JP2004018596A - 熱可塑性樹脂架橋発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】難燃性に優れ、燃焼時におけるドリップ現象の発生や燃焼前後の形状変化が少なく、しかも力学的物性、耐熱性、柔軟性、衝撃吸収性、断熱性、寸法安定性等に優れ、線膨張率の低い熱可塑性樹脂架橋発泡体を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂100重量部に対して層状珪酸塩10〜70重量部および発泡剤が配合されてなる発泡性熱可塑性樹脂組成物からなり、かつ、ゲル分率が15〜70重量%であり、見掛け密度が0.03〜0.1g/cm3 であることを特徴とする熱可塑性樹脂架橋発泡体。
【選択図】 なし
【解決手段】熱可塑性樹脂100重量部に対して層状珪酸塩10〜70重量部および発泡剤が配合されてなる発泡性熱可塑性樹脂組成物からなり、かつ、ゲル分率が15〜70重量%であり、見掛け密度が0.03〜0.1g/cm3 であることを特徴とする熱可塑性樹脂架橋発泡体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂架橋発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、熱可塑性樹脂は、その燃焼時においては融解・気化しながら燃焼するので、燃焼中には熱可塑性樹脂が熱分解することにより生成した低分子量の液体状の炭化水素が滴下する現象(ドリップ現象)が発生する。
【0003】
上記ドリップ現象は、含ハロゲン熱可塑性樹脂や含窒素熱可塑性樹脂などの難燃性熱可塑性樹脂を主原料として用いた成形体や、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、金属水酸化物系難燃剤などの難燃剤を添加した難燃性熱可塑性樹脂を主原料として用いた成形体についても同様に発生し、熱可塑性樹脂を主原料としてなる成形体が燃焼前の形状を保持することは困難である。
【0004】
また、ドリップ現象は、熱可塑性樹脂を主原料として用いた発泡体についても同様に発生し、むしろ、燃焼前後の形状変化は、非発泡の成形体よりも発泡体の方が著しい。
【0005】
現在主流の熱可塑性樹脂発泡体の多くは、見掛け密度が0.025〜0.2g/cm3 であり、単位体積あたりの熱可塑性樹脂量が非常に少ないため、一度着火すると熱可塑性樹脂が迅速に熱分解・燃焼し、燃焼前の発泡体の形状を保持するために必要な気泡構造が破壊されてしまう。
【0006】
一般に熱可塑性樹脂発泡体は、柔軟性、衝撃吸収性、断熱性等に優れているので、例えば、天井、ドア、計器パネルなどの車両内装材や緩衝材等として広く用いられている。また、独立気泡であるポリオレフィン系樹脂発泡体は、断熱材としての用途も多い。しかし、これらの熱可塑性樹脂発泡体には、炎による熱変形に対しては非常に弱いという問題点や、難燃性が高く自己消火性に富む発泡体であっても、自己消火するまでに著しく熱変形してしまうという問題点がある。
【0007】
一方、熱可塑性樹脂発泡体の機械的強度などの力学的物性や衝撃吸収性、断熱性、寸法安定性等を向上させたり、線膨張率を低減させるために、熱可塑性樹脂発泡体中に無機充填剤を含有させることが行われており、例えば、特開平8−143697号公報には、発泡剤およびシランカップリング剤を吸着した粘土化合物および/または珪藻土を含有することを特徴とするポリプロピレン発泡体組成物が開示されている。
【0008】
上記公報に開示されているポリプロピレン発泡体組成物は、粘土化合物や珪藻土をポリプロピレンと混練することによって、発泡体の機械的強度などの力学的物性や衝撃吸収性、断熱性、寸法安定性等を向上させたり、線膨張率を低減させることができるものとされている。
【0009】
しかし、上記公報に開示されているポリプロピレン発泡体組成物は、粘土化合物や珪藻土の凝集構造を解砕して薄片状結晶をポリプロピレン中に均一に分散させることについては全く考慮されていないので、粘土化合物や珪藻土を含有させることによる効果が十分に引き出されているとは言いがたい。即ち、上記公報に開示されているポリプロピレン発泡体組成物は、燃焼時におけるドリップ現象の発生や燃焼前後での発泡体の形状変化等を十分に抑制し得るものとは言いがたい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、難燃性に優れ、燃焼時におけるドリップ現象の発生や燃焼前後の形状変化が少なく、しかも力学的物性、耐熱性、柔軟性、衝撃吸収性、断熱性、寸法安定性等に優れ、線膨張率の低い熱可塑性樹脂架橋発泡体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)による熱可塑性樹脂架橋発泡体は、熱可塑性樹脂100重量部に対して層状珪酸塩10〜70重量部および発泡剤が配合されてなる発泡性熱可塑性樹脂組成物からなり、かつ、ゲル分率が15〜70重量%であり、見掛け密度が0.03〜0.1g/cm3 であることを特徴とする。
【0012】
本発明の熱可塑性樹脂架橋発泡体(以下、単に「架橋発泡体」と略記する)を構成する発泡性熱可塑性樹脂組成物(以下、単に「発泡性組成物」と略記する)に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられ、なかでもポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0013】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体またはブロック共重合体、エチレンの単独重合体、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、エチレンとスチレンとの共重合体、ブテンの単独重合体、イソプレンやブタジエンなどの共役ジエン類の単独重合体または共重合体等が挙げられ、なかでもプロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体、エチレンの単独重合体、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体、エチレンとアクリル酸エチルとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体等が好適に用いられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。なお、本発明で言う例えば(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
【0014】
上記ポリオレフィン系樹脂は、特に限定されるものではないが、JIS K−7210「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法に準拠して測定されたメルトマスフローレイト(MFR)が0.2〜10g/10分であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂の上記MFRが0.2g/10分未満であると、得られる架橋発泡体の表面の外観が悪くなることがあり、逆にポリオレフィン系樹脂の上記MFRが10g/10分を超えると、得られる架橋発泡体の耐熱性が不十分となることがある。
【0015】
本発明において、優れた柔軟性を有する架橋発泡体を所望する場合には、熱可塑性樹脂としてエチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体やエチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体あるいはエチレンと酢酸ビニルとの共重合体等を用いることが好ましい。この際、共重合体中における(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルあるいは酢酸ビニルの含有量は、特に限定されるものではないが、0.1〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30重量%である。共重合体中における(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルあるいは酢酸ビニルの含有量が0.1重量%未満であると、得られる架橋発泡体の柔軟性が乏しくなることがあり、逆に共重合体中における(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルあるいは酢酸ビニルの含有量が50重量%を超えると、得られる架橋発泡体の耐熱性が不十分となることがある。
【0016】
また、本発明において、柔軟性と力学的物性とのバランスに優れる架橋発泡体を所望する場合には、熱可塑性樹脂としてエチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体を用いることが好ましい。エチレン以外のα−オレフィンの共重合比率を高めることにより、共重合体は柔軟性に富むものとなり、逆にエチレン以外のα−オレフィンの共重合比率を低めることにより、共重合体は力学的物性の高いものとなる。
【0017】
上記エチレン以外のα−オレフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。これらのエチレン以外のα−オレフィンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0018】
共重合体中におけるエチレン以外のα−オレフィンの含有量は、特に限定されるものではないが、0.1〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜40重量%である。共重合体中におけるエチレン以外のα−オレフィンの含有量が0.1重量%未満であると、得られる架橋発泡体の柔軟性が乏しくなることがあり、逆に共重合体中におけるエチレン以外のα−オレフィンの含有量が50重量%を超えると、得られる架橋発泡体の耐熱性が不十分となることがある。
【0019】上記エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体は、均一系の重合触媒を用いて重合された共重合体であっても良い。この共重合体は、一般にメタロセン系化合物を均一系の重合触媒として重合されるので、メタロセンポリエチレンと呼称されることがある。メタロセンポリエチレンにおいては、エチレン以外のα−オレフィンの共重合比率を容易に高めることができるので、著しく優れた柔軟性を有する共重合体を得ることができる。また、メタロセンポリエチレンは、結晶ラメラ厚みが薄いため、結晶同士を結ぶタイ分子が多くなるので、力学的物性にも優れている。従って、本発明において、柔軟性と力学的物性とのバランスが高い次元で優れている架橋発泡体を所望する場合には、熱可塑性樹脂としてメタロセンポリエチレンを用いることが好ましい。
【0020】
上記均一系の重合触媒となり得るメタロセン系化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、IV族、X族、XI族の遷移金属の錯体等が挙げられる。これらのメタロセン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0021】
上記遷移金属の錯体とは、遷移金属原子に配位子が結合したものであり、上記配位子としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素−置換メタロイド基などにより置換されたシクロペンタジエン環;シクロペンタジエニルオリゴマー環;インデニル環;炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素−置換メタロイド基などにより置換されたインデニル環等や、塩素や臭素などの1価のアニオンリガンド;2価のアニオンキレートリガンド;炭化水素基;アルコキシド基;アミド基;アリールアミド基;アリールオキシド基;ホスフィド基;アリールホスフィド基;シリル基;置換シリル基等が挙げられる。これらの配位子は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0022】
また、本発明において、耐熱性に優れる架橋発泡体を所望する場合には、熱可塑性樹脂として高密度ポリエチレン樹脂やポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。上記ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、プロピレンの単独重合体やプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。上記プロピレン以外のα−オレフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。これらのプロピレン以外のα−オレフィンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記ポリプロピレン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。さらに、上記高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン系樹脂は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0023】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、樹脂の特性を改質するために、熱可塑性エラストマー類やオリゴマー類等が配合されていても良い。
【0024】
上記熱可塑性エラストマー類としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。これらの熱可塑性エラストマー類は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記オリゴマー類としては、特に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー等が挙げられる。これらのオリゴマー類は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記熱可塑性エラストマー類およびオリゴマー類は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0025】
また、本発明で用いられる熱可塑性樹脂には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、物性を均一化する補助手段として結晶を微細化するための結晶核となりうる造核剤や、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が配合されていても良い。
【0026】
本発明の架橋発泡体を構成する発泡性組成物に用いられる層状珪酸塩とは、結晶層間に交換性金属カチオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。
【0027】
