JP2004018670A - 制振性と成形性に優れた制振塗料 - Google Patents

制振性と成形性に優れた制振塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】有機溶剤を含まなくて環境親和的であり、高粘度でありながらもスプレイ作業が容易であり、また金属面との接着性がよく、広い周波数の範囲で制振能力を発揮するとともに温度依存性を最小化することができ、成形性に優れた効果を有する制振塗料を提供する。
【解決手段】ガラス転移温度が−25℃〜25℃の範囲にあるアクリルエマルジョンを単独又は互いに混合し、樹脂、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール等の高分子添加剤と、平均粒度を調節し全体粒度分布を1〜100μmに合わせ、空隙率を最小とした無機充填物を50〜55重量%に充填して製造される。このように製造された制振塗料はアクリルエマルジョンと制振特性及び防音特性を同時に満足させる板状形の充填物から構成された一液形水系塗料である。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野及びその分野の従来技術】
本発明は制振性と成形性に優れた制振塗料に関し、より詳しくは材料の伸縮変形により振動エネルギを熱エネルギに変換して振動を減衰し、音の発生を低減することができる制振塗料に関する。
最近、機械と電子製品の精密性が高くなり、作業者もより良い環境で働くことを望んでいるので、騒音を除去する方法に対する技術等が多く発展するようになった。日本のように狭い地域で多くの人たちと多くの機械がある場合には騒音の除去が必須であると言える。特に、機械的な強度を高めるために使用された金属物質等が振動と騒音の原因となっているので、かかる金属物質らの騒音を減らすことが関鍵であるといえる。
【0002】
振動を制御して騒音を減らす方法は、騒音を作り出す要素の振動エネルギを減らすことで、振動の速度を調節したり波動の干渉を用いたエネルギの相殺及び他のエネルギへの転換を通じて音の放出量が減るようにすることをいう。
このような目的のために使用される物質が制振物質であり、これを用いた騒音低減の方法は二つの類型に分けることができる。まず、表面に付着された状態に粘弾性の係数を高めて固形の堅い物体から生成される振動を相殺させる方法がある。他の一つの方法は二つの複合構造を有するようにすることで、鉄板やステンレスホイルの間に粘弾性の高分子で詰めて振動を取ることである。これを通常サンドイッチ形と呼ぶ。このようなサンドイッチ形は中間に詰められているレジンの粘弾性の特性によって振動を取る特性が決められると見られる。このような振動を取る特性は損失係数が最大値を有する温度周りで一番大きいのが一般である。
本発明と連関された分野として表面に処理し制振効果を発揮する材料としては、日本国特許出願公開第26492/1978号に開示されているビニルポリマーとセメント、球形状の砂(spheral sand)に形成された制振剤があるが、この材料は制振特性もよくないのみならず、製品として長く使用することもできず、常用化には更に問題が多いものと知られている。
日本国特許出願公開第52545/1978号には水溶性高分子量の高分子物質を用いたエマルジョン形として2次転移温度が0℃〜100℃に非常に狭い温度範囲で制振特性に優れた制振剤が開示されている。しかし、この制振剤もまた上記温度範囲を外れるようになると制振特性が急激に劣るので使用するのに多くの問題があった。
日本国特許出願公開第133238/1978号には焼却炉の灰、マイカ、有機・無機繊維の塗膜等を添加物として用いたレジンやゴム製品が開示されている。しかし、その製品の価格を低くすることができるが、製品の品質の均一性を維持することができないのみならず、制振特性と耐湿性が低くて常用化できない問題点があった。
日本国特許出願公開第32538/1979号にはマイカ粉末とシリカ砂を充填剤として使用した製品が開示されており、日本国特許出願公開第36341/1979号には水に分散されるレジンとポスペートの工程で生産されるスラジを用い、一種のフィルタを使用した製品が開示されている。しかし、この二つの特許文献に開示された製品等は何れも防振特性を表わす温度範囲が狭いという問題点があった。
米国特許第4,391,857号にはポリビニルアセテートエマルジョンとポリエチレン粉末、細かい無機物粉を充填剤として使用した製品が開示されているが、その製品は広い温度範囲に亘っても制振特性を発揮するというが、制振特性の経時変化が大きく、長期的な使用のため安定性が劣る問題点があった。
