JP2004018806A - バリアフイルム用材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の欠点を解消した、高いバリア性の材料を提供すること。
【解決手段】粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子(A)、カルボキシル基を含有する高分子化合物(B)、(B)と架橋反応性を有する高分子化合物(C)から構成されるバリアフイルム用材料において、(A)が(a)周期表2族元素、アルミニウム、ケイ素、第4周期遷移金属、亜鉛、ジルコニウム、銀、錫から選ばれる1種以上を必須成分とする無機化合物またはそれらの混合物と、(b)有機酸、無機酸およびそれらの塩類から選ばれる1種以上の化合物を反応して合成される非層状構造のイオン結晶であるバリアフイルム用材料として使用する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスまたは揮発性化合物のバリア性に優れるフイルム、または、塗膜を形成する水難溶性無機微粒子/高分子化合物および架橋反応性を有する高分子化合物から構成されることを特徴とするバリアフィルム用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品包装分野において食品の風味や鮮度を保つために、バリア性能は基本的に求められる機能である。古来より食品を保存するために金属やガラスの容器が使用されてきたが、酸素ガスバリア性の高い樹脂が見出されると、加工性、透明性、軽量化などの長所を生かして、広範囲にわたる食品で樹脂製の容器が使用されるようになった。バリア性が最も高い樹脂の1つに、ポリビニルアルコール(PVA)系の樹脂が知られているが、PVAは乾燥条件下では十分に高いバリア性を示すものの、高湿度条件下ではその能力が失われる問題点がある。
【0003】
また、PVAに匹敵するバリア性能をもつポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂は、高湿度条件下でもその能力を保つ優れた樹脂であるが、近年の環境問題に対する意識の高まりから、燃焼時にダイオキシン類を発生する可能性が指摘され、極力使用を削減する状況にある。
【0004】
このような状況を受けて、バリア性の劣る樹脂と無機のフィラーとを複合化してバリア性を高める技術、あるいは高湿度下でのバリア性低下を抑える技術が開発されてきた。
【0005】
例えば、特開平6−172605では水膨潤性粘土鉱物をアクリル樹脂組成物に分散させることでバリア性を向上させる技術が開示されている。また、特開平6−93133では、粒径が5μm以下、アスペクト比が50以上5000以下の無機層状化合物と樹脂とを含むフイルムに関する技術が開示されている。これらの技術は、基本的に樹脂のバリア性が劣るあるいは低下する問題を、バリア性を示す水膨潤性粘土鉱物または無機層状化合物で補強することを意図したものである。ここで使用される水膨潤性粘土鉱物はモンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物や、水膨潤性フッ素化マイカを、無機層状化合物にはグラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物)、カルコゲン化物、粘土系鉱物をさす。これらの化合物類は、大きなアスペクト比をもつ平板状粒子であり、バリア効果発現機構に関して定説はないが、一般には粒子が気体分子を遮蔽する作用によりバリア性が向上するものと考えられている。
【0006】
また、これらの無機化合物は薄膜が積層した構造をとっており、層間に有機分子が挿入することによって、膨潤、へき開する性質をもつ。この性質を利用してガスバリア性を向上する技術が開示されている(特開平11−246729)。膨潤・へき開するためには4級アンモニウム塩をもつアクリル樹脂を使用する方法や、高圧分散装置を使用する方法が開示されているものの、層状化合物の単層構造まで微分散させることは困難であり、期待されるバリア性や包装材料に要求される透明性において十分な性能を引き出すには至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、従来ガスバリア性を向上させるために提案されてきた無機層状化合物を分散、または膨潤・へき開して均一に分散する手法に代わる、高いバリア性の材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、無機層状化合物以外にも、水に難溶なイオン結晶微粒子を高分子化合物と複合化することで、優れたバリア性を示し、透明性にも優れた包装材料として利用価値の高い素材となることを見出した。さらに架橋反応性を有する高分子化合物を添加することにより、耐水性が改善された材料になることを見出し本発明に至った。
【0009】
即ち本発明は、
(1)粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子(A)、カルボキシル基を含有する高分子化合物(B)、(B)と架橋反応性を有する高分子化合物(C)から構成されるバリアフイルム用材料において、(A)が(a)周期表2族元素、アルミニウム、ケイ素、第4周期遷移金属、亜鉛、ジルコニウム、銀、錫から選ばれる1種以上を必須成分とする無機化合物またはそれらの混合物と、(b)有機酸、無機酸およびそれらの塩類から選ばれる1種以上の化合物を反応して合成される非層状構造のイオン結晶であるバリアフイルム用材料、
(2)粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子(A)が高分子化合物(B)存在下に合成されることを特徴とする(1)に記載のバリアフイルム用材料、