上記層状珪酸塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられ、なかでもモンモリロナイトや膨潤性マイカが好適に用いられる。上記層状珪酸塩は、天然物であっても良いし、合成物であっても良い。また、これらの層状珪酸塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0028】
上記層状珪酸塩としては、下記関係式(1)で定義される形状異方性効果の大きいスメクタイト系粘土鉱物や膨潤性マイカを用いることが好ましい。スメクタイト系粘土鉱物や膨潤性マイカのような形状異方性効果の大きい層状珪酸塩を用いることにより、得られる架橋発泡体はより優れた力学的物性を有するものとなる。
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶表面(B)の面積‥‥(1)
なお、上式中、結晶表面(A)は層表面を意味し、結晶表面(B)は層側面を意味する。
【0029】
上記層状珪酸塩の形状は、特に限定されるものではないが、凝集構造を解砕した微細薄片状結晶の平均長さが0.01〜3μm、厚みが0.001〜1μm、アスペクト比が20〜500であるものが好ましく、より好ましくは、平均長さが0.05〜2μm、厚みが0.01〜0.5μm、アスペクト比が50〜200のものである。
【0030】
上記層状珪酸塩の結晶層間に存在する交換性金属カチオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリウムやカルシウムなどの金属イオンのことであり、これらの金属イオンは、カチオン性物質とカチオン交換性を有するため、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の結晶層間に挿入もしくは捕捉することができる。
【0031】
上記層状珪酸塩のカチオン交換容量は、特に限定されるものではないが、50〜200ミリ等量/100gであることが好ましい。層状珪酸塩のカチオン交換容量が50ミリ等量/100g未満であると、カチオン交換により層状珪酸塩の結晶層間に捕捉されるカチオン性物質の量が少なくなるために、結晶層間が十分に非極性化(疎水化)されないことがあり、逆に層状珪酸塩のカチオン交換容量が200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固になりすぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0032】
本発明において、熱可塑性樹脂として例えばポリオレフィン系樹脂のような低極性樹脂を用いる場合には、予め層状珪酸塩の層間をカチオン性界面活性剤でカチオン交換して、疎水化しておくことが好ましい。予め層状珪酸塩の層間を疎水化しておくことにより、層状珪酸塩と低極性の熱可塑性樹脂との親和性が高まり、層状珪酸塩を低極性の熱可塑性樹脂中により均一に微分散させることができる。
【0033】
上記カチオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられ、なかでも、層状珪酸塩の結晶層間を十分に非極性化(疎水化)しうることから、炭素数6以上のアルキル鎖を有する4級アンモニウム塩(炭素数6以上のアルキルアンモニウム塩)が好適に用いられる。
【0034】
上記4級アンモニウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0035】
また、上記4級ホスホニウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記4級アンモニウム塩および4級ホスホニウム塩は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0036】
本発明で用いられる層状珪酸塩は、上述のように化学処理によって熱可塑性樹脂中への分散性を向上させることができる。
【0037】
上記化学処理は、(1)カチオン性界面活性剤によるカチオン交換法(以下、「化学修飾(1)法」と記す)に限定されるものではなく、例えば、以下に示す各種化学処理法によっても実施することができる。なお、化学修飾(1)法を含め、以下に示す各種化学処理法によって熱可塑性樹脂中への分散性を向上させた層状珪酸塩を、以下、「有機化層状珪酸塩」と記す。
【0038】
(2)化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これと化学結合しうる官能基または化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基を分子末端に1個以上有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(2)法」と記す)。
【0039】
(3)化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これと化学結合しうる官能基または化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基および反応性官能基を分子末端に1個以上有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(3)法」と記す)。
【0040】
(4)化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面を、アニオン性界面活性を有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(4)法」と記す)。
【0041】
(5)化学修飾(4)法において、アニオン性界面活性を有する化合物の分子鎖中のアニオン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(5)法」と記す)。
【0042】
(6)上記化学修飾(1)法〜化学修飾(5)法のいずれかの方法で化学処理された有機化層状珪酸塩に、さらに、例えば無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル系樹脂のような層状珪酸塩と反応可能な官能基を有する樹脂を添加した組成物を用いる方法(以下、「化学修飾(6)法」と記す)。
【0043】
これらの化学修飾法は、単独で用いられても良いし、2種類以上の方法が併用されても良い。
【0044】
上記化学修飾(2)法において、水酸基と化学結合しうる官能基または化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルコキシル基、グリシジル基、カルボキシル基(二塩基性酸無水物も含む)、水酸基、イソシアネート基、アルデヒド基などの官能基や、水酸基との化学的親和性が高いその他の官能基等が挙げられる。これらの官能基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0045】
水酸基と化学結合しうる官能基または化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記例示の官能基を有するシラン化合物、チタネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、アルコール類等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0046】
上記シラン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0047】
また、化学修飾(4)法および化学修飾(5)法において、アニオン性界面活性を有する化合物および/またはアニオン性界面活性を有し、分子鎖中のアニオン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物としては、イオン相互作用により層状珪酸塩を化学処理できるものであれば如何なる化合物であっても良く、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、不飽和アルコール硫酸エステル塩等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0048】
本発明で用いられる層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、熱可塑性樹脂中において一部もしくは全部が5層以下に分散している層状珪酸塩であることが好ましく、より好ましくは、上記平均層間距離が6nm以上であり、かつ、熱可塑性樹脂中において一部もしくは全部が5層以下に分散している層状珪酸塩である。なお、本発明で言う層状珪酸塩の平均層間距離とは、層状珪酸塩の微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離を意味し、X線回折ピークおよび透過型電子顕微鏡撮影、即ち、広角X線回折測定法により、算出することができる。
【0049】
層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、熱可塑性樹脂中において一部もしくは全部が5層以下に分散していると、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に配合し分散させて得られる発泡性組成物からなる架橋発泡体は、優れた難燃性、力学的物性、耐熱性、寸法安定性等を発現するものとなる。
【0050】
層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上であるということは、層状珪酸塩の層間が3nm以上に開裂していることを意味しており、また、熱可塑性樹脂中において層状珪酸塩の一部もしくは全部が5層以下に分散しているということは、層状珪酸塩の積層体の一部もしくは全部が熱可塑性樹脂中に広く分散していることを意味しており、いずれも層状珪酸塩の層間の相互作用が弱まっていることになり、そのことにより、上記効果を得ることができる。
【0051】
特に、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm以上であると、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に配合し分散させて得られる発泡性組成物からなる架橋発泡体は、著しく優れた難燃性、力学的物性、耐熱性、寸法安定性等を発現するものとなる。また、層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上、好ましくは6nm以上であると、層状珪酸塩の微細薄片状結晶が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互作用が殆ど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する微細薄片状結晶の熱可塑性樹脂中における分散状態が離砕安定化の方向に進行する利点がある。
【0052】
また、熱可塑性樹脂中において層状珪酸塩の一部もしくは全部が5層以下に分散しているということは、具体的には、層状珪酸塩の10%以上が5層以下に分散している状態にあることが好ましいことを意味し、より好ましくは層状珪酸塩の20%以上が5層以下に分散している状態である。
【0053】
層状珪酸塩の積層数は、5層以下に分層していることが好ましく、そのことにより、上記効果を得ることができるが、より好ましくは3層以下に分層していることであり、特に好ましくは単層状に薄片化していることである。
【0054】
本発明の架橋発泡体を構成する発泡性組成物において、層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、熱可塑性樹脂中において層状珪酸塩の一部もしくは全部が5層以下に分散している状態、即ち、熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩が高分散している状態であれば、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界面面積が増大したり、層状珪酸塩の微細薄片状結晶間の平均距離が小さくなる。
【0055】
熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界面面積が増大すると、層状珪酸塩の表面における熱可塑性樹脂の拘束の度合いが高まり、機械的強度や弾性率などの力学的物性が向上する。また、層状珪酸塩の表面における熱可塑性樹脂の拘束の度合いが高まると、溶融粘度が高まり、発泡性や成形性も向上する。
【0056】
一方、層状珪酸塩の微細薄片状結晶間の平均距離が小さくなると、燃焼時において、層状珪酸塩の微細薄片状結晶の移動による焼結体を形成しやすくなる。即ち、層状珪酸塩の微細薄片状結晶が上記平均層間距離が3nm以上となるように分散した発泡性組成物からなる架橋発泡体は、難燃被膜となりうる焼結体を形成しやすくなる。この焼結体は、燃焼時の早い段階で形成されるので、外界からの酸素の供給を遮断するのみならず、燃焼により発生する可燃性ガスも遮断することができ、架橋発泡体は優れた難燃性を発現する。
【0057】
本発明の架橋発泡体を構成する発泡性組成物は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して上記層状珪酸塩(前記有機化層状珪酸塩も含む)10〜70重量部が配合されてなることが必要であり、好ましくは熱可塑性樹脂100重量部に対して層状珪酸塩15〜50重量部である。
【0058】
熱可塑性樹脂100重量部に対する層状珪酸塩の配合量が10重量部未満であると、燃焼時に焼結体を形成するのが困難となるので、難燃化効果が小さいものとなり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する層状珪酸塩の配合量が70重量部を超えると、発泡性組成物を十分に発泡させることが困難となったり、得られる架橋発泡体の見掛け密度(見掛け比重)が高くなりすぎて、実用性が乏しくなる。
【0059】
熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩を分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記有機化層状珪酸塩を用いる方法;熱可塑性樹脂と層状珪酸塩とを常法により混合した後、発泡させる方法;分散剤を用いる方法等が挙げられる。これらの分散方法を用いることにより、熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩を均一かつ微細に分散させることができる。
【0060】
上記の熱可塑性樹脂と層状珪酸塩とを常法により混合した後、発泡させる方法について以下に述べる。この方法は、発泡剤を用いて熱可塑性樹脂を発泡させ、その発泡エネルギーを層状珪酸塩の分散エネルギーに転換する方法と同時に発泡体を形成せしめる方法とを兼ねている。
【0061】
上記発泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、気体状発泡剤、易揮発性液状発泡剤、加熱分解型固体状発泡剤等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0062】
