的でない。また、テトラアルキルチタン、ジブチル錫等の金属塩は、粗反応物を蒸留精製する際に逆反応が起こり、原料アルコールが遊離するため製品の純度を低下させるので好ましくない。
【0027】
上記触媒として用いられるアルカリ金属炭酸塩の使用量は、仕込み原料の一般式(1)の化合物1モルに対して、通常、0.001〜0.01モル、好ましくは0.003〜0.008モルの範囲で使用することができる。その使用量が0.001モル未満では、エステル交換反応が十分に進まず目的とするエステルの収率も低い。更に、反応時間も長くなる等の欠点がある。また、0.01モルを超えても、反応時間がさらに短くなることはなく、副生成物量も増加するので好ましくない。かかる触媒は、粉末状で添加することが好ましく、メタノール等に溶解して反応させると、副生成物が多く生成するので好ましくない。
【0028】
また、本発明のエステル交換反応において一般式(1)の化合物とアルコール中の水分は、エステル交換反応の進行と最終製品中の遊離アルコール量に大きく影響するので注意しなければならない。本発明では反応系内の水分を2000ppm以下に管理することが好ましく重要である。この範囲内であれば反応が円滑に進行し、蒸留精製時に起こる逆反応も抑制し得る効果を奏する。系内の水分が2000ppmよりも高い場合は、エステル交換反応が遅くなり、最終的に得られる製品の収量も低くなる傾向にある。更に、蒸留精製時に系内の水分により製品であるエステルが加水分解を受け、アルコールが遊離して製品の純度を低くするので好ましくない。
【0029】
本発明の方法においては、系内の水分を2000ppm以下にするために一般式(1)の化合物およびアルコールは含水量の低いものを選択することが好ましく、合成前の処理として共沸蒸留や脱水剤で予め精製したものを使用することが好ましい。
【0030】
本発明において使用するヒンダードフェノール系重合禁止剤には、フェノールの水酸基に隣接して立体障害作用を与える基を有した化合物を使用することができる。また、原料である一般式(1)の化合物、原料アルコール、生成したエステル、触媒である炭酸カリウム、炭酸セシウムと反応しない特性を有し、反応および蒸留精製時のエステルの重合防止作用、製品の着色防止の作用を有するものが使用される。
【0031】
この様な化合物としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、6−tert−ブチル−2,4−ジ−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]メタン、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)等を挙げることができる。
【0032】
ヒンダードフェノールの使用量は、アルコールに対して100〜10000ppm、好ましくは500〜5000ppmの範囲で使用することができる。
ヒンダードフェノールの使用量が100ppm未満では十分な重合禁止効果が得られず、10000ppmを超える範囲では重合禁止効果に顕著な違いは認められない。また、本発明の製造方法には上記重合禁止剤の他に公知のフェノール性水酸基を有するハイドロキノン、メトキシハイドロキノン等を併用して使用することができる。
【0033】
本発明に使用されるテトラアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルホスホニウム塩は、エステル交換触媒として添加されるカリウム、セシウムの炭酸塩との相乗効果でエステル交換反応率をさらに高める効果を奏する。これらテトラアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルホスホニウム塩は反応溶液に直接添加して溶解した形で使用することができ、必要に応じて水溶液あるいは有機溶剤に溶解して使用することができる。
【0034】
このような化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等のテトラアルキルアンモニウムハライド類、あるいはトリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムブロマイド等のトリアルキルベンジルアンモニウムハライド、あるいはテトラメチルアンモニウムバイカーボネート、テトラエチルアンモニウムバイカーボネート等のテトラアルキルアンモニウムバイカーボネート類、あるいはテトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラエチルアンモニウムベンゾエート等のテトラアルキルアンモニウムベンゾエート類、あるいはビス(テトラメチルアンモニウム)フタレート等のビス(テトラアルキルアンモニウム)フタレート類の第4級アンモニウム塩、テトラエチルホスホニウムクロライド、ジメチルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルメチルホスホニウムヨーダイド等の第4級ホスホニウムハライド塩、または例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハオドロオキサイド等のテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイド類、またはテトラメチルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラエチルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラブチルホスホニウムハイドラオキサイド等のテトラアルキルホスホニウムハイドロオキサイド類を挙げることができる。これらは、単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0035】
本発明において、上記テトラアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルホスホニウム塩の使用量は、仕込み原料の一般式(1)の化合物1モルに対して、通常、0.0001〜1.0モル、好ましくは0.005〜0.5モルの範囲で使用することができる。その使用量が0.0001モル未満では、使用した効果発揮できず、また1.0モルを超える範囲では反応率も飽和に達し期待する効果が得られない。