なお、米国特許第5,411,810号は低いTgと高いTgを有する水系形レジンを用いて制振特性の変化を供試したが、エチレングリコールを使用することによって防水特性がよくなく、制振剤の塗布後、乾燥及び硬化にかかる時間が長くなる問題点があった。
【0003】
【発明が達成しようとする技術的課題】
本発明は上述したような従来の技術が有する諸般の問題点を鑑みてこれを解決するために創出したもので、ガラス転移温度が−25℃〜25℃のアクリルエマルジョンを配合して基本樹脂とし、これに粒度分布が1〜100μmの無機充填物を50%以上充填して広い周波数と温度範囲で制振性能を発揮し、接着性、耐湿及び耐熱性が強く、成形時作業が容易な制振塗料を提供することにその目的がある。
本発明の上記目的は、ガラス転移温度が−25℃〜25℃の範囲にあるアクリルエマルジョンを単独又は互いに混合し、樹脂、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール等の高分子添加剤と、平均粒度を調節して全体粒度分布を1〜100μmに合わせ、空隙率を最小とした無機充填物を50〜55重量%に充填して製造される制振性と成形性に優れた制振塗料を提供することによって達成される。
【0004】
【発明の構成】
以下、本発明の構成を更に詳細に説明する。
機械構造物において振動現像は、大抵の機械の寿命を短くするとか、機能を害する場合が多い。よって、機械の振動を抑制し、発生された振動は速く消滅させることが望ましい。また、生活環境の快適性に関わる求めが強くなることによって各分野において制振材料に関する関心を高められてきている。このような制振材料の一つとして使用される制振塗料は鉄道車両、自動車、エレベータ等に塗装されて振動による騒音を抑制する。
【0005】
制振材料には塗料を始めシート、制振板、ばね等、様々な種類があるが、この中でも塗料は他のものに比べて低廉な費用と便利な方法で効果を得ることができるという特徴がある。特に、シートや板の材料として使用されるゴムやアスファルト等は制振性能を発揮する温度範囲が狭く、外部環境により容易に老化されるという短所があり、凹凸や屈曲面には施工が不可能であるため、その使用範囲が非常に制限的である。従って、耐水性、耐熱性を増加させ、広い周波数及び温度範囲で制振性能を発揮しうる塗料の開発が急がれる実情である。塗料が制振性能を発揮するためには樹脂のガラス転移温度、樹脂と無機充填物の比率、無機充填物粒子の形態及び大きさ等が考慮されて適正に設計されなければならない。樹脂のガラス転移温度は制振性能を発揮する温度範囲を決める。従って、樹脂のガラス転移温度が常温に近いほど常温での制振性能を極大化することができる。しかし、樹脂のガラス転移温度が高くなると常温でこの樹脂はガラス状で非常に弱くて外部の衝撃により容易に砕け、低い接着強度と高い収縮率により容易に割れる反面、ガラス転移温度が低い場合には接着強度も優れ、非常に柔軟であるが、満足するほどの制振性能を表わすことはできない。即ち、制振性能のためには樹脂のガラス転移温度が高くなければならず、成形性のためにはガラス転移温度が低くなければならない。従って、この両者を何れも折衝できる、即ち、ガラス転移温度が高いながらも強度及び接着力に優れた成形性を満足させる樹脂の設計が求められる。このような樹脂と無機充填率の比率が適切である際、その制振性能は極大化される。
【0006】
無機充填物もまたその粒子大きさが小さすぎると(1μm以下)、塗料の流動性が劣って成形性が不良になり、大きすぎる場合(1mm以上)スプレイ作業時、ノズル孔を塞ぐ。よって、無機充填物の粒子大きさもまた適切でなければならず、一般的に粒子形態は板状の物質が制振効果があるものと知られているが、表面硬度が非常に低いのが短所である。
【0007】
本発明はガラス転移温度の高い樹脂が有している短所をガラス転移温度の低い樹脂で相互補完し、これらの間の相容性のためにアクリルスチレン系の樹脂のみを使用した。シランカップリング剤と水溶性高分子物質(ポリピロール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリスルポネート、ポリイミドのうち、2〜3つを選択的に添加)を一定量添加して接着力を強化し、乾燥時発生する樹脂の収縮を防止した。また、無機充填物の大きさを1〜100μmとし、この範囲で空隙率を最小化するために各充填物の平均粒度を異にしてこれを組み合わせた。充填剤の粒度分布のみならず充填剤の構造的な特性が板状に局限して防音特性まで向上できるようにした。従って、本制振塗料は常温はもとより、それ以上及び以下の温度で広範囲に制振性能を発揮し、接着性、成形性及び強度面て高いガラス転移温度の樹脂が有する短所を完全に解決することができた。本発明で使用された制振材料は経時変化にも安定された特性を示す。また、一定比に配合された無機充填物の自体の空隙率が少ないので制振性能を発揮しうる塗膜の厚さを最小化した。