層状珪酸塩の存在下で熱可塑性樹脂を発泡させることにより、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に均一かつ微細に分散せしめると同時に発泡体を形成せしめる具体的な方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0063】
(A)法:熱可塑性樹脂100重量部および層状珪酸塩10〜70重量部からなる熱可塑性樹脂組成物(以下、単に「組成物」と略記する)に対し、気体状発泡剤(常温常圧下でガス状の化合物)や易揮発性液状発泡剤を高圧下もしくは常圧下で含浸させて発泡性組成物を調製した後、その気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤を発泡性組成物内で気化させることにより、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に分散せしめると同時に発泡体を形成せしめる方法。
【0064】
(B)法:結晶層間に予め加熱分解型発泡剤を含有させた層状珪酸塩を用いて発泡性組成物を調製した後、その加熱分解型発泡剤を加熱により分解させることにより、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に分散せしめると同時に発泡体を形成せしめる方法。
【0065】
(C)法:熱可塑性樹脂中に予め層状珪酸塩および加熱分解型発泡剤を配合し分散させて発泡性組成物を調製した後、その加熱分解型発泡剤を加熱により分解させることにより、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に分散せしめると同時に発泡体を形成せしめる方法。
【0066】
上記(A)法で用いられる気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、二酸化炭素(炭酸ガス)、窒素、酸素、アルゴン、フロン等の気体状発泡剤や、ペンタン、ネオペンタン、ブタン、ヘキサン、ヘプタンなどの低分子量の炭化水素、塩化メチル、塩化メチレン、トリクロロエチレン、ジクロルエタンなどの塩素化炭化水素、CFC−11、CFC−12、CFC−113、CFC−141bなどのフッ素化炭化水素、水、アルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の易揮発性液状発泡剤が挙げられ、なかでも気体状発泡剤が好適に用いられる。これらの気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記気体状発泡剤および易揮発性液状発泡剤は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0067】
上記気体状発泡剤のなかでも、ガスの回収が不要であり、取り扱いが安全であることから、二酸化炭素がより好適に用いられる。二酸化炭素は、比較的低い温度および比較的低い圧力で超臨界化することができ、超臨界状態時に層状珪酸塩の分散に対してより効果的に作用する。ここで言う超臨界状態とは、含浸すべき発泡剤の臨界点よりも温度および圧力が高い状態を言い、気体と液体との区別がなく、気体と液体との中間的な性質を持ち、熱伝導性が高く、拡散速度が速く、粘性が小さいという性質を有する。従って、超臨界状態は、層状珪酸塩を分散させるうえで好都合である。
【0068】
上記気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤を熱可塑性樹脂および層状珪酸塩からなる組成物中に含浸させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、密閉したオートクレーブ中に上記組成物および気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤を封入し、加圧する方法や、上記組成物を押出機に投入し、スクリューとしてベントタイプスクリューを用いて、シリンダーの途中からベント部分に気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤を注入する方法等が挙げられ、前者の方法は、圧力および温度の制御が容易である点で好ましく、また、後者の方法は、溶融状態にある上記組成物に圧力シールを行うことにより、組成物中に気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤を効果的に含浸させることができ、連続的に発泡体を製造することができる点で好ましい。
【0069】
気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤を上記組成物中に含浸させる温度は、組成物が劣化しない温度であれば良く、特に限定されるものではない。もっとも、含浸温度が高いほど、上記組成物に対する気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤の溶解量が上昇するので、高い発泡倍率の発泡体を得ることができる。従って、含浸温度は上記組成物が劣化しない温度の内で高い方が好ましく、良好な発泡状態を得るためには、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂である場合には、熱可塑性樹脂の融点±20℃の範囲であることが好ましく、また、熱可塑性樹脂が非晶性樹脂である場合には、熱可塑性樹脂のガラス転移点±20℃の範囲であることが好ましい。
【0070】
また、前記(B)法および(C)法で用いられる加熱分解型発泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。これらの加熱分解型発泡剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0071】
上記加熱分解型発泡剤の配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して加熱分解型発泡剤1〜50重量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂100重量部に対する加熱分解型発泡剤の配合量が1重量部未満であると、発泡性組成物の発泡性が不十分となることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する加熱分解型発泡剤の配合量が50重量部を超えると、得られる架橋発泡体の力学的物性が低下することがある。
【0072】
前記(B)法において、加熱分解型発泡剤を層状珪酸塩の結晶層間に含有させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0073】
(a)法:加熱分解型発泡剤の末端のアミノ基に塩酸を作用させて4級アミン化し、層状珪酸塩の結晶層間に存在する交換性金属カチオンと上記4級アミンとを水中でカチオン交換させることにより、加熱分解型発泡剤を層状珪酸塩の結晶層間に含有させる方法。
【0074】
(b)法:層状珪酸塩の結晶層間に存在する交換性金属カチオンに水中で加熱分解型発泡剤を溶媒和させることにより、加熱分解型発泡剤を層状珪酸塩の結晶層間に含有させる方法。
【0075】
一般に汎用の加熱分解型発泡剤は末端にアミノ基を有するものが多いことから、上記(a)法は実用的であり、また、一般に汎用の加熱分解型発泡剤は窒素や炭素−炭素二重結合のような金属との間に配位結合を形成するサイトを有するものが多いことから、上記(b)法も実用的である。
【0076】
加熱分解型発泡剤を層状珪酸塩の結晶層間に含有させる温度は、熱可塑性樹脂および層状珪酸塩からなる組成物が劣化しない温度および加熱分解型発泡剤が分解しない温度であれば良く、特に限定されるものではない。
【0077】
熱可塑性樹脂中における層状珪酸塩の分散に関しては、層状珪酸塩が剥離し、微細薄片状結晶が熱可塑性樹脂中に分散すればするほど、微細薄片状結晶間の平均距離が小さくなり、燃焼時において層状珪酸塩の微細薄片状結晶の移動による焼結体の形成が行われやすくなる。また、層状珪酸塩の微細薄片状結晶が熱可塑性樹脂中に分散すればするほど、得られる架橋発泡体の力学的物性や寸法安定性が向上する。
【0078】
上記いずれの現象も、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界面面積が層状珪酸塩の微細薄片状結晶の分散割合の向上に伴って増大することによる。即ち、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界面において、熱可塑性樹脂の分子運動が拘束されることにより、熱可塑性樹脂の力学的物性が増大するので、層状珪酸塩の微細薄片状結晶の分散割合が向上すればするほど、得られる架橋発泡体の力学的物性を増大させる効果が大きくなる。
【0079】
本発明の架橋発泡体を構成する発泡性組成物には、必須成分である熱可塑性樹脂、層状珪酸塩および発泡剤以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との親和性をさらに向上させるための酸変性ポリオレフィン系樹脂、難燃性をさらに向上させるための難燃剤、発泡性をさらに向上させるための発泡助剤、架橋性をさらに向上させるための架橋助剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が配合されていても良い。
【0080】
酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマーやエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの酸変性ポリエチレン系樹脂や、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーやプロピレン−アクリル酸共重合体などの酸変性ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。これらの酸変性ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0081】
上記酸変性ポリオレフィン系樹脂の配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して酸変性ポリオレフィン系樹脂1〜50重量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂100重量部に対する酸変性ポリオレフィン系樹脂の配合量が1重量部未満であると、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との親和性が十分に向上しないことがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する酸変性ポリオレフィン系樹脂の配合量が50重量部を超えると、均質な架橋発泡体を得るために必要とされる適正な溶融粘度や適正な凝集力を得られなくなることがある。
【0082】,
また、難燃剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物;金属酸化物;赤リンやポリリン酸アンモニウムなどのリン系化合物;メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、リン酸メラミンおよびこれらの表面処理物などのメラミン誘導体等が挙げられ、なかでも金属水酸化物やメラミン誘導体が好適に用いられる。これらの難燃剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0083】
上記金属水酸化物の配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して金属水酸化物0.1〜200重量部であることが好ましく、より好ましくは熱可塑性樹脂100重量部に対して金属水酸化物5〜100重量部である。熱可塑性樹脂100重量部に対する金属水酸化物の配合量が0.1重量部未満であると、金属水酸化物を配合することによる難燃性向上効果を十分に得られなくなることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する金属水酸化物の配合量が200重量部を超えると、発泡性組成物を十分に発泡させることが困難となったり、得られる架橋発泡体の見掛け密度(見掛け比重)が高くなりすぎて、実用性が乏しくなることがある。
【0084】
また、上記メラミン誘導体の配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対してメラミン誘導体0.1〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは熱可塑性樹脂100重量部に対してメラミン誘導体1〜40重量部である。熱可塑性樹脂100重量部に対するメラミン誘導体の配合量が0.1重量部未満であると、メラミン誘導体を配合することによる難燃性向上効果を十分に得られなくなることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対するメラミン誘導体の配合量が50重量部を超えると、発泡性組成物を十分に発泡させることが困難となることがある。
【0085】
また、発泡助剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、活性酸化亜鉛等が挙げられる。これらの発泡助剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0086】
上記発泡助剤の配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して発泡助剤0.1〜10重量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂100重量部に対する発泡助剤の配合量が0.1重量部未満であると、発泡助剤を配合することによる発泡性向上効果を十分に得られなくなることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する発泡助剤の配合量が10重量部を超えると、得られる架橋発泡体に破泡が生じることがある。
【0087】
さらに、架橋助剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、過酸化ベンゾイルなどのラジカル発生剤や、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステルなどの多官能性モノマー等が挙げられる。これらの架橋助剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0088】
上記架橋助剤の配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して架橋助剤0.1〜10重量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂100重量部に対する架橋助剤の配合量が0.1重量部未満であると、熱可塑性樹脂の架橋が不十分となって、均質な架橋発泡体を得られなくなることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する架橋助剤の配合量が10重量部を超えると、熱可塑性樹脂の架橋密度が高くなりすぎて、発泡性組成物の発泡性が損なわれることがある。