【0036】
以上の反応によって得られる粗反応物は、一般式(1)の化合物と一般式(2)で示す化合物及びアルコール等から成り、反応終了後、分留等の付いた蒸留設備に移し、減圧下蒸留精製することにより所望の高純度、高品質のエステルを得ることができる。この時に必要に応じてヒンダードフェノール系重合禁止剤あるいは公知の重合禁止剤を分留等の途中から添加して気相部分のゲル化を防ぐことができる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において「%」は特記する以外はモル基準である。また、実施例と比較例の中の評価方法を以下に示した。
【0038】
[評価方法]
(水分試験方法)
反応液中の水分量(ppm)は、JIS K4101−9のカールフィッシャー滴定を準拠し、三菱化学社製KF−05にて測定した。なお測定値の「ppm」は、重量を基準とした。
【0039】
(反応率)
反応率は、原料アルコールの製品への選択率を示し、その選択率は転化された原料アルコールを基準とした製品分の比率で、ガスクロマトグラフにより算出した。なお「%」は、モル基準である。
【0040】
(色数試験方法)
JIS K4101−13の比較判定法に準拠。
【0041】
(過酸化物量測定)
過酸化物量は、酸化性物質にヨウ化カリウムを作用させて遊離したヨウ素を還元剤であるチオ硫酸ナトリウムで滴定するヨウ素定量方法にて測定し、ppmで示した。なお「ppm」は重量基準である。
【0042】
(遊離アルコール)
製品中の遊離アルコールの濃度は、ガスクロマトグラフにより求めた。なお「ppm」は重量基準である。
【0043】
(窒素化合物)
製品中の窒素化合物濃度は、窒素・リン検出器を備つけたガスクロマトグラフにより求めた。なお「ppm」は重量基準である。
【0044】
実施例1
充填剤入りの充填塔、温度計、空気導入管を備え付けた内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、アリルアルコール232g(4モル)及び重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.58gを室温、常圧下に仕込み、攪拌後フラスコ内反応液の水分値を計測した。水分値が2000ppm以下であることを確認後、炭酸カリウム1.1g(0.008モル)を加え、重合防止用空気を供給しながら加熱攪拌を開始した。エステル交換により生成するメタノールを留去しながらエステル交換反応を進めた。その際、反応釜内温度を徐々に昇温して、反応終了時の釜内温度は120℃に達した。合成中、反応液の重合は認められなかった。反応終了後、炭酸カリウム存在下、減圧にて未反応の2−ヒドロキシイソ酪酸メチルと過剰分のアリルアルコールを留去して、2−ヒドロキシイソ酪酸アリル(無色液体、沸点107℃/100mmHg)を260g(1.8モル、理論製品量に対する収率:90%)を得た。尚、蒸留中、反応液の重合は認められなかった。合成時および蒸留時の反応液の状態、製品の色数、製品中の過酸化物量、製品中の遊離アルコール濃度と窒素化合物濃度の結果を表1に示す。
【0045】
実施例2
実施例1に用いたと同様の内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、アリルアルコール232g(4モル)及び重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.58gを室温、常圧下に仕込み、攪拌後フラスコ内反応液の水分値を計測した。水分値が2000ppm以下であることを確認後、炭酸セシウム2.6g(0.008モル)を加え、実施例1と同様に行った。得られた結果を表1に示す。
【0046】
実施例3
実施例1に用いたと同様の内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、シクロヘキサノール401g(4モル)及び重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.75gを室温、常圧下に仕込み、攪拌後フラスコ内反応液の水分値を計測した。水分値が2000ppm以下であることを確認後、炭酸カリウム1.1g(0.008モル)を加え、実施例1と同様に行った。得られた結果を表1に示す。
【0047】
実施例4
実施例1に用いたと同様な内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、ベンジルアルコール433g(4モル)及び重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.77gを室温、常圧下に仕込み、攪拌後フラスコ内反応液の水分値を計測した。水分値が2000ppm以下であることを確認後、炭酸カリウム1.1g(0.008モル)を加え、実施例1と同様に行った。得られた結果を表1に示す。
【0048】
実施例5
実施例1に用いたと同様な内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、アリルアルコール232g(4モル)および重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.58gを室温、常圧下に仕込み、炭酸カリウム1.1g(0.008モル)およびテトラメチルアンモニウムブロマイド1.232g(0.008モル)を加え、実施例1と同様に行なった。得られた結果を表1に示す。
【0049】
実施例6
実施例1に用いたと同様な内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、シクロヘキサノール401g(4モル)および重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.58gを室温、常圧下に仕込み、炭酸カリウム1.1g(0.008モル)およびテトラメチルアンモニウムブロマイド1.232g(0.008モル)を加え、実施例1と同様に行なった。得られた結果を表1に示す。