(3)高分子化合物(B)および/または(C)が、水溶性または水分散性の高分子化合物であることを特徴とする、(1)または(2)に記載のバリアフイルム用材料、
(4)(a)周期表2族元素がマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムから選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のバリアフイルム用材料、
(5)(b)有機酸、無機酸およびそれらの塩類が、硫酸、リン酸、炭酸およびそれらの塩類であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のバリアフイルム用材料からなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子(A)と高分子化合物(B)および、(B)と架橋反応性を有する高分子化合物(C)から構成されるバリアフイルム用材料において、(A)が(a)周期表2族元素、アルミニウム、ケイ素、第4周期遷移金属、亜鉛、ジルコニウム、銀、錫から選ばれる1種以上を必須成分とする無機化合物またはそれらの混合物と、(b)有機酸、無機酸およびそれらの塩類から選ばれる1種以上の化合物を反応して合成されるイオン結晶であることを特徴とするバリアフイルム用材料である。
【0011】
本発明は、500nm以下の水難溶性無機微粒子(A)が高分子化合物(B)中で、凝集あるいは分離等を起こさず均一に分散した、新規な高分子化合物/無機微粒子複合体に、(B)と架橋反応性を有する高分子化合物(C)を添加、混合したバリア材料に関する。本発明のガスバリア材料は、高分子材料の存在下に無機材料を合成することが可能であり、従来利用されていた無機層状化合物を分散、または膨潤・へき開する方法に比べて分散状態がより均一にできる利点がある。
【0012】
本発明のバリア材料は、それ自身をフイルム化して利用する方法、あるいは他の基材に貼り合せまたは塗工により積層して利用する方法などで使用される。イオン結晶と高分子化合物とを混合・分散する方法は、機械的に混合・分散する手法が一般的であるが、本発明では複合化するカルボキシル基を分子内に持つ高分子化合物の存在下にイオン結晶を合成する方法を取り得る点に特徴がある。本発明で使用されるイオン結晶は、特に複合化したい高分子化合物が結晶成長を抑制する効果をもつ場合には、その存在下で合成すると工程が簡略化されるだけではなく、その場で500nm以下の粒子を合成できるため、粉砕などのプロセスは不要であり、しかも高分子化合物中への分散性が向上する点で優れている。
【0013】
本発明で使用される高分子化合物(B)は、カルボキシル基を分子内に持ち、フイルム形成能を持つものであれば合成高分子、半合成高分子、天然高分子の何れでも良い。
【0014】
イオン結晶の多くは水溶液中で合成されるため、高分子化合物存在下にイオン結晶を合成する手法を用いて複合化する際は水溶性または水分散性の高分子化合物を使用する。本発明で使用される高分子化合物(B)のなかで水溶性または水分散性の高分子化合物は、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリル酸(塩)(PAA)、ポリ(メタ)アクリルアミド(PAM)、アクリル酸エステル共重合体、セルロース誘導体およびそれらの変性物から選ばれる1種以上の高分子化合物である。
【0015】
PVAは、通常はビニルエステル化合物重合体またはビニルエステル化合物と各種モノマーとの共重合体をケン化したもの、および/または末端にチオール基を有するPVA系重合体の存在下、各種モノマーをラジカル共重合したものが使用される。
【0016】
共重合に使用されるモノマーには、水難溶性微粒子との相互作用が働く官能基を持つものが好ましく、カルボン酸(塩)やスルホン酸(塩)などのアニオン性の置換基を持つもの、各種1〜4級アミンのカチオン性の置換基を持つもの、その他シリル基、チオール基、アミド基、アルキル基などを含有するものが使用される。
【0017】
本発明のPVAのケン化度は85−99.99モル%が好ましく、より好ましくは90−99.95モル%、更に好ましくは92−99.90モル%である。ケン化度が99.99モル%を越えるものは工業的に製造することが困難であり、88モル%に満たないとガスバリア性や耐水性が不十分となる。
【0018】
また、PVAの重合度は3000以下であり、これ以上の重合度では溶液の粘度が著しく増大してしまい、複合化反応や、製膜、塗工性に支障をきたすため好ましくない。
【0019】
末端にチオール基を有するPVA系重合体は、チオ酢酸のようなチオール基を含有する連鎖移動剤の存在下にビニルエステル化合物を重合し、その後ケン化反応を行うことにより得られる。重合の際には、カルボキシル基変性PVAの水溶性や安定性等に支障をきたさない程度に共重合可能なモノマーと共重合させることも可能である。この末端にチオール基を有するPVA系重合体存在下に共重合可能なモノマーを共重合させることが可能である。その種類については後述するPAMの共重合体に関する部分で挙げたモノマー類が使用できる。モノマーの種類により異なるが、ケン化反応前のビニルエステル化合物に対して概ね1〜50重量%の範囲にある。
【0020】