【0089】
本発明の架橋発泡体を構成する発泡性組成物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂、層状珪酸塩および例えば加熱分解型発泡剤の各所定量と、必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを、常温下もしくは加熱下で、直接配合して混練する方法(直接混練法)や、予め熱可塑性樹脂の所定量の一部に所定量の層状珪酸塩を配合して混練したマスターバッチを作製しておき、このマスターバッチと熱可塑性樹脂の所定量の残部(残量)、例えば加熱分解型発泡剤および必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを、常温下もしくは加熱下で混練する方法(マスターバッチ法)等が挙げられ、いずれの方法が採られても良い。なお、配合される発泡剤が加熱分解型発泡剤である場合には、混練温度は加熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度であることが好ましい。
【0090】
上記マスターバッチにおける層状珪酸塩の濃度は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して層状珪酸塩15〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは20〜70重量部である。上記マスターバッチにおいて、熱可塑性樹脂100重量部に対する層状珪酸塩の濃度が15重量部未満であると、任意濃度に希釈可能なマスターバッチとしての利便性が失われることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する層状珪酸塩の濃度が100重量部を超えると、マスターバッチ自体の分散性が悪くなったり、熱可塑性樹脂の所定量の残部(残量)によって層状珪酸塩を所定の配合量に希釈する際の層状珪酸塩の分散性が悪くなることがある。
【0091】
上記直接混練法やマスターバッチ法による発泡性組成物の具体的な製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、押出機、2本ロール、バンバリーミキサー等の混練機を用いて、発泡性組成物を構成する熱可塑性樹脂、層状珪酸塩および例えば加熱分解型発泡剤の各所定量と、必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを、常温下もしくは加熱下で、溶融混練する方法や、熱可塑性樹脂、層状珪酸塩および例えば加熱分解型発泡剤と、必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上とを、これらが溶解もしくは分散しうる溶媒中で混練した後、溶媒を除去する方法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良い。
【0092】
また、例えば遷移金属錯体類のような重合触媒(重合開始剤)を結晶層間に含有する層状珪酸塩を用いて、熱可塑性樹脂を構成するモノマーおよび上記層状珪酸塩の各所定量を混練し、上記モノマーを重合させて熱可塑性樹脂を製造した後に、例えば加熱分解型発泡剤と必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを配合して、混練する方法が採られても良い。なお、上記いずれの方法においても、配合される発泡剤が加熱分解型発泡剤である場合には、混練温度は加熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度であることが好ましい。
【0093】
本発明の架橋発泡体は、上述した発泡性組成物が先ず架橋され、次いで発泡されてなる。
【0094】
本発明の架橋発泡体の成形方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記(A)法、(B)法および(C)法等が挙げられ、いずれの成形方法が採られても良いが、なかでも、均質な架橋発泡体を優れた生産性で成形することができることから、(C)法を採ることが好ましい。また、これらの成形方法は、単独で採られても良いし、2種類以上が併用されて採られても良い。
【0095】
前記(C)法による成形方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、発泡性組成物を構成する熱可塑性樹脂、層状珪酸塩および加熱分解型発泡剤の各所定量と例えば架橋助剤や発泡助剤のような必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを押出機に供給し、溶融混練して押出し、発泡性組成物からなる発泡性シート(発泡性原反)を作製した後に、この発泡性シートに例えば電子線を所定量照射して架橋させ、得られた発泡性架橋シートを発泡炉に導入して連続的に加熱発泡させる方法や、上記発泡性組成物に例えば電子線を所定量照射して架橋させ、得られた発泡性架橋組成物を金型に供給してバッチ式に加熱発泡させる方法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良いが、なかでも、生産性に優れることから、前者の方法を採ることが好ましい。
【0096】
こうして得られる本発明の架橋発泡体は、ゲル分率が15〜70重量%であり、かつ、見掛け密度が0.03〜0.1g/cm3 であることが必要である。なお、本発明で言うゲル分率とは、以下の方法で測定されたゲル分率を意味し、また、本発明で言う見掛け密度とは、JIS K−6767「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に準拠して測定された見掛け密度を意味する。
〔ゲル分率の測定方法〕
架橋発泡体の一定量を秤量(Ag)し、これを120℃のキシレン中に24時間浸漬した後、不溶解分を200メッシュの金網で濾過し、金網上の濾過残渣を真空乾燥して、その時の重量(Bg)を測定し、下記式によりゲル分率(重量%)を算出する。
ゲル分率(重量%)=100×B/A
【0097】
架橋発泡体のゲル分率が15〜70重量%の範囲を逸脱すると、均質な架橋発泡体を得るために必要とされる適正な溶融粘度や適正な凝集力を得られなくなって、架橋発泡体が均質性を欠くことになる。
【0098】
また、架橋発泡体の見掛け密度が0.03g/cm3 未満であると、燃焼後の燃焼残渣(灰分)が脆くなって、形状を保持することが困難となり、逆に架橋発泡体の見掛け密度が0.1g/cm3 を超えると、燃焼時に架橋発泡体が膨張して、形状を保持することが困難となる。
【0099】
【作用】
本発明の架橋発泡体は、熱可塑性樹脂に対して特定量の層状珪酸塩および発泡剤が配合されてなる発泡性組成物からなるので、燃焼時に層状珪酸塩による焼結体が形成され、従って燃焼時におけるドリップ現象の発生や燃焼前後の形状変化が少なく、優れた難燃性を発現するものであり、燃焼後も燃焼残渣の形状崩壊が起こらず、延焼を効果的に防止することができる。
【0100】
また、本発明の架橋発泡体は、ゲル分率が特定の範囲となされているので、発泡時における溶融粘度や凝集力が適正であって、均質性に優れる架橋発泡体であり、かつ、見掛け密度が特定の範囲となされているので、上記燃焼前後における形状変化がより少ないものである。
【0101】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0102】
本実施例においては以下の原材料を用いた。
1.熱可塑性樹脂
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体:EVA(商品名「エバフレックスEV460」、酢酸ビニル含有量:19重量%、三井デュポンポリケミカル社製)
(2)低密度ポリエチレン樹脂:LDPE(商品名「LE520H」、日本ポリケム社製)
2.層状珪酸塩
(1)ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドで有機化処理が施された膨潤性フッ素マイカ(商品名「ソマシフMAE−100」、平均長さ:0.2μm、厚み:0.002μm、アスペクト比:100、コープケミカル社製)
(2)ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドで有機化処理が施されたモンモリロナイト(商品名「クレイトンHY」、サザンクレイプロダクツ社製)
3.加熱分解型発泡剤
・アゾジカルボンアミド(商品名「ユニフォームAZ SO−40」、大塚化学社製)
4.発泡助剤
・ステアリン酸亜鉛(商品名「SZ−2000」、堺化学社製)
【0103】
(実施例1)
熱可塑性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体「エバフレックスEV460」100重量部、層状珪酸塩としてジステアリルジメチルアンモニウムクロライドで有機化処理が施された膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」15重量部、加熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド「ユニフォームAZ SO−40」15重量部および発泡助剤としてステアリン酸亜鉛「SZ−2000」2重量部をラボプラストミルに供給し、110℃で15分間溶融混練して、発泡性組成物を作製した。
【0104】
次いで、ハンドプレスを用いて、上記で得られた発泡性組成物を110℃でプレスして、厚み1mmの発泡性シート(発泡性原反)を作製した後、この発泡性シートに100mA、800KVの電子線を2Mrad照射して上記発泡性シートを架橋させた。その後、上記発泡性架橋シートを240℃のギアーオーブン内に100秒間放置して、発泡させ、架橋発泡体を作製した。
【0105】
(実施例2〜実施例7)および(比較例1〜比較例6)
発泡性組成物の配合組成を表1に示す組成としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、架橋発泡体を作製した。
【0106】
実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例5で得られた12種類の架橋発泡体の厚みおよび発泡倍率を測定した。また、上記12種類の架橋発泡体のゲル分率および見掛け密度を前記方法で測定した。その結果は表1に示すとおりであった。なお、比較例6については良好な架橋発泡体を得られなかったので、上記測定および下記難燃性の評価は行わなかった。
【0107】
次に、実施例1および比較例1で得られた架橋発泡体の難燃性を下記UL94HBF法およびUL94HB法で評価した。また、実施例2〜実施例7および比較例2〜比較例5で得られた架橋発泡体の難燃性を下記UL94HBF法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0108】
1.難燃性試験−UL94HBF法
Underwriters Laboratory(米国)の難燃規格UL94HBFに準拠して、架橋発泡体から切り出した幅2インチ×長さ6インチの燃焼試験片を金網上に載せ、燃焼試験片の幅全体に炎があたるようにガスバーナーを接炎させ、燃焼試験片の長さ方向の端部から1インチから5インチまで燃焼させた後、燃焼試験片の幅方向および長さ方向の寸法を測定し、下記判定基準により難燃性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥燃焼前後の燃焼試験片の形状に変化は認められなかった。
×‥‥燃焼中の燃焼試験片にドリップ現象が認められた。また、燃焼後の燃
焼試験片に収縮や膨張が認められた。
【0109】
2.難燃性試験−UL94HB法
Underwriters Laboratory(米国)の難燃規格UL94HBFに準拠して、架橋発泡体から切り出した幅2インチ×長さ6インチの燃焼試験片の長さ方向の一端を挟んで燃焼試験片が水平になるように保持し、燃焼試験片の長さ方向の他端にガスバーナーを接炎させ、燃焼試験片の長さ方向の他端から1インチから4インチまで燃焼させた後、燃焼試験片の幅方向および長さ方向の寸法を測定し、上記UL94HBF法の場合と同様の判定基準により難燃性を評価した。
【0110】
【表1】
【0111】
表1から明らかなように、本発明による実施例1の架橋発泡体は、難燃性試験のUL94HBF法およびUL94HB法のいずれにも合格しており、優れた難燃性を発現した。また、本発明による実施例2〜実施例7の架橋発泡体は、いずれも難燃性試験のUL94HBF法に合格しており、優れた難燃性を発現した。
【0112】
これに対し、熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体)100重量部に対する層状珪酸塩(膨潤性フッ素マイカ)の配合量が10重量部未満(5重量部)であった比較例1の架橋発泡体は、難燃性試験のUL94HBF法およびUL94HB法のいずれにも不合格であり、難燃性が悪かった。また、熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体)100重量部に対する層状珪酸塩(モンモリロナイト)の配合量が10重量部未満(5重量部)であった比較例2の架橋発泡体、見掛け密度が0.1g/cm3 を超えていた(0.167g/cm3 )比較例3の架橋発泡体、見掛け密度が0.03g/cm3 未満(0.029g/cm3 )であった比較例4の架橋発泡体および層状珪酸塩を配合しなかった比較例5の架橋発泡体は、いずれも難燃性試験のUL94HBF法に不合格であり、難燃性が悪かった。さらに、熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体)100重量部に対する層状珪酸塩(膨潤性フッ素マイカ)の配合量が70重量部を超えていた(80重量部)発泡性組成物を用いた比較例6については、良好な架橋発泡体を得られなかったので、難燃性の評価ができなかった。
【0113】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の架橋発泡体は、難燃性に優れ、燃焼時におけるドリップ現象の発生や燃焼前後の形状変化が少なく、しかも力学的物性、耐熱性、柔軟性、衝撃吸収性、断熱性、寸法安定性等に優れ、線膨張率が低い等の優れた諸性能を兼備するものであり、例えば、天井、ドア、計器パネルなどの車両内装材や緩衝材あるいは断熱材等を始め、各種工業用途に好適に用いられる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂架橋発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、熱可塑性樹脂は、その燃焼時においては融解・気化しながら燃焼するので、燃焼中には熱可塑性樹脂が熱分解することにより生成した低分子量の液体状の炭化水素が滴下する現象(ドリップ現象)が発生する。
【0003】