【0008】
本発明では制振性能と成形性とを同時に満足させるように高い分子量の高分子の添加物を加え、この2つの特性を具現することができるようにした。高い分子量の添加物はエマルジョンと配合することができなければならず、樹脂が堅くて生じる欠陥を取ることができなければならない。様々な種類の添加物が使用され、例として記述されたのはビニルアルコール系の高い分子量の物質を基礎とした。それ以外にもスチレン誘導体のうち、水溶性として高分子量を有する物質及びポリビニルアセテートとアルコールの共重合体、ポリピロールの誘導体として水溶性から合成された物質、水溶性ポリイミドも添加剤として使用した。樹脂の種類によってこれらの添加剤を混ぜて使用したり、単独に一つだけを使用した。
なお、粒度分布を多様に調節して制振特性を有する周波数の領域を広げ、粒度分布の組合せによって成形性及び薄膜塗布時の問題点を除去しつつ、制振特性を示すことができる最小の厚さを薄くする膜を製作することである。本発明では1μmから100μmの粒度分布を有する粒子を組み合わせて上記の特性を示すことができる膜を製作した。また、振動により発生した熱エネルギを迅速に放出して制振性能の極大化はもとより、熱による塗膜の老化を防止することができるように熱伝導度の大きい酸化アルミニウムを5〜10重量部使用した。既存の制振塗料で使用されてきた充填剤であるガラスフラク(glass flake)、ガラスバルーン(glass balloon)、中空型シリカ等は高価でありながら自体の断熱特性のため発生した熱を迅速に放出できなくて塗膜はもとより、機械の寿命まで低下させる危険が大きい。本発明はこのような材料を全く含まないのでより低廉な値段で制振効果を得ることができる特徴がある。
【0009】
一方、高いガラス転移温度の樹脂による接着性の低下を改善するためにシランカップリング剤を使用して接着性を向上させ、無機物と有機物間の化学的結合を誘導し乾燥時発生する欠陥等を最小化した。このシランカップリング剤は2−アミノプロピルトリエトキシシラン(2−aminopropyltriethoxysilane)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3−glycidoxypropyltrimethoxysilane)を単独に又は互いに混合して使用することができる。塗料の流動性及び乾燥時間を調節してより安定された塗膜を形成することができるよう使用した可塑剤は、一般的に高分子チェーンに自由嵩(free volume)を与えるようになって樹脂のガラス転移温度を減少させる。可塑剤自体のガラス転移温度が低いので、僅かの可塑剤でもガラス転移温度を大きく低下させることができるので、可塑剤の含量は3%以内に制御されなければならない。可塑剤はDBP(dibutyl phthalate)、DOP(dooctyl phthalate)、DEP(diethyl phthalate)、DOA(di−2−ethylhexyladipate)等を使用することができる。一方、樹脂の特性が時間によって変ると、製品としての常用性が劣るようになる。従って、このような経時的変化に鈍感な試料を製作することが本発明の意図した目的である。
【0010】
以下、実施例1〜4及び比較例1〜2を通じて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらによってそのカテゴリーが限定されることなく多様に変形可能である。
【0011】
実施例1
ガラス転移温度が−50℃であるアクリルエマルジョン28重量%と粒度分布を調節した無機充填物55重量%から構成し、残りの成分らを下記の表1のように組成して本発明の塗料を製造した。
【0012】
実施例2
ガラス転移温度が−25℃であるアクリルエマルジョン28重量%、粒度分布を調節した無機充填物55重量%、高分子添加剤から構成し、残りの成分らを下記の表1のように組成して本発明の塗料を製造した。
【0013】
実施例3