EVOH共重合物は、エチレン含有量が20〜50モル%のEVOHを、イオン性の高分子化合物または界面活性剤を、場合によっては両者を併用することによって水に分散させたものを使用する。EVOHは完全ケン化型のものがガスバリア性の面から好ましい。この時に使用されるイオン性の高分子化合物は、EVOHにイオン性の官能基を導入したものや、後述するポリ(メタ)アクリル酸(塩)やポリ(メタ)アクリルアミドを使用することにより無機微粒子との相互作用が期待できる化合物であることが好ましいが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0021】
PVDCは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化ビニル、架橋剤などから選ばれる1種以上の共重合成分を0〜20%含有したエマルションである。
【0022】
PANは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、架橋剤などから選ばれる1種以上の共重合成分を0〜20%含有したエマルションである。
【0023】
PAAは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸部分中和物、ポリメタクリル酸部分中和物、ポリメタクリル酸部分中和物、ポリアクリル酸部分エステル化物、ポリメタクリル酸部分エステル化物、アクリル酸と後述する(メタ)アクリルアミドモノマー類やそれらと共重合可能なモノマー、およびエチレン性の疎水性不飽和化合物との共重合体なども含まれる。
【0024】
PAMは、通常は(メタ)アクリルアミド系のモノマーをラジカル開始剤を用いて重合される水溶性の重合体である。(メタ)アクリルアミドにはN−置換型の(メタ)アクリルアミド誘導体類も含まれる。それぞれ共重合可能なモノマーには、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド誘導体、N−ビニル−2−ピロリドン類、N−ビニルオキサゾリドン類、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート類、(メタ)アリルアルコール類、(メタ)アクリル酸(塩)などの不飽和カルボン酸化合物類、ビニルスルホン酸(塩)などの不飽和スルホン酸化合物類、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタクリルエステル等の不飽和リン酸化合物類、アリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等のアミノ基を含有するビニル化合物とそれらの塩および四級化したビニル化合物や、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドなどをあげることができる。
【0025】
また、水溶性あるいは水分散性を損なわない程度にエチレン性の疎水性不飽和化合物を共重合することが可能である。疎水性不飽和化合物の共重合比率はモノマーの種類や共重合の組み合わせ等により変わるので特定できないが、比率が高くなると水溶性を失うため、疎水性不飽和化合物の量は概ね99〜0重量%の範囲であって、しかも共重合体の水溶性を失わない程度に抑える必要がある。
【0026】
エチレン性の疎水性不飽和化合物の例としては、スチレンなどの芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、ブタジエン、イソプレンなどのジエン化合物、メチルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物、ビニルメチルエーテルなどのアルキルビニルエーテル化合物、その他、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの疎水性ビニル化合物、および疎水性アリル化合物からなる群より選択された一種以上の化合物である。
【0027】
PAA、PAMの重量平均分子量は、概ね1,000〜1,000,000の範囲にある。分子量が1,000未満の場合は架橋反応性を有する高分子化合物(C)を添加・混合した場合においても強度に劣るフイルムとなり、1,000,000を越えると水溶液の粘度が著しく高くなって、複合化や製膜、塗工に支障をきたすため好ましくない。
【0028】
アクリル酸エステル共重合体は、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル化合物とアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基を含有するモノマー類あるいは、2−ヒドロキシエチルアクリレートや2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどの水酸基を有するモノマーとの共重合体、さらにはこれらと共重合可能なモノマーとの3元以上の共重合体が用いられる。
【0029】
セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロースアルキルエーテル類がある。これらのセルロース誘導体のエーテル化度(置換度)は、0.5〜2.0の範囲にあり、2%水溶液粘度(25℃、B型粘度計)が500mPa・s以下のものが好ましい。
【0030】
本発明に用いられるPVA、EVOH、セルロース誘導体以外の高分子化合物を製造する方法は公知の重合方法、例えば水溶液重合、沈殿重合、乳化重合等を用いることが出来る。回分重合、半回分重合の何れの組み合わせでもよく、重合方法は何等制限されない。
【0031】
ラジカル重合を行う場合、通常はラジカル重合開始剤の存在下、重合溶液を所定温度に保つことにより重合を行う。重合中同一温度に保つ必要はなく、重合の進行にともない適宜変えてよく、必要に応じて加熱あるいは除熱しながら行う。重合温度は使用するモノマーの種類や重合開始剤の種類などにより異なり、単一開始剤の場合には概ね30〜100℃の範囲であり、レドックス系重合開始剤の場合にはより低く、一括で重合を行う場合には概ね−5〜50℃であり、逐次添加する場合には概ね30〜90℃である。