上記ドリップ現象は、含ハロゲン熱可塑性樹脂や含窒素熱可塑性樹脂などの難燃性熱可塑性樹脂を主原料として用いた成形体や、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、金属水酸化物系難燃剤などの難燃剤を添加した難燃性熱可塑性樹脂を主原料として用いた成形体についても同様に発生し、熱可塑性樹脂を主原料としてなる成形体が燃焼前の形状を保持することは困難である。
【0004】
また、ドリップ現象は、熱可塑性樹脂を主原料として用いた発泡体についても同様に発生し、むしろ、燃焼前後の形状変化は、非発泡の成形体よりも発泡体の方が著しい。
【0005】
現在主流の熱可塑性樹脂発泡体の多くは、見掛け密度が0.025〜0.2g/cm3 であり、単位体積あたりの熱可塑性樹脂量が非常に少ないため、一度着火すると熱可塑性樹脂が迅速に熱分解・燃焼し、燃焼前の発泡体の形状を保持するために必要な気泡構造が破壊されてしまう。
【0006】
一般に熱可塑性樹脂発泡体は、柔軟性、衝撃吸収性、断熱性等に優れているので、例えば、天井、ドア、計器パネルなどの車両内装材や緩衝材等として広く用いられている。また、独立気泡であるポリオレフィン系樹脂発泡体は、断熱材としての用途も多い。しかし、これらの熱可塑性樹脂発泡体には、炎による熱変形に対しては非常に弱いという問題点や、難燃性が高く自己消火性に富む発泡体であっても、自己消火するまでに著しく熱変形してしまうという問題点がある。
【0007】
一方、熱可塑性樹脂発泡体の機械的強度などの力学的物性や衝撃吸収性、断熱性、寸法安定性等を向上させたり、線膨張率を低減させるために、熱可塑性樹脂発泡体中に無機充填剤を含有させることが行われており、例えば、特開平8−143697号公報には、発泡剤およびシランカップリング剤を吸着した粘土化合物および/または珪藻土を含有することを特徴とするポリプロピレン発泡体組成物が開示されている。
【0008】
上記公報に開示されているポリプロピレン発泡体組成物は、粘土化合物や珪藻土をポリプロピレンと混練することによって、発泡体の機械的強度などの力学的物性や衝撃吸収性、断熱性、寸法安定性等を向上させたり、線膨張率を低減させることができるものとされている。
【0009】
しかし、上記公報に開示されているポリプロピレン発泡体組成物は、粘土化合物や珪藻土の凝集構造を解砕して薄片状結晶をポリプロピレン中に均一に分散させることについては全く考慮されていないので、粘土化合物や珪藻土を含有させることによる効果が十分に引き出されているとは言いがたい。即ち、上記公報に開示されているポリプロピレン発泡体組成物は、燃焼時におけるドリップ現象の発生や燃焼前後での発泡体の形状変化等を十分に抑制し得るものとは言いがたい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、難燃性に優れ、燃焼時におけるドリップ現象の発生や燃焼前後の形状変化が少なく、しかも力学的物性、耐熱性、柔軟性、衝撃吸収性、断熱性、寸法安定性等に優れ、線膨張率の低い熱可塑性樹脂架橋発泡体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)による熱可塑性樹脂架橋発泡体は、熱可塑性樹脂100重量部に対して層状珪酸塩10〜70重量部および発泡剤が配合されてなる発泡性熱可塑性樹脂組成物からなり、かつ、ゲル分率が15〜70重量%であり、見掛け密度が0.03〜0.1g/cm3 であることを特徴とする。
【0012】
本発明の熱可塑性樹脂架橋発泡体(以下、単に「架橋発泡体」と略記する)を構成する発泡性熱可塑性樹脂組成物(以下、単に「発泡性組成物」と略記する)に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられ、なかでもポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0013】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体またはブロック共重合体、エチレンの単独重合体、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、エチレンとスチレンとの共重合体、ブテンの単独重合体、イソプレンやブタジエンなどの共役ジエン類の単独重合体または共重合体等が挙げられ、なかでもプロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体、エチレンの単独重合体、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体、エチレンとアクリル酸エチルとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体等が好適に用いられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。なお、本発明で言う例えば(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
【0014】
上記ポリオレフィン系樹脂は、特に限定されるものではないが、JIS K−7210「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法に準拠して測定されたメルトマスフローレイト(MFR)が0.2〜10g/10分であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂の上記MFRが0.2g/10分未満であると、得られる架橋発泡体の表面の外観が悪くなることがあり、逆にポリオレフィン系樹脂の上記MFRが10g/10分を超えると、得られる架橋発泡体の耐熱性が不十分となることがある。
【0015】
本発明において、優れた柔軟性を有する架橋発泡体を所望する場合には、熱可塑性樹脂としてエチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体やエチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体あるいはエチレンと酢酸ビニルとの共重合体等を用いることが好ましい。この際、共重合体中における(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルあるいは酢酸ビニルの含有量は、特に限定されるものではないが、0.1〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30重量%である。共重合体中における(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルあるいは酢酸ビニルの含有量が0.1重量%未満であると、得られる架橋発泡体の柔軟性が乏しくなることがあり、逆に共重合体中における(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルあるいは酢酸ビニルの含有量が50重量%を超えると、得られる架橋発泡体の耐熱性が不十分となることがある。
【0016】
また、本発明において、柔軟性と力学的物性とのバランスに優れる架橋発泡体を所望する場合には、熱可塑性樹脂としてエチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体を用いることが好ましい。エチレン以外のα−オレフィンの共重合比率を高めることにより、共重合体は柔軟性に富むものとなり、逆にエチレン以外のα−オレフィンの共重合比率を低めることにより、共重合体は力学的物性の高いものとなる。
【0017】
上記エチレン以外のα−オレフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。これらのエチレン以外のα−オレフィンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0018】
共重合体中におけるエチレン以外のα−オレフィンの含有量は、特に限定されるものではないが、0.1〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜40重量%である。共重合体中におけるエチレン以外のα−オレフィンの含有量が0.1重量%未満であると、得られる架橋発泡体の柔軟性が乏しくなることがあり、逆に共重合体中におけるエチレン以外のα−オレフィンの含有量が50重量%を超えると、得られる架橋発泡体の耐熱性が不十分となることがある。
【0019】上記エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体は、均一系の重合触媒を用いて重合された共重合体であっても良い。この共重合体は、一般にメタロセン系化合物を均一系の重合触媒として重合されるので、メタロセンポリエチレンと呼称されることがある。メタロセンポリエチレンにおいては、エチレン以外のα−オレフィンの共重合比率を容易に高めることができるので、著しく優れた柔軟性を有する共重合体を得ることができる。また、メタロセンポリエチレンは、結晶ラメラ厚みが薄いため、結晶同士を結ぶタイ分子が多くなるので、力学的物性にも優れている。従って、本発明において、柔軟性と力学的物性とのバランスが高い次元で優れている架橋発泡体を所望する場合には、熱可塑性樹脂としてメタロセンポリエチレンを用いることが好ましい。
【0020】
上記均一系の重合触媒となり得るメタロセン系化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、IV族、X族、XI族の遷移金属の錯体等が挙げられる。これらのメタロセン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0021】
上記遷移金属の錯体とは、遷移金属原子に配位子が結合したものであり、上記配位子としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素−置換メタロイド基などにより置換されたシクロペンタジエン環;シクロペンタジエニルオリゴマー環;インデニル環;炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素−置換メタロイド基などにより置換されたインデニル環等や、塩素や臭素などの1価のアニオンリガンド;2価のアニオンキレートリガンド;炭化水素基;アルコキシド基;アミド基;アリールアミド基;アリールオキシド基;ホスフィド基;アリールホスフィド基;シリル基;置換シリル基等が挙げられる。これらの配位子は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0022】
また、本発明において、耐熱性に優れる架橋発泡体を所望する場合には、熱可塑性樹脂として高密度ポリエチレン樹脂やポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。上記ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、プロピレンの単独重合体やプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。上記プロピレン以外のα−オレフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。これらのプロピレン以外のα−オレフィンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記ポリプロピレン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。さらに、上記高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン系樹脂は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0023】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、樹脂の特性を改質するために、熱可塑性エラストマー類やオリゴマー類等が配合されていても良い。
【0024】
上記熱可塑性エラストマー類としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。これらの熱可塑性エラストマー類は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記オリゴマー類としては、特に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー等が挙げられる。これらのオリゴマー類は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記熱可塑性エラストマー類およびオリゴマー類は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0025】
また、本発明で用いられる熱可塑性樹脂には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、物性を均一化する補助手段として結晶を微細化するための結晶核となりうる造核剤や、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が配合されていても良い。
【0026】
本発明の架橋発泡体を構成する発泡性組成物に用いられる層状珪酸塩とは、結晶層間に交換性金属カチオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。
【0027】
上記層状珪酸塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられ、なかでもモンモリロナイトや膨潤性マイカが好適に用いられる。上記層状珪酸塩は、天然物であっても良いし、合成物であっても良い。また、これらの層状珪酸塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0028】
上記層状珪酸塩としては、下記関係式(1)で定義される形状異方性効果の大きいスメクタイト系粘土鉱物や膨潤性マイカを用いることが好ましい。スメクタイト系粘土鉱物や膨潤性マイカのような形状異方性効果の大きい層状珪酸塩を用いることにより、得られる架橋発泡体はより優れた力学的物性を有するものとなる。
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶表面(B)の面積‥‥(1)
なお、上式中、結晶表面(A)は層表面を意味し、結晶表面(B)は層側面を意味する。
【0029】
上記層状珪酸塩の形状は、特に限定されるものではないが、凝集構造を解砕した微細薄片状結晶の平均長さが0.01〜3μm、厚みが0.001〜1μm、アスペクト比が20〜500であるものが好ましく、より好ましくは、平均長さが0.05〜2μm、厚みが0.01〜0.5μm、アスペクト比が50〜200のものである。
【0030】
上記層状珪酸塩の結晶層間に存在する交換性金属カチオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリウムやカルシウムなどの金属イオンのことであり、これらの金属イオンは、カチオン性物質とカチオン交換性を有するため、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の結晶層間に挿入もしくは捕捉することができる。