【0050】
実施例7
実施例1に用いたと同様な内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、ベンジルアルコール433g(4モル)および重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.58gを室温、常圧下に仕込み、炭酸カリウム1.1g(0.008モル)およびテトラメチルアンモニウムブロマイド1.232g(0.008モル)を加え、実施例1と同様に行なった。得られた結果を表1に示す。
【0051】
実施例8
実施例1に用いたと同様な内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、アリルアルコール232g(4モル)および重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.58gを室温、常圧下に仕込み、炭酸カリウム1.1g(0.008モル)およびテトラブチルホスホニウムハイドロオキサイド(40%水溶液)3.6858g(0.008モル)を加え、実施例1と同様に行なった。得られた結果を表1に示す。
【0052】
比較例1
実施例1に用いたと同様な内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、アリルアルコール232g(4モル)及び重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.58gを室温、常圧下に仕込み、攪拌後フラスコ内反応液の水分値を計測した。水分値が2000ppm以下であることを確認後、ジブチル錫オキサイド2.99g(0.01モル)を加え、実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0053】
比較例2
実施例1に用いたと同様な内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、アリルアルコール232g(4モル)及び重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.58gを室温、常圧下に仕込み、攪拌後フラスコ内反応液の水分値を計測した。水分値が2000ppm以下であることを確認後、テトライソプロピルチタネート3.41g(0.01モル)を加え、実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0054】
比較例3
実施例1に用いたと同様な内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、アリルアルコール232g(4モル)及び重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.58gを室温、常圧下に仕込み、攪拌後フラスコ内反応液の水分値を計測した。水分値が2000ppm以下であることを確認後、炭酸カリウム1.1g(0.008モル)を加え、実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0055】
比較例4
実施例1に用いたと同様な内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、アリルアルコール232g(4モル)及び重合禁止剤としてアミン系のフェノチアジン0.58gを室温、常圧下に仕込み、攪拌後フラスコ内反応液の水分値を計測した。水分値が2000ppm以下であることを確認後、炭酸カリウム1.1g(0.008モル)を加え、実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0056】
比較例5
実施例1に用いたと同様な内容積1000mlのガラス製フラスコに、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル236g(2モル)、アリルアルコール232g(4モル)及び重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.58gを室温、常圧下に仕込み、攪拌後フラスコ内反応液の水分値を計測した。水分値を2000ppm以上に調整して、炭酸カリウム1.1g(0.008モル)を加え、実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示す結果から明らかなように、本発明にて製造したエステル化合物は、比較例で示す従来の方法にて製造したエステル化合物と比べて、合成時または蒸留時に反応液が重合をおこさず安全に製造可能であり、また得られたエステル化合物は、淡色且つ過酸化物濃度も低い値を示した。更に、水、遊離アルコール、窒素化合物といった不純物も、従来の方法にて製造したエステル化合物と比べてほとんど検出されなかった。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、(1)本発明のエステル化合物は、水分、遊離アルコールや窒素化合物の極めて高純度なエステル化合物を効率的に製造する方法を提供することができるものである。(2)本発明のエステル化合物は、水、原料アルコール、窒素化合物などの不純物が少ない高純度エステルであって、得られたエステル化合物は、化学・医薬品の中間体に好適な材料である。
Claims (4)
- 更にテトラアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルホスホニウム塩から選ばれる少なくとも1種を加えることを特徴とする請求項1記載の高純度エステルの製造方法。
- 不飽和アルコールがアリルアルコールであることを特徴とする請求項1記載の高純度エステルの製造方法。
- 飽和アルコールがシクロヘキシルアルコール、またはベンジルアルコールであることを特徴とする請求項1記載の高純度エステルの製造方法。
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