【0032】
重合器内の雰囲気は特に限定はないが、重合を速やかに行わせるには窒素ガスのような不活性ガスで置換した方がよい。重合時間は特に限定はないが、概ね1〜40時間である。
【0033】
重合溶媒としては水を用いるが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の有機溶剤を併用してもよい。
【0034】
ラジカル重合開始剤としては一般の水溶性の開始剤が使用できる。過酸化物系では、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、tert−ブチルパーオキサイド等があげられる。この場合、単独でも使用できるが、還元剤と組み合わせてレドックス系重合剤としても使える。還元剤としては、例えば亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、鉄、銅、コバルト等の低次のイオンの塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の有機アミン、更にはアルドース、ケトース等の還元糖等をあげることができる。また、アゾ化合物系では、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレイン酸及びその塩等を使用することができる。更に上記した重合開始剤を2種以上併用してもよい。重合開始剤の添加量は単量体に対して0.0001〜10重量%の範囲であり、好ましくは0.01〜8重量%である。また、レドックス系の場合には、重合開始剤に対して還元剤の添加量はモル基準で0.1〜100%、好ましくは0.2〜80%である。
【0035】
分子量あるいは重合速度を調整するなどの目的で、必要に応じてpH調整剤、連鎖移動剤等を使用してもよい。
【0036】
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム,アンモニア等の無機塩基類、エタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の有機塩基類、及び炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の塩類等があげられる。
【0037】
連鎖移動剤としては、イソプロピルアルコール、α−チオグリセロール、メルカプトコハク酸、チオグリコール酸、トリエチルアミン、次亜リン酸ナトリウム等のなかから1種または2種以上の混合物を適宜使用することができる。
【0038】
また、金属イオンを封止するあるいは重合速度を調整する等の目的で、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム(EDTA−Na)や尿素、チオ尿素等の化合物を併用してもよい。pH調整剤、連鎖移動剤等の使用量は、使用目的に応じて異なるが、概ねモノマー重量に対してpH調整剤は100ppm〜10%、連鎖移動剤やその他の添加剤は1.0ppm〜5.0%の範囲にある。
【0039】
本発明の水難溶性無機微粒子は、粒径が500nm以下の粒子である。ここでいう粒径とは粒子の最長径である。粒子の形状は球状、楕円体状、針状、板状、柱状、不定形、およびそれらの粒子が複数個集合した粒子であっても良いが、粒子径は500nmを越えることはない。また、本発明の水難溶性無機微粒子は一般的には液相合成法により合成され、周期表2族元素、アルミニウム、ケイ素、第4周期遷移金属、亜鉛、ジルコニウム、銀、錫から選ばれる1種以上を必須成分とする無機化合物と有機酸、無機酸またはそれらの塩類を種々の割合で混合し、所定温度で反応することにより得られる。反応が進行する組み合わせであれば均一系でも不均一系(固−液反応または固−固反応)何れの方法でもよい。また、反応温度は合成される無機化合物により異なり特に制限はないが、後述するようなポリマー存在下に合成を行う場合にはポリマーの分解点以下の温度で反応を行うことが好ましい。無機微粒子を製造する際には、500nm以上の粒子が成長しないように、適宜温度や濃度を制御しながら反応を行う。特に、粒子の成長を抑える働きをもつ化合物を共存させて反応を行う方法が有効であり、ポリマー存在下に無機微粒子を合成する方法はこの方法に属する手法である。なお、無機微粒子を合成する時点では、必ずしも微粒子は500nm以下である必要はなく、最終的に均一に分散される単位構造体の集合体として500nm以上となっていても問題はない。
【0040】
水に可溶あるいは難溶な周期表2族元素、アルミニウム、ケイ素、第4周期遷移金属、亜鉛、ジルコニウム、銀、錫から選ばれる1種以上を必須成分とする無機化合物と有機酸、無機酸またはそれらの塩類とを反応することにより水難溶性無機微粒子が合成される。沈殿法とも称せられるように、通常は生成した水難溶性無機微粒子は沈澱し、濾過後乾燥あるいは熱分解することにより粉末が得られる。この時、濾過することなくスプレードライヤー、凍結乾燥機、媒体流動乾燥機などを用いてそのまま乾燥することで、ポリマーと混合する際に混合が容易になる粉末とすることも可能である。粉末は必要に応じて、ボールミル、ポットミル、回転刃式、衝突式、ロール式、遠心式などの粉砕機を用いて粉砕した後に高分子化合物と混合する。本発明においては、前記したような微粒子との相互作用を有する高分子化合物を存在させておくことにより、沈澱することなくコロイド状に均一に分散した分散安定性に優れた有機重合体/無機微粒子分散水溶液となる場合があり、その際はそのままバリアフイルムまたはコーティング材料として使用することが可能である。このような分散安定性に優れた有機重合体/無機微粒子分散水溶液が生成する理由に関しては、必ずしも完全に解明された訳ではないが、無機微粒子を構成する元素と高分子化合物中の官能基がイオン的な相互作用により結合することが本発明者らの実験結果から示唆されており、そのために結晶成長が抑制され、500nm以上に粒子径が成長しないことと、結合した高分子化合物の保護コロイド的な作用のために粒子間の凝集を抑制していることがその理由と考えられる。