【0031】
上記層状珪酸塩のカチオン交換容量は、特に限定されるものではないが、50〜200ミリ等量/100gであることが好ましい。層状珪酸塩のカチオン交換容量が50ミリ等量/100g未満であると、カチオン交換により層状珪酸塩の結晶層間に捕捉されるカチオン性物質の量が少なくなるために、結晶層間が十分に非極性化(疎水化)されないことがあり、逆に層状珪酸塩のカチオン交換容量が200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固になりすぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0032】
本発明において、熱可塑性樹脂として例えばポリオレフィン系樹脂のような低極性樹脂を用いる場合には、予め層状珪酸塩の層間をカチオン性界面活性剤でカチオン交換して、疎水化しておくことが好ましい。予め層状珪酸塩の層間を疎水化しておくことにより、層状珪酸塩と低極性の熱可塑性樹脂との親和性が高まり、層状珪酸塩を低極性の熱可塑性樹脂中により均一に微分散させることができる。
【0033】
上記カチオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられ、なかでも、層状珪酸塩の結晶層間を十分に非極性化(疎水化)しうることから、炭素数6以上のアルキル鎖を有する4級アンモニウム塩(炭素数6以上のアルキルアンモニウム塩)が好適に用いられる。
【0034】
上記4級アンモニウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0035】
また、上記4級ホスホニウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記4級アンモニウム塩および4級ホスホニウム塩は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0036】
本発明で用いられる層状珪酸塩は、上述のように化学処理によって熱可塑性樹脂中への分散性を向上させることができる。
【0037】
上記化学処理は、(1)カチオン性界面活性剤によるカチオン交換法(以下、「化学修飾(1)法」と記す)に限定されるものではなく、例えば、以下に示す各種化学処理法によっても実施することができる。なお、化学修飾(1)法を含め、以下に示す各種化学処理法によって熱可塑性樹脂中への分散性を向上させた層状珪酸塩を、以下、「有機化層状珪酸塩」と記す。
【0038】
(2)化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これと化学結合しうる官能基または化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基を分子末端に1個以上有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(2)法」と記す)。
【0039】
(3)化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これと化学結合しうる官能基または化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基および反応性官能基を分子末端に1個以上有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(3)法」と記す)。
【0040】
(4)化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面を、アニオン性界面活性を有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(4)法」と記す)。
【0041】
(5)化学修飾(4)法において、アニオン性界面活性を有する化合物の分子鎖中のアニオン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(5)法」と記す)。
【0042】
(6)上記化学修飾(1)法〜化学修飾(5)法のいずれかの方法で化学処理された有機化層状珪酸塩に、さらに、例えば無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル系樹脂のような層状珪酸塩と反応可能な官能基を有する樹脂を添加した組成物を用いる方法(以下、「化学修飾(6)法」と記す)。
【0043】
これらの化学修飾法は、単独で用いられても良いし、2種類以上の方法が併用されても良い。
【0044】
上記化学修飾(2)法において、水酸基と化学結合しうる官能基または化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルコキシル基、グリシジル基、カルボキシル基(二塩基性酸無水物も含む)、水酸基、イソシアネート基、アルデヒド基などの官能基や、水酸基との化学的親和性が高いその他の官能基等が挙げられる。これらの官能基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0045】
水酸基と化学結合しうる官能基または化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記例示の官能基を有するシラン化合物、チタネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、アルコール類等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0046】
上記シラン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0047】
また、化学修飾(4)法および化学修飾(5)法において、アニオン性界面活性を有する化合物および/またはアニオン性界面活性を有し、分子鎖中のアニオン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物としては、イオン相互作用により層状珪酸塩を化学処理できるものであれば如何なる化合物であっても良く、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、不飽和アルコール硫酸エステル塩等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0048】
本発明で用いられる層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、熱可塑性樹脂中において一部もしくは全部が5層以下に分散している層状珪酸塩であることが好ましく、より好ましくは、上記平均層間距離が6nm以上であり、かつ、熱可塑性樹脂中において一部もしくは全部が5層以下に分散している層状珪酸塩である。なお、本発明で言う層状珪酸塩の平均層間距離とは、層状珪酸塩の微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離を意味し、X線回折ピークおよび透過型電子顕微鏡撮影、即ち、広角X線回折測定法により、算出することができる。
【0049】
層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、熱可塑性樹脂中において一部もしくは全部が5層以下に分散していると、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に配合し分散させて得られる発泡性組成物からなる架橋発泡体は、優れた難燃性、力学的物性、耐熱性、寸法安定性等を発現するものとなる。
【0050】
層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上であるということは、層状珪酸塩の層間が3nm以上に開裂していることを意味しており、また、熱可塑性樹脂中において層状珪酸塩の一部もしくは全部が5層以下に分散しているということは、層状珪酸塩の積層体の一部もしくは全部が熱可塑性樹脂中に広く分散していることを意味しており、いずれも層状珪酸塩の層間の相互作用が弱まっていることになり、そのことにより、上記効果を得ることができる。
【0051】
特に、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm以上であると、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に配合し分散させて得られる発泡性組成物からなる架橋発泡体は、著しく優れた難燃性、力学的物性、耐熱性、寸法安定性等を発現するものとなる。また、層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上、好ましくは6nm以上であると、層状珪酸塩の微細薄片状結晶が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互作用が殆ど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する微細薄片状結晶の熱可塑性樹脂中における分散状態が離砕安定化の方向に進行する利点がある。
【0052】
また、熱可塑性樹脂中において層状珪酸塩の一部もしくは全部が5層以下に分散しているということは、具体的には、層状珪酸塩の10%以上が5層以下に分散している状態にあることが好ましいことを意味し、より好ましくは層状珪酸塩の20%以上が5層以下に分散している状態である。
【0053】
層状珪酸塩の積層数は、5層以下に分層していることが好ましく、そのことにより、上記効果を得ることができるが、より好ましくは3層以下に分層していることであり、特に好ましくは単層状に薄片化していることである。
【0054】
本発明の架橋発泡体を構成する発泡性組成物において、層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、熱可塑性樹脂中において層状珪酸塩の一部もしくは全部が5層以下に分散している状態、即ち、熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩が高分散している状態であれば、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界面面積が増大したり、層状珪酸塩の微細薄片状結晶間の平均距離が小さくなる。
【0055】
熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界面面積が増大すると、層状珪酸塩の表面における熱可塑性樹脂の拘束の度合いが高まり、機械的強度や弾性率などの力学的物性が向上する。また、層状珪酸塩の表面における熱可塑性樹脂の拘束の度合いが高まると、溶融粘度が高まり、発泡性や成形性も向上する。
【0056】
一方、層状珪酸塩の微細薄片状結晶間の平均距離が小さくなると、燃焼時において、層状珪酸塩の微細薄片状結晶の移動による焼結体を形成しやすくなる。即ち、層状珪酸塩の微細薄片状結晶が上記平均層間距離が3nm以上となるように分散した発泡性組成物からなる架橋発泡体は、難燃被膜となりうる焼結体を形成しやすくなる。この焼結体は、燃焼時の早い段階で形成されるので、外界からの酸素の供給を遮断するのみならず、燃焼により発生する可燃性ガスも遮断することができ、架橋発泡体は優れた難燃性を発現する。
【0057】
本発明の架橋発泡体を構成する発泡性組成物は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して上記層状珪酸塩(前記有機化層状珪酸塩も含む)10〜70重量部が配合されてなることが必要であり、好ましくは熱可塑性樹脂100重量部に対して層状珪酸塩15〜50重量部である。
【0058】
熱可塑性樹脂100重量部に対する層状珪酸塩の配合量が10重量部未満であると、燃焼時に焼結体を形成するのが困難となるので、難燃化効果が小さいものとなり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する層状珪酸塩の配合量が70重量部を超えると、発泡性組成物を十分に発泡させることが困難となったり、得られる架橋発泡体の見掛け密度(見掛け比重)が高くなりすぎて、実用性が乏しくなる。
【0059】
熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩を分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記有機化層状珪酸塩を用いる方法;熱可塑性樹脂と層状珪酸塩とを常法により混合した後、発泡させる方法;分散剤を用いる方法等が挙げられる。これらの分散方法を用いることにより、熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩を均一かつ微細に分散させることができる。
【0060】
上記の熱可塑性樹脂と層状珪酸塩とを常法により混合した後、発泡させる方法について以下に述べる。この方法は、発泡剤を用いて熱可塑性樹脂を発泡させ、その発泡エネルギーを層状珪酸塩の分散エネルギーに転換する方法と同時に発泡体を形成せしめる方法とを兼ねている。
【0061】
上記発泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、気体状発泡剤、易揮発性液状発泡剤、加熱分解型固体状発泡剤等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0062】
層状珪酸塩の存在下で熱可塑性樹脂を発泡させることにより、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に均一かつ微細に分散せしめると同時に発泡体を形成せしめる具体的な方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0063】
(A)法:熱可塑性樹脂100重量部および層状珪酸塩10〜70重量部からなる熱可塑性樹脂組成物(以下、単に「組成物」と略記する)に対し、気体状発泡剤(常温常圧下でガス状の化合物)や易揮発性液状発泡剤を高圧下もしくは常圧下で含浸させて発泡性組成物を調製した後、その気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤を発泡性組成物内で気化させることにより、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に分散せしめると同時に発泡体を形成せしめる方法。
【0064】
(B)法:結晶層間に予め加熱分解型発泡剤を含有させた層状珪酸塩を用いて発泡性組成物を調製した後、その加熱分解型発泡剤を加熱により分解させることにより、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に分散せしめると同時に発泡体を形成せしめる方法。
【0065】
(C)法:熱可塑性樹脂中に予め層状珪酸塩および加熱分解型発泡剤を配合し分散させて発泡性組成物を調製した後、その加熱分解型発泡剤を加熱により分解させることにより、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に分散せしめると同時に発泡体を形成せしめる方法。