ガラス転移温度が−25℃であるアクリルエマルジョン28重量%と無機充填物55重量%から構成し、残りの成分らを下記の表1のように組成して本発明の塗料を製造した。
【0014】
実施例4
ガラス転移温度が−25℃であるアクリルエマルジョン5重量%、ガラス転移温度が9℃であるアクリルエマルジョン15重量%、ガラス転移温度が25℃であるアクリルエマルジョン10重量%、粒度分布を調節した無機充填物55重量%、シランカップリング剤、高分子添加剤から構成して本発明の塗料を製造した。
【0015】
比較例1
ガラス転移温度が−50℃であるアクリルエマルジョン43重量%と無機充填物35重量%から構成し、残りの成分らを下記の表1のように組成して一般的塗料を製造した。
【0016】
比較例2
ガラス転移温度が−25℃であるアクリルエマルジョン5重量%、ガラス転移温度が9℃であるアクリルエマルジョン15重量%、ガラス転移温度が25℃であるアクリルエマルジョン10重量%、粒度分布を調節した無機充填物55重量%から構成し、残りの成分らを下記の表1のように組成して一般的塗料を製造した。
【0017】
【表1】
Figure 2004018670
【0018】
上記表1のような組成によって製造された各々の塗料の制振性能はModal Methodを用いて評価した。厚さ1mm、幅30mm、長さ330mmの冷間圧延鋼板を塗料試験用の鉄板の製作方法(KSM5000−1111)によって洗浄し、これに各々の塗料を1mm厚さに塗布した後、48時間乾燥し試片を製作した後25℃と50℃で制振性能を測定した。
【0019】
T−peel剥離強度はJIS K−6854を基準として測定した。この際、50mm/minに引張試験をして測定された最大荷重を試片幅25mmたりの最大荷重に換算した。
上記のようにして測定した各々の試験結果を下記の表2に記載した。
【0020】
【表2】
Figure 2004018670
【0021】
上記表2からわかるように、無機充填物の含量を増加させた実施例1は比較例1に比べて内部損失係数の増加があり、各周波数帯において一定な制振性能を表わした。ガラス転移温度が−25℃であるアクリルエマルジョンを使用し、他の組成は実施例1と同じくした実施例2は実施例1に比べて3倍ぐらいの制振効果を発揮した。また、実施例2で充填物のうちマイカ含量を高めた実施例3は寧ろ性能が減少し、実施例2でガラス転移温度が−25℃、9℃、25℃であるアクリルエマルジョンを混合した実施例4は実施例2に比べて制振性能の向上があり、温度による偏差も非常に少なかった。
【0022】
剥離強度の場合、シランカップリング剤と高分子添加剤をともに用いた実施例4は添加剤を全く使用せず、他の組成は同一に組成した比較例2に比べて3倍以上の上昇があったことがわかる。
一方、本発明の制振塗料を製作して製品の表面に塗って2ヶ月経過後、膜の特性を測定したが、制振特性と防水、膜の機械的特性、吸着性等が全て膜を製作した直後と同等な結果を得ることができた。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明からわかるように、本発明による制振塗料はアクリルエマルジョンと制振特性及び防音特性を同時に満足させる板状形の充填物から構成された一液形水系塗料であり、有機溶剤を含まなくて環境親和的であり、高粘度でありながらもスプレイ作業が容易であり、また金属面との接着性がよく、広い周波数の範囲で制振能力を発揮するとともに温度依存性を最小化することができる優れた効果を提供する。

Claims (2)

  1. ガラス転移温度が−25℃〜25℃の範囲にあるアクリルエマルジョンを単独又は互いに混合し、樹脂、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール等の高分子添加剤と、平均粒度を調節し全体粒度分布を1〜100μmに合わせ、空隙率を最小とした無機充填物を50〜55重量%に充填して製造されることを特徴とする制振性と成形性に優れた制振塗料。
  2. 第1項において、上記無機充填物は粒度分布が1〜20μmであり平均粒度が2μmと5μmであるCaCO3 30〜32重量%、粒度分布が1〜10μmであり平均粒度が4μmであるSiO2 10〜12重量%、粒度分布が1〜100μmであり平均粒度が20μmであるマイカ10〜12重量%、粒度分布が1〜100μmであり平均粒度が15μmである酸化アルミニウム5〜10重量%の成分等を含むことを特徴とする制振性と成形性に優れた制振塗料。
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