【0041】
本発明の水難溶性無機微粒子は、20℃における水への溶解度が概ね3.0(重量%)以下のものである。周期表2族元素、アルミニウム、ケイ素、第4周期遷移金属、亜鉛、ジルコニウム、銀、錫から選ばれる1種以上を必須成分とする無機化合物と有機酸、無機酸またはそれらの塩類とを反応することにより合成されるイオン結晶には、それぞれの元素を含有する水酸化物塩、フッ化物塩、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩などがある。
【0042】
本発明の水難溶性無機微粒子の合成に使用される周期表2族元素、アルミニウム、ケイ素、第4周期遷移金属、亜鉛、ジルコニウム、銀、錫から選ばれる1種以上を必須成分とする無機化合物の例としては、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、ケイフッ化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、チオ硫酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、酢酸バリウム、塩化バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化バリウム、フッ化バリウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カリウム、第4周期遷移金属の塩化物、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、水酸化物、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛、水酸化亜鉛、水酸化ジルコニル、硝酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、塩化銀、硝酸銀、塩化スズ、硝酸スズ、水酸化スズなどから選ばれる1種以上の化合物があげられる。
【0043】
本発明で使用される無機酸、有機酸およびそれらの塩類は、上記化合物と反応して水難溶性無機微粒子を生成するものであればよい。なかでもオキソ酸とハロゲン化水素酸およびそれらの塩類が好ましい。
【0044】
オキソ酸の例としては、ホウ酸、メタホウ酸、炭酸、イソシアン酸、雷酸、オルトケイ酸、メタケイ酸、硝酸、亜硝酸、リン酸(オルトリン酸)、ピロリン酸(二リン酸)、メタリン酸、ホスホン酸(亜リン酸)、ジホスホン酸(二亜リン酸)、ホスフィン酸(次亜リン酸)、硫酸、二硫酸、チオ硫酸、亜硫酸、クロム酸、二クロム酸、過塩素酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、フタル酸などがあげられる。
【0045】
ハロゲン化水素酸の例には、フッ化水素酸、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などがある。
【0046】
オキソ酸とハロゲン化水素酸の塩類の例としては、それらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩などがある。
【0047】
水難溶性無機微粒子の例としては、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸スズなどがあるが、これらの化合物に限定されるものではなく、上記した化合物を反応して得られる水難溶性のイオン結晶であればよい。
【0048】
本発明で使用されるリン酸カルシウムは、リン酸に由来する部分とカルシウム原子の合計が50重量%以上含まれるものである。例としてはヒドロキシアパタイト、フッ素アパタイト、塩素アパタイト、炭酸含有アパタイト、マグネシウム含有アパタイト、鉄含有アパタイト等のアパタイト化合物、リン酸三カルシウム等が挙げられる。本発明のリン酸カルシウムに含まれるアパタイト化合物は、基本組成がM10(RO で表され、基本的にMサイトにカルシウムイオン(Ca2+)、ROサイトにリン酸イオン(PO 3−)が存在している化合物であるが、M、RO、Xの各サイトは種々のイオン等と置換が可能であり、また、空孔ともなり得るものである。置換量および空孔量はそのイオン等の種類により異なるが、リン酸に由来する部分とカルシウム原子の合計が50重量%以上含まれていれば他のイオン等と置換していても差し支えない。
【0049】
リン酸に由来する部分とカルシウム原子の合計が50重量%を下回るとリン酸カルシウムとしての特性が失われることがあるために好ましくない。Mサイトは基本的にCa2+であるが、置換可能なイオン種の例として、H、Na、K、H、Sr2+、Ba2+、Cd2+、Pb2+、Zn2+、Mg2+、Fe2+、Mn2+、Ni2+、Cu2+、Hg2+、Ra2+、Al3+、Fe3+、Y3+、Ce3+、Nd3+、La3+、Dy3+、Eu3+、Zr4+等があげられる。ROサイトは基本的にPO 3−であるが、置換可能なイオン種の例として、SO 2−、CO 2−、HPO 2−、PO2−、AsO 3−、VO 3−、CrO 3−、BO 3−、SiO 4−、GeO 4−、BO 5−、AlO 5−、H 4−等があげられる。Xサイトに入るイオン種や分子の例として、OH、F、Cl、Br、I、O2−、CO 、HO等があげられる。