【0066】
上記(A)法で用いられる気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、二酸化炭素(炭酸ガス)、窒素、酸素、アルゴン、フロン等の気体状発泡剤や、ペンタン、ネオペンタン、ブタン、ヘキサン、ヘプタンなどの低分子量の炭化水素、塩化メチル、塩化メチレン、トリクロロエチレン、ジクロルエタンなどの塩素化炭化水素、CFC−11、CFC−12、CFC−113、CFC−141bなどのフッ素化炭化水素、水、アルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の易揮発性液状発泡剤が挙げられ、なかでも気体状発泡剤が好適に用いられる。これらの気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記気体状発泡剤および易揮発性液状発泡剤は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0067】
上記気体状発泡剤のなかでも、ガスの回収が不要であり、取り扱いが安全であることから、二酸化炭素がより好適に用いられる。二酸化炭素は、比較的低い温度および比較的低い圧力で超臨界化することができ、超臨界状態時に層状珪酸塩の分散に対してより効果的に作用する。ここで言う超臨界状態とは、含浸すべき発泡剤の臨界点よりも温度および圧力が高い状態を言い、気体と液体との区別がなく、気体と液体との中間的な性質を持ち、熱伝導性が高く、拡散速度が速く、粘性が小さいという性質を有する。従って、超臨界状態は、層状珪酸塩を分散させるうえで好都合である。
【0068】
上記気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤を熱可塑性樹脂および層状珪酸塩からなる組成物中に含浸させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、密閉したオートクレーブ中に上記組成物および気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤を封入し、加圧する方法や、上記組成物を押出機に投入し、スクリューとしてベントタイプスクリューを用いて、シリンダーの途中からベント部分に気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤を注入する方法等が挙げられ、前者の方法は、圧力および温度の制御が容易である点で好ましく、また、後者の方法は、溶融状態にある上記組成物に圧力シールを行うことにより、組成物中に気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤を効果的に含浸させることができ、連続的に発泡体を製造することができる点で好ましい。
【0069】
気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤を上記組成物中に含浸させる温度は、組成物が劣化しない温度であれば良く、特に限定されるものではない。もっとも、含浸温度が高いほど、上記組成物に対する気体状発泡剤や易揮発性液状発泡剤の溶解量が上昇するので、高い発泡倍率の発泡体を得ることができる。従って、含浸温度は上記組成物が劣化しない温度の内で高い方が好ましく、良好な発泡状態を得るためには、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂である場合には、熱可塑性樹脂の融点±20℃の範囲であることが好ましく、また、熱可塑性樹脂が非晶性樹脂である場合には、熱可塑性樹脂のガラス転移点±20℃の範囲であることが好ましい。
【0070】
また、前記(B)法および(C)法で用いられる加熱分解型発泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。これらの加熱分解型発泡剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0071】
上記加熱分解型発泡剤の配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して加熱分解型発泡剤1〜50重量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂100重量部に対する加熱分解型発泡剤の配合量が1重量部未満であると、発泡性組成物の発泡性が不十分となることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する加熱分解型発泡剤の配合量が50重量部を超えると、得られる架橋発泡体の力学的物性が低下することがある。
【0072】
前記(B)法において、加熱分解型発泡剤を層状珪酸塩の結晶層間に含有させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0073】
(a)法:加熱分解型発泡剤の末端のアミノ基に塩酸を作用させて4級アミン化し、層状珪酸塩の結晶層間に存在する交換性金属カチオンと上記4級アミンとを水中でカチオン交換させることにより、加熱分解型発泡剤を層状珪酸塩の結晶層間に含有させる方法。
【0074】
(b)法:層状珪酸塩の結晶層間に存在する交換性金属カチオンに水中で加熱分解型発泡剤を溶媒和させることにより、加熱分解型発泡剤を層状珪酸塩の結晶層間に含有させる方法。
【0075】
一般に汎用の加熱分解型発泡剤は末端にアミノ基を有するものが多いことから、上記(a)法は実用的であり、また、一般に汎用の加熱分解型発泡剤は窒素や炭素−炭素二重結合のような金属との間に配位結合を形成するサイトを有するものが多いことから、上記(b)法も実用的である。
【0076】
加熱分解型発泡剤を層状珪酸塩の結晶層間に含有させる温度は、熱可塑性樹脂および層状珪酸塩からなる組成物が劣化しない温度および加熱分解型発泡剤が分解しない温度であれば良く、特に限定されるものではない。
【0077】
熱可塑性樹脂中における層状珪酸塩の分散に関しては、層状珪酸塩が剥離し、微細薄片状結晶が熱可塑性樹脂中に分散すればするほど、微細薄片状結晶間の平均距離が小さくなり、燃焼時において層状珪酸塩の微細薄片状結晶の移動による焼結体の形成が行われやすくなる。また、層状珪酸塩の微細薄片状結晶が熱可塑性樹脂中に分散すればするほど、得られる架橋発泡体の力学的物性や寸法安定性が向上する。
【0078】
上記いずれの現象も、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界面面積が層状珪酸塩の微細薄片状結晶の分散割合の向上に伴って増大することによる。即ち、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界面において、熱可塑性樹脂の分子運動が拘束されることにより、熱可塑性樹脂の力学的物性が増大するので、層状珪酸塩の微細薄片状結晶の分散割合が向上すればするほど、得られる架橋発泡体の力学的物性を増大させる効果が大きくなる。
【0079】
本発明の架橋発泡体を構成する発泡性組成物には、必須成分である熱可塑性樹脂、層状珪酸塩および発泡剤以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との親和性をさらに向上させるための酸変性ポリオレフィン系樹脂、難燃性をさらに向上させるための難燃剤、発泡性をさらに向上させるための発泡助剤、架橋性をさらに向上させるための架橋助剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が配合されていても良い。
【0080】
酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマーやエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの酸変性ポリエチレン系樹脂や、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーやプロピレン−アクリル酸共重合体などの酸変性ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。これらの酸変性ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0081】
上記酸変性ポリオレフィン系樹脂の配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して酸変性ポリオレフィン系樹脂1〜50重量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂100重量部に対する酸変性ポリオレフィン系樹脂の配合量が1重量部未満であると、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との親和性が十分に向上しないことがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する酸変性ポリオレフィン系樹脂の配合量が50重量部を超えると、均質な架橋発泡体を得るために必要とされる適正な溶融粘度や適正な凝集力を得られなくなることがある。
【0082】,
また、難燃剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物;金属酸化物;赤リンやポリリン酸アンモニウムなどのリン系化合物;メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、リン酸メラミンおよびこれらの表面処理物などのメラミン誘導体等が挙げられ、なかでも金属水酸化物やメラミン誘導体が好適に用いられる。これらの難燃剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0083】
上記金属水酸化物の配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して金属水酸化物0.1〜200重量部であることが好ましく、より好ましくは熱可塑性樹脂100重量部に対して金属水酸化物5〜100重量部である。熱可塑性樹脂100重量部に対する金属水酸化物の配合量が0.1重量部未満であると、金属水酸化物を配合することによる難燃性向上効果を十分に得られなくなることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する金属水酸化物の配合量が200重量部を超えると、発泡性組成物を十分に発泡させることが困難となったり、得られる架橋発泡体の見掛け密度(見掛け比重)が高くなりすぎて、実用性が乏しくなることがある。
【0084】
また、上記メラミン誘導体の配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対してメラミン誘導体0.1〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは熱可塑性樹脂100重量部に対してメラミン誘導体1〜40重量部である。熱可塑性樹脂100重量部に対するメラミン誘導体の配合量が0.1重量部未満であると、メラミン誘導体を配合することによる難燃性向上効果を十分に得られなくなることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対するメラミン誘導体の配合量が50重量部を超えると、発泡性組成物を十分に発泡させることが困難となることがある。
【0085】
また、発泡助剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、活性酸化亜鉛等が挙げられる。これらの発泡助剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0086】
上記発泡助剤の配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して発泡助剤0.1〜10重量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂100重量部に対する発泡助剤の配合量が0.1重量部未満であると、発泡助剤を配合することによる発泡性向上効果を十分に得られなくなることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する発泡助剤の配合量が10重量部を超えると、得られる架橋発泡体に破泡が生じることがある。
【0087】
さらに、架橋助剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、過酸化ベンゾイルなどのラジカル発生剤や、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステルなどの多官能性モノマー等が挙げられる。これらの架橋助剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0088】
上記架橋助剤の配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して架橋助剤0.1〜10重量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂100重量部に対する架橋助剤の配合量が0.1重量部未満であると、熱可塑性樹脂の架橋が不十分となって、均質な架橋発泡体を得られなくなることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する架橋助剤の配合量が10重量部を超えると、熱可塑性樹脂の架橋密度が高くなりすぎて、発泡性組成物の発泡性が損なわれることがある。
【0089】
本発明の架橋発泡体を構成する発泡性組成物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂、層状珪酸塩および例えば加熱分解型発泡剤の各所定量と、必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを、常温下もしくは加熱下で、直接配合して混練する方法(直接混練法)や、予め熱可塑性樹脂の所定量の一部に所定量の層状珪酸塩を配合して混練したマスターバッチを作製しておき、このマスターバッチと熱可塑性樹脂の所定量の残部(残量)、例えば加熱分解型発泡剤および必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを、常温下もしくは加熱下で混練する方法(マスターバッチ法)等が挙げられ、いずれの方法が採られても良い。なお、配合される発泡剤が加熱分解型発泡剤である場合には、混練温度は加熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度であることが好ましい。
【0090】