【0050】
本発明で使用されるリン酸カルシウムについては詳細に記載したが、他のイオン結晶化合物に関しても、上述したような反応で合成可能な水難溶性微粒子であれば、化学式から若干組成がずれているものや、一部他の元素に置換わったもの、複塩の形で存在するものなども含まれる。
【0051】
本発明のバリアフイルム材料中に含まれる水難溶性無機微粒子の粒径は500nm以下である。粒径が500nmを越えるとバリア性能が不十分であるばかりか、フイルムの強度や透明性を損なってしまう。
【0052】
高分子化合物(B)と水難溶性無機微粒子の重量比は10:90〜99.9:0.1、好ましくは20:80〜99.5:0.5の範囲である。水難溶性無機微粒子量が0.1%より少ないとガスバリア向上効果が乏しく、90%を越えると均一な複合体フイルムまたは塗膜を形成できなくなるため好ましくない。本発明では、実施例に記載するように、従来使用されてきた無機層状化合物では困難であった、無機成分を50%以上に配合した場合でも透明性に優れるフイルムを形成し、高いガスバリア性を可能にするのである。
【0053】
水難溶性微粒子と高分子化合物とを混合あるいは混練する方法は、必要に応じて高分子化合物を加熱下に攪拌しながら微粒子を連続的または断続的に投入して行われる。高いガスバリア性と透明性を発現するためにはできる限り均一に混合する必要があるため、複合化に用いられる高分子化合物または微粒子の種類によっては高い剪断力や圧縮力をかけながら混合を行う。
【0054】
比較的温和な条件下で水難溶性無機微粒子が合成できる場合には、無機微粒子と相互作用できる水溶性または水分散性の高分子化合物の存在下に水難溶性無機微粒子を製造することで、無機微粒子がコロイド状に分散して凝集を起こさずに安定な水溶液となる場合がある。特にPVAやEVOH、PVDC、PAN、PAA、PAMなどのガスバリア性の高い樹脂を用いた場合には、そのコロイド状分散液からガスバリアフイルムを形成することが可能であり、また後述のように他のフイルム基材に塗工することでガスバリア性を向上させる塗工剤としての利用も可能である。
【0055】
水難溶性無機微粒子を水分散性の高分子化合物存在下に製造する方法は、いかなる方法でもかまわない。(a)周期表2族元素、アルミニウム、ケイ素、第4周期遷移金属、亜鉛、ジルコニウム、銀、錫から選ばれる1種以上を必須成分とする無機化合物またはそれらの混合物と、(b)有機酸、無機酸およびそれらの塩類から選ばれる1種以上の化合物との反応は、反応容器の中に(a)と(b)を一括添加するか、または一方の水溶液または水分散液の中へ他方を添加する方式、あるいは(a)と(b)とを別個に同時添加する方法が取られる。高分子化合物は反応容器の中に予め投入しておいても良いし、(a)や(b)と一緒に添加しても良いが、(a)と(b)の反応が生じる状況下では高分子化合物が存在するように設定する。反応は攪拌機を備えた反応器や、各種の乳化・分散装置、あるいは超音波分散機を使用することができる。滴下時間については特に制限はないが、概ね5分〜24時間である。反応は滴下終了後、必要に応じて熟成させる。
【0056】
通常は反応溶液を所定温度に保つことにより反応を行う。反応中同一温度に保つ必要はなく、反応の進行にともない適宜変えてよく、必要に応じて加熱あるいは冷却しながら行う。反応温度は概ね5〜95℃の範囲にある。反応器内の雰囲気は特に限定はなく通常は空気中で行われるが、炭酸ガスが微粒子中に取り込まれて不都合を生じる場合などでは窒素ガスのような不活性ガスで置換した方がよい。また、pHにより生成種が影響を受ける場合には、適当な酸またはアルカリを添加してpHをコントロールしながら合成する。合成時間は特に限定はないが、滴下、熟成時間を合わせて概ね1〜120時間である。
【0057】
反応溶媒としては水を用いるが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の有機溶剤を併用してもよい。
【0058】
本発明で使用される高分子化合物(B)と架橋反応性を有する高分子化合物(B)は、架橋反応にカルボキシル基と水酸基との反応で行う場合には、概ね(B)で例示した化合物群に含まれる化合物が使用できる。例えば高分子化合物(B)にPAAが使用される場合は、(C)にはPVAやセルロース誘導体などが使用でき、また(B)にPVAが使用される場合は(C)にはPAAやカルボキシル基を有するモノマーを共重合した(メタ)アクリル酸エステル共重合体等を用いることができる。また、(B)で例示した高分子化合物以外にも、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ基含有樹脂、メチロール基含有樹脂、イソシアネート基含有樹脂などを用いることができる。
【0059】
水難溶性無機微粒子(A)と高分子化合物(B)の複合体に対して使用される架橋反応性の高分子化合物(C)の比率は、概ね10:90〜95:5、好ましくは20:80〜95:5の範囲にある。(A)と(B)に対して(C)の量が多すぎる、または少なすぎると十分なバリア性を発現できない、あるいは製膜加工性に問題があるなどの理由で好ましくない。
【0060】
本発明のガスバリアフイルム材料はそのまま、あるいは濃縮処理やpH調整、必要に応じてエチレングリコールやグリセリン等の公知の可塑剤や、架橋剤、増粘剤、充填剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の添加剤を混合した後に、ガラス、石英、金属、セラミックス、プラスチック、ゴム等の基板、ロール、ベルト等の上に上記の安定な分散液を塗布・製膜し、必要に応じて加熱、減圧、送気、赤外線照射、極超短波照射等の処理を行って乾燥させることにより製造することができる。材料が有機溶剤に可溶な場合にも同様の方法でフイルム化できる。塗布方法は特に制限はなく、流し塗り法、浸漬法、スプレー法等があり、バーコーター、スピンコーター、ロールコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ダイコーター、ディップコーター等の公知の塗工機を使用できる。塗布厚み(乾燥前の厚み)は概ね1μm〜10mmで、塗布法の選択により任意に厚みを設定できる。乾燥温度は0〜150℃の温度範囲で行い、常圧あるいは減圧下に行う。その際に乾燥空気あるいは乾燥窒素を流通させて乾燥時間を短縮することができる。乾燥フイルムはそのまま使用することも可能であるが、ガスバリア性を向上させる目的で延伸処理を行うこともできる。さらに、ガスバリア性を向上する、および/または耐水性を付与する等の目的で、40〜200℃で数秒〜数十分間熱処理を行ってもよい。また本発明のガスバリアフイルム用材料が熱可塑性の高分子化合物に水難溶性微粒子を混合・混練して製造される場合には、インフレーション形成法、Tダイ形成法などの押出し成形法によりフイルムとする。ガスバリア性を向上させる目的で延伸処理を行うこともできるし、さらに40〜200℃で数秒〜数十分間熱処理を行ってもよい。
【0061】
これらの方法で製造されるフィルムは透明性に優れる特徴を有する。これは、水難溶性微粒子のサイズが可視光の波長領域以下であり、個々の粒子が凝集を起こすことなくポリマーマトリックス中に均一に分散していることを示す。透明性については、400nmと700nmでの可視光透過率により定量的に評価できる。ここでいう透明性に優れるとは膜厚が2〜300μmにおける700nm波長の光透過率が50%以上を示すものをいう。これらのフイルムは単独で使用することもできるが、後述する塗工法で使用されるフイルムにラミネートして使用しても良い。
【0062】
本発明のガスバリアフイルム材料で、特に水溶性または水分散性の高分子化合物を使用する場合には、他のプラスチックフイルム上に塗工してガスバリア性を付与することもできる。プラスチック表面には、コロナ処理やプラズマ処理、アンカーコート等の表面処理がなされていても良い。塗工基材として用いられるプラスチックフイルムは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸(塩)共重合体、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12およびそれらの共重合体などのポリアミド類、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどのポリアクリル類、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などのポリスチレン類、酢酸セルロース類、ポリ塩化ビニル類、ポリ塩化ビニリデン類、テトラフルオロエチレン類、ポリビニルアルコール類、エチレン−ビニルアルコール共重合体類、ポリカーボネート類、ポリサルホン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリフェニレンオキシド類、ポリイミド類、ポリアミドイミド類がある。
【0063】
これらのプラスチックフイルム基材は、未延伸、一軸延伸、二軸延伸の何れでも良く、塗工液を塗布後または乾燥後に延伸処理を行うことも可能である。
【0064】
塗工液には必要に応じて、エチレングリコールやグリセリン等の公知の可塑剤や、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール、架橋剤、増粘剤、充填剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の添加剤を混合する。塗工方法、乾燥方法、熱処理条件は前述したフイルム製造と同様の方法、条件を適用することができる。
【0065】
また、本発明においては、従来公知の蒸着法やスパッタ法で金属または金属酸化物でコートしたフイルムに貼り合せまたは塗工する方法や、本発明のガスバリアフイルム材料からなるフイルムまたは塗工フイルムに蒸着、スパッタ法で金属または金属酸化物層を設けることも可能である。
【0066】
本発明のバリアフィルムは、それ自身または基材フィルムに塗工することにより、酸素ガスや炭酸ガス、水蒸気などの透過を抑制する能力を持ち、また透明性に優れる特徴からバリア性が必要な用途に広く使用でき、またガソリンや香料などの揮発性化合物を容器内に保持する能力にも優れているため、食品包装用のフィルムや容器、プラスチック製ガソリンタンク、石鹸・入浴剤容器、農薬・肥料用の包材、医薬品用包装材、半導体や電子部品包材などに用いられる。
【0067】
【実施例】
以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の例において用いる%は特記のない限り重量基準を示す。粘度は25℃においてB型粘度計〔(株)トキメック社製〕により計測した値である。
【0068】
<PAAとリン酸カルシウム複合体合成例>
[複合化実施例1]