上記マスターバッチにおける層状珪酸塩の濃度は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して層状珪酸塩15〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは20〜70重量部である。上記マスターバッチにおいて、熱可塑性樹脂100重量部に対する層状珪酸塩の濃度が15重量部未満であると、任意濃度に希釈可能なマスターバッチとしての利便性が失われることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する層状珪酸塩の濃度が100重量部を超えると、マスターバッチ自体の分散性が悪くなったり、熱可塑性樹脂の所定量の残部(残量)によって層状珪酸塩を所定の配合量に希釈する際の層状珪酸塩の分散性が悪くなることがある。
【0091】
上記直接混練法やマスターバッチ法による発泡性組成物の具体的な製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、押出機、2本ロール、バンバリーミキサー等の混練機を用いて、発泡性組成物を構成する熱可塑性樹脂、層状珪酸塩および例えば加熱分解型発泡剤の各所定量と、必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを、常温下もしくは加熱下で、溶融混練する方法や、熱可塑性樹脂、層状珪酸塩および例えば加熱分解型発泡剤と、必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上とを、これらが溶解もしくは分散しうる溶媒中で混練した後、溶媒を除去する方法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良い。
【0092】
また、例えば遷移金属錯体類のような重合触媒(重合開始剤)を結晶層間に含有する層状珪酸塩を用いて、熱可塑性樹脂を構成するモノマーおよび上記層状珪酸塩の各所定量を混練し、上記モノマーを重合させて熱可塑性樹脂を製造した後に、例えば加熱分解型発泡剤と必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを配合して、混練する方法が採られても良い。なお、上記いずれの方法においても、配合される発泡剤が加熱分解型発泡剤である場合には、混練温度は加熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度であることが好ましい。
【0093】
本発明の架橋発泡体は、上述した発泡性組成物が先ず架橋され、次いで発泡されてなる。
【0094】
本発明の架橋発泡体の成形方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記(A)法、(B)法および(C)法等が挙げられ、いずれの成形方法が採られても良いが、なかでも、均質な架橋発泡体を優れた生産性で成形することができることから、(C)法を採ることが好ましい。また、これらの成形方法は、単独で採られても良いし、2種類以上が併用されて採られても良い。
【0095】
前記(C)法による成形方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、発泡性組成物を構成する熱可塑性樹脂、層状珪酸塩および加熱分解型発泡剤の各所定量と例えば架橋助剤や発泡助剤のような必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを押出機に供給し、溶融混練して押出し、発泡性組成物からなる発泡性シート(発泡性原反)を作製した後に、この発泡性シートに例えば電子線を所定量照射して架橋させ、得られた発泡性架橋シートを発泡炉に導入して連続的に加熱発泡させる方法や、上記発泡性組成物に例えば電子線を所定量照射して架橋させ、得られた発泡性架橋組成物を金型に供給してバッチ式に加熱発泡させる方法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良いが、なかでも、生産性に優れることから、前者の方法を採ることが好ましい。
【0096】
こうして得られる本発明の架橋発泡体は、ゲル分率が15〜70重量%であり、かつ、見掛け密度が0.03〜0.1g/cm3 であることが必要である。なお、本発明で言うゲル分率とは、以下の方法で測定されたゲル分率を意味し、また、本発明で言う見掛け密度とは、JIS K−6767「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に準拠して測定された見掛け密度を意味する。
〔ゲル分率の測定方法〕
架橋発泡体の一定量を秤量(Ag)し、これを120℃のキシレン中に24時間浸漬した後、不溶解分を200メッシュの金網で濾過し、金網上の濾過残渣を真空乾燥して、その時の重量(Bg)を測定し、下記式によりゲル分率(重量%)を算出する。
ゲル分率(重量%)=100×B/A
【0097】
架橋発泡体のゲル分率が15〜70重量%の範囲を逸脱すると、均質な架橋発泡体を得るために必要とされる適正な溶融粘度や適正な凝集力を得られなくなって、架橋発泡体が均質性を欠くことになる。
【0098】
また、架橋発泡体の見掛け密度が0.03g/cm3 未満であると、燃焼後の燃焼残渣(灰分)が脆くなって、形状を保持することが困難となり、逆に架橋発泡体の見掛け密度が0.1g/cm3 を超えると、燃焼時に架橋発泡体が膨張して、形状を保持することが困難となる。
【0099】
【作用】
本発明の架橋発泡体は、熱可塑性樹脂に対して特定量の層状珪酸塩および発泡剤が配合されてなる発泡性組成物からなるので、燃焼時に層状珪酸塩による焼結体が形成され、従って燃焼時におけるドリップ現象の発生や燃焼前後の形状変化が少なく、優れた難燃性を発現するものであり、燃焼後も燃焼残渣の形状崩壊が起こらず、延焼を効果的に防止することができる。
【0100】
また、本発明の架橋発泡体は、ゲル分率が特定の範囲となされているので、発泡時における溶融粘度や凝集力が適正であって、均質性に優れる架橋発泡体であり、かつ、見掛け密度が特定の範囲となされているので、上記燃焼前後における形状変化がより少ないものである。
【0101】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0102】
本実施例においては以下の原材料を用いた。
1.熱可塑性樹脂
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体:EVA(商品名「エバフレックスEV460」、酢酸ビニル含有量:19重量%、三井デュポンポリケミカル社製)
(2)低密度ポリエチレン樹脂:LDPE(商品名「LE520H」、日本ポリケム社製)
2.層状珪酸塩
(1)ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドで有機化処理が施された膨潤性フッ素マイカ(商品名「ソマシフMAE−100」、平均長さ:0.2μm、厚み:0.002μm、アスペクト比:100、コープケミカル社製)
(2)ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドで有機化処理が施されたモンモリロナイト(商品名「クレイトンHY」、サザンクレイプロダクツ社製)
3.加熱分解型発泡剤
・アゾジカルボンアミド(商品名「ユニフォームAZ SO−40」、大塚化学社製)
4.発泡助剤
・ステアリン酸亜鉛(商品名「SZ−2000」、堺化学社製)
【0103】
(実施例1)
熱可塑性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体「エバフレックスEV460」100重量部、層状珪酸塩としてジステアリルジメチルアンモニウムクロライドで有機化処理が施された膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」15重量部、加熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド「ユニフォームAZ SO−40」15重量部および発泡助剤としてステアリン酸亜鉛「SZ−2000」2重量部をラボプラストミルに供給し、110℃で15分間溶融混練して、発泡性組成物を作製した。
【0104】
次いで、ハンドプレスを用いて、上記で得られた発泡性組成物を110℃でプレスして、厚み1mmの発泡性シート(発泡性原反)を作製した後、この発泡性シートに100mA、800KVの電子線を2Mrad照射して上記発泡性シートを架橋させた。その後、上記発泡性架橋シートを240℃のギアーオーブン内に100秒間放置して、発泡させ、架橋発泡体を作製した。
【0105】
(実施例2〜実施例7)および(比較例1〜比較例6)
発泡性組成物の配合組成を表1に示す組成としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、架橋発泡体を作製した。
【0106】
実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例5で得られた12種類の架橋発泡体の厚みおよび発泡倍率を測定した。また、上記12種類の架橋発泡体のゲル分率および見掛け密度を前記方法で測定した。その結果は表1に示すとおりであった。なお、比較例6については良好な架橋発泡体を得られなかったので、上記測定および下記難燃性の評価は行わなかった。
【0107】
次に、実施例1および比較例1で得られた架橋発泡体の難燃性を下記UL94HBF法およびUL94HB法で評価した。また、実施例2〜実施例7および比較例2〜比較例5で得られた架橋発泡体の難燃性を下記UL94HBF法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0108】
1.難燃性試験−UL94HBF法
Underwriters Laboratory(米国)の難燃規格UL94HBFに準拠して、架橋発泡体から切り出した幅2インチ×長さ6インチの燃焼試験片を金網上に載せ、燃焼試験片の幅全体に炎があたるようにガスバーナーを接炎させ、燃焼試験片の長さ方向の端部から1インチから5インチまで燃焼させた後、燃焼試験片の幅方向および長さ方向の寸法を測定し、下記判定基準により難燃性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥燃焼前後の燃焼試験片の形状に変化は認められなかった。
×‥‥燃焼中の燃焼試験片にドリップ現象が認められた。また、燃焼後の燃
焼試験片に収縮や膨張が認められた。
【0109】
2.難燃性試験−UL94HB法
Underwriters Laboratory(米国)の難燃規格UL94HBFに準拠して、架橋発泡体から切り出した幅2インチ×長さ6インチの燃焼試験片の長さ方向の一端を挟んで燃焼試験片が水平になるように保持し、燃焼試験片の長さ方向の他端にガスバーナーを接炎させ、燃焼試験片の長さ方向の他端から1インチから4インチまで燃焼させた後、燃焼試験片の幅方向および長さ方向の寸法を測定し、上記UL94HBF法の場合と同様の判定基準により難燃性を評価した。
【0110】
【表1】
【0111】
表1から明らかなように、本発明による実施例1の架橋発泡体は、難燃性試験のUL94HBF法およびUL94HB法のいずれにも合格しており、優れた難燃性を発現した。また、本発明による実施例2〜実施例7の架橋発泡体は、いずれも難燃性試験のUL94HBF法に合格しており、優れた難燃性を発現した。
【0112】
これに対し、熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体)100重量部に対する層状珪酸塩(膨潤性フッ素マイカ)の配合量が10重量部未満(5重量部)であった比較例1の架橋発泡体は、難燃性試験のUL94HBF法およびUL94HB法のいずれにも不合格であり、難燃性が悪かった。また、熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体)100重量部に対する層状珪酸塩(モンモリロナイト)の配合量が10重量部未満(5重量部)であった比較例2の架橋発泡体、見掛け密度が0.1g/cm3 を超えていた(0.167g/cm3 )比較例3の架橋発泡体、見掛け密度が0.03g/cm3 未満(0.029g/cm3 )であった比較例4の架橋発泡体および層状珪酸塩を配合しなかった比較例5の架橋発泡体は、いずれも難燃性試験のUL94HBF法に不合格であり、難燃性が悪かった。さらに、熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体)100重量部に対する層状珪酸塩(膨潤性フッ素マイカ)の配合量が70重量部を超えていた(80重量部)発泡性組成物を用いた比較例6については、良好な架橋発泡体を得られなかったので、難燃性の評価ができなかった。
【0113】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の架橋発泡体は、難燃性に優れ、燃焼時におけるドリップ現象の発生や燃焼前後の形状変化が少なく、しかも力学的物性、耐熱性、柔軟性、衝撃吸収性、断熱性、寸法安定性等に優れ、線膨張率が低い等の優れた諸性能を兼備するものであり、例えば、天井、ドア、計器パネルなどの車両内装材や緩衝材あるいは断熱材等を始め、各種工業用途に好適に用いられる。
Claims (1)
- 熱可塑性樹脂100重量部に対して層状珪酸塩10〜70重量部および発泡剤が配合されてなる発泡性熱可塑性樹脂組成物からなり、かつ、ゲル分率が15〜70重量%であり、見掛け密度が0.03〜0.1g/cm3 であることを特徴とする熱可塑性樹脂架橋発泡体。
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|---|---|---|---|
| JP2002172921A JP2004018596A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 熱可塑性樹脂架橋発泡体 |
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|---|---|
| JP (1) | JP2004018596A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009084474A (ja) * | 2007-10-01 | 2009-04-23 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 層間化合物フィラーを含有する発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物およびポリオレフィン系難燃発泡体 |
| JP2011111566A (ja) * | 2009-11-27 | 2011-06-09 | Tosoh Corp | エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物及び発泡体 |
| JP2014189773A (ja) * | 2013-03-28 | 2014-10-06 | Asahi Kasei Chemicals Corp | エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物、架橋発泡体、及び履物 |
-
2002
- 2002-06-13 JP JP2002172921A patent/JP2004018596A/ja active Pending
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