ポリアクリル酸(和光純薬製、重量平均分子量 25,000、含水量4.2%)18.8g 、蒸留水292.2g、イソプロピルアルコール20.3gを日本精機社製のマキシムホモジナイザー容器に入れ、40%水酸化ナトリウム7.54g を加えた(中和度30%、pH4.40)。これに水酸化カルシウム1.48gをゆるやかに攪拌しながら加えて懸濁液とした。攪拌速度を3,000rpmに上げ、攪拌しながら、10.5%リン酸水溶液11.15g 、蒸留水48.85gを混合溶解した水溶液を、ミクロチューブポンプを用いて連続的に1時間かけて添加した。添加後さらに15分間攪拌を行ない、ポリアクリル酸/リン酸カルシウム微粒子(90:10)分散水溶液(a−1)を得た。反応温度は40℃を越えないように適宜冷却した。得られた分散水溶液のpHは4.72であり、25℃におけるブルックフィールド粘度は7.6mPa・s の透明な分散液であった。沈降物の生成はほとんど認められず、数週間静置しても分離、沈降等の変化を起こさずに安定であった。反応液の固形分濃度は5.7%であった。この分散液をコロジオン膜に展開乾燥した試料を作成してTEM(透過型電子顕微鏡)により観察したところ、針状の粒子が凝集なく分散しており、長軸方向の平均粒径は50nm以下であった。また、この分散液を乾燥すると透明なフィルムとなった。
【0069】
[複合化実施例2]
ポリアクリル酸(日本触媒製、重量平均分子量 160,000、25.62%水溶液)70.26g 、蒸留水240.72g、イソプロピルアルコール20.8gを日本精機社製のマキシムホモジナイザー容器に入れ、40%水酸化ナトリウム7.65g を加えた(中和度30%、pH4.51)。これに水酸化カルシウム1.48gをゆるやかに攪拌しながら加えて懸濁液とした。攪拌速度を3,000rpmに上げ、攪拌しながら、10.5%リン酸水溶液11.15g 、蒸留水48.85gを混合溶解した水溶液を、ミクロチューブポンプを用いて連続的に1時間かけて添加した。添加後さらに15分間攪拌を行ない、ポリアクリル酸/リン酸カルシウム微粒子(90:10)分散水溶液(a−2)を得た。反応温度は40℃を越えないように適宜冷却した。得られた分散水溶液のpHは4.81であり、25℃におけるブルックフィールド粘度は12.2mPa・s の透明な分散液であった。沈降物の生成はほとんど認められず、数週間静置しても分離、沈降等の変化を起こさずに安定であった。反応液の固形分濃度は5.9%であった。この分散液を乾燥すると透明なフィルムとなった。
【0070】
[フイルム作成例1]
分散溶液a−1、a−2にIPAを2.5%溶解させたPVA−117(クラレ社製、重合度ケン化度)の5.0%水溶液を、各々の固形重量比が90:10、80:20、70:30、50:50になるように混合し、表面にUVインキ・酸化重合インキ易接着層をもつポリエチレンテレフタレートフイルム(A−4100:東洋紡績製、25μm)の接着層側にベーカーアプリケーターで所定の厚みに塗布し、フイルムを固定して110℃で4min乾燥後、150℃で15分間熱処理を行い、無色で透明性に優れるPAA/リン酸カルシウム+PVA複合体を表面にコートしたフイルムを作成した。
【0071】
[フイルム作成比較例2]
複合体分散水溶液を使用する代りに、PVA117とポリアクリル酸(和光純薬製、中和度30%、重量平均分子量 25,000)とを70:30の比率で混合した水溶液を用いた以外にはフイルム作成比較例1と同様にして、PAA+PVAを表面にコートしたフィルムを作成した。コートフィルムは薄く黄色に変色した。
【0072】
[ヘリウムガスバリア測定]
フイルム作成例1およびフイルム作成比較例1で作成したフイルムに関して、ヘリウムガス透過試験を実施した。ヘリウムの透過度は、特開平6−241978に開示されている四重極型質量分析計を検出器としたフイルム用ガス透過率測定装置を用いて、10cmのフイルムを透過するヘリウムガス量を測定した。結果は表1[表1]に示した。
【0073】
【表1】
Figure 2004018806
【0074】
【発明の効果】
本発明のイオン結晶を複合化したフイルムは、表1[表1]に示したように、水難溶性無機微粒子を複合化していないフイルムに対して大きくヘリウムガス透過量を抑えることができ、バリアフィルムとして高い能力を有することが示される。

Claims (5)

  1. 粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子(A)、カルボキシル基を含有する高分子化合物(B)、(B)と架橋反応性を有する高分子化合物(C)から構成されるバリアフイルム用材料において、(A)が(a)周期表2族元素、アルミニウム、ケイ素、第4周期遷移金属、亜鉛、ジルコニウム、銀、錫から選ばれる1種以上を必須成分とする無機化合物またはそれらの混合物と、(b)有機酸、無機酸およびそれらの塩類から選ばれる1種以上の化合物を反応して合成される非層状構造のイオン結晶であるバリアフイルム用材料。
  2. 粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子(A)が高分子化合物(B)存在下に合成されることを特徴とする請求項1記載のバリアフイルム用材料。
  3. 高分子化合物(B)および(C)が、水溶性または水分散性の高分子化合物であることを特徴とする、請求項1または2記載のバリアフイルム用材料。
  4. (a)周期表2族元素がマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムから選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のバリアフイルム用材料。
  5. (b)有機酸、無機酸およびそれらの塩類が、硫酸、リン酸、炭酸およびそれらの塩類であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のバリアフイルム用材料。
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